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技術 硬化肉盛用溶接材料とそれによる肉盛溶接層を有する機械部品

出願人 新日本溶業株式会社
発明者 辻野充石村進
出願日 2011年12月22日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2011-281957
公開日 2013年7月4日 (7年5ヶ月経過) 公開番号 2013-128976
状態 特許登録済
技術分野 溶接材料およびその製造
主要キーワード 摩耗溝 角棒体 配管接続用フランジ 垂直負荷 摺接ガイド 酸素アセチレン 概略組成 付随不純物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年7月4日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

Co基合金系の硬化肉盛用溶接材料として、生産性の高いプラズマ粉末溶接法により、高硬度でばらつきが小さく、卓越した耐摩耗性を発揮する肉盛溶接層を形成でき、溶接性や肉盛溶接層の機械加工性にも優れるものを提供する。

解決手段

Co基合金であって、Cが0.6〜1.0質量%、Siが2.0〜5.0質量%、W,Nb,Tiから選ばれる少なくとも一種が合量で0.5〜1.0質量%、Crが16.0〜20.0質量%、Moが20.0〜35.0質量質量%、Niが2.0質量%以下、Feが2.0質量%以下、残部が実質的にCoである組成を有する。

概要

背景

一般的に、石油精製プラント等において高温流体を通す大流量流路開閉部には、例えば図1に示すようなディスク式バルブが使用されている。このディスク式バルブは、配管接続用フランジ部F1,F2を備えたバルブケースV内の流路開閉部Rに対し、弁体としての厚板状のディスクDを左右両側のガイドレールG,Gを介して進退移動させることにより、流路の遮蔽開放を行うものである。しかして、左右各側のガイドレールGは、図示のような上下一対角棒体S,S(特許文献1)や、断面L字形のもの(特許文献2)からなるが、高温下での耐摩耗性を付与するために、例えば図2に示すガイドレールGのように、母材1におけるディスクDとの摺接ガイド面にトリバロイ(デロロ・ステライト社製の商品名)T−400及びT−800(以下、単にT−400、T−800と略称する)のようなCo基合金Ni基合金からなる高硬度肉盛溶接層2を設けている。とりわけ、T−800の肉盛溶接層は、高硬度であって、耐摩耗性、耐掻傷性、耐食性低摩擦性等に優れる点から、広く採用されている。

上記のトリバロイ合金概略組成は、質量%として、T−800ではMo:28.5%、Cr8.5%、Si:2.6%、C:0.04%、残部Co、T−400ではMo:28.0%、Cr18.0%、Si:3.4%、C:0.04%、残部Coとなっている。その肉盛溶接層の組織は、軟質Co基固溶体マトリックス相と、硬い稠密六方晶系の金属間化合物であるMo3Co2Siのラーベス相との2相成分にて構成されている。

一方、ディーゼルエンジンガスエンジン等の給排気バルブバルブフェース用の硬化肉盛用溶接材料では、従来汎用のT−400に代わるCo基合金として、質量(重量)%で、Cr:7.0〜15.0%、Mo:26〜33%、C:0.1〜0.5%、Si:2.0〜5.0%、Mn:0.01〜1.0%、残部Coの組成を有するものも提案されている(特許文献3)。

概要

Co基合金系の硬化肉盛用溶接材料として、生産性の高いプラズマ粉末溶接法により、高硬度でばらつきが小さく、卓越した耐摩耗性を発揮する肉盛溶接層を形成でき、溶接性や肉盛溶接層の機械加工性にも優れるものを提供する。Co基合金であって、Cが0.6〜1.0質量%、Siが2.0〜5.0質量%、W,Nb,Tiから選ばれる少なくとも一種が合量で0.5〜1.0質量%、Crが16.0〜20.0質量%、Moが20.0〜35.0質量質量%、Niが2.0質量%以下、Feが2.0質量%以下、残部が実質的にCoである組成を有する。なし

目的

本発明は、上述の事情に鑑みて、高硬度でばらつきが小さく、前記ガイドレール等として卓越した耐摩耗性を発揮する肉盛溶接層を形成でき、且つ溶接性や肉盛溶接層の機械加工性にも優れるCo基合金系の硬化肉盛用溶接材料と、それによる肉盛溶接層を備えた機械部品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

Co基合金であって、Cが0.6〜1.0質量%、Siが2.0〜5.0質量%、W,Nb,Tiから選ばれる少なくとも一種が合量で0.5〜1.0質量%、Crが16.0〜20.0質量%、Moが20.0〜35.0質量質量%、Niが2.0質量%以下、Feが2.0質量%以下、残部が実質的にCoである組成を有する硬化肉盛用溶接材料

請求項2

高温下での金属同士の摺接部を構成する金属母材の摺接面に、請求項1に記載の硬化肉盛用溶接材料による厚さ2.5〜5mmでビッカース硬度(Hv)700以上の肉盛溶接層が形成されてなる機械部品

技術分野

0001

本発明は、例えば高温下で作動するディスク式バルブ摺動ガイド部等、潤滑剤を使用できない高温下での摺動部に耐摩耗性を付与する硬化肉盛層を設けるのに使用される硬化肉盛用溶接材料と、該材料による肉盛溶接層を有する機械部品に関する。

背景技術

0002

一般的に、石油精製プラント等において高温流体を通す大流量流路開閉部には、例えば図1に示すようなディスク式バルブが使用されている。このディスク式バルブは、配管接続用フランジ部F1,F2を備えたバルブケースV内の流路開閉部Rに対し、弁体としての厚板状のディスクDを左右両側のガイドレールG,Gを介して進退移動させることにより、流路の遮蔽開放を行うものである。しかして、左右各側のガイドレールGは、図示のような上下一対角棒体S,S(特許文献1)や、断面L字形のもの(特許文献2)からなるが、高温下での耐摩耗性を付与するために、例えば図2に示すガイドレールGのように、母材1におけるディスクDとの摺接ガイド面にトリバロイ(デロロ・ステライト社製の商品名)T−400及びT−800(以下、単にT−400、T−800と略称する)のようなCo基合金Ni基合金からなる高硬度の肉盛溶接層2を設けている。とりわけ、T−800の肉盛溶接層は、高硬度であって、耐摩耗性、耐掻傷性、耐食性低摩擦性等に優れる点から、広く採用されている。

0003

上記のトリバロイ合金概略組成は、質量%として、T−800ではMo:28.5%、Cr8.5%、Si:2.6%、C:0.04%、残部Co、T−400ではMo:28.0%、Cr18.0%、Si:3.4%、C:0.04%、残部Coとなっている。その肉盛溶接層の組織は、軟質Co基固溶体マトリックス相と、硬い稠密六方晶系の金属間化合物であるMo3Co2Siのラーベス相との2相成分にて構成されている。

0004

一方、ディーゼルエンジンガスエンジン等の給排気バルブバルブフェース用の硬化肉盛用溶接材料では、従来汎用のT−400に代わるCo基合金として、質量(重量)%で、Cr:7.0〜15.0%、Mo:26〜33%、C:0.1〜0.5%、Si:2.0〜5.0%、Mn:0.01〜1.0%、残部Coの組成を有するものも提案されている(特許文献3)。

先行技術

0005

特開2006−238247号公報
特開平11−2340号公報
特開平5−131289号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかるに、T−800やT−400の硬化肉盛用溶接材料は、溶接施工時割れ感受性が高く、複雑形状への溶接施工多層盛溶接が難しく、また表面硬度のばらつきを生じやすいという難点がある上、近年において前記ディスク式バルブのガイドレール等のように高温下で金属部材同士摺接する部位に要望される更に高レベルの耐摩耗性、耐亀裂・欠損性には対応できなかった。一方、前記提案に係るCo基合金の硬化肉盛用溶接材料においても、同様に高温下で金属部材同士が摺接する部位に要望される高レベルの耐摩耗性、耐亀裂・欠損性には対応できない。

0007

本発明は、上述の事情に鑑みて、高硬度でばらつきが小さく、前記ガイドレール等として卓越した耐摩耗性を発揮する肉盛溶接層を形成でき、且つ溶接性や肉盛溶接層の機械加工性にも優れるCo基合金系の硬化肉盛用溶接材料と、それによる肉盛溶接層を備えた機械部品を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る硬化肉盛用溶接材料は、Co基合金であって、Cが0.6〜1.0質量%、Siが2.0〜5.0質量%、W,Nb,Tiから選ばれる少なくとも一種が合量で0.5〜1.0質量%、Crが16.0〜20.0質量%、Moが20.0〜35.0質量質量%、Niが2.0質量%以下、Feが2.0質量%以下、残部が実質的にCoである組成を有するものとしている。

0009

また、請求項2の発明に係る機械部品は、高温下での金属同士の摺接部を構成する金属母材の摺接面に、請求項1に記載の硬化肉盛用溶接材料による厚さ2.5〜5mmでビッカース硬度(Hv)700以上の肉盛溶接層が形成されてなるものとしている。

発明の効果

0010

請求項1の発明によれば、Co基合金系の硬化肉盛用溶接材料として、特定種元素特定範囲で含むことで、溶融金属凝固時における固液相間の温度領域が拡大すると共に冷却速度も遅くなり、不活性ガスシールド下でも金属間化合物(Mo3Co2Si)結晶が多く析出して且つ複合炭化物微細結晶も析出し、組織全体に小さい結晶粒子が分散して硬度的に安定するため、特に高温下でも高硬度であって、且つ硬度のばらつきが小さく、ディスク式バルブのガイドレール等として卓越した耐摩耗性を発揮でき、耐掻傷性、耐食性、低摩擦性、溶接性、機械加工性等にも優れた肉盛溶接層を形成できるものが提供される。

0011

請求項2の発明によれば、ディスク式バルブのガイドレールのように高温下での摺接部を構成する金属部品として、その金属母材の摺接面に上記硬化肉盛用溶接材料による特定厚みで高硬度の肉盛溶接層が形成されていることから、摺接部が低摩擦で耐摩耗性、耐掻傷性、耐食性に優れるものが提供される。

図面の簡単な説明

0012

ガイドレールの摺接部に肉盛溶接を施すディスク式バルブの一例を示す斜視図である。
同ディスク式バルブの肉盛溶接を施したガイドレールの斜視図である。
従来のCo基合金(T−800)による溶着金属組織の顕微鏡写真図を示し、(a)は倍率160、(b)は倍率800である。
本発明の硬化肉盛用溶接材料による溶着金属組織の顕微鏡写真図を示し、(a)は倍率160、(b)は倍率800である。
本発明の硬化肉盛用溶接材料と従来のCo基合金(T−800)による肉盛溶接層の研磨後表面硬さ(Hv)と測定回数相関図である。
本発明の硬化肉盛用溶接材料と従来のCo基合金(T−800)による肉盛溶接層の摩耗試験による摩耗深さと摩耗回数の相関図である。
本発明の硬化肉盛用溶接材料と従来のCo基合金(T−800)による肉盛溶接層の高温硬度試験による温度と硬度(Hv)の相関図である。

0013

本発明の硬化肉盛用溶接材料は、既述のように、Co(コバルト基合金であって、C(炭素)が0.6〜1.0質量%、Si(珪素)が2.0〜5.0質量%、W(タングステン),Nb(ニオブ),Ti(チタニウム)より選ばれる少なくとも一種が合量で0.5〜1.0質量%、Cr(クロム)が16.0〜20.0質量%、Mo(モリブデン)が20.0〜35.0質量質量%、Ni(ニッケル)が2.0質量%以下、Fe(鉄)が2.0質量%以下、残部が実質的にCoからなる組成を有するものである。

0014

そして、この硬化肉盛用溶接材料によって基材表面に肉盛溶接した溶着金属は、Co,Mo,Cr,Siの4元系合金相に、金属間化合物であるMo3Co2Siの結晶と、Mo及びCrとW,Nb,Ti等の複合炭化物の微細結晶とが分散した複合組織になっており、高度の耐熱性、耐摩耗性、耐食性を示すと共に、優れた高温硬度を備えている。これは、マトリックス中のMo,Cr等の固溶によって高耐食性がもたらされ、またマトリックスに分散する硬質な金属間化合物(Mo3Co2Si)の自己潤滑性によって耐摩耗性が高められ、更にMo−Cr−W複合炭化物の微細結晶の分散効果として高硬度、特に高温下での高硬度が付与されて且つ硬度のばらつきが少なくなるものと想定される。

0015

上記組成中のCは、Mo及びCrとW,Nb,Ti等との間で複合炭化物を形成する成分であり、その添加量が0.6質量%以上と従来汎用のT−800に比較して略一桁多く、それによって多く析出した微細結晶の分散効果により、合金の硬度及び耐摩耗性を高め、また高温強度の向上に大きく寄与する。しかるに、その添加量は、多過ぎては複合炭化物の生成が過剰になって合金の脆化を招き、割れ欠けを発生し易くなるため、1.0質量%を上限とする。

0016

Siは、合金の融点下げて溶融金属の流動性を高める成分であり、その作用を十分に発揮する上で2.0質量%以上の添加を必要とするが、多過ぎては金属間化合物のCo−Mo−Si相が生成過剰になって合金の脆化を招くことから、添加量の上限を5.0質量%とする。

0017

W,Nb,Tiは、Mo及びCrと共に複合炭化物を形成する成分であって、該複合炭化物としてマトリックス中に分散し易い微細結晶を生成させて割れや欠け防止に寄与すると共に、特に硬度を大きく高める作用を発揮する。これらの添加量は合量で、0.5質量%未満では十分な添加効果が得られず,逆に1.0質量%を超えると溶融金属の流動性を低下させる。なお、W,Nb,Tiの内、特にWが添加効果の上で最適なものとして推奨される。

0018

Moは、Co,Cr,Siと共に前記の4元系合金相を形成し、且つCo及びSiと共に前記金属間化合物の結晶を析出し、該金属間化合物の高い硬度と自己潤滑性によって合金の耐摩耗性を高め、また耐食性を向上させる成分である。その添加量は、20.0質量%未満では金属間化合物の析出量が不足し、多くなるほど該析出量が増加するが、多過ぎてはCo基合金としてのバランスを悪化させるので35.0質量%を上限とする。

0019

Crは、Co,Mo,Siと共に前記の4元系合金相を形成する成分であり、その添加によって特に合金の硬度及び耐食性を高める作用を発揮する。その添加量は、16.0質量%未満では合金の耐食性及び耐熱性が不足すると共に硬度及び靱性も低下する一方、20.0質量%を超えても合金の靱性が低下して割れや欠けを発生し易くなる。

0020

Coは、Co基合金としての基本元素であり、上記諸元素と共に、高耐食性、高耐熱性高耐摩耗性、高靱性の合金を形成する。

0021

Fe及びNiは、本発明の意図する合金特性面からは不要な不純分に相当する元素であるため、その混在量が少ないほどよいが、それぞれ2.0質量%までの範囲であれば特性的に許容される。

0022

なお、本発明の硬化肉盛用溶接材料は、上記諸元素以外の元素についても、不可避不純物あるいは付随不純物として0.1質量%以下の微量の範囲で含んでいてもよい。

0023

このような硬化肉盛用溶接材料による肉盛溶接手段としては、特に制約はなく、不活性ガスシールド下で行うアーク溶接であるプラズマ粉末溶接法やTIG(タングステン・イナートガス溶接法酸素アセチレンガス溶接法等の種々の方法を採用できるが、特にプラズマ粉末溶接法が高い生産性を得る上で好適である。

0024

本発明の硬化肉盛用溶接材料による肉盛溶接の適用対象には特に制約はなく、例えば自動車船舶航空機コンプレッサー石油プラント等で用いられる軸受部材ピストン部材シール部材バルブ部材等の高い耐摩耗性が要求される各種部材、とりわけ金属同士の摺接部、潤滑剤が行き渡りにくい摺接部、高温下で潤滑剤を使用できない摺接部等を構成する部材が好適である。そして、これらの中でも特に適用効果が大きいのは、高温下で作動するディスク式バルブの摺動ガイド部等、潤滑剤を使用できない高温下での金属同士の摺接部を構成する部材である。

0025

しかして、本発明の機械部品は、高温下での金属同士の摺接部を構成する金属母材の摺接面に、上記の硬化肉盛用溶接材料による厚さ2.5〜5mmでビッカース硬度(Hv)700以上の肉盛溶接層が形成されてなるものとしている。この肉盛溶接層の厚さは、2.5mm未満では十分な耐久性が得られず、5mmを超える厚みでは施工性に劣ると共に材料コスト的に不経済である。

0026

後記表1に示す合金組成粉末溶接材料A1〜A3(実施例)及びB1〜B10(比較例)を用い、プラズマ粉末溶接法により、SUS308鋼材(幅50mm・厚さ30mm・長さ300mm)の表面に、溶接ビードの厚さ5mm、幅30mm、長さ250mmの肉盛溶接を行った後、該肉盛溶接層の表面を層厚が4mmになるまでダイアモンド砥粒による荒研磨及びバフ研磨を行って鏡面仕上げした。なお、粉末溶接材料B10はT−800の合金組成である。

0027

〔表面硬度試験1〕
粉末溶接材料A1〜A3及びB1〜B10にて形成した各肉盛溶接層の表面のショアー硬度(Hs)を、ハンディ硬さ計(JFEアドバンテック社製の商品名SONOHARD HS-21型)を用いて測定した。その結果を後記表1に示す。なお、硬度のばらつきと平均は、各肉盛溶接層の試料10点の測定値に基づく。

0028

0029

上記表1で示すように、本発明の硬化肉盛用溶接材料(粉末溶接材料A1〜A3)による肉盛溶接層の表面硬度は、ショアー硬度(Hs)として、T−800(粉末溶接材料B10)による肉盛溶接層に比較して格段に高い上にばらつきも少ないことが明らかである。また、本発明とは合金組成の元素比率が多少異なる硬化肉盛用溶接材料(粉末溶接材料B1〜B9)による肉盛溶接層の表面硬度は、ばらつきが比較的に少なくても本発明によるものよりも低くなることが判る。

0030

〔表面硬度試験2〕
表1の粉末溶接材料A1,B10による各肉盛溶接層の表面のビッカース硬度(Hv)を、ビッカース硬度計によって2mm間隔で測定したところ、図5に示す結果が得られた。この図3より、本発明の硬化肉盛用溶接材料による肉盛溶接層の表面硬度は、ビッカース硬度(Hv)においても、従来汎用の硬化肉盛用溶接材料(T−800)に比較して格段に高く且つばらつきが非常に少ないことが判る。

0031

〔溶着金属の組織観察
表1の粉末溶接材料A1,B10による溶着金属の組織を走査型電子顕微鏡によって観察した。図3(a)(b)は粉末溶接材料B10による電子顕微鏡写真図4(a)(b)は粉末溶接材料A1による電子顕微鏡写真である。図3(a)(b)から明らかなように、粉末溶接材料B10による溶着金属組織では、硬い稠密六方晶系のラーベス相(金属間化合物Mo3Co2Si)と、比較的軟らかいマトリックス相(共晶組織)との2相成分から構成されているが、凝固時の固液相間の温度領域が狭いため、金属間化合物は析出量が少ない上に大きな結晶粒子になり、これによって硬度のばらつきが大きくなると推測される。これに対し、本発明の硬化肉盛用溶接材料による溶着金属組織では、図4(a)(b)から明らかなように、凝固時の固液相間の温度領域が拡大すると共に冷却速度も遅くなるため、金属間化合物が小さい結晶粒子として多く析出することに加えて複炭化物の微細結晶も多く析出し、これら金属間化合物と複炭化物の結晶粒子が組織全体に均一分散して硬度的に安定すると想定される。

0032

〔高温硬さ試験
表1の粉末溶接材料A1,B10による肉盛溶接層の各試料5点について、高温顕微鏡硬度計を用い、荷重1kgfにおいて常温から800℃までの表面硬度(ビッカース硬度Hv)を測定したところ、図7に示す結果が得られた。なお、図7のビッカース硬度(Hv)の数値は試料5点の平均値である。この試験結果から、本発明の硬化肉盛用溶接材料による肉盛溶接層は、常温から800℃までの温度範囲全域にわたり、従来汎用の硬化肉盛用溶接材料(T−800)による肉盛溶接層よりも高い表面硬度を示すことが明らかである。

0033

耐摩耗性試験
表1の粉末溶接材料A1,B10による肉盛溶接層について、スガ式摩耗試験機型式:NUS−ISO−3)を用いて下記条件で摩耗試験を行い、各摩耗回数による摩耗溝の断面の面積(μm2)を測定した。その結果を図6に示す。
摩耗紙の砥粒材質: SiC
摩耗紙粗さ: #320
摩耗輪幅: 12mm
往復毎の摩耗輪回転角度:0.9deg/1回往復
試験辺走査ストローク拒理:10mm
垂直負荷: 3000g・f
走査平均速度: 400mm/分
摩耗往復数: 1600往復(4×400回往復)

0034

図6で示す摩耗試験結果から、本発明の硬化肉盛用溶接材料による肉盛溶接層は、従来汎用の硬化肉盛用溶接材料(T−800)による肉盛溶接よりも高い耐摩耗性を具備することが判る。

0035

〔溶接性〕
表1の粉末溶接材料A1〜A3,B10について肉盛溶接時挙動を観察したところ、粉末溶接材料A1〜A3は、従来汎用の粉末溶接材料B10(T−800)に比較し、溶融時の溶融プール濡れ性が非常によく、溶接ビード端面も良好であるため、割れ等の溶接欠陥を生じにくいことが確認された。また、多層肉盛溶接(2層盛り)の場合、粉末溶接材料B10では2層目の溶融プールの濡れ性が1層目よりも悪くなるのに対し、粉末溶接材料A1〜A3では1層目と2層目の溶融プールの濡れ性は変わらず良好であり、多層肉盛溶接への適用性にも優れることが判明した。

実施例

0036

加工性
表1の粉末溶接材料A1〜A3,B10による各肉盛溶接を施したSUS308鋼材について、フライス加工を行ったところ、相互の加工性に遜色はなく、またいずれも欠陥は発生しなかったが、粉末溶接材料A1〜A3の方が粉末溶接材料B10よりも切断面の光沢に勝るように感じられた。

0037

1母材
2肉盛溶接層
Gガイドレール(摺接部)
S角棒体(機械部品)

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