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技術 低熱線膨張フレキシブル基板

出願人 株式会社巴川製紙所
発明者 服部琢磨茂木克己津田統
出願日 2011年11月9日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2011-245853
公開日 2013年5月23日 (7年5ヶ月経過) 公開番号 2013-102097
状態 拒絶査定
技術分野 高分子成形体の被覆 高分子組成物 プリント板の材料
主要キーワード 経時温度変化 商品名ゴーセノール 電子部品基板 ウォータバス 水膨潤性粘土 フレキシブル基板材料 モバイル性 アイラライト
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

熱膨張性の低いフレキシブル基板を提供する。

解決手段

基材と、膨潤性マイカ水溶性樹脂とを含有する層であって、当該層の全質量を基準として、水膨潤性粘土を50〜97質量%含有し、水溶性樹脂を3〜50質量%含有する、基材の少なくとも一方の面上に積層された粘土層とを有する低熱膨張性のフレキシブル基板。

概要

背景

ディスプレイは、モバイル性省スペースの面より、従来のブラウン管方式から液晶方式(LCD)に急激に変わりつつある。更に次世代ディスプレイとして、自発光デバイスであり、明るさ、鮮やかさ、消費電力の点でも優れた有機EL方式のものが生産され始めている。これらは従来のブラウン管方式のものと比べればモバイル性や省スペースの面で格段に優れているが、基板としてガラスが使用されているために、比較的重量があり、また、割れるという問題も有している。

これらの問題点を解決するため、一部の液晶方式のものではフィルム基板プラセルと呼ばれている)が使用されている。しかしながら、次世代ディスプレイとして脚光を浴びている有機ELディスプレイの場合、低抵抗な透明導電膜が必要とされているが、透明導電膜を低抵抗にする為には150℃を超える熱処理による焼結が不可欠である。また、太陽電池パネルにもガラス基板から軽くて、割れにくいフィルム基板の利用が注目されている。しかし、従来のプラスチック基板では透明導電層回路配線太陽光発電層を形成するとき、熱線膨張性が大きく、これら機能層配線剥離したり、断線するという問題があった。これらの要求を満たし得る材料としては粘土薄膜が注目されている。

粘土薄膜は優れたフレキシビリティーを有し、主成分が無機物である為に非常に耐熱性に優れた材料である(特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、液晶や有機ELディスプレイ用のフィルム基板、太陽電池用基板として使用する場合、いくつかの問題が存在する。

粘土薄膜の代表的な欠点として強度不足や脆さが上げられる。耐熱性を上げるためには粘土比率を多くし、樹脂などの有機添加剤を減らすと好ましいが、実用的な強度が得られなくなる。一方、樹脂フィルムは実用的な強度には優れているが、耐熱性、特に加熱下の熱線膨張性が大きいという問題があった。

概要

熱膨張性の低いフレキシブル基板を提供する。基材と、膨潤性マイカ水溶性樹脂とを含有する層であって、当該層の全質量を基準として、水膨潤性粘土を50〜97質量%含有し、水溶性樹脂を3〜50質量%含有する、基材の少なくとも一方の面上に積層された粘土層とを有する低熱膨張性のフレキシブル基板。

目的

本発明は、樹脂フィルムが有する機械的な特性を有しながら、金属酸化物薄膜からなる透明導電膜をその上に積層した場合、あるいは金属微粒子からなる回路配線をその上に描画した場合などにおいて、熱線膨張率の大きな樹脂フィルムと熱線膨張率の小さな透明導電膜や回路配線との熱線膨張率の差によって、加熱時に透明導電膜や回路配線に剥がれや亀裂、割れが生じない、フレキシブル基板材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基材と、膨潤性マイカ水溶性樹脂とを含有する層であって、当該層の全質量を基準として、水膨潤性粘土を50〜97質量%含有し、水溶性樹脂を3〜50質量%含有する、基材の少なくとも一方の面上に積層された粘土層とを有する低熱線膨張フレキシブル基板

請求項2

前記水溶性樹脂がポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1記載の低熱線膨張性フレキシブル基板。

請求項3

150〜180℃でのMD方向及びTD方向の平均線膨張係数がいずれも35ppm/℃以下である、請求項1又は2記載の低熱線膨張性フレキシブル基板。

請求項4

前記膨潤性マイカの平均粒径が100〜10000nmである、請求項1〜3のいずれか一項記載の低熱線膨張性フレキシブル基板。

請求項5

前記粘土層の厚さが15μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項記載の低熱線膨張性フレキシブル基板。

技術分野

0001

本発明は、熱線膨張を抑制したフレキシブル基板に関する。

背景技術

0002

ディスプレイは、モバイル性省スペースの面より、従来のブラウン管方式から液晶方式(LCD)に急激に変わりつつある。更に次世代ディスプレイとして、自発光デバイスであり、明るさ、鮮やかさ、消費電力の点でも優れた有機EL方式のものが生産され始めている。これらは従来のブラウン管方式のものと比べればモバイル性や省スペースの面で格段に優れているが、基板としてガラスが使用されているために、比較的重量があり、また、割れるという問題も有している。

0003

これらの問題点を解決するため、一部の液晶方式のものではフィルム基板プラセルと呼ばれている)が使用されている。しかしながら、次世代ディスプレイとして脚光を浴びている有機ELディスプレイの場合、低抵抗な透明導電膜が必要とされているが、透明導電膜を低抵抗にする為には150℃を超える熱処理による焼結が不可欠である。また、太陽電池パネルにもガラス基板から軽くて、割れにくいフィルム基板の利用が注目されている。しかし、従来のプラスチック基板では透明導電層回路配線太陽光発電層を形成するとき、熱線膨張性が大きく、これら機能層配線剥離したり、断線するという問題があった。これらの要求を満たし得る材料としては粘土薄膜が注目されている。

0004

粘土薄膜は優れたフレキシビリティーを有し、主成分が無機物である為に非常に耐熱性に優れた材料である(特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、液晶や有機ELディスプレイ用のフィルム基板、太陽電池用基板として使用する場合、いくつかの問題が存在する。

0005

粘土薄膜の代表的な欠点として強度不足や脆さが上げられる。耐熱性を上げるためには粘土比率を多くし、樹脂などの有機添加剤を減らすと好ましいが、実用的な強度が得られなくなる。一方、樹脂フィルムは実用的な強度には優れているが、耐熱性、特に加熱下の熱線膨張性が大きいという問題があった。

先行技術

0006

特開2005−104133号公報
特開2007−63118号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、樹脂フィルムが有する機械的な特性を有しながら、金属酸化物薄膜からなる透明導電膜をその上に積層した場合、あるいは金属微粒子からなる回路配線をその上に描画した場合などにおいて、熱線膨張率の大きな樹脂フィルムと熱線膨張率の小さな透明導電膜や回路配線との熱線膨張率の差によって、加熱時に透明導電膜や回路配線に剥がれや亀裂、割れが生じない、フレキシブル基板材料を提供することを目的とするものであって、樹脂フィルムの加熱時の熱膨張率を抑制することを課題としている。

課題を解決するための手段

0008

そこで、本発明者らは、粘土薄膜と樹脂フィルムの積層品において、粘土薄膜として膨潤性マイカ水溶性樹脂組合せに着目し、それらを適正な質量比で混合することで、熱に対して変形しにくいことを見出し、本発明を完成した。

0009

本発明は、基材と、膨潤性マイカと水溶性樹脂とを含有する層であって、当該層の全質量を基準として、膨潤性マイカを50〜97質量%含有し、水溶性樹脂を3〜50質量%含有する、基材の少なくとも一方の面上に積層された粘土層と、を有する低熱線膨張フレキシブル基板に関する。なお、基材と粘土層とは、直接接合していてもよく、アンカーコート層を介して接合していてもよい。

0010

本発明の低熱線膨張フレキシブル基板は、150〜180℃でのMD方向及びTD方向の平均線膨張係数が、いずれも35ppm以下であることが好ましい。なお、150〜180℃は、フレキシブル基板上の透明導電膜を得るのに必要な熱処理温度であり、この温度領域での低熱線膨張性がフレキシブル基板の用途上必要とされる。

0011

本発明の低熱線膨張フレキシブル基板は、膨潤性マイカの粒子径長径の長さ)が100〜10000nmであることが好ましい。

0012

本発明の低熱線膨張フレキシブル基板は、粘土層の厚さが15μm以下であることが好ましい。

発明の効果

0013

本発明の低熱線膨張フレキシブル基板は、高温での低い平均熱線膨脹係数を実現し、例えば150〜180℃の温度範囲において変形を生じにくく安定である。そのことから、フレキシブル基板として加工性に優れたものとなり,各種電子部品基板への応用が可能となる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の第一の態様における低熱線膨張フレキシブル基板の断面図である。
本発明の第二の態様における低熱線膨張フレキシブル基板の断面図である。
図3は、試験例3での導電膜の面状態を示したものである。

0015

図1は、本発明の一態様の低熱線膨張フレキシブル基板を模式的に示す断面図である。図1(A)では、低熱線膨張フレキシブル基板1は、基材2の一方側に、粘土層3が積層された基本構造を備える。図1(B)では、低熱線膨張フレキシブル基板11は、基材2の両側に、粘土層3が積層された構造を備える。図1(B)の場合、両面の粘土層は同じものを積層してもよく、異なるものを積層してもよい。

0016

また、本発明の別態様として、図2に示す態様が挙げられる。図2では、低熱線膨張フレキシブル基板において、基材と粘土層とが、アンカーコート層を介して積層されている。図2(A)の低熱線膨張フレキシブル基板21では、基材2の片側の面に、アンカーコート層4と、粘土層3とがこの順に積層されている。図2(B)では、基材2の両側の面に、アンカーコート層4と、粘土層3とがこの順に積層されている。図2(B)の場合においても、両面の粘土層は同じものを積層してもよく、異なるものを積層してもよい。以下、本形態に係る各層について詳述する。

0017

《低熱線膨張フレキシブル基板(成分及び組成)》
〈粘土層〉
本発明における粘土層3には、必須成分として膨潤性マイカ及び水溶性樹脂が含まれる。以下、粘土層3に含まれる各成分及び組成について詳述する。

0018

(必須成分1:膨潤性マイカ)
本発明における粘土層は、第一の必須成分として膨潤性マイカを含有する。膨潤性マイカは水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と該極性溶媒との混合溶媒から選ばれる1種以上(以下、水系溶媒ともいう)と接触すると結晶の層間に溶媒分子吸着して膨潤し、ついにはバラバラになって溶媒中に分散する性質を有するものである。膨潤性マイカは、例えば、リチウム型テニオライトナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素マイカ、ナトリウム型四ケイ素マイカ、ナトリウムヘクトライト、リチウムヘクトライト等の膨潤性マイカであって、層間にリチウムイオン又はナトリウムイオンを有する膨潤性マイカ、これらの置換体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記膨潤性マイカとして市販のものとしては、例えば、ソマシフ(コープケミカル社製)が挙げられる。

0019

本発明に用いられる膨潤性マイカの粒子径(長径の長さ)は、好ましくは、100〜10000nmであり、より好ましくは1000〜8000nmであり、更に好ましくは2500〜7000nmである。

0020

粒径測定
膨潤性マイカ粒子粒径(長径)の平均値は、以下のようにして得ることができる。希薄(10mg/リットル程度の濃度)な膨潤性マイカ含有液を、平滑でゴミが付着していない清浄な平面(例えば、剥離したての合成雲母へき開面等)に滴下して乾燥した後に、表面にあまり重ならずに残った膨潤性マイカ粒子を原子間力顕微鏡で複数観察し、実際の大きさを測定する。そして、その平均値を算出する。

0021

(必須成分2:水溶性樹脂)
本発明における粘土層は、第二の必須成分として水溶性樹脂を含有する。水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコールPVA)、カチオン変性ポリビニルアルコールアニオン変性ポリビニルアルコールシラノール変性ポリビニルアルコールポリビニルアセタールセルロース系樹脂メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロースHEC)、カルボキシメチルセルロースCMC)等〕、キチン類キトサン類デンプン親水性エーテル結合を有する樹脂である、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);親水性構のアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩マレイン酸樹脂アルギン酸塩ゼラチン類等を挙げることもできる。

0022

上記の中でも、膨潤性マイカと混合したときに、膨潤性マイカの分散性が優れるポリビニルアルコール(PVA)系樹脂が好ましい。PVA系樹脂は、一般的には、ポリ酢酸ビニル系樹脂ケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニル単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体等が例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類不飽和スルホン酸類、オレフィン類ビニルエーテル類アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。PVA系樹脂は、適度の重合度を有していることが好ましく、例えば、4重量%濃度の水溶液としたときに、粘度が4〜80mPa・secの範囲内にあることが好ましく、さらには6〜60mPa・secの範囲内にあることがより好ましい。PVA系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルを完全ケン化したものが好ましい。

0023

PVA系樹脂のケン化度は、特に制限されないが、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは完全にケン化されている態様である。PVA系樹脂のケン化度が低いと、耐水性が不十分になりやすい傾向にある。

0024

PVA系樹脂は、変性されたものであってもよい。このような変性PVA系樹脂としては、アセトアセチル基変性されたPVA系樹脂、アニオン変性されたPVA系樹脂、カチオン変性されたPVA系樹脂等が挙げられる。

0025

低熱線膨張フレキシブル基板を形成するため、市販のPVA系樹脂を用いることができる。具体的には、例えば、高いケン化度を有するPVAであって、商品名PVA−117H[(株)クラレ製]や、商品名ゴーセノールNH−20[日本合成化学工業(株)製]等を挙げることができる。

0026

(任意成分1:他の粘土)
本発明における粘土層には、膨潤性マイカに加えて、天然又は合成物からなる粘土を配合することができる。例えば、カオリナイトディカイトハロイサイトクリソタイルリザーダイドアメサイトパイロフィライトタルクモンモリロナイトバイデライトノントロナイトスチーブンサイトサポナイト、ソーコナイト白雲母パラゴナイト、イライトセリサイト、金雲母黒雲母、レピドライト、マガディアイトアイラライトカネマイト層状チタン酸等が挙げられる。

0027

また、粘土層に透明性が必要な場合は、合成粘土を用いることが好ましい。合成粘土は天然粘土に比べて着色の原因である不純物が少なく、また粘土の粒子径が小さいときには、合成粘土を用いた膜はより高い透明性が付与される。

0028

(任意成分2:その他)
なお、膨潤性マイカの分散性等に支障のない範囲内で、塗工液調製時に高分子高分子前駆体相溶化剤分散剤界面活性剤、安定剤、熱安定剤酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤架橋剤、化学修飾剤滑剤結晶核剤着色剤複屈折制御剤等の添加剤を1種類以上添加してもよい。

0029

(組成)
粘土層は、当該層の全質量を基準として、膨潤性マイカを50〜97質量%、より好ましくは60〜95質量%、更に好ましくは70〜90質量%含有し、水溶性樹脂を3〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%含有する。膨潤性マイカと水溶性樹脂の質量比は、50:50〜97:3が好ましく、より好ましくは60:40〜95:5であり、更に好ましくは、70:30〜90:10である。

0030

〈基材〉
本発明における基材2は、一般的に知られている樹脂フィルムを特に制限されることなく用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂トリアセチルセルロースジアセチルセルロースセルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂、プロピレンエチレン等の鎖状オレフィンもしくはノルボルネン等の多環式環状オレフィンを主要なモノマーとする重合体であるポリオレフィン系樹脂アクリル酸エステルを主要なモノマーとするアクリル系樹脂メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステルを主要なモノマーとするメタクリル系樹脂、その他、ポリイミドポリエーテルサルホン(PES)、ポリウレタン(PU)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルポリメチルペンテンポリエーテルケトンポリメタアクリロニトリル等が挙げられる。より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等である。なお、これらの中では、ポリエステル系樹脂(例えば、PET又はPEN)と前述した粘土層との組み合わせが好適である。

0031

〈アンカーコート層〉
前述のように、アンカーコート層は、粘土層と基材との間に介在していてもよいし、介在していなくてもよい。ここで、アンカーコート層が粘土層と基材との間に介在している場合における当該層の説明を以下にする。具体的には、図2(A)の低熱線膨張フレキシブル基板21及び図2(B)の低熱線膨張フレキシブル基板31は、基材2と粘土層3の間にアンカーコート層4を有する。本発明におけるアンカーコート層4は、一般的に知られているアンカー剤を特に制限されることなく用いることができる。例えば、アクリル系ポリマーシリコン系ポリマーポリエステル系ポリマーポリウレタン系ポリマーポリエーテル系ポリマー等をベースポリマーとするアンカー剤を用いることができる。また、シランカップリング剤、界面活性剤を用いることもできる。

0032

≪低熱線膨張フレキシブル基板(構造)≫
前記の通り、本形態に係る低熱線膨張フレキシブル基板として、基材の一方の表面上に粘土層が積層されている態様{図1(A)及び図2(A)}と、基材の両側の表面上に粘土層が積層されている態様{図1(B)及び図2(B)}と、を挙げることができる。

0033

〈粘土層〉
粘土層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜15μmであり、より好ましくは0.3〜10μmであり、さらに好ましくは0.5〜8μmである。薄膜化することで、粘土層が割れにくくなる。

0034

〈基材〉
基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10〜300μmであり、より好ましくは20〜250μmであり、さらに好ましくは40〜200μmである。また、基材と粘土層の厚さの比率は、好ましくは15:1〜400:1であり、より好ましくは20:1〜300:1であり、更に好ましくは25:1〜200:1である。

0035

〈アンカーコート層〉
本発明のフレキシブルディスプレイ用基板がアンカーコート層を含む場合には、その厚さは好ましくは0.03〜3μmであり、より好ましくは0.05〜2μmであり、さらに好ましくは0.1〜1μmである。

0036

≪低熱線膨張フレキシブル基板の製造方法≫
本発明における粘土層は、前記膨潤性マイカ及び水溶性樹脂が水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒又は水系溶媒に分散されて調製された塗工液の状態で基材上に塗布されることによって調製される。この際、一般には、塗工液中において膨潤性マイカは溶媒中に分散膨潤し、水溶性樹脂は溶媒に溶解する。この塗工液における成分(膨潤性マイカ及び水溶性樹脂)の濃度は、調製後の塗工液が実用上問題ない範囲であれば制限はないが、通常、膨潤性マイカ及び水溶性樹脂の合計固形分量が1〜15質量%程度、好ましくは3〜10質量%となる範囲で使用される。最適な成分濃度は、成分それぞれの種類や両者の組成比により異なるため、組成毎に設定される。また、製膜する際の塗布性を向上させるための粘度調整剤や、疎水性及び/又は耐久性をさらに向上させるための硬化剤等、各種の添加剤を加えてもよい。

0037

また、密着力を高めるために、基材の表面にコロナ放電処理プラズマ処理プライマー処理UV処理溶剤処理等の表面処理を施してから粘土層を積層するか、又はその表面処理面にアンカーコート層を積層したうえで粘土層を形成することもできる。

0038

ここで、アンカーコート層を形成させる場合においては、アンカーコート層は、前記ベースポリマーを主体とする溶液を塗布し、乾燥する方法によって形成できる他、公知の方法によって形成することができる。

0039

また、任意成分を添加する場合においては、該添加剤を加えるタイミングは任意でよく、最初に添加剤を分散媒に加えた後に膨潤性マイカを分散させてもよいし、分散媒に膨潤性マイカを分散させた後に添加剤を添加してもよい。添加剤は固体として添加してもよいし、加熱等で溶解させた状態で添加してもよいし、任意の溶媒に溶解又は分散させた溶液状態で添加してもよい。塗工液を基材に塗布する方式は特に制限されるものではなく、ダイレクトグラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法カンマコート法バーコート法等、公知の各種の方式を用いることができる。

0040

《低熱線膨張フレキシブル基板の性質》
(平均線膨張係数)
本形態に係るフレキシブル基板は、150〜180℃での平均線膨張係数が、35ppm/℃以下であり、より好ましくは25ppm/℃以下であり、さらに好ましくは20ppm/℃以下である。下限値は特に限定されないが、例えば1ppm/℃である。なお、この測定値は、基材の両側の表面に同じ粘土層を適用したもの{例えば、図1(B)及び図2(B)の態様}について、MD方向(機械の流れ方向)、TD方向(垂直方向)のそれぞれについて測定したものである。平均線膨脹係数の値は、MD方向、TD方向のいずれか、より好ましくは両者において前記の上限値以下であることが好ましい。なお、線膨張係数35ppm/℃の値は、ITO等の無機導電性材料よりやや大きな値となっているが、後述するITO製膜実験結果(表4等)において、割れ等が発生しておらず、線膨張係数の値としては、実用上問題ない値である。

0041

《低熱線膨張性フレキシブル基板の用途》
このように、本発明のフレキシブル基板は、膨潤性マイカ及び水溶性樹脂を含有する粘土層を含む。かかるフレキシブル基板は、高い耐熱性と低熱線膨張性を有するため、これらが要求されるディスプレイ基板等の電子部品基板用途に好ましく使用することができる。

0042

以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

0043

実施例1
以下の(1)〜(4)の手順で実施例1に係るフレキシブル基板を調製した。
(1)粘土分散液の調製
高速回転ホモジナイザー容器に膨潤性マイカ(商品名:ソマシフME−100、コープケミカル(株)製)25gとイオン交換水475gを入れ、ホモジナイザーにセットし充分に攪拌し、固形分5%の粘土分散液Aを得た。なお、膨潤性マイカ:コープケミカル社製 ソマシフME−100 の粒径(長径)は5700nmである。

0044

(2)PVA溶液の調製
完全ケン化ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールNH−20(ケン化度98.5〜99.4%)、日本合成化学工業(株)製)25gとイオン交換水475gを1000mLのビーカーに入れ、メカニカルスターラーで攪拌しながらウォータバスで80℃まで加熱し、1時間放置後攪拌したまま放冷し、固形分5%のPVA溶液Bを得た。

0045

(3)塗工液の調製
高速回転ホモジナイザー容器に粘土分散液A(64g)、PVA溶液B(16g)及びメタノール(20g)を入れ、ホモジナイザーにセットし充分に攪拌し、粘土粒子が均一に分散した固形分4%の塗工液C(膨潤性マイカ:PVA=5:5)を得た。

0046

(4)積層体の調製
100μm厚さの両面易接着処理PEN(商品名:テオネックスQ65FWA、帝人デュポンフィルム(株)製)の両面にワイヤードクター(0.3φ1重巻き)を用いて塗工液Cを塗工し、100℃5分乾燥機で乾燥し厚さ約1μmの粘土層を形成した。

0047

実施例2
実施例1における膨潤性マイカを30g、完全ケン化ポリビニルアルコールを20gとし、実施例1と同様の方法で積層体を調製した。

0048

実施例3
実施例1における膨潤性マイカを40g、完全ケン化ポリビニルアルコールを10gとし、実施例1と同様の方法で積層体を調製した。

0049

実施例4
実施例1における膨潤性マイカを45g、完全ケン化ポリビニルアルコールを5gとし、実施例1と同様の方法で積層体を調製した。

0050

実施例5
実施例1における膨潤性マイカを48.5g、完全ケン化ポリビニルアルコールを1.5gとし、実施例1と同様の方法で積層体を調製した。

0051

比較例1
実施例1における膨潤性マイカの代わりに合成サポナイト(クニミネ社製スメクトンSA)を40g、完全ケン化ポリビニルアルコールを10gとし、実施例1と同様の方法で積層体を調製した。なお、クニミネ社製スメクトンSAの粒径は90nmである。

0052

比較例2
粘土層を積層しない100μm厚さの両面易接着処理PEN(商品名:テオネックスQ65FWA、帝人デュポンフィルム(株)製)をサンプルとして用いた。

0053

比較例3
実施例1における膨潤性マイカを10g、完全ケン化ポリビニルアルコールを40gとし、実施例1と同様の方法で積層体を調製した。

0054

試験例1熱線膨張係数の測定
熱機械分析装置(TMA)(商品名:TMA8310、(株)リガク製)引張り荷重法によって測定した。MD方向は機械の流れ方向、TD方向は垂直方向を表す。
サンプルサイズ:幅5mm 長さ20mmチャック間距離15mm
昇温速度:5℃/min、引張り荷重:49mN、測定温度範囲:室温から180℃

0055

経時温度変化に対する平均熱線膨脹係数(ppm/℃)を、5℃おきの平均値として得た。例えば、35℃−180℃は、35℃から180℃まで5℃おきに熱線膨脹係数を記録し、その熱線膨脹係数の平均値である。結果を表1に示す。

0056

0057

表1から明らかなように、35℃から180℃まで、150℃から180℃までの平均線膨張係数がPENフィルム単独(比較例2)より明らかに小さくなるのは膨潤性マイカ:PVA=5:5、6:4、8:2、9:1、95:5の質量比の粘土層を有する低熱線膨張フレキシブル基板(実施例1〜5)である。一方、膨潤性マイカの代わりにスメクタイトを用いた例(比較例1)及び膨潤性マイカ:PVA=2:8(比較例3)では、35℃から180℃まで、150℃から180℃までの平均熱線膨脹係数がPEN単独(比較例2)と同等又はそれ以上である。

0058

試験例2セロハンテープ剥離による膜強度評価
実施例1で製造した各種積層体にセロハンテープ剥離試験を施した。本試験は、碁盤目を用いないで行なっているが、その他の条件は旧JISK5400の6.15碁盤目付着性試験方法準拠しており、規定のセロハンテープを完全に積層体に付着後、直ちに垂直方向(90°)に瞬間的に引き離すことによる粘土層の変化を観察したものである。結果を表2に示す。

0059

0060

表2から明らかなように、粘土層において、膨潤性マイカ:PVA=5:5〜9:1の質量比の範囲において粘土層凝集破壊は観察されなかったものの、膨潤性マイカ:PVA=95:5の質量比では多少の凝集破壊が観察された。但し、実用レベルでは支障ない程度であった。また、膨潤性マイカの代わりにスメクタイトを用いた例(比較例1)では、同じ質量比の膨潤性マイカを用いた例(実施例3)と同様に粘土層の凝集破壊は見られなかった。

0061

試験例3 ITO製膜実験
ITO透明導電膜の製膜は、UBMSスパッタ装置[W350、神戸製鋼(株)製]を用い、出力電圧:3kW、製膜速度:0.2m/分、スパッタガスアルゴン酸素水素=90/10/10(単位sccm)の条件にて製膜した。製膜は125μmPEN、100μmPET、100μm易接着PET上に直接製膜したもの(それぞれ表3中、番号1、2及び3)と、それぞれのフィルム上に所定の粘土層を設け、その上に製膜したもの(表3中、番号4〜9)の両方を行い比較した。表面観察は光学顕微鏡反射倍率50倍)にて行った。ITO透明導電膜の製膜結果を表3に示す。図3に導電膜の面状態を示す(番号1〜7の試料を倍率50倍で表す)。粘土層なしで製膜したものはPET、PENではITO面に割れを、易接着PETでは面破壊が発生した。一方、粘土層を設けた場合、割れや破壊が発生しなかった。これらの結果から、フィルム表面に粘土層を設けることによりITOスパッタ適性が改善された。

0062

実施例

0063

表中、A4100は易接着ポリエチレンテレフタレート[商品名:コスシャインA4100、東洋紡(株)製]を表す。PETはポリエチレンテレフタレート[商品名:エンブレットS、ユニチカ(株)製]、PENはポリエチレンナフタレート[商品名:テオネックスQ65FA、帝人デュポンフィルム(株)製]を表す。

0064

本発明の低熱線膨張フレキシブル基板は、一定の質量比の膨潤性マイカと水溶性樹脂を使用した粘土層を基材と積層することで熱膨張を抑制するため、有機EL、液晶パネル等のフレキシブルディスプレイ用基板や各種電子部品基板として利用することができる。

0065

1、11、21、31低熱線膨張フレキシブル基板
2基材
3粘土層
4 アンカーコート層

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