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技術 構造物の寿命診断装置、方法及びプログラム

出願人 株式会社東芝
発明者 鈴木悠介犬飼隆夫齊藤和宏深松彰一竹丸竜平
出願日 2012年2月3日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2012-021563
公開日 2013年8月19日 (7年5ヶ月経過) 公開番号 2013-160580
状態 特許登録済
技術分野 耐候試験、機械的方法による材料調査
主要キーワード 破損リスク 平面部位 硬度データ 機器破損 変数並び ミルシート 高温環境化 クロムフェライト
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年8月19日)のものです。
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図面 (8)

課題

クリティカルな損傷が発生するおそれがある部位の硬度を実測することなく、当該部分の損傷の進行程度を高精度に定量化し、構造物寿命診断する技術を提供する。

解決手段

構造物の寿命診断装置10は、周辺部位j(j=1〜6)の実測硬度Hv(j)actを入力する実測データ入力部11と、評価部位s及び周辺部位jの負荷応力σ(s),σ(j)並びにこれらの使用温度T(s),T(j)を入力する解析データ入力部20と、硬度演算式から周辺部位jの演算硬度Hv(j)estを導く第1硬度演算部17と、周辺部位の実測硬度Hv(j)acに周辺部位の演算硬度Hv(j)estが一致するよう複数のパラメータの一部を更新させるフィッティング部18と、評価部位sの負荷応力σ(s)及び使用温度T(s)並びに前記更新されたパラメータに基づいて前記硬度演算式から評価部位の演算硬度Hv(s)estを導く第2硬度演算部21と、を備える。

概要

背景

火力発電プラントの主要構成機器である蒸気タービンボイラ等には、フェライト系耐熱鋼が使用されている。このフェライト系耐熱鋼は、高温環境下で優れた強度を有し、製造性、コスト要求を高いレベル満足するといった特徴を有している。
これらフェライト系耐熱鋼は、製造初期において優れた高温強度を有しているが、高温環境化で長時間使用されると、強度上の材質劣化が進行する。

そして、この材質劣化が進行すると、最終的に応力集中部溶接部等から破損し、発電プラント運転停止に繋がることがある。
このため定期検査時に、劣化損傷部位補修もしくは部材の交換等の対処をし、プラント運用中の機器破損を回避し、電力の安定的な供給を確保している。

ところで、発電プラントを安全・効率的に運用するためには、破損リスクを抱える高温機器現時点における損傷の進行程度定量化したりその残存寿命を把握したりすることにより、その補修時期もしくは交換時期を決定する必要がある。
また、昨今の火力発電プラントでは、従来においてベースロード運転が基本であった大型火力発電プラントにおいてさえも、負荷変動運転の採用が増えている。

このような負荷変動運転は、頻繁に繰り返される起動・停止に伴う構造物への負荷応力が、プラントの寿命に大きな影響を与える。このため設計データ及び解析データのみを考慮して導く寿命もしくは経験則から導く寿命よりも、実際のプラントの寿命が短縮することが懸念される。

そこで、このような昨今の火力発電プラントの運転事情を鑑みて、硬度の実測データを考慮に加えた新たな寿命診断方法が提案されている(例えば、特許文献1,2)。
これら寿命診断方法は、フェライト系耐熱鋼の実際の損傷態様において支配的なクリープ損傷の進行が、硬度低下挙動に対応していることを利用している。

概要

クリティカルな損傷が発生するおそれがある部位の硬度を実測することなく、当該部分の損傷の進行程度を高精度に定量化し、構造物の寿命を診断する技術を提供する。構造物の寿命診断装置10は、周辺部位j(j=1〜6)の実測硬度Hv(j)actを入力する実測データ入力部11と、評価部位s及び周辺部位jの負荷応力σ(s),σ(j)並びにこれらの使用温度T(s),T(j)を入力する解析データ入力部20と、硬度演算式から周辺部位jの演算硬度Hv(j)estを導く第1硬度演算部17と、周辺部位の実測硬度Hv(j)acに周辺部位の演算硬度Hv(j)estが一致するよう複数のパラメータの一部を更新させるフィッティング部18と、評価部位sの負荷応力σ(s)及び使用温度T(s)並びに前記更新されたパラメータに基づいて前記硬度演算式から評価部位の演算硬度Hv(s)estを導く第2硬度演算部21と、を備える。

目的

本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、クリティカルな損傷が発生するおそれがある部位の硬度を実測することなく、当該部分の損傷の進行程度を高精度に定量化し、構造物の寿命を診断する技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

構造物評価部位周辺に位置する周辺部位の実測硬度を入力する実測データ入力部と、前記評価部位及び前記周辺部位の負荷応力並びにこれらの使用温度解析データとして入力する解析データ入力部と、前記負荷応力、前記使用温度及び運転時間の変数並びに複数のパラメータに基づく硬度演算式から前記周辺部位の演算硬度を導く第1硬度演算部と、前記周辺部位の実測硬度に前記周辺部位の演算硬度が一致するよう前記複数のパラメータの一部を更新させるフィッティング部と、前記評価部位の前記負荷応力及び前記使用温度並びに前記更新されたパラメータに基づいて前記硬度演算式から前記評価部位の演算硬度を導く第2硬度演算部と、を備えることを特徴とする構造物の寿命診断装置

請求項2

請求項1に記載の構造物の寿命診断装置において、前記複数のパラメータの一つである使用開始時の初期硬度を、前記構造物の構成材料軟化特性データベース及び前記実測硬度に基づき仮決定する初期硬度仮決定部を備えることを特徴とする構造物の寿命診断装置。

請求項3

請求項1又は請求項2に記載の構造物の寿命診断装置において、前記フィッティング部は、前記複数のパラメータの一つである使用開始時の初期硬度も前記更新の対象に含めることを特徴とする構造物の寿命診断装置。

請求項4

請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造物の寿命診断装置において、前記評価部位の演算硬度が、使用開始時の初期硬度から所定の破断限界量だけ低下した時点を寿命推定する寿命推定部を備えることを特徴とする構造物の寿命診断装置。

請求項5

請求項1に記載の構造物の寿命診断装置において、前記複数のパラメータの一つである使用開始時の初期硬度を、前記構造物の時効処理における構成材料の最大硬度に基づき仮決定することを特徴とする構造物の寿命診断装置。

請求項6

請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構造物の寿命診断装置において、前記構造物の構成材料は高クロムフェライト耐熱鋼であることを特徴とする構造物の寿命診断装置。

請求項7

構造物の評価部位の周辺に位置する周辺部位の実測硬度を入力するステップと、前記評価部位及び前記周辺部位の負荷応力並びにこれらの使用温度を解析データとして入力するステップと、前記負荷応力、前記使用温度及び運転時間の変数並びに複数のパラメータに基づく硬度演算式から前記周辺部位の演算硬度を導くステップと、前記周辺部位の実測硬度に前記周辺部位の演算硬度が一致するよう前記複数のパラメータの一部を更新させるステップと、前記評価部位の前記負荷応力及び前記使用温度並びに前記更新されたパラメータに基づいて前記硬度演算式から前記評価部位の演算硬度を導くステップと、を含むことを特徴とする構造物の寿命診断方法

請求項8

コンピュータに、構造物の評価部位の周辺に位置する周辺部位の実測硬度を入力するステップ、前記評価部位及び前記周辺部位の負荷応力並びにこれらの使用温度を解析データとして入力するステップ、前記負荷応力、前記使用温度及び運転時間の変数並びに複数のパラメータに基づく硬度演算式から前記周辺部位の演算硬度を導くステップ、前記周辺部位の実測硬度に前記周辺部位の演算硬度が一致するよう前記複数のパラメータの一部を更新させるステップ、前記評価部位の前記負荷応力及び前記使用温度並びに前記更新されたパラメータに基づいて前記硬度演算式から前記評価部位の演算硬度を導くステップ、を実行させることを特徴とする構造物の寿命診断プログラム

技術分野

0001

本発明は、高温環境で使用され高応力局所的に負荷される構造物寿命診断技術に関する。

背景技術

0002

火力発電プラントの主要構成機器である蒸気タービンボイラ等には、フェライト系耐熱鋼が使用されている。このフェライト系耐熱鋼は、高温環境下で優れた強度を有し、製造性、コスト要求を高いレベル満足するといった特徴を有している。
これらフェライト系耐熱鋼は、製造初期において優れた高温強度を有しているが、高温環境化で長時間使用されると、強度上の材質劣化が進行する。

0003

そして、この材質劣化が進行すると、最終的に応力集中部溶接部等から破損し、発電プラント運転停止に繋がることがある。
このため定期検査時に、劣化損傷部位補修もしくは部材の交換等の対処をし、プラント運用中の機器破損を回避し、電力の安定的な供給を確保している。

0004

ところで、発電プラントを安全・効率的に運用するためには、破損リスクを抱える高温機器現時点における損傷の進行程度定量化したりその残存寿命を把握したりすることにより、その補修時期もしくは交換時期を決定する必要がある。
また、昨今の火力発電プラントでは、従来においてベースロード運転が基本であった大型火力発電プラントにおいてさえも、負荷変動運転の採用が増えている。

0005

このような負荷変動運転は、頻繁に繰り返される起動・停止に伴う構造物への負荷応力が、プラントの寿命に大きな影響を与える。このため設計データ及び解析データのみを考慮して導く寿命もしくは経験則から導く寿命よりも、実際のプラントの寿命が短縮することが懸念される。

0006

そこで、このような昨今の火力発電プラントの運転事情を鑑みて、硬度の実測データを考慮に加えた新たな寿命診断方法が提案されている(例えば、特許文献1,2)。
これら寿命診断方法は、フェライト系耐熱鋼の実際の損傷態様において支配的なクリープ損傷の進行が、硬度低下挙動に対応していることを利用している。

先行技術

0007

特開平1−284732号公報
特許第3281147号公報

発明が解決しようとする課題

0008

ところで、多くの高温機器において、クリティカルな損傷が発生する部位は、不連続な表面形状を有する応力集中部であることが多い。しかし、このように表面形状がフラットでない部位の硬度を実測するのは困難で、そのような部位から得た低精度の実測硬度データから導いた寿命の信頼性は低い。

0009

本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、クリティカルな損傷が発生するおそれがある部位の硬度を実測することなく、当該部分の損傷の進行程度を高精度に定量化し、構造物の寿命を診断する技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

構造物の寿命診断装置において、構造物の評価部位周辺に位置する周辺部位の実測硬度を入力する実測データ入力部と、前記評価部位及び前記周辺部位の負荷応力並びにこれらの使用温度を解析データとして入力する解析データ入力部と、前記負荷応力、前記使用温度及び運転時間の変数並びに複数のパラメータに基づく硬度演算式から前記周辺部位の演算硬度を導く第1硬度演算部と、前記周辺部位の実測硬度に前記周辺部位の演算硬度が一致するよう前記複数のパラメータの一部を更新させるフィッティング部と、前記評価部位の前記負荷応力及び前記使用温度並びに前記更新されたパラメータに基づいて前記硬度演算式から前記評価部位の演算硬度を導く第2硬度演算部と、を備える。

発明の効果

0011

本発明により、クリティカルな損傷が発生するおそれがある部位の硬度を実測することなく、当該部分の損傷の進行程度を高精度に定量化し、構造物の寿命を診断する技術が提供される。

図面の簡単な説明

0012

本発明に係る構造物の寿命診断装置の第1実施形態を示すブロック図。
本発明に係る構造物の寿命診断装置の実施形態が適用される構造物の断面図。
構造物の構成材料(フェライト系耐熱鋼)の無負荷応力(σ=0)における軟化特性を示すグラフ
本実施形態の構造物の寿命診断装置において実行される演算式を示す図。
構造物の評価部位(σ≠0)及びその周辺に位置する周辺部位(σ≠0)における軟化特性を示すグラフ。
第1実施形態に係る構造物の寿命診断装置の動作を説明するフローチャート
第2実施形態に係る構造物の寿命診断装置において導入した概念を説明するグラフ。

実施例

0013

(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る構造物の寿命診断装置10は、構造物30(図2)の評価部位sの周辺に位置する周辺部位j(j=1〜6)の実測硬度Hv(j)actを入力する実測データ入力部11と、この評価部位s及び周辺部位jの負荷応力σ(s),σ(j)並びにこれらの使用温度T(s),T(j)を解析データとして入力する解析データ入力部20と、負荷応力σ(j),使用温度T(j)及び運転時間tの変数並びに複数のパラメータに基づく硬度演算式(図4;式(2))から周辺部位jの演算硬度Hv(j)estを導く第1硬度演算部17と、周辺部位jの実測硬度Hv(j)actに周辺部位jの演算硬度Hv(j)estが一致するよう複数のパラメータの一部を更新させるフィッティング部18と、評価部位sの負荷応力σ(s)及び使用温度T(s)並びに前記更新されたパラメータに基づいて硬度演算式(図4;式(2))から評価部位sの演算硬度Hv(s)estを導く第2硬度演算部21と、を備えている。

0014

さらに、構造物の寿命診断装置10は、複数のパラメータの一つである初期硬度Hv0(図4;式(1)参照)を、構造物30の構成材料の軟化特性データベース12(図3参照)及び周辺部位jの実測硬度Hv(j)actに基づき、仮決定する初期硬度仮決定部13を備えている。

0015

図2に示すように寿命診断の対象となる構造物30は、高クロムフェライト耐熱鋼で構成される蒸気タービン、ボイラ、高温配管等である。
このような構造物30において、クリティカルな損傷が発生する恐れの高い評価部位sは、表面形状がフラットでない応力集中部である。このような評価部位sは、表面の曲率が大きく硬度の実測データの精度が低いため、代わりにその周辺部位j(j=1〜6)の実測硬度Hv(j)actを取得し、実測データ入力部11に入力する。

0016

なお、周辺部位j(j=1〜6)の硬度計測は、平面で行うことが望ましいが、評価部位sの近傍に平面部位がない場合は、曲率が小さな部位で実施する。硬度の測定方法は、特に限定はなく、エコーチップ等の携帯式の硬度計を用いることができる。

0017

さらに、構造物30は、図2に示されるように、運転条件模擬した構造解析により、解析的に運転中の温度分布及び応力分布が得られている。
なお評価部位sの選定は、このような温度分布及び応力分布に基づいて、過酷な条件により損傷の進展が見込まれる部分を判断する。
そして、選定された評価部位s及びその周辺部位jの負荷応力σ(s),σ(j)並びにこれらの使用温度T(s),T(j)を、解析データとして解析データ入力部20に入力する。

0018

図3のグラフは、構造物の構成材料(フェライト系耐熱鋼)の無負荷応力(σ=0)における軟化特性を示している。
構造物は、製造段階において所定の熱処理焼入れ、焼き戻し)により硬度調整された後は、使用の有無にかかわらず、時間経過とともに硬度が低下する軟化特性を有する。
このような、経時的に変化する軟化特性は、材料の種類により一意的に定まる情報であるので、データベース化されて、軟化特性データベース12に保存されている。

0019

初期硬度仮決定部13は、硬度演算式(図4;式(2a、2b))のパラメータの一つである初期硬度Hv0を、図4;式(1)に基づいて仮決定する。
つまり、構造物30の構成材料の軟化特性データベース12(図3実線で示すデータ)から見積もられる評価時点testの硬度Hvestと実測データ入力部11から入力された周辺部位j(j=7〜9)の平均した実測硬度Hv(j)actとの差分が、軟化特性データベース12から見積もられる使用開始時t0の硬度Hv0_estと真の初期硬度Hv0との差分に等しいとする仮定に基づいている。
ここで、平均した実測硬度Hv(j)actを導く周辺部位j(j=7〜9)は、評価部位sから離れて負荷応力σ(j)がほぼ0である部分を選択する。

0020

パラメータ保存部14は、硬度演算式(図4;式(2))を構成する次の複数のパラメータを保存している。
α:析出物粒径と硬さの関係から得られる定数
β:転位密度と硬さの関係から決定する定数
χ,δ:クリープ試験により事前に仮決定する係数
C:析出物構成元素含有量(仮決定)
k:ボルツマン定数
Qd:析出物構成元素の自己拡散エネルギー
Qρ:無負荷状態における転位活性化エネルギー
μ:せん断弾性率

0021

これらのうち、α,βは対象鋼種調査して事前決定される定数、k,Qd,Qρ,μは材料物性値であり、固定パラメータとして用いられる。
そして、χ,δ,Cは、対象鋼種のクリープ試験やミルシート値を用いて仮決定され、初期硬度Hv0とともにパラメータ更新部15において更新の対象となる更新パラメータである。

0022

硬度演算式保存部16は、高クロム系耐熱鋼のクリープ損傷過程における硬度Hv(j)estの軟化特性を示す硬度演算式(図4;式(2))を保存している。
この硬度演算式(図4;式(2))から導かれる演算硬度Hv(j)estは、析出物(炭窒化物等)の形状変化(粗大化/消失)が寄与する硬度Hv(j)pre(図4;式(2a))と、転位相互拘束が寄与する硬度Hv(j)dis(図4;式(2b))との加算結果で示される。

0023

ここで、図4;式(2a)で示される硬度Hv(j)preは、析出物の消失又は粗大化がオストワルド成長に基づくと仮定している。
また図4;式(2b)で示される硬度Hv(j)disは、転位密度の現象速度が転位密度に依存すると仮定している。

0024

第1硬度演算部17は、解析データ入力部20から周辺部位j(j=1〜6)の負荷応力σ(j)、使用温度T(j)を取得し、パラメータ保存部14からパラメータ更新部15を経由して固定パラメータ及び更新パラメータを取得し、硬度演算式保存部16から硬度演算式(図4;式(2))を取得する。
そして、第1硬度演算部17は、負荷応力σ(j)、使用温度T(j)及び運転時間tの変数並びに複数のパラメータに基づいて硬度演算式(図4;(2))から周辺部位jの演算硬度Hv(j)estを導く。

0025

フィッティング部18は、周辺部位jの実測硬度Hv(j)actにその演算硬度Hv(j)estが一致するよう複数のパラメータの一部(χ,δ,C,Hv0)を更新させる。
つまり、フィッティング部18は、更新パラメータ(χ,δ,C,Hv0)をパラメータ更新部15で更新させながら、硬度演算式(図4;式(2))による演算を繰り返し、演算硬度Hv(j)est及び実測硬度v(j)actで表される目的関数図5;式(3))が最小値を示す最適パラメータを決定する。

0026

なお、図4;式(2)に示す硬度演算式は、例示であってこの式に限定されるものでなく、パラメータ更新部15で処理される更新パラメータ(χ,δ,C,Hv0)も例示であって、これらに限定されるものではない。

0027

図5のグラフは、構造物の評価部位s及びその周辺に位置する周辺部位j(j=1,2…n)における軟化特性を示している。
つまり、図5の軟化特性関数401,402,40nのグラフは、硬度演算式(図4;(2))に対し、パラメータ更新部15において更新された最適パラメータ及び固定パラメータを用い、それぞれ周辺部位j(j=1,2…n)における負荷応力σ(j)、使用温度T(j)を適用し、横軸を運転時間tとし縦軸を硬度として導かれている。
そして、導かれた軟化特性関数401,402,40n上に、対応する実測硬度Hv(j)act(j=1,2…n)が近似する様子が示されている。

0028

第2硬度演算部21は、解析データ入力部20から評価部位sの負荷応力σ(s)及び使用温度T(s)を取得し、パラメータ更新部15から固定パラメータ及び更新された最適パラメータを取得し、硬度演算式保存部16から硬度演算式(図4記号jを記号sに変更した式(2))を取得する。
そして第2硬度演算部21は、評価部位sの負荷応力σ(s)及び使用温度T(s)並びにこれらパラメータに基づいて硬度演算式(図4;記号jを記号sに変更した式(2))から評価部位sの演算硬度Hv(s)estを導く。

0029

図5の軟化特性関数40sのグラフは、硬度演算式(図4;式(2))に対し、パラメータ更新部15において更新された最適パラメータ及び固定パラメータを用い、評価部位sにおける負荷応力σ(s)、使用温度T(s)を適用し、横軸を運転時間tとし縦軸を硬度として導かれている。
導かれた軟化特性関数40sは、実測不可能で応力集中する評価部位sの硬度Hv(s)estの挙動を示している。この評価部位sの軟化特性関数40sに基づいて、評価部位sの損傷の進行程度を高精度に定量化することができ、この評価部位sのクリープ軟化特性を高精度に予測することができる。

0030

破断限界量保存部22に保存されている破断限界量ΔHvrupは、使用開始時t0の初期硬度Hv0から所定の破断限界量ΔHvrupだけ低下した時点を寿命tLとみなすように定義された値である。
寿命推定部23は、第2硬度演算部21で演算された評価部位の硬度Hv(s)が、使用開始時の初期硬度Hv0から破断限界量ΔHvrupだけ低下した時点を寿命tLと推定する(図5;式(4))。さらに、この寿命tLと評価時点testの差が余命ということになる。
表示部24は、寿命tLもしくは余命の推定結果、又は軟化特性グラフ(図5)等をオペレータに対し表示する。

0031

図6のフローチャートに基づいて第1実施形態に係る構造物の寿命診断装置の動作を説明する。
運転条件を模擬した構造解析により、運転中の構造物30の温度分布及び応力分布を得る。この温度分布及び応力分布に基づいて評価部位sを選定しその負荷応力σ(s)及び使用温度T(s)の解析データを取得する(S11)。

0032

次に、この評価部位sの周辺に位置する周辺部位j(j=1〜n)を選定し、同様にその負荷応力σ(j)est及び使用温度T(j)estの解析データを取得する(S12)。さらに選定した周辺部位j(j=1〜n)の実測硬度Hv(j)actを得る(S13)。
次に、構造物30の構成材料の軟化特性データベース(図3)及び実測硬度Hv(j)actに基づき、図4;式(1)から使用開始時t0の初期硬度Hv0を仮決定する(S14)。

0033

変動パラメータ初期値及び固定パラメータを取得し(S15)、周辺部位j(j=1〜n)の負荷応力σ(j)、使用温度T(j)及び運転時間tを変数とし、図4;式(2)の硬度演算式に基づいて周辺部位j(j=1〜n)の演算硬度Hv(j)estを導く(S16)。
さらに、周辺部位j(j=1〜n)の実測硬度Hv(j)actと演算硬度Hv(j)estが一致するよう変動パラメータを更新させ(S17;No)、図5;式(3)に基づく両者の乖離が最小になる最適パラメータを決定する(S17;Yes,S18)。

0034

次に、評価部位sの負荷応力σ(s)及び使用温度T(s)並びに更新された最適パラメータに基づいて図4;式(2)の硬度演算式から評価部位sの演算硬度Hv(s)estを導く(S19)。そして、破断限界量ΔHvrupを取得して(S20)、図5;式(4)に基づいて、初期硬度Hv0から破断限界量ΔHvrupだけ低下した硬度Hv(s)rupに到達する時間を寿命tLと決定する(S21,S22)。

0035

(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、評価部位sの実測硬度を得ることが困難なために、その周辺部位jの実測硬度Hv(j)actを構造物の寿命診断の拠り所とした。
第2実施形態は、構造物の形状に依存して、この周辺部位jの実測硬度Hv(j)actの点数を充分に確保できない場合を想定する。

0036

図7のグラフは、構造物30の構成材料の無負荷応力(σ=0)における軟化挙動を製造時を起点として示したものである。このように、構造物30は、製造段階において焼入れ処理により硬度を向上させ、その後、焼きなまし焼きならし工程により硬度調整を行って使用開始時t0に至る。

0037

第2実施形態では変動パラメータの一つである初期硬度Hv0を、構造物の時効処理における構成材料の最大硬度Hvmaxに基づき仮決定する。
つまり、第2実施形態では、図4;式(2a)(2b)に代入される初期硬度Hv0を、図7;式(5)に置き換えて、変動パラメータを減らし、最適パラメータを求める。

0038

そして、図4;式(2)の硬度演算式から、図5に示す評価部位sの軟化特性関数40sを導くことができる。なお、この最大硬度Hvmaxは、小規模試験材などを用いて構造物30と同じ熱処理を施して得る。また、THT及びtHTは、それぞれ製造時の等価熱処理温度及び時間を示している。

0039

以上述べた少なくともひとつの実施形態の構造物の寿命診断装置によれば、クリティカルな損傷が発生するおそれがある評価部位の硬度を実測することが困難であっても、その周辺部位の実測硬度に基づいてこの評価部位の軟化特性を知ることができ、構造物の寿命診断を高精度に実施することが可能となる。

0040

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

0041

また、寿命診断装置の構成要素は、コンピュータプロセッサで実現することも可能であり、寿命診断プログラムにより動作させることが可能である。

0042

10…構造物の寿命診断装置、11…実測データ入力部、12…軟化特性データベース、13…初期硬度仮決定部、14…パラメータ保存部、15…パラメータ更新部、16…硬度演算式保存部、17…第1硬度演算部、18…フィッティング部、20…解析データ入力部、21…第2硬度演算部、22…破断限界量保存部、23…寿命推定部、24…表示部、30…構造物、40…軟化特性関数、Hv0…初期硬度、j(j=1〜n)…周辺部位、Hv(j)act…周辺部位の実測硬度、Hv(j)est…周辺部位の演算硬度、σ(j)…周辺部位の負荷応力、T(j)…周辺部位の使用温度、s…評価部位、Hv(s)est…評価部位の演算硬度、σ(s)…評価部位の負荷応力、T(s)…評価部位の使用温度、t…運転時間、ΔHvrup…破断限界量、t0…使用開始時、test…評価時点、tL…寿命。

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  • 三菱電機株式会社の「 劣化検知装置」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題】対象製品に使われている複数種類の材料についての劣化を検知でき、かつ、製品に適用する際の設計及び設置作業が容易である化検知装置を提供する。【解決手段】この発明に係る劣化検知装置は、製品1における... 詳細

  • KOA株式会社の「 硫化検出センサ」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題】硫化の度合いを正確に検出することができる硫化検出センサを提供する。【解決手段】硫化検出センサ10は、直方体形状の絶縁基板1と、絶縁基板1の表面の長手方向両端部に設けられた一対の表電極2と、これ... 詳細

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