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技術 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム

出願人 横浜ゴム株式会社
発明者 児玉勇司小石正隆
出願日 2012年3月7日 (8年8ヶ月経過) 出願番号 2012-049974
公開日 2013年9月19日 (7年2ヶ月経過) 公開番号 2013-184520
状態 特許登録済
技術分野 タイヤ一般 CAD
主要キーワード フィルター関数 入力操作デバイス Y座標 構造解析モデル 構造解析手法 変形処理前 直交多項式 設計空間
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重要な関連分野

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図面 (11)

課題

構造体断面形状を、コンピュータを用いて決定するとき、構造体断面形状の一部分を効率よく最適化する。

解決手段

構造体断面形状を作成するとき、コンピュータが、参照構造体断面形状を有する構造体モデルの複数の固有振動モードの、構造体断面内の変形形状基底断面形状として設定し、前記基底断面形状のそれぞれを部分的に抑制あるいは強調する変形処理を施す。この後、前記コンピュータが、前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、1つの構造体試行断面形状を作成する。この後、前記コンピュータが、前記試行構造体モデルを用いて構造体の性能のシミュレーションを行って、前記試行断面形状の性能評価を行う。このとき、前記コンピュータが、前記重み付け加算に用いる重み強度を変更して前記性能評価を行うことにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索する。

概要

背景

従来、構造体の構造や形状等の設計では、構造体を試作して実験を行うことによって性能評価が行われ、また、構造体の構造解析モデルを作成し、有限要素法等をはじめとする種々の構造解析手法を用いて数値実験を行って性能評価が行われていた。さらに、その性能評価の結果に基づいて、構造体や構造解析モデルの再試作・再作成が行われる、いわゆる試行錯誤による設計探索が多かった。そのため、設計者の所望する最適な構造体を設計するには、多大の労力や多大の時間、さらには多大の試作コストを費やす必要があった。

この点については、タイヤ製造業者においても同様であり、空気入りタイヤ(以降、タイヤという)の設計は、試行錯誤による試作や数値実験により、多大な労力、時間およびコストを必要とした。特に、タイヤの回転軸を含む平面で切断した断面形状、すなわちタイヤ断面形状は、タイヤ性能に大きな影響を及ぼすため、所望のタイヤ性能を得るためには特に慎重に設計する必要があった。
ところで、今日、コンピュータ等による数値計算高速処理の向上により、最適な製品性能を得るための数値計算による最適設計手法が種々提案されている。これによると、上記問題を解決し、効率よく最適設計を行うことができるとされている。しかし、構造体であるタイヤは、タイヤ断面形状の規定方法の複雑さに起因して上記最適設計手法が十分に活かされ難いといった問題があった。

これに対して、タイヤ設計に好適に用いられる最適形状設計方法が知られている(特許文献1)。
この最適形状設計方法では、製品形状の複数の基底断面形状を製品形状の固有振動モード変形形状とし、この基底断面形状を実験計画法に基づき線型的に組み合わせて複数のサンプル製品形状(試行断面形状)を生成し、この生成されたサンプル製品形状の製品性能の評価値を求め、この製品性能の評価値に基づき、評価値が最適値となる最適製品形状を抽出する。

概要

構造体断面形状を、コンピュータを用いて決定するとき、構造体断面形状の一部分を効率よく最適化する。構造体断面形状を作成するとき、コンピュータが、参照構造体断面形状を有する構造体モデルの複数の固有振動モードの、構造体断面内の変形形状を基底断面形状として設定し、前記基底断面形状のそれぞれを部分的に抑制あるいは強調する変形処理を施す。この後、前記コンピュータが、前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、1つの構造体試行断面形状を作成する。この後、前記コンピュータが、前記試行構造体モデルを用いて構造体の性能のシミュレーションを行って、前記試行断面形状の性能評価を行う。このとき、前記コンピュータが、前記重み付け加算に用いる重み強度を変更して前記性能評価を行うことにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索する。

目的

本発明は、構造体断面形状の一部分を効率よく最適化することができる構造体断面形状作成方法と、構造体断面形状の一部分を最適化した構造体断面形状を効率よく見つけ出すことができる構造体断面形状決定方法及び構造体断面形状決定装置と、決定した構造体断面形状から構造体を製造する構造体製造方法と、構造体断面形状の一部分を効率よく最適化することができる構造体断面形状作成方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

構造体断面形状を、コンピュータを用いて作成する構造体断面形状作成方法であって、コンピュータが、基準とする参照構造体断面形状を有する構造体の複数の固有振動モードのうち構造体断面形状が変形する複数の固有振動モードの、構造体断面における変形形状基底断面形状として設定する工程と、前記コンピュータが、前記基底断面形状のそれぞれの変形部分を部分的に抑制し、あるいは前記基底断面形状を部分的に強調する変形処理を施す工程と、前記コンピュータが、前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、試行断面形状を作成する工程と、を有することを特徴とする構造体断面形状作成方法。

請求項2

前記変形処理は、前記構造体断面における前記基底断面形状の各位置、前記構造体断面における特定位置から前記基底断面形状の各位置までの距離、あるいは、前記構造体断面における特定位置を基準としたときの、前記基底断面形状の各位置の方位に応じて、前記基底断面形状を部分的に抑制し、あるいは前記基底断面形状を部分的に強調する、請求項1に記載の構造体断面形状作成方法。

請求項3

前記変形処理で前記基底断面形状を抑制する部分、あるいは前記基底断面形状を強調する部分は、前記基底断面形状毎に設定される、請求項1または2に記載の構造体断面形状作成方法。

請求項4

前記基底断面形状の抑制の強度あるいは強調の強度は、前記基底断面形状の位置に応じて連続的に変化する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体断面形状作成方法。

請求項5

前記構造体はタイヤであり、前記構造体断面は、前記タイヤのタイヤ回転軸を含む平面で切断したときのタイヤ断面である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造体断面形状作成方法。

請求項6

構造体断面形状を、コンピュータを用いて決定する構造体断面形状決定方法であって、コンピュータが、基準とする参照構造体断面形状を有する構造体の複数の固有振動モードのうち構造体断面の形状が変形する複数の固有振動モードの、構造体断面内の変形形状を基底断面形状として設定する工程と、前記コンピュータが、前記基底断面形状のそれぞれに対して、前記基底断面形状の変形部分を部分的に抑制し、あるいは前記基底断面形状を部分的に強調する変形処理を施す工程と、前記コンピュータが、前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、試行断面形状を作成する工程と、前記コンピュータが、前記試行断面形状を構造体断面形状とする試行構造体モデルを作成し、この作成した前記試行構造体モデルを用いて構造体の性能のシミュレーションを行うことにより、前記試行断面形状の性能評価を行う工程と、前記コンピュータが、前記重み付け加算に用いる重み強度の値を変更して前記性能評価を行うことにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、前記性能評価に適合した構造体断面形状を決定する工程と、を有することを特徴とする構造体断面形状決定方法。

請求項7

前記構造体は、前記構造体はタイヤであり、前記構造体断面は、前記タイヤのタイヤ回転軸を含む平面で切断したときのタイヤ断面である、請求項6に記載の構造体断面形状決定方法。

請求項8

請求項7に記載の構造体断面形状決定方法によって決定されたタイヤ断面形状外周面の形状に基いてタイヤ加硫用金型内面形状を決定し前記タイヤ加硫用金型を作製する工程と、作製した前記タイヤ加硫用金型を用いて未加流タイヤの加硫を行うことにより、タイヤを製造する工程と、を有することを特徴とする構造体の製造方法。

請求項9

構造体断面形状を作成する構造体断面形状作成方法を、コンピュータに実行させる、コンピュータが読み取り可能なプログラムであって、コンピュータの演算部に、前記コンピュータのメモリに記録されている基準とする参照構造体断面形状を有する構造体モデルの複数の固有振動モードのうち構造体断面の形状が変形する複数の固有振動モードの、構造体断面内の変形形状を基底断面形状として設定させる手順と、前記コンピュータの前記演算部に、前記基底断面形状のそれぞれに対して、前記基底断面形状の変形部分を部分的に抑制し、あるいは部分的に強調する変形処理を施させる手順と、前記コンピュータの前記演算部に、前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算を行わせることにより、構造体断面形状を作成させる手順と、を有することを特徴とするプログラム。

請求項10

構造体断面形状を決定する構造体断面形状決定装置であって、基準とする参照構造体断面形状を有する構造体モデルの複数の固有振動モードのうち構造体断面の形状が変形する複数の固有振動モードの、構造体断面内の変形形状を基底断面形状として設定する基底断面形状設定部と、前記基底断面形状のそれぞれに対して、前記基底断面形状の変形部分を部分的に抑制し、あるいは部分的に強調する変形処理を施す変形処理部と、前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、試行断面形状を作成する試行断面形状作成部と、前記試行断面形状を構造体断面形状とする試行構造体モデルを作成する構造体モデル作成部と、作成した前記試行構造体モデルを用いて構造体の性能のシミュレーションを行うことにより、前記試行断面形状の性能評価を行う評価部と、前記重み付け加算に用いる重み強度の値を変更して前記試行断面形状の前記性能評価を前記評価部に行わせることにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、前記性能評価に適合した構造体断面形状を決定する決定部と、を有することを特徴とする構造体断面形状決定装置。

技術分野

0001

本発明は、構造体断面形状を作成する構造体断面形状作成方法と、構造体断面形状を決定する構造体断面形状決定方法及び構造体断面形状決定装置と、決定した構造体断面形状から構造体を製造する構造体製造方法と、構造体断面形状作成方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。

背景技術

0002

従来、構造体の構造や形状等の設計では、構造体を試作して実験を行うことによって性能評価が行われ、また、構造体の構造解析モデルを作成し、有限要素法等をはじめとする種々の構造解析手法を用いて数値実験を行って性能評価が行われていた。さらに、その性能評価の結果に基づいて、構造体や構造解析モデルの再試作・再作成が行われる、いわゆる試行錯誤による設計探索が多かった。そのため、設計者の所望する最適な構造体を設計するには、多大の労力や多大の時間、さらには多大の試作コストを費やす必要があった。

0003

この点については、タイヤ製造業者においても同様であり、空気入りタイヤ(以降、タイヤという)の設計は、試行錯誤による試作や数値実験により、多大な労力、時間およびコストを必要とした。特に、タイヤの回転軸を含む平面で切断した断面形状、すなわちタイヤ断面形状は、タイヤ性能に大きな影響を及ぼすため、所望のタイヤ性能を得るためには特に慎重に設計する必要があった。
ところで、今日、コンピュータ等による数値計算高速処理の向上により、最適な製品性能を得るための数値計算による最適設計手法が種々提案されている。これによると、上記問題を解決し、効率よく最適設計を行うことができるとされている。しかし、構造体であるタイヤは、タイヤ断面形状の規定方法の複雑さに起因して上記最適設計手法が十分に活かされ難いといった問題があった。

0004

これに対して、タイヤ設計に好適に用いられる最適形状設計方法が知られている(特許文献1)。
この最適形状設計方法では、製品形状の複数の基底断面形状を製品形状の固有振動モード変形形状とし、この基底断面形状を実験計画法に基づき線型的に組み合わせて複数のサンプル製品形状(試行断面形状)を生成し、この生成されたサンプル製品形状の製品性能の評価値を求め、この製品性能の評価値に基づき、評価値が最適値となる最適製品形状を抽出する。

先行技術

0005

特開2002−15010号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上述の公知の最適形状設計方法をタイヤ断面形状に適用する場合、当該方法は、目標とするタイヤ性能を最適化するために、多様な基底断面形状を用いることが好ましく、そのためには、タイヤ断面形状の高次の固有振動モードの変形形状を用いなければならない。すなわち、目標とするタイヤ性能を達成するために、タイヤ断面形状を最適化する際、基底断面形状として、タイヤ断面形状の高次の固有振動モードの変形形状を用いるが、この変形形状には、基底断面形状として含めたくない部分と、基底断面形状として含めたい部分が含まれている場合が多い。例えば、基底断面形状に含めたいサイド部が波打った変形形状を有する固有振動モードの変形形状では、トレッド部の外形波状に変形している。しかし、このトレッド部の変形形状は、基底断面形状として含めたくない。トレッド部の外形が波打った変形形状を最終製品のタイヤ断面形状に反映した場合、目標とするあるタイヤ性能は向上するが、他の性能、例えば偏摩耗が増大し転がり抵抗が増大する他、操縦定性等が悪化する。
このように、上述の最適形状設計方法では、実用的なタイヤ性能を有するようにタイヤ断面形状を定めてタイヤを設計することが難しい場合がある。
このような問題は、例えば、飛行機タービンブレードのような流体抵抗を適正に制御することが望まれる構造体、あるいは自動車構成部材ゴルフクラブヘッドのような応力の集中を抑制することが望まれる構造体の開発においても同様の問題を有する。

0007

そこで、本発明は、構造体断面形状の一部分を効率よく最適化することができる構造体断面形状作成方法と、構造体断面形状の一部分を最適化した構造体断面形状を効率よく見つけ出すことができる構造体断面形状決定方法及び構造体断面形状決定装置と、決定した構造体断面形状から構造体を製造する構造体製造方法と、構造体断面形状の一部分を効率よく最適化することができる構造体断面形状作成方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の一態様は、構造体断面形状を、コンピュータを用いて作成する構造体断面形状作成方法である。
当該方法は、
コンピュータが、基準とする参照構造体断面形状を有する構造体の複数の固有振動モードのうち構造体断面形状が変形する複数の固有振動モードの、構造体断面における変形形状を基底断面形状として設定する工程と、
前記コンピュータが、前記基底断面形状のそれぞれの変形部分を部分的に抑制し、あるいは前記基底断面形状を部分的に強調する変形処理を施す工程と、
前記コンピュータが、前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、試行断面形状を作成する工程と、を有する。

0009

本発明の他の一態様は、構造体断面形状を、コンピュータを用いて決定する構造体断面形状決定方法である。
当該方法は、
コンピュータが、基準とする参照構造体断面形状を有する構造体の複数の固有振動モードのうち構造体断面の形状が変形する複数の固有振動モードの、構造体断面内の変形形状を基底断面形状として設定する工程と、
前記コンピュータが、前記基底断面形状のそれぞれに対して、前記基底断面形状の変形部分を部分的に抑制し、あるいは前記基底断面形状を部分的に強調する変形処理を施す工程と、
前記コンピュータが、前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、試行断面形状を作成する工程と、
前記コンピュータが、前記試行断面形状を構造体断面形状とする試行構造体モデルを作成し、この作成した前記試行構造体モデルを用いて構造体の性能のシミュレーションを行うことにより、前記試行断面形状の性能評価を行う工程と、
前記コンピュータが、前記重み付け加算に用いる重み強度の値を変更して前記性能評価を行うことにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、前記性能評価に適合した構造体断面形状を決定する工程と、を有する。

0010

さらに、本発明の他の一態様は、前記構造体断面形状決定方法によって決定されたタイヤ断面形状の外周面の形状に基いてタイヤ加硫用金型内面形状を決定し前記タイヤ加硫用金型を作製する工程と、
作製した前記タイヤ加硫用金型を用いて未加流タイヤの加硫を行うことにより、タイヤを製造する工程と、を有することを特徴とする構造体の製造方法である。

0011

さらに、本発明の他の一態様は、構造体断面形状を作成する構造体断面形状作成方法を、コンピュータに実行させる、コンピュータが読み取り可能なプログラムである。
当該プログラムは、
コンピュータの演算部に、前記コンピュータのメモリに記録されている基準とする参照構造体断面形状を有する構造体モデルの複数の固有振動モードのうち構造体断面の形状が変形する複数の固有振動モードの、構造体断面内の変形形状を基底断面形状として設定させる手順と、
前記コンピュータの前記演算部に、前記基底断面形状のそれぞれに対して、前記基底断面形状の変形部分を部分的に抑制し、あるいは部分的に強調する変形処理を施させる手順と、
前記コンピュータの前記演算部に、前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算を行わせることにより、構造体断面形状を作成させる手順と、を有する。

0012

さらに、本発明の他の一態様は、構造体断面形状を決定する構造体断面形状決定装置である。
当該装置は、
基準とする参照構造体断面形状を有する構造体モデルの複数の固有振動モードのうち構造体断面の形状が変形する複数の固有振動モードの、構造体断面内の変形形状を基底断面形状として設定する基底断面形状設定部と、
前記基底断面形状のそれぞれに対して、前記基底断面形状の変形部分を部分的に抑制し、あるいは部分的に強調する変形処理を施す変形処理部と、
前記変形処理の施された前記基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、試行断面形状を作成する試行断面形状作成部と、
前記試行断面形状を構造体断面形状とする試行構造体モデルを作成する構造体モデル作成部と、
作成した前記試行構造体モデルを用いて構造体の性能のシミュレーションを行うことにより、前記試行断面形状の性能評価を行う評価部と、
前記重み付け加算に用いる重み強度の値を変更して前記試行断面形状の前記性能評価を前記評価部に行わせることにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、前記性能評価に適合した構造体断面形状を決定する決定部と、を有する。

発明の効果

0013

上述の態様の構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラムによれば、構造体断面形状の一部分を効率よく最適化することができ、また、構造体断面形状の一部分を最適化した構造体断面形状を効率よく見つけ出すことができる。

図面の簡単な説明

0014

本実施形態のタイヤ断面形状決定装置ブロック図である。
図1に示すタイヤ断面形状決定装置で作成される、参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルのタイヤ断面形状の一例を示す図である。
参照タイヤモデルのタイヤ断面の一例を示す図である。
変形処理前後のタイヤモデルのタイヤ断面の一例を示す図である。
変形処理前後のタイヤモデルのタイヤ断面の他の例を示す図である。
変形処理せずに設定される、従来例の試行断面形状の一例を示す図である。
変形処理して設定される本実施形態における試行断面形状の一例を示す図である。
本実施形態の変形処理で用いるフィルター関数の例を示す図である。
本実施形態のタイヤ断面形状決定方法の処理のフローを示す図である。
(a)は、本実施形態の変形処理で用いるフィルター関数の他の例を示す図であり、(b)は、(a)のフィルター関数を用いて変形処理をした基底断面形状の一例であり、(c)は、変形処理をしなかった基底断面形状の一例を示す図である。

実施例

0015

以下、構造体としてタイヤを用いた実施形態について説明するが、飛行機の翼やタービンブレードのような流体抵抗を適正に制御することが望まれる構造体あるいは自動車の構成部材やゴルフクラブヘッドのような応力の集中を抑制することが望まれる構造体においても以下同様の処理を施すことができる。
なお、本発明でいう「構造体断面形状」等で用いる「断面」には、例えば、構造体が、同一の断面形状で延在する長尺状の構造体である場合、長手方向と直交する方向の面で切断した断面が含まれる。また、この「断面」には、構造体が、タイヤのような同一の断面形状が回転軸の周りに回転して形成されるような回転体形状の構造体である場合、回転軸を含む平面で切断した断面形状が連続して続くような断面が含まれる。さらに、この「断面」には、長尺状の構造体や回転体形状の構造体の他、3次元構造体を任意の位置で切断した断面形状の断面も含まれる。

0016

(タイヤ断面形状決定装置)
図1は、本実施形態のタイヤ断面形状決定方法を行い、最適なタイヤ断面形状を決定するタイヤ断面形状決定装置(以降、装置という)10のブロック図である。装置10は、基準とする参照タイヤ断面形状を参照構造体断面形状として有する参照タイヤモデルと、最適化をしたいタイヤ性能と、その評価値の目標値とに基づいて、最適なタイヤ断面形状を決定することができる。装置10は、コンピュータで構成される装置本体12と、装置本体12に接続された入力操作デバイス32(マウスキーボード)および出力装置34(プリンタディスプレイ)を含む。装置本体12は、CPU14、ROM、RAM等のメモリ16、入出力部18と、を含む。入出力部18は、入力操作デバイス32および出力装置34と接続されている。装置10は、メモリ16に記憶されたプログラムを起動することによって、装置10はタイヤ断面形状を決定するための処理モジュール19を形成する。

0017

最適なタイヤ断面形状とは、設定されたタイヤ性能における評価値が、設計変数の設定された範囲において、最大値あるいは最小値となり、また入力された値と一致あるいは許容範囲内で一致するタイヤ断面形状をいう。
本実施形態では、最適なタイヤ断面形状を探索するために試行断面形状を複数作成するとき、複数の固有振動モードのタイヤ断面内の変形形状を基底断面形状として定め、この基底断面形状の変形部分を部分的に抑制しあるいは強調する変形処理を施す。この変形処理により、基底断面形状として含めたくない変形部分を抑制し、基底断面形状として含めたい変形部分を強調することができる。したがって、タイヤ断面形状の一部分を効率よく最適化することができる。さらに、タイヤ断面形状の一部分を最適化したタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。以下、装置10について詳細に説明する。

0018

装置10は、メモリ16に記憶されたプログラムを起動することによって、基底断面形状設定部20、変形処理部22、試行断面形状作成部24、タイヤモデル作成部26、評価部28、及び決定部30が処理モジュール19として形成される。
ここで、評価部28で行われるタイヤ性能の評価は、公知の有限要素法(FEM)等の構造解析手法によって行なわれる。したがって、基底断面形状設定部20及びタイヤモデル作成部26で作成される参照タイヤモデル、試行タイヤモデル等のタイヤモデルは、FEMモデル等の構造解析モデルである。以降では、タイヤモデルはFEMモデルを例として説明し、評価部28で行う計算は、評価部28で行う計算は、有限要素法に基くシミュレーション計算である。しかし、タイヤモデルは、FEMモデル以外の公知のモデルであってもよい。
ここで、タイヤ断面形状は、タイヤ加硫用金型によって規定されるインモールドタイヤ断面形状、あるいは、JATMA等で規定されてリムにタイヤを装着したときのタイヤデフレート時のタイヤ断面形状である。タイヤデフレート時のタイヤ断面形状は、インモールドタイヤ断面形状と略一致する。あるいは、タイヤデフレート時のタイヤ断面形状とインモールドタイヤ断面形状とは、ある一定の操作をして一義的に求めることができる。すなわち、装置10によって取得される最適なタイヤ断面形状は、タイヤ加硫用金型によって規定されるインモールドタイヤ断面形状、または、タイヤデフレート時のタイヤ断面形状であるので、取得したタイヤ断面形状からインモールドタイヤ断面形状を取得することができ、これに基いてタイヤ加硫用金型を容易に作製することができる。したがって、作製したタイヤ加硫用金型を用いて未加流タイヤの加硫を行うことにより、最適なタイヤ断面形状を有するタイヤを効率よく製造することができる。

0019

基底断面形状設定部20は、基準とする参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルを作成し、この参照タイヤモデルの複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状として設定する。
具体的には、基底断面形状設定部20は、基準とする参照タイヤ断面形状の情報が入力操作デバイス32により入力されて、参照タイヤ断面形状の情報を取得する。あるいは基底断面形状設定部20は、メモリ16あるいは図示されない記録装置から呼び出されて基準とする参照タイヤ断面形状の情報を取得する。ここで、参照タイヤ断面形状の情報は、タイヤのベルト部材カーカス部材トレッド部材サイド部材スティフナー部材やビード部材等のタイヤ構成部材の配置位置を定める位置座標と、各タイヤ構成部材に対応した密度ヤング率せん断剛性ポアソン比等の材料定数の値を含む。
さらに、基底断面形状設定部20は、FEMモデルである参照タイヤモデルの節点及び要素に関する情報と、参照タイヤモデルの材料定数に関する情報を作成し統合する。これにより、参照タイヤモデルが作成される。すなわち、固有値解析を行うための剛性マトリクスおよび質量マトリクスが作成される。基底断面形状設定部20は、さらに、このタイヤモデルの固有値解析を行って、タイヤ断面形状における1次、2次、3次、・・・等の複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を求める。基底断面形状設定部20が固有値解析をおこなうとき、必ずしも剛性マトリクスの剛性を実際のタイヤの剛性に合わせて行う必要はなく、基底断面形状設定部20は、ベルト部材等のゴム部材に比べて剛性が高い部分は、剛性を低下させて固有値解析を行ってもよい。
基底断面形状設定部20は、求めた複数のタイヤ断面形状の変形形状を基底断面形状として設定する。基底断面形状は、固有値解析を行った参照タイヤモデルの固有振動モードとして変形したタイヤ断面形状であるので、複数設定した基底断面形状のそれぞれは、共通した節点及び要素を持っており、共通した節点における位置座標が基底断面形状毎に異なっている。また、設定される基底断面形状の変形の大きさは正規化されている。正規化とは、例えば変形の最大となる変位が例えば1mmとなるように設定されることをいう。
複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状のうち、どの変形形状を基底断面形状として設定するかについては、例えば、出力装置34に画面表示された変形形状を、オペレータが確認しながら、入力操作デバイス16による入力指示による取捨選択によって行われる。
基底断面形状設定部20は、設定した複数の基底断面形状の情報をメモリ16に記憶させる。

0020

本実施形態におけるタイヤの基底断面形状は、固有振動モードの変形形状であればいずれであってもよいが、好ましくは、1〜20次の固有振動モードで、タイヤのトレッドセンターラインを含み、タイヤ中心を通る中心面(タイヤ赤道面ともいう)を対称面としたとき対称(線対称)な固有振動モードの変形形状を好適に用いる。

0021

変形処理部22は、メモリ12に記憶された複数の基底断面形状のそれぞれに対して、基底断面形状の変形部分を部分的に抑制する変形処理を施す。基底断面形状の変形部分とは、参照タイヤ断面形状から変形した部分をいい、具体的には基底断面形状における節点の位置座標と、参照タイヤ断面形状における節点の位置座標との差分を表す変位を表す。例えば、基底断面形状のうち、トレッド部が波打った形状を成している場合、変換処理部22は、トレッド部の波打った変形部分を小さく、あるいは0にするように、変形処理を施す。すなわち、変形処理部22は、基底断面形状の一部の変形部分を抑制するように変形処理を施す。
このような変形処理を基底断面形状に施すことにより、後述するように、タイヤ断面形状の一部分を効率よく最適化することができる。さらに、タイヤ断面形状の一部分を効率よく最適化したタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。なお、本実施形態では、基底断面形状のそれぞれの変形部分を部分的に抑制する変形処理を施すが、基底断面形状のそれぞれの変形部分を部分的に強調する、すなわち、変形部分が増大するように変形処理を施すこともできる。このような変形処理は、後述するように、例えばタイヤ断面形状のタイヤ径方向の位置に応じて抑制あるは強調の強さを変化させるフィルター関数を用いることにより行われる。変換処理部22は、変形処理された基底断面形状をメモリ16に記憶させる。

0022

試行断面形状作成部24は、変形処理の施された複数の基底断面形状をメモリ16から呼び出して、この基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、1つの試行断面形状を作成する。ここで変形部分とは、基底断面形状の節点の位置座標と、参照タイヤ断面形状の対応する節点の位置座標との差分(変位)をいう。重み付け加算とは、各基底断面形状の各節点の位置座標について重み強度の値を用いて基底断面形状を加算することをいう。ここで、重み付け加算には、重み付け加算した基底断面形状の加算結果を、用いた重み強度の値の合計で除算して得られる重み付け平均も含まれる。なお、基底断面形状について重み付け加算して1つの試行断面形状を作成する際、基底断面形状のそれぞれに対して重み強度の値が与えられる。この重み強度の値は、後述するように、範囲が定められ、その範囲の中で決定部30の指示により逐次変更され、値が変更される度に試行断面形状が作成される。本実施形態では、試行断面形状が所定回数作成されるまで、上記範囲の中で重み強度の値が変更される。本実施形態では、上記重み強度の値が一定の大きさずつ大きくあるいは小さくなるように変更されるが、この他に、上記重み強度の値がランダムに変更されてもよい。また、公知の実験計画法例えば、直交表L81により重み強度の値について水準振り、この値を割り付けることで、試行断面形状を作成することができる。また、試行断面形状作成部24は、評価部28、決定部30が遺伝的アルゴリズムの手法を用いてタイヤ断面形状の最適化を行う場合、決定部30からの指示により設定される重み強度の値を用いることもできる。試行断面形状作成部24は、作成した1つの試行断面形状の情報をメモリ16に記憶させる。

0023

タイヤモデル作成部26は、メモリ16に記憶された試行断面形状を用いて、試行断面形状をタイヤ断面形状として持つ試行タイヤモデルを作成する。試行タイヤモデルは、節点及び要素によって構成される有限要素モデルであり、材料定数が付与される。節点、要素及び材料定数の情報は、予めメモリ16に記憶されたものが呼び出されて用いられてもよいし、入力操作デバイス32から入力されたものが用いられてもよい。試行タイヤモデルは、節点、要素及び材料定数の情報のうち、節点の位置座標のみが、基底断面形状設定部20において作成される参照タイヤモデルの節点の位置情報と異なり、これ以外の情報は同じであるモデルを用いることができる。タイヤモデル作成部26は、作成された試行タイヤモデルの情報をメモリ16に記憶させる。

0024

評価部28は、メモリ16に記憶した試行タイヤモデルの情報を呼び出して、この試行タイヤモデルを用いてタイヤ性能のシミュレーションを行うことにより、試行断面形状の性能評価を行う。
評価部28は、入力操作デバイス32等により予め設定されたタイヤ性能の評価値、例えば固有振動数縦ばね定数横ばね定数前後ばね定数、転がり抵抗、ベルト間における層間剪断歪み、摩耗予測値、あるいは、スティフナー部材の所定位置における応力分布応力歪みの値、さらには、タイヤが地面に接地したときの接地圧力の値等を数値計算によって算出する。これらの具体的な計算は、周知の方法であるので説明は省略される。

0025

決定部30は、試行断面形状作成部24において行う重み付け加算に用いる重み強度の値を変更し、その値を試行断面形状作成部24に指示するとともに、この値を用いたときのタイヤ性能の評価を評価部28に行わせる。こうして重み強度の値毎に得られた評価の結果を用いて、決定部30は、タイヤ性能の評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、このタイヤ性能の評価に適合したタイヤ断面形状を決定する。
試行断面形状作成部24試行断面形状を予め設定された回数作成するまで、評価部28は、シミュレーション計算をしてタイヤ性能の評価を行ったのち、決定部30は、この複数の試行断面形状毎のタイヤ性能の評価値に基づいて、タイヤ断面形状の設計空間曲面近似関数を用いた応答曲面関数によって定める。この応答曲面関数は、タイヤ基底断面形状の変形部分を重み付け加算する際に用いた重み強度を設計変数とする。すなわち、応答曲面関数は、基底断面形状の変形部分を重み付け加算する際に用いる重み強度を設計変数として、タイヤ性能の評価値を、曲面近似関数を用いて表したものである。ここで、曲面近似関数は、チェビシェフの直交多項式やn次多項式等の関数が挙げられる。
決定部30は、さらに、入力操作デバイス32により予め設定された条件をタイヤ性能の評価値が満足するように、試行断面形状を探索して、タイヤ性能に適合したタイヤ断面形状を決定する。予め設定された条件とは、例えば、タイヤ性能の評価値の範囲、タイヤ性能の評価値の最小値、あるいはタイヤ性能の評価値の最大値等である。最適なタイヤ性能の評価値を得る際に、タイヤの別のタイヤ性能の評価値に基いて定められる別の応答曲面関数の値が別途設定された範囲に含まれるように、設計変数に一定の拘束条件が課された状態で、タイヤ性能の評価値が上記条件を満足するような試行断面形状を探索してもよい。

0026

決定部30で作成される応答曲面関数に用いる設計変数は、上述したように基底断面形状の重み付け加算に用いる重み強度であるので、最適なタイヤ性能の評価を達成する重み強度の値を抽出することで、基底断面形状の変形部分を重み付け加算して得られる最適なタイヤ断面形状を容易に求めることができる。このとき、基底断面形状として含めたくない変形部分は変形処理により予め抑制されているので、基底断面形状として含めたい変形部分を用いて、タイヤ断面形状を効率よく最適化することができる。さらに、応答曲面関数を用いるので、タイヤ断面形状の一部分を効率よく最適化したタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。

0027

なお、得られた最適なタイヤ断面形状の情報は、出力装置34に出力される他、図示されないタイヤ加硫用金型を作成するCADシステム等に送られる。あるいは、得られた最適な断面形状は、タイヤデフレート時のタイヤ断面形状の情報として、あるいは、インモールドタイヤ断面形状の情報として、メモリ16に記憶され、さらに、図示されないハードディスク記録メディア等に記録される。
また、決定部30は、最適な評価値が得られない場合、得られた評価値の中で最適な状態に最も近い評価値を持つタイヤ断面形状の情報を基底断面形状設定部20に戻してもよい。基底断面形状設定部20は、このタイヤ断面形状の情報を、参照タイヤ断面形状の情報として、再度、最適なタイヤの断面形状を求めることができる。

0028

図2は、基準断面形状設定部20で作成される、基準とする参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデル(右半分)のタイヤ断面形状の一例を示している。この参照タイヤモデルは、有限要素モデルである。このようなタイヤモデルについて固有値解析を行って複数の固有振動モードが求められる。
図3Aは、図2とは異なるタイヤサイズの,参照タイヤ断面形状M1を持ったタイヤモデルの一例を示している。図3Aに示すタイヤモデルは、メッシュ分割が省略されて示されている。以降、図3B図3Eに示すタイヤモデルもメッシュ分割が省略されて示されている。

0029

図3Bの上側には、基底断面形状M2を持ったタイヤモデルの例が示されている。このタイヤモデルは、参照タイヤ断面形状M1を持った参照タイヤモデルの1次の固有振動モードに基くタイヤモデルである。図3Bの下側には、基底断面形状M2を持ったタイヤモデルを変形処理した後の基底断面形状M3を持ったタイヤモデルの例が示されている。この変形処理では、図4に示されるように、タイヤモデルのタイヤ径方向(図3A参照)の位置座標の値(Y座標値)に応じて変形部分の抑制の強度を変化させるフィルター関数が用いられる。

0030

図4は、変形部分の抑制の強度として、変形部分の節点の変位に乗算する係数の値のフィルター関数の例を示している。この係数の値は、0以上1以下であり、係数の値が0に近いほど、抑制の強度は大きくなる。したがって、図4中Y座標値が200mmから略230mmまでは、変形形状は抑制されないが、略230mm〜略280mmにおいて、抑制の強度は連続的に強くなり、Y座標値が略280mmを越える範囲では、変形部分は0に抑制され抑制の強度が最大となる。このようなタイヤ断面形状の変形部分の抑制は、図3Aに示すY方向の座標値を参照すると、ビード部では変形部分の抑制を行わず、サイド部において変形部分の抑制の強度を連続的に強くし、トレッド部において変形部分が略完全に0になるように最も強く抑制される。

0031

図3Cに示す例は、5次の固有振動モードに基く基底断面形状M4を持ったタイヤモデルの例が示されている。図3Cの上側及び下側には、5次の固有振動モードに基く基底断面形状M4を持ったタイヤモデルを、図4に示すフィルター関数を用いて変形処理した後の基底断面形状M5を持ったタイヤモデルの例が示されている。図3Cの上側に示す基底断面形状M4は、トレッド部が大きく波打っており、このようなトレッド部の変形形状を用いることは、上述したように偏摩耗や転がり抵抗等の点から好ましくない。このため、図4に示すようなフィルター関数を用いて、トレッド部において変形形状が略完全に0になるように、変形処理が施される。なお、本実施形態では、図3B図3Cに示す2つの基底断面形状に対して、図4に示すフィルター関数を共通に用いて変形処理が施されるが、基底断面形状毎にフィルター関数は別々に設定され、基底断面形状が異なればフィルター関数が異なるように構成することもできる。

0032

図3Dには、図3Bに示す基底断面形状M2を持ったタイヤモデルと、図3Cに示す基底断面形状M4を持ったタイヤモデルを、重み強度の値をそれぞれ5として重み付け加算をしたときの断面形状M6が示されている。この断面形状M6は、従来の方法に従って得られたものである。一方、図3Eには、図3Bに示す断面形状M3を持ったタイヤモデルと、図3Cに示す基底断面形状M5を持ったタイヤモデルを、重み強度の値をそれぞれ5として重み付け加算をしたときの断面形状M7が示されている。すなわち、図3Eに示す断面形状M7は、基底断面形状M3と、基底断面形状M5を、重み強度の値をそれぞれ5として重み付け加算をした形状である。この断面形状M7は、フィルター関数を用いて変形部分を部分的に抑制した本実施形態の方法に従って得られたものであり、本実施形態におけるタイヤ性能の評価を行う試行断面形状である。図3D図3Eに示す断面形状を比較すれば明らかなように、図3Eに示す断面形状M7は、図3Dに示す断面形状M6に比べてトレッド部における変形部分が抑制されていることがわかる。本実施形態では、図3Eに示す断面形状M7が試行断面形状として定められる。
本実施形態では、このような試行断面形状を持ったタイヤモデルが、タイヤモデル作成部26において作成され、評価部28においてタイヤ性能の評価が行われ、最終的に、決定部30において最適なタイヤの断面形状が決定される。

0033

(タイヤの断面形状の決定方法)
図5は、本実施形態のタイヤの断面形状の決定方法の処理のフローを示す図である。
まず、装置10は、メモリ16に記憶されているプログラムを呼び出して起動することにより、処理モジュール19を形成する。

0034

まず、基底断面形状設定部20は、基準とする参照タイヤ断面形状の情報を、入力操作デバイス32による入力により、あるいは図示されない記録装置から呼び出して取得し、節点及び要素に関する情報と、タイヤモデルの材料定数に関する情報を作成する。これにより、参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルが作成される(ステップS10)。

0035

次に、基底断面形状設定部20は、作成されたタイヤモデルの固有値解析を行って、タイヤ断面形状における1次、2次、3次、・・・等の複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を求める。基底断面形状設定部20は、求めた複数のタイヤ断面形状の変形形状を基底断面形状として設定する(ステップS20)。設定される複数の基底断面形状は、オペレータがディプレイ等に表示された1次、2次、3次、・・・固有振動モードのタイヤ断面の変形形状を見ながら、基底断面形状として利用しようとするものが、入力操作デバイス32を用いて入力設定される。設定された基底断面形状は、メモリ16に記憶される。

0036

次に、変形処理部22は、メモリ16に記憶された基底断面形状を呼び出して、基底断面形状に対して、変形部分の一部分を抑制するあるいは強調するような変形処理を施す(ステップS30)。変形処理では、例えば、図4に示すようにY方向の座標値に応じて値が連続的に変化する、すなわち、タイヤ断面形状における変形部分の抑制あるいは強調の強度が連続的に変化するようなフィルター関数が用いられる。具体的には、基底断面形状は、ステップS10で作成された参照タイヤモデルの節点における座標値を含んでいるので、変形処理部22は、基底断面形状の各節点の参照タイヤ断面形状における節点からの変位に対して、この変位を節点の位置に応じて抑制するようにフィルター関数を乗算する。これにより、変形部分を表す変位の大きさが調整されるので、変形形状の変形処理が施されることになる。本実施形態では、基底断面形状の節点の変位に対して、タイヤ径方向の位置座標に応じたフィルター関数を用いて変形処理を施すが、タイヤ断面における特定位置、例えば、トレッド部のタイヤセンターラインの位置から、基底断面形状の各節点の位置までのタイヤ外周面に沿った距離、あるいは、タイヤ断面における特定位置を基準としたときの、基底断面形状の各節点の位置の方位(例えば、トレッド部表面上のタイヤセンターラインの位置からみた、基底断面形状の各節点の方位が、タイヤ幅方向に対して傾斜する角度)に応じて値が変化するフィルター関数を用いることにより、基底断面形状を部分的に抑制し、あるいは部分的に強調することができる。
変形処理で用いるフィルター関数が基底断面形状毎に設定されることが、基底断面形状の変形形態に応じて自由に調整することができる点で好ましい。すなわち、基底断面形状において抑制する変形部分、あるいは基底断面形状において強調する変形部分は、基底断面形状毎に設定されることが好ましい。また、フィルター関数が連続的に変化することが、変形処理を施した基底断面形状が不連続に変化することを防止する点で好ましい。すなわち、基底断面形状における変形部分の抑制の強度あるいは強調の強度は、基底断面形状の節点の位置に応じて連続的に変化することが好ましい。こうして変形処理が施された複数の基底断面形状は、メモリ16に記憶される。

0037

次に、試行断面形状作成部24は、メモリ16に記憶されている複数の基底断面形状を呼び出し、この複数の基底断面形状の変形部分を、決定部30から指示された重み強度の値を用いて重み付け加算をすることにより、試行断面形状を1つ設定する(ステップS40)。上記重み強度については、後述するように、設計変数となる重み強度の値の予め与えられた範囲の中で値が順次変更される。
タイヤモデル作成部26は、作成された試行断面形状をタイヤ断面形状に有する試行タイヤモデルを作成する(ステップS50)。この試行タイヤモデルは、FEMモデルであり、例えば、参照タイヤモデルと同じ節点及び要素を含む。ただし、節点の位置座標のみが異なる。作成された試行タイヤモデルはメモリ16に記録される。

0038

次に、評価部28は、メモリ16に記憶された試行タイヤモデルを呼び出して、この試行タイヤモデルに対してタイヤ性能を評価するためのシミュレーションを行う(ステップS60)。例えば、タイヤ性能がタイヤ縦ばね定数である場合、以下のように、シミュレーションが行われる。まず、試行タイヤモデルに、タイヤに空気圧を与えるように、評価部28は、内圧充填処理を施し、その後、評価部28は、平面を再現した平面剛体モデルに試行タイヤモデルを押し付けて、定められた荷重負荷されるまで試行タイヤモデルを平面剛体モデルに近づける。試行タイヤモデルに負荷された荷重が定められた荷重になるとき、試行タイヤモデルの平面剛体モデルへの押し付けは終了し、試行タイヤモデルのタイヤ回転中心軸と平面剛体モデルの表面との間の距離を求める。これにより、評価部28は、試行タイヤモデルの縦撓みの量を求め、この縦撓みの量で、負荷された荷重を除算することにより、タイヤ縦ばね定数の値を求める。

0039

タイヤ性能は、タイヤ縦ばね定数等のばね定数の他に、例えば、タイヤ転動時の転がり抵抗、摩耗予に基づくタイヤ寿命タイヤ固有振動数やタイヤ転動時の振動レベル騒音レベルハイドロプレーニング発生速度、操縦安定性能を表すスリップ角度度当たり横力の値等であってもよい。これらのタイヤ性能についても、周知のシミュレーション方法で評価することができる。得られたタイヤ性能の評価結果は、メモリ16に記憶される。

0040

次に、決定部30は、試行断面形状を設定した回数が予め定められた回数N以上になったか否かを判定する(ステップS70)。この判定の結果が否定である場合、決定部30は、基底断面形状に与える重み強度の値を変更する(ステップS80)。
こうして、変更された重み強度の値を用いて、ステップS40〜70が繰り返される。
ステップS70における判定が肯定である場合、決定部30は、タイヤ性能の評価結果に基づいて、最適な試行断面形状を探索する(ステップS90)。具体的には、特開2002−15010号公報に記載されるように、重み強度の値を設計変数としてタイヤ性能の評価結果である評価値を表す関数で、チェビシェフの直交多項式を用いた曲面近似関数が応答曲面関数として作成される。
こうして作成された応答曲面関数における評価値が、設計変数の設定された範囲において、最大値あるいは最小値となり、また入力された目標値と一致あるいは許容範囲内で一致するような、設計変数の値を求める。

0041

決定部30は、こうして求められた、応答曲面関数における評価値が最大値あるいは最小値となり、また入力された目標値と一致あるいは許容範囲内で一致するような設計変数の値(重み強度の値)と基底断面形状を用いてタイヤ断面形状を作成する。決定部30は、この作成したタイヤ断面形状を、タイヤ性能を最大値あるいは最小値とし、また入力された目標値と一致あるいは許容範囲内で一致するような最適なタイヤ断面形状として決定する(ステップS100)。
本実施形態は、ステップS80において重み強度の値を変更するとき、一定の大きさで重み強度の値を逐次変化して設定された全範囲カバーするが、実験計画法、例えばL81等の直交表を用いて重み強度の値を設定する場合、重み強度の値を予め割り付け、この割り付けに応じて重み強度の値が設定される。また、決定部30は、遺伝的アルゴリズムを用いてタイヤ断面形状の最適化を行うこともできる。

0042

このように決定されたタイヤ断面形状は、インモールドタイヤ断面形状、あるいは、JATMA等で規定されてリムにタイヤを装着したときのタイヤデフレート時のタイヤ断面形状とされ、タイヤ加硫用金型を作成するCADシステム等に送られる。このCADシステムでは、タイヤ断面形状に基づいてタイヤ金型の内面形状の寸法を決定し、金型作製装置により金型原料が加工されてタイヤ加硫用金型が作製される。この後、未加硫タイヤを、作製したタイヤ加硫用金型を用いて未加流タイヤの加硫を行うことにより、タイヤを製造することができる。

0043

図6(a)は、図4に示すフィルター関数と異なる関数の例を示す。このフィルター関数は、Y座標値が、200から310に進むにつれて、抑制の強度が連続的にかつ線形的に低下する関数である。図6(b)は、この関数を用いて図3Aに示すタイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルの3次の固有振動モードの変形形状を変形処理したときの変形形状、すなわち基底断面形状の一例を示す。一方、図6(c)は、変形処理を施さなかった3次の固有振動モードの変形形状、すなわち変形処理を施さなかった基底断面形状の一例を示す。図6(b)及び図6(c)に示すタイヤ断面形状を対比すればわかるように、図6(c)に示すビード部の凹凸を抑制していることがわかる。

0044

従来より基底断面形状として用いる固有振動モードは、トレッド部の変形形状もサイド部の変形形状も同程度の変形を有する。しかし、本実施形態では、トレッド部の変形部分をなるべく小さくした形状を基底断面形状に用いる。
図3B図3Cに示すような変形形状を有する基底断面形状の場合、以下の特徴(1)〜(4)を満たすフィルター関数を用いることが好ましい。
(1)タイヤ径方向に対して値が小さくなる。
(2)トレッド部付近で値がほぼ0になる。
(3)ショルダー部(ベルト端部とサイド部の中間)よりトレッド部寄りの部分で値がほぼ0になる。
(4)ビード部付近からショルダー部付近まではほぼ同じ値で(値の変化が小さく)ショルダー部よりトレッド部寄りの部分で値が急激に変化しほぼ0になる。
特に、トレッド部の変形が大きい基底断面形状の場合、特徴(3)と(4)を持つフィルター関数が好ましい。このようなフィルター関数として例えばシグモイド関数を用いることができる。

0045

一方、図6(b),(c)に示すように、トレッド部の変形が大きくない基底断面形状の場合、上記特徴(1)と(2)を有するフィルター関数を用いればよく、このフィルター関数にはビード部付近からトレッドセンターのタイヤ径方向の位置座標に対して直線的に減少する関数を用いることができる。
図4図6(a)に示すフィルター関数は、タイヤ径方向の位置座標の関数であるが、上記特徴(3)を効果的に得るために、タイヤ幅方向の位置座標の関数としてもよい。

0046

このように、本実施形態では、最適なタイヤ断面形状を作成するために1つの試行断面形状を作成するとき、複数の固有振動モードのタイヤ断面内の変形形状を基底断面形状として定め、この規定断面形状を部分的に抑制しあるいは強調する変形処理を施す。この変形処理により、基底断面形状として含めたくない部分を抑制し、基底断面形状として含めたい部分を強調することができる。したがって、タイヤ断面形状の一部分を効率よく最適化することができる。さらに、タイヤ断面形状の一部分を効率よく最適化したタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。

0047

本実施形態における変形処理は、タイヤ断面における基底断面形状の各位置に応じて基底断面形状を部分的に抑制するので、基底断面形状として含めたい部分をより効果的に強調した試行断面形状を作成する。したがって、タイヤ断面形状の一部分を効率よく最適化したタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。なお、本実施形態では、タイヤ断面における基底断面形状の各位置に応じて基底断面形状を部分的に抑制するが、タイヤ断面における特定位置から基底断面形状の各位置までの距離、あるいは、タイヤ断面における特定位置を基準としたときの、基底断面形状の各位置の方位に応じて、基底断面形状を部分的に抑制し、あるいは基底断面形状を部分的に強調することにより、基底断面形状として含めたい部分をより効果的に強調し、基底断面形状として含めたくない部分をより抑制した試行断面形状を効果的に作成することもできる。したがって、タイヤ断面形状の一部分を効率よく最適化したタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。

0048

また、本実施形態の変形処理で基底断面形状を抑制する部分、あるいは基底断面形状を強調する部分は、基底断面形状毎に設定されるので、基底断面形状として含めたい部分をより効果的に強調し、基底断面形状として含めたくない部分をより抑制した試行断面形状を効果的に作成することができる。したがって、タイヤ断面形状の一部分を効率よく最適化したタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。
さらに、基底断面形状の抑制の強度あるいは強調の強度は、基底断面形状の位置に応じて連続的に変化するので、試行断面形状には、形状が急激に変化する場所が無く、より実用的なタイヤ断面形状を実現することができる。

0049

本実施形態のタイヤの断面形状の決定方法は、メモリ16に記憶されているコンピュータが読み取り可能なプログラムを起動してコンピュータを用いて実行されるが、このプログラムは、以下の処理手順を有する。すなわち、プログラムは、
(A)コンピュータのCPU14に、このコンピュータのメモリ16に記録されている基準とする参照タイヤ断面形状を有するタイヤモデルの複数の固有振動モードのうち、タイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状として設定させる手順と、
(B)CPU14に、基底断面形状のそれぞれを部分的に抑制し、あるいは部分的に強調する変形処理を施させる手順と、
(C)CPU14に、変形処理の施された基底断面形状の変形部分について重み付け加算をすることにより、1つのタイヤ断面形状を作成させる手順と、を有する。
このプログラムは、さらに、
(D)CPU14に、試行断面形状をタイヤ断面形状とする試行タイヤモデルを作成させ、この作成した試行タイヤモデルを用いてタイヤのシミュレーションを行わせることにより、試行断面形状の性能評価を行う手順と、
(E)CPU14に、重み付け加算に用いる重み強度を変更させて性能評価を行わせることにより、性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索させて、性能評価に適合したタイヤ断面形状を決定させる手順と、を含んでもよい。
このプログラムは、インターネット等の電気回線を通じてコンピュータに転送されてメモリ16に記憶保持されてもよい。また、このプログラムは、CD−ROM等のコンピュータが読み込み可能なnon-transitoryの記録媒体等に記録されてもよい。

0050

以上、本発明のタイヤ断面形状作成方法、タイヤ断面形状決定方法、タイヤ製造方法、タイヤ断面形状決定装置、及びプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。

0051

10タイヤ断面形状決定装置
12 本体部
14 CPU
16メモリ
18入出力部
19処理モジュール
20基底断面形状設定部
22変形処理部
24試行断面形状作成部
26タイヤモデル作成部
28 評価部
30 決定部
32入力操作デバイス
34 出力装置

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