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技術 遮音度測定用伝達特性生成方法、遮音度測定用伝達特性生成装置、遮音度測定方法および遮音度測定装置

出願人 日産自動車株式会社
発明者 後藤昌也山中高章
出願日 2012年3月8日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2012-052017
公開日 2013年9月19日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2013-185999
状態 特許登録済
技術分野 機械的振動・音波の測定 他に分類されない音響(残響,カラオケ等)
主要キーワード 高周波騒音 遮音度 正十二面体 伝達関数式 完成車両 シミュレーション解析 遮音部材 仮想点
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

演算量を膨大にすることなく、高周波発生部品に対する遮音性能の測定を可能とする遮音度測定装置を提供する。

解決手段

遮音度測定装置1は、スピーカー10と、マイク20と、制御部40とを有する。スピーカー10は、複数の音源を有する。マイク20は、スピーカー10からの音を受音して、音響レベルを測定する。制御部40は、スピーカー10およびマイク20の位置関係と、遮音度測定用伝達特性とに基づいて、スピーカー10とマイク20との間に障害物がない場合にマイク20で受音される仮想受音レベルを算出し、算出した仮想受音レベルと、マイク測定された受音レベルとに基づいて、遮音度を算出する。

概要

背景

従来のガソリン車は、エンジン等の騒音車室内侵入することを抑制するため、車体には遮音部材吸音部材を設けている。遮音部材や吸音部材によりどの程度騒音の侵入が抑制されているのか、遮音性能という性能指標で定量的に評価する必要がある。

車両の遮音性能を計測する場合に利用される一般的な手法としては、相反定理を用いて遮音性能を計測する手法がある。相反定理とは、音源受音源との位置を反対にしても、受音源による受音レベルは変わらないという定理である。たとえば、車両室内に騒音相当の音を出力するスピーカーを配置し、エンジン部分にマイクを配置して、スピーカーからマイクに伝わる音の伝達関数を計測する。

上記手法の場合、マイクは、エンジン等の騒音発生部品に取り付けられる。騒音発生部品は、車両の異なる部分に配置されているので、スピーカーは点音源のように、どの方向にも同じ音響レベルで音を伝達する性質を有する必要がある。点音源でなく指向性があると、スピーカーの向き、あるいは騒音部品の位置によって、伝達される音響レベルが異なり、定量的に遮音性能が測定できない。

スピーカーの振動は面で発生できるが点では発生できない。このため、スピーカーは厳密には点音源にはならない。ところが、スピーカーから出力される音が数千Hz以下の低周波であるときにはスピーカーから周囲に拡散する音に指向性はほとんどなく、点音源とみなすことができる。たとえば、エンジンの騒音に相当する低周波の音は指向性が少ないことから、既存のスピーカーから低周波音を出力すれば、そのスピーカーは点音源のように振る舞い、エンジンの騒音に対する遮音性能が測定できる。また、車両の遮音性能を評価する方法としては、たとえば、特許文献1のように、有限要素法を使って厳密に演算する技術も知られている。

概要

演算量を膨大にすることなく、高周波発生部品に対する遮音性能の測定を可能とする遮音度測定装置を提供する。遮音度測定装置1は、スピーカー10と、マイク20と、制御部40とを有する。スピーカー10は、複数の音源を有する。マイク20は、スピーカー10からの音を受音して、音響レベルを測定する。制御部40は、スピーカー10およびマイク20の位置関係と、遮音度測定用伝達特性とに基づいて、スピーカー10とマイク20との間に障害物がない場合にマイク20で受音される仮想受音レベルを算出し、算出した仮想受音レベルと、マイク測定された受音レベルとに基づいて、遮音度を算出する。

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、演算量を膨大にすることなく、高周波発生部品に対する遮音性能の測定を可能とする遮音度測定用伝達特性生成方法、遮音度測定用伝達特性生成装置、遮音度測定方法および遮音度測定装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

複数の第1仮想点を有する剛体と、前記剛体から所定距離離れて立体的に配置される複数の第2仮想点とを仮想し、前記第1仮想点および前記2仮想点の一方を音を発生する音源とし、他方を音を受音する受音源として、前記音源から前記受音源への音の伝達特性を、伝達関数を用いてシミュレーションする第1工程と、前記剛体と、前記剛体から所定距離離れて同一平面上に配置される複数の第3仮想点とを仮想し、前記第1仮想点および前記3仮想点の一方を音を発生する音源とし、他方を音を受音する受音源として、前記音源から前記受音源への音の伝達特性を、伝達関数を用いてシミュレーションする第2工程と、前記剛体の第1仮想点と同じ位置関係に配置される複数の音源を有するスピーカーと、前記剛体に対する複数の前記第3仮想点と同じ姿勢で前記スピーカーからの音を受音するマイクとを、少なくとも前記スピーカーと前記マイクとの間に障害物がない空間に用意し、前記スピーカーから発生された音を前記マイクにより受音して、前記スピーカーからの音の伝達特性を検出する第3工程と、前記第3工程において検出された伝達特性と合致するように、前記第2工程においてシミュレーションされた伝達特性を補正するための補正値を算出する第4工程と、前記第4工程で算出された補正値に基づいて、前記第1工程において演算された音の伝達特性を補正して、遮音度測定用伝達特性を生成する第5工程と、を有することを特徴とする遮音度測定用伝達特性生成方法

請求項2

前記第1工程において、複数の前記第2仮想点は、前記剛体から等立体角に配置されており、前記第2工程において、複数の前記第3仮想点は、同一平面上に等角に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の遮音度測定用伝達特性生成方法。

請求項3

複数の音源を有するスピーカーと、前記スピーカーからの音を受音して、音響レベルを測定するマイクと、前記スピーカーおよび前記マイクを制御すると共に、音の伝達特性をシミュレーションする制御部と、を有し、前記制御部は、複数の第1仮想点を有する剛体と、前記剛体から所定距離離れて立体的に配置される複数の第2仮想点とを仮想し、前記第1仮想点および前記2仮想点の一方を音を発生する音源とし、他方を音を受音する受音源として、前記音源から前記受音源への音の伝達特性を、伝達関数を用いてシミュレーションし、前記剛体と、前記剛体から所定距離離れて同一平面上に配置される複数の第3仮想点とを仮想し、前記第1仮想点および前記3仮想点の一方を音を発生する音源とし、他方を音を受音する受音源として、前記音源から前記受音源への音の伝達特性を、伝達関数を用いてシミュレーションし、前記剛体の第1仮想点と同じ位置関係に前記スピーカーの複数の音源が配置された状態で、前記剛体に対する複数の前記第3仮想点と同じ姿勢で配置された前記マイクにより前記スピーカーからの音を受音させ、前記スピーカーからの音の伝達特性を検出し、検出された前記伝達特性と合致するように、シミュレーションされてできた前記伝達特性を補正するための補正値を算出し、算出した補正値に基づいて、前記伝達特性を補正して、遮音度測定用伝達特性を生成することを特徴とする遮音度測定用伝達特性生成装置

請求項4

測定環境に設置された請求項1に記載のスピーカーとマイクとについて、前記スピーカーからの音を前記マイクにより受音して、受信レベルを測定する測定工程と、前記スピーカーおよび前記マイクの位置関係と、請求項1に記載の遮音度測定用伝達特性とに基づいて、前記スピーカーおよび前記マイクとの間に障害物がない場合に前記マイクで受音される仮想受音レベルを算出する算出工程と、前記測定工程において測定された受音レベルと、前記算出工程において算出された仮想受音レベルに基づいて、遮音度を算出する遮音度測定工程と、を有することを特徴とする遮音度測定方法

請求項5

複数の音源を有するスピーカーと、前記スピーカーからの音を受音して、音響レベルを測定するマイクと、前記スピーカーおよび前記マイクの位置関係と、請求項1に記載の遮音度測定用伝達特性とに基づいて、前記スピーカーと前記マイクとの間に障害物がない場合に前記マイクで受音される仮想受音レベルを算出し、算出した前記仮想受音レベルと、前記マイク測定された受音レベルとに基づいて、遮音度を算出する制御部と、を有することを特徴とする遮音度測定装置

技術分野

0001

本発明は、遮音度測定用伝達特性生成方法、遮音度測定用伝達特性生成装置、遮音度測定方法および遮音度測定装置に関する。

背景技術

0002

従来のガソリン車は、エンジン等の騒音車室内侵入することを抑制するため、車体には遮音部材吸音部材を設けている。遮音部材や吸音部材によりどの程度騒音の侵入が抑制されているのか、遮音性能という性能指標で定量的に評価する必要がある。

0003

車両の遮音性能を計測する場合に利用される一般的な手法としては、相反定理を用いて遮音性能を計測する手法がある。相反定理とは、音源受音源との位置を反対にしても、受音源による受音レベルは変わらないという定理である。たとえば、車両室内に騒音相当の音を出力するスピーカーを配置し、エンジン部分にマイクを配置して、スピーカーからマイクに伝わる音の伝達関数を計測する。

0004

上記手法の場合、マイクは、エンジン等の騒音発生部品に取り付けられる。騒音発生部品は、車両の異なる部分に配置されているので、スピーカーは点音源のように、どの方向にも同じ音響レベルで音を伝達する性質を有する必要がある。点音源でなく指向性があると、スピーカーの向き、あるいは騒音部品の位置によって、伝達される音響レベルが異なり、定量的に遮音性能が測定できない。

0005

スピーカーの振動は面で発生できるが点では発生できない。このため、スピーカーは厳密には点音源にはならない。ところが、スピーカーから出力される音が数千Hz以下の低周波であるときにはスピーカーから周囲に拡散する音に指向性はほとんどなく、点音源とみなすことができる。たとえば、エンジンの騒音に相当する低周波の音は指向性が少ないことから、既存のスピーカーから低周波音を出力すれば、そのスピーカーは点音源のように振る舞い、エンジンの騒音に対する遮音性能が測定できる。また、車両の遮音性能を評価する方法としては、たとえば、特許文献1のように、有限要素法を使って厳密に演算する技術も知られている。

先行技術

0006

特開2010−230584号公報

発明が解決しようとする課題

0007

近年、EVHEVといったモータ駆動力とする車両が様々な自動車メーカで開発されている。これらの車両に搭載されるモータ、インバータ、DC/DCコンバータバッテリ等からエンジンのみで駆動する車両には無い10KHZにわたる高周波異音が問題となるようになってきた。車両設計においては,これらの部品から発生したノイズが車室内へ到来する際の音圧レベル事前予測するため,音源から受音点までの伝達関数を計測することで,各部品での音圧レベルの目標値の割り付け,及び完成車両達成度評価を行っており,高周波領域でも同様に,精度良く遮音性能を計測することが求められる。

0008

ここで、高周波音、たとえば、10kHz以上の音になると低周波とは異なって指向性を持つようになり、上述の低周波のように点音源のようには振る舞わない。したがって、車両室内にモータの騒音相当の音を出力するスピーカーを配置し、モータ部分にマイクを配置した場合、スピーカーとマイクとの距離や相対的な姿勢が変わると、マイクの受音レベルが変わってしまう。高周波音については、スピーカーを点音源と見なしていた従来の遮音性能測定方法が使えないという問題がある。

0009

また、特許文献1のように有限要素法を用いて解析する場合、演算量が膨大となり、処理に多大な時間がかかってしまうという問題がある。

0010

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、演算量を膨大にすることなく、高周波発生部品に対する遮音性能の測定を可能とする遮音度測定用伝達特性生成方法、遮音度測定用伝達特性生成装置、遮音度測定方法および遮音度測定装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

上記目的を達成するための本発明に係る遮音度測定用伝達特性生成方法は、複数の第1仮想点を有する剛体と、前記剛体から所定距離離れて立体的に配置される複数の第2仮想点とを仮想し、前記第1仮想点および前記2仮想点の一方を音を発生する音源とし、他方を音を受音する受音源として、前記音源から前記受音源への音の伝達特性を、剛球体周りの音の伝搬式を用いてシミュレーションし、前記剛体と、前記剛体から所定距離離れて同一平面上に配置される複数の第3仮想点とを仮想し、前記第1仮想点および前記3仮想点の一方を音を発生する音源とし、他方を音を受音する受音源として、前記音源から前記受音源への音の伝達特性を、剛球体周りの音の伝搬式を用いてシミュレーションし、前記剛体の第1仮想点と同じ位置関係に配置される複数の音源を有するスピーカーと、前記剛体に対する複数の前記第3仮想点と同じ姿勢で前記スピーカーからの音を受音するマイクとを、少なくとも前記スピーカーと前記マイクとの間に障害物がない空間に用意し、前記スピーカーから発生された音を前記マイクにより受音して、前記スピーカーからの音の伝達特性を検出し、検出された伝達特性と合致するように、シミュレーションされた伝達特性を補正するための補正値を算出し、算出された補正値に基づいて、演算された音の伝達特性を補正して、遮音度測定用伝達特性を生成する。

0012

上記目的を達成するための本発明に係る遮音度測定用伝達特性生成装置は、スピーカーと、マイクと、制御部とを有する。スピーカーは、複数の音源を有する。マイクは、前記スピーカーからの音を受音して、音響レベルを測定する。制御部は、前記スピーカーおよび前記マイクを制御すると共に、音の伝達特性をシミュレーションする。さらに、制御部は、複数の第1仮想点を有する剛体と、前記剛体から所定距離離れて立体的に配置される複数の第2仮想点とを仮想し、前記第1仮想点および前記2仮想点の一方を音を発生する音源とし、他方を音を受音する受音源として、前記音源から前記受音源への音の伝達特性を、剛球体周りの音の伝搬式を用いてシミュレーションし、前記剛体と、前記剛体から所定距離離れて同一平面上に配置される複数の第3仮想点とを仮想し、前記第1仮想点および前記3仮想点の一方を音を発生する音源とし、他方を音を受音する受音源として、前記音源から前記受音源への音の伝達特性を、剛球体周りの音の伝搬式を用いてシミュレーションし、前記剛体の第1仮想点と同じ位置関係に前記スピーカーの複数の音源が配置された状態で、前記剛体に対する複数の前記第3仮想点と同じ姿勢で配置された前記マイクにより前記スピーカーからの音を受音させ、前記スピーカーからの音の伝達特性を検出し、検出された前記伝達特性と合致するように、シミュレーションされてできた前記伝達特性を補正するための補正値を算出し、算出した補正値に基づいて、前記伝達特性を補正して、遮音度測定用伝達特性を生成する。

0013

上記目的を達成するための本発明に係る遮音度測定方法は、測定環境に設置された前述のスピーカーとマイクとについて、前記スピーカーからの音を前記マイクにより受音して、受信レベルを測定し、前記スピーカーおよび前記マイクの位置関係と、前述の遮音度測定用伝達特性とに基づいて、前記スピーカーおよび前記マイクとの間に障害物がない場合に前記マイクで受音される仮想受音レベルを算出し、前記測定工程において測定された受音レベルと、前記算出工程において算出された仮想受音レベルに基づいて、遮音度を算出する。

0014

上記目的を達成するための本発明に係る遮音度測定装置は、スピーカーと、マイクと、制御部とを有する。スピーカーは、複数の音源を有する。マイクは、前記スピーカーからの音を受音して、音響レベルを測定する。制御部は、前記スピーカーおよび前記マイクの位置関係と、請求項1に記載の遮音度測定用伝達特性とに基づいて、前記スピーカーと前記マイクとの間に障害物がない場合に前記マイクで受音される仮想受音レベルを算出し、算出した前記仮想受音レベルと、前記マイク測定された受音レベルとに基づいて、遮音度を算出する。

発明の効果

0015

遮音度測定用伝達特性生成方法および遮音度測定用伝達特性生成装置によれば、シミュレーション結果と測定結果に基づいて、スピーカーからの音の伝達特性を生成するので、伝達特性が点音源的な振る舞いでなくても、正確に特性を再現できる。伝達特性のシミュレーションに、剛球体周りの音の伝搬式を用いるので、有限要素法などのように複雑な演算が必要なく、伝達特性を求めることができる。

0016

遮音度測定方法および遮音度測定装置によれば、スピーカーおよびマイクの位置関係と、遮音度測定用伝達特性とに基づいて、障害物により音が低減されない仮想受音レベルを算出し、受音レベルと比べることで、定量的に遮音度を算出できる。

図面の簡単な説明

0017

遮音度測定装置の概略構成を示すブロック図である。
スピーカーの外観を示す図である。
スピーカーの音の伝達特性を測定する様子を示す図である。
スピーカーの伝達特性の測定結果を示す図である。
遮音度測定用伝達特性を生成する手順を示すフローチャートである。
音の伝達特性を立体的にシミュレーションする際の音源および受音源を示す図である。
音の伝達特性を平面的にシミュレーションする際の音源および受音源を示す図である。
音の伝達特性のシミュレーション結果と測定結果との比較を表す図である。
遮音度測定装置のマイクとスピーカーを車両に設置した様子を示す図である。
遮音度測定手順の流れを示すフローチャートである。

実施例

0018

以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。

0019

図1は遮音度測定装置の概略構成を示すブロック図であり、図2はスピーカーの外観を示す図である。

0020

本実施形態の遮音度測定装置1は、騒音部品から発生される騒音を遮音する程度を測定するための装置である。本実施形態では、遮音度測定装置1が、車両における騒音部品についての遮音度を測定する例について説明する。

0021

遮音度測定装置1は、スピーカー10、マイク20、記憶部30および制御部40を有する。

0022

スピーカー10は、複数の音源を有する。スピーカー10は、たとえば、図2に示すように、正十二面体の各面に音源を有し、それぞれの音源から音を発生する。マイク20は、スピーカー10からの音を受音して、音響レベルを測定する。

0023

記憶部30は、スピーカー10により発生する音声データや、マイク20により受音した受音データを記憶する。また、記憶部30は、受音データをシミュレーション解析した結果や、遮音度を測定するために用いる伝達特性等も記憶する。制御部40は、スピーカー10、マイク20および記憶部30を制御する。

0024

(伝達特性)
本実施形態の遮音度測定装置1の具体的な動作の流れを説明する前に、上記のスピーカー10が音を伝達する特性(以下、伝達特性という)について説明する。

0025

図3はスピーカーの音の伝達特性を測定する様子を示す図であり、図4はスピーカーの伝達特性の測定結果を示す図である。

0026

スピーカー10の平面方向での音の伝達特性を測定する際には、スピーカー10の周りに、図2黒丸で示す位置にマイク20などの受音源を配置する。ただし、図2に示すように複数の位置にマイク20を設置するのは工数コストがかかる。したがって、図3に示すように、マイク20とスピーカー10とを所定距離離して配置し、スピーカー10を所定角度だけ回転させる度に、マイク20により受音することで、スピーカー10の周囲にマイク20があるのと同じ状況を実現できる。たとえば、マイク20から3m離れたスピーカー10を1度回転させるごとに、マイク20により受音した音響レベルを測定して、角度間の値を補完すると、図4に示すような伝達特性が得られる。

0027

図4では、スピーカー10から1kHzまたは10kHzの音を発生した場合の伝達特性を実線により示し、点音源を仮想した場合の伝達特性を一点鎖線により示している。1kHzの場合、図中左側に示すように、360度のどの方向でも10dB程度の音響レベルが得られ、伝達特性に歪がない。また、1kHzの場合、スピーカー10の伝達特性が点音源の伝達特性とほぼ一致している。これに対し、10kHzの場合、図中右側に示すように、位置によって音響レベルが異なり、伝達特性に歪があることがわかる。10kHzの場合、スピーカー10の伝達特性は、全方位5dB程度の点音源の伝達特性とは大きく異なる。このように、スピーカー10は、多面体に構成した場合、1kHz程度の周波数では点音源のように振る舞い、10kHz以上の高周波では点音源とは全く異なる伝達特性を有する。

0028

本実施形態の遮音度測定装置1は、高周波になるとスピーカー10からの伝達特性が歪むことを考慮しつつ、当該スピーカー10を使って、高周波騒音部品についての遮音性能を測定する。

0029

(遮音度測定用伝達特性の生成)
遮音度測定装置1を車両に実際に適用する前に、遮音度を測定するための基準となる伝達特性を生成する手順について説明する。

0030

図5は遮音度測定用伝達特性を生成する手順を示すフローチャート、図6は音の伝達特を立体的にシミュレーションする際の音源および受音源を示す図、図7は音の伝達特性を平面的にシミュレーションする際の音源および受音源を示す図、図8は音の伝達特性のシミュレーション結果と測定結果との比較を表す図である。なお、図5に示すフローチャートの手順は、記憶部30に記憶されているアプリケーションに従って、制御部40が実行する。

0031

制御部40は、スピーカー10から高周波音が発生された場合の伝達特性をシミュレーションする(ステップS1)。ここでは、図6に示すように、複数の第1仮想点12を有する剛球体50と、剛球体50から所定距離離れて等位角に配置される複数の第2仮想点22とを自由音場に仮想している。シミュレーションには、音を吸収したり反射したりする構成は考慮しない。剛球体50はスピーカー10に相当し、第1仮想点12はスピーカー10上の音源と同じ位置関係に配置され、第2仮想点22は、受音源であるマイク20に相当する。第2仮想点22は剛球体50から3m離れている。制御部40は、第1仮想点12で音を発生し第2仮想点22で受音した時の音響レベルを算出し、各第2仮想点22間を補完することで、伝達特性をシミュレーションする。

0032

ここで、音響レベルを算出するには以下の剛球体周りの音の伝搬式(1)を用いる。

0033

0034

Pn(x)はルジャドル(Legendre)関数
hn(2)(x)は第2種球ハンケル(球Hankel)関数、
kは波数である。

0035

なお、第1仮想点12は、剛球体50上において点対称に配置されているので、図6に示すように、半球側に第2仮想点22を配置すれば足りる。

0036

次に、制御部40は、スピーカー10から高周波音が発生された場合の伝達特性をシミュレーションする(ステップS2)。ここでは、図7に示すように、複数の第1仮想点12を有する剛球体50と、剛球体50から所定距離離れて同一平面上に等角に配置される複数の第3仮想点24とを仮想している。シミュレーションには、音を吸収したり反射したりする構成は考慮しない。剛球体50および第1仮想点12は図6と同様であり、第3仮想点24は、受音源であるマイク20に相当する。第3仮想点24は剛球体50から3m離れている。制御部40は、第1仮想点12で音を発生し第3仮想点24で受音した時の音響レベルを算出し、各第3仮想点24間を補完することで、伝達特性をシミュレーションする。シミュレーション結果は、たとえば、図8に一点鎖線で示す通りである。

0037

続けて、制御部40は、実際に配置されたマイク20およびスピーカー10を制御して、スピーカー10からの音をマイク20により受音して、伝達特性を検出する(ステップS3)。ここで、マイク20は、ステップS2における剛球体50に対する第3仮想点と同じ姿勢で、スピーカー10に対して同一平面上に配置される。図3に示すようにマイク20から3m離れた位置でスピーカー10を回転させることで、複数のマイク20がスピーカー10の周りの平面上にあるのと同じ条件を実現できる。マイク20は、図2に示すように実際に複数配置されてもよい。スピーカー10とマイク20とは、少なくとも間に障害物がない空間に、好ましくは無響室に配置される。検出された伝達特性は、たとえば、図8に実線で示す通りである。図8に示す通り、検出した伝達特性は、ステップS2で演算して得た伝達特性と類似の歪を有する。

0038

制御部40は、ステップS3で検出した実際の伝達特性と合致するように、ステップS2でシミュレーションした伝達特性を補正するための補正値(補正項)を算出する(ステップS4)。

0039

続けて、制御部40は、ステップS1で演算して得た伝達特性を、ステップS4で得た補正値を用いて補正し、遮音度測定用伝達特性を生成する(ステップS5)。生成された遮音度測定用伝達特性は、記憶部30に記憶される。ステップS5により生成された遮音度測定用伝達特性は、無響空間において、スピーカー10(剛球体)から任意の方向および距離のマイク20(受音源)で受音される音響レベルを示す。すなわち、遮音度測定用伝達特性によれば、スピーカー10の姿勢とマイク20の位置とが正確に与えられれば、マイク20により受音される音響レベルを推定できる。

0040

なお、上記のステップS1およびステップS2では、第1仮想点12と第2仮想点22または第3仮想点24との間が3mの場合でシミュレーションしている。しかし、3m以外に任意の距離に設定できる。いずれの距離に設定した場合でも、遮音度測定用伝達特性が一旦求まれば、音の減衰、拡散を考慮して、音源からいずれの距離、方向でも音響レベルを推定できる。

0041

(遮音度測定)
次に、遮音度測定装置1により遮音度を測定する手順について説明する。

0042

図9は遮音度測定装置のマイクとスピーカーを車両に設置した様子を示す図、図10は遮音度測定手順の流れを示すフローチャートである。なお、図10に示すフローチャートの手順は、記憶部30に記憶されているアプリケーションに従って、制御部40が実行する。

0043

図9に示すように、スピーカー10は、車両の室内空間に配置される。スピーカー10は、たとえば、運転席における運転者の顔の位置、助手席後部座席等に設置される。マイク20は、車体中のインバータ60およびDC/DCコンバータ62の付近に設置されている。マイク20毎に遮音度は測定される。スピーカー10の姿勢および、スピーカー10に対するマイク20の位置は既知であり、予め記憶部30に記憶されている。また、遮音度測定装置1の記憶部30には、インバータ60およびDC/DCコンバータ62から発生する騒音と同じ周波数の音が記憶されている。

0044

図10に示すように、制御部40は、スピーカー10により測定対象と同じ周波数の音声を発生し、マイク20により集音して、集音した音の音響レベルを測定する(ステップS11)。

0045

制御部40は、図5の手順により生成した遮音度測定用伝達特性と、スピーカー10およびマイク20の位置関係とに基づいて、同じ位置関係で無響空間にスピーカーおよびマイクがある場合にマイクで受音される仮想音響レベルを算出する(ステップS12)。仮想音響レベルは、遮音や吸音する部材が車体に全くない場合の音響レベルを示す。

0046

制御部40は、ステップS11で測定した音響レベルを、ステップS12で算出した仮想音響レベルにより除算して、遮音度として算出する(ステップS13)。

0047

以上のように、本実施形態によれば、シミュレーション結果と測定結果に基づいて、スピーカー10からの音の伝達特性(遮音度測定用伝達特性)を生成するので、伝達特性に歪があっても、遮音度測定用伝達特性により正確に再現できる。

0048

遮音度測定用伝達特性を使って算出した仮想音響レベルと、実際にマイク20により検出した音響レベルとを比較するので、定量的に遮音度を測定できる。換言すると、マイク20で実際に検出する音響レベルが位置によって異なるのに合わせて、遮音度測定用伝達特性も対応する位置で仮想音響レベルが異なる。たとえば、測定できる音響レベルが大きくなる位置では、遮音度測定用伝達特性により算出される仮想音響レベルも大きくなる。音響レベルと仮想音響レベルが同じ割合で大きくなり、あるいは小さくなるので、これらを相互に除算することで、歪による音響レベルの大小を除去した定量的な遮音度を測定できる。

0049

また、伝達関数式(1)を用いて伝達特性をシミュレーションしているので、有限要素法を採用する場合に比べて煩雑な演算が少なく、迅速に遮音度を測定できる。

0050

遮音度測定用伝達特性の生成の為のステップS1では、複数の第2仮想点22を等位角に配置しているので、第2仮想点22間を補完しやすい。ステップS2において、複数の第3仮想点24を同一平面上に等角に配置しているので、第3仮想点24間を補完しやすい。

0051

なお、上記実施形態では、遮音度測定用伝達特性の生成の為のステップS1において、第1仮想点12が音源に相当し、第2仮想点22が受音源に相当する場合について説明したが、これに限定されない。第1仮想点12がスピーカー10上の音源と同じ位置関係に配置される受音源に相当し、第2仮想点22が音源に相当するものとして、伝達特性を算出してもよい。相反定理により、自由音場では、第1仮想点12と第2仮想点22のいずれが音源、受音源でも、同じ特性が得られる。ステップS2においても同様である。

0052

上記実施形態では、正十二面体のスピーカー10を例示したが、これに限定されない。いかなる正多面体のスピーカーを適用してもよい。ただし、面数が多くなるにつれて、一面に配置できるスピーカーの大きさも小さくなる。したがって、遮音度を測定するための最低の音響レベルの確保を考慮して、面数は限定される。

0053

また、上記実施形態では、車両における遮音度を測定する場合について説明した。しかし、これに限定されない。本発明は、いかなる設備や装置、環境における遮音度の測定にも適用できる。

0054

1遮音度測定装置、
10マイク、
12 第1仮想点、
22 第2仮想点、
24 第3仮想点、
20スピーカー、
30 記憶部、
40 制御部、
50剛球体。

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