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技術 ガラス板の製造方法

出願人 AvanStrate株式会社
発明者 塩地裕介
出願日 2011年9月30日 (9年4ヶ月経過) 出願番号 2011-218669
公開日 2013年5月2日 (7年9ヶ月経過) 公開番号 2013-079156
状態 特許登録済
技術分野 ガラスの成形
主要キーワード 下降傾斜面 再焼成処理 各加熱温度 SiC部材 外側室 熔解装置 間仕切り板 SiC板
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

成形炉を連続的に使用しても、成形炉の炉壁ひびが入ったり、炉壁の板部材割れることなく、安定して長期間ガラス板を製造する。

解決手段

ガラス板の製造方法は、ガラス原料熔解して溶融ガラスをつくる熔解工程と、成形炉の室内に設けられた成形体を用いて、前記溶融ガラスからダウンドロー法シート状ガラス成形する成形工程と、成形された前記シート状ガラスを徐冷する徐冷工程と、徐冷した前記シート状ガラスを切断する切断工程と、を含む。前記成形炉の室内及び前記成形炉の室外雰囲気のいずれか一方に接する前記成形炉の壁面に、SiC焼結体の表面が用いられ、前記壁面となる前記SiC焼結体の表面には、酸素を含む雰囲気中で前記SiC焼結体を加熱することによって形成されたSiO2を主成分とする酸化皮膜が形成されている。

概要

背景

液晶ディスプレイプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」という。)に用いるガラス基板には、厚さが例えば0.5〜0.7mmと薄いガラス板が用いられている。このFPD用ガラス基板は、例えば第1世代では300×400mmのサイズであるが、第10世代では2850×3050mmのサイズになっている。

このような第8世代以降の大きなサイズのFPD用ガラス基板を製造するには、オーバーフローダウンドロー法が最もよく使用される。オーバーフローダウンドロー法は、成形炉において溶融ガラス成形体の上部から溢れさせることにより成形体の下方においてシート状ガラス成形する工程と、シート状ガラスを徐冷炉において徐冷する工程と、を含む。徐冷炉は、対になったローラ間にシート状ガラスを引き込むことにより所望の厚さに引き伸ばした後、シート状ガラスの内部歪熱収縮を低減するように、シート状ガラスを徐冷する。この後、シート状ガラスは、所定の寸法に切断されてガラス板とされて他のガラス板上に積層されて保管される。あるいはガラス板は次工程に搬送される。オーバーフローダウンドロー法については、例えば、下記特許文献1に記載されている。

下記特許文献1のガラス板の製造装置では、室内が高温雰囲気となる成形炉の室内を囲む炉壁が設けられる。当該製造装置は、上記炉壁を設けることにより、成形体を含む成形炉を加熱するための発熱体の熱を一旦炉壁に伝え、この炉壁の均熱効果によって放たれる均質熱輻射によって成形体及び成形体を流れる溶融ガラスを均質に加熱することができる。炉壁には、熱伝導率が高い部材としてSiCの板部材が用いられる。

概要

成形炉を連続的に使用しても、成形炉の炉壁にひびが入ったり、炉壁の板部材が割れることなく、安定して長期間ガラス板を製造する。ガラス板の製造方法は、ガラス原料熔解して溶融ガラスをつくる熔解工程と、成形炉の室内に設けられた成形体を用いて、前記溶融ガラスからダウンドロー法でシート状ガラスを成形する成形工程と、成形された前記シート状ガラスを徐冷する徐冷工程と、徐冷した前記シート状ガラスを切断する切断工程と、を含む。前記成形炉の室内及び前記成形炉の室外雰囲気のいずれか一方に接する前記成形炉の壁面に、SiC焼結体の表面が用いられ、前記壁面となる前記SiC焼結体の表面には、酸素を含む雰囲気中で前記SiC焼結体を加熱することによって形成されたSiO2を主成分とする酸化皮膜が形成されている。

目的

本発明は、長期間、成形炉を連続的に使用しても、成形炉の炉壁にひびが入ったり、炉壁の板部材が割れることなく、安定して長期間ガラス板を製造することができるガラス板の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ガラス板を製造するガラス板の製造方法であって、ガラス原料熔解して溶融ガラスをつくる熔解工程と、成形炉の室内に設けられた成形体を用いて、前記溶融ガラスからダウンドロー法シート状ガラス成形する成形工程と、成形された前記シート状ガラスを徐冷する徐冷工程と、徐冷した前記シート状ガラスを切断する切断工程と、を含み、前記成形炉の室内及び前記成形炉の室外雰囲気のいずれか一方に接する前記成形炉の壁面に、SiC焼結体の表面が用いられ、前記壁面となる前記SiC焼結体の表面には、酸素を含む雰囲気中で前記SiC焼結体を加熱することによって形成されたSiO2を主成分とする酸化皮膜が形成されている、ことを特徴とするガラス板の製造方法。

請求項2

さらに、前記SiC焼結体の加熱処理を行う加熱工程を含み、前記加熱工程では、前記SiC焼結体の加熱処理を行うことにより前記酸化皮膜が形成される、請求項1に記載のガラス板の製造方法。

請求項3

前記加熱工程は、前記成形炉の組み立て後、前記シート状ガラスの成形前に行う工程であり、前記加熱工程では、大気雰囲気で加熱されることで、前記SiC焼結体に前記酸化皮膜が形成される、請求項2に記載のガラス板の製造方法。

請求項4

前記加熱工程は、前記成形炉組み立て前に行う工程であり、前記加熱工程では、大気雰囲気で加熱されることで、前記SiC焼結体に前記酸化皮膜が形成される、請求項2に記載のガラス板の製造方法。

請求項5

前記酸化皮膜は、前記成形工程における前記室内あるいは前記室外の雰囲気に接する前記成形炉の壁面の温度より高い温度で加熱処理されることにより、前記SiC焼結体に形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。

請求項6

前記SiC焼結体は鋳込み成形品であり、前記鋳込み成形品のキャスト面が前記室内あるいは前記室外の雰囲気に接する前記成形炉の壁面に用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。

請求項7

前記SiC焼結体の気孔率が20%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。

請求項8

前記SiC焼結体は、1250℃以上の温度雰囲気で、8時間以上加熱されることにより、前記酸化皮膜が形成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ダウンドロー法によるガラス板の製造方法に関する。

背景技術

0002

液晶ディスプレイプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」という。)に用いるガラス基板には、厚さが例えば0.5〜0.7mmと薄いガラス板が用いられている。このFPD用ガラス基板は、例えば第1世代では300×400mmのサイズであるが、第10世代では2850×3050mmのサイズになっている。

0003

このような第8世代以降の大きなサイズのFPD用ガラス基板を製造するには、オーバーフローダウンドロー法が最もよく使用される。オーバーフローダウンドロー法は、成形炉において溶融ガラス成形体の上部から溢れさせることにより成形体の下方においてシート状ガラス成形する工程と、シート状ガラスを徐冷炉において徐冷する工程と、を含む。徐冷炉は、対になったローラ間にシート状ガラスを引き込むことにより所望の厚さに引き伸ばした後、シート状ガラスの内部歪熱収縮を低減するように、シート状ガラスを徐冷する。この後、シート状ガラスは、所定の寸法に切断されてガラス板とされて他のガラス板上に積層されて保管される。あるいはガラス板は次工程に搬送される。オーバーフローダウンドロー法については、例えば、下記特許文献1に記載されている。

0004

下記特許文献1のガラス板の製造装置では、室内が高温雰囲気となる成形炉の室内を囲む炉壁が設けられる。当該製造装置は、上記炉壁を設けることにより、成形体を含む成形炉を加熱するための発熱体の熱を一旦炉壁に伝え、この炉壁の均熱効果によって放たれる均質熱輻射によって成形体及び成形体を流れる溶融ガラスを均質に加熱することができる。炉壁には、熱伝導率が高い部材としてSiCの板部材が用いられる。

先行技術

0005

登録実用新案第2530060号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、成形炉の炉壁は、長期間、例えば1年半程度の期間、成形炉を連続的に使用することが望まれるものの、成形炉を短期間、例えば数10時間、使用しただけで、炉壁にひびが入ったり、場合によっては炉壁の板部材が割れる場合がある。これは、炉壁の壁面からSiCの板部材の酸化が内部に進行することによって、壁面側が膨張し、この結果板部材が炉壁の室内に凸形状となって変形することに起因する。

0007

そこで、本発明は、長期間、成形炉を連続的に使用しても、成形炉の炉壁にひびが入ったり、炉壁の板部材が割れることなく、安定して長期間ガラス板を製造することができるガラス板の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の一態様は、ガラス板を製造するガラス板の製造方法である。当該製造方法は、
ガラス原料熔解して溶融ガラスをつくる熔解工程と、
成形炉の室内に設けられた成形体を用いて、前記溶融ガラスからダウンドロー法でシート状ガラスを成形する成形工程と、
成形された前記シート状ガラスを徐冷する徐冷工程と、
徐冷した前記シート状ガラスを切断する切断工程と、を含む。
前記成形炉の室内及び前記成形炉の室外雰囲気のいずれか一方に接する前記成形炉の壁面に、SiC焼結体の表面が用いられ、前記壁面となる前記SiC焼結体の表面には、酸素を含む雰囲気中で前記SiC焼結体を加熱することによって形成されたSiO2を主成分とする酸化皮膜が形成されている。

発明の効果

0009

上記形態のガラス板の製造方法では、成形炉を連続的に使用しても、成形炉の炉壁にひびが入ったり、炉壁の板部材が割れることなく、安定して長期間ガラス板を製造することができる。

図面の簡単な説明

0010

本実施形態のガラス板の製造方法の工程図である。
本実施形態の熔解工程〜切断工程を行う装置を模式的に示す図である。
本実施形態の成形装置の成形炉を中心とした構成を説明する図ある。
(a),(b)は、図3に示す成形炉に用いるSiC部材と酸化皮膜を説明する図である。
(a),(b)は、加熱処理後のSiC部材のサンプルのキャスト面の画像を示す図である。

実施例

0011

以下、本実施形態のガラス板の製造方法について説明する。

0012

(ガラス板の製造方法の全体概要
ガラス板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、徐冷工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、を主に有する。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積層された複数のガラス板は、納入先業者に搬送される。

0013

図2は、熔解工程(ST1)〜切断工程(ST7)を行う装置を模式的に示す図である。当該装置は、図2に示すように、主に熔解装置200と、成形装置300と、切断装置400と、を有する。熔解装置200は、熔解槽201と、清澄槽202と、攪拌槽203と、第1配管204と、第2配管205と、を有する。

0014

熔解工程(ST1)では、熔解槽201内に供給されたガラス原料を、図示されない火焔および電気ヒータで加熱して熔解することで溶融ガラスを得る。
清澄工程(ST2)は、清澄槽202において行われ、清澄槽202内の溶融ガラスを加熱することにより、溶融ガラス中に含まれるO2等の気泡が、清澄剤酸化還元反応により成長し液面に浮上して放出される、あるいは、気泡中のガス成分が溶融ガラス中に吸収されて、気泡が消滅する。
均質化工程(ST3)では、第1配管204を通って供給された攪拌槽203内の溶融ガラスを、スターラを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。
供給工程(ST4)では、第2配管205を通して溶融ガラスが成形装置300に供給される。

0015

成形装置300では、成形工程(ST5)及び徐冷工程(ST6)が行われる。
成形工程(ST5)では、溶融ガラスMGをシート状ガラスG(図3参照)に成形し、シート状ガラスGの流れを作る。本実施形態では、後述する成形体14を用いたオーバーフローダウンドロー法を用いる。徐冷工程(ST6)では、成形されて流れるシート状ガラスGが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、熱収縮率が大きくならないように、冷却される。
切断工程(ST7)では、切断装置400において、成形装置300から供給されたシート状ガラスGを所定の長さに切断することで、板状のガラス板を得る。切断されたガラス板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス板を作る。この後、ガラス板の端面の研削、研磨が行われ、ガラス板の洗浄が行われ、さらに、気泡や脈理等の異常欠陥の有無が検査された後、検査合格品のガラス板が最終製品として梱包される。

0016

(成形装置の成形炉)
図3は、本実施形態の成形装置300の成形炉12を中心とした構成を説明する図ある。
成形炉12は、成形体14が室内に設けられ、オーバーダウンドロー法を用いた成形工程を行う炉である。成形炉12で成形されるガラス板は、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板有機ELディスプレイ用ガラス基板、カバーガラスに好適に用いられる。その他、携帯端末機器などのディスプレイ筐体用のカバーガラス、タッチパネル板、太陽電池のガラス基板やカバーガラスとしても用いることができる。特に、ポリシリコンTFTを用いた液晶ディスプレイ用ガラス基板に好適である。
成形炉12は、図示されるように、SiC焼結体からなる板状の3つのSiC部材16a,16b,16cを用いて組み立てられている。SiC部材16aは、成形炉12の天井面の部材として、SiC部材16b,16cは、成形炉12の側壁の面の部材として用いられる。成形炉12の室内12aは、SiC部材16a,16b,16cと、間仕切り板20と、によって囲まれて形成されている。SiC部材16a,16b,16cは、SiCが70質量%以上含まれているセラミック焼結体をいう。

0017

成形体14は、図3に示すように断面が略5角形状あるいはくさび状を成し、図3紙面垂直方向に延びる細長い部材である。成形体14の上面に、溶融ガラスMGを流す供給溝18が設けられている。供給溝18は、第2配管205と接続されている。
成形体14は、図3の紙面に垂直方向の奥側から手前側に、成形体14の上部に設けられた供給溝18を通って溶融ガラスMGが流れるように、傾斜して配置されている。供給溝18は、図3の紙面手前側で閉塞するとともに、この閉塞位置に近づくに従って供給溝18の溝深さは浅くなっている。このため、供給溝18に供給された溶融ガラスMGは、供給溝18の両側からあふれ出して、二手に分かれ、成形体14の両側の上面14a,14a、側面14b,14b及び下降傾斜面14c,14cを通る。そして、二手に分かれた溶融ガラスMGは成形体14の最下稜線14dで合流する。これにより、溶融ガラスMGは1つのシート状ガラスGとなる。また、成形体14には、溶融ガラスMGが上面14a,14a、側面14b,14b及び下降傾斜面14c,14cを通るとき、溶融ガラスMGが上面14a,14a、側面14b,14b及び下降傾斜面14c,14cからはみ出さないように、溶融ガラスMGをガイドする、図示されない土手状のガイド部が設けられている。

0018

成形体14の下方には、間仕切り板20が設けられている。間仕切り板20には、成形炉12の室内12aの温度を一定に保つように断熱特性の優れた板状に固めた断熱部材あるいは断熱板が用いられている。間仕切り板20の下方には、冷却ローラ22が設けられ、この冷却ローラ22は、間仕切り板20の隙間を通過したシート状ガラスGの両側端部を挟んで冷却するとともに、シート状ガラスGを下方に引っ張るように構成されている。
また、図3の冷却ローラ22の下方には、図示されない駆動ローラが設けられ、シート状ガラスGを引っ張りながら徐冷する。このため、成形体14の最下端稜線14dで合流してできたシート状ガラスGは、冷却ローラ22と図示されない駆動ローラとによって下方に引っ張られながら、シート状ガラスGの厚さが目標値になり、板厚がばらつかず一定に揃い、かつ、シート状ガラスGに反りが生じないように調整される。すなわち、シート状ガラスGは、炉内の雰囲気温度及びシート状ガラスGの搬送速度が制御されて、適切に徐冷される。

0019

成形炉12の周りには、成形炉12を取り囲むように外部炉壁24が設けられている。外部炉壁12は、耐火レンガを重ねて組み立てられている。成形炉12の室外であり、外側炉壁12により囲まれた外側室内には、外側室内を区画する隔壁26a〜26dが設けられ、隔壁26a〜26dで区切られた各空間には、発熱体28が設けられている。発熱体28により、SiC部材16a,16b,16cを通して、成形炉12の室内12aが設定された温度に加熱される。隔壁26a〜26dで区切られた成形炉12の室外の各空間および成形炉12の室内の空間の雰囲気は、いずれも酸素を含む。

0020

(酸化皮膜)
上述の成形炉12では、成形炉12の室内及び成形炉12の室外に接する雰囲気、すなわち成形炉12の室内及び外側室内の雰囲気に接する成形炉12の壁面に、SiC部材16a,16b,16cの表面が用いられる。このSiC部材16a,16b,16cの表面には、SiC焼結体の表面の酸化によりSiO2を主成分とする酸化皮膜が形成されている。この酸化皮膜は、蛍光X線分析による定量分析で確認され得、SiO2の含有率は例えば70質量%である。なお、上記主成分とは、含有率が50質量%以上をいう。一方、上記酸化皮膜は、外観観察により、光沢のあるガラス状の皮膜として観察される。上記酸化皮膜はガラス状の皮膜であるので、気孔率が小さい。このため、酸化皮膜は酸素を遮断してSiC焼結体の内部酸化を抑制することが考えられる。なお、SiC焼結体を加熱することにより形成した酸化皮膜のサンプルのX線回折分析結果から、酸化皮膜の主成分であるSiO2にはクリストバライトが含まれていることが確認されている。したがって、本実施形態の酸化皮膜には、クリストバライトが含まれてもよい。この場合、上述のガラス状の皮膜にクリストバライトが含まれる。
この酸化皮膜は、シート状ガラスGを成形する成形工程時には、すでにSiC部材16a,16b,16cの表面に形成されている。上記酸化皮膜は、ガラス板の製造のために行う成形炉12の昇温の少なくとも前に、SiC部材16a,16b,16cの加熱処理が施されることにより形成される。
ガラス板の製造のために行う成形炉12の昇温とは、溶融ガラスMGを流してシート状ガラスGを成形するときに行う昇温である。具体的には、ガラス板の製造は、一端開始すると熔解装置200、成形装置300及び切断装置400の修理補修、あるいは取替えのためにガラス板の製造を中断するまで、連続的に行われる。例えば、成形装置300の成形炉12の取替えは必要となって、成形炉12の取替えを行う場合、外部炉壁24が取り外されて、成形炉12が解体されて、再度成形炉12がSiC部材16a,16b,16cで組み立てられて、最後に外部炉壁24が組み立てられる。この後、ガラス板の製造のために行う成形炉12の昇温、例えば、約1200℃への昇温が行われる。
本実施形態では、ガラス板の製造のために行う成形炉12の昇温の前に、成形炉12の炉壁のうち、成形炉12の室内の雰囲気に接する成形炉12の壁面(この壁面を成形炉12の内壁面という)、及び成形炉12の外側室内の雰囲気に接する成形炉12の壁面(この壁面を成形炉12の外壁面という)にSiC部材16a,16b,16cの酸化皮膜が形成されるように加熱処理が施される。すなわち、本実施形態では、成形炉12の内壁面及び外壁面には、成形炉12の組み立て後、ガラス板の製造のために行う成形炉12の昇温の前に加熱処理が行われる。

0021

このように、ガラス板の製造のために行う成形炉12の昇温の前に、成形炉12の内壁面及び外壁面であるSiC部材16a,16b,16cの表面にSiC焼結体の酸化皮膜が形成されるのは、成形炉12を連続的に使用しても、成形炉12の炉壁にひびが入ったり、炉壁であるSiC部材16a,16b,16cが割れることなく、安定して長期間ガラス板を製造することができるためである。
成形炉12の昇温の前に、成形炉12の内壁面及び外壁面にSiC部材16a,16b,16cの酸化皮膜が形成されない場合、数10時間といった短時間で、成形炉12の炉壁にひびが入ったり割れが発生する場合もある。すなわち、SiC部材16a,16b,16cの酸化皮膜が形成されない場合、成形工程時における成形炉12内の雰囲気中でSiC部材16a,16b,16cの酸化が内部に進行する。この酸化の進行によって生じる膨張によってSiC部材が変形してひびが入り、あるいは割れる。

0022

SiC部材16a,16b,16cは、例えば、図4(a)に示すように、鋳造焼成された長方形の板部材であるが、SiC部材16a,16b,16cに施す加熱処理により意図的に酸化皮膜を形成することで、SiC部材16a,16b,16cは、成形工程時における成形炉12内の室内及び室外の雰囲気中で起こる酸化の進行を抑制することができる。上記加熱処理は、再焼成処理とも呼ばれる。
したがって、図4(b)に示すように、成形炉12のガラス板の製造のための昇温の前に、SiC部材16a,16b,16cの表面にSiC部材16a,16b,16cの酸化皮膜30が形成される。図4(b)は、図4(a)に示すSiC部材16a,16b,16cの断面を示す図である。

0023

また、酸化皮膜が形成される加熱処理は、成形炉12の組み立て前に行う処理であり、この加熱処理では、大気雰囲気で加熱されることで、SiC部材16a,16b,16cの表面に酸化皮膜30が形成されてもよい。この場合、酸化皮膜30が形成された面を成形炉12の内壁面及び外壁面に向けて組み立てるとよい。組み立て前のSiC部材16a,16b,16cのそれぞれに酸化皮膜を形成する加熱処理を施すことにより、SiC部材16a,16b,16cの表面全体に確実に酸化皮膜30を形成させることができる。

0024

このような加熱処理により形成される酸化皮膜は、セラミック焼結体であるSiC部材16a,16b,16cが鋳造及び焼成にて製造されるとき、表面に形成された皮膜にさらに付加して意図的に形成された皮膜である。したがって、加熱処理により得られる酸化皮膜は、セラミック焼結体が製造されたときに形成された酸化皮膜に比べて膜厚は厚い。

0025

本実施形態では、成形炉12の室内及び室外の双方の雰囲気に接する表面(成形炉12の内壁面及び外壁面)に酸化皮膜30を形成するが、成形炉12の室内及び室外の一方の表面(成形炉12の内壁面及び外壁面の一方の表面)、より好ましくは、SiC部材16a,16b,16cの内部への酸化の進行の早い方の表面に、酸化皮膜30を形成してもよい。

0026

なお、SiC部材16a,16b,16cは、1250℃以上の温度雰囲気で、8時間以上加熱されることにより、酸化皮膜30が形成されることが、後述する実施例からわかるように、好ましい。
酸化皮膜30は、成形工程における成形炉12の壁面(内壁面及び外壁面)の温度より高い温度で加熱処理されることにより、SiC部材16a,16b,16cに形成されることが好ましい。成形工程時の成形炉12壁面の温度より高い温度で酸化皮膜30を形成することにより、SiC部材16a,16b,16c中の酸化の進行の程度をより強く抑制することができる。
また、SiC部材は鋳込み成形品であり、このとき、鋳込み成形品のキャスト面が成形炉12の内壁面及び外壁面の少なくとも一方に用いられることが好ましい。キャスト面は、鋳型と接する面であり、気孔率が低く、キャスト面の近傍には、SiC焼結体が密に存在する。このため、キャスト面には、上記加熱処理により、SiCの酸化の進行をより強く抑制する酸化皮膜を形成することができる。
また、SiC部材16a,16b,16cの気孔率は20%以下であることが好ましい。気孔率を20%以下とすることにより、SiC焼結体が密に存在するため、上記加熱処理により、SiCの酸化の進行をより強く抑制する酸化皮膜を形成することができる。なお、気孔率は、JIS R 2205:1992に準拠して計測される。

0027

[実施例1]
本実施形態のSiC部材16a,16b,16cに酸化皮膜を形成する加熱処理の好ましい条件を調べるために、SiC部材16a,16b,16cのサンプルを用いて、加熱温度と加熱時間の条件を種々変化させて酸化皮膜の形成の有無を調べた。サンプルは50mm×50mm×25mmの形状寸法を有する。
SiC部材16a,16b,16cのサンプルとして、SiC含有率が74質量%で気孔率が14%、嵩比重が2.57g/cm3、熱膨張係数3.5×10-6K-1の市販の板状のSiC焼結体を用いた。サンプルは、キャスト面を有するようにSiC板部材から切り出した。
まず、1000℃の炉に投入する前に、熱衝撃によるサンプルの破損を避けるために、400℃でサンプルを予備加熱した。その後、後述する各加熱温度まで、1.2℃/分の速度で昇温した。

0028

酸化皮膜の形成の有無は、サンプルのキャスト面を180倍の光学顕微鏡で拡大して表面観察を行うことで判断した。具体的には、キャスト面全体が光沢のある面となっている場合、酸化皮膜が全面に形成されている、と判断した。それ以外の場合、酸化皮膜は形成されないと判断した。
図5(a)は、1270℃(加熱温度)、8時間(加熱時間)の条件で加熱処理したキャスト面の画像である。図5(b)は、1200℃(加熱温度)、8時間(加熱時間)の条件で加熱処理したキャスト面の画像である。図5(a),(b)では、判別され難いが、光沢の有り無しが見られる。

0029

下記表1は、加熱時間を8時間に固定して、加熱温度を1170℃〜1450℃の範囲で変化させたときの、酸化皮膜の形成の有無の結果を示す。

0030

0031

上記表1より、1250℃以上の加熱温度により酸化皮膜が形成されることがわかる。1250〜1450℃において酸化皮膜が形成されていることがわかる。1450℃以上の加熱温度は、工業的に価値がないが、特性上、1450℃以上であっても酸化皮膜を形成することができるといえる。

0032

下記表2は、加熱温度を1250℃に固定して、加熱時間を3〜18時間の範囲で変化させたときの、酸化皮膜の形成の有無の結果を示す。

0033

0034

上記表2より、1250℃の加熱温度で8時間以上の加熱温度により酸化皮膜が形成されることがわかる。加熱時間8〜18時間において酸化皮膜が形成されていることがわかる。18時間以上の加熱時間は、工業的に価値がないが、特性上、18時間以上の加熱時間であっても酸化皮膜を形成することができるといえる。

0035

上より、1250℃(加熱温度)及び8時間(加熱時間)の条件で、図2,3に示す装置を用いてガラス板を連続製造したところ、成形炉12は、1年6月経ても内壁面にひびや割れは見られなかった。1100℃(加熱温度)及び72時間(加熱時間)の条件で、図2,3に示す装置を用いてガラス板を連続製造したところ、成形炉12は、2日後に壁にヒビが見られた。
これより、本実施形態で形成される酸化皮膜は、1250℃(加熱温度)、8時間(加熱時間)の条件で加熱処理をすることが好ましいことがわかる。

0036

以上、本発明のガラス板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。

0037

12成形炉
12a 室内
14成形体
14a 上面
14b 側面
14c下降傾斜面
14d最下端稜線
16a,16b,16cSiC部材
18供給溝
20間仕切り板
22冷却ローラ
24 外部炉壁
26a,26b,26c,26d隔壁
28発熱体
30酸化皮膜
200熔解装置
201熔解槽
202清澄槽
203攪拌槽
204 第1配管
205 第2配管
300成形装置
400 切断装置

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