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技術 積層フィルムの製造方法、及び光学フィルムの製造方法

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 武田淳一原信彦伊藤洋士
出願日 2011年12月26日 (8年10ヶ月経過) 出願番号 2011-283784
公開日 2013年7月8日 (7年4ヶ月経過) 公開番号 2013-132795
状態 未査定
技術分野 偏光要素 積層体(2) 型の被覆による成形、強化プラスチック成形
主要キーワード 割合範囲 支持体ドラム オリゴマー可塑剤 カール変形 加熱水蒸気処理 層間剥離力 Bモード 雰囲気環境
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

異種高分子材料を主成分とする複数の層を有する積層フィルムを、溶液共流延法により安定的に製造可能な方法を提供する。

解決手段

冷却された支持体上に、2種以上のドープを共流延して、積層流延膜を支持体上に形成すること、及び残留溶剤量が150%以上400%以下の前記積層流延膜を、支持体から剥離すること、を少なくとも含む積層フィルムの製造方法であって、前記2種以上のドープのうち、支持体側最下層であるB層の形成に用いられるドープBがセルロースエステルを主成分として含み、及び前記B層以外の少なくとも1層であるA層の形成に用いられるドープAが、前記セルロースエステルと比較してSP値が低い高分子材料を主成分として含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法である。

概要

背景

フィルム製膜法として、溶液製膜法が知られている。溶液製膜法では、材料を有機溶媒に溶解して調製した溶液(以下、ドープという場合がある)を、支持体上に流延し、支持体上で乾燥しながら製膜し、製膜後、支持体から膜を剥がすという工程を経て、フィルムが製造される。ドープを流延する支持体としては、ある程度の長さのベルト状の支持体が広く利用されている。エンドレス走行しているベルト状の支持体の表面に、溶剤を含むドープを流延すると、ある程度の長さのベルト状支持体上で搬送される間に溶剤が揮発し、製膜が進行する。ベルト状支持体を利用する溶液製膜法については種々提案されていて、2種以上のドープをベルト状支持体上に共流延することも提案されている(例えば特許文献1〜3)。

しかし、異種の高分子材料のドープを従来の方法で共流延すると、製膜の進行中に下層発泡カール等が生じ、製造されるフィルムの品質が顕著に低下する場合がある。

概要

異種高分子材料を主成分とする複数の層を有する積層フィルムを、溶液共流延法により安定的に製造可能な方法を提供する。冷却された支持体上に、2種以上のドープを共流延して、積層流延膜を支持体上に形成すること、及び残留溶剤量が150%以上400%以下の前記積層流延膜を、支持体から剥離すること、を少なくとも含む積層フィルムの製造方法であって、前記2種以上のドープのうち、支持体側最下層であるB層の形成に用いられるドープBがセルロースエステルを主成分として含み、及び前記B層以外の少なくとも1層であるA層の形成に用いられるドープAが、前記セルロースエステルと比較してSP値が低い高分子材料を主成分として含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法である。なし

目的

本発明は、異種高分子材料を主成分とする複数の層を有する積層フィルムを、溶液共流延法により安定的に製造可能な方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

冷却された支持体上に、2種以上のドープを共流延して、積層流延膜を支持体上に形成すること、及び残留溶剤量が150%以上400%以下の前記積層流延膜を、支持体から剥離すること、を少なくとも含む積層フィルムの製造方法であって、前記2種以上のドープのうち、支持体側最下層であるB層の形成に用いられるドープBがセルロースエステルを主成分として含み、及び前記B層以外の少なくとも1層であるA層の形成に用いられるドープAが、前記セルロースエステルと比較してSP値が低い高分子材料を主成分として含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。

請求項2

前記A層の厚みが、30μm以下である請求項1に記載の方法。

請求項3

前記ドープAに含まれる全溶剤中、アルコールの割合が1質量%以下である請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

前記ドープBに含まれる全溶剤中、アルコールの割合が15質量%以上40質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記積層フィルムの互いに隣接する2層の層間剥離力が0.05N/cm以上5N/cm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

前記B層の厚みが40μm以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

前記ドープAに主成分として含まれる高分子材料が、アクリル樹脂スチレン系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

前記ドープBに主成分として含まれるセルロースエステルが、アセチル置換度が2.7〜2.95のセルロースアセテートである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

支持体から積層流延膜を剥離する際の剥取り時伸張率が15%以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

前記ドープBに主成分として含まれるセルロースエステルが、前記積層フィルムから剥離されたB層から回収されたセルロースエステルである請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

請求項11

前記A層の屈折率nx、ny、及びnzが下記式を満足する請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法: nz≧nx≧ny但し、nxは面内遅相軸方位面内屈折率を、nyは面内遅相軸方位に直交する方位の面内屈折率を、nzは厚み方向屈折率を意味する。

請求項12

請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法によって製造される積層フィルムを準備すること、及び該積層フィルムから、B層を剥離すると同時に、又は剥離した後もしくは剥離する前に、A層と他の膜とを貼合することを含む光学フィルムの製造方法。

請求項13

前記他の膜が、偏光膜又は位相差膜である請求項12に記載の方法。

請求項14

剥離されたB層を、ドープBの主成分として再利用して、前記積層フィルムを製造することをさらに含む請求項12又は13に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、種々の光学フィルムの製造等に利用される積層フィルムの製造方法、及び該積層フィルムを利用した光学フィルムの製造方法に関する。

背景技術

0002

フィルム製膜法として、溶液製膜法が知られている。溶液製膜法では、材料を有機溶媒に溶解して調製した溶液(以下、ドープという場合がある)を、支持体上に流延し、支持体上で乾燥しながら製膜し、製膜後、支持体から膜を剥がすという工程を経て、フィルムが製造される。ドープを流延する支持体としては、ある程度の長さのベルト状の支持体が広く利用されている。エンドレス走行しているベルト状の支持体の表面に、溶剤を含むドープを流延すると、ある程度の長さのベルト状支持体上で搬送される間に溶剤が揮発し、製膜が進行する。ベルト状支持体を利用する溶液製膜法については種々提案されていて、2種以上のドープをベルト状支持体上に共流延することも提案されている(例えば特許文献1〜3)。

0003

しかし、異種の高分子材料のドープを従来の方法で共流延すると、製膜の進行中に下層発泡カール等が生じ、製造されるフィルムの品質が顕著に低下する場合がある。

先行技術

0004

特開平11−216732号公報
特開2003−276037号公報
特開2011−81396号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、異種高分子材料を主成分とする複数の層を有する積層フィルムを、溶液共流延法により安定的に製造可能な方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、互いに異なる高分子材料を主成分とする複数の層を有する積層フィルムを利用した、偏光板位相差板等の種々の光学フィルムの製造に有用な新規な製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

溶液製膜法では、上記した通り、支持体上に流延されたドープから溶剤が揮発し、製膜が進行する。しかし、互いに異なるドープを共流延する場合には、主成分として含有する高分子材料の性質の違い、溶剤種もしくは溶剤組成の違い、又はドープ中の高分子材料の濃度に違いがあるので、各ドープからの溶剤の揮発挙動は画一的ではない。製膜が進行するにつれて、揮発し難い溶剤が下層に滞留し、それが発泡やカールの原因になっていることがわかった。本発明では、支持体上におけるドープからの溶剤の揮発を抑制し、残留溶剤量が多い状態で積層共流膜を支持体から剥離することで、異種高分子材料を主成分とする複数の層を有する積層フィルムを製膜する際の上記発泡等の問題を解決し、安定的な製膜を可能としている。

0007

即ち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 冷却された支持体上に、2種以上のドープを共流延して、積層流延膜を支持体上に形成すること、及び
残留溶剤量が150%以上400%以下の前記積層流延膜を、支持体から剥離すること、を少なくとも含む積層フィルムの製造方法であって、
前記2種以上のドープのうち、支持体側最下層であるB層の形成に用いられるドープBがセルロースエステルを主成分として含み、及び
前記B層以外の少なくとも1層であるA層の形成に用いられるドープAが、前記セルロースエステルと比較してSP値が低い高分子材料を主成分として含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。
[2] 前記A層の厚みが、30μm以下である[1]の方法。
[3] 前記ドープAに含まれる全溶剤中、アルコールの割合が1質量%以下である[1]又は[2]の方法。
[4] 前記ドープBに含まれる全溶剤中、アルコールの割合が15質量%以上40質量%以下である[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] 前記積層フィルムの互いに隣接する2層の層間剥離力が0.05N/cm以上5N/cm以下である[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] 前記B層の厚みが40μm以上である[1]〜[5]のいずれかの方法。
[7] 前記ドープAに主成分として含まれる高分子材料が、アクリル樹脂スチレン系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選択される少なくとも1種である[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8] 前記ドープBに主成分として含まれるセルロースエステルが、アセチル置換度が2.7〜2.95のセルロースアセテートである[1]〜[7]のいずれかの方法。
[9] 支持体から積層流延膜を剥離する際の剥取り時伸張率が15%以上である[1]〜[8]のいずれかの方法。
[10] 前記ドープBに主成分として含まれるセルロースエステルが、前記積層フィルムから剥離されたB層から回収されたセルロースエステルである[1]〜[9]のいずれかの方法。
[11] 前記A層の屈折率nx、ny、及びnzが下記式を満足する[1]〜[10]のいずれかの方法:
nz≧nx≧ny
但し、nxは面内遅相軸方位面内屈折率を、nyは面内遅相軸方位に直交する方位の面内屈折率を、nzは厚み方向屈折率を意味する。
[12] [1]〜[11]のいずれかの方法によって製造される積層フィルムを準備すること、及び
該積層フィルムから、B層を剥離すると同時に、又は剥離した後もしくは剥離する前に、A層と他の膜とを貼合すること
を含む光学フィルムの製造方法。
[13] 前記他の膜が、偏光膜又は位相差膜である[12]の方法。
[14] 剥離されたB層を、ドープBの主成分として再利用して、前記積層フィルムを製造することをさらに含む[12]又は[13]の方法。

発明の効果

0008

本発明によれば、異種高分子材料を主成分とする複数の層を有する積層フィルムを、溶液共流延法により安定的に製造可能な方法を提供することができる。
また、本発明によれば、互いに異なる高分子材料を主成分とする複数の層を有する積層フィルムを利用した、偏光板、位相差板等の種々の光学フィルムの製造に有用な新規な製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明に利用可能なドラム流延装置の一例を示す模式図である。
本発明の積層フィルムの一例の断面模式図である。
本発明の積層フィルムの他の例の断面模式図である。
本発明の積層フィルムの他の例の断面模式図である。

0010

以下、本発明の積層フィルムの製造方法、並びに積層フィルムを利用した光学フィルムの製造方法について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。

0011

[積層フィルムの製造方法]
本発明は、冷却された支持体上に、2種以上のドープを共流延して、積層流延膜を支持体上に形成すること(共流延工程)、及び
残留溶剤量が150%以上400%以下の前記積層流延膜を、支持体から剥離すること(剥ぎ取り工程)を少なくとも含む積層フィルムの製造方法に関する。
本発明の方法では、前記2種以上のドープのうち、支持体側最下層であるB層の形成に用いられるドープBがセルロースエステルを主成分として含み、及び
前記B層以外の少なくとも1層であるA層の形成に用いられるドープAが、前記セルロースエステルと比較してSP値が低い高分子材料を主成分として含むことを特徴とする。

0012

本発明の方法では、主成分として互いに異なる高分子材料(樹脂及び重合体の双方を含む意味で用いる)を含有する2種以上のドープを共流延する。溶解性等、種々の性質が異なる異種の高分子材料については、種類や組成が互いに異なる溶剤を用いて、それぞれのドープを調製することが必要な場合がある。またドープ中の高分子材料の濃度も同一でない場合もある。この様に溶剤種もしくはその組成、又は濃度が異なる複数のドープについては、加熱による溶剤の揮発挙動は画一ではない。溶剤が揮発し易いドープの乾燥は加熱により速やかに進行する一方で、溶剤が揮発し難いドープの乾燥は遅延し、層中に溶剤が滞留するようになる。しかも、支持体上に共流延されたドープの乾燥が進行して、上層のドープから溶剤が揮発するにつれ、下層のドープからの溶剤の揮発が抑制され、揮発できない溶剤が益々下層に滞留し、それが発泡やカールという現象になって、フィルム面状の悪化やフィルムの変形等の品質悪化を生じさせる。本発明では、支持体上におけるドープからの溶剤の揮発を抑制し、残留溶剤量が多い状態で積層共流膜を支持体から剥離することで、上記発泡の問題を解決し、安定的な製膜を可能としている。
以下、本発明の方法の各工程について説明する。

0013

(共流延工程)
本発明の方法では、冷却された支持体上に、2種以上のドープを共流延して、積層流延膜を支持体上に形成する、共流延工程を実施する。支持体を冷却することで、積層流延膜の乾燥を抑制し、共流延工程に引き続いて実施される剥ぎ取り工程において、残留溶剤量が多い状態の膜の剥離を可能にしている。冷却の温度は、溶剤の揮発が抑制されればよく、例えば、室温未満に冷却すれば乾燥の抑制効果を得ることができる。溶液製膜法のドープ調製に一般的に用いられている溶剤種の揮発性等を考慮すると、支持体の表面温度を0°以下に冷却するのが好ましい。温度の下限については特に制限ないが、通常の装置では、下限温度は−30℃程度であり、また雰囲気環境露点調整のしやすさ、結露の観点を考慮すると下限値は−10℃程度であるのが好ましい。

0014

ドープを流延する支持体については特に制限ないが、ドラム形態の支持体を用いるのが好ましい。ある程度の長さのあるベルト状の支持体上に流延すると、乾燥が促進されて、剥ぎ取り工程において高残留溶剤量での剥ぎ取りが実施できない場合がある。前記支持体は、金属からなるドラム形態であるのが好ましい。また、支持体の表面は、鏡面処理されていてもよい。

0015

剥ぎ取り時の残留溶媒量が所定の範囲内である限り、共流延により形成された積層流延膜を、支持体上で搬送しながら、乾燥してもよい。乾燥は、例えば風を当てる等により実施することができる。

0016

層形成用の溶液(ドープ)は、各層の形成材料を有機溶媒に溶解して調製することができる。該溶液(ドープ)の調製について、その溶解方法は、室温溶解法冷却溶解法又は高温溶解方法により実施され、更にはこれらの組合せで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報に記載のセルロースアシレート溶液調製法を参照することができる。これらの詳細、特に非塩素系溶媒系については、前記の公技番号2001−1745号の22〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。更に、ドープ溶液は、溶液濃縮濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。

0017

各層の形成に利用されるドープの調製に用いられる有機溶媒については特に制限はない。低級脂肪族炭化水素塩化物、低級脂肪族アルコール炭素原子数3から12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類炭素数6〜12の芳香族炭化水素類フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報、段落番号[0020]、同11−60807号公報 段落番号[0037]等に記載の化合物)等、種々の有機溶媒から、フィルム形成材料の溶解性等に応じて適するものを選択することができる。

0018

前記溶剤は、単独でも併用でもよいが、良溶剤貧溶剤を混合して使用することが面状安定性を付与するために好ましく、更に好ましくは、良溶剤と貧溶剤の混合比率は良溶剤が60〜100質量%であり、貧溶剤が40〜0質量%である。本発明において、良溶剤とは使用する樹脂を単独で溶解するもの、貧溶剤とは使用する樹脂を単独で膨潤するか又は溶解しないものをいう。良溶剤としては、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物ジオキソラン類が挙げられる。また、貧溶剤としては、例えば、メタノールエタノールn−ブタノールシクロヘキサン等が好ましく用いられる。

0019

各ドープ中に含まれる溶剤の中でも、アルコールの割合は、製膜中に生じる発泡に影響する。特に、支持体側最下層になるB層の上に形成されるA層形成用のドープ中にアルコールが含まれていると、B層中の溶剤が滞留する傾向が強くなる。ドープA中のアルコールの割合が1質量%以下であるのが好ましく、全く含んでいないのも好ましい。一方、支持体側最下層となるB層形成用のドープBは、アルコールを含んでいるほうが、溶剤の滞留を軽減できるので好ましく、具体的には、15〜40質量%含んでいるのが好ましく、15〜30質量%含んでいるのがより好ましい。

0020

ドープA及びBの主溶剤は、ジクロロメタン等の有機ハロゲン化合物であるのが好ましい。ドープBは、有機ハロゲン化化合物とともに、上記割合範囲内で、アルコールが混合された混合溶剤であるのが好ましい。ドープBは、溶剤として、2種以上のアルコールを含んでいてもよく、例えば一種のアルコール(例えばメチルアルコール)を上記範囲で含有するとともに、他のアルコール(例えばn−ブタノール)を0.1〜5質量%の割合で含んでいてもよい。

0021

(ドープの固形分濃度
各層を形成する材料は、有機溶媒に10〜60質量%の固形分濃度(乾燥後固体となる成分の和)で溶解していることが好ましく、更に好ましくは10〜50質量%である。支持体側最下層であるB層を形成するためのドープBの固形分濃度は、その上方に形成されるA層を形成するためのドープAの固形分濃度と同等以上であるのが好ましく、ドープA及びBの固形分濃度は、14〜30質量%であるのが好ましく、15〜28質量%であるのがより好ましい。さらに、ドープBの固形分濃度が10質量%以下(より好ましくは5質量%以下)の範囲でドープAの固形分濃度よりも高いのが好ましい。

0022

支持体離型性界面密着性、低カールを達成する観点から、ドープ中の主成分高分子材料の組成は、例えばセルロースエステルを含有するドープBでは、セルロースエステルの占める割合は、50〜100質量%が好ましく、更に好ましくは70〜100質量%、最も好ましくは80〜100質量%である。また、アクリル系樹脂等やポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂を含有するドープAでも同様であり、樹脂の占める割合は、30〜100質量%が好ましく、更に好ましくは50〜100質量%、最も好ましくは70〜100質量%である。

0023

(剥ぎ取り工程)
次に、複数種のドープを共流延することで形成された積層流延膜を、ゲル状態で剥離する。具体的には、残留溶剤量が150%以上400%以下(好ましくは180%〜380%、より好ましくは200%〜350%である)の状態で、積層流延膜を支持体から剥離する。支持体上での乾燥を抑制し、発泡の原因になる、乾燥進行中に溶剤の層中における滞留を生じさせずに、支持体から流延膜を剥離する。残留溶剤量が150%未満であると、乾燥進行中に溶剤の層中における滞留が顕著になり、発泡等により得られるフィルムの面状が悪化する。また、フィルムがカール変形する傾向がある。一方、残留溶剤量が400%を超えると、支持体からの剥ぎ取りが困難になる。
なお、残留溶剤量は、以下の式から算出することができる。
残留溶剤量(%)=流延膜中の溶剤合計重量/流延膜中の固形分重量×100
流延膜中の溶剤合計重量や固形分重量は、例えば、任意の大きさの流延膜について乾燥処理をして、乾燥前後の重量を計測する処理をして測定する方法や、カ゛スクロマトグラフィーを用いてフィルム中の溶剤量を検出する方法や、干渉を利用した膜厚測定器を用いて、フィルムの剥ぎ取り時の膜厚を測定し、完成膜厚との差異から溶剤量を算出する方法を用いて知ることができる。

0024

支持体から積層流延膜を剥ぎ取る際には、剥ぎ取る方向(流延方向、搬送方向及びフィルム長手方向と一致)に力がかかり、即ち剥取り時の搬送方向に負荷がかかり、フィルムの伸長が起こる。上記ゲル状態での剥ぎ取りでは、剥取り時伸張率は、2%以上であるのが好ましく、5%以上であるのがより好ましい。なお、剥取り時伸張率は、支持体速度V1、剥離時のフィルム速度V2としたとき、[(V2−V1)/V1]×100で表される。

0025

剥ぎ取りは、支持体ドラムが1周する直前の位置で行われるのが好ましい。剥ぎ取りは、適切な位置に配置される剥ぎ取りロールに、積層流延膜を接触させて、ロールに追従させることで実施するのが好ましい。なお、本発明では、ドープが流延基材上に流延され剥離される時間、すなわち、流延基材上を搬送される時間が60秒以内であることが好ましく、30秒以内であることがより好ましい。

0026

上記共流延工程及び剥ぎ取り工程は、支持体としてドラムを備えた流延設備を利用して実施することができる。図1にその一例の要部を示す。図1は流延設備101の要部を示す概略図であって、側面からの平面図である。図1の流延設備は、支持体としてドラム102を備える。流延ダイ14は複数の流延口を有し、複数のドープを流延可能になっている。流延ダイ14から流延した複数のドープ12は、ドラム102の最上部よりやや下方に流延される。これにより、ドラム102上に形成された流延膜が流延開始位置PSから下方に向かうようになる。ドラム102上の流延開始位置PSにおける接線と流延ダイ14からの流延曲線の接線とができるだけ一致するように、流延開始位置PSを定めることが好ましい。

0027

ドラム102は、温度調整機能を有し、ドラム102の表面は室温未満に冷却されている。ドラム表面の温度が、0℃以下であるのが好ましく、−30〜0℃が好ましく、−10〜0℃がより好ましい。

0028

流延膜の外側には、複数の凝縮板105が設置されており、凝縮板105同士の隙間の傾斜をつたわって、外部の液受け53に入り回収タンク56に回収される。これにより、液だれを防止しながら、流延膜を均一に乾燥し、溶媒を高収率で回収することができる。

0029

ドラム102上を走行した流延膜は、フィルム36として剥ぎ取りローラ37により剥ぎ取られる。剥ぎ取り時のフィルム36(積層流延膜)の残留溶媒量は上記範囲である。また、剥ぎ取り時の剥取り時伸張率が15%以下になるように、ドラム102の速度と剥ぎ取り時のフィルム36の速度(即ちドラム102との相対速度)とを調整するのが好ましい。

0030

剥ぎ取られたフィルム36は、次の工程を実施する設備に搬送されてもよい。搬送は、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や、剥離されたフィルムの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより実施される。

0031

なお、ドラム102の回転方向を逆として、流延膜の走行方向が流延開始位置PSから上向きになされた場合にも、流延膜の均一乾燥と、フィルム36の厚みの均一化効果は得られる。

0032

上記共流延工程及び上記剥ぎ取り工程を経て得られたフィルムは、乾燥するのが好ましい。また、さらに光学特性の調整等を目的として、延伸処理収縮処理等を行ってもよいし、他の層との接着性を良化するために、表面処理等を行ってもよい。以下、所望により実施される乾燥工程及び後処理工程について説明する。
(乾燥工程)
乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエ−ブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンタ−方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。

0033

(後処理工程)
得られた積層フィルムに対して、さらに延伸処理、収縮処理、加熱処理加熱水蒸気処理水蒸気を吹き付ける処理)、表面処理等を行ってもよい。延伸処理や収縮処理は、A層の光学特性を所望の範囲に調整するために実施される処理であってもよい。また、表面処理(酸処理アルカリ処理プラズマ処理コロナ処理等)は、積層フィルムの表面と他の層との接着性を良化することを目的として実施される処理であってもよい。

0034

[積層フィルム]
層構成
本発明の製造方法により製造される積層フィルムは2層以上の積層構造を有する。 前記積層フィルムは、図2に断面模式図として示す通り、A層とB層とからなる2層構造であってもよい。また、A層及びB層以外の層を1以上有する3層以上の積層構造を有していてもよい。図3に一例の断面模式図を示す。図3に示す例は、A層を中心として、その上下にB層及びC層を有する3層構造の例である。C層は、B層と同一の組成物からなる層であってもよいし、異なる組成物(例えば主成分となる高分子の種類、添加剤の種類又はその割合が異なる組成物)からなる層であってもよい。

0035

また、A層の表面には、A層を他の部材と貼合する際に使用される粘着剤層が形成されていてもよい。粘着剤層を有する態様の一例の断面模式図を、図4に示す。図4に示す例は、共流延により製造されたA層とB層とからなる積層フィルムのA層の表面上に、塗布により形成された粘着剤層を有する例である。該粘着剤層は、A層と他の部材(例えば偏光子位相差フィルム、又は液晶セル)とを貼合するのに利用されてもよい。使用前の保管時もしくは搬送時等には、前記粘着剤層の表面に、剥離フィルムを積層して、粘着面を保護してもよい。

0036

<高分子材料>
次に、本発明の積層フィルムの各層の主成分として利用される高分子材料について詳細に説明する。
本発明では、支持体側最下層であるB層の形成には、セルロースエステルが主成分として使用され、且つ前記B層以外の少なくとも1層であるA層の形成には、前記セルロースエステルと比較してSP値が低い高分子材料が主成分として使用される。SP値とは、Hoy法によって算出した溶解度パラメーターの値のことを言うものとする。Hoy法は、POLYMERHANDBOOK FOURTH EDITIONに記載がある。セルロースエステルのSP値は21〜23程度である。A層の形成に利用される高分子材料は、SP値が上記範囲より大きいものであればいずれも利用することができる。その例には、アクリル樹脂、スチレン系樹脂及びポリエステル系樹脂が含まれる。これらの樹脂のSP値は17〜22程度である。
以下、A層用の高分子材料として、これらの樹脂について詳細に説明するが、本発明は、A層の主成分がこれらの樹脂である態様に限定されるものではない。

0037

(A層用高分子材料)
アクリル樹脂:
A層の主成分として利用可能なアクリル樹脂としては、数平均分子量が、1000以上2000000未満であるのが好ましく、5000〜1000000であるのがより好ましく、8000〜500000であるのがさらに好ましい。

0038

前記アクリル樹脂の例には、下記一般式(2)で表される、アクリル酸エステル系単量体から得られる構造単位を含むポリマーが含まれる。

0039

0040

式中、R105〜R108は、各々独立に、水素原子ハロゲン原子酸素原子硫黄原子窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、又は極性基を表す。

0041

当該アクリル酸エステル系単量体の例としては、例えば、アクリル酸メチルアクリル酸エチルアクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチルアクリル酸フェニルメタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジルメタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)、アクリル酸シクロヘキシルメタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等、または上記アクリル酸エステルメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、2種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが好ましい。

0042

市販品を利用してもよく、例えば、「ダイヤナールBR88」(三菱レイヨン社製)等を用いることができる。

0043

スチレン系樹脂:
A層の主成分として利用可能なアクリル樹脂の例には、ポリスチレン誘導体及びスチレン系共重合体が含まれる。具体的には、スチレン系モノマー単独重合体及び共重合体が含まれる。スチレン系共重合体は、2種以上のスチレン系モノマーの共重合体であっても、1種以上のスチレン系モノマーと、1種以上の非スチレン系モノマー(例えば、アクリル系モノマーであり、好ましくは下記式(c)で表されるアクリル系モノマーである)との共重合体であってもよい。

0044

前記スチレン系モノマーの例には、スチレンが有するエテニル基の1以上の水素原子が置換基で置換されたモノマー、及びスチレンが有するフェニル基の1以上の水素原子が置換基で置換されたモノマーが含まれる。フェニル基に置換基を有するスチレン系モノマーが好ましい。前記置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基アセトキシ基などのカルボキシル基アミノ基、ニトロ基シアノ基アリール基ヒドロキシル基カルボニル基などが挙げられ、ヒドロキシル基、カルボニル基またはアセトキシ基が好ましく、ヒドロキシル基またはアセトキシ基がより好ましい。なお、前記置換基は単独であっても、2以上であってもよい。さらに前記置換基はさらに置換基を有していても有していなくてもよい。また、前記スチレン系誘導モノマーはさらにフェニル基とその他の芳香環とが縮合したものでもよく、また、置換基がフェニル基以外の環を形成するようなインデン類インダン類であってもよく、架橋環を有する構造であってもよい。

0045

前記スチレン系モノマーは、好ましくは、下記一般式(b)で表される、芳香族ビニル系単量体である。

0046

0047

式中、R101〜R104は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表し、R104は全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。

0048

前記芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−4−ビニルベンゾエート、エチル−4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリンビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類、インデン類などが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。

0049

前記アクリル系モノマーは、例えば、下記式(c)で表されるモノマーから選択することができる。

0050

0051

式中、R105〜R108は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表す。

0052

当該アクリル酸エステル系単量体の例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、2種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが好ましい。

0053

また、他の共重合成分としては、無水マレイン酸無水シトラコン酸、シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、3−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、4−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸等の酸無水物アクリロニトリルメタクリロニトリルなどのニトリル基含有ラジカル重合性単量体アクリルアミドメタクリルアミドトリフルオロメタンスルホニルアミノエチルメタアクリレートなどのアミド結合含有ラジカル重合性単量体;酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニル類;塩化ビニル塩化ビニリデンなどの塩素含有ラジカル重合性単量体;1,3−ブタジエンイソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。

0054

ポリエステル樹脂
A層の主成分として利用可能なポリエステル樹脂としては、例えば、特開2008−112141号公報等に記載されている、負の固有複屈折を有する材料として知られているポリフマル酸エステル系樹脂が挙げられる。フマル酸エステル系樹脂としては、フマル酸エステル重合体が挙げられ、その中でも一般式(a)により示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上からなるフマル酸ジエステル系樹脂が好ましい。

0055

0056

R1及びR2はそれぞれ独立して炭素数3〜12の分岐状アルキル基又は環状アルキル基を示す。

0057

フマル酸ジエステル残基単位のエステル置換基であるR1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数3〜12の分岐状アルキル基又は環状アルキル基であり、フッ素塩素などのハロゲン基エーテル基エステル基若しくはアミノ基で置換されていてもよく、例えばイソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基、シクロプロピル基シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が好ましく、イソプロピル基が好ましい。

0058

一般式(a)で表されるフマル酸ジエステル残基単位の例には、フマル酸ジイソプロピル残基フマル酸ジ−s−ブチル残基、フマル酸ジ−t−ブチル残基、フマル酸ジ−s−ペンチル残基、フマル酸ジ−t−ペンチル残基、フマル酸ジ−s−ヘキシル残基、フマル酸ジ−t−ヘキシル残基、フマル酸ジシクロプロピル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基等が挙げられ、フマル酸ジイソプロピル残基、フマル酸ジ−s−ブチル残基、フマル酸ジ−t−ブチル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基等が含まれ、特にフマル酸ジイソプロピル残基が好ましい。

0059

A層の主成分としては、一般式(a)により示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上から成るフマル酸エステル系樹脂を用いるのが好まし、一般式(a)により示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上、フマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位50モル%以下からなる樹脂がより好ましい。フマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位としては、例えばスチレン残基、α−メチルスチレン残基等のスチレン類残基;アクリル酸残基;アクリル酸メチル残基、アクリル酸エチル残基、アクリル酸ブチル残基、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基、アクリル酸テトラヒドロフルフリル残基等のアクリル酸エステル類残基;メタクリル酸残基;メタクリル酸メチル残基、メタクリル酸エチル残基、メタクリル酸ブチル残基、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル残基等のメタクリル酸エステル類残基;酢酸ビニル残基、プロピオン酸ビニル残基等のビニルエステル類残基;アクリロニトリル残基;メタクリロニトリル残基;エチレン残基、プロピレン残基等のオレフィン類残基;等の1種又は2種以上を挙げることができ、その中でもアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基が好ましく、特にアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基が好ましい。これらの中でも、一般式(a)により示されるフマル酸ジエステル残基単位が70モル%以上である樹脂が好ましく、フマル酸ジエステル残基単位が80モル%以上である樹脂がより好ましく、さらに90モル%以上である樹脂がさらに好ましい。勿論、一般式(a)により示されるフマル酸ジエステル残基単位のみからなる樹脂も好ましい。

0060

A層の主成分として用いるフマル酸エステル系樹脂としては、ゲル・パーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×104以上であることが好ましく、特に機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れた光学補償フィルムとなることから2×104以上2×105以下であることが好ましい。

0061

前記フマル酸エステル系樹脂の製造方法については特に制限はなく、種々の方法を採用できる。例えば、フマル酸ジエステル類、場合によってはフマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体を併用しラジカル重合あるいはラジカル共重合を行うことにより製造することができる。原料として用いるフマル酸ジエステル類としては、例えばフマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−s−ブチル、フマル酸ジ−t−ブチル、フマル酸ジ−s−ペンチル、フマル酸ジ−t−ペンチル、フマル酸ジ−s−ヘキシル、フマル酸ジ−t−ヘキシル、フマル酸ジシクロプロピル、フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシル等が挙げられ、フマル酸ジエステルと共重合可能な単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;等の1種又は2種以上を挙げることができ、その中でもアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチルが好ましく、特にアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチルが好ましい。

0062

また、用いるラジカル重合法としては、公知の重合方法で行うことが可能であり、例えば塊状重合法溶液重合法懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等のいずれもが採用可能である。

0063

ラジカル重合法を行う際の重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイドラウリルパーオキサイドオクタノイルパーオキサイドアセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物;2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。

0064

溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えばベンゼントルエンキシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコールブチルアルコール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサンテトラヒドロフラン(THF);アセトンメチルエチルケトンジメチルホルムアミド酢酸イソプロピル;水等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。

0065

また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。

0066

(A層の添加剤)
A層中には、1種以上の界面活性剤を添加してもよい。使用可能な添加剤の例及び添加量の好ましい範囲については、特開2009−168900号公報の[0033]〜[0041]等を参照することができる。

0067

(B層用高分子材料)
本発明では、支持体側最下層であるB層の主成分として、セルロースエステルを用いる。B層の形成に利用可能なセルロースエステルは、原料のセルロース分子中OH基の少なくとも一部をエステル基で置換した材料である。原料のセルロースとしては、綿花リンタ木材パルプ広葉樹パルプ針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。

0068

前記セルロースエステルは、脂肪族エステルであるのが好ましく、即ち脂肪族アシル基を有しているのが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基プロピニル基、及びブチニル基が含まれる。使用可能なセルロースエステルの例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートセルロースアセテートブチレートセルロースアセテートベンゾエートセルロースプロピオネート、セルロースブチレート等が挙げられる。より好ましくは、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートであり、更に好ましくはセルロースアセテートである。アセチル基の置換度が2.7〜2.95(より好ましくは2.75〜2.91)のセルロースアセテートは、溶液製膜性が良好であるので好ましい。

0069

なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めることができる。

0070

本発明に用いられるセルロースエステルの重量平均分子量(Mw)は、溶液製膜性等の観点から、好ましくは75000以上であり、75000〜300000の範囲であることがより好ましく、100000〜240000の範囲内であることが更に好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。

0071

前記B層は、上記主成分以外に、可塑剤マット剤紫外線吸収剤等の1種以上の添加剤を含有していてもよい。後述のC層も、同様に1種以上の添加剤を含有していてもよい。

0072

(C層用高分子材料)
本発明の積層フィルムは、A層及びB層とともに共流延により形成される、他のC層を1層以上有していてもよい。例えば、図2に示す様に、A層のB層との積層面と反対側の面にC層を形成することができる。また、C層を、B層の表面に積層してもよい。C層は、B層と同様に、ハンドリング性の改善に寄与する層であってもよいし、A層の保護層(例えば、A層の表面にごみほこりが付着するのを防止するための保護層や、傷などがつくのを防止するための保護層等)であってもよく、又はその双方の機能を有する層であってもよい。C層は、B層の剥離と同時に、又はB層の剥離の前もしくは後に、A層から剥離されてもよい。この態様では、C層の形成に利用する主成分は、B層と同様であるのが好ましく、例えば、アセチル基の置換度が2.7〜2.95のセルロースアセテートを利用することができる。又は用途によっては、A層とC層との積層体として用途に供してもよい。その場合は、その用途に応じて、要求される特性を満足する様に、材料が種々選択される。

0073

なお、C層は、共流延により、A層及びB層とともに同時に形成されてもよいし、共流延によりA層とB層とからなる積層フィルムを製造した後、別途、C層となるフィルム等を貼合して形成してもよい。貼合可能なフィルムとしては、セルロースエステルフィルムポリカーボネートフィルムポリエチレンテレフタレートフィルムポリイミドフィルム高分子液晶フィルム環状オレフィンフィルム等種々の汎用フィルムを利用することができる。

0074

(粘着剤層用材料)
本発明の積層フィルムは、粘着剤層を有していてもよい。粘着剤層は、例えば、A層を他の部材(例えば、偏光子、他の位相差フィルム、偏光板保護フィルム、又は液晶セル等)に貼合するために利用される。粘着剤層は、例えば、A層の表面であって、B層との積層面反対側表面に形成することができる。また、使用前の保管時もしくは搬送時等には、前記粘着剤層の表面に、剥離フィルムを積層して、粘着面を保護してもよい。

0075

前記粘着剤層の形成に利用可能材料については特に制限はない。具体的には、特開2011−37140号等に記載の粘着剤を利用することができる。

0076

<積層フィルムの用途及び各層の性質>
本発明の方法により製造される前記積層フィルムの用途の一例は、A層転写用の転写材である。この態様では、A層をB層から剥離すると同時に、又はB層から剥離する前もしくは後に、A層は他の部材(例えば偏光子、位相差フィルム、又は液晶セル)と貼合される。最終的には、B層は除去され、A層のみが他の部材に転写される。この態様では、B層は製膜中の搬送容易性や剥離容易性といったハンドリング性の改善に寄与するのが好ましい。図2に示す様に、A層の上にさらにC層を有する態様では、C層もB層と同様に、ハンドリング性の改善に寄与する層であってもよいし、A層の保護層(例えば、A層の表面にごみやほこりが付着するのを防止するための保護層や、傷などがつくのを防止するための保護層等)であってもよく、又はその双方の機能を有する層であってもよい。C層は、B層の剥離と同時に、又はB層の剥離の前もしくは後に、A層から剥離されてもよいし、又は用途によっては、A層とC層との積層体として用途に供してもよい。C層は、共流延により、A層及びB層とともに同時に形成されてもよいし、共流延によりA層とB層とからなる積層フィルムを製造した後、別途、C層となるフィルム等を貼合して形成してもよい。

0077

なお、前記転写材の用途においてB層(及び所望により形成されるC層)をA層から剥離可能にするためには、層間剥離力が小さいほど好ましい。一方、層間剥離力が小さすぎると、製膜中に剥離が生じる等、ハンドリング性が悪化する。本発明では、A層及びB層の主成分として利用される高分子材料のSP値が異なる。A層及びB層それぞれの主成分のSP値(SPA及びSPB)の差の絶対値(|SPA—SPB|)が大きければ互いの親和性が小さく、即ち層間剥離力は小さくなり、ΔSPが小さければ互いの親和性が高く、即ち層間剥離力は大きくなる。A層とB層との層間剥離力を適切な範囲にするためには、ΔSP値が1以上であるのが好ましく、1〜5であるのがより好ましい。B層の主成分として利用されるセルロースエステルとの関係でΔSPが前記範囲になる高分子材料の例には、後述するアクリル樹脂、スチレン系樹脂、及びポリエステル系樹脂が含まれるとともに、ポリカーボネート等が含まれる。

0078

(層間剥離力)
前記用途では、A層とB層との層間剥離力は、0.05〜5N/cmであるのが好ましい。層間剥離力が前記範囲であることにより、製膜時においては剥離が生じない程度の良好な接着性を維持し、且つ使用時には、A層をB層から容易に剥離し単独使用可能な程度の良好な剥離性を示す。これにより、溶液製膜時において良好なハンドリング性を維持でき、且つ使用時にはA層をB層から切り離し、A層単独で種々の用途に用いることが可能になる。A層とB層との層間剥離力は、好ましくは0.1〜4N/cmであり、より好ましくは0.2〜3N/cmである。

0079

(A層の光学特性)
A層は、任意の光学特性を示す位相差層であってもよい。光学特性は、用途に応じて決定される。一例は、屈折率nx、ny、及びnzが下記式を満足する位相差層である。
nz≧nx≧ny
但し、nxは面内遅相軸方位の面内屈折率を、nyは面内遅相軸方位に直交する方位の面内屈折率を、nzは厚み方向屈折率を意味する。
前記式を満足する位相差層の例には、下記式を満足する位相差層が含まれる。
nz>nx≧ny
上記式を満足する位相差層の例には、いわゆる正のCプレート(本明細書では、厳密な意味での正のCプレートのみを意味するものではなく、Cプレート様に機能する位相差板のいずれも含まれるものとし、具体的にはRthが負の値を示し、且つReが0〜10nmの位相差板を意味するものとする)及びいわゆる正のBプレート(本明細書では光学的に二軸の位相差板であって、Rthが負の光学的二軸の位相差板をいずれも含む意味で用いる)が含まれる。上記特性を満足するA層は、例えば、IPSモード又はFFSモード等の水平配向モードの液晶表示装置視野角補償フィルム等として有用である。

0080

(各層の厚み)
前記積層フィルムを構成する各層の厚みについては特に制限はない。溶液製膜法で、薄層のフィルムを製造すると、支持体上における搬送時、又は支持体からの剥ぎ取り時に、破断等が生じるといった問題があった。本発明では支持体最下層であるB層がセルロースエステルからなり、比較的高弾性の層を形成可能であるので、搬送時及び剥ぎ取り時のハンドリング性が良好である。従って、A層の厚みを、単独ではハンドリング性が悪化する程度まで薄くしても、良好なハンドリング性を維持できる。例えば、A層の厚みは、5〜30μmであってもよく、又は7〜25μmであってもよく、又は8〜23μmであってもよい。また、B層の厚みは、ハンドリング性の改善に寄与するためには、10μm以上であるのが好ましく、一般的には10〜40μmであるのがより好ましい。所望により形成されるC層の厚みについても、同様である。

0081

(積層フィルムの厚み)
前記積層フィルムの合計膜厚についても特に制限はない。ハンドリング性の改善の観点では、20μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上180μm以下の厚みであることがより好ましく、30μm以上150μm以下であることが特に好ましく、最も好ましくは40μm以上100μm以下である。

0082

フィルム幅
前記積層フィルムの幅は400〜2500mmであることが好ましく、1000mm以上であることがより好ましく、1500mm以上であることが特に好ましく、1800mm以上であることがより特に好ましい。

0083

フィルム長さ)
また、前記積層フィルは、連続的に製造された長尺状の形態もしくはそれがロール状に巻き取られたロール状の形態であってもよいし、また実際に使用されるのに適する形状、例えば矩形状等に裁断等された形態であってもよい。

0084

[光学フィルムの製造方法]
本発明は、本発明の方法により製造される積層フィルムを利用した光学フィルムの製造方法にも関する。本発明の光学フィルムの製造方法は、前記積層フィルムを準備すること、該積層フィルムからB層を剥離すると同時に、又は剥離した後もしくは剥離する前に、A層と他の膜(例えば、偏光膜又は他の位相差膜)とを貼合することを含むことを特徴とする。これにより、A層は、B層の表面上から、他の膜の表面上に転写される。

0085

B層の剥離は、物理的な折り曲げ切断端面からの捲れ、熱、湿熱処理を起点として、実施することができる。各層の物理機械特性(延性靭性)の差異を利用して、熱、湿熱処理による寸法変化等の物性変化の差異を利用して、又は上下の膜厚方向せん断速度差を利用して、剥離を実施することができる。フィルムの特性に応じて、適宜使い分けることができる。熱、湿熱寸法変化の差異を利用して剥離する態様でも、剥離時に、加熱ロールや、加熱した水蒸気を所望の箇所に当てることで局所的な寸法変化等を生じさせ、各層の変位量の差を剪断力として作用させ、その力が層間の密着力を超すと剥離が起きることになる。

0086

剥離したB層は、そのまま廃棄してもよいし、または他の用途に利用してもよい。一例は、剥離したB層を、切断、粉砕等して、B層の主成分高分子材料を回収し、本発明の方法に用いるB層形成用ドープの調製に再利用し、A層形成用ドープとともに、溶液共流延して、前記積層フィルムを製造する態様である。B層用高分子材料を回収・再利用することで、製造コストの軽減、及び廃棄物の軽減を達成することができる。

0087

[偏光板]
本発明の光学フィルムを利用することで、偏光板を製造することができる。該偏光板の一例は、本発明の積層フィルムから転写されたA層と、偏光膜とを少なくとも有する偏光板である。前記A層は、偏光膜とその少なくとも一方の側に配置された保護フィルムとを有する偏光板において、その保護フィルムとして使用することができる。また、A層と偏光膜との間に、他のフィルム(保護フィルム、位相差フィルム等)を配置してもよい。

0088

また偏光板の構成として、偏光膜の両面に保護フィルムを配置する形態においては、A層は、一方の保護フィルム、として用いることもできる。

0089

偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜ポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。

0090

偏光膜の厚みについては特に制限はないが、偏光膜の厚みが薄いほうが、偏光板及びそれを組み込む液晶表示装置を薄型化することができる。この観点では、偏光膜の厚みは10μm以下であるのが好ましい。偏光膜の膜厚の下限値は、偏光膜内での光路が光の波長より大きいことが必要であるため、0.7μm以上、実質的には1μm以上であり、一般的には、3μmより厚いことが好ましい。

0091

[液晶表示装置]
本発明の積層フィルムから転写されたA層、又は前記偏光板は、液晶表示装置に用いることができる。液晶表示装置の配向モードについては特に制限はなく、水平配向モード(IPSモード及びFFSモード)、TNモード、VAモード、OCBモード、又はECBモードなどいずれのモードを利用した液晶表示装置であってもよい。

0092

前記液晶表示装置の一態様は、水平配向モード液晶表示装置である。この態様では、A層が、nz≧nx≧nyを満足し、いわゆる正のCプレート又は正のBプレートであると、水平配向モード液晶表示装置の視野角補償に寄与する。より具体的には、本態様では、A層は、Reが0〜10nmであり、且つRthが−50〜−300nmであるか、Reが50〜150nmであり、且つRthが−150〜−50nmである態様が好ましい。さらに、A層は、Reが0〜5nmであり、且つRthが−60〜−200nmであるか、Reが60〜140nmであり、且つRthが−140〜−60nmである態様が好ましい。

0093

A層は、偏光膜と貼合した偏光板の状態で液晶表示装置に組み込まれていてもよい。また、A層単独で、もしくは他の位相差層との積層体として、視野角補償フィルムとして組み込まれていてもよい。組み合わせる他の位相差層は、視野角補償の対象である液晶セルの配向モード等に応じて選択することができる。上記水平配向モード液晶表示装置の態様では、位相差層Aと組み合わせて用いられる他の位相差層は、位相差層Aが正のCプレートの態様では、負のBプレート(例えばReが100nm程度で且つRthが100nm程度の位相差板)であるのが好ましく、位相差層Aが正のBプレートの態様では、負のCプレート(例えばReが0nm程度で且つRthが100nm程度の位相差板)であるのが好ましい。

0094

A層は、液晶セルと視認側偏光膜との間に配置されても、液晶セルとバックライト側偏光膜との間に配置されていてもよい。例えば、上記水平配向モードの態様では、位相差層Aは、IPSモードでは、液晶セルと視認側偏光膜との間に配置されているのが好ましく、FFSモードでは、液晶セルとバックライト側偏光膜との間に配置されているのが好ましい。

0095

なお、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターマニュアル交換するか、または測定値プログラム等で変換して測定するができる。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値平均屈折率仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。

0096

式(2)
Rth={(nx+ny)/2 − nz} × d
上記式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわし、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。

0097

測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、本明細書では、特に付記がない限りは屈折率の測定波長は550nmとする。

0098

以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。

0099

測定方法
三次元屈折率
波長λが550nmのエリプソメトリーモデルM2000V、J.A.Woollam Co.)によって測定した。
<層間剥離力>
フィルムサンプルについて、90°剥離試験法で層間剥離力を測定した。具体的には以下の通りである。
1.各フィルムサンプルを、粘着剤を介して、ガラス板上に貼り合わせる。例えば、A層をガラス板側に(下に)、及びB層を上にして、ガラス板に貼り合わせる。なお、各フィルムサンプルのサイズは、幅1cm×長さ15cmで、貼り合わせ部分の長さは7cmとする。
2.A層とB層との界面で、B層を90°方向へ引っ張ることで界面剥離を進行させ、フィルム端部のみ剥離する。このときの荷重を測定し、この値を層間剥離力とする。

0100

<剥取り時伸張率>
剥取り時伸張率は、各フィルムサンプルの製造において、支持体ドラムの速度V1、剥離時のフィルム速度V2(実際には剥離ローラの速度)に基づいて、以下の式により算出した。
剥取り時伸張率=[(V2−V1)/V1]×100
<残留溶剤量>
各フィルムサンプルの剥ぎ取り時の残留溶剤量は、支持体から剥ぎ取った流延膜を、適切な大きさに切り取り、重量(W1)のわかった蓋付き瓶に封入し、蓋をした後に重量計測した後に、蓋をあけ、フィルム120℃2時間乾燥したのち重量を測定する(W2)これにより、「流延膜中の溶剤合計重量=W1−W2」及び「流延膜中の固形分重量=W2」の値をそれぞれ知り、それぞれの値に基づいて、以下の式から算出した。
残留溶剤量(%)=流延膜中の溶剤合計重量/流延膜中の固形分重量×100

0101

1.積層フィルムの製造
(1)ドープの調製
<ドープAの調製>
下記表に記載の高分子材料をそれぞれ用いて、A層用のドープAをそれぞれ調製した。各ドープの溶剤組成についても、下記表にそれぞれ示す。
<ドープBの調製>
下記表に記載の高分子材料をそれぞれ用いて、B層用のドープBをそれぞれ調製した。各ドープの溶剤組成についても、下記表にそれぞれ示す。

0102

(2)溶液共流延による製膜
各ドープA及び各ドープBを下記表に記載の通り組み合わせて、A層とB層との積層体を作製した。具体的には、図1に示す構成と同様の支持体ドラムを有する流延装置を用いて、共流延が可能な流延ギーサーを通して、ドラム支持体上に、各ドープBが支持体側となるように、各ドープB及び各ドープAを共流延した。ドープを支持体上で製膜し、得られた各積層フィルムを支持体から剥ぎ取った。
なお、下記表中、フィルムNo.08については、ドープAのみを単独で溶液流延法により製膜した。

0103

2.評価
上記方法により、各値をそれぞれ測定又は算出した。なお、層間剥離力の測定については、測定中にフィルムが破断等して、測定不可サンプルもあった。測定中の破断等についても、下記表に記載した。
また、各フィルムの製膜適性の評価は、支持体からのフィルムの剥離性で評価し、下記の基準に基づいて剥離性を評価した。
A:支持体からのフィルム剥離性が非常に良く、剥離後にフィルムに光学的なムラが全く視認できなかった。
B:支持体からのフィルムの剥離性が悪く、剥離後にフィルムにスジ状の膜厚ムラが視認できた。
C:支持体からのフィルムの剥離性が非常に悪く、剥離時にフィルムが部分的に伸張された。
また、各フィルムの面状の評価は、目視によるムラの認識の有無により行った。目視でムラを確認できない場合は、「A」とした。
また、各フィルムのカールの有無についても、目視により確認し、目視でカール変形を確認できない場合は、「A」とした。
結果を下記表に示す。

0104

また、得られた各フィルムについて、以下の方法により、輝点の数を調べた。フィルムに存在する輝点は、フィルムを支持体から剥ぎ取る際に、又は製膜中の支持体上での搬送によって、フィルムに傷等が生じることで発生するものである。従って、輝点が少ないほど、製造適性に優れ、ハンドリング性が良好であると言える。下記表に結果を示す。
なお、表中の「N個/100視野」は、偏光顕微鏡観察測定において、クロスニコル状態にした偏光子と検光子の間に偏光子とフィルム遅相軸が一致するようにフィルムを置き、暗視野状態で輝点となる数を数えた際にN個の輝点がカウントされたことを意味する。

0105

0106

上記表に示す結果から、支持体側最下層であるB層の主成分としてセルロースエステルを用い、その上方に形成されるA層の主成分として前記セルロースエステルよりSP値が低い高分子材料を用いて溶液共流延し、且つ残留溶剤量が150〜400%の状態で支持体から剥ぎ取ることで、面状が良好で、カール等の変形もない積層フィルムを安定的に製造可能であることが理解できる。またA層が20μmという薄層であっても、B層とともに共流延することで、製膜時の搬送性が良好であり、且つ支持体からの剥ぎ取り特性も良好であり、ハンドリング性が良好に維持されていることが理解できる。
実施例の積層フィルムについてA層とB層の剥離を試みたところ、いずれも破断や破損を生じることなく、容易にA層をB層から剥離することができ、A層をB層から剥離して、単独使用可能であることを確認した。

0107

一方、比較例のフィルムNo.08は、ドープAを単独で20μmの薄層で溶液製膜しているため、製膜時及び剥ぎ取り時のいずれもハンドリング性が悪かった。
また、比較例のフィルムNo.1は、残留溶剤量が150%未満の状態で、及び比較例のフィルムNo.2は、残留溶剤量が400%を超えた状態で、それぞれ支持体から剥ぎ取っているため、カール等の発生があったり、又は剥ぎ取り不良があり、安定的な製造はできなかった。
また、比較例のフィルムNo.09は、支持体最下層であるB層の主成分が、セルロースエステルではないため、製造適性が顕著に劣っていることが理解できる。
また、比較例のフィルムNo.17及び20では、支持体最下層であるB層の主成分のSP値が、A層の主成分のSP値よりも低いため、面状の悪化等が生じ、良好なフィルムを安定的に製造できなかた。
また、比較例のフィルムNo.20については、A層とB層の剥離を試みたところ、層間の密着力が高すぎるため、A層をB層から剥離して、単独使用することができなかった。

0108

2.B層用材料の再利用
上記フィルムNo.15の積層フィルムから、B層のみを剥離して、微細切片に裁断し、且つ粉砕した後、再び、同一組成の溶剤に溶解し、ドープBを調製した。このドープBを用い、且つ支持体側から、ドープB/ドープA/ドープBの3層に共流延した以外は、フィルムNo.15と同様にして、3層構造の積層フィルムNo.15aを製造した。

0109

上記フィルムNo.15の積層フィルムから、B層のみを剥離して、微細な切片に裁断し、且つ粉砕した後、再び、同一組成の溶剤に溶解し、ドープBを調製した。このドープBを用い、且つ剥ぎ取り時の伸張率を下記表に示す通りにかえた以外は、フィルムNo.15と同様にして、ドープAとともに共流延し、積層フィルムNo.15bを製造した。

0110

得られたフィルムNo.15a及び15bについても、上記と同様に特性をそれぞれ測定し、また上記と同様にして、それぞれの項目の評価を行った。結果を下記表に示す。フィルムNo.15の結果も併せて示す。
下記表に示す結果から、剥離されたB層を再利用した積層フィルムについても、上記実施例と同様に、安定的に積層フィルムを製造することができた。さらに、輝点評価が、再利用実施のほうが改善されているのは、一度溶液流延されることにより、フィルタリング設備を一旦通過することにより、異物が減少したフィルムを再度利用しているためと推測している。

0111

0112

3.実装評価
(1)粘着剤層の形成
上記で製造したフィルムNo.15a及び15bのそれぞれのA層の表面(フィルムNo.15aについては、一方のB層を剥離することで露出するA層の表面)に、以下の粘着剤組成物を用いて、粘着剤層を形成した。
冷却管撹拌羽温度計付属した4つロフラスコ中に、ブチルアクリレート91質量部、アクリル酸3質量部、N‐(2‐ヒドロキシエチル)アクリルアミド1.5質量部、DMAA(N,N‐ジメチルアクリルアミド)4.5質量部、及び過酸化ベンゾイル0.2質量部を、トルエン200質量部とともに加え、十分に窒素置換した後、窒素気流下で撹拌しながら、約60℃で8時間反応させ、重量平均分子量180万(GPCポリスチレン換算)のアクリル系共重合体の溶液を得た。このアクリル系共重合体の溶液の固形分100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤コロネートL,日本ポリウレタン社製)を固形分で0.5質量部加えて、粘着剤溶液を調製した。

0113

得られた粘着剤溶液を、離型処理を施したポリエステルフィルム(厚さ35μm)からなるセパレータ上に、乾燥後の粘着剤層の厚さが20μmになるように、リバースロールコート法により塗布し、155℃で3分間加熱処理して、溶剤を揮発させ、粘着剤層を得た。この粘着剤層を、上記で製造したフィルムNo.15a及び15bのそれぞれのA層の表面に積層して、粘着剤付き積層フィルムをそれぞれ作製した。

0114

(2)他の位相差フィルムの積層
下記表に記載の光学特性を示す位相差フィルムRFa及びRFbをそれぞれ準備した。なお、位相差フィルムRFa及びRFbは、セルロースアセテート樹脂を主成分として含み、必要に応じてエステル系オリゴマー可塑剤等の可塑剤が添加されたドープを用いた溶液製膜により製造した。その後、光学特性を調整するために、必要により延伸処理を実施した。溶液製膜及び延伸処理は、特開2011−118339号公報に記載の方法及び条件等を参照した。

0115

粘着剤付き積層フィルムNo.15a及び15bそれぞれから、B層を剥離するとともに(フィルムNo.15aについては粘着剤層を形成する際に、一方のB層は剥離すみ)、粘着剤層表面に、これらの位相差フィルムRFa及びRFbをそれぞれ、下記表に記載の組み合わせで貼合した。B層は容易に剥離でき、剥離の際に、破断・破損は生じなかった。この様にして、A層(位相差層A)と他の位相差フィルムRFa又はRFbとが積層された視野角補償フィルムFa及びFbをそれぞれ製造した。
下記表には、フィルムNo.15a及び15bそれぞれに含まれる位相差層AのRe及びRthの値も示す。

0116

0117

(3)偏光板の作製
偏光膜として、ヨウ素で染色したポリビニルアルコール系偏光膜(厚みは8μm)を準備した。
この偏光膜の一方の表面に、上記で作製した視野角補償フィルムF1の面内遅相軸と偏光膜の吸収軸が平行になるように、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液接着剤として用いて貼合した。この時、位相差層Aの表面(B層を剥離することで露出した面)を、PVA偏光膜の表面と貼合し、位相差層Aの反対側の表面に他の位相差フィルムRF1が積層されている構成とした。また、偏光膜の他方の表面に市販のセルローストリアセテートフィルムを、前記接着剤を用いて貼合した。この様にして、偏光板X1を作製した。
別の偏光膜の一方の表面に、上記で作製した視野角補償フィルムF2を、面内遅相軸と偏光膜の吸収軸が平行になるように、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として用いて貼合した。この時、他の位相差フィルムRF2の表面をPVA偏光膜の表面と貼合し、フィルムRF2の反対側の表面に位相差層Aが積層されている構成とした。また偏光膜の他方の表面には、市販のセルローストリアセテートフィルムを前記接着剤を用いて貼合した。この様にして、偏光板X2を作製した。

0118

上記偏光板X1及びX2それぞれと、組み合わせて用いられる偏光板として、偏光膜の一方の表面にZ−TAC(富士フイルム社製の低位相差セルロースアセテートフィルム)が貼合され、他方の表面に市販のセルローストリアセテートフィルムが貼合された偏光板X3を準備した。

0119

(4)液晶セルの準備
IPSモードの液晶セルを備える32インチの液晶表示装置[日立製作所製液晶テレビ商品名「Wooo」(型番:W32−L7000)]から、液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた光学フィルムを全て取り除いて、液晶セルの表裏ガラス面を洗浄した。

0120

(5)液晶表示装置の作製
上記IPSモード液晶セルの表示面側表面に偏光板X1を、バックライト側表面に偏光板cを、互いの吸収軸を直交にしてそれぞれ貼合した。なお、いずれの偏光板についても市販のセルローストリアセテートフィルムを外側に向けて貼合した。この様にしてIPSモード液晶表示装置LCD−X1を作製した。
上記IPSモード液晶セルの表示面側表面に偏光板X2を、バックライト側表面に偏光板cを、互いの吸収軸を直交にしてそれぞれ貼合した。なお、いずれの偏光板についても市販のセルローストリアセテートフィルムを外側に向けて貼合した。この様にしてIPSモード液晶表示装置LCD-X2を作製した。

実施例

0121

(6)液晶表示装置の評価
作製したLCD−X1及びLCD−X2をそれぞれ黒表示させ、斜め方向から観察したところ、光漏れのない理想的な黒表示を実現していた。

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