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図面 (8)

課題

自動分析装置上で散乱光測定法によってラテックス免疫反応高感度に測定するための、装置ならびに試薬上の好適な条件を提供する。

解決手段

波長0.65〜0.75μmの範囲の照射光を用い、照射光の照射方向に対して15〜35°の受光角度で、反応容器8の回転移動中に、反応液から生じる散乱光受光する。試薬は、平均ピーク粒径が0.3μm〜0.43μmであって抗体が感作されたラテックス粒子を含有する。反応液は、波長0.7μmの照射光に対する吸光度が0.25abs〜1.10absとなる濃度のラテックス粒子を含み、ラテックス粒子がサンプル内の抗原を介して凝集することで起こる散乱光の光量変化を測定し定量する。

概要

背景

光源からの光を、サンプルと試薬とが混合した反応液照射し、特定波長透過光量の変化から吸光度を算出し、ランベルトベールの法則に従い血液サンプル中の被測定物質の濃度を定量する自動分析装置が広く用いられている(例えば、特許文献1)。これらの自動分析装置においては、回転と停止を繰り返すセルディスク円周上に、反応液を保持する多数のセルを並べ、セルディスク回転中に、所定位置に配置された透過光測定部にて15秒程度の間隔で約10分間、セル内の反応液を透過した透過光量の時系列データを反応過程データとして取得し、光量の変化から吸光度を算出し、被測定物質の濃度を定量する。

自動分析装置で測定される反応には主に基質酵素との呈色反応と、抗原と抗体との免疫反応の2種類がある。前者の反応を用いた分析生化学分析と呼ばれ、検査項目としてLDH乳酸脱水素酵素)、ALPアルカリホスファターゼ)、ASTアスパラギン酸アミノトンラフェナーゼ)などがある。後者の反応を用いた分析は免疫分析と呼ばれ、検査項目としてCRPC反応性蛋白)、IgG免疫グロブリン)、RF(リウマトイド因子)などがある。後者で測定される被測定物質の中には、血中濃度が低い低濃度領域において定量が要求される検査項目が存在し、そのような項目では、表面に抗体を感作(結合)させたラテックス粒子増感剤として用いたラテックス免疫分析が用いられる(例えば、特許文献2)。

ラテックス免疫分析では、サンプルに含まれる被測定物質である抗原を、試薬に含まれるラテックス粒子表面の抗体が認識し結合した結果、ラテックス粒子が抗原を介して凝集し、ラテックス粒子の凝集体が生成される。従来の自動分析装置では、この凝集体が分散した反応液に光を照射し、ラテックス粒子の凝集体に散乱されずに透過した透過光量を測定する。抗原の濃度が高いほど一定時間後の凝集体の大きさは大きくなり、より多くの光が散乱されるため透過光量が減少する。そのため、反応過程データとして測定した光量から抗原の濃度を定量できる。

近年、ラテックス免疫分析のさらなる高感度化が望まれている。そこで、透過光を測定するのではなく、散乱光を測定することが試みられてきた。例えば、ダイアフラムを用いて透過光と散乱光とを分離し、吸光度と散乱光を同時に測定するシステム(特許文献3)等が開示されている。また、散乱光測定に適した試薬粒径なども開示されている(特許文献4)。

概要

自動分析装置上で散乱光測定法によってラテックス免疫反応を高感度に測定するための、装置ならびに試薬上の好適な条件を提供する。波長0.65〜0.75μmの範囲の照射光を用い、照射光の照射方向に対して15〜35°の受光角度で、反応容器8の回転移動中に、反応液から生じる散乱光を受光する。試薬は、平均ピーク粒径が0.3μm〜0.43μmであって抗体が感作されたラテックス粒子を含有する。反応液は、波長0.7μmの照射光に対する吸光度が0.25abs〜1.10absとなる濃度のラテックス粒子を含み、ラテックス粒子がサンプル内の抗原を介して凝集することで起こる散乱光の光量変化を測定し定量する。

目的

本発明は、自動分析装置上で散乱光測定法によってラテックス免疫反応を高感度に測定するための、装置ならびに試薬上の好適な条件を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
5件

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請求項1

サンプルを保持するサンプル容器と、平均ピーク粒径が0.3μm〜0.43μmであって抗体が感作されたラテックス粒子を含む試薬を保持する試薬容器と、前記サンプル容器内のサンプルと前記試薬容器内の試薬とを混合した反応液を保持する反応容器と、前記反応容器を回転移動させる回転機構と、前記反応容器内の前記反応液に、波長0.65〜0.75μmの範囲の照射光照射する光源部と、前記照射光の照射方向に対して15〜35°の受光角度に配置され、前記反応容器の回転移動中に、前記反応液から生じる散乱光受光する光検出器とを有し、前記反応液は、波長0.7μmの照射光に対する吸光度が0.25abs〜1.10absとなる濃度で前記ラテックス粒子を含み、前記ラテックス粒子が前記サンプル内の抗原を介して凝集することで起こる散乱光の光量変化を測定することを特徴とする自動分析装置

請求項2

請求項1に記載の自動分析装置において、前記サンプルに含まれる抗原との結合定数が108 mol/L以上、1011 mol/L以下である抗体が感作されたラテックス粒子を用いる自動分析装置。

請求項3

請求項1に記載の自動分析装置において、前記反応液は、波長0.7μmの照射光に対する吸光度が0.25abs〜0.50absとなる濃度で前記ラテックス粒子を含むことを特徴とする自動分析装置。

請求項4

請求項1に記載の自動分析装置において、前記反応液は、波長0.7μmの照射光に対する吸光度が0.25abs〜0.31absとなる濃度で前記ラテックス粒子を含むことを特徴とする自動分析装置。

請求項5

請求項1に記載の自動分析装置において、前記試薬に含まれるラテックス粒子は、体積を基準とした粒径分布において、粒径の半値全幅分布ピークとなるピーク粒径の±15%以内に含まれ、かつピーク粒径が0.3μmから0.43μmに含まれることを特徴とする自動分析装置。

請求項6

請求項1に記載の自動分析装置において、前記試薬に含まれるラテックス粒子は、体積を基準とした粒径分布において、粒径の半値全幅が分布のピークとなるピーク粒径の±10%以内に含まれ、かつピーク粒径が0.3μmから0.43μmに含まれることを特徴とする自動分析装置。

請求項7

請求項1に記載の自動分析装置において、前記試薬に含まれるラテックス粒子は、体積を基準とした粒径分布において、粒径の半値全幅が分布のピークとなるピーク粒径の±7%以内に含まれ、かつピーク粒径が0.3μmから0.43μmに含まれることを特徴とする自動分析装置。

請求項8

自動分析装置を用いた抗原抗体反応に基づく被測定物質分析方法において、反応容器内でサンプルと、平均ピーク粒径が0.3μm〜0.43μmであって抗体が感作されたラテックス粒子を含む試薬を混合して反応液とする工程と、前記反応容器を回転移動中に、前記反応容器内の前記反応液に、波長0.65〜0.75μmの範囲の照射光を照射し、前記照射光の照射方向に対して15〜35°の角度に散乱された散乱光を検出する工程と、前記ラテックス粒子が前記サンプル内の抗原を介して凝集することで起こる散乱光の光量変化を測定する工程とを有し、前記反応液は、波長0.7μmの照射光に対する吸光度が0.25abs〜1.10absとなる濃度で前記ラテックス粒子を含むことを特徴とする分析方法。

技術分野

0001

本発明は、抗原抗体反応を用いた微粒子凝集反応散乱光測定する方法及び分析装置に関し、特に自動分析装置上での散乱光測定法に関する。

背景技術

0002

光源からの光を、サンプルと試薬とが混合した反応液照射し、特定波長透過光量の変化から吸光度を算出し、ランベルトベールの法則に従い血液サンプル中の被測定物質の濃度を定量する自動分析装置が広く用いられている(例えば、特許文献1)。これらの自動分析装置においては、回転と停止を繰り返すセルディスク円周上に、反応液を保持する多数のセルを並べ、セルディスク回転中に、所定位置に配置された透過光測定部にて15秒程度の間隔で約10分間、セル内の反応液を透過した透過光量の時系列データを反応過程データとして取得し、光量の変化から吸光度を算出し、被測定物質の濃度を定量する。

0003

自動分析装置で測定される反応には主に基質酵素との呈色反応と、抗原と抗体との免疫反応の2種類がある。前者の反応を用いた分析生化学分析と呼ばれ、検査項目としてLDH乳酸脱水素酵素)、ALPアルカリホスファターゼ)、ASTアスパラギン酸アミノトンラフェナーゼ)などがある。後者の反応を用いた分析は免疫分析と呼ばれ、検査項目としてCRPC反応性蛋白)、IgG免疫グロブリン)、RF(リウマトイド因子)などがある。後者で測定される被測定物質の中には、血中濃度が低い低濃度領域において定量が要求される検査項目が存在し、そのような項目では、表面に抗体を感作(結合)させたラテックス粒子増感剤として用いたラテックス免疫分析が用いられる(例えば、特許文献2)。

0004

ラテックス免疫分析では、サンプルに含まれる被測定物質である抗原を、試薬に含まれるラテックス粒子表面の抗体が認識し結合した結果、ラテックス粒子が抗原を介して凝集し、ラテックス粒子の凝集体が生成される。従来の自動分析装置では、この凝集体が分散した反応液に光を照射し、ラテックス粒子の凝集体に散乱されずに透過した透過光量を測定する。抗原の濃度が高いほど一定時間後の凝集体の大きさは大きくなり、より多くの光が散乱されるため透過光量が減少する。そのため、反応過程データとして測定した光量から抗原の濃度を定量できる。

0005

近年、ラテックス免疫分析のさらなる高感度化が望まれている。そこで、透過光を測定するのではなく、散乱光を測定することが試みられてきた。例えば、ダイアフラムを用いて透過光と散乱光とを分離し、吸光度と散乱光を同時に測定するシステム(特許文献3)等が開示されている。また、散乱光測定に適した試薬粒径なども開示されている(特許文献4)。

0006

米国特許第4451433号明細書
特許1612184号明細書
特開2001−141654号公報
特許1635792号明細書

先行技術

0007

C. F. Bohren, D. R. Huffman, Absorption and Scattering of Light by Small Particles, J. Wiley & Sons, 1983

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献2には大まかな高感度化のための波長及び粒径などが記載されているものの、吸光度測定に関してのものであり、散乱光測定に適用できるかは不明であった。また、特許文献3には、透過光測定と同時に散乱光測定を行うことより高感度にする構成が示されているが、自動分析装置に適した構成として考慮されたものではない。さらに試薬を含めた好適な条件の検討はなされていない。

0009

ラテックス試薬には主に粒子直径(以下、粒径)500nm以下のラテックス粒子が用いられており、個々の粒子による光散乱特性散乱光強度、及びその角度分布)は粒径と波長の比により大きく変化すると考えられる(非特許文献1参照)。このため散乱光測定の場合、波長と粒径等の選定により感度は大きく変わりうる。特許文献4には散乱光測定に関して記載があるが、特許文献2の吸光度測定の場合と同じ範囲であり、散乱光測定に用いた場合、必ずしも一様に高感度化に適した波長及び粒径ではないと推測され、波長や粒径によっては感度が悪化することも懸念される。しかし、波長や粒径等を変更して実験するには膨大な時間とコストがかかり、現実的に包括的な傾向把握は困難であった。

0010

さらには、ラテックス表面に感作させる抗体の結合性等を考慮した条件検討もされてこなかった。すなわち、自動分析装置上で散乱光測定をする際の、装置条件である波長・受光角度、ならびに試薬条件である粒径・密度抗原抗体結合定数などと感度との関係は明らかでなく、ラテックス免疫分析を高感度に行うための好適な各条件の組み合わせは知られていなかった。

0011

本発明は、自動分析装置上で散乱光測定法によってラテックス免疫反応を高感度に測定するための、装置ならびに試薬上の好適な条件を提供するものである。

課題を解決するための手段

0012

本発明では、抗原抗体反応として、結合定数から一定反応時間中に想定される凝集体の数を見積もり、凝集体を光学的にモデル化することでシミュレーションを行い、凝集に伴う散乱光の変化が生じやすい試薬ならびに装置の条件を得た。

0013

本発明による自動分析装置は、サンプルを保持するサンプル容器と、平均ピーク粒径が0.3μm〜0.43μmであって抗体が感作されたラテックス粒子を含む試薬を保持する試薬容器と、サンプル容器内のサンプルと試薬容器内の試薬とを混合した反応液を保持する反応容器と、反応容器を回転移動させる回転機構と、反応容器内の反応液に、波長0.65〜0.75μmの範囲の照射光を照射する光源部と、照射光の照射方向に対して15〜35°の受光角度に配置され、反応容器の回転移動中に、反応液から生じる散乱光を受光する光検出器とを有する。ここで、反応液は、波長0.7μmの照射光に対する吸光度が0.25abs〜1.10absとなる濃度でラテックス粒子を含み、ラテックス粒子がサンプル内の抗原を介して凝集することで起こる散乱光の光量変化を測定する。

0014

反応液に含まれるラテックス粒子の濃度は、波長0.7μmの照射光に対する吸光度が0.25abs〜0.50absとなる濃度がより好ましく、0.25abs〜0.31absとなる濃度が更に好ましい。

0015

また、本発明による分析方法は自動分析装置を用いた抗原抗体反応に基づく被測定物質の分析方法であり、反応容器内でサンプルと、平均ピーク粒径が0.3μm〜0.43μmであって抗体が感作されたラテックス粒子を含む試薬を混合して反応液とする工程と、反応容器を回転移動中に、反応容器内の反応液に、波長0.65〜0.75μmの範囲の照射光を照射し、照射光の照射方向に対して15〜35°の角度に散乱された散乱光を検出する工程と、ラテックス粒子がサンプル内の抗原を介して凝集することで起こる散乱光の光量変化を測定する工程とを有し、反応液は、波長0.7μmの照射光に対する吸光度が0.25abs〜1.10absとなる濃度でラテックス粒子を含むものである。

発明の効果

0016

本発明によれば、抗原抗体反応を用いたラテックス粒子の凝集を高感度に測定し、低濃度まで測定することが可能である。それにより低濃度の抗原もしくは抗体を算出することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

0017

散乱光測定の概略説明図。
抗原の結合率の、抗体濃度依存性を示す図。
凝集体の構成粒子個数抗原濃度依存性を示す図。
透過光の光量変化率に対する散乱光の光量変化率(光量変化率倍率)を示す図。
自動分析装置の全体構成例を示す概略図。
散乱光測定部の概略図。
光量変化率倍率の角度依存性を示す図。

実施例

0018

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。自動分析装置に組み込む散乱光測定部に有用な構成として、以下の装置構成(照射光の波長及び散乱光を受光する角度)を選定した。

0019

はじめに、照射光の波長について以下のように検討した。自動分析装置に搭載される散乱光測定部は、従来の吸光光度計と同時に使用されるため、吸光光度計に適した一定液量の血液サンプルを用いる必要があり、サンプルに含まれる外乱因子としての乳ビ・溶血黄疸の影響を受ける可能性がある。乳ビ・溶血・黄疸は、650nm未満の波長で吸収が大きい。このことから、照射光の波長は、サンプルに含まれる外乱影響を受けにくいように、650nm以上が好ましい。また、自動分析装置ではセルの回転移動中に計測しなければならず、迷光を発生させないように、1mm以下の精度で現場メンテナンス調整等によってセルと照射光束の位置あわせを行う必要がある。メンテナンス性を向上させるためには、目視にて迷光の有無を確認できなければならない。そのため照射光の波長は、位置あわせを容易にできるように、可視光領域の400〜750nmの範囲内が好適である。上記2つの条件を満たす波長範囲として、650〜750nmを好適な波長として選定した。

0020

自動分析装置ではなく、散乱光測定を専用に行う専用機では、測定中にセルが回転しないため、セルと光束の位置あわせ精度が必要ではない。そのため微妙な調整が必要とされず、可視光領域外の波長を測定に用いることが可能であった。しかし、自動分析装置上での散乱光測定に不可視光を用いると、メンテナンス性が悪くなり、実用に適さない。

0021

散乱光を受光する角度の選定は、以下のように行った。自動分析装置上での測定であるため、透過光測定も同時に行う必要がある。そのため、透過光が通過する透光面が確保された角型のセルが用いられる。この角型のセルは、透過光測定に適した構造となっており、散乱光測定を行う場合には、測定角度が制限される。具体的には、各面の中で透光面が光学的ゆがみが最も小さいように設計されており、さらにセルが隣接して配置されるため、透光面を通過した範囲の光のみが精度よく測定できる。そのため、セルの前面もしくは後面を通過する散乱光を計測する必要がある。つまり散乱光は、照射光進行方向に対して前方もしくは、後方で計測する必要がある。その中で、ノイズ低減のため光量を確保する必要があるため、一般的に後方側と比べ光量の大きい前方側の散乱光を受光する方が有利であり、35°以下の角度が望まれる。さらに、15°未満の角度では散乱光よりも2桁以上強度が強い透過光の影響を受け、ノイズが増えてしまうことがある。そのため空気中において15〜35°となる散乱光受光角度を選定した。

0022

上記装置構成を考慮し、さらに散乱光測定において有用な試薬組成を検討した。
まず、一定光量の散乱光を確保するためには、粒子の平均粒径が0.25μm以上である必要がある。また、沈殿がなく試薬を長期間維持するには、粒子の平均粒径が0.50μm以下である必要がある。このことから、ラテックス粒子の粒径範囲は0.25〜0.50μmとした。

0023

さらに、一定光量を確保するための反応液中のラテックス粒子の密度は、吸光度(波長0.7μm)に換算して0.25abs以上が必要である。また、透過光測定での測定範囲を考慮すると、凝集前の吸光度(波長0.7μm)に換算して1.5abs以下であることが望まれる。それ以上の場合は、透過光測定において再現性や直線性の面で測定範囲から逸脱する可能性があるためである。

0024

これらを用いて評価する場合の、評価指標を考える。図1は、抗原抗体反応による散乱光測定の時間経過を説明する概略図である。散乱光測定部をもつ自動分析装置上では、まず、第一試薬を添加したサンプルにラテックス粒子が分散した第二試薬を混合し(基準状態)、一定時間経った後(凝集状態)の散乱光又は透過光の変化光量を検出する。別途既知濃度の抗原を用いて変化光量を測定したキャリブレーションデータを用意し、そのデータと比較することで、サンプル中の抗原の濃度を算出する。その際、変化光量は照射光の強度にも比例するため、変化光量を同じく照射光の強度に比例する基準状態の光量で割った光量変化率を定義した。光量変化率が大きいほど、僅かな凝集変化を捉えることが可能である。さらに、透過光と散乱光の光量変化率の比を、光量変化率倍率(散乱光光量変化率/透過光光量変化率)とした。これが大きいほど散乱光測定において高感度であると考えられるため、以下、光量変化率倍率を評価指標として評価した。

0025

次に、反応液中のラテックス粒子がどの程度凝集するかを以下のように想定した。ラテックス免疫分析法で従来測定可能被測定物質濃度は、約10-11 mol/L以上の濃度領域と考えられる。高感度化の構成検討には、10-12 mol/L程度の低濃度の抗原測定を測定可能とする構成を検討した。

0026

ここで、反応液に含まれるラテックス粒子の密度が薄すぎる場合、照射光がほとんど散乱されずに散乱光量が小さくなる。その結果、受光した信号中で相対的なノイズが増加してしまう。そのため、ある程度の散乱光量を得るために、反応液には一般的に約106個/mm3以上の濃度のラテックス粒子が分散されている。このラテックス粒子の密度は、検出目標である10-12 mol/L(≒6×105個/mm3)の抗原濃度と比べ、十分に過多である。つまり、被測定物質である抗原の1分子当たり、複数個のラテックス粒子が分散している状態である。そのため、一定の反応時間中に凝集するラテックス粒子の凝集割合(全ラテックス粒子中の凝集しているラテックス粒子の体積割合)は、反応液中の全抗原の中で、抗体と結合している抗原の割合である結合率に比例すると考えられる。

0027

以下、粒子の単位表面積に感作された抗体数が一定であるとして反応液中の抗体数を見積もり、抗原の結合率つまり粒子の凝集割合を評価した。

0028

ラテックス粒子の粒径が同一で、数密度が異なる反応液の場合、反応液に含まれる抗体の数は、ラテックス粒子の数密度に比例する。吸光度(波長0.7μm)に換算して0.25abs〜1.5absのラテックス粒子の密度は、0.3μmの粒径粒子の数密度に換算すると2.8×106〜1.7×107個/mm3に相当する。抗体の直径を15nmとし、かつその抗体を粒子表面に敷き詰めた最大密度に対して活性のある抗体を感作できている割合を10%と見積もると、粒子表面の抗体密度は510個/μm2である。さらに一つの抗体に反応基が二つあると考えた場合、0.3μmの粒径粒子表面に抗体の結合部位は約290個程度あるため、反応液中の抗体の結合部位の濃度は約1.4×10-9〜8.2×10-9 mol/Lの範囲で、6倍の幅を持つ。ここで、図2に示すように、一般的な抗原抗体反応の結合定数:108 mol/L、抗原濃度:10-12 mol/L、抗体濃度:1.4×10-9〜8.2×10-9 mol/Lの範囲において、抗原の抗体との結合率はほぼ抗体濃度に比例する。つまり、ラテックス粒子の凝集割合は抗原の結合率に、抗原の結合率は抗体の濃度に、抗体の濃度はラテックス粒子の数密度にそれぞれ比例するため、結果、ラテックス粒子の凝集割合はラテックス粒子の数密度にほぼ比例する。

0029

一方、ラテックス粒子の反応液中における重量%濃度が一定でラテックス粒子の粒径が異なる場合、粒子の個数は粒径の3乗の逆数となる。さらに、粒子の表面積は各粒子の粒径の2乗に比例するため、結果として反応液に含まれる全抗体濃度は、粒径の逆数に比例する。そのため、考慮する粒径範囲幅0.25〜0.5μmの中で反応液に含まれる抗体濃度幅は2倍以下であり、上記の粒子の密度考慮幅(6倍)と比較し小さいため、以下の光学シミュレーションでは凝集している凝集体の数を一定とした。

0030

さらに、十分薄い濃度の抗原濃度下では、凝集体は2個の粒子が結合した凝集体が主であると考えられる。図3は、ナノピアCRP(積水メディカル社製)のCRP抗原濃度(0〜0.3mg/dL(試薬の測定可能範囲は0.01〜42mg/dL))ごとの凝集体のラテックス粒子個数分布の例を示す図である。各CRP濃度キャリブレータ(2.4μL)、第一試薬(120μL)ならびに第二試薬(120μL)を混合し、混合から300秒後に反応液を基板へ塗布、サンプル化した。そのサンプルを走査型電子顕微鏡で観察し、凝集体を構成するラテックス粒子個数を計数することで分布を求めたところ、抗原濃度が大きくなるにつれ、凝集体の中で2個のラテックス粒子から構成される凝集体が増加する様子が実際に確認された。

0031

上記に基づき、同一抗原濃度下におけるラテックス粒子の粒径、密度ごとの2個凝集体の体積割合を設定した。

0032

また、MishchenkoMI, Travis LD, MackowskiDW., T-matrix computations of light scattering by nonspherical particles, a review. J Quant Spectrosc Radiat Transfer, 1996において、散乱断面積ならびに散乱光の角度ごとの強度分布の点において、2個凝集体とほぼ同型回転楕円体が、その断面積と等しい真球粒子近似的に等しいことが電場計算によって確認されている。これを参考に各2個凝集体を、それらの各担体粒子の断面積の和と等しい断面積をもつ真球粒子に置き換え光学モデル化を行った。

0033

上記のように自動分析装置上で散乱光測定を行う際に想定される範囲から、波長:700nm、角度:20°(±2.5°)、抗原抗体の結合定数:108 mol/L以上、試薬粒径範囲:0.25〜0.50μm、密度:凝集前の吸光度0.25〜1.5absをパラメータとし、モンテカルロ法を用いた光学シミュレーションによって基準状態、ならびに凝集状態における反応液からの散乱光の光量を算出した。光学シミュレーションにあたり、非特許文献1に記載の散乱光理論を用いた。

0034

光学シミュレーションによって得られた結果から、図4に、ラテックス粒子が凝集することによって生じる散乱光の光量変化率を透過光の光量変化率で割った、光量変化率倍率を示す。光量変化率が大きいほど、僅かな凝集変化を捉えることが可能であるため、図4において、光量変化率倍率が大きい粒径、密度ほど、透過光測定よりも散乱光測定の方が高感度とみなせる。こうして、自動分析装置上で散乱光測定を行う際に好適と判断される以下の条件が見出された。なお、上記シミュレーションにおいてパラメータとして採用した抗原抗体の結合定数や抗原濃度の値は一般的な値であり、多少変化しても、光学シミュレーションの上記前提は変わらないため、図4に示した光量変化倍率には影響しない。抗原抗体の結合定数は、例えば108 mol/L以上、1011 mol/L以下であっても、図4に示した関係が成り立つ。

0035

図4から、試薬中のラテックス粒子の粒径0.3μmから0.43μm、反応液中のラテックス粒子の凝集前の密度が吸光度に換算し0.25〜1.10absという条件において、透過光測定よりも散乱光測定が2倍以上の高感度を達成できることが見出された。さらに、試薬中のラテックス粒子の粒径0.3μmから0.43μm、反応液中のラテックス粒子の凝集前の密度が吸光度に換算して0.25〜0.50absという条件においては、透過光測定よりも散乱光測定が4倍以上の高感度を達成できることが見出された。またさらには、試薬中のラテックス粒子の粒径0.3μmから0.43μm、反応液中のラテックス粒子の凝集前の密度が凝吸光度に換算して0.25〜0.31absという条件において、透過光測定よりも散乱光測定が6倍以上の高感度を達成できると見出された。

0036

以上に示した装置構成と試薬組成により、ラテックス粒子凝集反応に伴う光量変化を測定する際に、高感度な散乱光測定が可能となることがわかった。

0037

図5は、本発明による自動分析装置の全体構成例を示す概略図である。本実施例の自動分析装置は透過光測定と同時に散乱光測定を実行できる。本実施例の自動分析装置は、サンプルディスク3、試薬ディスク6、セルディスク9の3種類のディスクと、これらのディスク間でサンプルや試薬を移動させる分注機構、これらを制御する制御回路23、透過光測定回路24、散乱光測定回路25、測定したデータを処理するPC(コンピュータ)等のデータ処理部26、データ処理部26に対しデータを入出力するインターフェースである入力部27、出力部28を有する。データ処理部26は、データを解析する解析部、及び、制御データ、測定データ、解析に用いるデータ、解析結果データ等を格納するデータ格納部を備える。

0038

サンプルディスク3の円周上には、サンプル1を収めたサンプルカップ2が複数配置される。試薬ディスク6には、試薬4を収めた試薬ボトル5が複数配置される。セルディスク9の円周上には、内部でサンプル1と試薬4を混合して反応液7とするセル8が複数配置される。サンプル分注機構10は、サンプルカップ2からセル8にサンプル1を一定量移動させる。試薬分注機構11は、試薬ボトル5からセル8に試薬4を一定量移動させる。攪拌部12は、セル8内で、サンプル1と試薬4を攪拌し混合させる。洗浄部14は、分析の終了したセル8から反応液7を排出し洗浄する。洗浄されたセル8には再びサンプル分注機構10から次のサンプル1が分注され、試薬分注機構11から新しい試薬4が分注され、別の反応に使用される。セル8は温度・流量が制御された恒温槽内恒温流体15に浸漬されており、セル8及びその中の反応液7が一定温度に保たれた状態で移動される。恒温流体15には例えば水を用い、恒温流体温度は制御回路により37±0.1℃に温調される。セルディスク円周上の一部に、透過光測定部13と散乱光測定部16が設けられている。

0039

透過光測定部13は、例えば、ハロゲンランプ光源からの光をセル8に照射し、透過光を回折格子分光した後、フォトダイオードアレイで受光する構成とすることができる。受光する波長は、例えば340nm,405nm,450nm,480nm,505nm,546nm,570nm,600nm,660nm,700nm,750nm,800nmである。フォトダイオードアレイで受光した透過光量データは、透過光測定回路24を通じてPC内のデータ格納部に送られる。

0040

散乱光測定部16の概略を図6に示す。光源としては例えばLED光源等を用いることができ、LED光源ユニット17からの照射光18を移動中のセル8に照射し、透過光19を透過光受光器20で受光し、散乱光を散乱光受光器22で受光する。LED光源ユニット17では照射光波長として例えば700nmを用いることができる。本実施例では光源としてLEDを用いたが、レーザキセノンランプ、ハロゲンランプでも良い。散乱光受光器22は、光軸に対して空気中において角度θだけ離れた方向の散乱光21を測定する。角度θは15〜35゜の範囲の角度であればよいが、本実施例ではθ=20゜とした。この散乱光受光器22は、セルディスク9の回転によるセル8の移動方向に対して概ね垂直な面内に配置される。ここでは、角度θの基準位置として、セル8内を光が通過する長さの中央部を起点とした。反応液7からの散乱光を受光する手段として、散乱角度の異なる受光器を備えておき、その中の受光器から信号を取得するようにすればよい。

0041

本実施例では、それぞれの角度に受光器20,22としてフォトダイオードを配置したが、受光器を内部に多数保持する単体リニアアレイを配置し、複数角度の散乱光を受光する構成であってもよい。これにより、受光角度の選択肢を広げることができる。また、受光器ではなくファイバレンズなどの光学系を散乱光受光位置に配置し、別位置に配置された散乱光受光器に光を導いても良い。

0042

サンプル1中の被測定物質の濃度定量は、次の手順で行われる。まず、サンプル分注機構10によりサンプルカップ2内のサンプル1をセル8内に一定量分注する。次に、試薬分注機構11により試薬ボトル5内の試薬4をセル8内に一定量分注する。これら分注の際は、サンプルディスク3、試薬ディスク6、セルディスク9は制御回路23の制御下にそれぞれの駆動部によって回転駆動され、サンプルカップ2、試薬ボトル5、セル8を分注機構10,11の分注タイミングに合わせて移動する。続いて、セル8内に分注されたサンプル1と試薬4を攪拌部12により攪拌し、反応液7とする。反応液7からの透過光及び散乱光は、セルディスク9の回転中に、透過光測定部13及び散乱光測定部16の測定位置を通過するたびに測定され、透過光測定回路24、散乱光測定回路25からデータ処理部26のデータ格納部に、反応過程データとして順次蓄積される。一定時間、例えば約10分間測定後、洗浄部14によりセル8内を洗浄し、次の検査項目の分析を行う。その間、必要であれば別の試薬4を試薬分注機構11によりセル8内に追加して分注し、攪拌部12により攪拌し、さらに一定時間測定する。これにより一定の時間間隔を持った反応液7の反応過程データがデータ格納部に格納される。格納された散乱光測定部の単一の受光角度もしくは複数の受光角度の反応過程データから、解析部において一定時間の反応による光量の変化を求め、あらかじめデータ格納部に保持された検量線データに基づき、定量結果が算出され、出力部より表示される。各部の制御・分析に必要なデータは、入力部27からデータ処理部26のデータ格納部に入力される。各種格納部のデータや結果、及びアラームは出力部28により表示等にて出力される。

0043

散乱光測定用の波長は、650nm〜750nmに含まれる波長であればよい。散乱光受光角度は15°〜35°の範囲であれば構わない。図7は、上記光学シミュレーションで算出した各粒径、粒子密度(波長700nmにおける吸光度で表示)時の光量変化率倍率であるが、前方散乱(15°〜35°)であれば、光量変化率倍率がほぼ変わらないことが確認された。

0044

反応液7に含まれるラテックス粒子は、粒径が0.3μmから0.43μmである。この粒径範囲のラテックス粒子を用いることにより、図4に示したように、透過光よりも大きい光量変化率を得られるため、従来よりも微小な濃度の抗原を測定することが可能である。

0045

反応液7に含まれるラテックス粒子の濃度が薄いほど、照射光が反応液7によって散乱されにくくなるため、反応液7に含まれるラテックス粒子の密度を、吸光度で0.25abs以上とすることで散乱光受光器22で測定される散乱光の光量を十分大きくすることができる。

0046

抗原抗体反応に用いられるラテックス粒子、さらに担体に感作される抗体は、試薬コストの大半を占める。そこで、反応液7に含まれるラテックス粒子の密度を、吸光度で0.25absから1.10absの範囲にすることで、光量変化率倍率を高くしつつ、用いるラテックス粒子ならびに担体に感作される抗体を減らし、試薬製造コストを低減することができる。

0047

抗原抗体反応において、結合定数の小さい抗体が存在する。それら結合定数の小さい抗体においても、より高い光量変化率倍率を得るために、反応液7に含まれるラテックス粒子の密度を、吸光度で0.25absから0.5absの範囲にしてもよい。

0048

反応液7に含まれるラテックス粒子を、体積を基準とした粒径分布において、粒径の半値全幅が分布のピークとなる粒径(ピーク粒径)の±15%以内に含まれ、かつピーク粒径が0.3μmから0.43μmの範囲に入るものを用いてもよい。一般的に微粒子の粒径は分布をもち、その分布幅を抑えるほどにコストが高くなる。図4から、数%程度の粒径の違いでは光量変化率倍率はほぼ変わらないことが確認できるため、体積を基準とした粒径分布において、粒径の半値全幅が分布のピークとなる粒径(ピーク粒径)の±15%以内に含まれ、かつピーク粒径が0.3μmから0.43μmの範囲に入るラテックス粒子を用いることで、高い光量変化率倍率を得つつ、コストを抑えることができる。一方で、粒径のばらつきによる反応液からの散乱光強度ばらつきを抑えるために、粒径の半値全幅をピーク粒径の±10%以内としてもかまわない。また、同一サンプルの測定間のばらつきを抑えるために、粒径の半値全幅をピーク粒径の±7%以内としてもかまわない。

0049

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、図面は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての構成部や機能を示しているわけではない。

0050

1…サンプル、2…サンプルカップ、3…サンプルディスク、4…試薬、5…試薬ボトル、6…試薬ディスク、7…反応液、8…セル、9…セルディスク、10…サンプル分注機構、11…試薬分注機構、12…攪拌部、13…透過光測定部、14…洗浄部、15…恒温粒体、16…散乱光測定部、17…LED光源ユニット、18…照射光、19…透過光、20…透過光受光器、21…散乱光、22…散乱光受光器、23…制御回路、24…透過光測定回路、25…散乱光測定回路、26…データ処理部、27…入力部、28…出力部

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