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技術 イッテルビウム製スパッタリングターゲット及び同ターゲットの製造方法。

出願人 JX金属株式会社
発明者 塚本志郎
出願日 2013年4月17日 (7年9ヶ月経過) 出願番号 2013-086186
公開日 2013年9月9日 (7年5ヶ月経過) 公開番号 2013-177687
状態 特許登録済
技術分野 物理蒸着 半導体の電極
主要キーワード 被加工部品 機械加工仕上げ 初期パーティクル 表面仕上げ加工 ワーク回転速度 冷間加工法 最終仕上げ加工 ショットピーニング法
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

ターゲット素材最終仕上げ加工後のターゲット表面に存在する凹凸むしれ)を著しく低減し、スパッタリング時のパーティクルの発生を抑制できるイッテルビウムスパッタリングターゲットの製造方法を提供する。

解決手段

予め表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下であるイッテルビウムターゲット素材を製造し、この表面硬度を有するイッテルビウムターゲット素材の表面を機械加工により表面粗さRaを10μm以下で、ターゲット表面のむしれの発生が7個/面以下で、スパッタリング時のパーティクルの発生数が34個/cm2以下である様に最終仕上げ加工する。

概要

背景

イッテルビウム(Yb)は希土類元素の中に含まれるものであるが、鉱物資源として混合複合酸化物として地殻に含有されている。希土類元素は比較的希に存在する鉱物から分離されたので、このような名称がついたが、地殻全体からみると決して希少ではない。
イッテルビウムの原子番号は70、原子量173.0の灰色の金属であり、常温では立方細密構造を備えている。融点は819°C、沸点1194°C、密度6.97g/cm3であり、空気中では表面が酸化され、酸に可溶である。希土類元素は一般に酸化数3の化合物が安定であり、イッテルビウムも3価であるが、2価のものもある。本願発明はこれらを包含するものとして取り扱う。

最近では、イッテルビウムをメタルゲート材料、High−k材料などの電子材料として利用する研究開発が進められており、注目されている金属である。
通常、前記の電子材料はスパッタリングによって形成される。スパッタリングとは、真空中に不活性ガス(主にArガス)を導入しながら、基板スパッタリングターゲットの間に直流電圧若しくは高周波電圧印加して、イオン化したArをスパッタリングターゲットに衝突させて、はじき飛ばされたターゲット物質を基板上に成膜させる方法である。

イッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法について、高純度イッテルビウムインゴットを所定のサイズに切断し、これを研削及び研磨して高純度イッテルビウムターゲットを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、イッテルビウムは室温において脆弱かつ軟質であるため、表面をバイト切削した場合、切削粉(細い線状のものとなることが多い)が分離する際に、表面切削跡の両側近傍に細かい凹凸むしれ)が発生する。この凹凸(むしれ)は、目視で認識できる程度であり、具体的には数十μm〜数百μm程度である。

しかしながら、この微細な凹凸(むしれ)は、実は大きな問題を発生する。バイトによる切削の際に、バイト送りに伴って潰され、イッテルビウムターゲット表面に、多数の傷を残す。特に、ターゲット素材が高純度である場合には、室温におけるイッテルビウムは、爪で傷が付くほど軟らかいため、大きな問題となる。
また、ターゲットが円盤状の場合には、ターゲット表面を同心円状に切削していくため、同心円状に細かな傷がついてしまうという問題を生じた。

従来技術として、W合金からなるスパッタリングターゲットにおいて、機械加工時に発生する微小クラックなどの加工欠陥層を除去するために、表面部を研削などの機械加工仕上げにより凹凸の少ない極めて小さな光沢面を仕上げる技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
また、スパッタリング用シリサイドターゲットにおいて、表面の加工変質層を一部除去して、表面粗さを0.05〜1.0μmにすることにより、スパッタリング時に発生するパーティクルを大幅に低減する技術が開示されている(例えば、特許文献3)。

さらに、スパッタリングターゲットの表面を精密切削によりスパッタ面仕上げ加工を行い、加工条件を選択して、中心線平均粗さRa≦0.2μm、加工変質層の厚さ15μmにすることにより、スパッタリング時のパーティクル発生を低減する技術が開示されている(例えば、特許文献4)。しかし、これらの技術は、いずれもスパッタリングターゲットの表面を機械加工等の加工条件に工夫を凝らして、表面粗さの小さい、加工歪みの少ない表面を備えたターゲットを得ようとするものである。
一方、ターゲット表面の性状の制御に注目した例としては、Alを主成分とするスパッタリングターゲットで、異常放電を防止するためにビッカース硬度を30〜80とし、そのばらつきを20%以内にするという発明が開示されている。しかし、これはターゲットの表面を加工後の性状を制御することにより、それ用いたスパッタリングによる成膜時の課題に対するものであり、材料が全く異なるイッテルビウムターゲット固有の課題である製作段階(表面の機械加工)で発生する「むしれ」の解決につながる課題も動機もない。

本発明者は、上記の凹凸(むしれ)の発生を抑制するために、従来と同様の加工条件の工夫、すなわち、最終仕上げ加工時のバイトの切り込み角度、切り込み深さ、切削速度を調節する試みを行った。しかしながら、これらの切り込み角度を低くすることや切り込み深さを浅くすることにより、むしれの凹凸はやや小さくなる傾向にあったが、十分でなかった。
というのは、切削速度を下げると、むしれの数は減少するが、凹凸は大きくなる傾向があり、切削速度を上げると、むしれの数が増加する上、切削粉が発火する問題が生ずるからであり、単にこれらのバイト切削の条件を調整しただけでは、むしれの発生を確実に抑制することはできなかった。

このような凹凸(むしれ)は、スパッタリングするに際してパーティクル発生の原因となる。仮に、機械加工後にスクレイパーなどでむしれを潰し、0.2mm程度の圧力量圧延を行って、凹凸を目立たないよう工夫をした場合であっても、パーティクル発生の抑制は十分でなく、逆にパーティクルが増加するような場合も生じた。

また、イッテルビウムは化学的活性な金属であり、大気中の酸素、水分、炭酸ガスと容易に反応するため、例えば、湿式研磨によってターゲット表面の仕上げ加工を行うと、酸化膜炭化膜などが形成され、酸素や炭素汚染、さらに研磨剤による汚染が発生し、スパッタリング開始時にプラズマが発生しなくなるなどの問題も生じた。
特願2007−274808
特開平3−257158号公報
特開平6−322529号公報
特開平11−001766号公報
特開2004−204284号公報

概要

ターゲット素材の最終仕上げ加工後のターゲット表面に存在する凹凸(むしれ)を著しく低減し、スパッタリング時のパーティクルの発生を抑制できるイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法を提供する。予め表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下であるイッテルビウムターゲット素材を製造し、この表面硬度を有するイッテルビウムターゲット素材の表面を機械加工により表面粗さRaを10μm以下で、ターゲット表面のむしれの発生が7個/面以下で、スパッタリング時のパーティクルの発生数が34個/cm2以下である様に最終仕上げ加工する。なし

目的

本発明は、イッテルビウム製スパッタリングターゲットにおいて、ターゲット素材の最終仕上げ加工後のターゲット表面に存在する凹凸(むしれ)を著しく低減し、スパッタリング時のパーティクルの発生を抑制することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

イッテルビウムスパッタリングターゲットの製造方法において、予め表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下であるイッテルビウムターゲット素材を製造し、この表面硬度を有するイッテルビウムターゲット素材の表面を機械加工により最終仕上げ加工することを特徴とするイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法。

請求項2

イッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法において、予め表面のビッカース硬度(Hv)が18以上、40以下であるイッテルビウムターゲット素材を製造し、この表面硬度を有するイッテルビウムターゲット素材の表面を機械加工により最終仕上げ加工することを特徴とするイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法。

請求項3

イッテルビウムターゲット素材の厚さ方向のビッカース硬度(Hv)を、イッテルビウムターゲット素材の表面のビッカース硬度を基準として、−3以上、5以下とすることを特徴とする請求項1又は2記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法。

請求項4

イッテルビウムの鋳造インゴット冷間圧延した後、これを真空中又は不活性ガス中で350℃以上、700℃以下で焼鈍し、得られたイッテルビウムターゲット素材の表面を機械加工により最終仕上げ加工することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法。

請求項5

イッテルビウムターゲット素材を純度3N以上とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法。

請求項6

イッテルビウムターゲット素材を純度4N以上とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法。

請求項7

最終仕上げ加工において、乾式の切削加工を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法。

請求項8

純度が3N以上であり、表面粗さRaが5μm以下であることを特徴とするイッテルビウム製スパッタリングターゲット。

請求項9

純度が4N以上であり、表面粗さRaが10μm以下であることを特徴とするイッテルビウム製スパッタリングターゲット。

請求項10

最終仕上げ加工後のイッテルビウムターゲットの表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下であることを特徴とする請求項8又は9記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲット。

技術分野

0001

本発明は、ターゲット素材最終仕上げ加工後のターゲット表面に存在する凹凸むしれ)を低減させたイッテルビウムスパッタリングターゲット及び同ターゲットの製造方法に関する。

背景技術

0002

イッテルビウム(Yb)は希土類元素の中に含まれるものであるが、鉱物資源として混合複合酸化物として地殻に含有されている。希土類元素は比較的希に存在する鉱物から分離されたので、このような名称がついたが、地殻全体からみると決して希少ではない。
イッテルビウムの原子番号は70、原子量173.0の灰色の金属であり、常温では立方細密構造を備えている。融点は819°C、沸点1194°C、密度6.97g/cm3であり、空気中では表面が酸化され、酸に可溶である。希土類元素は一般に酸化数3の化合物が安定であり、イッテルビウムも3価であるが、2価のものもある。本願発明はこれらを包含するものとして取り扱う。

0003

最近では、イッテルビウムをメタルゲート材料、High−k材料などの電子材料として利用する研究開発が進められており、注目されている金属である。
通常、前記の電子材料はスパッタリングによって形成される。スパッタリングとは、真空中に不活性ガス(主にArガス)を導入しながら、基板とスパッタリングターゲットの間に直流電圧若しくは高周波電圧印加して、イオン化したArをスパッタリングターゲットに衝突させて、はじき飛ばされたターゲット物質を基板上に成膜させる方法である。

0004

イッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法について、高純度イッテルビウムインゴットを所定のサイズに切断し、これを研削及び研磨して高純度イッテルビウムターゲットを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、イッテルビウムは室温において脆弱かつ軟質であるため、表面をバイト切削した場合、切削粉(細い線状のものとなることが多い)が分離する際に、表面切削跡の両側近傍に細かい凹凸(むしれ)が発生する。この凹凸(むしれ)は、目視で認識できる程度であり、具体的には数十μm〜数百μm程度である。

0005

しかしながら、この微細な凹凸(むしれ)は、実は大きな問題を発生する。バイトによる切削の際に、バイト送りに伴って潰され、イッテルビウムターゲット表面に、多数の傷を残す。特に、ターゲット素材が高純度である場合には、室温におけるイッテルビウムは、爪で傷が付くほど軟らかいため、大きな問題となる。
また、ターゲットが円盤状の場合には、ターゲット表面を同心円状に切削していくため、同心円状に細かな傷がついてしまうという問題を生じた。

0006

従来技術として、W合金からなるスパッタリングターゲットにおいて、機械加工時に発生する微小クラックなどの加工欠陥層を除去するために、表面部を研削などの機械加工仕上げにより凹凸の少ない極めて小さな光沢面を仕上げる技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
また、スパッタリング用シリサイドターゲットにおいて、表面の加工変質層を一部除去して、表面粗さを0.05〜1.0μmにすることにより、スパッタリング時に発生するパーティクルを大幅に低減する技術が開示されている(例えば、特許文献3)。

0007

さらに、スパッタリングターゲットの表面を精密切削によりスパッタ面仕上げ加工を行い、加工条件を選択して、中心線平均粗さRa≦0.2μm、加工変質層の厚さ15μmにすることにより、スパッタリング時のパーティクル発生を低減する技術が開示されている(例えば、特許文献4)。しかし、これらの技術は、いずれもスパッタリングターゲットの表面を機械加工等の加工条件に工夫を凝らして、表面粗さの小さい、加工歪みの少ない表面を備えたターゲットを得ようとするものである。
一方、ターゲット表面の性状の制御に注目した例としては、Alを主成分とするスパッタリングターゲットで、異常放電を防止するためにビッカース硬度を30〜80とし、そのばらつきを20%以内にするという発明が開示されている。しかし、これはターゲットの表面を加工後の性状を制御することにより、それ用いたスパッタリングによる成膜時の課題に対するものであり、材料が全く異なるイッテルビウムターゲット固有の課題である製作段階(表面の機械加工)で発生する「むしれ」の解決につながる課題も動機もない。

0008

本発明者は、上記の凹凸(むしれ)の発生を抑制するために、従来と同様の加工条件の工夫、すなわち、最終仕上げ加工時のバイトの切り込み角度、切り込み深さ、切削速度を調節する試みを行った。しかしながら、これらの切り込み角度を低くすることや切り込み深さを浅くすることにより、むしれの凹凸はやや小さくなる傾向にあったが、十分でなかった。
というのは、切削速度を下げると、むしれの数は減少するが、凹凸は大きくなる傾向があり、切削速度を上げると、むしれの数が増加する上、切削粉が発火する問題が生ずるからであり、単にこれらのバイト切削の条件を調整しただけでは、むしれの発生を確実に抑制することはできなかった。

0009

このような凹凸(むしれ)は、スパッタリングするに際してパーティクル発生の原因となる。仮に、機械加工後にスクレイパーなどでむしれを潰し、0.2mm程度の圧力量圧延を行って、凹凸を目立たないよう工夫をした場合であっても、パーティクル発生の抑制は十分でなく、逆にパーティクルが増加するような場合も生じた。

0010

また、イッテルビウムは化学的活性な金属であり、大気中の酸素、水分、炭酸ガスと容易に反応するため、例えば、湿式研磨によってターゲット表面の仕上げ加工を行うと、酸化膜炭化膜などが形成され、酸素や炭素汚染、さらに研磨剤による汚染が発生し、スパッタリング開始時にプラズマが発生しなくなるなどの問題も生じた。
特願2007−274808
特開平3−257158号公報
特開平6−322529号公報
特開平11−001766号公報
特開2004−204284号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、イッテルビウム製スパッタリングターゲットにおいて、ターゲット素材の最終仕上げ加工後のターゲット表面に存在する凹凸(むしれ)を著しく低減し、スパッタリング時のパーティクルの発生を抑制することを課題とする。

課題を解決するための手段

0012

上記の課題を解決するために、本発明者等は鋭意研究を行った結果、イッテルビウム製スパッタリングターゲットについて、最終仕上げ加工前の当該ターゲット素材の表面の硬度を所定の範囲に調整することにより、上記の課題を解決することができるとの知見を得た。
本発明はこの知見に基づき、
1.イッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法において、予め表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下であるイッテルビウムターゲット素材を製造し、この表面硬度を有するイッテルビウムターゲット素材の表面を機械加工により最終仕上げ加工することを特徴とするイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法、
2.イッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法において、予め表面のビッカース硬度(Hv)が18以上、40以下であるイッテルビウムターゲット素材を製造し、この表面硬度を有するイッテルビウムターゲット素材の表面を機械加工により最終仕上げ加工することを特徴とするイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法、
3.イッテルビウムターゲット素材の厚さ方向のビッカース硬度(Hv)を、イッテルビウムターゲット素材の表面のビッカース硬度を基準として、−3以上、5以下とすることを特徴とする上記1又は2記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法、
4.イッテルビウムの鋳造インゴット冷間圧延した後、これを真空中又は不活性ガス中で350℃以上、700℃以下で焼鈍し、得られたイッテルビウムターゲット素材の表面を機械加工により最終仕上げ加工することを特徴とする上記1〜3のいずれか一に記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法、
5.イッテルビウムターゲット素材を純度3N以上とすることを特徴とする上記1〜4のいずれか一に記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法、
6.イッテルビウムターゲット素材を純度4N以上とすることを特徴とする上記1〜4のいずれか一に記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法、
7.最終仕上げ加工において、乾式の切削加工を行うことを特徴とする上記1〜6のいずれか一に記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。

0013

本発明は、また
8.純度が3N以上であり、表面粗さRaが5μm以下であることを特徴とするイッテルビウム製スパッタリングターゲット、
9.純度が4N以上であり、表面粗さRaが10μm以下であることを特徴とするイッテルビウム製スパッタリングターゲット、
10.最終仕上げ加工後のイッテルビウムターゲットの表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下であることを特徴とする上記8又は9記載のイッテルビウム製スパッタリングターゲット、を提供する。

発明の効果

0014

本発明のイッテルビウム製スパッタリングターゲットは、ターゲット素材の表面を機械加工した場合であっても、当該ターゲット表面(スパッタ面)に発生する凹凸(むしれ)が著しく低減され、その結果、凹凸(むしれ)に起因するパーティクルの発生を抑制できるという優れた効果を有する。

発明を実施するための最良の形態

0015

イッテルビウム製スパッタリングターゲットにおいて、最終仕上げ加工前のターゲット素材の表面のビッカース硬度(Hv)を15以上、40以下とすることにより、ターゲット素材の表面を機械加工しても、上記のような凹凸(むしれ)の発生を著しく低減することができ、その結果、スパッタリング時のパーティクル発生を確実に抑制することができる。ターゲット素材の表面のビッカース硬度(Hv)を、好ましくは18以上とすることにより、凹凸(むしれ)の発生をより低減することが可能となる。
上記ターゲット素材の表面のビッカース硬度(Hv)を15未満とした場合、ターゲット素材は軟らかで粘りがあるため、機械加工すると切削粉が分離する際に、表面切削跡の両側近傍に細かい凹凸(むしれ)が表面全体に発生し、スパッタリング際にはその凹凸(むしれ)に起因して、パーティクルが多量に発生するので、好ましくない。
一方、上記ターゲット素材の表面のビッカース硬度(Hv)が40を超えると、ターゲット素材の脆弱性が増すため、バイト切削部から微小クラックが発生するので、好ましくない。

0016

最終仕上げ加工において、機械加工による切削がターゲット素材の内部まで進行して行くと、内部の軟らかで脆弱な部分が露出するため、当該部分が切削されることにより、そこから多くの凹凸(むしれ)が発生する。したがって、ターゲットの厚さ方向においても、そのビッカース硬度を、表面のビッカース硬度(Hv)を基準として、−3以上、5以下とすることが好ましい。

0017

上記の所望のビッカース硬度(Hv)を得るためには、イッテルビウムの鋳造インゴットを冷間圧延し、これを真空中又は不活性ガス中で350℃、700℃以下で焼鈍することによって得ることができる。焼鈍温度が350℃未満であると、十分に再結晶化されないので好ましくない。一方、700℃を超えると、高温相(bcc)が出現して、組成加工特性が変化して結晶組織が均一とならず、また、その高温相が残留するので好ましくない。

0018

以上については、焼鈍温度の調整により、ビッカース硬度(Hv)を調整するものであり、この方法は非常に好適な方法であることは上記の通りである。しかしながら、他にビッカース硬度(Hv)を調整する手段があれば、これを妨げるものではない。すなわち、上記に述べたターゲット素材の表面硬度が、本願発明の条件を達成できれば、本願発明の目的に一部が達成されることは、容易に理解されるべきことである。

0019

一方、イッテルビウムは、その特性を活かすために、高純度化が求められているが、イッテルビウム自体、室温において脆弱かつ軟質の金属であり、純度を高めると、一層イッテルビウムの性質を高める傾向にある。したがって、高純度イッテルビウムを用いて、ターゲット素材の表面を切削した場合、より多くの凹凸(むしれ)が発生し易いという状況にある。したがって、凹凸(むしれ)を発生させない本願発明は、3N以上、さらには4N以上に高純度化したイッテルビウムにおいて、特に有効である。

0020

また、イッテルビウムは化学的に活性な金属であって、空気中の酸素と容易に反応するので、例えば、ターゲット素材を湿式研磨により表面仕上げ加工すると、その表面に酸化膜などが形成される。この酸化膜等の汚染をできるだけ排除することが好ましい。したがって、本願発明において、ターゲット素材の表面最終仕上げ加工には、乾式の切削加工を用いることが、特に有効である。

0021

イッテルビウム製スパッタリングターゲットの製造方法において、ターゲット素材の表面のビッカース硬度(Hv)を15以上、40以下にすることによって、純度3N以上の場合には、表面粗さ(Ra)5μm以下、純度4N以上の場合には、表面粗さ(Ra)10μm以下のターゲット表面(スパッタ面)を得ることができ、スパッタリングの際のパーティクルの発生を抑制することができる。

0022

次に、実施例について説明する。なお、この実施例は理解を容易にするためのものであり、本発明を制限するものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内における、他の実施例及び変形は、本発明に含まれるものである。

0023

(実施例1−4)
純度が4Nのイッテルビウムの鋳造インゴット(直径100mm)を冷間圧延し、さらに真空中あるいは不活性ガス中で350℃〜700℃で1時間焼鈍して、厚さ10mm、直径150mmのイッテルビウムターゲット素材を得た。
到達焼鈍温度を変えることで、仕上げ加工前のビッカース硬度を変化させた。なお、焼鈍時間が短いと表面のビッカース硬度が不均一になるが、1時間以上とする場合には、特に問題はない。

0024

その後、乾式で旋盤による切削加工を行い、イッテルビウムターゲット素材の表面を仕上げた。加工条件は、最もよいと思われる以下の条件で行った。なお、本願発明はこの加工条件によって一切制限を受けるものではない。
ワーク回転速度:100rpm
バイト角度:45°
バイト移動速度:0.1mm/rpm
最終切削深さ:0.07mm
上記条件で表面仕上げ加工を行ったイッテルビウムターゲットをスパッタリングし、初期パーティクル発生状況を調べた。その結果を表1に示す。

0025

0026

実施例1では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が15と本願発明の範囲内であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が12〜16であるイッテルビウムターゲット素材を作製した。このターゲット素材を最終仕上げ加工すると、ターゲット表面には凹凸(むしれ)がほとんどなく、表面が均一に加工され、スパッタリング時のパーティクルの発生も少ない良好な結果を示した。

0027

実施例2では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が18と本願発明の範囲内であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が16〜23であるイッテルビウムターゲット素材を作製した。このターゲット素材を最終仕上げ加工すると、ターゲット表面には、凹凸(むしれ)が皆無で表面が均一に加工され、スパッタリング時のパーティクル発生も少ない最良の結果を示した。

0028

実施例3では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が25と本願発明の範囲内であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が19〜25であるイッテルビウムターゲット素材を作製した。このターゲット素材を最終仕上げ加工すると、ターゲットの表面には、凹凸(むしれ)が皆無で表面が均一に加工され、スパッタリング時のパーティクル発生も少ない最良の結果を示した。

0029

実施例4では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が36と本願発明の範囲内であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が33〜38であるイッテルビウムターゲット素材を作製した。このターゲット素材を最終仕上げ加工すると、ターゲット表面には、凹凸(むしれ)が皆無で表面が均一に加工され、スパッタリング時のパーティクル発生も少ない最良の結果を示した。

0030

上記の結果から、純度4Nのターゲット素材において、表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が、表面のビッカース硬度を基準として、−3以上、5以下であるイッテルビウムのターゲット材は、表面仕上げ加工を行っても、ターゲット表面には凹凸(むしれ)がほとんどないか、あるいは皆無であって、スパッタリング時のパーティクル発生が少ないという、優れた結果を示した。

0031

(実施例5,6)
実施例5、6は、実施例1−4と同様の方法によりターゲット素材を作製した。到達焼鈍温度を700℃とし、ショットピーニング法にて表面のみを硬化させたものを乾式で旋盤による切削加工を行い、厚さ10mm、直径150mmのターゲット素材を得た。
ここで、ショットピーニングとは、ショット材と呼ばれる粒径40μm〜1.3mm程度の硬質小球を、投射装置により加速して噴射させ、被加工部品高速で衝突させる冷間加工法のことをいう。ショットピーニングされた被加工部品は、表面にある程度の粗さが形成されるが、表層部は加工硬化されて、高い圧縮残留応力が付与される。

0032

加工条件は実施例1−4と同様の条件で行った。なお、本願発明はこの加工条件によって一切制限を受けるものではない。
ワーク回転速度:100rpm
バイト角度:45°
バイト移動速度:0.1mm/rpm
最終切削深さ:0.07mm
上記条件で表面仕上げ加工を行ったターゲットをスパッタリングし、初期パーティクルの発生状況を調べた。その結果を表1に示す。

0033

実施例5では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が27と本願発明の範囲内であって、表面のみ硬化させたイッテルビウムターゲット素材を作製した。このターゲット素材を最終仕上げ加工すると、ターゲットの表面には凹凸(むしれ)が少し残り、表面がやや粗く、スパッタリング時のパーティクル発生は、実施例1−4に比べて多くなるものの、実用可能な範囲内であった。

0034

実施例6では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が19と本願発明の範囲内であって、表面のみ硬化させたイッテルビウムターゲット素材を作製した。このターゲット素材を最終仕上げ加工すると、ターゲットの表面には凹凸(むしれ)が少し残り、表面がやや粗く、スパッタリング時のパーティクル発生は、実施例1−4に比べて多くなるものの、実用可能な範囲内であった。

0035

上記の結果から、純度4Nのターゲット素材において、表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下であっても、表面のみを硬化させたイッテルビウムのターゲット素材は、凹凸(むしれ)の発生を低減することはできるものの、完全になくすことはできなかった。しかし、実施例5,6のスパッタリング時のパーティクル発生数は、実用的には使用可能な範囲内である。

0036

(実施例7,8)
純度が3Nのイッテルビウムの鋳造インゴット(直径100mm)を冷間圧延し、さらに真空中あるいは不活性ガス中で350℃〜700℃で1時間焼鈍して、厚さ10mm、直径150mmのターゲット素材を得た。
到達焼鈍温度を変えることで、仕上げ加工前のビッカース硬度を変化させた。なお、焼鈍時間が短いと表面のビッカース硬度が不均一になるが、1時間以上とする場合には、特に問題はない。

0037

その後、乾式で旋盤による切削加工を行い、ターゲット表面を仕上げた。加工条件は、最もよいと思われる以下の条件で行った。なお、本願発明はこの加工条件によって一切制限を受けるものではない。
ワーク回転速度:100rpm
バイト角度:45°
バイト移動速度:0.1mm/rpm
最終切削深さ:0.07mm
上記条件で表面仕上げ加工を行ったターゲットをスパッタリングし、初期パーティクルの発生状況を調べた。その結果を表1に示す。

0038

実施例7では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が20と本願発明の範囲内であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が19〜32であるイッテルビウムターゲット素材を作製した。このターゲット素材を最終仕上げ加工すると、ターゲットの表面には凹凸(むしれ)がほとんどなく、表面が均一に加工され、スパッタリング時のパーティクルの発生も少ない良好な結果を示した。

0039

実施例8では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が31と本願発明の範囲内であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が28〜33であるイッテルビウムターゲット素材を作製した。ターゲット表面には、凹凸(むしれ)が皆無で表面が均一に加工され、スパッタリング時のパーティクル発生も少ない最良の結果を示した。

0040

上記の結果から、純度3Nのターゲット素材においても、表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が、表面のビッカース硬度を基準として、−3以上、5以下であるイッテルビウムのターゲット材は、表面仕上げ加工を行っても、ターゲット表面には、凹凸(むしれ)がほとんどなく、スパッタリング時のパーティクル発生が少ないという、優れた効果を示した。

0041

(比較例1、2)
比較例1として純度4Nのイッテルビウムのターゲット素材を、比較例2として純度3Nのイッテルビウムのターゲット素材を、溶解・鋳造したインゴットから切断し、その後、乾式で旋盤による切削加工を行い、ターゲット表面を仕上げた。加工条件は、最もよいと思われる以下の条件で行った。
ワーク回転速度:100rpm
バイト角度:45°
バイト移動速度:0.1mm/rpm
最終切削深さ:0.07mm
上記条件で表面仕上げ加工を行ったターゲットをスパッタリングし、初期パーティクルの発生状況を調べた。その結果を表1に示す。

0042

比較例1では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が11と本願発明の範囲外であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が10〜12であるイッテルビウムターゲット素材を作製した。このターゲット素材を最終仕上げ加工すると、ターゲットの表面には、凹凸(むしれ)が全面に発生し、スパッタリング時のパーティクルの発生も非常に多いものとなった。

0043

比較例2では、表面仕上げ加工前の表面のビッカース硬度(Hv)が13と本願発明の範囲外であって、ターゲットの厚み方向の硬さ分布が11〜14であるイッテルビウムターゲット素材を作製した。このターゲット素材を最終仕上げ加工すると、ターゲットの表面には、比較例1と同様に、凹凸(むしれ)が全面に発生し、スパッタリング時のパーティクル発生も非常に多いものとなった。

0044

上記の結果から、純度3N及び4Nのターゲット素材において、表面のビッカース硬度(Hv)が15以上、40以下の本願発明の範囲外であるイッテルビウムのターゲット材は、表面仕上げ加工を行うと、ターゲット全面の凹凸(むしれ)の発生が顕著となり、スパッタリング時のパーティクル発生が非常に多いものとなり、実用的に使用できないものとなった。

0045

本発明によって得られるイッテルビウム製スパッタリングターゲットは、スパッタリング材を最終仕上げ加工しても、表面に凹凸(むしれ)がほとんど発生せず、その結果、スパッタリング時においてパーティクルの発生を著しく低減することが可能となる。
したがって、イッテルビウム製スパッタリングターゲットを用いて得られるイッテルビウムを主成分とするメタルゲート薄膜を効率的でかつ安定して提供できるという優れた効果を有するものである。

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