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技術 吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材、その製造方法、及びそれを用いた吸着ヒートポンプ

出願人 三菱樹脂株式会社
発明者 陳海軍武脇隆彦
出願日 2012年10月1日 (8年1ヶ月経過) 出願番号 2012-219454
公開日 2013年6月6日 (7年5ヶ月経過) 公開番号 2013-108746
状態 特許登録済
技術分野 固体収着剤及びろ過助剤 収着式冷凍機械
主要キーワード 水だめ 操作温度範囲 水蒸気吸着能 高温側熱源 ゼオライト吸着材 低温側熱源 骨格密度 メソポーラスモレキュラーシーブ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

吸脱着性能に優れる上に、耐水没性等の耐水性にも優れた吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を提供する。

解決手段

骨格構造に少なくともケイ素原子アルミニウム原子リン原子とを含み、且つ骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であるゼオライトを用いた水蒸気吸着材であって、ゼオライトの重量に対して0.1〜15重量%の周期表第11族金属を含む。ゼオライトに11族金属を担持させると、ゼオライトの加水分解反応を促進するブレンステッド酸点が11族金属イオン置換され、ゼオライト中のブレンステッド酸点が減少することで、ゼオライトの耐水没性等の耐水性が向上する。

概要

背景

吸着ヒートポンプ除湿空調装置においては、吸着質、例えば水を吸着した吸着材再生するために、吸着材を加熱して吸着質を脱着させることにより再生した吸着材を、吸着質の吸着に使用する温度に冷却して再度吸着質の吸着に使用している。また、この吸着材の再生熱源として比較的高温(120℃以上)の排熱温熱を利用する吸収式ヒートポンプが既に実用化されている。しかし、一般にコジェネレーション機器燃料電池自動車エンジン冷却水太陽熱などによって得られる熱は100℃以下と比較的低温であるため、現在実用化されている吸収式ヒートポンプの駆動熱源としては利用できず、100℃以下、更には60℃〜80℃の低温排熱の有効利用が求められていた。

また、吸着ヒートポンプの動作原理は同じでも、利用可能な熱源温度によって吸着材に求められる吸着特性が大きく異なる。例えば、高温側の熱源として用いられるガスエンジンコージェネレーション固体高分子型燃料電池排熱温度は60℃〜80℃であり、自動車エンジンの冷却水の温度は85℃〜90℃である。また、冷却側の熱源温度も装置の設置場所によって異なる。例えば、自動車の場合はラジエターで得られる温度であり、ビルや住宅などでは水冷河川水などの温度である。つまり、吸着ヒートポンプの操作温度範囲は、ビルなどに設置する場合には低温側が25℃〜35℃、高温側が60℃〜80℃、自動車などに設置する場合には低温側が30℃〜40℃、高温側が85℃〜90℃程度である。このように、排熱を有効利用するためには、低温側熱源高温側熱源の温度差が小さくても駆動できる装置が望まれている。

吸着材の周囲が比較的高い温度でも装置が充分に作動するためには、吸着質を低相対蒸気圧で吸着させる必要があり、また使用する吸着材を少量にして装置を小型化するためには吸着材の吸脱着量が多いことが必要となる。そして吸着質の脱着(吸着材の再生)に低温の熱源を利用するためには脱着温度が低いことが必要となる。
すなわち、吸着ヒートポンプ又は除湿空調装置に用いる吸着材には、
(1)吸着質を低い相対蒸気圧で吸着し(高温で吸着可能)、
(2)吸脱着量が多く、
(3)吸着質を高い相対蒸気圧で脱着(低温で脱着可能)する、
ことが望まれている。

従来、吸着ヒートポンプ用の吸着材としては、一般的にシリカゲルと低シリカアルミナ比ゼオライトが用いられてきた。しかし、従来、吸着ヒートポンプに利用されてきた吸着材は、比較的低温の熱源を吸着ヒートポンプの駆動源として利用するには吸脱能力が不十分であった。例えば、吸着ヒートポンプ用のゼオライトの代表例として、ゼオライト13Xの水蒸気吸着等温線を考えると、相対蒸気圧0.05以下で急激に吸着され、0.05より高い相対蒸気圧域ではゼオライトの水蒸気吸着量は変化しない。吸着材を再生する際には、周囲の気体相対湿度を低下させて一度吸着した水分を脱着して除くが、ゼオライト13Xに吸着された水を脱着するには相対蒸気圧を下げる必要があるため、150℃〜200℃の熱源が必要であると言われている。

また、ヒートポンプ用吸着材として、界面活性剤ミセル構造鋳型として合成したメソポーラスモレキュラーシーブFSM−10など)(特許文献1)が、また、デシカント用に通称AlPO4と称される多孔質リン酸アルミニウムモレキュラーシーブ(特許文献2)が検討されている。このうち、メソポーラスモレキュラーシーブ(FSM−10)は相対蒸気圧0.20と0.35の範囲で吸着量差は0.25g/gと大きく、有望な素材である(特許文献1:図14のグラフ4;FSM−10)。しかし、比較的低い相対蒸気圧の範囲では吸着量が小さく、吸着量変化が大きい相対蒸気圧の範囲においても吸着量差が小さく、吸着ヒートポンプの性能は不十分である。また、繰り返し使用すると構造が崩れ、吸着材としての機能が低下することが指摘されており、耐久性が課題となっている。

また、特許文献3において、「25℃で測定した水蒸気吸着等温線において、相対蒸気圧0.05以上、0.30以下の範囲で相対蒸気圧が0.15変化したときに水の吸着量変化が0.18g/g以上の相対蒸気圧域を有する吸着材からなる吸着ヒートポンプ用ゼオライト吸着材」が提案されており、中でもアルミノフォスフェートが好ましいことが記載されている。これによって、従来のシリカゲルやゼオライトと比較して同じ相対蒸気圧範囲において吸着量がより多く変化するため、ほぼ同じ重量の吸着材を用いてより多くの除湿効果を発生できる。更に比較的低い相対蒸気圧の範囲で大きな吸脱着量変化を示す吸着材を利用した吸着ヒートポンプ又は除湿空調装置は、吸着材の吸脱着による水分吸着量の差が大きく、低温度で吸着材の再生(脱着)が可能になるため、従来に比べて低温の熱源を利用して、効率よく吸着ヒートポンプ又は除湿空調装置を駆動することができる。

概要

吸脱着性能に優れる上に、耐水没性等の耐水性にも優れた吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を提供する。骨格構造に少なくともケイ素原子アルミニウム原子リン原子とを含み、且つ骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であるゼオライトを用いた水蒸気吸着材であって、ゼオライトの重量に対して0.1〜15重量%の周期表第11族金属を含む。ゼオライトに11族金属を担持させると、ゼオライトの加水分解反応を促進するブレンステッド酸点が11族金属イオン置換され、ゼオライト中のブレンステッド酸点が減少することで、ゼオライトの耐水没性等の耐水性が向上する。

目的

このように、排熱を有効利用するためには、低温側熱源と高温側熱源の温度差が小さくても駆動できる装置が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

骨格構造に少なくともケイ素原子アルミニウム原子リン原子とを含み、且つ骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であるゼオライトを用いた水蒸気吸着材であって、ゼオライトの重量に対して0.1〜15重量%の周期表第11族金属を含むことを特徴とする吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材

請求項2

骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含むゼオライトを用いた水蒸気吸着材であって、相対湿度(P/Ps)が0.3での下記の水没試験前の水蒸気吸着量に対する、下記の水没試験後の水蒸気吸着量の割合で求められる吸着維持率が70%以上であることを特徴とする吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。(水没試験)0.5gの試料を5gの水に分散させ、得られるスラリーフッ素樹脂内筒の入ったステンレス製オートクレーブに入れる。これを100℃で24時間静置した後、濾過により試料を回収し、100℃で12時間乾燥する。

請求項3

前記ゼオライトの重量に対して0.1〜15重量%の周期表第11族金属を含むことを特徴とする請求項2に記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

請求項4

前記ゼオライトのIZAで定めるゼオライト構造が、CHAであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

請求項5

前記周期表第11族金属が銅であることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

請求項6

前記ゼオライトの重量に対する前記周期表第11族金属の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項3ないし5のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

請求項7

相対蒸気圧が0.05以上、0.30以下の範囲で相対蒸気圧が0.15変化したときに水の吸着量変化が0.15g−H2O/g以上であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

請求項8

骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含み、且つ骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であるゼオライトに、周期表第11族金属を担持することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材の製造方法。

請求項9

ケイ素原子原料アルミニウム原子原料リン原子原料、周期表第11族金属原料及びポリアミンを含む水性ゲルから水熱合成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材の製造方法。

請求項10

請求項1ないし7のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を使用してなることを特徴とする吸着ヒートポンプ

技術分野

0001

本発明は、ゼオライトを含む吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材、その製造方法、及びこの水蒸気吸着材を用いた吸着ヒートポンプに関する。

背景技術

0002

吸着ヒートポンプや除湿空調装置においては、吸着質、例えば水を吸着した吸着材再生するために、吸着材を加熱して吸着質を脱着させることにより再生した吸着材を、吸着質の吸着に使用する温度に冷却して再度吸着質の吸着に使用している。また、この吸着材の再生熱源として比較的高温(120℃以上)の排熱温熱を利用する吸収式ヒートポンプが既に実用化されている。しかし、一般にコジェネレーション機器燃料電池自動車エンジン冷却水太陽熱などによって得られる熱は100℃以下と比較的低温であるため、現在実用化されている吸収式ヒートポンプの駆動熱源としては利用できず、100℃以下、更には60℃〜80℃の低温排熱の有効利用が求められていた。

0003

また、吸着ヒートポンプの動作原理は同じでも、利用可能な熱源温度によって吸着材に求められる吸着特性が大きく異なる。例えば、高温側の熱源として用いられるガスエンジンコージェネレーション固体高分子型燃料電池排熱温度は60℃〜80℃であり、自動車エンジンの冷却水の温度は85℃〜90℃である。また、冷却側の熱源温度も装置の設置場所によって異なる。例えば、自動車の場合はラジエターで得られる温度であり、ビルや住宅などでは水冷河川水などの温度である。つまり、吸着ヒートポンプの操作温度範囲は、ビルなどに設置する場合には低温側が25℃〜35℃、高温側が60℃〜80℃、自動車などに設置する場合には低温側が30℃〜40℃、高温側が85℃〜90℃程度である。このように、排熱を有効利用するためには、低温側熱源高温側熱源の温度差が小さくても駆動できる装置が望まれている。

0004

吸着材の周囲が比較的高い温度でも装置が充分に作動するためには、吸着質を低相対蒸気圧で吸着させる必要があり、また使用する吸着材を少量にして装置を小型化するためには吸着材の吸脱着量が多いことが必要となる。そして吸着質の脱着(吸着材の再生)に低温の熱源を利用するためには脱着温度が低いことが必要となる。
すなわち、吸着ヒートポンプ又は除湿空調装置に用いる吸着材には、
(1)吸着質を低い相対蒸気圧で吸着し(高温で吸着可能)、
(2)吸脱着量が多く、
(3)吸着質を高い相対蒸気圧で脱着(低温で脱着可能)する、
ことが望まれている。

0005

従来、吸着ヒートポンプ用の吸着材としては、一般的にシリカゲルと低シリカアルミナ比のゼオライトが用いられてきた。しかし、従来、吸着ヒートポンプに利用されてきた吸着材は、比較的低温の熱源を吸着ヒートポンプの駆動源として利用するには吸脱能力が不十分であった。例えば、吸着ヒートポンプ用のゼオライトの代表例として、ゼオライト13Xの水蒸気吸着等温線を考えると、相対蒸気圧0.05以下で急激に吸着され、0.05より高い相対蒸気圧域ではゼオライトの水蒸気吸着量は変化しない。吸着材を再生する際には、周囲の気体相対湿度を低下させて一度吸着した水分を脱着して除くが、ゼオライト13Xに吸着された水を脱着するには相対蒸気圧を下げる必要があるため、150℃〜200℃の熱源が必要であると言われている。

0006

また、ヒートポンプ用吸着材として、界面活性剤ミセル構造鋳型として合成したメソポーラスモレキュラーシーブFSM−10など)(特許文献1)が、また、デシカント用に通称AlPO4と称される多孔質リン酸アルミニウムモレキュラーシーブ(特許文献2)が検討されている。このうち、メソポーラスモレキュラーシーブ(FSM−10)は相対蒸気圧0.20と0.35の範囲で吸着量差は0.25g/gと大きく、有望な素材である(特許文献1:図14のグラフ4;FSM−10)。しかし、比較的低い相対蒸気圧の範囲では吸着量が小さく、吸着量変化が大きい相対蒸気圧の範囲においても吸着量差が小さく、吸着ヒートポンプの性能は不十分である。また、繰り返し使用すると構造が崩れ、吸着材としての機能が低下することが指摘されており、耐久性が課題となっている。

0007

また、特許文献3において、「25℃で測定した水蒸気吸着等温線において、相対蒸気圧0.05以上、0.30以下の範囲で相対蒸気圧が0.15変化したときに水の吸着量変化が0.18g/g以上の相対蒸気圧域を有する吸着材からなる吸着ヒートポンプ用ゼオライト吸着材」が提案されており、中でもアルミノフォスフェートが好ましいことが記載されている。これによって、従来のシリカゲルやゼオライトと比較して同じ相対蒸気圧範囲において吸着量がより多く変化するため、ほぼ同じ重量の吸着材を用いてより多くの除湿効果を発生できる。更に比較的低い相対蒸気圧の範囲で大きな吸脱着量変化を示す吸着材を利用した吸着ヒートポンプ又は除湿空調装置は、吸着材の吸脱着による水分吸着量の差が大きく、低温度で吸着材の再生(脱着)が可能になるため、従来に比べて低温の熱源を利用して、効率よく吸着ヒートポンプ又は除湿空調装置を駆動することができる。

先行技術

0008

特開平9−178292号公報
特開平11−197439号公報
特開2003−114067号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかし、特許文献3に提案されているゼオライトは、水没時の耐水性(耐水没性)が低いことがわかった。
吸着ヒートポンプ又は除湿空調装置にゼオライト吸着材を実機使用する場合は、吸着ヒートポンプ又は除湿空調装置を停止した時、装置内部に水結露が発生し、発生した水結露が吸着材のゼオライトに付着する。そして、この付着した水滴によってゼオライトが分解され、水蒸気吸着能力が低下するという問題があった。特に、ゼオライトの環境温度が高い場合は、ゼオライトの加水分解がより進行しやすく、ゼオライトの水蒸気吸着能力が著しく低下するという問題があった。

0010

このようなことから、吸着ヒートポンプ又は除湿空調装置に用いる吸着材には、
(1)吸着質を低い相対蒸気圧で吸着し(高温で吸着可能)、
(2)吸脱着量が多く、
(3)吸着質を高い相対蒸気圧で脱着(低温で脱着可能)する、
ことに加えて、
(4)耐水性(耐水没性)に優れ、加水分解による吸着能力の低下の問題がない、
ことが望まれるが、特許文献3のゼオライトでは、耐水没性等の耐水性の要求特性満足し得なかった。

0011

本発明はこの問題に鑑みてなされたものであって、吸着材としての吸脱着性能に優れる上に、耐水没性等の耐水性にも優れた吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、従来、骨格構造アルミニウム原子リン原子とを含有するアルミノフォスフェート系ゼオライトが吸着ヒートポンプ用途で好ましい吸着材として知られていたが、そのようなゼオライトに周期表第11族金属担持等で含有させることにより、吸着材としての性能を維持したまま、耐水没性等の耐水性を大幅に向上させることができることを見出した。

0013

即ち、本発明者らは、ゼオライトの水没試験を検討した結果、ゼオライト中のブレンステッド酸点がゼオライトの加水分解反応を促進することを知見した。そこで、ゼオライトに周期表第11族金属を担持させたところ、ゼオライト中のブレンステッド酸点が11族金属イオン置換され、ゼオライト中のブレンステッド酸点が減少することで、ゼオライトの耐水没性等の耐水性が向上することを見出した。

0014

本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。

0015

[1]骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含み、且つ骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であるゼオライトを用いた水蒸気吸着材であって、ゼオライトの重量に対して0.1〜15重量%の周期表第11族金属を含むことを特徴とする吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

0016

[2]骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含むゼオライトを用いた水蒸気吸着材であって、相対湿度(P/Ps)が0.3での下記の水没試験前の水蒸気吸着量に対する、下記の水没試験後の水蒸気吸着量の割合で求められる吸着維持率が70%以上であることを特徴とする吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。
(水没試験)
0.5gの試料を5gの水に分散させ、得られるスラリーフッ素樹脂内筒の入ったステンレス製オートクレーブに入れる。これを100℃で24時間静置した後、濾過により試料を回収し、100℃で12時間乾燥する。

0017

[3] 前記ゼオライトの重量に対して0.1〜15重量%の周期表第11族金属を含むことを特徴とする[2]に記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

0018

[4] 前記ゼオライトのIZAで定めるゼオライト構造が、CHAであることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

0019

[5] 前記周期表第11族金属が銅であることを特徴とする[1]、[3]又は[4]に記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

0020

[6] 前記ゼオライトの重量に対する前記周期表第11族金属の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする[1]又は[3]ないし[5]のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

0021

[7]相対蒸気圧が0.05以上、0.30以下の範囲で相対蒸気圧が0.15変化したときに水の吸着量変化が0.15g−H2O/g以上であることを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。

0022

[8]骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含み、且つ骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であるゼオライトに、周期表第11族金属を担持することを特徴とする[1]ないし[7]のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材の製造方法。

0023

[9]ケイ素原子原料アルミニウム原子原料リン原子原料、周期表第11族金属原料及びポリアミンを含む水性ゲルから水熱合成することを特徴とする[1]ないし[7]のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材の製造方法。

0024

[10] [1]ないし[7]のいずれかに記載の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を使用してなることを特徴とする吸着ヒートポンプ。

発明の効果

0025

本発明によれば、水蒸気繰り返し吸脱着耐久性等の吸脱着性能に優れる上に、耐水没性等の耐水性に優れ、水結露による吸着性能の低下の問題のない吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材と、この吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を用いた、長期間使用時の耐久性、信頼性に優れた吸着ヒートポンプが提供される。

図面の簡単な説明

0026

実施例1〜3及び比較例1のゼオライトの水没試験前後の水蒸気吸着等温線測定結果を示すグラフである。
本発明に係る吸着ヒートポンプ用吸着材の適用例としての吸着ヒートポンプの一構成例を示すフロー図である。

0027

以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明は、これらの内容に特定されるものではない。

0028

[吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材]
本発明の吸着ヒートポンプ水蒸気吸着材は、骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含み、且つ骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であるゼオライトを用いた水蒸気吸着材であって、ゼオライトの重量に対して0.1〜15重量%の周期表第11族金属(以下、単に「11族金属」と称す場合がある。)を含むことを特徴とするものである。

0029

<ゼオライト>
本発明で使用されるゼオライトは、骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含む。

0030

骨格構造にケイ素原子、アルミニウム原子、及びリン原子を含むゼオライト中のアルミニウム原子、リン原子及びケイ素原子の存在割合は、下記式(I)、(II)及び(III)を満たす範囲であることが好ましい。

0031

0.05≦x≦0.11 …(I)
((I)式中、xは骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するケイ素原子のモル比を示す)
0.3≦y≦0.6 …(II)
((II)式中、yは骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 …(III)
((III)式中、zは骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するリン原子のモル比を示す)
さらに好ましくは、ケイ素の存在割合が、下記式(IV)で表されるゼオライトであり、中でも下記式(V)で表されるゼオライトであり、中でも下記式(VI)で表されるゼオライトである。
0.06≦x≦0.105 …(IV)
0.07≦x≦0.10 …(V)
0.075≦x≦0.095 …(VI)
((IV)〜(VI)式中、xは上記と同義である)

0032

x,y,zがそれぞれ上記の範囲内であることにより、所望の吸着特性が得られ、またゼオライトを形成することができ、耐久性も十分なものとすることができる。

0033

また、本発明においては、ゼオライトの骨格構造内には、ケイ素原子、アルミニウム原子、リン原子以外の他の元素が含まれても良い。他の元素としては、リチウムマグネシウムチタンジルコニウムバナジウムクロムマンガン、鉄、コバルトニッケルパラジウム、銅、亜鉛ガリウムゲルマニウム砒素、スズ、カルシウム硼素などが挙げられる。これら他の元素は、ゼオライトの骨格構造内に1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。

0034

なお、本発明に係るゼオライトが、その骨格構造内に11族金属を含む場合、骨格構造内の11族金属量も、本発明の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材が含む11族金属量に含まれる。
即ち、本発明の水蒸気吸着材が含有する11族金属は、ゼオライトの骨格構造内に含まれているものであってもよく、骨格構造外に存在するものであってもよく、その両方であってもよい。ただし、本発明においては、11族金属のほとんどがゼオライトの骨格構造内ではなく、骨格構造の外に存在する、すなわち、ゼオライトの骨格構造に担持されて存在していることが好ましい。

0035

なお、上記の原子割合元素分析により決定することができる。本発明において、元素分析は、試料を塩酸水溶液加熱溶解させ、ICP分析を行う。

0036

また、骨格密度(フレームワーク密度)は結晶構造を反映したパラメータであるが、本発明で用いるゼオライトの骨格密度は、IZA(International Zeolite Association)がATLAS OF ZEOLITEFRAMEWORK TYPESFifth Revised Edition 2001 において示した数値で、12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であり、骨格密度の上限値は好ましくは15.0T/1,000Å3で、下限値は、好ましくは13.0T/1,000Å3である。骨格密度が上記範囲未満では、構造が不安定となる傾向があり、一方、上記範囲を越えると吸着量が小さくなる傾向がある。

0037

また、本発明において用いられるゼオライトの構造としては、特に限定されるものではないが、IZAが定める構造のコードで示すと、AEI、AEL、AET、AFI、AFN、AFR、AFS、AFT、AFX、ATOATS、CHA、ERI、LEV、SOD、VFIなどが挙げられる。中でも、吸着特性、耐久性の点からは、AEI、AEL、AFI、CHA、LEV、SODの構造を備えたものが好ましく、特に耐久性と吸着特性の面からCHA型が好ましい。

0038

<11族金属>
本発明の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材に含まれる11族金属は、ゼオライト中のブレンステッド酸点を取り除くためのものであり、好ましくは、銅、銀、金が挙げられ、特に好ましくは銅である。11族金属原料としては特に限定されず、通常、11族金属の硫酸塩、硝酸塩リン酸塩塩化物臭化物等の無機酸塩酢酸塩シュウ酸塩クエン酸塩等の有機酸塩ペンタカルボニルフェロセン等の有機金属化合物などが使用される。これらのうち、水に対する溶解性の観点からは無機酸塩、有機酸塩、例えば硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩酸塩等が好ましい。場合によってはコロイド状の酸化物、あるいは微粉末状の酸化物を用いても良い。

0039

本発明の水蒸気吸着材において、11族金属は、1種のみが含まれていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含まれていてもよい。

0040

本発明の水蒸気吸着材における11族金属の含有量は、十分な水蒸気吸着量、水蒸気繰り返し吸脱着耐久性及び水没試験耐久性を持たせるために、ゼオライトに対して0.1〜15重量%であるが、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.2〜5重量%、とりわけ好ましくは0.3〜3重量%である。

0041

水蒸気吸着材中の11族金属含有量が上記下限よりも少ないと、11族金属を含有することによる耐水性の改善効果を十分に得ることができず、上記上限を超えると、吸着性能が損なわれる傾向にある。

0042

なお、ゼオライトの骨格構造内に含まれている11族金属は、ブレンステッド酸点の低減に寄与しない場合が多く、従って、本発明の水蒸気吸着材中の11族金属のうち、5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、とりわけ好ましくはその全量がゼオライトの骨格構造外に、ゼオライトに担持された形で存在することが好ましい。

0043

また、本発明の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材は、骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含むゼオライトを用いた水蒸気吸着材であって、相対湿度(P/Ps)が0.3での下記の水没試験前の水蒸気吸着量に対する、下記の水没試験後の水蒸気吸着量の割合で求められる吸着維持率が70%以上であることを特徴とする。
(水没試験)
0.5gの試料を5gの水に分散させ、得られるスラリーをフッ素樹脂内筒の入ったステンレス製オートクレーブに入れる。これを100℃で24時間静置した後、濾過により試料を回収し、100℃で12時間乾燥する。

0044

このような吸着維持率の性能を満足する吸着材としては、前述のような骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含み、骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であるゼオライトを用いた水蒸気吸着材であって、該ゼオライトの重量に対して0.1〜15重量%の周期表第11族金属を含むものであることが好ましい。

0045

[吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材の製造方法]
本発明の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を製造する方法としては、特に制限はないが、例えば、
(A)ゼオライトを合成後、金属担持工程を経て所定量の11族金属を担持させる方法。即ち、骨格構造に少なくともケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子とを含み、且つ骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であるゼオライトを製造し、これに、ゼオライトの重量に対し0.1〜10重量%の量の11族金属を担持させる方法(以下、「製造方法(A)」と称す。)、
或いは、
(B) ゼオライトを水熱合成する際、ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、11族金属原料及びポリアミンを含む水性ゲルを用いて水熱合成する方法。即ち、ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、11族金属原料及びポリアミンを含む水性ゲルから水熱合成し、骨格密度が12.0T/1,000Å3以上16.0T/1,000Å3以下であり、かつゼオライトに対し0.1〜15重量%の量の11族金属が担持されたゼオライトを得る方法(以下、「製造方法(B)」と称す。)
が挙げられる。

0046

{製造方法(A)}
まず、製造方法(A)により本発明の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を製造する方法について説明する。

0047

<ゼオライトの製造>
11族金属を担持させるゼオライトを製造する方法は特に限定されないが、例えば特公平4−37007号公報、特公平5−21844号公報、特公平5−51533号公報、米国特許第4440871号公報等に記載の方法に準じて以下の方法により製造することができる。
即ち、通常、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、リン原子原料及びテンプレートを混合した後、水熱合成し、テンプレートを除去してゼオライトを得る。

0048

<アルミニウム原子原料>
本発明におけるゼオライトのアルミニウム原子原料は特に限定されず、通常、擬ベーマイトアルミニウムイソプロポキシドアルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド水酸化アルミニウムアルミナゾルアルミン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。取り扱いが容易な点及び反応性が高い点で、アルミニウム原子原料としては擬ベーマイトが好ましい。

0049

<ケイ素原子原料>
本発明におけるゼオライトのケイ素原子原料は特に限定されず、通常、fumed(ヒュームドシリカシリカゾルコロイダルシリカ水ガラスケイ酸エチルケイ酸メチル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。高純度で、反応性が高い点で、ケイ素原子原料としてはfumedシリカが好ましい。

0050

<リン原子原料>
本発明におけるゼオライトのリン原子原料は、通常、リン酸であるが、リン酸アルミニウムを用いてもよい。リン原子原料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。

0051

<テンプレート>
テンプレートとしては、公知の方法で使用される種々のテンプレートが使用できるが、特にテンプレートとしては、
(1)ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物
(2)アルキルアミン
及び
(3)テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド
の3つの群のうちの少なくとも2つの群から各群につき1種以上の化合物を選択して用いることが好ましく、とりわけ(1)と(2)の各群からの1種以上を組み合わせて用いることが好ましい。

0052

(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物
ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物の複素環は通常5〜7員環であって、好ましくは6員環である。複素環に含まれるヘテロ原子の個数は通常3個以下、好ましくは2個以下である。窒素原子以外のヘテロ原子は任意であるが、窒素原子に加えて酸素原子を含むものが好ましい。ヘテロ原子の位置は特に限定されないが、ヘテロ原子が相互に隣り合わないものが好ましい。

0053

また、ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物の分子量は、通常250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下であり、また通常30以上、好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上である。

0054

このようなヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物として、モルホリンN−メチルモルホリンピペリジンピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、N−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、キヌクリジンピロリジン、N−メチルピロリドンヘキサメチレンイミンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、モルホリン、ヘキサメチレンイミン、ピペリジンが好ましく、モルホリンが特に好ましい。

0055

(2)アルキルアミン
アルキルアミンのアルキル基は、通常、鎖状アルキル基であって、アルキルアミンの1分子中に含まれるアルキル基の数は特に限定されるものではないが、3個が好ましい。
また、アルキルアミンのアルキル基は一部水酸基等の置換基を有していてもよい。
アルキルアミンのアルキル基の炭素数は4以下が好ましく、1分子中の全アルキル基の炭素数の合計は5以上10以下がより好ましい。
また、アルキルアミンの分子量は通常250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下である。

0056

このようなアルキルアミンとしては、ジ−n−プロピルアミントリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミントリエチルアミントリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンN−メチルエタノールアミン、ジ−n−ブチルアミンネオペンチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミンエチレンジアミン、ジ−イソプロピルエチルアミン、N−メチル−n−ブチルアミン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、ジ−イソプロピル−エチルアミン、N−メチル−n−ブチルアミンが好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。

0057

(3)テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド
テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドとしては、4個のアルキル基が炭素数4以下のアルキル基であるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。

0058

テンプレートとして2種以上のものを組み合わせて用いる場合、その組み合わせは任意であるが、中でもモルホリンとトリエチルアミンを併用することが好ましい。

0059

これらのテンプレート各群の混合比率は、条件に応じて選択する必要がある。2種のテンプレートを混合させるときは、通常、混合させる2種のテンプレートのモル比が1:20から20:1、好ましくは1:10から10:1、さらに好ましくは1:5から5:1である。3種のテンプレートを混合させるときは、通常、3種目のテンプレートのモル比は、上記のモル比で混合された2種のテンプレート、好ましくは(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物と(2)アルキルアミンの合計に対して1:20から20:1、好ましくは1:10から10:1、さらに好ましくは1:5から5:1である。

0060

テンプレートは必ずしも使用する必要はないが、上記のようなテンプレートを用いると、ゼオライト中のSi含有量コントロールすることが可能であるという利点がある。その理由の詳細は明らかではないが、以下のようなことが推察される。
例えば、CHA型構造SAPO(シリコンアルミノフォスフェート)を合成する場合、(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物、例えばモルホリンはSi含有量の多いSAPOを比較的容易に合成しうる。しかしながら、Si含有量の少ないSAPOを合成しようとすると、デンス成分やアモルファス成分が多く、結晶化が困難である。一方、(2)アルキルアミン、例えばトリエチルアミンは上記に示したように、CHA構造のSAPOも限られた条件では合成可能であるが、通常、種々の構造のSAPOが混在しやすい。しかし逆に言えば、デンス成分やアモルファス成分では無く、結晶構造のものにはなりやすい。すなわち、それぞれのテンプレートはCHA構造を導くための特徴、SAPOの結晶化を促進させる特徴などを有している。これらの特徴を組み合わせる事により、相乗効果を発揮させ、単独では実現できなかった効果が現れると考えられる。

0061

<水熱合成によるゼオライトの合成>
上述のケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、テンプレート及び水を混合して水性ゲルを調合する。この際の混合順序は制限がなく、用いる条件により適宜選択すればよいが、通常は、まず水にリン原子原料及びアルミニウム原子原料を混合し、これにケイ素原子原料及びテンプレートを混合する。

0062

水性ゲルの組成は、ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料及びリン原子原料を酸化物のモル比で表すと、SiO2/Al2O3の値は通常、0より大きく、好ましくは0.02以上であり、また通常0.5以下であり、好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下である。またP2O5/Al2O3の比は通常0.6以上、好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上であり、通常1.3以下、好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.1以下である。
水熱合成によって得られるゼオライトの組成は水性ゲルの組成と相関があり、所望の組成のゼオライトを得るためには水性ゲルの組成を適宜設定すればよい。

0063

テンプレートの合計の使用量は、Al2O3に対するテンプレートのモル比で、通常0.2以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上であって、通常4以下、好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下である。
前記2つ以上の群から各群につき1種以上選択されたテンプレートを混合する順番は特に限定されず、テンプレートを調製した後その他の物質と混合してもよいし、各テンプレートをそれぞれ他の物質と混合してもよい。

0064

また、水の割合は、Al2O3に対して、モル比で通常3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であって、通常200以下、好ましくは150以下、さらに好ましくは120以下である。
また、水性ゲルのpHは通常5以上、好ましくは6以上、さらに好ましくは6.5以上であって、通常10以下、好ましくは9以下、さらに好ましくは8.5以下である。

0065

なお、水性ゲル中には、所望により、上記以外の成分を共存させても良い。このような成分としては、アルカリ金属アルカリ土類金属水酸化物や塩、アルコール等の親水性有機溶媒が挙げられる。共存させる割合は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や塩の場合は、Al2O3に対してモル比で通常0.2以下、好ましくは0.1以下であり、アルコール等の親水性有機溶媒の場合は、水に対してモル比で通常0.5以下、好ましくは0.3以下である。

0066

得られた水性ゲルを耐圧容器に入れ、自己発生圧下、又は結晶化を阻害しない気体加圧下で、攪拌又は静置状態所定温度を保持することにより水熱合成する。水熱合成の反応温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上であって、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。この温度範囲のうち、最も高い温度である最高到達温度まで昇温する過程において、80℃から120℃までの温度範囲内に1時間以上、特に2時間以上おかれることが好ましい。この昇温時間が1時間未満であると、得られたテンプレート含有ゼオライトを焼成して得られるゼオライトの耐久性が不十分となる。一方、上記昇温時間の上限は特に制限はないが、長すぎると生産効率の点で好ましくなく、通常50時間以下、好ましくは24時間以下である。

0067

前記温度領域の間の昇温方法は、特に制限はなく、例えば、単調に増加させる方法、階段状に変化させる方法、振動等上下に変化させる方法、及びこれらを組み合わせて行う方式など様々の方式を用いることができる。通常の場合、制御の容易さから、昇温速度をある値以下に保持して、単調に昇温する方式が好適に用いられる。

0068

また、本発明では、上記の最高到達温度付近に所定時間保持するのが好ましく、ここで、最高到達温度付近とは、該温度より5℃低い温度乃至最高到達温度を意味し、最高到達温度付近に保持する時間は、所望のものの合成しやすさに影響し、通常0.5時間以上、好ましくは3時間以上、さらに好ましくは5時間以上であって、通常30日以下、好ましくは10日以下、さらに好ましくは4日以下である。

0069

最高到達温度に達した後の降温方法は、特に制限はなく、階段状に変化させる方法、最高到達温度以下で、振動等上下に変化させる方法、及びこれらを組み合わせて行う方式など様々の方式を用いることができる。通常の場合、制御の容易さ、得られるゼオライトの耐久性の観点から、最高到達温度を保持した後、100℃から室温までの温度に降温するのが好適である。

0070

<ゼオライトの回収>
上記の水熱合成後、生成物からゼオライトを分離回収する。生成物からのゼオライトの分離方法は特に限定されない。通常、まず、濾過又はデカンテーション等により固形分を分離し、分離した固形分を水洗した後、室温から150℃以下の温度で乾燥して生成物であるテンプレートを含有したゼオライトを得る。
その後、テンプレートを含有したゼオライトからテンプレートを除去するが、その方法は公知の方法でよく、特に限定されない。通常、空気又は酸素含有不活性ガス、あるいは不活性ガスの雰囲気下に300℃〜1000℃の温度で焼成したり、エタノール水溶液HCl含有エーテル等の抽剤により抽出したりする等の方法により、含有テンプレートを除去することができる。
ここで、焼成温度については、好ましくは400℃〜900℃、より好ましくは450℃〜850℃、さらに好ましくは500℃〜800℃であり、焼成は1秒〜24時間程度行うことが好ましい。

0071

ただし、上記の焼成等によるテンプレートの除去は、必ずしも必要ではなく、テンプレートを含有するゼオライトを、次の11族金属の担持工程に供してもよい。

0072

<11族金属の担持>
ゼオライトへの11族金属の担持方法としては、特に限定されないが一般的に用いられるイオン交換法含浸担持法、沈殿担持法、固相イオン交換法、CVD法噴霧乾燥法等が用いられる。好ましくは、固相イオン交換法、含浸担持法、噴霧乾燥法である。

0073

11族金属原料としては特に限定されず、通常、11族金属の硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩化物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩、ペンタカルボニル、フェロセン等の有機金属化合物などが使用される。これらのうち、水に対する溶解性の観点からは無機酸塩、有機酸塩、例えば硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩酸塩等が好ましい。場合によってはコロイド状の酸化物、あるいは微粉末状の酸化物を用いても良い。
11族金属原料としては、11族金属種、或いは化合物種の異なるものの2種以上を併用してもよい。

0074

ゼオライトに11族金属を担持させた後は、好ましくは400℃〜900℃、より好ましくは450℃〜850℃、さらに好ましくは500℃〜800℃で、1秒〜24時間、好ましくは10秒〜8時間、さらに好ましくは30分〜4時間程度焼成することが好ましい。この焼成は必ずしも必要ではないが、焼成を行うことにより、ゼオライトの骨格構造に担持させた11族金属の分散性を高めることができ、耐水性向上に有効である。

0075

11族金属の担持量は、前述の如く、十分な水蒸気吸着量、水蒸気繰り返し吸脱着耐久性及び水没試験耐久性を付与するために、ゼオライトの重量に対し0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜5重量%であり、さらに好ましくは0.3〜3重量%である。

0076

このようにして製造された11族金属担持ゼオライトは、そのまま粉末状で水蒸気吸着材として用いても、シリカ、アルミナ粘土鉱物等の公知のバインダーと混合し、造粒成形したりして水蒸気吸着材として使用することもできる。

0077

{製造方法(B)}
次に、製造方法(B)により本発明の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を製造する方法について説明する。

0078

製造方法(B)は、ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、11族金属原料及びポリアミンを含有する水性ゲルから水熱合成することにより、11族金属を担持したゼオライトを製造するものである。

0079

製造方法(B)では、ゼオライトを水熱合成する際に、11族金属原料とポリアミンとを含む水性ゲルを用いるため、水性ゲル中の11族金属がポリアミンと強く相互作用して安定化するとともに、ゼオライト骨格元素と反応しにくくなり、ゼオライトの骨格構造外の、主としてゼオライトの細孔に11族金属が分散されて担持されたものを得ることができる。

0080

なお、製造方法(B)では、ポリアミンはテンプレートとしても機能する。製造方法(B)におけるその他の製造条件は特に限定されず、製造方法(A)で説明したような公知の水熱合成方法によって製造することができる。また、水性ゲルにはポリアミン以外の他のテンプレートを添加しても良い。水性ゲルから水熱合成を行い、ポリアミンや他のテンプレートを除去してゼオライトを得る。以下、製造方法(B)の一例を具体的に説明する。

0081

<原料>
ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、11族金属原料としては、製造方法(A)の説明において前述したものを使用することができる。

0082

<ポリアミン>
製造方法(B)で用いるポリアミンとしては、一般式H2N−(CnH2nNH)x−H(式中、nは2〜6の整数、xは1〜6の整数)で表される2以上のアルキレンイミノ鎖が延長されたポリアミン化合物が好ましい。

0083

上記式において、nは2〜5の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましく、2又は3がさらに好ましく、2が特に好ましい。xは2〜5の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましく、3又は4がさらに好ましく、4が特に好ましい。

0084

このようなポリアミンとしては、中でもエチレンジアミン、ジエチレントリアミントリエチレンテトラミンテトラエチレンペンタミンが安価であり、好ましく、中でもトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが特に好ましい。これらのポリアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。

0085

<他のテンプレート>
製造方法(B)においては、上記のポリアミンと共に他のテンプレートを併用してもよく、この場合の他のテンプレートとしては、製造方法(A)の説明で挙げた(1)ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物、(2)アルキルアミン及び(3)テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドの3つの群のうち、2つ以上の群から各群につき1種以上の化合物を選択して用いるのが好ましく、これらは、製造方法(A)の説明において前述した通りのものを同様の条件で使用することができる。

0086

<水熱合成による11族金属担持ゼオライトの合成>
上述のケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、11族金属原料、及びポリアミン、必要に応じて他のテンプレートを水と混合して水性ゲルを調合する。この際の混合順序は制限がなく、用いる条件により適宜選択すればよいが、例えば、まず水にリン原子原料、及びアルミニウム原子原料を混合し、これにケイ素原子原料、11族金属原料、ポリアミン、及び他のテンプレートを混合する。

0087

水性ゲルの組成は、ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、及び11族金属(M)原料を酸化物のモル比で表すと、SiO2/Al2O3の値は通常0より大きく、0.5以下であり、好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下である。また、P2O5/Al2O3の値は通常0.6以上、好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上であり、通常1.3以下、好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.1以下である。MaOb/Al2O3(ただし、a及びbはそれぞれMとOの原子比を表す)の値は通常0.01以上、好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上である。

0088

水熱合成によって得られるゼオライトの組成は、水性ゲルの組成と相関があり、従って、所望の組成のゼオライトを得るためには、水性ゲルの組成を上記の範囲において適宜設定すればよい。

0089

水性ゲル中のポリアミンの量は、他のテンプレートを使用する場合と、他のテンプレートを使用しない場合とで、以下のような使用量とすることが好ましい。

0090

<他のテンプレートを使用する場合>
他のテンプレートを使用する場合は、ポリアミンと他のテンプレートの総量は、Al2O3に対するポリアミン及び他のテンプレートの合計のモル比で、通常0.2以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上であって、通常4以下、好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下である。
また、ポリアミンはMaObに対するポリアミンのモル比で、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上であって、通常10以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下となる量で用いることが好ましい。

0091

<他のテンプレートを使用しない場合>
他のテンプレートを使用しない場合は、上記と同様の理由から、ポリアミンの量は、Al2O3に対するポリアミンのモル比で、通常0.2以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上、通常4以下、好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下であって、MaObに対するポリアミンのモル比で、通常1以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上で、通常50以下、好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下となる量で用いることが好ましい。

0092

なお、他のテンプレートは条件に応じて適宜選ぶ必要があるが、例えば、モルホリンとトリエチルアミンを用いる場合、モルホリン/トリエチルアミンのモル比が0.05〜20、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.2〜9である。前記2つ以上の群から各群につき1種以上選択されたテンプレートを混合する順番は特に限定されず、テンプレートを調製した後その他の物質と混合してもよいし、各テンプレートをそれぞれ他の物質と混合してもよい。

0093

また、水の割合は、Al2O3に対して、モル比で通常3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であって、通常200以下、好ましくは150以下、さらに好ましくは120以下である。
また、水性ゲルのpHは通常5以上、好ましくは6以上、さらに好ましくは6.5以上であって、通常11以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは9以下である。

0094

なお、水性ゲル中には、所望により、上記以外の成分を共存させても良い。このような成分としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や塩、アルコール等の親水性有機溶媒が挙げられる。共存させる割合は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や塩の場合は、Al2O3に対してモル比で通常0.2以下、好ましくは0.1以下であり、アルコール等の親水性有機溶媒の場合は、水に対してモル比で通常0.5以下、好ましくは0.3以下である。

0095

得られた水性ゲルを耐圧容器に入れ、自己発生圧下、又は結晶化を阻害しない気体加圧下で、攪拌又は静置状態で所定温度を保持することにより水熱合成する。水熱合成の反応温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上であって、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。反応時間は通常2時間以上、好ましくは3時間以上、さらに好ましくは5時間以上であって、通常30日以下、好ましくは10日以下、さらに好ましくは4日以下である。反応温度は反応中一定でもよいし、段階的に変化させてもよい。

0096

<ゼオライトの回収>
上記の水熱合成後、生成物からゼオライトを分離回収する。生成物からのゼオライトの分離方法は特に限定されない。通常、まず、濾過又はデカンテーション等により固形分を分離し、分離した固形分を水洗した後、室温から150℃以下の温度で乾燥して生成物であるテンプレートを含有したゼオライトを得る。

0097

その後、テンプレートを含有したゼオライトからテンプレートを除去するが、その方法は公知の方法でよく、特に限定されない。通常、空気又は酸素含有の不活性ガス、あるいは不活性ガスの雰囲気下に300℃〜1000℃の温度で焼成したり、エタノール水溶液、HCl含有エーテル等の抽剤により抽出したりする等の方法により、含有テンプレートを除去することができる。
ここで、焼成温度については、好ましくは400℃〜900℃、より好ましくは450℃〜850℃、さらに好ましくは500℃〜800℃である。焼成時間は1秒〜24時間、好ましくは10秒〜8時間、さらに好ましくは30分〜4時間である。

0098

このようにして製造された11族金属担持ゼオライトは、そのまま粉末状で水蒸気吸着材として用いても、シリカ、アルミナ、粘土鉱物等の公知のバインダーと混合し、造粒や成形したりして水蒸気吸着材として使用することもできる。

0099

このようにして得られるゼオライトについても、11族金属の含有量は、前述の如く、十分な水蒸気吸着量、水蒸気繰り返し吸脱着耐久性及び水没試験耐久性を付与するために、ゼオライト重量に対し0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜5重量%であり、さらに好ましくは0.3〜3重量%である。

0100

[11族金属含有ないしは担持ゼオライトの特性]
<吸着量変化>
本発明で用いる11族金属含有ないしは担持ゼオライトは、相対蒸気圧0.05以上、0.30以下の範囲で相対蒸気圧が0.15変化したときに水の吸着量変化が、好ましくは0.15g−H2O/g以上、好ましくは0.16g−H2O/g以上、更に好ましくは0.18g−H2O/g以上であることが、吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材としての用途において好ましい。

0101

<水蒸気繰り返し吸脱着性能>
本発明で用いる11族金属含有ないしは担持ゼオライトは、以下の水蒸気繰り返し吸脱着試験において、吸着維持率80%以上という性能を有することができる。

0102

(水蒸気繰り返し吸脱着試験)
試料を90℃に保たれた真空容器内に保持し、5℃の飽和水蒸気雰囲気と90℃の飽和水蒸気雰囲気にそれぞれ90秒曝す操作を繰り返す。このとき90℃の飽和水蒸気雰囲気に曝されたときに試料に吸着した水は、5℃の飽和水蒸気雰囲気で一部が脱着し、5℃に保った水だめに移動する。m回目の吸着からn回目の脱着で、5℃の水だめに移動した水の総量(Qn;m(g))と、試料の乾燥重量(W(g))から、一回あたりの平均吸着量(Cn;m(g/g))を以下のようにして求める。
[Cn;m]=[Qn;m]/(n−m+1)/W
吸着維持率とは、このようにして求めた水蒸気繰り返し吸脱着試験の1回から1000回の平均吸着量に対する1001回から2000回の平均吸着量の比を求めたものである。平均吸着量の吸着維持率が高いということは、水の吸脱着の繰り返しが行われてもゼオライトが劣化しないことを示す。
本発明で用いる11族金属含有ないしは担持ゼオライトの吸着維持率は80%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上であることが好ましい。吸着維持率の上限は、ゼオライトの劣化が全く起こらない場合であり、100%である。

0103

<耐水性>
本発明で用いる11族金属含有ないしは担持ゼオライトは、以下の100℃、24時間の水没試験において、吸着維持率70%以上という性能を有することができる。

0104

(水没試験)
0.5gの試料を5gの水に分散させ、得られるスラリーをフッ素樹脂内筒の入ったステンレス製オートクレーブに入れる。これを100℃で24時間静置した後、濾過により試料を回収し、100℃で12時間乾燥する。

0105

水没試験の吸着維持率とは、相対湿度(P/Ps)が0.3での水没試験前の水蒸気吸着量に対する水没試験後の水蒸気吸着量の比を求めたものである。ゼオライトの耐水没性が高いということは、100℃で24時間水没試験後、ゼオライトの水蒸気吸着能力が劣化しないことを示す。
本発明で用いる11族金属含有ないしは担持ゼオライトの水没試験後の吸着維持率は好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上である。

0106

[吸着ヒートポンプ]
本発明で用いる11族金属含有ないしは担持ゼオライトは、上述のように、高い吸着維持率を有し、かつ高い耐水没性等の耐水性を有するものであり、このような11族金属含有ないしは担持ゼオライトを用いる本発明の水蒸気吸着材によれば、100℃以下の比較的低温の熱源でも駆動する吸着ヒートポンプを実現することができる。

0107

本発明の水蒸気吸着材を用いた本発明の吸着ヒートポンプの構成には特に制限はないが、例えば、
吸着熱を放出しつつ前記吸着材に吸着質(水蒸気)を吸着する操作と、外部の温熱により前記吸着材から吸着質を脱着する脱着操作を繰り返す吸着器と、
吸着質の蒸発により得られた冷熱を外部へ取り出すと共に、発生した吸着質の蒸気が前記吸着器に回収される蒸発器と、
前記吸着器で脱着された吸着質の蒸気を外部の冷熱により凝縮させると共に、凝縮した吸着質を前記蒸発器に供給する凝縮器
を備えるものが挙げられる。

0108

本発明の吸着ヒートポンプは、水蒸気の吸着温度(Ta)を25〜45℃としたとき、水蒸気の脱着温度(Td)及び冷熱生成温度(Tcool)が次式(i)及び(ii)を満たす条件で運転する方法に用いるのが好ましい。
Ta+28℃≦Td≦100℃…(i)
Ta−25℃<Tcool<25℃…(ii)

0109

次に、本発明の吸着ヒートポンプについて図2に基づいて説明する。図2は、本発明に係る吸着ヒートポンプ用吸着材の適用例としての吸着ヒートポンプの構成の一例を示すフロー図である。

0110

本発明の吸着ヒートポンプは、上記の吸着材を使用した吸着ヒートポンプであり、概略、図2に示す様に、吸着材を充填して成り、吸着熱を放出しつつ吸着材に吸着質を吸着する操作、及び、外部の温熱により吸着材から吸着質を脱着する操作を繰り返すと共に、吸着質の吸着操作により発生した熱を熱媒に伝達する吸着器(1)及び(2)と、吸着質の蒸発により得られた冷熱を外部へ取り出すと共に、発生した吸着質の蒸気が吸着器(1)及び(2)に回収される蒸発器(4)と、吸着器(1)及び(2)で脱着された吸着質の蒸気を外部の冷熱により凝縮させると共に、凝縮した吸着質を蒸発器(4)に供給し且つ吸着質の凝縮により得られた温熱を外部へ放出する凝縮器(5)とを備えている。

0111

吸着材が充填された吸着器(1)及び(2)は、各入口側及び各出口側がそれぞれ吸着質配管(30)により相互に接続され、吸着質配管(30)には、制御バルブ(31)〜(34)が設けられている。なお、吸着質配管(30)内において、吸着質は、蒸気又は液体と蒸気の混合物として存在する。

0112

一方の吸着器(1)には熱媒配管(11)が接続され、他方の吸着器(2)には熱媒配管(21)が接続される。熱媒配管(11)には、切替バルブ(115)及び(116)が設けられ、熱媒配管(21)には、切替バルブ(215)及び(216)が設けられる。そして、熱媒配管(11)及び(21)は、各々、吸着器(1)及び(2)内の吸着材を加熱するための加熱源となる熱媒、又は、吸着材を冷却するための冷却源となる熱媒が流れる様に構成されている。熱媒としては、吸着器(1)及び(2)内の吸着材を有効に加熱又は冷却し得る限り、各種の媒体を使用できる。

0113

吸着器(1)は、脱着操作の際、切替バルブ(115)及び(116)の開閉により、入口(113)より例えば温水を導入し、出口(114)に排出する様に構成されている。また、吸着操作の際、切替バルブ(115)及び(116)の開閉により、入口(111)から例えば冷却水を導入し、出口(112)に排出する様に構成されている。一方、吸着器(2)は、脱着操作の際、切替バルブ(215)及び(216)の開閉により、入口(213)より例えば温水を導入し、出口(214)に排出する様に構成されている。また、吸着操作の際、切替バルブ(215)及び(216)の開閉により、入口(211)より例えば冷却水を導入し、出口(212)に排出する様に構成されている。

0114

なお、図示しないが、熱媒配管(11)及び(21)には、温水を供給するため、温水を発生する熱源、温水を循環するポンプが接続され、また、冷却水を供給するため、外気熱交換可能な室外機が接続されている。熱源としては、ガスエンジンガスタービン等のコジェネレーション機器や燃料電池などを利用できる。

0115

吸着器(1)及び(2)の入口側の吸着質配管(30)には蒸発器(4)が接続され、吸着器(1)及び(2)の出口側の吸着質配管(30)には凝縮器(5)が接続されている。すなわち、上記の吸着器(1)及び(2)は、蒸発器(4)と凝縮器(5)の間に並列に配置されており、そして、凝縮器(5)と蒸発器(4)の間には、凝縮器(5)にて凝縮された吸着質を蒸発器(4)に戻すための戻し配管(3)が設けられている。なお、符号(41)は蒸発器(4)からの冷房出力となる冷水配管、符号(42)は冷水の出口となる冷水配管をそれぞれ示し、冷水配管(41)と冷水配管(42)の間には、室内空間空調空間)と熱交換するための室内機(300)、及び、冷水を循環するポンプ(301)が配置される。また、符号(51)は凝縮器(5)に対する冷却水の入口配管を示し、符号(52)は冷却水の出口配管を示す。

0116

以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により何ら制限を受けるものではない。

0117

尚、以下の実施例及び比較例において、水蒸気繰り返し吸脱着試験、水没試験及び水蒸気吸着等温線の測定は以下の方法で行った。

0118

<水蒸気繰り返し吸脱着試験>
試料を90℃に保たれた真空容器内に保持し、5℃の飽和水蒸気雰囲気と90℃の飽和水蒸気雰囲気にそれぞれ90秒曝す操作を繰り返す。このとき90℃の飽和水蒸気雰囲気に曝されたときに試料に吸着した水は、5℃の飽和水蒸気雰囲気で一部が脱着し、5℃に保った水だめに移動する。m回目の吸着からn回目の脱着で、5℃の水だめに移動した水の総量(Qn;m(g))と試料の乾燥重量(W(g))から、一回あたりの平均吸着量(Cn;m(g/g))を以下のようにして求める。
[Cn;m]=[Qn;m]/(n−m+1)/W
このようにして求めた水蒸気繰り返し吸脱着試験の1回から1000回の平均吸着量に対する1001回から2000回の平均吸着量の比を吸着維持率とする。

0119

<水没試験>
0.5gの試料を5gの水に分散させ、得られるスラリーをフッ素樹脂内筒の入ったステンレス製オートクレーブに入れる。これを100℃で24時間静置した後、濾過により試料を回収し、100℃で12時間乾燥する。
相対湿度(P/Ps)が0.3での水没試験前の水蒸気吸着量に対する水没試験後の水蒸気吸着量の割合(百分率)を吸着維持率とする。

0120

<水蒸気吸着等温線>
試料を120℃で5時間、真空排気した後、25℃における水蒸気吸着等温線を、水蒸気吸着量測定装置ベルソーブ18:日本ベル(株))により以下の条件で測定した。
空気恒温槽温度:50℃
吸着温度:25℃
初期導入圧力:3.0torr
導入圧力設定点数:0
飽和蒸気圧:23.755torr
平衡時間:500秒

0121

[実施例1]
特開2003−183020号公報の実施例2に開示されている方法により、シリコアルミノフォスフェートゼオライトを合成した。得られたゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造(フレームワーク密度=14.6T/1,000Å3)であった。また、ICP分析によるゼオライトの組成分析を行ったところ、骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、ケイ素原子が0.092、アルミニウム原子が0.50、リン原子が0.40であった。

0122

次に、このゼオライト2kgと、78gの酢酸銅(II)一水和物キシダ化学社製)と、3000gの純水を攪拌し、水スラリーとした。この水スラリーを1200φの円盤回転式噴霧乾燥機で乾燥した。乾燥条件入口温度200℃、出口温度120℃とした。円盤の回転数は18000rpmとした。スラリーを1.5kg/時の速度で供給し、577gの乾燥粉体を1時間で回収した。乾燥に要した時間は10秒以下であった。この乾燥粉体を空気流通下で800℃で2時間焼成してサンプル1を得た。
ICP分析により、サンプル1のゼオライトに対するCuの担持量を求めたところ1.5重量%であった。
サンプル1の水没試験前後の水蒸気吸着等温線測定結果を図1に示す。また、水蒸気繰り返し吸脱着試験後及び水没試験後の吸着維持率を表1に示す。

0123

[実施例2]
実施例1と同様にゼオライトを合成した。
次に、ゼオライト2kgと、117gの酢酸銅(II)一水和物(キシダ化学社製)と、3000gの純水を攪拌し、水スラリーとした。この水スラリーを実施例1と同様に噴霧乾燥、焼成してサンプル2を得た。
ICP分析により、サンプル2のゼオライトに対するCuの担持量を求めたところ1.0重量%であった。
サンプル2の水没試験前後の水蒸気吸着等温線測定結果を図1に示す。また、水蒸気繰り返し吸脱着試験後及び水没試験後の吸着維持率を表1に示す。

0124

[実施例3]
水10gに85重量%リン酸8.1g及び擬ベーマイト(25重量%水含有、コンデア社製)5.4gをゆっくりと加え、1時間攪拌した。さらに、fumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)0.6g及び水10gを加え、1時間攪拌した。その後、モルホリン3.4g、トリエチルアミン4.0gをゆっくりと加え、1時間攪拌した。これをA液とした。
A液とは別に、Cu(CH3COO)2・H2O(キシダ化学社製)1.0gを水13.4gに溶解した後、テトラエチレンペンタミン(キシダ化学社製)1.0gを添加、混合してB液を調製した。
B液をA液にゆっくりと加えた。これを1時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。

0125

<水性ゲル組成(モル比)>
SiO2:0.25
Al2O3:1
P2O5:0.875
CuO:0.125
テトラエチレンペンタミン:0.125
モルホリン:1
トリエチルアミン:1
水:50

0126

こうして得られた水性ゲルをフッ素樹脂内筒の入った100mlのステンレス製オートクレーブに仕込み、15rpmで攪拌しながら190℃で36時間反応させた。水熱合成後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、100℃で乾燥した。その後550℃で空気気流下焼成を行い、有機物を除去した後、さらに800℃、10体積%の水蒸気に、空間速度SV=3000/時の空気雰囲気下、5時間通じ、水熱処理を行ってサンプル3を得た。
こうして得られたゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造(フレームワーク密度=14.6T/1,000Å3)であった。EDX分析により、ゼオライトに対するCuの担持量を求めたところ6.2重量%であった。また、EDXにより、ゼオライトの組成分析を行ったところ、骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、ケイ素原子が0.10、アルミニウム原子が0.49、リン原子が0.41であった。
サンプル3の水没耐久試験前後の水蒸気吸着等温線測定結果を図1に示す。また、水蒸気繰り返し吸脱着試験後及び水没試験後の吸着維持率を表1に示す。

0127

[比較例1]
実施例1と同様に、特開2003−183020号公報の実施例2に開示されている方法により、シリコアルミノフォスフェートゼオライトを合成し、サンプル4を得た。
サンプル4の水没耐久試験前後の水蒸気吸着等温線測定結果を図1に示す。また、水蒸気繰り返し吸脱着試験後及び水没試験後の吸着維持率を表1に示す。

0128

実施例

0129

以上の結果より、本発明の吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材によれば、100℃以下の比較的低温の熱源で駆動する吸着ヒートポンプを実現することができ、また、該吸着材は特に耐水没性が良好であることが分かる。

0130

1吸着器
11熱媒配管
115切替バルブ
116 切替バルブ
2 吸着器
21 熱媒配管
215 切替バルブ
216 切替バルブ
3 戻し配管
30吸着質配管
31制御バルブ
32 制御バルブ
33 制御バルブ
34 制御バルブ
300室内機
301ポンプ
4蒸発器
41冷水配管
42 冷水配管
5凝縮器
51入口配管
52 出口配管

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