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技術 放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法

出願人 国立大学法人愛媛大学
発明者 榊原正幸佐野栄
出願日 2011年11月11日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2011-246987
公開日 2013年5月30日 (7年5ヶ月経過) 公開番号 2013-104696
状態 特許登録済
技術分野 汚染除去及び汚染物処理
主要キーワード コンテナ容器 農地土壌 総合センター 実施場所 除染能力 汚染場所 ゲルマニウム半導体検出器 日本全域
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年5月30日)のものです。
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課題

この発明は、植物体放射性セシウムを吸収させて、放射性セシウムに汚染された媒体浄化する方法を提供することを目的とする。

解決手段

上記の課題を解決するために、本発明に係る放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法は、放射性セシウムに汚染された媒体でカヤツリグサ科ハリイ属(Cyperaceae Eleocharis)のマツバイ(Eleocharis acicularis)を栽培し、媒体中の放射性セシウムをマツバイに吸収させることを特徴とする。

概要

背景

重金属によって汚染された媒体浄化する方法としては、植物による重金属の吸収・蓄積能力を利用したファイトレメディエーション(Phytoremediation)技術が検討されている。ファイトレメディエーションは、環境要因の影響が大きく、すなわち植物の生育が気候に左右されやすく、浄化に長い時間を要するため即効性が低いなどの問題はあるが、低コストでしかも殆ど労力がかからず、環境調和型の技術であるといった点で、注目されている。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3などには、ファイトレメディエーションによる浄化方法が記載されている。特に、特許文献2や特許文献3には、カヤツリグサ科ハリイ属(Cyperaceae Eleocharis)の植物により、重金属で汚染された媒体を浄化する方法が記載されている。

環境汚染としては、放射性物質による汚染が問題になっている。福島第一原子発電所事故により、広範な領域に放射性物質が飛散し、住民の被爆や農業への影響が懸念されている。また、チェノブイリ原発の事故により、ウクライナやベラルーシでも放射性物質による汚染は残っており、多くの閉鎖されたままになっている。

放射性物質により汚染された環境における除染として、表土削り取りが試みられている。たとえば、農業機械を用いて約4cmの表土を削り取る手法や、マグネシウム系固化剤により土壌表層固化させて削り取る手法が試みられている。また、ヒマワリ栽培し、植物体に放射性物質を吸収させることも試みられている(たとえば、非特許文献1)。

概要

この発明は、植物体に放射性セシウムを吸収させて、放射性セシウムに汚染された媒体を浄化する方法を提供することを目的とする。上記の課題を解決するために、本発明に係る放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法は、放射性セシウムに汚染された媒体でカヤツリグサ科ハリイ属(Cyperaceae Eleocharis)のマツバイ(Eleocharis acicularis)を栽培し、媒体中の放射性セシウムをマツバイに吸収させることを特徴とする。なし

目的

この発明は、植物体に放射性セシウムを吸収させて、放射性セシウムに汚染された媒体を浄化する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

放射性セシウム汚染された媒体カヤツリグサ科ハリイ属(Cyperaceae Eleocharis)のマツバイ(Eleocharis acicularis)を栽培し、媒体中の放射性セシウムをマツバイに吸収させることを特徴とする放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法

請求項2

放射性セシウムに汚染された土壌にマツバイを直に植え付けて土壌中の放射性セシウムをマツバイに吸収させることを特徴とする請求項1に記載の放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法。

請求項3

透水性容器に入れられたマツバイのを放射性セシウムに汚染された土壌のある環境に設置し、土壌の放射性セシウムをマツバイに吸収させることを特徴とする請求項1に記載の放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法。

請求項4

透水性の容器に入れられたマツバイの苗を放射性セシウムに汚染された水のある環境に設置し、水中の放射性セシウムをマツバイに吸収させることを特徴とする請求項1に記載の放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法。

請求項5

透水性の容器を水に浮いた状態で設置する請求項4に記載の放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法。

技術分野

0001

本発明は、放射性セシウム汚染された媒体、例えば土壌堆積物廃棄物、水等の媒体を、植物を用いて浄化する方法に関する。

背景技術

0002

重金属によって汚染された媒体を浄化する方法としては、植物による重金属の吸収・蓄積能力を利用したファイトレメディエーション(Phytoremediation)技術が検討されている。ファイトレメディエーションは、環境要因の影響が大きく、すなわち植物の生育が気候に左右されやすく、浄化に長い時間を要するため即効性が低いなどの問題はあるが、低コストでしかも殆ど労力がかからず、環境調和型の技術であるといった点で、注目されている。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3などには、ファイトレメディエーションによる浄化方法が記載されている。特に、特許文献2や特許文献3には、カヤツリグサ科ハリイ属(Cyperaceae Eleocharis)の植物により、重金属で汚染された媒体を浄化する方法が記載されている。

0003

環境汚染としては、放射性物質による汚染が問題になっている。福島第一原子発電所事故により、広範な領域に放射性物質が飛散し、住民の被爆や農業への影響が懸念されている。また、チェノブイリ原発の事故により、ウクライナやベラルーシでも放射性物質による汚染は残っており、多くの閉鎖されたままになっている。

0004

放射性物質により汚染された環境における除染として、表土削り取りが試みられている。たとえば、農業機械を用いて約4cmの表土を削り取る手法や、マグネシウム系固化剤により土壌表層固化させて削り取る手法が試みられている。また、ヒマワリ栽培し、植物体に放射性物質を吸収させることも試みられている(たとえば、非特許文献1)。

0005

特開2002−540943号公報
国際公開第2007/091382号パンフレット
特開2010−193882号公報

先行技術

0006

農林水産省、「ふるさとへの帰還に向けた取組」農地土壌除染技術開発実証試験概要

発明が解決しようとする課題

0007

非特許文献1に記載された除染方法のうち、表土の削り取りには、その場所の放射性物質を減少させる一定の効果が示されている。しかし、広範囲に適用するには膨大な費用と労力を有する。しかも、削り取られる土砂は大量であり、その保管場所の確保や、移動・管理は困難である。

0008

植物による汚染土壌の浄化方法としては、ファイトレメディエーションが知られているが、特許文献1〜特許文献3のいずれにも放射性物質の除去については記載も示唆もない。原発事故により大量に発生する放射性元素の内、ヨウ素131は半減期が8.1日であり、短期間で減少する。しかし、セシウム134とセシウム137の半減期はそれぞれ2.1年と30.1年であり、これらの放射性セシウムが除染の主な対象となる。

0009

従来のファイトレメディエーションは特許文献1〜特許文献3などに示す通り重金属を主要な対象としてきているが、セシウムは重金属ではなく軽金属である。しかも、放射性物質である軽金属元素を吸収する植物は知られておらず、例外としてヒマワリ栽培が放射性セシウムの吸収には有効と考えられてきた。チェルノブイリ事故による汚染場所でも栽培が実施され、福島でも実証試験がなされた。しかし、非特許文献1に示すように、福島での実証試験では放射性セシウム濃度が7700Bq/kgの土壌において52Bq/kgしか吸収できず、効果が低いが小さいと結論付けられている。

0010

この発明は、植物体に放射性セシウムを吸収させて、放射性セシウムに汚染された媒体を浄化する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

上記の課題を解決するために、本発明に係る放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法は、放射性セシウムに汚染された媒体でカヤツリグサ科ハリイ属(Cyperaceae Eleocharis)のマツバイ(Eleocharis acicularis)を栽培し、媒体中の放射性セシウムをマツバイに吸収させることを特徴とする。

0012

媒体として土壌に対して適用するときは、放射性セシウムに汚染された土壌にマツバイを直に植え付けて土壌中の放射性セシウムをマツバイに吸収させてもよく、また、透水性容器に入れられたマツバイのを放射性セシウムに汚染された土壌のある環境に設置してもよい。

0013

媒体として水に対して適用するときは、透水性の容器に入れられたマツバイの苗を放射性セシウムに汚染された水のある環境に設置し、水中の放射性セシウムをマツバイに吸収させることができる。特に透明度が低い水で水深が深い場合には、透水性の容器を水に浮いた状態で設置することが好ましい。

発明の効果

0014

この発明の放射性セシウムに汚染された媒体の浄化方法によれば、マツバイに放射性セシウムを吸収させ、媒体を簡単かつ効果的に除染することができる。マツバイの栽培は容易であり、日本全域で栽培できるほか、国外でも広範囲で栽培可能である。

0015

この発明を実施するための形態について説明する。この発明の浄化方法は、放射性セシウムに汚染された媒体でマツバイを栽培し、媒体中の放射性セシウムをマツバイに吸収させるものである。

0016

媒体としては、土壌の外、水も含まれる。ここで、水田のように土壌に上に水のある場合や河川湖沼などの環境中の水に適用できるだけでなく、貯水池下水汚染水を溜めた水槽などでも適用できる。

0017

マツバイ(Eleocharis acicularis)はカヤツリグサ科ハリイ属(Cyperaceae Eleocharis)の植物であり日本全域に広く自生している。東日本に多く自生している変種のチシママツバイも含まれる。その地域の自生種を使用してもよいが、大きく成長しやすい西日本の株を植え付けてもよい。

0018

このマツバイは放射性セシウムで汚染された環境でも生育し、しかも放射性セシウムを多量に吸収・蓄積することを見出した。

0019

福島県山市にある福島県農業総合センター内の水田に自生するマツバイの調査結果について説明する。水田土壌放射能は3800Bq/kgであった。平成23年8月11日に採取し、8gのサンプルを8月22日に測定した。測定方法は、(財)九州環境管理協会によるゲルマニウム半導体検出器によるγ線測定に基く測定である。この測定方法によるそのときの検出下限値はセシウム134とセシウム137についてそれぞれ80Bq/kgである。

0020

測定結果は、セシウム134が2520Bq/kg、セシウム137が3090Bq/kgであり、その合計が5610Bq/kgである。これはヒマワリについて報告された52Bq/kgを大きく上回る値である。さらに、土壌の濃度をも上回っており、濃縮効果があることがわかる。ここで、この測定は乾燥させていない植物体について行われている。乾燥させることによって重量は10分の1以下となり、放射性廃棄物の総量を大きく減少させることができる。

0021

この発明の第1の実施例について説明する。実施場所は前述の福島県農業総合センター内の水田である。媛県山市に自生しているマツバイを採取し、それを水田の土壌に直に植え付けた。平成23年8月11日に植え付け、一定期間の育成後、9月9日にサンプルを採取した。植え付け前のマツバイおよび育成後のマツバイについてそれぞれ放射性セシウム濃度について測定した。測定方法は、前述の(財)九州環境管理協会によるゲルマニウム半導体検出器によるγ線測定での測定である。

0022

まず、植え付け前のマツバイの放射性セシウム濃度について測定したところ、セシウム134とセシウム137のいずれも検出されなかった。

0023

一方、育成後のマツバイでは、セシウム134が436Bq/kg、セシウム137が635Bq/kgであり、その合計が1071Bq/kgである。わずかな栽培期間であるが、ヒマワリについて報告された52Bq/kgを大きく上回る値である。この松山市のマツバイは福島県郡山市の自生種に比べて大きく成長するので、除染能力が向上する。

0024

この発明の第2の実施例について説明する。実施された場所と時期は第1の実施例と同じである。この例では、マツバイを透水性の容器に入れ、この容器を水中に設置した。容器は、縦横それぞれ約30cm、高さ約10cmの箱状のプラスチックコンテナであり、側面および底面は網目状になっており、水の出入りが自由になっている。

0025

この実施例で採取されたマツバイでは、セシウム134が105Bq/kg、セシウム137が119Bq/kgであり、その合計が224Bq/kgである。やはり、ヒマワリの報告例を上回っている。

0026

植え付けは、コンテナ容器を水田の中に置いていくだけで行われるので、短時間で終了する。マツバイの採取も容器を回収することにより、短時間で実施できる。したがって、作業に伴う被爆量が小さくなり、放射線量が多い環境でも安全に実施できる。

0027

この実施例のコンテナ容器によるマツバイの植え付け・栽培は水の多い環境においても適用できる。マツバイは水中のセシウムも効果的に吸収することができる。容器内に入れられることにより、マツバイは水に流されなくなる。

実施例

0028

水田のように水深が浅く水が比較的透明な環境では、容器を底に着くように設置することができる。一方、水深が深く水が濁っている場合は、マツバイが沈んでしまうと光が届かず、十分に光合成ができなくなる。そこで、空のペットボトルなど浮きとして容器に取り付け、水に浮いた状態で設置することが好ましい。

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