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技術 鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法および装置

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 木島秀夫
出願日 2011年12月14日 (7年9ヶ月経過) 出願番号 2011-273016
公開日 2013年6月24日 (6年2ヶ月経過) 公開番号 2013-123726
状態 特許登録済
技術分野 圧延の制御
主要キーワード 設定値計算 蓄積データ数 鋼帯材 伸び率ε 類似度計算式 加工目標値 操業指標 スラブ法
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重要な関連分野

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図面 (5)

課題

鋼帯調質圧延を行うに際して、オンライン使用可能な程度の短い計算時間で精度良く圧延荷重推定することができる鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法および装置を提供する。

解決手段

鋼帯の調質圧延における操業因子設定条件実績伸び率と実績圧延荷重をデータベースとして蓄積し、予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率と、重み付けによる類似度が高い実績データにより、圧延荷重を予測する。

概要

背景

鋼帯調質圧延は、冷間圧延プロセスにより目標厚さに仕上げられた冷延鋼帯焼鈍した後、あるいはさらに溶融亜鉛めっき電気錫めっきなどの表面処理を施した後、調質圧延機によって例えば伸び率1%程度の軽圧下を鋼帯に施すことにより行われる。この調質圧延を施すことによって、鋼帯を一様に伸ばし、その形状を矯正し、降伏点伸び、引張強さ、伸びなどの機械的性質を調整するとともに、鋼帯の表面粗さなどの性状を調整することが重要な目的である。

そのような調質圧延においては、調質圧延機のワークロール径は300〜700mm程度のものが一般的であり、通常の鋼帯厚みが0.15mm〜3.0mm程度であることから考えると、非常に大きな径を有するワークロールが用いられることが分かる。

また、潤滑剤を全く供給しないドライ圧延、あるいはワークロール表面への鋼帯材料の移着防止を目的とした潤滑性の低い潤滑剤を供給した圧延が行われ、摩擦係数の低減を目的とした高潤滑性の潤滑剤は用いられないのが一般的である。従って、ワークロールと鋼帯表面の間の摩擦係数が非常に大きくなることが容易に推察される。

この調質圧延機で最も重要な調整項目は伸び率であり、伸び率を目標値に制御するのに最も重要な操業指標圧延荷重である。従って、コイル状の鋼帯(以下、コイル)の全長渡り安定して目標伸び率に計算機制御するには、圧延荷重を精度良く予測しておくことが重要である。また、圧延荷重は鋼帯の形状に大きな影響を及ぼすため、形状制御の観点からも圧延荷重の予測が重要となる。

通常、圧延荷重の計算を行う方法としては、物理モデルを元にした方法(非特許文献1)およびこれらを簡略化した方法(特許文献1、特許文献2)が知られている。また、近年、有限要素法を用いてより詳細かつ厳密に物理モデルを計算することも可能となっている(非特許文献2)。

概要

鋼帯の調質圧延を行うに際して、オンライン使用可能な程度の短い計算時間で精度良く圧延荷重を推定することができる鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法および装置を提供する。鋼帯の調質圧延における操業因子設定条件実績伸び率と実績圧延荷重をデータベースとして蓄積し、予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率と、重み付けによる類似度が高い実績データにより、圧延荷重を予測する。

目的

この調質圧延を施すことによって、鋼帯を一様に伸ばし、その形状を矯正し、降伏点伸び、引張強さ、伸びなどの機械的性質を調整するとともに、鋼帯の表面粗さなどの性状を調整することが重要な目的である

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

鋼帯調質圧延において、目標伸び率を実現するために必要な圧延荷重推定するための圧延荷重推定方法であって、過去の操業における各コイル操業因子設定条件実績伸び率および実績圧延荷重のデータを蓄積しておく工程と、予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率の、過去の操業における操業因子設定条件と実績伸び率の類似度から実績圧延荷重のデータに重み付けを行う工程と、その重みを考慮して、蓄積した実績圧延荷重から次コイルの圧延荷重予測値を計算する工程とを備えていることを特徴とする鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法。

請求項2

鋼帯の調質圧延において、目標の伸び率を実現するために必要な圧延荷重を推定するための圧延荷重推定方法であって、過去の操業における各コイルの操業因子設定条件に基づいて、物理モデル基礎とした圧延荷重計算手法を用いて、過去の操業における各コイルの計算圧延荷重を得る工程と、過去の操業における各コイルの操業因子設定条件と実績伸び率および圧延荷重比(実績圧延荷重と計算圧延荷重の比)のデータを蓄積しておく工程と、予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率の、過去の操業における操業因子設定条件と実績伸び率の類似度から、圧延荷重比のデータに重み付けを行う工程と、その重みを考慮して、蓄積した圧延荷重比のデータから次コイルに適切な圧延荷重比(圧延荷重実績/計算圧延荷重)の値を求める工程と、上記物理モデルを基礎とした圧延荷重計算手法を用いて、次コイルの計算圧延荷重を得る工程と、次コイルに適切な圧延荷重比の値を次コイルの計算圧延荷重に掛けることによって、次コイルの圧延荷重予測値を計算する工程とを備えていることを特徴とする鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法。

請求項3

前記物理モデルとして有限要素法を用い、操業因子設定条件と目標伸び率を各種変更して計算した計算圧延荷重のデータを蓄積しておく工程と、予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率との類似度から、前記計算圧延荷重のデータに重み付けを行う工程と、その重みを考慮して求めたものを次コイルの計算圧延荷重とする工程とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法。

請求項4

鋼帯の調質圧延において、目標の伸び率を実現するために必要な圧延荷重を推定するための圧延荷重推定装置であって、過去の操業における各コイルの操業因子設定条件と実績伸び率および実績圧延荷重のデータを蓄積しておく手段と、予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率の、過去の操業における操業因子設定条件と実績伸び率の類似度から実績圧延荷重のデータに重み付けを行う手段と、その重みを考慮して、蓄積した実績圧延荷重から次コイルの圧延荷重予測値を計算する手段とを備えていることを特徴とする鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定装置。

請求項5

鋼帯の調質圧延において、目標の伸び率を実現するために必要な圧延荷重を推定するための圧延荷重推定装置であって、過去の操業における各コイルの操業因子設定条件に基づいて、物理モデルを基礎とした圧延荷重計算手法を用いて、過去の操業における各コイルの計算圧延荷重を得る手段と、過去の操業における各コイルの操業因子設定条件と実績伸び率および圧延荷重比(実績圧延荷重と計算圧延荷重の比)のデータを蓄積しておく手段と、予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率の、過去の操業における操業因子設定条件と実績伸び率の類似度から、圧延荷重比のデータに重み付けを行う手段と、その重みを考慮して、蓄積した圧延荷重比のデータから次コイルに適切な圧延荷重比(圧延荷重実績/計算圧延荷重)の値を求める手段と、上記物理モデルを基礎とした圧延荷重計算手法を用いて、次コイルの計算圧延荷重を得る手段と、次コイルに適切な圧延荷重比の値を次コイルの計算圧延荷重に掛けることによって、次コイルの圧延荷重予測値を計算する手段とを備えていることを特徴とする鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定装置。

請求項6

前記物理モデルとして有限要素法を用い、操業因子設定条件と目標伸び率を各種変更して計算した計算圧延荷重のデータを蓄積しておく手段と、予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率との類似度から、前記計算圧延荷重のデータに重み付けを行う手段と、その重みを考慮して求めたものを次コイルの計算圧延荷重とする手段とを備えていることを特徴とする請求項5に記載の鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定装置。

請求項7

鋼帯を製造するに際して、請求項1〜3のいずれかに記載の鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法を用いて鋼帯の調質圧延を行うことを特徴とする鋼帯の製造方法。

請求項8

鋼帯を製造するに際して、請求項4〜6のいずれかに記載の鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定装置を用いて鋼帯の調質圧延を行うことを特徴とする鋼帯の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、鋼帯調質圧延圧延荷重推定方法および装置に関する。

背景技術

0002

鋼帯の調質圧延は、冷間圧延プロセスにより目標厚さに仕上げられた冷延鋼帯焼鈍した後、あるいはさらに溶融亜鉛めっき電気錫めっきなどの表面処理を施した後、調質圧延機によって例えば伸び率1%程度の軽圧下を鋼帯に施すことにより行われる。この調質圧延を施すことによって、鋼帯を一様に伸ばし、その形状を矯正し、降伏点伸び、引張強さ、伸びなどの機械的性質を調整するとともに、鋼帯の表面粗さなどの性状を調整することが重要な目的である。

0003

そのような調質圧延においては、調質圧延機のワークロール径は300〜700mm程度のものが一般的であり、通常の鋼帯厚みが0.15mm〜3.0mm程度であることから考えると、非常に大きな径を有するワークロールが用いられることが分かる。

0004

また、潤滑剤を全く供給しないドライ圧延、あるいはワークロール表面への鋼帯材料の移着防止を目的とした潤滑性の低い潤滑剤を供給した圧延が行われ、摩擦係数の低減を目的とした高潤滑性の潤滑剤は用いられないのが一般的である。従って、ワークロールと鋼帯表面の間の摩擦係数が非常に大きくなることが容易に推察される。

0005

この調質圧延機で最も重要な調整項目は伸び率であり、伸び率を目標値に制御するのに最も重要な操業指標は圧延荷重である。従って、コイル状の鋼帯(以下、コイル)の全長渡り安定して目標伸び率に計算機制御するには、圧延荷重を精度良く予測しておくことが重要である。また、圧延荷重は鋼帯の形状に大きな影響を及ぼすため、形状制御の観点からも圧延荷重の予測が重要となる。

0006

通常、圧延荷重の計算を行う方法としては、物理モデルを元にした方法(非特許文献1)およびこれらを簡略化した方法(特許文献1、特許文献2)が知られている。また、近年、有限要素法を用いてより詳細かつ厳密に物理モデルを計算することも可能となっている(非特許文献2)。

0007

特開2002−224726号公報
特開2009−160626号公報

先行技術

0008

K.Krimpelstatter他,Non circular arc temper rolling model considering radial and circumferential work roll displacement,Proceeding ofAIP Conference,(2004) 566−571.
J.Sun他,Nonlinear finite element analysis of thin strip temper rolling process,Journal of iron and steel research international,16−4,(2009) 27−32.

発明が解決しようとする課題

0009

鋼帯の調質圧延において、予測対象となる次コイルの圧延荷重をオンラインで予測するためには、数秒で計算を終える必要がある。非特許文献1や特許文献1、2に記載の方法はこの要求を満たしているものの、本質的に物理モデルとしては何らかの簡略化を行っているため、予測精度に問題がある。

0010

一方、非特許文献2に記載の方法は、物理モデルの簡略化を最小限に留めることができるため、本質的に、非特許文献1や特許文献1、2に記載の方法よりも予測精度は高い。しかし、計算に少なくとも数時間かかるので、オンラインでの予測モデルとして用いることは困難である。

0011

また、これらのいずれの方法であっても、近年の少量多品種生産や径時的な変化に対応してきめ細かく予測精度を確保することは非常に困難であった。これは、物理モデルとしての板圧延理論が根本的に内包している問題として、どんなに詳細な計算を行っても必ず実績データとの合わせ込みが必要であることに由来する。

0012

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、鋼帯の調質圧延を行うに際して、オンラインで使用可能な程度の短い計算時間で精度良く圧延荷重を推定することができる鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法および装置を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0013

発明者らは、上記の通り、物理モデルとしての板圧延理論では実績データとの合わせ込みが必要であることから、むしろ実績データそのものを活用する方法について検討した。すなわち、操業因子設定条件と実績伸び率と実績圧延荷重をデータベースとして蓄積し、予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率と、重み付けによる類似度が高い実績データにより、圧延荷重を予測するようにした。これにより、計算時間も短く精度も従来の物理モデルから飛躍的に向上することができた。

0014

ただし、発明者らが検討したところ、上記実績データを元に予測する方法でも、一定の誤差が発生することが分かったが、その誤差の発生の仕方に特徴があることを見い出した。

0015

そこで、発明者らはさらに検討を行い、非特許文献1、2や特許文献1、2にあるような物理モデルによる圧延荷重の計算をまず行い、この計算圧延荷重と実績圧延荷重の誤差(例えば、両者の比)を操業因子設定条件および目標伸び率と共にデータベースとして蓄積して利用する方法を想到した。すなわち、物理モデルを元にして実績データによる予測を行うようにすることで、計算時間は短いまま、さらに精度を向上することができるようになった。

0016

なお、物理モデルとして、非特許文献1や特許文献1、2に示されるようなものを用いる場合は、次コイルの圧延荷重を予測計算するときに、その物理モデルによる圧延荷重の計算を行えばよい。物理モデルとして、非特許文献2のような有限要素法を用いる場合には、予め有限要素法による計算圧延荷重のデータベースを作成しておき、次コイルの圧延荷重を予測計算するときに、そのデータベースを利用すればよい。

0017

本発明は、上記のような知見に基づきなされたもので、以下のような特徴を有する。

0018

[1]鋼帯の調質圧延において、目標の伸び率を実現するために必要な圧延荷重を推定するための圧延荷重推定方法であって、
過去の操業における各コイルの操業因子設定条件と実績伸び率および実績圧延荷重のデータを蓄積しておく工程と、
予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率の、過去の操業における操業因子設定条件と実績伸び率の類似度から実績圧延荷重のデータに重み付けを行う工程と、
その重みを考慮して、蓄積した実績圧延荷重から次コイルの圧延荷重予測値を計算する工程と
を備えていることを特徴とする鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法。

0019

[2]鋼帯の調質圧延において、目標の伸び率を実現するために必要な圧延荷重を推定するための圧延荷重推定方法であって、
過去の操業における各コイルの操業因子設定条件に基づいて、物理モデルを基礎とした圧延荷重計算手法を用いて、過去の操業における各コイルの計算圧延荷重を得る工程と、
過去の操業における各コイルの操業因子設定条件と実績伸び率および圧延荷重比(実績圧延荷重と計算圧延荷重の比)のデータを蓄積しておく工程と、
予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率の、過去の操業における操業因子設定条件と実績伸び率の類似度から、圧延荷重比のデータに重み付けを行う工程と、
その重みを考慮して、蓄積した圧延荷重比のデータから次コイルに適切な圧延荷重比(圧延荷重実績/計算圧延荷重)の値を求める工程と、
上記物理モデルを基礎とした圧延荷重計算手法を用いて、次コイルの計算圧延荷重を得る工程と、
次コイルに適切な圧延荷重比の値を次コイルの計算圧延荷重に掛けることによって、次コイルの圧延荷重予測値を計算する工程と
を備えていることを特徴とする鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法。

0020

[3]前記物理モデルとして有限要素法を用い、操業因子設定条件と目標伸び率を各種変更して計算した計算圧延荷重のデータを蓄積しておく工程と、
予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率との類似度から、前記計算圧延荷重のデータに重み付けを行う工程と、
その重みを考慮して求めたものを次コイルの計算圧延荷重とする工程と
を備えていることを特徴とする前記[2]に記載の鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法。

0021

[4]鋼帯の調質圧延において、目標の伸び率を実現するために必要な圧延荷重を推定するための圧延荷重推定装置であって、
過去の操業における各コイルの操業因子設定条件と実績伸び率および実績圧延荷重のデータを蓄積しておく手段と、
予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率の、過去の操業における操業因子設定条件と実績伸び率の類似度から実績圧延荷重のデータに重み付けを行う手段と、
その重みを考慮して、蓄積した実績圧延荷重から次コイルの圧延荷重予測値を計算する手段と
を備えていることを特徴とする鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定装置。

0022

[5]鋼帯の調質圧延において、目標の伸び率を実現するために必要な圧延荷重を推定するための圧延荷重推定装置であって、
過去の操業における各コイルの操業因子設定条件に基づいて、物理モデルを基礎とした圧延荷重計算手法を用いて、過去の操業における各コイルの計算圧延荷重を得る手段と、
過去の操業における各コイルの操業因子設定条件と実績伸び率および圧延荷重比(実績圧延荷重と計算圧延荷重の比)のデータを蓄積しておく手段と、
予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率の、過去の操業における操業因子設定条件と実績伸び率の類似度から、圧延荷重比のデータに重み付けを行う手段と、
その重みを考慮して、蓄積した圧延荷重比のデータから次コイルに適切な圧延荷重比(圧延荷重実績/計算圧延荷重)の値を求める手段と、
上記物理モデルを基礎とした圧延荷重計算手法を用いて、次コイルの計算圧延荷重を得る手段と、
次コイルに適切な圧延荷重比の値を次コイルの計算圧延荷重に掛けることによって、次コイルの圧延荷重予測値を計算する手段と
を備えていることを特徴とする鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定装置。

0023

[6]前記物理モデルとして有限要素法を用い、操業因子設定条件と目標伸び率を各種変更して計算した計算圧延荷重のデータを蓄積しておく手段と、
予測対象である次コイルの操業因子設定条件と目標伸び率との類似度から、前記計算圧延荷重のデータに重み付けを行う手段と、
その重みを考慮して求めたものを次コイルの計算圧延荷重とする手段と
を備えていることを特徴とする前記[5]に記載の鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定装置。

0024

[7]鋼帯を製造するに際して、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定方法を用いて鋼帯の調質圧延を行うことを特徴とする鋼帯の製造方法。

0025

[8]鋼帯を製造するに際して、前記[4]〜[6]のいずれかに記載の鋼帯の調質圧延の圧延荷重推定装置を用いて鋼帯の調質圧延を行うことを特徴とする鋼帯の製造方法。

発明の効果

0026

本発明においては、鋼帯の調質圧延を行うに際して、オンラインで使用可能な程度の短い計算時間で精度良く圧延荷重を推定することができる。

図面の簡単な説明

0027

調質圧延設備の模式図である。
本発明の実施形態1を示す図である。
本発明の実施形態2を示す図である。
本発明の実施形態3を示す図である。

0028

本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。

0029

まず、図1は、本発明の実施形態において適用対象となる調質圧延設備の模式図である。図1に示すように、この調質圧延設備は、冷延鋼帯1の調質圧延を行うものであり、ワークロール2と、バックアップロール3と、圧延機ハウジング4と、圧延機モータ5を備えている。

0030

そして、潤滑状態ドライ(潤滑剤無し)、ないし、非常に潤滑性の低い潤滑剤が適用されることが好ましい。ロール表面ブライトと呼ばれる円筒研磨表面でも、ショットブラスト加工方式、放電ダル加工方式、レーザーダル加工方式、電子ビームダル加工方式などによりダル加工されたものでも良い。さらに、摩耗対策としてロール表面をクロムめっきしたものでも良い。なお、本発明の実施形態が適用される鋼帯の材質に特に制限はなく、溶融めっき電気めっきの施された鋼帯に対しても適用することができる。

0031

ここで、圧延荷重は圧延機ハウジング内に設置されたロードセルにより測定されることが一般的である。また、伸び率ε[%]は、圧延機前後に設置されたブライドルロール(不図示)の回転速度vin、voutから、次の(1)式として計算される。

0032

0033

次に、本発明の実施形態の詳細について、実施形態1〜3として以下に述べる。

0034

[実施形態1]
図2は、本発明の実施形態1における実施フローを示したものであり、図2中、6は圧延ライン(圧延機を表すブロック)、7は操業用計算機プロセスコンピュータ)、8は圧延荷重設定値計算コンピュータである。以下、図2を用いて本発明の実施形態1を説明する。

0035

本発明の実施形態1では、圧延荷重設定値計算用コンピュータ8に、過去に圧延された各コイルの操業因子設定条件、実績伸び率、実績圧延荷重をデータベースとして保存しておく。データベースには最新のデータを順次追記してことが好ましい。蓄積データ数原理的には多いほど好ましいが、多すぎると経時変化に対する調整力が低減してしまうので好ましくない。可能な限り鋼種板厚範囲最終圧延スタンドロール表面種類(円筒研磨、ダル仕上げ)などの圧延サイクルによってデータベースを分割する方が好ましく、各データベースが3000〜5000コイル分の情報を持っていれば十分な精度での予測が可能となる。蓄積コイル数(蓄積データ数)に限界があることから、最新のデータを追記していく場合には、もっとも古いデータから消去していくことが好ましい。

0036

そして、圧延荷重設定値計算用コンピュータ8は、圧延荷重を予測すべき次コイルについて、操業因子設定条件と目標伸び率の情報が操業用計算機7からもたらされると、データベースに蓄積されている各コイルの操業因子設定条件と実績伸び率の情報から、次コイルの条件とデータベース内の各コイルの条件との類似度を計算する。類似度とはいわば重要度と言うことができ、例えば次の(2)、(3)式で計算することができる。

0037

0038

ここで、wが類似度であり、pは伸び率を含めた操業因子設定条件の数を表し、xiはデータベース内の各コイルの各操業因子設定条件の値を、qiは圧延荷重設定値(圧延荷重予測値)を計算すべき次コイルの各操業因子設定条件の値を表している。hは類似度の広がりを調整するためのパラメータであり、小さいほど条件の近いデータのみを重要視出来る。操業因子設定条件は、ワークロールの直径、板厚、伸び率、入側張力、出側張力等である。

0039

各コイルの類似度wが計算できれば、類似度を考慮してデータベース内の実績値から次コイルの圧延荷重設定値(圧延荷重予測値)を計算する。計算方法としては、例えば次のような(4)式、(5)式による方法がある。

0040

0041

ここで、φqが圧延荷重設定値であり、次コイルのp個の操業因子設定条件の値xqの一次式の形をとる。各操業因子設定条件にかかる係数βは、上記の類似度を考慮し、下記の(5)式のように計算される。

0042

0043

ここで、kはデータベース中の蓄積コイル数である。yiはi番目過去実績データの圧延荷重であり、φiはそのときの各操業条件xi(ワークロール直径、板厚などの各操業因子)を(4)式に代入して得られる計算荷重である。

0044

このようにして計算された圧延荷重設定値は、操業用計算機7に返され、圧延ライン(調質圧延機)6において、次コイルの先端部が通過する際に出力される。

0045

このように、この実施形態1では、過去に類似条件のコイルを圧延した際の実績を用いるので精度が高い。パラメータ調整メンテナンスを行う必要もない。

0046

ここで示した、操業因子設定条件の類似度計算式重み関数、圧延荷重予測式は、上記のものに限定されるものではなく、例えば操業因子設定条件の類似度を計算する場合は、条件の近いものの数値が大きく、遠いものの数値が小さくなるものであればよい。また、圧延荷重予測式としては、(6)式のような重みを考慮した平均値とすることもできる。

0047

0048

また、データベースは操業の条件に応じて、鋼種、板厚範囲、最終圧延スタンドロール表面種類(円筒研磨、ダル仕上げ)などの圧延サイクル、圧延油種、寸法などにより区分して格納しておくこともできる。この実施形態1における効果として述べた通り、パラメータ調整の必要はないから、細分化することはあらかじめ類似の条件に限定することにもなり、計算時間と精度の点から好ましい。ただし、その場合でも各区分に蓄積されるデータは3000以上と十分に確保できることが好ましい。

0049

このようにして、この実施形態1においては、鋼帯の調質圧延を行うに際して、計算時間も短く精度の良い圧延荷重の推定が可能となる。また、操業因子を増やし、かつ実績データを最新のものに更新していくことで、より高い精度を求めることも可能である。

0050

[実施形態2]
本発明の実施形態2では、上記の実施形態1に対して、物理モデルを基礎とした圧延荷重計算手法を用いることによって、さらに圧延荷重の推定精度を向上させている。

0051

すなわち、本発明の実施形態2においては、物理モデルとして、例えば、非特許文献1や特許文献1、2に示されるような簡易化され計算時間の短いスラブ法を基本とした物理モデルを用いることとし、図3に示すとおり、その物理モデル自体を操業用計算機7内に持っておいて、その物理モデルを基礎とした圧延荷重の計算手法を用いて、過去に圧延された各コイルの圧延荷重を計算し、その計算圧延荷重と実績圧延荷重の誤差としての圧延荷重比(実績圧延荷重/計算圧延荷重)を求める。そして、データベースとして、実施形態1における圧延荷重の代わりに、圧延荷重比を蓄積する。そして、次コイルの設定情報から、上記(2)〜(5)式のロジックにより、次コイルに最適な圧延荷重比を出力し、別途、物理モデルを基礎とした圧延荷重計算手法により計算した次コイルの計算圧延荷重に、その最適な圧延荷重比を掛け合わせることで、圧延荷重設定値(圧延荷重予測値)を算出する。

0052

このようにして、この実施形態2においては、鋼帯の調質圧延を行うに際して、計算時間も短く精度の良い圧延荷重の推定が可能となる。また、操業因子を増やし、かつ実績データを最新のものに更新していくことで、より高い精度を求めることも可能である。さらに、物理モデルの誤差が大きい条件が明らかになるので、物理モデル自体の精度向上も図ることができ、一層の精度向上が可能である。

0053

[実施形態3]
本発明の実施形態3では、上記の実施形態2に対して、物理モデルとして、計算圧延荷重の精度が良い非特許文献2のような有限要素法を用い、非特許文献2にも記載されている市販の有限要素法ソフトにより操業条件の寸法や材料定数を入力したモデルを作成して計算することによって、圧延荷重の推定精度をより一層向上させている。

0054

すなわち、本発明の実施形態3においては、図4に示すとおり、物理モデル圧延荷重計算用コンピュータ9を備えていて、圧延荷重設定値計算用コンピュータ8内の実績データベース(蓄積過去データ)に対応する、有限要素法計算圧延荷重データベース(蓄積有限要素法計算圧延荷重データ)を作成するようにしている。そのため、各操業因子の設定条件範囲を網羅した条件で有限要素法による圧延荷重計算を行っておく。具体的には、伸び率を含めてp個の操業因子に対し、想定される変動範囲上下限2条件以上に変更した、2p個以上の有限要素法計算圧延荷重データを予め作成する。そして、そのデータを蓄積した有限要素法計算圧延荷重データベースを利用して、上記の実施形態2と同様の手順で圧延荷重設定値(圧延荷重予測値)を計算する。

0055

このようにして、この実施形態3においては、鋼帯の調質圧延を行うに際して、計算時間も短く精度の良い圧延荷重の推定が可能となる。また、操業因子を増やし、かつ実績データを最新のものに更新していくことで、より高い精度を求めることも可能である。さらに、物理モデルの誤差が大きい条件が明らかになるので、物理モデル自体の精度向上も図ることができ、一層の精度向上が可能である。

0056

本発明の実施例として、ワークロール径(直径)570〜630mm、バックアップロール径(直径)2000mm(ともに胴長1400mm)の4段式圧延スタンド(ワークロール材質:5%クロム鍛鋼)を調質圧延機として用いて、鋼帯(低炭素鋼降伏応力:200MPa)を供試材として、調質圧延を行った。潤滑はドライとした。

0057

圧延条件を下記の通り適宜変更した圧延を5000コイル分行って、圧延データを蓄積した。

0058

板厚:0.4〜1.0mm
板幅:900〜1150mm
ワークロール表面平均粗さ(加工目標値):1〜3μmRa
前方張力目標値:49〜98MPa
後方張力目標値:49〜98MPa
伸び率:0.5〜5%

0059

そして、上記圧延における実績圧延荷重に対する圧延荷重予測値(圧延荷重設定値)の予測精度(予測誤差)を従来例と本発明例とで比較した。ここで、予測誤差とは、実際の圧延荷重と圧延荷重予測値の差を実際の圧延荷重で除したものである。
予測誤差={(実際の圧延荷重−圧延荷重予測値)/実際の圧延荷重}×100%

0060

まず、従来例1として、特許文献2に記載の方法で圧延荷重の予測を行ったところ、予測誤差は5%以内であった。

0061

また、従来例2として、非特許文献2に記載の方法で圧延荷重の予測を行ったところ、予測誤差は3%以内であった。

0062

次に、本発明例1として、本発明の実施形態1に基づいて、圧延荷重の予測を行った。すなわち、上記圧延データを蓄積過去データとした。その結果、予測誤差は1.5%以内であった。

0063

次に、本発明例2として、本発明の実施形態2に基づいて、圧延荷重の予測を行った。すなわち、上記従来例1で計算される計算圧延と実績圧延荷重との比を実績データとして蓄積し、それを利用して圧延荷重予測値を計算した。その結果、予測誤差は1.2%であった。

0064

次に、本発明例3として、本発明の実施形態3に基づいて、圧延荷重の予測を行った。すなわち、上記の圧延条件の範囲の上限と下限を上限値と下限値として設定した128条件(2の7乗)について、非特許文献2に記載の方法で圧延荷重の計算を行い、これを有限要素法計算圧延荷重データとして蓄積し、それを利用して圧延荷重予測値を計算した。その結果、予測誤差は1%以内であった。

0065

なお、本発明例では、いずれも圧延荷重の計算に要する時間(本発明例3では、有限要素法計算圧延荷重データの蓄積が既に行われている)は、1秒以下であり、従来例と同様の短時間であった。すなわち、本発明では従来例と同様のごく短時間で計算が可能であり、かつ、圧延荷重の予測精度が従来例よりも高かった。

実施例

0066

以上のことから、本発明の有効性が確認された。

0067

本発明方法を用いて鋼帯の調質圧延荷重を設定すれば、煩雑なパラメータ設定を必要とせずに且つオンラインの設定計算モデルとして実現可能な計算時間により、従来技術に比べて調質圧延荷重を精度良く設定できる。よって、鋼帯の伸び率を圧延開始から目標範囲に収めて材質(鋼帯の機械的性質)を目標通りに作りこめるとともに、形状も安定したものとなるなど、工業上有用な効果をもたらすことを期待できる。

0068

冷延鋼板
2ワークロール
3バックアップロール
4圧延機ハウジング
5圧延機モータ
6圧延ライン(圧延機を表すブロック)
7操業用計算機(プロセスコンピュータ)
8圧延荷重設定値計算用コンピュータ
9物理モデル圧延荷重計算用コンピュータ

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