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技術 ハイブリッド車両の制御装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 金山武司椎葉一之若松泰平
出願日 2011年9月21日 (9年3ヶ月経過) 出願番号 2011-206202
公開日 2013年4月18日 (7年8ヶ月経過) 公開番号 2013-067242
状態 特許登録済
技術分野 ハイブリッド電気車両 内燃機関の複合的制御 車両の電気的な推進・制動 車両の電気的な推進・制動
主要キーワード 異音発生防止 コイルスプリング式 中空環状 切り換え条件 交流同期発電機 シフトレバ ガラ音 目標運転点
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重要な関連分野

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課題

動力伝達系での異音の発生を防止するための複数の動作ラインが設定されているハイブリッド車両において、燃料消費率の改善を図ることができる動作ラインの設定を可能にするハイブリッド車両の制御装置を提供する。

解決手段

ハイブリッド車両において、動力伝達系で異音(歯打ち音)が発生する運転状態となった場合に選択されるエンジンの動作ラインとして、暖機運転中異音防止動作ラインγ及び暖機運転完了後異音防止動作ラインβを記憶させる。暖機運転中に異音が発生する運転状態となった場合に暖機運転中異音防止動作ラインγ上の動作点でエンジンを運転させる。その後、暖機運転が完了したとしても、暖機運転完了後異音防止動作ラインβへの切り換え禁止し、第2モータジェネレータトルク指令値所定範囲を超えた場合に限り、暖機運転中異音防止動作ラインγから最適燃費動作ラインαへ切り換える。

概要

背景

近年、環境保護の観点から、車両に搭載された内燃機関(以下、「エンジン」と呼ぶ場合もある)からの排気ガスの排出量低減や燃料消費率燃費)の改善が望まれており、これらを満足する車両として、ハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車両が実用化されている。

このハイブリッド車両は、ガソリンエンジンディーゼルエンジンなどのエンジンと、このエンジンの出力により発電された電力バッテリ蓄電装置)に蓄えられた電力により駆動する電動機(例えばモータジェネレータまたはモータ)とを備え、これらエンジン及び電動機のいずれか一方または双方を走行駆動力源として利用しながら走行する。

この種のハイブリッド車両に採用されるパワートレーンとして、下記の特許文献1〜特許文献3に開示されているように、エンジン、第1及び第2の電動機(モータジェネレータ)、動力分割機構を構成する遊星歯車機構を備えたものが知られている。具体的には、動力分割機構のプラネタリキャリアにエンジンのクランクシャフトが連結され、サンギヤに第1電動機(第1モータジェネレータMG1)が連結され、リングギヤリダクション機構(例えば遊星歯車機構により構成されている)を介して第2電動機(第2モータジェネレータMG2)が連結されている。そして、このリングギヤには、減速機構デファレンシャルギヤを介して駆動輪動力伝達可能に連結されている。

これにより、通常走行時には、エンジンからプラネタリキャリアに入力された駆動力トルク)が、リングギヤ(駆動輪側)及びサンギヤ(第1電動機側)に分割(トルクスプリット)される。リングギヤ側に分割されたトルクは、直達トルク(エンジンから駆動輪に向けて直接的に伝達されるトルク)として駆動輪を駆動する。一方、サンギヤ側に分割されたトルクは第1電動機に伝達され、この第1電動機が発電を行う。これにより得られた電力によって第2電動機が駆動し(トルクが発生し)、駆動輪に対するアシストトルクが得られることになる。

このように、上記動力分割機構が差動機構として機能し、その差動作用によって、エンジンからの動力主部を駆動輪に機械的に伝達し、そのエンジンからの動力の残部を第1電動機から第2電動機への電気パスを用いて電気的に伝達することにより、電気的に変速比が変更される変速機電気式無段変速機)としての機能が発揮されるようになっている。これにより、駆動輪に要求される駆動力を得ながらも、燃料消費率が最適化されたエンジンの運転状態(後述する最適燃費動作ライン上での運転状態)を得ることが可能となる。

また、車両の発進時や低速走行時のようにエンジン効率が低くなる領域では、エンジンを停止させて上記第2電動機のみの動力で駆動輪を駆動するようにしている。

ところで、上述したハイブリッド車両にあっては、ある運転状態において動力伝達系で異音が発生する可能性がある。例えば、エンジンからの直達トルクのみで車両が走行している場合、または、駆動輪に伝達されるトルクの大部分がエンジンからの直達トルクである場合には、上記第2電動機のトルクが略となっている。この場合、第2電動機のロータから上記リングギヤまでの間の動力伝達経路(例えば上記リダクション機構)においてはギヤ同士ガタバックラッシ等)がフローティングの状態(ギヤ同士のガタが一方側(一方の回転側)に詰まっていない状態)となっている。このような状況で、エンジンの回転変動等がリダクション機構に伝達されると、このリダクション機構のギヤ歯同士が上記ガタ分だけ相対的に移動し、歯同士の衝突が繰り返されることで、所謂歯打ち音(「ガラ音」とも呼ばれる)が発生することになる。尚、この歯打ち音の発生原因としては、上述した第2電動機のトルクが略零となっていることに限らず、エンジンの負荷状態エンジン回転数、筒内での燃焼状態など種々のものが挙げられる。

このような異音(歯打ち音)の発生を防止するために、上記異音が発生する運転条件成立した場合(例えば第2電動機のトルク指令値所定範囲内にある場合)には、エンジン回転数を上昇させ、リダクション機構のギヤ同士の間のガタを一方側に詰めることが行われている(例えば下記の特許文献1)。この場合、エンジンの運転状態としては、燃料消費率が最適となる動作点(最適燃費動作ライン上の動作点)からずれることになり、この最適燃費動作ライン上で運転される場合に比べて燃料消費率は悪化することになる。

概要

動力伝達系での異音の発生を防止するための複数の動作ラインが設定されているハイブリッド車両において、燃料消費率の改善をることができる動作ラインの設定を可能にするハイブリッド車両の制御装置を提供する。ハイブリッド車両において、動力伝達系で異音(歯打ち音)が発生する運転状態となった場合に選択されるエンジンの動作ラインとして、暖機運転中異音防止動作ラインγ及び暖機運転完了後異音防止動作ラインβを記憶させる。暖機運転中に異音が発生する運転状態となった場合に暖機運転中異音防止動作ラインγ上の動作点でエンジンを運転させる。その後、暖機運転が完了したとしても、暖機運転完了後異音防止動作ラインβへの切り換え禁止し、第2モータジェネレータのトルク指令値が所定範囲を超えた場合に限り、暖機運転中異音防止動作ラインγから最適燃費動作ラインαへ切り換える。

目的

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、動力伝達系での異音の発生を防止するための複数の動作ライン(内燃機関の回転数とトルクとの関係を特定する動作特性)が設定されているハイブリッド車両において、燃料消費率の改善を図ることができる動作ラインの設定を可能にするハイブリッド車両の制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

少なくとも3軸を有し、これら3軸のうちの一つに内燃機関出力軸が連結され、他の二つにそれぞれ電動機が連結されて、上記内燃機関及び電動機の少なくとも一つを走行用駆動力源として走行すると共に、動力伝達経路において異音が発生する運転状態となった際に、内燃機関の回転数トルクとの関係を規定する内燃機関動作特性切り換えることで上記異音を低減または防止する構成とされたハイブリッド車両制御装置において、上記内燃機関動作特性として、上記異音が発生する運転状態となった際に選択可能な複数の異音低減用動作特性が予め記憶されており、上記複数の異音低減用動作特性のうち一方側へ特性を規定する異音低減用動作特性が選択されている状態にあっては、この異音低減用動作特性から他方側へ特性を規定する他の異音低減用動作特性への切り換えが禁止される構成となっていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項2

請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置において、上記切り換えが禁止される他の異音低減用動作特性は、現在選択されている異音低減用動作特性に対して、内燃機関を低回転高トルク側の特性に規定する異音低減用動作特性であることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項3

請求項2記載のハイブリッド車両の制御装置において、現在選択されている異音低減用動作特性に対して、内燃機関を低回転高トルク側の特性以外の特性に規定する異音低減用動作特性への切り換えは、その異音低減用動作特性への切り換え条件成立に伴って許可する一方、現在選択されている異音低減用動作特性に対して、内燃機関を低回転高トルク側の特性に規定する異音低減用動作特性への切り換えは、その異音低減用動作特性への切り換え条件が成立しても禁止する構成となっていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項4

請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置において、上記異音低減用動作特性として、内燃機関の動作特性を低回転高トルク側に規定する低回転側異音低減用動作特性と、内燃機関の動作特性を前記低回転側異音低減用動作特性よりも高回転低トルク側に規定する高回転側異音低減用動作特性とが予め記憶されており、上記異音が発生しない運転状態にある際に内燃機関動作特性として選択される基準動作特性から上記何れかの異音低減用動作特性へ切り換える切り換え条件を第1切り換え条件とし、上記何れかの異音低減用動作特性から上記基準動作特性へ切り換える切り換え条件を第2切り換え条件とし、内燃機関の動作特性を上記低回転側異音低減用動作特性から上記高回転側異音低減用動作特性へ切り換える切り換え条件を第3切り換え条件とし、内燃機関の動作特性を低回転側異音低減用動作特性へ切り換える切り換え条件を第4切り換え条件とした場合において、上記第1切り換え条件が成立した時点で上記第3切り換え条件が成立している場合には、内燃機関の動作特性を上記高回転側異音低減用動作特性に切り換え、上記第1切り換え条件が成立した時点で上記第4切り換え条件が成立している場合には、内燃機関の動作特性を上記低回転側異音低減用動作特性に切り換え、上記第2切り換え条件が成立した場合には、内燃機関の動作特性を上記基準動作特性に切り換え、上記第1切り換え条件が成立している状態で上記第3切り換え条件が非成立から成立となった場合には、内燃機関の動作特性を上記低回転側異音低減用動作特性から上記高回転側異音低減用動作特性に切り換える一方、上記第1切り換え条件が成立している状態で上記第4切り換え条件が非成立から成立となった場合であっても、内燃機関の動作特性を上記高回転側異音低減用動作特性から上記低回転側異音低減用動作特性への切り換えを禁止する構成となっていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項5

請求項4記載のハイブリッド車両の制御装置において、上記内燃機関の動作特性が上記高回転側異音低減用動作特性に選択されている場合には、この高回転側異音低減用動作特性から他の動作特性への切り換えは、上記第2切り換え条件が成立した場合の上記基準動作特性への切り換えのみとなっていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項6

請求項4または5記載のハイブリッド車両の制御装置において、上記第1切り換え条件は電動機の出力が所定範囲内である場合に成立し、上記第2切り換え条件は電動機の出力が所定範囲を超えている場合に成立し、上記第3切り換え条件は内燃機関の状態が内燃機関回転変動が大きくなる所定状態となっている場合に成立し、上記第4切り換え条件は内燃機関の状態が内燃機関回転変動が小さくなる所定状態となっている場合に成立することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項7

請求項6記載のハイブリッド車両の制御装置において、上記内燃機関の状態は、内燃機関の暖機状態であって、内燃機関が暖機運転中である場合には第3切り換え条件が成立し、内燃機関の暖機運転が完了すると第4切り換え条件が成立することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項8

請求項1〜7のうち何れか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、上記内燃機関の出力軸が連結されるプラネタリキャリアと、第1の電動機が連結されるサンギヤと、第2の電動機が連結されるリングギヤとを備えた遊星歯車機構により構成される動力分割機構を備えており、第2の電動機のトルク指令値が所定範囲内にある場合に、上記異音が発生する運転状態になったと判断して内燃機関の動作特性を異音低減用動作特性に切り換える構成とされていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、走行用駆動源として内燃機関電動機とが搭載されたハイブリッド車両制御装置に係る。特に、本発明は、動力伝達系において発生する異音を低減または防止するための内燃機関の制御の改良に関する。

背景技術

0002

近年、環境保護の観点から、車両に搭載された内燃機関(以下、「エンジン」と呼ぶ場合もある)からの排気ガスの排出量低減や燃料消費率燃費)の改善が望まれており、これらを満足する車両として、ハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車両が実用化されている。

0003

このハイブリッド車両は、ガソリンエンジンディーゼルエンジンなどのエンジンと、このエンジンの出力により発電された電力バッテリ蓄電装置)に蓄えられた電力により駆動する電動機(例えばモータジェネレータまたはモータ)とを備え、これらエンジン及び電動機のいずれか一方または双方を走行駆動力源として利用しながら走行する。

0004

この種のハイブリッド車両に採用されるパワートレーンとして、下記の特許文献1〜特許文献3に開示されているように、エンジン、第1及び第2の電動機(モータジェネレータ)、動力分割機構を構成する遊星歯車機構を備えたものが知られている。具体的には、動力分割機構のプラネタリキャリアにエンジンのクランクシャフトが連結され、サンギヤに第1電動機(第1モータジェネレータMG1)が連結され、リングギヤリダクション機構(例えば遊星歯車機構により構成されている)を介して第2電動機(第2モータジェネレータMG2)が連結されている。そして、このリングギヤには、減速機構デファレンシャルギヤを介して駆動輪が動力伝達可能に連結されている。

0005

これにより、通常走行時には、エンジンからプラネタリキャリアに入力された駆動力トルク)が、リングギヤ(駆動輪側)及びサンギヤ(第1電動機側)に分割(トルクスプリット)される。リングギヤ側に分割されたトルクは、直達トルク(エンジンから駆動輪に向けて直接的に伝達されるトルク)として駆動輪を駆動する。一方、サンギヤ側に分割されたトルクは第1電動機に伝達され、この第1電動機が発電を行う。これにより得られた電力によって第2電動機が駆動し(トルクが発生し)、駆動輪に対するアシストトルクが得られることになる。

0006

このように、上記動力分割機構が差動機構として機能し、その差動作用によって、エンジンからの動力主部を駆動輪に機械的に伝達し、そのエンジンからの動力の残部を第1電動機から第2電動機への電気パスを用いて電気的に伝達することにより、電気的に変速比が変更される変速機電気式無段変速機)としての機能が発揮されるようになっている。これにより、駆動輪に要求される駆動力を得ながらも、燃料消費率が最適化されたエンジンの運転状態(後述する最適燃費動作ライン上での運転状態)を得ることが可能となる。

0007

また、車両の発進時や低速走行時のようにエンジン効率が低くなる領域では、エンジンを停止させて上記第2電動機のみの動力で駆動輪を駆動するようにしている。

0008

ところで、上述したハイブリッド車両にあっては、ある運転状態において動力伝達系で異音が発生する可能性がある。例えば、エンジンからの直達トルクのみで車両が走行している場合、または、駆動輪に伝達されるトルクの大部分がエンジンからの直達トルクである場合には、上記第2電動機のトルクが略となっている。この場合、第2電動機のロータから上記リングギヤまでの間の動力伝達経路(例えば上記リダクション機構)においてはギヤ同士ガタバックラッシ等)がフローティングの状態(ギヤ同士のガタが一方側(一方の回転側)に詰まっていない状態)となっている。このような状況で、エンジンの回転変動等がリダクション機構に伝達されると、このリダクション機構のギヤ歯同士が上記ガタ分だけ相対的に移動し、歯同士の衝突が繰り返されることで、所謂歯打ち音(「ガラ音」とも呼ばれる)が発生することになる。尚、この歯打ち音の発生原因としては、上述した第2電動機のトルクが略零となっていることに限らず、エンジンの負荷状態エンジン回転数、筒内での燃焼状態など種々のものが挙げられる。

0009

このような異音(歯打ち音)の発生を防止するために、上記異音が発生する運転条件成立した場合(例えば第2電動機のトルク指令値所定範囲内にある場合)には、エンジン回転数を上昇させ、リダクション機構のギヤ同士の間のガタを一方側に詰めることが行われている(例えば下記の特許文献1)。この場合、エンジンの運転状態としては、燃料消費率が最適となる動作点(最適燃費動作ライン上の動作点)からずれることになり、この最適燃費動作ライン上で運転される場合に比べて燃料消費率は悪化することになる。

先行技術

0010

特開平11−93725号公報
特開2008−201351号公報
特開2010−138751号公報

発明が解決しようとする課題

0011

上述したように、異音が発生する運転条件となった際に、エンジンの運転状態を最適燃費動作ライン上での運転からずらすことで異音の発生を低減または防止する場合、予め複数の動作ラインを設定しておき、運転状態に応じてこれら動作ラインのうちの一つを選択することが挙げられる。以下では、この異音の発生を低減または防止するための複数の動作ラインとして、エンジンの暖機運転中に選択される動作ラインと暖機運転完了後に選択される動作ラインとが設定された場合を代表して説明する。つまり、エンジンの暖機運転中と暖機運転完了後とで、異音が発生する運転条件となった場合に変更される動作ラインを互いに異なるものとする場合について説明する。尚、この複数の動作ラインを設定するものとしては、エンジンの暖機状態に応じて設定するものに限らず、その他、筒内の燃焼状態に影響を与える各種のパラメータ吸気温EGR率等)に応じて複数の動作ラインを設定する場合もある。

0012

上述の如く異音発生防止のための動作ラインとして暖機運転中の動作ラインと暖機運転完了後の動作ラインとを設けておき、暖機運転中に異音が発生する運転条件となった場合には前者の動作ラインへ切り換える一方、暖機運転完了後に異音が発生する運転条件となった場合には後者の動作ラインへ切り換えるようにする。

0013

図7は、これら動作ラインの一例を示す図である。図中の実線は上記最適燃費動作ラインであって、異音が発生する運転条件でない場合には、エンジンは、この最適燃費動作ライン上の動作点に制御されることになる。具体的には、アクセル開度等に応じて決定される要求パワーライン(図中に二点鎖線で示すライン)と、上記最適燃費動作ラインとの交点(図中の点a)をエンジンの目標動作点目標運転点)としてハイブリッドシステムが制御されることになる。

0014

図中の破線はエンジンの暖機運転中の車両走行時に異音が発生する運転条件となった場合に切り換えられる暖機運転中異音防止動作ラインである。つまり、暖機運転中に異音が発生する運転条件となった場合(例えば第2電動機のトルク指令値が所定範囲内になった場合)には、要求パワーラインと暖機運転中異音防止動作ラインとの交点(図中の点c)をエンジンの目標動作点としてハイブリッドシステムが制御され、異音の発生が防止される。

0015

また、図中の一点鎖線はエンジンの暖機運転完了後の車両走行時に異音が発生する運転条件となった場合に切り換えられる暖機運転完了後異音防止動作ラインである。つまり、暖機運転完了後に異音が発生する運転条件となった場合には、要求パワーラインと暖機運転完了後異音防止動作ラインとの交点(図中の点b)をエンジンの目標動作点としてハイブリッドシステムが制御され、異音の発生が防止される。

0016

このような各異音防止動作ラインが設定されている場合に、暖機運転中異音防止動作ライン上の動作点でエンジンが運転している状況で暖機運転が完了すると、エンジンの動作点としては、暖機運転完了後異音防止動作ライン上に移行されることになる。つまり、図中の点cから点bに移行されることになる。

0017

このようにエンジンの動作点を移行させる場合には、エンジンが一時的に過渡運転状態となるため、目標とする動作点(暖機運転完了後異音防止動作ライン上の動作点)に移行する途中において一時的にエンジン回転数がアンダーシュートエンジントルクオーバシュート)する可能性がある。そして、このようなエンジン回転数のアンダーシュートが発生した場合であっても上記異音が発生しないように暖機運転完了後異音防止動作ラインを設定しておく必要がある。このため、暖機運転完了後異音防止動作ラインとしては、異音の発生が防止可能な範囲において最も燃料消費率が良好な(言い換えると、最も最適燃費動作ラインに近い)ものとして設定することができず(最も最適燃費動作ラインに近いものにしてしまうと、上記エンジン回転数のアンダーシュートが発生した場合に異音が発生してしまう可能性があるため)、異音防止動作ラインの設定の最適化を図ることができていなかった。

0018

具体的に図8を用いて説明する。この図8は、エンジンの運転状態が暖機運転中異音防止動作ライン上から暖機運転完了後異音防止動作ライン上に移る際のエンジン回転数の時間的変化の一例を示している。この図8では、タイミングt1において暖機運転が完了し、暖機運転中異音防止動作ライン上のエンジン回転数(図中のNe1;図7における点cでのエンジン回転数に相当)から暖機運転完了後異音防止動作ライン上のエンジン回転数(図中のNe2;図7における点bでのエンジン回転数に相当)へ移行させる場合である。この場合、エンジン回転数は、暖機運転中異音防止動作ライン上の回転数Ne1から暖機運転完了後異音防止動作ライン上の回転数Ne2に向けて低下していく。そして、この際、エンジン回転数のアンダーシュートが発生したとしても、そのエンジン回転数が異音発生限界回転数(上記異音が発生する範囲の最高回転数;図中のNe3)まで低下することがないように、上記暖機運転完了後異音防止動作ラインとしてはエンジン回転数を高めに設定しておく必要があった。つまり、上記アンダーシュート分の余裕代をもって暖機運転完了後異音防止動作ラインでのエンジン回転数(図中のNe2)を高めに設定しておく必要があった。言い換えると、図7において、暖機運転完了後異音防止動作ラインを暖機運転中異音防止動作ラインに近付けるように予め設定しておく必要があった。

0019

しかし、このように暖機運転完了後異音防止動作ラインでのエンジン回転数を高めに設定した場合、仮に暖機運転完了後に異音が発生する状況となった際には、エンジン回転数のオーバシュートやアンダーシュートが発生した場合であっても上記異音が発生する可能性が低い(エンジン回転数が上昇する側に動作ラインが切り換えられるため異音が発生する可能性が低い)にも拘わらず、エンジン回転数の目標値としては必要以上に高めに設定される状態が継続されることになり、上記最適燃費動作ライン上から大きく離れた動作点(運転点)でエンジンが駆動されることになってしまう。このため、燃料消費率を改善するには未だ改良の余地があった。

0020

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、動力伝達系での異音の発生を防止するための複数の動作ライン(内燃機関の回転数とトルクとの関係を特定する動作特性)が設定されているハイブリッド車両において、燃料消費率の改善を図ることができる動作ラインの設定を可能にするハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0021

−発明の概要
上記の目的を達成するために講じられた本発明の概要は、異音が発生する運転条件が成立している状況で、内燃機関の動作特性(動作ライン)を切り換える際に、異音発生の可能性が高まる方向(低回転高トルク側)への切り換えを禁止するようにし、これにより、過渡運転状態となることを考慮して動作ラインを予め高回転側に設定しておくといった必要を無くし、この動作ラインを最適燃費動作ラインに近付けて設定することを可能にしている。

0022

−解決手段−
具体的に、本発明は、少なくとも3軸を有し、これら3軸のうちの一つに内燃機関の出力軸が連結され、他の二つにそれぞれ電動機が連結されて、上記内燃機関及び電動機の少なくとも一つを走行用駆動力源として走行すると共に、動力伝達経路において異音が発生する運転状態となった際に、内燃機関の回転数とトルクとの関係を規定する内燃機関動作特性を切り換えることで上記異音を低減または防止する構成とされたハイブリッド車両の制御装置を前提とする。このハイブリッド車両の制御装置に対し、上記内燃機関動作特性として、上記異音が発生する運転状態となった際に選択可能な複数の異音低減用動作特性を予め記憶させておき、上記複数の異音低減用動作特性のうち一方側へ特性を規定する異音低減用動作特性が選択されている状態にあっては、この異音低減用動作特性から他方側へ特性を規定する他の異音低減用動作特性への切り換えが禁止される構成としている。

0023

より具体的に、上記切り換えが禁止される他の異音低減用動作特性は、現在選択されている異音低減用動作特性に対して、内燃機関を低回転高トルク側の特性に規定する異音低減用動作特性としている。

0024

この特定事項により、動力伝達経路において異音が発生する運転状態となった際には、内燃機関動作特性として、複数の異音低減用動作特性のうち何れかの異音低減用動作特性が選択されて内燃機関の回転数とトルクとの関係が設定されてハイブリッドシステムの運転が制御されることになる。この場合に、運転状態の変化(例えば内燃機関の暖機状態の変化)によって他の異音低減用動作特性への切り換え条件が成立したとしても、その切り換えが、現在選択されている異音低減用動作特性に対して、内燃機関を低回転高トルク側の特性(上記他方側への特性)に移行させる異音低減用動作特性となる場合には、その切り換えを禁止する。従来では、この低回転高トルク側への異音低減用動作特性への切り換えを許容していたため、内燃機関回転数にアンダーシュート等が発生した場合に異音が発生してしまうことを考慮し、この低回転高トルク側の異音低減用動作特性としては内燃機関回転数を高めに設定するものとしておく必要があった。このため、内燃機関回転数の目標値としては必要以上に高い値に設定される状態が継続されることになり、燃料消費率の悪化に繋がっていた。これに対し、本解決手段では、内燃機関を低回転高トルク側の特性に移行させる異音低減用動作特性への切り換えを禁止しているため、上述した内燃機関回転数のアンダーシュート等に起因する異音の発生を考慮する必要がなくなる。その結果、低回転高トルク側の異音低減用動作特性としては、異音の発生が防止可能な範囲において燃料消費率が良好なもの(例えば、この範囲において最も燃料消費率が良好なもの)として設定することが可能となり、この低回転高トルク側の異音低減用動作特性で内燃機関の運転が行われる際の燃料消費率を大幅に改善することが可能となる。

0025

より具体的には、現在選択されている異音低減用動作特性に対して、内燃機関を低回転高トルク側の特性以外の特性に規定する異音低減用動作特性への切り換えは、その異音低減用動作特性への切り換え条件の成立に伴って許可する一方、現在選択されている異音低減用動作特性に対して、内燃機関を低回転高トルク側の特性に規定する異音低減用動作特性への切り換えは、その異音低減用動作特性への切り換え条件が成立しても禁止する構成としている。

0026

このように、内燃機関を低回転高トルク側の特性以外の特性に規定する異音低減用動作特性への切り換えは許可しているため、この異音低減用動作特性への切り換え条件の成立に伴って、異音の発生抑制効果をいっそう大きくすることのできる異音低減用動作特性に切り換えることが可能となる。

0027

また、各動作特性を条件に応じて切り換える場合の動作として具体的には以下のものが挙げられる。つまり、上記異音低減用動作特性として、内燃機関の動作特性を低回転高トルク側に規定する低回転側異音低減用動作特性と、内燃機関の動作特性を前記低回転側異音低減用動作特性よりも高回転低トルク側に規定する高回転側異音低減用動作特性とを予め記憶させておく。そして、上記異音が発生しない運転状態にある際に内燃機関動作特性として選択される基準動作特性から上記何れかの異音低減用動作特性へ切り換える切り換え条件を第1切り換え条件とし、上記何れかの異音低減用動作特性から上記基準動作特性へ切り換える切り換え条件を第2切り換え条件とし、内燃機関の動作特性を上記低回転側異音低減用動作特性から上記高回転側異音低減用動作特性へ切り換える切り換え条件を第3切り換え条件とし、内燃機関の動作特性を低回転側異音低減用動作特性へ切り換える切り換え条件を第4切り換え条件とした場合において、上記第1切り換え条件が成立した時点で上記第3切り換え条件が成立している場合には、内燃機関の動作特性を上記高回転側異音低減用動作特性に切り換え、上記第1切り換え条件が成立した時点で上記第4切り換え条件が成立している場合には、内燃機関の動作特性を上記低回転側異音低減用動作特性に切り換え、上記第2切り換え条件が成立した場合には、内燃機関の動作特性を基準動作特性に切り換える。また、上記第1切り換え条件が成立している状態で上記第3切り換え条件が非成立から成立となった場合には、内燃機関の動作特性を上記低回転側異音低減用動作特性から上記高回転側異音低減用動作特性に切り換える一方、上記第1切り換え条件が成立している状態で上記第4切り換え条件が非成立から成立となった場合であっても、内燃機関の動作特性を上記高回転側異音低減用動作特性から上記低回転側異音低減用動作特性への切り換えを禁止する。

0028

この解決手段によっても、内燃機関を高回転低トルク側の特性に移行させる異音低減用動作特性への切り換えは許可しているため、異音の発生抑制効果をいっそう大きくすることのできる異音低減用動作特性に切り換えることが可能となる。また、上記第1切り換え条件が成立した場合には、何れかの異音低減用動作特性へ切り換えられることで異音発生が防止され、上記第2切り換え条件が成立した場合には、基準動作特性へ切り換えられることで燃料消費率の改善を図ることができる。

0029

より具体的には、上記内燃機関の動作特性が上記高回転側異音低減用動作特性に選択されている場合には、この高回転側異音低減用動作特性から他の動作特性への切り換えは、上記第2切り換え条件が成立した場合の上記基準動作特性への切り換えのみとなっている。つまり、第2切り換え条件が成立しない限り、高回転側異音低減用動作特性の選択状態が維持されることになり、高い異音発生抑制効果を維持することができる。

0030

また、上記各切り換え条件として具体的には、上記第1切り換え条件は電動機の出力が所定範囲内である場合に成立し、上記第2切り換え条件は電動機の出力が所定範囲を超えている場合に成立し、上記第3切り換え条件は内燃機関の状態が内燃機関回転変動が大きくなる所定状態となっている場合に成立し、上記第4切り換え条件は内燃機関の状態が内燃機関回転変動が小さくなる所定状態となっている場合に成立するものとなっている。

0031

つまり、電動機の出力が所定範囲内である場合には動力伝達経路におけるギヤ同士のガタがフローティングの状態となっているため、異音が発生しやすい状況であり、この場合には、第1切り換え条件が成立して内燃機関の動作特性を異音低減用動作特性に切り換える。また、電動機の出力が所定範囲外である場合には動力伝達経路におけるギヤ同士の間のガタが一方側に詰まるため、異音が発生し難い状況であり、この場合には、第2切り換え条件が成立して内燃機関の動作特性を基準動作特性に切り換え、燃料消費率の改善を図る。また、内燃機関の状態として回転変動が大きくなる所定状態である場合には高回転側異音低減用動作特性が選択され、異音の発生を防止する。そして、内燃機関の状態として回転変動が小さくなる所定状態である場合には低回転側異音低減用動作特性が選択され、異音の発生を防止しながら燃料消費率の改善を図る。

0032

上記内燃機関の状態として具体的には、内燃機関の暖機状態であって、内燃機関が暖機運転中である場合には第3切り換え条件が成立し、内燃機関の暖機運転が完了すると第4切り換え条件が成立するようになっている。

0033

ハイブリッド車両の動力伝達経路の構成として具体的には、上記内燃機関の出力軸が連結されるプラネタリキャリアと、第1の電動機が連結されるサンギヤと、第2の電動機が連結されるリングギヤとを備えた遊星歯車機構により構成される動力分割機構を備えており、第2の電動機のトルク指令値が所定範囲内にある場合に、上記異音が発生する運転状態になったと判断して内燃機関の動作特性を異音低減用動作特性に切り換える構成としている。

発明の効果

0034

本発明では、複数の異音低減用動作特性のうち一方側(例えば高回転側)へ特性を規定する異音低減用動作特性が選択されている状態にあっては、他方側(例えば低回転側)へ特性を規定する他の異音低減用動作特性への切り換えを禁止している。このため、過渡運転状態となることを考慮して内燃機関動作特性を予め高回転側に設定しておくといった必要を無くし、燃料消費率の改善を図ることができる。

図面の簡単な説明

0035

実施形態に係るハイブリッド車両を示す概略構成図である。
ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。
実施形態におけるエンジンの最適燃費動作ライン及び各異音防止動作ラインの一例を示す図である。
エンジンの動作ラインの切り換え動作を説明するための概念図である。
異音低減制御の手順を示すフローチャート図である。
変形例における異音低減制御の手順を示すフローチャート図である。
従来の各異音防止動作ラインの一例を示す図である。
従来技術においてエンジンの運転状態が暖機運転中異音防止動作ライン上から暖機運転完了後異音防止動作ライン上に移る際のエンジン回転数の時間的変化の一例を示す図である。

実施例

0036

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、FFフロントエンジンフロントドライブ)方式のハイブリッド車両に本発明を適用した場合について説明する。

0037

図1は本実施形態に係るハイブリッド車両を示す概略構成図である。この図1に示すように、ハイブリッド車両HVは、車両走行用の駆動力を発生するエンジン(内燃機関)1、主に発電機として機能する第1モータジェネレータMG1(第1の電動機)、主に電動機として機能する第2モータジェネレータMG2(第2の電動機)、動力分割機構3、リダクション機構4、カウンタドライブギヤ51、カウンタドリブンギヤ52、ファイナルギヤ53、デファレンシャル装置54、前輪車軸ドライブシャフト)61,61、前輪(駆動輪)6L,6R、及び、ECU(Electronic Control Unit)100などを備えており、このECU100により実行されるプログラムによって本発明のハイブリッド車両の制御装置が実現される。

0038

なお、ECU100は、例えば、HV(ハイブリッド)ECU、エンジンECU、バッテリECUなどによって構成されており、これらのECUが互いに通信可能に接続されている。

0039

次に、エンジン1、モータジェネレータMG1,MG2、動力分割機構3、リダクション機構4、及び、ECU100などの各部について説明する。

0040

−エンジン−
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料燃焼させて動力を出力する公知の動力装置(内燃機関)であって、吸気通路11に設けられたスロットルバルブ13のスロットル開度吸入空気量)、燃料噴射量、点火時期などの運転状態を制御できるように構成されている。また、燃焼後の排気ガスは排気通路12を経て図示しない酸化触媒による浄化が行われた後に外気に放出される。

0041

上記エンジン1のスロットルバルブ13の制御には、例えば、エンジン回転数とドライバアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)等のエンジン1の状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるようにスロットル開度を制御する電子スロットル制御が採用されている。このような電子スロットル制御では、スロットル開度センサ103を用いてスロットルバルブ13の実際のスロットル開度を検出し、その実スロットル開度が、上記目標吸気量が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)に一致するようにスロットルバルブ13のスロットルモータ14をフィードバック制御している。

0042

そして、エンジン1の出力は、クランクシャフト(出力軸)10及びダンパ2を介してインプットシャフト21に伝達される。ダンパ2は、例えばコイルスプリング式トランスアクスルダンパであってエンジン1のトルク変動を吸収する。

0043

−モータジェネレータ−
第1モータジェネレータMG1は、インプットシャフト21に対して相対回転自在に支持された永久磁石からなるロータMG1Rと、3相巻線巻回されたステータMG1Sとを備えた交流同期発電機であって、発電機として機能するとともに電動機(電動モータ)としても機能する。また、第2モータジェネレータMG2も同様に、インプットシャフト21に対して相対回転自在に支持された永久磁石からなるロータMG2Rと、3相巻線が巻回されたステータMG2Sとを備えた交流同期発電機であって、電動機(電動モータ)として機能するとともに発電機としても機能する。

0044

図2に示すように、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は、それぞれインバータ200を介してバッテリ(蓄電装置)300に接続されている。インバータ200はECU100によって制御され、そのインバータ200の制御により各モータジェネレータMG1,MG2の回生または力行アシスト)が設定される。その際の回生電力はインバータ200を介してバッテリ300に充電される。また、各モータジェネレータMG1,MG2の駆動用電力はバッテリ300からインバータ200を介して供給される。

0045

−動力分割機構−
図1に示すように、動力分割機構3は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤS3と、サンギヤS3に外接しながらその周辺を自転しつつ公転する外歯歯車のピニオンギヤP3と、ピニオンギヤP3と噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤR3と、ピニオンギヤP3を支持するとともに、このピニオンギヤP3の公転を通じて自転するプラネタリキャリアCA3とを有する遊星歯車機構によって構成されている。プラネタリキャリアCA3はエンジン1側のインプットシャフト21に回転一体に連結されている。サンギヤS3は、第1モータジェネレータMG1のロータMG1Rに回転一体に連結されている。これにより、上記サンギヤS3、リングギヤR3、プラネタリキャリアCA3が、本発明でいう3軸を構成している。

0046

この動力分割機構3は、エンジン1及び第2モータジェネレータMG2の少なくとも一方の駆動力を、カウンタドライブギヤ51、カウンタドリブンギヤ52、ファイナルギヤ53、デファレンシャル装置54、及び、ドライブシャフト61,61を介して左右の駆動輪6L,6Rに伝達する。

0047

−リダクション機構−
リダクション機構4は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤS4と、キャリアトランスアクスルケース)CA4に回転自在に支持され、サンギヤS4に外接しながら自転する外歯歯車のピニオンギヤP4と、ピニオンギヤP4と噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤR4とを有する遊星歯車機構によって構成されている。リダクション機構4のリングギヤR4と、上記動力分割機構3のリングギヤR3と、カウンタドライブギヤ51とは互いに一体となっている。また、サンギヤS4は第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rと回転一体に連結されている。

0048

このリダクション機構4は、第2モータジェネレータMG2の駆動力を適宜の減速比減速する。この減速された駆動力は、カウンタドライブギヤ51、カウンタドリブンギヤ52、ファイナルギヤ53、デファレンシャル装置54、及び、ドライブシャフト61を介して左右の駆動輪6L,6Rに伝達される。

0049

シフト操作装置
ハイブリッド車両HVにおける運転席の近傍にシフト操作装置7(図2参照)が配置されている。このシフト操作装置7にはシフトレバー71が変位可能に設けられている。そして、この例のシフト操作装置7には、前進走行用ドライブレンジ(Dレンジ)、アクセルオフ時の制動力エンジンブレーキ)が大きな前進走行用のブレーキレンジ(Bレンジ)、後進走行用リバースレンジ(Rレンジ)、中立ニュートラルレンジ(Nレンジ)が設定されており、ドライバが所望のレンジへシフトレバー71を変位させることが可能となっている。これらDレンジ、Bレンジ、Rレンジ、Nレンジの各位置はシフトポジションセンサ104によって検出される。シフトポジションセンサ104の出力信号はECU100に入力される。なお、駐車ポジションPポジション)は別配置のPスイッチによって設定することができる。

0050

−ECU−
ECU100は、エンジン1の運転制御、エンジン1及びモータジェネレータMG1,MG2の協調制御などを含む各種制御を実行する電子制御装置であって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びバックアップRAMなどを備えている。

0051

ROMには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMはCPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは図示しないイグニッションスイッチのOFF時などにおいて保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。

0052

ECU100には、図2に示すように、アクセルペダル踏み込み量であるアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ101、クランクシャフト10が所定角度だけ回転する度にパルス信号発信するクランクポジションセンサ102、上記スロットル開度センサ103、上記シフトポジションセンサ104、車輪の回転速度を検出する車輪速センサ105、ブレーキペダルに対する踏力ブレーキ踏力)を検出するブレーキペダルセンサ106、エンジン冷却水温を検出する水温センサ107、吸入空気量を検出するエアフロメータ108、吸入空気温度を検出する吸気温センサ109等が接続されており、これらの各センサからの信号がECU100に入力されるようになっている。また、図示しない空燃比センサO2センサ、バッテリ300の充放電電流を検出する電流センサバッテリ温度センサなども接続されており、これらの各センサからの信号もECU100に入力されるようになっている。

0053

また、ECU100には、エンジン1のスロットルバルブ13を開閉駆動するスロットルモータ14、燃料噴射装置インジェクタ)15、点火装置16などが接続されている。

0054

そして、ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットル開度制御吸入空気量制御)、燃料噴射量制御、及び、点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。さらに、ECU100は後述する「異音低減制御」も実行する。

0055

さらに、ECU100は、バッテリ300を管理するために、上記電流センサにて検出された充放電電流の積算値や、バッテリ温度センサにて検出されたバッテリ温度などに基づいて、バッテリ300の充電状態(SOC:State of Charge)や、バッテリ300の入力制限Win及び出力制限Woutなどを演算する。

0056

また、ECU100には上記インバータ200が接続されている。インバータ200は、各モータジェネレータMG1,MG2それぞれの制御用IPM(Intelligent Power Module:インテリジェントパワーモジュール)を備えている。その各IPMは、複数(例えば6個)の半導体スイッチング素子(例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などによって構成されている。

0057

インバータ200は、例えば、ECU100からの指令信号(例えば、第1モータジェネレータMG1のトルク指令値、第2モータジェネレータMG2のトルク指令値)に応じてバッテリ300からの直流電流を、モータジェネレータMG1,MG2を駆動する電流に変換する一方、エンジン1の動力により第1モータジェネレータMG1で発電された交流電流、及び、回生ブレーキにより第2モータジェネレータMG2で発電された交流電流を、バッテリ300に充電するための直流電流に変換する。また、インバータ200は、第1モータジェネレータMG1で発電された交流電流を走行状態に応じて、第2モータジェネレータMG2の駆動用電力として供給する。

0058

−走行モード−
本実施形態に係るハイブリッド車両においては、発進時や低速走行時等であってエンジン1の運転効率が悪い場合には、第2モータジェネレータMG2のみにより走行(以下、「EV走行」ともいう)を行う。また、車室内に配置された走行モード選択スイッチによって運転者EV走行モードを選択した場合にもEV走行を行う。

0059

一方、通常走行時には、例えば上記動力分割機構3によりエンジン1の動力を2経路に分け(トルクスプリット)、一方で駆動輪6L,6Rの直接駆動(直達トルクによる駆動)を行い、他方で第1モータジェネレータMG1を駆動して発電を行う。この時、発生する電力で第2モータジェネレータMG2を駆動して駆動輪6L,6Rの駆動補助を行う(電気パスによる駆動)。このように、上記動力分割機構3が差動機構として機能し、その差動作用によりエンジン1からの動力の主部を駆動輪6L,6Rに機械的に伝達し、そのエンジン1からの動力の残部を第1モータジェネレータMG1から第2モータジェネレータMG2への電気パスを用いて電気的に伝達することにより、電気的に変速比が変更される変速機としての機能が発揮される。これにより、駆動輪6L,6R(リングギヤR3,R4)の回転数及びトルクに依存することなく、エンジン回転数及びエンジントルクを自由に操作することが可能となり、駆動輪6L,6Rに要求される駆動力を得ながらも、燃料消費率が最適化されたエンジンの運転状態を得ることが可能となる。具体的に、図3を用いて説明する。この図3横軸をエンジン回転数とし、縦軸をエンジントルクとしたエンジン1の動作点を表す図である。図中の実線は最適燃費動作ラインであって、上述した動力分割機構3を利用した電気的変速機能によって、エンジン1を、この最適燃費動作ライン上の運転状態に制御することが可能となっている。具体的には、アクセル開度等に応じて決定される要求パワーライン(図中に二点鎖線で示すライン)と、上記最適燃費動作ラインとの交点(図中の点A)をエンジン1の目標動作点(目標運転点)としてハイブリッドシステムが制御されることになる。

0060

また、高速走行時には、さらにバッテリ(走行用バッテリ)300からの電力を第2モータジェネレータMG2に供給し、この第2モータジェネレータMG2の出力を増大させて駆動輪6L,6Rに対して駆動力の追加(駆動力アシスト;力行)を行う。

0061

更に、減速時には、第2モータジェネレータMG2が発電機として機能して回生発電を行い、回収した電力をバッテリ300に蓄える。尚、バッテリ300の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン1の出力を増加して第1モータジェネレータMG1による発電量を増やしてバッテリ300に対する充電量を増加する。もちろん、低速走行時においても必要に応じてエンジン1の駆動量を増加する制御を行う場合もある。例えば、前述のようにバッテリ300の充電が必要な場合や、エアコン等の補機を駆動する場合や、エンジン1の冷却水の温度を所定温度まで上げる場合や、車両が急加速する場合等である。

0062

さらに、上記ハイブリッド車両においては、車両の運転状態やバッテリ300の状態によって、燃費を向上させるために、エンジン1を停止させる。そして、その後も、車両の運転状態やバッテリ300の状態を検知して、エンジン1を再始動させる。このように、ハイブリッド車両においては、イグニッションスイッチがON位置であってもエンジン1は間欠運転される。

0063

−動作ライン−
次に、後述する「異音低減制御」において利用されるエンジン1の動作ライン(エンジン1の回転数とトルクとの関係を規定する内燃機関動作特性)について説明する。以下では、異音低減制御に利用される複数の動作ラインとして、エンジン1の暖機運転中に選択される動作ラインと暖機運転完了後に選択される動作ラインとが設定された場合を代表して説明する。

0064

上述した如く、ハイブリッド車両HVでは、駆動輪6L,6R(リングギヤR3,R4)の回転数及びトルクに依存することなく、エンジン回転数及びエンジントルクを自由に操作することができる。例えば、エンジン1の動作点を上記最適燃費動作ライン(最適燃費線;本発明でいう基準動作特性)に沿うように制御することが可能であり、また、エンジン1の動作点を他の任意の動作ラインに沿うように制御することも可能である(例えば特開2000−087774号公報、特開2005−105943号公報を参照)。本実施形態では、この点を利用し、異音低減制御が実行される。

0065

この異音低減制御として具体的には、先ず、図3に示すように、上述した最適燃費動作ラインの他に、暖機運転中異音防止動作ライン(高回転側異音低減用動作特性)及び暖機運転完了後異音防止動作ライン(低回転側異音低減用動作特性)を設定しておく。暖機運転中異音防止動作ラインは、エンジン1の暖機運転中の車両走行時に上記異音(歯打ち音)が発生する運転条件となった場合に切り換えられる動作ラインである。つまり、暖機運転中に異音が発生する運転条件となった場合(例えば第2モータジェネレータMG2のトルク指令値が所定範囲内(例えば±20Nmの範囲内)になった場合)には、要求パワーラインと暖機運転中異音防止動作ラインとの交点(図中の点C)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御され、異音の発生が防止されることになる。一方、暖機運転完了後異音防止動作ラインは、エンジン1の暖機運転完了後の車両走行時に異音が発生する運転条件となった場合に切り換えられる動作ラインである。つまり、暖機運転完了後に異音が発生する運転条件となった場合には、要求パワーラインと暖機運転完了後異音防止動作ラインとの交点(図中の点B)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御され、異音の発生が防止されることになる。尚、これら異音防止動作ラインは、エンジン回転数−エンジントルク特性において、エンジン1の暖機状態に応じ、歯打ち音を低減(例えばドライバ等が気にならいレベルにまで低減)できるような動作ラインを、実験シミュレーション計算などによって経験的に適合した動作ラインである。

0066

また、上記暖機運転中異音防止動作ラインが選択されている場合の目標動作点と、暖機運転完了後異音防止動作ラインが選択されている場合の目標動作点との関係としては、同一パワーが要求されている場合に、暖機運転中異音防止動作ラインが選択されている場合の方が高回転低トルク側の目標動作点に設定されるようになっている。つまり、暖機運転中異音防止動作ラインは、暖機運転完了後異音防止動作ラインよりも最適燃費動作ラインから離れた動作ライン(歯打ち音の低減効果が大きく発揮される動作ライン)として設定されている。これは、エンジン1の暖機運転中は、エンジン1の回転変動が大きくなりやすい状況であり、リダクション機構4での歯打ち音(ガラ音;本発明でいう動力伝達経路での異音)が発生しやすい状況であるため、暖機運転完了後の場合に比べてエンジン回転数を高回転側に設定し、リダクション機構4のギヤ同士の間のガタを一方側に詰める作用力をいっそう高めることで歯打ち音の発生を抑制する効果を大きく得るためである。

0067

これら最適燃費動作ライン及び各異音防止動作ラインは、マップ化されており、そのマップは例えば上記ECU100のROM内に記憶されている。

0068

−異音低減制御−
次に、本実施形態の特徴とする動作である異音低減制御について具体的に説明する。本実施形態における異音低減制御は、上記暖機運転中異音防止動作ラインが選択されている運転状態から暖機運転完了後異音防止動作ラインが選択されている運転状態への移行(選択される動作ラインの暖機運転中異音防止動作ラインから暖機運転完了後異音防止動作ラインへの切り換え)を禁止(本発明でいう、「一方側(高回転低トルク側)へ特性を規定する異音低減用動作特性が選択されている状態にあっては、この異音低減用動作特性から他方側(低回転高トルク側)へ特性を規定する他の異音低減用動作特性への切り換えを禁止」)している点に特徴がある。

0069

以下、異音低減制御の概略について説明する。ここでは、動作ラインの選択によるエンジン1の運転状態の切り換えを理解しやすくするために、図4に示す動作ラインの切り換え動作を説明するための概念図を用いて説明する。この図4における運転領域αは上記最適燃費動作ラインが選択されている場合のエンジン運転領域であり、運転領域βは上記暖機運転完了後異音防止動作ラインが選択されている場合のエンジン運転領域であり、運転領域γは上記暖機運転中異音防止動作ラインが選択されている場合のエンジン運転領域である。

0070

先ず、エンジン1の暖機運転中に異音が発生する運転条件となった場合には、選択される動作ラインとしては、最適燃費動作ラインから暖機運転中異音防止動作ラインに切り換えられる。つまり、図4における運転領域αから運転領域γに切り換えられ、これに伴って、要求パワーラインと最適燃費動作ラインとの交点(図3における点A)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されている状態から、要求パワーラインと暖機運転中異音防止動作ラインとの交点(図3における点C)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されている状態に切り換えられる。

0071

また、エンジン1の暖機運転完了後に異音が発生する運転条件となった場合には、選択される動作ラインとしては、最適燃費動作ラインから暖機運転完了後異音防止動作ラインに切り換えられる。つまり、図4における運転領域αから運転領域βに切り換えられ、これに伴って、要求パワーラインと最適燃費動作ラインとの交点(図3における点A)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されている状態から、要求パワーラインと暖機運転完了後異音防止動作ラインとの交点(図3における点B)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されている状態に切り換えられる。

0072

また、上述した如くエンジン1の暖機運転完了後に異音が発生する運転条件となり、暖機運転完了後異音防止動作ラインが選択されている状態で、エンジン冷却水の温度が低下し、このエンジン冷却水の温度が所定温度以下に達した場合には、選択される動作ラインとしては、暖機運転完了後異音防止動作ラインから暖機運転中異音防止動作ラインに切り換えられる。つまり、図4における運転領域βから運転領域γに切り換えられ、これに伴って、要求パワーラインと暖機運転完了後異音防止動作ラインとの交点(図3における点B)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されている状態から、要求パワーラインと暖機運転中異音防止動作ラインとの交点(図3における点C)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されている状態に切り換えられる。この切り換え動作は、エンジン回転数を高回転側に移行させるものであり、上述した如く異音の発生抑制効果を大きくする動作であるため許容されることになる。

0073

これに対し、上述した如くエンジン1の暖機運転中に異音が発生する運転条件となり、暖機運転中異音防止動作ラインが選択されている状態で、エンジン1の暖機運転が完了したとしても、つまり、エンジン冷却水の温度が所定温度以上に達したとしても、選択される動作ラインとしては、暖機運転完了後異音防止動作ラインへの切り換えを行わず、暖機運転中異音防止動作ラインの選択が維持される。つまり、暖機運転完了後異音防止動作ラインへの切り換えを禁止する。そして、この暖機運転中異音防止動作ラインの選択が維持されている状態は、上記第2モータジェネレータMG2のトルク指令値が所定範囲を超えて、上記異音の発生が確実に回避される運転状態になるまで継続されるようになっている。

0074

次に、本実施形態における異音低減制御の具体的な動作手順について図5のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートは、例えば、エンジン1の始動後、数msec毎、または、クランクシャフト10が所定角度だけ回転する毎に実行される。

0075

先ず、ステップST1において、前回ルーチンにおいて設定された動作ライン(現在選択されている動作ライン)が最適燃費動作ラインであるか否かを判定する。つまり、現在、異音が発生する運転条件にはなく(第2モータジェネレータMG2のトルク指令値が所定範囲外(例えば±20Nmの範囲外)にあり)、異音防止動作ラインは選択されていない状況にあるか否かを判定する。

0076

前回のルーチンにおいて設定された動作ラインが最適燃費動作ラインであり、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移り、動作ライン切り換え条件1(第1切り換え条件)が成立しているか否かを判定する。この動作ライン切り換え条件1は、動作ラインを、最適燃費動作ラインから暖機運転完了後異音防止動作ラインまたは暖機運転中異音防止動作ラインに移行させるための条件であって(図4における動作ライン切り換え条件1の矢印を参照)、例えば第2モータジェネレータMG2のトルク指令値が所定範囲内(例えば±20Nmの範囲内)になった場合に成立する。この所定範囲は、エンジン1からの直達トルクのみでの走行時に、第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rからリダクション機構4のリングギヤR4までの間のガタ(バックラッシ等)がフローティング状態となる場合の第2モータジェネレータMG2のトルク指令値を実験・シミュレーション等により経験的に取得し、その結果を基に適合した値であり、上述した数値に限定されるものではない。

0077

この動作ライン切り換え条件1が成立しており、ステップST2でYES判定された場合には、ステップST3に移り、動作ライン切り換え条件3(第3切り換え条件)が成立しているか否かを判定する。この動作ライン切り換え条件3は、動作ラインを、暖機運転中異音防止動作ラインに移行させるための条件であって(図4における動作ライン切り換え条件3の矢印を参照)、例えばエンジン1が暖機運転中である場合に成立する。このエンジン1が暖機運転中であるか否かの判定は水温センサ107によって検出されるエンジン冷却水温度に基づいて行われる。つまり、エンジン冷却水温度が所定温度(例えば70℃)未満である場合にはエンジン1が暖機運転中であると判定し、上記動作ライン切り換え条件3が成立することになる。

0078

この動作ライン切り換え条件3が成立しており、ステップST3でYES判定された場合には、ステップST4に移り、動作ラインとしては暖機運転中異音防止動作ラインが選択され、この暖機運転中異音防止動作ラインと要求パワーラインとの交点(図3における点C)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されることになる。

0079

また、ステップST3において動作ライン切り換え条件3が成立しておらずNO判定された場合にはステップST5に移り、動作ラインとしては暖機運転完了後異音防止動作ラインが選択され、この暖機運転完了後異音防止動作ラインと要求パワーラインとの交点(図3における点B)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されることになる。

0080

一方、ステップST2において動作ライン切り換え条件1が成立しておらずNO判定された場合には、ステップST6に移り、動作ラインとしては最適燃費動作ラインが選択され、この最適燃費動作ラインと要求パワーラインとの交点(図3における点A)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されることになる。つまり、前回のルーチンにおいて設定された動作ラインが最適燃費動作ラインであり、且つ第2モータジェネレータMG2のトルク指令値が所定範囲外であって異音が発生する運転条件にはないと判断し、最適燃費動作ラインの選択が維持される。

0081

上記ステップST1において、前回のルーチンにおいて設定された動作ラインが最適燃費動作ラインではなくNO判定された場合には、ステップST7に移り、動作ライン切り換え条件2(第2切り換え条件)が成立しているか否かを判定する。この動作ライン切り換え条件2は、動作ラインを、暖機運転完了後異音防止動作ラインまたは暖機運転中異音防止動作ラインから最適燃費動作ラインに移行させるための条件であって(図4における動作ライン切り換え条件2の矢印を参照)、例えば第2モータジェネレータMG2のトルク指令値が所定範囲外(例えば±20Nmの範囲外)になった場合に成立する。

0082

この動作ライン切り換え条件2が成立しており、ステップST7でYES判定された場合には、ステップST6に移り、動作ラインとしては最適燃費動作ラインが選択され、この最適燃費動作ラインと要求パワーラインとの交点(図3における点A)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されることになる。つまり、暖機運転完了後異音防止動作ラインまたは暖機運転中異音防止動作ラインが選択されて異音低減制御が実行されている状態から、動作ライン切り換え条件2が成立したことで、最適燃費動作ラインが選択され、異音低減制御が解除されることになる。

0083

また、上記ステップST7において動作ライン切り換え条件2が成立しておらずNO判定された場合には、ステップST8に移り、前回のルーチンにおいて設定された動作ラインが暖機運転中異音防止動作ラインであるか否かを判定する。

0084

前回のルーチンにおいて設定された動作ラインが暖機運転中異音防止動作ラインであり、ステップST8でYES判定された場合には、ステップST9に移り、動作ラインとしては暖機運転中異音防止動作ラインが選択され、この暖機運転中異音防止動作ラインと要求パワーラインとの交点(図3における点C)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されることになる。つまり、暖機運転中異音防止動作ラインが選択されている状態で且つ動作ライン切り換え条件2が成立していない場合(最適燃費動作ラインに移行させるための条件が成立していない場合)には、暖機運転中異音防止動作ラインの選択が維持され(他の動作ライン切り換え条件(本発明でいう第4切り換え条件;暖機運転の完了)が成立したとしても暖機運転中異音防止動作ラインの選択が維持され)、暖機運転完了後異音防止動作ラインへの切り換えが禁止された状態となる。

0085

一方、前回のルーチンにおいて設定された動作ラインが暖機運転中異音防止動作ラインではなくステップST8でNO判定された場合には、ステップST10に移り、上記動作ライン切り換え条件3が成立しているか否かを判定する。そして、動作ライン切り換え条件3が成立しており、ステップST10でYES判定された場合には、ステップST9に移り、動作ラインとしては暖機運転中異音防止動作ラインが選択され、この暖機運転中異音防止動作ラインと要求パワーラインとの交点(図3における点C)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されることになる。つまり、暖機運転完了後異音防止動作ラインが選択されている状態で動作ライン切り換え条件3(動作ラインを暖機運転中異音防止動作ラインに移行させるための条件)が成立した場合には、動作ラインを暖機運転中異音防止動作ラインに切り換える。

0086

また、動作ライン切り換え条件3が成立しておらず、ステップST10でNO判定された場合には、ステップST11に移り、動作ラインとしては暖機運転完了後異音防止動作ラインが選択され、この暖機運転完了後異音防止動作ラインと要求パワーラインとの交点(図3における点B)をエンジン1の目標動作点としてハイブリッドシステムが制御されることになる。つまり、暖機運転完了後異音防止動作ラインの選択が維持される。

0087

以上の動作が繰り返され、異音の発生を防止する動作ラインを選択しながらエンジン1の目標動作点を設定し、この目標動作点が達成されるようにハイブリッドシステムが制御される。

0088

以上説明したように本実施形態では、選択される動作ラインの暖機運転中異音防止動作ラインから暖機運転完了後異音防止動作ラインへの切り換えを禁止している。つまり、異音低減制御中には、エンジン1の運転状態を低回転高トルク側に移行させる動作ラインの切り換えを禁止している。言い換えると、選択されている動作ラインが暖機運転中異音防止動作ラインである場合には、この暖機運転中異音防止動作ラインから他の動作ラインへの切り換えは、上記動作ライン切り換え条件2が成立した場合の上記最適燃費動作ラインへの切り換えのみとなっている。

0089

従来では、暖機運転中異音防止動作ラインから暖機運転完了後異音防止動作ラインへの切り換えを許容していたため、エンジン回転数にアンダーシュートが発生した場合に異音が発生してしまうことを考慮して暖機運転完了後異音防止動作ラインとしてはエンジン回転数を高めに設定しておく必要があった。つまり、上記アンダーシュート分の余裕代をもって暖機運転完了後異音防止動作ラインでのエンジン回転数を高めに設定しておく必要があった。このため、エンジン回転数の目標値としては必要以上に高めに設定される状態が継続されることになり、上記最適燃費動作ライン上から大きく離れた動作点でエンジンが駆動されることになり、燃料消費率の悪化に繋がっていた。

0090

これに対し、本実施形態では、暖機運転中異音防止動作ラインから暖機運転完了後異音防止動作ラインへの切り換えを禁止しているため、上述したエンジン回転数のアンダーシュートに起因する異音の発生を考慮する必要がなくなる。その結果、暖機運転完了後異音防止動作ラインとしては、異音の発生が防止可能な範囲において最も燃料消費率が良好な(言い換えると、最も最適燃費動作ラインに近い)ものとして設定することが可能となり(図7で示した従来の暖機運転完了後異音防止動作ラインと、図3で示した本実施形態の暖機運転完了後異音防止動作ラインとを参照)、この暖機運転完了後異音防止動作ライン上での動作点でエンジン1の運転が行われる際の燃料消費率を大幅に改善することが可能となる。

0091

(変形例)
次に、変形例について説明する。本変形例では、上述した実施形態で説明した動作ラインの切り換え条件のうちの何れかが成立した場合において、現在、異音低減制御が実行されているか否かを判定し、異音低減制御が実行されている場合には、エンジン回転数を高回転側に移行させる動作ラインの切り換えのみを許可するようにしたものである。以下、図6のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートも、例えば、エンジン1の始動後、数msec毎、または、クランクシャフト10が所定角度だけ回転する毎に実行される。

0092

先ず、ステップST21において、動作ラインを切り換える条件(上述した実施形態における動作ライン切り換え条件1〜3のうちの何れか)が成立したか否かを判定する。

0093

動作ラインを切り換える条件が成立しておらずステップST21でNO判定された場合には、ステップST25に移り、現在選択されている動作ラインを維持する。

0094

一方、動作ラインを切り換える条件が成立しており、ステップST21でYES判定された場合には、ステップST22に移り、現在、異音低減制御が実行されているか否かを判定する。つまり、動作ラインとして、上記暖機運転中異音防止動作ラインまたは暖機運転完了後異音防止動作ラインが選択されているか否かを判定する。この判定動作として具体的には、第2モータジェネレータMG2のトルク指令値が所定範囲内(例えば±20Nmの範囲内)にあるか否かを判定することにより行われる。

0095

異音低減制御が実行されておらず、ステップST22でNO判定された場合には、ステップST24に移り、動作ラインの切り換えを行う。つまり、動作ラインを切り換える条件としては上記動作ライン切り換え条件1が成立した状態にあるため、最適燃費動作ラインから暖機運転中異音防止動作ラインまたは暖機運転完了後異音防止動作ラインに切り換えられることになる。

0096

一方、異音低減制御が実行中でありステップST22でYES判定された場合には、ステップST23に移り、成立している動作ライン切り換え条件は、エンジン回転数を現在のエンジン回転数よりも高い回転数とするものであるか否か(現在の目標エンジン回転数切り換え後の目標エンジン回転数)を判定する。

0097

エンジン回転数を現在のエンジン回転数よりも低い回転数とするものであり、ステップST23でNO判定された場合には、ステップST25に移り、現在選択されている動作ラインを維持する。これにより、暖機運転中異音防止動作ラインが選択されている場合には、暖機運転完了後異音防止動作ラインへの切り換えが禁止されることになる。

0098

一方、エンジン回転数を現在のエンジン回転数よりも高い回転数とするものであってステップST23でYES判定された場合には、ステップST24に移り、動作ラインの切り換えを行う。つまり、動作ラインを切り換える条件としては上記動作ライン切り換え条件3が成立した状態にあるため、暖機運転完了後異音防止動作ラインから暖機運転中異音防止動作ラインに切り換えられることになる。

0099

このように本例にあっては、異音低減制御が実行されている際に、エンジン回転数を低い回転数とする側への動作ラインの切り換えを禁止している。つまり、暖機運転中異音防止動作ラインから暖機運転完了後異音防止動作ラインへの切り換えを禁止している。このため、上述した実施形態の場合と同様に、エンジン回転数のアンダーシュートに起因する異音の発生を考慮して暖機運転完了後異音防止動作ラインを設定しておく必要がなくなり、この暖機運転完了後異音防止動作ラインとしては、異音の発生が防止可能な範囲において最も燃料消費率が良好な(言い換えると、最も最適燃費動作ラインに近い)ものとして設定することが可能となって、燃料消費率を大幅に改善することが可能となる。

0100

−他の実施形態−
以上説明した実施形態及び変形例では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両や、4輪駆動車の制御にも適用できる。

0101

また、上記実施形態及び変形例では、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の2つの電動機が搭載されたハイブリッド車両の制御に本発明を適用した例を示したが、3つ以上の電動機が搭載されたハイブリッド車両の制御にも適用可能である。

0102

また、上記実施形態及び変形例では、異音低減制御において利用されるエンジン1の動作ラインとして、エンジン1の暖機運転中に選択される動作ラインと暖機運転完了後に選択される動作ラインとが設定された場合について説明した。本発明はこれに限らず、エンジン1の燃焼室内での燃焼状態に影響を与える各種のパラメータ(吸気温やEGR率等)に応じて複数の動作ラインを設定するようにしてもよい。例えば、吸気温に応じた動作ラインを設定する場合、吸気温が所定値以上である場合に選択される動作ラインに対し、吸気温が所定値未満である場合に選択される動作ラインの方がエンジン回転数を高く設定するものとして規定される。また、EGR率に応じた動作ラインを設定する場合、EGR率が所定値未満である場合に選択される動作ラインに対し、EGR率が所定値以上である場合に選択される動作ラインの方がエンジン回転数を高く設定するものとして規定される。

0103

また、上記実施形態及び変形例では、異音低減制御において利用されるエンジン1の動作ラインとして2本の動作ラインを設定した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、3本以上の動作ラインを設定するようにしてもよい。

0104

本発明は、内燃機関と電動機とが搭載されたハイブリッド車両において、動力伝達系で発生する異音を低減または防止するための内燃機関の制御に適用可能である。

0105

1エンジン(内燃機関)
10クランクシャフト(内燃機関の出力軸)
3動力分割機構
4リダクション機構(動力伝達経路)
HVハイブリッド車両
S3サンギヤ
R3リングギヤ
CA3プラネタリキャリア
MG1 第1モータジェネレータ(第1の電動機)
MG2 第2モータジェネレータ(第2の電動機)
α最適燃費動作ライン(基準動作特性)
β暖機運転完了後異音防止動作ライン(低回転側異音低減用動作特性)
γ暖機運転中異音防止動作ライン(高回転側異音低減用動作特性)

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