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図面 (15)

課題

癌および癌細胞処置するための方法および組成物の提供。

解決手段

ワクシニアウイルスの血管内投与、あるいは、いくつかの態様において、GM-CSFをコードする複製型ワクシニアウイルスを含む組成物の血管内投与。

概要

背景

II.関連技術に関する説明
正常組織恒常性は、細胞増殖および細胞死の高度に調節されたプロセスである。細胞増殖または細胞死のいずれかの不均衡は、癌様状態に発展しうる(Solyanikら、1995;Stokkeら、1997;Mumby and Walter、1991;Natoliら、1998;Magi-Galluzziら、1998)。例えば、子宮頚癌腎臓癌肺癌膵臓癌結腸直腸癌、および脳癌は、起こりうる多くの癌のごく少数の例である(Erlandsson、1998;Kolmel、1998;Mangray and King、1998;Gertig and Hunter、1997;Mouginら、1998)。実際に、癌の発生は非常に高く、米国だけでも毎年500,000人以上の死亡は癌が原因である。

細胞増殖および細胞死の維持は、癌原遺伝子および腫瘍抑制因子によって少なくとも部分的に調節される。癌原遺伝子または腫瘍抑制因子は、細胞増殖を誘導するタンパク質(例えば、sis、erbB、src、ras、およびmyc)、細胞増殖を阻害するタンパク質(例えば、Rb、p16、p19、p21、p53、NF1、およびWT1)、またはプログラムされた細胞死を調節するタンパク質(例えば、bcl-2)(Ochiら、1998;Johnson and Hamdy、1998;Liebermannら、1998)をコードしうる。しかし、これらの癌原遺伝子および腫瘍抑制因子の遺伝子再配列または変異によって、強力な癌を引き起こす腫瘍遺伝子への癌原遺伝子の転換、または腫瘍抑制因子の不活性ポリペプチドへの転換が起こる。形質転換を得るためにはしばしば、一点の突然変異で十分である。例えば、p53腫瘍抑制タンパク質における点突然変異によって、野生型p53機能の完全な喪失が起こる(Vogelstein and Kinzler、1992)。

現在、多くの共通の癌タイプ治療にとって有効な選択肢はほとんどない。所定の個体に対する治療経過は、診断、疾患が進行した段階、ならびに患者年齢性別、および全身健康のような要因に依存する。癌治療の最も通常の選択肢は、手術放射線療法、および化学療法である。手術は、癌の診断および治療において中心的な役割を果たす。典型的に、手術のアプローチは、生検のため、および癌様増殖を切除するために必要である。しかし、癌が転移して広がっている場合、手術によって治癒が得られる可能性は低く、代替アプローチを講じなければならない。放射線療法、化学療法、および免疫療法は、癌の外科治療代替法である(Mayer、1998;Ohara、1998;Hoら、1998)。放射線療法は、癌細胞破壊するために高エネルギー放射線照射を正確に照準することを含み、手術と同様に、転移していない局在癌細胞の治療において主に有効である。放射線療法の副作用には、皮膚の刺激嚥下困難、口の渇き悪心下痢脱毛、および脱力が含まれる(Curran、1998;Brizel、1998)。

化学療法、すなわち抗癌剤による癌の治療は、もう一つの癌治療様式である。所定の抗癌剤治療の有効性はしばしば、固形腫瘍全体に薬物を輸送することが難しいために制限される(el-Kareh and Secomb、1997)。化学療法の戦略は、腫瘍組織の増殖に基づき、抗癌剤は急速に分裂しつつある癌細胞にターゲティングされる。ほとんどの化学療法アプローチには、広く多様な癌の反応率を増加させることが証明されている一つより多い抗癌剤の併用が含まれる(参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,824,348号;米国特許第5,633,016号、および米国特許第5,798,339号)。化学療法剤の主な副作用は、それらが正常組織の細胞にも影響を及ぼす点であり、影響を受ける可能性が最も高い細胞は場合によっては急速に分裂する細胞(例えば、骨髄消化管生殖器官および毛嚢)である。化学療法剤の他の毒性作用には、口のただれ、嚥下困難、口の渇き、悪心、下痢、嘔吐、疲労、出血、脱毛、および感染症が含まれうる。

免疫療法は、特定のタイプの癌の治療にとってのもう一つの選択肢である。理論的には、免疫系が刺激されて、腫瘍細胞異物であると同定して、それらを破壊の標的とする。残念なことに、反応は典型的にほとんどの腫瘍の増殖を予防するためには不十分である。しかし、近年、免疫系の本来の防御メカニズムを増強または補足する方法を開発するために、免疫治療の領域に注目が集まっている。現在治験中または用いられている免疫治療の例は、免疫アジュバント(例えば、ウシ結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼン、および芳香族化合物)(米国特許第5,801,005号;米国特許第5,739,169号;Hui and Hashimoto、1998;Christodoulidesら、1998)、サイトカイン治療(例えば、インターフェロンIL-1、GM-CSF、およびTNF))(Bukowskiら、1998;Davidsonら、1998;Hellstrandら、1998)、および遺伝子治療(例えば、TNF、IL-1、IL-2、p53)(Qinら、1998;Austin-Ward and Villaseca、1998;米国特許第5,830,880号および米国特許第5,846,945号)およびモノクローナル抗体(例えば、抗ガングリオシドGM2、抗HER-2、抗p185)(Pietrasら、1998;Hanibuchiら、1998;米国特許第5,824,311号)である。そのような方法はある程度有望であるが、成功は限定的であることが示された。

複製選択的腫瘍細胞破壊性ウイルスは、癌の治療にとって有望である(Kirnら、2001)。これらのウイルスは、直接的な複製依存的および/またはウイルス遺伝子発現依存的腫瘍細胞破壊作用を通して腫瘍細胞死を引き起こしうる(Kirnら、2001)。さらに、ウイルスは、宿主における細胞媒介抗腫瘍免疫の誘導を増強することができる(Todoら、2001;Sinkovicsら、2000)。これらのウイルスはまた、抗腫瘍有効性を増強するために腫瘍内で治療的トランスジーンを発現するように操作することができる(Hermiston、2000)。

しかし、この治療アプローチには大きい制限が存在する。いくつかのウイルス種に関して、ある程度の天然の腫瘍選択性の程度を証明することができるが、安全性を最大限にするためには、腫瘍細胞破壊性ウイルスの腫瘍選択性を操作および/または増強するための新しいアプローチがなお必要である。この選択性は、静脈内投与を用いる場合、および抗腫瘍有効性を増強するために毒性の可能性がある治療遺伝子をこれらのウイルスに加える場合には特に重要となるであろう;遺伝子発現は、正常組織において厳密に制限される必要があるであろう。さらに、抗腫瘍免疫の誘導または腫瘍関連血管のターゲティングのようなさらなるメカニズムによる抗腫瘍有効性の増加は非常に望ましい。

したがって、癌の治療にとってより有効でより毒性の低い治療法が必要である。腫瘍細胞破壊性ウイルスの使用および免疫治療は、開発されうる領域であるが、先に述べた制限を克服する必要がある。このように、本発明はそれらの制限に取り組む。

概要

癌および癌細胞を処置するための方法および組成物の提供。ワクシニアウイルスの血管内投与、あるいは、いくつかの態様において、GM-CSFをコードする複製型ワクシニアウイルスを含む組成物の血管内投与。

目的

オルトポックスウイルス属の様々なメンバーと共にチョルドポックスウイルス亜科の他のメンバーは、宿主生物免疫応答拮抗するために免疫調節分子を利用し、その例を本明細書において提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

投与が血管内である、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子GM-CSF)をコードする核酸発現を指示するプロモーターと共に発現領域を有する複製型ワクシニアウイルスの有効量を被験者に投与する段階を含む、被験者における癌細胞殺す方法。

請求項2

ワクシニアウイルスが静脈内投与される、請求項1記載の方法。

請求項3

ワクシニアウイルスが動脈内投与される、請求項1記載の方法。

請求項4

ワクシニアウイルスが薬学的に許容される製剤で存在する、請求項1記載の方法。

請求項5

ワクシニアウイルスがそのゲノム欠失を有する、請求項1記載の方法。

請求項6

ワクシニアウイルスが1つまたは複数の遺伝子において変異を有する、請求項5記載の方法。

請求項7

変異が欠失である、請求項6記載の方法。

請求項8

少なくともチミジンキナーゼ遺伝子が欠失している、請求項6記載の方法。

請求項9

ワクシニアウイルスが、(a)ワクシニアウイルス増殖因子;(b)インターフェロン直接結合する、機能的インターフェロン調節ポリペプチド;(c)変異によって少なくとも1つの機能的補体制御ポリペプチドを欠損するウイルスが得られる、補体制御ポリペプチド;(d)変異によって少なくとも1つの機能的TNF調節ポリペプチドを欠損するウイルスが得られる、TNF調節ポリペプチド;(e)変異によって少なくとも1つの機能的セリンプロテアーゼ阻害剤を欠損するウイルスが得られる、セリンプロテアーゼ阻害剤;(f)変異によって少なくとも1つの機能的IL-1β調節ポリペプチドを欠損するウイルスが得られる、IL-1β調節ポリペプチド;(g)変異によってA41L、B7R、N1L、vCKBP、またはC11Rの少なくとも1つの機能を欠損するウイルスが得られる、機能的A41L、B7R、N1L、もしくはvCKBPケモカイン結合ポリペプチド、またはC11R EGF様ポリペプチド;または(h)変異によってワクシニアウイルスの感染性EEV型の増加が起こる、ポリペプチド、をコードする遺伝子において変異を有する、請求項6記載の方法。

請求項10

ワクシニアウイルス増殖因子において変異をさらに含む、請求項8記載の方法。

請求項11

ワクシニアウイルスがWyethまたはWestern Reserve(WR)株である、請求項1記載の方法。

請求項12

ワクシニアウイルスがWR株である、請求項11記載の方法。

請求項13

プロモーターがワクシニアウイルスプロモーターである、請求項1記載の方法。

請求項14

プロモーターが合成プロモーターである、請求項13記載の方法。

請求項15

プロモーターが感染の少なくとも初期相のあいだに転写を指示する、請求項13記載の方法。

請求項16

プロモーターが感染の少なくとも後期相のあいだに転写を指示する、請求項13記載の方法。

請求項17

被験者がワクシニアウイルスを複数回投与される、請求項1記載の方法。

請求項18

第二の処置が第一の処置の3週間以内に起こる、請求項17記載の方法。

請求項19

第二の処置が第一の処置の2週間以内に起こる、請求項18記載の方法。

請求項20

同じ用量が投与される、請求項17記載の方法。

請求項21

被験者がウイルス約105〜約1013 pfuを投与される、請求項1記載の方法。

請求項22

被験者がウイルス約107〜約1010 pfuを投与される、請求項1記載の方法。

請求項23

投与が注射によって血管内で起こる、請求項1記載の方法。

請求項24

投与が静脈内点滴またはボーラスを用いて血管内で起こる、請求項1記載の方法。

請求項25

投与がポンプを用いて血管内で起こる、請求項1記載の方法。

請求項26

癌細胞が転移癌細胞である、請求項1記載の方法。

請求項27

被験者が、肺癌結腸直腸癌乳癌前立腺癌膵臓癌肝細胞癌白血病リンパ腫骨髄腫、または黒色腫を有する、請求項1記載の方法。

請求項28

投与が血管内である、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)をコードする核酸の発現を指示するプロモーターと共に発現領域を有する複製型ワクシニアウイルスの有効量を被験者に投与する段階を含む、被験者における癌を処置するための方法。

請求項29

投与が血管内である、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)をコードする核酸の発現を指示するプロモーターと共に発現領域を有する複製型ワクシニアの有効量を被験者に投与する段階を含む、被験者における1つまたは複数の転移を処置するための方法。

技術分野

0001

I.発明の分野
本発明は、一般的に腫瘍学およびウイルス学の分野に関する。より具体的には、本発明は、GM-CSF発現するワクシニアウイルスおよび癌を処置するための全身投与におけるその利用に関する。なお、本出願はその全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2005年9月7日に提出された米国特許仮出願第60/714,679号に対する優先権を主張する。

背景技術

0002

II.関連技術に関する説明
正常組織恒常性は、細胞増殖および細胞死の高度に調節されたプロセスである。細胞増殖または細胞死のいずれかの不均衡は、癌様状態に発展しうる(Solyanikら、1995;Stokkeら、1997;Mumby and Walter、1991;Natoliら、1998;Magi-Galluzziら、1998)。例えば、子宮頚癌腎臓癌肺癌膵臓癌結腸直腸癌、および脳癌は、起こりうる多くの癌のごく少数の例である(Erlandsson、1998;Kolmel、1998;Mangray and King、1998;Gertig and Hunter、1997;Mouginら、1998)。実際に、癌の発生は非常に高く、米国だけでも毎年500,000人以上の死亡は癌が原因である。

0003

細胞増殖および細胞死の維持は、癌原遺伝子および腫瘍抑制因子によって少なくとも部分的に調節される。癌原遺伝子または腫瘍抑制因子は、細胞増殖を誘導するタンパク質(例えば、sis、erbB、src、ras、およびmyc)、細胞増殖を阻害するタンパク質(例えば、Rb、p16、p19、p21、p53、NF1、およびWT1)、またはプログラムされた細胞死を調節するタンパク質(例えば、bcl-2)(Ochiら、1998;Johnson and Hamdy、1998;Liebermannら、1998)をコードしうる。しかし、これらの癌原遺伝子および腫瘍抑制因子の遺伝子再配列または変異によって、強力な癌を引き起こす腫瘍遺伝子への癌原遺伝子の転換、または腫瘍抑制因子の不活性ポリペプチドへの転換が起こる。形質転換を得るためにはしばしば、一点の突然変異で十分である。例えば、p53腫瘍抑制タンパク質における点突然変異によって、野生型p53機能の完全な喪失が起こる(Vogelstein and Kinzler、1992)。

0004

現在、多くの共通の癌タイプ治療にとって有効な選択肢はほとんどない。所定の個体に対する治療経過は、診断、疾患が進行した段階、ならびに患者年齢性別、および全身健康のような要因に依存する。癌治療の最も通常の選択肢は、手術放射線療法、および化学療法である。手術は、癌の診断および治療において中心的な役割を果たす。典型的に、手術のアプローチは、生検のため、および癌様増殖を切除するために必要である。しかし、癌が転移して広がっている場合、手術によって治癒が得られる可能性は低く、代替アプローチを講じなければならない。放射線療法、化学療法、および免疫療法は、癌の外科治療代替法である(Mayer、1998;Ohara、1998;Hoら、1998)。放射線療法は、癌細胞破壊するために高エネルギー放射線照射を正確に照準することを含み、手術と同様に、転移していない局在癌細胞の治療において主に有効である。放射線療法の副作用には、皮膚の刺激嚥下困難、口の渇き悪心下痢脱毛、および脱力が含まれる(Curran、1998;Brizel、1998)。

0005

化学療法、すなわち抗癌剤による癌の治療は、もう一つの癌治療様式である。所定の抗癌剤治療の有効性はしばしば、固形腫瘍全体に薬物を輸送することが難しいために制限される(el-Kareh and Secomb、1997)。化学療法の戦略は、腫瘍組織の増殖に基づき、抗癌剤は急速に分裂しつつある癌細胞にターゲティングされる。ほとんどの化学療法アプローチには、広く多様な癌の反応率を増加させることが証明されている一つより多い抗癌剤の併用が含まれる(参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,824,348号;米国特許第5,633,016号、および米国特許第5,798,339号)。化学療法剤の主な副作用は、それらが正常組織の細胞にも影響を及ぼす点であり、影響を受ける可能性が最も高い細胞は場合によっては急速に分裂する細胞(例えば、骨髄消化管生殖器官および毛嚢)である。化学療法剤の他の毒性作用には、口のただれ、嚥下困難、口の渇き、悪心、下痢、嘔吐、疲労、出血、脱毛、および感染症が含まれうる。

0006

免疫療法は、特定のタイプの癌の治療にとってのもう一つの選択肢である。理論的には、免疫系が刺激されて、腫瘍細胞異物であると同定して、それらを破壊の標的とする。残念なことに、反応は典型的にほとんどの腫瘍の増殖を予防するためには不十分である。しかし、近年、免疫系の本来の防御メカニズムを増強または補足する方法を開発するために、免疫治療の領域に注目が集まっている。現在治験中または用いられている免疫治療の例は、免疫アジュバント(例えば、ウシ結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼン、および芳香族化合物)(米国特許第5,801,005号;米国特許第5,739,169号;Hui and Hashimoto、1998;Christodoulidesら、1998)、サイトカイン治療(例えば、インターフェロンIL-1、GM-CSF、およびTNF))(Bukowskiら、1998;Davidsonら、1998;Hellstrandら、1998)、および遺伝子治療(例えば、TNF、IL-1、IL-2、p53)(Qinら、1998;Austin-Ward and Villaseca、1998;米国特許第5,830,880号および米国特許第5,846,945号)およびモノクローナル抗体(例えば、抗ガングリオシドGM2、抗HER-2、抗p185)(Pietrasら、1998;Hanibuchiら、1998;米国特許第5,824,311号)である。そのような方法はある程度有望であるが、成功は限定的であることが示された。

0007

複製選択的腫瘍細胞破壊性ウイルスは、癌の治療にとって有望である(Kirnら、2001)。これらのウイルスは、直接的な複製依存的および/またはウイルス遺伝子発現依存的腫瘍細胞破壊作用を通して腫瘍細胞死を引き起こしうる(Kirnら、2001)。さらに、ウイルスは、宿主における細胞媒介抗腫瘍免疫の誘導を増強することができる(Todoら、2001;Sinkovicsら、2000)。これらのウイルスはまた、抗腫瘍有効性を増強するために腫瘍内で治療的トランスジーンを発現するように操作することができる(Hermiston、2000)。

0008

しかし、この治療アプローチには大きい制限が存在する。いくつかのウイルス種に関して、ある程度の天然の腫瘍選択性の程度を証明することができるが、安全性を最大限にするためには、腫瘍細胞破壊性ウイルスの腫瘍選択性を操作および/または増強するための新しいアプローチがなお必要である。この選択性は、静脈内投与を用いる場合、および抗腫瘍有効性を増強するために毒性の可能性がある治療遺伝子をこれらのウイルスに加える場合には特に重要となるであろう;遺伝子発現は、正常組織において厳密に制限される必要があるであろう。さらに、抗腫瘍免疫の誘導または腫瘍関連血管のターゲティングのようなさらなるメカニズムによる抗腫瘍有効性の増加は非常に望ましい。

0009

したがって、癌の治療にとってより有効でより毒性の低い治療法が必要である。腫瘍細胞破壊性ウイルスの使用および免疫治療は、開発されうる領域であるが、先に述べた制限を克服する必要がある。このように、本発明はそれらの制限に取り組む。

0010

発明の概要
このように、本発明に従って、投与が血管内である、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)をコードする核酸の発現を指示するプロモーターと共に発現領域を有する複製型ワクシニアウイルスの有効量を被験者に投与する段階を含む、被験者における癌細胞を殺す方法が提供される。核酸はヒトGM-CSFをコードすることが具体的に企図される。

0011

ワクシニアウイルスは、静脈内または動脈内、たとえば静脈内点滴もしくはボーラス、またはポンプを用いて投与されてもよい。ワクシニアウイルスは、薬学的に許容される製剤に分散されてもよい。被験者は、ウイルス約105、106、107、108〜約109、1010、1012、1013 pfuを投与されてもよく、またはウイルス約107〜約1010 pfuを投与されてもよい。被験者は、ワクシニアウイルスを複数回(1、2、3、4、5、6回またはそれより多く)投与されてもよく、たとえば第二の処置は、第一の処置の1、2、3、4、5、6、7日以内に、もしくは数週間以内に行うか、または第二の処置は第一の処置の二週間以内に行う。同じまたは異なる用量を投与しうる。癌細胞は転移癌細胞であってもよい。被験者は、脳癌、頭頚部癌、腎臓癌、卵巣癌精巣癌、子宮癌胃癌、肺癌、結腸直腸癌、乳癌前立腺癌、膵臓癌、肝細胞癌白血病リンパ腫骨髄腫、または黒色腫を有してもよい。

0012

ワクシニアウイルスは、そのゲノムにおいて欠失を有してもよく、または1つもしくは複数の遺伝子において変異を有してもよい。ワクシニアウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子は欠失していてもよい。ワクシニアウイルスは、(a)ワクシニアウイルス増殖因子;(b)インターフェロンに直接結合する、機能的インターフェロン調節ポリペプチド;(c)変異によって少なくとも1つの機能的補体制御ポリペプチドを欠損するウイルスが得られる、補体制御ポリペプチド;(d)変異によって少なくとも1つの機能的TNF調節ポリペプチドを欠損するウイルスが得られるTNF調節ポリペプチド;(e)変異によって少なくとも1つの機能的セリンプロテアーゼ阻害剤を欠損するウイルスが得られる、セリンプロテアーゼ阻害剤;(f)変異によって、少なくとも1つの機能的IL-1β調節ポリペプチドを欠損するウイルスが得られる、IL-1β調節ポリペプチド;(g)変異によってA41L、B7R、N1L、vCKBP、またはC11Rの少なくとも1つの機能を欠損するウイルスが得られる、機能的A41L、B7R、N1L、もしくはvCKBPケモカイン結合ポリペプチド、またはC11R EGF様ポリペプチド;または(h)変異によってワクシニアウイルスの感染性EEV型の増加が起こる、ポリペプチド、をコードする遺伝子において変異を有してもよい。さらにワクシニアウイルスは、ワクシニアウイルス増殖因子において変異を含んでもよい。ワクシニアウイルスは、WyethまたはWestern Reserve(WR)株であってもよい。プロモーターは、ワクシニアウイルスプロモーター、合成プロモーター、感染の少なくとも初期相のあいだ転写を指示するプロモーター、または感染の少なくとも後期相のあいだ転写を指示するプロモーターであってもよい。

0013

もう1つの態様において、投与が血管内である、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)をコードする核酸の発現を指示するプロモーターと共に発現領域を有する複製型ワクシニアウイルスの有効量を被験者に投与する段階を含む、被験者における癌を処置するための方法が提供される。

0014

なおもう1つの態様において、投与が血管内である、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)をコードする核酸の発現を指示するプロモーターと共に発現領域を有する複製型ワクシニアの有効量を被験者に投与する段階を含む、被験者における1つまたは複数の転移を処置するための方法が提供される。

0015

他の態様において、血管内に投与される、複製コンピテントワクシニアウイルスを含む方法は、GM-CSF以外のタンパク質またはRNAをコードする核酸を含んでもよいと企図される。特定の態様において、核酸は、もう1つのサイトカインをコードする。特定の態様において、核酸は、IL-12、IL-2およびその他のような他の免疫刺激サイトカインまたはケモカインをコードする。さらなる態様において、核酸は、チミジンデアミナーゼまたはTNF-αのような腫瘍壊死因子(TNF)をコードしてもよい。その上、複製型ワクシニアウイルスは、1つより多い異種配列を発現してもよいと企図される。たとえば、GM-CSFタンパク質ともう1つのタンパク質またはRNA分子とを発現してもよい。

0016

特定の方法または組成物に関して考察した任意の態様は、本発明の他の方法および組成物に関して実行してもよいと特に企図される。

0017

請求の範囲および/または明細書において「含む」という用語と共に用いられる「一つの(a)」または「一つの(an)」という用語の使用は、「1個」を意味してもよいが、同様に「一つまたはそれ以上」、「少なくとも一つ」、および「一つまたは一つより多く」という意味と一貫する。

0018

本発明の他の目的、特徴、および長所は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかし、詳細な説明および特定の例は、本発明の特定の態様を示しているが、説明するために提供され、この詳細な説明から当業者には様々な変更および改変が明らかとなるであろうが、それらも本発明の趣旨および範囲に含まれると理解しなければならない。

0019

以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明の特定の局面をさらに証明するために含まれる。本発明は、本明細書において示した特定の態様の詳細な説明と共にこれらの図面の一つまたはそれ以上を参照してよりよく理解されるであろう。

図面の簡単な説明

0020

自然発生ラット肝細胞癌(HCC)のJX-594静脈内(IV)処置。ラット変異原物質N-ニトロソモルホリン(NMM)を飲料水(175 mg/L)において8週間投与した後、HCC腫瘍が形成されて300〜400 mm3(典型的に16〜20週後)となるまで超音波(US)によって追跡した。動物PBS(n=17)またはJX-594ウイルス1×108PFU(n=6)のいずれかを静脈内に3回(2週間毎に1回、矢印)投与した。次に、USイメージングからの腫瘍測定に基づいて腫瘍体積を計算した。
ウサギにおけるVX2肝腫瘍のJX-594静脈内投与処置、原発腫瘍および転移に対する有効性。VX2細胞(解剖した1 mm3腫瘍から)をニュージーランドホワイトウサギの肝臓移植して、腫瘍の成長を超音波(US)およびCTスキャンによって追跡した。腫瘍が2〜4 cm3に達した後、動物をPBS(n=7)またはJX-594(1×109 PFU)の静脈内またはUS誘導IT注射(n=3/群)による1回投与によって処置した。(図2A)肝臓におけるその後の腫瘍体積をCTスキャンによって7週間後に測定して、(図2B)における検出可能な腫瘍転移の数を6週目および7週目にCTスキャンに従って計数した。
ウサギにおけるVX2肝腫瘍のJX-594およびJX-963の低用量静脈内反復処置。腫瘍細胞を(図2A〜2B)において記述されるとおりに移植した。腫瘍が2〜4 cm3に達した後、動物にJX-594、JX-963、もしくはvvDD(n=6/群)1×108 PFUまたはPBS(n=18)によって3回(2週間毎、矢印)静脈内に処置を行った。その後の原発腫瘍の体積をCTスキャンによって追跡した。
VX2肝腫瘍を有するウサギにおける肺転移に及ぼすJX-594、vvDD、およびJX-963の効果。動物(図3において記述される試験から)を、治療開始後毎週の間隔でCTスキャンによって肝転移に関して調べた。各群の動物あたりの検出可能な転移数の平均値を示す。
JX-963のIV送達後のVX2肝腫瘍を有するウサギの生存。肝腫瘍を有する動物を、図3において記述されるようにJX-963 1×108 PFUの3回投与によって処置した。これらの動物および対照処置群カプラン-マイヤー生存曲線を示す。JX-594およびvvDD群は生存に有意差を示さなかったことから、JX594およびvvDD群を含めなかった。
ワクシニア株のバースト比、細胞障害効果、およびウイルス株の腫瘍への全身送達。(図6A)正常細胞に対する腫瘍におけるワクシニア株のバースト比。異なるワクシニア株を用いて、初代培養正常細胞(NHBE)および腫瘍細胞株(A2780)の双方に感染多重度MOI)1.0プラーク形成単位(PFU)/細胞で感染させた。48時間後に採取したウイルスをプラークアッセイによって力価を測定して、正常細胞に対して腫瘍において産生された(細胞あたり)ウイルス比を表記する。(図6B)ウイルス感染によって産生された細胞障害効果。Western Reserve、アデノウイルス血清型5型およびアデノウイルス株dl1520(ONYX-015)(いくつかのアッセイにおいて)を細胞株にMOI(PFU/細胞)の範囲で加えて、MTS(Promega)を用いて72時間後に細胞生存率を測定した。無処置対照ウェルの50%まで細胞生存率を低減させるために必要なウイルスのMOI(PFU/細胞)(ED50)をプロットする。(図6C)腫瘍に対するウイルス株の全身送達。ワクシニア株Western Reserveまたはアデノウイルス血清型5型1×109 PFUを皮下CMT64またはJC腫瘍を有する免疫コンピテントマウスに静脈内送達した。マウスを48または72時間後に屠殺して、腫瘍組織のパラフィン抱埋切片においてウイルス外皮タンパク質に対して免疫組織化学を行った。グラフは、それぞれの腫瘍における陽性細胞(*=検出不能)のスコアを示す。それぞれの条件に関して、結果はマウス3匹の腫瘍に基づき、それぞれの腫瘍に関して無作為に選択した視野10個を採点した。
ヒト腫瘍細胞株のパネルに及ぼすWRおよびvvDDの細胞障害効果。WRまたはvvDDによる腫瘍細胞株の感染後72時間にEC50値を決定した。無処置対照ウェルの50%まで細胞生存率を低減させるために必要なウイルスのMOI(PFU/細胞)(ED50)をプロットする。
腫瘍を有するマウスに全身送達後のWRおよびvvDDのウイルス複製、生体分布に及ぼすH-Rasの過剰発現の効果、および光の産生によって定量したウイルス遺伝子発現。(図7A)ウイルス複製に及ぼすH-Rasの過剰発現の効果。増殖中または血清枯渇した、NIH 3T3細胞および活性化H-Rasを発現するNIH 3T3細胞に、異なる株のワクシニアをMOI 1.0 PFU/細胞で感染させた。ウイルス株は親Western Reserve(WR)、およびチミジンキナーゼ(TK)遺伝子(vJS6)、ウイルス増殖因子(VGF)遺伝子(vSC20)のいずれかにおいて欠失もしくは挿入を含むWR、または双方の遺伝子の欠失を含むWR(vvDD)であった。感染性ウイルスを48時間後にプラークアッセイによって力価測定した。(図7B)腫瘍を有するマウスに対する全身送達後のWRおよびvvDDの生体分布。皮下ヒトHCT 116腫瘍(矢印)を有する無胸腺CD1 nu/nuマウスを、尾静脈注射によってワクシニア株1×107 PFUによって処置した。ウイルス株(WRおよびvvDD)はルシフェラーゼを発現して、ウイルス遺伝子発現のその後の生体分布を、基質ルシフェリンを加えた後の表示の処置後の時間でIVIS100システム(Xenogen Corp, Alameda)における生物発光イメージングによって検出した。(図7C)光の産生によって定量したウイルス遺伝子発現を、皮下JC腫瘍(マウスn=5/群)を有する、およびいずれかのウイルス1×107 PFUを尾静脈注射によって処置したBALB/cマウスの、全身を含む対象領域(腹側の画像)(破線、白い記号)、または腫瘍のみの対象領域(背側)(実線、黒い記号)に関して経時的にプロットした。
腫瘍移植後の時間でCTイメージングによって追跡した肝臓にVX2腫瘍を移植したウサギ、VX2腫瘍細胞に対するCTLアッセイ、およびJX-963によって再処置したウサギ。(図9A)肝臓にVX2腫瘍を移植したウサギを腫瘍の移植後の時間でCTイメージングによって追跡した。ウイルスvvDDおよびJX-963 1×109 PFUを、腫瘍移植(矢印)後腫瘍が5 cm3と測定された際に2、3、および4週目に静脈注射によって送達した。検出可能な肺転移の数も同様にこれらの動物において測定した(原発性肝腫瘍の代表的なCT画像を8週目で示す)(対照処置動物に関してn=18;vvDD処置動物に関してn=6;JX-963処置動物に関してn=6)。(図9B)VX2腫瘍細胞を標的とするCTLアッセイ。CTLアッセイは、VX2腫瘍を有し、JX-963によって処置したウサギから、VX2腫瘍を有する無処置の動物から、および無処置の動物からの非標識末梢血リンパ球12.5×、25×、および50×と混合した予め標識したVX2細胞を用いてFACS分析によって行った。細胞死はACT1アッセイ(Cell Technology, Mountain View)によって定量した。(図9C)JX-963によって(A)のように処置したウサギ4匹を移植(矢印)後42日目にJX-963 1×109 PFUによって再処置して、その後腫瘍の体積をCTスキャンによって追跡した。
WRまたはAd5のいずれかを感染させた細胞株のウイルス産生およびウイルス感染によって産生された細胞障害効果。(図10A)異なる細胞株に、Western Reserveまたはアデノウイルス血清型5型のいずれかをMOI 1.0 PFU/細胞で感染させた。48時間後に産生されたウイルス量感染単位/細胞)をプラークアッセイによって力価測定した。(図10B)図1Cのように処置したマウスを屠殺して腫瘍切片をウイルス外皮タンパク質に関して染色した。代表的な写真は処置後72時間および10日目での切片を示す。
WRまたはAd5のいずれかを感染させた細胞株のウイルス産生。増殖中または接触阻害まで成長した(N.B.腫瘍細胞は接触阻害を受けなかった)、ヒト腫瘍細胞株(Panc-1およびMCF-7)またはヒト不死化であるが非形質転換細胞株(Beas-2BおよびMRC-5)を異なる株のワクシニアによってMOI 1.0 PFU/細胞で処置した。用いた株は、Western Reserve(WR)、およびチミジンキナーゼ(TK)遺伝子(vJS6)、ウイルス増殖因子(VGF)遺伝子(vSC20)のいずれかにおいて欠失もしくは挿入を含むWR、または双方の遺伝子の欠失を含むWR(vvDD)であった。48時間後に産生されたウイルスをプラークアッセイによって力価測定した。
全身送達vvDDの回復。vvDDを全身送達した(1×109 PFUの腹腔内注射)皮下MC38腫瘍を有するC57B/6マウスの回復。マウスを処置後5日または8日目に屠殺して(n=8/群)、異なる組織を採取してウイルス感染単位(PFU/mg組織)をプラークアッセイによって力価測定した(*=検出限界未満)。
腫瘍を有するマウスモデルに異なる経路によって送達後のvvDDの有効性。(図13A)ウイルス株vvDDまたはチミジンキナーゼ欠失を有するワクシニアWyeth株1×109 PFUの1回静脈内注射を、皮下TIB 75腫瘍(50〜100 mm3)を有する免疫コンピテントマウスに送達した。腫瘍の体積をキャリパーによって測定した(n=8/群)。(図13B)vvDD 1×109 PFUを、皮下HT29腫瘍を有するSCIDマウスまたは皮下MC38腫瘍を有するC57B/6マウスに腫瘍内(IT)または腹腔内(IP)に送達した後、腫瘍の体積を非感染対照群(n=8/群)と比較した。
VX2腫瘍を有するウサギのJX-963(1×108 PFU)による処置後の中和抗体の形成。表記の時間にウサギから得た血漿希釈液既知数のウイルスPFUと共にインキュベートして、プラークの50%を保持するために必要な希釈を示す(n=3)。

0021

実例となる態様の説明
GM-CSFを発現するポックスウイルスは、黒色腫を有する動物および患者における腫瘍内注射後の有効性および安全性が証明された(Mastrangelo et al, 1999; 2000)。腫瘍の退縮および安定化を含む、局所注射部位および遠隔効果が認められた(Mastrangelo et al, 1999)。有効性は哺乳動物における癌細胞に対する免疫応答の誘導によると提唱された。米国特許第6,093,700号および第6,475,999号は、黒色腫、頭頚部癌、前立腺癌、および膀胱癌に対してインサイチューで免疫するために、ヒトにおいてGM-CSFを腫瘍内注射によって送達するためにポックスウイルスを用いることを提唱している(Mastrangelo et al, 2002)。これらの癌は、腫瘍内注射を指示するためにその表在性の本質および近づきやすさのために選択された。これらの癌はまた、全身性の腫瘍特異的細胞障害性Tリンパ球を誘導する免疫治療アプローチに対しても感受性があることが報告されている。GM-CSFは腫瘍特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)の強力な誘導物質であることが証明された(Dranoff et al., 1993)。ウイルスは、免疫細胞浸潤および前炎症性サイトカインを誘導することから、ウイルスは、腫瘍塊内でGM-CSFを送達および発現する理想的な方法となる可能性がある。

0022

しかし、腫瘍内注射経路は、大きい制限を有する。これは、腫瘍内注射を安全にするために近づくことができる腫瘍、通常、先に記述した腫瘍のような表在部腫瘍に対する処置に限定される。さらに、非注射腫瘍に対する有効性は、十分に強力な腫瘍特異的細胞障害性Tリンパ球の誘導を必要とする。これらの弱点により、表在性であって十分に強力な腫瘍特異的細胞障害性Tリンパ球を全身的に誘導することができる癌に対するこのアプローチの有用性は制限される。そのような腫瘍はまれである。このアプローチに対する応用可能性の唯一の明確な例は、転移性黒色腫である。しかし、この腫瘍タイプにおいても、遠位反応は遅く、表在性の皮膚転移に限定された。臓器に基づくまたは内臓の腫瘍は反応しなかった。これらの腫瘍は、ほとんど全ての癌関連罹患率および死亡の原因であることから、全身性細胞障害性Tリンパ球は、持続性の全身性の内臓反応または治癒を誘導するために十分ではないように思われる。したがって、ヒト腫瘍大多数はこのアプローチによる有効性の成功に対して影響を受けない。

0023

転移性腫瘍および免疫組織(たとえば、細網内皮細胞)に送達するための血管内投与(すなわち静脈内、動脈内)は、多数の理論的長所を有する。第一に、哺乳動物の体における大多数の腫瘍部位、または全ての腫瘍部位に対するGM-CSF発現ポックスウイルスの送達により、局所腫瘍内効果(感染した腫瘍内での局所でのポックスウイルス複製およびGM-CSF効果による)および腫瘍特異的細胞障害性Tリンパ球誘導の双方による全身性の腫瘍の破壊、ならびに感染腫瘍部位および遠位(初回投与によって直接感染していない腫瘍部位)の双方でのその後の有効性が可能となる。血流を通しての腫瘍にウイルスを送達することによってまた、腫瘍における癌細胞のより均一で広範な感染が可能となる。したがって、本発明者らはここに、多重病巣播種性転移性腫瘍は、GM-CSFを発現する血管内ポックスウイルスによって有効に処置されうることを提唱する。腫瘍内アプローチに対して影響を受けないであろう多くの癌タイプおよび/または進行期も同様に、おそらく血管内注射アプローチによって処置可能となるであろう。例には、肺、結腸直腸乳腺前立腺膵臓肝細胞、白血病、リンパ腫、骨髄腫、および黒色腫が含まれるがこれらに限定されるわけではない。

0024

しかし、GM-CSFを発現する血管内ポックスウイルスの安全かつ有効な使用は、当業者によって起こりうる問題によって負の影響を受けると見なされた。第一に、安全性の懸念は有意であった。血管内投与後、多数の正常組織がポックスウイルス感染症に曝露されるであろう。GM-CSFのような強力な前炎症性サイトカインのその後の発現は、おそらく肝臓、肺、腎臓心臓、脳、およびその他のような多数の臓器において有意な炎症が起こると予想されるであろう。さらに、ウイルス血症に対する全身性の曝露はおそらく、敗血症およびその関連する合併症(たとえば、低血圧症)を誘導しうる。たとえば、マウスまたはヒトの脳におけるポックスウイルス感染症は、臨床的に有意な、致死的でさえある脳炎を引き起こしうる。GM-CSF発現は、炎症の増強によりおそらくこの合併症を有意に悪化させうるであろう。

0025

第二に、GM-CSF発現を通しての腫瘍特異的CTLの全身性の誘導は、これまで直接腫瘍内注射(たとえば、ワクシニア-GM-CSF、HSV-GM-CSF)を通して、またはGM-CSFを発現させるための自己もしくは同種異系腫瘍細胞エクスビボ感染/トランスフェクション(たとえば、GVAXアプローチ)の後に皮膚にGM-CSF細胞を注入することを通して局在するGM-CSF発現のみを通して行われた。

0026

これらの可能性がある欠点にもかかわらず、本発明者らは今では異なる2つのGM-CSF発現ポックスウイルスが静脈内で良好に認容され、播種性腫瘍および転移に対して非常に有効であることを証明した。さらに、GM-CSF発現ポックスウイルスは、静脈内投与後にその非GM-CSF発現対照より原発性腫瘍および肺転移の双方に対して有意に良好な有効性を示した。同様に、このウイルスは、他のウイルスに存在しないvgf遺伝子におけるさらなる欠失にもかかわらず、同等のウイルス(Wyethワクチン株)より原発腫瘍および肺転移の双方に対して有意に良好な有効性を示した。したがって、ヒトGM-CSFを発現するワクシニアの静脈内投与によって、GM-CSFを含まない同じワクシニアに対して有意に良好な有効性が得られ、ヒトGM-CSFを発現するWR株欠失変異体の血管内投与は、GM-CSFを発現する標準的なワクチン株より有意に良好であった。これらのウイルスは、腫瘍を有する(ラットおよびウサギ)および正常動物(ウサギ)の双方に対して静脈内投与後に良好に認容された。処置した動物は、体重が減少しなかったが、処置を行わなかった腫瘍を有する動物は、体重が減少した。生存は、静脈内処置後に増加した。血液検査または組織病理学によって有意な臓器毒性を認めなかった。唯一の再現可能な組織病理学的知見は、処置後に認められた多数のリンパ様過形成部位であった(全身性の免疫刺激と一致する)。組織病理学には有意な毒性を認めなかった。したがって、これらのGM-CSF発現ポックスウイルスは、全身の癌に対して非常に有効である用量で良好に認容される。

0027

I.ポックスウイルス
A.ワクシニアウイルス
ワクシニアウイルスはウイルス学にとって不可解である。ワクシニアウイルスが遺伝子組み換えの産物であるか否か、持続的な連続継代による牛痘ウイルスもしくは天然痘ウイルスに由来する種であるか、または現在は絶滅したウイルスの生存例であるか否かはわかっていない。ワクシニアウイルスは、上腕の皮膚の表層への接種による天然痘ワクチン接種のために用いられた。しかし、天然痘の絶滅により、ワクシニアウイルスによるルーチンワクチン接種は終了した。ワクシニアに関する最近の関心は、他のウイルスに対する免疫および遺伝子治療のためのベクターとしての可能性がある用途に集中した。

0029

B.他のポックスウイルス
オルトポックスウイルス属は、チョルドポックスウイルス亜科の他のメンバーより比較的均一であり、これには、ワクシニアウイルス、痘瘡ウイルス(天然痘の原因物質)、牛痘ウイルス、バッファローウイルス、サル痘ウイルス、マウス痘ウイルス、およびウマ痘ウイルス種と共にその他が含まれる、異なるが近縁の11種が含まれる(Moss、1996を参照されたい)。本明細書において記述されるように本発明の特定の態様は、オルトポックスウイルス属の他のメンバーのみならず、パラポックスウイルスアビポックスウイルスカプリポックスウイルスレポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、モルシポックスウイルス、およびヤタポックスウイルス属に拡大してもよい。ポックスウイルス科の属は、一般的に、実験動物における中和および交叉反応性を含む血清学的手段によって定義される。オルトポックスウイルス属の様々なメンバーと共にチョルドポックスウイルス亜科の他のメンバーは、宿主生物の免疫応答に拮抗するために免疫調節分子を利用し、その例を本明細書において提供する。このように、本明細書に記述の本発明は、ワクシニアウイルスに限定されないが、多くのウイルスに応用可能でありうる。

0030

II.ポックスウイルスの操作
ウイルスは、しばしばインターフェロン(-α、-β、-γ)および腫瘍壊死因子-α(TNF)(Moss、1996)のような免疫調節分子によって不活化、阻害、または排泄される。宿主組織および炎症免疫細胞はしばしば、ウイルス感染に反応してこれらの分子分泌する。これらの分子は、直接の抗ウイルス作用を有しうる、および/または炎症細胞およびリンパ球動員および/または活性化を通して間接的な作用を有しうる。これらの免疫学的排泄メカニズムの重要性を考慮すると、ウイルスは、これらのサイトカイン/ケモカインおよびインターフェロンの誘導および/または機能を阻害する遺伝子産物の発現に関与する。例えば、ワクシニアウイルス(VV;およびいくつかの他のポックスウイルス)は、CCケモカイン(例えば、RANTESエオタキシンMIP-1-α)に結合して阻害する分泌型タンパク質vCKBP(B29R)をコードする(Alcamiら、1998)。いくつかのVV株も同様に、TNFに結合して不活化する分泌型ウイルスタンパク質(例えば、リスターA53R)を発現する(Alcamiら、1999)。ほとんどのポックスウイルス株は、インターフェロン-α/β(例えば、B18R)またはインターフェロン-γ(B8R)に結合してその機能を阻害する分泌型蛋白質をコードする遺伝子を有する。vC12Lは、IL-18によるIFN-γおよびNK細胞細胞障害性T細胞活性化の誘導を妨害するIL-18結合タンパク質である。

0031

ほとんどのポックスウイルスのビルレンスに関する研究はマウスにおいて行われている。多くのしかし全てではないこれらのタンパク質がマウスにおいて活性である(例えば、B18Rは活性ではない)。これらのタンパク質が、標的サイトインのマウス版に対して活性である状況において、これらの遺伝子の欠失によってビルレンスの減少が起こり、これらの遺伝子が欠失しているまたは機能的変異を有するVV変異体では安全性が増加する。さらに、これらの変異体に対する炎症/免疫応答およびウイルス排泄はしばしば、阻害タンパク質を発現する親ウイルス株と比較して増加する。例えば、ポックスウイルス分泌タンパク質のT1/35 kDaファミリー(ケモカイン結合/阻害タンパク質)の欠失によって、ウイルス感染組織への白血球浸潤の顕著な増加が起こりうる(Grahamら、1997)。VVにおけるvC12L遺伝子の欠失によって、マウスにおける鼻腔内投与後ウイルス力価/毒性の減少が起こる;さらに、NK細胞および細胞障害性Tリンパ球活性は、IFN-γの誘導と共に増加する(Smithら、2000)。粘液腫ウイルスT7遺伝子(IFN-γおよび広範囲のケモカインに結合することができる)の欠失によって、毒性モデルにおいてビルレンスの減少および有意に増加した組織炎症/浸潤が起こる(Uptonら、1992;Mossmanら、1996)。粘液腫ウイルスではM-T2遺伝子の欠失によっても、ウサギモデルにおいてビルレンスの減少が起こった(Uptonら、1991)。B18R抗インターフェロン-α/β遺伝子産物の欠失によっても、IFN媒介排泄に対するウイルス感受性の増強が起こり、正常組織における力価は減少し、ビルレンスは減少する(Symonsら、1995;Colamoniciら、1995;Alcamiら、2000)。要約すると、これらのウイルス遺伝子産物は、抗ウイルス免疫応答およびウイルス感染組織への炎症細胞浸潤を減少させるように機能する。欠失/変異によるタンパク質機能の喪失によって、宿主組織におけるビルレンスの減少および/またはウイルスの前炎症特性の増加が起こる。参照により本明細書に組み入れられるPCT/US2003/025141を参照されたい。

0032

サイトカインおよびケモカインは、強力な抗腫瘍効果を有しうる(Vicariら、2002;Homeyら、2002)。これらの作用は、腫瘍細胞自身に直接作用しうる(例えば、TNF)、またはそれらは非癌様細胞に対する作用によって間接的となりうる。後者の例はTNFであり、これは腫瘍関連血管に対して毒性を引き起こすことによって抗腫瘍効果を発揮しうる;これによって腫瘍への血流が失われた後腫瘍の壊死が起こる。さらに、ケモカインは、好中球好酸球マクロファージおよび/またはリンパ球のような免疫エフェクター細胞を動員するように(場合によっては活性化するように)作用しうる。これらの免疫エフェクター細胞は、多くのメカニズムによって腫瘍の破壊を引き起こしうる。これらのメカニズムには、抗腫瘍サイトカイン(例えば、TNF)の発現、fasリガンドの発現、パーフォリンおよびグランザイムの発現、ナチュラルキラー細胞の動員等が含まれる。炎症反応によって、最終的に全身性の腫瘍特異的免疫の誘導が起こりうる。最後に、これらのサイトカイン(例えば、TNF)またはケモカインの多くが、化学療法および/または放射線療法と相乗作用して腫瘍を破壊することができる。

0033

これらの免疫刺激タンパク質の組換え型版の臨床的に有効な全身投与は、1)全身投与により重度の毒性が誘導されるため;および2)局所浸潤および抗腫瘍効果を刺激するためには腫瘍内での局所発現が必要であるために、現実的ではない。全身循環におけるレベルを最小限にしながら、腫瘍塊の内部でこれらの分子の高い局所濃度を得るアプローチが必要である。ウイルスは、その有効性を増強する試みでサイトカインまたはケモカイン遺伝子を発現するように操作することができる。複製選択的ベクターからのこれらの遺伝子の発現は、非複製ベクターからの発現に対して長所を有する可能性がある。複製ウイルスからの発現によって、腫瘍塊内でより高い局所濃度が得られうる;さらに複製するウイルスは、前炎症環境において腫瘍細胞の破壊/腫瘍細胞溶解および腫瘍抗原の放出を通して抗腫瘍免疫を誘導するために役立ちうる。しかし、このアプローチにはいくつかの制限がある。高い局所濃度で発現されれば毒性となりうる遺伝子を有する複製コンピテントウイルス(腫瘍選択的であるにもかかわらず)が環境に放出される可能性から、重篤な安全性の懸念が生じている。したがって、そのゲノムから強力な前炎症性遺伝子を発現するウイルスは、治療患者および一般大衆に対して安全性のリスクを提起する。腫瘍のターゲティング、これらの遺伝子を発現する複製選択的ウイルスを用いても、遺伝子発現が正常組織に起こりえて毒性が生じる。さらに、大きさの制限から、アデノウイルスのようなウイルスからの多数および/または大きい遺伝子の発現が阻害される;これらの分子は併用すると明確により有効に作用するであろう。最後に、用いられている腫瘍細胞溶解性ウイルスの多くは、抗炎症性タンパク質を発現し、したがって、これらのウイルスは、感染した腫瘍塊における前炎症環境の誘導と拮抗するであろう。その結果、抗腫瘍免疫の誘導、抗血管作用および化学療法/放射線療法感作を阻害するであろう。

0034

A.ワクシニアウイルス
1.インターフェロン調節ポリペプチド
インターフェロン-α/βは、いくつかのメカニズムを通してウイルス複製を遮断する。インターフェロン-γは、直接のウイルス阻害作用はより弱いが、いくつかのメカニズムを通して細胞媒介免疫の強力な誘導物質である。ウイルスは、インターフェロンの抗ウイルス作用に拮抗できる分泌型遺伝子産物を発現するように進化した。例えば、ワクシニアウイルス(および他のポックスウイルス)は、インターフェロン-γおよびα/βにそれぞれ結合する分泌型蛋白質B8RおよびB18Rをコードする(Smithら、1997;Symonsら、1995;Alcamiら、2000)。インターフェロン誘導を減少させるワクシニア遺伝子産物のさらなる例は、インターフェロン-γ誘導因子であるIL-18の活性化を阻害するカスパーゼ-1阻害剤B13Rである。インターフェロン調節ポリペプチドには、ワクシニアウイルスのコペンハーゲン株のような、他のウイルス株ではB19Rと呼ばれることもあるB18R;B8R;B13R;vC12L;A53R;E3Lおよび類似の活性または特性を有する他のウイルスポリペプチドが含まれるがこれらに限定されない。IFN調節ポリペプチドは、選択的にIFNαおよび/またはβ経路を調節するポリペプチド(B18R、B8R、B13R、またはvC12Lのような)、およびIFNγ経路を調節するポリペプチド(例えば、B8R、B13R、またはvC12L)の非排他的分類に分類してもよい。

0035

癌細胞はしばしば、インターフェロンの作用に対して抵抗性である。多くのメカニズムが関係している。これらには、癌細胞の共通の特徴であるrasシグナル伝達経路の活性化(例えば、ras変異上流増殖因子受容体の過剰発現/変異等)によってPKR阻害が起こるという事実が含まれる。さらに、リンパ球はしばしば腫瘍塊において、IL-10産生および腫瘍細胞によるfas-L発現を含む多様なメカニズムによって阻害される。リンパ球は、主なインターフェロン-γ産生源であることから、リンパ球の阻害によって、腫瘍におけるインターフェロン-γ産生の減少が起こる。したがって、腫瘍塊は、インターフェロンの作用が届かない聖域となる傾向がある。例えば、IFN-γは、MHCクラスI関連抗原提示を増加させうる;これによって、腫瘍細胞のより効率的なCTL媒介殺細胞が可能となるであろう。例えば、IFN-α/βは、腫瘍塊内の血管新生を遮断して、それによって腫瘍の増殖を遮断することができる。

0036

2.補体制御ポリペプチド
ウイルス病原体の排泄に関する主なメカニズムは、補体依存的メカニズムによって宿主細胞内の感染細胞または生物内のビリオンを殺すことである。感染細胞は死滅するため、感染ウイルスを産生し続けることは不可能である。さらに、アポトーシスの際に、DNAを分解する細胞内酵素が放出される。これらの酵素によってウイルスDNAの分解およびウイルスの不活化が起こりうる。アポトーシスは、活性化された補体の結合および補体膜攻撃複合体を含む多数のメカニズムによって誘導することができる。ワクシニアのようなポックスウイルスは、ウイルスおよび/またはウイルス感染細胞補体媒介排泄に拮抗することができる遺伝子産物を発現するように進化した。これらの遺伝子はそれによってアポトーシスを阻害して、補体依存的メカニズムによってウイルス排泄を阻害し、このように、ウイルス感染を進行させて、ウイルスのビルレンスを増加させることができる。例えば、ワクシニアウイルス補体制御タンパク質VCP;例えばC21L)は、補体媒介殺細胞および/またはウイルス不活化の防止において役割を有する(Isaacsら、1992)。VCPはまた、その発現によってウイルス感染組織への白血球の浸潤が減少することから、抗炎症作用も有する。補体制御ポリペプチドには、C3LまたはC21Lとしても知られるVCPが含まれるがこれらに限定されない。

0037

癌細胞はしばしば、細胞の抗補体タンパク質を過剰発現する;これによって癌細胞は補体の攻撃±腫瘍特異的抗体から生き延びることができる(Caragineら、2002;Durrantら、2001;Andohら、2002)。したがって、補体媒介殺細胞に対するその固有の抵抗性のために腫瘍細胞を選択的に標的とする物質は、広範なヒト癌において選択性およびおそらく有効性を有するであろう(Durrantら、2001)。さらに、癌細胞の顕著な特徴の一つまたはそれ以上は、正常なアポトーシスメカニズムの喪失である(Grossら、1999)。アポトーシスに対する抵抗性は、発癌を促進するのみならず、免疫療法、化学療法、および放射線療法剤を含む抗腫瘍物質に対する抵抗性を促進する(Eliopoulosら、1995)。アポトーシスの阻害はプロアポトーシス分子機能(例えば、bax)の喪失、抗アポトーシス分子(例えば、bcl-2)のレベル/機能の増加、および最終的に補体感受性の喪失によって媒介されうる。

0038

3.TNF調節ポリペプチド
ウイルス病原体の排泄に関する様々なメカニズムの一つは、上記のようにアポトーシスの誘導によって宿主内で感染細胞を殺すことである。アポトーシスは、細胞内シグナル伝達カスケード誘因となる細胞TNF受容体に対するTNFおよびリンフォトキシン-α(LTα)の結合を含む、多数のメカニズムによって誘導することができる。TNF受容体の活性化は、免疫および炎症反応の調節と共にアポトーシス細胞死の誘導において機能する(Wallachら、1999)。

0039

いくつかのワクシニアウイルス株を含む様々な株のポックスウイルスは、ウイルスおよび/またはウイルス感染細胞のTNF媒介排泄に拮抗することができる遺伝子産物を発現するように進化した。これらの遺伝子によってコードされるタンパク質は、細胞外TNFに結合してこれを分離することによってTNFの前炎症性およびアポトーシス誘導活性迂回し、その結果ウイルス排泄の阻害が起こる。ウイルスが排泄されないために、ウイルス感染症が進行し、このようにウイルスのビルレンスは増加する。ポックスウイルス科の様々なメンバーが分泌型ウイルスTNF受容体(vTNFR)を発現する。例えば、粘液腫(T2タンパク質)、牛痘、およびリスターのようなワクシニアウイルス株のような、vTNFRをコードするいくつかのポックスウイルスは、一つまたはそれ以上のCrmB、CrmC(A53R)、CrmD、CrmE、B28Rタンパク質および/またはその同等物をコードする可能性がある。これらのvTNFRは、TNF媒介殺細胞および/またはウイルスの不活化の防止において役割を有する(Saraiva and Alcami、2001)。TNF調節ポリペプチドには、A53R、B28R(このタンパク質は存在するが、ワクシニアウイルスのコペンハーゲン株では不活性である可能性がある)および類似の活性または特性を有する他のポリペプチドが含まれるがこれらに限定されない。

0040

癌細胞の顕著な特徴の一つは、それによってTNFの抗癌活性に対する感受性のような、増殖調節に関する多くの分子メカニズムに対する感受性の喪失が起こる可能性がある異常な遺伝子発現である。このように、ウイルスの免疫調節メカニズムは、腫瘍の微小環境におけるウイルスの増殖にとって必要でない可能性がある。

0041

4.セリンプロテアーゼ阻害剤
ウイルス病原体の排泄に関する主なメカニズムは、宿主における感染細胞のアポトーシスの誘導である。感染細胞は死滅するため、感染ウイルスを産生し続けることは不可能である。さらに、アポトーシスの際に、DNAを分解する細胞内酵素が放出される。これらの酵素はウイルスDNAの分解およびウイルスの不活化を引き起こしうる。アポトーシスは、サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子)の結合、細胞障害性Tリンパ球によるグランザイム産生、またはfas-リガンド結合を含む多数のメカニズムによって誘導することができる;カスパーゼ活性化は、最終的に一般的なアポトーシス経路の重要な部分である。ウイルスは、fasリガンドまたは腫瘍壊死因子(TNF)/TNF関連分子(例えば、アデノウイルスのE3 10.4/14.5、14.7遺伝子(Woldら、1994);アデノウイルスのE1B-19 kD(Boydら、1994);牛痘ウイルスからのcrmA;ワクシニアウイルスからのB13R)を含むそのような分子によって誘導される細胞内シグナル伝達カスケードに拮抗することができる遺伝子産物を発現するように進化した(Dobbelsteinら、1996;Kettleら、1997)。これらの遺伝子産物は、アポトーシス誘導分子によるアポトーシスを阻害して、このように抗ウイルス性のアポトーシス誘導サイトカイン、fas、グランザイム、または他のアポトーシス刺激物質の存在にもかかわらず、ウイルス複製を進行させる。

0042

VV SPI-2/B13Rは、牛痘CrmAと非常に相同である;SPI-1(VV)は、CrmAと弱く相同である(Dobbelsteinら、1996)。これらのタンパク質はセルピン(セリンプロテアーゼ阻害剤)であり、CrmAおよびSPI-2はいずれも、様々な型のアポトーシスの防止において役割を有する。インターロイキン-1β変換酵素(ICE)およびグランザイムの阻害は、例えば感染細胞のアポトーシスを妨害しうる。これらの遺伝子産物はまた、抗炎症作用も有する。それらは、IL-18の活性化を阻害することができ、これは次にIFN-γのIL-18媒介誘導を減少させるであろう。細胞媒介免疫に及ぼすIFN-γの免疫刺激作用はそれによって阻害される(Kettleら、1997)。SPIには、B13R、B22R、および類似の活性または特性を有する他のポリペプチドが含まれるがこれらに限定されない。

0043

癌細胞の顕著な特徴の一つは、正常なアポトーシスメカニズムの喪失である(Grossら、1999)。アポトーシスに対する抵抗性は、発癌を促進するのみならず、免疫療法、化学療法、および放射線療法剤を含む抗腫瘍物質に対する抵抗性を促進する(Eliopoulosら、1995)。アポトーシスの阻害は、プロアポトーシス分子機能(例えば、bax)の喪失、または抗アポトーシス分子(例えば、bcl-2)のレベル/機能の増加によって媒介されうる。

0044

5.IL-1β調節ポリペプチド
IL-1βは、局所そして全身性に作用する生物活性因子である。IL-1βとIL-1αとのあいだの機能的な差はごくわずかであることが記述されている。IL-1βの多数の生物活性の例は、IL-1を記述する際の多くの異なる頭字語によって示されている。IL-1は、ブタ細胞において不活性であるヒトIL-1βを例外として種特異性を示さない。IL-1の生物活性のいくつかは、ACTHコルチコトロピン)、PGE2(プロスタグランジンE2)、PF4血小板因子-4)、CSF(コロニー刺激因子)、IL-6、およびIL-8を含む他のメディエータの合成の誘導によって間接的に媒介される。IL-1の合成は、TNF-α、IFN-α、IFN-βおよびIFN-γを含む他のサイトカインによって誘導される可能性があり、同様に細菌エンドトキシン、ウイルス、マイトゲンおよび抗原によって誘導される可能性がある。IL-1の主な生物活性は、T-ヘルパー細胞の刺激であり、これはIL-2を分泌して、IL-2受容体を発現するように誘導される。ウイルス感染マクロファージは、大量のIL-1阻害剤を産生し、これはT細胞成熟欠損患者における日和見感染および細胞のトランスフォーメーションを支持する可能性がある。IL-1は、B細胞に直接作用して、その増殖および免疫グロブリンの合成を促進する。IL-1はまた、B細胞をIL-5に対して反応性にするプライミング因子の一つとしても機能する。IL-1は、NK細胞および線維芽細胞胸腺細胞神経膠芽細胞の増殖および活性化を刺激する。

0045

ウイルスタンパク質によるIL-1βの合成の遮断は、IL-1によって誘発される全身性の抗ウイルス反応を抑制または減少させるウイルスの戦略であると見なされる。B15Rと類似の活性を有するIL-1の機能を有効に遮断する結合タンパク質もまた、牛痘ウイルスの遺伝子によってコードされることが判明した。ワクシニアウイルスはまた、サイトカインの受容体のような挙動を示すB8Rと呼ばれるもう一つのタンパク質をコードする(Alcami and Smith、1992;Spriggsら、1992)。IL-1調節ポリペプチドには、B13R、B15R、および類似の活性または特性を有する他のポリペプチドが含まれるがこれらに限定されない。

0046

癌細胞の顕著な特徴の一つは、異常な遺伝子発現であり、これによって、IL-1の抗癌活性に対する感受性のような増殖調節に関する多くの分子メカニズムに対する感受性の喪失が起こる可能性がある。このように、ウイルスの免疫調節メカニズムは、腫瘍の微小環境においてウイルスの増殖にとって必要ではない可能性がある。

0047

6.EEV型
ウイルスは伝幡して腫瘍部位に転移し、さらに感染した固形腫瘍塊内でも伝幡するが、一般的に非効率的である(Heiseら、1999)。静脈内投与では典型的に、抗体(例えば、アデノウイルス)(Kayら、1997)および/または補体系(例えば、HSV)(Ikedaら、1999)によるウイルスの排泄または不活化が起こる。これらの免疫媒介メカニズムの他に、これらのウイルスの生体内分泌によって、腫瘍塊よりむしろ正常組織内で静脈内ウイルスの大多数が沈着する。例えば、静脈内のアデノウイルスは、主に肝臓および脾臓にたどり着く;免疫欠損マウスにおいても、腫瘍内に沈着するのは投与されたウイルスの0.1%未満である(Heiseら、1999)。したがって、免疫欠損マウスの腫瘍モデルにおいて、極端に高い相対量によって何らかの控えめな抗腫瘍有効性が証明されうるものの、静脈内輸送は極めて非効率的であり、有効性を有意に制限する。

0048

ワクシニアウイルスは、固形腫瘍内で複製能を有し壊死を引き起こす。さらに、チミジンキナーゼ欠失変異体は、腫瘍塊および卵巣組織に感染して、マウス腫瘍モデル系において選択的にマーカー遺伝子を発現する(Gnantら、1999)。しかし、これらの研究は一般的に、5日以上後でのマーカー遺伝子発現に基づいて腫瘍のターゲティングを決定したため、ウイルスが腫瘍/卵巣組織に選択的に沈着する、そこで遺伝子を発現する、または複製するか否かは不明である(Puhlmannら、2000)。メカニズムにかかわりなく、さらなるトランスジーンを有しないこのウイルスの抗腫瘍有効性は、統計学的に有意ではなかった(Gnantら、1999)。対照的に、腫瘍内ウイルス注射は、有意な抗腫瘍有効性を示した(McCartら、2000)。したがって、静脈内注射の有効性は、腫瘍への静脈内輸送が改善されれば改善することができるであろう。

0049

ワクシニアウイルスは、細胞において複製して、細胞内ウイルス(IMV、細胞内成熟ウイルス;IEV、細胞内エンベロープウイルス)および細胞外ウイルス(EEV、細胞外エンベロープウイルス;CEV、細胞関連細胞外ウイルス)(Smithら、1998)の双方を産生する。IMVは、野生型ワクシニアウイルス株による複製後のウイルス量の約99%を占める。このウイルス型は環境において比較的安定であり、したがって個体間での伝幡に主に関与している;対照的にこのウイルスは、細胞からの放出が非効率的であることおよび補体および/または抗体による中和に対する感受性のために、感染宿主内では効率的に伝幡しない。これとは対照に、EEVは細胞外環境に放出されて、典型的にウイルス量の約1%を占めるに過ぎない(Smithら、1998)。EEVは、感染宿主内でのウイルス伝幡に関与して、宿主外では比較的容易に分解される。重要なことは、EEVは、血流内でその中和を阻害するいくつかのメカニズムを開発した点である。第一に、EEVは、補体に対して比較的抵抗性である(Vanderplasschenら、1998);この特徴は、その外膜への補体の宿主細胞阻害剤の組み入れ、プラスワクシニアウイルス補体制御タンパク質(VCP)の局所細胞外環境への分泌による。第二に、EEVは、IMVと比較して中和抗体の作用に対して比較的抵抗性である(Smithら、1997)。EEVはまた、IMV(細胞死の際/後に限って放出される)より感染後早期の時点(例えば、4〜6時間)に放出され、したがって、EEV型の伝幡はより速い(Blascoら、1993)。

0050

しかし、残念なことに、野生型ワクシニア株は、比較的ごく少量のEEVを産生するに過ぎない。さらに、ワクシニアウイルスによる治療(すなわちウイルスの投与量)は、今日まで細胞内ウイルス型に限定されていた。標準的なワクシニアウイルス(VV)の製造および精製技法によってEEVの不活化が起こり(Smithら、1998)、そしてウイルスを作製するために、ヒト以外の細胞株がしばしば用いられている;ヒト以外の細胞からのEEVは、補体媒介排泄から保護されないであろう(EEVによって細胞から獲得された補体阻害タンパク質は、種に限定された作用を有する)。したがって、ワクシニアウイルスの有効性は、中和に対するIMV型の相対的感受性によって、および固形腫瘍塊内でのその非効率的な伝幡によって限定されている;この伝幡は典型的に、細胞から隣接する細胞へと起こる。血流またはリンパ管のいずれかを通しての遠位腫瘍塊へのIMVの伝幡も同様に非効率的である。

0051

したがって、ワクシニアウイルスのまれなEEV型は、本来獲得した特徴を有し、そのために今日まで患者に用いられるワクシニアウイルス型(IMV)より優れている;EEVは、固形腫瘍の内部を限局的に、そして局所または遠位腫瘍部位に迅速かつ効率的に伝幡するように最適にされている。EEVは、補体の作用に対して比較的抵抗性であることから、同じ種からの細胞タイプにおいて増殖させた場合に、このウイルス型は安定性の増強を有し、血管内投与後の血液においてワクシニアウイルスの標準的な調製物(ほぼ専らIMVを含む)より長く活性を保持するであろう(Smithら、1998)。EEVは、抗体媒介中和に対して抵抗性であることから、このウイルス型は、ワクシニアウイルスの標準的な調製物(ほぼ専らIMVを含む)より静脈内投与後の血液において長く活性を保持するであろう(Vanderplasschenら、1998)。この特徴は、中和抗体レベルが増加した後の反復投与の場合には特に重要であろう;承認された全ての抗癌治療は反復投与を必要とする。したがって、ワクシニアおよび他のポックスウイルスのEEV型によって、血流を通して治療ウイルスおよびその遺伝子積載物の腫瘍への優れた輸送が得られるであろう。これによって、標準的なポックスウイルス調製物と比較して全身有効性の増強が得られるであろう。最後に、一般大衆の個人に対する伝幡のリスクは、EEVが体外では極めて不安定であることから有意に減少するはずである。ウイルスのEEV型の調節に関与するポリペプチドには、A34R、B5R、およびポックスウイルスのEEV型の産生に影響を及ぼす様々な他のタンパク質が含まれるがこれらに限定されない。A34Rのコドン151でのリジンからアスパラギン酸への変異(K151D変異)により、A34Rタンパク質はEEV型を細胞膜束縛する能力が低下する。B5Rは、補体に結合する可能性があるEEV膜結合ポリペプチドである。A43Rを全て欠失させることによって、EEV放出の増加が起こる可能性があるが、ウイルスの感染性は顕著に減少し、一方K151D変異は放出されたウイルスの感染性を維持しながらEEV放出を増加させる。B5Rは、VCP(抗補体)と配列相同性を有するが、補体の阻害はまだ証明されていない。

0052

簡単に説明すると、強化EEV型を同定する一つの方法は以下の通りである。EEVを氷冷MEMにおいて希釈して、氷冷MEMにおいて希釈した(血清の最終希釈、10倍、20倍、または30倍)活性型または熱不活化(56℃、30分、対照)血清と混合する(容積比1:1)。7℃で75分間インキュベートした後、試料中で冷却して、mAb 5B4/2F2を新鮮なEEV試料に加えて如何なる混入物(IMVおよび破壊されたEEV)も中和する。次に、ビリオンをRK13細胞に氷中で1時間結合させて、補体および未結合のビリオンを洗浄して、2日後にプラーク数係数する。プラーク数がより多ければ、補体に対する抵抗性はより大きくなる。参照として本明細書に組み入れられる、Vanderplasschenら(1998)。ワクシニアウイルスのEEV型の単離を記述する例としての方法は、Blascoら、1992(参照として本明細書に組み入れられる)に認められうる。

0053

7.他のポリペプチド
他のウイルス免疫調節ポリペプチドには、免疫応答の他のメディエータに結合しておよび/または免疫応答に関連した分子経路を調節するポリペプチドが含まれてもよい。例えば、B29R(このタンパク質は存在するが、ワクシニアウイルスのコペンハーゲン株では不活性である可能性がある)、C23L、vCKBP、A41Lおよび類似の活性または特性を有するポリペプチドのようなケモカイン結合ポリペプチド。ウイルスEGF様増殖因子であるワクシニアウイルス増殖因子(例えば、C11L)のような他のワクシニアウイルスタンパク質も同様に、本発明のいくつかの態様において改変の標的となる可能性がある。ウイルス調節因子として分類されてもよい他のポリペプチドには、B7R、N1L、またはその活性もしくは特性がポックスウイルスのビルレンスを増加させる他のポリペプチドが含まれるがこれらに限定されない。

0054

8.ワクシニアウイルス誘導細胞融合
本発明の特定の態様において、A56RまたはK2Lコード核酸遺伝子の改変、欠失、または変異によって、VV感染症によって誘導される細胞細胞融合または融合体形成が起こる可能性がある。ワクシニアウイルス誘導細胞融合は典型的に、腫瘍内ウイルス伝幡によりVVの抗腫瘍効率を増加させるであろう。細胞融合による腫瘍内のウイルス伝幡によって、典型的に、ウイルスは中和抗体および免疫応答を回避することができるであろう。隣接する非感染細胞(すなわち、「傍観者作用」)の殺細胞および感染は、これらの遺伝子の一つまたは双方において変異を有するVVではより効率的となる可能性があり、それによって改善された局所抗腫瘍効果が得られる可能性がある。

0055

B.ウイルスの増殖
ワクシニアウイルスは、参照として本明細書に組み入れられる、Ausbelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、16.15.1〜16.18.10頁においてEarlおよびMossによって記述された方法を用いて増殖させてもよい。

0056

III.タンパク質様および核酸組成物
本発明は、患者における癌細胞および癌の試験および治療において都合がよいポックスウイルスに関する。これは、ウイルスが癌細胞に対して用いるために所望の特性を有するが、非癌細胞に対しては毒性が低い、または非毒性となるように、野生型と比較して一つまたはそれ以上の変異を有するように構築されていてもよいワクシニアウイルスに関する。そのようなポックスウイルスは、参照により本明細書に組み入れられるPCT/US2003/025141に記載されている。下記の教示は、例として、本発明の方法および組成物を実行するための様々なプロトコールを提供する。それらは、組換えDNA技術を用いて変異ウイルスを作製するためのバックグラウンドを提供する。

0057

A.タンパク質様組成物
特定の態様において、本発明は、一つまたはそれ以上の機能的ポリペプチドまたはタンパク質を欠損していてもよいワクシニアウイルスを作製すること、および/または感染性のEEV型のようなウイルスの特定の型をより多く放出する能力を有するポックスウイルスを産生することに関する。他の態様において、本発明は、ポックスウイルスに関し、および薬学的に許容される製剤の一部としての蛋白質様組成物と併用してそれらを利用することに関する。

0058

本明細書において用いられるように、「タンパク質」または「ポリペプチド」とは、少なくとも一つのアミノ酸残基を含む分子を指す。いくつかの態様において、タンパク質またはポリペプチドの野生型版が用いられるが、本発明の多くの態様においてウイルスタンパク質またはポリペプチドは、存在しないかまたはウイルスが患者における癌細胞または癌の治療にとってより有用となるように改変されている。上記の用語は本明細書において互換的に用いられる可能性がある。「改変蛋白質」または「改変ポリペプチド」は、野生型蛋白質またはポリペプチドに関してその化学構造が改変されているタンパク質またはポリペプチドを指す。いくつかの態様において、改変タンパク質またはポリペプチドは、少なくとも一つの改変活性または機能(タンパク質またはポリペプチドは、多数の活性または機能を有する可能性があることを認識する)を有する。改変された活性または機能は、野生型蛋白質またはポリペプチドにおける活性または機能に関して何らかの他の方法で(特異性のような)低下、減少、消失、増強、改善、または変化させてもよい。改変タンパク質またはポリペプチドは、一つの活性または機能に関して改変されるが、他の局面において野生型活性または機能を保持するように改変されてもよいと特に企図される。または、改変タンパク質は、完全に非機能的であってもよく、またはその同源の核酸配列は、ポリペプチドがもはや全く発現されないように、切断されるように、またはフレームシフトの結果として異なるアミノ酸配列を発現するように改変されていてもよい。

0059

特定の態様において、変異タンパク質またはポリペプチドの大きさは、アミノ酸残基5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1750、2000、2250、2500個またはそれ以上、およびそこから誘導可能な任意の範囲を含んでもよいがこれらに限定されない。ポリペプチドは、切断によってそれらを対応する野生型より短くすることによって変異させてもよいと企図される。

0060

本明細書において用いられるように、「アミノ分子」は、当業者に既知である任意のアミノ酸アミノ酸誘導体、またはアミノ酸模倣体を指す。特定の態様において、タンパク質様分子の残基は連続的であり、アミノ分子残基の配列のあいだには如何なる非アミノ分子も存在しない。他の態様において、配列は一つまたはそれ以上の非アミノ分子部分を含んでもよい。特定の態様において、タンパク質様分子の残基の配列は、一つまたはそれ以上の非アミノ分子部分によって中断されてもよい。

0061

したがって、「タンパク質様組成物」という用語は、天然に合成されたタンパク質において一般的なアミノ酸20個の少なくとも一つまたは少なくとも一つの改変もしくは珍しいアミノ酸を含むアミノ酸配列を含む。

0062

蛋白質様組成物は、標準的な分子生物学技術を通してのタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの発現、天然起源からのタンパク質様化合物の単離、またはタンパク質様材料の化学合成を含む、当業者に既知の任意の技術によって作製してもよい。様々な遺伝子に関するヌクレオチドおよびタンパク質、ポリペプチド、およびペプチド配列が、既に開示されており、当業者に既知のコンピューターデータベースにおいて認められる可能性がある。そのような一つのデータベースは国立バイオテクノロジー情報センターGenBankおよびGenPeptデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov)である。これらの既知の遺伝子のコード領域は、本明細書に開示の技術を用いて、または当業者に既知であるように、増幅または発現してもよい。

0063

1.機能的局面
本出願がウイルスタンパク質またはポリペプチドの機能または活性に言及する場合、特に明記していない限り、生理的条件でのウイルスタンパク質またはポリペプチドの活性または機能を指すと意味する。例えば、インターフェロン調節ポリペプチドは、少なくとも一つのインターフェロンおよびその活性に直接または間接的に影響を及ぼすポリペプチドを指す。ポリペプチドは、インターフェロンの活性を直接または間接的に誘導、増強、上昇、増加、減少、弱化、低下、阻害、または隠す可能性がある。インターフェロンに直接影響を及ぼす例は、いくつかの態様において、インターフェロンに特異的に結合するインターフェロン調節ポリペプチドを含む。どの分子がこの活性を有するかを決定することは、当業者に周知のアッセイを用いて行ってもよい。例えば、インターフェロンまたはその変種を調節する産物をコードする遺伝子を、そのような遺伝子の移入を有する細胞と比較してインターフェロン活性が誘導されている細胞に移入して、インターフェロン反応の異なるレベルによって、インターフェロン調節機能を有するそれらの分子を同定してもよい。

0064

調節物質は、インターフェロンコード転写物に結合することによるような、標的分子経路に関与するタンパク質様組成物の発現に影響を及ぼす分子であってもよい。どの分子がインターフェロン、IL-1β、TNF、または治療利益を有する他の分子の適した調節物質であるかを決定することは、そのいくつかが本明細書に開示される当業者に周知のアッセイを用いて行ってもよく、例えば、天然のおよび/または組換え型ウイルスタンパク質を用いることが含まれてもよい。

0065

2.ウイルスポリペプチドの変種
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列変種は、置換、挿入、または欠失変種となりうる。ウイルスタンパク質をコードする遺伝子における変異は、野生型と比較して、ポリペプチドの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500個またはそれ以上の非隣接または隣接アミノ酸に影響を及ぼしてもよい。ワクシニアウイルスによってコードされる様々なポリペプチドは、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Roselら(1986)、Goebelら(1990)、およびGenBankアクセッション番号NC_001559号を参照して同定される可能性がある。

0066

欠失変種は、天然または野生型蛋白質の一つまたはそれ以上の残基を欠損する。個々の残基を欠失させることができ、またはドメインの全てもしくは一部(触媒または結合ドメインのような)を欠失させることができる。終止コドンをコード核酸配列に導入して(置換または挿入によって)切断型蛋白質を作製してもよい。挿入変異体は典型的に、ポリペプチドにおいて末端でない点での材料の付加を含む。これには、免疫反応性エピトープまたは単なる一つもしくはそれ以上の残基の挿入が含まれてもよい。融合タンパク質と呼ばれる末端の付加も同様に作製してもよい。

0067

置換変種は典型的に、タンパク質内での一つまたはそれ以上の部位で一つのアミノ酸をもう一つのアミノ酸に交換することを含み、他の機能または特性を喪失して、または喪失せずに、ポリペプチドの一つまたはそれ以上の特性を調節するように設計してもよい。置換は保存的であってもよく、すなわち一つのアミノ酸が類似の形状および電荷を有するアミノ酸に置換されてもよい。保存的置換当技術分野で周知であり、例えば、以下の変化が含まれる:アラニンからセリンアルギニンからリジン;アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジン;アスパラギン酸からグルタミン酸システインからセリン;グルタミンからアスパラギン;グルタミン酸からアスパラギン酸;グリシンからプロリン;ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミン;イソロイシンからロイシンまたはバリン;ロイシンからバリンまたはイソロイシン;リジンからアルギニン;メチオニンからロイシンまたはイソロイシン;フェニルアラニンからチロシン、ロイシンまたはメチオニン;セリンからトレオニン;トレオニンからセリン;トリプトファンからチロシン;チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニン;およびバリンからイソロイシンまたはロイシン。または、置換は、ポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように非保存的であってもよい。非保存的置換は典型的に、極性または荷電アミノ酸非極性または非荷電アミノ酸に置換することおよびその逆のような、一つの残基を化学的に異なる残基に置換することを含む。

0068

「機能的に同等なコドン」という用語は、本明細書において、アルギニンまたはセリンに関して6個のコドンのような同じアミノ酸をコードするコドンを指すために用いられ、同様に生物学的に同等のアミノ酸をコードするコドンを指す(下記の表1を参照されたい)。

0069

同様に、アミノ酸および核酸配列には、さらなるN-もしくはC-末端アミノ酸または5'もしくは3'配列のような、さらなる残基が含まれてもよいと理解され、配列が、タンパク質発現が関係する生物タンパク質活性の維持を含む上記の基準を満たす限り、本明細書に開示の配列の一つであると本質的に記載されるであろう。末端配列の付加は、特にコード領域の5'もしくは3'部分のいずれかに隣接する様々な非コード配列が含まれてもよい、または様々な内部配列、すなわち遺伝子内で起こることがわかっているイントロンが含まれてもよい核酸配列に適用される。

0070

(表1)コドン表

0071

以下は、同等の、または改善された第二世代分子を作製するためにタンパク質のアミノ酸を変化させることに基づく考察である。例えば、特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位のような構造との相互作用的結合能を認識可能に喪失することなく、タンパク質構造における他のアミノ酸に置換してもよい。タンパク質の生物機能活性を定義するのはタンパク質の相互作用能および特性であることから、特定のアミノ酸置換タンパク質配列、およびその基礎となるDNAコード配列に行ってもよく、それにもかかわらず、類似の特性を有するタンパク質を産生することができる。このように、下記のようにその生物学的利用率または活性を認識可能に喪失することなく、様々な変更をDNA配列に行ってもよいことは本発明者らによって企図される。表1は、特定のアミノ酸をコードするコドンを示す。

0072

そのような変化を作製する場合、アミノ酸のハイドロパシー指数を検討してもよい。相互作用的生物機能をタンパク質に付与する際のハイドロパシーアミノ酸指数の重要性は、当技術分野でにおいて一般的に理解されている(Kyte and Doolittle、1982)。アミノ酸の相対的ハイドロパシー特徴は、得られたタンパク質の二次構造に関与して、次に、他の分子、例えば酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原等とのタンパク質の相互作用を定義することは容認されている。

0073

同様に、親水性に基づいて、類似のアミノ酸の置換を有効に行うことができることは、当技術分野において理解されている。参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第4,554,101号は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるように、タンパク質の最大の局所平均親水性がタンパク質の生物学的特性相関することを述べている。米国特許第4,554,101号に詳細に記述しているように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割付されている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン*-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。

0074

アミノ酸は、類似の親水性値を有するもう一つのアミノ酸に置換することができ、それでもなお生物学的に同等で免疫学的に同等のタンパク質を産生すると理解される。そのような変化において、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、および±0.5以内であるアミノ酸の置換がより特に好ましい。

0075

先に概要したように、アミノ酸の置換は一般的に、アミノ酸側鎖の置換の相対的類似性、例えばその疎水性、親水性、電荷、大きさ等に基づいている。前述の様々な特徴を考慮に入れる例としての置換は、当業者に周知であり、これには:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびトレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシンおよびイソロイシンが含まれる。

0076

IV.核酸分子
A.天然のタンパク質または改変タンパク質をコードするポリヌクレオチド
本発明は、タンパク質またはポリペプチドの全てまたは一部を発現することができる、細胞から単離可能なポリヌクレオチドに関する。本発明のいくつかの態様において、これは、特定の機能的ウイルスポリペプチドを欠損するウイルスを作製するように特異的に変異させたウイルスゲノムに関する。ポリヌクレオチドは、ウイルスアミノ酸配列の全てもしくは一部を含むペプチドもしくはポリペプチドをコードしてもよく、またはそれらがそのようなウイルスポリペプチドをコードしないように、もしくは少なくとも一つの機能もしくは活性が低下、減少もしくは存在しないウイルスポリペプチドをコードするように操作してもよい。組換え型蛋白質は、活性なタンパク質を生じるように発現細胞から精製することができる。ゲノムは、ワクシニアウイルスのコード領域に関する定義と同様に、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Roselら(1986)、Goebelら(1990)、および/またはGenBankアクセッション番号NC_00159号において認められる可能性がある。

0077

本明細書において用いられるように、「DNAセグメント」という用語は、特定の種の全ゲノムDNAを含まずに単離されているDNA分子を指す。したがって、ポリペプチドをコードするDNAセグメントは、野生型、多形、または変異体ポリペプチドコード配列を含むが、なおも全哺乳類またはヒトゲノムDNAから単離された、またはそれらを含まずに精製されたDNAセグメントを指す。「DNAセグメント」という用語に含まれるのは、ポリペプチドまたはポリペプチド、ポリペプチドより小さいDNAセグメント、および例えばプラスミドコスミドファージ、ウイルス等を含む組換え型ベクターである。

0078

本出願において用いられるように、「ポックスウイルスポリヌクレオチド」という用語は、全ゲノム核酸を含まずに単離されているポックスウイルスポリペプチドをコードする核酸分子を指す。同様に、「ワクシニアウイルスポリヌクレオチド」は、全ゲノム核酸を含まずに単離されているワクシニアウイルスポリペプチドをコードする核酸を指す。「ポックスウイルスゲノム」または「ワクシニアウイルスゲノム」は、ヘルパーウイルスの存在下または非存在下でウイルス粒子を生じるために宿主細胞に提供されうる核酸分子を指す。ゲノムは、野生型ウイルスと比較して組換えによって変異していてもしていなくてもよい。

0079

cDNA」という用語は、鋳型としてメッセンジャーRNAmRNA)を用いて調製されたDNAを指すと意図される。ゲノムDNA、またはゲノム、非プロセシングもしくは部分的プロセシングRNA鋳型から重合化されたDNAとは対照的に、cDNAを用いる長所は、cDNAが主に対応するタンパク質のコード配列を含む点である。非コード領域が最適な発現にとって必要である場合、またはイントロンのような非コード領域がアンチセンス戦略において標的とされる場合のように、完全または部分的ゲノム配列が好ましい場合があってもよい。

0080

同様に、所定の種からの特定のポリペプチドは、わずかに異なる核酸配列を有するが、それにもかかわらず同じタンパク質をコードする天然の変種によって表される可能性があると企図される(上記表1を参照されたい)。

0081

同様に、単離または精製野生型または変異体ポリペプチド遺伝子を含むポリヌクレオチドは、野生型または変異体ポリペプチドコード配列および特定の局面において、他の天然に存在する遺伝子またはタンパク質コード配列から実質的に単離されている調節配列を含むDNAセグメントを指す。この局面において、「遺伝子」という用語は、機能的タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドコード単位(適切な転写、翻訳後改変、または局在にとって必要な任意の配列を含む)を指すために単純に用いられる。当業者に理解されるように、この機能的用語には、ゲノム配列、cDNA配列、ならびにタンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質、および変異体を発現するまたは発現するように改変されてもよいより小さい遺伝子操作された遺伝子セグメントが含まれる。天然または改変ポリペプチドの全てまたは一部をコードする核酸は、以下の長さのそのようなポリペプチドの全てまたは一部をコードする隣接する核酸配列を含んでもよい:10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、441、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1010、1020、1030、1040、1050、1060、1070、1080、1090、1095、1100、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、9000、10000個またはそれ以上のヌクレオチド、ヌクレオシドまたは塩基対。

0082

特定の態様において、本発明は、そのアミノ酸配列において天然のポリペプチドに従う、または本質的に対応する隣接アミノ酸配列を含む野生型または変異体ポックスウイルスポリペプチドまたはペプチドをコードするDNA配列を組み入れる、単離されたDNAセグメントおよび組換え型ベクターに関する。このように、単離されたDNAセグメントまたはDNAセグメントを含むベクターは、例えば、TNF調節物質、またはTNF活性を阻害もしくは減少させうるTNF調節ポリペプチドをコードしてもよい。「組換え型」という用語は、ポリペプチドまたは特定のポリペプチドの名称に関連して用いてもよく、これは一般的に、インビトロで操作されている、またはそのような分子の複製産物である核酸分子から産生されたポリペプチドを指す。

0083

他の態様において、本発明は、そのアミノ酸配列においてポリペプチドに従うまたは本質的に対応する隣接アミノ酸配列を含むポリペプチドまたはペプチドをコードするDNA配列を組み入れた単離DNAセグメントおよび組換え型ベクターに関する。

0084

本発明において用いられる核酸セグメントは、自身のコード配列の長さにかかわらず、その全長がかなり変化してもよいように、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、多クローニング部位、他のコードセグメント等のような他の核酸配列と組み合わせてもよい。したがって、ほぼ如何なる長さの核酸断片も用いてもよいが、全長は好ましくは調製の容易さおよび意図する組換えDNAセグメントプロトコールにおける用途によって制限されると企図される。

0085

本発明の核酸構築物は、任意の起源からの完全長ポリペプチドをコードしてもよく、またはコード領域の転写物が切断型を表すように、ポリペプチドの切断型、例えば切断型ワクシニアウイルスポリペプチドをコードしてもよいと企図される。次に、切断型転写物を切断型蛋白質に翻訳してもよい。または、核酸配列は、例えばポリペプチドの精製、輸送、分泌、翻訳後改変を行うために、またはターゲティングもしくは有効性のような治療利益を得るために、さらなる異種コード配列を有する完全長のポリペプチド配列をコードしてもよい。先に考察したように、「異種」が改変ポリペプチドと同じでなくてもよいポリペプチドを指す、タグまたは他の異種ポリペプチドを改変ポリペプチドコード配列に加えてもよい。

0086

非制限的な例において、B18R遺伝子のような特定の遺伝子と同一または相補的である隣接ヌクレオチド鎖を含む一つまたはそれ以上の核酸構築物を調製してもよい。核酸構築物は、酵母人工染色体のような核酸構築物の到来が当業者に既知であることを考慮すると、長さが少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、15,000、20,000、30,000、50,000、100,000、250,000、500,000、750,000、少なくとも1,000,000ヌクレオチドであってもよいと共に、染色体の大きさまでおよび染色体の大きさを含む(中間の長さおよび中間の範囲の全てを含む)大きさがより大きい構築物あってもよい。本明細書において用いられるように「中間の長さ」および「中間の範囲」は、引用された値を含むまたはそのあいだの任意の長さまたは範囲(すなわち、そのような値を含むそのあいだの全ての整数)を意味する。

0087

本発明において用いられるDNAセグメントは、生物学的に機能的に同等の改変ポリペプチドおよびペプチドを含み、例えば改変ゲロニン毒素を含む。そのような配列は、核酸配列およびこのようにコードされるタンパク質内で天然に存在することが知られているコドン重複性および機能的同等性の結果として生じる可能性がある。または、置換されるアミノ酸の特性に関する検討に基づいてタンパク質構造の変化が操作される組換えDNA技術を応用することによって、機能的に同等のタンパク質またはペプチドを作製してもよい。ヒトによって設計された変化は、部位特異的変異誘発技術の応用によって、例えばタンパク質の抗原性を改善するために、タンパク質を投与される被験体インビボでタンパク質の毒性効果を減少させるために、またはタンパク質を含む任意の治療の有効性を増加させるために、導入してもよい。

0088

特定の他の態様において、本発明は、その配列内に、本明細書において同定された(および/または参照として組み入れられた)配列において示されるものからの隣接核酸配列を含む単離DNAセグメントおよび組換え型ベクターに関する。しかし、そのような配列は、その活性が野生型に関して変化しているタンパク質産物を生じるように変異させてもよい。

0089

同様に、本発明は、これらの同定された配列の特定の核酸およびアミノ酸配列に限定されないと理解されるであろう。したがって、組換え型ベクターおよび単離DNAセグメントには、ポックスウイルスコード領域そのもの、基礎コード領域において選択された変更または改変を有するコード領域が多様に含まれてもよく、またはそれらはそれにもかかわらずポックスウイルスコード領域を含むより大きいポリペプチドをコードしてもよく、もしくは変種アミノ酸配列を有する生物学的機能的同等のタンパク質もしくはペプチドをコードしてもよい。

0090

本発明のDNAセグメントは、生物学的に機能的に同等のポックスウイルスタンパク質およびペプチドを含む。そのような配列は、核酸配列およびこのようにコードされたタンパク質において、天然に存在することが知られているコドン重複性および機能的同等性の結果として生じてもよい。または、機能的に同等のタンパク質またはペプチドは、置換されるアミノ酸の特性に関する検討に基づいて、タンパク質構造における変化を操作する組換えDNA技術の応用によって作製してもよい。例えば、タンパク質の抗原性を改善するために、人為的に設計された改変を部位特異的変異誘発技術の応用によって導入してもよい。

0091

B.ポックスウイルスポリヌクレオチドの変異誘発
様々な態様において、ポックスウイルスポリヌクレオチドを改変してもよくまたは変異誘発してもよい。改変または変異には、挿入、欠失、点突然変異、逆位等が含まれてもよく、それによって特定の経路または分子メカニズムの調節、活性化、および/または不活化と共に、特に遺伝子産物を非機能的にするような、遺伝子産物の機能、位置、または発現の変化が起こってもよい。用いられる場合、ポックスウイルスの全てまたは一部をコードするポリヌクレオチドの変異誘発は、多様な標準的な変異誘発技法によって行ってもよい(Sambrookら、1989)。変異は、それによって生物の量または構造に変化が起こるプロセスである。変異は、単一の遺伝子、遺伝子のブロックまたは染色体全体のヌクレオチド配列の改変を含みうる。単一の遺伝子における変化は、DNA配列内の一つのヌクレオチド塩基の除去、付加、もしくは置換を含む点突然変異の結果であってもよく、またはそれらは多数のヌクレオチドの挿入もしくは欠失を含む変化の結果であってもよい。

0092

変異は、化学的または物理的変異原物質に暴露後に誘発してもよい。そのような変異誘発物質には、電離放射線紫外線、ならびにその全てが核酸と直接または間接的に(一般的に、いくつかの代謝性生体返還後)相互作用することができるアルキル化剤および多環式芳香族炭化水素のような多様な化学物質が含まれる。そのような物質によって誘導されたDNA損傷によって、改変されたDNAが複製または修復される場合に塩基配列の改変が起こり、このように変異が起こる可能性がある。変異はまた、特定のターゲティング法を用いて部位特異的にすることができる。

0093

1.ランダム変異誘発
a.挿入変異誘発
挿入変異誘発は、既知のDNA断片の挿入による遺伝子の不活化に基づく。これはいくつかのタイプのDNA断片の挿入を含むことから、生成された変異は一般的に、機能獲得変異よりはむしろ機能喪失変異である。しかし、機能獲得変異を生じる挿入にはいくつかの例がある。挿入的変異は細菌およびショウジョウバエ(Cooleyら、1988)において非常に成功しており、近年トウモロコシシロイヌナズナ(Arabidopsis;(Marksら、1991;Konczら、1990);およびキンギョソウ(Sommerら、1990)において強力なツールとなった。挿入変異誘発は、標準的な分子生物学技術を用いて行ってもよい。

0094

b.化学的変異誘発
化学的変異誘発は、表現型重症度が異なる広範な変異を発見する能力のような特定の長所を提供し、実施が容易で安価である。多数の化学的発癌物質がDNAにおいて変異を生じる。ベンゾ[a]ピレン、N-アセトキシ-2-アセチルアミノフルオレンおよびアフロトキシンB1は、細菌および哺乳類細胞においてGCからTAのトランスバージョンを引き起こす。ベンゾ[a]ピレンはまた、ATからTAのような塩基置換を生じうる。N-ニトロソ化合物は、GCからATの転移を生じる。n-ニトロソウレアへの暴露によるチミンのO4位置でのアルキル化によって、TAからCGの転移が起こる。

0095

c.放射線変異誘発
生体分子は電離放射線によって分解される。入射エネルギー吸着によって、イオンおよびフリーラジカルの形成が起こり、いくつかの共有結合の切断が起こる。放射線障害に対する感受性は、分子間で、そして同じ分子であっても異なる結晶構造間で非常に多様であるように思われる。これは、総蓄積線量に依存し、同様に線量率にも依存する(フリーラジカルが存在する場合、それらが引き起こす分子の損傷はその本来の拡散速度およびこのようにリアルタイムに依存する)。損傷は、試料を可能な限り低温にすることによって減少および制御される。電離放射線は、一般的に線量率に比例してDNA損傷を引き起こす。

0096

本発明において、「電離放射線」という用語は、電離電子の獲得または喪失)を生じるために十分なエネルギーを有するまたは十分なエネルギーを産生することができる粒子または光子を含む放射線を意味する。例としてのそして好ましい電離放射線はx線である。所定の細胞または特定の分子にとって必要な電離放射線の量は、一般的にその細胞または分子の特性および変異標的の特性に依存する。放射線の有効線量を決定する手段は当技術分野で周知である。

0097

d.インビトロスキャニング変異誘発
ランダム変異誘発はまた、誤りがちPCRを用いて導入してもよい。変異誘発率は、鋳型の希釈液を含む多数の試験管においてPCRを行うことによって増加させてもよい。

0098

一つの特に有用な変異誘発技術は、タンパク質のコンフォメーションにおける大規模混乱のリスクを最小限にして、側鎖の相互作用を失う効果を決定することができるように、多数の残基がアミノ酸アラニンに個々に置換されるアラニンスキャン変異誘発である(Cunninghamら、1989)。

0099

インビトロスキャニング飽和変異誘発は、以下を含む大量の構造機能情報を得る迅速な方法を提供する:(i)リガンド結合特異性を調節する残基の同定;(ii)活性を保持するアミノ酸および所定の位置で活性を消失するアミノ酸の同定に基づくリガンド結合のよりよい理解;(iii)活性部位またはタンパク質サブドメインの全体的な可塑性の評価;(iv)結合の増加が得られるアミノ酸置換の同定。

0100

2.部位特異的変異誘発
構造に従う部位特異的変異誘発は、タンパク質-リガンド相互作用を解剖して操作するための強力なツールである(Wells、1996;Braistedら、1996)。この技術は、選択されたDNAに一つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を導入することによって配列変種の調製および試験を提供する。

0101

部位特異的変異誘発は、所望の変異のDNA配列をコードする特異的オリゴヌクレオチド配列のみならず、十分数の隣接する非改変ヌクレオチドを用いる。このようにして、プライマー配列に十分な大きさおよび複雑度が提供されて、横断される欠失接合部に安定な二本鎖を形成する。配列の接合部の両側の約5〜10残基が改変されている長さが約17〜25ヌクレオチドのプライマーが好ましい。

0102

技術は典型的に、一本鎖および二本鎖型の双方で存在するバクテリオファージベクターを用いる。部位特異的変異誘発において有用なベクターには、M13ファージのようなベクターが含まれる。これらのベクターは市販されており、その用途は一般的に当業者に周知である。二本鎖プラスミドも同様に部位特異的変異誘発において日常的に用いられており、これらは対象遺伝子をファージからプラスミドに移入する段階を省略する。

0103

一般的に、まずその配列内に、所望のタンパク質もしくは遺伝子要素をコードするDNA配列を含む一本鎖ベクターを得て、または二本鎖ベクターの二つの鎖を融解する。次に、合成によって調製された所望の変異配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを、ハイブリダイゼーション条件を選択した場合のミスマッチの程度を考慮して、一本鎖DNA調製物とアニールする。ハイブリダイズした産物を、変異を有する鎖の合成を終結させるために、大腸菌ポリメラーゼIのようなDNAポリメラーゼ酵素に供する(クレノウ断片)。このように、一つの鎖が当初の非変異配列をコードして、第二の鎖が所望の変異を有するヘテロ二本鎖が形成される。このヘテロ二本鎖ベクターを用いて大腸菌細胞のような適当な宿主細胞を形質転換して、変異配列の配置を有する組換え型ベクターを含むクローンを選択する。

0104

タンパク質の所定の残基の機能的重要性および情報内容量に関する包括的な情報は、その中で19個全てのアミノ酸置換を調べる飽和変異誘発によって最もよく得られうる。このアプローチの短所は、多残基飽和変異誘発のロジスティクスが圧倒的である点である(Warrenら、1996;Zengら、1996;Burton and Barbas、1994;Yeltonら、1995;Hiltonら、1996)。何百もの、そしておそらく何千もの部位特異的変異体を調べなければならない。しかし、改善された技術によって、変異体の産生および迅速なスクリーニングがはるかにより簡単となっている。同様に、「ウォークスルー」変異誘発に関する記述については、米国特許第5,798,208号および第5,830,650号を参照されたい。部位特異的変異誘発の他の方法は、米国特許第5,220,007号;第5,284,760号;第5,354,670号;第5,366,878号;第5,389,514号;第5,635,377号;および第5,789,166号に開示されている。

0105

C.ベクター
「ベクター」という用語は、外因性の核酸配列が、それが複製されうる細胞に導入するために挿入されうる担体核酸分子を指すために用いられる。核酸配列は、ベクターが導入される細胞に対して異物であること、または配列は細胞における配列と相同であるが、配列が本来認められない宿主細胞内での位置に存在することを意味する「外因性」となりうる。ベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、および人工染色体(例えば、YAC)が含まれる。当業者は、いずれも参照として本明細書に組み入れられる、Sambrookら(1989)およびAusubelら(1994)に記述される標準的な組換え技術によってベクターを構築するために必要なものを十分に有するであろう。改変ゲロニンのような改変されたポリペプチドをコードする他に、ベクターは、タグまたはターゲティング分子のような非改変ポリペプチド配列をコードしてもよい。そのような融合タンパク質をコードする有用なベクターには、pINベクター(Inouyeら、1985)、ヒスチジン鎖をコードするベクター、および後に精製および分離または切断するためのグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)可溶性融合タンパク質を作製するために用いられるpGEXベクターが含まれる。ターゲティング分子は、改変ポリペプチドを被験体の体における特定の臓器、組織、細胞、または他の位置に向ける分子である。

0106

発現ベクター」という用語は、転写されうる遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含むベクターを指す。場合によっては、次にRNA分子をタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳する。他の場合、これらの配列は、アンチセンス分子またはリボザイムの産生の際に翻訳されない。発現ベクターは、特定の宿主生物において機能的に結合したコード配列の転写およびおそらく翻訳にとって必要な核酸配列を指す多様な「制御配列」を含みうる。転写および翻訳を支配する制御配列の他に、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能も同様に供給し、下記の核酸配列を含んでもよい。

0107

本発明に従って、ワクシニアウイルスはそれ自身発現ベクターである。本発明のワクシニアウイルスを操作するために同様に用いてもよい他のウイルスおよび非ウイルスベクターが存在する。1つの態様において、そのようなベクターは、GM-CSFを発現するように操作されてもよい。

0108

1.プロモーターおよびエンハンサー
「プロモーター」は、そこで転写の開始および速度が制御される核酸配列の領域である。これは、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子のような、調節タンパク質および分子が結合する可能性がある遺伝子要素を含んでもよい。「機能的に配置された」、「機能的に結合した」、「制御下である」、および「転写制御下である」というは、その配列の転写開始および/または発現を制御するために核酸配列に関してプロモーターが正確な機能的位置および/または方向に存在することを意味する。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用調節配列を指す、「エンハンサー」と共に用いてもよく用いなくてもよい。

0109

プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエキソンの上流に存在する5'非コード配列を単離することによって得てもよいように、遺伝子または配列に天然に会合したプロモーターであってもよい。そのようなプロモーターは、「内因性」であると呼ぶことができる。同様に、エンハンサーは、その配列の下流または上流のいずれかに存在する核酸配列に天然に会合したエンハンサーであってもよい。または、特定の長所はその天然の環境において核酸配列に通常関連しないプロモーターを指す組換え型または異種プロモーターの制御下にコード核酸セグメントを配置することによって得られるであろう。組換え型または異種エンハンサーはまた、その天然の環境において核酸配列に通常関連しないエンハンサーも指す。そのようなプロモーターまたはエンハンサーには、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、および「天然に存在」しない、すなわち異なる転写調節領域の異なる要素および/または発現を変化させる変異を含むプロモーターまたはエンハンサーが含まれてもよい。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成によって産生する他に、配列は、本明細書に開示される組成物に関連してPCR(商標)を含む組み換えクローニングおよび/または核酸増幅技術を用いて産生してもよい(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第4,683,202号、米国特許第5,928,906号を参照されたい)。さらに、ミトコンドリア葉緑素等のような核以外のオルガネラ内での配列の転写および/または発現を指示する制御配列も同様に用いることができると企図される。

0110

本来、発現のために選択された細胞タイプ、オルガネラ、および生物においてDNAセグメントの発現を有効に指示するプロモーターおよび/またはエンハンサーを用いることは重要であるかも知れない。本発明の一定の態様において、プロモーターは、ワクシニアウイルスの複製サイクルのあいだ活性であるワクシニアウイルスプロモーターである。特に、プロモーターはワクシニアウイルス後期プロモーターであってもよく、後期プロモーターの制御下での発現は、複製サイクルにおけるより後期の段階に発現を拘束して、それによって癌の選択性の増強が起こる(後期遺伝子発現は正常な組織では最小でなければならず、または存在しない)。遺伝子発現はまた、遺伝子発現の期間およびレベルを最大限にするために合成の初期-後期プロモーターの下で制御されうる。参照により本明細書に組み入れられる、Mastrangelo et al., 1999。

0111

分子生物学の当業者は、タンパク質を発現させるためにプロモーター、エンハンサー、および細胞タイプの組み合わせを用いることを一般的に承知しており、例えば、参照として本明細書に組み入れられる、Sambrookら(1989)を参照されたい。用いられるプロモーターは、組換え型蛋白質および/またはペプチドの大規模産生において都合がよいように、構成的、組織特異的、誘導型および/または導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指示するための適当な条件下で有用であってもよい。プロモーターは異種または内因性であってもよい。ウイルスは細胞質で複製するため、特定のプロモーターは、細胞質において活性でありうるものである。

0112

表2は、遺伝子の発現を調節するために本発明の特定の態様の状況において用いてもよいいくつかの要素/プロモーターを記載する。この一覧は、発現の促進に関与する起こりうる全ての要素を網羅することを意図しておらず、単なる例に過ぎない。表3は、特異的刺激に反応して活性化することができる核酸配列の領域である誘導型要素の例を提供する。

0113

(表2)プロモーターおよび/またはエンハンサー

0114

(表3)誘導型要素

0115

組織特異的プロモーターまたは要素の同一性は、その活性の特徴を調べるアッセイと共に、当業者に周知である。そのような領域の例には、ヒトLIMK2遺伝子(Nomotoら、1999)、ソマトスタチン受容体2遺伝子(Krausら、1998)、マウス精巣上体レチン酸結合遺伝子(Lareyreら、1999)、ヒトCD4(Zhao-Emonetら、1998)、マウスα2(XI)コラーゲン(Tsumakiら、1998)、D1Aドーパミン受容体遺伝子(Leeら、1997)、インスリン様増殖因子II(Wuら、1997)、ヒト血小板内皮細胞接着分子-1(Almendroら、1996)、およびSM22αプロモーターが含まれる。

0116

デクチン-1およびデクチン-2プロモーターも同様に、本発明において有用であると企図される。本発明と共に用いることができるさらなるウイルスプロモーター、細胞プロモーター/エンハンサーおよび誘導型プロモーター/エンハンサーを、表2および3に記載する。さらに、任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(真核細胞プロモーターデータベースEPDBによる)も同様に、オリゴ糖プロセシング酵素、タンパク質折りたたみ補助タンパク質、選択マーカータンパク質、または対象異種タンパク質をコードする構造遺伝子の発現を促進するために用いることができるであろう。または、癌の遺伝子治療のため(表4)および腫瘍のターゲティングのため(表5)の組織特異的プロモーターを、本発明の核酸分子と共に用いてもよい。

0117

(表4)癌の遺伝子治療の候補となる組織特異的プロモーター

0118

(表5)腫瘍の組織特異的ターゲティングに用いられる候補プロモーター

0119

2.開始シグナルおよびリボソーム内部認識部位
特異的開始シグナルも同様に、コード配列の効率的な翻訳にとって必要であるかも知れない。これらのシグナルには、ATG開始コドンまたは隣接配列が含まれる。ATG開始コドンを含む外因性の翻訳制御シグナルを提供する必要があるかも知れない。当業者は、容易にこれを決定して、必要なシグナルを提供することができるであろう。開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために所望のコード配列の読み取り枠と「フレームが一致して」いなければならない。外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは天然または合成のいずれかとなりうる。発現効率は、適当な転写エンハンサー要素を含めることによって増強してもよい。

0120

本発明の特定の態様において、リボソーム内部認識配列(IRES)要素を用いることは、多遺伝子の、または多シストロン性のメッセージを作製するために用いられる。IRES要素は、5'-メチル化Cap依存的翻訳のリボソームスキャニングモデルを迂回して、内部部位で翻訳を開始することができる(Pelletier and Sonenberg、1988)。ピコルナウイルス科の二つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎ウイルス)からのIRES要素(Pelletier and Sonenberg、1988)と共に、哺乳類のメッセージからのIRES(Macejak and Sarnow、1991)が記述されている。IRES要素は、異種オープンリーディングフレームに結合させることができる。それぞれがIRESによって隔てられた多数のオープンリーディングフレームを共に転写することができ、多シストロン性メッセージを作製することができる。IRES要素によって、それぞれのオープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームにアクセス可能である。単一のプロモーター/エンハンサーを用いて、単一のメッセージを転写するために、多数の遺伝子を効率よく発現させることができる(参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,925,565号および第5,935,819号を参照されたい)。

0121

3.多クローニング部位
ベクターには、多数の制限酵素部位を含む核酸領域であって、そのいずれもがベクターを消化するために標準的な組換え技術と共に用いることができる多クローニング部位(MCS)が含まれうる。(参照として本明細書に組み入れられる、Carbonelliら、1999、Levensonら、1998、およびCocea、1997を参照されたい)。「制限酵素消化」は、核酸分子における特定の位置に限って機能する酵素によって核酸分子を触媒的に切断することを指す。これらの制限酵素の多くは市販されている。そのような酵素を用いることは当業者に広く理解されている。しばしば、ベクターは、外因性の配列をベクターにライゲーションできるように、MCS内で切断する制限酵素を用いて直線または断片にする。「ライゲーション」とは、互いに隣接してもしなくてもよい二つの核酸断片のあいだのホスホジエステル結合を形成するプロセスを指す。制限酵素およびライゲーション反応を含む技術は、組換え技術の当業者に周知である。

0122

4.スプライシング部位
ほとんどの転写された真核細胞RNA分子は、一次転写物からイントロンを除去するためにRNAスプライシングを受けるであろう。ゲノム真核細胞配列を含むベクターは、タンパク質発現のために転写物の適切なプロセシングを確実にするためにドナーおよび/またはアクセプタースプライシング部位を必要とする可能性がある(参照として本明細書に組み入れられる、Chandlerら、1997を参照されたい)。

0123

5.終結シグナル
本発明のベクターまたは構築物は一般的に、少なくとも一つの終結シグナルを含むであろう。「終結シグナル」または「ターミネータ」は、RNAポリメラーゼによってRNA転写物の特異的終結に関係するDNA配列を含む。このように、特定の態様において、RNA転写物の産生で終結する終結シグナルが企図される。ターミネータは、所望のメッセージレベルを得るためにインビボで必要となる可能性がある。

0124

真核細胞系において、ターミネータ領域はまた、ポリアデニル化部位を曝露するために、新しい転写物の部位特異的切断を可能にする特異的DNA配列を含んでもよい。これは、転写物の3'末端に約200 A残基(ポリA)の枝を付加するように専門的な内因性ポリメラーゼにシグナルを送る。このポリAテールによって改変されたRNA分子は、より安定でより効率的に翻訳されるように思われる。このように、真核細胞を含む他の態様において、ターミネータは、RNAの切断のためのシグナルを含むことが好ましく、ターミネータシグナルは、メッセージのポリアデニル化を促進することがより好ましい。ターミネータおよび/またはポリアデニル化部位要素は、メッセージレベルを増強して、および/または他の配列へのカセットから読み過ごしを最小限にするように作用しうる。

0125

本発明において用いることが企図されるターミネータは、例えばウシ成長ホルモンターミネータまたはウイルス終結配列、例えばSV40ターミネータのような遺伝子の終結配列が含まれるがこれらに限定されない、本明細書に記述のまたは当業者に既知の任意の既知の転写ターミネータが含まれる。特定の態様において、終結シグナルは、配列の切断によるような、転写可能なまたは翻訳可能な配列の欠如であってもよい。

0126

6.ポリアデニル化シグナル
発現において、特に真核細胞発現において、典型的に、転写物の適当なポリアデニル化を行うためにポリアデニル化シグナルを含めるであろう。ポリアデニル化シグナルの特性は、本発明の実践の成功にとって重要ではないと考えられ、および/またはそのような如何なる配列を用いてもよい。好ましい態様には、様々な標的細胞において都合がよく、および/または十分に機能することがわかっている、SV40ポリアデニル化シグナルおよび/またはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルが含まれる。ポリアデニル化は、転写物の安定性を増加させる可能性があり、または細胞質輸送を促進する可能性がある。

0127

7.複製開始点
宿主細胞においてベクターを増殖させるために、ベクターは、複製が開始される特異的核酸配列である一つまたはそれ以上の複製開始部位(しばしば「ori」と呼ばれる)を含んでもよい。または、宿主細胞が酵母である場合、自律的に複製する配列(ARS)を用いることができる。

0128

8.選択およびスクリーニング可能なマーカー
本発明の特定の態様において、本発明の核酸構築物を含む細胞は、発現ベクターにマーカーを含めることによってインビトロまたはインビボで同定してもよい。そのようなマーカーは、細胞に対して同定可能な変更を付与して、発現ベクターを含む細胞の容易な同定を可能にするであろう。一般的に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を付与するマーカーである。陽性選択マーカーは、マーカーが存在することによって選択が可能となるマーカーであり、陰性選択マーカーは、マーカーが存在することによってその選択が妨害されるマーカーである。陽性選択マーカーの例は、薬物耐性マーカーである。

0129

通常、薬物選択マーカー、例えば、ネオマイシンピューロマイシン、ヒグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、およびヒスチジノールに対する抵抗性を付与する遺伝子を含めることは、形質転換体のクローニングおよび同定に役立つ。条件の実行に基づいて形質転換体の識別を可能にする表現型を付与するマーカーの他に、その基礎が比色分析であるGFPのようなスクリーニング可能なマーカーを含む他のタイプのマーカーも同様に企図される。または、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼCAT)のようなスクリーニング可能な酵素を用いてもよい。当業者は同様に、おそらくFACS分析に関連して免疫学的マーカーを用いる方法を承知しているであろう。用いられるマーカーは、それが遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現されうる限り、重要ではないと考えられる。選択およびスクリーニング可能なマーカーのさらなる例は、当業者に周知である。

0130

D.核酸の検出
ポックスウイルスタンパク質、ポリペプチド、および/またはペプチドの発現を指示するために用いられる他に、本明細書に開示の核酸配列は、多様な他の用途を有する。例えば、それらは、核酸ハイブリダイゼーションを含む態様に関してプローブまたはプライマーとして有用性を有する。それらは、本発明の診断またはスクリーニング法において用いてもよい。ポックスウイルスまたはポックスウイルスポリペプチド調節物質をコードする核酸の検出は本発明に含まれる。

0131

1.ハイブリダイゼーション
長さが13〜100ヌクレオチド、好ましくは17〜100ヌクレオチド、または本発明のいくつかの局面において長さが1〜2キロベースもしくはそれ以上のプローブまたはプライマーを用いることによって、安定かつ選択的な二本鎖分子が形成される。長さが20塩基より大きい隣接する枝に対して相補的配列を有する分子は、得られたハイブリッド分子の安定性および/または選択性を増加させるために一般的に好ましい。一般的に20〜30ヌクレオチド、または望ましい場合にはそれより長い一つまたはそれ以上の相補的配列を有する核酸分子をハイブリダイゼーションのために設計することが好まれるであろう。そのような断片は、例えば化学的手段によって断片を直接合成することによって、または選択した配列を組換え産生のために組換えベクターに導入することによって、容易に調製されるであろう。

0132

したがって、本発明のヌクレオチド配列は、DNAおよび/またはRNAの相補鎖による二本鎖分子の選択的形成能のために、または試料からDNAもしくはRNAの増幅のためのプライマーを提供するために用いてもよい。想像される応用に応じて、標的配列に関するプローブまたはプライマーの多様な程度の選択性を得るために、多様なハイブリダイゼーション条件を用いることが望まれるであろう。

0133

高い選択性を必要とする応用の場合、典型的に比較的高いストリンジェンシー条件を用いてハイブリッドを形成することが望まれるであろう。例えば、温度約50℃〜約70℃で約0.02M〜約0.10M NaClによって提供されるように、比較的低い塩濃度および/または高い温度条件。そのような高ストリンジェンシー条件は、あるとしてもプローブまたはプライマーと鋳型または標的鎖とのミスマッチをほとんど認容せず、特異的遺伝子を単離するために、または特異的mRNA転写物を検出するために特に適しているであろう。一般的に、条件は、ホルムアミドの増加量を加えることによってよりストリンジェントにすることができる。

0134

特定の応用に関して、例えば部位特異的変位誘発の場合、より低いストリンジェンシー条件が好ましいことが認識されている。これらの条件では、ハイブリダイズする鎖が完全には相補的でないが、一つまたはそれ以上の位置でミスマッチを有する場合でも、ハイブリダイゼーションが起こる可能性がある。塩濃度を増加させることによって、および/または温度を低下させることによって条件をよりストリンジェントでないようにしてもよい。例えば、中間のストリンジェンシー条件は、温度約37℃〜約55℃で約0.1〜0.25M NaClによって提供されうるが、低ストリンジェンシー条件は、温度範囲約20℃〜約55℃で約0.15M〜約0.9Mの塩濃度によって提供されうるであろう。ハイブリダイゼーション条件は、所望の結果に応じて容易に操作することができる。

0135

他の態様において、ハイブリダイゼーションは、例えば、温度約20℃〜約37℃で50mMトリス塩酸(pH 8.3)、75mM KCl、3mM MgCl2、1.0mMジチオスレイトールの条件で行ってもよい。利用される他のハイブリダイゼーション条件には、温度範囲が約40℃〜約72℃で約10mMトリス塩酸(pH 8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2が含まれうるであろう。

0136

特定の態様において、ハイブリダイゼーションを決定するための標識のような適当な手段と組み合わせて本発明の既定の配列の核酸を用いることが都合がよいであろう。蛍光放射活性、酵素、またはアビジンビオチンのような他のリガンドを含む、検出されうる広範な適当な指標手段が当技術分野で既知である。好ましい態様において、放射活性または他の環境的に望ましくない試薬の代わりに、蛍光標識またはウレアーゼアルカリホスファターゼ、もしくはペルオキシダーゼのような酵素タグを用いることが望まれるかも知れない。酵素タグの場合、相補的核酸含有試料との特異的ハイブリダイゼーションを同定するために肉眼的または分光光度法によって検出可能である検出手段を提供するために用いることができる、比色指標基質が知られている。

0137

一般的に、本明細書に記述のプローブまたはプライマーは、PCR(商標)の場合のように対応する遺伝子の発現を検出するための溶液ハイブリダイゼーションにおける試薬としてのみならず、固相を用いる態様においても有用であろう。固相を含む態様において、試験DNA(またはRNA)を、選択されたマトリクスまたは表面上に吸着またはそうでなければ固定する。次に、この固定された一本鎖核酸を、所望の条件で、選択したプローブとハイブリダイズさせる。選択する条件は、特定の状況に依存するであろう(例えば、G+C含量、標的核酸のタイプ、核酸の起源、ハイブリダイゼーションプローブの大きさ等に応じて)。対象となる特定の応用に関するハイブリダイゼーション条件の最適化は当業者に周知である。非特異的結合プローブ分子を除去するためにハイブリダイズした分子を洗浄後、結合標識量を決定することによって、ハイブリダイゼーションを検出、および/または定量する。代表的な固相ハイブリダイゼーション法は、米国特許第5,843,663号、第5,900,481号、および第5,919,626号に開示される。本発明の実践において用いてもよい他のハイブリダイゼーション法は、米国特許第5,849,481号、第5,849,486号、および第5,851,772号に開示される。明細書の本章において同定されたこれらおよび他の参考文献の関連する部分は、参照として本明細書に組み入れられる。

0138

2.核酸の増幅
増幅の鋳型として用いられる核酸は、標準的な方法論に従って(Sambrookら、1989)細胞、組織、または他の試料から単離してもよい。特定の態様において、鋳型核酸を実質的に精製することなく、細胞全体もしくは組織ホモジネート、または生体液試料について分析を行う。核酸は、ゲノムDNAまたは分画もしくは全細胞RNAであってもよい。RNAを用いる場合、まずRNAを相補的DNAに変換することが望ましいかも知れない。

0139

本明細書において用いられる「プライマー」という用語は、鋳型依存的プロセスにおいて新生核酸の合成をプライミングすることができる任意の核酸を含むことを意味する。典型的に、プライマーは、長さが10〜20および/または30塩基対のオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列を用いることができる。プライマーは二本鎖および/または一本鎖型で提供してもよいが、一本鎖型が好ましい。

0140

本明細書において同定された遺伝子の配列に対応する核酸と選択的にハイブリダイズするように設計されたプライマー対を、選択的ハイブリダイゼーションを許容する条件で鋳型核酸に接触させる。所望の応用に応じて、プライマーと完全に相補的である配列とのハイブリダイゼーションに限って可能にする高ストリンジェンシー条件を選択してもよい。他の態様において、ハイブリダイゼーションは、プライマー配列と一つまたはそれ以上のミスマッチを含む核酸の増幅を可能にするためにより低いストリンジェンシー条件で行ってもよい。ハイブリダイズした後、鋳型プライマー複合体を、鋳型依存的核酸合成を促進するために一つまたはそれ以上の酵素に接触させる。増幅産物の十分量が産生されるまで、「サイクル」とも呼ばれる多数回の増幅ラウンドを行う。

0141

増幅産物は、検出または定量してもよい。特定の応用において、検出は視覚的手段によって行ってもよい。または検出は、化学発光、組み入れた放射標識の放射活性シンチグラフィーもしくは蛍光標識、または電気および/または熱衝撃シグナルを用いる系による産物の間接的な同定を含んでもよい(Bellus、1994)。

0142

所定の鋳型試料に存在するオリゴヌクレオチド配列を増幅するために、多くの鋳型依存的プロセスが利用できる。最もよく知られている増幅法の一つは、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号ならびにInnisら、1988に詳細に記載されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR(商標)と呼ばれる)である。

0143

逆転写酵素PCR(商標)増幅技法は、増幅されたmRNAの量を定量するために行ってもよい。RNAをcDNAに逆転写する方法は周知である(Sambrookら、1989を参照されたい)。逆転写酵素に関するもう一つの方法は、熱安定DNAポリメラーゼを利用する。これらの方法は、国際公開公報第90/07641号に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当技術分野で周知である。代表的なRT-PCR法は米国特許第5,882,864号に記載されている。

0144

もう一つの増幅法は、その全文が参照として本明細書に組み入れられる、欧州特許出願第320 308号に開示されるリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。米国特許第4,883,750号は、標的配列にプローブ対を結合させるためにLCRと類似の方法を記述している。米国特許第5,912,148号に開示されるPCR(商標)およびオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ(OLA)に基づく方法も同様に用いてもよい。

0145

本発明の実践において用いてもよい標的核酸配列を増幅するもう一つの方法は、そのそれぞれの全文が参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,843,650号、第5,846,709号、第5,846,783号、第5,849,546号、第5,849,497号、第5,849,547号、第5,858,652号、第5,866,366号、第5,916,776号、第5,922,574号、第5,928,905号、第5,928,906号、第5,932,451号、第5,935,825号、第5,939,291号、および第5,942,391号、英国特許出願第2 202 328号、ならびにPCT出願番号PCT/US89/01025号に開示されている。

0146

PCT出願PCT/US87/00880号に記載されるQβレプリカーゼも同様に、本発明における増幅法として用いてもよい。この方法において、標的の領域と相補的である領域を有するRNAの複製配列を、RNAポリメラーゼの存在下で試料に加える。ポリメラーゼは複製配列をコピーして、次にこれを検出してもよい。

0147

制限部位の一つの鎖にヌクレオチド5'-[α-チオ]-三燐酸を含む標的分子の増幅を得るために制限酵素とリガーゼとを用いる等温増幅法もまた、本発明において核酸を増幅するために有用となる可能性がある(Walkerら、1992)。米国特許第5,916,779号に開示される鎖置換増幅(SDA)は、鎖の置換および合成のラウンド、すなわちニックトランスレーションを多数回含む核酸の等温増幅を行うためのもう一つの方法である。

0148

他の核酸増幅法には、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SR(その全文が参照として本明細書に組み入れられる、Kwohら、1989;PCT出願国際公開公報第88/10315号)を含む、転写に基づく増幅システム(TAS)が含まれる。欧州特許出願第329 822号は、本発明に従って用いてもよい一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)を繰り返し合成することを含む核酸増幅プロセスを開示している。

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