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技術 土壌・水質汚染の改善、温暖化ガス発生抑制、並びに植物の機能性を向上させる微生物資材、及び発酵産物の製造方法

出願人 日環科学株式会社国立大学法人千葉大学株式会社三六九京葉プラントエンジニアリング株式会社
発明者 宮本浩邦児玉浩明宮本久西内巧石川一人小川和男井藤俊行上平拓也大島健志朗須田亙服部正平
出願日 2012年1月6日 (8年1ヶ月経過) 出願番号 2012-001621
公開日 2013年7月22日 (6年7ヶ月経過) 公開番号 2013-141419
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理
主要キーワード 軽減能 引き網 増加度合い 有機物分解活性 窒素循環 発酵資材 食糧問題 一定水量
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

環境に優しく作物品質を向上させる機能性微生物資材、及び発酵産物の製造方法を提供する。

解決手段

本発明は、植物性原料動物性原料とを含む発酵原料を、複数の生物種好熱性微生物を含む微生物群を用いて発酵することにより得られ、土壌水質汚染の改善、並びに温暖化ガス発生抑制しながら、植物の機能性向上、特に生体防御関連遺伝子耐高温障害遺伝子発現抗酸化成分の増加に寄与する微生物資材、及び発酵産物の製造方法に関する発明である。環境修復機能や植物に対するエリシター機能を有する微生物群を用いて、遺伝子組み換えによらない形で、植物の品質強化を進める。さらに、自然環境負荷を通常の生産活動の中で保全修復していく。

概要

背景

近年、環境問題世界規模で深刻化しており、例えば環境面から農業を捉えると化学肥料未熟堆肥農地施用された後、地下水浸透する硝酸イオンによる汚染土壌由来温暖化ガスである一酸化二窒素の発生が問題視されている。地球温暖化の影響は、作物栽培をする上では高温障害の原因となっており、病気の発生を誘発する環境要因ともなっている。さらに、世界的な食糧問題背景として、作物を効率的に生産する技術が求められている中で、化学肥料や農薬を用いた効率的な運用は不可欠な状況となっているが、これらの資材は上記の環境破壊要因となっている。一方で、環境と健康に優しい農業生産技術が求められており、資材や施設における工夫や浄化技術などのさまざまな技術開発が進められている(特許文献1〜3参照)。特許文献1は、糖発酵有機酸水溶液マグネシウム又はカルシウムと場合によって尿素共存させ前記課題を解決した葉面散布剤に関するものである。この特許文献1では、硝酸軽減能に関しては確認されているが、そのメカニズムも不明であり、その他の環境並びに植物の機能性に与える影響を伴わない。特許文献2は、UV光源波長域280〜380nmで、かつ波長312nm付近ピークを有することを特徴とするものである。この特許文献2は、人工光型の植物工場においてのみ適用可能な最適な電照コントロールに関する知見であり、またその他の植物の機能性に与える影響を伴わない。特許文献3は、アルコール類を利用した硝酸態窒素並びに揮発性有機化合物低減方法に関するものである。この特許文献3は、土壌からの硝酸や揮発性有機化合物の低減技術に関わるものであり、アルコールなどを用いる為、農業現場に適用できるものではない。

また、劣悪な環境条件下でも植物が対処できる分子機序も明らかになっているが(非特許文献1〜5参照)、そのメカニズムを活用した技術は遺伝子組み換え技術のような社会受け入れられにくい技術(非特許文献6〜8)が見受けられる。非特許文献1〜5は、耐病性耐高温障害性に関わるHSP関与に関する知見であり、本発明のように、植物体への総体的な影響評価などについては認められていない。また、非特許文献6〜8は、遺伝子組み換え技術に関する知見であり、本発明のように、遺伝子組み換えを伴うことなく、硝酸軽減、抗酸化物質の増量、生体防御機能、耐高温障害などの多面的な機能を有する技術とは言えない。

一方で、発明者等は、Bacillus brevisやBacillus stearothermophilus、Thermopholic
actinomycetesや、それらの近縁の種等の複数の生物種好熱性微生物を含む微生物群を用いた発酵資材の開発を行ってきた(特許文献4〜7参照)。

概要

環境に優しく作物の品質を向上させる機能性微生物資材、及び発酵産物の製造方法を提供する。 本発明は、植物性原料動物性原料とを含む発酵原料を、複数の生物種の好熱性微生物を含む微生物群を用いて発酵することにより得られ、土壌・水質汚染の改善、並びに温暖化ガス発生抑制しながら、植物の機能性向上、特に生体防御関連遺伝子や耐高温障害遺伝子発現抗酸化成分の増加に寄与する微生物資材、及び発酵産物の製造方法に関する発明である。環境修復機能や植物に対するエリシター機能を有する微生物群を用いて、遺伝子組み換えによらない形で、植物の品質強化を進める。さらに、自然環境負荷を通常の生産活動の中で保全修復していく。

目的

本発明は、上記の課題を解決する機能性微生物資材を提供することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

土壌あるいは水環境、植物体中の硝酸濃度を減少させ、地下水汚染あるいは排水負荷を軽減する微生物資材。

請求項3

植物の側根誘導、並びに硝酸トランスポーター発現活性を促進させる微生物資材。

請求項4

土壌由来温暖化ガス一酸化二窒素の産生を軽減し、脱窒促進するとともに、窒素固定させることによって植物の生育に寄与する微生物資材。

請求項5

植物中のグルタミングルタミン酸アルギニンの濃度を増加させ、乾燥時にはプロリンの濃度を増加させる微生物資材。

請求項6

植物中において、高温障害乾燥耐性抗酸化活性植物病原性微生物害虫に対する抵抗性機能成分発現を誘導する微生物資材。

請求項7

請求項1乃至6記載の機能を有し、Bacillus 属、Lysinibacillus属、Paenibacillus属で発酵させることを特徴とする発酵産物の製造方法。

請求項8

請求項1乃至6記載の機能を有し、BP-1051で発酵させることを特徴とする発酵産物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、植物性原料動物性原料とを含む発酵原料を、複数の生物種好熱性微生物を含む微生物群を用いて発酵することにより得られ、土壌水質汚染の改善、並びに温暖化ガス発生抑制しながら、植物の機能性向上、特に生体防御関連遺伝子耐高温障害遺伝子発現抗酸化成分の増加に寄与する微生物資材、及び発酵産物の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、環境問題世界規模で深刻化しており、例えば環境面から農業を捉えると化学肥料未熟堆肥農地施用された後、地下水浸透する硝酸イオンによる汚染土壌由来の温暖化ガスである一酸化二窒素の発生が問題視されている。地球温暖化の影響は、作物栽培をする上では高温障害の原因となっており、病気の発生を誘発する環境要因ともなっている。さらに、世界的な食糧問題背景として、作物を効率的に生産する技術が求められている中で、化学肥料や農薬を用いた効率的な運用は不可欠な状況となっているが、これらの資材は上記の環境破壊要因となっている。一方で、環境と健康に優しい農業生産技術が求められており、資材や施設における工夫や浄化技術などのさまざまな技術開発が進められている(特許文献1〜3参照)。特許文献1は、糖発酵有機酸水溶液マグネシウム又はカルシウムと場合によって尿素共存させ前記課題を解決した葉面散布剤に関するものである。この特許文献1では、硝酸軽減能に関しては確認されているが、そのメカニズムも不明であり、その他の環境並びに植物の機能性に与える影響を伴わない。特許文献2は、UV光源波長域280〜380nmで、かつ波長312nm付近ピークを有することを特徴とするものである。この特許文献2は、人工光型の植物工場においてのみ適用可能な最適な電照コントロールに関する知見であり、またその他の植物の機能性に与える影響を伴わない。特許文献3は、アルコール類を利用した硝酸態窒素並びに揮発性有機化合物低減方法に関するものである。この特許文献3は、土壌からの硝酸や揮発性有機化合物の低減技術に関わるものであり、アルコールなどを用いる為、農業現場に適用できるものではない。

0003

また、劣悪な環境条件下でも植物が対処できる分子機序も明らかになっているが(非特許文献1〜5参照)、そのメカニズムを活用した技術は遺伝子組み換え技術のような社会受け入れられにくい技術(非特許文献6〜8)が見受けられる。非特許文献1〜5は、耐病性、耐高温障害性に関わるHSP関与に関する知見であり、本発明のように、植物体への総体的な影響評価などについては認められていない。また、非特許文献6〜8は、遺伝子組み換え技術に関する知見であり、本発明のように、遺伝子組み換えを伴うことなく、硝酸軽減、抗酸化物質の増量、生体防御機能、耐高温障害などの多面的な機能を有する技術とは言えない。

0004

一方で、発明者等は、Bacillus brevisやBacillus stearothermophilus、Thermopholic
actinomycetesや、それらの近縁の種等の複数の生物種の好熱性微生物を含む微生物群を用いた発酵資材の開発を行ってきた(特許文献4〜7参照)。

0005

特開2006−036684号公報
特開2008−086272号公報
特開2002−370085号公報
特許第3146305号公報
特許第3314302号公報
特許第3385402号公報
国際公開WO2011/099514

先行技術

0006

Jarosz1DFand Susan Lindquist1 S. (2010) Hsp90 and Environmental StressTransform the Adaptive Value of Natural Genetic Variation. Science 330: 1820−1824.
Yule Liu et al. (2004) Molecular Chaperone Hsp90Associates with Resistance Protein N and Its Signaling Proteins SGT1 and Rar1to Modulate an Innate Immune Response in Plants. J.Biol.Chem. 279: 2101−2108.
Jae-HeungK et al. (2000) Upregulation of an ArabidopsisRING-H2 gene, XERICO,confersdrought tolerance through increased abscisic acidbiosynthesis. The PlantJournal 47: 343−355.
SnymanM and Cronje MJ. (2008) Modulation of heat shock factors accompanies salicylicacid-mediated potentiation of Hsp70 in tomato seedlings. Journal ofExperimental Botany 59: 2125−2132.
WilliamB. Gurley (2000) HSP101: A KeyComponent for the Acquisition of Thermotolerance in Plants.The PlantCell, Vol. 12, 457−460.
Enikeev AG et al. (2010)Tobacco cell cultures transformed by the hsp 101 gene exhibit an increasedresistance to potassium fluoride Dokl Biol Sci 430: 29−30.
Montero-Barrientos M et al. (2010) Transgenic expression of theTrichoderma harzianum hsp70 gene increases Arabidopsis resistance to heat andotherabiotic stresses.J Plant Physiol 167: 659−65.
Prieto-DapenaP et al. (2006) Improved resistance to controlled deterioration in transgenicseeds. Plant Physiol 142: 1102−12.

発明が解決しようとする課題

0007

これまでの農業では化学肥料が使用過多になり、結果として地下水に浸透した硝酸汚染や農地に増殖したカビ由来する温暖化ガス一酸化二窒素の発生という問題があった。また、地球温暖化に伴い、作物の高温障害や病気の誘発などが問題となっていた。したがって、環境に優しく作物の品質を向上させる技術が必要であった。

0008

本発明は、上記の課題を解決する機能性微生物資材を提供することにある。土壌や水環境は常に変動する要因があるため、このような変動要因に対しては、単一の菌種ではなく、複合的な微生物群によって多機能的に効能を示す必要がある。例えば、作物を生育させる土壌を例にとると、降雨の時期では、土壌の含水率が多く、雨の少ない時期には、土壌が乾燥気味となる。これらの変動に応じて、安定的に植物の機能を向上させるように調節するように複合的に対応させる。

課題を解決するための手段

0009

好熱菌発酵産物が土壌、地下水汚染並びに温暖化ガス産生に与える影響
1. 土壌中の硝酸イオン濃度を軽減させる
2. 当該反応はクロラムフェニコールなどの抗生物質感受性の高い微生物〈並びにその酵素〉によって抑制される。
3. 土壌からの脱窒反応を促進する。特に、N2Oの産生を抑制し、N2の産生を促進する。N2OガスはCO2の約300倍の温暖化係数を有するため、その発生抑制は重要である。この反応は、カビ由来のP450norによって促進されると考えられているが、本発明発酵産物(その含有微生物NP-1株)は、カビの増殖を抑制する機能を有し、さらにN2ガスを優先的に脱窒する遺伝子群が機能する。
4. 以上の反応によって、結果として土壌から地下水に浸透する硝酸による水質汚染に関しても軽減させる。
5.耐塩性耐アルカリ性バクテリア(Oceanobacillus属、Virgibacillus属)によって、塩濃度が高い(10%前後)汚染水水質浄化を可能とする。

0010

II好熱菌発酵産物が植物の機能性に与える影響
1. 好熱菌の作用によって、根の硝酸トランスポーター活性化し、効率良く土壌中の硝酸を利用する。
2.根毛発達させ、オーキシンの活性化などによって、成長促進する
3. 以上の反応によって、土壌由来の窒素を効率良く利用して、少ない窒素量で増産が可能となる。
4. HSP群による酵素修復機能によって、耐熱性植物を育成する。
5.グルタチオン転移酵素ビタミンA、C、Eなどの増加によって抗酸化物豊富な作物となる
6.LTPやprotease
inhibitorなどの活性化による植物病原菌、並びに植物害虫の発生を抑制する。

0011

本発明の機能性資材は、発酵原料が約70重量%〜約80重量%の植物性原料と約30重量%〜約20重量%の動物性原料とから構成されるものであってよい。

0012

また、本発明の機能性資材は、受託番号: NITEBP−1051の微生物を含む微生物群を用いて発酵することにより得られるものであり得る。受託番号ATCCPTA−1773である微生物などによって、その機能性の安定化を図れる。

0013

さらに、また、本発明の機能性資材に含まれる微生物群は、108個/g〜約109個/gであり得る。

0014

また、本発明の機能性資材に用いられる植物性原料は、米糠、麦、すふま、大豆粕、おから、酒粕焼酎粕茶粕コーヒー粕果実搾り粕、及び野菜搾り粕からなる群より選択される1又は複数であり得る。また、本発明に用いられる動物性原料は、甲殻類魚類、甲殻類加工残渣、及び魚類加工残渣からなる群より選択される1又は複数であり得る。

0015

また、本発明の別の機能性資材は、上述の機能性資材を約1重量%〜約5重量%含有する機能性資材である。

0016

さらに、本発明は、植物性原料と動物性原料とを撹拌して発酵原料を得る撹拌工程、及び、撹拌工程で得られた発酵原料を、受託番号がATCCPTA−1773である微生物群を用いて発酵する発酵工程を含む、機能性資材を製造する方法である。

発明の効果

0017

本発明によって、図1に示したように、本発明資材中の有効微生物群の安定性の高い酵素群が、土壌中の硝酸イオンを地下に浸透させることなく窒素ガスとして脱窒し、その刺激などを利用することによって、発根誘導、並びに根における硝酸トランスポーターを活性化する。これによって、少ない栄養成分でも植物が生長し、植物体中の硝酸濃度が少なくなり、同時に抗酸化活性の高い成分が増量する。次に、本資材中の有効微生物自体、並びにそれらによって活性化された土壌中の有効微生物群が、土壌、並びに植物に共生した形で、空気中の窒素ガスを固定し、結果として植物体内グルタミン酸アルギニン濃度などが増加する。さらに、本資材中の安定性の高い微生物の細胞壁成分などの影響で、植物自体の生体防御関連遺伝子やストレス耐性遺伝子群の発減量が増す。同時に、本資材中の微生物によって分泌される環状リポペプチド耐熱性酵素などの影響で病原性の高い糸状菌の増加が抑制され、総体的に植物の品質や機能が向上する。このような作用機序の結果として、1)土壌、地下水汚染、水質汚染、並びに温暖化ガス産生に与える影響として、土壌、水質における硝酸汚染と大気中放出される温暖化N2Oガスの発生抑制が可能となる。また、工業排水においては、耐塩性・耐アルカリ性のバクテリアの性質などを利用することによって、これまで浄化が難しかった高塩濃度高アルカリ性環境の排水処理が可能となる。2)好熱菌発酵産物が植物の機能性に与える影響としては、低硝酸化機能と高濃度の抗酸化物質を増産することが可能である。同時に、作物中の酵素修復機能を高めるHSPなどによって高温障害を回避し、LTPやprotease inhibitorなどの効果によって害虫に対して忌避性を高めるなど環境ストレスに対する生体防御系が活性化させることができる。

図面の簡単な説明

0018

本発明の機能性微生物資材による土壌、植物、並びに環境に与える影響を示した模式図である。
本発明の機能性資材を安定化した際の複合微生物系の細菌門を示した円グラフである。
本発明の機能性資材の添加量依存的な植物体内の硝酸低減効果を示すグラフである。モデル植物であるシロイナズナ体内の硝酸濃度の変化を示している。
本発明の機能性資材の添加量依存的な土壌中の硝酸低減効果を示すグラフであり、土壌中の硝酸濃度の変化を示している。
本発明の機能性資材によって栽培したコマツナの根の長さを示した実験結果のグラフである。
本発明の機能性資材によって栽培したシロイナズナの根における硝酸トランスポーターの発現量を示した実験結果のグラフである。
本発明の機能性資材によって、アセチレンブロック法を実施した際の土壌中の硝酸濃度の変化を示す実験結果のグラフである。
本発明の機能性資材によって、アセチレンブロック法を実施した際の土壌から産生してN2Oとして蓄積した濃度を示す実験結果のグラフである。
本発明の機能性資材によって、シロイナズナの体内に蓄積したアンモニウムイオンの濃度を示す実験結果のグラフである。
本発明の機能性資材によって、シロイナズナの体内に蓄積したグルタミン酸とグルタミンの濃度を示す実験結果のグラフである。
本発明の機能性資材によって、シロイナズナの体内に蓄積したプロリンの濃度を示す実験結果のグラフである。

0019

次に、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。

0020

本発明は、植物性原料と動物性原料とを含む発酵原料を、複数の生物種の好熱性微生物を含む微生物群を用いて発酵することにより得られ、土壌・水質汚染の改善、並びに温暖化ガス発生抑制しながら、植物の機能性向上に寄与する機能を有する機能性微生物資材を提供する。

0021

本発明の機能性資材に含まれる微生物群、並びにその代謝産物は、該機能性資材を施肥した土壌の微生物相に作用し、土壌における硝酸還元反応を調節するとともに、脱窒反応を調節することで、土壌、地下水、植物、大気への窒素循環調節をすると考えられる。また、土壌微生物相の変化によって、植物の遺伝子発現パターンが変化して、heat shock protein(HSP)や抗酸化成分などを誘導すると考えられる。

0022

本発明で用いられる微生物群は、複数の生物種の好熱性微生物を含む。具体的な生物種として、Bacillus brevis、Bacillus stearothermophilus、Bacillus thermoamylovorans、Thermopholic actinomycetesや、それらの近縁の種等が挙げられる。なかでも、本発明で用いられる微生物群は、受託番号:ATCCPTA-1773である微生物及びBP-1051である微生物を含むことが好ましい。

0023

受託番号:ATCCPTA−1773の微生物は、Bacillus brevisの近縁の種である好熱性細菌C-1、Bacillus brevisの近縁の種である好熱性細菌C-3、及びBacillus stearothermophilusの近縁の種である好熱性細菌CH-4、好熱性放線菌MH-1、Bacillus coagulansの近縁の種である好熱性又は耐熱性乳酸菌LM-1、及びBacillus coagulansの近縁の種である好熱性又は耐熱性乳酸菌LM-2を含む混合菌である。

0024

本発明の機能性資材は、約108個/g〜約109個/gの微生物群を含むことが好ましい。また、本発明の機能性資材は、約108個/g〜約109個/gの受託番号:ATCCPTA-1773の微生物、及び約106個/g〜約107個/gの受託番号:NITEBP-863の微生物を含むことがさらに好ましい。

0025

本発明で用いられる微生物資材は、10重量%〜1重量%の受託番号:NITEBP-1051の微生物を含むことが好ましい。当該細菌群としては、好熱性の微生物のBacillus属、Lysinibacillus属、Virgibacillus属、Anoxybacillus属、 Paenibacillus属が挙げられる。さらに、 Deinococcus-Thermus門のMeiothermus属、Vulcanithermus属、Thermus属、Oceanobacillus属などを含むThermophiles inoculumMIROKU M2Kと共存させることによって微生物資材が安定化する。これらの微生物群Thermophiles inoculum MIROKU M2Kは、複合菌、並びに難培養性のため製品評価技術基盤機構において受託拒否されたため、株式会社三六九(大分県築市)において保存されている。尚、このような共存可能な微生物群としては、ATCCに受託している受託番号PTA-1773も活用することができる。

0026

本発明で用いられる植物性原料とは、野菜や穀物等の植物に由来する原料をいい、食品残渣等の安価な原料を用いることができる。具体的には、米糠、麦糠、すふま、大豆粕、おから、酒粕、焼酎粕、茶粕、コーヒー粕、果実搾り粕、及び野菜搾り粕等が挙げられる。

0027

本発明で用いられる動物性原料とは、魚類や甲殻類等の動物に由来する原料をいう。具体的には、甲殻類、魚類やそれらの加工残渣等が挙げられる。

0028

甲殻類としては、エビカニヤドカリ等と称される生物を用いることができる。また、魚類としては、底引き網引き上げられる底魚や、漁で得られたが市場では販売されない未利用等を用いることができる。さらに、食品用に加工された甲殻類や魚類の残渣を用いることもできる。

0029

本発明で用いられる発酵原料は、約50重量%〜約90重量%の植物性原料と約50重量%〜約10重量%の動物性原料とから構成されることが好ましく、約70重量%〜約80重量%の植物性原料と約30重量%〜約20重量%の動物性原料とから構成されることがさらに好ましい。

0030

本発明の機能性資材は、土壌・水質汚染の改善、並びに温暖化ガス発生を抑制しながら、植物の機能性を向上できる。

0031

さらに、本発明は、上述の機能性微生物資材を製造する方法を提供する。該機能性資材を製造する方法は、(a)植物性原料と動物性原料とを撹拌して発酵原料を得る撹拌工程、及び(b)撹拌工程で得られた発酵原料を、受託番号がNITEBP-1051である微生物群を用いて発酵する発酵工程、を含む。

0032

本発明の(a)撹拌工程は、上述の植物性原料と上述の動物性原料を撹拌して混合し、各原料が略均一に分散した発酵原料を得る工程である。発酵原料の分散が十分になされていない場合は、その後の発酵工程での発酵が不完全になる可能性がある。また撹拌の前に植物性原料又は動物性原料を粉砕することが好ましい。原料を粉砕することで撹拌が容易になるためである。

0033

本発明の(b)発酵工程は、(a)撹拌工程で得られた発酵原料を発酵する工程である。発酵には、受託番号:NITEBP-1051の微生物群が用いられる。発酵の温度は、約20℃〜約90℃が好ましく、約30℃〜約50℃がさらに好ましい。また、発酵の時間は約5時間〜約24時間が好ましく、約10時間〜約14時間がさらに好ましい。

0034

また、(b)発酵工程は、少なくとも二つ以上の複数の発酵槽で行うとよい。複数の発酵槽を用いた場合には、各段階で発酵温度を変えることが好ましい。各段階では、それぞれの温度に嗜好性を持った微生物による発酵が行われるため、複合的な発酵反応により生産された機能性微生物資材を得ることができるためである。

0035

0036

表1は、NITEに国際寄託したBP-1051の近縁菌種とその配列登録を示している。

0037

0038

表2は、属名リストを示している。

0039

さらに、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0040

1.機能性微生物資材の生産
実施例1及び実施例2の機能性微生物資材を以下に示す方法で作製した。

0041

(実施例1)
発酵原料には、植物性原料として、約50重量%の大麦糠、約20重量%の、約10重量%の米糠を含み、さらに動物性原料として、約20重量%の、底引き網漁で得られたエビ・カニ等の甲殻類や底魚等を含む海産物を発酵して得られた海産物発酵物を用いた。該海産物発酵物は約108個/g〜約109個/gの微生物群を含み、該微生物群は約70重量%〜約90重量%の受託番号:PTA-1773の微生物及び約30重量%〜約10重量%の受託番号:NITEBP-1051の微生物から構成された。

0042

上記の植物性原料及び動物性原料を混合して十分に撹拌し、40℃で14時間の1段階で発酵し、乾燥し、本発明の機能性養殖飼料を得た。該機能性資材は約108個/g〜約109個/gの微生物群を含み、該微生物群は約90重量%〜約99重量%の受託番号:PTA-1773の微生物及び約10重量%〜約1重量%の受託番号:NITEBP-1051の微生物から構成された。

0043

(実施例2)
発酵原料には、植物性原料として、約20重量%の廃菌床を含み、さらに動物性原料として、約30重量%の、底引き網漁で得られたエビ・カニ等の甲殻類や底魚等を含む海産物を用いた。該廃菌床は約108個/g〜約109個/gの微生物群を含み、該微生物群は約70重量%〜約90重量%の受託番号:PTA-1773の微生物及び約30重量%〜約10重量%の受託番号:NITEBP-1051の微生物から構成された。

0044

上記の植物性原料及び動物性原料を混合して十分に撹拌し、2段階の発酵を行った。1段階目の発酵の条件は、50℃〜60℃で4〜5時間、2段階目の発酵の条件は、30℃〜40℃、6〜8時間とした。2段階目の発酵後に、発酵された発酵原料を乾燥し、本発明の機能性微生物資材を得た。該機能性微生物資材は約108個/g〜約109個/gの微生物群を含み、該微生物群は約70重量%〜約90重量%の受託番号:PTA-1773の微生物及び約30重量%〜約10重量%の受託番号:NITEBP-1051の微生物から構成された。

0045

2.高塩濃度・高アルカリ性の土壌、並びに水環境における有機物分解活性
10%の塩分濃度におけるハートインフュージョン培地などにおいて、BP-1051、並びにThermophiles inoculumMIROKU M2Kを培養し、有機物分解能を有する菌種を選別した。

0046

BP-1051に含有されるIP-9は、標準菌株Virgibacillus pantothenticusの近縁種であるが、Virgibacillus pantothenticusは、塩分抵抗性を有する成分ectoineを産生する。尚、ectoineは保湿成分として知られている。実際、IP−9は塩分濃度10%以上においても有機物分解能を有していた。また、複合菌相に含有されるOceanobacillus profundus の近縁種と共培養することが可能である。当該菌種も高塩濃度、高アルカリ濃度で有機物分解能があると知られているが、実際、Thermophiles inoculumMIROKU M2Kに含有する菌の一つとして、Oceanobacillus profundus の近縁種が見出された。但し、これらの菌種は単離菌株として持続的な培養は現時点でできなかった。いずれにしても、これらの菌種の機能は、高塩濃度、並びに強アルカリ濃度の土壌、並びに水環境の浄化に寄与すると言える。

0047

3.土壌、植物体などに対する硝酸低減化の評価
モデル植物として、シロイナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いて、肥料培土としてクレハ培土(表土5cm)において実施した。要するに、4℃で春化処理を一晩実施した後、恒温室(23℃)で、照度10,000ルクス、24時間明期の条件下で21日間、100mlの水分を1日置きに添加して栽培を実施した。

0048

植物における硝酸低減効果のグラフ(図3)。土壌における硝酸低減化のグラフ(図4)。図3、並びに図4に示したように、本発明資材の添加濃度依存的に、植物体中、並びに土壌中の硝酸濃度は低減化することが確認された。これらの硝酸は、図5並びに6で示したように、地下に浸透するのではなく、脱窒することによって、汚染させないと言えた。このような傾向は水圏についても確認することができ、排水処理時の水中の硝酸イオン、アンモニウムイオン、全窒素の濃度も軽減する効果が確認された。

0049

6.側根誘導、並びに硝酸トランスポーターの発現
コマツナは、黒土赤土比率が8対2にした上で300gに調整し、200mlの水を添加した後、アルミ箔で上部を覆い、冷暗所で1週間静置した。その後、自然光の入る室内に移し、播種した後に、水を100ml添加した。以降、水は2日おきに添加した。また、モデル植物であるシロイナズナについては、肥料培土としてクレハ培土において実施した。前述のように、4℃で春化処理を一晩実施した後、恒温室(23℃)で、照度10,000ルクス、24時間明期の条件下で21日間、水分を切らさないように一定量添加して栽培した。

0050

図5に示したように、コマツナを用いた実験で、根の発根が20%以上アップした。このような傾向は、葉菜類根菜類果菜類果樹類のいずれにおいても確認された。

0051

次にモデル植物として、シロイナズナを用いて、肥料培土としてクレハ培土(表土3cm未満)において実施した。要するに、4℃で春化処理を48時間実施した後、恒温室(23℃)で、照度10,000ルクス、24時間明期の条件下で21日間、一定水量を保持しながら栽培を実施した。

0052

0053

0054

表3は、シロイナズナを深度5cmの土壌で栽培した場合に、本発明の機能性資材によって高発現する遺伝子群を示している。表4は、シロイナズナを深度3cm未満の土壌で栽培した場合に、本発明の機能性資材によって高発現する遺伝子群を示している。

0055

根茎部のmRNAを抽出し、RT-PCR解析した結果、硝酸トランスポーター群の一つであるNRT2.1の発現量が、2倍以上の増加傾向が確認された(図6)。また、NRT2.6についても増加傾向が確認された。さらに、表3に記載されたように、オーキシンに関連する遺伝子群の発現量が有意に増加すると言えた。さらに、表4に記載されたように、nodulin
like proteinが発現されることも重要であると考えられた。近年、nodulin は、菌体外成分の一つであるflagellinによって、根の形成に寄与していることが示唆されている(Planta 234: 459−476, 2011)。

0056

このように、発根促進誘導とともに、根毛部の硝酸トランスポーターとオーキシン関連遺伝子群などの発現増強効果がある。また、表3に示したように、Phototropic-responsive NPH3 family proteinといった光屈性を調節する遺伝子も強発現することから光応答性が増すと想定された。このような複合的な要因ため、少ない肥料成分でも効率的に土壌中の栄養成分の吸収することができ、植物の生長促進が可能となると考えられた。植物の生長促進効果については、これらの遺伝子の機能のみならず、Thermophiles inoculumMIROKU M2Kに含まれる細菌群のうち、難培養性のBacillus graminisの近縁種が含まれている。Bacillus graminisは、植物と共生する微生物エンドファイトであるため、当該菌種も成長促進に寄与している可能性も想定される。

0057

3.温暖化ガス一酸化二窒素の発生抑制能の評価
モデル植物として、シロイナズナを用いて、肥料培土としてクレハ培土(表土5cm)において実施した。要するに、4℃で春化処理を一晩実施した後、恒温室(23℃)で、照度10,000ルクス、24時間明期の条件下で21日間、100mlの水分を1日置きに添加して栽培を実施した。

0058

図6に示したように、アセチレン雰囲気下においても、本発明資材を添加した土壌では、土壌中の硝酸イオン濃度は激減するが、非添加土壌では、減少しにくかった。アセチレンは、N2OからN2への反応を阻害するため、その阻害反応を利用して、N2Oをガスクロマトグラフィーで検出することが可能である。したがって、N2Oを発生させる土壌では、アセチレンを混入していない雰囲気下でも、N2Oを検出することになるが、N2を発生させる土壌では、アセチレンを混入した雰囲気下においてのみ、N2Oを検出することができる。図7に示したように、本発明資材を添加した土壌では、アセチレンブロックされない土壌条件下でN2Oを検出できなかった。また、アセチレンブロックされた土壌では、N2Oを検出できたことから、N2を優先的に放出する特性をもっているということが判明した。このことから、土壌中の硝酸イオンはN2ガスとして脱窒していると言えた。

0059

これらの反応を促進する遺伝子群の探索のため、文献として、Throback IN et al. (2004) ReassessingPCRprimers targeting nirS, nirK and nosZ genes for community surveys of denitrifying bacteria with DGGE. FEMS Microbiol.
Ecol. 49:401−417に記載されたプライマー配列などを参考としてPCR検出した。NirKのプライマーは、forward primerとして、5'-GGCGGCGCGCCGCCCGCCCCGCCCCCGTCGCCCGCCTCGATCAGATTGTGGTT-3'、reverse
primerとして、5'-ATCATGGTCCTGCCGCG-3'を活用した。また、NirSのプライマーは、forward primerとして、5'-GGCGGCGCGCCGCCCGCCCCGCCCCCGTCGCCCGACTTCGGATGCGTCTTGA-3'、reverse primerとして、5'-GTCAACGTCAAGGAAACCGG-3'を活用した。さらに、NosZのプライマーは、forward primerとして、5’-TGGGGNGAYNTBCAYCA-3’、reverse primerとしては
5’-GARCARAAGTTIGTRCARTA-3’などを活用した。参考文献としては、Scala DJ and Kerkhof LJ(1998) Nitrous oxide reductase (nosZ) gene-specific PCR primers for detection of denitrifiers and three nosZ genes from marine sediments.FEMS Microbiology Letters 162:61-68 、並びにJones, C.M., Welsh, A., Throback, I.N., Dorsch, P.,
Bakken L.R., Hallin, S. (2011) Phenotypic and genotypic heterogeneity among
closely related soil-borne N2- and N2O-producing Bacillus isolates harboring the nosZ gene. FEMS Microbiol. Ecol. 76: 541-552を活用した。PCRの結果、Bradyhizobium属、Herbaspirillum属、Mesorhizobium属由来の脱窒酵素遺伝子配列と近縁の遺伝子群などが働いている可能性があった。

0060

0061

表5は、本発明の機能性資材に含まれている脱窒系遺伝子群と、標準菌株における脱窒遺伝子群との相同性を示している。

0062

4.窒素固定に関する評価
モデル植物として、シロイナズナを用いて、肥料培土としてクレハ培土(表土5cm)において実施した。要するに、4℃で春化処理を一晩実施した後、恒温室(23℃)で、照度10,000ルクス、24時間明期の条件下で21日間、100mlの水分を1日置きに添加して栽培を実施した。培土の乾燥化(含水率の低下)は、水分の添加期間を数日伸ばして調整した。

0063

図8に示したように、シロイナズナの体内におけるアンモニウムイオン濃度は、増える傾向があった。植物体中の硝酸濃度は、極めて低く、かつ硝酸還元酵素の活性は低いことから、アンモニウムイオンのソースは、他の要因であり、微生物由来であることが期待された。尚、微生物による窒素固定は、ニトロゲナーゼ複合体によって触媒されることが知られており、その複合体の因子としては、ジニトロゲナーゼとジニトロゲナーゼレダクターゼが含まれている。さらに、フェレドキシンフラドキシン等の電子供与体によって、ジニトロゲナーゼレダクターゼが還元され、アンモニウムイオンが形成される。

0064

そこで、ジニトロゲナーゼレダクターゼの遺伝子であるnifHを増幅することが可能なプライマーを用いて、原因を探索した。nifHのプライマーとしては、Widmer F, ShafferBT, Porteous LA and Seidler RJ(1999) Analysis of nifH Gene Pool Complexity in Soil and Litter at a Douglas Fir Forest Site in the Oregon Cascade Mountain Range.Appl Environ Microbiol 65: 374−380、並びに Poly, F.,
Monrozier, L.J., Bally, R. (2001) Improvement in the RFLP procedure for
studying the diversity of nifH genes in communities of nitrogen fixers in soil.
Res. Microbiol. 152: 95-103などを参考とし、forward primerとして、5’-
TGCGACCCGAAAGCCGACTC-3’、reverse primerとして、5’- ATGGCCATCATCTCACCGGA -3’などを用いてチェックすることとした。

0065

本発明資材中のバクテリアは、電子供与体となるコハク酸を含む無窒素培地において、増殖可能な菌種が単離された。その結果、NITEBP-1051に含まれているIP-23、並びにIP-60,75に近縁のLysinibacillus属、並びにPeanibacillus属の菌種が含まれていた。さらに、表6・7に示したように、16SrDNAの配列をBLASTの解析結果から判断し、Bacillus pumilus とBacillus safensisの近縁種のBacillus sp. 36W株、及びBrevibacillus choshinensis とB.brevisの近縁種のBrevibacillus sp. 123株が含まれており、後者については、上述したプライマーでチェック可能であったが、このプライマーではチェックできないものも含まれていた。いずれについても完全に塩基配列が一致しないため、新規の菌種、あるいは亜種といえた。また、複合菌群形式として相乗的に窒素固定能を発揮していることが示唆された。尚、NP-1051にはBacillus badiusの近縁種が含まれているが、Bacillus badiusには、窒素代謝に関わる遺伝子群が含まれていることが知られており、共存させることによって何らかの役割を果たしていることが期待された。尚、表3に記載したように、本発明資材を添加した土壌で生育した植物では、Senescence-associated protein (SEN1)の発現量が増すが、近年、SEN1が植物と共生する窒素固定菌にとって必要な因子であるということが報告されている点(Plant Cell Physiol 2011 in press, http://pcp.oxfordjournals.org/content/early/2011/11/28/pcp.pcr167.long)は興味深い。

0066

0067

0068

表6は、本発明の機能性資材に含まれている、窒素固定菌Bacillus sp 36W株の16SrDNAの配列を示している。表7は、本発明の機能性資材に含まれている、窒素固定菌Brevibacillus sp 123株の16SrDNAの配列を示している。

0069

7.アミノ酸濃度調節機能の評価
モデル植物として、シロイナズナを用いて、肥料培土としてクレハ培土(表土5cm)において実施した。要するに、4℃で春化処理を一晩実施した後、恒温室(23℃)で、照度10,000ルクス、24時間明期の条件下で21日間、100mlの水分を1日置きに添加して栽培を実施した。培土の乾燥化(含水率の低下)は、水分の添加期間を数日伸ばして調整した。

0070

図10に記載したように、シロイナズナの体内におけるグルタミン酸、並びにグルタミンの濃度は、資材を添加した群で有意に増加した。グルタミン酸に分解されるアルギニンも顕著に増加する傾向が確認された。グルタミン酸は、アンモニウムイオンから生成されることから、図9のデータは矛盾しないことも判明した。一般に、植物由来のグルタミン酸は作物のうま味に関与するのみならず、あらゆる抗酸化酵素の発現など極めて重要なアミノ酸であり、本発明資材が植物の品質と機能性向上に寄与すると言えた。尚、表4の強発現遺伝子の一つであるnodulinは、グルタミン合成機能に寄与することも知られており(Planta 234: 459-476, 2011)、本発明による実施例と矛盾しない。

0071

次に、栽培土壌の含水率が10%減少すると、図11に記載したように、資材添加群でプロリンが顕著に増加する傾向が確認された。植物体中のプロリンは、乾燥時にP5C reductase(Pyrroline-5-carboxylate reductase)などの反応によって、グルタミン酸から生成され、Prolin oxidaseなどの反応によって、グルタミン酸として変換されるが、含水率が高い条件下では、prolin oxidaseの発現が2倍以上になることから、グルタミン酸の濃度との関係で矛盾がなかった。尚、一般に、プロリンは乾燥耐性や保湿などに関与するアミノ酸であることが知られていることから、本発明資材はこのような点からも植物の機能性の向上に寄与すると言えた。

0072

8.耐高温障害遺伝子、並び耐病害応答遺伝子の発現
自然界では植物の生育環境が変動するため、異なる栽培条件でモデル植物であるシロイナズナを栽培し、発現遺伝子のパターンを解析した。モデル植物として、シロイナズナを用いて、肥料培土としてクレハ培土を用いて実施した。表3は表土5cmで実施したデータであり、4℃で春化処理を一晩実施した後、恒温室(23℃)で、照度10,000ルクス、24時間明期の条件下で21日間、100mlの水分を1日置きに添加して栽培を実施した。一方、表4は、表土3cm未満で実施したデータであり、4℃で春化処理を一晩実施した後、恒温室(23℃)で、照度10,000ルクス、24時間明期の条件下で21日間、水分を切らさないように一定量添加して栽培した。このような条件下で、DNAマイクロアレイ前回PCT出願と同様の方法)を実施し、モデル植物に強発現する遺伝子群を網羅的にスクリーニングした。

0073

本発明資材を添加した土壌で生育したシロイナズナで普遍的に強発現する遺伝子群は、表3、並びに表4で示した。中でも分子シャペロンであるHeat shock protein(HSP)の発現が確認された。HSPとしては、HSP70 family、HSP90family、HSP101familyなどの発現量が増えた。

0074

発現量が変化する遺伝子のうち、HSPに関しては、いずれのHSPも高温ストレスや各種環境ストレスに対する耐性機能に寄与する因子である(Trends
Plant Sci 9: , 244-252, 2004; Science 330:1820-1824,2010; Plant Cell, Vol. 12, 457-460, 2000)。さらに、RING-H2 gene, XERICOは、植物の成長耐乾燥性、耐塩性などの制御に働く重要な植物ホルモンアブシシン酸の生成の制御に関わっている(Plant Journal 47: 343-355, 2006)。

0075

尚、耐乾燥性については、図11で示したように本発明資材を添加した土壌で栽培し、土壌含水率を10%低下させた条件下に移行すると、プロリン濃度の増加度合いが変化するという点が興味深い。

0076

さらに、生体防御に関わる因子としては、HSPとしてHSP70やHSP90が、SGT1やRAR1とともに、耐病性機能に寄与することが知られている(Plant Cell 19:4061-4076, 2007; J Biol Chem 279:2101-2108,2004;EMBO J 27:2789-2798,2008)。また、nodulin も耐病性に関わる遺伝子であることも知られている(Olivares
JE et al. (2011) Nodulin 41, a novel late nodulin of common bean with peptidase
activity.BMCPlant Biol 10:134)。さらに、Senescence-associated protein (SEN1)の発現はサリチル酸ジャスモン酸シグナル伝達によって制御されており、耐病性に関するマーカー遺伝子と想定されている。尚、サリチル酸は、ウイルスやバクテリアななどのさまざまな病原性微生物に対する抵抗性に関与する因子であり、ジャスモン酸はサリチル酸と拮抗的に働くものの、環境ストレスに対する耐性誘導因子であることが知られている。

0077

病原体に対する耐性遺伝子としては、LTP (LIPID TRANSFERPROTEIN)(Nature 419: 399-403, 2002)が強発現する。また、trypsin and protease inhibitor / Kunitz family proteinは、さまざまな病原体に対して耐性を示す遺伝子(Molecular Plant 1: 482-495, 2008)として知られ、カビ毒であるフモニシンB1によって誘導される細胞死拮抗するアンタゴニストである。さらに、HPL1(HYDROPEROXIDE LYASE1) は、アブラムシの活動を止める(Proc Natl Acad Sci USA 98: 8139-8144,2001)ことが知られている因子であり、ファイトアレキシン生合成するCytochrome P450 71B15, putative (CYP71B15)も強発現することが判明した。P450 71B15は、Camalexinというファイトアレキシンを生成することが知られているチトクローム酵素である (Plant Cell 8: 2235-2244,1996)。Camalexinは、病原性の糸状菌やバクテリアの増殖を抑制することが知られている。このような酵素は、環境ストレスやエリシターによって誘導されること(Plant Cell 10: 359-370, 1998)から、本発明資材による土壌環境の変化やエリシターとしての機能を果たしていると想定された。

0078

さらに、一端、病原菌が感染しても、植物体の細胞死を食い止める因子としてしられているAspartyl protease(EMBO J. 2004 February 25; 23(4): 980-988; EMBO
reports 6: 282-288)も強発現しうる。

0079

このように、多くの生体防御関連遺伝子群の発現が誘導されるが、それらの転写調節に関与しうる遺伝子群として知られているWRKY family transcription factor(Plant Mol Biol 51: 21-37, 2003)が、各種強発現していることも矛盾しないと言えた。さらに、表4に記載されたGlutaredoxin family protein、Glutathione S-transferaseは、抗酸化活性に関与しており、同時にビタミンCビタミンEも増加する傾向があることから、植物体中の抗酸化活性が改善すると言えた。

0080

尚、本発明資材の安定化のために用いるPTA-1773やThermophiles-inoculum M2K(寄託拒否分)には、キチン質分解酵素抗カビ活性の高いリポペプチドが含有されていることから、試験現場に施用する際には、土壌、並びに植物体、あるいは水圏における糸状菌の存在比率を1次的に減少させうる。

実施例

0081

したがって、本発明資材を農業分野で用いた場合は、植物体外の生育環境として病原性糸状菌の存在比率を下げた上で、植物体内の生体防御遺伝子群を活性化するため、生体内外両面からの環境コントロールをすることが可能である。

0082

ATCCPTA-1773

0083

NITEBP-1051

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