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技術 白色性に優れた制電性繊維

出願人 東レ株式会社
発明者 前坂行信たか谷洋輔吉宮隆之
出願日 2012年2月29日 (8年10ヶ月経過) 出願番号 2012-043700
公開日 2013年9月12日 (7年3ヶ月経過) 公開番号 2013-181251
状態 未査定
技術分野 糸;糸またはロープの機械的な仕上げ 複合繊維
主要キーワード 非導電性成分 各成分ポリマー 繊維比表面積 補色剤 実用耐久性 空冷装置 セクショニング 太いフィラメント
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年9月12日)のものです。
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図面 (2)

課題

環境湿度に依らず高い制電性能を発揮する、白色性に優れた制電性繊維を提供する。

解決手段

導電性物質を1〜40重量%含有するフィラメントA1を芯部に、繊維径が10〜1000nmであるフィラメントB2を部に配した芯鞘混繊糸であって、繊維断面において、フィラメントB2による鞘糸層厚み3が、フィラメントB2繊維径の3〜500倍である制電性繊維。フィラメントA1が含有する導電性物質が、導電性カーボンブラックであることが好ましい。

概要

背景

ポリエステルポリアミドなどの熱可塑性ポリマーを用いた合成繊維力学的特性や寸法安定性に優れるため、衣料用途のみならずインテリア車両内装産業用途医療・衛生資材用途幅広く利用されており、産業上の価値は極めて高い。しかしながら、これら合成繊維は本来、電気抵抗が著しく高いため摩擦によって静電気が帯電し易く、衣類においては着脱時の不快感汚れの付着(例えばアレルギー物質など)、特に作業着用途では放電に伴う可燃ガスへの引火の危険性や精密機器類の破損等の問題がある。また、繊維の用途が多様化する今日、静電気障害を防ぐ制電性繊維帯電防止繊維)に対する要求も日々高まりを見せており、従来の制電性能の向上のみならず、意匠性快適性など機能複合化が求められている。

例えば、病院用白衣や介護用ユニフォーム用途においては、医療機器の誤作動や故障を防止すべく制電性が求められるが、同時にファッション性動きやすさ、快適さも求められるようになり、風合いがソフトな極細糸の使用が進んでいる。しかし、繊維が細くなればなるほど繊維比表面積が大きくなるため、摩擦による静電気の発生量が大きくなり、布帛への帯電が深刻になる。帯電防止のために導電糸を高い混率で布帛に混合して帯電防止を図る方法もあるが、一般的に導電糸は灰色〜黒色を呈するため、少量の混合でも布帛の色目はくすみ、表地としての使用に耐えない。

より身近なニーズとしては、昨今普及が進む携帯電話スマートフォンなどの制電容量方式タッチパネルが例に挙げられる。この方式のタッチパネルは、指が表面に触れた際の静電容量の変化を検知するため、手袋等の絶縁物質を介しては操作ができなかった。手袋表面に導電糸を露出させる形で編み込むことで操作自体は可能となるが、前述同様にファッション性には大きな制限が生じる。このため、冬場低温低湿度下でも優れた制電性能を発揮し、布帛の表地としても使用できるエニーカラー制電糸が待望されている。

更には、超極細繊維を用いるワイピングクロスハードディスク研磨布用途においても、払拭後の埃や汚れの再付着を防止すべく除電機能が求められつつあるが、従来の制電糸では超極細化すると十分な効果は得られず、導電性粒子を用いる導電糸は、極細製糸自体が困難であった。

合繊繊維に制電性を付与する方法としては、繊維を形成するベースポリマーと実質的に非相溶性親水性ポリマーブレンドする方法が提案されている。例えば、ベースポリマーがポリエステルの場合、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール・ポリアミドブロック共重合体、ポリオキシアルキレングリコール・ポリエステルブロック共重合体あるいはポリオキシアルキレングリコール・ポリエステル・ポリアミドブロック共重合体等のポリオキシアルキレン化合物を混合させる方法、更にこれらに有機無機イオン性化合物を配合する方法が知られている(特許文献1〜3)。

しかしながら、かかる方法はいずれもイオン電導が主であるから、繊維中の水分子の介在効果が大きく、低湿度環境下では制電効果急減するという欠点があった。更には、ベースポリマーとは非相溶性の制電剤練り込むものであるため、繊維直径の小さな極細糸(繊維直径6〜10μm)や超極細糸(繊維直径2〜6μm)、ナノファイバー(繊維直径10〜1000nm)への適用は、強度が著しく低下する問題があった。

一方、環境湿度に左右されずに制電性能を付与する方法としては、繊維中に導電性カーボンブラック等を高濃度で分散させて得た導電性繊維非導電性繊維と共に布帛とすることにより制電性を得る方法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、カーボンブラックを含有する繊維は黒色を呈するため、少量添加でも繊維製品美観を著しく損ねるという欠点がある。これは、導電性成分を芯,保護成分非導電性成分)をとする芯鞘型構造とすること、また更に該鞘成分中中空部分を形成したり、芯成分鞘成分の間に鞘成分より屈折率の低いポリマー層を介在させたりすることである程度解消される(特許文献5〜7)。しかし、このような方法では導電性成分が繊維表面に露出していないため、制電性に劣ってしまう。

導電性成分が繊維表面に露出した導電性複合繊維の色調を改善する方法としては、保護成分に酸化チタンなどの白色顔料を混合する方法が提案・実用化されているが(特許文献8)、充分な白色度を得るために白色顔料を高混率(例えば10重量%程度)で混合しなければならず、このため、紡糸ノズルガイド類、延撚トラベラヒーター類、編針など製糸、加工、織編工程で該繊維と接する金属部分が著しく摩耗し、その製造が困難である。

さらにそれらの問題を解決するため、例えば酸化チタンに酸化アンチモンドーピングした酸化錫をコートした粒子に代表される白色導電性金属化合物を繊維中に高濃度で分散せしめ、かつポリエステルのような繊維形成性熱可塑性樹脂とともに複合紡糸して白色導電繊維を得る方法が提案されている(特許文献9)。しかしながら、これらの繊維には高価な白色導電性金属化合物を多量に用いるため製造コストが高いばかりか、製糸性が著しく悪いという問題があった。

このため、環境湿度に依らず高い制電性能を発揮し、しかも布帛の表地としても使用できる白色性に優れた制電性繊維の開発が切望されていた。

概要

環境湿度に依らず高い制電性能を発揮する、白色性に優れた制電性繊維を提供する。導電性物質を1〜40重量%含有するフィラメントA1を芯部に、繊維径が10〜1000nmであるフィラメントB2を鞘部に配した芯鞘混繊糸であって、繊維断面において、フィラメントB2による鞘糸層厚み3が、フィラメントB2繊維径の3〜500倍である制電性繊維。フィラメントA1が含有する導電性物質が、導電性カーボンブラックであることが好ましい。

目的

本発明は、環境湿度に依らず高い制電性能を発揮する、白色性に優れた制電性繊維を提供する

効果

実績

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請求項1

導電性物質を1〜40重量%含有するフィラメントAを芯部に、繊維径が10〜1000nmであるフィラメントBを部に配した芯鞘混繊糸であって、繊維断面において、フィラメントBによる鞘糸層厚みが、フィラメントB繊維径の3〜500倍であることを特徴とする制電性繊維

請求項2

フィラメントAが含有する導電性物質が、導電性カーボンブラックであることを特徴とする、請求項1記載の制電性繊維。

請求項3

温度10℃、湿度15%における比抵抗値が1.0×1010Ω・cm以下、であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の制電性繊維。

請求項4

繊維の白色度が70以上であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制電性繊維。

請求項5

フィラメントAおよびフィラメントBを島成分として配した海島複合糸脱海処理して得ることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の制電性繊維。

技術分野

0001

本発明は、環境湿度に依らず高い制電性能を発揮する、白色性に優れた制電性繊維を提供するものである。

背景技術

0002

ポリエステルポリアミドなどの熱可塑性ポリマーを用いた合成繊維力学的特性や寸法安定性に優れるため、衣料用途のみならずインテリア車両内装産業用途医療・衛生資材用途幅広く利用されており、産業上の価値は極めて高い。しかしながら、これら合成繊維は本来、電気抵抗が著しく高いため摩擦によって静電気が帯電し易く、衣類においては着脱時の不快感汚れの付着(例えばアレルギー物質など)、特に作業着用途では放電に伴う可燃ガスへの引火の危険性や精密機器類の破損等の問題がある。また、繊維の用途が多様化する今日、静電気障害を防ぐ制電性繊維(帯電防止繊維)に対する要求も日々高まりを見せており、従来の制電性能の向上のみならず、意匠性快適性など機能複合化が求められている。

0003

例えば、病院用白衣や介護用ユニフォーム用途においては、医療機器の誤作動や故障を防止すべく制電性が求められるが、同時にファッション性動きやすさ、快適さも求められるようになり、風合いがソフトな極細糸の使用が進んでいる。しかし、繊維が細くなればなるほど繊維比表面積が大きくなるため、摩擦による静電気の発生量が大きくなり、布帛への帯電が深刻になる。帯電防止のために導電糸を高い混率で布帛に混合して帯電防止を図る方法もあるが、一般的に導電糸は灰色〜黒色を呈するため、少量の混合でも布帛の色目はくすみ、表地としての使用に耐えない。

0004

より身近なニーズとしては、昨今普及が進む携帯電話スマートフォンなどの制電容量方式タッチパネルが例に挙げられる。この方式のタッチパネルは、指が表面に触れた際の静電容量の変化を検知するため、手袋等の絶縁物質を介しては操作ができなかった。手袋表面に導電糸を露出させる形で編み込むことで操作自体は可能となるが、前述同様にファッション性には大きな制限が生じる。このため、冬場低温低湿度下でも優れた制電性能を発揮し、布帛の表地としても使用できるエニーカラー制電糸が待望されている。

0005

更には、超極細繊維を用いるワイピングクロスハードディスク研磨布用途においても、払拭後の埃や汚れの再付着を防止すべく除電機能が求められつつあるが、従来の制電糸では超極細化すると十分な効果は得られず、導電性粒子を用いる導電糸は、極細製糸自体が困難であった。

0006

合繊繊維に制電性を付与する方法としては、繊維を形成するベースポリマーと実質的に非相溶性親水性ポリマーブレンドする方法が提案されている。例えば、ベースポリマーがポリエステルの場合、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール・ポリアミドブロック共重合体、ポリオキシアルキレングリコール・ポリエステルブロック共重合体あるいはポリオキシアルキレングリコール・ポリエステル・ポリアミドブロック共重合体等のポリオキシアルキレン化合物を混合させる方法、更にこれらに有機無機イオン性化合物を配合する方法が知られている(特許文献1〜3)。

0007

しかしながら、かかる方法はいずれもイオン電導が主であるから、繊維中の水分子の介在効果が大きく、低湿度環境下では制電効果急減するという欠点があった。更には、ベースポリマーとは非相溶性の制電剤練り込むものであるため、繊維直径の小さな極細糸(繊維直径6〜10μm)や超極細糸(繊維直径2〜6μm)、ナノファイバー(繊維直径10〜1000nm)への適用は、強度が著しく低下する問題があった。

0008

一方、環境湿度に左右されずに制電性能を付与する方法としては、繊維中に導電性カーボンブラック等を高濃度で分散させて得た導電性繊維非導電性繊維と共に布帛とすることにより制電性を得る方法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、カーボンブラックを含有する繊維は黒色を呈するため、少量添加でも繊維製品美観を著しく損ねるという欠点がある。これは、導電性成分を芯,保護成分非導電性成分)をとする芯鞘型構造とすること、また更に該鞘成分中中空部分を形成したり、芯成分鞘成分の間に鞘成分より屈折率の低いポリマー層を介在させたりすることである程度解消される(特許文献5〜7)。しかし、このような方法では導電性成分が繊維表面に露出していないため、制電性に劣ってしまう。

0009

導電性成分が繊維表面に露出した導電性複合繊維の色調を改善する方法としては、保護成分に酸化チタンなどの白色顔料を混合する方法が提案・実用化されているが(特許文献8)、充分な白色度を得るために白色顔料を高混率(例えば10重量%程度)で混合しなければならず、このため、紡糸ノズルガイド類、延撚トラベラヒーター類、編針など製糸、加工、織編工程で該繊維と接する金属部分が著しく摩耗し、その製造が困難である。

0010

さらにそれらの問題を解決するため、例えば酸化チタンに酸化アンチモンドーピングした酸化錫をコートした粒子に代表される白色導電性金属化合物を繊維中に高濃度で分散せしめ、かつポリエステルのような繊維形成性熱可塑性樹脂とともに複合紡糸して白色導電繊維を得る方法が提案されている(特許文献9)。しかしながら、これらの繊維には高価な白色導電性金属化合物を多量に用いるため製造コストが高いばかりか、製糸性が著しく悪いという問題があった。

0011

このため、環境湿度に依らず高い制電性能を発揮し、しかも布帛の表地としても使用できる白色性に優れた制電性繊維の開発が切望されていた。

先行技術

0012

特公昭55−122020号公報(特許請求の範囲)
特開昭60−134024号公報(特許請求の範囲)
特開2010−18927号公報(特許請求の範囲)
特開昭60−224813号公報(特許請求の範囲)
特開昭56−20614号公報(特許請求の範囲)
特開2011−236530号公報(特許請求の範囲)
特開昭58−163726号公報(特許請求の範囲)
特開昭57−5924号公報(特許請求の範囲)
特開平3−241067号公報(特許請求の範囲)

発明が解決しようとする課題

0013

本発明は、環境湿度に依らず高い制電性能を発揮し、布帛の表地としても使用可能な白色性に優れた制電性繊維を提供するものである。

課題を解決するための手段

0014

上記課題は、以下の手段により達成される。
(1)導電性物質を1〜40重量%含有するフィラメントAを芯部に、繊維径が10〜1000nmであるフィラメントBを鞘部に配した芯鞘混繊糸であって、繊維断面において、フィラメントBによる鞘糸層厚みが、フィラメントB繊維径の3〜500倍であることを特徴とする制電性繊維。
(2)フィラメントAが含有する導電性物質が、導電性カーボンブラックであることを特徴とする、(1)に記載の制電性繊維。
(3)温度10℃、湿度15%における比抵抗値が1.0×1010Ω・cm以下、であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の制電性繊維。
(4)繊維の白色度が70以上であることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の制電性繊維。
(5)フィラメントAおよびフィラメントBを島成分として配した海島複合糸脱海処理して得ることを特徴とする、(1)から(4)のいずれかに記載の制電性繊維。

発明の効果

0015

本発明によれば、使用する環境の湿度に依らず高い制電性能を発揮するともに、白色性に優れた意匠性、審美性が良好な制電糸が得られる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の制電性繊維の一例の概要図。

0017

以下、本発明について、望ましい実施形態とともに詳述する。
本発明の制電性繊維は、フィラメントAとフィラメントBからなる芯鞘混繊糸である。
フィラメントAおよび/またはフィラメントBを形成するポリマーは、繊維形成性の熱可塑性重合体であれば特に限定されないが、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンポリプロピレンなどが挙げられる。中でもポリエステル、ポリアミドが好ましく用いられる。ポリエステルをさらに具体的に述べると、例えばポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリプロピレンテレフタレートや、それらにジカルボン酸成分、ジオール成分あるいはオキシカルボン酸成分が共重合されたもの、あるいはそれらポリエステルをブレンドしたものが挙げられる。さらには、生分解性ポリエステルとして知られるポリ乳酸ポリブチレンサクシネートポリε−カプロラクタム等の脂肪族ポリエステルでもよい。また、ポリアミドとは、例えばナイロン6ナイロン66、ナイロン69、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシレンアジパミドやこれら各成分を共重合したものやブレンドしたもの等が挙げられる。

0018

本発明で芯糸とするフィラメントAには、導電性物質を1〜40重量%含有させることが重要である。導電性物質を1重量%以上含有せしめることで、環境湿度に依らない優れた制電性能を発現させると共に、40重量%以下とすることで、実用耐久性に優れた機械的強度と製造コスト抑制の両立が図れる。好ましくは5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%である。

0019

ここで言う導電性物質とは、粉末状態での比抵抗が104Ω・cm程度以下であれば特に制限する必要は無く、例としては導電性カーボンブラックや、導電性金属化合物等の公知の物が使用できる。カーボンブラックの種類としては、アセチレンブラックオイルファーネスブラックサーマルブラックチャネルブラックケッチェンブラック等が例示される。他方、導電性金属化合物としては、金属粉や、硫化銅硫化亜鉛硫化カドミウム等の金属硫化物、沃化銅等の金属ハロゲン化物、酸化錫、酸化銅酸化銀酸化亜鉛酸化カドミウム酸化インジウム酸化ジルコニウム酸化タングステン酸化鉛等の金属酸化物等を使用することができる。また、これらの金属化合物には十分に導電性を示さない半導体があるが、適当な第2成分(ドーピング剤)を少量添加することで導電性を向上させることができる。ドーピング剤としては異種金属酸化物、並びに同種もしくは異種の金属が挙げられる。具体的には、酸化錫に対しては酸化アンチモン、酸化銅に対して銅、酸化亜鉛に対して酸化アルミニウムを添加する方法がある。中でも酸化チタンあるいはチタン酸カリウム等の白色度の良好な金属酸化物の表面を、酸化錫あるいは酸化亜鉛を主成分とし、ドーピング剤として酸化アンチモンを用いた導電性被膜で覆った導電性金属化合物微粒子等は白色度、導電性ともに良好であり好ましい。

0020

後に詳述するが、本発明の制電性繊維では、特定の繊維径を持つフィラメントBを鞘糸に配することによって優れた白色性を獲得するため、芯糸であるフィラメントA自体の白色度は重要では無い。つまり、高価な白色系導電性物質は必要とせず、より安価でベースポリマー中への微分散が容易な導電性カーボンブラックが最も好適に用いることができる。
フィラメントAは既知の導電糸で構わないが、導電成分フィラメント表面に露出している表面露出型の構造であると、制電性能が増して好ましい。更には、フィラメントAがベースポリマーと導電性物質のみから成るマイクロファイバー(繊維直径2〜6μm)やナノファイバー(繊維直径10〜1000nm)であると、比表面積が格段に増えるため、極めて高い制電性能を獲得することができる。

0021

次いで、鞘糸に配するフィラメントBについて説明する。フィラメントBの繊維径は、10〜1000nmの範囲である必要がある。該範囲とすることで繊維径が可視光波長域となりフィラメント表面での光散乱顕在化し、一種ハレーション効果によって優れた白色性を獲得できる。より好ましい繊維径の範囲は50〜900nm、さらに好ましくは100〜800nmである。また、フィラメントBの断面形状を三角形五角形などの多角形、扁平断面、あるいはY断面などの凹部をもつ異形断面形状とすると、光散乱が更に促進されるため、極めて優れた白色度を得ることができ好ましい。

0022

繊維断面においてフィラメントBによる鞘糸層厚みは、フィラメントBの繊維径を基準として、3〜500倍の厚みであることが重要である。鞘層厚みを3倍以上とすることで、芯糸の遮像が可能となり、フィラメントAの色目によらない優れた白色性を得ることが可能となる。詳細なメカニズム解明中であるが、ナノサイズのフィラメントBを多層構造とすることで、前述のフィラメント表面における光散乱効果に加えて、フィラメント−フィラメント間に形成されるナノスケール空隙での光屈折が効果的に寄与して、鞘層の厚みが薄くても優れた遮像性、白色性が得られると考えられる。鞘層厚みは、より好ましくは4倍以上、更に好ましくは5倍以上とすると、一段と白色性が向上した繊維が得られる。

0023

一方、優れた制電性性能を得る上で、鞘層厚みは500倍以下とすることが重要であり、好ましくは400倍以下、更に好ましくは300倍以下である。鞘層厚みをこの範囲とすることにより混繊糸としての帯電と放電のバランスが取れて、1.0×105〜1.0×1010Ω・cmの環境湿度に依らない優れた制電性を獲得することができる。鞘層厚みは、目的とする使用用途や要求制電レベル応じて任意に設計可能であり、精密電子機器取扱い用ユニフォームなど高度な制電レベルが要求される用途では、鞘層厚みを小さく設計すると、低温低湿度下でも導電糸に匹敵する性能を獲得できる。制電性能において、温度10℃、湿度15%における比抵抗値は、1.0×1010Ω・cm以下とすることが好ましく、より好ましくは1.0×109Ω・cm以下、更に好ましくは1.0×108Ω・cm以下である。

0024

他方、本発明の制電性繊維に用いるフィラメントBには、難燃剤耐熱剤、耐候剤等の機能剤を含有しても良いが、白色性を得る目的での艶消剤顔料の多量添加は不要である。これは、前述の通り光散乱効果によって十分な白色性を獲得できるためであり、艶消感を得たい場合は、僅か1重量%以下の添加で、十分な効果を得ることができる。逆に、これらの機能剤や補色剤粒子凝集によって、フィラメントB中で粗大粒子を形成し易いため、繊維タフネスを低下させたり、繊維からの脱粒により対象物汚損させたりし易いため(例えば、ワイピングクロスとした際の払拭対象物の損傷)、添加量は極力少ない方が好ましい。

0025

繊維の白色度は70以上あれば、一般衣料用途として十分な白色性を具備している。より好ましくは80以上、更に好ましくは85以上であると、スポーツアウターレディーインナー、高級ファッション衣料等、用途を選ばず展開でき好ましい。

0026

本発明の制電性繊維を製造する方法としては、(a)既存の導電糸にナノファイバーをカバーリングする方法や、(b)フィラメントBを島成分とした海島糸と導電糸とを芯鞘混繊後に脱海処理して得る方法、(c)フィラメントAとフィラメントBを島成分として配した海島複合糸を脱海処理して得る方法などが提案されるが、安定した制電性能と白色性均一性の観点から(c)の方法が優れる。一方、(a)の方法で既存の導電糸を用いる場合は、総繊度が15〜44dtex程度の細繊度導電糸を用いると、混繊糸とした際の風合いが極めてソフトであり、スポーツアウターやインナー用途に好適である。また、44〜110dtex程度の導電糸を用いれば、しなやかさと寸法安定性に優れる一般衣料用途等に好適な制電性混繊糸が得られ、110〜300dtex程度の導電糸を用いれば、ハリコシ感と機械的強度に優れた、ユニフォーム用途や産業資材用途等に好適な制電性混繊糸が得られる。

0027

以下実施例を挙げて、本発明の制電性繊維について具体的に説明する。実施例および比較例については、下記の評価を行った。

0028

(1)固有粘度(IV)
定義式のηrは、純度98%以上のO−クロロフェノール(OCP)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下記の式により求め、固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
η:ポリマー溶液の粘度
η0:OCPの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm3)
t0:OCPの落下時間(秒)
d0:OCPの密度(g/cm3)。

0029

(2)強伸度
JIS L1013(1999)に従い、TOYO BALDWIN社製TENSILON/UTM−III−100を使用し、試料長20cm、引張り速度20cm/分の測定条件でフィラメント破断点における強度(cN/dtex)、伸度(%)を測定した。

0030

(3)原糸比抵抗
糸条束ねて約2200dtexとし、弱アニオン系洗剤を用い、十分に精錬して油剤などを除いた後、温度10℃、湿度15%RHの状態で24時間放置し、同温度、湿度下にてその両端の電気抵抗を測定することによって原糸の比抵抗ρ(Ω・cm)を求めた。原糸比抵抗が1.0×1010Ω・cm以下のものを合格とした。

0031

(4)フィラメント径および鞘層厚み測定
繊維をエポキシ樹脂包埋し、Reichert社製FC・4E型クライオセクショニングステム凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert−Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した後、その切削面を日立製作所製H−7100FA透過型電子顕微鏡TEM)にて観察像撮影した。この画像より像のコントラストおよび理論繊維径をもとに、フィラメントA、フィラメントBを判別し、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて各々の繊維径を測定した。なお、フィラメントBの繊維径は、ランダムに選択した50本を測定し、1nmの位を四捨五入して10の位まで求めた。また鞘層厚みは、糸条の外接円から最も近い場所に位置するフィラメントAまでの距離を鞘層厚みと定義した。

0032

(5)白色度(W)
繊維を金属プレート巻き取り、スガ試験機社製SMカラーコンピュータ型式SM−3を用いてL、a、b値を2回測定し、平均値より求めた。
W=100−{(100−L)2+(a2+b2)}1/2
(6)脱海処理
海島型複合糸を用いて筒編み地を作成し、80℃加熱した2重量%の水酸化ナトリウム水溶液にて海成分溶解除去した。その後筒編をほどき、サンプルとした。

0033

実施例1
以下に海島型複合糸を脱海処理して本発明の繊維を得る方法について示す。
脱海処理後にフィラメントAとなる島成分として導電性のファーネスカーボンブラックを33重量%含むポリトリメチレンテレフタレート(IV=1.10)を、フィラメントBとなる島成分として二酸化チタンを0.1wt%含むポリエチレンテレフタレート(IV=0.71)を用い、海成分ポリマーとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸7.3wt%を共重合成分として含むアルカリ易溶解性ポリエチレンテレフタレート(IV=0.55)を用いた。これらを285℃で別々に溶融後、計量し、紡糸パックに流入させた。このとき、各成分の重量複合比は島A/島B/海=4/66/30とし、島数は島A/島B=7/120として、ホール数112の海島型複合紡糸口金より吐出させた。口金から吐出された糸条は、空冷装置により冷却、油剤付与後、1500m/分の速度で巻き取り、192dtex−112フィラメントの未延伸糸として巻き取った。このプロセスで得られた未延伸糸の顕微鏡観察では、島成分の融着は見られなかった。続いて、得られた未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラ間で延伸倍率2.56倍で延伸し、800m/分の速度で巻き取り、75dtex−112フィラメントの延伸糸を得た。この延伸糸を筒編み地とし、80℃に加熱した2重量%の水酸化ナトリウム水溶液にて海成分を溶出処理し、フィラメントAおよびフィラメントBから成る混繊糸を得た。TEM観察の結果、フィラメントBの繊維径は510nm、鞘層厚みは2700nmであり、表に示す通り比抵抗に優れる制電性繊維が得られた。

0034

実施例2、3
実施例1に記載の方法から、脱海処理後にフィラメントAとなる島成分のポリマーを、導電性のファーネスカーボンブラックを20重量%含むポリトリメチレンエチレンテレフタレート(IV=1.10、実施例2)、導電性のファーネスカーボンブラックを8重量%含むポリエチレンテレフタレート(IV=0.66、実施例3)とした以外は、実施例1に従い混繊糸を得た。この混繊糸は、白色性、比抵抗値ともに優れた制電性繊維であった。

0035

実施例4
島数が島A/島B=18/109の口金に変更し、各成分ポリマーの重量複合比を島A/島B/海=10/60/30とした以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。白色性で実施例1に一歩譲るものの、比抵抗値の良好な制電性繊維を得た。

0036

実施例5
実施例4記載の方法から、海成分の複合比を減らし、各成分ポリマーの重量複合比を島A/島B/海=12/68/20とした以外は、実施例4と同様にして制電性繊維を得た。この繊維においては、本来18島である島A成分同士が融着して、1本の太いフィラメントAを形成しており、これを取り囲むよう109本のフィラメントBが存在していた。この混繊糸は白色性で実施例1に一歩譲るものの、比抵抗値の良好な制電性繊維であった。

0037

実施例6
島数が島A/島B=1/126の口金に変更し、各成分ポリマーの重量複合比を島A/島B/海=1/69/30とした以外は、実施例1と同様にして製糸し、190dtex−112フィラメントの海島複合延伸糸を得た。この延伸糸を脱海処理して得た繊維は、比抵抗値で実施例1に一歩譲るものの、白色性に優れた制電性繊維あった。

0038

実施例7
実施例1と同様にして得られた繊維を、80℃に加熱した4重量%の水酸化ナトリウム水溶液にて減量率70%まで過剰に脱海処理した。得られた混繊糸は、比抵抗値で実施例1に譲るものの、白色性に優れた制電性繊維であった。

0039

実施例8
導電性物質を含まない海島複合糸を得るべく、島成分を二酸化チタン0.1wt%を含むポリエチレンテレフタレート(IV=0.71)のみとし、海/島複合比を30/70重量%とした以外は、実施例1と同様に製糸して、75dtex−112フィラメントの海島複合糸を得た。その後、導電性カーボンブラックを繊維中に1.8重量%含有する28dtex−3フィラメントのナイロン導電糸を芯糸とし、その周囲に先の海島複合糸を3本でカバーリングして芯鞘型複合糸を得た。更にこの芯鞘型複合糸を80℃に加熱した4重量%の水酸化ナトリウム水溶液にて脱海処理して目的の混繊糸を得た。この混繊糸は比抵抗値で実施例1に譲るものの、白色性に優れた制電性繊維であった。

0040

実施例9
鞘糸として、特開2004−162244号公報の実施例1に記載の方法で得た120dtex−12フィラメントのナイロン6/共重合PETポリマーアロイ繊維(実施例9)用いた以外は、実施例8と同様にして、ナイロン導電糸の周囲に3本のポリマーアロイ繊維をカバーリングした芯鞘型複合糸を得た。次いで、この芯鞘型複合糸を80℃に加熱した4重量%の水酸化ナトリウム水溶液にて脱海処理して目的の混繊糸を得た。この混繊糸は比抵抗値で実施例1に譲るものの、白色性に優れた制電性繊維であった。

0041

実施例10
鞘糸として、特開2004−162244号公報の実施例38に記載の方法で得た120dtex−36フィラメントのナイロン6/共重合PETポリマーアロイ繊維を用いた以外は、実施例8と同様にして、ナイロン導電糸の周囲にポリマーアロイ繊維3本をカバーリングした芯鞘型複合糸を得た。次いで、この芯鞘型複合糸を80℃に加熱した4重量%の水酸化ナトリウム水溶液にて脱海処理して目的の混繊糸を得た。この混繊糸は比抵抗値で実施例1に譲るものの、白色性に優れた制電性繊維であった。

0042

実施例11
脱海処理後にフィラメントAとなる島成分として、導電性酸化チタン(石原産業株式会社“ET−300W”)を11重量%含むポリエチレンテレフタレート(IV=0.68)とした以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。この混繊糸は、白色性、比抵抗値ともに優れた制電性繊維であった。

0043

実施例12
脱海処理後にフィラメントAとなる島成分として、導電性酸化チタン(石原産業株式会社“ET−300W”)を11重量%含むポリエチレンテレフタレート(IV=0.68)とした以外は、実施例6と同様にして混繊糸を得た。この混繊糸は、白色性、比抵抗値ともに優れた制電性繊維であった。

0044

比較例1
脱海処理後にフィラメントAとなる島成分ポリマーを、導電性のファーネスカーボンブラックを0.5重量%含むポリエチレンテレフタレート(IV0.66)とした以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。この混繊糸は比抵抗が高く、制電性繊維として使用できないレベルであった。

0045

比較例2
島成分として二酸化チタンを0.1wt%含むポリエチレンテレフタレート(IV=0.71)を、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸7.3wt%を共重合成分として含むアルカリ易溶解性ポリエチレンテレフタレート(IV=0.55)を配した、島数8、海/島複合比=30/70重量%のマイクロファイバー用海島糸(33dtex−36フィラメント)3本を、実施例8と同様にして導電性カーボンブラックを繊維中に1.8重量%含有する28dtex−3フィラメントのナイロン導電糸の周りにカバーリングした。この芯鞘型複合糸を80℃に加熱した4重量%の水酸化ナトリウム水溶液にて脱海処理して得た混繊糸は、比抵抗値は良好であるものの白色性に劣り、一般衣料の表地に使用できないレベルであった。

0046

比較例3
実施例8において、カバーリング糸の数を1本とした以外は、実施例8と同様にして混繊糸を得た。この混繊糸は比抵抗値は良好であるものの白色性に劣り、一般衣料の表地に使用できないレベルであった。

0047

比較例4
実施例1で得た75dtex−112フィラメントの導電性物質を含有する海島複合糸を芯糸とし、その周囲を実施例8で得た導電性物質を含まない75dtex−112フィラメントの海島複合糸10本でカバーリングして芯鞘型複合糸を得、脱海処理して混繊糸を得た、この混繊糸は比抵抗が高く、制電性繊維として使用できないレベルであった。

0048

比較例5
脱海処理後にフィラメントAとなる島成分として導電性のファーネスカーボンブラックを50重量%含むポリトリメチレンテレフタレート(IV=1.10)とした以外は、実施例1と同様にして製糸を試みたが、導電剤凝集による粗大粒子が原因となり、延伸工程での糸切れが多発した。かろうじて得た75dtex−112フィラメントの延伸糸を、実施例1と同様に脱海処理して得た混繊糸は、長手方向での濃淡があり白色度に劣るものであった。

実施例

0049

0050

1フィラメントA
2 フィラメントB
3鞘層厚み

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