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技術 分散シミュレーション装置

出願人 川崎重工業株式会社
発明者 柿下栄二栗田敬司田中高弘西村寛史土居騰羽柴勇児
出願日 2011年12月27日 (9年1ヶ月経過) 出願番号 2011-285064
公開日 2013年7月8日 (7年7ヶ月経過) 公開番号 2013-134648
状態 特許登録済
技術分野 マルチプロセッサ 複合演算 並列プロセッサ 特定用途計算機
主要キーワード 信号様式 保守管理性 模擬移動 統合制御機 システム表示装置 模擬環境 リアルタイムシミュレーション 再開指令
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

規模シミュレーションシステムに適用することが可能な分散シミュレーション装置を、リアルタイム性を損なわずに、コストの増大を抑えて実現する。

解決手段

シミュレータ20A〜20Nに実装されている信号通信パッケージ212は、自局に対応するシミュレータ用信号ファイル122A〜122Nと、自局の個別シミュレーションに用いられる信号データファイル221A〜221Nとを、シミュレーション統合制御部10から取得して、信号データベース213A〜213Nを生成する。個別シミュレーションを行っている間では、アプリケーションプログラム211A〜211Nからの指令を受けて信号データベース213A〜213Nの信号値を参照または更新し、他のシミュレータ20A〜20Nとの間で信号データを送受信するときには、信号データベース213A〜213Nの信号値から送受信用の信号データを生成する。

概要

背景

近年のコンピュータシステムにおいては、ハードウェアである計算機高性能化に伴って処理可能な情報量も顕著に増加しているため、コンピュータシステムそのものの規模が拡大し、そのシステム構成も複雑化している。そこで、このようなシステムの大規模化および複雑化に対応すべく分散型システムが提案されている。分散型システムは、一般的には、ネットワークで接続された複数台の計算機で並列処理を行う構成となっている。

例えば、シミュレーション装置の分野では、計算機の処理能力が十分でなければ、実際に起こり得る事象について、極端に簡略化またはデフォルメしたモデルを採用して模擬を行うことになるが、分散型システムを採用したシミュレーション装置(分散シミュレーション装置)では、大規模化および複雑化に対応できるため、より現実に近いモデルを構築して模擬を行うことが可能となっている。

ここで、分散シミュレーション装置においては、リアルタイム性の向上も重要となっている。例えば、航空機自動車鉄道車両等の移動物体であれば、周囲環境に対する移動物体の応答性能を評価する観点から高いリアルタイム性の確保が求められる。ただし、リアルタイム性の追求が結果的にリアルタイム性を損なうという矛盾した状況を導き出すおそれがある。例えば、前記移動物体のシミュレーションでは、地表面等の模擬環境模擬移動物体との間で相互に関連するデータを計算機の間で交換するため、それぞれの計算機の間では、大量のデータを高頻度かつ高速で交換(送受信)する必要がある。それゆえ、分散型システムであっても、ネットワークに処理負荷が集中するおそれがあり、結果的にリアルタイム性を保証することが困難になる。

そこで、従来から、分散シミュレーション装置のさらなる性能向上を図るために様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、シミュレーション制御機能が一極集中することによる性能低下を回避するために、シミュレーション制御機能部と分散共有メモリとを分散配置する構成が開示されている。この分散シミュレーション装置では、例えば、ある分散共有メモリの内容が変更となったときには、当該分散共有メモリに対応するシミュレーション制御機能部が、ネットワークを介して他の全てのシミュレーション制御機能部に対して変更があったことを知らせるメッセージを送信し、これにより全ての分散共有メモリの内容を同一に保持している。

また、分散シミュレーション装置の分野に限定されないが、大容量のデータをより高速で通信する手法としては、例えば、リフレクティブメモリまたはダイレクトメモリアクセスDMA)の採用、あるいは通信バスの好適化等が挙げられる。

リフレクティブメモリは、複数の計算機の間でメモリ共有可能とする手法であり、ある計算機のメモリにデータが書き込まれると、当該データはネットワークを介して他の計算機に送信され、当該計算機のメモリに直ちにコピーされる。このデータの送信からメモリへのコピーまでの一連のステップは、最初にデータが書き込まれた計算機に戻るまで順次繰り返される。

ダイレクトメモリアクセスは、各計算機演算器(CPU等)を介さずにメモリ同士で直接データを転送する手法であり、演算器とは別にデータ転送を制御する手段、例えばDMAコントローラが設けられる。演算器はDMAコントローラにデータ転送開始指令するだけで、データの転送はDMAコントローラにより制御されるので、データ転送中であっても演算器はデータ転送制御以外の演算処理を行うことができる。

通信バスに関しては、複数の計算機を通信バスで接続し、適切なプログラミングを行うことにより大容量のデータを高速で送受信可能とすることができる。一般的なモジュール同士を接続する場合には、これらの制御を簡素化することで汎用的な通信バスを用いることができ、通信バス接続に伴うプログラミングも比較的簡単なものとすることができるが、シミュレータ等として用いることが可能な計算機同士を接続する場合には、通常、専用の通信バス装置を用いて計算機の構成に応じた特別なプログラミングが行われる。

概要

大規模シミュレーションシステムに適用することが可能な分散シミュレーション装置を、リアルタイム性を損なわずに、コストの増大を抑えて実現する。シミュレータ20A〜20Nに実装されている信号通信パッケージ212は、自局に対応するシミュレータ用信号ファイル122A〜122Nと、自局の個別シミュレーションに用いられる信号データファイル221A〜221Nとを、シミュレーション統合制御部10から取得して、信号データベース213A〜213Nを生成する。個別シミュレーションを行っている間では、アプリケーションプログラム211A〜211Nからの指令を受けて信号データベース213A〜213Nの信号値を参照または更新し、他のシミュレータ20A〜20Nとの間で信号データを送受信するときには、信号データベース213A〜213Nの信号値から送受信用の信号データを生成する。

目的

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、大規模シミュレーションシステムに適用することが可能な分散シミュレーション装置を、リアルタイム性を損なわずに、コストの増大を抑えて実現することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ネットワークを介して互いに通信可能に接続され、実装されているアプリケーションプログラムによりそれぞれ個別シミュレーションを行い、当該個別シミュレーションにより生成した信号データを互いに送受信可能とする複数のシミュレータと、これらシミュレータ間の信号データの送受信を制御することにより統合シミュレーションを行うシミュレーション統合制御部と、を備え、前記ネットワークがローカルエリアネットワークであり、前記シミュレーション統合制御部は、前記シミュレータが参照可能なファイルとして、前記統合シミュレーションに用いられる全ての信号データを定義したファイルである、信号データファイルと、個々の前記シミュレータ別に信号様式を定義したファイルである、シミュレータ用信号ファイルと、を保有し、全ての前記シミュレータには、前記信号データの送受信を、共通様式かつ共通手順で行うための信号通信パッケージが実装され、前記信号通信パッケージは、自局に対応する前記シミュレータ用信号ファイルと、自局の個別シミュレーションに用いられる前記信号データファイルとを、前記シミュレーション統合制御部から取得して、信号データベースを生成し、前記個別シミュレーションを行っている間では、前記アプリケーションプログラムからの指令を受けて前記信号データベースの信号値を参照または更新し、他の前記シミュレータとの間で前記信号データを送受信するときには、前記信号データベースの信号値から送受信用の信号データを生成することを特徴とする、分散シミュレーション装置

請求項2

前記シミュレータは、前記ネットワークを介して信号データを送受信する通信部と、前記個別シミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、少なくとも前記アプリケーションプログラムおよび信号通信パッケージが記憶されている記憶部と、を備え、前記シミュレーション実行部は、前記アプリケーションプログラムおよび信号通信パッケージを起動して、前記シミュレーション統合制御部から取得した前記シミュレータ用信号ファイルおよび前記信号データファイルから前記信号データベースを生成して前記記憶部に記憶し、前記個別シミュレーションを実行する際には、前記記憶部に記憶した前記信号データベースの信号値を参照または更新することを特徴とする、請求項1に記載の分散シミュレーション装置。

請求項3

前記シミュレータの前記記憶部には、前記ネットワーク上で共有される共有記憶領域が含まれ、当該共有記憶領域は、前記ネットワーク上で仮想的な単一の記憶空間が構成されるように、前記シミュレータ毎に異なる部分領域として割り当てられ、前記シミュレータの前記シミュレーション実行部は、前記個別シミュレーションにより生成した前記信号データが、他局に割り当てられている前記部分領域に入力すべきデータであれば、当該信号データを他の前記シミュレータに送信するよう前記通信部を制御するとともに、他の前記シミュレータから受信した前記信号データが、自局に割り当てられている前記部分領域に出力すべきデータであれば、当該信号データを前記共有記憶領域に記憶することを特徴とする、請求項1または2に記載の分散シミュレーション装置。

請求項4

前記ローカルエリアネットワークがイーサネット登録商標)により構成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の分散シミュレーション装置。

請求項5

さらに、前記ネットワークを介して前記シミュレータと通信可能に接続され、当該ネットワーク外にデータを入出力可能な入出力部を備え、前記シミュレーション統合制御部は、前記シミュレータおよび前記入出力部の間での前記信号データの送受信を制御することにより前記統合シミュレーションを行うことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の分散シミュレーション装置。

請求項6

航空機シミュレーション装置として用いられることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の分散シミュレーション装置。

技術分野

0001

本発明は、複数のシミュレータの間で信号データを送受信して統合的なシミュレーションを行う分散シミュレーション装置に関し、特に、取り扱われる信号データの種類が多くデータ容量も大きい大規模シミュレーションシステムに適用することができる分散シミュレーション装置に関する。

背景技術

0002

近年のコンピュータシステムにおいては、ハードウェアである計算機高性能化に伴って処理可能な情報量も顕著に増加しているため、コンピュータシステムそのものの規模が拡大し、そのシステム構成も複雑化している。そこで、このようなシステムの大規模化および複雑化に対応すべく分散型システムが提案されている。分散型システムは、一般的には、ネットワークで接続された複数台の計算機で並列処理を行う構成となっている。

0003

例えば、シミュレーション装置の分野では、計算機の処理能力が十分でなければ、実際に起こり得る事象について、極端に簡略化またはデフォルメしたモデルを採用して模擬を行うことになるが、分散型システムを採用したシミュレーション装置(分散シミュレーション装置)では、大規模化および複雑化に対応できるため、より現実に近いモデルを構築して模擬を行うことが可能となっている。

0004

ここで、分散シミュレーション装置においては、リアルタイム性の向上も重要となっている。例えば、航空機自動車鉄道車両等の移動物体であれば、周囲環境に対する移動物体の応答性能を評価する観点から高いリアルタイム性の確保が求められる。ただし、リアルタイム性の追求が結果的にリアルタイム性を損なうという矛盾した状況を導き出すおそれがある。例えば、前記移動物体のシミュレーションでは、地表面等の模擬環境模擬移動物体との間で相互に関連するデータを計算機の間で交換するため、それぞれの計算機の間では、大量のデータを高頻度かつ高速で交換(送受信)する必要がある。それゆえ、分散型システムであっても、ネットワークに処理負荷が集中するおそれがあり、結果的にリアルタイム性を保証することが困難になる。

0005

そこで、従来から、分散シミュレーション装置のさらなる性能向上を図るために様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、シミュレーション制御機能が一極集中することによる性能低下を回避するために、シミュレーション制御機能部と分散共有メモリとを分散配置する構成が開示されている。この分散シミュレーション装置では、例えば、ある分散共有メモリの内容が変更となったときには、当該分散共有メモリに対応するシミュレーション制御機能部が、ネットワークを介して他の全てのシミュレーション制御機能部に対して変更があったことを知らせるメッセージを送信し、これにより全ての分散共有メモリの内容を同一に保持している。

0006

また、分散シミュレーション装置の分野に限定されないが、大容量のデータをより高速で通信する手法としては、例えば、リフレクティブメモリまたはダイレクトメモリアクセスDMA)の採用、あるいは通信バスの好適化等が挙げられる。

0007

リフレクティブメモリは、複数の計算機の間でメモリ共有可能とする手法であり、ある計算機のメモリにデータが書き込まれると、当該データはネットワークを介して他の計算機に送信され、当該計算機のメモリに直ちにコピーされる。このデータの送信からメモリへのコピーまでの一連のステップは、最初にデータが書き込まれた計算機に戻るまで順次繰り返される。

0008

ダイレクトメモリアクセスは、各計算機演算器(CPU等)を介さずにメモリ同士で直接データを転送する手法であり、演算器とは別にデータ転送を制御する手段、例えばDMAコントローラが設けられる。演算器はDMAコントローラにデータ転送開始指令するだけで、データの転送はDMAコントローラにより制御されるので、データ転送中であっても演算器はデータ転送制御以外の演算処理を行うことができる。

0009

通信バスに関しては、複数の計算機を通信バスで接続し、適切なプログラミングを行うことにより大容量のデータを高速で送受信可能とすることができる。一般的なモジュール同士を接続する場合には、これらの制御を簡素化することで汎用的な通信バスを用いることができ、通信バス接続に伴うプログラミングも比較的簡単なものとすることができるが、シミュレータ等として用いることが可能な計算機同士を接続する場合には、通常、専用の通信バス装置を用いて計算機の構成に応じた特別なプログラミングが行われる。

先行技術

0010

特開平11−272621号公報
特開2000−215191号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、前述した技術や手法では、コストの増加を回避してリアルタイム性に優れた分散シミュレーション装置を製造することが困難となっている。

0012

例えば、特許文献1または2の技術では、それぞれのシミュレータがシミュレーション制御機能部と分散共有メモリとを有しているので、単一のシミュレーション制御機能部に処理負荷が集中することを回避できるものの、シミュレーション制御機能部という構成が複数存在することから、製造コストを十分に削減することができない。

0013

また、分散シミュレーション装置にリフレクティブメモリを適用する場合には、専用のハードウェアが必要となるだけでなく、それぞれの計算機で個別に信号データを物理量に変換する必要が生じる。あるいはダイレクトメモリアクセスを適用する場合には、演算器を介さずにメモリ同士で直接データを転送するため、各計算機の相互関係が複雑となる上に、データそのものが分散してしまう。そのため、事象解析に時間を要することになり、リアルタイム性も含めたシミュレーション性能の向上にはつながらない。

0014

また、分散シミュレーション装置の通信バスを好適化する場合でも、個々の計算機がそれぞれ個別シミュレーションを行うことから、これら計算機に対応し得る専用の通信バス装置が必要となる。しかも、バス装置に応じた特別なプログラミングも必要となるので、ハードウェア面からもソフトウェア面からもコストの増加を招くおそれがある。

0015

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、大規模シミュレーションシステムに適用することが可能な分散シミュレーション装置を、リアルタイム性を損なわずに、コストの増大を抑えて実現することを目的とする。

課題を解決するための手段

0016

本発明に係る分散シミュレーション装置は、前記の課題を解決するために、ネットワークを介して互いに通信可能に接続され、実装されているアプリケーションプログラムによりそれぞれ個別シミュレーションを行い、当該個別シミュレーションにより生成した信号データを互いに送受信可能とする複数のシミュレータと、これらシミュレータ間の信号データの送受信を制御することにより統合シミュレーションを行うシミュレーション統合制御部と、を備え、前記ネットワークがローカルエリアネットワークであり、前記シミュレーション統合制御部は、前記シミュレータが参照可能なファイルとして、前記統合シミュレーションに用いられる全ての信号データを定義したファイルである、信号データファイルと、個々の前記シミュレータ別に信号様式を定義したファイルである、シミュレータ用信号ファイルと、を保有し、全ての前記シミュレータには、前記信号データの送受信を、共通様式かつ共通手順で行うための信号通信パッケージが実装され、前記信号通信パッケージは、自局に対応する前記シミュレータ用信号ファイルと、自局の個別シミュレーションに用いられる前記信号データファイルとを、前記シミュレーション統合制御部から取得して、信号データベースを生成し、前記個別シミュレーションを行っている間では、前記アプリケーションプログラムからの指令を受けて前記信号データベースの信号値を参照または更新し、他の前記シミュレータとの間で前記信号データを送受信するときには、前記信号データベースの信号値から送受信用の信号データを生成する構成である。

0017

前記構成によれば、信号データベースを参照する信号通信パッケージにより、複数のシミュレータ間で信号データを送受信することができる。したがって、信号データとしては、特別な様式のものを用いる必要がないので、信号データを送受信するために特別なソフトウェアや専用のハードウェアを準備する必要がない。しかも、それぞれのシミュレータで信号データを物理量に変換する必要がなく、シミュレータ同士の相互関係も簡素化することができる。これにより、通信上での送受信関係掌握する必要のない簡素なシステム構成を実現できるとともに、信号データの送受信時間および信号検索時間が必要以上に長くなるおそれを回避することができる。それゆえ、リアルタイム性に優れた分散シミュレーション装置を低コストで製造することができる。

0018

また、各シミュレータは、不要な信号データの定義も信号様式の定義も保有しなくてよいため、記憶容量の増大も抑制することができる。それゆえ、この観点からも低コスト化が可能となる。

0019

さらに、各シミュレータは、全信号データの定義を保有していないため、シミュレーション統合制御部が保有する信号データファイルを更新するだけで、統合シミュレーションに必要な信号データに追加、変更、または削除が可能となる。これにより、信号データの追加等に際して各シミュレータに実装されるアプリケーションプログラムを変更する必要がない。

0020

しかも、信号データはシミュレーション統合制御部で一元管理することができ、変更等もシミュレーション統合制御部において容易かつ迅速に行うことができる。さらに、信号データの送受信の様式および手順が共通化されていることから、統合シミュレーションにおいて何らかの問題が発生したとしても、問題箇所の特定が容易となる。それゆえ、分散シミュレーション装置の保守管理性を向上することができる。

0021

前記分散シミュレーション装置においては、前記シミュレータは、前記ネットワークを介して信号データを送受信する通信部と、前記個別シミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、少なくとも前記アプリケーションプログラムおよび信号通信パッケージが記憶されている記憶部と、を備え、前記シミュレーション実行部は、前記アプリケーションプログラムおよび信号通信パッケージを起動して、前記シミュレーション統合制御部から取得した前記シミュレータ用信号ファイルおよび前記信号データファイルから前記信号データベースを生成して前記記憶部に記憶し、前記個別シミュレーションを実行する際には、前記記憶部に記憶した前記信号データベースの信号値を参照または更新する構成であってもよい。

0022

また、前記分散シミュレーション装置においては、前記シミュレータの前記記憶部には、前記ネットワーク上で共有される共有記憶領域が含まれ、当該共有記憶領域は、前記ネットワーク上で仮想的な単一の記憶空間が構成されるように、前記シミュレータ毎に異なる部分領域として割り当てられ、前記シミュレータの前記シミュレーション実行部は、前記個別シミュレーションにより生成した前記信号データが、自局に割り当てられている前記部分領域に入力すべきデータであれば、当該信号データを他の前記シミュレータに送信するよう前記通信部を制御するとともに、他の前記シミュレータから受信した前記信号データが、自局に割り当てられている前記部分領域に出力すべきデータであれば、当該信号データを前記共有記憶領域に記憶する構成であってもよい。

0023

また、前記分散シミュレーション装置においては、前記ローカルエリアネットワークがイーサネット登録商標)により構成されてもよい。

0024

また、前記分散シミュレーション装置においては、さらに、前記ネットワークを介して前記シミュレータと通信可能に接続され、当該ネットワーク外にデータを入出力可能な入出力部を備え、前記シミュレーション統合制御部は、前記シミュレータおよび前記入出力部の間での前記信号データの送受信を制御することにより前記統合シミュレーションを行う構成であってもよい。

0025

また、前記分散シミュレーション装置の具体的な用途は特に限定されないが、代表的な一例としては、航空機シミュレーション装置を挙げることができる。

発明の効果

0026

以上のように、本発明では、大規模シミュレーションシステムに適用することが可能な分散シミュレーション装置を、リアルタイム性を損なわずに、コストの増大を抑えて実現することができる、という効果を奏する。

図面の簡単な説明

0027

本発明の実施の形態に係る分散シミュレーション装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
図1に示す分散シミュレーション装置に適用されるメモリ通信の構成を説明する模式図である。
図1に示す分散シミュレーション装置において信号データベースの生成を説明する模式図である。
図1に示す分散シミュレーション装置における信号通信パッケージの動作を説明する模式図である。
図1に示す分散シミュレーション装置の具体的な一例である航空機シミュレーション装置の全体構成を示す概略斜視図である。

実施例

0028

以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。

0029

[分散シミュレーション装置の構成]
まず、本実施の形態に係る分散シミュレーション装置の構成の一例について、図1を参照して具体的に説明する。

0030

図1に示すように、本実施の形態に係る分散シミュレーション装置100は、少なくとも1つのシミュレーション統合制御部10と、複数のシミュレータ20A〜20Nと、少なくとも1つの入出力部30と、を備えており、これらがネットワーク40を介して通信可能に接続されている。

0031

シミュレーション統合制御部10は、シミュレータ20A〜20N間の信号データの送受信を制御することにより統合シミュレーションを行うものであり、統合制御機能部11、統合制御記憶部12、および統合制御通信部13を備えている。統合制御機能部11は、シミュレーション統合制御部10による統合シミュレーションをつかさどり、ネットワーク40を介してシミュレータ20A〜20N間での信号データの送受信を制御する。統合制御記憶部12は、統合制御機能部11による制御動作に必要な各種プログラムおよび各種データと、後述するデータベース定義ファイル121およびシミュレータ用信号ファイル122A〜122Nとを記憶している。統合制御通信部13は、ネットワーク40を介してシミュレータ20A〜20N等との間で各種通信を行う。

0032

シミュレーション統合制御部10の具体的な構成は特に限定されず、公知の計算機を好適に用いることができる。この計算機としては、ネットワーク40に接続可能なワークステーションまたはパーソナルコンピュータ等の端末であってもよいし、サーバとして機能するものであってもよいし、その他の公知の計算機であってもよい。

0033

統合制御機能部11は、シミュレーション統合制御部10を構成する計算機の機能構成となる。すなわち、統合制御機能部11は、計算機が備えるCPU等の演算器の動作によって実現される構成であって、統合制御記憶部12に演算器を統合制御機能部11として動作させるプログラムを格納しておき、演算器は当該プログラムにしたがって動作することにより、統合制御機能部11を実現するよう構成されている。

0034

統合制御記憶部12は、計算機が備える種々の記憶装置であり、例えば、演算器の内部メモリとして設けられる主記憶装置と、補助記憶装置として用いられる内蔵型ハードディスクドライブ等の記憶装置、あるいは、外付け型のハードディスクドライブ等の外部記憶装置等から構成されている。これら記憶装置は単独で統合制御記憶部12を構成してもよいが、後述するように、データベース定義ファイル121およびシミュレータ用信号ファイル122A〜122Nという大容量のデータファイルを記憶する必要があることから、主記憶装置だけでなく補助記憶装置および/または外部記憶装置から構成されることが好ましい。

0035

統合制御通信部13は、計算機が備える通信器であり、ネットワーク40の種類に応じたものが用いられる。本実施の形態では、ネットワーク40は後述するようにLANで構成されているため、統合制御通信部13はLANカードLANボード等のLANアダプタであればよい。

0036

シミュレータ20A〜20Nは、分散シミュレーション装置100を構成する複数のシミュレータであり、ネットワーク40を介して互いに通信可能に接続され、実装されているアプリケーションプログラム211Aによりそれぞれ個別シミュレーションを行い、当該個別シミュレーションにより生成した信号データを互いに送受信可能となっている。図1では、アルファベット順でAシミュレータ20A、Bシミュレータ20B、Cシミュレータ20C、およびDシミュレータ20Dの4台と、任意の台数目を示すNシミュレータ20Nを図示している。

0037

Aシミュレータ20Aを例に挙げて、その構成を具体的に説明すると、Aシミュレータ20Aは、シミュレーション実行部21、シミュレータ記憶部22、およびシミュレータ通信部23を備えている。シミュレーション実行部21は、Aシミュレータ20Aが担当する個別シミュレーションを実行するものである。シミュレータ記憶部22は、個別シミュレーションを実行するためのアプリケーションプログラム211A、後述する信号通信パッケージ212等を記憶する。シミュレータ通信部23は、ネットワーク40を介して他のシミュレータ20B〜20Nとの間で信号データ等の送受信を行う。

0038

Aシミュレータ20Aの具体的な構成は特に限定されず、公知の計算機を好適に用いることができる。この計算機としては、ネットワーク40に接続可能であり、シミュレーション専用に開発されたものであってもよいし、ワークステーションあるいはパーソナルコンピュータ等の端末であってもよいし、その他の公知の計算機であってもよい。他のシミュレータ20B〜20Nも同様である。

0039

シミュレータ20A〜20Nが備えるシミュレーション実行部21は、当該シミュレータ20A〜20Nを構成する計算機の機能構成となる。すなわち、前述したようにシミュレータ記憶部22には、個別シミュレーションを実行するためのアプリケーションプログラム211Aを記憶しているので、計算機が備えるCPU等の演算器は、当該アプリケーションプログラム211Aにしたがって動作することによって、個別シミュレーションを行うシミュレーション実行部21を実現するよう構成されている。

0040

シミュレータ記憶部22は、計算機が備える種々の記憶装置であり、統合制御記憶部12と同様に、主記憶装置、補助記憶装置、外部記憶装置等で構成される。シミュレータ記憶部22には、アプリケーションプログラム211Aに加えて信号通信パッケージ212も記憶されており、さらに、信号通信パッケージ212は、シミュレーション統合制御部10から事前に取得したファイルから信号データベース213Aを生成するが、この信号データベース213Aもシミュレータ記憶部22に記憶可能となっている。シミュレータ通信部23は、計算機が備える通信器であり、統合制御通信部13と同様に、ネットワーク40の種類に応じたもの、具体的には、LANカードやLANボード等のLANアダプタ等で構成される。

0041

なお、図1においては、説明の便宜上、統合制御記憶部12およびシミュレータ記憶部22を示すブロックは、それぞれ「記憶部」と略記し、統合制御通信部13およびシミュレータ通信部23を示すブロックも、それぞれ「通信部」と略記している。また、分散シミュレーション装置100で行われる統合シミュレーションの内容、あるいは個別シミュレーションの内容等に応じて、シミュレーション統合制御部10は、統合制御機能部11、統合制御記憶部12、統合制御通信部13以外の構成を備えていてもよく、同様に、シミュレータ20A〜20Nは、シミュレーション実行部21、シミュレータ記憶部22、シミュレータ通信部23以外の構成を備えていてもよい。

0042

入出力部30は、ネットワーク40を介してシミュレータ20A〜20Nと通信可能に接続され、当該ネットワーク40外にデータを入出力可能なものである。シミュレーション統合制御部10は、シミュレータ20A〜20Nの間だけでなく、シミュレータ20A〜20Nおよび入出力部30の間でも信号データの送受信を制御するよう構成されている。

0043

入出力部30の具体的な構成は特に限定されず、分散シミュレーション装置100で実行される統合シミュレーションの種類または内容等に応じて、適切な入力装置または出力装置が用いられる。本実施の形態では、後述するように、航空機操縦シミュレーション装置を具体的実施例として挙げており、当該航空機シミュレーション装置は操縦室模擬部を備えているので、当該操縦室模擬部に設けられている模擬操縦桿、模擬計器類モニタ等が入出力部30に相当する。

0044

ネットワーク40は、シミュレーション統合制御部10およびシミュレータ20A〜20N、並びに入出力部30をそれぞれ通信可能に接続するものである。本実施の形態では、ネットワーク40は、一般的なローカルエリアネットワーク(LAN)で構成されており、より好ましくは、イーサネット(登録商標)により構成されている。

0045

ネットワーク40がLANであれば、ネットワーク40に接続される全てのシミュレータ20A〜20Nでネットワーク40を共有していることになる。それゆえ、各シミュレータ20A〜20Nは、いずれも信号データを送信する権限を対等に保有しているため、通信上での送受信間の関係を掌握する必要がない。その結果、シミュレータ20A〜20N同士の相互関係を簡素化することができ、リアルタイム性を有する並列処理の分散シミュレーション装置100を容易に構築することができる。

0046

ネットワーク40の具体的な構成は特に限定されず、1本の回線をシミュレータ20A〜20Nで共有するバス型であってもよいし、ハブを介してシミュレータ20A〜20Nを共有するスター型であってもよいし、シミュレータ20A〜20Nをメッシュ状に接続するファブリック型であってもよい。

0047

[シミュレータ記憶部の共有構成]
次に、本実施の形態におけるシミュレータ記憶部22のより好ましい構成について、図2を参照して具体的に説明する。

0048

各シミュレータ20A〜20N同士は、ネットワーク40で相互に通信可能に接続されているが、本実施の形態では、シミュレータ記憶部22には、図2に模式的に示すように、ネットワーク40上で共有される共有記憶領域233A〜233Nが含まれている。これら共有記憶領域233A〜233Nは、ネットワーク40上で仮想的な単一の記憶空間433が構成されるように、シミュレータ20A〜20N毎に異なる部分領域として割り当てられている。

0049

共有記憶領域233A〜233Nは、データを入力するための入力領域とデータを出力するための出力領域とに区分されている。入力領域に入力された信号データは、必要に応じてシミュレータ通信部23を介して他の共有記憶領域233A〜233Nに送信される。また、他の共有記憶領域233A〜233Nに入力された信号データでシミュレータ通信部23を介して送信された信号データは、必要に応じて出力領域に記憶される。

0050

図2では、共有記憶領域233A〜233Nを入力領域および出力領域に区分し、入力領域を太線ブロックで例えば「Nin」として図示し、出力領域を二重線ブロックで例えば「Nout 」として図示している。また、図中上から順にAシミュレータ20A、Bシミュレータ20B・・・Nシミュレータ20Nを図示し、これらシミュレータ20A〜20Nに対応するシミュレータ記憶部22A〜22Nも図示している。

0051

図2に示すように、Aシミュレータ20Aのシミュレータ記憶部22Aには共有記憶領域233Aが割り当てられ、Bシミュレータ20Bのシミュレータ記憶部22Bには共有記憶領域233Bが割り当てられ、Cシミュレータ20Cのシミュレータ記憶部22Cに、共有記憶領域233Cが割り当てられ、Dシミュレータ20Dのシミュレータ記憶部22Dには共有記憶領域233Dが割り当てられ、Nシミュレータ20Nのシミュレータ記憶部22Nには共有記憶領域233Nが割り当てられている。これら共有記憶領域233A〜233Nは、それぞれ図2最上位に図示される仮想的な記憶空間433に対応しており、このような割り当てによってネットワーク40上で単一の記憶空間433が構成される。

0052

各シミュレータ20A〜20Nのシミュレーション実行部21(図2には図示せず)は、個別シミュレーションにより生成した信号データが、他局に割り当てられている部分領域に入力すべきデータであれば、当該信号データを他のシミュレータ20A〜20Nに送信するようシミュレータ通信部23を制御し、また、他のシミュレータ20A〜20Nから受信した信号データが、自局に割り当てられている部分領域に出力すべきデータであれば、当該信号データを共有記憶領域233A〜233Nに記憶する。

0053

例えば、Aシミュレータ20Aを例に説明すれば、Aシミュレータ20Aのシミュレーション実行部21がアプリケーションプログラム211A(図1参照)により個別シミュレーションを実施して信号データを生成すれば、シミュレーション実行部21は、この信号データが、図2に示す他局の共有記憶領域233B〜233Nに入力すべきデータか否かを判定する。入力すべきデータであれば、図2の「Ain」ブロックから矢印で示すように、当該信号データを他のシミュレータ20B〜20Nに送信する。

0054

一方、図2の「Aout 」ブロックに対する記憶空間433からの矢印で図示するように、Aシミュレータ20Aにおいては、他のシミュレータ20B〜20Nから信号データを受信すれば、シミュレーション実行部21は、この信号データが自局の共有記憶領域233Aに出力すべきデータであるか否かを判定する。出力すべきデータであれば共有記憶領域233Aに記憶する。

0055

より具体的には、Aシミュレータ20Aにおいて個別シミュレーションの結果、ある信号データを更新した場合であって、当該信号データがBシミュレータ20Bでも用いられる場合には、Aシミュレータ20Aは、共有記憶領域233Aの入力領域に更新した信号データを入力し、シミュレータ通信部23を介してBシミュレータ20Bに送信する。Bシミュレータ20Bでは、共有記憶領域233Bにおいて受信した信号データを出力領域に出力して記憶することになる。

0056

このように、本実施の形態では、シミュレータ20A〜20Nは、ネットワーク40で共有されるメモリ通信、すなわちサイクリック通信を実現するように、互いに接続されている。そして、ネットワーク40がイーサネット(登録商標)等のLANであるため、サイクリック通信により各シミュレータ20A〜20Nにおいて更新された信号データであって他のシミュレータ20A〜20Nと共通するデータを容易に書き換えることになる。それゆえ、信号データをリアルタイムに送受信するシステム構成を容易に構築することができる。なお、シミュレータ20A〜20N相互の信号データの通信手法は、サイクリック通信のみに限定されず、リアルタイム性を向上し得る手法であれば公知の他の手法を用いることができる。

0057

[シミュレータ間での信号データの送受信]
次に、シミュレータ20A〜20Nの間で信号データを送受信する具体的な構成について、図1に加えて図3および図4を参照して具体的に説明する。図3においては、分散シミュレーション装置100を構成するシミュレータ20A〜20Nのソフトウェア構成を模式的に図示しており、シミュレーション統合制御部10(図中破線の枠内)については、統合制御記憶部12に記憶されているファイルのみを模式的に図示している。また、図3においては、シミュレータ20A〜20Nとして、Aシミュレータ20A、Bシミュレータ20BおよびNシミュレータ20Nを図示している。

0058

まず、図3に示すように、全てのシミュレータ20A〜20Nには、信号データの送受信を共通様式かつ共通手順で行うための信号通信パッケージ212が実装されている。つまり、各シミュレータ20A〜20Nに実装されている信号通信パッケージ212は、いずれも同じものである(信号データベース213A〜213Nを除く)。この信号通信パッケージ212は、シミュレータ20A〜20Nのシミュレータ記憶部22に記憶され、各シミュレータ20A〜20N固有のアプリケーションプログラム211A〜211Nとともにシミュレータ20A〜20Nのソフトウェアを構成している。

0059

また、信号通信パッケージ212は、信号データの送受信を行う際に、信号データベース213A〜213Nを適宜参照する。この信号データベース213A〜213Nは、各シミュレータ20A〜20Nが必要に応じてシミュレーション統合制御部10と通信することにより、統合制御記憶部12に記憶されているファイルから、自局に該当するファイルまたはデータを取得し、各シミュレータ20A〜20Nによりそれぞれ生成されるものである。

0060

シミュレーション統合制御部10の統合制御記憶部12には、シミュレータ20A〜20Nが参照可能なファイルとして、データベース定義ファイル121とシミュレータ用信号ファイル122A〜122Nとが記憶されている。

0061

データベース定義ファイル121は、信号データファイル221A〜221Nを包括するファイルの集合体(データベース)であり、統合シミュレーションに用いられる全ての信号データを定義している。シミュレータ20A〜20Nは、自局の信号データの定義を変更する場合には、シミュレーション統合制御部10に接続し、データベース定義ファイル121から信号通信パッケージ212により自局の個別シミュレーションに用いられる信号データファイル221A〜221Nを取得する。

0062

したがって、例えば、Aシミュレータ20AおよびBシミュレータ20Bの双方において信号データの定義を変更する場合には、それぞれ信号データファイル221Aおよび信号データファイル221Bを取得するが、Aシミュレータ20Aが取得した信号データファイル221Aと、Bシミュレータ20Bが取得した信号データファイル221Bとは、定義される信号データ群の一部が共通している場合もあれば、それぞれ全く異なる信号データ群を定義している場合もあり、さらに、Aシミュレータ20AとBシミュレータ20Bとが互いに独立して同じ内容の個別シミュレーションを実行するのであれば、信号データファイル221Aと信号データファイル221Bとは同じ信号データ群を定義している場合もあり得る。

0063

あるいは、Aシミュレータ20Aにおいて信号データの定義の変更が必要であるのに対して、Bシミュレータ20Bの信号データの変更が不要であれば、Aシミュレータ20Aのみがシミュレーション統合制御部10に接続し、信号データファイル221Aを取得するが、Bシミュレータ20Bは、シミュレーション統合制御部10には接続しない。

0064

また、シミュレータ用信号ファイル122A〜122Nは、各シミュレータ20A〜20Nそれぞれに対応するよう個別に準備されており、個々のシミュレータ20A〜20Nの信号様式をそれぞれ定義したファイルである。シミュレータ20A〜20Nは、これらシミュレータ用信号ファイル122A〜122Nから信号通信パッケージ212により自局に対応するものを選択して取得する。

0065

そして、各シミュレータ20A〜20Nにおいては、シミュレーション統合制御部10から取得した信号データファイル221A〜221Nと、シミュレータ用信号ファイル122A〜122Nから信号通信パッケージ212により信号データベース213A〜213Nを生成し、自局のシミュレータ記憶部22A〜22Nに記憶する。

0066

Aシミュレータ20Aを例に挙げて、信号通信パッケージ212による信号データベース213Aの生成と、信号データの送受信とについて具体的に説明する。Aシミュレータ20Aのシミュレーション実行部21(図1参照)は、シミュレータ記憶部22A(図1参照)に記憶されているアプリケーションプログラム211Aを起動する。

0067

次に、図4に示すように、アプリケーションプログラム211Aは、信号通信パッケージ212を起動させるために、信号通信パッケージ212に対してデータベース生成指令を出力する(操作S01の実線矢印)。信号通信パッケージ212は、この操作指令を受けてシミュレーション統合制御部10(図1参照)にアクセスして統合制御記憶部12を参照し(図4の実線矢印Rf)、Aシミュレータ20Aに対応するAシミュレータ用信号ファイル122Aと、アプリケーションプログラム211Aによる個別シミュレーションに用いられる信号データファイル221Aを取得し(図4点線矢印Df)、信号データベース213Aを生成してシミュレータ記憶部22Aに記憶する。

0068

次に、アプリケーションプログラム211Aは、起動時の固有パラメータを設定する操作指令を信号通信パッケージ212に出力する(操作S02の実線矢印)とともに、当該固有パラメータを信号通信パッケージ212に出力する(操作S02下の点線矢印PMT)。次に、アプリケーションプログラム211Aは、信号通信パッケージ212を初期化する操作指令を出力し(操作S03の実線矢印)、その後、信号通信パッケージ212の実行開始の操作指令を出力する(操作S04の実線矢印)。この状態で信号通信パッケージ212は、信号データを送受信可能な状態となっている。

0069

ここで、分散シミュレーション装置100は、シミュレーション統合制御部10の制御にしたがって、速やかにAシミュレータ20Aおよび他のシミュレータ20B〜20Nに個別シミュレーションを開始させてもよいが、その前に入出力部30を診断するために、シミュレータ20A〜20Nと入出力部30との間で信号データを送受信させる診断制御を行ってもよい。この場合、アプリケーションプログラム211Aは、シミュレーション統合制御部10の制御を受けて、生成した信号データベース213Aを、診断制御による信号データの送受信のためにも用いることになる。

0070

具体的には、図4においてネットワーク40を介して入出力部30(図4には図示せず)との間で信号データの送受信が行われると(図4の点線矢印SmおよびRm)、信号通信パッケージ212は、受信メッセージを受けて信号値Vsを信号データベース213Aに入力し(点線矢印Rv)、あるいは、入出力部30へ送信メッセージを送信するために、信号データベース213Aの信号値Vsを出力する(点線矢印Sv)。この信号値Vsは、ネットワーク40を介して送受信される共通様式のデータである。

0071

一方、これら信号値Vsの入出力(点線矢印SvおよびRv)とは独立して、図4に示すように、アプリケーションプログラム211Aは、信号データの取得指令を信号通信パッケージ212に出力し(操作S05の実線矢印)、また、信号データの設定指令を信号通信パッケージ212に出力する(操作S06の実線矢印)。これを受けて信号通信パッケージ212は、信号データベース213Aの信号値Vsを参照し(実線矢印Rf)、あるいは、信号データベース213Aの信号値Vsを更新する(実線矢印Ud)。

0072

信号値Vsを参照する場合には、信号通信パッケージ212からアプリケーションプログラム211Aに対して参照した信号値Vsが、信号データベース213AのAシミュレータ用信号ファイル122Aに基づいてAシミュレータ20A用の信号値VsAに変換されて出力される(操作S05下の点線矢印)。一方、信号値Vsを更新する場合には、アプリケーションプログラム211Aから信号通信パッケージ212に対して更新する信号値VsAが出力される(操作S06下の点線矢印)。この信号値VsAは信号データベース213AのAシミュレータ用信号ファイル122Aに基づいて共通様式のデータVsに変換されて、信号データベース21A上の該当データが更新される。

0073

このような診断制御により入出力部30が診断され、入出力部30との間で信号データの送受信が可能であるか否かに基づいて入出力動作点検されるとともに、各シミュレータ20A〜20Nにおいては、入出力部30との間で送受信された結果に基づいて、入出力動作による信号値Vsが確認される。

0074

そして診断制御が終了すれば、アプリケーションプログラム211Aは、再び信号通信パッケージ212を初期化し(操作S03)、その後、アプリケーションプログラム211Aにより個別シミュレーションを開始されれば、Aシミュレータ20Aと他のシミュレータ20B〜20Nとの間で信号データの送受信が行われる。そこで、アプリケーションプログラム211Aは、適宜、信号データを取得する操作指令または信号データを設定する操作指令を信号通信パッケージ212に出力する(操作S05またはS06)。これを受けて信号通信パッケージ212は、信号データベース213Aを参照または更新する(実線矢印RfまたはUd)。

0075

このように、Aシミュレータ20Aでは、個別シミュレーションを実行する際には、アプリケーションプログラム211Aによりシミュレータ記憶部22A(図2参照)に記憶した信号データベース213Aの信号値Vsを参照または更新する。また、他のシミュレータ20B〜20Nとの間で信号データを送受信する際には、信号通信パッケージ212は信号データベース213Aの信号値Vsに基づいてメッセージを送受信する。

0076

その後、アプリケーションプログラム211Aは、必要に応じて実行されている信号通信パッケージ212を一次停止することができる。この場合、図4に示すように、アプリケーションプログラム211Aは、一次停止指令を出力し(操作S07の実線矢印)、信号通信パッケージ212はこれを受けて再開可能に一次停止する。また、信号通信パッケージ212の実行を再開したい場合には、再開指令を出力し(操作S08の実線矢印)、信号通信パッケージ212はこれを受けて再開する。

0077

なお、アプリケーションプログラム211Aおよび信号通信パッケージ212の終了は、通常、Aシミュレータ20Aのシャットダウンによる終了と判断されるので、終了時には信号通信パッケージ212に対して特に固有の操作指令は出力されない。

0078

このように、本実施の形態によれば、信号データベース213Aを参照する信号通信パッケージ212により、複数のシミュレータ20A〜20N間で信号データを送受信することができる。したがって、信号データとしては、特別な様式のものを用いる必要がないので、信号データを送受信するために特別なソフトウェアや専用のハードウェアを準備する必要がない。しかも、それぞれのシミュレータ20A〜20Nで信号データを物理量に変換する必要がなく、シミュレータ20A〜20N同士の相互関係も簡素化することができる。

0079

これにより、通信上での送受信関係を掌握する必要のない簡素なシステム構成を実現できるとともに、信号データの送受信時間および信号検索時間が必要以上に長くなるおそれを回避することができる。それゆえ、リアルタイム性に優れた分散シミュレーション装置100を低コストで製造することができる。

0080

また、各シミュレータ20A〜20Nは、信号データの定義も信号様式の定義も保有しなくてよいため、記憶容量の増大も抑制することができる。それゆえ、この観点からも低コスト化が可能となる。

0081

さらに、各シミュレータ20A〜20Nは、信号データの定義を保有していないため、シミュレーション統合制御部10が保有する信号データファイル221A〜221Nのデータベース(データベース定義ファイル121)を更新するだけで、統合シミュレーションに必要な信号データの追加、変更、または削除が可能となる。これにより、信号データの追加等に際して各シミュレータ20A〜20Nに実装されるアプリケーションプログラム211A〜211Nを変更する必要がない。

0082

しかも、信号データはシミュレーション統合制御部10で一元管理することができるだけでなく、統合シミュレーションの条件または環境等の設定、変更等もシミュレーション統合制御部10において容易かつ迅速に行うことができる。さらに、信号データの送受信の様式および手順が共通化されていることから、統合シミュレーションにおいて何らかの問題が発生したとしても、問題箇所の特定が容易となる。それゆえ、分散シミュレーション装置100の保守管理性を向上することができる。

0083

また、シミュレーション統合制御部10は、入出力部30を診断するために、シミュレータ20A〜20Nおよび入出力部30の間で前記信号データを送受信させる診断制御を行うよう構成され、シミュレータ20A〜20Nの信号通信パッケージ212は、生成した信号データベース213A〜213Nを、診断制御による前記信号データの送受信のためにも用いるよう構成されている。

0084

この構成であれば、信号通信パッケージ212による信号データの送受信は、分散シミュレーション装置100が備える入出力部30を保守点検する等のメンテナンスにも利用することができる。この場合、メンテナンスのためにシミュレーション統合制御部10が特別な制御を行う必要がなく、個別シミュレーションの場合と同様の信号データを送受信することで保守点検が可能となる。それゆえ、分散シミュレーション装置100の保守管理性をさらに一層向上することができる。

0085

さらに本実施の形態では、図2を参照して説明したように、各シミュレータ20A〜20Nが備えるシミュレータ記憶部22A〜22Nは、ネットワーク40上で仮想的な単一の記憶空間433が構成されるように割り当てられた、共有記憶領域233A〜233Nを有している。それゆえ、各シミュレータ20A〜20Nで実行された個別シミュレーションにより信号データベース213A〜213Nの信号データが更新された場合でも、サイクリック通信によって各シミュレータ20A〜20Nのシミュレータ記憶部22A〜22Nの間で迅速に信号データの送受信を行うことができる。

0086

それゆえ、信号通信パッケージ212を介して信号データを共通様式および共通手順で送受信できるだけでなく、各シミュレータ20A〜20N間での信号データの送受信そのものも、専用のハードウェア、特別なプログラム等を要することなくリアルタイムで効率的に行うことができる。その結果、分散シミュレーション装置100における統合シミュレーションのリアルタイム性をより一層向上することができる。

0087

[具体的適用例]
本実施の形態に係る分散シミュレーション装置100は、どのようなシミュレーショにも適用することができるが、特に、航空機、自動車、鉄道車両等の移動物体のシミュレーションに好ましく適用することができる。移動物体のシミュレーションは、周囲環境に対する移動物体の応答性能を評価する必要があることから、シミュレーションが大規模化する(取り扱われる信号データの種類が多くなりデータ容量も大きくなる)だけでなく、しかも高いリアルタイム性の確保が求められるためである。より具体的な一例として、航空機シミュレーション装置を挙げて、図5を参照して説明する。

0088

図5に示すように、航空機シミュレーション装置500は、管制部510、シミュレーション計算部520,531、および画像等表示部532を備えている。

0089

管制部510は、シミュレーション統合制御部10に対応するものであり、管制計算機から構成され、管制用の各種ソフトウェアが実装され、また、航空機シミュレーション用のデータベース定義ファイル121およびシミュレータ用信号ファイル122A〜122Nを保有している。シミュレーション計算部520は、複数のシミュレータ20A〜20Nに対応するものであり、航空機およびその装備品、周囲環境等を模擬する複数の計算機から構成されている。

0090

シミュレーション計算部531は、航空機の操縦室を模擬するものであり、実際の操縦室に設けられている操縦桿、計器、表示部等が再現され、航空機シミュレーションに応じてこれらを操作等することで、シミュレータ群であるシミュレーション計算部520との間で信号データの送受信を行うよう構成されている。したがって、シミュレーション計算部531は、入出力部30に対応する。画像等表示部532は、航空機シミュレーションに応じて各種の画像を表示するシステム表示装置である。この画像等表示部532も入出力部30に対応する。

0091

航空機シミュレーションでは、取り扱われる信号データとして、気象情報ジャイロ信号速度情報、地表面等に対する相対的な位置情報アビオニクス関連情報等のさまざまな種類が存在し、航空機の種類によっては10万点以上の信号データを取り扱う場合がある。しかも、シミュレーションに際しては、例えば、飛行環境を模擬するシミュレータと航空機を模擬するシミュレータとの間で相互に関連する大量のデータを交換(送受信)することになる。ここで、航空機シミュレーションの需要市場規模等を考慮すれば、このような大規模システムにおいて固有の通信ソフトウェアを製造することは非効率的である。

0092

これに対して、本発明に係る分散シミュレーション装置100では、複数のシミュレータ20A〜20N間で、大容量の信号データを、一般的なLANを用いて大容量の信号データを双方向通信するために、各シミュレータ20A〜20Nに信号通信パッケージ212を実装している。信号通信パッケージ212は、各シミュレータ20A〜20Nを構成する計算機のシステムに固有の信号定義を、シミュレーション統合制御部10から適宜読み込むため、固有の通信ソフトウェアを製造する必要がなく、低コストで高性能のリアルタイムシミュレーションを構築することが可能となっている。

0093

[変形例]
本実施の形態では、分散シミュレーション装置100は、シミュレーション統合制御部10を1つのみ備えているが、本発明はこれに限定されず、製造コストの低減を妨げず、かつ、統合シミュレーションのリアルタイム性、正確性等の性能の向上に見合う限りにおいて、複数のシミュレーション統合制御部10を備えていてもよい。

0094

また、本実施の形態では、1台の計算機が1つのシミュレータを構成しているが、本発明はこれに限定されず、2台以上の計算機により1つのシミュレータが構築され、このようなシミュレータを複数備えていてもよい。

0095

また、本実施の形態では、具体的な大規模シミュレーションの例として、航空機シミュレーションを例示したが、本発明はこれに限定されず、自動車、鉄道車両等の他の移動物体のシミュレーションであってもよいし、医療分野プラント分野等、移動物体以外のシミュレーションにも好ましく適用することができる。

0096

なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

0097

本発明は、例えば航空機シミュレーション等の大規模な分散型システムのシミュレーション装置に広く好適に用いることができる。

0098

10シミュレーション統合制御部
11統合制御機能部
12 統合制御記憶部(記憶部)
13 統合制御通信部(通信部)
20A〜20Nシミュレータ
21シミュレーション実行部
22,22A〜22N シミュレータ記憶部(記憶部)
23 シミュレータ通信部(通信部)
30入出力部
40ネットワーク
100分散シミュレーション装置
122A〜122N シミュレータ用信号ファイル
211A〜211Nアプリケーションプログラム
212信号通信パッケージ
213A〜213N信号データベース
221A〜221N信号データファイル
233A〜233N共有記憶領域(部分領域)
433 (仮想的な)記憶空間
500航空機シミュレーション装置(分散シミュレーション装置)
510管制部(シミュレーション統合制御部)
520シミュレーション計算部(シミュレータ)
531 シミュレーション計算部(入出力部)
532 画像等表示部(入出力部)

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