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技術 空間多重光ファイバ伝送システム

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 林哲也
出願日 2012年2月24日 (8年10ヶ月経過) 出願番号 2012-038320
公開日 2013年8月1日 (7年4ヶ月経過) 公開番号 2013-150287
状態 特許登録済
技術分野 時分割方式以外の多重化通信方式 光通信システム
主要キーワード 各伝搬モード カイ二乗分布 変調範囲 多値度 統計的分布 最大パワー 平均位置 ランダム変数
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

空間多重光ファイバを用いて高品質信号光伝送を行うことができる光伝送システムを提供する。

解決手段

本発明の光伝送システムは、信号光伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、光伝送において前方誤り訂正に必要な伝送品質Q値がQFECであり、光伝送において安全の為に望まれるQ値のマージンがQmarginであり、空間多重光ファイバの或る伝搬モードクロストーク平均値がXTμである場合に、或る変調フォーマットにおいて、空間多重光ファイバの或る一つの伝搬モードのみに信号光を入射させた際のQ値であるQnoise、および、信号光パワーPsignalと変調フォーマットのシンボル間最短距離Sの二乗との比Psignal/S2が、所定の関係式を満たす変調フォーマットで、光伝送を行う。

概要

背景

マルチコア光ファイバ(MCF)は、各々伝搬モード光導波させることができる複数のコアが共通のクラッドに覆われた光ファイバである。また、マルチモード光ファイバ(MMF)は、数モード光ファイバFMF:Few Mode Fiber)とも呼ばれ、一つのコアにより複数の伝搬モード光を導波させることができる。これらの光ファイバは空間多重光ファイバと総称される。

信号光伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムは、空間多重光ファイバにより複数の伝搬モードに光を導波させることができるので、光伝送路としてシングルモード光ファイバを用いる場合と比較すると大容量の情報を送受信することができる。

光伝送路として空間多重光ファイバを用いる光伝送システムでは、複数の伝搬モードの間のクロストーク(XT)が問題となる。非特許文献1には、MCFにおいて伝搬モード間のXTが伝送品質Q値(Q-factor)に与える影響について報告されている。

概要

空間多重光ファイバを用いて高品質信号光伝送を行うことができる光伝送システムを提供する。本発明の光伝送システムは、信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、光伝送において前方誤り訂正に必要な伝送品質Q値がQFECであり、光伝送において安全の為に望まれるQ値のマージンがQmarginであり、空間多重光ファイバの或る伝搬モードのクロストーク平均値がXTμである場合に、或る変調フォーマットにおいて、空間多重光ファイバの或る一つの伝搬モードのみに信号光を入射させた際のQ値であるQnoise、および、信号光パワーPsignalと変調フォーマットのシンボル間最短距離Sの二乗との比Psignal/S2が、所定の関係式を満たす変調フォーマットで、光伝送を行う。

目的

本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、空間多重光ファイバを用いて高品質の信号光伝送を行うことができる光伝送システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

信号光伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、信号光パワーをPsignal、変調フォーマットシンボル間最短距離をSとし、シンボル間信号光強度比PSRをPSR=Psignal/S2とし、前記光伝送において誤り訂正に必要な伝送品質Q値がQFECであり、前記光伝送において安全の為に望まれるQ値のマージンがQmarginであり、前記空間多重光ファイバの或る伝搬モードクロストーク平均値がXTμであり、或る変調フォーマットにおいて、前記空間多重光ファイバの或る一つの伝搬モードのみに信号光を入射させた際のQ値であるQnoiseである場合に、前記PSRは、下記(1)式のPSRmax以下且つPSRmax(21/2-1)/21/2以上となるように設定されることを特徴とする光伝送システム。

請求項2

信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、信号光パワーをPsignal、変調フォーマットのシンボル間最短距離をSとし、シンボル間信号光強度比PSRをPSR=Psignal/S2とし、前記光伝送において前方誤り訂正に必要な伝送品質Q値がQFECであり、前記光伝送において安全の為に望まれるQ値のマージンがQmarginであり、前記空間多重光ファイバの或る伝搬モードのクロストーク平均値がXTμであり、PM-QPSK変調フォーマットにおいて、前記空間多重光ファイバの或る一つの伝搬モードのみに信号光を入射させた際のQ値であるQPM-QPSKである場合に、前記PSRは、下記(2)式のPSRmax以下且つPSRmax(21/2-1)/21/2以上となるように設定されることを特徴とする光伝送システム。

請求項3

前記誤り訂正に必要な伝送品質Q値QFECが下記(3)式を満たし、且つ、前記Q値のマージンQmarginが下記(4)式を満たす、ことを特徴とする請求項1または2に記載の光伝送システム。

請求項4

信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、信号光パワーをPsignal、変調フォーマットのシンボル間最短距離をSとし、シンボル間信号光強度比PSRをPSR=Psignal/S2とし、前記空間多重光ファイバの或る伝搬モードのクロストーク平均値がXTμである場合に、前記PSRは、下記(5)式のPSRmax以下且つPSRmax(21/2-1)/21/2以上となるように設定されることを特徴とする光伝送システム。

請求項5

信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、信号光パワーをPsignal、変調フォーマットのシンボル間最短距離をSとし、シンボル間信号光強度比PSRをPSR=Psignal/S2とし、前記空間多重光ファイバの或る伝搬モードのクロストーク平均値がXTμである場合に、前記PSRは、下記(6)式のPSRmax以下且つPSRmax(21/2-1)/21/2以上となるように設定されることを特徴とする光伝送システム。

請求項6

前記PSRが、前記PSRmax以下となるように設定された後の変調フォーマットが、偏波スイッチ変調フォーマットであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光伝送システム。

請求項7

前記信号光パワーPsignalが信号光の平均パワーであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の光伝送システム。

請求項8

前記信号光パワーPsignalが信号光の平均パワーであり、PSRmaxが1以上21/2/(21/2-1)未満である場合にPM-QPSKを変調フォーマットとし、PSRmaxが21/2/(21/2-1)以上5未満である場合にPM-8PSKを変調フォーマットとし、PSRmaxが5以上10未満である場合にPM-16QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが10以上21未満である場合にPM-32QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが21以上41未満である場合にPM-64QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが41以上85未満である場合にPM-128QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが85以上165未満である場合にPM-256QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが165以上341未満である場合にPM-512QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが341以上である場合にPM-1024QAMを変調フォーマットとして、光伝送を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光伝送システム。

請求項9

前記信号光パワーPsignalが信号光の最大パワーであることを特徴とする請求項1、3〜6の何れか1項に記載の光伝送システム。

請求項10

前記信号光パワーPsignalが信号光の最大パワーであり、PSRmaxが1以上21/2/(21/2-1)未満である場合にPM-QPSKを変調フォーマットとし、PSRmaxが21/2/(21/2-1)以上9未満である場合にPM-8PSKを変調フォーマットとし、PSRmaxが9以上17未満である場合にPM-16QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが17以上49未満である場合にPM-32QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが49以上85未満である場合にPM-64QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが85以上225未満である場合にPM-128QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが225以上377未満である場合にPM-256QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが377以上961未満である場合にPM-512QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが961以上である場合にPM-1024QAMを変調フォーマットとして、光伝送を行うことを特徴とする請求項1、3〜5の何れか1項に記載の光伝送システム。

技術分野

0001

本発明は、信号光伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムに関するものである。

背景技術

0002

マルチコア光ファイバ(MCF)は、各々伝搬モード光導波させることができる複数のコアが共通のクラッドに覆われた光ファイバである。また、マルチモード光ファイバ(MMF)は、数モード光ファイバFMF:Few Mode Fiber)とも呼ばれ、一つのコアにより複数の伝搬モード光を導波させることができる。これらの光ファイバは空間多重光ファイバと総称される。

0003

信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムは、空間多重光ファイバにより複数の伝搬モードに光を導波させることができるので、光伝送路としてシングルモード光ファイバを用いる場合と比較すると大容量の情報を送受信することができる。

0004

光伝送路として空間多重光ファイバを用いる光伝送システムでは、複数の伝搬モードの間のクロストーク(XT)が問題となる。非特許文献1には、MCFにおいて伝搬モード間のXTが伝送品質Q値(Q-factor)に与える影響について報告されている。

先行技術

0005

P. J. Winzer et al., ECOC2011,paper Tu.5.B.7.
T. Hayashi, et al., Opt.Express, vol.19, no.17, pp.16576-16592 (2011).
ITU-T Recommendation G.975.1, 2004.
H. Bulow et al., OFC2011, paper OthO1.

発明が解決しようとする課題

0006

実際には空間多重光ファイバにおける伝搬モード間のXTは或る分布バラツキを有する。しかしながら、非特許文献1では、シミュレーション実験において伝搬モード間のXTについて統計論的バラツキを考慮することなく一定であるとしており、XTが伝送品質Q値に与える影響が正確には明らかになってはいない。それ故、空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムにおいて、高品質信号光伝送を行うことは容易ではない。

0007

本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、空間多重光ファイバを用いて高品質の信号光伝送を行うことができる光伝送システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

第1発明の光伝送システムは、信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、信号光パワーをPsignal、変調フォーマットシンボル間最短距離をSとし、シンボル間信号光強度比PSRをPSR=Psignal/S2とし、光伝送において前方誤り訂正(FEC: Forward Error Correction)に必要な伝送品質Q値がQFECであり、光伝送において安全の為に望まれるQ値のマージンがQmarginであり、空間多重光ファイバの或る伝搬モードのクロストーク平均値がXTμであり、或る変調フォーマットにおいて、空間多重光ファイバの或る一つの伝搬モードのみに信号光を入射させた際のQ値であるQnoiseである場合に、PSRは、下記(1)式のPSRmax以下となるように設定されることを特徴とする。

0009

0010

第2発明の光伝送システムは、信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、信号光パワーをPsignal、変調フォーマットのシンボル間最短距離をSとし、シンボル間信号光強度比PSRをPSR=Psignal/S2とし、光伝送において前方誤り訂正に必要な伝送品質Q値がQFECであり、光伝送において安全の為に望まれるQ値のマージンがQmarginであり、空間多重光ファイバの或る伝搬モードのクロストーク平均値がXTμであり、PM-QPSK変調フォーマットにおいて、空間多重光ファイバの或る一つの伝搬モードのみに信号光を入射させた際のQ値であるQPM-QPSKである場合に、PSRは、下記(2)式のPSRmax以下となるように設定されることを特徴とする。

0011

0012

第1発明または第2発明において、誤り訂正に必要な伝送品質Q値QFECが下記(3)式を満たし、且つ、Q値のマージンQmarginが下記(4)式を満たすのが好適である。

0013

0014

0015

第3発明の光伝送システムは、信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、信号光パワーをPsignal、変調フォーマットのシンボル間最短距離をSとし、シンボル間信号光強度比PSRをPSR=Psignal/S2とし、空間多重光ファイバの或る伝搬モードのクロストーク平均値がXTμである場合に、PSRは、下記(5)式のPSRmax以下且つPSRmax(21/2-1)/21/2以上となるように設定されることを特徴とする。

0016

0017

第4発明の光伝送システムは、信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムであって、信号光パワーをPsignal、変調フォーマットのシンボル間最短距離をSとし、シンボル間信号光強度比PSRをPSR=Psignal/S2とし、空間多重光ファイバの或る伝搬モードのクロストーク平均値がXTμである場合に、PSRは、下記(6)式のPSRmax以下且つPSRmax(21/2-1)/21/2以上となるように設定されることを特徴とする。

0018

0019

PSRが、PSRmax以下となるように設定された後の変調フォーマットが、偏波スイッチ変調フォーマットであるのが好適である。

0020

Psignalが信号光の平均パワーであるのが好適である。このとき、PSRmaxが1以上21/2/(21/2-1)未満である場合にPM-QPSKを変調フォーマットとし、PSRmaxが21/2/(21/2-1)以上5未満である場合にPM-8PSKを変調フォーマットとし、PSRmaxが5以上10未満である場合にPM-16QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが10以上21未満である場合にPM-32QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが21以上41未満である場合にPM-64QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが41以上85未満である場合にPM-128QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが85以上165未満である場合にPM-256QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが165以上341未満である場合にPM-512QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが341以上である場合にPM-1024QAMを変調フォーマットとして、光伝送を行うのが好適である。

0021

パワーPsignalが信号光の最大パワーであるのが好適である。このとき、PSRmaxが1以上21/2/(21/2-1)未満である場合にPM-QPSKを変調フォーマットとし、PSRmaxが21/2/(21/2-1)以上9未満である場合にPM-8PSKを変調フォーマットとし、PSRmaxが9以上17未満である場合にPM-16QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが17以上49未満である場合にPM-32QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが49以上85未満である場合にPM-64QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが85以上225未満である場合にPM-128QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが225以上377未満である場合にPM-256QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが377以上961未満である場合にPM-512QAMを変調フォーマットとし、PSRmaxが961以上である場合にPM-1024QAMを変調フォーマットとして、光伝送を行うのが好適である。

発明の効果

0022

本発明の光伝送システムは、空間多重光ファイバを用いて高品質の信号光伝送を行うことができる。

図面の簡単な説明

0023

信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムにおける伝搬モード間のクロストークXTの統計的分布を示すグラフである。
各種の変調ダイアグラムを示す図である。
各種の変調ダイアグラムを示す図である。
各種の変調ダイアグラムを示す図である。
変調器変調範囲フルスケールで変調した際の最大パワーPFSと、各変調フォーマットにおけるS2, Pavg, Pmaxとの比を纏めた図表である。
クロストークXTのバラツキを考慮しない場合のクロストークXTとOSNRペナルティとの関係を示すグラフである。(出典は、非特許文献1である。)
クロストークXTのバラツキを考慮した場合のクロストークXTμとQ2ペナルティとの関係を示すグラフである。

実施例

0024

以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

0025

図1は、信号光を伝送する光伝送路として空間多重光ファイバを用いて光伝送を行う光伝送システムにおける伝搬モード間のクロストークXTの統計的分布を示すグラフである。同図は、非特許文献2に示されているものであり、空間多重光ファイバとしてMCFを用いた場合のクロストークXTの統計的分布を示している。

0026

同図に示されるように、伝搬モード間のクロストークXTは統計的バラツキを有している。クロストークXTの確率分布f(XT)は下記(7)式で表される。この確率分布f(XT)は、或る値σ2でスケーリングした自由度4のカイ二乗分布で表される。確率分布f(XT)の平均値(すなわちクロストーク平均値)XTμは下記(8)式で表される。

0027

0028

0029

一般に、自由度4のカイ二乗分布は、各々分散σ2で正規分布する4つのランダム変数二乗の和が採る確率分布である。1つの伝搬モードは互いに直交する2つの偏波モードを含むので、クロストークXTは、互いに直交する2つの偏波モードそれぞれの同相(In-phase)成分(I成分)および直交位相(Quadrature)成分(Q成分)の合計4つの振幅成分の二乗(パワー)の和で表すことができる。このことから、クロストークXTが上記(7)式の自由度4のカイ二乗分布でばらつくことは、クロストークXTの各偏波モードのI成分・Q成分それぞれが分散σ2の正規分布でばらついていることを示している。

0030

本発明では、MCFやFMFなどの空間多重光ファイバでのクロストークXTの統計論的バラツキを考慮した上で、クロストークXTの伝送品質Q値への影響を明らかにし、伝搬モード間クロストークXTと1コア伝送時のQ値とから、該空間多重光ファイバで伝送可能な多値変調フォーマットを設定することが可能な光伝送システムを提供する。

0031

空間多重光ファイバにおける伝搬モード間クロストークXTは、伝搬モード間の位相差のバラツキにより変動するI成分、Q成分のI-Q平面上の正規分布を確率分布とするランダムな値であると考えられる。このことから、クロストークXTをノイズと見なすことで、PSKやQAMなどの変調時に於けるクロストークXTの伝送品質Q値への影響を計算することができる。

0032

特に、伝搬モード間で信号が非相関である場合、伝搬モード間位相差は経時的に変化し、クロストークXTも経時的に変動するものと考えられるので、クロストークXTをランダムノイズと見なすことができると考えられる。なお、非特許文献2で論じているのはMCFについてのみであるが、MCFと同様にFMFの場合でも、モード間位相差がランダムなモード結合と考えられ、クロストークXTをランダムノイズと見なすことができると考えられる。

0033

Q値は下記(9)式で定義される(非特許文献3参照)。ここで、μ1,μ2は2つの隣接する変調シンボルそれぞれの平均位置であり、σ1,σ2は2つの隣接する変調シンボルそれぞれの標準偏差である。なお、参考までに、一般に用いられるQ値のデシベル表示は、下記(10)式のとおり電圧などと同様に係数が20のものであり、論文などでよく見られるQ2値(Q2-factor)の表現は下記式での係数間違いを防ぐ為に用いられているものである。Q値もQ2値もデシベルで表せば同じである。

0034

0035

0036

上記(9)式から、各変調シンボルにおけるノイズの標準偏差は等しいものと見なすと、クロストークXTを含まないノイズに対するQ2値は下記(11)式で表される。ここで、Sは変調シンボル間の最短距離(|μ1-μ2|)である。また、ノイズがx/y両偏波のI-Q平面上に分散σnoise2で正規分布しているとすると、4σnoise2はノイズの平均パワーPnoiseに相当する。

0037

0038

或る伝搬モード(MCFの場合には「複数のコアのうちの或る1つのコアの伝搬モード」、FMFの場合には「1つのコアにおける複数の伝搬モードのうちの或る1つの伝搬モード」)のクロストーク平均値XTμは下記(12)式のように定義される。また、クロストークXTはI-Q平面上で正規分布を確率分布とするランダム値であり、クロストーク平均値XTμと前記正規分布の分散σ42との関係は下記(13)式で表される。

0039

0040

0041

したがって、クロストークXT光パワーのI-Q平面上での分散σxt2は下記(14)式で表される。よって、クロストークXTを含むノイズに対するQ2値は下記(15)式で表される。このとき、クロストークXTに起因するQ2ペナルティは下記(16)式で表される。

0042

0043

0044

0045

また、前方誤り訂正に必要なQ値をQFECとし、環境変動によるロス増や切断による再接続によるロス増などによるQ値悪化に対処する安全のためのQ値のマージンをQmarginとすると、下記(17)式が満たされる必要がある。なお、この(17)式をデシベル表示すると下記(18)式のように表される。

0046

0047

0048

上記(15)式および(16)式それぞれにおいてPsignal/S2 は信号の変調フォーマットに依存する値であることから、1つの伝搬モードのみに信号光を伝送させたときのQ2値であるQnoise2およびクロストーク平均値XTμが分かれば、残りの全ての伝搬モードにも信号光を伝送させたときのQ2値であるQnoise+xt2が予測可能である。更に上記(17)式が要求されることを考えると、下記(19)式を満たす変調フォーマットで伝送する必要があることが分かる。

0049

0050

図2図4は、各種の変調ダイアグラムを示す図である。図2(a)はQPSKであり、同図(b)は8PSKであり、同図(c)は16QAMである。図3(a)は32QAMであり、同図(b)は64QAMであり、同図(c)は128QAMである。また、図4(a)は256QAMであり、同図(b)は512QAMであり、同図(c)は1024QAMである。

0051

これらの変調ダイアグラムにおいて、信号光パワーPsignalを各ダイアグラムの最大パワーPmaxと見なした場合、Psignal/S2=Pmax/S2は、偏波多重(PM)のQPSK(PM-QPSK)では1となり、PM-8PSKでは21/2/(21/2-1)となり、PM-16QAMでは9となり、PM-32QAMでは17となり、PM-64QAMでは49となり、PM-128QAMでは85となり、PM-256QAMでは225となり、PM-512QAMでは377となり、PM-1024QAMでは961となる。

0052

また、信号光パワーPsignalを各ダイアグラムの平均パワーPavgと見なした場合、Psignal/S2=Pavg/S2は、PM-QPSKでは1となり、PM-8PSK では21/2/(21/2-1)となり、PM-16QAMでは5となり、PM-32QAMでは10となり、PM-64QAMでは21となり、PM-128QAMでは41となり、PM-256QAMでは85となり,PM-512QAMでは165となり、PM-1024QAMでは341となる。

0053

図5は、変調器の変調範囲のフルスケールで変調した際の最大パワーPFSと、各変調フォーマットにおけるS2, Pavg, Pmaxとの比を纏めた図表である。PM-32QAM、PM-128QAM、及びPM-512QAMそれぞれでは、変調ダイアグラムの端の部分に変調シンボルが無いことから分かるとおり、Pmax<PFSである。

0054

実際に伝送実験を行った場合は、各伝搬モードの信号光が非相関であって、且つ、種々の摂動により各伝搬モード間にスキューが生じ、ファイバ長手位置によりクロストークXTに寄与する隣接伝搬モードのシンボルが変化すると考えれば、信号光パワーPsignalを各ダイアグラムの平均パワーと見なす場合がより現実的かと考えられるが、より安全サイドを見るには、信号光パワーPsignalを各ダイアグラムの最大パワーと見なす場合が望ましいとも言える。

0055

また、各変調時のQnoiseはQPM-QPSKを用いて下記(20)式で表されるので、信号光パワーPsignalを各ダイアグラムの平均パワーPavgと見なした場合、上記(15)式および(17)式から、下記(21)式を満たす変調フォーマットで伝送する必要があることが分かる。

0056

0057

0058

本発明に於いて、PSRmaxを大きくできれば、よりPSRの大きい変調フォーマットを選択できる様になり、周波数利用効率を改善でき、伝送容量を改善できる可能性があるので、PSRmaxは大きい方が望ましい。式(19)、式(21)、いずれの場合も、QFECが小さいほど、PSRmaxは大きくなるので、QFECはできるだけ小さいことが好適である。QFECは、少なくとも下記(22)式であることが望ましく、下記(23)式であることが更に望ましく、下記(24)式であることが更に望ましい。

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また、Qmarginも小さい方がPSRmaxは大きくなるので、Qmarginもできるだけ小さい方が望ましいが、小さすぎると外乱などの要因により伝送品質Q値がQFECを下回り、伝送エラー発生する可能性がある。そこで、Qmarginが下記(25)式を満たすことが、PSRmax改善と伝送エラー抑圧バランスの上で望ましい。

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ここで、QnoiseのQFECに対するマージンQmargin1(Qmarginではない)との関係は下記(26)式で表せるので、上記式(19)は下記(27)式と書き直すことができる。

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ここで、1つの伝搬モードで伝送する際のQmargin1が下記(28)式を満たすときに、多数の伝搬モードで伝送する際のQmarginが下記(29)式を満たす為には、例えば下記(30)式の場合には下記(31)式を満たすことが望ましく、また、例えば下記(32)式の場合には下記(33)式を満たすことが望ましい。

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ここまで、2つの独立な偏波モードそれぞれで独立にI-Q平面上で変調を行う、すなわち、2つの偏波モードで個別に2次元平面上での変調を行う、偏波多重変調フォーマットに関して議論してきた。2つの偏波モードを一体として、第1の偏波モードのI成分と、第1の偏波モードのQ成分と、第2の偏波モードのI成分と、第2の偏波モードのQ成分の、合計4つの独立な成分を用いて、4次元空間上での変調を行う、偏波スイッチ(Polarization-switched)変調フォーマット(非特許文献4参照)を用いると、Q2値が等しい場合に実現可能な周波数利用効率を偏波多重変調フォーマットに比べて向上させることができるので、本発明において、PSRをPSRmax以下とした際の変調フォーマットが、偏波スイッチ変調フォーマットであることは、好適である。

0075

本発明に於いて、PSRは大きい方が、変調の多値度を向上させ、周波数利用効率を向上させることができる。各種の変調ダイアグラムにおいて信号光パワーPsignalを各ダイアグラムの最大パワーPmaxと見なした場合や、信号光パワーPsignalを各ダイアグラムの平均パワーPavgと見なした場合の例で考えると、多値度の隣り合う変調フォーマットの同士のPSRの比は最大でも21/2/(21/2-1)である。よって、PSRは、少なくともPSRmaxを21/2/(21/2-1)で割った値であるPSRmax(21/2-1)/21/2以上の値になる様に設定することが望ましい。

0076

図6は、クロストークXTのバラツキを考慮しない場合のクロストークXTとOSNRペナルティとの関係を示すグラフである。同図は非特許文献1に示されているものである。同図において、実線はシミュレーションにより求められたものであり、丸印および四角印で描かれた折れ線は実験により求められたものである。同図では、実験に於いてもクロストークXTのばらつきは考慮されず、光分岐器2分岐した光信号の一方を信号光とし、他方をXT光として、光減衰器でXT光を減衰させた後に2つの光を再結合して、再結合後の信号光の伝送品質を確認している。

0077

一方、図7は、本実施形態に係るものであって、クロストークXTのバラツキを考慮した場合のクロストークXTとQ2ペナルティとの関係を示すグラフである。OSNR(OpticalSignal-to-Noise Ratio)とQ2とは比例関係にあることから、OSNRペナルティとQ2ペナルティとは等しい値をとる。同図は、図6と同一の条件(非特許文献1で想定しているビット誤り率10-3に相当する9.8dBのQnoise+xtを仮定)で、クロストークXTのばらつきを考慮した上記(16)式で求めたクロストークXTとQ2ペナルティとの関係を示す。

0078

図6図7とを対比して、クロストークXTのばらつきを考慮した場合のクロストークXT増加に対するQ2ペナルティの悪化から、実際の空間多重光ファイバでのQ2ペナルティの悪化は、非特許文献1に示されたものに比べるとより大きいことが分かる。本実施形態の光伝送システムによって、より正確にクロストークXTの伝送品質Q値への影響が予測され、適切な変調フォーマットでの伝送が可能となる。

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