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技術 ホルミルグリシン残基の分析法

出願人 JCRファーマ株式会社
発明者 横山哲雄
出願日 2012年12月18日 (7年11ヶ月経過) 出願番号 2012-275469
公開日 2013年8月1日 (7年3ヶ月経過) 公開番号 2013-148578
状態 特許登録済
技術分野 クロマトグラフィによる材料の調査、分析 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 規格試験 プロパン酸アミド 高速液体クロマトグラフ装置 重炭酸アンモニウム水溶液 標識化物 カプロン酸アミド サルファターゼ 先天性白内障
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年8月1日)のものです。
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図面 (3)

課題

蛋白質おける,システイン残基ホルミルグリシン残基比率半定量的又は定量的に分析する方法の提供。

解決手段

蛋白質におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基とを分析する方法であって,(a)該蛋白質を,(i)ハロゲン置換カルボン酸標識,(ii)ハロゲン置換カルボン酸アミド標識,並びに(iii)ハロゲン置換カルボン酸標識し次いでヒドラジン標識,又はハロゲン置換カルボン酸標識し次いでオキシム化標識するステップと,(b)各標識蛋白質消化してそれぞれのペプチド断片合物とするステップと,(c)得られた混合物を,逆相クロマトグラフィーに付してペプチド断片を相互に分離しクロマトグラムを得るステップと,(d)クロマトグラムを相互に比較することにより,システイン残基を含んでいたペプチド断片とホルミルグリシン残基を含んでいたペプチド断片に由来するピークとを,特定するステップとを含む方法。

概要

背景

スルファターゼ硫酸エステル加水分解酵素)は,エステル結合した硫酸基を含む種々の生体分子加水分解して硫酸基を脱離する活性を有する。ヒトには基質特異性を異にする少なくとも9種類のスルファターゼが存在する。これらのスルファターゼは,そのペプチド鎖中にホルミルグリシン残基(2−アミノ−3−オキソプロピオン酸残基)を含んでいる(非特許文献1)。このホルミルグリシン残基は,翻訳直後のスルファターゼのアミノ酸配列に元々存在したシステイン残基のうち特定のものが変換されて生じたものであり,活性中心を構成するアミノ酸残基の一つである。スルファターゼの触媒反応において,ホルミルグリシン残基は水和されてgem−ジオールとして存在し,gem−ジオールの2個の水酸基のうち一方は酵素−硫酸エステル中間体の生成に,もう一方の水酸基は硫酸基の離脱に必要である。従って,スルファターゼが活性を示すために,システイン残基のホルミルグリシン残基への変換は必須である。全てのスルファターゼ活性が著しく低下することに起因する遺伝子疾患である多重スルファターゼ欠損症では,スルファターゼの遺伝子自体に異常はないが,システイン残基のホルミルグリシン残基への変換が正常に行われず,その結果として,スルファターゼ活性が決失するか著しく低下する(非特許文献1,特許文献1)。

従って,生体中のスルファターゼを定量する場合,単にその総量を定量するだけではその酵素活性の量的評価には不十分であり,そのスルファターゼにおいてシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を求める必要がある。遺伝子組み換え技術を用いて製造した組換え体スルファターゼについても同様である。組換え体スルファターゼに関しては,所望の割合でシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されたアリールスルファターゼAを製造する方法が報告されている(特許文献2)。この方法により製造された酵素についても,システイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を求める必要がある。

イズロン酸2−スルファターゼ(I2S)は,グリコサミノグリカンに属するヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸の硫酸エステル結合を加水分解する活性を有するスルファターゼの一種である。I2Sも他のスルファターゼと同じく,その酵素活性を示すためには,活性中心に位置する所定のシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されることが必須である。

本酵素を遺伝的に欠損すると,ヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸の代謝異常のため,これらの部分分解物肝臓脾臓等の組織内に蓄積し,骨格異常等の症状をきたすハンター症候群ムコ多糖症II型)を発症する。ハンター症候群の患者には,I2Sを補充する酵素補充療法が実施されている。ハンター症候群の酵素補充療法に用いられるI2Sは,ヒトI2S遺伝子を組み込んだ発現ベクター形質転換させたCHO細胞を用いて組換え体ヒトI2Sとして製造されている。CHO細胞を用いた組換え体ヒトI2Sの製造方法は,種々報告されている(特許文献3,4)

組換え体ヒトI2Sの場合も,天然に存在するI2Sと同じく,ホルミルグリシン残基のシステイン残基への変換が,その酵素活性の発揮に必須である。従って,組換え体ヒトI2Sを定量する場合も,単にその総量を測定するだけではその酵素活性の量的評価には不十分であり,そのI2Sにおいてシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を求める必要がある。

N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ(ASB)は,アリールスルファターゼBともいい,コンドロイチン4−硫酸,デルマタン硫酸,及びUDP−N−アセチルガラクトサミン4−硫酸を加水分解して硫酸イオン遊離する活性を有するスルファターゼの一種である。ASBも他のスルファターゼと同じく,その酵素活性を示すためには,活性中心に位置する所定のシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されていることが必須である。本酵素を遺伝的に欠損すると,広範な組織のリソソーム内にデルマタン硫酸等が蓄積することになり,その結果,発育遅延四肢及び脊椎の顕著な変形,肝脾腫先天性白内障等の諸症状を呈するマロトー・ラミー症候群(ムコ多糖症VI型)を発症する。マロトー・ラミー症候群の患者には,ASBを補充する酵素補充療法が実施されている。マロトー・ラミー症候群の酵素補充療法に用いられるASBは,ヒトASB遺伝子を組み込んだ発現ベクターで形質転換させたCHO細胞を用いて組換え体ヒトASBとして製造されている(特許文献5)。

組換え体ヒトASBの場合も,天然に存在するASBと同じく,システイン残基のホルミルグリシン残基への変換が,その酵素活性の発揮に必須である。従って,組換え体ヒトASBを定量する場合,単にその総量を測定するだけでは不十分であり,そのASBにおいてシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を測定する必要がある。

ハンター症候群,マロトー・ラミー症候群の他,スルファターゼの欠損症を原因とする疾患に,モルキオ病A型,サンフィリッポ症候群A型及びD型があり,それぞれ,N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ,ヘパラン−N−スルファターゼ及びN−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼを,遺伝的に欠損している。これらの疾患についても,組換え体技術を用いて製造した酵素による酵素補充療法による治療が考えられるが,組換え体技術を用いて製造したこれらの酵素も,システイン残基のホルミルグリシン残基への変換が,その酵素活性の発揮に必須である。従って,これらの酵素を定量する場合も,単にその総量を測定するだけでは不十分であり,それらの酵素においてシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を測定する必要がある。

サルファターゼ中に元々存在した特定のシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されているサルファターゼの量を測定する方法として,サルファターゼをトリプシン処理してペプチド断片にまで分解し,次いでペプチド断片を逆相カラムクロマトグラフィーにかけ,得られたクロマトグラムにおいて,システイン残基を含むペプチド断片に由来するピークとホルミルグリシン残基を含むペプチド断片に由来するピークとを比較する方法がある(非特許文献1)。この方法では,システイン残基を含むペプチド断片及びホルミルグリシン残基を含むペプチド断片にそれぞれ由来するピークを,クロマトグラムのみでは識別できない。従って,この方法によると,個々のピークに相当する画分を全て分取し,これら画分に含まれるペプチド断片について逐次アミノ酸配列を解析し,目的とするペプチド断片を同定しなければならず,操作が非常に煩雑である。また,長鎖ペプチドで構成される蛋白質の場合,これをトリプシン処理して得られるペプチド断片の数が多くなるため,これを逆相カラムクロマトグラフィーで分離して得られるピークの数も増える。従って,益々操作が煩雑となる。

概要

蛋白質おける,システイン残基とホルミルグリシン残基の比率を半定量的又は定量的に分析する方法の提供。蛋白質におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基とを分析する方法であって,(a)該蛋白質を,(i)ハロゲン置換カルボン酸標識,(ii)ハロゲン置換カルボン酸アミド標識,並びに(iii)ハロゲン置換カルボン酸標識し次いでヒドラジン標識,又はハロゲン置換カルボン酸標識し次いでオキシム化標識するステップと,(b)各標識蛋白質消化してそれぞれのペプチド断片混合物とするステップと,(c)得られた混合物を,逆相クロマトグラフィーに付してペプチド断片を相互に分離しクロマトグラムを得るステップと,(d)クロマトグラムを相互に比較することにより,システイン残基を含んでいたペプチド断片とホルミルグリシン残基を含んでいたペプチド断片に由来するピークとを,特定するステップとを含む方法。

目的

従って,この方法によると,個々のピークに相当する画分を全て分取し,これら画分に含まれるペプチド断片について逐次アミノ酸配列を解析し,目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

分析対象である蛋白質を構成しているアミノ酸残基におけるシステイン残基ホルミルグリシン残基とを分析する方法であって,(a)該蛋白質を,それぞれ,(i)ハロゲン置換カルボン酸標識してハロゲン置換カルボン酸標識蛋白質,(ii)ハロゲン置換カルボン酸アミド標識してハロゲン置換カルボン酸アミド標識蛋白質,並びに(iii)ハロゲン置換カルボン酸標識し次いでヒドラジン標識するか,又はハロゲン置換カルボン酸標識し次いでオキシム化標識して,ハロゲン置換カルボン酸−ヒドラジン標識蛋白質又はハロゲン置換カルボン酸−オキシム化標識蛋白質とするステップと,(b)得られた各標識蛋白質を消化してそれぞれのペプチド断片合物とするステップと,(c)得られた各ペプチド断片混合物を,逆相クロマトグラフィーに付してペプチド断片を相互に分離しつつ,分離されたペプチド断片を吸光度計モニターして各ペプチド断片混合物についてのクロマトグラムを得るステップと,(d)得られた各クロマトグラムを相互に比較することにより,システイン残基を該分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片と,ホルミルグリシン残基を該分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークとを,各クロマトグラム上で特定するステップとを含む方法。

請求項2

分析対象である蛋白質を構成しているアミノ酸残基におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基とを分析する方法であって,(a)該蛋白質を,それぞれ,(i)ハロゲン置換カルボン酸標識してハロゲン置換カルボン酸標識蛋白質,(ii)ハロゲン置換カルボン酸アミド標識してハロゲン置換カルボン酸アミド標識蛋白質,並びに(iii)ハロゲン置換カルボン酸アミド標識し次いでヒドラジン標識するか,又はハロゲン置換カルボン酸アミド標識し次いでオキシム化標識して,ハロゲン置換カルボン酸アミド−ヒドラジン標識蛋白質又はハロゲン置換カルボン酸アミド−オキシム化標識蛋白質とするステップと,(b)得られた各標識蛋白質を消化してそれぞれのペプチド断片混合物とするステップと,(c)得られた各ペプチド断片混合物を,逆相クロマトグラフィーに付してペプチド断片を相互に分離しつつ,分離されたペプチド断片を吸光度計でモニターして各ペプチド断片混合物についてのクロマトグラムを得るステップと,(d)得られた各クロマトグラムを相互に比較することにより,システイン残基を該分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片と,ホルミルグリシン残基を該分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークとを,各クロマトグラム上で特定するステップとを含む方法。

請求項3

該ハロゲン置換カルボン酸標識又は該ハロゲン置換カルボン酸アミド標識が,それぞれ,ハロゲン置換カルボン酸又はハロゲン置換カルボン酸アミドにより,該分析対象である蛋白質のシステイン残基中のスルフヒドリル基アルキル化するものである,請求項1又は2の方法。

請求項4

該ハロゲン置換カルボン酸が,下記一般式(I), (式中,Xはハロゲンを,mは1〜5の整数を,それぞれ表す。)で示されるハロゲン置換モノカルボン酸であり,該ハロゲン置換モノカルボン酸アミドが,下記一般式(II), (式中,Xはハロゲンを,mは1〜5の整数を,それぞれ表す。)で示されるハロゲン置換モノカルボン酸アミドである,請求項3の方法。

請求項5

該式(I)および該式(II)において,mが1〜3の整数である,請求項4の方法。

請求項6

該式(I)および該式(II)において,ハロゲンがヨウ素又は塩素である,請求項4又は5の方法。

請求項7

該ハロゲン置換カルボン酸が,ヨード置換モノカルボン酸又はクロロ置換モノカルボン酸であり,該ハロゲン置換カルボン酸アミドが,ヨード置換モノカルボン酸アミド又はクロロ置換モノカルボン酸である,請求項3の方法。

請求項8

該ハロゲン置換モノカルボン酸が,ヨード酢酸,2−ヨードプロピオン酸及び3−ヨードプロピオン酸,クロロ酢酸からなる群より選択されるいずれか一つであり,該ハロゲン置換カルボン酸アミドが,ヨードアセトアミド,2−ヨードプロピオン酸アミド及び3−ヨードプロピオン酸アミド,クロロアセトアミドからなる群より選択されるいずれか一つである,請求項7の方法。

請求項9

該ハロゲン置換モノカルボン酸が,ヨード酢酸であり,該ハロゲン置換カルボン酸アミドが,ヨードアセトアミドである,請求項7の方法。

請求項10

該ハロゲン置換モノカルボン酸が,3−ヨードプロピオン酸であり,該ハロゲン置換カルボン酸アミドが,ヨードアセトアミドである,請求項7の方法。

請求項11

該ヒドラジン標識が,ホルミルグリシン残基のカルボニル基ヒドラゾンを形成するヒドラジン類化合物又はその塩を用いて行われるものである請求項1ないし10の方法。

請求項12

該ヒドラジン類化合物又はその塩が,2,4−ジニトロフェニルヒドラジン又はその塩である,請求項11の方法。

請求項13

該オキシム化標識が,ホルミルグリシン残基のカルボニル基とオキシム基を形成するヒドロキシルアミン類化合物又はその塩を用いて行われるものである請求項1ないし10の方法。

請求項14

該ヒドロキシルアミン類化合物又はその塩が,O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン又はその塩である,請求項13の方法。

請求項15

クロマトグラフにおいて,システイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークの面積とホルミルグリシン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークの面積の比を求めるステップを更に含む,請求項1ないし14の何れかの方法。

請求項16

該分析対象である蛋白質が,ヒトの硫酸エステル加水分解酵素である,請求項1ないし15の何れかの方法。

請求項17

該硫酸エステル加水分解酵素が,イズロン酸2−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ,ヘパラン−N−スルファターゼ,及びN−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼからなる群から選択されるものである,請求項16の方法。

請求項18

該硫酸エステル加水分解酵素が,イズロン酸2−スルファターゼである,請求項17の方法。

請求項19

該システイン残基が,該硫酸エステル加水分解酵素が酵素活性を示すためにはホルミルグリシン残基に変換されている必要のあるシステイン残基であり,該ホルミルグリシン残基が,該システイン残基が該変換されて生じたホルミルグリシン残基である,請求項16ないし18の何れかの方法。

請求項20

該硫酸エステル加水分解酵素がイズロン酸2−スルファターゼであり,該システイン残基及び該ホルミルグリシン残基が,成熟型イズロン酸2−スルファターゼにおけるN末端から59番目に位置するものである,請求項19の方法。

請求項21

該イズロン酸2−スルファターゼが,組換え体イズロン酸2−スルファターゼである,請求項20の方法。

技術分野

0001

本発明は,蛋白質分析に,より詳しくは蛋白質を構成するペプチド鎖中に存在するシステイン残基が変換されて生じたホルミルグリシン残基分析方法に関し,特に,分析対象とする蛋白質を酵素消化して得られたペプチド断片に基づいて,当該蛋白質を構成するペプチド鎖中に存在するシステイン残基とホルミルグリシン残基の存在比率を求める方法に関する。

背景技術

0002

スルファターゼ硫酸エステル加水分解酵素)は,エステル結合した硫酸基を含む種々の生体分子加水分解して硫酸基を脱離する活性を有する。ヒトには基質特異性を異にする少なくとも9種類のスルファターゼが存在する。これらのスルファターゼは,そのペプチド鎖中にホルミルグリシン残基(2−アミノ−3−オキソプロピオン酸残基)を含んでいる(非特許文献1)。このホルミルグリシン残基は,翻訳直後のスルファターゼのアミノ酸配列に元々存在したシステイン残基のうち特定のものが変換されて生じたものであり,活性中心を構成するアミノ酸残基の一つである。スルファターゼの触媒反応において,ホルミルグリシン残基は水和されてgem−ジオールとして存在し,gem−ジオールの2個の水酸基のうち一方は酵素−硫酸エステル中間体の生成に,もう一方の水酸基は硫酸基の離脱に必要である。従って,スルファターゼが活性を示すために,システイン残基のホルミルグリシン残基への変換は必須である。全てのスルファターゼ活性が著しく低下することに起因する遺伝子疾患である多重スルファターゼ欠損症では,スルファターゼの遺伝子自体に異常はないが,システイン残基のホルミルグリシン残基への変換が正常に行われず,その結果として,スルファターゼ活性が決失するか著しく低下する(非特許文献1,特許文献1)。

0003

従って,生体中のスルファターゼを定量する場合,単にその総量を定量するだけではその酵素活性の量的評価には不十分であり,そのスルファターゼにおいてシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を求める必要がある。遺伝子組み換え技術を用いて製造した組換え体スルファターゼについても同様である。組換え体スルファターゼに関しては,所望の割合でシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されたアリールスルファターゼAを製造する方法が報告されている(特許文献2)。この方法により製造された酵素についても,システイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を求める必要がある。

0004

イズロン酸2−スルファターゼ(I2S)は,グリコサミノグリカンに属するヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸の硫酸エステル結合を加水分解する活性を有するスルファターゼの一種である。I2Sも他のスルファターゼと同じく,その酵素活性を示すためには,活性中心に位置する所定のシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されることが必須である。

0005

本酵素を遺伝的に欠損すると,ヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸の代謝異常のため,これらの部分分解物肝臓脾臓等の組織内に蓄積し,骨格異常等の症状をきたすハンター症候群ムコ多糖症II型)を発症する。ハンター症候群の患者には,I2Sを補充する酵素補充療法が実施されている。ハンター症候群の酵素補充療法に用いられるI2Sは,ヒトI2S遺伝子を組み込んだ発現ベクター形質転換させたCHO細胞を用いて組換え体ヒトI2Sとして製造されている。CHO細胞を用いた組換え体ヒトI2Sの製造方法は,種々報告されている(特許文献3,4)

0006

組換え体ヒトI2Sの場合も,天然に存在するI2Sと同じく,ホルミルグリシン残基のシステイン残基への変換が,その酵素活性の発揮に必須である。従って,組換え体ヒトI2Sを定量する場合も,単にその総量を測定するだけではその酵素活性の量的評価には不十分であり,そのI2Sにおいてシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を求める必要がある。

0007

N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ(ASB)は,アリールスルファターゼBともいい,コンドロイチン4−硫酸,デルマタン硫酸,及びUDP−N−アセチルガラクトサミン4−硫酸を加水分解して硫酸イオン遊離する活性を有するスルファターゼの一種である。ASBも他のスルファターゼと同じく,その酵素活性を示すためには,活性中心に位置する所定のシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されていることが必須である。本酵素を遺伝的に欠損すると,広範な組織のリソソーム内にデルマタン硫酸等が蓄積することになり,その結果,発育遅延四肢及び脊椎の顕著な変形,肝脾腫先天性白内障等の諸症状を呈するマロトー・ラミー症候群(ムコ多糖症VI型)を発症する。マロトー・ラミー症候群の患者には,ASBを補充する酵素補充療法が実施されている。マロトー・ラミー症候群の酵素補充療法に用いられるASBは,ヒトASB遺伝子を組み込んだ発現ベクターで形質転換させたCHO細胞を用いて組換え体ヒトASBとして製造されている(特許文献5)。

0008

組換え体ヒトASBの場合も,天然に存在するASBと同じく,システイン残基のホルミルグリシン残基への変換が,その酵素活性の発揮に必須である。従って,組換え体ヒトASBを定量する場合,単にその総量を測定するだけでは不十分であり,そのASBにおいてシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を測定する必要がある。

0009

ハンター症候群,マロトー・ラミー症候群の他,スルファターゼの欠損症を原因とする疾患に,モルキオ病A型,サンフィリッポ症候群A型及びD型があり,それぞれ,N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ,ヘパラン−N−スルファターゼ及びN−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼを,遺伝的に欠損している。これらの疾患についても,組換え体技術を用いて製造した酵素による酵素補充療法による治療が考えられるが,組換え体技術を用いて製造したこれらの酵素も,システイン残基のホルミルグリシン残基への変換が,その酵素活性の発揮に必須である。従って,これらの酵素を定量する場合も,単にその総量を測定するだけでは不十分であり,それらの酵素においてシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されている比率を測定する必要がある。

0010

サルファターゼ中に元々存在した特定のシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されているサルファターゼの量を測定する方法として,サルファターゼをトリプシン処理してペプチド断片にまで分解し,次いでペプチド断片を逆相カラムクロマトグラフィーにかけ,得られたクロマトグラムにおいて,システイン残基を含むペプチド断片に由来するピークとホルミルグリシン残基を含むペプチド断片に由来するピークとを比較する方法がある(非特許文献1)。この方法では,システイン残基を含むペプチド断片及びホルミルグリシン残基を含むペプチド断片にそれぞれ由来するピークを,クロマトグラムのみでは識別できない。従って,この方法によると,個々のピークに相当する画分を全て分取し,これら画分に含まれるペプチド断片について逐次アミノ酸配列を解析し,目的とするペプチド断片を同定しなければならず,操作が非常に煩雑である。また,長鎖ペプチドで構成される蛋白質の場合,これをトリプシン処理して得られるペプチド断片の数が多くなるため,これを逆相カラムクロマトグラフィーで分離して得られるピークの数も増える。従って,益々操作が煩雑となる。

0011

特表2006−517412号公報
特表2007−519404号公報
米国特許5932211号公報
米国特許6541254号公報
特表2006−510356号公報

先行技術

0012

Schmidt B. et al., Cell, 82: 271-8(1998).

発明が解決しようとする課題

0013

上記背景の下で,本発明の目的は,蛋白質を構成するペプチド鎖における,システイン残基とホルミルグリシン残基の比率を半定量的または定量的に求める方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

上記目的に向けた研究において,本発明者らは,蛋白質につき,そのシステイン残基をヨード酢酸で標識したもの,ヨードアセトアミドで標識したもの,及びヨード酢酸又はヨードアセトアミドで標識し且つヒドラジン類化合物又はヒドロキシルアミン類化合物でも併せて標識(本明細書において,それぞれ,「ヒドラジン標識」及び「オキシム化標識」という。)したものをそれぞれ準備し,次いで各々をペプチド断片混合物へと分解し,得られたペプチド断片混合物を,それぞれ逆相クロマトグラフィーに付し,得られたクロマトグラムを相互に比較することにより,元の蛋白質においてシステイン残基を含んでいたペプチド断片と元の蛋白質においてホルミルグリシン残基を含んでいたペプチド断片とを容易に特定することができ,それらの比率から,元の蛋白質を構成するペプチド鎖中に存在していたシステイン残基と,そのシステイン残基が変換して生じたホルミルグリシン残基の比率を半定量的または定量的に求めることができることを見出し,本発明を完成した。すなわち,本発明は以下を提供する。

0015

1.分析対象である蛋白質を構成しているアミノ酸残基におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基とを分析する方法であって,
(a)該蛋白質を,それぞれ,
(i)ハロゲン置換カルボン酸標識してハロゲン置換カルボン酸標識蛋白質
(ii)ハロゲン置換カルボン酸アミド標識してハロゲン置換カルボン酸アミド標識蛋白質,並びに
(iii)ハロゲン置換カルボン酸標識し次いでヒドラジン標識するか,又はハロゲン置換カルボン酸標識し次いでオキシム化標識して,ハロゲン置換カルボン酸−ヒドラジン標識蛋白質又はハロゲン置換カルボン酸−オキシム化標識蛋白質
とするステップと,
(b)得られた各標識蛋白質を消化してそれぞれのペプチド断片混合物とするステップと,
(c)得られた各ペプチド断片混合物を,逆相クロマトグラフィーに付してペプチド断片を相互に分離しつつ,分離されたペプチド断片を吸光度計モニターして各ペプチド断片混合物についてのクロマトグラムを得るステップと,
(d)得られた各クロマトグラムを相互に比較することにより,システイン残基を該分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片と,ホルミルグリシン残基を該分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークとを,各クロマトグラム上で特定するステップと
を含む方法。
2.分析対象である蛋白質を構成しているアミノ酸残基におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基とを分析する方法であって,
(a)該蛋白質を,それぞれ,
(i)ハロゲン置換カルボン酸標識してハロゲン置換カルボン酸標識蛋白質,
(ii)ハロゲン置換カルボン酸アミド標識してハロゲン置換カルボン酸アミド標識蛋白質,並びに
(iii)ハロゲン置換カルボン酸アミド標識し次いでヒドラジン標識するか,又はハロゲン置換カルボン酸アミド標識し次いでオキシム化標識して,ハロゲン置換カルボン酸アミド−ヒドラジン標識蛋白質又はハロゲン置換カルボン酸アミド−オキシム化標識蛋白質
とするステップと,
(b)得られた各標識蛋白質を消化してそれぞれのペプチド断片混合物とするステップと,
(c)得られた各ペプチド断片混合物を,逆相クロマトグラフィーに付してペプチド断片を相互に分離しつつ,分離されたペプチド断片を吸光度計でモニターして各ペプチド断片混合物についてのクロマトグラムを得るステップと,
(d)得られた各クロマトグラムを相互に比較することにより,システイン残基を該分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片と,ホルミルグリシン残基を該分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークとを,各クロマトグラム上で特定するステップと
を含む方法。
3.該ハロゲン置換カルボン酸標識又は該ハロゲン置換カルボン酸アミド標識が,それぞれ,ハロゲン置換カルボン酸又はハロゲン置換カルボン酸アミドにより,該分析対象である蛋白質のシステイン残基中のスルフヒドリル基アルキル化するものである,上記1又は2の方法。
4.該ハロゲン置換カルボン酸が,下記一般式(I),

0016

0017

(式中,Xはハロゲンを,mは1〜5の整数を,それぞれ表す。)で示されるハロゲン置換モノカルボン酸であり,該ハロゲン置換モノカルボン酸アミドが,下記一般式(II),

0018

0019

(式中,Xはハロゲンを,mは1〜5の整数を,それぞれ表す。)で示されるハロゲン置換モノカルボン酸アミドである,上記3の方法。
5.該式(I)および該式(II)において,mが1〜3の整数である,上記4の方法。
6.該式(I)および該式(II)において,ハロゲンがヨウ素又は塩素である,上記4又は5の方法。
7.該ハロゲン置換カルボン酸が,ヨード置換モノカルボン酸又はクロロ置換モノカルボン酸であり,該ハロゲン置換カルボン酸アミドが,ヨード置換モノカルボン酸アミド又はクロロ置換モノカルボン酸である,上記3の方法。
8.該ハロゲン置換モノカルボン酸が,ヨード酢酸,2−ヨードプロピオン酸及び3−ヨードプロピオン酸,クロロ酢酸からなる群より選択されるいずれか一つであり,該ハロゲン置換カルボン酸アミドが,ヨードアセトアミド,2−ヨードプロピオン酸アミド及び3−ヨードプロピオン酸アミド,クロロアセトアミドからなる群より選択されるいずれか一つである,上記7の方法。
9.該ハロゲン置換モノカルボン酸が,ヨード酢酸であり,該ハロゲン置換カルボン酸アミドが,ヨードアセトアミドである,上記7の方法。
10.該ハロゲン置換モノカルボン酸が,3−ヨードプロピオン酸であり,該ハロゲン置換カルボン酸アミドが,ヨードアセトアミドである,上記7の方法。
11.該ヒドラジン標識が,ホルミルグリシン残基のカルボニル基ヒドラゾンを形成するヒドラジン類化合物又はその塩を用いて行われるものである上記1ないし10の方法。
12.該ヒドラジン類化合物又はその塩が,2,4−ジニトロフェニルヒドラジン又はその塩である,上記11の方法。
13.該オキシム化標識が,ホルミルグリシン残基のカルボニル基とオキシム基を形成するヒドロキシルアミン類化合物又はその塩を用いて行われるものである上記1ないし10の方法。
14.該ヒドロキシルアミン類化合物又はその塩が,O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン又はその塩である,上記13の方法。
15.該クロマトグラフにおいて,システイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークの面積とホルミルグリシン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークの面積の比を求めるステップを更に含む,上記1ないし14の何れかの方法。
16.該分析対象である蛋白質が,ヒトの硫酸エステル加水分解酵素である,上記1ないし15の何れかの方法。
17.該硫酸エステル加水分解酵素が,イズロン酸2−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ,ヘパラン−N−スルファターゼ,及びN−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼからなる群から選択されるものである,上記16の方法。
18.該硫酸エステル加水分解酵素が,イズロン酸2−スルファターゼである,上記17の方法。
19.該システイン残基が,該硫酸エステル加水分解酵素が酵素活性を示すためにはホルミルグリシン残基に変換されている必要のあるシステイン残基であり,該ホルミルグリシン残基が,該システイン残基が該変換されて生じたホルミルグリシン残基である,上記16ないし18の何れかの方法。
20.該硫酸エステル加水分解酵素がイズロン酸2−スルファターゼであり,該システイン残基及び該ホルミルグリシン残基が,成熟型イズロン酸2−スルファターゼにおけるN末端から59番目に位置するものである,上記19の方法。
21.該イズロン酸2−スルファターゼが,組換え体イズロン酸2−スルファターゼである,上記20の方法。

発明の効果

0020

本発明によれば,分析対象である蛋白質のペプチド鎖中に存在するシステイン残基とそのシステイン残基が変換されて生じたホルミルグリシン残基との比率を,半定量的又は定量的に分析することができるため,例えば,活性中心に位置する所定のシステイン残基がホルミルグリシン残基へ変換されていることが活性を発揮する上で必須の酵素,例えばスルファターゼについて,分析対象とした酵素に占める酵素活性を有する酵素の割合を半定量的又は定量的に測定することができる。

図面の簡単な説明

0021

図1は,ヨード酢酸標識rhI2Sと,ヨードアセトアミド標識rhI2Sを,それぞれトリプシン消化して得られたペプチド断片混合物の,逆相クロマトグラフィーによる分析結果を示すクロマトグラムを,相互の溶出時間を一致させて上下に並べて示す。上側のクロマトグラムはヨード酢酸標識rhI2Sの,下側のクロマトグラムはヨードアセトアミド標識rhI2Sの分析結果を,それぞれ示す。縦軸吸光度(215nm),横軸は溶出時間を示す。矢印は,システイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片のピークを示す。ピーク(1)及び(2)はCys59を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片のピーク,ピーク(3)はFGly59を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片のピークをそれぞれ示す。
図2は,ヨード酢酸標識rhI2S及びヨード酢酸−DNPH標識rhI2Sを,それぞれトリプシン消化して得られたペプチド断片混合物の,逆相クロマトグラフィーによる分析結果を示すクロマトグラムを,相互の溶出時間を一致させて上下に並べて示す。上側のクロマトグラムはヨード酢酸標識rhI2S,下側のクロマトグラムはヨード酢酸−DNPH標識rhI2Sの分析結果をそれぞれ示す。縦軸は吸光度(215nm),横軸は溶出時間を示す。ピーク(3)はFGly59を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片のピーク,ピーク(2)はCys59を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片のピークをそれぞれ示す。

0022

蛋白質のペプチド鎖中に存在するシステイン残基のホルミルグリシン残基への変換は,下記の式(1)で示される。

0023

0024

本発明において,蛋白質をハロゲン置換カルボン酸で標識する反応(ハロゲン置換カルボン酸標識反応)は,下記の式(2)で示される蛋白質をヨード酢酸で標識する反応(ヨード酢酸標識反応)で例示される,ハロゲン置換カルボン酸によるシステイン残基のスルフヒドリル基をアルキル化するアルキル化反応であり,その反応生成物を本明細書において「ハロゲン置換カルボン酸標識蛋白質」という。この反応により標識された蛋白質が酵素,特にリソソーム酵素,特にイズロン酸2−スルファターゼ(I2S),及び特に組換え体ヒトイズロン酸−2−スルファターゼ(rhI2S)の場合,生成物を,本明細書においてそれぞれ,「ハロゲン置換カルボン酸標識酵素」,特に「ハロゲン置換カルボン酸標識リソソーム酵素」,特に「ハロゲン置換カルボン酸標識I2S」,及び特に「ハロゲン置換カルボン酸標識rhI2S」という。また,ハロゲン置換カルボン酸標識酵素またはその断片中において,ハロゲン置換カルボン酸によりアルキル化されたシステイン残基を本明細書において「ハロゲン置換カルボン酸標識システイン残基」といい,ハロゲン置換カルボン酸標識システイン残基において,ハロゲン置換カルボン酸による修飾部分を「ハロゲン置換カルボン酸標識残基」という。

0025

本発明において,蛋白質を標識するハロゲン置換カルボン酸がヨード酢酸である場合,その反応(下記の式(2)で示されるヨード酢酸標識反応)により生じる生成物を本明細書において「ヨード酢酸標識蛋白質」という。この反応により標識された蛋白質が酵素,特にリソソーム酵素,特にイズロン酸2−スルファターゼ(I2S),及び特に組換え体ヒトイズロン酸−2−スルファターゼ(rhI2S)の場合,生成物を,本明細書においてそれぞれ,「ヨード酢酸標識酵素」,特に「ヨード酢酸標識リソソーム酵素」,特に「ヨード酢酸標識I2S」,及び特に「ヨード酢酸標識rhI2S」という。また,ヨード酢酸標識酵素またはその断片中において,ヨード酢酸によりアルキル化されたシステイン残基を「ヨード酢酸標識システイン残基」といい,ヨード酢酸標識システイン残基において,ヨード酢酸による修飾部分を「ヨード酢酸標識残基」という。

0026

ハロゲン置換カルボン酸がヨード酢酸以外のハロゲン置換カルボン酸で標識して生じる生成物も,上記ヨード酢酸標識反応により生じる生成物と同様の仕方で称される。

0027

0028

本発明において用いることのできるハロゲン置換カルボン酸は,蛋白質を構成するシステイン残基のスルフヒドリル基をアルキル化するものであれば,特に限定はないが,好ましくは前記一般式(I)(式中,Xはハロゲン,mは1〜5の整数)で示されるものであり,酢酸,プロピオン酸,酪酸,吉酸又はカプロン酸炭化水素鎖を構成する水素原子の一つがハロゲンで置換されたものであり,より好ましくは,酢酸,プロピオン酸,酪酸の炭化水素鎖を構成する水素原子の一つがハロゲンで置換されたものであり,特に好ましくは,酢酸,プロピオン酸の炭化水素鎖を構成する水素原子の一つがハロゲンで置換されたものである。また,前記一般式(I)において,ハロゲンは,好ましくはヨウ素,塩素又は臭素の何れかであり,特に好ましくは,ヨウ素,塩素のいずれかである。ハロゲン置換カルボン酸として好適なものとして,ヨード酢酸,2−ヨードプロピオン酸(2−ヨードプロパン酸)及び3−ヨードプロピオン酸(3−ヨードプロパン酸),クロロ酢酸,より好ましくはヨード酢酸又は3−ヨードプロピオン酸が挙げられる。

0029

本発明において,蛋白質をハロゲン置換カルボン酸アミドで標識する反応(ハロゲン置換カルボン酸アミド標識反応)は,下記の式(3)で示される蛋白質をヨードアセトアミドで標識する反応(ヨードアセトアミド標識反応)で例示される,ハロゲン置換カルボン酸アミドによるシステイン残基のスルフヒドリル基をアルキル化するアルキル化反応であり,生成物を「ハロゲン置換カルボン酸アミド標識蛋白質」という。この反応により標識された蛋白質が酵素,特にリソソーム酵素,特にイズロン酸2−スルファターゼ(I2S),及び特に組換え体ヒトイズロン酸−2−スルファターゼ(rhI2S)の場合,生成物を,それぞれ,「ハロゲン置換カルボン酸アミド標識酵素」,特に「ハロゲン置換カルボン酸アミド標識リソソーム酵素」,特に「ハロゲン置換カルボン酸アミド標識I2S」,及び特に「ハロゲン置換カルボン酸アミド標識rhI2S」という。また,ハロゲン置換カルボン酸アミド標識酵素またはその断片中において,ハロゲン置換カルボン酸アミドによりアルキル化されたシステイン残基を「ハロゲン置換カルボン酸アミド標識システイン残基」といい,ハロゲン置換カルボン酸アミド標識システイン残基において,ハロゲン置換カルボン酸アミドによる修飾部分を「ハロゲン置換カルボン酸アミド標識残基」という。

0030

本発明において,蛋白質を標識するハロゲン置換カルボン酸アミドがヨードアセトアミドである場合,その反応(下記の式(3)で示されるヨードアセトアミド標識反応)により生じる生成物を「ヨードアセトアミド標識蛋白質」という。この反応により標識された蛋白質が酵素,特にリソソーム酵素,特にイズロン酸2−スルファターゼ(I2S),及び特に組換え体ヒトイズロン酸−2−スルファターゼ(rhI2S)の場合,生成物を,それぞれ「ヨードアセトアミド標識酵素」,特に「ヨードアセトアミド標識リソソーム酵素」,特に「ヨードアセトアミド標識I2S」,及び特に「ヨードアセトアミド標識rhI2S」という。また,ヨードアセトアミド標識酵素またはその断片中において,ヨードアセトアミドによりアルキル化されたシステイン残基を「ヨードアセトアミド標識システイン残基」といい,ヨードアセトアミド標識システイン残基において,ヨードアセトアミドによる修飾部分を「ヨードアセトアミド標識残基」という。

0031

ハロゲン置換カルボン酸アミドがヨードアセトアミド以外のハロゲン置換カルボン酸アミドで標識して生じる生成物も,本明細書において,上記ヨードアセトアミド標識反応により生じる生成物と同様の仕方で称される。

0032

0033

本発明において用いることのできるハロゲン置換カルボン酸アミドは,蛋白質を構成するシステイン残基のスルフヒドリル基をアルキル化するものであれば,特に限定はないが,好ましくは前記一般式(II)(式中,Xはハロゲン,mは1〜5の整数)で表わせるものであり,酢酸アミドアセトアミド),プロピオン酸アミド,酪酸アミド,吉酸アミド又はカプロン酸アミドの炭化水素鎖を構成する水素原子の一つがハロゲンで置換されたものであるが,より好ましくは,酢酸アミド,プロピオン酸アミド,酪酸アミドの炭化水素鎖を構成する水素原子の一つがハロゲンで置換されたものであり,特に好ましくは酢酸アミド,プロピオン酸アミドの炭化水素鎖を構成する水素原子の一つがハロゲンで置換されたものである。また,前記一般式において,ハロゲンは,好ましくはヨウ素,塩素又は臭素のいずれかであり,特にヨウ素,塩素の何れかである。ハロゲン置換モノカルボン酸アミドとして好適であるものとして,例えば,ヨード酢酸アミド,2−ヨードプロピオン酸アミド(2−ヨードプロパン酸),3−ヨードプロピオン酸アミド(3−ヨードプロパン酸アミド)及びクロロ酢酸アミド,特にヨード酢酸アミド又は3−ヨードプロピオン酸アミドが挙げられる。

0034

本発明において,蛋白質のホルミルグリシン残基をヒドラジン類化合物又はその塩で標識する反応(ヒドラジン標識反応)は,ホルミルグリシン残基のカルボニル基とヒドラジン類化合物とによりヒドラゾンが形成される反応であり,生成物を「ヒドラジン標識蛋白質」という。この反応により標識された蛋白質がハロゲン置換カルボン酸標識蛋白質,特にハロゲン置換カルボン酸標識リソソーム酵素,特にハロゲン置換カルボン酸標識I2S,及び特にハロゲン置換カルボン酸標識rhI2Sの場合,生成物を,それぞれ,「ハロゲン置換カルボン酸−ヒドラジン標識蛋白質,特にハロゲン置換カルボン酸−ヒドラジン標識リソソーム酵素」,特に「ハロゲン置換カルボン酸−ヒドラジン標識I2S」,特に「ハロゲン置換カルボン酸標識−ヒドラジン」という。

0035

特に,この反応により標識された蛋白質がヨード酢酸標識蛋白質,特にヨード酢酸標識リソソーム酵素,特にヨード酢酸標識I2S,及び特にヨード酢酸標識rhI2Sの場合,生成物を,それぞれ,「ヨード酢酸−ヒドラジン標識蛋白質」,特に「ヨード酢酸−ヒドラジン標識リソソーム酵素」,特に「ヨード酢酸−ヒドラジン標識I2S」,特に「ヨード酢酸標識−ヒドラジン」という。

0036

ハロゲン置換カルボン酸標識蛋白質がヨード酢酸標識蛋白質以外のハロゲン置換カルボン酸標識蛋白質の場合,ヒドラジン標識反応により生じる生成物も,上記ヨード酢酸標識蛋白質をヒドラジン標識して生じる生成物と同様の仕方で称される。

0037

本発明において用いることのできるヒドラジン類化合物又はその塩は,蛋白質を構成するホルミルグリシン残基のカルボニル基とヒドラゾンを形成するものであれば,特に限定はないが,好ましくは2,4−ジニトロフェニルヒドラジン又はその塩,特に2,4−ジニトロフェニルヒドラジン塩酸塩である。

0038

下記の式は,ホルミルグリシン残基のカルボニル基を,ヒドラジン類化合物の1つである2,4−ジニトロフェニルヒドラジン塩酸塩で標識する反応(DNPH標識反応)を示す。生成物を「DNPH標識蛋白質」といい,この反応により標識された蛋白質がヨード酢酸標識蛋白質,特にヨード酢酸標識酵素,特にヨード酢酸標識リソソーム酵素,特にヨード酢酸標識I2S,及び特にヨード酢酸標識rhI2Sの場合,生成物を,それぞれ,「ヨード酢酸−DNPH標識蛋白質」,「ヨード酢酸−DNPH標識酵素」,「ヨード酢酸−DNPH標識リソソーム酵素」,「ヨード酢酸−DNPH標識I2S」,特に「ヨード酢酸−DNPH標識rhI2S」という。

0039

0040

本発明において,ハロゲン置換カルボン酸標識蛋白質に代えて,ハロゲン置換カルボン酸アミド標識により得られるハロゲン置換カルボン酸アミド標識蛋白質を,ヒドラジン標識することもできる。ヒドラジン類化合物として2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を用いたときの反応も,上記の式のとおりである。ハロゲン置換カルボン酸アミドが,ヨードアセトアミドの場合,DNPHを用いたヒドラジン標識反応により生じる生成物を「ヨードアセトアミド−DNPH標識蛋白質」という。この反応により標識されたヨードアセトアミド標識蛋白質が特にヨードアセトアミド標識酵素,特にヨードアセトアミド標識リソソーム酵素,特にヨードアセトアミド標識I2S,及び特にヨードアセトアミド標識rhI2Sの場合,生成物を,それぞれ,「ヨードアセトアミド−DNPH標識酵素」,「ヨードアセトアミド−DNPH標識リソソーム酵素」,「ヨードアセトアミド−DNPH標識I2S」,及び「ヨードアセトアミド−DNPH標識rhI2S」という。

0041

本発明において,2,4−ジニトロフェニルヒドラジン等のヒドラジン類化合物に代えて,ホルミルグリシン残基のカルボニル基と反応してオキシム基(本明細書において,水酸基部分がエーテル化されたものも包含する)を形成することのできる化合物,特にヒドロキシルアミン類化合物を用いて,蛋白質を標識することもできる。この反応による標識をオキシム化標識といい,生成物は「オキシム化標識蛋白質」という。この反応により標識された蛋白質が特にヨード酢酸標識蛋白質,特にヨード酢酸標識酵素,特にヨード酢酸標識酵素標識リソソーム酵素,特にヨード酢酸標識酵素標識I2S,及び特に特にヨード酢酸標識酵素標識rhI2Sの場合,それぞれ,「ヨード酢酸−オキシム化標識蛋白質」,「ヨード酢酸−オキシム化標識酵素」,「ヨード酢酸−オキシム化標識リソソーム酵素」,「ヨード酢酸−オキシム標識I2S」,及び「ヨード酢酸−オキシム化標識rhI2S」という。

0042

また,この反応により標識された蛋白質がヨードアセトアミド標識蛋白質,特にヨードアセトアミド標識酵素,特にヨードアセトアミド標識リソソーム酵素,特にヨードアセトアミド標識I2S,及び特にヨードアセトアミド標識rhI2Sの場合,生成物を,それぞれ「ヨードアセトアミド−オキシム化標識蛋白質」,「ヨードアセトアミド−オキシム化標識酵素」,「ヨードアセトアミド−オキシム化標識リソソーム酵素」,「ヨードアセトアミド−オキシム化標識I2S」,及び「ヨードアセトアミド−オキシム化標識rhI2S」という。

0043

本明細書において,オキシム基は,下記の式(5)で示され,また,ヒドロキシルアミン類化合物は,下記の式(6)で示される。

0044

0045

〔式(5)中,R1は水素原子;直鎖又は分枝鎖アルキル基ベンジル基アリール基,直鎖又は分枝鎖アルケニル基脂環式基脂環式化合物ラジカルよりなる基),及びこれらの組合せ又はその誘導体の中から選択され,該アルキル基炭素数が好ましくは1〜20個,より好ましくは1〜12個,更に好ましくは1〜6個,特に好ましくは1〜3個であり;該ベンジル基はベンゼン環上に置換基を有してよく,該置換基はニトロ基であってよく;該アルケニル基は炭素数が好ましくは2〜20個,より好ましくは2〜12個,更に好ましくは1〜6個,特に好ましくは2〜3個であり,例えばアリル基であり;該アリール基は炭素数が,好ましくは6〜10個であり;該脂環式基は炭素数が好ましくは炭素数4〜12個,より好ましくは4〜10個,更に好ましくは4〜6個である。〕

0046

0047

〔式(6)中,R1は前記定義に同じ。〕

0048

また,下記の式(7)は,オキシム化標識の一例を示したものであり,ホルミルグリシン残基のカルボニル基を,O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩で標識する反応である。

0049

0050

酸性条件下,例えばトリフルオロ酢酸水溶液中では,ハロゲン置換カルボン酸標識残基(ヨード酢酸標識残基等)は,ハロゲン置換カルボン酸アミド標識(ヨードアセトアミド標識残基等)と比較して,電荷を帯びる傾向が低く,疎水性が高い。従って,同一の蛋白質(又はその断片)について,ハロゲン置換カルボン酸標識されたものと,ハロゲン置換カルボン酸アミド標識されたものとを,それぞれ酸性条件下で逆相カラムクロマトグラフィーに付した場合,カラムから溶出されるまでの時間に差異が生じ,一般的傾向として,ハロゲン置換カルボン酸標識された蛋白質(又はその断片)の方が,溶出されるまでの時間が長くなる。

0051

例えば,蛋白質をヨード酢酸とヨードアセトアミドでそれぞれ標識し,これらをペプチド断片に分解した後に,酸性条件下で逆相カラムクロマトグラフィーに付してクロマトグラムをそれぞれ得て,両者を比較すると,ヨード酢酸又はヨードアセトアミドで標識され得るシステイン残基を含まないペプチド断片の溶出パターンは,両者で一致する。一方,ヨード酢酸又はヨードアセトアミドで標識され得るシステイン残基を含むペプチド断片の溶出パターンは,両者で異なる。従って,クロマトグラム上で,システイン残基を含むペプチド断片に由来するピークを容易に特定できる。一般的傾向として,ヨード酢酸標識されたペプチド断片が,溶出されるまでの時間がより長くなる。

0052

本発明において,蛋白質をハロゲン置換カルボン酸標識(ヨード酢酸標識等)又はハロゲン置換カルボン酸アミド標識(ヨードアセトアミド標識等)するとき(以下「標識化反応」という),いずれの場合も,蛋白質の前処理を行う。この前処理は,蛋白質を構成するペプチド鎖に含まれる全てのシステイン残基を標識するためのものであり,2段階のステップからなる。第一のステップは,蛋白質の変性剤で蛋白質の高次構造破壊するステップである。第二のステップは,還元剤でジスフルド結合を還元してシステイン残基とするステップである。これらのステップにより,蛋白質の立体構造が破壊され,且つジスフィルド結合が還元されるため,ペプチド鎖中に存在する全てのシステイン残基が標識可能な状態に露出する。第一のステップで用いることのできる蛋白質の変性剤は,蛋白質の高次構造を破壊でき且つ標識化反応を阻害することがない限り,特に限定はないが,グアニジン又はその塩酸塩が好適である。第ニのステップで用いることのできる還元剤は,ジスフィルド結合を還元でき且つ標識化反応を阻害することがない限り,特に限定はないが,好ましくはジチオスレイトール2−メルカプトエタノールであり,より好ましくはジチオスレイトールである。

0053

本発明において,ハロゲン置換カルボン酸標識(ヨード酢酸標識等)又はハロゲン置換カルボン酸アミド標識(ヨードアセトアミド標識等)した蛋白質は,標識反応後に,ゲルろ過カラムクロマトグラフィーに付して,精製することが望ましい。分析結果におけるノイズを低減する等のためである。

0054

本発明において,蛋白質をヒドラジン標識(例えばDNPH標識)又はオキシム化標識する場合,先に蛋白質をハロゲン置換カルボン酸標識(ヨード酢酸標識等),ハロゲン置換カルボン酸アミド標識(ヨードアセトアミド標識等)し,次いでヒドラジン標識又はオキシム化標識することが好ましいが,先にヒドラジン標識又はオキシム化標識し,次いでハロゲン置換カルボン酸標識,ハロゲン置換カルボン酸アミド標識することも可能である。

0055

本発明において,ハロゲン置換カルボン酸標識(ヨード酢酸標識等),ハロゲン置換カルボン酸アミド標識(ヨードアセトアミド標識等),ヒドラジン標識,オキシム化標識等された蛋白質は,蛋白質を構成するペプチド結合の特定の位置を選択的又は優先的に切断する方法を用いてペプチド断片にまで分解される。そのような方法には,蛋白質分解酵素ペプチダーゼ)を使用して蛋白質を分解する酵素法と,ペプチダーゼを使用せず臭化シアン等により蛋白質を分解する化学法がある。酵素法に使用するペプチダーゼとして,トリプシンキモトリプシンリジルエンドペプチダーゼグルタミンエンドペプチダーゼ,ぺプチジルーASPメタロエンドペプチダーゼ等が好適であるが,特にトリプシンが好適である。化学法としては,臭化シアン,2−ニトロ−5−チオシアノ安息香酸又はo−ヨードソ安息香酸を用いて蛋白質を分解する方法が好適である。

0056

上記方法により得たペプチド断片は,逆相クロマトグラフィーに付すことにより,分子種ごとに分離される。酸性条件下,例えば,トリフルオロ酢酸水溶液中では,ヨード酢酸標識残基は,ヨードアセトアミド標識残基と比較して,電荷を帯びる傾向が低く,疎水性が高い。従って,酸性条件下で逆相カラムクロマトグラフィーに付した場合,ヨード酢酸標識されたペプチド断片と,ヨードアセトアミド標識されたペプチド断片との間で,溶出されるまでの時間に差異が生じ,一般的傾向として,ヨード酢酸標識されたペプチド断片が,ヨードアセトアミド標識されたペプチド断片と比較して,溶出されるまでの時間が長くなる。従って,ヨード酢酸標識された蛋白質とヨードアセトアミド標識された蛋白質のペプチド断片を,酸性条件下で逆相カラムクロマトグラフィーにより分析し,得られたグラマグラムを比較することにより,システイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークをクラマトグラム上で容易に特定できる。何故なら,システイン残基を含んでいなかったペプチド断片に由来するピークの位置は両者で一致するが,システイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークの位置は,両者で異なるからである。

0057

更に,ヒドラジン標識又はオキシム化標識した蛋白質を上記と同様の方法で分析することにより,ホルミルグリシンを含むペプチドに由来するピークを同定することができる。何故なら,ヒドラジン標識又はオキシム化標識した蛋白質と非標識の蛋白質をそれぞれ分析し,両者のクロマトグラムを比較した場合,ホルミルグリシン残基がヒドラジン標識又はオキシム化標識されることにより,ホルミルグリシン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するピークが,標識したものと非標識のものとで異なる位置に現れるからである。

0058

従って,本発明によれば,蛋白質のハロゲン置換カルボン酸標識(ヨード酢酸標識等),ハロゲン置換カルボン酸アミド標識(ヨードアセトアミド標識等)及びヒドラジン標識(又はオキシム化標識)を組み合わせることにより,システイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片とホルミルグリシン残基を含んでいたペプチド断片とを,クロマトグラム上のピークとして,それぞれ容易に特定することができる。これら特定したピークの面積から,システイン残基を含んでいたペプチド断片とホルミルグリシン残基を含んでいたペプチド断片の比率を半定量的又は定量的に分析することもできる。

0059

ここに,これらの残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片の比率について,「半定量的」な分析とは,例えば,蛋白質の特定の1ロットについての分析値又は複数のロットについての分析値を標準値とし,標準値との比較において他のロットの蛋白質におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基をそれぞれ含むペプチド断片の比率を相対的に決定する等のように,特定の1又は複数の蛋白質についての分析値を基準としこれとの比較で分析対象ロットの蛋白質における対応する分析値の大小を相対的に評価するものをいう。一方,「定量的」な分析とは,既知量のシステイン残基とホルミルグリシン残基をそれぞれ含んでいた蛋白質を標識及び消化して得られたペプチド断片を逆相クロマトグラフィーで分析し,それぞれのペプチド断片に対応するクロマトグラム上のピークの面積と,分析対象であるロットの蛋白質からの対応するそれぞれのペプチド断片のピーク面積との比較に基づいて比率を直接的に算出するものをいう。

0060

本発明において,分析の対象となるシステイン残基とホルミルグリシン残基は,特に,蛋白質を構成するペプチド鎖中に存在する,ホルミルグリシン残基に変換し得るシステイン残基と,このシステイン残基が変換して生じたホルミルグリシン残基である。このようなシステイン残基のホルミルグリシン残基への変換は,特異性の高い酵素反応によるものであるため,ホルミルグリシン残基に変換されるシステイン残基は特定のものに限定される。例えば,硫酸エステル加水分解酵素の場合,ホルミルグリシン残基に変換されるシステイン残基は,活性中心の一部を構成するものに限定される。

0061

システイン残基がホルミルグリシンへ変換される反応において,全てのシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換されない場合,当該残基がシステイン残基のままの蛋白質とホルミルグリシン残基に変換された蛋白質とが混在することとなる。このような場合,本発明の方法を用いて当該蛋白質を分析することにより,当該残基がシステイン残基のままの蛋白質とホルミルグリシン残基に変換された蛋白質との比率を半定量的または定量的に知ることができる。

0062

蛋白質が硫酸エステル加水分解酵素の場合,これらの分析は非常に重要である。何故なら,硫酸エステル加水分解酵素は,活性中心に位置する所定のシステイン残基のホルミルグリシン残基への変換が酵素活性を発揮する上で必須だからである。本発明の方法により硫酸エステル加水分解酵素を分析することにより,システイン残基がホルミルグリシン残基へ変換した酵素,すなわち,酵素活性を有するべき酵素の比率を知ることができる。

0063

硫酸エステル加水分解酵素についてのこのような分析は,硫酸エステル加水分解酵素が組換え体技術を用いて製造したものである場合に,更に重要である。何故なら,組換え体技術を用いて製造された硫酸エステル加水分解酵素は,医療用医薬品として用いられる可能性があり,そのような場合,酵素活性を有する酵素の比率を知ることが,品質管理の観点から求められるからである。

0064

医療用医薬品として用いることのできる硫酸エステル加水分解酵素として,イズロン酸2−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ,ヘパラン−N−スルファターゼ及びN−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼがある。これらは,それぞれ,ハンター症候群,マロトー・ラミー症候群,モルキオ病A型,サンフィリッポ症候群A型及びD型の患者の酵素補充療法に使用し得る。

0065

本発明において分析対象とする蛋白質は,これを構成するペプチド鎖中にホルミルグリシン残基を有するものである限り特に限定はないが,好ましくは硫酸エステル加水分解酵素であり,より好ましくはイズロン酸2−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ,ヘパラン−N−スルファターゼ及びN−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼであり,更に好ましくはイズロン酸2−スルファターゼであり,更に好ましくは,組換え体技術を用いて製造したこれら酵素である。

0066

イズロン酸2−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ,N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ,ヘパラン−N−スルファターゼ及びN−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼにおいてホルミルグリシン残基に変換されるシステイン残基は,イズロン酸2−スルファターゼにあっては,成熟型のN末端から59番目のシステイン残基(Cys59),N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼにあっては成熟型のN末端から55番目のシステイン残基(Cys55),N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼにあっては成熟型のN末端から53番目のシステイン残基(Cys53),ヘパラン−N−スルファターゼにあっては成熟型のN末端から50番目のシステイン残基(Cys50),N−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼにあっては成熟型のN末端から55番目のシステイン残基(Cys55)である。

0067

本発明の方法で分析したシステイン残基とホルミルグリシン残基の比率に基づき,規格値を設け,組換え体技術を用いて製造した酵素の規格試験とすることもできる。

0068

以下,実施例を参照して本発明を更に詳細に説明するが,本発明が実施例に限定されることは意図しない。

0069

〔ヒトイズロン酸−2−スルファターゼのヨード酢酸標識〕
分析対象として組換え体ヒトイズロン酸−2−スルファターゼ(rhI2S)の精製品を,公知の手法(米国特許公報5798239,国際公開公報WO2012/101998)に準じて調製した。0.1mgのrhI2Sを,50μLの蛋白質溶解液(66.8gのグアニジン塩酸塩,6.1gのトリスヒドロキシメチルアミノメタン及び0.372gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを水に溶かし,1N塩酸でpH8.5に調整した後,水を加えて100mLとしたもの)に溶解させた後,4μLの還元化溶液(10mgのジチオスレイトールを50μLの蛋白質溶解液に溶かしたもの)を添加して振り混ぜ,室温で30分間静置した。次いで,4μLのブロッキング溶液(25mgのヨード酢酸を60μLの1N水酸化ナトリウムに溶かしたもの)を添加して振り混ぜ,遮光下,室温で30分間静置した。次いで,反応物をゲルろ過カラムクロマトフィーに付して,rhI2Sを含む画分を分取した。このときゲルろ過カラムクロマトフィーは,純水で平衡化させたSephadex(登録商標)G-25
superfine(カラム径5mm,カラム長150mm,GEヘルスケア)に反応物を付し,室温で流速1mL/分で水を流して,紫外吸光光度計波長215nmの吸光度をモニターしながら行った。分取したrhI2Sを含む画分を減圧乾固した。これをヨード酢酸標識rhI2Sとした。

0070

〔ヒトイズロン酸−2−スルファターゼのヨードアセトアミド標識〕
0.1mgのrhI2Sを,50μLの蛋白質溶解液(66.8gのグアニジン塩酸塩,6.1gのトリスヒドロキシメチルアミノメタン及び0.372gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを水に溶かし,1N塩酸でpH8.5に調整した後,水を加えて100mLとしたもの)に溶解させた後,4μLの還元化溶液(10mgのジチオスレイトールを50μLの蛋白質溶解液に溶かしたもの)を添加して振り混ぜ,室温で30分間静置した。次いで,次いで,4μLのブロッキング溶液(25mgのヨードアセトアミドを60μLの1N水酸化ナトリウムに溶かしたもの)を添加して振り混ぜ,遮光下,室温で30分間静置した。次いで,反応物をゲルろ過カラムクロマトフィーに付して,rhI2Sを含む画分を分取した。このときゲルろ過カラムクロマトフィーは,純水で平衡化させたSephadex(登録商標)G-25
superfine(カラム径5mm,カラム長150mm,GEヘルスケア)に反応物を付し,室温で流速1mL/分で水を流して,紫外吸光光度計で波長215nmの吸光度をモニターしながら行った。分取したrhI2Sを含む画分を減圧乾固した。これをヨードアセトアミド標識rhI2Sとした。

0071

〔DNPH標識〕
減圧乾固したヨード酢酸標識rhI2Sを,2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)溶液(1.3mgのDNPH塩酸塩(東京化成工業)を1mLの50%アセトニトリル−0.5%TFA水溶液に溶解したもの)に溶解させた後,室温で1時間静置し,次いで減圧乾固した。これをヨード酢酸−DNPH標識rhI2Sとした。

0072

〔トリプシン処理〕
上記の減圧乾固したヨード酢酸標識rhI2S,ヨードアセトアミド標識rhI2S及びヨード酢酸−DNPH標識rhI2Sを,それぞれ65μLの純水で溶解した後,5μLの1mol/L重炭酸アンモニウム水溶液を加えて振り混ぜた。次いで,10μLのトリプシン溶液(25μgのトリプシンを50mLの1mmol/L塩酸に溶かしたもの)を加えて振り混ぜ,2〜8℃で9時間静置して反応させた。トリプシン反応後,溶液を95℃で5分間加熱してトリプシンを失活させ,これをトリプシン消化物とした。

0073

〔逆相カラムクロマトグラフィーによる分析〕
上記の操作で得られたトリプシン消化物を減圧乾固した後100μLの純水に溶解してサンプル溶液とし,これを逆相クロマトグラフィーに30μL付して分析した。逆相クロマトグラフィーは,高速液体クロマトグラフ装置島津HPLCステムLC−20A)を用いて行った。当該装置に,逆相カラム(Vydac 218TP54,内径4.6mm,長さ250mm,粒径5μm,Grace Vydac社)を取り付けた。溶液Aとして0.1%トリフルオロ酢酸水溶液,溶液Bとして0.1%トリフルオロ酢酸−70%アセトニトリル水溶液をそれぞれ準備し,溶液Aと溶液Bを〔溶液A:溶液B=98:2(V/V)〕の比率で混ぜた混合液移動相として逆相カラムを平衡化させた後,サンプル溶液をそれぞれカラムに負荷してクロマトグラフィーを行った。46分間かけて移動相における溶液Bの比率を2%から60%まで直線的に上昇させ,更に,7分間かけて移動相における溶液Bの比率を99%にまで直線的に上昇させ,続いて溶液Bの比率を99%とした移動相を12分間流した。このとき,移動相の流速を0.5mL/分,カラム温度を50℃に設定し,カラム出口からの流路蛍光検出器を設置し,215nmの吸光度を記録してクロマトグラムを作成した。

0074

〔分析結果〕
ヨード酢酸標識rhI2Sとヨードアセトアミド標識rhI2Sのクロマトグラム(それぞれ,図1の上側及び下側)を比較したところ,2つのクロマトグラムで一致しないピークが複数認められた(図1で矢印で示したピーク)。これらを個別に分取し,アミノ酸配列を調べたところ,何れもシステイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来するものであることが判明した。特に,ヨードアセトアミド標識におけるピーク(1)とヨード酢酸標識におけるピーク(2)を分取し,アミノ酸配列を分析したところ,いずれもシグナル配列を除いた成熟型rhI2SにおいてN末端から59番目に位置するシステイン残基(Cys59)を含むペプチド断片(アミノ酸配列:SPNIDQLASHSLLFQNAFAQQAVCAPSR:配列番号1)に由来するものであった。理論通り,ヨード酢酸標識されたペプチド由来のピーク(2)が,ヨードアセトアミド標識されたペプチド由来のピーク(1)に比べ溶出時間が遅れて現れた。これにより,本法で得られたヨード酢酸標識化物とヨードアセトアミド標識化物のクロマトグラムを比較することにより,システイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片を同定できることが確認された。

0075

次いで,図1のピーク(2)に着目し,更に分析を行った。すなわち,ヨード酢酸標識rhI2Sとヨード酢酸−DNPH標識rhI2Sのクロマトグラム(それぞれ,図2の上側及び下側)を比較した。ヨード酢酸−DNPH標識rhI2Sのクロマトグラムでは,ヨード酢酸標識rhI2Sのクロマトグラムと同じ位置に,システイン残基(Cys59)を含むペプチド断片に由来するピーク(2)が現れたが,ヨード酢酸標識rhI2Sのクロマトグラムで現れるピーク(3)が消失していた。ピーク(3)は,DNPH非標識で現れ,DNPH標識では消失することから,ホルミルグリシン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片に由来すことが示唆された。そこで,ヨード酢酸標識rhI2Sで現れるピーク(3)に相当する画分を分取し,アミノ酸配列を分析したところ,成熟型rhI2SにおいてN末端から59番目のシステイン残基(Cys59)がホルミルグリシン残基(FGly59)に変換されたペプチド断片に由来するものであることが確認された。クロマトグラム上でのピーク面積は,ペプチド断片の量にほぼ比例することから,ヨード酢酸標識rhI2Sのクロマトグラムにおけるピーク(2)とピーク(3)の面積を比較することにより,標識されたシステイン残基(Cys59)とホルミルグリシン残基(FGly59)の比率を半定量的又は定量的に求めることができることが判明した。なお,ホルミルグリシン残基(FGly59)を含むペプチド断片に由来するピーク(3)は,ヨード酢酸標識rhI2Sとヨードアセトアミド標識rhI2Sを分析したクロマトグラム(図1上側及び下側)で同じ位置に現れる筈のものであることから,ヨードアセトアミド標識rhI2Sの分析結果(図1下側)のピーク(1)は,ヨードアセトアミド標識されたシステイン残基(Cys59)を含むペプチド断片に由来するピークと,ホルミルグリシン残基(FGly59)を含むペプチド断片に由来するピーク(すなわちピーク(3))が重なったものである。

0076

以上の結果から,分析対象である蛋白質をヨード酢酸標識,ヨードアセトアミド標識し,これらを分解してペプチド断片とし,それぞれ逆相カラムクロマトグラフィーにかけ,得られたクロマトグラムを比較することにより,システイン残基を分析対象である蛋白質において含でいたペプチド断片に由来するピークを同定できること,及び蛋白質をヨード酢酸標識,ヨード酢酸−DNPH標識し,これらを分解してペプチド断片とし,それぞれ逆相カラムクロマトグラフィーにかけ,得られたクロマトグラムを比較することにより,ホルミルグリシン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片を同定できること,更に,システイン残基を含んでいたペプチド断片とホルミルグリシン残基を含んでいたペプチド断片のピーク面積を比較することにより,分析対象である蛋白質におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基の比率を半定量的又は定量的に分析できることが判明した。

0077

ヨード酢酸標識した蛋白質に代えて,ヨードアセトアミド標識した蛋白質をDNPH標識し,ヨード酢酸標識蛋白質,ヨードアセトアミド標識蛋白質及びヨードアセトアミド−DNPH標識蛋白質を上記と同様に分析することによっても,当該蛋白質におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基の比率を半定量的又は定量的に分析できる。

0078

また,標準品を分析し,システイン残基とホルミルグリシン残基の比率を求めて規格値を設け,組換え体技術を用いて製造したrhI2Sの規格試験とすることもできる。複数のロットを分析し,その平均値を規格値とすることもできる。

0079

〔ヒトイズロン酸−2−スルファターゼの3−ヨードプロピオン酸標識〕
ヒトイズロン酸−2−スルファターゼのヨード酢酸標識において,ヨード酢酸に換えて3−ヨードプロピオン酸を用いて,rhI2Sを標識(3−ヨードプロピオン酸標識)した。また,3−ヨードプロピオン酸標識rhI2Sを上記と同様の手法によりDNPH標識して,3−ヨードプロピオン酸−DNPH標識rhI2Sを得た。次いで,3−ヨードプロピオン酸標識rhI2S,3−ヨードプロピオン酸−DNPH標識rhI2S及びヨードアセトアミド標識rhI2Sを上記と同様の手法により,それぞれ逆相カラムクロマトグラフィーにかけて分析した。その結果,ヨード酢酸に換えて3−ヨードプロピオン酸を用いて標識しても,ホルミルグリシン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片を同定できること,更に,システイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片とホルミルグリシン残基を含むペプチド断片のピーク面積を比較することにより,分析対象である蛋白質におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基の比率を半定量的又は定量的に分析できることが判明した。

0080

〔オキシム化標識〕
DNPH標識に換えて,ヨード酢酸標識rhI2SをO−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミンを用いてオキシム化標識した。オキシム化標識は,減圧乾固したヨード酢酸標識rhI2SをO−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩溶液(1.3mgのO−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(東京化成工業)を1mLの50%アセトニトリル−0.5%TFA水溶液に溶解したもの)に溶解させた後,室温で1時間静置し,次いで減圧乾固して行った。これをヨード酢酸−オキシム化標識rhI2Sとした。

実施例

0081

ヨード酢酸標識rhI2S,ヨード酢酸−オキシム化標識rhI2S及びヨードアセトアミド標識rhI2Sを上記と同様の手法により,それぞれ逆相カラムクロマトグラフィーにかけて分析した。その結果,DNPH標識に換えて,O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミンを用いてオキシム化標識をしても,ホルミルグリシン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片を同定できること,更に,システイン残基を分析対象である蛋白質において含んでいたペプチド断片とホルミルグリシン残基を含んでいたペプチド断片のピーク面積を比較することにより,分析対象である蛋白質におけるシステイン残基とホルミルグリシン残基の比率を半定量的又は定量的に分析できることが判明した。

0082

本発明によれば,スルファターゼ中に元々存在したシステイン残基がホルミルグリシン残基に変換された割合を半定量的又は定量的に知ることができるため,例えば,組換え体技術を用いて製造したスルファターゼにおいて酵素活性を有するものの割合を測定する方法を提供することができ,スルファターゼの製造において,酵素活性を高める最適な製造工程の設計や,それらより得られた製品の品質管理に利用することができる。

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