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技術 油圧モータ装置

出願人 株式会社福島製作所
発明者 加藤章一田中信介
出願日 2012年2月8日 (7年10ヶ月経過) 出願番号 2012-024620
公開日 2013年8月19日 (6年3ヶ月経過) 公開番号 2013-160353
状態 特許登録済
技術分野 流体圧回路(1) ウインチ 液圧モータ
主要キーワード 輸送タンカー 荷重線図 低減領域 切換圧力 ベーンモータ 油圧供給量 調整ばね 繰り出し用
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年8月19日)のものです。
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図面 (17)

課題

船舶における係船作業荷役作業スピーディに効率よくできて、しかもコストが高いVVVF方式に頼ることなく、低コストで、安全で、しかも負荷に対する動力を最小限に抑え、省エネによるCO2の削減ができる油圧モータ装置を提供する。

解決手段

油圧モータ装置10は、油圧モータ部5に形成された第1チャンバー5d、第2チャンバー5eおよび第3チャンバー5fと、第1チャンバー5dへ油圧を通す第1主油路aと、第1主油路aの油圧の高まりにより第一圧を超えると、第1分配弁4が切り換わり、第1主油路aの油圧をさらに加勢して第2チャンバー5eへ通す第2主油路bと、さらに、第1主油路aの油圧の高まりにより、第一圧より高い第二圧を超えると、第2分配弁6が切り換わり、第1主油路aの油圧をさらに加勢して第3チャンバー5fへ通す第3主油路cと、第4主油路dと、ドレン回収する第5主油路eを備えた。

概要

背景

船舶における係留作業や荷役作業では、従来から単チャンバー油圧モータが使用されている。この単チャンバーの油圧モータは、油圧モータへ供給する油圧供給量機械的または電気的に可変絞りにより調整して、ウインチロープ巻取り速度変速させるものである。
従来の単チャンバーの油圧モータを使用した油圧回路図を説明する。
図12は可変速の単チャンバーの油圧モータを使用した従来の油圧モータの油圧回路図である。図12に示すように、タンク41には油圧ポンプ43が接続されたストレーナ42が配置されている。また、定容量形の油圧ポンプ43にはモータ44と、過剰な圧力を逃すリリーフ弁45と、圧力計46とが接続されている。また、油圧ポンプ43は、逆流を防止する逆止弁47を介してレバー方式の方向切換弁48が接続されている。さらに、ウインチに接続され、ウインチを駆動し、油圧モータ40の回転速度をコントロールする流量調整弁49が設けられている。
また、図12に示すように、例えばウインチの正転または逆転は、レバー式方向切換弁48で、レバーの切り換えにより行う。

図13は従来の単チャンバーの速度−荷重線図である。図13に示すように、
単チャンバーの油圧モータ40は、荷重負荷)Lが次第に大きくなるに従い、ロープの巻取り速度Vが低下するように制御する。
図14はポンプ吐出圧吐出量−荷重線図である。図14に示すように、右側のポンプ吐出量Qは、油圧ポンプ43とモータ44とが1対1であるから、荷重(負荷)Lの増減に関係なく一定である。また、左側のポンプ吐出圧Pと荷重(負荷)Lとは比例関係にあり、荷重(負荷)Lが増加すれば、荷重に見合ったトルクを出そうとしてポンプ吐出圧Pも上昇する。
図15はポンプ動力−荷重線図である。図15に示すように、ポンプ動力Wは荷重(負荷)Lに比例する。ポンプ動力Wは、W∝Pであるため、荷重(負荷)Lが大きくなるに従い、ポンプ動力Wは上昇する。

しかしながら、従来の単チャンバーの油圧ポンプによる油圧モータ装置では、負荷の変動に迅速な対応ができず、ロープの巻取り速度Vが荷重の増大と共に低下するため、係船に時間を要し、さらに、定容量の油圧ポンプを使用するため無効動力が大きくなるという問題があった。

そこで登場したのが、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧可変周波数)方式の油圧モータ装置である。VVVF方式の油圧モータはインバータ制御である。このインバータ制御により、交流電動機をその特性に合わせて任意の周波数電圧を発生させ、負荷とスピードに応じて、任意に吐出量をコントロールする。VVVF方式の油圧モータ装置は可変速のポンプを使って、正転、逆転で駆動しながら、この油圧モータの回転数をコントロールするため、消費電力は低く抑えることが出来るが、VVVF方式の採用は、ウインチのコストアップになるという問題があった。

また、従来の油圧モータ装置の制御は、例えば油圧ショベル等の異業種建設機械の、カウンタバランス弁を制御するもの(例えば、特許文献1参照)や、作業車両坂道を降するときに、車両の傾斜角度に応じてモータ容量を可変に制御する。作業車両用走行用油圧モータ過回転を起こすのを防止するための油圧モータが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、船舶における係船作業や荷役作業の際のウインチを駆動させる油圧モータの制御を含む油圧モータ装置は、特許文献に開示されていない。

概要

船舶における係船作業や荷役作業がスピーディに効率よくできて、しかもコストが高いVVVF方式に頼ることなく、低コストで、安全で、しかも負荷に対する動力を最小限に抑え、省エネによるCO2の削減ができる油圧モータ装置を提供する。油圧モータ装置10は、油圧モータ部5に形成された第1チャンバー5d、第2チャンバー5eおよび第3チャンバー5fと、第1チャンバー5dへ油圧を通す第1主油路aと、第1主油路aの油圧の高まりにより第一圧を超えると、第1分配弁4が切り換わり、第1主油路aの油圧をさらに加勢して第2チャンバー5eへ通す第2主油路bと、さらに、第1主油路aの油圧の高まりにより、第一圧より高い第二圧を超えると、第2分配弁6が切り換わり、第1主油路aの油圧をさらに加勢して第3チャンバー5fへ通す第3主油路cと、第4主油路dと、ドレン回収する第5主油路eを備えた。

目的

本発明は、船舶における係船作業や荷役作業がスピーディに効率よくできて、しかもコストが高いVVVF方式に頼ることなく、低コストで、安全で、しかも負荷に対する動力を最小限に抑え、省エネによるCO2の削減ができる油圧モータ装置を提供する

効果

実績

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請求項1

索を巻取ウインチ回転駆動する油圧モータ部と、前記油圧モータ部に油圧を供給する油圧ポンプと、前記油圧モータ部からのドレン回収する第5主油路およびタンクと、を有する油圧モータ装置であって、前記油圧モータ部に形成された第1チャンバー、第2チャンバーおよび第3チャンバーと、前記油圧ポンプにより前記第1チャンバーへ油圧を通す第1主油路と、前記第1主油路から分岐され前記第2チャンバーに連通する第2主油路と、前記第2主油路に配置された第1分配弁と、前記第1主油路から分岐され前記第3チャンバーに連通する第3主油路と、前記第3主油路に配置された第2分配弁と、を備え、前記第1主油路の油圧の高まりにより、予め設定された第一圧を超えると、前記第1分配弁が開放されて前記第1主油路の油圧をさらに前記第2チャンバーへ通し、さらに、前記第1主油路の油圧の高まりにより、前記第一圧より高い予め設定された第二圧を超えると、前記第2分配弁が開放されて前記第1主油路の油圧をさらに前記第3チャンバーへ通すことを特徴とする油圧モータ装置。

請求項2

前記油圧ポンプと前記油圧モータ部の間の前記第1主油路の途中に設けられ、油圧を正転では前記第1主油路へ、逆転では前記第3チャンバーへ油圧を通す第4主油路へ油路を切り換える方向切換弁を設けたことを特徴とする請求項1に記載の油圧モータ装置。

請求項3

前記第1分配弁の第一圧は2.0〜2.7MPaとし、前記第2分配弁の第二圧は2.8〜3.5MPaとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油圧モータ装置。

請求項4

前記第一圧を超えて前記第1分配弁の第1弁が開口した後は、前記第1主油路の油圧が前記第一圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに前記第1弁が閉鎖することを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の油圧モータ装置。

請求項5

前記第二圧を超えて前記第2分配弁の第2弁が開口した後は、前記第1主油路の油圧が前記第二圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに前記第2弁が閉鎖することを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の油圧モータ装置。

技術分野

0001

本発明は、係留する場合や上げ下げの際に使用されるウインチを駆動するための油圧モータ装置に関する。

背景技術

0002

船舶における係留作業や荷役作業では、従来から単チャンバー油圧モータが使用されている。この単チャンバーの油圧モータは、油圧モータへ供給する油圧供給量機械的または電気的に可変絞りにより調整して、ウインチのロープ巻取り速度変速させるものである。
従来の単チャンバーの油圧モータを使用した油圧回路図を説明する。
図12は可変速の単チャンバーの油圧モータを使用した従来の油圧モータの油圧回路図である。図12に示すように、タンク41には油圧ポンプ43が接続されたストレーナ42が配置されている。また、定容量形の油圧ポンプ43にはモータ44と、過剰な圧力を逃すリリーフ弁45と、圧力計46とが接続されている。また、油圧ポンプ43は、逆流を防止する逆止弁47を介してレバー方式の方向切換弁48が接続されている。さらに、ウインチに接続され、ウインチを駆動し、油圧モータ40の回転速度をコントロールする流量調整弁49が設けられている。
また、図12に示すように、例えばウインチの正転または逆転は、レバー式方向切換弁48で、レバーの切り換えにより行う。

0003

図13は従来の単チャンバーの速度−荷重線図である。図13に示すように、
単チャンバーの油圧モータ40は、荷重負荷)Lが次第に大きくなるに従い、ロープの巻取り速度Vが低下するように制御する。
図14ポンプ吐出圧吐出量−荷重線図である。図14に示すように、右側のポンプ吐出量Qは、油圧ポンプ43とモータ44とが1対1であるから、荷重(負荷)Lの増減に関係なく一定である。また、左側のポンプ吐出圧Pと荷重(負荷)Lとは比例関係にあり、荷重(負荷)Lが増加すれば、荷重に見合ったトルクを出そうとしてポンプ吐出圧Pも上昇する。
図15ポンプ動力−荷重線図である。図15に示すように、ポンプ動力Wは荷重(負荷)Lに比例する。ポンプ動力Wは、W∝Pであるため、荷重(負荷)Lが大きくなるに従い、ポンプ動力Wは上昇する。

0004

しかしながら、従来の単チャンバーの油圧ポンプによる油圧モータ装置では、負荷の変動に迅速な対応ができず、ロープの巻取り速度Vが荷重の増大と共に低下するため、係船に時間を要し、さらに、定容量の油圧ポンプを使用するため無効動力が大きくなるという問題があった。

0005

そこで登場したのが、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧可変周波数)方式の油圧モータ装置である。VVVF方式の油圧モータはインバータ制御である。このインバータ制御により、交流電動機をその特性に合わせて任意の周波数電圧を発生させ、負荷とスピードに応じて、任意に吐出量をコントロールする。VVVF方式の油圧モータ装置は可変速のポンプを使って、正転、逆転で駆動しながら、この油圧モータの回転数をコントロールするため、消費電力は低く抑えることが出来るが、VVVF方式の採用は、ウインチのコストアップになるという問題があった。

0006

また、従来の油圧モータ装置の制御は、例えば油圧ショベル等の異業種建設機械の、カウンタバランス弁を制御するもの(例えば、特許文献1参照)や、作業車両坂道を降するときに、車両の傾斜角度に応じてモータ容量を可変に制御する。作業車両用走行用油圧モータ過回転を起こすのを防止するための油圧モータが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、船舶における係船作業や荷役作業の際のウインチを駆動させる油圧モータの制御を含む油圧モータ装置は、特許文献に開示されていない。

先行技術

0007

特開平03−079803号公報
特開平11−148146号公報

発明が解決しようとする課題

0008

そこで、本発明は、船舶における係船作業や荷役作業がスピーディに効率よくできて、しかもコストが高いVVVF方式に頼ることなく、低コストで、安全で、しかも負荷に対する動力を最小限に抑え、省エネによるCO2の削減ができる油圧モータ装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

請求項1に記載の油圧モータ装置(10)の発明は、索を巻取るウインチを回転駆動する油圧モータ部(5)と、前記油圧モータ部(5)に油圧を供給する油圧ポンプ(9)と、前記油圧モータ部(5)からのドレン回収する第5主油路(e)およびタンク(9d)と、を有する油圧モータ装置(10)であって、前記油圧モータ部(5)に形成された第1チャンバー(5d)、第2チャンバー(5e)および第3チャンバー(5f)と、前記油圧ポンプ(9)により前記第1チャンバー(5d)へ油圧を通す第1主油路(a)と、前記第1主油路(a)から分岐され前記第2チャンバー(5e)に連通する第2主油路(b)と、前記第2主油路(b)に配置された第1分配弁(4)と、前記第1主油路(a)から分岐され前記第3チャンバー(5f)に連通する第3主油路(c)と、前記第3主油路(c)に配置された第2分配弁(6)と、を備え、前記第1主油路(a)の油圧の高まりにより、予め設定された第一圧を超えると、前記第1分配弁(4)が開放されて前記第1主油路(a)の油圧をさらに前記第2チャンバー(5e)へ通し、さらに、前記第1主油路(a)の油圧の高まりにより、前記第一圧より高い予め設定された第二圧を超えると、前記第2分配弁(6)が開放されて前記第1主油路(a)の油圧をさらに前記第3チャンバー(5f)へ通すことを特徴とする。

0010

請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の油圧モータ装置(10)であって、前記油圧ポンプ(9)と前記油圧モータ部(5)の間の前記第1主油路(a)の途中に設けられ、油圧を正転では前記第1主油路(a)へ、逆転では前記第3チャンバー(5f)へ油圧を通す第4主油路(d)へ油路を切り換える方向切換弁(3)を設けたことを特徴とする。

0011

請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の油圧モータ装置(10)であって、前記第1分配弁(4)の第一圧は2.0〜2.7MPaとし、前記第2分配弁(6)の第二圧は2.8〜3.5MPaとしたことを特徴とする。

0012

請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3に記載の油圧モータ装置(10)であって、前記第一圧を超えて前記第1分配弁(4)の第1弁(4b)が開口した後は、前記第1主油路(a)の油圧が前記第一圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに前記第1弁(4b)が閉鎖することを特徴とする。

0013

請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項3に記載の油圧モータ装置(10)であって、前記第二圧を超えて前記第2分配弁(6)の第2弁(6a)が開口した後は、前記第1主油路(a)の油圧が前記第二圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに前記第2弁(6a)が閉鎖することを特徴とする。

発明の効果

0014

請求項1に記載の発明によれば、油圧モータ部に形成された第1チャンバー、第2チャンバーおよび第3チャンバーと、油圧ポンプにより第1チャンバーへ油圧を通す第1主油路と、この第1主油路から分岐され第2チャンバーに連通する第2主油路と、この第2主油路に配置された第1分配弁と、第1主油路から分岐され第3チャンバーに連通する第3主油路と、この第3主油路に配置された第2分配弁と、を備え、第1主油路の油圧の高まりにより、予め設定された第一圧を超えると、第1分配弁が開放されて第1主油路の油圧をさらに前記第2チャンバーへ通し、さらに、第1主油路の油圧の高まりにより、第一圧より高い予め設定された第二圧を超えると、第2分配弁が開放されて第1主油路の油圧をさらに第3チャンバーへ通すことにより、荷重の高まりに合わせて各分配弁の働きにより第2チャンバーと、第3チャンバーとが第1チャンバーに加勢してロータを回転駆動するので、受圧面積が2、3倍に増やすことができるため、圧力が1/2、1/3に下がっても支障はなく、回転をなめらかつなぐことができる。そのため、船舶における係船作業や荷役作業の巻取り作業をスムーズに、かつ効率よく行うことができる。また、圧力を下げることができるため、油圧ポンプを駆動する電気モータの動力を低く抑えることで、当該作業時の消費電力を抑え、省エネによるCO2の削減ができる。

0015

請求項2に記載の発明によれば、油圧ポンプと油圧モータ部の間の第1主油路の途中に設けられ、油圧を正転では第1主油路へ、逆転では第3チャンバーへ油圧を通す第4主油路へ油路を切り換える方向切換弁を設けたことにより、油圧モータ部を巻取り方向または繰出し方向の回転方向切換えることができる。

0016

請求項3に記載の発明によれば、第1分配弁の第一圧は2.0〜2.7MPaとし、第2分配弁の第二圧は2.8〜3.5MPaとしたことにより、船舶における係船作業や荷役作業の巻取り作業をスムーズに、かつ効率よく行うことができる。

0017

請求項4に記載の発明によれば、第一圧を超えて第1分配弁の第1弁が開口した後は、第1主油路の油圧が前記第一圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに第1弁が閉鎖するようにしたことから、荷重がゼロまたはゼロ近くにならないと第1弁が閉鎖しないため、急に高速側へ切り換わることが防止でき、安全性を高めることができる。

0018

請求項5に記載の発明によれば、第二圧を超えて第2分配弁の第2弁が開口した後は、第1主油路の油圧が第二圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに第2弁が閉鎖するようにしたことから、荷重がゼロまたはゼロに近い値にならないと第2弁が閉鎖しないため、急に高速側へ切り換わることが防止でき、安全性を高めることができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の油圧モータ装置を搭載したウインチの平面図である。
本発明の油圧モータ装置の油圧回路図である。
図1に示すウインチの油圧モータのA−A線の断面図である。
本発明の油圧モータ装置の定格速度、変換圧力、定格トルクを3つに区分して比較した比較表である。
初期軽負荷時巻取り動作と油圧の流れを示す説明図である。
中盤の中負荷時の巻取り動作と油圧の流れを示す説明図である。
図6に示すB部の拡大図であり、第1弁の開口を示す断面図である。
(a)は終盤の重負荷時の巻取り動作と油圧の流れを示す説明図、(b)はC部の拡大図、(c)はD部の拡大図である。
本発明の3チャンバー油圧モータの速度−荷重線図である。
本発明の3チャンバー油圧モータの負荷−駆動圧力供給油量線図である。
本発明の3チャンバー油圧モータの動力−荷重線図である。
従来の単チャンバーの油圧モータを駆動する油圧回路図である。
従来の単チャンバーの油圧モータの場合または可変ポンプを用いた場合の負荷−速度線図である。
従来の単チャンバーの油圧モータの場合の負荷−駆動圧力・供給油量線図である。
従来の単チャンバーの油圧モータの場合の負荷−駆動動力線図である。
図2の変形例を示す油圧モータ装置の油圧回路図である。

実施例

0020

本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の油圧モータ装置を搭載したウインチの平面図である。
図1に示すように、ウインチ30は、船舶の甲板据付けられ、例えば、船舶の係留のため索(以下、ロープという)の巻取り、または、出のためロープの繰出し、錨の上げ下げの際に使用される。
ウインチ30は、右から順に素早くロープを巻付けるワッピングドラム37と、ムアリングホール38に挿通され、ロープを巻取るホーサードラム36と、油圧モータ本体2の回転駆動を連結・遮断するクラッチ32と、回転力を伝える大ギヤ35、ピニオンギヤ34と、ベッド31上に載置された油圧モータ装置10と、により構成されている。

0021

<油圧モータ装置の油圧回路>
図2は、本発明の油圧モータ装置の油圧回路図である。
図2に示すように、油圧モータ装置10は、索を巻取るウインチを回転駆動する油圧モータ部5は、第1チャンバー5d、第2チャンバー5eおよび第3チャンバー5fの3作動室(3室ともいう)で構成されたベーンモータである。
油圧ポンプ9と第1チャンバー5dは、第1主油路aが連通している。
第2主油路bは第1主油路aから分岐され、第2チャンバー5eに連通する。
この第2主油路bには第1分配弁4が配置されている。
第3主油路cは第1主油路aから分岐され、第3チャンバー5fに連通する。
この第3主油路cには第2分配弁6が配置されている。
また、索の繰り出し用としてウインチの逆転のために第3チャンバー5fへ油圧を逆流させて連通する第4主油路dと、油圧モータ部5からのドレンを回収する第5主油路eおよびタンク9d等を備えている。

0022

方向切換弁3による索の巻取り方向への切換えにより、まず、第1主油路aの油圧が第1チャンバー5dへ供給される。
また、第1主油路aの油圧の高まりにより第一圧を超えると、第2主油路bに設けられた第1分配弁4が自動的に切り換わり、油圧を第2主油路bに通し、第2チャンバー5eへ供給される。
さらに、第1主油路aの油圧の高まりにより、第一圧より高い第二圧を超えると、第3主油路cに設けられた第2分配弁6が自動的に切り換わり、油圧を第3主油路cに通し、第3チャンバー5fへ供給される。

0023

方向切換弁3は、ここではレバー式の手動であり、油圧ポンプ9と油圧モータ部5の間、そして第1主油路aおよび第5主油路eの途中に設けられている。
方向切換弁3は、レバー8操作によって油圧モータ部5の正逆転を切り換える。例えば、巻取りまたは繰出しの切換えをする。方向切換弁3は7ポート3位置切換弁である。
油圧ポンプ9は、電気モータ9aに連結されており、電気モータ9aの回転駆動により、油圧ポンプ9が駆動する。
油圧ポンプ9の駆動により作製された圧油は、油圧ポンプ9の近傍に設けられた逆止弁9cと、第1主油路aの途中に設けられた第1逆止弁4aを通り、第1主油路aを経由して第1チャンバー5dに流入し、油圧モータ部5のロータ5a(図3参照)を回転駆動する。

0024

<第1分配弁の構成>
図2に示すように、第1分配弁4は、第2主油路bに配置され、調整ばね式の2ポート2位置切換弁である。詳しくは、第1分配弁4は、第1主油路aから分岐し、第2チャンバー5eへ通る第2主油路bに設けられている。
荷重が次第に大きくなると第1チャンバー5dのみではトルク不足になり、荷重に見合ったトルクを出そうと油圧は上昇する。第1分配弁4の作動圧力である第一圧(2.5MPa)を超えると、この第一圧によって第1分配弁4のポートが自動的に切り換わり、第2主油路bを経由して第2チャンバー5eに圧油が流入し、第1チャンバー5dに加勢してロータ5aを回転駆動する。

0025

<第2分配弁の構成>
第2分配弁6は、第3主油路cに配置され、調整ばね式の3ポート2位置切換弁である。詳しくは、第2分配弁6は、第1主油路aから分岐し、第3チャンバー5fへ通る第3主油路cに設けられている。また、第5主油路eとは油路fが接続されている。荷重がさらに大きくなり、2つのチャンバーのみではトルク不足になると、荷重に見合ったトルクを出そうと油圧はさらに上昇する。第2分配弁6の作動圧力である第二圧(3.0MPa)を超えると、この第二圧によって第2分配弁6のポートが自動的に切り換わり、第3主油路cを経由して第3チャンバー5fに圧油が流入し、第1チャンバー5dと第2チャンバー5eに加勢してロータ5aを回転駆動する。
また、第5主油路eと第2主油路bとの間に油路nが接続されている。この油路nには第2逆止弁7が設けられている。
この油路nの目的は、第5主油路eの排油を第2主油路bに通し、第2チャンバー5eを潤滑するためである。第3チャンバー5fの潤滑は、第5主油路eから分岐した油路fを通り、第2分配弁6を経由して第3主油路cを通して潤滑するようになっている。

0026

リリーフ弁9bは、油圧ポンプ9の近傍の第1主油路aおよび第5主油路eの間に設けられ、ポンプリリーフとも言う。油圧がリリーフ弁9bの設定圧(第三圧)以上になった場合、高圧を逃す安全弁である。ここでは、リリーフ弁9bの第三圧は、4.0MPaが好適であり、この圧力をほぼ一定に保つように働く。また、この第三圧の設定圧力は可変になっており、変更が可能である。また、第3逆止弁9cは、第1主油路aの逆流防止に設けられている。

0027

船を係留する場合の索(以下、ロープという)の巻取りを想定した場合、ここで、判り易い説明をするために便宜上、軽負荷時の巻取りを序盤、中負荷時の巻取りを中盤、さらに、重負荷時の巻取りを終盤と3つに区分して説明する。
油圧モータ装置10による軽負荷時の序盤では、第1チャンバー5dに送油して油圧モータ部5のロータ5aを回転駆動させる。
中負荷時の中盤は、第1分配弁4の第一圧を超えると、第1分配弁4の働きにより第2チャンバー5eに油圧を供給し、第1チャンバー5dを加勢してロータ5aを回転駆動させる。
重負荷時の終盤は、第2分配弁6の第二圧を超えると、第2分配弁6の働きにより第3チャンバー5fに供給し、第1チャンバー5dおよび第2チャンバー5eをさらに加勢をしてロータ5aを回転駆動させ、ロープを巻取る。
なお、第二圧の上昇は、リリーフ弁9bの設定圧の第三圧まで上昇できる。

0028

各弁の設定圧力は、第1分配弁4の第一圧が2.0〜2.7MPa、第2分配弁6の第二圧が2.8〜3.5MPa、リリーフ弁9bの第三圧が3.4〜4.5MPaの範囲とするが、ここでは、第1分配弁4は2.5MPa、第2分配弁6は3.0MPa、リリーフ弁9bは4.0MPaが好適である。

0029

<繰出しの油圧回路>
図2に示すように、方向切換弁3のレバー8をロープの繰出し方向へ切り換えると、方向切換弁3のポートが左側のポートに切り換わり、油圧ポンプ9の圧油は第1主油路aから第4主油路dに流れて第3チャンバー5fのドレーン側ポートに供給され、ロータ5aを逆転させて、ロープを繰出す。戻り油は第3主油路cと、第2分配弁6を経由して油路fから第5主油路eを通り、タンク9dに回収される。

0030

<実施例>
図3は、図1に示す油圧モータ装置のA−A線の断面図である。図3に示すように、油圧モータ装置10は、油圧モータ部5を含む油圧モータ本体2と、方向切換弁3とが一体に固定され、さらに方向切換弁3の一側には第1分配弁4、他側には第2分配弁6が一体に設けられている。

0031

<油圧モータ本体の構成>
図3に示すように、油圧モータ本体2の中央部には油圧モータ部5が配設されている。油圧モータ部5のタイプはベーンモータが好適である。円盤状のロータ5aは、回転自在の駆動軸5gに固定されている。ロータ5aの外周には例えば16個のベーン溝5bが形成され、このベーン溝5bに板状のベーン5cが挿入されている。
また、油圧モータ部5は、第1チャンバー5dと、第2チャンバー5eと、第3チャンバー5fの3チャンバーを有し、それぞれ120度の位相を変えて配置されている。
また、このベーン5cは図示しないばねによって内壁面押し付け勝手に支持されている。
なお、受圧面積とは、複数のベーン5cが油圧を受ける面積の合計をいう。今、第1チャンバー5dの3枚のベーン5cの受圧面積Sを求める。
ベーン5cの幅がロータ5aの厚みと同じ厚みtとすると、図3に示すように、第1ベーン5c1ではS1×tmm2、第2ベーン5c2ではS2×tmm2、第3ベーン5c3ではS3×tmm2となり、第1チャンバー5dの受圧面積Sは(S1+S2+S3)・tmm2となる。
この結果、この第1チャンバー5dの受圧面積Sに油圧を受けてロータ5aが回転する。さらに、第2チャンバー5eと、第3チャンバー5fも同様に油圧を受けて、ロータ5aが回転する。

0032

<方向切換弁の構成>
図3は、油圧モータ部5のロープ巻取りの途中で方向切換弁3のレバー8の位置を停止位置に切り換えた状態を示している。
方向切換弁3はレバー式(図2参照)であり、上部のレバー8を手動操作により、図3の右側に倒すと巻取り(Hoist)、左側に倒すと繰出し(Lower)に切り換わる。
レバー8を中立の位置に戻した場合、油圧モータ部5内の作動油密閉された部分(網掛部)に封じ込められる。作動油の出口がないため、ロータ5aは回転できず、油圧モータ装置10は停止状態になる。吸込口から入った油圧は、油路a1から第1油通し穴1hを通って排出口から第5主油路eに排出される。
一度、レバー8が右側(巻取り:Hoist)に倒されると、図5に示すように、スライドバルブ3aが下降し、第1油通し穴1hが拡径部3dによって閉鎖され、第1主油路aの油圧により、第1逆止弁4aのばね4eの付勢力に抗して、逆止弁4aを押し上げ、油圧は油路a2に流れる。油路a2の圧油は、第2油通し穴1iを通って第1主油路aから第1チャンバー5dに供給され、油圧モータ部5のロータ5aを回転駆動する。

0033

一方、レバー8が左側(繰出し:lower)に倒される(図示せず)と、スライドバルブ3aを上方へ移動させる。これにより、スライドバルブ3aの下蓋3fはシリンダ部3bの下部を閉鎖する。吸入口から流入した圧油は、油路mを経由して第4主油路d(図2参照)を流入し、第3チャンバー5fに供給され、ロータ5aを巻取り動作時とは逆方向に回転し、ロープを繰出す。

0034

方向切換弁3の上部のレバー8には、これに連動するピン8a、第1リンク8b、第2リンク8cおよびピン8dが連続して連結されている。第1リンク8bはピン8aによってレバー8に接続され、第2リンク8bはピン8dによってスライドバルブ3aに接続されている。このレバー8の操作によりスライドバルブ3aは上下方向に移動し、油路a1,a2,bを切り替える。
スライドバルブ3aは、方向切換弁3の中央に位置する棒状の弁であり、上端上蓋3eと下端に下蓋3fが固定され、油の流れを規制する。また、スライドバルブ3aの中央には油の流れを規制する拡径部3dが形成されている。
したがって、レバー8を図3の右側の巻取り側に倒す操作では、レバー8の回転力がリンク8b、8cを伸張させてスライドバルブ3aを下降させ、また、レバー8を左側の繰出し側に倒す操作では、レバー8の回転力がリンク8b、8cを屈曲させてスライドバルブ3aを上昇させる。

0035

<第1分配弁の構成>
図3に示すように、第1分配弁4は方向切換弁3の一側の右側に接続され、油圧の吸入口が設けられている。第1分配弁4は、第1逆止弁4aの他に、ケース本体4kと、第1ばね4hと、この付勢力を調整する調整ねじ4g(図7参照)等が装着された第1弁4b等を構えている。
図7は、第1弁の開口を示す拡大図である。図7に示すように、上部に調整ねじ4gと、下部に第1弁4bとによって第1ばね4hが挟持されている。
調整ねじ4gは、有底筒状キャップ状の筒に、第1ばね4hの約1/3ほど包囲すると共に、外周面雄ねじが形成され、第1分配弁4の上部フランジ部4iの雌ねじに螺入されている。この結果、調整ねじ4gは上下方向に位置を移動して第1ばね4hの付勢力を変えて調整できるようになっている。
第1弁4bは、有底筒状をした筒に第1ばね4hの下方の約1/2を包囲すると共に、第1ばね4hの付勢力を受けながら、上下方向にスライド可能になっている。
このように、調整ねじ4gによる第1ばね4hの付勢力の調整は、作動圧(2.0〜2.7MPa)の調整が可能である。

0036

図7に示すように、第1弁4bの下部先端面は約150°のテーパ面になっており、その先端部の中心に小孔4cが穿設されている。また、胴の側面中央には、複数の側面小孔4dが穿設されている。
E面は、下部先端面のテーパ面であり、力F2の作動面積である。E面に油圧を受けると、力F2は第1弁4bを押し上げ、穴4fを開口しようと働く。また、G面は、第1弁4bの外周に拡径部4mが設けられており、この拡径部4mのリング状のわずかな面積である。
さらに、一旦第1弁4bが開くと、第1弁4bの下部にあけた先端部の小孔4cおよび側面にあけた側面の2個等複数個の小孔4dを通して第1弁4bとのリング状のG面に圧油が流入し、第1弁4bの押し上げ力F2に加算される。このため、荷重がゼロまたはゼロに近い値にならないと、第1弁4bが閉まらないメカニズムになっている。

0037

<第2分配弁の構成>
図3に示すように、第2分配弁6は、方向切換弁3の他側の左側に一体に固定されている。第2分配弁6は、ケース本体6kと、中心に貫通孔が設けられた管状の第2弁6aと、第2弁6aの上端に上拡径部6bとが形成されている。また、図8(b)に示すように、この上拡径部6bの上端面には縮径して設けられた上端部6rが形成されている。さらに、第2弁6aの中間部には中拡径部6cと下拡径部6dとが形成されている。
図8(c)に示すように、下拡径部6dの下面には縮径部6eが形成されている。また、下拡径部6dの縮径部6eの下面には、第2ばね6fの受け座6iが形成されている。
さらに、図8(a)に示すように、第2ばね6fを包囲してばね室6gを形成したケース6mと、第2ばね6fを調整する調整ねじ6hと、この調整ねじ6hを覆うキャップ6jが設けられている。
なお、このキャップ6jは螺入により着脱自在であり、第2ばね6fの付勢力を調整する際は、キャップ6jを取外し、この調整ねじ6hにより行う。

0038

この調整ねじ6hによる第2ばね6fの付勢力(作動圧)の調整は2.8〜3.4MPaの範囲で可能である。
第2分配弁6は、油圧が第1分配弁4の設定圧力以上になるまで、第2弁6aの上拡径部6bで閉鎖されている。しかし、一旦設定圧の3.0MPa以上になると、第2弁6aの上拡径部6bが第2ばね6fの付勢力に抗して押し下げられ、油圧は第3主油路cから第3チャンバー5fに供給され、第1チャンバー5dと第2チャンバー5eとに加勢してロータ5aを回転駆動させる。

0039

<定格速度、切換圧力、定格トルクの比較>
船舶のロープ等の係留索による係留動作は決して断続的なものではなく、つなぎ目のないなめらかな動作、連続した動作を可能にしている。
図4は、横軸に序盤、中盤、終盤の3つの区分を取り、縦軸に油圧モータの第1〜第3チャンバーの定格速度、変換圧力、定格トルクをとり、それぞれの数値を比較した比較表である。本発明の油圧モータ装置10は、3つに区分の負荷に対して、定格速度、変換圧力、定格トルクを最適な数値に変化させて対応する。

0040

1)序盤:油圧ポンプ9から油圧モータ部5へ供給される油量は一定である。そのため、1つのチャンバーに3チャンバー分の油量が入ることから、巻取り速度は定格速度の3倍となる。設定圧力は2.5MPa(第1分配弁4の第1ばね4hの設定圧)、トルクは定格トルクの0.2倍となる。
2)中盤:2つのチャンバーに3チャンバー分の油量が入るため、巻取り速度は定格速度の1.5倍となる。設定圧力は3.0MPa(第2分配弁6の第2ばね6fの設定圧)、トルクは2.5倍アップして定格トルクの0.5倍となる。
3)終盤:3つのチャンバーに3チャンバー分の油量が入るため、速度は定格速度の1倍となる。設定圧力は4.0MPa(リリーフ弁9b内蔵のばねの設定圧)、トルクは2倍にアップして定格トルクの1.0倍となる。また、比較表の下段、図(a)〜(c)のハッチング部は、実際作動するチャンバーを示している。

0041

ここで、本発明の油圧モータ装置の動作を説明する。
<巻取りの動作>
図5は、序盤の巻取り動作と油圧の流れを示す説明図である。図5に示すように、方向切換弁3の上部のレバー8を、右側の巻取り(Hoist)側へ倒すと、レバー8と連動したリンク機構によりスライドバルブ3aを下方へ移動させ、スライドバルブ3aの拡径部3dが第1油通し穴1hを閉鎖し、第2油通し穴1iを開口させる。吸入口から油路a1に流入した油圧は、第1油通し穴1hの閉鎖により圧力が上昇し、第1逆止弁4aのばね4eの付勢力に抗して、第1逆止弁4aを押し上げ、油路a2に流入する。そうすると、油路a2の油圧は、第1主油路aから第1チャンバー5dに供給され、ロータ5aを白抜きの矢印の方向へ回転駆動させる。
前記したように、第1チャンバー5dへは、油量Qが一定のため、3チャンバー分の油量が1つの第1チャンバー5dに入る(図4参照)ことになり、油量Qは3倍になる。したがって、ロープの巻取り速度は定格速度の3倍になり、トルクは、その反対に定格トルクの1/3となる。
この結果、ロープが撓んでいる状態では軽負荷状態のため、高速回転により効率よくロープを巻き取ることができる。

0042

図6は、中盤の巻取り動作と圧油の流れを示す説明図、図7は、図6に示す第1分配弁のB部拡大図である。
図6に示すように、巻取り動作の中盤に入ってロープを巻取る負荷が徐々に大きくなると、第1主油路aの圧力が上昇し、第一圧である第1ばね4hの付勢力(2.5MPa)に抗してパイロット圧b1(図7参照)により第1弁4bを押し上げ、図7に示す穴4fが開口して第2主油路bに流入する。
圧油は、第4油通し穴1kと、油路nを経由して第2チャンバー5eに供給され、第1チャンバー5dに加勢して第2チャンバー5eといっしょにロータ5aを回転駆動する。
第1分配弁4は、第1チャンバー5dに供給する油圧よりも高い第一圧(2.5MPa)のパイロット圧b1により第1弁4が開口するように第1ばね4hの圧力設定がされている。この時、ロータ5aの受圧面積は、第1チャンバー5dと第2チャンバー5eが加算されて2倍になるため、単チャンバー(1作動室ともいう)運転と比較して1/2の低圧力であっても同等、駆動可能である。

0043

図8の(a)は、終盤の巻取り動作と圧油の流れを示す説明図、(b)はC部の拡大図、(c)はD部の拡大図である。
巻取り動作の終盤になると、ロープ巻取りの負荷がさらに大きくなり、図8に示すように、第3主油路cに連結された第2分配弁6の第2弁6aが、第二圧の第2ばね6fの付勢力(3.0MPa)に抗して押し下げられると、中拡径部6cにより油路fの経路が閉鎖され、第3主油路cから第3チャンバー5fに供給され、ロータ5aが回転駆動される。
その結果、第1チャンバー5dと第2チャンバー5eに、さらに第3チャンバー5eが加勢することになり、ロータ5aが回転駆動される。
第1チャンバー5dと第2チャンバー5eに供給された圧油は、第5主油路eを経由して排出口へ排出される。また、第3チャンバー5fに供給された油圧は、第4主油路dを経由して第5主油路eにドレンされる。
この終盤では3室駆動に切り換わるため、受圧面積が1作動室駆動時の3倍になる。そこで、油圧が1/3の低圧力であってもロータ5aの駆動に支障はなく、駆動ポンプ動力は1/3に抑えることができるため、省エネ効果が発揮できる。

0044

<繰出しの動作>
図3に示すように、方向切換弁3のレバー8を、左側の繰出し(Lower)側へ倒すと、レバー8と連動したリンク機構によりスライドバルブ3aを上方へ移動させ、スライドバルブ3aの下蓋3fはシリンダ部3bを閉鎖する。吸入口から油路a1または油路a2を経由して流入した圧油は、正転時のドレンである第4主油路dから第3チャンバー5fへ逆流して供給され、ロータ5aを巻取り動作とは逆方向の繰出し動作逆回転駆動させる。
この時、第3チャンバー5fの排出は、第3主油路cとなり、第2分配弁6と油路fを経由して第5主油路eに排出される。

0045

<負荷が近くになるまで減少しないと第1弁が閉鎖しない理由1>
図7に示すように、第1分配弁4の第1弁4bに穿設された先端小孔4cと、複数の側面小孔4dにより、第1弁4bは油圧力と第1ばね4hの付勢力が加算された力F1によって、通常は第2主油路bを閉鎖している。
今、第1弁4bに作用する下向きの力をF1、上向きの力をF2とする。
力F1は、第2主油路bの油圧が、小孔4cを通って第1弁4bの内部に作用し、下方へ押し付ける第1ばね4hの付勢力に加勢し、第1弁4bを閉鎖する力になる。
力F2は、第2主油路bの油圧が第1弁4bの先端面に作用し、第1弁4bを上方へ押し上げる力である。つまり、油圧が次第に上昇して、力F1よりも力F2が大きくなると、第1弁4bは上方へ押し上げられ、油圧は第2主油路bを通り第2チャンバー5e(図6参照)へ流れ、ロータ5aを回転駆動する。
第1弁4bを開く力F2は、F2>第1ばね4hの付勢力+F1。第1ばね4hの付勢力は、2.0〜2.7MPaの値に調整ねじ4gによって調整される。

0046

E面は、図7に示す第1弁4bの下部先端面の円形状の面積であり、油圧作動面積である。G面は第1弁4bの外周に拡径部4mが設けられており、G面はこの拡径部4mのわずかなリング状の面積である。
第1弁4bが開口すると、第1弁4bを押し上げようと働いた油圧の作動面積のE面に、リング状の面積のG面分が加勢して力F2が増加する。このため、力F1は、ロープにかかる荷重(負荷)が零近くになるまで減少しないと第1弁4bが閉鎖しないメカニズムになっている。
つまり、第一圧を超えて第1分配弁4の第1弁4bが開口した後は、第1主油路aの油圧が第一圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに第1弁4bが閉鎖する。
したがって、ロープの巻取り中、ロープの負荷に変動があっても、ロープの巻取り作業が終るまでは第1弁4bが閉鎖しないため、ロープの巻取り速度が急に速くなるようなことがない。これが一つ目安全対策となっている。

0047

<負荷が零近くになるまで減少しないと第2弁が閉鎖しない理由2>
図8の(a)に示すように、第2分配弁6の第2弁6aの軸部は中空になっており、第3主油路cから流入する圧油はこの第2弁6aを押し下げようとするだけではなく、中空穴を通ってばね室6gにも流入し、下拡径部6dに作用して第2弁6aを押し上げる力になっている。
図8の(c)に示すように、力F3は、下拡径部6dに作用する力であり、油圧力に第2ばね6fの付勢力を加算した上方に作用する力である。

0048

図8の(b)に示すように、H面は、第2弁6aの上拡径部6bの上にわずかに縮径した上端部6rの円形状面積である。J面は、第2弁6aの上拡径部6bと上端部6rの面積の差であり、わずかに形成したリング状の面積である。
力F4は、油圧が第2弁6aの上端部6rに作用して、第2弁6aを押し下げ、第2弁6aを開けようとする力である。
油圧が次第に上昇してF4がF3より大きくなると、まず、上端部6rがわずかに押し下げられる。そうすると、今までH面に作用していた受圧面は、リング状のJ面にも作用して第2弁6aを押し下げる力がさらに大きくなり、第2弁6aは急激に押し下げられる。その結果、中拡径部6cが第3主油路cと油路fの流通を閉鎖する(図8(a)参照)。このため、上端部6rに作用していた圧油は、第3主油路cに流入して第3チャンバー5fに供給され、ロータ5aを回転駆動する。

0049

図8の(c)に示すように、L面は第2弁6aの下拡径部6bの下面にわずかに縮径した下縮径部6eの円形状面積である。K面は第2弁6aの下縮径部6eと下拡径部6bの面積の差であり、わずかなリング状の面積をいう。
第2弁6aの中拡径部6c(図8(a)参照)が下がって穴の段差部に当接すると、今まで下拡径部6dのK、L面に作用していた力F3は、穴の段差部にK面が当接することによってK面が消滅し、L面にしか作用しなくなり、第2弁6aを押し上げようとする力F3は小さくなる。
その結果、一旦第2弁6aが開くと、ここでも荷重(負荷)が零近くになるまで減少しないと第2弁6bが閉鎖しないメカニズムになっている。
つまり、第二圧を超えて第2分配弁6の第2弁6aが開口した後は、第1主油路aの油圧が第二圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに第2弁(6a)が閉鎖する。したがって、これは、前記した理由1と同様に、ロープの巻取り中に、ロープの負荷に変動があっても、ロープの巻取り作業が終るまでは第2弁6bが閉鎖しないため、ロープの巻取り速度が急に速くなるようなことがない。これが二つ目の安全対策となっている。

0050

図9は、本発明の油圧モータ装置の性能を示し、縦軸がロープの巻取り速度(V)、横軸にロープにかかる負荷である荷重(L)を示し、3チャンバーの油圧モータの速度−荷重性能曲線を示すグラフである。
図9に示すように、全体が階段状になっており、前記した図13の直線状とは大きく異なる。巻取り速度は序盤、中盤、終盤でそれぞれ一定領域が確保されている。
序盤は、第1チャンバー5d一つで油圧モータ部5のロータ5aを回転する。この序盤では1個のチャンバーに3個分の油量を供給するため、その最大速度は、定格速度の3倍の45m/minとなる。したがって、軽荷重の序盤は、ロープが高速で巻き取られる。
中盤は、2個のチャンバーに3個分の油量を供給するため、油圧モータの速度は、定格速度の1.5倍の22.5m/minとなる。
したがって、中荷重の中盤は、ロープが中速で巻き取られる。
終盤は、3個のチャンバーで油圧モータを回転する。3個のチャンバーに3個分の油量が流入するため、この終盤の最大速度は、定格速度の15m/minとなる。したがって、重荷重の終盤は、ロープが低速で巻き取られる。
このように、3個のチャンバーを負荷に合わせてそれぞれ加勢させ、ロータ5aを回転駆動する。

0051

図10は、左縦軸に油圧モータに供給される油量(Q)、右縦軸に油圧モータにかかる圧力(P)、横軸にロープにかかる荷重(L)を設けた、荷重(負荷)〜油量・圧力線図である。図10に示すように、油圧モータに供給される油量Qは一定である。また、序盤ではロープにかかる負荷Lは全負荷定格荷重)の20%程度であり、油圧モータにかかる圧力Pが2.5MPaまで達すると、第1分配弁4が働き、中盤に移行する。中盤では負荷が50%で、圧力Pが3.0MPaまで達すると、さらに、もう一つの第2分配弁6が働き、終盤に移行する。終盤では油圧ポンプ9の近傍に配置したリリーフ弁9bの上限まで圧力が上昇する。このとき、負荷は100%(定格荷重)であり、圧力Pが4.0MPaで維持され、例えば、船舶を接岸する。

0052

3チャンバーの油圧モータ部5は、3個の油圧モータから構成されていると考えると判り易い。第1チャンバー5dから第2チャンバー5eが加勢するように切り替えるとき、出力トルクは、圧力×受圧面積であり、受圧面積が2倍になるから、低い圧力、例えば圧力が1/2であってもスムーズに同じトルクで維持できる。
また、3チャンバーでは受圧面積が3倍になるから、圧力が1/3であってもスムーズに同じトルクで維持できる。
このため、図10に示すような圧力変動があってもトルクの変動に現れないため、油圧モータの速度切換え時の圧力変動の影響を最小限にすることができる。
また、速度切換え時の圧力変動の影響を最小限にする油圧モータ装置10を提供することができる。また、VVVF方式を採用した油圧モータ装置に遜色のない、勝るとも劣らない性能が実現できて、係船時間の大幅な短縮のほか、低コストの油圧モータ装置を提供することができる。

0053

図11は、従来の単チャンバーと本発明の複数チャンバーを有する油圧モータ装置の、動力−負荷線図との相違を示すグラフである。油圧駆動の動力Wは、圧力P、油量Qとすると、W∝P×Qで示される。油量Qは一定だから、動力Wは圧力Pに比例する。
図11に示すように、図15に示す単チャンバーと、図10に示す3チャンバーのグラフを重ね合わせ、動力の低減領域斜線部で示す。つまり、中盤から節電を開始し、さらに、終盤になるとますます節電する。この斜線部の面積は全体の面積の1/5に相当する。つまり、省エネ効果は1/5であり、CO2の削減に貢献できることが判る。
ここで、CO2の削減量を求める。ポンプ9を回転駆動するモータ9aが例えば30万トン原油輸送タンカーでは150kw×2台、1回当りの係船作業を0.5h、年間の使用回数を24回として年間の省エネの消費電力を求めると、150×2×0.5h×1/5×24回/年=720kWhとなる。
そこで、CO2の発生量を求める。電力1kwh当り0.36kgのCO2を発生させるから、720kwh×0.36kg/kwhとなり、CO2の発生量は約260kgとなり、年間0.26tonのCO2の発生を削減できる。

0054

本発明の油圧モータ装置10は、軽負荷時の序盤は第1チャンバー5dにて駆動し、負荷が増えて中負荷の中盤になると第2チャンバー5eを駆動し、さらに、負荷が増えて重負荷の終盤になると第3チャンバー5fを駆動へと自動的に切換わるようになっている。この切換え方法は、3チャンバー型油圧モータ部5に、2つの第1分配弁3、第2分配弁9と、リリーフ弁9bが組み込まれた油圧回路によって自動的に切換えが可能になる。また、チャンバーの切換え時期は、各ばねの付勢力を調整することにより変更が可能である。
これにより、油圧回路がシンプルであるため、従来の問題の船舶における係船作業や荷役作業がスピーディに効率よくできて、しかも高機能で高価なVVVF制御に頼ることなく、低コストで、省エネが達成できる油圧モータを提供することができる。

0055

なお、本発明はその技術思想の範囲内で種々の改造、変更が可能である。
例えば、油圧モータ部5は3チャンバーで構成したが、4チャンバー等、3チャンバー以上のチャンバーで構成し、さらに分配弁を追加しても構わない。
図16は、図2の変形例を示す油圧モータ装置10aの油圧回路図である。
図2の油圧回路図との相違点は、第1分配弁4と第2分配弁6を電磁弁にした点にある。第1分配弁4(2ポート2位置切換弁)を電磁弁に置き換え、第2分配弁6(3ポート2位置切換弁)も電磁弁に置き換える。また、第1主油路aに油圧力を電気信号に変えるプレッシャースイッチ(PS)を設けて、例えば、第1主油路aの油圧が第一圧より低い圧になった場合、または、第1主油路aの油圧が0(ゼロ)になった場合、自動的に電磁弁の励磁を切り、ポートを元の位置に切換えるようにしても構わない。これにより、請求項4に記載した第1主油路aの油圧が第一圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに第1弁4bの閉鎖ができる。また、請求項5に記載した第1主油路aの油圧が第二圧より低い圧である0〜0.5MPaになったときに第2弁6aの閉鎖ができる。

0056

2油圧モータ本体
3 方向切換弁
3aスライドバルブ
3bシリンダ部
3d 拡径部
3e上蓋
3f 下蓋
3gフランジ
3h吐出
4 第1分配弁
4a 第1逆止弁
4b 第1弁
4c 先端小孔
4d 側面小孔
4e ばね
4f 穴
4g,6h調整ねじ
4h 第1ばね
4kケース本体
4m 拡径部
5 油圧モータ部
5aロータ
5bベーン溝
5cベーン
5d 第1チャンバー(第1作動室)
5e 第2チャンバー(第2作動室)
5f 第3チャンバー(第3作動室)
5g駆動軸
6 第2分配弁(第2分配弁)
6a 第2弁
6b 上拡径部
6c 中拡径部
6d 下拡径部
6e縮径部
6f 第2ばね
6g ばね室
6i受け座
6jキャップ
6k ケース本体
6m ケース
6pパッキン
6r上端部
7 第2逆止弁
7a 栓
7b ばね
8レバー
8aピン
8b 第1リンク
8c 第2リンク
9油圧ポンプ
9a電気モータ
9bリリーフ弁(ポンプリリーフ)
9c 第3逆止弁
9dタンク
10,10a油圧モータ装置
a 第1主油路
b 第2主油路
c 第3主油路
d 第4主油路
e 第5主油路
a1,a2,f,n,1m,m 油路
1h,1i,1j,1k 第1〜第4油通し穴
b1,b2,c1,c2 パイロット圧

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