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図面 (20)

課題

筋細胞における遺伝子発現を調整する方法及び組成物の提供。

解決手段

患者における筋肉損傷治療するための医薬組成物であって、有効量のmiR−206又はmiR−206をコードするベクターから成る医薬組成物。さらに、筋細胞分化を増加させる方法、または筋細胞の増殖を阻害する方法であって、インビトロ成体骨格筋前駆細胞をmiR−206又はmiR−206をコードするベクターと接触させることから成る方法。

概要

背景

細胞増殖及び分化を調節する分子機構を理解することは、発生生物学の中心課題である。マイクロRNA(miRNA)は最近発見された種類の約22ヌクレオチドから成る調節RNAであり、転写後に遺伝子調節を行う1,2。ますます多くの事実が、多くの生物過程におけるmiRNAの潜在的役割を示している3−8。
しかし、生物過程におけるmiRNAの役割又は役割を特徴付ける本技術分野へのニーズが長期間、また継続的にある。本出願は、該技術分野のいくつかのニーズに対処する。

概要

筋細胞における遺伝子発現を調整する方法及び組成物の提供。患者における筋肉損傷治療するための医薬組成物であって、有効量のmiR−206又はmiR−206をコードするベクターから成る医薬組成物。さらに、筋細胞分化を増加させる方法、または筋細胞の増殖を阻害する方法であって、インビトロ成体骨格筋前駆細胞をmiR−206又はmiR−206をコードするベクターと接触させることから成る方法。なし

目的

細胞増殖及び分化を調節する分子機構を理解することは、発生生物学の中心課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

患者における筋肉損傷治療するための医薬組成物であって、有効量のmiR−206又はmiR−206をコードするベクターから成る医薬組成物。

請求項2

前記筋肉損傷が機械筋肉外傷筋肉変性疾患心臓発作又はこれらの組合せである請求項1に記載の医薬組成物。

請求項3

前記筋肉変性疾患が、筋肉ジストロフィー運動ニューロン疾患炎症性ミオパチ、神経筋接合部疾患、内分泌ミオパシー又は代謝筋肉疾患である請求項2に記載の医薬組成物。

請求項4

前記筋肉ジストロフィーが、Duchenne筋肉ジストロフィーである請求項3に記載の医薬組成物。

請求項5

前記患者が哺乳動物である請求項1に記載の医薬組成物。

請求項6

前記miR−206が、配列番号3又は配列番号3と少なくとも70%相同な配列のヌクレオチド配列から成る請求項1に記載の医薬組成物。

請求項7

前記miR−206をコードするベクターが、(a)miR−206をコードする核酸分子作動可能に連結したプロモーター、及び(b)転写終結配列、を含む請求項1に記載の医薬組成物。

請求項8

前記ベクターがウィルスベクターである請求項1に記載の医薬組成物。

請求項9

前記ウィルスベクターがアデノウィルスベクターである請求項8に記載の医薬組成物。

請求項10

前記ウィルスベクターがレトロウィルスベクターである請求項8に記載の医薬組成物。

請求項11

筋細胞分化を増加させる方法であって、インビトロ成体骨格筋前駆細胞をmiR−206又はmiR−206をコードするベクターと接触させることから成る方法。

請求項12

筋細胞の増殖を阻害する方法であって、インビトロで成体骨格筋前駆細胞をmiR−206又はmiR−206をコードするベクターと接触させることから成る方法。

請求項13

前記miR−206が、配列番号3又は配列番号3と少なくとも70%相同な配列のヌクレオチド配列から成る請求項11又は12に記載の方法。

請求項14

前記miR−206をコードするベクターが、(a)miR−206をコードする核酸分子に作動可能に連結したプロモーター、及び(b)転写終結配列、を含む請求項11又は12に記載の方法。

請求項15

前記成体骨格筋前駆細胞が衛星細胞である請求項11又は12に記載の方法。

請求項16

前記成体骨格筋前駆細胞をmiR−206又はmiR−206をコードするベクターと接触させた後、該成体骨格筋前駆細胞中のPax7の発現が減少する請求項11又は12に記載の方法。

請求項17

前記ベクターがウィルスベクターである請求項11又は12に記載の方法。

請求項18

前記ウィルスベクターがアデノウィルスベクターである請求項17に記載の方法。

請求項19

前記ウィルスベクターがレトロウィルスベクターである請求項17に記載の方法。

技術分野

0001

本出願は、2005年12月12日に出願された米国仮出願60/749,544の優先権を主張し、その内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
本出願は米国NIHの助成金R01−HL075251の支援の下に行われた。従って、米国政府は本出願に対して権利を有する。
本出願にかかる発明は、一般的に、筋細胞における遺伝子発現を調節する方法及び組成物に関し、より詳細には、本出願は、マイクロRNA(microRNA(miRNA))を用いて、筋細胞中の遺伝子の発現レベルを調節する方法、及びmiRNAから成る組成物に関する。

背景技術

0002

細胞増殖及び分化を調節する分子機構を理解することは、発生生物学の中心課題である。マイクロRNA(miRNA)は最近発見された種類の約22ヌクレオチドから成る調節RNAであり、転写後に遺伝子調節を行う1,2。ますます多くの事実が、多くの生物過程におけるmiRNAの潜在的役割を示している3−8。
しかし、生物過程におけるmiRNAの役割又は役割を特徴付ける本技術分野へのニーズが長期間、また継続的にある。本出願は、該技術分野のいくつかのニーズに対処する。

発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段

0003

概説は、本出願で開示した主題のいくつかの実施態様を紹介し、また多くの場合、これらの実施態様の変形物及び置き換えを紹介する。本概説は多数で、多様な実施態様を単に例示する。与えられた実施態様の1又は2以上の代表的特徴についての記載は、同様に例示的である。この様な実施態様は、一般的に既述した特徴を伴う場合も、伴わない場合もある;同様に、本概説に紹介された又はされないに無関係に、これらの特徴は本出願で開示した主題の他の実施態様に適用可能である。過度の繰り返しを避けるために、本概説は、これらの特徴の全ての可能な組合せを紹介しておらず、あるいは示唆してない。

0004

本出願の一つの実施態様において、患者筋肉損傷治療する方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は患者の筋肉損傷部位に有効量のmiRNA又は、該miRNAをコードするベクター又はmiRNAの阻害剤投与することから成り、該miRNAは筋肉損傷部位における筋細胞中のある遺伝子を標的とする。いくつかの実施態様において、miRNAの阻害剤は標的miRNAをハイブリダイズすることができ、またいくつかの実施態様において、該標的miRNAは、miR-1、miR-133、miR-206、miR-208、miR-22、miR-26、miR-29、miR-30、miR-128、miR-143及びmiR-145から成る群から選択される。いくつかの特定の実施態様において、1回目にmiRNA-133 及びmiRNA-1の阻害剤の投与は、組み合わされて筋肉損傷部位に行われ、第2回目に、miRNA-1 及びmiRNA-133の阻害剤の投与が、組み合わされて筋肉損傷部位の治療のために行われる。いくつかの実施態様において、筋肉損傷は、機械筋肉外傷、筋肉変性障害心臓発作又はこれらの組合せに起因する。いくつかの実施態様において、患者は哺乳動物である。

0005

本出願の別の実施態様において、筋細胞分化、増殖又は両者を調節する方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、筋細胞分化、増殖又はこの両者を調節する方法であって、筋細胞をmiRNA又は筋細胞中の遺伝子を標的とするmiRNAをコードするベクターと接触させ、これにより筋細胞分化、増殖又は両者を調節可能にすることから成る。いくつかの実施態様において、調節は阻害であり、いくつかの実施態様において、該miRNAは遺伝子飜訳を阻害する。
本出願の更に他の実施態様において、筋細胞中の遺伝子の発現を調節する方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、筋細胞を筋細胞中の遺伝子を標的とするmiRNA又は該miRNAをコードするベクターと接触させることから成る。いくつかの実施態様において、調節は阻害であり、いくつかの実施態様において、該miRNAは遺伝子飜訳を阻害する。

0006

本出願のさらなる実施態様において、筋細胞中の遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、該筋細胞をmicroRNA(miRNA)分子をコードするベクターで形質転換することから成り、該miRNA分子は、連続した17〜24ヌクレオチドの前記遺伝子の部分配列に少なくとも70%相同であるヌクレオチド配列から成る。但し、miRNAは、該遺伝子に通常存在するチミジンの代わりにウラシルを含む。いくつかの実施態様において、miRNAは、遺伝子の飜訳を阻害する。
本出願の方法のいくつかの実施態様において、用いる該miRNAは、配列番号1〜11のいずれか及び配列番号1〜11のいずれかと少なくとも70%相同な配列から成る群から選択された塩基配列を含む。いくつかの実施態様において、該miRNAは、miR-1、miR-133、miR-206、miR-208、miR-22、miR-26、miR-29、miR-30、miR-128、miR-143及びmiR-145から成る群から選択される。さらに、いくつかの実施態様において、該miRNAは、該遺伝子の3'非飜訳領域を標的とする。
さらに、該方法のいくつかの実施態様において、miRNAの標的となる該遺伝子は、筋細胞分化遺伝子(例えば、ヒストンアセチラーゼ4(HDAC4)ポリペプチド又は甲状腺ホルモン受容体タンパク質240(TRAP240))、筋細胞増殖遺伝子(例えば、血清応答因子(SRF)ポリペプチドをコードする遺伝子)及びホルモン関連タンパク質(例えば、甲状腺ホルモン結合タンパク質1(Thrap1))から成る群から選択される。

0007

本出願の他の実施態様において、miRNAをコードするベクターが提供される。いくつかの実施態様において、該ベクターは、該miRNA分子をコードする核酸分子人工的に連結したプロモーター及び転写終結配列を含む。更に、いくつかの実施態様において、該ベクターは、ベクターを筋細胞に導入するための少なくとも1種類の試薬をさらに含むキットに取り込まれる。いくつかの実施態様において、該キットは、ベクターを筋細胞に導入するための使用説明を更に含む。
従って、本出願の目的は、miRNAを介する手法を用いて筋細胞の遺伝子発現を調節する方法を提供することである。この目的は、本出願により、全体的に又は部分的に成就される。
本出願及び無制限の実施例についての以下の研究により、当業者には本出願の上述の目的、他の目的及び利点は自明となろう。

図面の簡単な説明

0008

図1a〜図1eは、発生過程での心筋及び骨格筋におけるmiR-1 及びmiR-133の発現についてのデータを図示する。図1aは、それぞれ、増殖培地(GM)又は分化培地(DM)中で培養したC2C12筋芽細胞からの、0,1,3及び5日目のmiRNAアレイ発現データを示す。正規化した自然対数データを、遺伝子により階層的にクラスター化し、ヒートマップとしてプロットする。シグナルの範囲は、−4倍から+4倍である。培地と比較して、黄色は、高発現を示し、青色は低発現を示し、また分化培地で上方制御されたmiRNAノードのみ示す。図1bは、それぞれ、GM又はDM中で、0,1,3及び5日間培養したC2C12筋芽細胞から分離した全RNAを用いた、miR-1及びmiR-133発現のノーザンブロット解析を示す。tRNAローディングコントロールとして用いた。図1cは成体マウス組織中のmiR-1及びmiR-133発現のノーザンブロット解析を示す。図1dはマウス13.5日目(E13.5)及び16.5日目(E16.5)胚組織中のmiR-1及びmiR-133発現のノーザンブロット解析を示す。図1eはマウス新生児組織中のmiR-1及びmiR-133発現のノーザンブロット解析を示す。及び新生児RNAとの比較のために成体心筋及び骨格筋から同量の全RNAをブロットにローディングした(図1d及び図1e)。
図2a〜図2jはmiR-1及びmiR-133による筋芽細胞増殖及び分化を調節することを示すデータを示す。増殖培地(GM)中で培養したC2C12筋芽細胞に、GFP対照として、miR-1及びmiR-133に対する二重鎖miRNAを電気穿孔により導入した。図2a〜図2eは、細胞トランスフェクション後24時間GM中で連続的に培養し、その後分化培地(DM)に移し12時間後、ミオゲニンに対する免疫染色を行い(図2a)又は36時間後、MHCに対する免疫染色を行った(図2b)実験結果を示す。GM中で培養したC2C12筋芽細胞に、GFPを対照として、miR-1、miR-133(又は図示したこれらの変異体)又は miR-208に対する二重鎖miRNAを電気穿孔で導入し、24時間培養後:図示した抗体を用いたウェスタンブロッティング図2c);又は細胞をDMに24時間移し図示した遺伝子についてRT-PCRを行った(図2d);又は細胞をDMに24時間移動し図示した抗体を用いたウェスタンブロッティングを行った(図2e)。図2f〜図2hは、GM中で培養したC2C12筋芽細胞に、GFPを対照として、miR-1、miR-133又はmiR-208に対してアンチセンスな2'-O-メチルオリゴヌクレオチドを電気穿孔した実験結果を示す。トランスフェクション後、細胞を24時間GM中で培養し、DMに移動し:12時間後ホスホヒストンH3に対して免役染色(図2f);又は24時間後図示した遺伝子に対するRT-PCRを行い(図2g);又は24時間後図示した抗体によるウェスタンブロットを行った(図2h)。図2i及び図2jは、GM中で培養したC2C12筋芽細胞に、二重鎖miRNA又は図示した2'-O-メチルアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤を電気穿孔により導入した実験結果を示す。細胞をトランスフェクション後24時間GM中で培養し、その後DMに移し,12時間後ミオゲニン(図2i)又はホスホヒストンH3(図2j)、に対する免疫染色を行った。ポジティブに染色された細胞を計数し、データをGFP対照(100%)に対する相対発現ベルとして提示する。
図3a〜図3kは、インビボにおけるmiR-1及びmiR-133による心筋及び骨格筋の分化のコントロールを示すデータを示す。図3a〜図3hはXenopus胚実験からのデータを示す。Xenopus非注入由来図3a及び図3b)、GFP RNA対照注入由来(図3c及び図3d)、miR-1-注入由来(図3e及び図3f)又はmiR-133注入由来(図3g及び3h)のXenopus胚を抗トロポミオシンで染色し、ステージ32を明視野下(図3a、図3c、図3e及び図3g)又は蛍光下(図3b、図3d、図3f及び図3h)に示す。心臓組織に染色が欠けていること(図3b及び図3d、H矢印)及び体節崩壊図3f及び図3h、S矢印)に注目のこと。図3i〜図3kは、Xenopus胚の横断面からのデータを示す。非注入由来(図3i)、miR-1-注入由来(図3j)又はmiR-133注入由来(図3k)胚のステージ32の心臓位置に対応するXenopus胚横断面を抗トロポミオシンで染色し、体節(S矢印)及び心臓組織(H矢印)を視覚化し、抗ホスホヒストンH3(赤)で染色しS期細胞を視覚化した。各セットの注入は少なくとも2回独立に行い、表現形質は、全マウント免疫染色により記録した少なくとも50の胚の少なくとも90%について観測したものである。
図4a〜図4iは、骨格筋中のmiR-1及びmiR-133標的遺伝子の同定を示すデータである。図4aは、miR-133及びmiR-1によるSRF及びHDAC4 3'UTRの抑制を示すデータである。マウスSRF 3'UTR(SRF-3'-UTR)からのmiR-133相補部位又はマウスHDAC4 3'UTR(HDAC4-3'-UTR)からのmiR-1相補部位又はmiR-133(miR-133-luc)又はmiR-1(miR-1-luc)の完全アンチセンス配列を含むルシフェラーゼレポーターを、図示したようなmiRNA発現ベクター又はこれらの変異体と共にトランスフェクションした。ルシフェラーゼ活性をトランスフェクション後48時間に測定した。データは、少なくとも3回の独立したデュプリケート実験の平均値±s.d.を示す(*P<0.05)。図4bはC2C12筋芽細胞にトランスフェクトしたSRF-3'-UTR、HDAC4-3'-UTR及びMCK-lucルシフェラーゼレポーターの結果を示すデータを表わす。GMに24時間維持した細胞(GM),又は1日目にDMに移した細胞(DM1)又は3日目に移した細胞(DM3)のルシフェラーゼ活性を測定した。図4c〜図4eは、GM中で培養し、GFPを対照として、図示する二重鎖miRNA(又はその変異体)又はmiR-208を電気穿孔導入したC2C12筋芽細胞の結果を示すデータを表わす。トランフェクション後細胞を24時間GM中で培養し:抗SRF及び抗HDAC4抗体を用いてウェスタンブロッティングし(図4c);細胞を24時間DMに移し、図示した遺伝子についてRT-PCRを行い(図4d);細胞をDMに24時間移動し、図示した抗体を用いてウェスタンブロッティングを行った。GM中で培養したC2C12筋芽細胞に、図示した2'-O-メチルアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤を電気穿孔により導入した(図4e)。図4f及び図4gは、トランスフェクト後24時間GMで培養し、その後24時間DMに移した細胞について:図示した遺伝子についてRT-PCRを行い(図3f);及び図示した抗体を用いて、ウェスタンブロッティングを行った(図4g)、結果を示す。図4hは、GM中で培養し、図示した二重鎖miRNA又は/及び図示したようなSRF又はHDAC4に対する発現プラスミドを電気穿孔導入したC2C12筋芽細胞の結果を示すデータを表わす。細胞をトランスフェクション後、24時間GM中で培養した。DMに移した24時間後に、図示した抗体を用いたウェスタンブロッティングを行った。図4iは、GM中で培養又はDM中に0,1,3,又は5日間培養したC2C12筋芽細胞の結果を示すデータを表わす。
図5は、miR-1及びmiR-133を介した骨格筋増殖及び分化の調節に対するモデルを示す。
図6は、それぞれ、増殖培地(GM)又は分化培地(DM)に0,1,3及び5日間培養したC2C12筋芽細胞からのmiRNAアレイ発現データからの解析データを示す。正規化した自然対数データは、遺伝子により階層的にクラスター化しており、ヒートマップとしてプロットされる。シグナル範囲は−4倍から+4倍である。明るい陰影は、培地と比べて高発現を示し、暗い陰影は低発現を示す。
図7a〜図7dは、C2C12細胞におけるmiR-1、miR-133及び骨格筋分化マーカー遺伝子の発現データを示す。図7a及び図7bは、増殖培地(GM)又は分化培地(DM)に0,1,3及び5日間培養したC2C12筋芽細胞からの全RNAを用いたmiR-1(図7a)及びmiR-133(図7b)の発現のノーザンブロッティング解析を示す。成熟miRNA及びその前駆体(Pre)の両者が図示されている。tRNAをローディング対照として用いた。図7cは骨格筋分化マーカー遺伝子の半定量的RT-PCR解析を示す。GAPDHを等量ローディングの対照として用いた。図7dは、骨格筋分化マーカーの発現を示す。C2C12筋芽細胞を増殖培地(GM)又は分化培地(DM)に0,1,3及び5日間培養し、細胞単離物について、図示した抗体を用いて、ウェスタンブロットを行った。β−チューブリンをローディング対照として用いた。
図8a〜8fは成体マウス及び全過程分化における心筋及び骨格筋中のmiR-1及びmiR-133の発現データを示す。ノーザンブロット解析は、成体マウス中のmiR-1の発現(図8a)及びmiR-133の発現(図8d)を示す。マウス13.5日胚(E13.5)及び16.5日胚(E16.5)組織のmiR-1の発現(図8b)及びmiR-133の発現(図8e)をノーザンブロット解析が示す。比較のために、成体心筋及び骨格筋から得た等量の全RNAもまたブロットにロードした。マウス新生児組織のmiR-1の発現(図8c)及びmiR-133の発現(図8f)をノーザンブロット解析で示す。比較のために、成体心筋及び骨格筋から得た等量の全RNAもまたブロットにロードした。成熟miRNA及びこれらの前駆体(Pre)の両者を図示する。tRNAをローディング対照として用いた。
図9a〜図9eは心筋及び骨格筋中のmiR-1及びmiR-133初期転写物の発現を示すデータである。図9aはマウス第2及び第18染色体クラスターするmiR-1及びmiR—133遺伝子を示す。図9b〜図9eで用いたノーザンブロットのためのプローブを示す。図9b〜図9eは、第2染色体(図9d及び図9e)及び第18染色体(図9b及び図9c)からのmiR-1(図9c及び図9e)及びmiR-133の初期転写物発現(図9b及び図9c)のノーザンブロット解析のデータを示す。図示した成体マウス組織から20μgの全RNAを用いた。
図10a〜図10gは、miR-1及びmiR-133エンハンサーが心筋及び骨格筋中のレポーター遺伝子発現を制御できることを示すデータである。 図10aは、ステージ28におけるdsRedを説明する体節(S矢印)発現に連結したマウスmiR-1及びmiR-133ゲノム配列に対するトランスジェニックXenopus laevisのデータを示す。 図10bは、ステージ46(下方胚)及び負対照(非トランスジェニック、Ct,上方胚)のmiR-1及びmiR—133を含有するトランスジーン導入遺伝子)を担う、明視野下の、トランスジェニック(Tg)Xenopus laevisを示す。 図10cは図10bに示す同一胚を蛍光下に置いた写真である。 図10dは、図10bにおけるトランスジェニック胚の明視野下の高倍率顕微鏡写真であり、心臓(H矢印)及び鰓弓(BA矢印)における導入遺伝子の発現を示す。 図10eは、図10bにおけるトランスジェニック胚の蛍光下の高倍率顕微鏡写真であり、心臓(H矢印)及び鰓弓(BA矢印)における導入遺伝子の発現を示す。 図10fは、ステージ46トランスジェニック胚の高倍率顕微鏡写真であり、体節(S矢印)における導入遺伝子の発現を示す。 図10gは、マウス第2染色体からのmiR—1/133エンハンサーのゲノムDNA配列(配列番号82)を示す。推定上のMEF2部位及びCArGボックスを選び出し、またこれらの部位における変異を示した。
図11a〜図11hは、C2C12細胞において、miR—133によるmiR-133センサーの抑制を示すデータを示す。安定的にmiR-133センサーを発現するC2C12細胞に、GFP(対照)、野生型miR-133(miR-133)、変異体miR-133(miR-133mut)に対する発現ベクターを形質導入し、ここで"シード"配列は変異している又はmiR-133発現ベクターと2'-O-メチルアンチセンスオリゴ(miR-133+2'-O-メチル)の組合せである。細胞を分化培地に移動し12時間後、位相差(P/C)(図11a〜図11d)又は蛍光顕微鏡を用いて、dsRedレポーター遺伝子図11e〜図11h)の発現を示す画像を得た。各条件下の細胞を採取しdsRedレポーター遺伝子の発現を、FACS解析を用いて定量化した(下段パネル)。曲線下の空白領域は細胞の自動フルオレセイン染色を示し、曲線下の縞領域はds-Red発現を示す。
図12はHDAC4及びSRF遺伝子の3'UTRにおけるmiR—1及びmiR-133標的部位の配列を示す。上段パネル脊椎動物種ヒト(配列番号24)、チンパンジー(配列番号25)、マウス(配列番号26)、ラット(配列番号27)、イヌ(配列番号28)及びニワトリ(配列番号29)からの保存されたHDAC4 3'UTR配列及びこれら配列とmiR-1(配列番号1)及びmiR-206(配列番号3)とのアラインメント。下段パネル:ヒト(配列番号:30及び31)及びラット(配列番号32及び33)からのSRF 3'UTR配列及びこれらの配列とmiR-133とのアラインメント。上記の場合、保存された塩基配列を記載する。
図13は、miRNA生合成のモデルを示す。(A)RNAポリメラーゼIIにより、核内でpri-miRNAが転写され、(B)これらはステムループを含むpre-miRNAにDrosha(ドローシャ)により処理される。(C)Exportin-5(エクスポルチン−5)が、Droshaにより残された3'オーバーハングを認識し、pre-miRNAを細胞質に運び出し、ここで(D)Dicer(ダイサー)がステムループ以下のpre-miRNAを切断し、〜22ヌクレオチドの二本鎖配列を作る。(E)単鎖RISCに取り込まれ、(F)このRISCはmRNAの3'非飜訳領域内の相補配列を認識し、飜訳抑制又はmRNA切断により遺伝子発現を調節する。
図14a〜図14cは、miR-208ゲノムを表わす。図14aは、mFoldを用いて折りたたまれたマウス前駆体miR-208配列(配列番号34)及び右側に、成熟したmiR-208配列(配列番号35)を示す。図14bは、マウス(配列番号:35)、ラット(配列番号36)及びヒト(配列番号37)前駆体miR-208配列のアラインメントを示す。成熟miR-208配列を図14Aの右上に示す。星印は完全配列保存を表わす。図14cは、α-MHCイントロン由来のmiR-208を示す。マウスmiR-208はα-MHCのイントロン29中に位置する。同様にヒトmiR-208はα-MHCのイントロン28中に在る。
図15a〜図15cは、miR-208が発生過程で調節されることを示すデータである。異なるマウス組織からの全RNAをブロットし、miR-208に相補的な5'−放射標識したオリゴデオキシヌクレオチドで検出した。ゲル上への等量の全RNAローディングをトランスファー前のエシジウムブロマイド染色により確認した。図15aは、miR-208が心臓特異的であることを示すデータである。上方のシグナルはpre-miR-208転写物であり、下方のシグナルは成熟22ヌクレオチドである。図15bは、成体心筋及び骨格筋に相対的な、新生児マウスからの組織中のmiR-208発現のデータを示す。図15cは、成体心筋及び骨格筋に相対的な、E13.5及びE16.5マウスからの様々な組織中のmiR-208発現のデータを示す。
図16a及び図16bは、心筋細胞における異所性miR-208発現のデータを示す。図16aは放射標識miR-208にアンチセンスなオリゴヌクレオチドを用いて検出した、Ad-GFP又はAd-208を感染させた心筋細胞から調整したノーザンブロットを示す。図16bは、MOI1及びMOI 10で感染させた心筋細胞のエピ蛍光顕微鏡写真を示す。
図17は本明細書で開示した条件トランスジェニックシステムの概略図を示す。2系統の独立したトランスジェニックマウス株を用いた:一系統はα-MHCプロモーターの制御下のtTA-VP16融合タンパク質発現し、第2系統はCMV最小プロモーター制御下のmiR-208導入遺伝子を含む。CMV最小プロモーターは直接上流に位置する数個の繰り返しテトラサイクリンオペロン(tetO)を有する。該2系統を互いに交配させ、二重にトランスジェニックなマウスを、メンデル遺伝型を仮定して、4匹に1匹得た。二重にトランスジェニックなマウスにデオキシサイクリンDOX)を投与すると、tTA-VP16タンパク質はDOXと結合し、miR-208の転写が阻害される。もしDOXが無いと、tTAタンパク質はtetOコンカテマーを結合させ、VP16領域はCMV最小プロモーターからのmiR-208転写誘導をすることができる。心臓特異的標的遺伝子発現は、DOX添加又は回収により作動オン又はオフすることができる。James 他 Am J Physiol 273: H2105-H2118からの引用を参考文献に取り込む。
図18a〜図18cは、miR-208標的Thrap1を示すグラフ及び配列アラインメントである。アンチセンスmiR-208配列(miR-208センサー)又はHemoglobin-β(Hbb)及び甲状腺ホルモン結合タンパク質1(Thrap1)(図18a)の3'UTR又は4コピーのThrap1 3'UTR(図18b)からの推定miR-208結合部位と結合したルシフェラーゼレポーターをルシフェラーゼ遺伝子の下流に直接結合させ、293T細胞に、増加量のpCDNA3.1 miR-208と共に同時形質導入行った。miR-208センサー、Thrap1及び4xTrap1レポーター用量依存的に抑制され、他方負対照のCSNKは有意には変化しなかった。図18cは、成熟miR-208配列(配列番号4)がヒト(配列番号38)及びマウス(配列番号39)Thrap1遺伝子の3'UTR内の推定miR-208標的部位に結合することを示す。両推定標的内の完全に保存された標的シード領域(miR-208の5'末端の第2から第8番目のヌクレオチド)に注目。
図19は、miR-208による心臓ミオシン重鎖イソ型切り替え制御のモデルを示す。甲状腺ホルモン核受容体(TR)は、α-MHC及びβ-MHC遺伝子のプロモーター内の甲状腺受容体因子(TRE)配列に結合する。該α-MHCプロモーターは、2個のTRが結合した全長TREを含むが、他方β-MHCは1個のTRが半TREに結合したものを有する。TR単量体及び二量体の両者は、TRコファクターであるTRAP複合体とヘテロ二量体化する。甲状腺ホルモン(T3)はTRに結合し、β-MHCの転写を阻害するが、α-MHC発現を誘導する。miR-208は、α-MHCタンパク質と同時に発現し、TRAP複合体の最大のサブユニットである、Thrap1の飜訳を制御すると予想されている。miR-208は、T3シグナリングを阻害することにより心臓ミオシン重鎖イソ型発現を制御する、ネガティブフィードバックループの成分であると信じられている。
図20a及び図20bは、損傷/再生骨格筋のmiRNAアレイ解析からのデータを示す。図20aは、損傷筋肉中で下方制御されるmiRNAからのデータを示す。図20bは、損傷筋肉中で上方制御されるmiRNAからのデータを示す。
図21は配列番号6〜9の配列例を示す。
図22はmiRNAセンサーを用いた分化する骨格筋衛星細胞中のmiR-1発現を示すデータである。miR-1センサー(dsRed::miR-1)又は変異センサー(dsRed::miR-1-Mut)を安定して発現する衛星細胞は、bFGFが除かれた分化培地に移動すると誘導されて分化し、蛍光を用いて得られた画像は、dsRedレポーター遺伝子(dsRed::miR-1)又は筋肉分化マーカー遺伝子であるミオシン重鎖MF20)の発現を示す。センサーが発現する分化細胞においてdsRed発現が低いことは、これらの細胞でmiR-1の発現があることを示す。DAPIは細胞核を染色する。
図23a及び図23bは、miR-1/206発現システム図23a)及びmiR-1/206センサー(図23b)の確立を示すデータである。図23aは、miR-1/206及びGFPタンパク質の発現のための、発現構築物の概略図を示す(図23a,左パネル)。ノーザンブロット解析により、miR-1の発現を示す(図23a,右パネル)。図23bは293細胞におけるmiR-1/206センサーのmiR-1による抑制を示す。miR-1/206センサーを恒常的に発現する293細胞は、miR-1/206(SDSA::miR-1)に対する発現ベクターで形質変換し、また位相差(293細胞)又は蛍光を用いて得られた画像によりdsRedレポーター遺伝子(dsRed::miR-1)又はmiRNA::GFP(SDSA::miR-1)又は両者のオーバーレイ(Overlay)の発現を示す。dsRedセンサー及びmiR-1の発現は排他的であり、miR-1は特異的にセンサーレポーターの発現を抑制すること示す。
図24A及び24BはmiR-1/206によるPaX7及びBDNF 3'UTRの抑制を示すデータである。図24AはマウスPaX7 UTR(配列番号40〜41)とMiR-1(配列番号1)及びmiR-206(配列番号3)との配列アラインメントを示すデータである。図24Bは、マウスPaX7 3'UTR(Luc-PaX7::UTR)又はその変異体(Luc-PaX7::UTR-M)又はBDNF 3'UTR(Luc-BDNF::UTR)又はその変異体(Luc-BDNF::UTR-M)のいずれかを含むルシフェラーゼレポーターを、図示したmiRNA発現ベクターと、コトランスフェクトすることを示すグラフを開示する。ルシフェラーゼ活性は、トランスフェクト48時間後測定した。データは、少なくとも独立した3回のデュプリケート実験の平均値±s.d.を示す。miR-1/206は、PaX7及びBDNF 3'UTRレポーターの発現を強く抑制することに注目。
図25A〜図25CはmiR-1/206が、衛星細胞のPaX7の発現を阻害するがPaX3の発現を阻害しないことを示す。図25AはPaX7発現のノーザンブロット解析であり、PaX7mRNAの転写レベルは3'UTRにより阻害されないことを示す。図25BはPaX3ではなくPaX7タンパク質レベルがmiR-1/206過剰発現衛星細胞において低いことを示すウェスタンブロット解析である。図25Cは、位相差顕微鏡位相コントラストパネル)又は蛍光顕微鏡で得た画像であり、骨格筋衛星細胞におけるPaX7又はPaX3タンパク質(PaX7及びPaX3パネル)又はmiRNA::GFP(SDSA::miR-1/206パネル)又はオーバーレイ(Overlayパネル)の発現を示す。PaX3ではなく、PaX7の発現がmiR-1/206により阻害されることに注目。
図26は、miR-1/206が衛星細胞においてGDNFではなくBDNFの発現を阻害することを示す。位相差顕微鏡(位相/コントラストパネル)又は蛍光顕微鏡で得た画像が、骨格筋衛星細胞における、BDNF又はGDNFタンパク質(BDNF及びGDNFパネル)又はmiRNA::GFP(SDSA::miR-1/206パネル)又はオーバーレイ(Overlayパネル)の発現を示す。GDNFではなく、BDNFの発現がmiR-1/206により阻害されることに注目。
図27A及び図27Bは、miR-1/206が衛星細胞増殖を阻害することを示す。図27Aは,位相差顕微鏡又は蛍光顕微鏡を用いて得た衛星細胞の画像であり、BrdU(BrdUパネル)又はmiRNA::GFP(SDSA::miR-1+206パネル)でマークした細胞増殖インデックスを示す。miR-1/206過剰発現衛星細胞において、BrdUポジティブ細胞が少ないことが観測される。図27BはBrdUポジティブ染色細胞を対照及びmiR-1/206過剰発現細胞において計数した実験結果を示し、データを、BrdUポジティブ細胞と全細胞の比で表わす。
図28A及び28Bは、miR-1/206が衛星細胞分化を促進することを示す。図28A及び28Bは,miR-1/206(SDSA-miR-1+206)又はGFP(対照)を恒常的に過剰発現する衛星細胞を、bFGFを除いた分化培地に24時間(図28A)又は48時間(図28B)移し、抗ミオシン重鎖(MyHC)抗体を用いて免疫染色した実験結果を示す。miR-1/206過剰発現細胞における促進したMyHC染色に注目。DAPIは細胞核を標識する。
図29は、miR-1/206過剰発現が衛星細胞分化を促進する時間変化を示す実験結果である。miR-1/206(■:黒の四角)又はGFP(対照:黒の菱形)を過剰発現する衛星細胞を増殖培地で培養する又はbFGFを除いた分化培地に、異なる時点(0,12,24,36及び48時間)で移し、ミオシン重鎖(MyHC)ポジティブ細胞を計数した。結果をMyHCポジティブ細胞と全細胞の比で示した。
図30は、骨格筋衛星細胞増殖と分化を調節するmiR-1/206のモデルを示す。

発明を実施するための最良の形態

0009

本明細書において、特定のmiRNAが、筋細胞の分化及び/又は増殖に影響する、筋細胞における特定の遺伝子発現を調節可能であるという決定を開示する。この発見は、本明細書で開示するように、例えば機械的筋肉外傷、筋肉変性障害及び心臓発作など、様々な原因の筋肉障害の治療に適用できる。本明細書に開示した発見は、更に、遺伝子に特異性を有するmiRNAを用いた筋細胞中の1又は2以上の特異的遺伝子の発現調節に適用できて、また言い換えると、例えば、筋細胞の分化及び/又は増殖のような筋細胞の機能性の調節に適用できる。本出願で用いられる非限定的miRNAの例としては、miRNA-1、miRNA-133、miRNA-206、 miRNA-208が挙げられる。

0010

例えば、同一染色体座位密集するmiRNA-1(miR-1)及びmiRNA-133(miR-133)は発生過程で組織特異的に相伴って転写される。MiR-1及びmiR-133は、インビトロ培養筋細胞及びインビボXenopus胚における骨格筋増殖及び分化を調節する上で別個の役割を果たす。miR-1は、筋肉遺伝子発現の転写抑制因子である、ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)を標的とすることにより、筋形成を促進する。対照的に、miR-133は、血清応答因子(SRF)を抑制することにより、筋細胞増殖を促進する。これらの結果は、同一miRNAポリシストロン由来の共通に転写される2個の成熟miRNAが、別個の生物的機能を果たすことができることを初めて明らかにした。従って、本開示は、miRNAが筋肉遺伝子発現及び胚発生を制御する転写回路に加わる分子機構を提供する。

0011

他の非限定的例として、Thrap1発現は同様にmiR-208により調節されている。Thrap1の3'UTRは、2個の推定miR-208結合部位を含む(図18)。2個の標的は、Thrap1終止コドンの〜80bp下流に位置し、互いに僅か〜50bpしか離れていない。両標的は、miR-208のシード領域と完全に相補的である。このThrap1遺伝子は、ユビキタスに発現しているTRAP(甲状腺ホルモン受容体タンパク質)複合体の240kdサブユニットである、TRAP240をコード化している。TRAPは、核受容体に対する活性化補助因子である、複数サブユニットタンパク質複合体であり、またTRAPファミリーメンバーは正常な発生に対して重要である。従って、miR-208は、TRAP240の合成を調節することができ、またホルモン依存性心筋分化を促進する。

0012

1.一般的考察
C. elegans幼虫発生の適時性を制御することで、最初に記載されたmiRNAである、lin-4遺伝子は、lin-14mRNAレベルに顕著な効果を持たず、予想外に、lin-14タンパク質発現を抑制する21ヌクレオチド長の非コード性RNAを産生することが発見された。この小RNAがlin-14の3'非飜訳領域(UTR)内の相補的部位を標的にすることが見出された49,50。この現象は最初遺伝的奇異として処理され、実質的に無視されたが、今や、lin-4に類似した、miRNAと呼ばれる、何百もの小RNAが様々な種の遺伝子に存在して、相補的mRNAの飜訳を調節していると評価されている。最近の報告では、少数のmiRNAが顕著に様々な生物過程で役割を果たすと示唆されているが、大部分は特徴付けされていない。

0013

1.A.miRNA生合成及び機構
miRNA生合成に対する一般的モデルは、図13に示されている。成熟miRNAは〜22ヌクレオチド(nt)長を持ち、より長い転写物から処理される51,52。プライマリーmiRNA(pri-miRNA)は、独立な転写単位として、RNA POl IIにより転写可能であり、ホスト遺伝子のスプライスアウトイントロン由来であることができる53。このmiRNA処理経路は、ステムループ構造を持つ54〜70nt長の中間前駆体−miRNA(pre-miRNA)を作る、RNAseIIIエンドヌクレアーゼDroshaによるpri-miRNA切断に始まる。Exportin-5はDrosha切断により残されたスタガードカットを認識し、pre-miRNAを細胞質にRan-GTP依存的に送り出す54〜60。細胞質に入ると、pre-miRNAの両鎖は、もう一つのRNAseIII酵素である、Dicerにより、ステムループの元から約2ヘリカルターン離れた箇所で切断される61〜63。結果得られる〜22量体RNA2重鎖はDicerにより放出され、単鎖のステムアームが、RISC(RNA−誘導サイレンシング複合体)に取り込まれることができる。RISCは、miRNA及びmRNA標的と共に、Argonauteタンパク質ファミリー及びアクセサリー因子メンバーを含む、リボヌクレオタンパク質複合体である。ステムアーム2本鎖の相対的熱安定性が、どちらの鎖がRISCに取り込まれるかを決めると考えられている:RISCに入る鎖は、しばしば5'末端がより不安定な鎖である64,65。飜訳阻害は、未知の機構により標的mRNAの3'UTR内の標的配列(複数)に対して相補的なmiRNAにより行われる66、67。一般的に、不完全相補性は、飜訳抑制をもたらすが、完全又は、準完全相補性は、mRNA切断をもたらす68。miRNA生合成の多くの側面、トラフィッキング、RISC集合及びRISC機能の機構については不明の点が多いが、特定のmiRNAの機能研究及びmiRNA経路構成成分の遺伝的及び生化学的解析により、miRNAが様々な生物過程において重要であることが示された。

0014

I.B.発生におけるmiRNA
多細胞有機体の発生には、遺伝的経路の空間的及び時間的調節が必要である。miRNAは、標的遺伝子の転写後調節により、これらの複雑な遺伝的経路を制御又は微調節すると考えられている。動物発生におけるmiRNAの必要性を決定する一つの研究法は、miRNAを処理して成熟した活性型にするために必要な上流酵素である、Dicerの変異体作成であった。脊椎動物は、全ての脊椎動物miRNAを完全に処理するために必要である、Dicerを1コピーのみ有すると信じられている62,63,69。マウスにおいて、Dicer機能を欠損させると、7.5日胚(E)で致死的結果となる69。Dicer欠損マウスは、原始条痕マーカーT(brachury)を発現せず、原腸形成の間に体が構成される前に、発生が停止することを示す。特に、マウス肢中胚葉期にDicer機能が条件的に失われると、肢サイズが減少しまたプログラムされた細胞死が増加する70。母方の接合体のDicer変異体を作ることにより、ゼブラフィシュのmiRNA形成が完全にブロックされることは、miRNAの欠損は、胚の軸形成又は多くのタイプの細胞のパターン化には影響しないことを示す。しかしながら、原腸形成、脳形成、体節発生及び心臓発生における形態形成全ては、異常であることが証明され、また致死をもたらした71。まとめると、Dicer機能の遺伝解析は、成熟miRNAは正常な発生のために必要であることを示唆する。全てのmiRNA機能の除去は参考になるが、これらはまた、なまくら道具であり、特定のmiRNAの正確な機能への洞察を提供するものではない。

0015

I.C.特定のmiRNAの生物的役割
miRNAが多くの生物過程に関与することを示唆する事実は、益々増加している。脾臓島細胞において、miR375の過剰発現は、グルコース誘導のインシュリン分泌を抑制するが、内因性miR-375の阻害はインシュリン分泌を促進する72。同様の過剰発現及び阻害戦術により、ERK5タンパク質発現の調節から、脂肪細胞分化におけるmiR-143の役割が同定された73。他の実施例において、5個のmiRNAをコードしている多シストロンのmiRNA遺伝子は、腫瘍発生と関係する74。miRNAの他の機能が、血液新生75、神経細胞分化76,77及びHox遺伝子発現の調節78,79において提言されている。
現在、300を超える既知のヒトmiRNAがあるが、約100個のみが生物機能について何らかの意味で割り当てられている。発生と病理学におけるmiRNAを介した調節の普及性及び重要性を理解するためには、特定のmiRNAの研究が必要である。本出願は、筋肉分化と増殖の調節におけるmiRNAの役割について初めて提供する。

0016

I.D.心臓発生におけるmiRNA
心臓発生は、異なる遺伝的プログラムの詳細な調節を必要とする、従って、心臓に多量存在する、区別を付けて発現するmiRNAが、この複雑な経路を調節するに役立つと推量することは興味深い。この様な、組織特異的な発現パターンは、いくつかのmiRNAについて本出願に開示する。miR-1及びmiR-133は骨格筋及び心臓筋組織の両者に発現するが、miR-208は心筋組織のみに検知される。本明細書開示以前には、これら筋特異的miRNAの機能は明かではなかった。

0017

I.E.miRNA標的の同定
特定のmiRNAの標的を同定することは、調節経路におけるこれらmiRNAの役割の理解を容易にする。大部分の動物miRNAはこれらの標的部位に対して不完全に相補的であり、このことは動物miRNA標的部位を同定する上で単純なホモロジー探索を用いることを妨げる。この障害を克服するために、いくつかの計算方法が開発され、これらは新しい動物miRNA標的を予想するための基準として、既知のmiRNA標的の保存配列及び特徴を取り込んだ80〜85。例えば、大部分のmiRNAは、"シード"領域と呼ばれる、有効な標的部位内の第2及び第8ヌクレオチドの間に高い相補性を示すことが、いくつかのアルゴリズムでは考慮されている。いくつかの場合、miRNAの3'末端の相補性が、弱い5'末端結合埋め合わせるので、他のアルゴリズムでは考慮されていない。これらのアルゴリズムではまた、隣接する領域に対し、2又は2以上の種を越えた標的保存配列による予想を評価する。この種の計算方法により、いくつかの哺乳動物miRNA標的部位が成功裏に予想できた。どの様な特定のmiRNAに対して為される予想も、常に間違いなくファスポティブを作り出す。しかしながら、この様な予想は仮説ジェネレーター生成系)として極めて重要である。どの様な予想でも、実験的に証明できて、また関連した生物学的状況に置くことができる。

0018

I.F.重要性
現在、miRNA指向性抑制の背後の詳細な分子機構を理解するために、またmiRNA発現を解析し標的部位を同定するためのより良いツールを開発するために、また調節経路内の特定のmiRNAに対する生物学的に適切な役割を定めるために、miRNA研究におけるいくつかの活溌な領域が在る。
心臓発生及び病理学は複雑な遺伝的経路の調節と密接に関係しており、これらの経路を理解するために多くの試みが為されてきた。大部分の研究は、転写因子の役割及び心臓遺伝子転写に要求される調節エンハンサー配列焦点が向けられてきた。心臓遺伝子発現の調節は、極めて複雑であることが分かり、個々の心臓遺伝子は、心臓における非常に制限された発現パターンを指令する、多種の独立したエンハンサーにより調節される。転写後レベルでの他の調節レイヤーが加わることで、潜在的に、miRNAのこの複雑さはさらに劇的に増加した。本出願は、一つには、心筋及び骨格筋遺伝子発現が如何に調節されているかについての新しい理解を提供し、治療及び、研究にこれらの発見の応用を開示する。更に、本明細書で開示した筋分化と増殖のmiRNA調節に関連する発見により、同様に他の経路におけるmiRNAの機能を理解するためのモデルとして役立つ。

0019

II.定義
便宜上、明細書、実施例及び添付した請求の範囲に用いられる幾つかの用語を此処に集めた。以下の用語は当業者に良く理解されていると信ずるが、以下の定義を、本出願の説明に供するために示す。
異なって定義しなければ、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本出願が属するこの分野の当業者には一般的に理解されている意味と同一である。本明細書に記載した方法、デバイス、材料と等価なこれら全てを、本出願の実行又は試験に用いることができるが、代表的な方法、デバイス及び材料についてこれから説明する。
長年にわたる特許法協定に従い、原文の"不定詞−ある(a、an)""定冠詞−その(the)"は、請求の範囲を含め本出願で用いられる場合、"1又は2以上"を意味する。従って、本明細書で"ある(a,an,)"その( the)"、に言及した場合、1又は2以上(少なくとも1の)の本書の文法目的物を示す。実施例のために、"ある成分"は1成分又は1以上の成分を表わす。
本明細書で用いるように、値又は質量、重量、時間、容積、濃度、パーセンテージに関する場合、用語"約"は、本出願を実行する上で以下の変動が適切であるように、特定の値から、幾つかの実施態様では、±20%又は±10%、いくつかの実施態様では±5%、いくつかの実施態様では±1%、いくつかの実施態様では、±0.5%、いくつかの実施態様では±0.1%の変動を含む。もし別に指定しない場合、本明細書及び請求の範囲で用いる構成要素、反応条件、等々の量を表現する全ての数は、全ての実施例において、用語"約"により、修正されていると理解すべきである。従って、これに反すると指示しない限り、本明細書及び添付した請求の範囲に示された数字上のパラメーターは、本出願で得られる所望の特性に依存して変化する様に、近似的である。

0020

本明細書で用いるように、用語"アミノ酸"及び"アミノ酸残基"は、互換性があり、20個の自然に存在するアミノ酸及び類似体誘導体及びこれらの同族体(即ち、様々な側鎖を持つアミノ酸類縁体、前記のいずれかの全ての立体異性体)の何れかを表わす。従って、用語"アミノ酸"は、自然又は合成を問わず、アミノ官能性及び酸官能性を持ち、自然に存在する高分子に含まれ得る、全ての分子を包含する。
アミノ酸はポリペプチドをペプチド結合の部分で化学消化加水分解)して作ることができる。本明細書に記載するアミノ酸残基は幾つかの実施態様では"L"異性体型である。しかしながら、希望機能特性がポリペプチドに保持される限り、L−アミノ酸残基を"D"異性体型の残基で置き換えることができる。NH2は、ポリペプチドのアミノ末端に存在する自由アミノ基を表わす。COOHは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する自由カルボキシ基を表わす。標準的ポリペプチド命名法守りながら、アミノ酸残基の略号を本明細書に示す表に示した。
本明細書に、化学式で示した全てのアミノ酸残基配列は、通常のアミノ末端からカルボキシ末端の方向について、左より右への方向で表わすことを注意する。更に、用語"アミノ酸"及び"アミノ酸残基"は、修飾型の及び異常なアミノ酸を含む様に広く定義されている。

0021

更に、アミン酸残基配列の初め又は終わりダッシュは、1又は2以上のアミノ酸残基の配列へのペプチド結合又はNH2の様なアミノ末端基又はアセチル基又はCOOHの様なカルボキシ末端基への共有結合を示すことを注意する。
本明細書に用いるように、用語"細胞"は、通常の生物的意味で用いられる。いくつかの実施態様では、細胞は、例えば、脊椎動物のような有機体に存在する。細胞は、真核生物(例えば、骨格筋又は心筋のような、筋細胞)又は原核生物(例えば、バクテリア)であり得る。細胞は、体細胞系又は生殖細胞系由来であり、全能性多能性又は何らかの程度分化した、分裂性又は非分裂性であり得る。また細胞は、誘導型又は生殖体又は胚、肝細胞又は完全に分化した細胞を含みうる。
本明細書で用いるように、用語"ホスト細胞"及び"組み換えホスト細胞"は、互換性があり、本出願の構成物(例えば、miRNAをコードする発現ベクターのような)の組成物が導入された細胞(例えば、筋細胞)を表わす。更に、この用語は、発現構築物が最初導入された特定の細胞ばかりでなく、この様な細胞の子孫又は潜在的子孫を表わす。突然変異又は環境からの影響により、継代中にある種の変化が生じる可能性があり、この様な子孫は、実際、親細胞とは同一でないかも知れないが、尚、本明細書で用いられる用語の範囲内に含まれる。

0022

本明細書で用いるように、用語"遺伝子"は、例えば、ポリペプチドをコードする構造遺伝子を含む、がそれに制限されない、核酸配列のような、RNAをコードする核酸を表わす。用語"遺伝子"は、また広く、生物機能と結びついた如何なるDNAの断片でも表わす。従って、用語"遺伝子"は、コードする配列;プロモーター領域;転写調節配列調節タンパク質に対する特異的認識配列である、非発現DNA断片;例えば本出願の見本であるmiRNAにより標的とされ、結合されるmRNAの3'非飜訳領域に転写されるDNA断片のような、遺伝子発現に寄与する部分である非発現DNA断片;希望するパラメーターを持つようデザインされたDNA断片;又はこれらの組合せを含むがこれらに制限されない配列を含む。ある遺伝子は様々な方法で得ることができて、生物試料からのクローニング、既知の又は予想される配列情報による合成及び1又は2以上の存在する配列由来の組み換えが含まれる。

0023

当業者は理解するように、遺伝子は概して、コード鎖及び非コード鎖を含む。本明細書で用いるように、用語"コード鎖"及び"センス鎖"は互換性があり、遺伝子産物に飜訳されるmRNAと同じヌクレオチド配列を持つ核酸配列を表わす。やはり、当業者が理解するように、コード鎖及び/又はセンス鎖がDNA分子を表わすために用いられる場合、このコード/センス鎖は、対応するmRNAに存在するウリジン残基の変わりにチミジン残基を含む。さらに、コード/センス鎖をDNA分子を表わすために用いる場合、コード/センス鎖は、プロモーター、エンハンサー、イントロンを含むがこれに制限されない、mRNAに含まれてない付加的因子を含むことができる。同様に、用語"鋳型鎖"及び"アンチセンス鎖"は、互換性があり、コード/センス鎖に相補的な核酸配列を表わす。しかしながら、例えばmiRNA遺伝子のようにポリペプチド産物をコードしてない遺伝子に対して、用語"コード鎖"が、miRNAを含む鎖を表わすために用いられる。この使用法において、miRNAを含む鎖は、miRNA前駆体に関してはセンス鎖であり、他方、標的RNAに関してはアンチセンス鎖である(即ち、標的RNAに対してアンチセンスである配列をmiRNAは含むので、miRNAは標的RNAとハイブリダイズする。)

0024

本明細書で用いるように、用語"相補性"及び"相補的な"は伝統的なWatson-Crick型又は他の非伝統的タイプの相互作用により、他の核酸と1又は2以上の水素結合を形成することができる核酸を表わす。本出願の核酸分子に関連して、核酸分子が相補的配列と結合する自由エネルギーは、いくつかの実施態様において、核酸の関係機能リボヌクレアーゼ活性を進行可能にするに充分である。例えば、あるmiRNA前駆体のセンス及びアンチセンス鎖の間の相補性の程度は、miRNA前駆体のmiRNAを含む鎖と標的核酸配列の間の相補性の程度と同じ又は異なる可能性がある。核酸分子に対する結合自由エネルギーの測定は当分野ではよく知られている。Freier他、198631; Turner他、198732を参照のこと。
本明細書で用いるように、用語"パーセント相補性"、"パーセント同一性"及び"パーセント同一"は、本明細書では互換性があり、第2の核酸配列と水素結合(例えば、Watson-Crick塩基対)を形成する、ある核酸分子における連続残基の割合を表わす(例えば、10塩基対の中5,6,7,8,9,10塩基対は、50%,60%,70%,80%,90%及び100%相補性である)。用語"100%相補性"、"全面的相補性"及び"完全相補性"は、核酸配列の連続残基の全てが、第2の核酸配列の同数の連続残基と水素結合をすることができることを示す。miRNAは約17〜24ntであり、また5ミスマッチ(即ち、1,2,3,4又は5ミスマッチ)は、遺伝子発現のmiRNAを指向する調節の間、一般的に許容されるので、あるmiRNA及び標的となるRNAの間の少なくとも約70%パーセント相補性は、miRNAが、標的RNAを導く遺伝子の発現を調節するために十分である。

0025

用語"遺伝子発現"は、一般的に、生物的に活性なポリペプチドがDNA配列より作られ細胞内で生物活性を示す生物過程を表わす。従って、遺伝子発現は、転写及び飜訳過程を伴うが、遺伝子又は遺伝子産物の生物活性に影響する転写後及び翻訳後の過程を伴う。これらの過程は、RNA合成RNAプロセシング、RNA輸送及びポリペプチド合成、ポリペプチド輸送及びポリペプチドの翻訳後修飾を含むが、これらに制限されない。さらに、細胞内のタンパク質—タンパク質相互作用に影響する過程が、本明細書に定義した遺伝子発現に影響を与える可能性がある。
しかしながら、例えば、miRNA遺伝子のように、タンパク質産物をコードしてない遺伝子の場合、用語"遺伝子発現"は、前駆体miRNAが遺伝子から作られる過程を表わす。タンパク質をコードする遺伝子に対するRNAポリメラーゼIIにより行われる転写とは異なり、miRNA遺伝子の転写産物はタンパク質を作るために飜訳されないが、一般的に、この過程は転写と呼ばれる。それでもなお、miRNA遺伝子から成熟したmiRNAの合成は、本明細書で用いるように用語"遺伝子発現"に含まれる。

0026

本明細書で用いるように、用語"単離した"は、他の核酸、タンパク質、脂質、炭化水素及び/又は、細胞物質又は合成媒体と通常結合している、他の物質から実質的に遊離した分子を表わす。従って、用語"単離した核酸"は、自然又は合成由来又はその組合せのリボ核酸分子又はデオキシリボ核酸分子(例えば、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、miRNAその他)を表し、この核酸分子は(1)"単離した核酸"が自然で見られる細胞と結合していない又は(2)自然で連結してないポリヌクレオチド作動可能に連結している。同様に、用語"単離したポリペプチド"は、幾つかの実施態様では、組み換えDNA又はRNAから合成された又は合成由来の又はこれらの何らかの組合せによる、ポリペプチドを表し、このポリペプチドは、(1)自然で通常見出されるタンパク質と結合してない、(2)本来そこに存在する細胞から単離された、(3)同じ細胞由来の他のタンパク質から遊離している、(4)異なる種の細胞により発現される又は(5)自然に存在しない物である。
用語"単離した"は、"単離した細胞"という文脈で用いる場合、例えば、器官、組織又は有機体の一部として、自然の環境から取り除かれた細胞を表わす。

0027

本明細書で用いるように、用語"標識"及び"標識された"はプローブ分子分光学的に、放射線学的に及び他の方法で検出可能な分子部分を結合させることを表わす。従って、用語"標識"又は"標識した"は、ポリペプチドのような分子に検出可能なマーカーを任意に共有結合的に又は非共有結合的に取り込む又は結合することを表わす。ポリペプチドを標識する様々な方法は、当技術分野で既知であり、使用できる。ポリペプチドの標識の実施例としては、以下の標識があるが、これらに制限されない:放射性同位元素蛍光標識重原子酵素標識又はレポーター遺伝子、化学発光基ビオチニル基、第2のレポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、抗体の結合位置、金属結合領域、エピトープタグ)。いくつかの実施態様において、標識には様々な長さのスペーサーアームを結合して、潜在的な立体障害を減少させる。

0028

本明細書で用いるように、用語"調節する"は、生化学的実体の、どんな又は全ての科学的及び生物的活性又は特性を増加、減少又は他の如何なる変化も表わすことが可能である。例えば、用語"調節する"は、発現、レベル又は活性が、調節因子がない場合に観測される値より大きい又は小さいと言うように、遺伝子の発現レベル又は1又は2以上のタンパク質又はタンパク質サブユニットをコードしているRNA分子又は等価なRNA分子のレベルを変化させること;又は上方制御又は下方制御された1又は2以上のタンパク質又はタンパク質サブユニットの活性を表視、その結果発現、レベル又は活性は、調節因子なしで観測される結果より大きい又は小さい。例えば、用語"調節する"は、"阻害する"又は"抑制する"ということを意味するが、語"調節する"はこの定義に制限されない。

0029

本明細書で用いる、用語"調節"は、ある応答の上方制御(即ち、活性化又は刺激)及び下方制御(即ち、阻害又は抑制)を表わす。従って、用語"調節"は、機能特性又は生物活性又はプロセス(例えば、酵素活性又は受容体結合)と関連して用いる場合、上方制御(例えば、活性化、刺激化)、下方制御(例えば、阻害又は抑制)の能力を表わす又はそうでなければ、この様な特性、活性又はプロセスの性質を変化させる。ある実施例では、この様な調節は、シグナル伝達経路の活性化の様な、連続した特定のでき事であり得る及び/又は特定の細胞型だけに表れうる。

0030

用語"調節因子"は、調節を行うことができる、ポリペプチド、核酸、高分子、複合体、分子、小分子、化合物、種又はその他(自然に又は非自然に存在)又は、バクテリア、植物、菌類又は動物細胞又は動物組織からの単離物を表わす。アッセイ系に加えることにより、調節因子は、機能的特性、生物活性又は生物過程又はこれらの組合せ(例えば、作用薬、部分的拮抗剤、部分的作用薬、反作用薬、拮抗剤、抗生物質細菌感染又は細菌増殖の阻害剤、等々)の阻害剤又は活性剤間接的又は直接的)として可能な活性に対して評価される。このようなアッセイにおいて、多くの調節因子が一度で探索できる。調節因子の活性は、既知、未知又は部分的既知である。
調節因子は、選択的又は非選択的である。本明細書で用いるように、用語"選択的"は、調節因子の文脈(例えば、阻害剤)で用いられる場合、測定しうる又はさもなければ、調節因子が、生物的に対応して、他の類似であるが同一ではない分子(例えば、興味の対象としての標的RNAと同じ遺伝子ファミリーメンバー由来のRNA)と比べて、一つの分子(例えば、興味の対象としての標的RNA)と相互作用の様式が異なることを表わす。

0031

選択的調節因子と考える調節因子に対して、標的との相互作用の性質は、標的に関連した他の分子(例えば、標的自体以外のファミリーメンバーからの転写物)との相互作用を完全に排除するものではないと理解すべきである。言い方を変えると、用語、選択的調節因子は、興味ある遺伝子からのmRNA転写物にのみ結合して、関連するファミリメンバーからの転写物には結合しない分子に制限されることを意図してない。この用語は、興味のある遺伝子からの及び関連するファミリーメンバーからの、転写物と相互作用することができる調節因子を含むことを意図するが、しかしながらこれに関しては、ファミリーメンバーと比較して標的との相互作用を変えて、生物的に該当する結果をもたらすような条件をデザインすることは可能である。この様な条件としては、調節因子とファミリメンバーの間で配列が同一でない場合及び、いくつかの調節因子を発現するが全てのファミリーメンバーを発現しない、特定の組織又は細胞型において調節因子を使用する場合を含むが、これに限定されない。後者の条件下で、もしある調節因子が標的と相互作用し、生物的に対応する効果をもたらすならば、ある調節因子は所定の組織における所定の標的に対して選択的であるかも知れないが、この場合、他の組織においては、さらなるファミリーメンバーが発現して、この調節因子が標的と相互作用しても、他のファミリーメンバーが存在するために、この調節因子が組織から"抜き取"られてしまい、生物効果を全くもたらさないこともあり得る。

0032

選択的調節因子と同定されると、調節因子は、他の分子(例えば、興味ある遺伝子と関連する遺伝子のmRNA転写物)と結合する様式とは異なる様式で(例えば、より強く)、一分子(例えば、興味ある遺伝子のあるmRNA転写物)と結合する。本明細書で用いるように、この調節因子は、この調節因子が結合する他のいくつかの可能な分子と比較してより強く結合する分子に対して"選択的結合"又は"優先的結合"を示すという。
本明細書で用いるように、用語"阻害"、"抑制"、"下方制御"及びこれらの文法的言い換えは互換性があり、遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)、遺伝子発現、ポリヌクレオチドの活性(例えば、miRNA)又は1又は2以上の遺伝子産物をコードするRNAのレベルが、本出願を実行しない場合観察されるレベル以下に減少する。

0033

いくつかの実施態様において、miRNA分子による阻害は、標的RNAの定常状態の発現レベルの減少に帰結する。いくつかの実施態様において、miRNA分子による阻害は、標的の発現レベルを下方制御できない不活性な又は弱力化した分子存在下で観測されるレベル以下の標的遺伝子の発現をもたらす。いくつかの実施態様において、本出願のmiRNA分子による遺伝子発現の阻害は、miRNA分子存在下での方が非存在下の場合よりも大きい。いくつかの実施態様において、遺伝発現の阻害は、遺伝子によりコードされたmRNAの分解速度の促進と結びついている(例えば、miRNAを介する遺伝子発現の阻害)。いくつかの実施態様において、本出願のmiRNAによる阻害は、標的遺伝子からの遺伝子産物の、miRNA非存在下で観測されるレベル以下の、発現レベルをもたらす。

0034

いくつかの実施態様において、例えば内在性miRNAの様な、miRNAはmiRNA阻害剤により阻害される可能性があり、miRNAが阻害されてない場合の遺伝子発現レベル(例えば、遺伝子産物の産生)と比較して、miRNAによる標的となった遺伝子発現レベルの増加をもたらす。本明細書で用いるように、用語"miRNA阻害剤"及び"miRNAの阻害"は互換性があり、miRNAの活性を阻害する分子を表わす。

0035

いくつかの実施態様において、miRNA阻害剤は、特定の条件下で、特定の標的miRNAとハイブリダイズするポリヌクレオチドであり、これにより標的miRNAの活性を阻害する。miRNA阻害剤が標的miRNAとハイブリダイズする条件としては、例えば、生理学状態がある。標的miRNAポリヌクレオチドに対するmiRNA阻害剤ポリヌクレオチド配列の相補性に基づき、miRNA阻害剤は標的miRNAとより多く又はより少ない度合いでハイブリダイズする。いくつかの実施態様において、miRNAは、標的miRNAの全て又は部分と完全に相補的である又は不完全に相補的であり、例えば、標的miRNAに対して99%、98%、97%、96%、95%、90%、80%又は70%相補性が挙げられ、当業者により一般的に理解されているように、これらは特定の応用によるものであり、また特異性の必要性による。miRNA阻害剤は、特定の条件セットの下で、標的miRNA活性の要求量を阻害するために必要なことは、標的miRNAと相補性を共有しさえすればよい。本出願に用いられるmiRNA阻害剤の実施例としては、2'-O-メチルポリヌクレオチドのような修飾ポリヌクレオチドが含まれるが、これに制限されない。代表的、非限定の実施例は、表2及び表3に示し、2'-O-メチル-miR-1,2'-O-メチル−miR-133及び2'-O-メチル−miR-208が挙げられ、これらは有意に、それぞれ、miR-1,miR-133又はmiR-208の活性を特異的に阻害できる。

0036

本明細書で用いるように、用語"突然変異"は伝統的な内包的意味を保ち、核酸又はポリペプチド配列における、遺伝による、自然発生による又は導入された変化を表し、当業者に一般的に既知の意味で用いられる。
本明細書でも用いるように、用語"筋細胞"は、広く、全ての発生段階にある全ての種類の筋肉細胞を表わす。従って、"筋細胞"は、例えば筋芽細胞のような、未分化の筋肉細胞及び例えば、最終分化した管状筋細胞のような分化した筋肉細胞の両者を含む。"筋細胞"はまた、線状筋肉細胞(例えば、骨格筋細胞)、平滑筋細胞(例えば、小腸筋肉細胞)及び心臓筋肉細胞を含むが、これらに制限されない、様々な組織型の筋肉細胞を含む。さらに、本明細書で用いる"筋細胞"は、種特異的ではない。
目的物に対して使われる、用語"自然に生ずる"は、ある目的物が自然に見出されることを表わす。例えば、自然源から単離ができて、実験室でヒトにより意図的に改変されて無い、有機体(微生物を含め)に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、自然に生ずる。しかしながら、本明細書で用いる用語によると、人の手による全ての操作は、"自然に生ずる"対象物を"単離した"対象物にすることができる。

0037

本明細書で用いるように、用語"核酸"、"ポリヌクレオチド"及び"核酸分子"は、デオキシリボ核酸(DNA),リボ核酸(RNA),オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により作られた断片及び結合、切断、エンドヌクレアーゼ作用及びエキソヌクレアーゼ作用のいずれかにより作られた断片のいずれかを表わす。核酸は、(デオキシヌクレオチド及びリボヌクレオチドのような)自然に存在するヌクレオチド又は自然に存在するヌクレオチドの類似体(例えば、自然に存在するヌクレオチドのα−エナンチオマ型)又は両者の組合せである、モノマーを含むことができる。修飾されたヌクレオチドには、糖部分及び/又はピリミジン又はプリン塩基部分の修飾があることができる。糖修飾としては、例えば、1又は2以上の水酸基ハロゲンアルキル基アミン及びアジド基による置き換えが挙げられる又は糖はエーテル又はエステルとして官能化できる。さらに、糖部分全体は、アザ糖及び炭素環式糖類似体のような、立体的に及び電子的に同様な構造により置き換えることができる。塩基部分の修飾の実施例としては、アルキル化プリン及びピリミジン、アシル化プリン及びピリミジン又は既知の複素置換体が挙げられる。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合又は類似の結合により連結できる。ホスホジエステル結合の類似体としては、ホスホロチオリン酸、ホスホロジチオリン酸、ホスホロセレノアート、ホスホロジセレノアート、ホスホロアニロチオアート、ホスホロアニリダート、ホスホラミダート等々が挙げられる。用語"核酸"はまた、いわゆる"ペプチド核酸"も含み、これは、ポリアミン骨格に結合した自然又は修飾核酸塩基を含む。核酸は、1本鎖又は2本鎖である。

0038

用語"作動可能に連結"は、2個の核酸領域の関係を記載する場合、これらの領域が意図したやり方で機能することを許容するような並列を表わす。例えば、コードする配列に"作動可能に連結"したコントロール配列は結合した結果、適切な分子(例えば、インデューサー及びポリメラーゼ)がコントロール又は調節配列に結合した時、コート配列は、コントロール配列と両立する条件の下に行われる様に発現する。従って、いくつかの実施態様において、用語"作動可能に連結"は、コード配列の転写がプロモーターによりコントロール及び調節されるやりかたで、コード配列に結合したプロモーターを表わす。コード配列にプロモーターを作動可能に連結する技術は、当技術分野で既知である;興味あるコード配列に対する詳細な方向及び位置は、とりわけ、プロモーターの特定の性質に依存する。

0039

従って、用語"作動可能に連結"は、ヌクレオチド配列の転写がそのプロモーター領域によりコントロール及び調節されるように、ヌクレオチド配列に結合したプロモーター領域を示す。同様に、ヌクレオチド配列は、作動可能に連結したプロモーターの"転写コントロール"の下にあると言われる。ヌクレオチド配列へのプロモーター領域の作動可能な連結の技術は当技術分野で既知である。
用語"作動可能に連結"はまた、ヌクレオチド配列の転写の終結が、転写終結配列によりコントロールされるように、ヌクレオチド配列と連結した転写終結配列を表わすことができる。いくつかの実施態様において、転写終結配列は、RNAポリメラーゼIIIによる転写を、終結配列TTTTTTTの第3番目又は4番目Tで終結させる配列を含む。従って、合成初期の小転写物は、3'末端に3又は4Uを有する。

0040

2個の核酸又はタンパク質配列において、用語"パーセント同一性"及び"パーセント同等"は、比較し、以下の配列比較アルゴリズムの一つ又は目視を用いて測定し、最大の一致があるようにアラインした時、いくつかの実施態様では、少なくとも60%の、またいくつかの実施態様では、少なくとも70%の、またいくつかの実施態様では、少なくとも80%の、またいくつかの実施態様では、少なくとも85%の、またいくつかの実施態様では、少なくとも90%の、またいくつかの実施態様では、少なくとも95%の、またいくつかの実施態様では、少なくとも96%の、またいくつかの実施態様では、少なくとも98%の、またいくつかの実施態様では、少なくとも99%のヌクレオチド又はアミノ酸残基同一性を有する、2又は3以上の配列又は部分配列を表わす。パーセント同一性は、いくつかの実施態様では少なくとも10残基長の配列領域にわたって存在し、またいくつかの実施態様では少なくとも20残基長の配列領域にわたって存在し、またいくつかの実施態様では少なくとも50残基長の配列領域にわたって存在し、またいくつかの実施態様では少なくとも100残基長の配列領域を越えて存在し、またいくつかの実施態様では少なくとも150残基長の配列領域にわたって存在する。いくつかの実施態様において、パーセント同一性は、コード領域又は全miRNAの様な、所与の領域の全長にわたって存在する。

0041

列比較のために、一般的には1配列を参照配列として用い、これに対してテスト配列を比較する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、テスト配列及び参照配列を計算機インプットし、必要なら配列座標をデザインし、また配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。その後、指定されたプログラムパラメーターに基づき、配列比較アルゴリズムにより、参照配列に対するテスト配列のパーセント配列同一性が計算される。
比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、Smith & Waterman、198133に記載されている局所相同性アルゴリズム;Needleman & Wunsch、197034に記載されている相同性アラインメントアルゴリズム;Pearson & Lipman、198835に記載されている類似性探索方法;これらのアルゴリズムの計算機化した実行(Accelrys、Inc.、San Diego、California、United States of America から入手可能なGCG(R)WISCONSIN PACKAGE(R),中のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)又は目視で行うことができる。一般的には、Ausubel 他、198936を参照のこと。

0042

パーセント配列同一性及び配列類似性の測定に適したアルゴリズムの1実施例は、BLASTアルゴリズムであり、これはAltschul 他.、199037に記載されている。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、the World Wide Web を経由してNational Center for Biotechnology Informationから公共的に入手可能である。このアルゴリズムには、最初、クエリー配列に、長さWのショートワード(short word)を特定することにより、高スコア配列対(high scoring sequence pairs、HSP)を同定する、この高スコア配列対はデータベース配列における同じ長さのワードとアラインした時、ある正値閾値スコア(positive-valued threshold score)Tと一致する又はTを満足させる。Tは近隣ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)37を表わす。これらの最初の近隣ワードヒットは、これらを含むもっと長いHSPを見出すための探索を始めるためのシードとして働く。その後、ワードヒットは累積するアライメントスコアが増加するに従い、各配列の両方向に伸長される。ヌクレオチド配列に対し、パラメーターM(一致する残基対に対する報酬スコア;常に>0)及びN(ミスマッチ残基に対するペナルティスコア;常に<0)を用いて、累積スコアが計算される。アミノ酸配列に対して、累積スコアを計算するために、スコアリングマトリックスを用いる。累積アラインメントスコアが到達最大値より量Xだけ低下した場合、各方向へのワードヒットの伸長は停止する又は1又は2以上の負のスコアリング残基アラインメントの蓄積により累積スコアはゼロ又はゼロ以下になり又はどちらかの配列の終わりとなる。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T及びXはアラインメントの感度及びスピードを決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に対する)は、ワード長(W)を11として、期待値(E)を10として、カットオフを100として、M=5,N=−4及び両鎖の比較を初期設定、として用いる。アミノ酸配列に対して、BLASTPプログラムを、ワード長(W)を3,期待値(E)を10及びBLOSUM62スコアリングマトリックスを初期設定として用いる38。

0043

パーセント配列同一性に加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2個の配列間の類似性の統計解析を行う。Karlin 及びAltschul 199339を参照のこと。BLASTアルゴリズムで提供される類似性の1測定は、最小和確率(smallest sum probability、P(N))であり、これは2個のヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然生ずる確率の表示を提供する。例えば、もし、参照核酸配列に対してテスト核酸配列の比較の最小和確率が、いくつかの実施態様で、約0.1以下,またいくつかの実施態様で、約0.01以下、またいくつかの実施態様で、約0.001以下であるならば、テスト核酸配列は参照配列と類似すると考える。

0044

2個のヌクレオチド配列の文脈において、用語"実質的に同一"は、以下の配列比較アルゴリズムの一つ又は目視により測定し、最大一致のために比較し、またアラインした時、いくつかの実施態様において、少なくとも70%、またいくつかの実施態様において、少なくとも75%、またいくつかの実施態様において、少なくとも80%、またいくつかの実施態様において、少なくとも85%、またまたいくつかの実施態様において、少なくとも90%、またいくつかの実施態様において、少なくとも95%、またいくつかの実施態様において、少なくとも97%、またいくつかの実施態様において、少なくとも99%ヌクレオチド同一性を持つ、2又は3以上の配列又は部分配列を表わす。一実施例において、少なくとも17残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも18残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも19残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも20残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも21残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも22残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも23残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも24残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも25残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも26残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも27残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも30残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも50残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも75残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも100残基のヌクレオチド配列において、いくつかの実施態様において、また少なくとも150残基のヌクレオチド配列において、また他の実施例において全長のコード配列を含むヌクレオチド配列において、実質的同一性がある。いくつかの実施態様において、多様性配列は実質的に同一な配列である。用語"多型性"は、集合において、2又は3以上の遺伝的に決定された代替えの配列又は対立遺伝子が生ずることを表わす。対立遺伝子の差異は、1塩基対ほど小さいことも可能である。しかしながら、当業者は、多型性配列は同じ遺伝子に対応すると認識している。

0045

2個のヌクレオチド配列が実質的に同一である他の兆候は、ストリンジェントな条件で、2個の分子が互いに特異的に又は実質的にハイブリダイズする事である。核酸ハイブリダイゼーションの文脈において、比較される2個の核酸配列を、"プローブ配列"及び"テスト配列"と表わすことができる。"プローブ配列"は参照核酸分子であり、また"テスト配列"は異種類の核酸分子の集合の中に見出される、テスト核酸分子である。
ハイブリダイザーション研究又は検定に使われるヌクレオチド配列の実施例としては、いくつかの実施態様において、本出願の核酸分子の少なくとも約14から40ヌクレオチド配列に相補的又は類似したプローブ配列が含まれる。一実施例として、プローブは、与えられた遺伝子の14から20ヌクレオチド又は、望む場合、より長く、30,40,50,60,100,200,300又は500ヌクレオチド又は全長に至る長さまで含まれる。この様な断片は、例えば、化学合成核酸増幅技術の適用、組み換え産物のための組み換えベクターに選択した配列を導入して、直接断片を合成するにより、直ちに調整することができる。

0046

用語"に対して標的とする"は、"に対して特異的にハイブリダイズする"を含み、これはストリンジェントな条件で、特定のヌクレオチド配列が、複雑な核酸混合物(例えば、全細胞DNA又はRNA)に存在する場合、特定のヌクレオチド配列に対してのみ分子が結合、2重鎖になる又はハイブリダイズすることを表わす。
非限定的例として、ハイブリダイゼーションは、少なくとも約1時間,2時間,5時間,12時間,24時間の間、5xSSC、4x SSC、3x SSC、2xSSC、1x SSC又は 0.2x SSC中で行うことができる(SSC緩衝液及び他のハイブリダイゼーション条件記述について、Sambrook 及びRussell、2001を参照)。ハイブリダイゼーションの温度を、反応のストリンジェンシーに合わせて増加することができて、例えば、約25℃(室温)から約45℃、50℃、55℃、60℃又は65℃までである。ハイブリダイゼーション反応は、ストリンジェンシーに影響を与える他の試薬を含むことができて;例えば、50%ホルムアミド存在下のハイブリダイゼーションは、ある温度におけるハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増加させる。

0047

ハイブリダイゼーション反応に続いて、単一ステップ又は2,又は3以上の洗浄ステップが行われ、洗浄ステップは、同一又は異なる塩度及び温度で行われる。例えば、洗浄温度は、ストリンジェンシーと合わせるために、約25℃(室温)から約45℃、50℃、55℃、60℃、65℃又はより高温まで上昇できる。洗浄ステップは、界面活性剤、例えば、SDS存在下で行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーションに続いて、2xSSC,0.1% SDS中で65℃、2回、各約20分の洗浄ステップ及び付加的に0.2x SSC,0.1% SDS中で65℃、2回、各約20分の洗浄ステップを行うことができる。

0048

以下は、本出願の参照ヌクレオチド配列と実質的に同一であり、相同なヌクレオチド配列をクローンするために用いる、ハイブリダイゼーション及び洗浄条件の実施例である:一つの実施例において、プローブヌクレオチド配列標的ヌクレオチド配列と、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS),0.5M NaPO4,1mmエチレンジアミンテトラ酢酸EDTA)中50℃でハイブリダイズして、2XSSC,0.1% SDS中50℃で洗浄する;いくつかの実施態様において、プローブ及びテスト配列を、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS),0.5M NaPO4,1mmエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)中50℃でハイブリダイズして、1X SSC,0.1% SDS中50℃で洗浄する;いくつかのプローブ及びテスト配列を7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS),0.5M NaPO4,1mmエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)中50℃でハイブリダイズして、0.5X SSC,0.1% SDS中50℃で洗浄する;いくつかの実施態様において、プローブ及びテスト配列を、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS),0.5M NaPO4,1mmエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)中50℃でハイブリダイズして、0.1X SSC,0.1% SDS中50℃で洗浄する;さらに他の実施例において、プローブ及びテスト配列を、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS),0.5M NaPO4,1mmエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)中50℃でハイブリダイズして、0.1X SSC,0.1% SDS中65℃で洗浄する。

0049

さらなるストリンジェントハイブリダイゼーション条件の例としては、50%ホルムアミド、10X Denhardt(0.2%フィコール、0.2%ポリビニルピロリドン、0.2%仔牛血清アルブミン)及び200mg/mlの、例えば切断したサケ精子DNAのような、変性担体DNA,から成る又はのみから成る溶液を用いて42℃における一晩のハイブリダイゼーションに続く、2回の2XSSC,0.1% SDS中65℃各約20分洗浄ステップ及び2回の0.2X SSC,0.1% SDS中65℃各約20分の洗浄ステップが挙げられる。
ハイブリダイゼーションには、(1)溶液中の2種の核酸のハイブリダイゼーション又は(2)溶液中の1種の核酸と、例えばフィルターのような、固体支持体に結合した核酸とのハイブリダイゼーションが挙げられる。1核酸が固体支持体上にある場合、ハイブリダイゼーションの前にプレハイブリダイゼーションが行われることができる。プレハイブリダイゼーションは、(相補的ポリヌクレオチド鎖なしに)ハイブリダイゼーションと同じ溶液及び同じ温度で少なくとも、約1時間、3時間又は10時間行うことができる。
従って、本開示の吟味に際して、ストリンジェンシー条件は、当業者には既知である又は不必要な実験なしに、当業者により決定できる36,40〜44。

0050

用語"に実質的にハイブリダイスする"はプローブ核酸分子及び標的核酸分子の間の相補的なハイブリダイゼーションを表し、また軽微なミスマッチを含む、望みのハイブリダイゼーションを得るために、ハイブリダイゼーション溶液のストリンジェンシーを減少させる。
用語"表現形質"は、細胞又は有機体の全体としての物理的、生化学的及び生理学的性質を表し、例えば、どれか一つの遺伝形質を持つこと又はどれかの遺伝形質グループをもつことである。従って、表現形質は、細胞又は有機体内で、遺伝子発現に由来し、また観測可能又は検定可能な遺伝形質を表わす。

0051

本明細書で、互換性を持って使われる、用語"ポリペプチド"、"タンパク質"及び"ペプチド"は20タンパク質アミノ酸又はアミノ酸類似体ポリマーを表し、大きさ又は機能を問わない。"タンパク質"はしばしば、比較的大きなポリペプチドを参照して用いられ、"ペプチド"は、小さなポリペプチドを参照して用いられるが、当該分野において、これらの用語は重なって居り、変わる。本明細書で用いる、用語"ポリペプチド"は、特別な注意書きがなければ、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質を表わす。本明細書で用いるように、用語"タンパク質"、"ポリペプチド"及び"ペプチド"は、遺伝子産物を表わす場合、互換性がある。用語"ポリペプチド"は、酵素を含め全てのタンパク質を包含する。従って、ポリペプチドの例としては、遺伝子産物、自然に存在するタンパク質、ホモログ(ある一つの共通祖先から進化した遺伝子)、オルソログ(共通祖先からの遺伝によって2つの生物に存在する遺伝子)、パラログ重複により、ある生物に2つ以上コピーが存在する遺伝子)、断片及び、他の同等物、変異物及びこれらの類似体が挙げられる。

0052

用語"ポリペプチド断片"又は"断片"は、参照ポリペプチドに対して用いられた場合、参照ポリペプチド自体と比較してアミノ酸残基が欠失したポリペプチドを表し、その場合、残余のアミノ酸配列は、参照ポリペプチドの対応する位置と通常同一である。この様な欠失は、参照ポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端又は両末端で生ずることができる。通常断片の長さは、少なくとも、5、6、8,又は10アミノ酸であり又は少なくとも14アミノ酸であり、少なくとも、20,30,40又は50アミノ酸であり又は少なくとも75アミノ酸であり又は少なくとも100,150,200,300,500残基長又はより多くのアミノ酸である。断片は、参照タンパク質の1又は2以上の生物活性を有することができる。さらに、断片は、特定の領域の部分断片を含むことができて、この部分断片はそれが由来する領域の機能を保持する。

0053

本明細書で用いるように、用語"プライマー"は、いくつかの実施態様において、2又は3以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドから成る配列、いくつかの実施態様では、3以上の、いくつかの実施態様では8以上の及びいくつかの実施態様では、少なくとも約20ヌクレオチド以上のエクソン又はイントロン領域ヌクレオチドを表わす。この様なオリゴヌクレオチドの長さは、いくつかの実施態様において、10から30塩基である。

0054

用語"精製した"は、圧倒的に多く存在する、目的化学種を表わす(例えば、モルベースで、組成物の中で他の化学種より多く存在する)。"精製した分画"は、目的化学種が存在する全ての化学種の中で少なくとも約50%(モルベースで)含まれる組成物である。溶液又は懸濁物中で化学種の純度を決定する上で、化学種が溶けている又は分散している、溶媒又はマトリクスは通常含まれず;代わりに、溶解した又は分散した化学種(興味の対象を含め)のみ考慮する。一般的に、精製した組成物は、組成物中に存在する全ての化学種の約80%以上含む又は存在する全ての化学種の85%、90%、95%、99%又はそれ以上含む1化学種であろう。組成物は本質的に単一化学種を含み、精製した目的化学種は、実質的に同一性(汚染化学物質従来型検出方法では、組成物中に検出できない)を持つことができる。ポリペプチドの純度は、当業者に既知の多くの方法で決定できて、例えば、アミノ末端アミノ酸配列解析ゲル電気泳動及び質量分析法がある。

0055

"参照配列"は、配列比較のためのベースとして用いる定義済みの配列である。参照配列は、例えば、全長のヌクレオチド又はアミノ酸配列の断片のような、より長い配列の部分集合であり得る又は完全配列を含む。2個のタンパク質は、(1)それぞれ2個の蛋白質間で類似した配列(即ち、完全長タンパク質配列の一部)を含み及び(2)2個の蛋白質間で相違する配列を含むので、2個(又は3個以上)のタンパク質の配列比較は、一般的に"比較窓"(上記本明細書で定義)上で2個のタンパク質の配列を比較することで行われ、局所領域の配列類似性を同定し、比較することができる。

0056

用語"調節配列"は、本明細書を通して用いられる総称的な用語であり、開始シグナル、エンハンサー、レギュレーター、プロモーター及び終結配列のようなポリヌクレオチド配列を表し、これらは作動的に連結しているコード又は非コード配列の発現に影響を及ぼすために必要又は望ましい。調節配列の例は、Goeddel、199045に記載されており、また、例えば、シミアンウィルスSV40),アデノウィルス又はサイトメガロウィルス最初期プロモーター、CMV最小プロモーター、lacシステム、trpシステム、TAC又はTRCシステム、発現がT7RNAポリメラーゼで行われるT7プロモーター、ラムダファージの主要オペレーター及びプロモーター領域、fdコートタンパク質コントロール領域、例えば、3−ホスホグリセラートキナーゼ又は他の解糖系酵素のプロモーター、例えば、Pho5の様な、酸ホスファターゼ野プロモーター、酵母a−接合因子のプロモーター、バキュオロウィルス系の多面体プロモーター及び原核及び真核細胞又はこれらのウィルスの遺伝子発現をコントロールすると知られている他の配列及びこれらの様々な組合せ、が挙げられる。このようなコントロール配列の性質及び使用はホスト有機体により異なる。原核生物におけるこのようなコントロール配列としては、プロモーター、リボソーマル結合部位及び転写終結配列が挙げられる。用語"調節配列"は、最小限、存在することで発現に影響を与えうる構成要素を含むことを意図し、さらに例えば、存在することでリーダー配列及び融合パートナー配列にとって有利となる構成要素を含むことができる。

0057

ある種の実施態様において、ポリヌクレオチド配列の転写は、発現が想定されている細胞型中のポリヌクレオチドの発現を制御する、プロモーター配列(又は他の調節配列)の制御下に在る。またポリヌクレオチドは、自然に存在する形のポリヌクレオチドの発現を調節する配列と同じ又は異なる調節配列の制御下にあることも可能であると理解すべきであろう。いくつかの実施態様において、プロモーター配列は、CMV最小プロモーター、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)及びα—ミオシン重鎖(MHC)プロモーターから成る群から選択される。例えば、骨格筋中での遺伝子発現を制御する、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーターは例えば、現在入手可能な遺伝子導入(トランスジェニック)技術を用いて骨格筋を含む組織中のmiR-1,miR-133,又はmiR-206のようなmiRNAを発現するために用いることができる。どのようなプロモーター(例えば、本明細書に提示された)に対しても、同定された全プロモーターを使う必要はなく、その機能的誘導体を使うことができることは、理解されている。本明細書で用いるように、用語"機能的誘導体"は、他の、作動的に結合した核酸分子の転写を制御するに充分な配列を含む核酸配列を表わす。従って、"機能的誘導体"は、本明細書で定義したように、最小プロモーターとして機能することができる。

0058

ポリヌクレオチド配列の転写終結は、通常作動的に結合した転写終結配列(例えば、RNAポリメラーゼIII終結配列)により調節される。ある例では、転写終結は、正しいmRNAポリアデニル化にも関係する。3'非転写制御DNA配列は、いくつかの実施態様では、約50から約1000、またいくつかの実施態様では、約100から約1000ヌクレオチド塩基対を含み、また転写及び飜訳終結配列を含む。いくつかの実施態様において、RNAポリメラーゼIII終結配列は、ヌクレオチド配列TTTTTTTを含む。

0059

用語"レポーター遺伝子"は、その存在又は活性を直ちに検出できるタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む核酸を表し、この様なタンパク質として、ルシフェラーゼ蛍光性タンパク質(例えば、緑色蛍光性タンパク質)、クロランフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β—ガラクトシダーゼ分泌性胎盤アルカリホスファターゼ、β—ラクタマーゼヒト成長ホルモン及び他の分泌性酵素レポーターがある、がこれらに制限されない。一般的に、レポーター遺伝子は、ホスト細胞では例えば、直接蛍光分析、放射性同位元素又は細胞の分光学的分析によって、また一般的にシグナル解析のために細胞を殺す必要がなしに、細胞分析により検出可能な、他の方法では産生できないポリペプチドをコード化する。ある場合には、レポーター遺伝子は、酵素をコード化し、この酵素は、ホスト細胞の蛍光特性に変化を与え、この変化が定性的、定量的又は半定量的機能又は転写活性化により検出できる。酵素の例としては、エステラーゼ、β−ラクタマーゼ、ホスファターゼ、パーオキシダーゼプロテアーゼ、(組織プラスミノーゲン活性化因子又はウロキナーゼ)及び、当業者に既知又は将来開発される適切な発色性の又は蛍光性基質により検出可能な、他の酵素が挙げられる。

0060

本明細書で用いるように、用語"配列決定"は、従来型の手動又は自動化実験技術を用いて、DNA,RNA又はタンパク質標的試料の核酸又はアミノ酸の規則正しい線状の配列を決定することを表わす。
本明細書で用いるように、用語"実質的に純粋"は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが、自然状態で結合している、配列又は分子及び分離の際に用いる分子を実質的に含まないことを表わす。用語"実質的に含まない"は、試料が自然状態では結合している材料及び化合物を、いくつかの実施態様において、試料が少なくとも50%、いくつかの実施態様において、試料が少なくとも70%、いくつかの実施態様において、試料が80%、いくつかの実施態様において、試料が90%含まないことを表わす。
本明細書で用いるように、用語"標的細胞"は、その細胞の中に核酸配列又はポリペプチドを導入すること又は非修飾細胞に、標準的として知られている状態に変化を与えることを望む細胞を表わす。標的細胞に導入される核酸配列は、様々な長さがある。さらに、核酸配列は、標的細胞中に、プラスミドの成分又は他のベクター又はの配列として導入することができる。

0061

本明細書で用いるように、用語"標的遺伝子"は、本出願の方法及び組成物を用いて、変化させる標的となる遺伝子を表わす。従って、標的遺伝子は、発現レベルが、mRNA又はポリペプチドレベルで、miRNAにより下方調節される、核酸配列を含む。同様に、用語"標的RNA"又は"標的mRNA"はmiRNAが結合して、標的遺伝子の発現を変化させようとする、標的遺伝子の転写物を表わす。標的遺伝子は、細胞由来の遺伝子、内因性遺伝子、トランスジーン(導入遺伝子)又は病原体遺伝子、例えばその感染後細胞内に存在するウィルス、のような外因性遺伝子である。標的遺伝子を含む細胞は、例えば、植物、動物、原生動物、ウィルス、バクテリア又は菌類のような如何なる有機体由来でも可能であり又は含有され得る。

0062

本明細書で用いるように、用語"転写"は、RNAポリメラーゼ及び遺伝子の相互作用を伴う細胞過程を表し、この遺伝子は、遺伝子のコード配列に存在する構造的情報の、RNAとしての、発現を調節する。この過程は、次のステップを伴うが、これらに制限されない:(a)転写開始;(b)転写伸長;(c)転写スプライシング;(d)転写物キャッピング;(e)転写終結;(f)転写物ポリアデニル化;(g)転写物の核外移動;(h)転写物校正;(i)及び転写物の安定化。

0063

本明細書で用いるように、用語"転写因子"は細胞質の又は核のタンパク質を表し、これらは遺伝子に結合し又は遺伝子のRNA転写物に結合し又は、入れ替わって遺伝子又はRNA転写物に結合する他のタンパク質に結合して、遺伝子の発現を調節する。この様な変化は、さらに、他の機構によりやり遂げることができる;"遺伝子に対する転写因子"の本質は、何らかの方法で、遺伝子の転写物のレベルを変化させる因子に関する。
用語"トランスフェクション"は、例えば、発現ベクターのような核酸の受容細胞への導入を表し、これは、ある場合、核酸を介した遺伝子移動を伴う。用語"形質転換"は、外来性核酸を細胞に取り込む結果として、細胞の遺伝子型が変わる過程を表わす。例えば、形質転換細胞は、本出願のmiRNAを発現することができる。

0064

本明細書で用いるように、"有意"又は"有意性"は、2個又は3個以上の存在物間に無作為ではない関係がある確率の統計学的解析に関する。関係が"有意"であるか又は"有意性"を持つか、持たないか決定するために、データの統計的操作を行い、"p−値"として表される確率を計算する。ユーザーが定義したカットオフ値以下のp−値は、有意であると考えられる。ある実施例において、0.05に等しいか、以下であるp−値、いくつかの実施態様において、0.01以下であり、いくつかの実施態様において、0.005以下であり、またいくつかの実施態様において、0.001以下であるp−値は、有意であることを示す。

0065

本明細書で用いるように、用語"標的RNA"は、変化の標的であるRNA分子(例えば、遺伝子産物をコードしているmRNA分子)を表わす。いくつかの実施態様において、標的RNAは標的遺伝子によりコードされている。同様に、用語"標的部位"は、標的部位に相補的なアンチセンス鎖内の配列を含むmiRNA構築物を介した切断の"標的となる"標的RNA内の配列を表わす。また同様に、用語"標的細胞"は、miRNAの導入を意図している、標的RNAを発現する細胞を表わす。標的細胞は、いくつかの実施態様において筋細胞である。

0066

miRNAは、あるRNA分子に対して充分なヌクレオチド同一性を有するならば、miRNA及び該RNA分子が相互作用するという条件下で、該RNA分子の発現を変化させると期待されている該RNA分子を"標的"とする。いくつかの実施態様において、相互作用は筋細胞の中で発生する。いくつかの実施態様で、相互作用は、生理的条件下で生ずる。本明細書で用いるように、用語"生理学的条件"は、筋細胞が対象の部分又は対象組織の部分又はインビトロで増殖するとにかかわらず、筋細胞中のインビボ条件を表わす。従って、本明細書に用いるように、用語"生理学的条件"は、筋細胞が対象の部分又はインビトロでの生育下に筋細胞が暴露される条件下での筋細胞中の条件を表わす。

0067

本明細書で用いるように、用語"検知し得るレベルの切断"は、標的RNAのランダム分解により生ずるRNAのバックグラウンド以上の切断産物の検知を可能にするに充分な、標的RNAの切断(及び切断したRNA産物の生成)の程度を表わす。標的RNAの少なくとも1〜5%由来のmiRNAを介した切断生成物の産生は、大部分の検知方法のバックグラウンド以上の検知に充分である。

0068

用語"マイクロRNA"及び"miRNA"は互換性があり、プリmiRNA,プレmiRNA又は機能的等価物から作られる約17〜24ヌクレオチドの核酸分子を表わす。外因的に供給されたmiRNAとsiRNAの文脈では、この差異は多かれ少なかれ人工的であるが、miRNAは短鎖干渉RNA(siRNA)と対比される。記憶すべき差異は、miRNAは必然的に本明細書で記載した、ヘアピン分子に対するヌクレアーゼ活性の産物であり、siRNAは、完全2重鎖RNA分子又はヘアピン分子から作られ得る。一般的に、mi-RNAに関するさらなる情報及び既知の発刊されたmiRNAのデータベース及びデータベースを採掘するための探索技術は、参照文献として取り込まれている、Wellcome Trust Sanger Institute miRBase::Sequence
に見出すことができる。また、参照文献として取り込まれている、The microRNA Registry, Griffiths-Jone S, NAR, 2004, 32, Database Issue, D109-D111を参照されたい。

0069

本明細書で用いるように、用語"RNA"は、少なくとも1リボヌクレオチド残基を含む分子を表わす。"リボヌクレオチド"は、β-D-リボフラノース分子の2'位置に水酸基を持つヌクレオチドを意味する。この用語は、2重鎖RNA,単鎖RNA,2重鎖及び単鎖領域を有するRNA,部分的に精製したRNAのような分離したRNA,実質的に精製したRNA,合成RNA及び遺伝子組み換えで産生したRNAを含む。従って、RNAは、mRNA転写物、miRNA及びmiRNA前駆体及びsiRNAを含むが、これらに制限されない。本明細書で用いるように、用語"RNA"は、また自然のRNAと比べ、付加、欠失、置換及び/又は1又は2ヌクレオチド以上の変化により変わった改変RNA又は、RNA類縁物質を含むことを意図する。この様な改変は、RNA末端又は内部に、例えば、RNAの1又は2以上のヌクレオチドに、非ヌクレオチド材料の付加を含むことができる。本出願のRNA分子のヌクレオチドは、自然に存在しないヌクレオチド又は化学的に合成したヌクレオチド又はデオキシヌクレオチドのような鎖を作らないヌクレオチドを含むことができる。これらの改変RNAは、自然に存在するRNAの類縁物質と呼ばれる。

0070

本明細書で用いるように、用語"2重鎖RNA"は、少なくともRNAの一部が2重鎖を形成するWatson-Crick塩基対にあるRNA分子を表わす。従って、この用語は、完全に2重鎖又は部分的に2重鎖であるRNA分子を含むと理解すべきである。2重鎖RNAの例としては、分子間ハイブリダイゼーションにより部分的に又は完全に2重鎖である少なくとも2本の区別可能RNA鎖を含む分子を含むが、これに制限されない。さらに、この用語は、分子内ハイブリダイゼーションにより、2重鎖領域(例えば、ヘアピン)を形成できる単一RNA分子を含むことを意図する。従って、本明細書に用いるように、用語"分子間ハイブリダイゼーション"及び"分子内ハイブリダイゼーション"は、2重鎖形成を伴うヌクレオチドが、それぞれ、異なる分子上に存在又は同一分子上に存在する2重鎖分子を表わす。

0071

本明細書で用いるように、用語"2重鎖領域"は、ヌクレオチド間の水素結合により2重鎖コンフォメーションをもつ核酸分子のどれかの領域及び当業者に理解されている他のどれかの核酸2重鎖を表し、この水素結合は、シトシングアノシン間、アデノシンとチミジン間、アデノシンとウラシル間の水素結合を含むがこれらに制限されない。2重鎖領域の長さは、連続した約15塩基対から数千塩基対に及ぶことができる。いくつかの実施態様において、2重鎖領域は少なくとも15塩基対であり、またいくつかの実施態様において、2重鎖領域は15〜300塩基対であり、またいくつかの実施態様において、2重鎖領域は15塩基対から約60塩基対である。上記の様に、2重鎖領域の形成は、分子間ハイブリダイゼーション(即ち、2又は3以上の明確なRNA分子を含む)又は分子内ハイブリダイゼーションを介した、相補的RNA鎖(例えば、センス鎖及びアンチセンス鎖)のハイブリダイゼーションの結果であり、後者のハイブリダイゼーションは、単一RNA分子が、同じRNA分子内に互いにハイブリダイズできる自己相補的な領域を持つ場合に生ずることが可能である。これらの自己相補的領域は、一般的にショートストレッチのヌクレオチド(例えば、約5〜10ヌクレオチド)で隔てられており、分子内ハイブリダイゼーションにより当分野において"ヘアピン"又は"ステムループ構造"と呼ばれるものを形成する。

0072

III.核酸
本出願に基づき使われる核酸分子は、筋細胞遺伝子産物をコードする核酸分子及び本出願に基づき筋細胞遺伝子(例えば、miRNA核酸分子)の発現を変化させるために使われる核酸分子を含む。従って、本出願に基づき使われる核酸は、上記核酸分子を含むが、これらに制限されない。例えば。本明細書で用いられる核酸分子は、miR-1(UGGAAUGUAAAGAAGUAUGUA; 配列番号1)、miR-133(UUGGUCCCCUUCAACCAGCUGU; 配列番号2)、miR-206(UGGAAUGUAAGGAAGUGUGUGG; 配列番号3)、miR-208(AUAAGACGGCAAAAAGCUUGU; 配列番号4)、miR-22(AAGCUGCCAGUUGAAGAACUGU; 配列番号5)、miR-26(UUCAAGUAAUyCAGGAUAGGy(U); 配列番号6)、miR-29(UAGCACCAUyUGAAAUCrGU(kUU); 配列番号7)、miR-30(ykUwmAswysshhswyUvnvv(bC); 配列番号8)、miR-128(UCACAGUGAACCGGUCUCUUUy; 配列番号9)、miR-143(UGAGAUGAAGCACUGUAGCUCA; 配列番号10)及びmiR-145(GUCCAGUUUUCCCAGGAAUCCCUU; 配列番号11);本明細書上記の配列と実質的に同一な配列(例えば、いくつかの実施態様において、配列番号1〜11の何れかに対し少なくとも、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%相同な配列);及びこれらの配列の部分配列及び伸長配列が含まれる。本出願は、開示した核酸配列を含む遺伝子、cDNA,キメラ遺伝子及びベクターを含む。
本明細書の上記又は他の箇所で用いた1文字ヌクレオチドコードは、本明細書に参考文献として組み込まれた、WIPO Standard ST.25(1998)、Appendix 2、表1、(M.P.E.P. 2422,表1)に従う。特に、以下の1文字コードは、表1に示した対応するヌクレオチドを表わす。括弧(例えば、(n))内のヌクレオチドは、ヌクレオチドが存在又は不在であり得ることを示すことを意図する。さらに、図21は、配列番号5〜11に示すヌクレオチド置換に基づく配列番号5〜11に対し可能な個々の配列を示す。

0073

表1:1文字ヌクレオチド略号

0074

本明細書に開示した方法に用いられるヌクレオチド配列の例は、互いに相補的な配列を含み、互いに相補的な領域は、いくつかの実施態様では少なくとも約15から300塩基対の2重鎖を、またいくつかの実施態様においては、少なくとも約15〜24塩基対の2重鎖を形成する。2重鎖の1鎖は、本出願の核酸分子の核酸配列を有する少なくとも約15連続塩基を有する核酸配列を含む。ある実施例において、2重鎖の1鎖は、15,16,17又は18ヌクレオチドを含む核酸配列を含み又は望むならば19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29又は30ヌクレオチドのようなさらに長い配列又は本明細書に記載した核酸配列のどれかの全体長までを含む。このような断片は、容易に、例えば、化学合成による断片の直接合成、核酸増幅技術の応用又は組み換え産生のために選択した配列を組み換えベクターに組み入れることにより合成できる。用語"に対して特異的にハイブリダイズする"とは、その配列が(例えば、全細胞DNA又はRNAのような)複雑な核酸混合物中に存在する場合、ある分子がストリンジェントな条件下で特定のヌクレオチド配列に対して結合、2重鎖形成又はハイブリダイズすることを表わす。

0075

用語"部分配列(サブシクエンス)"は、より長い核酸又はアミノ酸配列の或る部分を含む核酸分子又はアミノ酸分子の配列を表わす。配列の例としては、ヌクレアーゼ作用の後成熟miRNAとなるヌクレオチド又はmiRNA前駆体の1本鎖領域を含む、がこれらに制限されない、pri-miRNA又はpre-miRNA("miRNA前駆体")の2重鎖領域の部分を含む配列がある。
用語"伸長した配列"は、核酸に取り込まれたヌクレオチド(又は他の類似した分子)の付加を表わす。例えば、あるポリメラーゼ(例えば、あるDNAポリメラーゼ)は核酸分子の3'末端に配列を付加することができる。さらに、ヌクレオチド配列は、プロモーター、プロモーター領域、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルイントロン配列、付加的な制限酵素部位多重クローニング部位及び他のコード領域などの、他のDNA配列と結合できる。

0076

本出願の核酸は、クローン化、合成、組み換え変換、突然変異化可能であり又はこれらの技術の組合せの対象となる。核酸を単離するための標準的組み換えDNA及び分子クローニング技術は、当分野では既知である。例えば、非限定の方法は、Silhavy 他、198446; Ausubel 他、198936; Glover 及びHames、199547; 及びSambrook 及びRussell、200140に記載されている。塩基対変化、欠失又は小さな挿入を作り出す部位特異的突然変異化もまた、出版物(例えば、Adelman他、198348; Sambrook 及びRussell、200140)により例示されているように、当技術分野では既知である。

0077

IV,miRNA−発現ベクター
本出願のいくつかの実施態様において、miRNA分子又はmiRNA前駆体分子は、核酸ベクター(あるいは、一般的に"組み換えベクター"又は"発現ベクター"と表される)に挿入された転写単位から発現する。ベクターは、miRNAをコードする核酸分子を筋細胞に運搬し、特定の遺伝子を標的とするために使うことができる。組み換えベクターは、例えば、DNAプラスミド又はウィルスベクターであることができる。様々な発現ベクターが、当分野で既知である。発現ベクターは、発現を希望する細胞種を含むが、これに限定されない、いくつかの因子をベースとして適切に選択される。
用語"ベクター"は、これに連結した他の核酸を輸送できる核酸分子を表わす。ベクターは、連結した核酸の自律的複製及び発現可能なベクターを含む。作動可能に連結した遺伝子の発現をコントロールできるベクターを本明細書では"発現ベクター"と呼ぶ。一般的に、組み換え技術で用いられる発現ベクターは、しばしばプラスミドの形である。しかしながら、本出願は、同等の機能を持ち、これに関してその後当技術分野では既知となった発現ベクターの他の形を含むよう意図している。

0078

本明細書で用いられる、用語"発現ベクター"は、適切なホスト細胞中で特定のヌクレオチド配列の発現をコントロールできるヌクレオチド配列を表し、転写終結配列に作動可能に連結した所定のヌクレオチド配列に、作動可能に連結したプロモーターを含む。この用語は、また一般的に、ヌクレオチド配列の正常な飜訳に必要な配列を含む。所定のヌクレオチド配列を含む構築物は、キメラであることができる。この構築物は、また、自然に存在するが、異種発現に有用な組み換え型で得られる物である。ヌクレオチド配列が正常に発現するようデザインされた付加的な全ての配列を含む、所定のヌクレオチド配列は、また"発現カセット"とも表される。

0079

本明細書で用いる、用語"異種遺伝子"、"異種DNA配列"、"異種ヌクレオチド配列"、"外因性核酸分子"又は、"外因性DNA部分"は、各々意図したホスト細胞に対して異種由来の配列又はもし同種由来の場合は、元々の形を改変した配列を表わす。従って、ホスト細胞中の異種遺伝子は、特定のホスト細胞に対して内因性であるが、改変した遺伝子を含み、改変は、例えば、突然変異剤により又は自然の転写制御配列からの分離による。この用語はまた、自然に存在するヌクレオチド配列の多数コピーで生ずる非自然遺伝子を含む。従って、本用語は細胞にとって、異質又は異種のDNA部分又は細胞に対しては同種であるが、ホスト細胞核酸中の、成分が元々見出されるものではない位置にあるDNA部分を表わすことができる。
用語"プロモーター"又は"プロモーター領域"の各々は、コード配列に対し5'に位置し、コード配列転写の制御機能をする遺伝子内のヌクレオチド配列を表わす。プロモーター領域は転写開始部位を含み、さらに、1又は2以上の転写制御要素を含むことができる。いくつかの実施態様において、本出願の方法は、RNAポリメラーゼIIIプロモーターを用いる。

0080

"最小プロモーター"は、基礎レベルの転写が行われるために必要な最小要素を持つヌクレオチド配列である。従って、最小プロモーターは、完全なプロモーターではなく、実験系において構築したレポーターの基礎レベルの転写を制御することができるプロモーターの部分配列である。最小プロモーターは、サイトメガロウィルス(CMV)最小プロモーター、ヘルペスシンプレックスウィルスチミジンキナーゼ(HSV-tk)最小プロモーター、シミアンウィルス40(SV40)最小プロモーター、ヒトβ−アクチン最小プロモーター、ヒトEF2最小プロモーター、アデノウィルスE1B最小プロモーター及び熱ショックタンパク質(hsp)70最小プロモーターを含むが、これらに限定されない。最小プロモーターは、しばしば1又は2以上の転写制御要素と共に増加して、作動可能に連結した遺伝子の転写に影響する。例えば、細胞型特異的又は組織特異的転写制御要素は、最小プロモーターに付加できて、作動的に連結したヌクレオチド配列の転写を細胞型特異的又は組織特異的に制御する、組み換えプロモーターを作り出す。本明細書で用いるように、用語"最小プロモーターは、またRNAポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、H1,7SL,5S又はU6プロモーター)、アデノウィルスVA1プロモーター、Vaultプロモーター、テロメラーゼRNAプロモーター及びtRNA遺伝子プロモーターを含むが、これらに限定されない、本明細書で開示したプロモーターの機能的誘導体を含む。

0081

異なるプロモーターは、転写制御因子の異なった組合せである。遺伝子が細胞内で発現しているかいないかと言うことは、遺伝子プロモーターを作り上げる特定の転写制御要素及び細胞の核内に存在する異なる転写要素の組合せに依存する。従って、プロモーターはしばしば、インビボ又はインビトロの機能的活性により、"構成的"、"組織特異的"、"細胞型特異的"又は"誘導的"と分類される。例えば、構成的プロモーターは、有機体の様々な細胞型(いくつかの実施態様において、全ての細胞型)における遺伝子の転写を制御することができるプロモーターである。構成的プロモーターの例としては、ある種の構成的又は"ハウスキーピング"機能をコードする以下の遺伝子に対するプロモーターを含む:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT),ジヒドロフォレートリダクターゼ(DHFR;(Scharfmann他、1991)、アデノシンデアミナーゼホスホグリセリン酸塩キナーゼ(PGK),ピルビン酸塩キナーゼ、ホスホグリセリン酸塩ムターゼ、β−アクチンプロモーター(例えば、Williams他、1993参照)及び当業者に既知の他の構成的プロモーター。他方、"組織特異的"又は"細胞型特異的"プロモーターは、有機体のいくつかの組織又は細胞型における転写を制御するが、いくつかの組織又は細胞型において不活性である。組織特異的プロモーターの例としては、本明細書の以下でより詳細に記載するプロモーター及び、当業者に既知の他の組織特異的及び細胞型特異的プロモーターを含む。
プロモーターの文脈で用いると、本明細書で用いる、用語"連結した"は、作動的に連結したヌクレオチド配列の転写を共に制御する、プロモーター因子への物理的な近傍を表わす。

0082

本明細書で用いる、用語"転写制御配列"又は"転写制御要素"は各々、制御的転写因子に対して応答できる、プロモーター領域中のヌクレオチド配列を表わす。応答性は、転写アウトプットの減少又は増加を含むことができて、また転写制御要素を含むヌクレオチド配列に対する転写因子の結合を介している。いくつかの実施態様において、転写制御配列は、転写終結配列であり、あるいは、本明細書では、転写終結シグナルと表わす。
用語"転写因子"は、転写制御要素及び転写の細胞成分と相互作用することにより、一般的に、遺伝子発現を変化させるタンパク質を表し、RNAポリメラーゼ、転写関連因子(TAF),クロマチン改造タンパク質及び遺伝子転写に影響する他の関連するタンパク質を含む。

0083

V.筋細胞における遺伝子発現を変化させる方法
本出願は、筋細胞における遺伝子発現を特異的に変化させる方法を提供する。いくつかの実施態様において、この方法は、筋細胞と、筋細胞中の遺伝子を標的とするmiRNA又はmiRNAをコードするベクターとの接触を含む。筋細胞中の1又は2以上の特定の遺伝子を標的とすることで、筋細胞の機能又は発生(例えば、分化)を高度に特異的に操作することが可能となる。従って、いくつかの実施態様において、本出願は、さらに、筋細胞と、筋細胞機能又は発生を変化することができる筋細胞中の遺伝子を標的とするmiRNAと接触させることにより、筋細胞機能又は発生を操作する方法を提供する。
いくつかの実施態様において、特定の遺伝子を標的とするmiRNAは、配列番号1〜11のいずれかに示された配列と、少なくとも約70%,80%,85%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,又は99%相同な配列を有するmiRNAを含む、miR-1、miR-133、miR-206、miR-208、miR-22、miR-26、miR-29、miR-30、miR-128、miR-143及びmiR-145(それぞれ、配列番号1〜11)から成る群から選択される。
もしあるmiRNAが、あるRNA分子と十分類似したヌクレオチド配列を有し、miRNAとRNA分子が相互作用するに十分な条件下で、このRNA分子の発現を変化させると予期されるならば、このmiRNAは該RNA分子を"標的とする"。いくつかの実施態様において、この相互作用は、筋細胞内で行なわれる。いくつかの実施態様において、この相互作用は、生理的条件下で行なわれる。本明細書で用いるように、用語"生理的条件"とは、この筋細胞が患者又は患者組織の一部であろうと又はこの筋細胞がインビトロで生育しようとを問わず、筋細胞中のインビボ条件を表わす。従って、本明細書で用いるように、用語"生理的条件"は有機体の一部として又はインビトロでの生育であろうと、筋細胞が曝される条件下で、筋細胞内の条件を表わす。

0084

いくつかの実施態様において、標的となる遺伝子は、筋細胞分化遺伝子又は筋細胞増殖遺伝子であり、また発現されると、それぞれ、筋細胞分化及び/又は増殖を変化させることができる。いくつかの実施態様において、標的遺伝子は、筋細胞分化及び/又は増殖を阻害する遺伝子産物を発現することができる。従って、1又は2以上のこれらの分化及び/又は増殖標的遺伝子の発現を、miRNAにより標的として阻害すると、処置した筋細胞の分化及び/又は増殖が増すことができる。本出願の非限定実施態様例において、筋細胞分化遺伝子は、ヒストンジアセチラーゼ4(HDAC4)ポリペプチド又は甲状腺ホルモン受容タンパク質240(TRAP240)をコード化することができて、また筋細胞増殖遺伝子は、血清応答因子(SRF)ポリペプチドをコード化することができる。
1又は2以上の筋細胞分化又は増殖遺伝子の発現を、本明細書に開示したmiRNAの中の1個を用いて、阻害するために標的とすることができる。例えば、miRNA miR-1及びmiRNA-133はそれぞれ特異的にHDAC4及びSRFの3'非飜訳領域を標的とし、またこれらの遺伝子によりコードされる遺伝子産物の発現を阻害する。従って、本出願のいくつかの実施態様において、筋細胞の分化は、筋細胞を、HDAC4をコードする遺伝子を標的とするmiR-1と接触させることにより増加するが、接触によりHDAC4の発現を実質的に阻害し、筋細胞分化を増す。同様に、本出願のいくつかの実施態様において、筋細胞を、SRFをコードする遺伝子を標的とするmiR-133と接触させることにより、筋細胞増殖を増すことができるが、接触によりSRFの発現を実質的に阻害し、筋細胞増殖を増す。

0085

VI.治療方法
いくつかの実施態様において、本出願は、患者の筋肉損傷を処置する治療方法を提供する。本明細書に開示するように、miRNAは遺伝子を標的とすることにより、遺伝子発現を変化させることができる。特に、筋細胞分化及び/又は増殖を阻害する機能を有する遺伝子産物を発現する遺伝子は、miRNAの標的となり、これらの遺伝子の発現は阻害され、筋細胞分化及び/又は増殖がもたらされる。さらに、miRNA阻害剤は、内因性miRNAを標的とし、特定の遺伝子産物の発現の相対的な増加をもたらし、筋損傷を治療するために有用となる。さらに、miRNA及び/又はmiRNA阻害剤の組合せを筋損傷に共投与することにより、損傷の治癒を最適化することができる。筋細胞分化及び/又は増殖の増加は、損傷した筋組織の治癒上又は失われた筋組織の再増殖の促進上、有用であることができる。
従って、本出願のいくつかの実施態様において、患者の筋肉損傷を治療する方法は、患者の筋肉損傷部位に有効量の、筋肉損傷部位の筋細胞中の遺伝子を標的とするmiRNA、このmiRNAをコードするベクター、miRNAの阻害剤又はこれらの組合せを投与することを含む。
筋肉発生及び比較しうる筋肉増殖及び/又は損傷後の治癒は、段階的に生ずる。代表的な段階としては、未分化筋細胞増殖、その後、筋肉組織中の成熟した細胞への筋細胞の分化が続く。従って、筋肉損傷部位における筋肉組織の修復には、損傷部位への、未分化筋細胞の増殖を促進する、miRNA及び/又はmiRNA阻害剤の良く調整された投与及び損傷部位への、増殖した筋細胞の成熟した機能性筋肉組織への分化を促進する、miRNA及び/又はmiRNA阻害剤の投与が役立つ。

0086

本明細書に開示するように、例えば、miR-1及びmiR-133の各々は、骨格筋増殖及び分化を調節する上で別個の役割を果たすと判断された。miR-133はSRFの抑制により筋細胞増殖を促進する。対照的に、miR-1は、筋肉遺伝子発現の転写抑制体である、HDAC4を標的として、筋細胞分化を促進する。従って、本出願の非限定的で、代表的な実施態様において、損傷部位における筋細胞増殖を促進するために、第1時点において、miR-133及びmiR-1阻害剤(例えば、2'-O−メチルmiR-1)を筋肉損傷部位に最初共投与する。次ぎに、第2時点において、miR-1及びmiR-133阻害剤(例えば、2'-O-メチル-miR-133)を筋肉損傷部位に共投与し、増殖した筋細胞の分化を増した。多種のmiRNA及び/又はmiRNA阻害剤の時間的に調整した共投与により、筋肉損傷からの回復をさらに改善することができる。
いくつかの実施態様において、筋肉損傷は、機械的筋肉外傷、筋肉変性疾患、心臓発作又はこれらの組合せに起因する。機械的筋肉外傷は、例えば、筋肉組織が切り取られ又は裂かれる、自動車事故又は刺し傷のような鈍力外傷に起因する可能性がある。例えば、非限定的、筋肉変性疾患としては、筋肉ジストロフィー(例えば、Duchenne筋肉ジストロフィー(DMD))、運動ニューロン疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症ALS))、炎症性ミオパチ(例えば、皮膚筋炎(DM))、神経筋接合部疾患(例えば、重症筋無力症(MG))、内分泌ミオパシー(例えば、甲状腺機能促進ミオパシー(HYPTM))及び代謝筋肉疾患(例えば、ホスホリラーゼ欠乏症(MPD))がある。例えば、非限定的、心臓発作筋肉損傷としては、心筋梗塞及び心筋再潅流障害がある。

0087

いくつかの実施態様において、特定の遺伝子を標的とするmiRNAは、配列番号1〜11のいずれかに示された配列と、少なくとも約70%,80%,85%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%又は 99%相同な配列を有するmiRNAを含む、miR-1、miR-133、miR-206、miR-208、miR-22、miR-26、miR-29、miR-30、miR-128、miR-143及びmiR-145(それぞれ、配列番号1〜11)から成る群から選択される。いくつかの実施態様において、この遺伝子は、筋細胞分化遺伝子(例えば、HDAC4又はTRAP240をコードする)又は筋細胞増殖遺伝子(例えば、SRFをコードする)である。
本出願の治療方法に関しては、好ましい患者は脊椎動物患者である。好ましい脊椎動物は、温血動物である:好ましい温血脊椎動物は哺乳動物である。好ましい哺乳動物は最も好ましくは、ヒトである。本明細書で用いるように、用語"患者"は、ヒト及び動物患畜を含む。従って、獣医の治療上の使用が、本出願に従って提供される。

0088

従って、本出願は、ヒト及びシベリアトラのような絶滅危機にあることにより重要な哺乳動物;ヒトの消費のために農場で飼われている動物のような、経済的重要性を持つ哺乳動物;及び/又はペット又は動物園で飼われている動物のような、ヒトにとって社会的に重要な哺乳動物の治療を提供する。この様な動物の例としては以下の動物があるが、これらに制限されない:ネコ及びイヌのような肉食動物ピッグホッグ及び野生イノシシのようなウシ、雄キリンシカヤギバイソン及びラクダのような反芻動物及び/又は有蹄動物;及びウマ。また、鳥類の治療が提供され、絶滅の危機にある及び/又は動物園で飼われている鳥類の治療及びヒトにとって経済的重要性があるので、ニワトリ、特に家禽、例えば、シチメンチョウ、チキン、アヒルガチョウ、ギニア家禽等々が含まれる。従って、また、家畜の治療が提供され、家畜豚、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競技用ウマ)、家禽等々が含まれる。

0089

患者にmiRNA又はmiRNAをコードするベクターを投与する適切な方法としては、全身投与非経口投与(血管内、筋肉内、動脈内投与を含む)、経口投与舌下投与皮下投与吸入気管滴注外科埋植経皮投与、局部注射及び超高速注射/照射等があるが、これらに制限されない。適用可能なところでは、連続輸液は標的部位での薬剤蓄積を促進することができる。
本出願に従って使用される投与の特定の様式は、様々な因子に依存し、これらの因子としては、使用されるmiRNA及び/又はベクター担体、治療する健康状態重篤度及び投与後の活性化合物の代謝又は除去機構が挙げられるが、これらに制限されない。

0090

本明細書で用いる用語"有効量"は、測定しうる生物的応答(例えば、筋細胞分化及び/又は増殖の増加)を生み出すに充分な治療薬組成物(例えば、miRNA又はmiRNAをコードするベクターを含む組成物)の量を表わす。本出願の治療組成物中の活性化合物の実際の用量は、特定の患者及び/又は応用に対して、望ましい治療応答を達成するために有効な活性化合物量を投与するために変わりうる。選択した用量レベルは、様々な因子によって変わり得て、これらの因子としては、治療組成物の活性、処方、投与の経路、他の薬剤又は治療との組合せ、治療すべき健康状態の重篤度及び治療する患者の物理的状態及び病歴が挙げられる。好ましくは、最小容量が投与される、また用量は最小有効量に対して、用量規定毒性なしに増量される。有効用量の決定及び修正及びこの様な修正の時期及び方法は、当業者に委ねられる。

0091

以下の実施例は本出願の様式を説明するために含まれている。本開示と、当業者の一般レベルを考慮すると、当業者は、以下の実施例は例示を意図したもので、無数の変化、修正及び交換を、本出願の範囲を離れることなく、行うことができることを理解するであろう。

0092

実施例1
骨格筋増殖及び分化における、microRNA(miRNA)の潜在的関与を理解するために、確立したミクロアレイ解析9を用いて、骨格筋分化の間のmiRNAの発現を解析した。C2C12筋芽細胞株は、培養液から血清が除去されると、筋芽細胞は最終的に分化した管状筋細胞に誘導され得る様に、筋芽細胞がインビトロで忠実に骨格筋分化を模倣するので10−12、C2C12筋芽細胞を用いた。分化したC2C12筋芽細胞/管状筋細胞において、検査したmiRNAのある分画の発現は上方制御したことを見出した(図1a及び図6)。分化した筋芽細胞におけるmiR-1及びmiR-133の発現上昇は、ノーザンブロット解析で確認した(図1b及び図7)。

0093

実施例2
miR-1及びmiR-133は、成体心臓及び骨格筋組織において特異的に発現するが、検査した他の組織では発現しない(図1c及び図8)。しかしながら、哺乳動物発生における特定miRNAの時間分布については殆ど知られてない。従って、マウス胚及び新生児におけるmiR-1及びmiR-133の発現を調べた。miR-1及びmiR-133は、E13.5及びE16.5胚の発生過程の心臓及び骨格筋において、非常に低レベル発現する(図1d及び図8)。miR-1及びmiR-133の発現量の増加が、新生児心臓及び骨格筋で観察されたが、なお成体のものより有意に低レベルである(図1e及び図8)。これらのデータは、大多数のmiRNAは発生過程の比較的後期に発現されるという、zebrafishにおける知見16と一致する。

0094

実施例3
miR-1及びmiR-133両者は、マウス第2染色体(9.3kb分離)及び第18染色体(2.5kb分離)上に共にクラスターしている(図9及び参考文献14)。miR-1又はmiR-133配列を含む〜300bpゲノム遺伝子プローブを用いて、ノーザンブロット解析を行った(図9a〜図9e)。第18染色体由来のmiR-1及びmiR-133プローブは、心臓及び骨格筋から単離した全RNAより〜6kbの単一の最初の転写体を検知し(図9b及び図9c)、このことはmiR-1及びmiR-133は実際に共に転写されることを示す。第2染色体由来のmiR-1及びmiR-133プローブが心臓及び骨格筋から〜10kbの転写体を検知したが、miR-133プローブはまた〜4.5kb及び〜2.2kbの2個のさらなる転写体とハイブリダイズした、一方miR-1プローブもまた主要な〜6kb転写体を検知した(図9d及び図9e)、このことは転写後プロセッシングが行われている可能性を示唆する。まとめると、これらのデータは、心臓及び骨格筋特異的miR-1及びmiR-133の発現が最初の転写段階で指令されていることを示す。

0095

実施例4
第2染色体及び第18染色体miR-1及びmiR-133クラスターの転写を制御する制御要素は恐らく保存されていると推定した。従って、塩基配列解析を行い、第2染色体及び第18染色体両者の上のmiR-1/133クラスターの約50kb上流にある、高度に保存された領域(〜2kb)を同定した(図10)。第2染色体由来のこのゲノム断片を用いて、トランスジェニックXenopus中のdsRedレポーター遺伝子の発現を促進させて、トランス遺伝子の心臓及び骨格筋特異的発現を見出した(図10)。

0096

実施例5
骨格筋におけるmiR-1及びmiR-133の機能を検定するために、最初動細胞中でのmiR-1及びmiR-133の過剰発現を試みた。ノーザンブロット解析及び、miR-1及びmiR-133に対する相補的配列をdsRedコード配列の下流にクローンした、miR-1及びmiR-133"センサー"17を用いて、両miRNAの発現と活性をテストし、確認した(図11及び非表示データ)。C2C12筋芽細胞にmiR-1及びmiR-133をトランスフェクトし、トランスフェクト後、細胞を増殖培地(GM)中に保つ又は分化培地(DM)に移した。miR-1は、それぞれ、初期及び後期筋発生マーカーであるミオゲニン及びミオシン重鎖(MHC)及びMyoD、Mef2及び骨格筋α—アクチンを含む、他の筋発生マーカーの発現の増加が示すように、強く筋形成を促進した(図2a〜図2e、図2i、図2j及び表2)。miR-1は対数期増殖条件(図2c)及び分化条件(図2図2d、図2e)の両条件に維持された細胞の筋発生マーカー遺伝子発現を誘導した。ホスホヒストンH3発現の顕著な減少によりマークされるように(図2図2c、図2e及び表2)、miR-1により誘導された筋発生分化の加速は、また細胞増殖の減少を伴う。特に注意すべきことは、骨格筋細胞において内因的に発現しないGFPコントロール又はmiR-208の過剰発現は、効果を示さないので、miR-1誘導の筋形成は特異的である(図2a〜図2e)。さらに、miR-1"シード"配列に導入された突然変異は、筋発生遺伝子発現の活性化能を失う(図2d〜図2e)。これに対し、miR-133の過剰発現は、ミオゲニン及びMHCの発現を抑制し(図2a〜図2e及び表2)、また筋芽細胞増殖を促進する(図2c〜図2e及び表2)。対照は効果が無く、また導入した突然変異は、miR-133の機能を除去したので、再び、miR-133の筋芽細胞増殖への効果は特異的である(図2a〜図2e、図2j)。

0097

0098

C2C12筋芽細胞に、miRNAの機能を阻害すると報告されている18〜19、miR-1又はmiR-133に対しアンチセンスな2'-O−メチル阻害オリゴ(又は対照GFP及びmiR-208)をトランスフェクトするという逆の実験も行った。miR-1阻害剤をトランスフェクトした細胞は、筋発生マーカーの減少及びホスホヒストンH3の増加で示されるように、筋形成の阻害及び筋芽細胞増殖阻害を示した(図2f〜図2i及び表2)。筋芽細胞増殖及び分化の阻害におけるmiR-133の役割と一致して、miR-133の阻害により、筋形成は促進し、細胞増殖は阻害されるという、逆の効果を引き起こした(図2f〜図2j及び表2)。これに反して、対照2'-O−メチル阻害剤は効果が無かった(図2f〜図2j)。上記の結果からの結論は、miR-1及びmiR-133は、骨格筋増殖と分化において別個の働きを有すると言うことである:miR-1は筋芽細胞分化を促進するのに対し、miR-133は筋芽細胞増殖を促進する。

0099

実施例6
miR-1及びmiR-133の両者が、大部分の動物種、Drosophilaからヒトまでに存在することは、進化の過程で保存されていることを示唆する。miR-1及びmiR-133のインビボの骨格筋及び心臓発生に対する効果をテストするために、XenopusにおけるmiR-1及びmiR-133のコピーを同定し、誤発現によりこれらの機能を検査した。1細胞期にmiR-1を導入すると、非注入又はmiGFP注入対照と比較して、劇的に軸柱の短縮、前部構造の減少及び背面—腹部軸に沿う体長の増加が生じた(n>45,独立した2実験)(図3)。miR-1注入胚において体節は形成したが(図3)、抗体染色全組織標本及び連続切片から、組織は非常に無秩序化し、分節した構造に発生することができなかった(図3e、図3f、図3j)。心臓組織は、組織学的、トロポミオシン染色(図3f、図3j)及び心臓アクチン染色により検査すると、完全に欠如する。これらの欠陥に加えて、ホスホヒストンH3染色の劇的な減少が見られ(図3i〜図3k)、このことは、筋細胞増殖及び分化の制御上におけるmiR-1の本質的役割と一致する。miR-133の誤発現もまた、前部構造の減少及び体節発生の欠陥をもたらすが、miR-1と比較して、前部—後部長の減少は小幅であり、胚体欠陥は、体節形成が欠ける胚のより後部又は前部の外観において特に重篤である(図3g、図3h)。さらに、miR-133胚において、非常に無秩序で、心臓係蹄又は心室形成欠くが、心臓組織はしばしば形成される(図3g、図3h、図3k)。まとめると、これらのデータによると、正常な骨格筋及び心臓発生のためには、miR-1及びmiR-133の正しいタイミング及びレベルが必要である。

0100

実施例7
HDAC4は、その3'UTRに2個の自然発生の推定miR-1部位を有し、これは脊椎動物種において進化上保存されている(図12)。同様に、哺乳動物SRF遺伝子の3'UTRに、2個の保存されたmiR-133結合部位が存在し(図12)、これはインビボ及びインビトロの筋肉増殖及び分化に重要な役割りを演ずることが示されている11,24,25。
マウスSRF及びHDAC4の3'UTRをルシフェラーゼレポーター遺伝子に連結し、これらの構築物をトランスフェクションコントロールにより哺乳動物細胞にトランスフェクトした。miR-1の異所性過剰発現により、HDAC4 3'UTRルシフェラーゼレポーター遺伝子は抑制され、他方、miR-133はSRF 3'UTRルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を阻害した(図4a)。これに対し、miR-1又はmiR-133"シード"配列に導入した突然変異により、このような抑制は除去され、作用の特異性を示す(図4a)。

0101

上記レポーターをC2C12筋芽細胞にトランスフェクトし、細胞分化の前後にルシフェラーゼ活性を測定すると、レポーター活性は、分化した細胞で劇的に抑制されていることが分かり(図4b)、内因性miR-1及びmiR-133のレベルが上がると、レポーター遺伝子を抑制することを示す。内因性miR-1及びmiR-133の効果及び特異性は、miRNA"センサー"によりモニターした(図11)。これに対し、筋肉分化の指示薬であるMCK-lucレポーターのルシフェラーゼ活性は分化した筋細胞で増加した(図4b)。さらに、miR-1の過剰発現は、増殖条件(図4c)及び分化条件(図4e)におけるC2C12細胞中の内因性HDAC4タンパク質の下方制御をもたらしたが、他方miR-133は、内因性SRFタンパク質の発現を抑制した(図4c、図4e)。これに対し、SRF及びHDAC4のmRNAレベルは、これらのmiRNAにより変わらなかった(図4d)ので、miRNAは主に飜訳を阻害することにより、これらの標的遺伝子の機能を抑制するという考えを支持する。miR-1又はmiR-133に対してアンチセンスな2'-O−メチルオリゴを適用すると、これらは、mRNAレベルへの効果なしに(図4f)、それぞれHDAC4又はSRFのタンパク質レベルに働いた抑制を除去した(図4g)。

0102

HDAC4及びSRFが、骨格筋遺伝子発現を調節する上で、miR-1又はmiR-133の同系の標的であることを重ねて証明するために、SRF又はHDCA4を発現するプラスミドのコトランスフェクションがmiRNAを介した筋形成を"抑制"するかどうかテストした。実際、図4hに示すように、筋発生遺伝子のmiR-133により誘導された抑制は、SRFの過剰発現により部分的に逆転した。一方、HDAC4は、miR—1の骨格筋遺伝子発現への効果を弱めた(図4h)。

0103

miR-1及びmiR-133依存的骨格筋増殖及び分化へのHDAC4及びSRFが潜在的に関与することに一致して、内因性HDAC4及びSRFタンパク質レベルは筋原性分化マーカーの発現上昇及び細胞分裂指標マーカーであるホスホヒストンH3発現の減少を伴い、分化したC2C12細胞において下方制御された(図4i及び図7d)。SRF及びHDAC4タンパク質の発現レベルの減少は、miR-1及びmiR-133の発現上昇を伴った(図4iと図1bを比較)。まとめると、これらのデータから、miR-1及びmiR-133は、それぞれ特異的にHDAC4及びSRFタンパク質レベルを抑制し、そのことは逆に、これらのmiRNAの筋芽細胞増殖及び分化を調節する効果に(少なくとも部分的に)寄与することが分かる。

0104

心筋及び骨格筋特異的miR-1及びmiR-133が特徴付けられ、骨格筋増殖と分化を調節するこれらの機能が示された。重要なことに、同一染色体上にクラスターし、また単一転写物として同時に転写される、miR-1及びmiR-133は、異なる標的遺伝子を阻害することで達せられる明確な生物的機能を持った、2個の独立した、成熟miRNAとなることが分かった。このことは、複雑な分子機構にmiRNAが関与することを示す。興味あることに、miR-1及びmiR-133の組織特異的発現はmyoD及びSRFにより調節されるが8、SRF発現は、miR-133で抑制されることである。従って、これらの知見はmiRNAが細胞増殖及び分化を調節する調節経路に関与する、ネガティブ調節ループを明らかにする。

0105

実施例1〜7の材料と方法
ミクロアレイによるMicroRNA発現の解析
全RNAを、10%仔牛胎児血清(FBS)(Sigma)及び1%ペニシリンストレプトマイシン(Invitrogen、Carlsbad、California、U.S.A.)を添加したDulbecco改変Eagle培地(DMEM)(Sigma Chemical Co.、St. Louis、Missouri、U.S.A.)から成る増殖培地(GM)中又は、2%ウマ血清(Sigma)を添加した DMEM(Sigma)から成る分化培地(DM)で培養したC2C12細胞より、異なる時点で(DMに移した最初の日を0日目とカウントし、0.1.3.及び5日目)単離した。ミクロアレイハイブリダイゼーションは記載されているように行い、データ解析した9.要約すると、2.5μg単離RNAを、RNAリガーゼを用いて5'−リン酸−シチジルウリジルCy3-3'(Dharmacon、Inc.、Lafayette、Colorado、U.S.A)で標識し、ALEXA647(R)(Cy5)(Molecular Probes、Eugene、Oregon、U.S.A)で標識した124microRNAに対してオリゴヌクレオチドプローブの0.5mM混合物ディスポーザブルチャンバー(MJ Research、Reno、Nevada、U.S.A.;パート数 SLF-0601)の中でハイブリダイズした。正規化した自然対数データを遺伝子により階層的にクラスター化しヒートマップとしてプロットした。シグナルの範囲は、−4倍から+4倍であった。黄色は培地と比べた高発現を示し、また青色は低発現を示す。

0106

ノーザンブロット解析
全RNAをC2C12細胞、マウス胚又は成体組織より、TRIZOL(R)試薬(Invitrogen)を用いて単離した。miRNAのノーザンブロット解析のために、PEGを用いて、サイズの大きなRNAを除いた。要約すると、30μgの各全RNA試料を5xPEG溶液と1:1で混合し、上に10分間置いた。10分後、4℃で、最高速度で遠心し、上清を新チューブに移した。次ぎに、RNAを2.5容量の100%EtOHを加えて沈殿させ、30分、最高速度で遠心した。miRNAに対するノーザンブロット解析は、記載のように行った13。プローブとして用いたmiR-1及びmiR-133オリゴヌクレオチド配列を表3に示した。ノーザンブロット解析はmiRNAの初期の転写体を検出するために用い、各試料から20μg全RNAを用いて、記載のように行った28。miR-1及びmiR-133に対するゲノム断片は、PCRでクローン化し、プローブとして用いた。

0107

0108

miR-1及びmiR-133のクローニングと発現
マウス第2番染色体及び第18染色体(ch2及びch18)由来のmiR-1及びmiR-133前駆体にたいするゲノム断片は、マウスゲノムDNAを鋳型PCRプライマーについては、上記表3を参照)として用い、PCR増幅した。PCR産物は、pcDNATM(+)3.1ベクター(Invitrogen)にクローン化し、miRNAの発現は、発現ベクターを哺乳動物細胞(COS7、10T1/2又はC2C12)にトランスフェクトして測定し、ノーザンブロット解析で検知した。

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