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技術 液浸系顕微鏡対物レンズ、及び、レーザー走査型顕微鏡システム

出願人 オリンパス株式会社
発明者 斉藤荘芳横井英司日下健一堀米修平杉崎紀行
出願日 2013年3月25日 (7年8ヶ月経過) 出願番号 2013-061512
公開日 2013年7月18日 (7年4ヶ月経過) 公開番号 2013-140393
状態 特許登録済
技術分野 蛍光または発光による材料の調査,分析 顕微鏡、コンデンサー レンズ系
主要キーワード 絶縁体カバー レーザ走査範囲 試料範囲 胴付き スポットスキャン 散乱物体 脳内物質 同焦点距離
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

明るい蛍光と高解像の両方を確保することが可能な対物レンズ多光子励起観察に最適化されたレーザー走査型顕微鏡システムを提供する。

解決手段

液浸系顕微鏡対物レンズ物体側から、正の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、3枚接合レンズからなる第3レンズ群、2枚接合レンズからなる最も像側の面が像面に凹面を向けた負の屈折力の第4レンズ群、最も物体側の面が標本面に凹面を向けた正の屈折力の第5レンズ群からなる。第1レンズ群は物体側から接合面が像側に凸面を向けた接合レンズ単体正レンズからなる。対物レンズは以下の条件を満たす。rbは接合レンズの接合面の曲率、n1は物体側から1枚目レンズ屈折率、nwは標本と物体側から1枚目のレンズの間の媒質の屈折率、dt3は物体面から接合面までの距離である。0.15>n1−nw>0.054>rb/dt3>0.9

概要

背景

顕微鏡における蛍光観察の手段として、多光子励起を利用した蛍光観察法が知られている。

多光子励起では、吸収波長のほぼ整数倍波長を持つ光線を同時に蛍光体照射することにより、本来の吸収波長と同等な励起現象が引き起こされる。この多光子励起現象は非線形現象と呼ばれ、たとえば2光子励起の場合は励起光の強度の2乗に比例した確率で励起現象が起きる。

一方、顕微鏡の対物レンズによる励起光の集光は、焦点面からの距離の2乗に反比例して光密度が低くなる。すなわち、顕微鏡における多光子励起現象は焦点のごく近傍のみに起こり、この部分からのみ蛍光放射される。

この性質により、通常の共焦点顕微鏡で使われる焦点面以外で起こる蛍光の放射を遮るための検出側の共焦点ピンホールは、多光子励起レーザー走査型顕微鏡においては必要とされない。また、焦点面でのみ励起現象が起きるために、試料内の蛍光の褪色も少なくてすむという利点もある。

また、多光子励起で用いられる励起光は一般に赤外光であり、通常よりも長い波長となる。そして、一般に波長が長い光のほうが散乱しにくいという性質(レイリー散乱)を持つことから、赤外光で励起をした方が生体試料のような散乱性試料では試料のより深くまで到達するという性質を持っている。このことは、通常の可視光では観察することができなかった生体深部まで観察することが可能になることを意味する。しかも、赤外光は紫外光や可視光よりも光毒性が低いので、生体試料をできる限り傷つけないで観察することができる。

例えばセロトニンという脳内物質紫外線領域に吸収波長を持つ自家蛍光を持つ。しかしながら、紫外光は脳内の深部にまで到達することができず、また光毒性も強い。このような状況下では多光子励起レーザー走査型顕微鏡は有効に働く。紫外光と赤外光は波長が3倍程度離れているので、3光子励起を行えば赤外光を使ってセロトニンを励起できる。
以上のように多光子励起を利用した蛍光観察は大きなメリットを持っており、現在において顕微鏡観察において非常に有効な手段となっている。

しかし、この多光子励起を利用した顕微鏡観察には技術的な困難が伴う。例えば、多光子励起を起こすには一つの蛍光体に同時に光子衝突させなければいけない。そのような現象を起こすには非常に高い光子密度を対物レンズの焦点位置に作らなければいけない。つまり、開口数が大きく、かつ適切に収差補正された対物レンズを利用しなければいけない。このとき、励起光は赤外光であるので、赤外光での収差補正されていることが重要である。

しかも、試料の深部の観察では、試料自身の屈折率による収差が無視できなくなり、蛍光効率が悪化する。それを避けるために試料内の深さに対応した補正環があることが望ましい。

一方、励起光は強力でありながらも、そこから放射される蛍光の光量は微弱である。よって、放射された蛍光は可能な限りロスの少ない方法で検出しなければいけない。そのために対物レンズとしては、レンズ枚数および群数を抑えた構成とし、検出器までの光路も最適化しなければいけない。

さらに、3光子励起のような場合には紫外光を検出しなければいけない。一般的な光学ガラスは紫外光の透過率が低いので、紫外光を通す限られた光学ガラスで対物レンズを構成しなければならない。

しかも、多光子励起顕微鏡ではパッチクランプ法と同時に利用される場合が多いので、対物レンズの先端と試料の間に作業スペースを確保しなければいけない。すなわち、作動距離が長いことと同時に対物レンズの先端部のアクセス角を確保しなければいけない。

また、励起光は赤外光であるが、それによって放射される蛍光は可視光域(や紫外光)である。つまり、検出したい蛍光のほうは試料によるレイリー散乱の影響を受けてしまう。その結果、一点から放射されたものが広がりを持って対物レンズに進入してくる。そのため、散乱した蛍光を無駄なく収集するには対物レンズの視野が広いことが望ましい。

対物レンズの視野を広げると、それに比例して対物レンズの瞳径も大きくなる。仮に、入射瞳径の極めて大きな対物レンズを開発できたとしても、焦点顕微鏡装置入射レーザービームが対物レンズの入射瞳位置において、その瞳径を満たさなければその性能は発揮されない。その為、対物レンズの瞳径に対して入射ビーム径を略同一にするように、ビーム径を調整する技術が特許文献11に提案されている。この技術によれば、ビームエクスパンダーを用い、共焦点顕微鏡装置によって対物レンズの瞳径にほぼ合わせるようにビーム径を調整することが可能である。しかし、ビーム径の調整は、レーザー偏向手段(2次元走査手段)に入射する前になされているため、最大のビーム径はレーザー偏向手段によって規定されることになる。

これを広げるためには、ガルバノミラー等のレーザー偏向手段の装置サイズを大きくする必要がある。しかし、ガルバノミラーのサイズを大きくすればするほど、試料範囲走査するための触れ角は大きくなり、走査速度が減少する弊害が生じる。また、瞳位置と共役な位置付近に2枚のガルバノミラーを設け2次元の走査を可能にする共振ガルバノミラーにおいては、2枚のガルバノミラーの干渉を避けるため、間隔を広げる必要がある。そのため、理想的な瞳位置からずれ照明ムラが大きくなる。
従って、共焦点顕微鏡装置のレーザー偏向手段によって定められる最大の入射ビーム径に対し、最適な対物レンズを組み合わせることが重要である。

概要

明るい蛍光と高解像の両方を確保することが可能な対物レンズと多光子励起観察に最適化されたレーザー走査型顕微鏡システムを提供する。液浸系顕微鏡対物レンズ物体側から、正の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、3枚接合レンズからなる第3レンズ群、2枚接合レンズからなる最も像側の面が像面に凹面を向けた負の屈折力の第4レンズ群、最も物体側の面が標本面に凹面を向けた正の屈折力の第5レンズ群からなる。第1レンズ群は物体側から接合面が像側に凸面を向けた接合レンズ単体正レンズからなる。対物レンズは以下の条件を満たす。rbは接合レンズの接合面の曲率、n1は物体側から1枚目のレンズの屈折率、nwは標本と物体側から1枚目のレンズの間の媒質の屈折率、dt3は物体面から接合面までの距離である。0.15>n1−nw>0.054>rb/dt3>0.9

目的

本発明では多光子励起レーザー走査型顕微鏡において、明るい蛍光と高解像の両方を確保することが可能な対物レンズと、多光子励起観察に最適化されたレーザー走査型顕微鏡システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群と、最も像側の面が像面に凹面を向けた負の屈折力を有する第4レンズ群と、最も物体側の面が標本面に凹面を向けた正の屈折力を有する第5レンズ群からなる液浸系顕微鏡対物レンズおいて、前記第1レンズ群は、物体側から接合面が像側に凸面を向けた接合レンズと、単体正レンズとからなり、前記第3レンズ群は、3枚接合レンズからなり、前記第4レンズ群は、2枚接合レンズからなり、以下の条件、0.15 > n1 − nw > 0.054 > rb / dt3 > 0.9を満たすことを特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズ。ただし、rbは前記接合レンズの前記接合面の曲率であり、n1は物体側から1枚目レンズ屈折率であり、nwは標本と前記物体側から1枚目のレンズの間を満たす媒質の屈折率であり、dt3は物体面から前記接合面までの距離である。

請求項2

請求項1に記載の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、以下の条件fs/f < 2.8を満たすことを特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズ。ただし、fsは前記接合レンズの焦点距離であり、fは前記液浸系顕微鏡対物レンズにおける全系の焦点距離である。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、以下の条件dt5 − dt4 > 2.8を満たすことを特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズ。ただし、dt4は前記接合レンズの物体側のレンズの肉厚であり、dt5は前記接合レンズの像側のレンズの肉厚である。

請求項4

請求項1から請求項3の何れかに記載の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、前記単体の正レンズは、両側凸面のレンズであることを特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズ。

請求項5

請求項1から請求項4の何れかに記載の液浸系顕微鏡対物レンズ、非共焦点検出器ガルバノミラー瞳投影レンズ、及び、結像レンズを含むレーザー走査型顕微鏡システムであって、標本の屈折率及び厚みに起因して発生する球面収差量及びそれを補正する移動群の移動量を計算する制御手段と、前記移動群を前記移動量に基づいて非手動的手段で移動させる移動手段と、を有し、前記移動群を移動させながら深さ方向にスキャニンングすることを特徴とするレーザー走査型顕微鏡システム。

技術分野

背景技術

0002

顕微鏡における蛍光観察の手段として、多光子励起を利用した蛍光観察法が知られている。

0003

多光子励起では、吸収波長のほぼ整数倍波長を持つ光線を同時に蛍光体照射することにより、本来の吸収波長と同等な励起現象が引き起こされる。この多光子励起現象は非線形現象と呼ばれ、たとえば2光子励起の場合は励起光の強度の2乗に比例した確率で励起現象が起きる。

0004

一方、顕微鏡の対物レンズによる励起光の集光は、焦点面からの距離の2乗に反比例して光密度が低くなる。すなわち、顕微鏡における多光子励起現象は焦点のごく近傍のみに起こり、この部分からのみ蛍光放射される。

0005

この性質により、通常の共焦点顕微鏡で使われる焦点面以外で起こる蛍光の放射を遮るための検出側の共焦点ピンホールは、多光子励起レーザー走査型顕微鏡においては必要とされない。また、焦点面でのみ励起現象が起きるために、試料内の蛍光の褪色も少なくてすむという利点もある。

0006

また、多光子励起で用いられる励起光は一般に赤外光であり、通常よりも長い波長となる。そして、一般に波長が長い光のほうが散乱しにくいという性質(レイリー散乱)を持つことから、赤外光で励起をした方が生体試料のような散乱性試料では試料のより深くまで到達するという性質を持っている。このことは、通常の可視光では観察することができなかった生体深部まで観察することが可能になることを意味する。しかも、赤外光は紫外光や可視光よりも光毒性が低いので、生体試料をできる限り傷つけないで観察することができる。

0007

例えばセロトニンという脳内物質紫外線領域に吸収波長を持つ自家蛍光を持つ。しかしながら、紫外光は脳内の深部にまで到達することができず、また光毒性も強い。このような状況下では多光子励起レーザー走査型顕微鏡は有効に働く。紫外光と赤外光は波長が3倍程度離れているので、3光子励起を行えば赤外光を使ってセロトニンを励起できる。
以上のように多光子励起を利用した蛍光観察は大きなメリットを持っており、現在において顕微鏡観察において非常に有効な手段となっている。

0008

しかし、この多光子励起を利用した顕微鏡観察には技術的な困難が伴う。例えば、多光子励起を起こすには一つの蛍光体に同時に光子衝突させなければいけない。そのような現象を起こすには非常に高い光子密度を対物レンズの焦点位置に作らなければいけない。つまり、開口数が大きく、かつ適切に収差補正された対物レンズを利用しなければいけない。このとき、励起光は赤外光であるので、赤外光での収差補正されていることが重要である。

0009

しかも、試料の深部の観察では、試料自身の屈折率による収差が無視できなくなり、蛍光効率が悪化する。それを避けるために試料内の深さに対応した補正環があることが望ましい。

0010

一方、励起光は強力でありながらも、そこから放射される蛍光の光量は微弱である。よって、放射された蛍光は可能な限りロスの少ない方法で検出しなければいけない。そのために対物レンズとしては、レンズ枚数および群数を抑えた構成とし、検出器までの光路も最適化しなければいけない。

0011

さらに、3光子励起のような場合には紫外光を検出しなければいけない。一般的な光学ガラスは紫外光の透過率が低いので、紫外光を通す限られた光学ガラスで対物レンズを構成しなければならない。

0012

しかも、多光子励起顕微鏡ではパッチクランプ法と同時に利用される場合が多いので、対物レンズの先端と試料の間に作業スペースを確保しなければいけない。すなわち、作動距離が長いことと同時に対物レンズの先端部のアクセス角を確保しなければいけない。

0013

また、励起光は赤外光であるが、それによって放射される蛍光は可視光域(や紫外光)である。つまり、検出したい蛍光のほうは試料によるレイリー散乱の影響を受けてしまう。その結果、一点から放射されたものが広がりを持って対物レンズに進入してくる。そのため、散乱した蛍光を無駄なく収集するには対物レンズの視野が広いことが望ましい。

0014

対物レンズの視野を広げると、それに比例して対物レンズの瞳径も大きくなる。仮に、入射瞳径の極めて大きな対物レンズを開発できたとしても、焦点顕微鏡装置入射レーザービームが対物レンズの入射瞳位置において、その瞳径を満たさなければその性能は発揮されない。その為、対物レンズの瞳径に対して入射ビーム径を略同一にするように、ビーム径を調整する技術が特許文献11に提案されている。この技術によれば、ビームエクスパンダーを用い、共焦点顕微鏡装置によって対物レンズの瞳径にほぼ合わせるようにビーム径を調整することが可能である。しかし、ビーム径の調整は、レーザー偏向手段(2次元走査手段)に入射する前になされているため、最大のビーム径はレーザー偏向手段によって規定されることになる。

0015

これを広げるためには、ガルバノミラー等のレーザー偏向手段の装置サイズを大きくする必要がある。しかし、ガルバノミラーのサイズを大きくすればするほど、試料範囲走査するための触れ角は大きくなり、走査速度が減少する弊害が生じる。また、瞳位置と共役な位置付近に2枚のガルバノミラーを設け2次元の走査を可能にする共振ガルバノミラーにおいては、2枚のガルバノミラーの干渉を避けるため、間隔を広げる必要がある。そのため、理想的な瞳位置からずれ照明ムラが大きくなる。
従って、共焦点顕微鏡装置のレーザー偏向手段によって定められる最大の入射ビーム径に対し、最適な対物レンズを組み合わせることが重要である。

0016

特開2005−189732号公報
特開2002−31760号公報
US2007/0091454 A1
特開2005−352021号公報
特開2005−43624号公報
特開2005−31507号公報
特開2004−317749号公報
特許第3283499号
特開2003−29157号公報
特開2005−99131号公報
特開2008−040154号公報

先行技術

0017

光学入門第1版8刷 平成14年3月29日(オプトロニクス社)
細胞THECELL2008年4月20日(ニューサイエンス社)

発明が解決しようとする課題

0018

以上の技術的問題に鑑み、本発明では多光子励起レーザー走査型顕微鏡において、明るい蛍光と高解像の両方を確保することが可能な対物レンズと、多光子励起観察に最適化されたレーザー走査型顕微鏡システムを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0019

本発明の上記の課題は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群と、最も像側の面が像面に凹面を向けた負の屈折力を有する第4レンズ群と、最も物体側の面が標本面に凹面を向けた正の屈折力を有する第5レンズ群からなる液浸系顕微鏡対物レンズおいて、前記第1レンズ群は、物体側から接合面が像側に凸面を向けた接合レンズと、単体正レンズとからなり、前記第3レンズ群は、3枚接合レンズからなり、前記第4レンズ群は、2枚接合レンズからなり、以下の条件を満たす液浸系顕微鏡対物レンズによって達成される。
0.15 > n1 − nw > 0.05
4 > rb / dt3 > 0.9
なお、rbは前記接合レンズの前記接合面の曲率であり、n1は物体側から1枚目のレンズの屈折率であり、nwは標本と前記物体側から1枚目のレンズの間を満たす媒質の屈折率であり、dt3は物体面から前記接合面までの距離である。

0020

また、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、弱い屈折力を有する第3レンズ群と、最も像側の面が像面に凹面を向けた負の屈折力を有する第4レンズ群と、最も物体側の面が標本面に凹面を向けた正の屈折力を有する第5レンズ群を有するに液浸系顕微鏡対物レンズおいて、前記第1レンズ群は最も物体側に配置され正レンズ成分と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ成分との接合レンズを有し、下記の条件式満足することを特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズによっても達成される。
(1) 0.75 < h1/h0 < 1
(2) 0.4 < h2/h1 <0.6
(3) 0.8 < h3/h1 < 1.3

0021

ただし、h0は対物レンズ全系での最大光線高、h1は前記第4レンズ群の標本側の面のマージナル光線高、h2は前記第4レンズ群の像側の面のマージナル光線高、h3は前記第5レンズ群の像側の面のマージナル光線高、f4は前記第4レンズ群の焦点距離、f5は前記第5レンズ群の焦点距離である。

0022

このとき、前記第4レンズ群は2枚接合レンズによって構成され、前記第5レンズ群に物体に凹面を向けた少なくとも1枚のメニスカス形状レンズを含み、下記の条件式を満足することが望ましい。
(4) -0.5 < f4/f5 < 0
あるいは下記の条件式を満たすとしても構わない。
(4’) Ro4/h1 < 1.4
ただし、Ro4は第4レンズ群の最も標本側の面の曲率半径である

0023

さらに、前記第3レンズ群は接合レンズで構成され、標本やカバーガラスの厚みによって発生する収差の補正のために光軸に沿って前記第2レンズ群と前記第4レンズ群に対して相対的に移動することが好ましい。
さらに、前記第3レンズ群は3枚接合レンズで構成され、以下の条件式を満足することが望まれる。
(5) |f/f3| < 0.1
(6) |f2/f3| <0.6
ただし、f2は前記第2レンズ群の焦点距離、f3は前記第2レンズ群の焦点距離、fは対物レンズ全系の焦点距離である。
また、前記第3レンズ群は3枚接合レンズから成り、移動する接合レンズが下記の条件式を満足するとよい。
(7) 0.85 < | β3 | < 1.1
ただし、β3は移動するレンズ群の倍率である。

0024

また、前記第2レンズ群は接合レンズで構成され、標本やCG厚みによって発生する収差の補正のために光軸に沿って第1レンズ群,第3レンズ群に対して光軸に沿って相対的に移動することも好ましい。
このとき、前記第2レンズ群が以下の条件式を満たすことが望ましい。
(6) |f2/f3| <0.6
(8) 0.1 < f/f2 <0.3
本発明の上記の課題は、以下の条件を満たすことを特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズによって達成される。
(9) Do/f > 10
(10) NA×f > 6
ただし、Doは標本面から当該対物レンズの胴付面までの距離、NAは対物レンズの物体側開口数である。

0025

このとき、標本やCG厚みによって発生する収差の補正のために構成する群のいずれか一つの群もしくは隣接する複数のレンズ群が一つの移動群として光軸に沿って前後の群に対して相対的に移動することが望ましい。

0026

また、標本やCG厚みによって発生する収差の補正のために構成する群のいずれか一つの群もしくは隣接する複数のレンズ群が一つの移動群として光軸に沿って前後の群に対して相対的に移動することを特徴とし、移動する群が下記の条件式を満足する構成も好適である。
(11) | (tanω1)(tanω1+2/h4) - (tanω2)(tanω2+2/h5)| < 0.01

0027

ただし、h4,h5は移動するレンズ群の標本側,像側の面において最軸外光線束の最大光線の高さ、ω1は移動するレンズ群の標本側レンズ面への最軸外主光線入射角度、ω2は移動するレンズ群の像側レンズ面からの最軸外主光線の射出角度である。特に下記の条件式を満足していると好適である。
(12) | (tanω1)(tanω1+2/h4) - (tanω2)(tanω2+2/h5)| < 0.005
特に、前記移動群の標本側に隣接する群との間隔をdo, 像側に隣接する群との間隔をdiとしたとき下記の条件式を満足することが好ましい。
(13) do + di > 1
このとき、移動する接合レンズが下記の条件式を満足することが望ましい。
(14) 0.85 < | βs | < 1.1
ただし、βsは移動するレンズ群の倍率である。
上記構成において、以下の条件を満たすことが望ましい。
(15) 0.02 < (n2-n1)/ra <0.08
(16) 0.26 < dt1/f
(17) dt2 > 0.4

0028

ただし、raは前記第1レンズ群に含まれる接合レンズ接合面の曲率であり、n1は物体側から1枚目のレンズの屈折率、n2は物体側から2枚目のレンズの屈折率、dt1は標本面からレンズ第一面までの距離、dt2は前記第1レンズ群の接合レンズと次に続くレンズまでの空気間隔である。
また、以下の条件を満たすことも望ましい。
(18) nd5p > 1.65
(19) 25 < νd5p < 40
(20) 15 < νpa-νna < 40

0029

ただし、nd4pは前記第5レンズ群の正レンズのd線の屈折率、νd4pは前記第5レンズ群の正レンズのアッベ数、νpaは凸レンズの平均アッベ数、νnaは凹レンズの平均アッベ数である。

0030

特に、浸透液が水である液浸系顕微鏡対物レンズが望ましい。また、340nmに対して厚み10nmにおいて50%以上の内部透過率を有する媒質で構成され、媒質の総枚数が15以下であることが好ましい。また、収差補正が施されている波長領域が700〜1100nmであることが望まれる。
以下、上記構成を採用した理由とその効果について説明する。

0031

正屈折力の第1レンズ群によって、球面収差像面湾曲バランスをとりながら物体から射出される高開口数の光線の開き角を小さくし、光束を収斂させる。第2レンズ群の弱い正パワーにより球面収差の補正をしながらほぼ平行光束とし、光線高の高い第3レンズ群でコマ収差、球面収差の補正をし、光線高をあまり下げないようにして第4レンズ群につなげ、第4レンズ群の標本側の面の強い正パワーと像側の面の強い負パワーによって光線高を大きく下げ、コマ収差の補正とともに非点収差の補正を行い、第5レンズ群は標本側の面の負パワーによって広波長域に渡って発生するコマ収差のバランスをとりながら像側の正パワーによって発散しようとする光線を平行光線にするとともに同焦距離を保つ役割も果たしている。

0032

高開口数の光線の収差を補正する際に本質的な問題が高次の球面収差及びコマ収差である。3次の球面収差及びコマ収差を横収差表記すると、それぞれ光線高の3乗,2乗に比例する値となり光線高が高い位置で補正することが有効である。条件式(1)を満たすことによって、最大光線高となる第2レンズ群から第4レンズ群の標本側の面まで光線高が高い状態を保持され高次の球面収差とコマ収差を効率よく補正することができる。

0033

条件式(1)の下限値0.75を下回ると第3レンズ群を透過する光線の高さが低くなり、高次の球面収差とコマ収差が補正しきれない。また、条件式(1)の上限値1を上回ると第4レンズ群で極めて強い正の屈折力で光線を曲げるため、5次以上の球面収差・コマ収差が発生し他の群で補正しきれず、また第4レンズ群の偏心の利きが非常に大きくなってしまう。

0034

条件式(2)の上限値0.6を上回ると第4レンズ群の凹面で発生する負パワーが不足し、ペッツバール和の補正が不十分となると共に非点収差の補正が不足する。条件式(2)の下限値0.4を下回ると第4レンズ群の凹面で発生する負パワーが過剰となり、ペッツバール和の補正が不十分となると共に、高次のコマ収差が発生して軸外結像性能劣化する。

0035

条件式(3)の下限値0.8を下回ると第5レンズ群の負屈折力が不足し、広波長域のコマ収差を補正することが困難になる。逆に、条件式(3)の上限値1.3を上回ると第5レンズ群の正レンズで発生する球面収差・コマ収差が極めて大きくなり、他の群で補正することが困難になる。

0036

条件式(4)はガウス面を挟む第4レンズ群と第5レンズ群のパワーのバランスの規定である。条件式(1),(2),(3)を満足するレンズタイプガウス群に大きな屈折力が集中するため、条件式(4)を満たすことによって収差のバランスをとることが性能上重要となる。

0037

条件式(4)の下限値-0.5を下回ると第4レンズ群の負屈折率が弱くなりペッツバール和の補正が不十分となる。逆に、条件式(4)の上限値0を上回ると第4レンズ群で負屈折力が強くなり、大きなコマ収差が発生することになる。これによって発生した大きなコマ収差を他の群で補正することが困難である。

0038

条件式(4’)は光線高に対する第4レンズ群の物体側の曲面で発生するパワーを規定している。この値が1.4より小さくなると、第4レンズ群の像側の凹面に入射する光線の入射角度が緩やかになり、大きな負パワーを発生させることができなくなり、ペッツバール和の補正が不十分となると共に非点収差の補正が不足する。

0039

条件式(5)は、第3レンズ群の対物レンズ全系に対するパワーを規定する条件式である。条件式(5)において上限値0.1を上回ると第3レンズ群のパワーが大きくなり第4レンズ群に入射するマージナル光線の入射角度が小さくなるため、第4レンズ群の負の屈折力が不足することとなり、ペッツバール和の補正が不十分となると共に非点収差の補正が不足する。

0040

条件式(6)は、第2レンズ群との第3レンズ群のパワーバランスを規定する条件式である。条件式(6)において上限値0.6を上回ると第2レンズ群のパワーが弱すぎて球面収差の補正が不足し、第3レンズ群はその不足した球面収差を補正するとコマ収差補正が過剰になり性能のバランスがとれない。

0041

カバーガラスや標本の厚みによって発生する球面収差を補正するためにレンズ群を移動させる技術は数多く示されている。一般にはレンズ群を移動させると対物レンズ全系の焦点位置が変わりピントがずれてしまう。従って特定の深さにある標本を最も良い結像性能で観察するためには、対物レンズの補正環による球面収差の補正と顕微鏡によるピント位置の補正を相互に繰り返す必要があり、非常に煩雑な作業を要する。これらを避けるために、例えば特許文献4のような補正環操作時にピント位置ずれの少ない対物レンズが開示されている。ここでは移動群の球面収差への影響を加味し、移動群の倍率を-1.8以上-1.1以下であることをピント位置ずれの少ない条件としているが、本レンズタイプでは比較的球面収差の補正係数が小さいため、条件式(7)を満たすことが望ましい。条件式(7)において上限値1.1を上回ると標本観察時に移動群を標本側に移動させたときにピント位置が像側に大きくずれピント位置の再調整が必要となる。逆に下限値0.85を下回ると標本観察時に移動群を標本側に移動させたときにピント位置が標本側に大きくずれピント位置の再調整が必要となる。

0042

条件式(8)の上限値0.3を上回ると第2レンズ群の焦点距離が対物レンズ全系に対して小さくなる。すなわち光線高さの高い第2レンズ群において大きなパワーが発生し、光線高を抑えることはできるが、そこで生じる大きな球面収差とコマ収差を他の群で補正しきれなくなる。逆に、条件式(8)の下限値0.1を下回ると第ニレンズ群のパワーが弱くなり、高線高さが高くなる。そのために第3レンズ群及び第4レンズ群で強い正のパワーをもって光線高さを抑える必要が生じるため、高次の球面収差とコマ収差の影響が大きくなり高次収差性能がとれなくなる。
条件式(9)は、対物レンズの倍率に応じて適切な同焦点距離を規定する条件式である。焦点距離の長い低倍の対物レンズにおいては視野が広いため、平坦性を保つために同焦点距離を伸ばして収差補正する必要があり、条件式(9)の下限値10を下回ると平坦性の確保が難しくなる。

0043

条件式(10)は、対物レンズの倍率に応じて適切な開口数を規定する条件式である。条件式(10)の下限値6を下回ると対物レンズの射出瞳径が小さくなり、広視野を高解像で観察するための十分大きな高開口数が確保されず脳神経に存在するスパインなどの微細な標本構造を解像できないと共に、蛍光観察時の明るさが不十分となる。高開口数を確保したまま倍率を上げると生体を蛍光観察時に発生する散乱光を拾うことができず、明るさが不足しがちである。

0044

さらに、本発明において生体深部における良好な結像性能を可能にするための移動群の条件を条件式(11)及び条件式(12)において規定している。生体深部を観察する際には、生体媒質の屈折率は1.35〜1.4程度と言われており、浸透液である水よりは高い屈折率を持っている。そのため、深部観察をするとその屈折率差生体表面からの深さの積の分だけ球面収差が発生し結像性能を悪化させる。また、その球面収差を補正するためにレンズ群を動かすと、それに伴ってコマ収差が発生し軸外性能が悪化する。従って、移動するレンズ群の前後のコマ収差の補正係数の差が小さく、球面収差の補正係数の差が大きいことが望ましい。

0045

実用上結像性能を概略決めている3次収差の範囲で横収差で表記したものが非特許文献1の82ページに記されている。これによれば、球面収差は光線高hの3乗、コマ収差はレンズの物体側主面への入射角をωとしたときのtanωとhの2乗の積に比例している。よって、それらをhとωの関数と捉え、hとωで微分したものが補正係数と考えられる。球面収差をh,ω微分をすると3h^2であり、コマ収差をh,ωで微分すると2htanω+h^2(1+tan^2ω)となる。移動するレンズの前側と後ろ側のコマ収差の補正係数の差を球面収差の補正係数の差で割ったものが条件式(11)及び条件式(12)である。この値が上限値0.01を超えると、球面収差を補正するために第2もしくは第3レンズ群を動かすとコマ収差が大きく発生してしまい、視野周辺の結像性能が著しく劣化する。さらに、この値が0.005より小さいときはコマ収差を変化させずに球面収差を大きく補正できて好適である。

0046

条件式(13)は、補正環の大きな補正能力を確保するために必要な条件である。補正環の前後に大きな間隔を空けることにより、補正対象とする球面収差の発生量が大きくなる場合においても補正することができる。条件式(13)の下限値1を下回ると生体の深部観察のような浸透液と標本のインデックスミスマッチによって発生する大きな球面収差を確保することができなくなる。

0047

条件式(14)において上限値1.1を上回ると標本観察時に移動群を標本側に移動させたときにピント位置が像側に大きくずれピント位置の再調整が必要となる。逆に下限値0.85を下回ると標本観察時に移動群を標本側に移動させたときにピント位置が標本側に大きくずれピント位置の再調整が必要となる。

0048

さらに、in vivo観察において生体内部の機能解明を進めるユーザーにとっては電気信号の変化によって得られる情報は重要である。信号計測の方法としては、対物レンズ先端斜側面から微小電極棒を刺し電気信号の検出をするパッチクランプ法と呼ばれる手法が一般的である。パッチクランプ法を行うためには、対物レンズ先端径が細く先鋭化されていることが重要である。

0049

本発明において条件式(15)は接合レンズのパワーを規定している。この値が条件式(15)の上限値0.08をこえると標本から射出する光線の角度が小さくなり、第2レンズ群及び第3レンズ群中の光線高が低くなり、高次の球面収差及びコマ収差の補正が不十分になる。逆に条件式(15)の下限値0.02を下回ると標本から射出するマージナル光線の角度が大きくなり、対物レンズ先端の径が大きくなり微小電極棒が刺せなくなり、パッチクランプ法ができなくなる。条件式(16)の下限値0.26を下回ると標本面から対物レンズ第一面までの距離が短くなり微小電極棒を刺しづらくなり使い勝手が悪くなり、かつ生体深部の観察ができなくなるという弊害が生じる。条件式(17)の下限値0.4を下回ると、レンズを支える枠がスペース不足のため構成が困難になり、開口数で決まる最小のマージナル光線の角度を超えた構成になってしまい、対物レンズの先鋭化が妨げられる。

0050

条件式(18)の下限値1.65を下回ると大きなコマ収差が発生し、他の群でそれを補正するのは困難となる。条件式(19)は本発明に関わる比較的少ないレンズ枚数収差性能を補正する低倍高開口数の対物レンズにおいて、第1から第4レンズ群までで発生した倍率の色収差を補正するための条件である。条件式(19)の上限値40を上回ると倍率の色収差が補正しきれなく、条件式(19)の下限値25を下回ると過剰補正となる。条件式(20)は700〜1100nmまでの近赤外域の軸上の色収差を補正するための条件式である。条件式(20)の上限値40を上回ると長波長側のベストフォーカス位置短波長側のベストフォーカス位置に比べて浅くなる方向にずれ、焦点深度を大きく外れる。また逆に、条件式(20)の下限値15を下回ると近赤外域の長波長側のベストフォーカス位置が短波長側のベストフォーカス位置に比べて深くなる方向にずれ、焦点深度を大きく外れる。

0051

本発明の異なる観点では、複数のレンズ群を持つ液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、最も物体側のレンズ群は、接合面が像側に凸面を向けた接合レンズであり、2番目に物体側のレンズ群は、単体の正レンズであり、以下の条件、
(21) 0.15 > n1−nw > 0.05
(22) 4 > rb/dt3 > 0.9
を満たすことを特徴とする。

0052

ただし、rbは前記接合レンズの前記接合面の曲率であり、n1は物体側から1枚目のレンズの屈折率であり、nwは標本と前記最も物体側のレンズの間を満たす媒質の屈折率であり、dt3は物体面から前記接合面までの距離である。

0053

この条件は、最も物体側のレンズの屈折率を液浸媒質の屈折率に近づけることによって収差を抑えながら、接合面で光線を曲げることによって鏡枠のスペースを確保する。

0054

上記の条件式(21)の上限を超えると、対物レンズへの入射時の光線の曲がりが大きくなることによる収差の影響が大きくなる。本発明の液浸系顕微鏡対物レンズは低倍率の高開口数であるので、この収差を無視することができない。

0055

また、上記の条件式(21)の下限を下回ると、対物レンズへの入射時に光線が曲がらずに光線高が高くなってしまい、対物レンズの先端部を先鋭化することができない。

0056

上記の条件式(22)の上限を超えると、接合面の曲率が緩くなり、球面収差の補正が困難になる。この接合面は球面収差の補正に効くのであるが、曲率が緩くなるとその効果が弱くなってしまう。

0057

また、上記の条件式(22)の下限を下回ると、収差補正の観点からは有利であるが、この接合面での光線が跳ね上がることにより、対物レンズの先端部が太くなってしまう。
本発明の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、以下の条件
(23) fs/f < 2.8
を満たすことは好ましい。
ただし、fsは前記接合レンズの焦点距離であり、fは前記液浸系顕微鏡対物レンズにおける全系の焦点距離である。

0058

上記の条件式(23)の上限を超えると、接合レンズの焦点距離が長くなることによる光線高の増加が影響して、対物レンズの先端部を先鋭化することが困難になる。
また、本発明の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、以下の条件
(23’) fs/f < 1.99
を満たすことが更に好ましい。上記条件式を満たすことによって、そり好ましく光線高を小さく抑えることができる。
本発明の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、以下の条件
(24) dt5 − dt4 > 2.8
を満たすことを特徴とする。
ただし、dt4は前記接合レンズの物体側のレンズの肉厚であり、dt5は前記接合レンズの像側のレンズの肉厚である。

0059

上記条件式(24)は、接合レンズの像側のレンズで光線高を低く抑えるための条件を与えている。条件式(24)の下限を下回った場合は、十分に光線高を抑えることができず、先端部の先鋭化が困難になる。
さらに、本発明の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、前記2番目に物体側のレンズ群は、両側凸面のレンズであることが好ましい。

0060

先端部の先鋭化には、先端部の接合レンズだけではなく、その後段に配置されるレンズも大きな影響を与える。物体側から2番目に配置されるレンズは、収差補正の有利性から、物体に凹面を向けたメニスカスレンズを配置することが多い。しかし、物体に凹面を向けたメニスカスレンズは、前段の接合レンズを固定するための鏡枠と干渉してしまい、結果的に先端部の先鋭化を困難にする。2番目に物体側のレンズを両凸のレンズにすることによって鏡枠との干渉が少なくすると、先端部の先鋭化がより容易になる。

0061

上記構成の液浸系顕微鏡対物レンズを非共焦点検出器、ガルバノミラー、瞳投影レンズ結像レンズを含むレーザー走査型顕微鏡システムに組み込み、標本の屈折率及び厚みに起因して発生する球面収差量及びそれを補正する移動群の移動量を計算する制御手段と、前記移動群を前記移動量に基づいて非手動的手段で移動させる移動手段とを有し、前記移動群を上記適切な補正量分移動させながら深さ方向のスキャニンングすることは好ましい。

0062

特許文献5には、観察する標本の屈折率を記憶しておき、それに対して収差補正のために動かすレンズ群の移動量を決定しておく方法が開示されている。また、特許文献6には移動するレンズ群によってピント位置がずれる分も計算にいれてピント位置を補正する顕微鏡システムが提案されている。上記構成の液浸系顕微鏡対物レンズを用いれば、レンズ群移動に伴うピント位置ずれが無いため、補正環を回す量を標本の屈折率に応じて記憶させておけば、既存のレーザー走査型顕微鏡システムにおいて容易に解像の良い深部観察画像取得可能なレーザー走査型顕微鏡システムを構築できる。

0063

多光子励起顕微鏡では、脳のような散乱物体を観察することが多い。このような標本面の深部を観察する場合には、ちょうど拡散板を通して標本を観察するようになるため、散乱された光は標本面の広い範囲から対物レンズに入射することになる。このような深部の多光子励起の蛍光を観察するためには、開口数が同じならば対物レンズの倍率は低倍の方が望ましい。低倍率では観察範囲が広くなるため、より散乱された蛍光を検出することが可能となる。

0064

また、多光子励起顕微鏡では、脳神経のスパイン等の微小構造刺激したりすることもあるため、解像力が必要となってくる。解像力を確保するためには、対物レンズの瞳径を満たす照明光が入射する必要がある。このため、開口数が同じ場合は対物レンズの倍率はある程度高い倍率でないと瞳を満たすことができない。

0065

脳神経のスパインの励起を起こさせるのに必要な開口数は0.85〜1.15程度が望ましい。これ以下だとスパインのみを励起するのに必要な解像力が不足し、1.15以上だと、パッチクランプ法を使用して脳神経に電極をさすときの作業空間を確保することが難しくなる。

0066

上記のように多光子顕微鏡での散乱物体からの蛍光をより効率よく検出することと高解像はトレードオフの関係となるが、レーザー偏向手段と非共焦点検出部と液浸系対物レンズが備えられたレーザー走査型顕微鏡システムであって、前記液浸系対物レンズの入射瞳位置において、前記レーザー偏向手段によって定められる最大の入射ビーム径と前記液浸系対物レンズ瞳径がほぼ一致する特徴をもったレーザー走査型顕微鏡システムによれば、明るさと解像を両立することが可能である。

0067

一般に生体組織を観察する際、生体組織の乾燥による変質を防ぐために一般に浸透液が用いられる。さらに、観察標本へのダメージを抑えたり微弱蛍光検出のためには、開口数が大きいことが大事である。浸透液は乾燥系よりも、開口数を稼ぎやすい利点がある。そのため、液浸系対物レンズの使用が望ましい。

0068

また、レーザー偏向手段によって定められる最大の入射ビーム径に対して、対物レンズの瞳径がよりある程度大きくなものを選ぶと、対物レンズの瞳径を入射ビームが満たせなくなり、実効NA(標本に入射する光束で規定される開口数)が小さくなり、解像が悪くなる。

0069

さらに、レーザー偏向手段によって定められる最大の入射ビーム径に対して、対物レンズの瞳径がよりある程度小さなものを選ぶと、NAが小さくなり解像が落ちるか、焦点距離が短くなるため対物レンズの倍率が下がる。それによって、検出できる視野が狭くなり、標本で散乱された蛍光を検出する効率が落ち、取得像が暗くなる。さらに、瞳径外のレーザービームが標本の蛍光励起に寄与せず無駄になり、それによって励起強度が落ちる。

0070

従って、レーザー偏向手段の大きさで定まる最大の入射ビーム径に対してほぼ一致した瞳径をもった液浸系対物レンズを備えると、標本表面で相対的に明るく解像のよい画像を取得できる。
また、以下のような構成も可能である。

0071

レーザー偏向手段と瞳投影レンズと結像レンズと対物レンズを有するレーザー走査型顕微鏡システムにおいて、非共焦点検出部が備えられ、下記の条件式を満足するレーザー走査型顕微鏡システム。
(25) 0.9 < (2×NA×f)/(S×ftl/fpl) <1.1

0072

ただし、Sは前記レーザー偏向手段の有効径の大きさ,ftlは前記結像レンズの焦点距離、fplは前記瞳投影レンズの焦点距離である。ここで、例えば前記レーザー偏向手段がガルバノミラーである場合には、Sはミラー内接する円の最大径となる。

0073

条件式(25)はガルバノミラーなどレーザー偏向手段の有効径の大きさと対物レンズ瞳径(2×NA×f)を規定する条件式である。(25)式を満たすと高解像な観察が可能となる。条件式(25)の上限値を上回ると、レーザー走査型顕微鏡結像光学系においてレーザー偏向手段を透過した光が対物レンズ後端に到達した際に、対物レンズ瞳径を満足する光束径が小さくなり、実効開口数が十分大きくならない。逆に(25)の下限値を下回ると対物レンズ瞳径が小さくなり、光束径が対物レンズ瞳径を満たせたとしても対物レンズ倍率が高くなる。従って、検出視野が狭くなるため、標本によって散乱された観察光集光効率が落ちる。

0074

2光子励起の場合、観察される蛍光の明るさは開口数の4条に比例するため、下限値では理想的な値1に対して(0.9/1)^4=66%となる。これを下回ると、生体深部の暗い部位を観察する際、像取得に大きな障害が発生する。なお、(0.9/1)^4は(0.9/1)の4乗を意味する。

0075

また、上限値1.1は、実効NAは対物レンズのNAに対して1/1.1 = 91%と小さくなり、それに比例して回折限界も広がり解像が劣化する。この値を上回ると、ニューロンなどの微細な立体構造体を正確に把握できなくなる。
(25)において、さらに望ましくは以下のとおりである。
(25)’ 0.95 < (2×NA×f)/(S×ftl/fpl) <1.05

0076

条件式(25)’の下限値は理想的な値1に対して(0.95/1)^4=81%となり、これを上回れば、生体深部の暗い部位を観察する際にさらに明るさが確保される。

0077

また、条件式(25)’の上限値1.1は、実効NAは対物レンズのNAに対して1/1.1 = 95%であり、それを下回れば、スパイン等の微細な立体構造体を正確に把握できるようになる。

0078

特に、多光子励起顕微鏡によって脳などの強い散乱体を観察する場合、深さ300〜400μmを境に散乱の影響で非常に暗くなり、レーザーパワー最大限度まで上げても画像取得が困難になる。よって、明るさと解像が理想状態にほぼ近い(25)’の範囲を満たすことが重要である。
また、上述のレーザー走査型顕微鏡において、該対物レンズに標本厚さによる球面収差の変化を補正する手段を備えたことを特徴とすることも好ましい。

0079

本レーザ走査型顕微鏡では、高解像と明るい蛍光を両立させるものである。その効果は蛍光の散乱が大きくなる標本面の深部の観察において、より顕著に発揮される。一般に対物レンズは生体表面で収差性能が良好になるよう設計されている。しかし、生体のより深部を観察すればするほど、浸透液と生体の屈折率差によって球面収差が大きく発生し、良好な解像性能が発揮されない。仮に、ある深さの点で十分収差球面収差が補正されていたとしても、観察深度を変えれば球面収差が発生し、解像性能が劣化する。よって、対物レンズは標本の厚さによる球面収差補正手段を備えることが望ましい。球面収差補正手段は対物レンズ内のある群を移動させる補正環対物レンズでも可能であり、レーザー走査型顕微鏡内にあるデフォーマブルミラー等の波面操作手段でも可能である。
さらに、レーザー走査型顕微鏡システムにおいて、前記非共焦点検出部の標本面上の蛍光検出範囲がレーザー走査範囲よりも大きいことが好ましい。

0080

生体のような散乱体を観察する場合には散乱の影響を極めて強く受ける。図31は、図28または図29のような本願発明の顕微鏡対物レンズを利用したレーザー走査型顕微鏡システムを用い、脳や臓器などの散乱体を多光子励起で蛍光観察したときの、検出光学系の様子を模式的に示したものである。

0081

(A)、(B) は各々、レーザー走査型顕微鏡システムにおいて検出視野が異なる対物レンズを使用した場合(NAは等しい)の蛍光取り込み光量の違いを示した模式図である。

0082

多光子顕微鏡では、一般に比較的散乱の影響の受けにくい赤外等の長波長レーザーによって、生体深部を励起することができる。しかし、発生する蛍光は相対的に波長が短いため、散乱の影響を強く受け、励起した集光点を中心とした3次元的な分布を有する擬似発光光源のように振舞う。従って、励起したレーザー走査範囲の外側にも蛍光は発生することになる。

0083

つまり、生体深部での散乱した蛍光をより多く取り込むには対物レンズの蛍光検出範囲が大きいほど蛍光像が明るくなる。つまり、(B)の方が、(A)に比べ、視野数が大きいため、蛍光検出範囲が大きくなっており、蛍光検出量が多い。十分散乱が大きい場合には、検出位置における検出効率の違いがなくなり、検出される蛍光光量は検出視野の自乗に比例すると考えられる。

0084

上の例は、多光子顕微鏡を用いて説明したが、通常の1光子励起観察において生体などの散乱体を観察する場合にも散乱の影響を受けることには変わりが無いため、非共焦点検出部を備えたレーザー走査型顕微鏡システムに対して適応される。

0085

より望ましい構成として、レーザー走査型顕微鏡システムにおいて、備えられた対物レンズに対する照明系と非共焦点検出系の関係を示す条件は以下の通りである。
(26’)γem/γex > 1.2

0086

ただし、γexは顕微鏡システムの照明光学系で規定される対物レンズの最軸外主光線の射出角度、γemは顕微鏡システムの非共焦点検出系で規定される対物レンズの最軸外主光線の射出角度である。

0087

この条件は、本願発明では振り角の制限の無い非共焦点検出を使うことによって、照明系の視野範囲よりも検出系の視野範囲を広げることを意味している。その結果、明るい蛍光像を得ることが可能となっている。
また、上述のレーザー走査型顕微鏡システムにおいて、非共焦点検出の入射側の光学系は以下の条件を満たすことが望ましい。
(26) NAe>0.06
ただし、NAeは瞳追跡に対する前記非共焦点検出部の開口数である。

0088

条件式(26)は明るい蛍光像を得るために必要な条件である。条件式(26)は非共焦点検出の入射側の開口数を規定する。標本面での観察範囲はNAe×(対物レンズの焦点距離)となるため、(26)を満たすと標本面の観察範囲を大きくとることができる。2光子励起観察では試料による蛍光の散乱が大きいため、明るい蛍光像を得るためには標本面の観察範囲を大きくとる必要があり、(26)式を満たすことが望ましい。共焦点検出部では標本面の観察範囲を大きくとることは、ガルバノミラーなどのレーザー偏向手段の振り角の制限があり大きくすることができない。それに対して、非共焦点検出部はこれらの制限がないため、標本面の観察範囲を広くすることは可能である。
また、以下のような条件を満たした構成もさらに好ましい。
(27) 0.09>NAe>0.065

0089

条件式(27)はさらに(26)よりも蛍光を明るく取りやすい構成である。明るい蛍光をとるためにはNAe>0.065が必要であり、また0.09>NAeを満たすと非共焦点検出部の大きさが大きくなりすぎないメリットがある。なお、この条件式(27)と同等の効果をもたらす条件式は
(28’)1.8>γem/γex>1.3
である。
また、本レーザー走査型顕微鏡システムで利用される対物レンズの開口数NAは以下の範囲を満たすことが望ましい。
(29) 0.85<NA<1.15

0090

本レーザー走査型顕微鏡は高解像とパッチクランプ法の操作性を両立させるものである。このため、対物レンズの開口数NAは以下の条件式に入っていることが望ましい。条件式の下限では神経細胞微小突起の解像ができなくなり、条件を上回ると標本へのアクセス角度が30度以下となるため、パッチクランプがやりにくくなる。

0091

また、上述のレーザー走査型顕微鏡において、レーザー偏向手段と対物レンズを結ぶ走査光学系と被共焦点検出部と対物レンズを結ぶ非共焦点光学系が独立して配置され、対物レンズの像側に走査光学系と非共焦点光学系の光路分割手段を備えることが好ましい。

0092

本レーザ走査型顕微鏡は、非共焦点検出部の標本面上での蛍光検出範囲をレーザ走査範囲よりも広くして標本で散乱された蛍光を検出することで課題を解決している。このため、非共焦点検出部のレンズは通常よりも有効径が大きいことが必要である。走査光学系の非共焦点光学系が独立でなく、走査光学系の光路中に非共焦点検出部が配置される場合は、例えば結像レンズなどのレンズ径を広げる必要がある。走査光学系と非走査光学系を独立にして構成すれば、走査光学系を特に変更する必要がなくなる。
また上述のレーザー走査型顕微鏡において、さらに非走査型の照明光学系を備え、非共焦点検出系とは独立に配置されることも可能である。

0093

近年、フォトアクチベーション等の試料に光刺激を与えてその反応を見ることが良く行われる。このような光刺激には共焦点型スポットスキャンによる刺激と非共焦点型の広い範囲を一度に刺激する手法がある。このような刺激と同時に試料の反応を観察するため、試料刺激の光学系と、非共焦点検出部の光学系は独立に構成されていることが望ましい。

0094

また、非共焦点光学系が対物レンズ瞳からの光線を略平行光線に近い収斂光線に変換する第1の瞳投影レンズ群と、略平行光線を光電子増倍管に集光させる第2の瞳投影レンズ群が配置され、第1の瞳投影レンズ群と第2の瞳投影レンズ群にレーザーカットフィルターダイクロミラーを備えた構成が望ましい。

0095

本レーザ走査型顕微鏡は蛍光検出範囲をレーザ走査範囲よりも広くしているため、従来の非共焦点検出系より蛍光を光電子増倍管に入射させることが難しくなる。このため、非共焦点検出系を第1の瞳投影レンズ群と第2の瞳投影レンズ群とで分けた構成とし、その間は光線が広がらないようにほぼ収斂光線で設計するのが望ましい。発散光線で構成すると、後に配置するフィルタやレンズの径が大きくなるので、好ましくない。第1の瞳投影レンズ群と第2の瞳投影レンズ群の間にはレーザカットフィルタダイクロイックミラーを配置して、蛍光の2波長分離を行う。フィルタ、ダイクロイックミラーには入射角度特性があるため、第1の瞳投影レンズ群と第2の瞳投影レンズ群の間の光線は±5度程度の収斂光線となっているのが望ましい。

発明の効果

0096

本発明によれば、多光子励起レーザー走査型顕微鏡に最適な対物レンズと、それを用いた多光子励起レーザー走査型顕微鏡を提供できる。
すなわち、広視野(低倍)で高開口数でありながら、作動距離も長くて大きなアクセス角を持った赤外光に対して適切に収差補正された顕微鏡対物レンズが提供される。
また、対物レンズとレーザー走査型顕微鏡の多光子励起観察を行うために最適化される。

図面の簡単な説明

0097

本発明実施の顕微鏡対物レンズの実施例1のレンズ断面図である。
本発明実施の顕微鏡対物レンズの実施例2のレンズ断面図である。
本発明実施の顕微鏡対物レンズの実施例3のレンズ断面図である。
本発明実施の顕微鏡対物レンズの実施例4のレンズ断面図である。
本発明実施の顕微鏡対物レンズの実施例5のレンズ断面図である。
本発明実施の顕微鏡対物レンズの実施例6のレンズ断面図である。
本発明の実施例1の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0mm時の収差図である。
本発明の実施例1の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0.3mm時の収差図である。
本発明の実施例1の顕微鏡対物レンズにおける標本厚1.2mm時の収差図である。
本発明の実施例2の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0mm時の収差図である。
本発明の実施例2の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0.3mm時の収差図である。
本発明の実施例2の顕微鏡対物レンズにおける標本厚1.2mm時の収差図である。
本発明の実施例3の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0mm時の収差図である。
本発明の実施例3の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0.3mm時の収差図である。
本発明の実施例3の顕微鏡対物レンズにおける標本厚1.2mm時の収差図である。
本発明の実施例4の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0mm時の収差図である。
本発明の実施例4の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0.3mm時の収差図である。
本発明の実施例4の顕微鏡対物レンズにおける標本厚1.2mm時の収差図である。
本発明の実施例5の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0mm時の収差図である。
本発明の実施例5の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0.3mm時の収差図である。
本発明の実施例5の顕微鏡対物レンズにおける標本厚1.2mm時の収差図である。
本発明の実施例6の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0mm時の収差図である。
本発明の実施例6の顕微鏡対物レンズにおける標本厚0.3mm時の収差図である。
本発明の実施例6の顕微鏡対物レンズにおける標本厚1.2mm時の収差図である。
各実施例の顕微鏡対物レンズと組み合わせて用いる結像レンズの断面図である。
本発明の実施例1の顕微鏡対物レンズにおける鏡枠の構成例である。
本発明の実施例3の顕微鏡対物レンズにおける鏡枠の構成例である。
本願発明の顕微鏡対物レンズを利用したレーザー走査型顕微鏡システムの模式図である。
本願発明の顕微鏡対物レンズを利用したレーザー走査型顕微鏡システムの模式図である。
本願発明の実施例に利用する非共焦点検出光学系の瞳追跡光線図である。
本願発明を利用したレーザー走査型顕微鏡システムにおける検出光学系の検出効率を示す模式図である。
本願発明を充足する対物レンズ、及び充足しない対物レンズを用いた多光子励起観察画像である。

0098

以下に、本発明実施の形態の顕微鏡対物レンズのレンズデータを示す。記号は、上記の他、NAは開口数、WDは作動距離、βは倍率、fは焦点距離である。実施例1から6は何れも対物レンズからの射出光が平行光束となる無限遠補正型の対物レンズであり、これら単体では結像しない。そこで、例えば後述のレンズデータを有し、図25にレンズ断面図を示す結像レンズと組み合わせて使用される。なお、実施例1から6において、r1、r2…は物体側から順に示した各レンズ面の曲率半径、d1、d2…は物体側から順に示した各レンズの面間隔、nd1、nd2…は物体側から順に示したd線の屈折率、νd1、νd2…は物体側から順に示した各レンズのアッベ数である。

0099

これらの実施例は液浸として水を用いたもので水のd線に対する屈折率1.33422、アッベ数は55.89である。また、本発明による対物レンズは標本の深い部位にも対応している。そのとき標本の光学特性はd線に対する屈折率1.36、アッベ数は58としている。この値は動物の脳のような標本を想定した値となっている。

0100

実施例1は、図1の断面図に示すように、第1レンズ群G1は、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの接合レンズとメニスカスレンズにより構成される。第2レンズ群G2は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズ2枚と凸レンズの3枚接合レンズにより構成される。第3レンズ群G3は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズと両凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの3枚接合レンズより構成される。第4レンズ群G4は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズ2枚の接合レンズより構成される。第5レンズ群G5は物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ2枚から構成される。
ここで、第2レンズ群G2は第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の間を相対的に移動することによって収差を補正する。
以下に、実施例1のレンズデータを示す。
NA=1.05,WD=1.7293(媒質nd=1.36厚0.3mm時), f=7.1838, β=25
s r d nd vd
1INF1.15 1.45852 67.83
2 -5.9903 5.7088 1.7725 49.6
3 -6.8605 0.477
4 -36.5263 3.6 1.56907 71.3
5 -13.6341 1.1825
6 24.2042 4 1.497 81.14
7 126.6562 1.9 1.673 38.15
8 15.1716 9 1.43875 94.93
9 -17.894 0.5919
10 43.9925 1.9 1.673 38.15
11 13.7154 9.6635 1.43875 94.97
12 -12.6287 1.9 1.741 52.64
13 -21.88 0.27
14 10.9415 10.0246 1.497 81.14
15 35.2043 2.1621 1.741 52.64
16 6.0773 5.7728
17 -8.0008 2.2 1.6134 44.27
18 -15.3052 8.2967
19 -18.6412 2.8 1.673 38.15
20 -12.2826 6.3468

(1) h1/h0 = 0.861383
(2) h2/h = 0.517652
(3) h3/h1 = 0.863643
(4) f4/f5 = -0.02914
(4') Ro4/h1 = 1.245826
(5) |f/f3| = 0.066865
(6) |f2/f3| = 0.320606
(8) f/f2 = 0.208557
(9) Do/f = 11.2957
(10) NA×f = 7.54299
(11),(12) | (tanω1)(tanω1+2/h4) - (tanω2)(tanω2+2/h5)| = 0.00179
(13) do+di = 1.77435
(14) | βs | = 5.52344
(15) (n2-n1)/ra = 0.052423
(16) dt1/f = 0.280208
(17) dt2 = 0.477
(18) nd5p = 1.673
(19) νd5p = 38.15
(20) νpa-νna = 27.2075
(21) n1−nw = 0.129
(22) rb/dt3 = 2.08
(23) fs/f = 1.76
(24) dt5 − dt4 = 4.56

0101

上記の構成において、第2レンズ群(r6からr9)を移動させることにより、カバーガラスの有無と標本中の深さに係わる収差と使用波長毎に異なる収差を補正する。

0102

以下では、標本の深さに応じて動かす第2レンズ群の移動量を示す。ここでは、レンズデータ中の面間隔d5とd9が、それぞれ移動群前間隔doと移動群後間隔diに対応している。
媒質(nd=1.36)厚 0mm 0.3mm 1.2mm
WD 2.01296 1.7293 0.87927
移動群前間隔do 1.33569 1.18246 0.70529
移動群後間隔di 0.43866 0.59192 1.06906
do+di 1.77435 1.77438 1.77435

0103

実施例1は対物レンズからの射出光が平行光束となる無限遠補正型の対物レンズであり、後述の図25にレンズ断面図を示す結像レンズと組み合わせて使用される。以下ではこのときの収差図を開示する。ただし、これらの収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)はコマ収差を示す。これら収差図中のIHは、像高を示す。

0104

図7図8図9は実施例1の構成の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて標本中の深さがそれぞれ0mmと0.3mmと1.2mm時の可視光収差図である。このとき、標本のd線に対する屈折率は1.36、アッベ数は58とし、標本と対物レンズの先端を満たす水のd線に対する屈折率1.33422、アッベ数は55.89とした。ただし、第2レンズ群の位置は上記表に従う。

0105

実施例2は、図2の断面図に示すように、第1レンズ群G1は、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの接合レンズとメニスカスレンズにより構成される。第2レンズ群G2は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズ2枚と凸レンズの3枚接合レンズにより構成される。第3レンズ群G3は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズと両凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの3枚接合レンズより構成される。第4レンズ群G4は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズ2枚の接合レンズより構成される。第5レンズ群G5は物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ2枚から構成される。
ここで、第2レンズ群G2は第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の間を相対的に移動することによって収差を補正する。
以下に、実施例2のレンズデータを示す。
NA=1.05,WD=1.716(媒質nd=1.36厚0.3mm時), f=7.16926, β=25
s r d Nd vd
1INF1.5 1.45847 67.72
2 -11.7569 5.4888 1.7725 49.6
3 -7.4259 0.3662
4 -36.4575 4.4573 1.56907 71.3
5 -13.4012 0.8091
6 27.4292 3.2954 1.497 81.14
7 382.5801 1.9 1.673 38.15
8 15.1216 9.804 1.43875 94.93
9 -18.4144 0.47
10 35.016 1.9 1.673 38.15
11 13.9356 9.7419 1.43875 94.97
12 -15.0043 1.9 1.741 52.64
13 -28.5245 0.27
14 10.7404 10.7922 1.497 81.14
15 50 2.2 1.7725 49.6
16 5.6752 4.7658
17 -7.713 2.2 1.48749 70.23
18 -9.7277 10.8562
19 -13.0019 3 1.673 38.15
20 -11.2539 -2.7573

(1) h1/h0 = 0.86881013
(2) h2/h = 0.48948784
(3) h3/h1 = 0.83891124
(4) f4/f5 = -0.2659539
(4') Ro4/h1 = 1.19725974
(5) |f/f3| = 0.06339608
(6) |f2/f3| = 0.34358661
(8) f/f2 = 0.18451266
(9) Do/f = 10.4816108
(10) NA×f = 7.527723
(11),(12) | (tanω1)(tanω1+2/h4) - (tanω2)(tanω2+2/h5)| = 0.000709
(13) do+di = 1.27907
(14) | βs | = 8.4403965
(15) (n2-n1)/ra = 0.02671027
(16) dt1/f = 0.27943051
(18) nd5p = 1.673
(19) νd5p = 38.15
(20) νpa-νna = 22.6235
(21) n1−nw = 0.129
(22) rb / dt3 = 3.66
(23) fs/f = 1.62
(24) dt5 - dt4 = 3.99

0106

上記の構成において、第2レンズ群(r6からr9)を移動させることにより、カバーガラスの有無と標本中の深さに係わる収差と使用波長毎に異なる収差を補正する。

0107

以下では、標本の深さに応じて動かす第2レンズ群の移動量を示す。ここでは、レンズデータ中の面間隔d5とd9が、それぞれ移動群前間隔doと移動群後間隔diに対応している。
媒質(nd=1.36)厚 0mm 0.3mm 1.2mm
W.D 2.00331 1.71604 0.86
移動群前間隔do 0.91886 0.80908 0.38398
移動群後間隔di 0.36021 0.46998 0.89508
do+di 1.27907 1.27906 1.27906

0108

実施例2は対物レンズからの射出光が平行光束となる無限遠補正型の対物レンズであり、後述の図25にレンズ断面図を示す結像レンズと組み合わせて使用される。以下ではこのときの収差図を開示する。ただし、これらの収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)はコマ収差を示す。これら収差図中のIHは、像高を示す。

0109

図10図11図12は実施例2の構成の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて標本中の深さがそれぞれ0mmと0.3mmと1.2mm時の可視光収差図である。このとき、標本のd線に対する屈折率は1.36、アッベ数は58とし、標本と対物レンズの先端を満たす水のd線に対する屈折率1.33422、アッベ数は55.89とした。ただし、第2レンズ群の位置は上記表に従う。

0110

実施例3は、図3の断面図に示すように、第1レンズ群G1は、物体側に平面を向けた平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの接合レンズと両凸レンズにより構成される。第2レンズ群G2は両凸レンズと物体側に凹面を向けた平凹レンズと平凸レンズより構成される。第3レンズ群G3は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズと両凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの3枚接合レンズと両凸レンズと両凹レンズの接合レンズより構成される。第4レンズ群G4は物体側に凹面を向けたメニスカスレンズと両凸レンズにより構成される。
ここで、第3レンズ群G3は第2レンズ群G2と第4レンズ群G4の間を相対的に移動することによって収差を補正する。
以下に、実施例3のレンズデータを示す。
NA=1.05, WD=1.7506(媒質nd=1.36厚0.3mm時), f=7.194006, β=25
s r d nd vd
1INF0.92 1.45852 67.83
2 -5.2326 6.3714 1.7725 49.6
3 -7.0187 0.8371
4 74.2279 5 1.56907 71.3
5 -17.9499 0.3797
6 33.8822 7.9915 1.497 81.14
7 -13.6493 2.1 1.673 38.15
8 INF 5.3738 1.43875 94.93
9 -19.0013 0.6008
10 54.4017 1.9 1.6134 44.27
11 13.6682 9.8737 1.43875 94.97
12 -11.0022 1.9 1.741 52.64
13 -26.8938 0.9043
14 10.0655 10.2751 1.497 81.14
15 -33.5963 2.1621 1.741 52.64
16 6.1579 4.1814
17 -9.2881 2.2 1.6134 44.27
18 -23.2465 7.1445
19 74.4613 3.8 1.673 38.15
20 -26.9715 -3.124

(1) h1/h0 = 0.804825
(2) h2/h = 0.524671
(3) h3/h1 = 0.924573
(4) f4/f5 = -0.3618
(4') Ro4/h1 = 1.235588
(5) |f/f3| = 0.0028
(6) |f2/f3| = 0.01639
(7) | β3 | = 1.068896
(8) f/f2 = 0.170827
(9) Do/f = 10.14901
(10) NA×f = 7.553706
(11),(12) | (tanω1)(tanω1+2/h4) - (tanω2)(tanω2+2/h5)| = 0.003179
(13) do+di = 1.50515
(14) | βs | = 1.068896
(15) (n2-n1)/ra = 0.060014
(16) dt1/f = 0.284326
(17) dt2 = 0.8371
(18) nd5p = 1.673
(19) νd5p = 38.15
(20) νpa-νna = 25.9835
(21) n1−nw = 0.129
(22) rb/dt3 = 1.96
(23) fs/f = 1.88
(24) dt5 − dt4 = 5.45

0111

上記の構成において、第3レンズ群(r10からr13)を移動させることにより、カバーガラスの有無と標本中の深さに係わる収差と使用波長毎に異なる収差を補正する。

0112

以下では、標本の深さに応じて動かす第3レンズ群の移動量を示す。ここでは、レンズデータ中の面間隔d9とd13が、それぞれ移動群前間隔doと移動群後間隔diに対応している。
媒質(nd=1.36)厚 0mm 0.3mm 1.2mm
WD 2.04544 1.75063 0.86629
移動群前間隔do 0.50057 0.60085 0.91058
移動群後間隔di 1.00458 0.90431 0.59458
do+di 1.50515 1.50516 1.50516

0113

実施例3は対物レンズからの射出光が平行光束となる無限遠補正型の対物レンズであり、後述の図25にレンズ断面図を示す結像レンズと組み合わせて使用される。以下ではこのときの収差図を開示する。ただし、これらの収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)はコマ収差を示す。これら収差図中のIHは、像高を示す。

0114

図13図14図15は実施例3の構成の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて標本中の深さがそれぞれ0mmと0.3mmと1.2mm時の可視光収差図である。このとき、標本のd線に対する屈折率は1.36、アッベ数は58とし、標本と対物レンズの先端を満たす水のd線に対する屈折率1.33422、アッベ数は55.89とした。ただし、第3レンズ群の位置は上記表に従う。

0115

実施例4は、図4の断面図に示すように、第1レンズ群G1は、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの接合レンズとメニスカスレンズにより構成される。第2レンズ群G2は、像面側に凹面を向けたメニスカスレンズ2枚と凸レンズの3枚接合レンズにより構成される。第3レンズ群G3は、像面側に凹面を向けたメニスカスレンズと両凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの3枚接合レンズより構成される。第4レンズ群G4は、像面側に凹面を向けたメニスカスレンズ2枚の接合レンズより構成される。第5レンズ群G5は、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ1枚から構成される。
ここで、第2レンズ群G2は第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の間を相対的に移動することによって収差を補正する。
以下に、実施例4のレンズデータを示す。
NA=1.05, WD=1.8048(媒質nd=1.36厚0.3mm時), f=7.134036, β=25
s r d nd vd
1INF1.5 1.45847 67.72
2 -6.0537 4.4108 1.7725 49.6
3 -6.3534 0.3535
4 -28.0186 3.2799 1.56907 71.3
5 -11.5946 0.8915
6 19.6651 5.2839 1.43875 94.93
7 66.3182 1.9 1.673 38.15
8 13.2047 9.7803 1.43875 94.93
9 -18.7485 0.5098
10 42.8888 1.9 1.741 52.64
11 14.9377 9.5309 1.43875 94.97
12 -13.1562 1.9 1.673 38.15
13 -24.7961 0.2701
14 10.6159 10.2209 1.497 81.14
15 160.6704 2.2 1.741 52.64
16 5.9115 14.8078
17 -10.7329 3 1.673 38.15
18 -9.7731 0.5553

(1) h1/h0 = 0.931453
(2) h2/h = 0.524893
(3) h3/h1 = 0.846295
(4) f4/f5 = -0.46566
(4') Ro4/h1 = 1.179629
(5) |f/f3| = 0.052587
(6) |f2/f3| = 0.253905
(8) f/f2 = 0.207112
(9) Do/f = 10.45963
(10) NA×f = 7.490738
(11),(12) | (tanω1)(tanω1+2/h4) - (tanω2)(tanω2+2/h5)| = 0.000248
(13) do+di = 1.40128
(14) | βs | = 0.25979
(15) (n2-n1)/ra = 0.051874
(18) nd5p = 1.673
(19) νd5p = 38.15
(20) νpa-νna = 28.93125
(21) n1−nw = 0.129
(22) rb/dt3 = 1.02
(23) fs/f = 1.64
(24) dt5 - dt4 = 2.91

0116

上記の構成において、第2レンズ群(r6からr9)を移動させることにより、カバーガラスの有無と標本中の深さに係わる収差と使用波長毎に異なる収差を補正する。

0117

以下では、標本の深さに応じて動かす第2レンズ群の移動量を示す。ここでは、レンズデータ中の面間隔d5とd9が、それぞれ移動群前間隔doと移動群後間隔diに対応している。
媒質(nd=1.36)厚 0mm 0.3mm 1.2mm
WD 1.80484 2.08661 0.96613
移動群前間隔do 0.89149 1.05172 0.31837
移動群後間隔di 0.50979 0.34956 1.08292
do+di 1.40128 1.40128 1.40129

0118

実施例4は対物レンズからの射出光が平行光束となる無限遠補正型の対物レンズであり、後述の図25にレンズ断面図を示す結像レンズと組み合わせて使用される。以下ではこのときの収差図を開示する。ただし、これらの収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)はコマ収差を示す。これら収差図中のIHは、像高を示す。

0119

図16図17図18は実施例4の構成の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて標本中の深さがそれぞれ0mmと0.3mmと1.2mm時の可視光収差図である。このとき、標本のd線に対する屈折率は1.36、アッベ数は58とし、標本と対物レンズの先端を満たす水のd線に対する屈折率1.33422、アッベ数は55.89とした。ただし、第2レンズ群の位置は上記表に従う。

0120

実施例5は、図5の断面図に示すように、第1レンズ群G1は、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとの接合レンズと両凸レンズにより構成される。第2レンズ群G2は両凸レンズと物体側に凹面を向けた平凹レンズと平凹レンズとの3枚接合レンズにより構成される。第3レンズ群G3は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズと両凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとの3枚接合レンズより構成される。第4レンズ群G4は凸レンズと凹レンズ2枚との接合レンズより構成される。第5レンズ群G5は物体側に凹面を向けたメニスカスレンズと両凸レンズから構成される。
ここで、第3レンズ群G3は第2レンズ群G2と第4レンズ群G4の間を相対的に移動することによって収差を補正する。
以下に、実施例5のレンズデータを示す。
NA=1.05,WD=1.7607(媒質nd=1.36厚0.3mm時), f=7.1930, β=25
s r d nd vd
1INF0.92 1.45852 67.83
2 -5.1557 6.3714 1.7725 49.6
3 -7.0345 0.6255
4 75.6448 5 1.56907 71.3
5 -17.8511 0.5476
6 35.866 7.9936 1.497 81.14
7 -13.5584 2.1075 1.673 38.15
8 INF 5.3826 1.43875 94.93
9 -18.9286 0.5958
10 53.4526 1.8974 1.61336 44.49
11 13.6516 9.8713 1.43875 94.97
12 -11.2095 1.9033 1.72916 54.68
13 -26.2738 1.2027
14 10.096 10.2751 1.497 81.14
15 -35.0452 2.1608 1.741 52.64
16 6.1297 4.0132
17 -9.2205 2.2003 1.61336 44.49
18 -23.5 7.2144
19 74.109 3.8 1.673 38.15
20 -27.2713 1.471

(1) h1/h0 = 0.782058484
(2) h2/h = 0.521842174
(3) h3/h1 = 0.914280088
(4) f4/f5 = -0.329806896
(4') Ro4/h1 = 1.223314189
(5) |f/f3| = 0.010885278
(6) |f2/f3| = 0.065545067
(7) | β3 | = 0.871130021
(8) f/f2 = 0.166073182
(9) Do/f = 10.81388957
(10) NA×f = 7.576731872
(11),(12) | (tanω1)(tanω1+2/h4) - (tanω2)(tanω2+2/h5)| = 0.002439
(13) do+di = 1.79854
(14) | βs | = 0.871130021
(15) (n2-n1)/ra = 0.060909285
(16) dt1/f = 0.285708881
(17) dt2 = 0.6255
(18) nd5p = 1.673
(19) νd5p = 38.15
(20) νpa-νna = 25.4925
(21) n1−nw = 0.129
(22) rb/dt3 = 1.64
(23) fs/f = 1.91
(24) dt5 − dt4 = 5.45

0121

上記の構成において、第3レンズ群(r10からr13)を移動させることにより、カバーガラスの有無と標本中の深さに係わる収差と使用波長毎に異なる収差を補正する。

0122

以下では、標本の深さに応じて動かす第3レンズ群の移動量を示す。ここでは、レンズデータ中の面間隔d9とd13が、それぞれ移動群前間隔doと移動群後間隔diに対応している。

媒質(n=1.35784)厚 0mm 0.3mm 1.2mm
WD 2.05514 1.76073 0.87742
移動群前間隔 do 0.46698 0.59583 0.91827
移動群後間隔 di 1.33155 1.20271 0.88026
do+di 1.79853 1.79854 1.79853

0123

実施例5は対物レンズからの射出光が平行光束となる無限遠補正型の対物レンズであり、後述の図25にレンズ断面図を示す結像レンズと組み合わせて使用される。以下ではこのときの収差図を開示する。ただし、これらの収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)はコマ収差を示す。これら収差図中のIHは、像高を示す。

0124

図19図20図21は実施例1の構成の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて標本中の深さがそれぞれ0mmと0.3mmと1.2mm時の可視光収差図である。このとき、標本のd線に対する屈折率は1.36、アッベ数は58とし、標本と対物レンズの先端を満たす水のd線に対する屈折率1.33422、アッベ数は55.89とした。ただし、第3レンズ群の位置は上記表に従う。

0125

実施例6は、図6の断面図に示すように、第1レンズ群G1は、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの接合レンズとメニスカスレンズにより構成される。第2レンズ群G2は両凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとメニスカスレンズとの3枚接合レンズにより構成される。第3レンズ群G3は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズと両凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの3枚接合レンズより構成される。第4レンズ群G4は像面側に凹面を向けたメニスカスレンズ2枚の接合レンズより構成される。第5レンズ群G5は物体側に凹面を向けたメニスカスレンズと両凸レンズから構成される。
ここで、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3は第1レンズ群G1と第4レンズ群G4の間を相対的に移動することによって収差を補正する。
以下に、実施例6のレンズデータを示す。
NA=1.06,WD=1.6846(媒質nd=1.36厚0.3mm時), f=7.2041, β=25
s r d nd vd
1INF0.92 1.45852 67.83
2 -8.3317 6.3714 1.7725 49.6
3 -8.1014 0.2884
4 -44.2568 5 1.56907 71.3
5 -12.2608 0.9519
6 37.9764 7.8376 1.497 81.14
7 -13.1109 1.6833 1.673 38.15
8 -51.2909 4.5572 1.43875 94.93
9 -18.8909 0.4909
10 50.7843 1.8173 1.61336 44.49
11 15.4861 9.3702 1.43875 94.97
12 -13.2615 1.5 1.72916 54.68
13 -31.4258 0.8997
14 13.0111 10.2751 1.497 81.14
15 42.2409 4.2428 1.741 52.64
16 7.7259 10.5896
17 -12.0786 1.985 1.63775 42.41
18 -24.4346 7.6247
19 73.9503 3.9403 1.738 32.26
20 -57.1062 -2.5

(1) h1/h0 = 0.845668559
(2) h2/h = 0.542324369
(3) h3/h1 = 0.800138675
(4) f4/f5 = -0.22179378
(4') Ro4/h1 = 1.362835501
(5) |f/f3| = 0.01899509
(6) |f2/f3| = 0.101410126
(8) f/f2 = 0.187309599
(9) Do/f = 11.14710447
(10) NA×f = 7.555540563
(11),(12) | (tanω1)(tanω1+2/h4) - (tanω2)(tanω2+2/h5)| = 0.0009571
(13) do+di = 1.8516
(14) | βs | = 2.74815908
(15) (n2-n1)/ra = 0.037690987
(16) dt1/f = 0.274817927
(18) nd5p = 1.72021
(19) νd5p = 32.26
(20) νpa-νna = 25.17225
(21) n1−nw = 0.129
(23) fs/f = 1.97
(24) dt5 − dt4 = 5.45

0126

上記の構成において、第2レンズ群と第3レンズ群(r6からr13)を一体として移動させることにより、カバーガラスの有無と標本中の深さに係わる収差と使用波長毎に異なる収差を補正する。

0127

以下では、標本の深さに応じて動かす第2レンズ群と第3レンズ群の移動量を示す。ここでは、レンズデータ中の面間隔d5とd13によって、それぞれ移動群前間隔doと移動群後間隔diに対応している。
媒質(n=1.35784)厚 0mm 0.3mm 1.2mm
WD 1.97226 1.68462 0.821
移動群前間隔do 1.09052 0.95192 0.54639
移動群後間隔di 0.76921 0.89968 1.307
do+di 1.85973 1.8516 1.85339

0128

実施例6は対物レンズからの射出光が平行光束となる無限遠補正型の対物レンズであり、後述の図25にレンズ断面図を示す結像レンズと組み合わせて使用される。以下ではこのときの収差図を開示する。ただし、これらの収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)はコマ収差を示す。これら収差図中のIHは、像高を示す。

0129

図22図23図24は実施例6の構成の液浸系顕微鏡対物レンズにおいて標本中の深さがそれぞれ0mmと0.3mmと1.2mm時の可視光収差図である。このとき、標本のd線に対する屈折率は1.36、アッベ数は58とし、標本と対物レンズの先端を満たす水のd線に対する屈折率1.33422、アッベ数は55.89とした。ただし、第2レンズ群と第3レンズ群の位置は上記表に従う。

0130

実施例1〜6は何れも対物レンズからの射出光が平行光束となる無限遠補正型の対物レンズであり、これら単体では結像しない。そこで、例えば以下に示すレンズデータを有し、図25にレンズ断面図を示す結像レンズと組み合わせて使用される。なお、r1、r2…は物体側から順に示した各レンズ面の曲率半径、d1、d2…は物体側から順に示した各レンズの面間隔、nd1、nd2…は物体側から順に示したd線の屈折率、νd1、νd2…は物体側から順に示した各レンズのアッベ数である。
R1 = 68.7541 d1 = 7.7321 nd1 = 1.48749 νd1 = 70.21
R2 = -37.5679 d2 = 3.4742 nd2 = 1.8061 νd2 = 40.95
R3 = -102.848 d3 = 0.6973
R4 = 84.3099 d4 = 6.0238 nd3 = 1.834 νd3 = 37.17
R5 = -50.71 d5 = 3.0298 nd4 = 1.6445 νd4 = 40.82
R6 = 40.6619 d6 = 9.0375

0131

この場合、実施例1〜6対物レンズと図25の結像レンズとの間の間隔は50mm〜170mm間の何れの位置でもよいが、図7から図24に示された収差図はこの間隔を120mmとした場合のものである。なお、上記間隔が50mm〜170mmの間で120mm以外の位置においても、同様の収差状況を示す。

0132

図26は、本発明の実施における鏡枠および鏡胴を含めた形態を示している。図26に示された対物レンズの鏡枠の構成は、本発明の実施例1に記載のレンズデータに基づいたレンズ構成を参照して作られている。

0133

図26に示されるように、本発明の対物レンズは、接合レンズあるいは単体レンズごとに鏡枠16A,B,C・・・によって保持される。そして鏡枠16A,B,C・・・が鏡胴17の内部に積層されて配置されることによって、各々のレンズが所定の位置に配置される。さらに、鏡胴16はカバー18によって保護されている。

0134

本発明の実施による顕微鏡対物レンズは、パッチクランプ法のように顕微鏡観察時に標本へのアクセスを伴う検鏡法に好適な形状をしている。すなわち、対物レンズの物体側の先端部は先鋭化され、作業空間が確保されている。なお、いわゆるアクセス角という尺度では、本実施例は34°43’となっている。

0135

さらに、本実施例では先端部を先鋭化するだけでなく、先端部を絶縁体のカバーで覆うことによって、実験器具との干渉を防いでいる。パッチクランプ法では標本内の微弱な電流を検出するために電極を使う。それゆえに、顕微鏡の対物レンズを絶縁することは非常に重要となってくる。通常の顕微鏡の鏡枠および鏡胴は真鍮で作られている。本実施例では、最先端の鏡枠16Aを絶縁体カバー19で覆うことにより、顕微鏡と標本および実験器具を絶縁している。

0136

図27は、本発明の実施における鏡枠および鏡胴を含めた形態を示している。図27に示された対物レンズの鏡枠の構成は、本発明の実施例3に記載のレンズデータに基づいたレンズ構成を参照して作られている。

0137

図27に示されるように、本発明の対物レンズは、接合レンズあるいは単体レンズごとに鏡枠16A,B,C・・・によって保持される。そして鏡枠16A,B,C・・・が鏡胴17の内部に積層されて配置されることによって、各々のレンズが所定の位置に配置される。さらに、鏡胴16はカバー18によって保護されている。
本実施例の顕微鏡対物レンズも物体側の先端部が先鋭化され、絶縁体カバー19で先端部の鏡枠16Aが覆われている。

0138

さらに、実施例3のレンズ構成では、2番目に物体側のレンズ群g2が両凸のレンズである。このことによって、レンズ群g2の縁がレンズ群g1から離れるため、レンズ群g1をよりアクセス角を大きくして保持することができる。その結果、本実施例では単にアクセス角を大きくするだけではなく、絶縁体カバー19とカバー18の接続部付近の作業空間も大きく確保することができている。なお、ここでは実施例3の記載における第1レンズ群G1を、最も物体側のレンズ群g1と2番目に物体側のレンズ群g2とに細分化して説明をした。

0139

以下では本願発明の顕微鏡対物レンズを活用するために好適なレーザー走査型顕微鏡システムの実施の形態を示す。なお、これらのレーザー走査型顕微鏡システムは本願発明の顕微鏡対物レンズに限らず同様な性能を持った顕微鏡対物レンズと共に利用された場合には、本発明の実施と同等の効果を発揮する。

0140

図28は、本願発明の顕微鏡対物レンズを利用した本願発明によるレーザー走査型顕微鏡システムの形態を模式的に示したものである。

0141

不図示のレーザー光源から導入された照明用レーザーはガルバノミラー1によって走査され、瞳投影レンズ2と結像レンズ3によってリレーされ、対物レンズ4に入射される。このとき、レーザーはガルバノミラーの径を満たすようにされ、ガルバノミラー1は入射されたレーザーを90度の角度で反射させながら走査(偏向)を行う。すなわちレーザーの入射方向と反射面との角度は45度となる。

0142

このときガルバノミラーのサイズを6mm×6mmとし、瞳投影レンズの焦点距離を50mm、結像レンズの焦点距離を180mmとすると、ガルバノミラーを射出するビーム径は6×sin45°となり、対物レンズに入射するビーム径は以下のようになる。
ビーム径=(6×sin45°)×ftl/fpl=15.27mm

0143

なお、レーザー偏向手段はガルバノミラーに限らず音響光学素子(AO)や電気光学素子(EO)を使っても構わない。これらの場合は射出されるビーム径を用いて計算を行う。

0144

また、本実施例で利用する対物レンズを実施例1に記載の対物レンズとすると、瞳径は2×NAxf=15.12となり、瞳径とビーム径はほぼ等しい値となる。つまり、本構成はビーム径を有効に利用できるような瞳径となる構成を取っている。

0145

非共焦点検出光路共焦点光路(1、2、3)とは別の光路となっており、本実施例ではダイクロイックミラー5によって分割され、共焦点光路よりも遠方に配置されている。このとき、ダイクロイックミラー5は挿脱可能に配置され、交換が可能な構成となっている。さらに、非共焦点検出光路は目視観察用接眼部6への光路とミラー7によって切り換え可能になっている。

0146

詳細は後述するが、非共焦点検出光路は第1の瞳投影レンズ8とレーザーカットフィルター9とバリアフィルター10と第2の瞳投影レンズ11と検出器12で主に構成されている。本実施例ではダイクロイックミラー13を使って2チャンネル検出を行う構成を図示している。なお、検出器12は微弱な蛍光を検出するために光電子増倍管であることが望ましい。

0147

第1の瞳投影レンズ8と第2の瞳投影レンズ11は対物レンズ4の瞳を検出器12の検出面に投影し、レーザーカットフィルター9は励起光として用いた赤外光が検出されないように排除し、バリアフィルター10は検出したい波長の光を取捨選択するために用いられる。

0148

図28に示される実施の形態では、さらに広視野照明光学系も含まれている。本実施の形態では、結像レンズ3と瞳投影レンズ2の間にダイクロイックミラー14を配置して、照明導入光学系15によって照明光を導入している。このダイクロイックミラー14は挿脱可能に配置され、広視野照明利用時に適切なものを選択する。本構成によれば外部検出系と共焦点光学系、広視野照明光学系は独立で切替可能なため、試料面を刺激しながらの観察が容易にでき好適である。

0149

図29は、本願発明の顕微鏡対物レンズを利用した本願発明によるレーザー走査型顕微鏡システムの別の形態を模式的に示したものである。実施例9との違いは共焦点検出光路が共焦点光路よりも対物レンズ側に配置された構成にある。

0150

すなわち、対物レンズ4によって集められた蛍光はダイクロイックミラー5によって反射され非共焦点検出光路へと導かれる。そして実施例5と同様に、非共焦点検出光路は第1の瞳投影レンズ8とレーザーカットフィルター9とバリアフィルター10と第2の瞳投影レンズ11と検出器12で主に構成されている。

0151

一方共焦点光路は、ミラー7によって目視観察用接眼部6への光路と切り換えされ、レーザーを対物レンズへ入射する。そして共焦点光路は実施例9と同様に、ガルバノミラー1と瞳投影レンズ2と結像レンズ3および照明導入光学系15とダイクロイックミラー14で構成されている。
ここで図30を使って、実施例7と実施例8に共通して用いられた非共焦点検出光学系の光学的性質について説明する。

0152

図30において、r1は対物レンズの瞳面、r2は対物レンズの胴付き、r3,r4は第1の瞳投影レンズのレンズ面、r5,r6は第2の瞳投影レンズのレンズ面、r7は検出器12の検出面を表している。このとき、それぞれのレンズデータは以下の表に示すとおりである。
s r d nd vd
1INF50 1
2 INF 192.2 1
3 90 6 1.48915 70.23
4 -200 197.8 1
5 35 10 1.51825 64.24
6 -50 20 1
7 INF 0 1

0153

同図から読み取れるように、第1の瞳投影レンズ8と第2の瞳投影レンズ12の間は収斂光束となっている。本願発明に係わるレーザー走査型顕微鏡では散乱光を可能な限り多く検出するために対物レンズの視野を大きくすると共に、対物レンズで集められた蛍光を効率よく検出器へと導く工夫をしている。標本上で光軸から離れた場所から集められた蛍光は、対物レンズから角度を持って射出される。すなわち、第1の瞳投影レンズ8は径を大きくしたほうが効率よく蛍光を導くことがでる。また、その後の光束を収斂光束とすることによって検出器に対して好適な照射角度で光線を導けると共に、光学系の大きさを小さくまとめることができる。

0154

しかし一方では、第1の瞳投影レンズ8と第2の瞳投影レンズ12の間にはレーザーカットフィルターやダイクロイックミラーやバリアフィルターなどのフィルター類が配置される。そのために第1の瞳投影レンズ8と第2の瞳投影レンズ12の間は平行光束が理想的である。
この両方を加味した結果、本構成では光線角度は4度となっており、フィルターなどの分光特性は特に影響を受けない収束光線となっている。
また、本実施の形態では検出器の開口数NAeは0.0736と大きくなっており、実質的に蛍光観察範囲を広くしている。

0155

さらに、本実施例において例えば実施例1に記載の対物レンズを組み合わせた場合、条件式(26’)のγem/γexの値は1.55となっており、標本上の蛍光検出範囲がレーザー走査範囲よりも大きくなっていることが解る。ここでは一例として実施例1に記載の対物レンズとの組み合わせを挙げたが、その他の実施例に記載の対物レンズも実質的に等しい瞳径を持っているために、条件式(26’)を満たしていることが容易に確かめられる。

0156

ここで、実施例7と実施例8で利用された瞳投影レンズ2のレンズデータを開示する。以下に示されるレンズデータではガルバノミラー面を第1面として第10面を1次像位置とした表記をしている。つまり、本実施で利用された瞳投影レンズ2は、ガルバノミラーから順に、メニスカスレンズと凸レンズを組み合わせた2枚接合レンズと、凸レンズと凹レンズを組み合わせた2枚接合レンズと、1次像側に凹面を向けたメニスカスレンズによって構成されている。
s r d nd vd
1INF55.64 1
2 169.5554 4.6279 1.7859 44.2
3 54.3199 7.5898 1.883 40.76
4 -54.3199 0.8701 1
5 38.8719 8.1452 1.497 81.54
6 -46.855 6.7568 1.78472 25.71
7 22.8518 3.2673 1
8 26.3894 9.2559 1.80518 25.43
9 62.8196 24.2689 1
10 INF

0157

本願発明を充足する対物レンズを実際に開発し、多光子励起観察することによって、その効果を確認した。図32は、生体の中での対物レンズの解像性能を測定するために、試料中に微小蛍光ビーズを埋め込み、2フォトン顕微鏡に対物レンズを取り付け、標本表面(Z=0μm)から標本深部(Z=1200μm)まで観察深度を変えて取得した画像である。

0158

上の列の画像は本発明を満たす対物レンズ(NA=1.05,倍率β=25X)によって得られたもの、下の列の画像は特開2002−31760号公報に記載のの構成を満たす対物レンズ(NA=0.95,倍率β=20X) によって得られたものである。

0159

実施例9と同様に本実施例のレーザー偏向手段はガルバノミラーを利用し、これによって規定される最大のビーム径(S×ftl/fpl)は15.27mmである。
上列に対応する対物レンズ(NA=1.05,倍率β=25X)の瞳径2xNAxfは15.12mmであるため、(25)式の値は、0.99 となる。
一方、下列に対応する対物レンズ(NA=0.95,倍率β=20X)の瞳径2xNAxfは17.1mmであるため、(25)式の値は、1.12 となる。

0160

図32において、標本の厚みによって発生する球面収差の影響の無い標本表面(Z=0μm)で取得像を比較すると、上列左端で1〜2μmの垂直(Z)方向の解像性能を示しているのに対し、下列左端では、3〜4μm前後と広がっている。つまり、(25)式の上限値を上回ると、ニューロンなどの微細な立体構造体の網目構造が正確に把握できなくなり、さらに微細な1μm前後のスパインの観察が著しく困難になることがわかった。
標本の厚みによって発生する球面収差の影響は、標本表面(Z=0μm)から、観察深度を下げていった画像を比較すれば理解できる。

0161

上列に対応する対物レンズには球面収差補正機構の一例として、球面収差補正手段が備えられており、各観察深度において球面収差が十分補正されている。下列に対応する対物レンズには球面収差補正機構が備えられていない。
上の列を見てみると、観察深度が1200μm(Z=1200um)に到達するまで、垂直(z)方向の解像性能は標本表面(Z=0μm)と変わらない。

0162

一方、下の列を見ると深くなるほど劣化しており、1000μm前後では、5〜8umと標本表面の2倍近くに劣化している。ここまで劣化すると、微細な脳構造を把握することが不可能になる。

0163

さらに、解像性能の劣化は、取得画像の明るさにも大きく影響する。例えば、2光子励起は励起光の強度の2乗に比例した確率で励起現象が発生するため、集光点の励起密度が落ちれば、その2乗に比例して励起確率が落ちるためである。

実施例

0164

このように、球面収差補正手段によって標本の表面から深部観察まで良好な解像性能を確保することは、高解像で明るい多光子励起蛍光像取得にとって極めて重要である。

0165

G1・・・第1レンズ群
G2・・・第2レンズ群
G3・・・第3レンズ群
G4・・・第4レンズ群
G5・・・第5レンズ群
1・・・ガルバノミラー
2・・・瞳投影レンズ
3・・・結像レンズ
4・・・対物レンズ
5・・・ダイクロイックミラー
6・・・目視観察用接眼部
7・・・ミラー
8・・・第1の瞳投影レンズ
9・・・レーザーカットフィルター
10・・・バリアフィルター
11・・・第2の瞳投影レンズ
12・・・検出器
13・・・ダイクロイックミラー
14・・・ダイクロイックミラー
15・・・照明導入光学系
16・・・鏡枠
17・・・鏡胴
18・・・カバー
19・・・絶縁体カバー
g1・・・最も物体側のレンズ群
g2・・・2番目に物体側のレンズ群

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