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技術 芋の栽培方法、芋を用いた燃料、芋の栽培器具

出願人 学校法人近畿大学
発明者 鈴木高広
出願日 2012年3月8日 (8年8ヶ月経過) 出願番号 2012-051476
公開日 2013年9月19日 (7年2ヶ月経過) 公開番号 2013-183695
状態 特許登録済
技術分野 植物の栽培 栽培用器(植木鉢),播種用鉢
主要キーワード キタアカリ 区画領域内 土壌体 バイオマスエタノール 照度条件 トヨシロ 栽培場所 縦隔壁
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年9月19日)のものです。
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図面 (5)

課題

馬鈴薯又は甘藷短期間で栽培して年間生産量を増加させることのできる栽培方法、芋の栽培器具、及び芋を用いた燃料を提供すること。

解決手段

根圏を深さが10〜30cm、水平断面面積が60〜180cm2の区画領域20に制限して馬鈴薯を栽培し、或いは、根圏を深さが20〜45cm、水平断面の面積が80〜200cm2の区画領域20に制限して甘藷を栽培することにより、馬鈴薯又は甘藷の根の成長を制限して早期に馬鈴薯又は甘藷の小芋を成長させる。

概要

背景

馬鈴薯ジャガイモ)及び甘藷サツマイモ)などの芋類食用又は燃料として用いられる。ここで、馬鈴薯の主な品種には、爵及びメイクイーンなどがある。また、甘藷の主な品種には、紅あずま及び安納芋などがある。

一般に、馬鈴薯や甘藷は、根圏が制限されない圃場農地)に芋苗を植えて栽培される。このとき、馬鈴薯や甘藷の栽培過程では、根、及び葉が十分に育った後、地中の根又は茎が小として成長することになる。一方、例えば特許文献1には、一口大のミニポテトを栽培する際に、ポリポット育苗箱を用いて根圏を制限することが開示されている。

概要

馬鈴薯又は甘藷を短期間で栽培して年間生産量を増加させることのできる芋の栽培方法、芋の栽培器具、及び芋を用いた燃料を提供すること。根圏を深さが10〜30cm、水平断面面積が60〜180cm2の区画領域20に制限して馬鈴薯を栽培し、或いは、根圏を深さが20〜45cm、水平断面の面積が80〜200cm2の区画領域20に制限して甘藷を栽培することにより、馬鈴薯又は甘藷の根の成長を制限して早期に馬鈴薯又は甘藷の小芋を成長させる。

目的

本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

根圏を深さが10〜30cm、水平断面面積が60〜180cm2の区画領域に制限して馬鈴薯栽培することを特徴とする栽培方法

請求項2

前記馬鈴薯を予め定められた低照度条件を満たす低照度環境で栽培する第1栽培工程と、前記第1栽培工程後の前記馬鈴薯を予め定められた高照度条件を満たす高照度環境で栽培する第2栽培工程とを有してなる請求項1に記載の芋の栽培方法。

請求項3

前記低照度条件は照度2k〜10k[lx]の光を受けることであり、前記高照度条件は照度40k〜100k[lx]の光又は太陽光を受けることである請求項2に記載の芋の栽培方法。

請求項4

前記低照度環境は屋内又は屋外日陰、前記高照度環境は屋外の日向である請求項2又は3に記載の芋の栽培方法。

請求項5

前記第1栽培工程の期間は、栽培環境平均気温をT[℃]としたとき、3〜6週間の範囲に下記(1)式で算出される温度係数Cを乗じた第1範囲内である請求項2〜4のいずれかに記載の芋の栽培方法。C=1.65−0.027×T・・・(1)

請求項6

前記第2栽培工程の期間は、5〜8週間の範囲に前記温度係数Cを乗じた第2範囲内である請求項5に記載の芋の栽培方法。

請求項7

根圏を深さが20〜45cm、水平断面の面積が80〜200cm2の区画領域に制限して甘藷を栽培することを特徴とする芋の栽培方法。

請求項8

前記甘藷を予め定められた低照度条件を満たす低照度環境で栽培する第3栽培工程と、前記第3栽培工程後の前記甘藷を予め定められた高照度条件を満たす高照度環境で栽培する第4栽培工程とを有してなる請求項7に記載の芋の栽培方法。

請求項9

前記低照度条件は照度2k〜10k[lx]の光を受けることであり、前記高照度条件は照度40k〜100k[lx]の光又は太陽光を受けることである請求項8に記載の芋の栽培方法。

請求項10

前記低照度環境は屋内又は屋外の日陰、前記高照度環境は屋外の日向である請求項8又は9に記載の芋の栽培方法。

請求項11

前記第3栽培工程の期間は、栽培環境の平均気温をT[℃]としたとき、4〜8週間の範囲に下記(2)式で算出される温度係数Cを乗じた第3範囲内である請求項7〜10のいずれかに記載の芋の栽培方法。C=1.65−0.027×T・・・(2)

請求項12

前記第4栽培工程の期間は、6〜10週間の範囲に前記温度係数Cを乗じた第4範囲内である請求項11に記載の芋の栽培方法。

請求項13

隔壁により仕切られた複数の前記区画領域を有する芋の栽培器具を用いて複数の馬鈴薯又は甘藷を栽培する請求項1〜12のいずれかに記載の芋の栽培方法。

請求項14

請求項1〜13のいずれかの芋の栽培方法で栽培された馬鈴薯又は甘藷の根、、葉、又は小芋から製造されたことを特徴とする芋を用いた燃料

請求項15

馬鈴薯の根圏を深さが10〜30cm、水平断面の面積が60〜180cm2の区画領域に制限する収容部を備えてなることを特徴とする芋の栽培器具。

請求項16

甘藷の根圏を深さが20〜45cm、水平断面の面積が80〜200cm2の区画領域に制限する収容部を備えてなることを特徴とする芋の栽培器具。

請求項17

前記収容部は、隔壁により仕切られた複数の前記区画領域を有するものである請求項15又は16に記載の芋の栽培器具。

請求項18

前記収容部の底面が開閉可能に設けられてなる請求項17に記載の芋の栽培器具。

技術分野

0001

本発明は、馬鈴薯ジャガイモ)又は甘藷サツマイモ)を栽培する栽培方法に関し、特に、馬鈴薯又は甘藷を短期間で栽培して年間生産量を増加させるための技術に関するものである。

背景技術

0002

馬鈴薯(ジャガイモ)及び甘藷(サツマイモ)などの芋類食用又は燃料として用いられる。ここで、馬鈴薯の主な品種には、爵及びメイクイーンなどがある。また、甘藷の主な品種には、紅あずま及び安納芋などがある。

0003

一般に、馬鈴薯や甘藷は、根圏が制限されない圃場農地)に芋苗を植えて栽培される。このとき、馬鈴薯や甘藷の栽培過程では、根、及び葉が十分に育った後、地中の根又は茎が小芋として成長することになる。一方、例えば特許文献1には、一口大のミニポテトを栽培する際に、ポリポット育苗箱を用いて根圏を制限することが開示されている。

先行技術

0004

特開平11−127712号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、前記特許文献1に係る技術は、小さな芋を栽培するために根圏を制限しているに過ぎず、芋を短期間で生産することを目的としていない。そのため、前記特許文献1において、芋を短期間で生産するために適した根圏の深さ及び面積の値についての記載や示唆はなされていない。

0006

具体的に、前記特許文献1において、ポリポットのサイズが10.5cm径であることは開示されているが、その深さの制限についての開示はなされていない。また、育苗箱のサイズが510×365×82mmであることが開示されているが、これでは根圏の面積が大きすぎ、深さが小さすぎるため、芋を短期間で生産することはできない。

0007

従って、本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、馬鈴薯又は甘藷を短期間で栽培して年間生産量を増加させることのできる芋の栽培方法、芋の栽培器具、及び芋を用いた燃料を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

[馬鈴薯の栽培方法]
前記目的を達成するために、本発明に係る芋の栽培方法は、根圏を深さが10〜30cm、水平断面の面積が60〜180cm2の区画領域に制限して馬鈴薯を栽培することを特徴としている。
このように根圏が前記区画領域で制限されると、早い段階で馬鈴薯の根の成長が飽和し、馬鈴薯の小芋の成長が始まる。従って、本発明によれば、根の成長を制限して小芋の早期の成長を促すことにより馬鈴薯を短期間で栽培して年間生産量を増加させることができる。

0009

ところで、一般的に、芋の栽培に要する期間は20週間前後であり、その間は太陽光を受ける屋外で栽培されるため、芋の大量生産には屋外に大規模な圃場が必要であった。一方、馬鈴薯の栽培期間のうち始めの所定期間は、ある程度低い照度環境でも馬鈴薯の根、茎、及び葉が十分に育つことがわかった。具体的に、照度2k〜10k[lx]の光を受ける屋内において葉が20枚〜50枚程度に育つまで馬鈴薯を生育することができた。
そこで、前記芋の栽培方法は、前記馬鈴薯を予め定められた低照度条件を満たす低照度環境で栽培する第1栽培工程と、前記第1栽培工程後の前記馬鈴薯を予め定められた高照度条件を満たす高照度環境で栽培する第2栽培工程とを有することが望ましい。このように馬鈴薯の栽培工程を照度環境が異なる前記第1栽培工程及び前記第2栽培工程の二段階にすることにより、前記高照度環境下における栽培期間を短縮することができる。
例えば、前記低照度条件は照度2k〜10k[lx]の光を受けることであり、前記高照度条件は照度40k〜100k[lx]の光又は太陽光を受けることである。即ち、前記第1栽培工程では、照度40k〜100k[lx]の光又は太陽光を受ける環境を必要としない。より具体的に、前記低照度環境は屋内又は屋外の日陰、前記高照度環境は屋外の日向であることが考えられる。
この場合、屋外の日向に位置する圃場を使用する前記第2栽培工程の期間を短縮することができるため、その圃場の単位面積あたりの年間生産量を増加させることができる。換言すれば、小さな屋外の圃場により馬鈴薯の大量生産を実現することができる。また、前記第1栽培工程では、前記区画領域を鉛直方向に多段配置した日当たりの悪い状態で行うことも可能であるため、前記第1栽培工程に必要な土地の面積を小さくすることができる。なお、前記高照度環境を実現する人工照明を用いて前記第2栽培工程を行う場合には、その人工照明の使用期間を短縮して消費電力を省減することができる。

0010

また、前記第1栽培工程の期間は、栽培環境平均気温をT[℃]としたとき、3〜6週間の範囲に下記(1)式で算出される温度係数Cを乗じた第1範囲内であることが望ましい。
C=1.65−0.027×T ・・・(1)

0011

このように前記第1範囲を定めることにより、前記第1栽培工程において、葉が20枚〜50枚程度に育つまで適度に馬鈴薯を生育することができた。これに対し、前記第1栽培工程の期間が前記第1範囲より短ければ馬鈴薯の葉が十分に育っておらず前記第2栽培工程の期間が無駄に長くなる。一方、前記第1栽培工程の期間が前記第1範囲より長ければ、ある程度の時期を超えた後に馬鈴薯の根、茎、及び葉の成長速度が低下するため芋の生産効率が低下する。

0012

また、前記第2栽培工程の期間は、5〜8週間の範囲に前記温度係数Cを乗じた第2範囲内であることが望ましい。このように前記第2範囲を定めることにより、前記第2栽培工程において効率よく馬鈴薯を栽培することができた。具体的には、馬鈴薯の収穫量及び馬鈴薯の生産速度についてバランス良く高い効果を得ることができた。これに対し、前記第2栽培工程の期間が前記第2範囲より短ければ馬鈴薯の小芋が十分に育っておらず収穫量が少なくなる。一方、前記第2栽培工程の期間が前記第2範囲より長ければ、ある程度の時期を超えた後に馬鈴薯の小芋の成長速度が低下するため芋の生産効率が低下する。

0013

また、隔壁により仕切られた複数の前記区画領域を有する芋の栽培器具を用いて複数の馬鈴薯を栽培することが考えられる。これにより、多量の馬鈴薯を一つの栽培器具を用いて栽培することができ、栽培中の管理や栽培後の収穫栽培場所の移動などを容易に行うことができる。

0014

[甘藷の栽培方法]
また、前記目的を達成するために、本発明に係る芋の栽培方法は、根圏を深さが20〜45cm、水平断面の面積が80〜200cm2の区画領域に制限して甘藷を栽培することを特徴としている。
このように根圏が前記区画領域で制限されると、早い段階で甘藷の根の成長が飽和し、甘藷の小芋の成長が始まる。従って、本発明によれば、根の成長を制限して小芋の早期の成長を促すことにより甘藷を短期間で栽培して年間生産量を増加させることができる。

0015

また、前記芋の栽培方法は、前記甘藷を予め定められた低照度条件を満たす低照度環境で栽培する第3栽培工程と、前記第3栽培工程後の前記甘藷を予め定められた高照度条件を満たす高照度環境で栽培する第4栽培工程とを有することが望ましい。このように甘藷の栽培工程を照度環境が異なる前記第3栽培工程及び前記第4栽培工程の二段階にすることにより、前記高照度環境下における栽培期間を短縮することができる。
例えば、前記低照度条件は照度2k〜10k[lx]の光を受けることであり、前記高照度条件は照度40k〜100k[lx]の光又は太陽光を受けることである。即ち、前記第3栽培工程では、照度40k〜100k[lx]の光又は太陽光を受ける環境を必要としない。より具体的に、前記低照度環境は屋内又は屋外の日陰、前記高照度環境は屋外の日向であることが考えられる。
この場合、屋外の日向に位置する圃場を使用する前記第4栽培工程の期間を短縮することができるため、その圃場の単位面積あたりの年間生産量を増加させることができる。換言すれば、小さな屋外の圃場により甘藷の大量生産を実現することができる。また、前記第3栽培工程では、前記区画領域を鉛直方向に多段配置した日当たりの悪い状態で行うことも可能であるため、前記第3栽培工程に必要な土地の面積を小さくすることができる。なお、前記高照度環境を実現する人工照明を用いて前記第4栽培工程を行う場合には、その人工照明の使用期間を短縮して消費電力を省減することができる。

0016

また、前記第3栽培工程の期間は、栽培環境の平均気温をT[℃]としたとき、4〜8週間の範囲に下記(2)式で算出される温度係数Cを乗じた第3範囲内であることが望ましい。
C=1.65−0.027×T ・・・(2)

0017

このように前記第3範囲を定めることにより、前記第3栽培工程において、葉が20枚〜50枚程度に育つまで適度に甘藷を生育することができた。これに対し、前記第3栽培工程の期間が前記第3範囲より短ければ甘藷の葉が十分に育っておらず前記第4栽培工程の期間が無駄に長くなる。一方、前記第3栽培工程の期間が前記第3範囲より長ければ、ある程度の時期を超えた後に甘藷の根、茎、及び葉の成長速度が低下するため芋の生産効率が低下する。

0018

また、前記第4栽培工程の期間は、6〜10週間の範囲に前記温度係数Cを乗じた第4範囲内であることが望ましい。このように前記第4範囲を定めることにより、前記第4栽培工程において効率よく甘藷を栽培することができた。具体的には、甘藷の収穫量及び甘藷の生産速度についてバランス良く高い効果を得ることができた。これに対し、前記第4栽培工程の期間が前記第4範囲より短ければ甘藷の小芋が十分に育っておらず収穫量が少なくなる。一方、前記第4栽培工程の期間が前記第4範囲より長ければ、ある程度の時期を超えた後に甘藷の小芋の成長速度が低下するため芋の生産効率が低下する。

0019

また、隔壁により仕切られた複数の前記区画領域を有する芋の栽培器具を用いて複数の甘藷を栽培することが考えられる。これにより、多量の甘藷を一つの栽培器具を用いて栽培することができ、栽培中の管理や栽培後の収穫、栽培場所の移動などを容易に行うことができる。

0020

[芋を用いた燃料]
また、本発明は、前記芋の栽培方法により栽培された馬鈴薯又は甘藷の根、茎、葉、又は小芋から製造されたことを特徴とする芋を用いた燃料として捉えてもよい。前記芋の栽培方法を用いて生産された芋を用いた燃料は大量生産することが可能であるため、火力発電燃料又はバイオマス液体燃料エタノール等)などに有効である。

0021

[芋の栽培器具]
さらに、本発明は、前記芋の栽培方法で用いられる芋の栽培器具の発明として捉えてもよい。即ち、馬鈴薯の根圏を深さが10〜30cm、水平断面の面積が60〜180cm2の区画領域に制限する収容部を備えてなることを特徴とする芋の栽培器具として捉えることができる。また、甘藷の根圏を深さが20〜45cm、水平断面の面積が80〜200cm2の区画領域に制限する収容部を備えてなることを特徴とする芋の栽培器具として捉えることができる。
ここで、前記収容部は、隔壁により仕切られた複数の前記区画領域を有するものであることが考えられる。これにより、多量の馬鈴薯又は甘藷を一つの栽培器具を用いて栽培することができ、栽培中の管理や栽培後の収穫、栽培場所の移動などを容易に行うことができる。
さらに、前記収容部の底面が開閉可能に設けられてなることが望ましい。これにより、前記底面を取り外すことにより複数の前記区画領域内で栽培された多数の馬鈴薯又は甘藷を容易に収穫することができる。

発明の効果

0022

本発明によれば、馬鈴薯又は甘藷を短期間で栽培して年間生産量を増加させることができる。

図面の簡単な説明

0023

本発明の実施の形態に係る栽培器具1の概略構成を示す模式図。
本発明に係る芋の栽培方法により生産された馬鈴薯を示す図。
本発明に係る芋の栽培方法により生産された馬鈴薯を示す図。
本発明に係る芋の栽培方法により生産された馬鈴薯及び甘藷を用いた燃料を示す図。

0024

以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。

0025

具体的に、まず馬鈴薯の栽培に用いる芋の栽培器具1及び芋の栽培方法について説明し、その後、甘藷の栽培に用いる芋の栽培器具2及び芋の栽培方法について説明する。

0026

ここに、本発明に係る芋の栽培方法で生産する馬鈴薯は、一般にジャガイモと称されるナス科ナス属の植物であり、学名は「Solanum tuberosum L.」である。例えば、馬鈴薯の品種には、男爵、メイクイーン、キタアカリ、黄爵、アンデスイモデシマ、ニシタカ、ムーンレッドトヨシロ、ワセシロ、ホカイリコガネ等がある。

0027

また、本発明に係る芋の栽培方法で生産する甘藷は、一般にサツマイモと称されるヒルガオ科サツマイモ属の植物であり、学名は「Ipomoea batatas L.」である。例えば、甘藷の品種には、紅あずま、安納芋(安納紅、安納こがね)、紅隼人、高系14号、紅赤、小金千貫、紫唐芋、オレンジ芋、しろむらさき、アヤムラサキ等がある。

0028

[馬鈴薯の栽培器具1]
図1は本実施の形態に係る栽培器具1の外観図であって(A)は上面側から見た斜視図、(B)は底面側から見た斜視図である。図1(A)、(B)に示すように、前記栽培器具1は、土壌及び馬鈴薯のを収容するための収容部11を備えた容器である。なお、前記栽培器具1は、木材、プラスチック樹脂アクリル樹脂、又は金属などの各種材料で成型されたものであってよい。

0029

前記収容部11は、上部が開放された直方体であって、縦隔壁12及び横隔壁13により仕切られた複数の区画領域20を有している。具体的に、前記栽培器具1には、縦4列×横5列の合計20個の前記区画領域20が設けられている。これにより、多量の馬鈴薯を一つの栽培器具を用いて栽培することができ、栽培中の管理や栽培後の収穫、栽培場所の移動などを容易に行うことができる。

0030

なお、前記縦隔壁12及び前記横隔壁13は着脱可能であることが考えられる。これにより、前記収容部11内に任意のサイズの水平断面を形成する前記縦隔壁12及び前記横隔壁13を設けて、前記区画領域20各々のサイズを任意に変更することが可能である。

0031

また、前記区画領域20各々の底部は、前記収容部11に設けられた1枚の底面14により構成されている。前記底面14は、前記収容部11において対向する側壁15A、15Bの下端部に設けられた不図示のレール部によってスライド可能に支持されている。従って、前記収容部11の底部は、前記底面14を前記レール部に沿ってスライドさせることにより開閉可能である。これにより、前記栽培器具1を用いて馬鈴薯を栽培した後、前記底面14をスライドさせて前記収容部11の底部を開放することにより、前記栽培器具1の前記区画領域20各々で栽培された馬鈴薯を容易に収穫することが可能である。

0032

なお、前記底面14の開閉手法はスライド方式に限らない。例えば、前記底面14は、一端を軸とする回動により開閉されるものであってもよく、或いは、スナップフィット等の簡易固定具により開閉可能なものであってもよい。もちろん、前記収容部11の底面14が開閉可能ではない構成も他の実施形態として考えられる。

0033

前記区画領域20各々の内部には土壌及び苗が収容される。前記区画領域20各々は、水平断面が縦8cm×横10cmで面積80cm2の長方形矩形の一例)であり、深さが20cmである。これにより、前記栽培器具1で栽培される馬鈴薯の根圏は、深さが20cm、水平断面の面積が80cm2の前記区画領域20によって制限される。これに対し、一般に馬鈴薯の根は0.3〜1m3程度に広がることが知られている。従って、前記栽培器具1を用いて馬鈴薯を栽培すると、前記馬鈴薯の根の成長が前記区画領域20で制限されて早期に飽和するため、早い段階で馬鈴薯の小芋の成長が開始することになる。

0034

ここで、前記区画領域20各々のサイズは一例に過ぎない。具体的に、前記区画領域20各々は、深さが10〜30cm、且つ水平断面の面積が60〜180cm2であればよい。また、前記栽培器具1は、一つの前記区画領域20のみを有する個別の栽培器具であってもよい。さらに、前記区画領域20各々の水平断面の形状は長方形に限らず、円形楕円形三角形正方形六角形、その他の多角形であってもよい。但し、前記区画領域20の水平断面が矩形であれば、限られた面積の中で前記区画領域20各々を無駄なスペースを設けることなく密集させて配置することができ、前記区画領域20各々における根圏も極力大きく確保することができる。

0035

[馬鈴薯の栽培方法]
以下、馬鈴薯を栽培するための芋の栽培方法について説明する。当該芋の栽培方法は、馬鈴薯を予め定められた低照度条件を満たす低照度環境で栽培する第1栽培工程と、前記第1栽培工程後の前記馬鈴薯を予め定められた高照度条件を満たす高照度環境で栽培する第2栽培工程とを有する二段階栽培方法である。当該芋の栽培方法では、前記第1栽培工程及び前記第2栽培工程を通して前記栽培器具1が用いられる。即ち、当該芋の栽培方法において、馬鈴薯は収穫されるまで、根圏が深さ10〜30cm、水平断面の面積60〜180cm2の前記区画領域20に制限された状態で栽培される。

0036

[第1栽培工程]
前記第1栽培工程は、馬鈴薯を照度2k〜10k[lx]の光が1日あたり平均12時間程度照射される低照度条件を満たす低照度環境で栽培する工程である。例えば、前記低照度環境は屋内や屋外の日陰である。従って、前記第1栽培工程では、例えば鉛直方向のスペースを有効活用して複数の前記栽培器具1を多段配置したような日当たりの悪い低照度環境で多量の馬鈴薯の苗を生育することができる。

0037

前記第1栽培工程が行われる期間は、低照度の光で根、茎、及び葉が成長する期間であり、例えば馬鈴薯の葉の数が20枚〜50枚程度になるまでの期間である。
より具体的に、前記第1栽培工程の期間は、栽培環境の平均気温をT[℃]としたとき、3〜6週間の範囲に下記(1)式で算出される温度係数Cを乗じた第1範囲内である。
C=1.65−0.027×T ・・・(1)
前記第1範囲は、前記平均気温Tが24℃のときに3〜6週間となるように定めたものである。なお、同様の結果が得られれば他の前記平均気温Tを基準として前記平均気温Tに応じて前記第1範囲を算定してもよい。

0038

例えば、前記平均気温Tが28℃である場合、前記第1範囲は2.7〜5.4週間である。また、前記平均気温Tが20℃である場合、前記第1範囲は、3.3〜6.7週間である。さらに、前記平均気温Tが6℃である場合、前記第1範囲は、4.5〜8.9週間である。

0039

ここに、前記温度係数Cは下記表1に示す平均気温と栽培期間との関係に応じて定めたものである。




具体的に、上記表1は、平均気温が異なる条件で同量の収穫量を得ることができた第1栽培工程及び第2栽培工程の期間を示している。例えば、上記表1は、平均気温が23.0℃であって、前記第1栽培工程が6週間、前記第2栽培工程が6週間である場合における馬鈴薯の収穫量と、平均気温が18.8℃であって、前記第1栽培工程が7週間、前記第2栽培工程が7週間である場合における馬鈴薯の収穫量とが同じであったことを示している。

0040

[第2栽培工程]
前記第2栽培工程は、前記第1栽培工程後の馬鈴薯を太陽光(照度40k〜100k[lx]程度)が1日あたり平均12時間程度照射される高照度条件を満たす高照度環境で栽培する工程である。例えば、前記高照度環境は屋外の日向である。なお、前記高照度環境は、照度40k〜100k[lx]の光が人工照明によって照射される環境であってもよい。

0041

前記第2栽培工程が行われる期間は、前記第1栽培工程で葉の数が20枚〜50枚程度にまで増えた後の馬鈴薯が生育する期間であるため、その葉によって十分な光合成が行われる。このとき、馬鈴薯の根圏は前記栽培器具1の区画領域20によって制限されることになるため、馬鈴薯の根の成長は通常よりも狭い範囲で飽和し、その後は馬鈴薯の小芋の成長が開始される。従って、当該芋の栽培方法によれば、馬鈴薯の根の成長を制限して早い段階で小芋の成長を開始させることができ、その小芋を短期間で収穫することができる。

0042

より具体的に、前記第2栽培工程の期間は、5〜8週間の範囲に前記温度係数Cを乗じた第2範囲内である。前記第2範囲は、前記平均気温Tが24℃のときに5〜8週間となるように定めたものである。なお、同様の結果が得られれば他の前記平均気温Tを基準として前記平均気温Tに応じて前記第2範囲を算定してもよい。
例えば、前記平均気温Tが28℃である場合、前記第2範囲は4.5〜7.2週間である。また、前記平均気温Tが20である場合、前記第2範囲は、5.6〜8.9週間である。さらに、前記平均気温Tが6℃である場合、前記第2範囲は、7.4〜11.9週間である。

0043

以上説明したように、前記栽培器具1を用いて根圏を前記区画領域20に制限して馬鈴薯を栽培すれば、早い段階で馬鈴薯の根の成長が飽和して小芋の成長が開始するため、馬鈴薯を短期間で栽培することができ、馬鈴薯の年間生産量を従来比で増加させることができる。

0044

ここに、図2は、本発明に係る芋の栽培方法により前記栽培器具1の前記区画領域20で栽培された馬鈴薯(図2の左側、実施品という)と、一般的な馬鈴薯(図2の右側、従来品)とを示している。図2に示すように、前記実施品は外径2cm〜5cm程度の比較的小型の馬鈴薯であって、前記従来品に比べて1/5〜半分程度のサイズである。

0045

また、図3は、本発明に係る芋の栽培方法により前記栽培器具1の前記区画領域20で栽培された馬鈴薯(図3の上側、実施品という)と、前記区画領域20のサイズが深さ40cm、水平断面の面積80cm2である場合に栽培された馬鈴薯(図3の下側、比較品という)とを示している。図3に示すように、前記実施品では、前記第1範囲及び前記第2範囲の栽培期間において、馬鈴薯の根の成長が前記区画領域20で制限されたことにより馬鈴薯の小芋が早期に成長した。これに対し、前記比較品では、前記第1範囲及び前記第2範囲の栽培期間において、馬鈴薯の根の成長が前記区画領域20で制限されなかったため根が育ちすぎて小芋が十分に成長しなかった。このように、前記実施品と前記比較品とでは小芋の成長速度に明らかな差異が認められた。

0046

また、当該芋の栽培方法によれば、屋内又は屋外の日陰を使用する前記第1栽培工程を行うことにより、屋外の日向を使用する前記第2栽培工程の期間を短縮することができ、屋外の圃場の単位面積あたりの年間生産量を増加させることができる。換言すれば、小さな圃場により馬鈴薯の大量生産を実現することができる。
特に、前記第1栽培工程の期間を前記第1範囲内にすることにより、前記第1栽培工程において、葉が20枚〜50枚程度に育つまで適度に馬鈴薯を生育することができる。これに対し、前記第1栽培工程の期間が前記第1範囲より短ければ馬鈴薯の葉が十分に育っておらず前記第2栽培工程の期間が無駄に長くなる。一方、前記第1栽培工程の期間が前記第1範囲より長ければ、ある程度の時期を超えた後に馬鈴薯の根、茎、及び葉の成長速度が低下するため芋の生産効率が低下する。
また、前記第2栽培工程の期間を前記第2範囲内にすることにより、馬鈴薯の収穫量及び馬鈴薯の生産速度についてバランス良く高い効果を得ることができる。これに対し、前記第2栽培工程の期間が前記第2範囲より短ければ馬鈴薯の小芋が十分に育っておらず収穫量が少なくなる。一方、前記第2栽培工程の期間が前記第2範囲より長ければ、ある程度の時期を超えた後に馬鈴薯の小芋の成長速度が低下するため芋の生産効率が低下する。

0047

ところで、当該芋の栽培方法によって栽培された馬鈴薯は、食用に利用することはもちろん、火力発電の燃料として利用することができる。具体的には、本発明に係る芋の栽培方法によって栽培された馬鈴薯の根、茎、葉、又は小芋を乾燥させることにより燃料(バイオマス固形燃料)を製造することが可能である。ここに、図4(A)は、本発明に係る芋の栽培方法によって栽培された小型の馬鈴薯の小芋を乾燥して細かく切断した燃料を示している。このようにして製造される燃料は、本発明に係る芋の栽培方法によって大量生産可能な馬鈴薯を原料としているため年間に十分な量を製造することができ、化石燃料などに代えて十分有効に用いることができる。
また、当該芋の栽培方法によって栽培された馬鈴薯から製造されたバイオマス液体燃料(バイオエタノール等)も本発明の一例である。なお、バイオマス液体燃料は、例えばトウモロコシを原料とした周知のバイオマスエタノールと同様の手法によって製造すればよいため、ここではその製造方法の説明を省略する。

0048

[甘藷の栽培器具2]
本実施の形態に係る栽培器具2は、前記栽培器具2(図1参照)と同様に構成されており、前記区画領域20のサイズが、水平断面が縦8cm×横10cmで面積80cm2の長方形(矩形の一例)であり、深さが45cmである点のみが異なる。これにより、前記栽培器具2で栽培される甘藷の根圏は、深さが45cm、水平断面の面積が80cm2の前記区画領域20によって制限される。これに対し、一般に甘藷の根は0.3〜1m3程度に広がることが知られている。従って、前記栽培器具2を用いて甘藷を栽培すると、前記甘藷の根の成長が前記区画領域で制限されて通常よりも狭い範囲で飽和し、早い段階で甘藷の小芋の成長が開始することになる。

0049

ここで、前記区画領域20各々のサイズは一例に過ぎない。具体的に、前記区画領域20各々は、深さが20〜45cm、且つ水平断面の面積が80〜200cm2であればよい。また、前記栽培器具2は、一つの前記区画領域20のみを有する個別の栽培器具であってもよい。さらに、前記区画領域20各々の水平断面の形状は長方形に限らず、円形、楕円形、三角形、正方形、六角形、その他の多角形であってもよい。但し、前記区画領域20の水平断面が矩形であれば、限られた面積の中で前記区画領域20各々を無駄なスペースを設けることなく密集させて配置することができ、前記区画領域20各々における根圏も極力大きく確保することができる。

0050

[甘藷の栽培方法]
以下、甘藷を栽培するための芋の栽培方法について説明する。当該芋の栽培方法は、甘藷を予め定められた低照度条件を満たす低照度環境で栽培する第3栽培工程と、前記第3栽培工程後の前記甘藷を予め定められた高照度条件を満たす高照度環境で栽培する第4栽培工程とを有する二段階栽培方法である。当該芋の栽培方法では、前記第3栽培工程及び前記第4栽培工程を通して前記栽培器具2が用いられる。即ち、当該芋の栽培方法において、甘藷は収穫されるまで、根圏が深さ20〜45cm、水平断面の面積80〜200cm2の前記区画領域20に制限された状態で栽培される。

0051

[第3栽培工程]
前記第3栽培工程は、甘藷を照度2k〜10k[lx]の光が1日あたり平均12時間程度照射される低照度条件を満たす低照度環境で栽培する工程である。例えば、前記低照度環境は屋内や屋外の日陰である。従って、前記第3栽培工程では、例えば鉛直方向のスペースを有効活用して複数の前記栽培器具2を多段配置したような日当たりの悪い低照度環境で多量の甘藷の苗を生育することができる。

0052

前記第3栽培工程が行われる期間は、低照度の光で根、茎、及び葉が成長する期間であり、例えば甘藷の葉の数が20枚〜50枚程度になるまでの期間である。
より具体的に、前記第3栽培工程の期間は、栽培環境の平均気温をT[℃]としたとき、4〜8週間の範囲に下記(2)式で算出される温度係数Cを乗じた第3範囲内である。
C=1.65−0.027×T ・・・(2)
前記第3範囲は、前記平均気温Tが24℃のときに4〜8週間となるように定めたものである。なお、同様の結果が得られれば他の前記平均気温Tを基準として前記平均気温Tに応じて前記第3範囲を算定してもよい。

0053

例えば、前記平均気温Tが28℃である場合、前記第3範囲は3.6〜7.2週間である。また、前記平均気温Tが20℃である場合、前記第3範囲は、4.4〜8.9週間である。さらに、前記平均気温Tが6℃である場合、前記第3範囲は、6.0〜11.9週間である。

0054

ここに、前記温度係数Cは下記表2に示す平均気温と栽培期間との関係に応じて定めたものである。




具体的に、上記表2は、平均気温が異なる条件で同量の収穫量を得ることができた第3栽培工程及び第4栽培工程の期間を示している。例えば、上記表2は、平均気温が23.0℃であって、前記第3栽培工程が8週間、前記第4栽培工程が8週間である場合における甘藷の収穫量と、平均気温が18.8℃であって、前記第3栽培工程が9.5週間、前記第4栽培工程が9.5週間である場合における甘藷の収穫量とが同じであったことを示している。

0055

[第4栽培工程]
前記第4栽培工程は、前記第3栽培工程後の甘藷を太陽光(照度40k〜100k[lx]程度)が1日あたり平均12時間程度照射される高照度条件を満たす高照度環境で栽培する工程である。例えば、前記高照度環境は屋外の日向である。また、前記高照度環境は、照度40k〜100k[lx]の光が人工照明によって照射される環境であってもよい。
前記第4栽培工程が行われる期間は、前記第3栽培工程で葉の数が20枚〜50枚程度にまで増えた後の甘藷が生育する期間であるため、その葉によって十分な光合成が行われる。このとき、甘藷の根圏は前記栽培器具2の区画領域20によって制限されることになるため、甘藷の根の成長は通常よりも狭い範囲で飽和し、その後は甘藷の小芋の成長が開始される。従って、当該芋の栽培方法によれば、甘藷の根の成長を制限して早い段階で小芋の成長を開始させることができ、その小芋を短期間で収穫することができる。

0056

より具体的に、前記第4栽培工程の期間は、6〜10週間の範囲に前記温度係数Cを乗じた第4範囲内である。前記第3範囲は、前記平均気温Tが24℃のときに6〜10週間となるように定めたものである。なお、同様の結果が得られれば他の前記平均気温Tを基準として前記平均気温Tに応じて前記第3範囲を算定してもよい。
例えば、前記平均気温Tが28℃である場合、前記第4範囲は5.4〜8.9週間である。また、前記平均気温Tが20である場合、前記第4範囲は、6.7〜11.1週間である。さらに、前記平均気温Tが6℃である場合、前記第4範囲は、8.9〜14.9週間以下である。

0057

以上説明したように、前記栽培器具2を用いて根圏を前記区画領域20に制限して甘藷を栽培すれば、早い段階で甘藷の根の成長が飽和して小芋の成長が開始するため、甘藷を短期間で栽培することができ、甘藷の年間生産量を従来比で増加させることができる。

0058

また、当該芋の栽培方法によれば、屋内又は屋外の日陰を使用する前記第3栽培工程を行うことにより、屋外の日向を使用する前記第4栽培工程の期間を短縮することができ、屋外の圃場の単位面積あたりの年間生産量を増加させることができる。換言すれば、小さな圃場により甘藷の大量生産を実現することができる。
特に、前記第3栽培工程の期間を前記第3範囲内にすることにより、前記第3栽培工程において、葉が20枚〜50枚程度に育つまで適度に甘藷を生育することができる。これに対し、前記第3栽培工程の期間が前記第3範囲より短ければ甘藷の葉が十分に育っておらず前記第4栽培工程の期間が無駄に長くなる。一方、前記第3栽培工程の期間が前記第3範囲より長ければ、ある程度の時期を超えた後に甘藷の根、茎、及び葉の成長速度が低下するため芋の生産効率が低下する。
また、前記第4栽培工程の期間を前記第4範囲内にすることにより、甘藷の収穫量及び甘藷の生産速度についてバランス良く高い効果を得ることができる。これに対し、前記第4栽培工程の期間が前記第4範囲より短ければ甘藷の小芋が十分に育っておらず収穫量が少なくなる。一方、前記第4栽培工程の期間が前記第4範囲より長ければ、ある程度の時期を超えた後に甘藷の小芋の成長速度が低下するため芋の生産効率が低下する。

0059

ところで、当該芋の栽培方法によって栽培された甘藷は、食用に利用することはもちろん、火力発電の燃料として利用することができる。具体的には、本発明に係る芋の栽培方法によって栽培された甘藷の根、茎、葉、又は小芋を乾燥させることにより燃料(バイオマス固形燃料)を製造することが可能である。ここに、図4(B)は、本発明に係る芋の栽培方法によって栽培された小型の甘藷の小芋を乾燥して細かく切断した燃料を示している。このようにして製造される燃料は、本発明に係る芋の栽培方法によって大量生産可能な甘藷を原料としているため年間に十分な量を製造することができ、化石燃料などに代えて十分有効に用いることができる。
また、当該芋の栽培方法によって栽培された甘藷から製造されたバイオマス液体燃料(バイオエタノール等)も本発明の一例である。なお、バイオマス液体燃料は、例えばトウモロコシを原料とした周知のバイオマスエタノールと同様の手法によって製造すればよいため、ここではその製造方法の説明を省略する。

0060

[馬鈴薯の栽培結果
本実施例1では、本発明に係る芋の栽培方法を用いた馬鈴薯の栽培結果について説明する。なお、ここで用いた馬鈴薯の品種は男爵である。ここに、下記表3は、前記栽培器具1を用いて、前記平均気温Tが24℃、前記第1栽培工程が5週間、前記第2栽培工程が6週間である場合に、前記区画領域20の深さ及び水平断面の面積をそれぞれ変化させたときの栽培結果を示している。

0061

上記表3に示すように、前記栽培器具1における土壌体積(即ち根圏)が深さ10〜30cm、面積60〜180cm2の範囲を外れる比較例11〜比較例18では、単位面積あたりの収穫量[kg/m2]がいずれも10[kg/m2]未満である。また、前記比較例11〜比較例18では、前記第2範囲の生産速度が1.8[kg/m2/週]未満であり、全期間の生産速度が1.0[kg/m2/週]未満である。

0062

これに対し、上記表3に示すように、前記栽培器具1における土壌体積(即ち根圏)が深さ10〜30cm、面積60〜180cm2の範囲を満たす実施例11〜実施例16では、単位面積あたりの収穫量[kg/m2]がいずれも10[kg/m2]以上である。また、前記実施例11〜実施例16では、前記第2範囲の生産速度が1.8[kg/m2/週]以上であり、全期間の生産速度が1.0[kg/m2/週]以上である。従って、本発明に係る芋の栽培方法によれば、馬鈴薯の単位面積当たりの収穫量、前記第2範囲の生産速度、及び全期間の生産速度の全てについて高い効果を得ることができる。前記区画領域20の深さ及び水平断面の面積は、単位面積あたりの収穫量[kg/m2]がいずれも10[kg/m2]以上となるように定義した範囲である。

0063

さらに、本発明に係る芋の栽培方法では、屋外の圃場を使用する前記第2範囲が3〜6週間程度でよいため、同じ圃場を用いて年間に少なくとも6回は馬鈴薯の栽培を繰り返すことができる。特に、本発明に係る芋の栽培方法では、前記第1栽培工程は前記低照度環境で行われるため、前記栽培器具1を鉛直方向に多段に重ねて馬鈴薯の苗を栽培することが可能であり、前記第1栽培工程で使用する土地の面積を著しく省減することができる。
具体的に、前記実施例13の前記区画領域20のサイズが深さ20cm、水平断面の面積60cm2であるとき、単位面積あたりの収穫量は15.8[kg/m2]である。ここで、前記栽培器具1を鉛直方向に5段に重ねて当該芋の栽培方法を実行すると、1m2の土地あたりの収穫量は79[kg/m2]となる。そして、当該芋の栽培方法を年間6回繰り返すと、その合計は474[kg/m2]となる。この芋の生産量は、従来比で約数十倍〜100倍ほどの生産量に相当するものである。

0064

[馬鈴薯の栽培結果]
本実施例2では、本発明に係る芋の栽培方法を用いた馬鈴薯の栽培結果について説明する。なお、ここで用いた馬鈴薯の品種は男爵である。ここに、下記表4は、前記栽培器具1を用いて、前記平均気温Tが24℃、前記区画領域20の深さが20cm、水平断面の面積が80cm2である場合に、前記第1栽培工程及び前記第2栽培工程を行う期間をそれぞれ変化させたときの栽培結果を示している。

0065

上記表4に示すように、前記第1栽培工程又は前記第2栽培工程の期間の少なくとも一方が前記第1範囲又は第2範囲を外れる比較例21〜比較例28では、全期間の生産速度が1.0[kg/m2/週]未満である。

0066

これに対し、上記表4に示すように、前記第1栽培工程及び前記第2栽培工程の期間が前記第1範囲及び第2範囲をそれぞれ満たす実施例21〜実施例26では、全期間の生産速度が1.0[kg/m2/週]以上であり、前記比較例21〜比較例28に比べて生産効率が高いことがわかる。即ち、前記第1範囲及び前記第2範囲は、前記全期間の生産速度が1.0[kg/m2/週]以上となるように定義した範囲である。

0067

[甘藷の栽培結果]
本実施例3では、本発明に係る芋の栽培方法を用いた甘藷の栽培結果について説明する。なお、ここで用いた甘藷の品種は紅アズマである。ここに、下記表5は、前記栽培器具2を用いて、前記平均気温Tが24℃、前記第3栽培工程が6週間、前記第4栽培工程が8週間である場合に、前記区画領域20の深さ及び水平断面の面積をそれぞれ変化させたときの栽培結果を示している。

0068

上記表5に示すように、前記栽培器具2における土壌体積(即ち根圏)が深さ20〜45cm、面積80〜200cm2の範囲を外れる比較例31〜比較例38では、単位面積あたりの収穫量[kg/m2]がいずれも17.0[kg/m2]未満である。また、前記比較例31〜比較例38では、前記第4範囲の生産速度が2.2[kg/m2/週]未満であり、全期間の生産速度が1.3[kg/m2/週]未満である。

0069

これに対し、上記表5に示すように、前記栽培器具2における土壌体積(即ち根圏)が深さ20〜45cm、面積80〜200cm2の範囲を満たす実施例31〜実施例36では、単位面積あたりの収穫量[kg/m2]がいずれも17[kg/m2]以上である。また、前記実施例11〜実施例16では、前記第4範囲の生産速度が2.2[kg/m2/週]以上であり、全期間の生産速度が1.3[kg/m2/週]以上である。従って、本発明に係る芋の栽培方法によれば、甘藷の単位面積当たりの収穫量、前記第4範囲の生産速度、及び全期間の生産速度の全てについて高い効果を得ることができる。前記区画領域20の深さ及び水平断面の面積は、単位面積あたりの収穫量[kg/m2]がいずれも17[kg/m2]以上となるように定義した範囲である。

0070

さらに、本発明に係る芋の栽培方法では、屋外の圃場を使用する前記第4範囲が6〜10週間程度でよいため、同じ圃場を用いて年間に少なくとも4回は甘藷の栽培を繰り返すことができる。特に、本発明に係る芋の栽培方法では、前記第3栽培工程は前記低照度環境で行われるため、前記栽培器具2を鉛直方向に多段に重ねて甘藷の苗を栽培することが可能であり、前記第3栽培工程で使用する土地の面積を著しく省減することができる。
具体的に、前記実施例35の前記区画領域20のサイズが深さ45cm、水平断面の面積80cm2であるとき、単位面積あたりの収穫量は19.5[kg/m2]である。ここで、前記栽培器具2を鉛直方向に5段に重ねて当該芋の栽培方法を実行すると、1m2の土地あたりの収穫量は97.5[kg/m2]となる。そして、当該芋の栽培方法を年間4回繰り返すと、その合計は390[kg/m2]となる。この芋の生産量は、従来比で約数十倍〜100倍ほどの生産量に相当するものである。

0071

[甘藷の栽培結果]
本実施例4では、本発明に係る芋の栽培方法を用いた甘藷の栽培結果について説明する。なお、ここで用いた甘藷の品種は紅アズマである。ここに、下記表6は、前記栽培器具2を用いて、前記平均気温Tが24℃、前記区画領域20の深さは30cm、水平断面の面積は80cm2である場合に、前記第3栽培工程及び前記第4栽培工程を行う期間をそれぞれ変化させたときの栽培結果を示している。

0072

上記表6に示すように、前記第3栽培工程又は前記第4栽培工程の期間の少なくとも一方が前記第3範囲又は第4範囲を外れる比較例41〜比較例48では、全期間の生産速度が1.3[kg/m2/週]未満である。

実施例

0073

これに対し、上記表6に示すように、前記第3栽培工程及び前記第4栽培工程の期間が前記第3範囲及び第4範囲をそれぞれ満たす実施例41〜実施例46では、全期間の生産速度が1.3[kg/m2/週]以上であり、前記比較例41〜比較例48に比べて生産効率が高いことがわかる。即ち、前記第3範囲及び前記第4範囲は、前記全期間の生産速度が1.3[kg/m2/週]以上となるように定義した範囲である。

0074

1 :芋の栽培器具
2 :芋の栽培器具
11:収容部
12:縦隔壁
13:横隔壁
14:底面
20:区画領域

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