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課題
解決手段
概要
背景
映像信号によって示される色は、ベクトルスコープによって測定されてきた。ベクトルスコープは、直交する座標軸に色差信号をそれぞれ割り当てた2次元座標平面を定め、その2次元座標平面上の点の位置により、測定される映像信号によって示される色を視覚的に表示する(例えば、特許文献1,2参照)。
近年、「4K×2K画像」や「スーパーハイビジョン」などのように、HDTV(high definition television)システムの画素数を超える超高解像度大画面映像(LSDI:(large screen digital imagery)を表示する映像システムが開発されている。
LSDIにおける映像信号の基本的なシステムパラメーターは、すでに標準化が行われ、その仕様が開示されている(ITU-R(International Telecommunication Union Radio communications Sector) RecommendationBT.1769(以下、「ITU−R BT.1769」という。)など)。
さらに、超高精細画像を表示する映像システム(UHDTV(Ultra high definition television)システム)の開発が進められている(例えば、非特許文献1、2参照)。
UHDTVシステムにおける映像信号のシステムパラメーターについては、すでに標準化が行われ、その仕様が開示されている(SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)2036(2007)などを参照)。例えば、SMPTE2036におけるカラリメトリ(表色系)においては、ITU-R RecommendationBT.709(以下、「ITU−R BT.709」という。)が引用されている。引用されているITU−R BT.709は、現行のHDTVシステムなどの色域を規定する。それゆえ、SMPTE2036(2007)において表現できる色域の範囲は、現行のHDTVシステムの色域と同じ範囲に限られる。
また、新たな映像システムにおいては、表示可能な画素数を多くするだけでなく、表現できる色域の範囲を広くする方向にある。例えば、ITU−RBT.709(以下、「従来色域」という。)より広い色域を表示可能領域として規定する「拡張色空間」が、LSDIの映像システムに適用されている。
LSDIの映像システムの場合、ITU−R BT.1769におけるカラリメトリ(表色系)においては、ITU-R Recommendation BT.1361(以下、「ITU−R BT.1361」という。)が引用されている。ITU−R BT.1361は、現行のHDTVシステムなどの映像システムの色域(「従来色域」)よりも広い色域を表示可能領域として規定する。このITU−R BT.1361は、「従来色域」の範囲においては、ITU−R BT.709と同じ値を用いて表現する。一方、「従来色域」を越える範囲においては、ITU−R BT.709において定義されていない値(負の数や、1を越える値)を用いて表現する。このように、ITU−R BT.1361のように「拡張色空間」により表示可能領域を拡張する場合、「従来色域」の範囲であれば、ITU−R BT.709の情報と同様に扱うことができた。これまでの映像システムにおいては、「従来色域」よりも広い色域を表示可能領域とする場合であっても、異なる映像システム間で「従来色域」の範囲の情報を、共通に扱うことができた。
上記の「拡張色空間」と異なる方法により、表示可能領域を広色域化する方法がある。例えば、印刷やデジタルカメラなどの分野において広色域化された色域を規定する「AdobeRGB」や、デジタルシネマの規格(SMPTE RP 431-2)が知られている。これらの表色系を定める規格による表示可能領域を広色域化する方法においては、RGB三原色の色度点がそれぞれの規格に応じた位置に配置されている。それゆえ、表色系が異なると、同じ色を示す場合であっても、その色を示す情報が表色系ごとに異なる値になることがある。
概要
広色域化された映像信号によって示される色の測定において、基準とされる色域の映像信号によって示される色の測定と同じスケールを用いて測定する。ベクトルスコープ1(映像信号処理装置)においては、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度上の色度点が、第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている色度上の領域に含まれる。また、スケール変換部20は、入力映像信号が第2の表色系で表現される信号であるときに第1の表色系で表現される映像信号へスケール変換を行う。
目的
本発明の目的は、上記問題を解決するため、表色系の色域が基準とされる色域(従来色域)より広色域化された映像信号によって示される色の測定において、基準とされる色域の映像信号によって示される色の測定と同じスケールを用いて測定する映像信号処理装置、ベクトルスコープ、映像信号処理方法、及びプログラムを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
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請求項1
映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、前記第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、前記第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている前記色度図上の領域に含まれるとともに、入力映像信号が前記第2の表色系で表現される信号であるときに前記第1の表色系で表現される映像信号へスケール変換を行うスケール変換部、を備えることを特徴とする映像信号処理装置。
請求項2
前記スケール変換部は、前記入力映像信号に線形化処理をして第1の映像信号を生成する線形化処理部と、前記生成された第1の映像信号の基準三原色を、前記第2の表色系の基準三原色RGBから、前記第1の表色系の基準三原色RGBに変換するとともに、三原色RGBを成分とする第2の映像信号に変換する第1マトリクス変換処理部と、前記第2の映像信号の成分をそれぞれ非線形化処理をして三原色RGBを成分とする第3の映像信号を生成する非線形化処理部と、前記第3の映像信号から、前記第1の表色系の基準三原色RGBを基準三原色とするとともに定輝度原理を満たさない前記第1の表色系による輝度信号と色差信号とを成分とする第4の映像信号を生成する第2マトリクス変換処理部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
請求項3
前記線形化処理部は、前記入力映像信号が定輝度原理を満たして伝送される場合、該入力映像信号に対して定輝度原理に応じた線形化処理をして、前記入力映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される場合、該入力映像信号に対する非定輝度原理に応じた線形化処理をして、該入力映像信号に基づいた三原色RGBを成分とする前記第1の映像信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の映像信号処理装置。
請求項4
請求項2又は3に記載の映像信号処理装置と、直交する座標軸が示される2次元座標平面において、前記色差信号の2成分を前記直交する座標軸にそれぞれ対応させ、前記色差信号の2成分の値から2次元座標平面上の点の位置として示す表示画面を生成するベクトル表示生成部と、を備えることを特徴とするベクトルスコープ。
請求項5
映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、前記第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、前記第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている前記色度図上の領域に含まれるとともに、入力映像信号が前記第2の表色系で表現される信号であるときに前記第1の表色系で表現される映像信号へスケール変換を行う過程を含むことを特徴とする映像信号処理方法。
請求項6
技術分野
背景技術
0002
映像信号によって示される色は、ベクトルスコープによって測定されてきた。ベクトルスコープは、直交する座標軸に色差信号をそれぞれ割り当てた2次元座標平面を定め、その2次元座標平面上の点の位置により、測定される映像信号によって示される色を視覚的に表示する(例えば、特許文献1,2参照)。
0003
近年、「4K×2K画像」や「スーパーハイビジョン」などのように、HDTV(high definition television)システムの画素数を超える超高解像度大画面映像(LSDI:(large screen digital imagery)を表示する映像システムが開発されている。
LSDIにおける映像信号の基本的なシステムパラメーターは、すでに標準化が行われ、その仕様が開示されている(ITU-R(International Telecommunication Union Radio communications Sector) RecommendationBT.1769(以下、「ITU−R BT.1769」という。)など)。
0004
さらに、超高精細画像を表示する映像システム(UHDTV(Ultra high definition television)システム)の開発が進められている(例えば、非特許文献1、2参照)。
UHDTVシステムにおける映像信号のシステムパラメーターについては、すでに標準化が行われ、その仕様が開示されている(SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)2036(2007)などを参照)。例えば、SMPTE2036におけるカラリメトリ(表色系)においては、ITU-R RecommendationBT.709(以下、「ITU−R BT.709」という。)が引用されている。引用されているITU−R BT.709は、現行のHDTVシステムなどの色域を規定する。それゆえ、SMPTE2036(2007)において表現できる色域の範囲は、現行のHDTVシステムの色域と同じ範囲に限られる。
0005
また、新たな映像システムにおいては、表示可能な画素数を多くするだけでなく、表現できる色域の範囲を広くする方向にある。例えば、ITU−RBT.709(以下、「従来色域」という。)より広い色域を表示可能領域として規定する「拡張色空間」が、LSDIの映像システムに適用されている。
LSDIの映像システムの場合、ITU−R BT.1769におけるカラリメトリ(表色系)においては、ITU-R Recommendation BT.1361(以下、「ITU−R BT.1361」という。)が引用されている。ITU−R BT.1361は、現行のHDTVシステムなどの映像システムの色域(「従来色域」)よりも広い色域を表示可能領域として規定する。このITU−R BT.1361は、「従来色域」の範囲においては、ITU−R BT.709と同じ値を用いて表現する。一方、「従来色域」を越える範囲においては、ITU−R BT.709において定義されていない値(負の数や、1を越える値)を用いて表現する。このように、ITU−R BT.1361のように「拡張色空間」により表示可能領域を拡張する場合、「従来色域」の範囲であれば、ITU−R BT.709の情報と同様に扱うことができた。これまでの映像システムにおいては、「従来色域」よりも広い色域を表示可能領域とする場合であっても、異なる映像システム間で「従来色域」の範囲の情報を、共通に扱うことができた。
上記の「拡張色空間」と異なる方法により、表示可能領域を広色域化する方法がある。例えば、印刷やデジタルカメラなどの分野において広色域化された色域を規定する「AdobeRGB」や、デジタルシネマの規格(SMPTE RP 431-2)が知られている。これらの表色系を定める規格による表示可能領域を広色域化する方法においては、RGB三原色の色度点がそれぞれの規格に応じた位置に配置されている。それゆえ、表色系が異なると、同じ色を示す場合であっても、その色を示す情報が表色系ごとに異なる値になることがある。
0006
特開平5−122734号公報
先行技術
0007
正岡、”スーパーハイビジョンの表色系”、[online]、平成22年10月、NHK技術研究所 技研だより、No.60、[平成23年5月2日検索]、インターネット(URL:http://www.nhk.or.jp/strl/publica/giken_dayori/jp2/rd-1003.html)
Masaoka, K. Nishida, Y. Sugawara, M. Nakasu, E., "Design of Primaries for a Wide-Gamut Television Colorimetry",IEEE Transactions on Broadcasting, Volume: 56 Issue: 4, pp. 452 - 457, 2010.
発明が解決しようとする課題
0008
ところで、これまでの映像システムにおいては、「従来色域」の範囲の情報を共通に扱うことができた。それゆえ、これまでの映像システムであれば、異なる映像システムであっても、ベクトルスコープによって「従来色域」の範囲を測定することができた。しかしながら、「従来色域」の表示可能領域を広色域化した表色系が「広色域」である映像信号を扱う映像システムにおいては、表色系が「従来色域」であるベクトルスコープの画面に表示されるスケールと同じスケールを用いて測定するという、従来までの運用を継続することが困難となるという問題がある。例えば、表色系が「従来色域」であるベクトルスコープによって、表色系が「広色域」である映像信号によって示される色を測定して表示した場合は、同じ色を示す点(色度点)が異なる位置に表示される。ここで、仮に、表色系が「広色域」である映像信号を測定する場合を想定する。表色系が「広色域」である映像信号を測定する場合には、表色系が「従来色域」であるベクトルスコープの画面に表示されるスケールと異なるスケールを用いて測定することが必要になる。このように、測定系のスケールを変更する場合、従来までの運用を継続することが困難となるという問題がある。
0009
本発明の目的は、上記問題を解決するため、表色系の色域が基準とされる色域(従来色域)より広色域化された映像信号によって示される色の測定において、基準とされる色域の映像信号によって示される色の測定と同じスケールを用いて測定する映像信号処理装置、ベクトルスコープ、映像信号処理方法、及びプログラムを提供することにある。
課題を解決するための手段
0010
[1]この発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様による映像信号処理装置は、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、前記第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、前記第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている前記色度図上の領域に含まれるとともに、入力映像信号が前記第2の表色系で表現される信号であるときに前記第1の表色系で表現される映像信号へスケール変換を行うスケール変換部を備えることを特徴とする。
0011
本態様によれば、スケール変換部は、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、前記第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、前記第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている前記色度図上の領域に含まれる映像信号を処理の対象とする。上記のスケール変換部は、入力映像信号が前記第2の表色系で表現される信号であるときに前記第1の表色系で表現される映像信号へスケール変換を行う。
これにより、スケール変換部は、第2の表色系によって表現されている入力映像信号によって示される色を、第1の表色系によって表現される映像信号によって示すことができる。このことから、映像信号処理装置は、第1の表色系の色域を示す座標系(スケール)と同じ座標系(スケール)における点の位置によって示すことができる。ここで、第1の表色系とは、例えば、従来色域を表現可能とする表色系であり、第2の表色系とは、例えば、従来色域から広色域化された色域を表現可能とする表色系である。
0012
[2]本発明の一態様による映像信号処理装置において、前記スケール変換処理部は、前記入力映像信号に線形化処理をして第1の映像信号を生成する線形化処理部と、前記生成された第1の映像信号の基準三原色を、前記第2の表色系の基準三原色RGBから、前記第1の表色系の基準三原色RGBに変換するとともに、三原色RGBを成分とする第2の映像信号に変換する第1マトリクス変換処理部と、前記第2の映像信号の成分をそれぞれ非線形化処理をして三原色RGBを成分とする第3の映像信号を生成する非線形化処理部と、前記第3の映像信号から、前記第1の表色系の基準三原色RGBを基準三原色とするとともに定輝度原理を満たさない前記第1の表色系による輝度信号と色差信号とを成分とする第4の映像信号を生成する第2マトリクス変換処理部と、を備えることを特徴とする。
0013
本態様によれば、スケール変換処理部において、線形化処理部は、入力映像信号に線形化処理をして第1の映像信号を生成する。また、第1マトリクス変換処理部は、生成された第1の映像信号の基準三原色を、前記第2の表色系の基準三原色RGBから、前記第1の表色系の基準三原色RGBに変換するとともに、三原色RGBを成分とする第2の映像信号に変換する。また、非線形化処理部は、第2の映像信号の成分をそれぞれ非線形化処理をして三原色RGBを成分とする第3の映像信号を生成する。そして、第2マトリクス変換処理部が、第3の映像信号から、定輝度原理を満たさない第1の表色系による第2輝度信号と色差信号とを成分とする第4の映像信号を生成することにより、映像信号処理装置は、第4の映像信号に基づいて入力映像信号によって示される色を測定することができる。
0014
[3]本発明の一態様による映像信号処理装置において、前記線形化処理部は、前記入力映像信号が定輝度原理を満たして伝送される場合、該入力映像信号に対して定輝度原理に応じた線形化処理をして、前記入力映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される場合、該入力映像信号に対する非定輝度原理に応じた線形化処理をして、該入力映像信号に基づいた三原色RGBを成分とする前記第1の映像信号を生成することを特徴とする。
0015
本態様によれば、入力映像信号が定輝度原理を満たして伝送される場合、線形化処理部は、該入力映像信号に対して定輝度原理に応じた線形化処理をする。また、入力映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される場合、線形化処理部は、該入力映像信号に対する非定輝度原理に応じた線形化処理をする。線形化処理部は、上記の何れの場合であっても、該入力映像信号に基づいた三原色RGBを成分とする第1の映像信号を生成する。これにより、線形化処理部は、入力映像信号が定輝度原理を満たして伝送される場合であっても、入力映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される場合であっても、入力映像信号に応じた線形化処理を行うことができ、該入力映像信号に基づいた第1の映像信号を生成することができる。
0016
[4]本発明の一態様によるベクトルスコープは、上記発明の映像信号処理装置と、直交する座標軸が示される2次元座標平面において、前記直交する座標軸に前記色差信号の2成分をそれぞれ対応させた表示画面を生成するベクトル表示生成部と、を備えることを特徴とする。
0017
本態様によれば、ベクトル表示生成部は、上記発明の映像信号処理装置と、ベクトル表示生成部とを備えている。映像信号処理装置が生成した第4の映像信号の色差信号により、ベクトル表示生成部は、直交する座標軸が示される2次元座標平面において、前記直交する座標軸に前記色差信号の2成分をそれぞれ対応させた表示画面を生成することができる。
0018
[5]また、本発明の一態様による映像信号処理方法は、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、前記第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、前記第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている前記色度図上の領域に含まれるとともに、入力映像信号が前記第2の表色系で表現される信号であるときに前記第1の表色系で表現される映像信号へスケール変換を行う過程を含むことを特徴とする。
0019
本態様によれば、映像信号処理方法は、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、前記第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、前記第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている前記色度図上の領域に含まれる映像信号を処理の対象とする。また、入力映像信号が前記第2の表色系で表現される信号であるときに前記第1の表色系で表現される映像信号へスケール変換を行う。これにより、入力映像信号によって示される色を、第1の表色系によって表現される映像信号によって示すことができることから、第1の表色系の色域を示す座標系(スケール)と同じ座標系(スケール)における点の位置によって示すことができる。
0020
[6]また、本発明の一態様によるプログラムは、映像信号を処理する映像信号処理装置が備えるコンピュータが、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、前記第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、前記第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている前記色度図上の領域に含まれるとともに、入力映像信号が前記第2の表色系で表現される信号であるときに前記第1の表色系で表現される映像信号へスケール変換を行うステップを実行するためのプログラムである。
0021
本態様によれば、本プログラムは、映像信号処理装置が備えるコンピュータが、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、前記第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、前記第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている前記色度図上の領域に含まれる映像信号を処理の対象とする。また、本プログラムによってコンピュータが、入力映像信号が前記第2の表色系で表現される信号であるときに前記第1の表色系で表現される映像信号へスケール変換を行う。これにより、本プログラムは、入力映像信号によって示される色を、第1の表色系によって表現される映像信号によって示すことができることから、第1の表色系の色域を示す座標系(スケール)と同じ座標系(スケール)における点の位置によって示すことができる。
発明の効果
0022
以上説明したように、本発明によれば、表色系の色域が基準とされる色域より広色域化された映像信号によって示される色の測定において、基準とされる色域の映像信号によって示される色の測定と同じスケールを用いて測定することが可能となる。
図面の簡単な説明
0023
本発明の第1実施形態によるベクトルスコープを示すブロック図である。
測定対象とする映像信号の色域を示す図である。
ベクトルスコープの表示画面に示されるスケールと測定結果の例を示す図である。
映像信号の特性を示す項目と、その項目の変数の値との関係を示す図である。
スケール変換部20における変換処理の手順を示すフローチャートである。
「広色域・定輝度モード」の場合の変換処理におけるデータフローを示す図である。
「広色域・非定輝度モード」の場合の変換処理におけるデータフローを示す図である。
本発明の第2実施形態によるベクトルスコープを示すブロック図である。
映像信号の特性を示す項目と、その項目の変数の値との関係を示す図である。
「広色域・定輝度モード」の場合の変換処理におけるデータフローを示す図である。
「広色域・非定輝度モード」の場合の変換処理におけるデータフローを示す図である。
実施例
0024
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
0025
(第1実施形態)
図1は、本実施形態によるベクトルスコープの機能構成を示すブロック図である。この図1に示されるベクトルスコープ1は、外部から供給される映像信号及び映像信号に同期した同期信号が供給され、供給された映像信号の色を測定して表示する。基準とされるテスト信号(カラーバー信号)に基づいた信号が、入力映像信号としてこのベクトルスコープ1に対して供給された場合、ベクトルスコープ1は、測定した映像信号によって示された色の色情報に基づいて色再現性を測定する画面を表示する。
0026
ここで、図2を参照しベクトルスコープ1の測定対象とする映像信号について説明する。ベクトルスコープ1は、HDTVシステムの映像信号、及び、HDTVシステムが表示する表示画面の画素数を大幅に超える超高精細画像を表示する映像システム(UHDTVシステムなど)の映像信号を測定対象とする。図2は、測定対象とする映像信号の色域を示す図である。この図2において、HDTVとUHDTVとにおける色域の違いをCIE(国際照明委員会)のXYZ色空間のxy色度図によって示す。このxy色度図は、映像信号により表示される色度点の分布を示す。xy色度図において馬蹄形で示される原色のスペクトル軌跡の内側の範囲が、スペクトル軌跡上にある原色(刺激値)の組み合わせにより表示可能な色の範囲を示す。例えば、基準原色に含まれる3原色の組み合わせにより表示させる場合、xy色度図において馬蹄形で示される原色のスペクトル軌跡の内側に3つの点を選択する。選択された3つの点は、それぞれが色域を定める色度点を示す。また、3つの色度点(RGB三原色の色度点)によって示される三角形の範囲は、それらの色度点の組み合わせにより表示可能な色度点が分布する範囲を示す。
0027
表色系の違いにより、この図2に示される色域の範囲が異なる。例えば、HDTV(ITU−RBT.709)の場合は、馬蹄形の内側に3つの点(色度点)が選択されている。以下、このように馬蹄形の内側に3つの点(色度点)が選択された場合の色域を「従来色域」という。「従来色域」よりも表示可能な色域を広くするには、この三角形の面積を広くする。「従来色域」より表示可能な色の範囲を広めたUHDTVのような色域を「広色域」という。例えば、UHDTVにおいては、この三角形の面積を広くするために、馬蹄形で示される原色のスペクトル軌跡上の3つの点(RGB三原色(第2の表色系の基準三原色RGB)の色度点)を選択する。
0028
この図2(a)と(b)において、「従来色域」の場合のRGB三原色(第1の表色系の基準三原色RGB)の色度点について符号HDTVを附した三角形の頂点により示し、「広色域」の場合のRGB三原色の色度点について符号UHDTVを附した三角形の頂点により示す。さらに、図2(a)においては、一般的なカラーチャートのうち特定のカラーチャートにおける各カラーパッチに対応する色度点の分布を示す。このカラーチャートの各カラーパッチの色は、通常に表示可能な色を示すものであることから、各カラーパッチの色度点のうちほとんどの色度点は、「従来色域」の範囲に配置される。また、図2(b)においては、Pointer’s colorの色度分布を示す。この図2(b)に示されるように、多くのPointer’s colorの色度点は、HDTVの色域の範囲内には配置することができずにはみ出しているが、UHDTVの色域の範囲内にはほとんどの色度点を配置することができている。
0029
ところで、「広色域」の場合は、「従来色域」の場合よりも表示可能な色の範囲が広くなることから、「従来色域」より多くの色度点の位置を識別することが必要になる。そのため、「従来色域」の場合と、「広色域」の場合のそれぞれの色度点の位置を示す情報は、互いに異なるものとなる。そのため、同じ条件で測定する場合などには、表色系の違いに応じた差に応じた変換処理が必要とされる。
また、表色系の違いのほかにも、映像信号の伝送方式が色度点の配置に影響する。映像信号の伝送方式には、2つの方法があり、一方が「非定輝度モード」による伝送方式であり、他方が「定輝度モード」による伝送方式である。そのため、同じ条件で測定する場合などには、伝送方式の違いに応じた差に応じた変換処理が必要とされる。
このように、映像システムに応じた表色系と、映像信号の伝送方式との組み合わせにより映像信号の情報が示す色度点の位置が異なるものとなる。そこで、ベクトルスコープ1においては、上記の測定対象の映像信号によって示される色を測定する際に、表色系と伝送方式との組み合わせに応じた測定モードの設定に切り替える。ベクトルスコープ1は、測定対象の映像信号の種類に応じて、「従来色域・非定輝度モード」、「広色域・定輝度モード」、及び、「広色域・非定輝度モード」の3つのモードを切り替えて、それぞれの映像信号に対して色再現性の測定を行う。これらの3つのモードについて順に説明する。
0030
「従来色域・非定輝度モード」は、入力映像信号として供給される映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される映像信号であり、かつ、入力映像信号の表色系における色域が基準とされる色域(第1の色域)である場合の測定を行うモードである。「基準とされる色域」とは、例えば、HDTVシステムの映像信号などを対象としてITU−RBT.709により規定されている色域である。
0031
「広色域・定輝度モード」は、入力映像信号として供給される映像信号が定輝度原理を満たして伝送される映像信号であり、かつ、入力映像信号の表色系における色域が基準とされる色域(第1の色域、「従来色域」)から広色域化された広色域(第2の色域)である場合の変換処理を行うモードである。
0032
「広色域・非定輝度モード」は、入力映像信号として供給される映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される映像信号であり、かつ、入力映像信号の表色系における色域が基準とされる色域(第1の色域、「従来色域」)から広色域化された広色域(第2の色域)である場合の変換処理を行うモードである。
0033
ベクトルスコープ1は、映像信号の種類に応じたモードが設定される。ベクトルスコープ1においては、映像信号の種類に応じてモードが切り替えられるが、それぞれのモードにおける映像信号によって示される色の測定は、各モードに共通のスケールに基づいて行われる。
図3は、ベクトルスコープの表示画面に示されるスケールと測定結果の例(HDTVカラーバー信号)を示す図である。この図3には、ベクトルスコープの表示画面に示されている2次元座標平面において、直交するスケール(座標軸)が示されている。また、色差信号の2成分は、直交するスケール(座標軸)にそれぞれ対応づけられており、色差信号の2成分が示す色度が2次元座標平面上の点として示されている。なお、この図3に示されるスケールは、これまで、映像信号の色再現性の測定を行う場合に用いられてきた。映像信号の色再現性の測定においては、この図3に示されるスケールに基づいて測定するように運用されてきた。それゆえ、このスケールに基づいた測定が一般的であることから、ユーザーは、このスケールに基づいて表示される測定結果を容易に評価することができる。また、このスケールを用いて色再現性について測定される映像信号は、「従来色域・非定輝度モード」による映像信号である。本実施形態においては、ベクトルスコープ1は、HDTVシステムの映像信号、及び、HDTVシステムが表示する表示画面の画素数を大幅に超える超高精細画像を表示する映像システムにおける映像信号の測定においても、この図3に示されるスケールを適用する。そこで、「広色域・定輝度モード」、又は、「広色域・非定輝度モード」の映像信号の色再現性を測定する場合には、「広色域・定輝度モード」、又は、「広色域・非定輝度モード」の映像信号を「従来色域・非定輝度モード」による映像信号に変換することにより、この図3に示される座標系(スケール)を適用して、映像信号の色再現性の測定をできるようにする。
以下、「広色域・定輝度モード」、又は、「広色域・非定輝度モード」の映像信号から、「従来色域・非定輝度モード」による映像信号への変換処理を行うベクトルスコープ1について、機能構成並びに処理について順に説明する。
0034
図1に戻り、ベクトルスコープ1の機能構成について説明する。ベクトルスコープ1は、入力変換部11、再生出力部12、クロック分配部13、スケール変換部20、映像切替部30、波形表示生成部41、ベクトル表示画面生成部42、RGB波形画面生成部43、ステータス画面生成部44、画面選択合成部45、表示部50、操作入力検出部60、及び、制御部80を備える。
0035
入力変換部11には、入力映像信号が外部から供給され、クロック分配部13によって分配されたタイミング情報がクロック分配部13から供給される。入力映像信号は、HDTVシステムの映像信号、及び、超高精細画像を表示する映像システム(UHDTVシステムなど)の映像信号である。入力変換部11は、クロック分配部13によって分配されたタイミング情報に同期して、外部から入力された入力映像信号を抽出する。入力変換部11は、入力映像信号がHDTVシステムの映像信号である場合、抽出した映像信号(Y’Cb’Cr’(第1の表色系))を再生出力部12及び映像切替部30に供給する。また、入力変換部11は、入力映像信号が超高精細画像を表示する映像システム(UHDTVシステムなど)の映像信号である場合、抽出した映像信号(Yconst’C’BC’R(第2の表色系))、又は、映像信号(Y’C’BC’R(第2の表色系))を再生出力部12及びスケール変換部20に供給する。さらに、入力変換部11は、入力された入力映像信号の状態を検出し、検出結果を制御部80に供給する。
0036
再生出力部12には、入力変換部11において抽出された入力映像信号が入力変換部11から供給され、クロック分配部13によって分配されたタイミング情報がクロック分配部13から供給される。再生出力部12は、クロック分配部13によって分配されたタイミング情報に同期して、入力変換部11によって抽出された入力映像信号を外部に接続される装置(不図示)に供給する。
0037
クロック分配部13は、入力映像信号に同期する同期信号が外部から供給される。クロック分配部13は、供給された同期信号を再生して、ベクトルスコープ1内の各部に分配する。クロック分配部13は、入力映像信号に同期する同期信号の状態を検出し、検出した結果を制御部80に供給する。
0038
スケール変換部20は、入力変換部11から供給される映像信号に対して、「広色域・定輝度モード」に応じた変換処理又は「広色域・非定輝度モード」に応じた変換処理のいずれか一方を行う。スケール変換部20における上記の変換処理は、制御部80による制御に従って選択される。スケール変換部20は、選択された変換処理により、「従来色域・非定輝度モード」として映像切替部30に供給する映像信号(YN’Cb’Cr’)を生成する。上記の映像信号(YN’Cb’Cr’)は、前述の映像信号(Y’Cb’Cr’)と同じ表色系(第1の表色系)によって表現される。
換言すれば、本実施形態のスケール変換部20は、入力変換部11から供給される映像信号(入力映像信号)を、第1の表色系(従来色域に応じた表色系)によって表現される映像信号に変換する。入力変換部11から供給される映像信号(入力映像信号)が第2の表色系(広色域に応じた表色系)で表現される信号であるときに第1の表色系(従来色域に応じた表色系)で表現される映像信号へスケール変換を行う。スケール変換部20において、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている色度図上の領域に含まれる映像信号を処理の対象とする。
0039
このスケール変換部20は、線形化処理部21、マトリクス変換処理部22、非線形化処理部23、マトリクス変換処理部24を備える。
線形化処理部21は、入力される映像信号(入力映像信号)が広色域信号である場合、入力映像信号の情報をGBR信号により示される色空間の情報に変換する。また、入力映像信号が広色域信号である場合の入力映像信号は、定輝度原理を満たして伝送される信号である場合と、定輝度原理を満たさずに伝送される信号である場合とがある。線形化処理部21は、入力映像信号が定輝度原理を満たして伝送される場合、該入力映像信号から抽出された映像信号(Yconst’C’BC’R)に対して定輝度原理に応じた線形化処理(逆ガンマ処理)をして、G(GW、第1緑信号)とR(RW、第1赤信号)とB(BW、第1青信号)とを成分とするGBR信号(GWBWRW、第1の映像信号)を生成する。また、線形化処理部21は、入力映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される場合、該入力映像信号から抽出された映像信号(Y’C’BC’R)に対して非定輝度原理に応じた線形化処理をして、該入力映像信号に基づいたG(GW、第1緑信号)とR(RW、第1赤信号)とB(BW、第1青信号)とを成分とするGBR信号(GWBWRW、第1の映像信号)を生成する。このように、線形化処理部21は、供給される映像信号が、映像信号(Yconst’C’BC’R)、及び、映像信号(Y’C’BC’R)のいずれかであってもGBR信号(GWBWRW、第1の映像信号)を生成する。なお、線形化処理部21によって生成されるGBR信号(GWBWRW)は、広色域の映像信号である。
0040
マトリクス変換処理部22(第1マトリクス変換処理部)は、線形化処理部21によって生成されたGBR信号(GWBWRW、第1の映像信号)から、「従来色域(第1の色域)」の表色系による三原色RGBを成分とする映像信号(RGB信号(RNGNBN)第2の映像信号))を生成する。要するに、マトリクス変換処理部22(第1マトリクス変換処理部)は、「広色域(第2の色域)」のYBR信号(YWBWRW)を、「従来色域」のRGB信号(RNGNBN)として変換する。このようにして、マトリクス変換処理部22によって行われる変換処理により、広色域のGBR信号(GWBWRW)から従来色域のRGB信号(RNGNBN)に変換される。これにより、広色域のGRB信号(GWBWRW)によって示される色空間の情報は、従来色域のRGB信号(RNGNBN)によって示される色空間の情報に変換される。このように、マトリクス変換処理部22(第1マトリクス変換処理部)は、線形化処理部21によって生成された上記のGBR信号(GWBWRW、第1の映像信号)を第2の表色系から第1の表色系に変換するとともに、前記第1の表色系による三原色RGBを成分とする上記のRGB信号(RNGNBN、第2の映像信号)に変換する。ここで、第1の表色系とは、例えば、従来色域を表現可能とする色域を表現可能とする表色系であり、第2の表色系とは、例えば、従来色域から広色域化された色域を表現可能とする表色系である。
換言すれば、マトリクス変換処理部22は、線形化処理部21によって生成されたGBR信号(GWBWRW、第1の映像信号)を、三原色RGBを成分とするRGB信号(RNGNBN、第2の映像信号)に変換する。マトリクス変換処理部22は、上記の変換とともに、第2の三原色RGBを基準原色に含む映像信号(GRB信号(GWBWRW))から第1の三原色RGBを基準原色に含む映像信号(RGB信号(RNGNBN)))に変換する。ここで、第2の三原色RGBを基準原色に含む映像信号は、広色域(第2の色域)を色域とする映像信号(GRB信号(GWBWRW))であり、第1の三原色RGBを基準原色に含む映像信号は、従来色域(第1の色域)を色域とする映像信号(RGB信号(RNGNBN))である。
0041
非線形化処理部23は、RGB信号(RNGNBN、第2の映像信号)の成分について、それぞれ非線形化処理(ガンマ処理)をして三原色RGBを成分とするR’G’B’信号(RN’GN’BN’、第3の映像信号)を生成する。
マトリクス変換処理部24(第2マトリクス変換処理部)は、R’G’B’信号(RN’GN’BN’、第3の映像信号)から、定輝度原理を満たさない表色系による輝度成分Y’(YN’、第2輝度信号)と色差成分Cb’、Cr’とを成分とするY’Cb’Cr’信号(YN’Cb’Cr’、第4の映像信号)を生成する。このようにして、非線形化処理部23とマトリクス変換処理部24とによって順に行われる変換処理により、従来色域のRGB信号から従来色域のY’Cb’Cr’信号が生成される。これにより、スケール変換部20は、従来色域の映像信号の色再現性を測定する場合の座標系(スケール)と同じ座標系(スケール)によって、「広色域(第2の色域)」の映像信号における色再現性の測定を可能とする。
0042
映像切替部30は、制御部80からの制御に従って、入力変換部11から供給される映像信号(Y’Cb’Cr’信号)と、スケール変換部20とから供給される映像信号(Y’Cb’Cr’信号(YN’Cb’Cr’))とのうちから、いずれか一方を選択して出力する。
0043
波形表示生成部41は、映像切替部30から供給される映像信号(Y’Cb’Cr’信号)の波形を示す画面を生成する。生成された画面においては、横軸を時間軸、縦軸を映像信号の輝度を示す振幅を示す軸とする。波形表示生成部41が生成する波形表示画面により、時間の経過に応じた輝度の変化が示される映像信号の波形が示される。
0044
ベクトル表示画面生成部42は、映像切替部30から供給される映像信号(Y’Cb’Cr’信号)の色再現性を示す画面を生成する。生成される画面においては、横軸をCB軸、縦軸をCR軸とする。ベクトル表示画面生成部42(ベクトル表示生成部)は、Y’Cb’Cr’信号(第4の映像信号)における色差信号の成分を、直交する座標軸にそれぞれ割り当てた2次元座標平面を定め、入力映像信号として所定のテスト信号が供給された場合に、色差信号の成分の値によって示される座標空間上の点を基準に、該基準とした点からの距離に応じて、入力映像信号によって示される色を示す。また、ベクトル表示画面生成部42が生成するベクトル表示画面により、映像信号の色再現性を示すベクトルが示される。なお、生成される画面においては、横軸を(B−Y)軸、縦軸を(R−Y)軸として表示してもよい。
0045
RGB波形画面生成部43は、映像切替部30から供給される映像信号(Y’Cb’Cr’信号)から変換して生成される3原色RGB成分のそれぞれの波形を示す画面を生成する。生成された画面においては、横軸が時間軸、縦軸が3原色RGBの成分の振幅を示す軸とする。RGB波形画面生成部43が生成する波形表示画面により、時間の経過に応じた輝度の変化が示される映像信号の波形が示される。
0046
ステータス画面生成部44は、制御部80から供給されるステータス情報に基づいて、映像信号及び同期信号に係る情報を示す画面を生成する。このステータス画面において示される映像信号に係る情報は、例えば、入力映像信号の種別や状態などの情報、同期信号の種別や状態などの情報が含まれる。
0047
画面選択合成部45は、制御部80からの制御により、映像切替部30から供給される映像信号を表示する画面、並びに、波形表示生成部41、ベクトル表示画面生成部42、RGB波形画面生成部43、ステータス画面生成部44によってそれぞれ生成された画面のうちから特定の画面を選択する。また、画面選択合成部45は、選択した画面を合成する。画面選択合成部45により合成される画面には、縮小した画面を並べて配置して表示するN分割画面(例えば、2分割、4分割などの画面)による合成画面、或いは、選択された特定の画像を縮小して、他の画像が表示される範囲に重ねて表示する合成画面(ピクチャ・イン・ピクチャ画面)などがある。画面選択合成部45は、選択した画面、又は、合成した画面を表示部50に供給する。
0048
表示部50は、画面選択合成部45によって選択された画面、又は、画面選択合成部45によって合成された画面を表示する。
0049
操作入力検出部60は、ユーザーによる操作を検出し、検出結果に応じた操作情報を制御部80に供給する。
0050
制御部80に供給する操作情報は、外部から入力される映像信号の信号種別、入力される信号端子を示す識別情報、表示部50に表示させる情報を識別する制御情報などがある。制御部80は、操作入力検出部60から供給される、ユーザーによる操作に応じた操作情報に基づいて、各部を制御する制御信号を生成し、生成した制御信号を制御対象である各部に供給する。例えば、制御部80は、ユーザーによる操作に応じた操作情報に基づいて選択される信号種別や信号端子に応じて、入力変換部11を制御して、入力される映像信号の信号種別に応じた処理、入力される信号端子を切り替えさせる。制御部80は、ユーザーによる操作に応じた操作情報に基づいて選択される信号種別に応じて、スケール変換部20を制御して、入力変換部11から供給される映像信号の信号種別に応じた変換処理(映像信号処理)を行わせる。
0051
制御部80は、入力映像信号が、「広色域・定輝度モード」の場合に、スケール変換部20における線形化処理部21において線形変換を行わせ、「広色域・非定輝度モード」の場合に、スケール変換部20における線形化処理部21において線形変換を行わずに、出力する映像信号を生成させる。制御部80は、ユーザーによる操作に応じた操作情報に基づいて選択される信号種別に応じて、映像切替部30を制御して、映像切替部30が供給する映像信号を切り替えさせる。制御部80は、入力映像信号が、「広色域・定輝度モード」又は「広色域・非定輝度モード」の場合に、スケール変換部20にて生成された映像信号を映像切替部30に選択させ、「従来色域・非定輝度モード」の場合に、入力変換部11から供給される映像信号を映像切替部30に選択させる。制御部80は、ユーザーによる操作に応じた操作情報に基づいて選択される表示画面の選択要求に応じて、画面選択合成部45を制御して、画面選択合成部45において選択及び合成する画面の情報を切り替えさせる。また、制御部80は、入力変換部11、クロック分配部13、波形表示生成部41、ベクトル表示画面生成部42、RGB波形画面生成部43などにより検出された情報を収集し、収集した情報をステータス画面生成部44に供給する。
0052
続いて、広色域の映像信号を従来色域の映像信号として扱った場合について説明する。図4を参照し、本実施形態における各信号の一例と変換について示す。図4は、映像信号の特性を示す項目と、その項目の変数の値との関係を示す図である。この図4において示される、対象とする映像信号は、(R’,G’,B’)、又は、(Y’,C’B,C’R)の成分を含む信号フォーマットにより表現される。光電変換特性は、EとE’の関係を示す関係式により定められる。Eは、カメラの各チャネルで検出される入力光強度に比例する電圧値を、基準白色にて正規化した値である。E’は、この非線形処理によって得られる原色信号である。αとβは、量子化ビット数に応じて定められる変数である。例えば、量子化ビット数が10ビットである場合、α=1.099、β=0.018とし、量子化ビット数が12ビットである場合、α=1.0993、β=0.0181としてもよい。
0053
次に、輝度信号の信号方程式を示す。この図に示される信号方程式は、定輝度原理を満たして伝送される場合のものである。定輝度原理を満たして伝送される場合の輝度信号の信号方程式を式(1)に示す。
0054
Yconst’=(rR+gG+bB)’ ・・・(1)
0055
式(1)において、Yconst’は、定輝度原理を満たして伝送される場合の輝度の値を示す。また、「’(プライム)」は、非線形化処理(ガンマ補正処理)された結果を示す。R,G,Bは、広色域な映像信号の3原色RGBの成分をそれぞれ示す。r,g,bは、広色域な映像信号の3原色RGBの成分にそれぞれ乗じる係数を示す。この式(1)に示されるように、Yconst’は、広色域な映像信号の3原色RGBの各成分に係数をそれぞれ乗じた積を加算して得られる和に非線形化処理(ガンマ補正処理)をして得る。
0056
一方、定輝度原理を満たさずに伝送される場合の輝度信号の信号方程式を式(2)に示す。
0057
Y’=rR’+gG’+bB’ ・・・(2)
0058
式(2)において、Y’は、定輝度原理を満たさずに伝送された場合の輝度の値を示す。この式(2)に示されるように、Y’は、広色域な映像信号の3原色RGBの各成分を、それぞれ独立に非線形化処理(ガンマ補正処理)をして、その結果に係数をそれぞれ乗じた積を加算して得る。
0059
上記のように、式(1)と式(2)に示される輝度信号の信号方程式において、非線形処理がそれぞれ含まれている。そのため、式(1)と式(2)によって算出されるYconst’の値とY’の値の間には、上記の非線形処理の演算方法の違いによる演算誤差が生じうる。
0060
図4に戻り、色差信号の信号方程式を示す。
0061
C’B=(B’−Y’)/KB・・・(3)
0062
C’R=(R’−Y’)/KR ・・・(4)
0063
式(3)、式(4)において、KBとKRは、予め定められる定数を示す。
なお、本実施形態における輝度信号及び色差信号の量子化特性、原色信号の量子化特性は、例えば、HDTVシステムの規格に準じて定めてもよい。
0064
ところで、特定の表色系の映像信号において、その映像信号の情報に基づいた色度点を、異なる表色系による座標系上の色度点として単に配置しただけでは、色度点の位置が正しい位置に配置されない場合がある。色度点が正しい位置に配置されない場合には、色度点の位置によって示される色度点の表示可能領域も正しく表示されない。このような場合には、異なる表色系による座標系に従って、上記の特定の表色系の映像信号の色再現性を測定するという運用ができないこととなる。例えば、上記の特定の表色系の映像信号を広色域の映像信号として、上記の異なる表色系の映像信号を従来色域の映像信号とする場合について説明する。前述のとおり、これまで、従来色域の映像信号における色再現性の測定は、色差信号(CB、CR)に基づいた座標系に従って行われてきた。ところが、広色域の映像信号における色再現性の測定する場合には、上記のように色度点が正しい位置に配置されず、色度点の位置によって示される色度点の表示可能領域も正しく表示されない場合がある。
0065
このように、広色域の映像信号は、そのままの情報によって示される色度点を、従来色域における座標系(スケール)上に配置することが困難である。そこで、本実施形態においては、以下に示すスケール変換処理により、広色域の映像信号が示す情報をそれぞれ変換する。この変換処理により、従来色域の表色系の場合と同様の2次元平面に表示可能領域を変換して評価できるようにする。
0066
(スケール変換処理の手順)
図5から図7を参照し、スケール変換部20における変換処理(映像信号処理)について示す。図5は、スケール変換部20における変換処理の手順を示すフローチャートである。図6は、「広色域・定輝度モード」の場合のスケール変換部20における変換処理におけるデータフローを示す図である。図7は、「広色域・非定輝度モード」の場合のスケール変換部20における変換処理におけるデータフローを示す図である。
0067
図5に戻り、処理対象とする映像信号に応じたスケール変換部20における変換処理(映像信号処理)について順に示す。なお、この図5に示される処理に先立ち、制御部80によりモードの設定などの初期化が行われているものとする。
最初に、映像信号の信号フォーマットを(Yconst’,C’B,C’R)とする表色系における「広色域・定輝度モード」の場合の手順について示す。映像信号の信号フォーマットを(Yconst’,C’B,C’R)とする表色系における「広色域・定輝度モード」は、以下に示すように、入力映像信号が定輝度原理を満たして伝送される場合に適用される。
0068
線形化処理部21は、該入力映像信号として入力変換部11から供給される映像信号(Yconst’C’BC’R)(図6)に対し、定輝度原理に応じた線形化処理(逆ガンマ処理、式(1)参照)を行う(ステップSa210)。
ここで、ステップSa210の演算処理において、線形化処理部21による具体的な変換処理の一例を示す。映像信号の信号フォーマット(Yconst’,C’B,C’R)の各成分は、前述の式(1)に加え、式(5)と式(6)とに示される関係がある。
0069
C’B = Bw’ − Yconst’ ・・・(5)
C’R = Rw’ − Yconst’ ・・・(6)
0070
式(1)と式(5)に基づいて式(7)を得る。
0071
Bw’ (= C’B + Yconst’) ・・・(7)
0072
また、式(1)と式(6)に基づいて式(8)を得る。
0073
Rw’ (= C’R + Yconst’) ・・・(8)
0074
次に式(1)、(7)、(8)についてそれぞれ線形化処理を行うことにより、Yconst, Bw, Rwが求まる。さらに、式(1)(プライムなし)にYconst, Bw, Rwを入れることによりGwが求まる。また、以下、式(1)に示すYconstをYWとして示す場合がある。要するに、式(1)、(7)、(8)に基づいて、線形化処理部21によってGBR信号(図6、GWBWRW信号)が生成される。
0075
マトリクス変換処理部22(第1マトリクス変換処理部)は、線形化処理部21によって生成された「広色域」のGBR信号(図6、GWBWRW信号)から、「従来色域」の表色系による三原色RGBを成分とするRGB信号(図6、RNGNBN信号)を生成する(ステップSa220)。
ここで、ステップSa220の演算処理において、マトリクス変換処理部22による具体的な変換処理の一例を示す。マトリクス変換処理部22は、式(9)に示すように、「広色域」のRGB信号(Rw, Gw, Bw)に対するマトリクス演算処理を行い、「従来色域」の表色系による三原色RGBを成分とするRGB信号(図6、RNGNBN信号)を得る。なお、式(9)に示す行列は、2つの色空間のRGB三原色と基準白色の色度から求められる(参考文献:日下秀夫著「カラー画像工学」(オーム社))。
0076
0077
非線形化処理部23は、RGB信号(図6、RNGNBN信号)の成分に対してそれぞれ非線形化処理(ガンマ処理)を行って、三原色RGBを成分とするR’G’B’信号(図6、RN’GN’BN’信号)を生成する(ステップSa230)。従来色域の表色系は定輝度原理を満たさないのでこれに合わせるため、マトリクス変換処理部24は、R’G’B’信号(図6、RN’GN’BN’信号)から、定輝度原理を満たさない表色系によるY’信号と色差信号Cb’、Cr’とを成分とするY’Cb’Cr’信号(図6、YN’Cb’Cr’信号)を生成する(ステップSa240)。
0078
次に、映像信号の信号フォーマットを(Y’,C’B,C’R)とする表色系における「広色域・非定輝度モード」の場合の手順について示す。映像信号の信号フォーマットを(Y’,C’B,C’R)とする表色系における「広色域・非定輝度モード」は、以下に示すように、入力映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される場合に適用される。
0079
線形化処理部21は、該入力映像信号として入力変換部11から供給される映像信号(Y’C’BC’R)(図7)に対し、非定輝度原理に応じた線形化処理(逆ガンマ処理)を行うため、成分ごとに線形化処理(逆ガンマ処理、式(2)参照)を行う。線形化処理部21は、GBR信号(図7)を生成する(ステップSa210)。
ここで、ステップSa210の演算処理において、線形化処理部21による具体的な変換手順の一例を示す。映像信号の信号フォーマット(Y’,C’B,C’R)の各成分は、前述の式(2)に加え、式(10)と式(11)とに示される関係がある。
0080
C’B = Bw’ − Y’ ・・・(10)
C’R = Rw’ − Y’ ・・・(11)
0081
式(2)と式(10)に基づいて式(12)を得る。
0082
Bw’ (= C’B + Y’) ・・・(12)
0083
また、式(2)と式(11)に基づいて式(13)を得る。
0084
Rw’ (= C’R + Y’) ・・・(13)
0085
このようにして、式(12)、(13)に基づいてBw’、Rw’が求まる。また、式(2)にY’、Bw’、Rw’を入れることによりGw’が求まる。以下、式(2)に示すY’をYw’として示す場合がある。要するに、式(2)、(12)、(13)に基づいて、線形化処理部21によってGw’Bw’Rw’信号が生成される。
0086
以降のステップSa220からSa240までの手順は、前述の「広色域・定輝度モード」の手順と同じである。
0088
なお、「従来色域・非定輝度モード」の場合は、スケール変換部20における変換処理を行わない。要するに、「従来色域・非定輝度モード」の場合は、ベクトル表示画面生成部42が、映像切替部30を介して、入力変換部11から供給される映像信号(Y’Cb’Cr’信号)に対して色の測定を行う。この場合は、「従来色域」としての測定であり、上記に示したように、「広色域」の場合と同じスケールに基づいて測定することができる。
0089
(第2実施形態)
第2の実施形態は、広色域の映像信号の入力信号として色差信号(CB’、CR’)でなく原色信号(B’、R’)であることが第1の実施形態と異なる(輝度信号は同じ)。
図8は、本実施形態によるベクトルスコープの機能構成を示すブロック図である。この図8に示される機能構成のうち、図1と同じ機能構成には、同じ符号を附す。この図8に示されるベクトルスコープ1Aは、外部から供給される映像信号及び映像信号に同期した同期信号が供給され、供給された映像信号の色を測定して表示する。基準とされるテスト信号(カラーバー信号)に基づいた信号が、入力映像信号としてこのベクトルスコープ1Aに対して供給された場合、ベクトルスコープ1Aは、測定した映像信号によって示された色の色情報に基づいて色再現性を測定する画面を表示する。
0090
ベクトルスコープ1Aは、ベクトルスコープ1(図1)と同様にHDTVシステムの映像信号、及び、HDTVシステムが表示する表示画面の画素数を大幅に超える超高精細画像を表示する映像システム(UHDTVシステムなど)の映像信号を測定対象とする。上記の測定対象の映像信号によって示される色を測定する際に、ベクトルスコープ1Aは、外部から供給される映像信号の種類に応じて、「従来色域・非定輝度モード」、「広色域・定輝度モード」、及び、「広色域・非定輝度モード」の3つのモードを切り替えて、それぞれの映像信号に対する測定を行う。
本実施形態における測定対象の入力映像信号がHDTVシステムの映像信号である場合、入力映像信号から映像信号(Y’Cb’Cr’)を抽出し、測定対象の入力映像信号が超高精細画像を表示する映像システム(UHDTVシステムなど)の映像信号である場合、映像信号(Yconst’B’R’)又は映像信号(Y’B’R’)を抽出する。
0091
次に、ベクトルスコープ1Aの機能構成について説明する。ベクトルスコープ1Aは、入力変換部11A、再生出力部12、クロック分配部13、スケール変換部20A、映像切替部30、波形表示生成部41、ベクトル表示画面生成部42、RGB波形画面生成部43、ステータス画面生成部44、画面選択合成部45、表示部50、操作入力検出部60、及び、制御部80を備える。スケール変換部20Aは、線形化処理部21A、マトリクス変換処理部22、非線形化処理部23、マトリクス変換処理部24を備える。
この図5の説明において特に明示しない場合は、図1の説明中のベクトルスコープ1、入力変換部11、スケール変換部20、及び、線形化処理部21を、ベクトルスコープ1A、入力変換部11A、スケール変換部20A、及び、線形化処理部21Aにそれぞれ読み替える。
0092
入力変換部11Aは、入力映像信号がHDTVシステムの映像信号である場合、抽出した映像信号(Y’Cb’Cr’(第1の表色系))を再生出力部12及び映像切替部30に供給する。また、入力変換部11Aは、入力映像信号が超高精細画像を表示する映像システム(UHDTVシステムなど)の映像信号である場合、抽出した映像信号(Yconst’B’R’(第2の表色系))又は映像信号(Y’B’R’(第2の表色系))を再生出力部12及びスケール変換部20Aに供給する。さらに、入力変換部11Aは、入力された入力映像信号の状態を検出し、検出結果を制御部80に供給する。
0093
スケール変換部20Aは、入力変換部11Aから供給される映像信号に対して、「広色域・定輝度モード」に応じた変換処理又は「広色域・非定輝度モード」に応じた変換処理のいずれか一方を行う。スケール変換部20Aにおける上記の変換処理は、制御部80による制御に従って選択される。スケール変換部20Aは、選択された変換処理により、「従来色域・非定輝度モード」として映像切替部30に供給する映像信号(YN’Cb’Cr’)を生成する。上記の映像信号(YN’Cb’Cr’)は、前述の映像信号(Y’Cb’Cr’)と同じ表色系(第1の表色系)によって表現される。
換言すれば、本実施形態のスケール変換部20Aは、入力変換部11から供給される映像信号(入力映像信号)を、第1の表色系(従来色域に応じた表色系)によって表現される映像信号に変換する。入力変換部11から供給される映像信号(入力映像信号)が第2の表色系(広色域に応じた表色系)で表現される信号であるときに第1の表色系(従来色域に応じた表色系)で表現される映像信号へスケール変換を行う。スケール変換部20Aにおいて、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系および第2の表色系について、第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている色度図上の領域に含まれる映像信号を処理の対象とする。
0094
線形化処理部21Aは、入力映像信号が定輝度原理を満たして伝送される場合、該入力映像信号から抽出された映像信号(Yconst’B’R’)に対して定輝度原理に応じた線形化処理(逆ガンマ処理)をして、G(GW、第1緑信号)とR(RW、第1赤信号)とB(BW、第1青信号)とを成分とするYBR信号(YWBWRW、第1の映像信号)を生成する。また、線形化処理部21Aは、入力映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される場合、該入力映像信号から抽出された映像信号(Y’B’R’)に対して非定輝度原理に応じた線形化処理をして、該入力映像信号に基づいたG(GW、第1緑信号)とR(RW、第1赤信号)とB(BW、第1青信号)とを成分とするGBR信号(GWBWRW、第1の映像信号)を生成する。このように、線形化処理部21Aは、供給される映像信号が、映像信号(Yconst’B’R’)、及び、映像信号(Y’B’R’)のいずれかであってもGBR信号(GWBWRW、第1の映像信号)を生成する。なお、線形化処理部21Aによって生成されるGBR信号(GWBWRW)は、広色域の映像信号である。
0095
続いて、広色域の映像信号を従来色域の映像信号として扱った場合について説明する。
図9を参照し、本実施形態における各信号の一例と変換について示す。図9は、映像信号の特性を示す項目と、その項目の変数の値との関係を示す図である。この図9において示される、対象とする映像信号は、(Y’,B’,R’)の成分を含む信号フォーマットにより表現される。光電変換特性は、EとE’の関係を示す関係式により定められる。Eは、カメラの各チャネルで検出される入力光強度に比例する電圧値で、基準白色にて正規化した値である。E’は、この非線形処理によって得られる原色信号である。αとβは、量子化ビット数に応じて定められる変数である。例えば、量子化ビット数が10ビットである場合、α=1.099、β=0.018とし、量子化ビット数が12ビットである場合、α=1.0993、β=0.0181としてもよい。
0096
次に、輝度信号の信号方程式を示す。この図に示される信号方程式は、定輝度原理を満たして伝送される場合のものである。定輝度原理を満たして伝送される場合の輝度信号の信号方程式を式(14)に示す。
0097
Yconst’=(rR+gG+bB)’ ・・・(14)
0098
式(14)において、Yconst’は、定輝度原理を満たして伝送される場合の輝度の値を示す。また、「’(プライム)」は、非線形化処理(ガンマ補正処理)された結果を示す。R,G,Bは、広色域な映像信号の3原色RGBの成分をそれぞれ示す。r,g,bは、広色域な映像信号の3原色RGBの成分にそれぞれ乗じる係数を示す。この式(14)に示されるように、Yconst’は、広色域な映像信号の3原色RGBの各成分に係数をそれぞれ乗じた積を加算して得られる和に非線形化処理(ガンマ補正処理)をして得る。
0099
一方、定輝度原理を満たさずに伝送される場合の輝度信号の信号方程式を式(15)に示す。
0100
Y’=rR’+gG’+bB’ ・・・(15)
0101
式(15)において、Y’は、定輝度原理を満たさずに伝送された場合の輝度の値を示す。この式(15)に示されるように、Y’は、広色域な映像信号の3原色RGBの各成分を、それぞれ独立に非線形化処理(ガンマ補正処理)をして、その結果に係数をそれぞれ乗じた積を加算して得る。
0102
上記のように、式(14)と式(15)に示される輝度信号の信号方程式において、非線形処理がそれぞれ含まれている。そのため、式(14)と式(15)によって算出されるYconst’の値とY’の値の間には、上記の非線形処理の演算方法の違いによる演算誤差が生じうる。
なお、本実施形態における輝度信号及び色差信号の量子化特性、原色信号の量子化特性は、例えば、HDTVシステムの規格に準じて定めてもよい。
0103
本実施形態においても、以下に示すスケール変換処理により、従来色域の表色系の場合と同じスケールの2次元平面に表示可能領域を変換して評価できるようにする。
0104
(スケール変換処理の手順)
スケール変換部20Aにおける変換処理(映像信号処理)の手順について示す。スケール変換部20Aにおける変換処理の手順は、前述のスケール変換部20における変換処理の手順と同じである。スケール変換部20Aにおける変換処理の手順を示すフローチャートを図示せず、図5に示したフローチャートを参照する。
0105
また、図10と図11を参照し、処理対象とする映像信号に応じたスケール変換部20Aにおける変換処理(映像信号処理)について順に示す。
最初に、映像信号の信号フォーマットを(Yconst’,B’,R’)とする表色系における「広色域・定輝度モード」の場合について示す。
図10は、「広色域・定輝度モード」の場合のスケール変換部20Aにおける変換処理におけるデータフローを示す図である。映像信号の信号フォーマットを(Yconst’,B’,R’)とする表色系における「広色域・定輝度モード」は、以下に示すように、入力映像信号が定輝度原理を満たして伝送される場合に適用される。線形化処理部21Aは、該入力映像信号として入力変換部11Aから供給される映像信号(Yconst’B’R’)に対し、定輝度原理に応じた線形化処理(逆ガンマ処理、式(14)参照)を行って、GBR信号(GWBWRW信号)を生成する。この線形化処理部21AによるGBR信号(GWBWRW信号)を生成する処理は、図5におけるステップSa210に相当する。また、GBR信号(GWBWRW信号)からY’Cb’Cr’信号(YN’Cb’Cr’信号)を生成するまでの変換処理は、図5において示した変換処理(ステップSa220からSa240までの処理)と同じである。
0106
次に、映像信号の信号フォーマットを(Y’,B’,R’)とする表色系における「広色域・非定輝度モード」の手順について示す。
図11は、「広色域・非定輝度モード」の場合のスケール変換部20Aにおける変換処理におけるデータフローを示す図である。映像信号の信号フォーマットを(Y’,B’,R’)とする表色系における「広色域・非定輝度モード」は、以下に示すように、入力映像信号が定輝度原理を満たさずに伝送される場合に適用される。線形化処理部21Aは、入力映像信号として入力変換部11Aから供給される映像信号(Y’B’R’)に対し、非定輝度原理に応じた線形化処理(逆ガンマ処理)を行って、生成した信号として映像信号(GBR)をマトリクス変換処理部22に供給する。この線形化処理部21AによるGBR信号(GWBWRW信号)を生成する処理は、図5におけるステップSa210に相当する。
0107
また、GBR信号(GWBWRW信号)からY’Cb’Cr’信号(YN’Cb’Cr’信号)を生成するまでの変換処理は、図5において示した変換処理(ステップSa220からSa240までの処理)と同じである。
0108
このように、スケール変換部20Aにおける変換処理により、測定対象の映像信号が「広色域」の信号であっても、「従来色域」と同じスケールに基づいて測定可能な信号に変換することができる。
0109
以上に示した実施形態により、ベクトルスコープ1(1A)(映像信号処理装置)のスケール変換部20(20A)は、映像信号の基準三原色が異なっている第1の表色系(従来色域に応じた表色系)および第2の表色系(広色域に応じた表色系)について、第1の表色系の基準三原色RGBに対応する色度図上の色度点が、第2の表色系の基準三原色RGBに対応する色度点によって形成されている色度図上の領域に含まれる映像信号を処理の対象とする。上記のスケール変換部変換部20(20A)は、入力映像信号が第2の表色系(広色域に応じた表色系)で表現される信号であるときに第1の表色系(従来色域に応じた表色系)で表現される映像信号へスケール変換を行う。
これにより、ベクトルスコープ1(1A)は、スケール変換部20(20A)によって、第2の表色系(広色域に応じた表色系)によって表現された入力映像信号を第1の表色系(従来色域に応じた表色系)によって表現される映像信号(第4の映像信号)に変換することができる。
ここで、第1の表色系とは、例えば、従来色域を表現可能とする表色系であり、第2の表色系とは、例えば、従来色域から広色域化された色域を表現可能とする表色系である。また、基準原色には、三原色(RGB)と基準白色が含まれる。
0110
なお、スケール変換部20(20A)は、映像信号の表色系における色域が第1の色域から広色域化された第2の色域である入力映像信号に対して該入力映像信号に応じた線形化処理をするとともに、線形化処理された入力映像信号に対して色域を変換する座標変換処理により、第2の色域(広色域)の表色系の信号から第1の色域(従来色域)の表色系の信号を生成してもよい。
これにより、ベクトルスコープ1(1A)は、スケール変換部20(20A)によって、第2の色域である入力映像信号に対して該入力映像信号に応じた線形化処理をする。また、スケール変換部20(20A)は、線形化処理された入力映像信号に対して色域を変換する座標変換処理により、第2の色域(広色域)の表色系の信号から第1の色域(従来色域)の表色系の信号を生成することができる。
0111
このようなスケール変換部20(20A)において、入力映像信号が定輝度原理を満たして伝送される場合、線形化処理部21が、該入力映像信号に対して定輝度原理に応じた線形化処理をして、三原色RGB(第1緑信号と第1赤信号と第1青信号)を成分とする第1の映像信号を生成することから、定輝度原理を満たして伝送された入力映像信号の線形化処理を行った第1の映像信号を生成することができる。
また、入力映像信号の表色系における色域が第1の色域から広色域化された第2の色域である場合、マトリクス変換処理部22が、第1の映像信号から、第1の色域の表色系による三原色RGBを成分とする第2の映像信号を生成することから、第2の映像信号の色域を第2の色域から第1の色域に変換することができる。要するに、マトリクス変換処理部22が、線形化処理部21によって生成された第1の映像信号の基準三原色を、前記第2の表色系の基準三原色RGBから、前記第1の表色系の基準三原色RGBに変換するとともに、三原色RGBを成分とする第2の映像信号に変換する。
また、非線形化処理部23が、第2の映像信号の成分について、それぞれ非線形化処理をして三原色RGBを成分とする第3の映像信号を生成する。そして、マトリクス変換処理部24が、第3の映像信号から、定輝度原理を満たさない表色系による第2輝度信号と色差信号とを成分とする第4の映像信号を生成する。要するに、マトリクス変換処理部24が、第3の映像信号から、第1の表色系の基準三原色RGBを基準三原色とするとともに定輝度原理を満たさない第1の表色系による輝度信号と色差信号とを成分とする第4の映像信号を生成する。
これにより、ベクトルスコープ1(1A)は、第4の映像信号に基づいて入力映像信号によって示される色を測定することができる。
0112
また、広色域化されて規格化されたるHDTVに適用される映像システムであっても、色再現性を重視しない番組の映像信号を扱う場合がある。そのような番組の映像信号を扱う場合には、映像システムが扱う映像信号が広色域形式の信号であっても、実際の映像信号によって示される色域が、従来色域ほどの色域で表現できることが想定される。このような場合には、広色域対応の測定系により従来色域に基づいたスケールを使って検出するより、表色系が従来色域であるベクトルスコープを使うことにより、ベクトルスコープに慣れているユーザーは、判定しやすくなる。
0113
本実施形態に示されるベクトルスコープ1によれば、広色域化された映像信号によって示される色(映像信号における色の再現性)の測定においても、基準とされる色域(従来色域)の映像信号の色空間の座標系(スケール)と同じ座標系(スケール)に従って測定することが可能となる。
0114
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更等も含まれる。例えば、スケール変換部20(20A)は、複数に分割して構成してもよい。その分割方法は、スケール変換部20における構成要素を単位とすることができる。或いは、表示画面の領域に応じて分割してもよい。また、スケール変換部20における演算処理は、予め算出された情報が記憶されているルックアップテーブル(LUT)を参照することとしてもよい。
0115
なお、ベクトルスコープ1は、「広色域」の信号として、定輝度伝送を満足して伝送される映像信号(Yconst’C’BC’R)と、定輝度伝送を満足せずに伝送される映像信号(Y’C’BC’R)とのいずれかを入力映像信号とするものとして説明した。或は、ベクトルスコープ1Aのように、上記の信号フォーマットに加え、「広色域」の信号として、定輝度伝送を満足して伝送される映像信号(Yconst’B’R’)と、定輝度伝送を満足せずに伝送される映像信号(Y’B’R’)とのいずれかを入力映像信号とするものとしてもよい。
0116
なお、ベクトルスコープ1(1A)は、スケール変換部20(20A)を備えるものとして説明したが、ベクトルスコープ1(1A)の外部に、スケール変換部20(20A)の機能を映像信号処理装置として構成してもよい。
また、そのような映像信号処理装置は、映像システムを構成するほかの装置に対して提供する映像信号を生成する信号変換処理を行うものであってもよい。
また、映像信号処理装置とされる、映像システムを構成する装置が、スケール変換部20の機能を備えるものであってもよい。そのような映像信号処理装置により、例えば、広色域化された高精細画像信号からのダウンコンバーターを容易に構成することができる。
0117
なお、上述のベクトルスコープ1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、各機能部の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
0118
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
0119
1、1A…ベクトルスコープ(映像信号処理装置)、
20、20A…スケール変換部
21、21A…線形変換部、
22…マトリクス変換処理部、
23…非線形変換部、
24…マトリクス変換処理部、
42…ベクトル表示画面生成部