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技術 水蒸気バリア性に優れたコーティング剤

出願人 MCフードスペシャリティーズ株式会社
発明者 江口竜二遠藤真希
出願日 2011年11月25日 (9年1ヶ月経過) 出願番号 2011-258097
公開日 2013年6月10日 (7年6ヶ月経過) 公開番号 2013-112709
状態 拒絶査定
技術分野 食品の調整及び処理一般 ゼリ-、ジャム、シロップ 医薬品製剤 塗料、除去剤
主要キーワード 封ろう 液状コーティング剤 質量増加量 可食性成分 ヘミロース 閉鎖空間内 赤外センサー インスタント味噌汁
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年6月10日)のものです。
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課題

解決手段

コーティング成分還元でん粉糖化物とを含んでなるコーティング剤。

概要

背景

従来、食品医薬品の錠剤においては、風味マスキング酸素バリアおよび水蒸気バリアによる成分の安定化、輸送過程における摩損の防止などのためにコーティング剤が用いられている。用いられるコーティング剤としては可食性コーティング成分であるシェラックツェインプルランヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などが知られている。

上記以外には、酵母細胞壁を主成分とすることを特徴とするコーティング剤(特許文献1参照)、および大豆由来水溶性ヘミセルロース(特許文献2参照)もコーティング剤に用いられ、有用であることが示されている。

例えば、酵母細胞壁については、他の物質を併用してコーティング剤として活用する試みがなされ、幾つかの例が開示されている。具体的には、細胞壁画分に可食性の酸素バリア性改良剤を添加した酸素バリア性の高いコーティング剤が開示されている(特許文献3参照)。また、酵母細胞壁画分とプルランを併用した酸化安定性機能の強化されたコーティング剤も開示されている(特許文献4参照)。また、機能性物質アラビアガム、アラビアガムまたはオクテニルコハク酸エステル化でん粉から選択される乳化剤と酵母細胞壁画分を用いて得られる粉末状混合物は保存安定性が優れていることが開示されている(特許文献5参照)。

しかしながら、酵母細胞壁や大豆由来の水溶性ヘミセルロースなどを用いたコーティング剤は、水蒸気バリア性が十分ではなかった。このため、酸素バリア性だけではなく水蒸気バリア性の高いコーティング剤、およびコーティング剤の水蒸気バリア性を簡便に向上させることの出来る方法の開発が切望されている。

概要

水蒸気バリア性に優れたコーティング剤の提供。コーティング成分と還元でん粉糖化物とを含んでなるコーティング剤。なし

目的

本発明は、水蒸気バリア性に優れたコーティング剤およびコーティング剤の水蒸気バリア性の向上方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

請求項2

コーティング成分が可食性である、請求項1に記載のコーティング剤。

請求項3

還元でん粉糖化物を添加することを含んでなる、コーティング剤の水蒸気バリア性向上方法

請求項4

コーティング成分と還元でん粉糖化物とを用いて内包物コーティングすることを含んでなる、コーティング処理物調製方法

請求項5

請求項4に記載の方法により調製された、コーティング処理物。

請求項6

コーティング成分と還元でん粉糖化物とから形成される、フィルム

技術分野

0001

本発明は、水蒸気バリア性に優れたコーティング剤に関する。本発明はまた、コーティング剤の水蒸気バリア性の向上方法に関する。本発明はさらにまた、水蒸気バリア性に優れたコーティング方法コーティング処理物フィルムに関する。

背景技術

0002

従来、食品医薬品の錠剤においては、風味マスキング酸素バリアおよび水蒸気バリアによる成分の安定化、輸送過程における摩損の防止などのためにコーティング剤が用いられている。用いられるコーティング剤としては可食性コーティング成分であるシェラックツェインプルランヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などが知られている。

0003

上記以外には、酵母細胞壁を主成分とすることを特徴とするコーティング剤(特許文献1参照)、および大豆由来水溶性ヘミセルロース(特許文献2参照)もコーティング剤に用いられ、有用であることが示されている。

0004

例えば、酵母細胞壁については、他の物質を併用してコーティング剤として活用する試みがなされ、幾つかの例が開示されている。具体的には、細胞壁画分に可食性の酸素バリア性改良剤を添加した酸素バリア性の高いコーティング剤が開示されている(特許文献3参照)。また、酵母細胞壁画分とプルランを併用した酸化安定性機能の強化されたコーティング剤も開示されている(特許文献4参照)。また、機能性物質アラビアガム、アラビアガムまたはオクテニルコハク酸エステル化でん粉から選択される乳化剤と酵母細胞壁画分を用いて得られる粉末状混合物は保存安定性が優れていることが開示されている(特許文献5参照)。

0005

しかしながら、酵母細胞壁や大豆由来の水溶性ヘミセルロースなどを用いたコーティング剤は、水蒸気バリア性が十分ではなかった。このため、酸素バリア性だけではなく水蒸気バリア性の高いコーティング剤、およびコーティング剤の水蒸気バリア性を簡便に向上させることの出来る方法の開発が切望されている。

先行技術

0006

特開2000−044878号公報
特開平9−070285号公報
特開2002−249714号公報
特開2002−053807号公報
特開2004−166636号公報

発明の解決しようとする課題

0007

本発明は、水蒸気バリア性に優れたコーティング剤およびコーティング剤の水蒸気バリア性の向上方法を提供することを目的とする。本発明はまた、水蒸気バリア性に優れたコーティング処理物やその調製方法、さらには水蒸気バリア性に優れたフィルムを提供することを目的とする。

発明を解決するための手段

0008

本発明者らは、コーティング成分に還元でん粉糖化物を添加したコーティング剤を用いることにより、形成されたコーティングが高い水蒸気バリア性を有することを見いだした。本発明はこの知見に基づくものである。

0009

すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)コーティング成分と還元でん粉糖化物とを含んでなる、コーティング剤。
(2)コーティング成分が可食性である、上記(1)に記載のコーティング剤。
(3)還元でん粉糖化物を添加することを含んでなる、コーティング剤の水蒸気バリア性の向上方法。
(4)コーティング成分と還元でん粉糖化物とを用いて内包物をコーティングすることを含んでなる、コーティング処理物の調製方法。
(5)上記(4)に記載の方法により調製された、コーティング処理物。
(6)コーティング成分と還元でん粉糖化物とから形成される、フィルム。

0010

本発明のコーティング剤、コーティング処理物およびフィルムは、水蒸気バリア性の点で優れている。本発明のコーティング剤、コーティング処理物およびフィルムはまた、可食性または生分解性とすることもできる。従って、本発明は、食品、医薬、農薬、種子、顔料香料微生物動物飼料肥料の分野において有用である。

発明の具体的な説明

0011

本発明に用いられるコーティング成分は、コーティング剤として使用できるものであればいずれのコーティング成分であっても使用することができる。例えば、可食性のコーティング剤を得る場合には、可食性のコーティング成分を用いることができる。そのような可食性のコーティング成分としては、特に限定されないが、酵母細胞壁画分、大豆多糖類、シェラック、ツェイン、プルラン、カルメロースヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロースHEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレートCAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)などのセルロース誘導体、およびメタアクリル酸コポリマーなどを挙げることができる。また、生分解性のコーティング剤を得る場合には、生分解性のコーティング成分を用いることができる。生分解性のコーティング成分としては可食性コーティング成分を挙げることができる。

0012

本発明では、還元でん粉糖化物をコーティング剤に使用することによりコーティング剤の水蒸気バリア性を向上させることができる。従って、本発明ではコーティング成分として水蒸気透過性のコーティング成分を用いてもよい。例えば、酵母細胞壁画分や大豆多糖類などの水蒸気透過性の高いコーティング成分を本発明において用いることができる。

0013

本発明ではまた、コーティング成分として、1種類以上のコーティング成分を用いてもよい。従って、例えば、酵母細胞壁画分と大豆多糖類の混合物をコーティング成分として用いることができる。複数のコーティング成分を用いた場合、それぞれのコーティング成分の重量割合は特に制限されず、任意の割合で混合して用いることができる。

0014

本発明においてコーティング成分として用いられる酵母細胞壁画分は、市販のものを用いても良く、以下の方法に準じて酵母菌体から調製してもよい。

0015

酵母としては、分類学上酵母に属する酵母であればいずれの酵母を用いてもよく、例えば、ビール酵母ワイン酵母パン酵母トルラ酵母、乳酵母等を用いることができる。具体的には、サッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastrianus)、サッカロマイセス・ルーキシ(Saccharomyces rouxii)、サッカロマイセス・カールスバーゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)等のサッカロマイセス(Saccharomyces)属に属する酵母、キャンディダ・ウティリス(Candida utilis)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、キャンディダ・フレーベリ(Candida flaveri)等のキャンディダ(Candida)属に属する酵母、トルラスポラ・デルブルッキー(Torulaspora delbrueckii)等のトルラスポラ(Torulaspora)属に属する酵母、クルイベロミセスサーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)等のクルイベロミセス(Kluyveromyces)属に属する酵母、ピヒア・メンブラファエンス(Pichia membranaefaciens)等のピヒア(Pichia)属に属する酵母等を例示することができる。好ましくは、サッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastrianus)、サッカロマイセス・ルーキシ(Saccharomyces rouxii)、サッカロマイセス・カールスバーゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)等のサッカロマイセス(Saccharomyces)属に属する酵母が用いられ、より好ましくは、サッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)が用いられ、さらに好ましくは、サッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)に属するビール酵母が用いられる。これらの酵母は、単独で用いても良く、上記の酵母から選択される2種類以上を組み合わせて用いてもよい。酵母菌体として、発泡性麦芽飲料ビール様飲料発酵工程に用いられた酵母を用いてもよいが、この場合、ビールによる苦味を取り除くため、アルカリ水溶液洗浄する等の脱苦味処理を施した菌体を用いることが好ましい。脱苦味処理は、当業者に周知の方法を用いることができ、例えば、特開昭55−162983号公報に記載の方法により行うことができる。

0016

本発明に用いられる酵母細胞壁画分は、当業者に周知の方法により調製することができる。一般的には、本発明に用いられる酵母細胞壁画分は、酵母菌体を破壊し、菌体内成分を除外することにより調製することができる。以下、本発明に用いられる酵母細胞壁画分の調製方法を例示する。

0017

まず、酵母菌体を酵素により消化処理する。酵母菌体の消化処理は、酵母菌体に内在する酵素を利用する自己消化法を用いて行ってもよく、外部からプロテアーゼヌクレアーゼ、β−グルカナーゼエステラーゼおよび/またはリパーゼなどの酵素を添加する酵素添加法を用いて行ってもよい。あるいは、上記消化処理は自己消化法と酵素添加法とを併用して行ってもよい。また、消化処理は、上記以外での処理を用いてもよく、酵母エキスを調製する際に用いられる方法であれば、いずれの方法を用いてもよい。また、消化処理の前には、必要に応じて上記の酵素による消化処理時間を低減する目的で、高圧ホモジナイザーなどにより細胞壁物理的な破壊を伴う前処理を行ってもよい。高圧ホモジナイザーを用いる前処理は、例えば100〜1000kg/cm2の圧力下で行うことができる。消化処理後は、遠心分離等により上記酵素処理物可溶性菌体成分を除去し、次いで、ペレット酸性水溶液で処理し、不溶性成分として得られる酵母菌体残渣を遠心分離等により回収し、酵母細胞壁画分とすることができる。酸性水溶液としては、0.01〜2N、好ましくは0.1〜0.5Nの例えば塩酸硫酸硝酸等の酸を用いることができる。酸処理は、好ましくは50℃以上に加熱して行うことができ、より好ましくは80℃以上に加熱して行うことができる。別法としては、公知の酵母エキス製造の際に生じた酵母エキス抽出残渣を酵母細胞壁画分として用いることができる。得られた酵母細胞壁画分は、適宜水やエタノールなどの溶媒に懸濁して用いることができる。酵母細胞壁画分は、乾燥後、固形で、または粉体にして用いることもできる。

0018

本発明においてコーティング成分として用いられる大豆多糖類は、大豆中から得られる水溶性多糖類である。大豆多糖類は、例えば、大豆中のセルロース等との結合状態で存在する多糖類からなる水不溶性食物繊維を、弱酸性下にて加水分解し、その後、不溶性成分を遠心分離等により除去して、水溶性成分として調製することができる。大豆多糖類は、当業者に周知の方法により調製して用いてもよいが、大豆多糖類であればいずれのものを用いてもよく、市販のものを用いることもできる。大豆多糖類は、ヘミセルロースガラクトースアラビノースガラクツロン酸ラムノースキシロースフコースおよびグルコース等の糖を含有すると考えられている。

0019

本発明に用いられる還元でん粉糖化物は、還元水飴または還元でん粉加水分解物とも呼ばれ、一般的には、でん粉を加水分解して得られる単糖二糖オリゴ糖類等を含有するでん粉糖化物をさらに水素化処理して得ることができる。本発明で用いられる還元でん粉糖化物は、上記のように、常法に準じて調製して得たものを用いてもよいが、還元でん粉糖化物であればいずれのものを用いてもよく、市販の還元でん粉糖化物を用いることもできる。本発明で用いられる還元でん粉糖化物は、好ましくは、添加後の本発明のコーティング剤の固形分の1〜80重量%、より好ましくは1〜40重量%となるようにコーティング剤に添加することができる。

0020

本発明のコーティング剤はコーティング成分と還元でん粉糖化物とを混合することにより調製することができる。本発明のコーティング剤には、コーティング剤としての効果を損なわない限り、他の添加物が添加されていてもよい。そのような添加物としては、特に限定されないが、例えば、可食性の酸素バリア性改良剤として用いられる、単糖類(グルコース、マンノース等)、オリゴ糖類(マルトーストレハロースフルクトース、アラビノース、ニゲロオリゴ糖ラクトース、D−グルコノ−1,5−ラクトン等)等の糖類、塩酸アルギニン等のアミノ酸類硫酸第一鉄リン酸二水素ナトリウム等の無機塩類パラチニットビタミンCなどが挙げられ、これらの混合物を添加してもよい。このような酸素バリア性改良剤を添加することで、コーティング剤の酸素バリア性を向上させることができる。すなわち、本発明において、コーティング成分として酸素バリア性に優れたコーティング成分を用いることにより、あるいは、酸素バリア性改良剤をコーティング剤に添加することにより、水蒸気バリア性と酸素バリア性の双方を有するコーティング剤が提供される。酸素バリア性に優れたコーティング剤としては、好ましくは酵母細胞壁画分、大豆多糖類またはこれらの混合物を用いることができる。

0021

本発明のコーティング剤は、液状であってもよく、固形や粉体であってもよい。また、気流中への混合物であってもよい。従って、本発明のコーティング剤は、液状コーティング剤、固形コーティング剤、粉体コーティング剤、または気流状コーティング剤として提供されうる。液状の場合は、コーティング剤は、水溶液や、酢酸溶液アルコール溶液等の有機溶媒溶液として用いてもよく、それらの混合液として用いてもよいが、好ましくは、水溶液、アルコール溶液、アルコール水溶液、さらに好ましくは、水溶液、アルコール水溶液として用いることができる。固形コーティング剤は、例えば、粉体または乾燥させた液状のコーティング剤を粒状などにして調製することができる。粉体コーティング剤は、例えば、固形のコーティング剤を粉砕し、または液状コーティング剤を乾燥させて調製することができ、あるいは粉体のコーティング剤を混合しても調製することができる。気流状コーティング剤は、例えば、閉鎖空間内流動させた空気に、液状、固形または粉体のコーティング剤を分散させて調製することができる。本発明のコーティング剤は、当業者に周知の方法に従い、コーティング処理フィルム形成処理に用いることができる。

0022

本発明のコーティング剤は、可食性成分を用いて調製することにより、可食性コーティング剤とすることができる。本発明の可食性コーティング剤は、食品用医薬品用または飼料用などの経口用コーティング剤として有用である。また、本発明のコーティング剤は、生分解性成分を用いて調製することにより、生分解性コーティング剤とすることができる。本発明の生分解性コーティング剤は、環境負荷が低く、化粧品、香料、顔料、農薬、種子、肥料等のコーティング剤として有用である。すなわち、本発明のコーティング剤は、特に限定されないが、食品、医薬品、化粧品、香料、顔料、農薬、種子、飼料、肥料等のコーティング剤として幅広く有用である。本発明のコーティング剤は、内包物を安定的に保存することができる点で有用であり、上記以外の様々な用途においても幅広く有用である。

0023

本発明のコーティング剤は、コーティング剤として用いる以外に、賦形剤としても用いることもできる。例えば、粉末製品の賦形剤として用いてもよいし、噴霧乾燥時の賦形剤としてデキストリン等の代わりに用いてもよいし、粒状に加工する場合の賦形剤として用いてもよい。

0024

本発明のコーティング剤では、コーティング処理時の温度で固体として存在する物であればいずれの物であってもコーティングすることができる。例えば、常温(25℃)でコーティング処理を行う場合には、常温で固体として存在するものをコーティングすることができる。また、コーティングされる内包物の融点に合わせた温度条件下でコーティングすることもできる。本発明のコーティング剤によりコーティングされる内包物としては、特に限定されないが、例えば、食品、医薬品、化粧品、香料、顔料、農薬、種子、飼料、肥料等を挙げることができる。本発明のコーティング剤によりコーティングされる食品としては、例えば、でん粉質食品、錠剤型食品、洋菓子類キャンディ、あめ類、チョコレートチューインガム等)、和菓子類(せんべい等)、焼菓子類カステラクッキークラッカー等)、グミ製剤、油菓子ポテトチップス類、スナック類)、各種ソースしょうゆ・みそ・マヨネーズドレッシング類粉末・固形化したもの、各種飲料(果汁飲料ネクター飲料、清涼飲料スポーツ飲料コーヒーココアスープ類アルコール飲料類等)を粉末・固形化したもの、各種エキス粉末(ビーフ・ポーク・チキン畜産エビホタテシジミ昆布水産野菜果樹類、植物、酵母等)、油脂類香料類バニラかんきつ類、かつお等)を粉末・固形化したもの、粉末スパイスハーブ類唐辛子コショウサンショ、ユズバジル等)、粉末飲食品インスタントコーヒーインスタント紅茶インスタントミルクインスタントスープインスタント味噌汁等)、各種乳製品類チーズ等)、各種栄養・栄養補助食品素材類(ビタミンA・B群・C・D・E等のビタミン類ビフィズス菌乳酸菌酪酸菌等有用菌類クロレラ、Ca・Mgミネラル類プロポリス等)、ふりかけ、フレーク類、トッピング類(クルトン等)、豆類加工食品豆腐、おから等)を固形化したもの、生鮮食品調理加工食品カレーシチュー類)を固形化したもの、冷凍食品具材、ころも類)、各種加工食品機能性食品(DHAリノール酸リノレン酸レシチンキトサンローヤルゼリー、プロポリス等)、甘味料アセスルファムカリウムアスパルテームパラチノースラフィノース、トレハロース、エリスリトールキシリトール)が挙げられる。内包物は、単独であるいは組み合わせてコーティングに供することができる。内包物は、必要に応じて微粒子顆粒もしくは錠剤などの適宜粒径造粒物としてもよい。

0025

本発明によれば、コーティング成分と還元でん粉糖化物とを用いて、内包物をコーティングすることができる。従って、本発明によれば、コーティング成分と還元でん粉糖化物とを用いて内包物をコーティングすることを含んでなる、コーティング処理物の調製方法が提供される。本発明によればまた、コーティング成分と還元でん粉糖化物とを用いたコーティング方法が提供される。

0026

上記のコーティング処理物の調製方法やコーティング方法では、内包物のコーティングの際に本発明のコーティング剤を用いることができる。従って、本発明によれば、本発明のコーティング剤を用いるコーティング処理物の調製方法やコーティング方法が提供される。本発明のコーティング剤は、そのまま、または必要に応じて、水溶液や、酢酸溶液、アルコール溶液等の有機溶媒溶液に懸濁させて、コーティングに用いることができる。

0027

内包物のコーティングは当業者に周知の方法により行うことができる。例えば、ドリアコーター(株式会社パウレック社製)などのコーティング機を用いて、内包物に本発明のコーティング剤の懸濁液等をスプレーコーティングすることにより行うことができるが、これに限らず、公知のコーティング方法や公知のコーティング装置を組み合わせて行ってもよい。コーティング後は、コーティングの乾燥を行うことができる。コーティングの乾燥温度は、特に限定されるものではなく、内包物の温度安定性に応じて当業者により適宜温度を設定することができるが、乾燥速度の観点からは、通常50〜90℃の温度で乾燥することが好ましい。また、コーティングの乾燥時間も公知の方法に従って当業者により適宜設定することができるが、キュアリング効果を得るためには、乾燥時間を延ばすとよい場合がある。コーティング剤の量は、コーティングされる内包物の量、求められる用途などに応じて当業者により適宜設定することができる。

0028

後記実施例に示されるように、還元でん粉糖化物をコーティング剤に添加することにより、形成されたコーティングの水蒸気バリア性を向上させることができる。従って、本発明によれば、還元でん粉糖化物を添加することを含んでなる、コーティング剤の水蒸気バリア性の向上方法が提供される。

0029

本発明によれば、コーティング成分と還元でん粉糖化物とを用いてコーティングされたコーティング処理物が提供される。本発明のコーティング処理物は、コーティングにより内包物が外部の水蒸気から守られているため、保存安定性に優れる。従って、本発明のコーティング処理物は、水蒸気バリア性が要求される食品、医薬品、化粧品、香料、顔料、農薬、種子、肥料などの分野において有用である。本発明のコーティング処理物は、必要に応じてさらに他のコーティング剤によりコーティングされていてもよい。

0030

本発明では内包物をコーティングすることなく、コーティング成分と還元でん粉糖化物を用いて成膜すると、水蒸気バリア性に優れたフィルムが得られる。すなわち、本発明によれば、コーティング成分と還元でん粉糖化物とから形成されるフィルムが提供される。

0031

本発明のフィルムは、単層フィルムとして形成させてもよく、複層フィルムとして形成させてもよい。本発明のフィルムは、高湿度下においても極めて低い水蒸気透過性を有するので、高い水蒸気バリア性が要求される、湿潤により固化などの物性変化や風味などの品質変化を起こしやすい食品、例えば、乾燥麺類などの乾燥食品乾燥粉末、スパイス粉末若しくは香料などの表面積の大きな風味物質、または湿潤により物性変化や品質変化を起こしやすい医薬品の包材などの用途に用いることができる。

0032

本発明のフィルムは、上記コーティング成分と還元でん粉糖化物とを用いて調製することができる。本発明のフィルムは、本発明のコーティング剤を用いて調製してもよく、例えば、本発明のコーティング剤が5〜200g/m2、好ましくは6〜100g/m2となるように、平板上に本発明のコーティング剤を塗布し、または、平板を本発明のコーティング剤に浸し、その後、室温(25℃)〜60℃で乾燥することにより、調製することができる。複層フィルムは、平板の代わりにフィルムを用いて調製することができる。

0033

本発明のコーティング剤、コーティング処理物およびフィルムの水蒸気バリア性は対象物水蒸気透過係数により評価することができ、水蒸気透過係数は当業者に周知の方法で算出することができる。水蒸気透過係数の測定法規格としては、例えば、JIS K7129(A法)や、JIS Z0208が存在し、具体的には、水蒸気透過係数は、感湿センサー(Lyssy法)、カップ法赤外センサー法(Mocon法)などの方法により算出することができる。ここで、水蒸気透過係数は、一般的に、「所定の温度及び湿度の条件で単位時間に単位面積試験片を通過する水蒸気の量」と定義され、水蒸気透過係数の値が低いほど、水蒸気バリア性が高いことを意味する。

0034

以下では、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各成分の固形分比率(%)は重量%で記載する。

0035

実施例1:酵母細胞壁画分または大豆多糖類を用いて調製したコーティング剤の水蒸気バリア性に対する還元でん粉糖化物の添加の効果
(1)表1記載の配合で、酵母細胞壁画分(固形分:9%、キリン協和フーズ株式会社製、製品名:イーストラップ;以下、同じものを使用した)、還元でん粉糖化物(固形分71.2%、三菱商事フードテック株式会社製、製品名:PO−60)、および水を混合し、混合液としてコーティング剤を得た。得られたコーティング剤を室温で攪拌しながら、吸引ポンプを用いて十分に脱気した。コーティング剤の水蒸気バリア性を評価するため、脱気後、塗工機を用いて混合液をPETフィルムの上に塗工し、40℃で24時間乾燥させてコントロールフィルム1およびフィルム1〜4を得た。

0036

同様に、表2記載の配合で、大豆多糖類(固形分:94.2%、フロイント産業株式会社製、製品名:ヘミロース;以下、同じものを使用した)を用いて、固形分3%の混合液(コーティング剤)を調製し、上記と同様の操作を行って、コントロールフィルム2、フィルム5および6を得た。

0037

(2)上記(1)で作成したフィルム1〜6並びにコントロールフィルム1および2の水蒸気透過試験を行った。水蒸気透過試験は、カップ法を用いて以下の条件で行った。すなわち、塩化カルシウムを入れた試験カップの開口部を、封ろう剤を用いてフィルムで密閉し、まず、温度40℃、相対湿度50%、測定面積28.26cm2に調整した恒温恒湿器にて16時間コンディショニングした。その後、24時間後の試験カップの質量増加量から、得られたフィルムの水蒸気透過係数((g・mm)/(m2・24時間))を算出した。水蒸気透過係数が小さいほど、水蒸気バリア性は高い。

0038

結果は表3に示されるとおりであった。

0039

表3に示されるとおり、酵母細胞壁画分のみを用いて調整したコントロールフィルム1と比較して、還元でん粉糖化物をさらに加えたフィルム1〜4では、フィルムの水蒸気透過係数が大きく低下した。また、大豆多糖類を用いて調整した場合でも同様であり、大豆多糖類のみを用いて調整したコントロールフィルム2と比較して、還元でん粉糖化物をさらに加えたフィルム5および6では、フィルムの水蒸気透過係数が大きく低下した。このように、酵母細胞壁画分や大豆多糖類をコーティング成分として調製したフィルムでは、還元でん粉糖化物の添加により、水蒸気バリア性が大きく向上した。

0040

実施例2:コーティング剤の水蒸気バリア性に対する還元でん粉糖化物の種類の影響
フィルムの水蒸気バリア性が還元でん粉糖化物の種類により影響を受けるか否かを評価した。還元でん粉糖化物としては三菱商事フードテック株式会社製のPO−40(固形分:70.8%)、PO−300(固形分:72.5%)およびPO−500(固形分:73.1%)、ならびにキリン協和フーズ株式会社製のアマミン70N(固形分:70.7%)およびアマミン500N(固形分:72.3%)を用いた。表4記載の配合で、酵母細胞壁画分、還元でん粉糖化物、および水を混合し、固形分10%の混合液としてコーティング剤を得た。

0041

0042

コーティング剤の水蒸気バリア性を評価するため、それぞれのコーティング剤を用い、実施例1記載の方法に準じて、フィルム7〜16を作成し、得られたフィルムの水蒸気透過試験を行った。それぞれの還元でん粉糖化物は、でん粉を分解し、糖化物を得るときの分解度が異なり、単糖、二糖、オリゴ糖等の比率がそれぞれ異なっている。

0043

結果は表5に示されるとおりであった。

0044

表5に示されるとおり、還元でん粉糖化物を添加して調製したフィルム(フィルム7〜16)では、還元でん粉糖化物を用いないで調製した場合(表3のコントロールフィルム1(水蒸気透過係数:11.24g・mm/m2・24時間))と比較して水蒸気透過性が大きく低減し、水蒸気バリア性が大きく向上した。

0045

実施例3:コーティング成分として酵母細胞壁画分と大豆多糖類を併用して調製したコーティング剤における、水蒸気バリア性に対する還元でん粉糖化物の添加の効果
表6記載の配合で、酵母細胞壁画分と大豆多糖類の両コーティング成分を用いたコーティング剤を得た。

0046

0047

コーティング剤の水蒸気バリア性を評価するため、それぞれのコーティング剤を用い、実施例1記載の方法に準じて、コントロールフィルム3、フィルム17および18を作成し、得られたフィルムの水蒸気透過試験を行った。

0048

結果は表7に示されるとおりであった。

0049

表7に示されるとおり、酵母細胞壁画分と大豆多糖類を併用した場合においても、還元でん粉糖化物を添加することにより、フィルムの水蒸気バリア性が大きく向上した。

0050

実施例4:コーティング成分としてツェインまたはプルランを用いて調製したコーティング剤における、水蒸気バリア性に対する還元でん粉糖化物の添加の効果
実施例1〜3では、コーティング成分として酵母細胞壁画分や大豆多糖類を用いたが、実施例4では、コーティング成分として一般的に使用されるツェインまたはプルランを用いた。ツェインとしては、小林香料株式会社製の小林ツェインDP(固形分:95.9%)を用い、プルランとしては、林原商事株式会社製のプルラン(固形分:97.4%)を用いた。表8の配合で、ツェインまたはプルランと、還元でん粉糖化物(固形分:71.2%)および水とを混合してコーティング剤を得た。

0051

0052

コーティング剤の水蒸気バリア性を評価するため、それぞれのコーティング剤を用い、実施例1記載の方法に準じて、コントロールフィルム4および5並びにフィルム19および20を作成し、得られたフィルムの水蒸気透過試験を行った。

0053

結果は表9に示されるとおりであった。

0054

表9に示されるとおり、コーティング成分としてツェインやプルランを用いた場合でも、還元でん粉糖化物を添加することにより、フィルムの水蒸気バリア性が向上した。

0055

このように、本発明のコーティング剤では、酵母細胞壁画分、大豆多糖類、プルランおよびツェインなどの幅広いコーティング成分を用いることができ、いずれの場合も本発明のコーティング剤を用いて調製したフィルムは、水蒸気バリア性を向上させた。また、本発明のコーティング剤は優れた水蒸気バリア性を有していた。

0056

実施例5:実施例1で得られたコーティング剤の酸素透過性の評価
コーティング剤の酸素透過性を評価するため、酸素透過試験により、実施例1で調製したフィルム2、6および実施例3で調製したフィルム18並びにコントロールフィルム1の酸素透過性を比較した。酸素透過試験は、温度23℃、相対湿度60%、試験面積50cm2、酸素濃度10%の測定条件下で、モコン(MOCON:Modern Controls)社製のOX−TRAN10/50を用いて行った。

0057

結果は表10に示されるとおりであった。

0058

表10に示されるとおり、還元でん粉糖化物を添加して調製したフィルム2、6および18は、還元でん粉糖化物を添加せずに調製したコントロールフィルム1と比較して、いずれも酸素透過係数が低く、良好な酸素バリア性を有していた。従って、酵母細胞壁画分と還元でん粉糖化物とを用いて調製したフィルムは、水蒸気バリア性に加えて、優れた酸素バリア性を有していることが分かった。

0059

実施例6:コーティング処理物の調製
表11に示す配合で、酵母細胞壁画分(固形分:9%)、大豆多糖類(固形分:94.2%)、還元でん粉糖化物(固形分:71.2%)を用いて、固形分10%の混合液(コーティング剤)を得た。この混合液の固形分比率は、細胞壁画分:大豆多糖類:還元澱粉糖化物=4:3:3であった。

0060

得られた混合液を、ドリアコーター(株式会社パウレック社製)を用いて錠剤(乳糖59重量%、結晶セルロース36重量%、ショ糖脂肪酸エステル3重量%、二酸化ケイ素2重量%からなる250mg/錠の錠剤)に給気温度70℃でコーティングを行い、錠剤の良好なコーティング処理物を得た。

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