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技術 細胞培養容器、その開放器具、及び開放方法

出願人 株式会社日立製作所
発明者 千田直子野崎貴之小林豊茂中嶌亮太松岡志津
出願日 2011年12月2日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2011-264161
公開日 2013年6月13日 (7年6ヶ月経過) 公開番号 2013-116061
状態 特許登録済
技術分野 微生物・酵素関連装置 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物、その培養処理
主要キーワード 破損リスク 内側枠体 枠体上面 延性破断 密閉接続 脆性破断 開放手順 二重フィルム
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

細胞培養後、容器開放する際に、培養細胞および培養空間汚染しない、また培養細胞を破損しない、閉鎖系細胞培養容器の構造および開放器具の構造および閉鎖系細胞培養容器の開放方法を提供する。

解決手段

容器枠体1と、それに接着したガス透過膜2、3から成る培地保持部4を備え、容器枠体1の上部のガス透過膜2の周囲の枠体上面に溝8を有する閉鎖系細胞培養容器を提供する。

概要

背景

自身もしくは他人細胞を用いて疾病治療を行う再生医療では、生体から採取した細胞は、しばしば、培養して細胞の数を増やす、あるいは培養して然るべき組織を形成させた後に、治療に用いられる。治療に用いる細胞の取扱いは,ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針に定められているように、GMP(Good Manufacturing Practice) に準拠しなければならない。即ち、(1)細胞プロセシングセンタ(Cell Processing Center:CPC)という生物学的汚染が最小限に留まるように設計されたクリーンルームで細胞を調製し、(2)手順書に従った細胞培養, ならびに,作業記録の厳密な管理を行い、(3)調製した細胞が生物学的に汚染されていないことを保証する必要がある。

再生医療における細胞培養は、上記のような制約の中で、熟練された作業者によって行われるために、患者1名分の細胞の調製に対して労力とコストが非常にかかるという課題があった。

この課題を解決する手段として、手作業の細胞培養操作を自動化する装置が開発されてきた。このような装置では培養液交換が自動で行われるために、作業者の負担は軽減できるという利点がある。しかしながら、従来手作業で用いられてきた培養容器は、培養液の交換の際に、培養容器の蓋を開けるといった開放系の細胞培養操作が含まれるために、交差汚染微生物を含む粒子混入の危険性があるという課題が残されていた。

これに対して、一定品質の細胞の安定供給を目的として、閉鎖系で細胞培養工程を自動化する装置が開発されてきた。これは、培養容器の蓋を開閉する操作が不要な閉鎖系培養容器を用いることで、開放系の操作を含まずして、細胞培養工程の自動化が達成されるものである。

他方、細胞には、増殖させる過程においてフィーダー細胞を必要とする細胞種と必要としない細胞種がある。再生医療において注目されている、ES(Embryonic Stem)細胞やiPS(Induced Pluripotent Stem)細胞および皮膚上皮細胞角膜上皮細胞口腔粘膜上皮細胞といった細胞種の培養には、しばしばフィーダー細胞が必要である。そして、培養した細胞を治療に用いる場合、フィーダー細胞と治療に用いられる細胞は、2層に空間分離されるなど、分離された状態で培養することが望ましい。

特許文献1では、物質透過膜を介して上層及び下層培地を満たし、角膜上皮細胞を物質透過膜上で培養し、物質透過膜下層にフィーダー細胞を培養させ、物質透過膜上の角膜上皮細胞を重層化させる培養容器について開示されている。また、当該培養容器の蓋部に、容器内の培地のガス交換を行うためのガス透過膜を装着し、容器内で無菌的に培養可能な構造が提案されている。特許文献2では、閉鎖系細胞培養容器の培地漏れを防止し、培地交換時においても容器内の無菌性が保持される構造が提案されている。

概要

細胞培養後、容器を開放する際に、培養細胞および培養空間を汚染しない、また培養細胞を破損しない、閉鎖系細胞培養容器の構造および開放器具の構造および閉鎖系細胞培養容器の開放方法を提供する。容器枠体1と、それに接着したガス透過膜2、3から成る培地保持部4を備え、容器枠体1の上部のガス透過膜2の周囲の枠体上面に溝8を有する閉鎖系細胞培養容器を提供する。A

目的

本発明の目的は、上記の課題を解決し、培養終了時に内部の細胞を取り出す際の無菌性の保持を可能とする細胞培養容器、細胞培養容器の開放器具、細胞培養容器の開放方法等を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

細胞を培養する閉鎖系細胞培養容器であって、容器枠体と、前記容器枠体の内部に形成された培地保持部と、前記培地保持部の少なくとも片面に形成されるガス透過膜とを備え、前記ガス透過膜が形成される周囲近傍の前記容器枠体の表面に、前記ガス透過膜を切り取る器具ガイドするガイド部が形成されていることを特徴とする細胞培養容器。

請求項2

請求項1に記載の細胞培養容器であって、前記ガス透過膜上に貼付された、二枚のフィルムからなる二重フィルムを備え、前記二重フィルムの前記二枚のフィルム間無菌空間であり、上部の前記フィルムは、下部の前記フィルムから剥離可能であることを特徴とする細胞培養容器。

請求項3

請求項1に記載の細胞培養容器であって、前記ガイド部は、前記容器枠体の表面に形成された溝であり、前記容器枠体は前記溝の内側よりも外側が高いことを特徴とする細胞培養容器。

請求項4

請求項1に記載の細胞培養容器であって、前記ガス透過膜は二重構造で形成され、当該二重構造をなす二枚のガス透過膜同士は接着しておらず、前記ガイド部の内側に、前記容器枠体に接着された前記ガス透過膜の表面を含む、二枚の前記ガス透過膜間が無菌状態であることを特徴とする細胞培養容器。

請求項5

請求項1に記載の細胞培養容器において、前記培地保持部は物質透過膜を挟んだ2層構造を有し、2層構造の前記培地保持部各々は、一対の培養液流路と、当該培養液流路にそれぞれ接続する一対の突起構造部とを備えることを特徴とする細胞培養容器。

請求項6

細胞培養容器の開放器具であって、容器枠体の内部に形成された培地保持部の少なくとも片面にガス透過膜を備える細胞培養容器の、前記ガス透過膜の周囲近傍の容器枠体部分に形成された容器側ガイド合致する開放器具側ガイドと、前記ガス透過膜を押し切る切断部と、当該開放器具を操作するための持ち手を備えることを特徴とする細胞培養容器の開放器具。

請求項7

請求項6に記載の細胞培養容器の開放器具であって、前記切断部の長さは、前記開放器具側ガイドを前記容器側ガイドに合致させたときに前記切断部の先端が前記容器の培養表面まで到達しない長さであることを特徴とする細胞培養容器の開放器具。

請求項8

請求項6に記載の細胞培養容器の開放器具であって、前記容器側ガイドが、前記容器枠体の表面に形成された溝であり、前記開放器具側ガイドが、前記溝に合致する突起であることを特徴とする細胞培養容器の開放器具。

請求項9

請求項6に記載の細胞培養容器の開放器具であって、前記取っ手周りに同心円状に配置された複数個の前記切断部を備えることを特徴とする細胞培養容器の開放器具。

請求項10

請求項9に記載の細胞培養容器の開放器具であって、複数の前記切断部が当該開放器具本体に対し周の横方向および容器中心方向へ傾斜していることを特徴とする細胞培養容器の開放器具。

請求項11

細胞培養容器の開放方法であって、容器内部に設けられた培地保持部と、当該培地保持部の少なくとも片面に形成されるガス透過膜と、当該ガス透過膜の周囲近傍の容器枠体に形成された容器側ガイドとを備える細胞培養容器の前記ガス透過膜を、前記容器側ガイドに合致する開放器具側ガイドと、前記ガス透過膜を押し切る切断部と、当該開放器具を操作するための持ち手を備える開放器具を用い、前記容器側ガイドと前記器具側ガイドを合致させて切り取ることを特徴とする細胞培養容器の開放方法。

請求項12

請求項11記載の細胞培養容器の開放方法であって、前記容器側ガイドが、前記容器枠体の表面に形成された溝であり、前記開放器具側ガイドが、前記溝に合致する突起であり、前記溝に前記突起を合致させて前記ガス透過膜を切り取ることを特徴とする細胞培養容器の開放方法。

請求項13

請求項12記載の細胞培養容器の開放方法であって、前記切断部の長さは、前記突起を前記溝に合致させたときに、前記切断部の先端が前記細胞培養容器の培養表面まで到達しない長さであることを特徴とする細胞培養容器の開放方法。

請求項14

請求項11記載の細胞培養容器の開放方法であって、前記ガス透過膜に、剥離可能な二枚のフィルムからなる二重フィルムを前記ガス透過膜の表面に貼付けし、前記二重フィルムの前記ガス透過膜に貼付されていないフィルムを剥離し、その後、前記開放器具を用いて前記ガス透過膜を貼付された前記フィルムと共に切り取ることを特徴とする細胞培養容器の開放方法。

請求項15

請求項11記載の細胞培養容器の開放方法であって、前記ガス透過膜は、前記培地保持部側とは反対側の表面に接着された、剥離可能な二枚のフィルムからなる二重フィルムを備え、当該二重フィルムの前記ガス透過膜に接着されていないフィルムを剥離した後、前記開放器具を用いて前記ガス透過膜を貼付された前記フィルムと共に切り取ることを特徴とする細胞培養容器の開放方法。

技術分野

0001

本発明は、細胞を培養する細胞培養容器、それに用いる開放器具開放方法等に関するものである。

背景技術

0002

自身もしくは他人の細胞を用いて疾病治療を行う再生医療では、生体から採取した細胞は、しばしば、培養して細胞の数を増やす、あるいは培養して然るべき組織を形成させた後に、治療に用いられる。治療に用いる細胞の取扱いは,ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針に定められているように、GMP(Good Manufacturing Practice) に準拠しなければならない。即ち、(1)細胞プロセシングセンタ(Cell Processing Center:CPC)という生物学的汚染が最小限に留まるように設計されたクリーンルームで細胞を調製し、(2)手順書に従った細胞培養, ならびに,作業記録の厳密な管理を行い、(3)調製した細胞が生物学的に汚染されていないことを保証する必要がある。

0003

再生医療における細胞培養は、上記のような制約の中で、熟練された作業者によって行われるために、患者1名分の細胞の調製に対して労力とコストが非常にかかるという課題があった。

0004

この課題を解決する手段として、手作業の細胞培養操作を自動化する装置が開発されてきた。このような装置では培養液交換が自動で行われるために、作業者の負担は軽減できるという利点がある。しかしながら、従来手作業で用いられてきた培養容器は、培養液の交換の際に、培養容器の蓋を開けるといった開放系の細胞培養操作が含まれるために、交差汚染微生物を含む粒子混入の危険性があるという課題が残されていた。

0005

これに対して、一定品質の細胞の安定供給を目的として、閉鎖系で細胞培養工程を自動化する装置が開発されてきた。これは、培養容器の蓋を開閉する操作が不要な閉鎖系培養容器を用いることで、開放系の操作を含まずして、細胞培養工程の自動化が達成されるものである。

0006

他方、細胞には、増殖させる過程においてフィーダー細胞を必要とする細胞種と必要としない細胞種がある。再生医療において注目されている、ES(Embryonic Stem)細胞やiPS(Induced Pluripotent Stem)細胞および皮膚上皮細胞角膜上皮細胞口腔粘膜上皮細胞といった細胞種の培養には、しばしばフィーダー細胞が必要である。そして、培養した細胞を治療に用いる場合、フィーダー細胞と治療に用いられる細胞は、2層に空間分離されるなど、分離された状態で培養することが望ましい。

0007

特許文献1では、物質透過膜を介して上層及び下層培地を満たし、角膜上皮細胞を物質透過膜上で培養し、物質透過膜下層にフィーダー細胞を培養させ、物質透過膜上の角膜上皮細胞を重層化させる培養容器について開示されている。また、当該培養容器の蓋部に、容器内の培地のガス交換を行うためのガス透過膜を装着し、容器内で無菌的に培養可能な構造が提案されている。特許文献2では、閉鎖系細胞培養容器の培地漏れを防止し、培地交換時においても容器内の無菌性が保持される構造が提案されている。

先行技術

0008

特開2008−271912号公報
特開2011−10599号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、特許文献1、2に記載のような培養容器においては、培養中の無菌性を維持する閉鎖系構造を有しているものの、培養終了時に内部の細胞を取り出す際の無菌性の保持に関しては考慮されていなかった。また、取り出しの際に細胞に与えるダメージについて考慮されていなかった。

0010

本発明の目的は、上記の課題を解決し、培養終了時に内部の細胞を取り出す際の無菌性の保持を可能とする細胞培養容器、細胞培養容器の開放器具、細胞培養容器の開放方法等を提供することにある。

0011

また、本発明の目的は、上記の課題を解決し、取り出しの際に細胞に与えるダメージ低減を可能とする細胞培養容器、細胞培養容器の開放器具、細胞培養容器の開放方法等を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

上記の目的を達成するため、本発明においては、細胞を培養する閉鎖系の細胞培養容器であって、容器枠体と、容器枠体内部に形成された培地保持部と、培地保持部の少なくとも片面に形成されたガス透過膜とを備え、ガス透過膜が形成される周囲近傍の容器枠体の表面に、ガス透過膜を切り取る器具ガイドするガイド部を形成したことを特徴とする構成の細胞培養容器を提供する。

0013

また、上記の目的を達成するため、本発明においては、細胞培養容器の開放器具であって、容器枠体の内部に形成された培地保持部の少なくとも片面にガス透過膜を備えた細胞培養容器の、ガス透過膜が形成される周囲近傍の容器枠体に形成された容器側ガイド合致する開放器具側ガイドと、ガス透過膜を押し切る切断部と、開放器具を操作するための持ち手を備える構成の細胞培養容器の開放器具を提供する。

0014

更に、上記の目的を達成するため、本発明においては、細胞培養容器の開放方法であって、容器内部に設けられた培地保持部と、培地保持部の少なくとも片面に形成されたガス透過膜と、ガス透過膜の周囲近傍の容器枠体部分に形成された容器側ガイドとを備える細胞培養容器のガス透過膜を、容器側ガイドに合致する開放器具側ガイドと、ガス透過膜を押し切る切断部と、開放器具を操作するための持ち手を備える開放器具を用い、容器側ガイドと器具側ガイドを合致させて、ガス透過膜を切り取る細胞培養容器の開放方法を提供する。

発明の効果

0015

本発明によれば、閉鎖系細胞培養容器で細胞培養後、培養容器内培養細胞が汚染または損傷を受けることなく培養容器を開放することができる。

図面の簡単な説明

0016

第1の実施例に係る、培養空間が二段の細胞培養容器の構造の一例を示す図である。
第1の実施例に係る、培養空間が二段の細胞培養容器の構造の他の例を示す図である。
第1の実施例に係る、培養空間が一段の細胞培養容器の構造を示す図である。
第1の実施例に係る、単針の細胞培養容器開放器具の構造を示す図である。
第1の実施例に係る、複針の細胞培養容器開放器具の構造を示す図である。
第2の実施例に係る、細胞培養容器に培養終了後二重フィルム接着させて容器を開放する場合の手順を示す図である。
第3の実施例に係る、細胞培養容器が培養前から上部ガス透過膜を2枚有する場合の容器開放手順を示す図である。
各実施例に係る、培養容器を搭載した細胞培養装置の一例を示す図である。

0017

以下、本発明の実施形態を順次説明するが、それに先立ち、本発明が対象とする閉鎖系細胞培養容器の開放時の状況について説明する。

0018

培養された細胞を取出して治療等に用いる際、閉鎖系の培養容器を開放して細胞を外部に取出す必要がある。この閉鎖系細胞培養容器の開放時には、従来は滅菌処理された外科用メスを用いて培養容器の蓋に形成されたガス透過膜を切り取り、内部の細胞を空間露出させ、培養した細胞や組織を取出していた。

0019

しかしながら、メスが清潔なものであったとしても細胞培養容器内部が汚染されうる状況、細胞培養容器内部の細胞がダメージを受けうる状況が発生する。具体的には以下の(1)〜(4)に記載するような状況が発生しうる。

0020

(1)メスの刃の微細凹凸によってガス透過膜を切り取る際に細かな切りくずが発生し、当該切りくずが培地中に混入する場合がある。刃を用いてガス透過膜を切断する際の破壊形態脆性破壊であり、この場合、破断面に切りくずが生じやすい。またガス透過膜を素早く切ろうとすると切りくずはさらに生じやすくなる。

0021

(2)細胞培養容器はガス透過膜を通して培地中にガスを供給しているため、蓋から細胞培養面までの距離が短く設定されることが多い。そのため、メスの刃が培養表面まで容易に到達することから、メスの刃が培養した細胞に当たりこれを傷つける場合がある。

0022

(3)培養容器の内側は清浄性が保持されているものの、培養容器の外側に当たるガス透過膜表面は不潔野に相当することになる。ここでメスによってガス透過膜を切り取る際、不潔野である膜表面の一部が培地や培養細胞等に触れてしまう場合がある。

0023

(4)切り終えたガス透過膜が培地中に水没し、これをピンセット等で取り除く際、ピンセット等が培養細胞に当たりこれを傷つける場合がある。

0024

本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、培養終了後の開放時においても培養細胞および培養空間を汚染しない、また培養細胞を破損しない、細胞培養容器の構造、開放器具の構造、及び細胞培養容器の開放方法、更には、細胞培養装置を提供する。

0025

図1Aは第1の実施例の細胞培養容器の一例を示す図である。図1Aの(a)は上面図、(b)はそのA−A断面図である。本実施例の細胞培養容器の枠体1は、正方形で扁平形状の容器であって、ポリカーボネートポリスチレンポリプロピレンなどの可塑性と共に剛性を有するプラスチックから成る。この枠体1は射出成形などにより形成され、その内部に培地保持空間である2層の培地保持部4を形成する円部101、102及び103が形成されている。そして、円部101には上部ガス透過膜2、円部102には物質透過膜7、円部103には下部ガス透過膜3が溶着されている。

0026

ガス透過膜2、3と物質透過膜7の円部101、102、103それぞれへの溶着は、細胞の生存に影響を及ぼす接着剤を使用しない、熱溶着超音波溶着レーザー溶着が好ましい。これらの各層と枠体1により、本実施例においては、ほぼ円形形状を有する、2層の培地保持部4が構成される。

0027

同図において、ポート5は培地保持部4に培養液である培地を供給し、排出する一対の突起構造部である。ポート5は、細胞培養容器の枠体1の上面から、ガス透過膜2、3の膜面に垂直な方向に突出している。図1Aの(a)では点線で示された培地流路6は、ポート5から円形の培養空間である培地保持部4までの一対の培養液流路である。一対の培地流路6は、培地保持部4のそれぞれの層において、ほぼ円形形状の対抗する側面位置に接続されている。これは、後で説明するように、細胞培養容器1を垂直にしたとき、培養空間の最頂部及び最底部に、一対の培養液通路が接続されるようにするためである。また、同図において、枠体1の表面にガイド、あるいはガイド部と呼ばれる、同心円状の溝8が形成されているが、本実施例におけるガイド、あるいはガイド部である溝8の機能については後で説明する。

0028

なお、ここで互いに対となるポート5は、同図における対角線上に存在する2つのポートを想定しているが、対角線上に必ずしも存在する必要は無い。また、円部101、102及び103を楕円部とすることにより、培地保持部4をほぼ楕円形状にすることも可能である。

0029

培養容器の培養保持部4の下層からの栄養分を必要とする細胞種を、培養容器の上層の培養保持部4で培養する目的で培養容器を使用する場合、物質透過膜7の平均孔径は、タンパク質等は通過するが、細胞は通過しない大きさがよい。

0030

ガス透過膜2,3と物質透過膜7の素材は、ポリカーボネートやポリスチレンといったガス透過性を有し、細胞培養観察可能な透明のものであればよくこれに限定されるものではない。熱溶着、超音波溶着、レーザー溶着で対象物同士を溶着させる場合、融点の関係で枠体1とガス透過膜2、3、物質透過膜7の材質は同一または融点が近いものがよい。

0031

ここでは、図1Aの(a)と(b)を用いて枠体1と透過膜とを溶着する例について説明したが、枠体1の円部101,103とガス透過膜2、3は、後の培養した細胞や組織の取り出しを考慮して着脱可能に枠体1と接続できるように構成しても良い。この変形例として図1Bを示す。図1Bの(a)はガス透過膜と一体化した構成の枠体の一部の上面図、図1Bの(b)はガス透過膜と一体化した構成の枠体の一部の側面図、図1Bの(c)はガス透過膜と一体化した構成の枠体をフタとして用いた培養容器の側面図である。この場合、強度を維持するために、ガス透過膜を囲う枠体15を別途設ける必要がある。また、このガス透過膜を囲う枠体15と培養容器の枠体1とを接続する際、密閉性を維持するために、ガス透過膜を囲う枠体15と培養容器の枠体1との間にシール部材16を設けるとよい。このシール部材の材質は、生体にとって有害とならない弾性部材が好ましく、たとえばシリコンゴム等を用いることが好ましい。例では密閉用シール部材16は枠体1側に設けているが枠体15側に設置することも可能である。

0032

また、このように枠体1とガス透過膜部分とを着脱可能とすることで、使用目的、使用環境に応じて膜の材質を変化させることが容易となる。このように材質を変化することが可能となることで、気体透過性コントロールし、低酸素培養など特殊な環境下における細胞培養を容易に実現することができる可能性がある。

0033

培養中、ポート5は自動培養の場合には、後で説明する自動培養装置チューブを介して接続される。培養容器に設けられたポート5における一対の突起構造部は、培養容器に一体成形されたものであり、弾性部材から成るチューブを接続できるものである。チューブの内径は、ポート5の突起構造部の内径と同等であれば、突起構造部にチューブを接続した状態で通液しても液漏れが生じることはない。図1A図1Bに示した突起構造部は先端が台形になっているが、この形状に限定されるものではなく、チューブが接続できる形状であればよい。また、突起構造部5の高さは特に制限されるものではないが、ユーザビリティーの観点から、チューブを接続するために必要な高さがあればよい。ここでは自動培養装置に本実施例の培養容器を接続する例を主に示すが、これに限らず、手技培養にも本実施例の培養容器を用いることも可能である。この場合、ポート5に対して密栓をして使用され、培養容器内の閉鎖環境を保った状態で細胞培養が可能となる。

0034

ここで、チューブとの接続に際し、接続部をポート5のような突起構造としているが、チューブと接続できれば必ずしも突起構造である必要はなく、突起構造に当たる部分に穴部を設け、密閉可能なシール部材を別途設けることでチューブとの密閉接続するように構成することも可能である。

0035

このような構造をもつ本実施例の培養容器は、枠体1に備わる物質透過膜7およびガス透過膜2、3によって形成される培地保持部4を培養液で充填することで、密閉空間における細胞培養が可能となる。培地保持部4に培養液を充填する際には、気泡が発生しないようにするために、対を形成する一方の突起構造部が下になるように培養容器の枠体1を立て、下側となるポート5の突起構造部から培養液を注入して、上側となるポート5の突起構造部から培養液を排出する。

0036

そのために、2層構造の培養容器の場合は、効率的な上下層への注液のため、図1Aのように細胞培養容器の突起構造部、すなわち、上層の2つの突起構造同士、及び下層の2つの突起構造同士が水平に維持されていると良い。

0037

また、突起構造部から円形の培養空間である培地保持部4までの培地流路6は、培養容器を垂直にしたときの培養空間の最頂部及び最底部に接続されている。これにより、効率的に培養液注入及び排出することができる。また、上述したように、本実施例による培養容器の中央の培地保持部4は、ほぼ円柱又は楕円柱などの円形形状又は楕円形状の空間となっている。これは、例えば角膜等、円形や楕円形の培養対象を円形、楕円形のままで回収するためである。

0038

なお、図1A図1Bの培養容器は2層型である必要はなく、種々の変形実施例が構成される。例えば、培養する細胞種に応じて、図2に示すように、枠体1にガス透過膜2が溶着された1層型の細胞培養容器であってもよい。図2の(a)は1層型細胞培養容器の上面図、図2の(b)はそのA−A断面図である。同図においても図1Aと同様、ガイド、或いはガイド部と呼ばれる溝8は枠体1の上面に形成されているが、本実施例における溝8の機能については後で説明する。同図において、ポート5の突起構造部は先端が台形でない場合を図示した。

0039

更に、図1A図2に示した各実施例の培養容器の突起構造部は、培養容器を水平に置いたとき、対応するそれぞれの培地保持部4より上に位置する枠体1の上面に設置する必要はなく、図1Bのように培養容器の枠体1の側面に位置されていてもよい。

0040

<細胞培養装置の構成>
図7は、本実施例の細胞培養容器が適用される細胞培養装置の一実施例を示す図である。同図は、送液管廃液管であるチューブが接続可能な突起構造を具備する、細胞培養容器の枠体1が内部に配置された細胞培養装置15の全体の構成を模式的に示す図である。

0041

この細胞培養装置は、細胞培養容器を保持する培養ステージと、培養液を保管するための培養液保管部と、廃液を溜めるための廃液収容部と、培養液保管部から細胞培養容器まで培養液を供給するための送液管と、細胞培養容器から廃液を回収し、廃液を廃液収容部まで送る廃液管を備え、その細胞培養容器は、容器内部に培地保持部と、培養液を供給、排出するための一対の接続部と、接続部から培地保持部まで通ずる一対の培地流路とを有し、培地保持部の少なくとも片面にガス透過膜を備え、ガス透過膜周囲近傍の容器枠体部分に、ガス透過膜を切り取る器具をガイドするガイド部が形成されている。

0042

図7において、細胞培養装置15は、細胞培養容器を保持する培養ステージ16と、培養ステージ16を回転運動させるための駆動部17を有している。また、細胞培養容器に繋がる送液管18および廃液管19は、制御部20を介して培養液保管部21および廃液収容部22に接続されている。培養液保管部21と廃液収容部22は、例えば4℃に設定される保冷庫23に収納されている。そして、培養液は適宜、制御部20内の図示を省略したヒータ等で37℃に温められてから細胞培養容器に供給される。

0043

培養ステージ16の上もしくは下には、ZYX可動軸24を具備した細胞観察機器25が設けられており、必要に応じて培養している細胞の状態をモニタ及び記録することができるようになっている。

0044

また、細胞培養容器1への培養液の充填は、細胞培養容器内部に気泡が発生しないように以下のように行う。即ち、細胞培養容器に繋がる送液管18が下になるように、駆動部17により培養ステージ16を矢印A方向に垂直に立て、細胞と培養液の混合液を細胞培養容器1に充填する。細胞と培養液を充填後、培養ステージ16を駆動部17により水平にして、所定の温度、湿度ガス組成および濃度で所定時間培養を実施する。培養途中に培地を交換する時は、細胞培養容器1に繋がる廃液管19が下になるように駆動部17により培養ステージ16を矢印B方向に垂直に立て、細胞培養容器1から培地を吸引する。吸引後、細胞培養容器1に繋がる送液管18が下になるように、駆動部17により培養ステージ16を垂直に立て、細胞培養容器1に培地を充填する。培地を充填後、再び培養ステージ16を駆動部17により水平にして、所定の温度、湿度、ガス組成および濃度で所定時間培養を再開する。

0045

<細胞培養終了後の細胞培養装置と細胞培養容器の接続解除
細胞培養終了後、細胞培養装置15と細胞培養容器の接続を解除するためには、細胞培養容器のポート5の突起構造部に接続されている、送液管18や廃液管19のチューブの途中に、図示を省略したクレンメ等のチューブを閉鎖する部材で、送液管18や廃液管19であるチューブの途中を遮断する。当該遮断した先を滅菌済のハサミ等で切断することで、細胞培養装置15から細胞培養容器の枠体1を取り出すことができる。

0046

なお、容器の取り出し方法は、上記記載方法に限定されるものではなく、チューブの途中に閉鎖系システムを可能とする部材を設けておき、細胞培養容器と細胞培養装置の接続を解除する方法でもよい。ここで、チューブとの接続に際し、接続部をポート5の突起構造としているが、チューブと接続できれば必ずしも突起構造である必要はなく、突起構造に当たる部分に穴部を設け、密閉可能なシール部材を別途設けることでチューブとの密閉接続するように構成することも可能であることは云うまでもない。

0047

<細胞培養容器からの培養液の排出>
次に、細胞培養装置15から接続を解除した細胞培養容器からの培養液の排出は、培養液を排出させたい側のポート5の突起構造が下になるように細胞培養容器を傾けることで、培養液を簡単に排出することができる。培養液の排出は、再生組織の乾燥を防ぐために、作製した再生組織が必要となる時の直前でよい。

0048

この培養液を排出した後に、培養された細胞等を取出すことになるが、従来は、細胞培養容器の上層に溶着された上部ガス透過膜2をカッターナイフなどで除去し、再生組織を回収していた。
しかしながら、このようなこれまでの取出し方法では、先に説明した課題が残されており、これまで無菌的に培養してきた細胞等が汚染もしくはダメージを受ける可能性がある。

0049

そこで本実施例の細胞培養容器では、培養容器から細胞にダメージを与えることなく、容器内部の無菌性を維持した状態で、培養細胞、組織を取出すことが可能となることを、二層の培地保持部からなる細胞培養容器を用いて説明する。

0050

<ガイドのある細胞培養容器および細胞培養容器開放器具の構成>
図3は、培養容器のガス透過膜2を無菌的に切り出すための切断部を有する細胞培養容器開放器具の一実施例を示す図である。図3の(a)は細胞容器開放器具の下面図、図3の(b)はその側面図、図3の(c)は細胞培養容器側のガイド、或いはガイド部である溝8に、細胞容器開放器具側の突起で構成されるガイド10を合わせたときの側断面図である。この細胞培養容器開放器具30は、持ち手9とガイド10と針状の切断部11から構成されている。

0051

ガイド10の幅と高さは細胞培養容器の枠体1の上面に形成されたガイド部である溝8に合う大きさであり、切断部11はガイド10を溝8に合わせるように器具をセットしたときに、切断部11の先端が培養表面まで到達しないものとする。細胞培養容器を開放する際には、開放器具30のガイド10を細胞培養容器の溝8に合わせて操作する。

0052

まず器具のガイド10を細胞培養容器のガイド部である溝8に合わせるときに、切断部11の先端でガス透過膜に穴を開け、次に持ち手9を保持して器具を溝8に沿って移動させることによりガス透過膜2を切断する。切断部にメスのような刃を用いた場合、ガス透過膜2が開放時に脆性破断を受け切りくずが発生しやすいが、この器具の切断部に針状の部材を用いることによりガス透過膜2は押し切られることになり、このような延性破断においては切りくずが発生しにくい。またこのときガス透過膜2が完全に円周状に切り抜かれる前にガス透過膜2の一部をピンセットなどで保持し引くことにより容器を開放する方法により、ガス透過膜2が培地中に水没することなく回収される。

0053

このように、本実施例における細胞培養容器の枠体1のガイド部である溝8は、ガイド10を嵌着させることで、ガス透過膜2の切断部分をガイドし、且つ切断部11の先端が培養表面まで到達しないように作用する。

0054

ここで、図3において切断部11の形状が針状のものを例示したが、必ずしも針状に限定されるものではなく、切りくずが生じにくい切断形状を有する部材形状であれば良いことは云うまでも無い。また溝8の形状はガイド10の形状と合致しガイド10が操作しやすい形状を選択する。例えば、図3においては溝8とガイド10は角ばった形状をしているが、必ずしもこの形状に限定されるものではなく、両方が丸みを帯びた形状などでも良い。なお、溝8とガイド10は理想的には培養容器の中心を仮想中心として、同図の(c)における、溝8とガイド10の上部が中心に向かって内側に少し傾斜していることが操作上好ましい。

0055

また切断部11の材質はステンレスなど剛性が高い金属が適しているが、切断部11も含め器具の材質は滅菌できるものであれば特に限定されない。

0056

更に、上記のような手順に従って開放作業を行ったとしても、開放作業は人手で行うことから、ガス透過膜2を開放器具30により開放する際、培養容器内部の培地保持部4の空間が培地で満たされていると、振動や傾きにより不意に内部の培地があふれ出てしまう可能性がある。このあふれ出た培地が逆流し、再び容器内に侵入することで培養空間や培養細胞が汚染される可能性もある。
このとき、本実施例の培養容器の枠体1の溝8が円部101近傍に設けられていることで、上述したガイドとしての機能の他に、あふれ出た培地の逆流を防ぎ、細胞培養容器内部の汚染を抑制することも可能となる。

0057

上記の実施例では、開放器具のガイドとしての機能と、培地逆流を防止する機能とを併せ持つ溝8を例に説明したが、これらの機能を別個達成するために、ガイド用の溝と、逆流を抑制する凹部とを別に設けることも可能である。図示を省略するが、この凹部は、枠体1の上面に溝8と同心円状に形成することができる。

0058

また、上述した実施例ではガイド、或いはガイド部として溝8を例に説明したが、上記機能を達成できる形状・構成であれば、ガイド部は溝である必要はない。例えば、培養容器と開放器具のガイド部としての溝と突起を逆にすることも可能であり、培養容器の枠体の表面に凸部を、開放器具に合致する凹部を形成することができる。また、ガイドに支えられる開放器具の支点は1つに限らない。開放器具を安定して支え使用するためには、支点が複数あることが好ましい。

0059

図4は、開放器具の変形実施例である、複針の細胞培養容器開放器具31であって、持ち手9とガイド10と複数本の切断部11から構成されている。図4の(a)は複針の細胞培養容器開放器具の下面図、図4の(b)はその側面図、図4の(c)は細胞培養容器の溝に開放器具のガイドを合わせたときの側断面図である。

0060

ガイド10の幅と高さは細胞培養容器の溝8に合う大きさであり、溝8一周とガイド10一周が合致する関係になっている。切断部11はガイド10を溝8に合わせるようにセットしたときに切断部11先端が培養表面まで到達しないものとする。また、切断部11は器具31の本体に対し垂直に設置されておらず、周の横方向および容器中心方向へ傾斜している。細胞培養容器を開放する際には器具31のガイド10を細胞培養容器の溝8に合わせて操作する。器具31のガイド10が溝8に合うように器具を細胞培養容器に当て、器具31を傾斜している針の先端の方向に時計回り捻りながらガイド10が溝8の奥に届くまで押さえつけることによりガス透過膜2を切る。ガス透過膜2は器具の切断部11に囲まれた空間に入るため、膜2は器具を持ち上げるときに同時に回収される。

0061

このような構成に寄れば、切断したガス透過膜2が培養容器内に脱落することなく、切断部11に巻き込まれるように保持されるため、脱落したガス透過膜を排除する際の培養細胞の汚染および破損リスクがなく容器開放が可能となる。

0062

続いて、第2の実施例として、上部膜を二重に有する細胞培養容器を図5を用いて説明する。

0063

<上部膜を二重に有する細胞培養容器の構成>
図5は、培養終了後に上部ガス透過膜2を二重に有する細胞培養容器の一構成例の断面、及び開放する際の細胞培養容器の開放手順を示す図である。図5の(a)は培養終了直後の細胞培養容器側断面図、図5の(b)は(a)に二重フィルムを接着させたときの細胞培養容器側断面図、図5の(c)は、(b)の二重フィルム上層を剥離したときの細胞培養容器側断面図である。細胞12は培地保持部4の物質透過膜7上で培養される。同図の(a)に示す細胞培養容器の場合、培養終了後の上部ガス透過膜2の表面は無菌状態ではないため、このまま上部のガス透過膜2を破壊した場合には細胞培養容器内部にガス透過膜2の表面部分入り、汚染が起こる可能性がある。

0064

そのため、同図の(b)に示すように、開放前に、上部ガス透過膜2に上部ガス透過膜2と同程度の大きさの二重フィルム13,14を細胞培養容器枠体1の淵とその内側までの円周部に接着部50において接着する。このとき二重フィルムは、二重フィルム下層13のみを上部ガス透過膜2に接着させる。二重フィルム下層13、二重フィルム上層14同士は容易に剥離可能であり、フィルム間は無菌であるものとする。二重フィルム接着法には例えばレーザー溶着が挙げられる。一般的な剥離可能な二重フィルムに、フィルム下層13にPET,PP,PE,PCなどのプラスチック層、フィルム上層14にシリコン層から成るフィルムがある。それぞれのフィルム層は厚さ25−200μm程度である。

0065

これを上部ガス透過膜2にレーザー溶着させる場合、二重フィルム下層13にはガス透過膜2と同じ材料または相転移温度が近い材料が適している。二重フィルム下層13の表面溶着予定箇所レーザー光を吸収するために磨りをいれ、滅菌済みの水で湿らせた上部ガス透過膜2の上に載せ溶着予定箇所密着させる。レーザー光を溶着予定箇所に照射掃引すると二重フィルム上層14はレーザー光を透過し、二重フィルム下層13の磨り部位が加熱され上部ガス透過膜2に溶着する。このときシリコン層はプラスチック層にくらべ融点が非常に高く、融解しない。

0066

次に図5の(c)に示したように、清潔野において、二重フィルム上層14を二重フィルム下層13からピンセットで剥離すると、二重フィルム下層13の無菌表面が出現する。ここで上部ガス透過膜2と二重フィルム下層13の接着部50に細胞培養容器開放器具の切断部11が通るようにして器具で細胞培養容器を開放する。この手順においては、従来の閉鎖系細胞培養容器と同じ酸素透過性環境において培養可能となるため、すべての培養細胞を対象とすることができる。

0067

続いて、第3の実施例として、培養前からガス透過膜が二重に配置されている細胞培養容器の実施例を図6を用いて説明する。

0068

図6は、培養前からガス透過膜が二重に配置されている細胞培養容器の一構成例の断面、及び該容器を開放する際の手順を示す図である。図6の(a)は培養終了直後の細胞培養容器側断面図、図6の(b)は(a)の培養容器の溝より内側の上部ガス透過膜を切り取ったときの細胞培養容器側断面図である。

0069

同図の(a)に示すように、細胞12は培地保持部4の物質透過膜7上で培養される。細胞培養容器枠体1の高さは、溝8の内側よりも外側が高くなっている。二重構造を形成する上部ガス透過膜2は細胞培養容器の溝8の内側枠体1に円周状に接着し、上部ガス透過膜51は溝外側枠体に円周状に接着しており、ガス透過膜2、51同士は接着していない。上部ガス透過膜51の表面は無菌状態ではないが、上部ガス透過膜2の表面を含む二重ガス透過膜間は無菌であるものとする。この構成の場合には、培養中からガス透過膜が二重になっているため、培地に供給される酸素量に配慮が必要となる。例えば、上部ガス透過膜2は、培地蒸発量をできる限り少なくするため水蒸気透過度の低い素材を選択し、上部ガス透過膜51はシリコンのように酸素透過性の非常に高い素材、または気体透過性に関わらずポア径0.2mm以下の穴を有する素材を選択する。

0070

上部ガス透過膜51の枠体1への接着方法としては、接着時に接着面を押さえつけることが可能なため、超音波溶着、レーザー溶着、接着剤など複数の接着手段が容易に可能である。培養終了後、清潔野において、溝8より内側の上部ガス透過膜51を取り除くと、同図の(b)に示すように、上部ガス透過膜2の無菌表面が出現する。上部ガス透過膜51は溝8にメスを入れ取り除いても構わない。次に細胞培養容器開放器具を用いて上部ガス透過膜2を取り除く。

0071

ここでは、枠体1と上部ガス透過膜51とを溶着する例について説明したが、枠体1と上部ガス透過膜51は容易に着脱可能に枠体1と接続できるように構成しても良い。この場合、強度を維持するために、先の実施例で説明したように、上部ガス透過膜を囲う枠体を別途設ける必要がある。また、この枠体と培養容器の枠体1とを接続する際、密閉性を維持するために上部ガス透過膜を囲う枠体を覆うシール部材を設けるとよい。

0072

また、このように枠体1と上部ガス透過膜部分とを着脱可能とすることで、使用目的、使用環境に応じて膜の材質を変化させることが可能となる。このように材質を変化することが可能となることで、上部ガス透過膜の材質により気体透過性をコントロールし、低酸素培養など特殊な環境下における細胞培養を容易に実現することができる可能性がある。

0073

上記の溝のある細胞培養容器の構成と、上部膜を二重に有する細胞培養容器の構成を組み合わせることにより、培養終了後の開放時においても培養細胞および培養空間を汚染しないことを実現する。

0074

以上説明した各種の実施例において、培養容器から細胞にダメージを与えることなく、容器内部の無菌性を維持した状態で、培養細胞、組織を取出す構成例を示してきたが、上記特徴を一例としてまとめると以下のようになる。

0075

各実施例の細胞培養容器は、容器枠体上部にガス透過膜を接着させることにより、培地を保持する培地保持部を形成している。培地保持部は培養する細胞の種類により一段若しくは多段からなる。培養終了後は上部のガス透過膜を破壊することにより培養細胞を取り出す。このとき、上述した(1)ら(4)の課題は、それぞれ以下の(1)から(4)のいずれかの構造および方法により解決することが可能となる。

0076

(1)上部ガス透過膜を破壊する手段として針状のもので膜に穴を開け、膜を押し切る。
当該構成によれば、メスにより膜を切り出す手法に比べて、切りくずが出にくいことから、切りくずによる容器内の汚染を抑止することが可能となる。

0077

(2)上部ガス透過膜接着部周辺の細胞培養容器枠体にガイド、或いはガイド部を設ける。針とガイドを有する細胞培養容器開放器具を用い、細胞培養容器側のガイド部に開放容器側のガイドを合わせて操作する。針は、両者のガイド部を合致させたときに針先端が培養表面まで到達しないものとする。当該構成によれば、上記(1)と同様に切りくずを抑制でき、さらに、溝、突起などのガイド部がストッパーとなり切断部が培養層に届くことが防げることから、細胞を損傷せずに容器開放を実行できる。

0078

(3)培養終了後、細胞培養容器開放前に、上部ガス透過膜と同程度の大きさの清潔な膜を上部ガス透過膜上に接着させる。両膜が接着している部位に細胞培養容器開放器具の針を入れて膜を開ける。または、培養前からガス透過膜が二重に配置されている培養容器を用いることも可能であり、この場合には二重のガス透過膜同士は接着しておらず、より上側のガス透過膜を開放した後に、残ったガス透過膜に針を入れ容器を開放する。
当該構成によれば、不意にガス透過膜が容器内に脱落することによる汚染を防ぐことが可能となり、清浄性を維持した容器開放が可能となる。

0079

(4)細胞培養容器開放器具に針を複数設け、針は器具本体に対し垂直に設置されておらず、周の横方向および容器中心方向へ傾斜している。器具は膜に対してねじ切るように回転しながら押し切る。
当該構成によれば、切断したガス透過膜2が培養容器内に脱落することなく、切断部11に巻き込まれるように保持されるため、脱落したガス透過膜を排除する際の培養細胞の汚染および破損リスクがなく容器開放が可能となる。

0080

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。

0081

また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

0082

更に、本明細書においては、特許請求の範囲に記載された発明以外に、種々の発明が開示されているが、その一例を下記に示す。

実施例

0083

細胞培養装置であって、細胞培養容器を保持する培養ステージと、培養液を保管するための培養液保管部と、廃液を溜めるための廃液収容部と、培養液保管部から細胞培養容器まで培養液を供給するための送液管と、細胞培養容器から廃液を回収し、当該廃液を廃液収容部まで送る廃液管を備え、細胞培養容器は、容器内部に培地保持部と、培養液を供給、排出するための一対の接続部と、接続部から培地保持部まで通ずる一対の培地流路とを有し、培地保持部の少なくとも片面にガス透過膜を備え、当該ガス透過膜の周囲近傍の容器枠体の表面に、ガス透過膜を切り取る器具をガイドするガイド部が形成された細胞培養装置、などが開示されている。

0084

1、15枠体
2、51 上部ガス透過膜
3 下部ガス透過膜
4培地保持部
5ポート
6培地流路
7物質透過膜
8 溝
9持ち手
10ガイド
11 切断部
12培養細胞
13二重フィルム下層
14 二重フィルム上層
16シール部材
30細胞培養容器の開放器具
50 接着部

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