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技術 眼鏡レンズの製造条件決定方法および製造方法

出願人 HOYA株式会社ホヤレンズタイランドリミテッド
発明者 田所信幸アヌッサラースクバンパーン
出願日 2012年10月24日 (7年8ヶ月経過) 出願番号 2012-234739
公開日 2013年6月6日 (7年0ヶ月経過) 公開番号 2013-109336
状態 未査定
技術分野 メガネ ポリウレタン,ポリ尿素
主要キーワード えんじ色 キセノンショートアークランプ 長期使用後 レンズ形 分光透過スペクトル 決定対象 結露発生 凹凸レンズ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年6月6日)のものです。
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課題

長期にわたり赤色様の変色を生じず高い品質を維持することが可能なポリチオウレタン製眼鏡レンズを得るための手段を提供すること。

解決手段

イソチオシアネート化合物チオール化合物との重合反応によりポリチオウレタンを得る工程を経て得られるポリチオウレタン製眼鏡レンズの製造条件決定方法。実製造において前記重合反応に用いる原料混合物候補組成および候補重合反応条件を決定すること、決定した候補組成の原料混合物を候補重合反応条件下で重合して試験用サンプルを得ること、得られた試験用サンプルにキセノンランプ照射試験を行いキセノンランプ照射後の赤色様の変色の有無を判定すること、および、上記判定結果を指標として、実製造において前記重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定すること、を含む。

概要

背景

一般に眼鏡レンズは、ハードコート膜反射防止膜等の各種機能性膜レンズ基材上に形成することにより製造される。ここでレンズ基材としては、プラスチックレンズまたはガラスレンズが用いられるが、現在多くの眼鏡レンズは、プラスチックレンズをレンズ基材として製造されている。プラスチックレンズはガラスレンズに比べて軽量である、割れにくい、といった様々な利点を有するからである。

眼鏡レンズの厚さはレンズ基材の屈折率により左右され、屈折率ndの高いプラスチックレンズをレンズ基材として使用するほど、眼鏡レンズの薄型化が可能となる。そこでプラスチックレンズ材料として高屈折率材料の開発が進められ、現在まで様々な高屈折率プラスチック材料が提案され実用化されている。中でもイソチオシアネート化合物チオール化合物との重合反応により得られるポリチオウレタン製のプラスチックレンズ(例えば特許文献1、2参照)は、nd=1.6程度の高い屈折率を有するため、薄型眼鏡レンズのレンズ基材として広く用いられている。

概要

長期にわたり赤色様の変色を生じず高い品質を維持することが可能なポリチオウレタン製眼鏡レンズを得るための手段を提供すること。イソ(チオ)シアネート化合物とチオール化合物との重合反応によりポリチオウレタンを得る工程を経て得られるポリチオウレタン製眼鏡レンズの製造条件決定方法。実製造において前記重合反応に用いる原料混合物候補組成および候補重合反応条件を決定すること、決定した候補組成の原料混合物を候補重合反応条件下で重合して試験用サンプルを得ること、得られた試験用サンプルにキセノンランプ照射試験を行いキセノンランプ照射後の赤色様の変色の有無を判定すること、および、上記判定結果を指標として、実製造において前記重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定すること、を含む。なし

目的

本発明の目的は、長期にわたり赤色様の変色を生じず高い品質を維持することが可能なポリチオウレタン製眼鏡レンズを得るための手段を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

イソチオシアネート化合物チオール化合物との重合反応によりポリチオウレタンを得る工程を経て得られるポリチオウレタン製眼鏡レンズ製造条件決定方法であって、実製造において前記重合反応に用いる原料混合物候補組成および候補重合反応条件を決定すること、決定した候補組成の原料混合物を候補重合反応条件下で重合して試験用サンプルを得ること、得られた試験用サンプルにキセノンランプ照射試験を行いキセノンランプ照射後の赤色様の変色の有無を判定すること、および、上記判定結果を指標として、実製造において前記重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定すること、を含むことを特徴とする、前記製造条件決定方法。

請求項2

前記試験により赤色様の変色なしと判定された試験用サンプルの原料混合物組成および重合反応条件を実製造の製造条件として決定するか、または、前記試験により赤色様の変色なし若しくは変色ありと判定された試験用サンプルの原料混合物組成および重合反応条件に基づき、前記重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定する、請求項1に記載の製造条件決定方法。

請求項3

前記試験により赤色様の変色ありと判定された試験用サンプルの原料混合物組成に対して、イソ(チオ)シアネート化合物に対するチオール化合物の混合比率を増加した組成またはチオール化合物に対するイソ(チオ)シアネート化合物の混合比率を低減した組成を、前記重合反応に用いる原料混合物組成として決定する、請求項2に記載の製造条件決定方法。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により製造条件を決定すること、および、決定した製造条件によりポリチオウレタンの重合反応を行うこと、を含むことを特徴とするポリチオウレタン製眼鏡レンズの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、眼鏡レンズ製造条件決定方法に関するものであり、詳しくは、経時的に赤色様の変色を生じることのないポリチオウレタン製眼鏡レンズの提供を可能とするポリチオウレタン製眼鏡レンズの製造条件決定方法に関するものである。
更に本発明は、上記方法により決定された製造条件を採用することにより、長期にわたり高い品質を維持し得るポリチオウレタン製眼鏡レンズを製造し得る眼鏡レンズの製造方法に関する。

背景技術

0002

一般に眼鏡レンズは、ハードコート膜反射防止膜等の各種機能性膜レンズ基材上に形成することにより製造される。ここでレンズ基材としては、プラスチックレンズまたはガラスレンズが用いられるが、現在多くの眼鏡レンズは、プラスチックレンズをレンズ基材として製造されている。プラスチックレンズはガラスレンズに比べて軽量である、割れにくい、といった様々な利点を有するからである。

0003

眼鏡レンズの厚さはレンズ基材の屈折率により左右され、屈折率ndの高いプラスチックレンズをレンズ基材として使用するほど、眼鏡レンズの薄型化が可能となる。そこでプラスチックレンズ材料として高屈折率材料の開発が進められ、現在まで様々な高屈折率プラスチック材料が提案され実用化されている。中でもイソチオシアネート化合物チオール化合物との重合反応により得られるポリチオウレタン製のプラスチックレンズ(例えば特許文献1、2参照)は、nd=1.6程度の高い屈折率を有するため、薄型眼鏡レンズのレンズ基材として広く用いられている。

先行技術

0004

特公平6−5323号公報
特公平7−5585公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、眼鏡レンズに求められる性能の一つとして、経時的に変色等の品質低下を起こすことなく、長期にわたり高い品質を維持し得ることが挙げられる。そこで眼鏡レンズの製造分野では、経時的な品質低下のない眼鏡レンズを安定供給するために、実製造における製造条件を決定するために、候補製造条件により作製した被検サンプルに対して加速耐久性試験を行い、良好な試験結果を示した被検サンプルの製造条件と同様の製造条件を、実製造において採用することが通常である。従来、そのような加速耐久性試験としては、オーブン加熱による耐熱性評価やQUV促進耐候性試験による評価(以下、「QUV試験」ともいう)などが採用されている。オーブン加熱やQUV試験後にも変色等の品質低下が観察されない被検サンプルと同様の製造条件下で製造された眼鏡レンズであれば、実使用時においても長時間にわたり劣化を起こすことなく優れた耐久性を示すことができると考えられる。

0006

しかし近年、上記加速耐久性試験により長期にわたり良好な品質を維持することが保証されていたはずのポリチオウレタン製眼鏡レンズにおいて、長期使用後にレンズ全体が赤色様(例えばピンク色〜赤色)を呈するという品質低下が発生することが明らかとなった。即ち、従来採用されていた加速耐久性試験では、長期使用後に赤色様の変色を発生するポリチオウレタン製眼鏡レンズが製品レンズとして出荷されてしまうことを防ぐことができないことが判明した。

0007

そこで本発明の目的は、長期にわたり赤色様の変色を生じず高い品質を維持することが可能なポリチオウレタン製眼鏡レンズを得るための手段を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

前述のQUV試験は、被検サンプルに対して紫外線照射結露発生サイクルを繰り返す耐候性試験であり、被検サンプルは高温での紫外線照射と暗所での結露により劣化が促進される。ここでQUV試験において照射光として紫外線が採用されている理由は、実使用時に製品が曝される自然光に含まれる様々な波長の光の中で、短波長光でありエネルギー準位の高い紫外線が品質低下の主な原因になると考えられているからである。
これに対し本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、キセノンランプ照射後に赤色様の変色を生じるポリチオウレタンサンプルと同様の製造条件で製造されたポリチオウレタン製眼鏡レンズが、実際に長期使用された際に赤色様の変色を生じるという、新たな知見を得るに至った。この作用機構は必ずしも明らかではないが、本発明者らは新たに見出された上記知見および後述の実施例で実証された事実から、ポリチオウレタン製眼鏡レンズでは、自然光に含まれる広範な波長の光の作用によって、未反応のイソ(チオ)シアネート化合物が何らかの反応を起こすことにより上記赤色様の変色が発生するというメカニズム推定している。したがって、上記変色は短波長光である紫外線照射による加速耐久性試験では再現することはできず、太陽光に近い連続スペクトルを有する光源であるキセノンランプの照射によって、初めて再現可能となると考えられる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。

0009

即ち、本発明は、
イソ(チオ)シアネート化合物とチオール化合物との重合反応によりポリチオウレタンを得る工程を経て得られるポリチオウレタン製眼鏡レンズの製造条件決定方法であって、
実製造において前記重合反応に用いる原料混合物候補組成および候補重合反応条件を決定すること、
決定した候補組成の原料混合物を候補重合反応条件下で重合して試験用サンプルを得ること、
得られた試験用サンプルにキセノンランプ照射試験を行いキセノンランプ照射後の赤色様の変色の有無を判定すること、
上記判定結果を指標として、実製造において前記重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定すること、
を含むことを特徴とする、前記製造条件決定方法、
を提供する。

0010

更に本発明によれば、
上記方法により製造条件を決定すること、および、決定した製造条件によりポリチオウレタンの重合反応を行うこと、を含むことを特徴とするポリチオウレタン製眼鏡レンズの製造方法、
も提供される。

発明の効果

0011

本発明によれば、長期にわたり赤色様の変色を起こすことなく良好な品質を維持するポリチオウレタン製眼鏡レンズを提供することが可能となる。

0012

本発明は、イソ(チオ)シアネート化合物とチオール化合物との重合反応によりポリチオウレタンを得る工程を経て得られるポリチオウレタン製眼鏡レンズの製造条件決定方法に関する。
本発明の製造条件決定方法は、
実製造において前記重合反応に用いる原料混合物の候補組成および候補重合反応条件を決定すること、
決定した候補組成の原料混合物を候補重合反応条件下で重合して試験用サンプルを得ること、
得られた試験用サンプルにキセノンランプ照射試験を行いキセノンランプ照射後の赤色様の変色の有無を判定すること、および、
上記判定結果を指標として、実製造において前記重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定すること、
を含むものである。これにより、先に説明したように、経時的に赤色様の変色を発生するポリチオウレタン製眼鏡レンズが製品レンズとして出荷されてしまうことを未然に回避することができる。なお本発明において、赤色様に変色ないし呈色している状態とは、波長590〜750nm(オレンジ〜赤の波長域)、中でも620〜750nm(赤の波長域)の光を反射することにより、赤色、ピンク色、マゼンタえんじ色、オレンジ色などと呼ばれる色調を呈している状態をいうことができる。または、オレンジの補色である青から赤の補色である緑までの波長域である450〜570nmにおいて透過率が90%未満になる波長を有することを、赤色様に変色している状態をいうこともできる。
以下、本発明の製造条件決定方法について、更に詳細に説明する。

0013

本発明において、製造条件の決定対象である眼鏡レンズはポリチオウレタン製眼鏡レンズである。ポリチオウレタンはイソ(チオ)シアネート化合物とチオール化合物との重合反応により得られるため、ポリチオウレタン製眼鏡レンズを得るための原料混合物は、少なくともイソ(チオ)シアネート化合物とチオール化合物が含まれる。なお本発明において「イソ(チオ)シアネート」とは、イソシアネートイソチオシアネートを含む意味で用いられる。原料混合物には、その他のポリチオウレタン合成に通常使用される各種成分(例えば、共重合可能モノマー重合開始剤触媒等)が含まれていてもよい。本発明において原料化合物に含まれる各種成分については、例えば、特公平6−5323号公報(特許文献1)、特公平7−5585公報(特許文献2)等を参照できる。

0014

後述の実施例に示すように、長期使用されたポリチオウレタン製眼鏡レンズにおいて発生する赤色様の変色はキセノンランプ照射によって再現可能であることが、本発明者らにより新たに見出されたのであるが、この変色は重合反応後残留した未反応のイソ(チオ)シアネート化合物に起因して発生すると考えられる。なおポリチオウレタン製眼鏡レンズに発生する赤色様の変色は、主にレンズ全体がピンク色〜赤色に呈色する現象であり、これはピンク色の補色である緑色の光や赤色の補色である青ないし青緑色の光の吸収が増加する(これにより当該光の透過率は低下する)ことで生じる。そして未反応のイソ(チオ)シアネート化合物の残留量に影響を与える要因としては、
(1)原料混合物中のイソ(チオ)シアネート化合物が多かったこと、
(2)原料混合物中のチオール化合物が少なかったこと、
(3)重合開始剤や触媒量が少なかったため重合反応が十分に進まなかったこと、
(4)重合反応の温度や時間が不十分であり重合反応が十分に進まなかったこと、
などが挙げられる。したがって、長期使用後にも赤色様の変色の発生なく良好な品質を維持し続けることが可能なポリチオウレタン製眼鏡レンズを得るためには、上記(1)〜(4)等の要因により未反応のイソ(チオ)シアネートが多量に発生しない製造条件において、ポリチオウレタンの重合反応を行うことが好ましい。本発明によれば、以下の工程により、そのような製造条件を、多くの試行錯誤を経ることなく容易に見出すことができる。

0015

まず第一に、製品眼鏡レンズを製造するための製造条件の候補を決定する。具体的には、ポリチオウレタンの重合反応に使用するイソ(チオ)シアネート化合物、チオール化合物等の原料成分として適切な成分を市販品として入手し、または公知の方法で合成する。次いで、それら成分の混合比を、製品眼鏡レンズに求められる諸特性(屈折率、硬度、透過率等)に基づき決定する。こうして原料混合物の候補組成が決定される。その後、候補組成の重合反応を良好に進行させ得る温度、時間等の重合反応条件を、候補重合反応条件として決定する。

0016

次いで、上記のように決定された候補組成の原料混合物を、候補重合反応条件下で重合して試験用サンプルを得る。ポリウレタン製眼鏡レンズは、原料混合物をレンズ形状のキャビティを有する成形型内で重合させる注型重合法により製造されることが通常であるが、試験用サンプルは製品レンズと同様のレンズ形状であることは必須ではなく、板状や塊状等の任意の形状であることができる。

0017

上記により得られた試験用サンプルは、キセノンランプ照射試験に付される。キセノンランプとは、公知の通りキセノンガス中での放電による発光を利用したランプであって、ランプの点灯方法によってキセノンアークランプキセノンフラッシュランプ分類される。また、キセノンアークランプは、発光部の長さ(電極間距離)によってショートアークランプロングランプアープに大別される。様々な用途に広く使用されているキセノンランプはショートアークランプであるが、いずれのキセノンランプも太陽光に近い連続スペクトルを有するため、本発明においてキセノンランプ照射試験のために好適に使用することができる。キセノンランプ照射は、例えば、試験用サンプルの上方に配置したキセノンランプから光照射することにより行うことができる。照射条件は、製品眼鏡レンズが置かれる環境を再現し得るように設定することが好ましく、例えば、光源であるキセノンランプと試験用サンプルとの距離は100〜500mm程度、光量は100〜500W/m2程度(全波長域)、照射時間は100〜1000時間程度とすることができる。また、試験用サンプルがレンズ形状を有する場合、キセノンランプから光照射される被照射面はいずれかの主表面であってもよく、コバ面であってもよい。また、板状の試験用サンプルやその他形状の試験用サンプルについても、被照射面は特に限定されるものではない。

0018

後述の実施例に示すように、上記のキセノンランプ照射後に赤色様(ピンク色〜赤色)を呈する試験用サンプルと同様の製造条件で得られたポリチオウレタン製眼鏡レンズは、例えば1年以上の長期にわたり使用された後に、試験用サンプルと同様の赤色様の変色を生じることが、本発明者らによる鋭意検討の結果、明らかとなった。したがって、キセノンランプ照射後の試験用サンプルの赤色様の変色の有無を判定し、判定結果を指標として、実製造において製品レンズを得るための重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定すれば、長期使用されても赤色様の変色を起こすことのない高品質なポリチオウレタン製眼鏡レンズを提供することが可能となる。上記判定は、目視により行ってもよく、Lab値等を使用する公知の色調試験により行ってもよく、または分光透過スペクトルにおいて、ピンク色〜赤色の補色の波長の透過率が低いことをもって赤色様の変色ありと判定してもよい。

0019

次に、判定結果を指標として、実際にポリチオウレタン製眼鏡レンズを得るための製造条件を決定する方法について、説明する。

0020

決定方法の一態様としては、キセノンランプ照射試験で変色なしと判定された試験用サンプルの原料混合物組成および重合反応条件を、そのまま実製造の製造条件として採用する方法を挙げることができる。

0021

決定方法の他の態様としては、キセノンランプ照射試験で変色なしと判定された試験用サンプルの原料混合物組成および重合反応条件に基づき、実製造の重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定する方法を挙げることができる。具体例としては、キセノンランプ照射試験で変色なしと判定された試験用サンプルの原料組成において、変色に影響を及ぼすと考えられるイソ(チオ)シアネート化合物とチオール化合物との混合比は維持しつつ、変色に影響を及ぼさないと考えられる添加剤の使用量を増減することなどがある。

0022

決定方法の更なる態様としては、キセノンランプ照射試験で変色ありと判定された試験用サンプルの原料混合物組成および重合反応条件に基づき、実製造の重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定する方法を挙げることができる。前述のように、未反応のイソ(チオ)シアネート化合物が変色の原因と考えられるため、未反応のイソ(チオ)シアネート化合物量が低減するように、変色ありと判定された試験用サンプルの原料混合物組成や重合反応条件を変更することが、長期使用後に赤色様の変色を生じることのないポリチオウレタン製眼鏡レンズを提供するために好ましい。この点からは、具体的には、変色ありと判定された試験用サンプルの原料混合物組成においてイソ(チオ)シアネート化合物を減量する、チオール化合物を増量する、重合反応を促進するために重合開始剤や触媒の使用量を増量する、反応温度を高める、反応時間を延ばす、等の変更を加えた製造条件を、実製造の製造条件とすることが好ましい。重合反応条件の変更は実製造工程・製造設備の変更につながるため、変色ありと判定された試験用サンプルの原料混合物組成に対して、イソ(チオ)シアネート化合物に対するチオール化合物の混合比率を増加した組成、またはチオール化合物に対するイソ(チオ)シアネート化合物の混合比率を低減した組成を、実製造に用いる原料混合物組成として決定することが、より好ましい対応である。

0023

本発明によれば、以上説明したように、キセノンランプ照射試験により得た判定結果を指標として、製品ポリチオウレタン製眼鏡レンズを得るための実製造の原料混合物組成および重合反応条件を決定することで、長期使用されても赤色様の変色を起こすことのない製品レンズを提供することが可能となる。なお眼鏡レンズにおいては、長期使用後にクラック発生や機能性膜の剥離等の品質低下も起こさないことがより好ましいため、上記のキセノンランプ照射試験のほかに、試験用サンプルに対してオーブン加熱やQUV試験等の公知の加速耐久性試験を行い得られた試験結果も、実製造においてポリチオウレタンの重合反応に用いる原料混合物組成および重合反応条件を決定するための指標とすることも好ましい対応である。他の加速耐久性試験には、キセノンランプ照射試験を行う試験用サンプルと同じものを使用してもよく、同じ製造条件で得た他の試験用サンプルを使用してもよい。

0024

更に本発明によれば、上記の本発明の製造条件決定方法により製造条件、即ちポリチオウレタン製眼鏡レンズの原料混合物組成および重合反応条件を決定すること、ならびに、決定した製造条件によりポリチオウレタンの重合反応を行うこと、を含むことを特徴とするポリチオウレタン製眼鏡レンズの製造方法も提供される。
先に説明したように、また後述の実施例に示すように、キセノンランプ照射試験後の赤色様の変色有無は、製品レンズにおける長期使用後の変色有無と良好に対応するため、キセノンランプ照射試験の結果に基づき赤色様の変色が生じないように決定された製造条件によって製品レンズを製造すれば、長期使用後にも赤色様の変色発生による品質低下を起こすことのないポリチオウレタン製眼鏡レンズを、高い信頼性をもって提供することが可能となる。本発明のポリチオウレタン製眼鏡レンズの製造方法は、本発明の製造条件決定方法によって製造条件を決定する点以外は、公知技術を何ら制限なく用いることができる。また、得られたポリチオウレタン製眼鏡レンズは、通常は重合反応後に任意に洗浄研削研磨等の後工程を経てレンズ基材となり、その上に公知の方法によって機能性膜の形成等の加工工程が行われた後に製品レンズとなり出荷されるものである。

0025

以下、本発明を実施例に基づき説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。

0026

1.候補原料混合物組成および候補重合反応条件の選定
同様の使用環境眼鏡装用していたユーザーに、それぞれ1年〜2年程度使用された3つのポリチオウレタン製眼鏡レンズ(HOYA株式会社製商品アイアス;以下、「レンズ1」、「レンズ2」、「レンズ3」と呼ぶ。)を目視で観察したところ、レンズ1、レンズ3はピンク色を呈していることが目視で確認されたが、レンズ2はそのような呈色は確認されなかった。なお3つのレンズとも、一方が凹面、他方が凸面の凹凸レンズである。
そこで、レンズ1〜3の製造条件を調べたところ、重合反応条件および原料成分の種類は同じであったが、レンズ1はレンズ2に対してイソシアネート化合物の使用量が多い原料混合物を用いて製造されたレンズ、レンズ3はレンズ2に対してチオール化合物の使用量が少ない原料混合物を用いて製造されたレンズであった。
以上の結果を踏まえて、キセノンランプ照射試験を実施する試験用サンプルの原料混合物組成として、表1に示す9種の組成を選定した。

0027

2.試験用サンプル作製
表1に示す9種の組成の原料混合物をそれぞれ、凹凸形状を有するレンズを成形可能なキャビティを有する成形型を用いて、上記レンズ1、2を得た際と同じ重合反応条件で注型重合した。注型重合により得られた凹凸レンズ形状のポリチオウレタン成形体を成形型から離型し、9種の試験用サンプルを得た。

0028

3.キセノンランプ照射試験
各試験用サンプルを、凸面が鉛直上方を向くように試験台上に配置した。次いで、凸面の鉛直上方に254mm離れた位置に配置した市販のキセノンショートアークランプから、320W/m2(全波長域)の光量で100時間、各試験用サンプルの凸面に向かって光照射した。光照射後の試験用サンプルについて、以下の2つの方法によりピンク変の有無を判定した。
(1)目視による観察
試験用サンプルおよび前記レンズ1〜3を目視で観察し、ピンク変の有無を判定した。結果を表1に示す。
(2)分光透過率による評価
日立分光光度計U−3410を用いて、各試験用サンプルおよび前記レンズ1〜3の凸面側表面において波長380nm〜780nmにおける分光透過スペクトルを測定した。得られた分光透過スペクトルにより、ピンク色の補色である緑色の光の波長域にある560nmにおける透過率を求めた。結果を表1に示す。ピンク色の補色である緑色の光の吸収が多くなると当該光の透過率は低下するため、緑色の光の波長域における透過率が低いことは、ピンク変が生じていることを意味する。

0029

実施例

0030

表1に示すように、長期使用されピンク変が発生した前記レンズ1、3と同じ製造条件(原料混合物組成および重合反応条件)により作製されたサンプル1、9はキセノンランプ照射後にレンズ1、3と同様のピンク変を示し、長期使用された後にもピンク色の変色が見られなかったレンズ2と同じ製造条件で作製されたサンプル5には、キセノンランプ照射後にピンク変が見られなかった。以上の結果から、キセノンランプ照射試験により、長期使用後にポリチオウレタン製眼鏡レンズに生じる赤色様の変色を再現可能であることが実証された。したがって、表1中、キセノンランプ照射試験後にピンク色の変色が見られないサンプル3〜8の製造条件を、実製造の製造条件として採用すれば、長期にわたりピンク変を起こすことなく良好な品質を維持し得るポリチオウレタン製眼鏡レンズを製品レンズとして出荷することが可能となる。
また、表1の結果は、イソシアネート化合物に対するチオール化合物の使用量が少ないほど、またはチオール化合物に対するイソシアネート化合物の使用量が多いほど、ピンク変が発生することを示している。この結果から、ポリチオウレタン製眼鏡レンズを長期使用した際に発生する赤色様の変色は、未反応のイソ(チオ)シアネート化合物が要因であると推察される。

0031

本発明は、眼鏡レンズの製造分野に有用である。

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