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図面 (5)

課題

製鉄所で発生したCO2を有効に利用し、実質のCO2発生量を削減することができる製鉄所の操業方法及びCO2ガス分解装置を提供する。

解決手段

製鉄所の副生ガスに含まれる少なくとも二酸化炭素ガスを、電圧印加された溶融塩中に通過もしくは上記溶融塩に接触させて該溶融塩中の二酸化炭素ガスを固体炭素酸素ガスに分解することにより、実質のCO2の発生量を削減することができる。生成された少なくとも固体炭素を溶融塩中から回収した後、製鉄所内の設備において燃料還元剤、炭加材として利用し、酸素ガスを製鉄所内の転炉加熱炉設備等の助燃ガス酸化材として利用することにより、製鉄所において発生したCO2を有効に利用した製鉄所の操業を実施することができる。

概要

背景

CO2ガスの増加による地球温暖化国際的な問題として大きく取り上げられており、その排出量を削減することが全世界的な課題となっている。そのため、様々な設備から発生するガスからCO2ガスを分離回収するための技術開発が行われているが、回収したCO2ガスをどのように利用するかについては、有効な提案がなされていないのが現状である。

すなわち、これまで、回収したCO2ガスを地中に埋める技術、いわゆるCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)が欧州や米国、日本などを中心に盛んに研究されている。しかし、この技術は、CO2ガスを地中に埋めた後の安全性の観点から、特に地震国である日本においては、社会的合意が得られにくいだけでなく、財団法人地球環境産業技術研究機構RITE)の試算によれば、近海を含む日本付近でのCO2の埋設可能量を排出量で除した値、すなわち寿命は、わずか50年〜100年程度であるとされている。したがって、少なくとも日本においては、CCSはCO2ガス排出削減のための抜本的な解決策にはなりにくいと考えられる。

ところで、統計によれば、日本のCO2ガス排出量は、発電に伴うものが約30%、鉄鋼生産に伴うものが10%であり、その他は、運輸部門、民生部門が大きな割合を占めている。このうち、発電所では、石炭石油天然ガス化学エネルギーを、それら化石燃料の完全酸化によって電力エネルギーに変換するため、化石燃料に含まれる炭素が酸化され、化石燃料の使用量に応じたCO2ガスが必然的に排出されることになる。
しかし、このような化石燃料による発電は、長期的には太陽光発電風力発電潮力発電などのいわゆるソフト・エネルギーの利用、バイオマス発電、原子力発電の普及により、徐々に減少するものと予想される。

一方、製鉄所における鉄鋼生産においては、種々のプロセスにおいてCO2ガスが発生するが、最大の発生源高炉プロセスである。この高炉プロセスにおけるCO2ガスの発生は、酸化鉄である鉄鉱石還元材の炭素により還元し、鉄鉱石中酸素を除去することに起因する。

高炉プロセスでは、高炉下部から1000℃以上の熱風送風し、コークス燃焼させ、鉄鉱石の還元や溶解に必要な熱を供給するとともに、還元ガスCOガス)を生成させ、この還元ガスで鉄鉱石を還元し、溶銑を得る。そのため、鉄鋼生産においてもCO2ガスが発生することとなる。

上記高炉プロセスにおいてCO2ガスを発生させない鉄鉱石の還元方法としては、還元ガスとして水素を用いることが考えられる。高炉に水素を吹き込んだ場合、鉄鉱石の水素による還元は下記(1)式で表される。また、コークスなどの燃焼により発生するCOガスによる還元は下記(2)式で表される。
Fe2O3+3H2=2Fe+3H2O ΔH=100.1kJ/mol(吸熱) (1)
Fe2O3+3CO=2Fe+3CO2 ΔH=−23.4kJ/mol(発熱) (2)

式(1)から明らかなように、水素による還元は吸熱反応であるため、水素を高炉に直接吹き込んだ場合、炉下部の熱を奪い、鉄鉱石の還元及び溶解に必要な熱が不足するおそれがあり、炉下部の熱補償が必要となる。従って、水素による還元は、実際の高炉操業においては難しいのが現状である。

以上の背景の下、特許文献1には、高炉で発生した高炉ガス触媒の存在下でジメチルエーテルと反応させ、ジメチルエーテルと高炉ガスに含まれるCO2ガスとをCOガスと水素に改質することにより、発生したCO2ガスを低減する方法が開示されている。

概要

製鉄所で発生したCO2を有効に利用し、実質のCO2発生量を削減することができる製鉄所の操業方法及びCO2ガスの分解装置を提供する。製鉄所の副生ガスに含まれる少なくとも二酸化炭素ガスを、電圧印加された溶融塩中に通過もしくは上記溶融塩に接触させて該溶融塩中の二酸化炭素ガスを固体炭素酸素ガスに分解することにより、実質のCO2の発生量を削減することができる。生成された少なくとも固体炭素を溶融塩中から回収した後、製鉄所内の設備において燃料還元剤、炭加材として利用し、酸素ガスを製鉄所内の転炉加熱炉設備等の助燃ガス酸化材として利用することにより、製鉄所において発生したCO2を有効に利用した製鉄所の操業を実施することができる。

目的

本発明の目的は、製鉄所から排出されるCO2ガスの実質的な排出量を低減するとともに、排出されたCO2ガスを有効利用できる製鉄所の操業方法及びCO2ガスの分解装置を提案することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

製鉄所副生ガスに含まれる少なくとも二酸化炭素ガスを、電圧印加された溶融塩中に通過もしくは前記溶融塩に接触させて該溶融塩中の二酸化炭素ガスを固体炭素酸素ガスに分解し、少なくとも固体炭素を回収した後、製鉄所において利用することを特徴とする製鉄所の操業方法

請求項2

前記電圧の印加は、少なくとも1つの陽極及び少なくとも1つの陰極からなる電極を用いて行い、前記陽極は内側に金属電極が配置された一端閉管のZrO2系固体電解質を備えることを特徴とする、請求項1に記載の製鉄所の操業方法。

請求項3

前記溶融塩は金属酸化物金属塩化物とからなり、前記印加された電圧は前記金属酸化物の分解電圧以上である、請求項1または2に記載の製鉄所の操業方法。

請求項4

前記分解された酸素ガスを回収して製鉄所において利用する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

請求項5

前記回収された酸素ガスを、製鉄所における助燃ガスまたは酸化剤として利用する、請求項4に記載の製鉄所の操業方法。

請求項6

前記回収された酸素ガスを高炉において利用する、請求項4に記載の製鉄所の操業方法。

請求項7

前記副生ガスから分離回収した二酸化炭素ガスを、前記溶融塩中に通過もしくは前記溶融塩に接触させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

請求項8

前記回収された固体炭素を洗浄する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

請求項9

前記固体炭素の洗浄は、水、エタノールアセトン塩酸硫酸硝酸酢酸マロン酸蟻酸ショ糖水のうちの1種類以上を用いて行う、請求項8に記載の製鉄所の操業方法。

請求項10

前記洗浄された固体炭素を乾燥する、請求項8または9に記載の製鉄所の操業方法。

請求項11

前記乾燥された固体炭素をコークス炉コークス化する石炭原料の一部と置き換えてコークス化し、得られたコークスを高炉における還元剤として利用する、請求項10に記載の製鉄所の操業方法。

請求項12

前記乾燥された固体炭素を、高炉における補助還元剤として利用する、請求項10に記載の製鉄所の操業方法。

請求項13

前記乾燥された固体炭素を、製鉄所における熱源として利用する、請求項10に記載の製鉄所の操業方法。

請求項14

前記乾燥された固体炭素を、製鉄所内における加炭剤として利用する、請求項10に記載の製鉄所の操業方法。

請求項15

前記副生ガスから前記一酸化炭素ガスを分離回収し、該回収された一酸化炭素ガスを製鉄所における熱源として利用する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

請求項16

前記副生ガスから前記一酸化炭素ガスを分離回収し、該回収された一酸化炭素ガスを製鉄所における還元剤として利用する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

請求項17

原料ガスに含まれる二酸化炭素ガスを、電圧を印加した溶融塩に通過させて該溶融塩中の二酸化炭素ガスを固体炭素と酸素ガスに分解する二酸化炭素ガス分解装置であって、前記溶融塩を収容する電解槽と、少なくとも1つの陽極と少なくとも1つの陰極とからなり、前記溶融塩に電圧を印加する電極と、前記原料ガスを前記溶融塩中に導入する原料ガス導入管であって、該原料ガス導入管の表面に前記原料ガスの気泡を発生させる複数の吹き込み孔を有する原料ガス導入管と、を備え、前記電極は前記気泡の発生域の上方に配置されていることを特徴とする二酸化炭素ガスの分解装置。

請求項18

前記陽極は内側に金属電極が配置された一端閉管のZrO2系固体電解質を備えることを特徴とする、請求項17に記載の二酸化炭素ガスの分解装置。

請求項19

前記陽極の数は前記陰極の数よりも多い、請求項17または18に記載の二酸化炭素ガスの分解装置。

請求項20

前記吹き込み孔は、前記陰極の下方に配置されている、請求項17〜19のいずれか一項に記載の二酸化炭素ガスの分解装置。

技術分野

0001

本発明は製鉄所操業方法及び二酸化炭素(CO2)ガス分解装置に関し、特に、製鉄所の副生ガスに含まれるCO2ガスを、電圧印加された溶融塩中に通過もしくは上記溶融塩に接触させて固体炭素酸素ガスに分解することにより、製鉄所におけるCO2ガスの実質的な発生量を低減するとともに、少なくともCO2ガスから固体炭素を回収し、製鉄所において資源として再利用する製鉄所の操業方法及びCO2ガスの分解装置に関するものである。

背景技術

0002

CO2ガスの増加による地球温暖化国際的な問題として大きく取り上げられており、その排出量を削減することが全世界的な課題となっている。そのため、様々な設備から発生するガスからCO2ガスを分離回収するための技術開発が行われているが、回収したCO2ガスをどのように利用するかについては、有効な提案がなされていないのが現状である。

0003

すなわち、これまで、回収したCO2ガスを地中に埋める技術、いわゆるCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)が欧州や米国、日本などを中心に盛んに研究されている。しかし、この技術は、CO2ガスを地中に埋めた後の安全性の観点から、特に地震国である日本においては、社会的合意が得られにくいだけでなく、財団法人地球環境産業技術研究機構RITE)の試算によれば、近海を含む日本付近でのCO2の埋設可能量を排出量で除した値、すなわち寿命は、わずか50年〜100年程度であるとされている。したがって、少なくとも日本においては、CCSはCO2ガス排出削減のための抜本的な解決策にはなりにくいと考えられる。

0004

ところで、統計によれば、日本のCO2ガス排出量は、発電に伴うものが約30%、鉄鋼生産に伴うものが10%であり、その他は、運輸部門、民生部門が大きな割合を占めている。このうち、発電所では、石炭石油天然ガス化学エネルギーを、それら化石燃料の完全酸化によって電力エネルギーに変換するため、化石燃料に含まれる炭素が酸化され、化石燃料の使用量に応じたCO2ガスが必然的に排出されることになる。
しかし、このような化石燃料による発電は、長期的には太陽光発電風力発電潮力発電などのいわゆるソフト・エネルギーの利用、バイオマス発電、原子力発電の普及により、徐々に減少するものと予想される。

0005

一方、製鉄所における鉄鋼生産においては、種々のプロセスにおいてCO2ガスが発生するが、最大の発生源高炉プロセスである。この高炉プロセスにおけるCO2ガスの発生は、酸化鉄である鉄鉱石還元材の炭素により還元し、鉄鉱石中酸素を除去することに起因する。

0006

高炉プロセスでは、高炉下部から1000℃以上の熱風送風し、コークス燃焼させ、鉄鉱石の還元や溶解に必要な熱を供給するとともに、還元ガスCOガス)を生成させ、この還元ガスで鉄鉱石を還元し、溶銑を得る。そのため、鉄鋼生産においてもCO2ガスが発生することとなる。

0007

上記高炉プロセスにおいてCO2ガスを発生させない鉄鉱石の還元方法としては、還元ガスとして水素を用いることが考えられる。高炉に水素を吹き込んだ場合、鉄鉱石の水素による還元は下記(1)式で表される。また、コークスなどの燃焼により発生するCOガスによる還元は下記(2)式で表される。
Fe2O3+3H2=2Fe+3H2O ΔH=100.1kJ/mol(吸熱) (1)
Fe2O3+3CO=2Fe+3CO2 ΔH=−23.4kJ/mol(発熱) (2)

0008

式(1)から明らかなように、水素による還元は吸熱反応であるため、水素を高炉に直接吹き込んだ場合、炉下部の熱を奪い、鉄鉱石の還元及び溶解に必要な熱が不足するおそれがあり、炉下部の熱補償が必要となる。従って、水素による還元は、実際の高炉操業においては難しいのが現状である。

0009

以上の背景の下、特許文献1には、高炉で発生した高炉ガス触媒の存在下でジメチルエーテルと反応させ、ジメチルエーテルと高炉ガスに含まれるCO2ガスとをCOガスと水素に改質することにより、発生したCO2ガスを低減する方法が開示されている。

先行技術

0010

特開2009−192125号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、特許文献1の方法で用いられるジメチルエーテルは、石炭、石油又は天然ガスをCO及び水素ガスなどの合成ガスに一旦変換し、さらにその合成ガスから製造されるものであるため、製造コストが高い。
また、その製造工程においてエネルギーが投入されることからCO2ガスが新たに発生し、CO2ガスの実質的な発生量は低減されない問題があった。
そこで本発明の目的は、製鉄所から排出されるCO2ガスの実質的な排出量を低減するとともに、排出されたCO2ガスを有効利用できる製鉄所の操業方法及びCO2ガスの分解装置を提案することにある。

課題を解決するための手段

0012

発明者らは、上記課題を解決するための方途について鋭意検討した。そのために、製鉄所において発生したCO2ガス量を低減する方法について検討した。その結果、製鉄所の副生ガスに含まれるCO2ガスを、電圧が印加された溶融塩中に通過もしくは上記溶融塩に接触させ該溶融塩に通過もしくは溶融塩に接触させたCO2ガスを固体炭素と酸素ガスとに分解することにより、製鉄所におけるCO2ガスの実質的な発生量を低減できることを見出した。さらに、上記分解により得られた少なくとも固体炭素を回収して洗浄することにより、製鉄所において資源として再利用できることも見出し、本発明を完成させるに至った。

0013

すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)製鉄所の副生ガスに含まれる少なくとも二酸化炭素ガスを、電圧が印加された溶融塩中に通過もしくは前記溶融塩に接触させて該溶融塩中の二酸化炭素ガスを固体炭素と酸素ガスに分解し、少なくとも固体炭素を回収した後、製鉄所において利用することを特徴とする製鉄所の操業方法。

0014

(2)前記電圧の印加は、少なくとも1つの陽極及び少なくとも1つの陰極からなる電極を用いて行い、前記陽極は内側に金属電極が配置された一端閉管のZrO2系固体電解質を備えることを特徴とする、前記(1)に記載の製鉄所の操業方法。

0015

(3)前記溶融塩は金属酸化物金属塩化物とからなり、前記印加された電圧は前記金属酸化物の分解電圧以上である、前記(1)または(2)に記載の製鉄所の操業方法。

0016

(4)前記分解された酸素ガスを回収して製鉄所において利用する、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

0017

(5)前記回収された酸素ガスを、製鉄所における助燃ガスまたは酸化剤として利用する、前記(4)に記載の製鉄所の操業方法。

0018

(6)前記回収された酸素ガスを高炉において利用する、前記(4)に記載の製鉄所の操業方法。

0019

(7)前記副生ガスから分離回収した二酸化炭素ガスを、前記溶融塩中に通過もしくは前記溶融塩に接触させる、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

0020

(8)前記回収された固体炭素を洗浄する、前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

0021

(9)前記固体炭素の洗浄は、水、エタノールアセトン塩酸硫酸硝酸酢酸マロン酸蟻酸ショ糖水のうちの1種類以上を用いて行う、前記(8)に記載の製鉄所の操業方法。

0022

(10)前記洗浄された固体炭素を乾燥する、前記(8)または(9)に記載の製鉄所の操業方法。

0023

(11)前記乾燥された固体炭素をコークス炉コークス化する石炭原料の一部と置き換えてコークス化し、得られたコークスを高炉における還元剤として利用する、前記(10)に記載の製鉄所の操業方法。

0024

(12)前記乾燥された固体炭素を、高炉における補助還元剤として利用する、前記(10)に記載の製鉄所の操業方法。

0025

(13)前記乾燥された固体炭素を、製鉄所における熱源として利用する、前記(10)に記載の製鉄所の操業方法。

0026

(14)前記乾燥された固体炭素を、製鉄所内における加炭剤として利用する、前記(10)に記載の製鉄所の操業方法。

0027

(15)前記副生ガスから前記一酸化炭素ガスを分離回収し、該回収された一酸化炭素ガスを製鉄所における熱源として利用する、前記(1)〜(14)のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

0028

(16)前記副生ガスから前記一酸化炭素ガスを分離回収し、該回収された一酸化炭素ガスを製鉄所における還元剤として利用する、前記(1)〜(14)のいずれか一項に記載の製鉄所の操業方法。

0029

(17)原料ガスに含まれる二酸化炭素ガスを、電圧を印加した溶融塩に通過させて該溶融塩中の二酸化炭素ガスを固体炭素と酸素ガスに分解する二酸化炭素ガス分解装置であって、
前記溶融塩を収容する電解槽と、
少なくとも1つの陽極と少なくとも1つの陰極とからなり、前記溶融塩に電圧を印加する電極と、
前記原料ガスを前記溶融塩中に導入する原料ガス導入管であって、該原料ガス導入管の表面に前記原料ガスの気泡を発生させる複数の吹き込み孔を有する原料ガス導入管と、
を備え、前記電極は前記気泡の発生域の上方に配置されていることを特徴とする二酸化炭素ガスの分解装置。

0030

(18)前記陽極は内側に金属電極が配置された一端閉管のZrO2系固体電解質を備えることを特徴とする、前記(17)に記載の二酸化炭素ガスの分解装置。

0031

(19)前記陽極の数は前記陰極の数よりも多い、前記(17)または(18)に記載の二酸化炭素ガスの分解装置。

0032

(20)前記吹き込み孔は、前記陰極の下方に配置されている、前記(17)〜(19)のいずれか一項に記載の二酸化炭素ガスの分解装置。

発明の効果

0033

本発明によれば、製鉄所の副生ガスに含まれるCO2ガスを溶融塩中に通過もしくは溶融塩に接触させて固体炭素と酸素ガスに分解(還元)することにより、CO2ガスの発生量を実質的に削減することができる。
また、生成された固体炭素を溶融塩中から回収して洗浄することにより、例えば転炉等での熱源や加炭剤として、或いは高炉での還元剤として再利用することができ、高炉において、例えばコークスの使用量を低減した低還元材比による操業を実施し、製鉄所内で熱源が不足した場合にも、燃料の不足分を適切に補うことができる。
更に、分解により発生する酸素ガスについても、製鉄所内の転炉や加熱炉設備等の助燃ガスや酸化剤として有効利用することができる。

図面の簡単な説明

0034

本発明の製鉄所の操業方法の一実施形態の処理フローを示す図である。
CO2ガスの分解を説明する図である。
本発明の製鉄所の操業方法の好適な実施形態の処理フローを示す図である。
本発明のCO2ガスの分解装置の一例を示す図である。

0035

以下、図面を参照して、本発明の製鉄所の操業方法について説明する。図1は、本発明の製鉄所の操業方法の一実施形態の処理フローを示す図である。本発明の、製鉄所の操業方法は、製鉄所の副生ガス(例えば高炉ガス)に含まれる少なくともCO2ガスを、電圧が印加された溶融塩中に通過もしくは溶融塩に接触させて該溶融塩中のCO2ガスを固体炭素と酸素ガスに分解し、少なくとも固体炭素を回収し、該回収された固体炭素を洗浄した後、製鉄所において利用する。
ここで、「副生ガスに含まれる少なくともCO2ガスを、電圧が印加された溶融塩中に通過させる」とは、副生ガス自体を電圧が印加された溶融塩中に通過させる、或いは副生ガスからCO2ガスを分離回収し、該回収されたCO2ガスを電圧が印加された溶融塩中に通過させることを意味している。以下、副生ガス自体を溶融塩中に通過させる場合を例に、本発明の製鉄所の操業方法における各工程について説明する。分離回収されたCO2ガスを溶融塩中に通過させる場合については後述する。

0036

まず、製鉄所において発生した副生ガスを、電圧が印加された溶融塩中に通過させて溶融塩中のCO2ガスを固体炭素と酸素ガスに分解する。図2は、CO2ガスの固体炭素と酸素ガスへの分解を説明する図である。この図において、溶融塩の材料を電解槽に投入し、ヒーター(図示せず)により溶融塩材料を加熱して溶融塩とする。次いで、この溶融塩中に副生ガス、例えば高炉ガスを通過させて、該副生ガスに含まれるCO2ガスを溶融塩中に通過させる。その後、陽極と陰極との間に所定の電圧を印加することにより、溶融塩中に通過させたCO2ガスが分解されて固体炭素と酸素ガスが生成される。

0037

(CO2ガスの分解の原理
ここで、溶融塩としてCaO及びCaCl2の混合物を用いた場合を例に、CO2ガスの分解の原理について詳細に説明する。まず、電解槽に投入されたCaO及びCaCl2を液相線温度(例えば780℃)まで加熱すると、CaO及びCaCl2が溶融されて溶融塩が得られる。ここで、溶融塩を構成するCaOの大部分はCa2+及びO2−となる。
CaO →Ca2++O2− (3)
また、CaCl2は分子として存在するほか、Ca2+及びCl−として存在する。
次いで、ZrO2系固体電解質からなる陽極と、金属板、例えばSUS304や316ステンレス鋼からなる陰極との間にCaOの分解電圧以上、CaCl2の分解電圧以下の電圧を印加すると、Ca2+イオンは、陰極において電子を受け取ってCa原子となる。
Ca2++2e−→ Ca (4)

0038

アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、空気中ではただちに酸化されてしまうため、酸化物として存在するが、Ca2+イオンは、上記電気分解により陰極にて電子を受け取り、溶融塩中では極性を持たないCa原子として陰極から溶融塩に拡散する。こうして生成されたCa原子は非常に高い還元能力を有しているため、溶融塩を通過したCO2ガスを還元する結果、固体炭素が生成されるのである。
2Ca+CO2→ C+2CaO (5)

0039

ここで、副生成物としてCaOが生成されるが、このCaOは、溶融塩中ではCa2+及びO2−になる。こうして、陰極においては、生成されたCa原子がCO2ガスを還元して固体炭素が生成される。

0040

上記式(5)の反応は、CO2を溶融塩中に溶解させてCO32−とすることなく、CO2を直接還元することから、反応速度が速いのが特徴である。また、本反応は陰極ではなく、Ca原子が存在する溶融塩中で起こり、反応によって発生した固体炭素は溶融塩よりも密度が軽いことから溶融塩表面に浮上する。したがって、溶融塩の表面を掬い取ることにより、固体炭素を容易に回収することができる。

0041

一方、陽極においては、O2−イオンから電子が取り除かれて酸素ガスが発生する。
2O2− → O2+4e− (6)

0042

ここで、陽極材として固体電解質の一端閉管を使用することにより、酸素が溶融塩外で発生し、純度の高い酸素が得られる。すなわち、一端閉管の固体電解質の内側に金属電極を設置することにより、溶融塩内のO2−イオンが固体電解質を透過し、透過したO2−イオンが、一端閉管の固体電解質の内部で電子が取り除かれて酸素になり、酸素は固体電解質の内部を通って内側の開放部から溶融塩外に開放させることにより、溶融塩内を通過することなく、純酸素が得られる。酸素は、一端閉管の固体電解質と金属電極の間に充填された黒鉛粉末等の充填層を抜けて回収させる。
O2−溶融塩 → O2−固体電解質 →2O2−→ O2+4e−(7)
こうして、副生ガスに含まれるCO2ガスが還元され、陽極においては、固体電解質の内側から酸素ガスが発生し、固体炭素が溶融塩中で生成される。

0043

以上、副生ガスを溶融塩中に通過させる場合を例に、CO2ガスが分解される原理について説明したが、副生ガスを溶融塩中に通過させず、電圧が印加された溶融塩の表面に接触させる場合にも、CO2ガスは分解される。以下、CO2ガスを分解するための要件について説明する。

0044

製鉄所の副生ガスとしては、少なくともCO2ガスを含んでいればよく、その種類は問わない。例えば、高炉ガスや転炉ガスを代表的なものとして挙げることができるが、これらに限定されず、コークス炉ガス加熱炉燃焼排ガス等を用いることもできる。このうち、CO2ガスの削減効果が高く、分解後に得られる固体炭素と酸素ガスの量が多いことから、高炉ガスを用いることが好ましい。
ここで、溶融塩中に通過させる副生ガスは、CO2ガスの削減効果は最大となることから、その全量を通過させることが好ましいが、一部のみを通過させるようにしてもよい。

0045

また、副生ガスに含まれるCO2ガスの濃度は、副生ガスをそのまま溶融塩中へ導く場合には、CO2ガスを効率的に分解する点から高いことが好ましい。副生ガスとして高炉ガス、転炉ガス、加熱炉燃焼排ガスを用いる場合、CaやLi等の金属原子とCO2との反応頻度が向上して分解を効率的に行えることから、CO2ガスの濃度は15体積%以上であることが好ましい。

0046

溶融塩の材料としては、金属塩化物と金属酸化物の混合物を用いる。金属塩化物としては、アルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物のうちの1種以上を、また金属酸化物としては、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物のうちの1種以上との混合物を用いる。

0047

ここで、アルカリ金属塩化物としては、LiCl、NaCl、KCl等を、アルカリ土類金属塩化物としては、MgCl2、CaCl2等をそれぞれ用いることができる。
また、アルカリ金属酸化物としては、Li2O、Na2O、K2O等を、アルカリ金属土類酸化物としてはMgO、CaO等をそれぞれ用いることができる。

0048

また、溶融塩には金属酸化物が含まれる必要があるが、溶融塩に含まれる金属酸化物の割合は、分解効率の点から、溶融時における金属酸化物の金属塩化物への溶解度が飽和するような割合とすることが好ましい。

0049

溶融塩(電極間)に印加する電圧は、金属酸化物の分解電圧以上とする。例えば、溶融塩の材料としてLiCl−Li2Oを用いる場合には、金属酸化物であるLi2Oの理論分解電圧は2.47Vであることから、印加電圧は2.47V以上とする。これは、金属酸化物の分解電圧未満では、還元材となる金属原子が発生しないため、CO2ガスの分解が生じないためである。
ここで、印加電圧は、金属塩化物の分解電圧以下とすることが好ましい。例えば、溶融塩の材料としてLiCl−Li2Oを用いる場合には、塩化物であるLiClの理論分解電圧は3.46Vであるため、3.46V以下とすることが好ましい。印加電圧が金属塩化物の分解電圧を超えると、陽極では酸素ガス以外に塩素ガスも発生する。そこで、印加電圧を塩化物の分解電圧以下とすることにより、塩素ガスの発生が抑制されて酸素ガスのみが発生するため、酸素ガスを製鉄所において再利用する上で都合がよいばかりでなく、塩素ガスの発生により装置材料高温腐食や電解槽における溶融塩材料の減少を防止できる。
また、印加電圧は高いほど通電量が増えて還元剤の生成量が増加するため、CO2の分解量が増えることから、金属酸化物の分解電圧以上金属塩化物の分解電圧以下の範囲において高い値に設定することがより好ましい。

0050

陽極は、ZrO2系固体電解質を用いることが好ましい。ZrO2系固体電解質としては、ジルコニア酸化カルシウム酸化マグネシウム、あるいは酸化イットリウムなどの希土類酸化物を添加した、強度及び靭性などの機械的特性に優れた安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアを用いることができる。このうち特に、イオン伝導性に優れたイットリア安定化ジルコニア(ZrO2-Y2O3)を用いることが好ましい。イットリア安定化ジルコニアには、例えば(株)ニッカトー製のYSZ−8を用いることができる。ZrO2-Y2O3の組成の一例を表1に示す。

0051

また、陰極は、高伝導性を有し、かつ溶融塩の腐食に耐えられる必要があり、ステンレス鋼やインコネル等を用いることができる。腐食性の点から、SUS316ステンレス鋼を用いることが好ましい。

0052

こうして、副生ガスに含まれるCO2ガスを、電圧が印加された溶融塩中に通過もしくは上記溶融塩に接触させ、CO2ガスを固体炭素と酸素ガスに分解することにより、製鉄所において発生したCO2ガスの実質的な発生量を低減することができる。

0053

上記CO2ガスの分解により生成された固体炭素は、製鉄所において資源として再利用することができる。そこで、生成された固体炭素を溶融塩中から回収する。この回収方法は特に限定されないが、生成された固体炭素は、溶融塩の表面に浮上して集まるため、溶融塩の表面から掬い取ることにより回収することができる。

0054

続いて、回収した固体炭素を洗浄し、固体炭素中に混入した溶融塩由来の成分を除去する。これは、洗浄処理が施されていない固体炭素を製鉄所で利用する場合、例えば、高炉で補助還元剤として羽口から投入した場合、溶融塩中に含まれる塩素高炉内に吹き込まれることになり、その結果、スラグ中塩素濃度が高くなり、コンクリートへのスラグリサイクル基準である塩素濃度の上限を超えてリサイクルできなくなる問題が発生するためである。また、転炉などの熱源として利用した場合、塩素が気化することから発塵量が増え、環境問題が発生するためである。

0055

ここで、固体炭素に混入している溶融塩は水に溶解することから、回収された固体炭素を水に浸漬し、水の表面に浮いた固体炭素を回収することにより、高純度の固体炭素を得ることができる。また、溶融塩は、温水、エタノール、アセトンや、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸水の他、酢酸、マロン酸、蟻酸等の有機酸やショ糖(砂糖)水に対してより溶けやすいことから、これらのうちの1つ以上を用いて洗浄することもできる。

0056

こうして得られた固体炭素は、製鉄所において資源として再利用することができる。固体炭素は、高炉での還元剤や補助還元剤、転炉等での熱源や加炭剤として利用することができる。

0057

また、図2に示したように、陽極においては酸素ガスが発生するが、この酸素ガスを回収して、製鉄所内の高炉、転炉、加熱炉設備等の助燃ガスや酸化剤として利用することもできる。

0058

このように、本発明の製鉄所の操業方法により、製鉄所の副生ガスに含まれる少なくとも二酸化炭素を、電圧が印加された溶融塩中に通過もしくは上記溶融塩に接触させて分解することにより、製鉄所で発生するCO2ガスの実質的な発生量を低減することができ、また、生成された固体炭素と酸素ガスを製鉄所における資源として再利用することができる。

0059

上述の本発明の高炉の操業方法においては、CO2ガスの分解の際に、副生ガスを溶融塩中に通過もしくは溶融塩に接触させることにより、副生ガスに含まれるCO2ガスを溶融塩中に通過もしくは溶融塩に接触させているが、図3に示すように、CO2ガスの分解工程の前に、副生ガスからCO2を分離回収する工程を設けてもよい。これにより溶融塩に通過もしくは溶融塩に接触させるCO2の濃度が高められ、CO2ガスの分解処理速度を高めることができる。

0060

副生ガスからCO2ガスを分離回収する方法は特に限定されず、例えば加圧または冷却によりCO2を液化あるいは固化する方法、苛性ソーダアミンなどの塩基性水溶液にCO2を吸収させた後、加熱または減圧により分離回収する方法、活性炭ゼオライト等の吸着剤にCO2を吸着させた後、加熱または減圧により分離回収する方法、CO2分離膜により分離回収する方法等を採用することができる。

0061

また、副生ガスがCO2ガスのみならずCOガスを含む場合には、副生ガスからCO2とCOをそれぞれ分離回収し、得られたCOガスを、例えば製鉄所の熱源及び還元剤として利用することができる。その場合、CO2を分離回収した後にCOを分離回収してもよいし、その逆でもよい。また、CO2とCOを同時に分離回収してもよい。

0062

副生ガスからCOガスを分離回収する方法としては、例えば、銅/活性炭、銅/アルミナ、銅/ゼオライトなどの吸着剤にCOを吸着させた後、加熱又は減圧により分離回収する方法、銅を主要成分とする吸収液にCOを吸収させた後、加熱又は減圧により分離回収する方法などが知られており、これらを含む任意の方法を採用することができる。

0063

さらに、上記の本発明の製鉄所の操業方法において、図3に示すように、固体炭素を回収して洗浄した後に、乾燥することが好ましい。これにより、固体炭素を熱源として利用するにも、固体炭素に含まれる水分を蒸発させるための熱量が奪われることなしに、熱源としての性能を低下させることなく利用することができ、また、原料搬送時やホッパーからの添加時の詰まりを防止することができる。この乾燥処理は、加熱炉や高温槽を用いて行うことができる。

0064

以上の本発明の製鉄所の操業方法により、例えば高炉ガスの20体積%に対してCO2ガスの分解を行う場合、高炉からのCO2排出割合は製鉄所全体の60〜80%程度であり、高炉ガスの一般的な組成は、CO2:15〜25体積%、CO:15〜25体積%、N2:45〜55体積%、水素:0〜5体積%程度であることから、12〜16%程度のCO2ガスの削減効果が得られることとなる。

0065

(CO2ガスの分解装置)
次に、本発明のCO2ガスの分解装置について説明する。図4は、CO2ガスの分解装置の一例を示す図である。このCO2ガスの分解装置1は、原料ガスに含まれるCO2ガスを、電圧を印加した溶融塩に通過させて該溶融塩中のCO2ガスを固体炭素とO2ガスに分解するCO2ガス分解装置であって、溶融塩を収容する電解槽11と、溶融塩に電圧を印加する電極12と、原料ガスを溶融塩中に導入する原料ガス導入管13であって、該原料ガス導入管13の表面に原料ガスの気泡を発生させる複数の吹き込み孔13aを有する原料ガス導入管13とを備える。ここで、電極12は気泡の発生域の上方に配置されていることが肝要である。図4に示した装置1においては、1つの電解槽11に対して4対の電極12を有する構成となっているが、これに限定されない。

0066

発明者らは、本発明の製鉄所の操業方法において、CO2ガスを固体炭素と酸素ガスとに分解する際に、CO2ガスと溶融塩との接触面積を増やすこと、及びCO2ガスと溶融塩との接触時間を長くすることによりCO2ガスの分解効率が向上するとの知見を得て、溶融塩中に原料ガスの気泡を発生させる複数の吹き込み孔を有する原料ガス供給管を用意し、電極が気泡の発生域の上方に配置した下で、原料ガスを溶融塩中に供給することが有効であることを見出した。以下、本発明のCO2ガスの分解装置の各構成について説明する。

0067

電解槽11は、溶融塩を収容する容器であり、電解槽11としては、マグネシアやアルミナを主体とした耐火物を用いることができる。耐久性が高いことから、緻密質マグネシアを用いることが好ましい。

0068

電極12は、少なくとも1つの陽極12a及び少なくとも1つの陰極12bからなり、これらの電極間に電圧を印加することにより、電解槽11に収容された溶融塩に電圧を印加して電気分解させる。

0069

ここで、陽極12aは、一端閉管のZrO2系固体電解質とその内側に存在する金属棒と黒鉛粉末等の電気伝導体とからなり、固体電解質としては、ジルコニアに酸化カルシウムや酸化マグネシウム、あるいは酸化イットリウムなどの希土類酸化物を添加した、強度及び靭性などの機械的特性に優れた安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアを用いることができる。このうち特に、イオン伝導性に優れたイットリア安定化ジルコニア(ZrO2-Y2O3)を用いることが好ましい。

0070

一端閉管のZrO2系固体電解質の形状は、酸素を回収するための開放端があれば特に限定されない。試験管の様に円管の一端を閉じた形状でもよいし、閉止部先端が膨らんだフラスコ状でもよい。また、2枚の平板の側面と底面を閉じて上面の少なくとも一部が開放した形状でもよい。さらに、側面や底面を異なる材質で構成してもよい。

0071

このように、陽極12aにおいて、黒鉛粉末等の電気伝導体を介して金属棒と固体電解質とを導通させることにより、金属棒と固体電解質との間の電気抵抗を低下させるとともに固体電解質全体に均一に電圧を印加することができ、印加した電気エネルギーをCO2ガスの分解に効率よく利用することができる。そして、電気伝導体として、例えば固体粉末を使用する場合、固体電解質の内側表面から発生した酸素ガスを、黒鉛粉末粒子間の空間を通過させて回収することができる。また、黒色粉末に代えて、固体電解質の内側に、通気性を有し酸素ガスが容易に離脱できる、多孔質構造網目構造を有する白金等の金属を用いることもできる。

0072

一方、陰極12bは、高伝導性を有し、かつ溶融塩の腐食に耐えられる必要があり、ステンレス鋼やインコネル等を用いることができる。腐食性の点から、SUS316ステンレス鋼を用いることが好ましい。

0073

原料ガス導入管13は、CO2ガスを含む原料ガスを溶融塩中に供給する管であり、図4に示すように、表面には原料ガスの気泡を発生させる複数の吹き込み孔13aを有している。本発明のCO2ガスの分解装置1においては、原料ガス導入管13に原料ガスを導入すると、原料ガスは、吹き込み孔13aにより、従来よりも小さな気泡として溶融塩中に供給される。これにより、CO2ガスと溶融塩との接触面積が増加して、原料ガスに含まれるCO2ガスの分解効率が向上するのである。

0074

ここで、導入管13には複数の吹き込み孔13aが設けられていることから、少ない数の導入管13により多くのCO2ガスを電解槽11内に供給することができ、導入管1本当たりのCO2の分解量を増加させることができる。また、1箇所から大量のCO2ガスを供給すると、吹き込み部分の攪拌が大きくなってCa2+、O2−の陽極、陰極への流れが妨げられ、Ca原子の生成反応、CO2ガスの分解反応阻害するおそれがあるが、吹き込み孔23aの数あるいは密度を調整して気泡の発生を複数箇所に分散させることにより、上記攪拌を抑制することができる。

0075

また、陽極12a及び陰極12bの数については、CO2ガスの分解反応は、陽極12aでの酸素ガスの発生が律速するため、陽極12aの数を相対的に多くすることにより、CO2ガスの分解効率を高めることができる。

0076

さらに、気泡の発生域、すなわち吹き込み孔13aは、電極12の下方に配置されること(すなわち、電極12が気泡の発生域の上方に配置されること)が肝要である。CO2ガスの分解は、原料ガス(すなわち、CO2ガス)が溶融塩中を浮上して通過する間に行われることから、気泡の発生域を電極12の下方に配置することにより、小さな気泡として供給されるCO2ガスと溶融塩との接触時間が長くなり、CO2ガスの分解効率を向上させることができるのである。このように、本発明のCO2ガスの分解装置1においては、吹き込み孔13により従来よりも小さな気泡として原料ガスを溶融塩に供給すること、及び気泡の発生域を電極の下方に配置してCO2ガスと溶融塩との接触時間を長くすること、により、CO2ガスの分解効率の向上を達成しているのである。

0077

さらにまた、気泡の発生域、すなわち、吹き込み孔13aの水平方向の位置は、CO2ガスの分解が式(5)の反応により起こることから、溶融塩中にCaが多く存在する陰極の下方に配置することが好ましい。これにより、CO2ガスの分解をより効率的に行うことができる。

0078

原料ガス導入管の材料としては、高伝導性を有し、かつ溶融塩の腐食に耐えられる必要があり、ステンレス鋼やインコネル等を用いることができる。耐熱性、腐食性と経済性の点から、SUS316ステンレス鋼を用いることが好ましい。

0079

また、吹き込み孔の径を調節することによりCO2ガスの気泡の径を制御することができる。例えば、CO2ガスの気泡を小さくすることにより、比表面積が大きくなり、式(5)の反応は気泡の表面で起きることから、CO2ガス単位体積当たりの処理量を増加させることができる。具体的な気泡吹き込み孔13aの径は、吹き込み孔13aの数あるいは密度や、ガスの導入速度に応じて適切に設定する。

0080

こうして、本発明のCO2ガス分解装置は、原料ガスの気泡を発生させる複数の吹き込み孔を有する原料ガス導入管を備え、電極が気泡の発生域の上方に配置されるため、原料ガスと溶融塩の接触面積が増加して、原料ガスに含まれるCO2ガスを固体炭素とO2ガスとに効率的に分解することができる。

0081

(副生ガスからCO2ガスを分離回収しない場合)
以下、本発明の実施例について説明する。
図1に示した処理フローに従って製鉄所の操業を行った。副生ガスとしては高炉ガスを用いた。高炉の操業条件は以下の通りである。
・送風量:1112Nm3/t-p
酸素富化量:7.6Nm3/t-p
・送風中湿分:25g/Nm3
送風温度:1150℃
還元材比:497kg/t-p(コークス比:387kg/t-p、微粉炭比:110kg/t-p)
・高炉ガス発生量(dry):1636Nm3/t-p(窒素:54.0体積%,CO2:21.4体積%,CO:21.0体積%,水素:3.6体積%)
・CO2ガス排出量(高炉に供給したCをCO2換算):1539kg/t-p
ここで、「t−p」は、溶銑1トンを意味している。

0082

まず、高炉から発生した高炉ガスの一部を陽極及び陰極をそれぞれ1つ有する二酸化炭素ガスの分解装置の溶融塩中に通過させ、CO2ガスを分解した。その際、陽極の材料、溶融塩の材料及び電極間に印加する電圧を種々に変更して行い、固体炭素及び酸素ガスの発生の有無を調査した。ここで、電気分解時の溶融塩の温度は、CaCl2−CaO及びCaCl2の場合には900℃、LiCl−Li2O及びLiClの場合には650℃とした。
なお、各化合物電解分圧は、酸化物であるCaO及びLi2Oの場合には、それぞれ1.60V及び2.47Vであり、塩化物であるCaCl2及びLiClの場合には、それぞれ3.21V及び3.46Vである。操業条件及び得られた操業結果を表2に示す。

0083

0084

発明例1〜5は、陽極としてZrO2−Y2O3製の一端閉管を用い、印加電圧を金属酸化物であるCaOの分解電圧以上、塩化物であるCaCl2の分解電圧以下の範囲で行った。その結果、CO2ガスの分解が起こり、溶融塩中において固体炭素が生成され、陽極からCO2ガスの混入の無い酸素ガスが発生し、それぞれ回収することができた。
発明例6は、陽極としてZrO2−MgO製の一端閉管を用いた。それ以外の条件は発明例1〜5と同じである。その結果、CO2ガスの分解が起こり、溶融塩中から固体炭素が発生し、回収することができた。また、陽極の一端閉管の内側からCO2ガスの混入の無い酸素ガスが発生し、回収することができた。
発明例7は、陽極としてZrO2−CaO製の一端閉管を用いた。それ以外の条件は発明例1〜6と同じである。その結果、CO2ガスの分解が起こり、溶融塩中から固体炭素が発生し、回収することができた。また、陽極の一端閉管の内側からCO2ガスの混入の無い酸素ガスが発生し、回収することができた。
発明例8〜10は、溶融塩として、LiCl−Li2Oを用いた。それ以外の条件は、発明例1〜5と同じである。その結果、CO2ガスの分解が起こり、溶融塩中から固体炭素が発生し、回収することができた。また、陽極の一端閉管の内側からCO2ガスの混入の無い酸素ガスが発生し、回収することができた。
発明例11及び12は、印加電圧としてCaCl2の分解電圧を超える値を用いたため、CO2ガスの分解は起きたが、陽極の一端閉管の内側から酸素ガスとともに塩素ガスも発生した。
このように、発明例1〜12では、高炉ガスに含まれるCO2ガスを分解してCO2ガスの排出量を低減するとともに、CO2ガスの混入の無い高濃度(≧98体積%)の酸素ガスを回収することができた。

0085

一方、溶融塩としてCaCl2−CaOを用いて、印加電圧を金属酸化物であるCaOの分解電圧以下である比較例1では、固体炭素と酸素ガスは発生しなかった。また、溶融塩としてLiCl−Li2Oを用いて、印加電圧を金属酸化物であるLi2Oの分解電圧以下とした比較例2についても、CO2ガスの分解は起こらず、固体炭素と酸素ガスは発生しなかった。また、塩化物のみの溶融塩を用いて、印加電圧を1.0−3.0Vとした比較例3〜8の条件では、CO2ガスの分解は起こらず、固体炭素と酸素ガスは発生しなかった。

0086

その後、発明例1〜12で得られた固体炭素の一部を、コークス炉において石炭の一部もしくは全量と置き換えてコークス化し、還元剤として高炉に使用した。また、残りの固体炭素の一部を微粉炭の一部として高炉の羽口から吹き込み、補助還元剤として高炉に使用した。さらに、残りの固体炭素の全てをブリケット化し、転炉での土状黒鉛代替として加炭剤として使用した。これらは全て、問題なく行うことができた。
以上、得られた固体炭素を用いて、高炉及び転炉の操業を問題なく行うことができた。

0087

(副生ガスからCO2ガスを分離回収する場合)
図3に示した処理フローに従って製鉄所の操業を行った。副生ガスとしては、実施例1と同様に高炉ガスを用いた。ここで、副生ガスに含まれるCO2ガスを分解する前に、圧力スイングに基づいてCO2ガスの分離回収を行い、回収されたCO2ガスを分解した。すなわち、高炉ガスの一部を、CO2の吸着剤であるゼオライトが充填された吸着塔に導入、絶対圧200kPaでCO2ガスをゼオライトに吸着させた後、吸着されたCO2を絶対圧7kPaで脱着させ、CO2ガスを得た(以下、この高炉ガスから分離回収されたCO2ガスを「CO2ガスx」という)。このCO2ガスの濃度は99体積%であった。
また、CO2ガスが分離回収された後の高炉ガスをCOガスの吸着剤である1価の銅が担持した多孔質材が充填された吸着塔に導入して絶対圧200kPaでCOガスを吸着させた後、このCOガスを絶対圧7kPaで脱着させ、COガスを得た。(以下、この高炉ガスから分離回収されたCOガスを「COガスy」という)。このCOガスの濃度は99体積%であった。操業条件及び得られた操業結果を表3に示す。

0088

発明例13〜24では、高炉から発生したCO2ガスを分解することにより、CO2ガスの実質的な発生量を低減することができた。ここで、発明例23及び24においては、塩素ガスも発生した。一方、比較例9〜16では、CO2ガスの分解は起こらず、固体炭素と酸素ガスは発生しなかった。
続いて、発明例13〜24において発生した固体炭素を回収して水で洗浄した後、乾燥させ、高炉の還元剤や転炉での熱源、加炭剤として使用したところ、問題なく操業を行うことができた。同様に、発明例13〜22で発生した酸素ガスを、製鉄所内の転炉や加熱炉設備等の助燃ガスや酸化剤として使用したところ、問題なく操業を行うことができた。

0089

また、分離回収されたCOガスyについても、加熱炉のバーナーの燃料、及び、高炉羽口から吹き込み補助還元剤として用い、問題なく操業を行うことができた。

0090

0091

(電極の数とCO2ガスの分解量との関係)
実施例1と同様に、製鉄所の操業を行った。その際、二酸化炭素ガスの分解装置の陽極の数、陰極の数、陰極の位置及びCO2ガスの吹き込み方法を種々に変更して行い、CO2ガスの分解量を調査した。ここで、陽極を構成する固体電解質としては、ZrO2−Y2O3製の一端閉管を用い、金属棒と固体電解質の間は黒鉛粉末で満たした。また、電気分解時の溶融塩の温度は900℃とし、電極間に印加した電圧は、金属酸化物であるCaOの分解電圧である1.60V以上、塩化物であるCaCl2の分解電圧である3.21V以下の範囲である、3.2Vとした。
また、原料ガスの吹き込み孔13の位置は、発明例25〜29については、形成される原料ガスの気泡の全てが電極間を通過するように配置した。得られた結果を表4に示す。ここで、CO2ガス処理量比は、比較例17のCO2ガス処理量を1とした場合の処理量を意味している。このCO2ガス処理量は、具体的には、溶融塩に導入される前の原料ガスに含まれるCO2ガスの濃度と、溶融塩を通過後のCO2ガスの濃度から算出した。得られた結果を表4に示す。

0092

0093

全ての条件で溶融塩中から固体炭素が発生し、回収することができた。また、ZrO2−Y2O3製の一端閉管の内側から酸素ガスが発生し、純酸素を回収することができた。
比較例17では、溶融塩中に1つの陽極と、CO2ガスの吹込み管を兼ねた、1つの管状の陰極を用いる条件で行い、CO2ガスの処理量は1.4ml/分であった。
発明例25では図4に示すような、溶融塩中に4つの陽極と、4つの専用陰極と、複数個の吹き込み孔を有する原料ガス導入管とを用いる条件で行い、CO2ガスの処理量は18.1ml/分となり、比較例17と比較して12.9倍の処理量であった。
発明例26では、溶融塩中に2つの陽極と、2つの専用陰極と、複数個の吹き込み孔を有する原料ガス導入管とを用いる条件で行い、CO2ガスの処理量は11.4ml/分となり、比較例17と比較して8.1倍の処理量であった。
発明例27では、溶融塩中に1つの陽極と、2つの専用陰極と、複数個の吹き込み孔を有する原料ガス導入管とを用いる条件で行い、CO2ガスの処理量は9.6ml/分となり、比較例17と比較して6.9倍の処理量であった。
発明例28では、溶融塩中に2つの陽極と、1つの専用陰極と、複数個の吹き込み孔を有する原料ガス導入管とを用いる条件で行い、CO2ガスの処理量は11.2ml/分となり、比較例17と比較して8.0倍の処理量であった。
発明例29では、溶融塩中に1つの陽極と、1つの専用陰極と、複数個の吹き込み孔を有する原料ガス導入管とを用いる条件で行い、CO2ガスの処理量は6.8ml/分となり、比較例17と比較して4.9倍の処理量であった。
発明例5では、溶融塩中に1つの陽極と、1つの専用陰極と、原料ガスを単管から吹き込む条件で行い、CO2ガスの処理量は2.4ml/分となり、比較例17と比較して1.7倍の処理量であった。

実施例

0094

1CO2ガスの分解装置
11電解槽
12電極
12a陽極
12b陰極
13原料ガス導入管
13a 吹き込み孔

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