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技術 射出成形機、および射出成形機の設定支援装置

出願人 住友重機械工業株式会社
発明者 清家幸治針井哲夫
出願日 2011年8月31日 (9年1ヶ月経過) 出願番号 2011-190060
公開日 2013年3月21日 (7年7ヶ月経過) 公開番号 2013-052509
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等の射出成形
主要キーワード 温度変化曲線 前部フランジ 運動方向変換機構 設定支援装置 質量増加量 内側空 前進量 微速前進
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

成形条件の設定を支援できる射出成形機および射出成形機の設定支援装置を提供すること。

解決手段

加熱軟化された樹脂を収容する加熱シリンダ21と、加熱シリンダ21内を進退自在なスクリュ23とを備え、スクリュ23が前進することにより、樹脂が加熱シリンダ21から射出され金型装置50内のキャビティ55に供給される射出成形機10において、スクリュ23の前進速度減速開始以降におけるキャビティ55内の樹脂の質量増加量ΔWおよび/または流動先端伸長量ΔLを樹脂の状態方程式に基づいて検出する検出部61を備える。

概要

背景

射出成形機を用いた成形方法は、計量工程、充填工程、保圧工程などを含む。計量工程では、加熱シリンダ内スクリュの前方に所定量の溶融樹脂が供給され、溶融樹脂の圧力を受けてスクリュが後退する。充填工程では、スクリュが前進することにより、溶融樹脂が加熱シリンダから射出され金型装置内のキャビティに供給される。このときのスクリュ前方の溶融樹脂に加わる圧力が充填圧力として検出される。充填工程の終わりで、スクリュの制御は、速度制御から圧力制御切り換えられる。この切り換えは、V(速度)/P(圧力)切り換えと呼ばれており、キャビティ内で成形される成形品品質を左右する。V/P切り換えの後、保圧工程では、充填圧力を一定に保ちながら、キャビティ内の樹脂を冷却する。保圧工程における充填圧力の目標値は、キャビティ内での樹脂のヒケの発生を抑制できる値に設定される。

近年、充填工程の途中でスクリュの前進速度減速し、スクリュを停止してスクリュ位置を維持する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。充填工程開始後、スクリュが前進して設定位置に到達したとき、その設定位置にスクリュを設定時間(例えば、0.5秒)だけ停止する。あるいは、充填工程開始後、充填圧力が設定圧に達したとき、そのとき到達している位置でスクリュを設定時間だけ停止してもよい。このように、保圧工程の前に、スクリュ位置を設定時間だけ維持することにより、成形品のバリやヒケ、反りなどを低減できることが実証されている。

概要

成形条件の設定を支援できる射出成形機および射出成形機の設定支援装置を提供すること。加熱軟化された樹脂を収容する加熱シリンダ21と、加熱シリンダ21内を進退自在なスクリュ23とを備え、スクリュ23が前進することにより、樹脂が加熱シリンダ21から射出され金型装置50内のキャビティ55に供給される射出成形機10において、スクリュ23の前進速度の減速開始以降におけるキャビティ55内の樹脂の質量増加量ΔWおよび/または流動先端伸長量ΔLを樹脂の状態方程式に基づいて検出する検出部61を備える。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、成形条件の設定を支援できる射出成形機および射出成形機の設定支援装置の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

溶融樹脂を収容する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内を進退自在なスクリュとを備え、該スクリュが前進することにより、前記溶融樹脂が前記加熱シリンダから射出され金型装置内のキャビティに供給される射出成形機において、前記スクリュの前進速度減速開始以降における前記キャビティ内の樹脂質量増加量および/または流動先端伸長量を樹脂の状態方程式に基づいて検出する検出部を備える射出成形機。

請求項2

前記検出部は、前記減速開始以降における前記加熱シリンダ内の溶融樹脂の圧力低下による比容積の増加量に基づいて前記質量増加量および/または前記流動先端伸長量を検出する請求項1に記載の射出成形機。

請求項3

前記減速開始後に前記スクリュの制御が速度制御から圧力制御切り換えられ、前記検出部は、前記スクリュの前進開始時から前記圧力制御の開始時までの経過時間が所定時間以下の場合、前記減速開始時と前記圧力制御の開始時との間における前記比容積の増加量と、前記圧力制御の開始以降に前記スクリュが前進したときの移動量とに基づいて前記質量増加量および/または前記流動先端伸長量を検出する請求項2に記載の射出成形機。

請求項4

前記減速開始後に前記スクリュの制御が速度制御から圧力制御に切り換えられ、前記検出部は、前記スクリュの前進開始時から前記圧力制御の開始時までの経過時間が所定時間を超える場合、前記減速開始時と前記経過時間が所定時間に達する時との間における前記比容積の増加量に基づいて前記質量増加量および/または前記流動先端伸長量を検出する請求項2に記載の射出成形機。

請求項5

成形品に関する前記検出部の検出結果と、前記成形品の質量および/または伸長量とに基づいて、質量および/または伸長量が目標値と同じ成形品が得られる成形条件導出する導出部をさらに備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出成形機。

請求項6

前記導出部は、質量および/または伸長量が目標値よりも小さい成形品に関する前記検出部の検出結果と、前記成形品の質量および/または伸長量とに基づいて、前記成形条件を導出する請求項5に記載の射出成形機。

請求項7

溶融樹脂を収容する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内を進退自在なスクリュとを備え、該スクリュが前進することにより、前記溶融樹脂が前記加熱シリンダから射出され金型装置内のキャビティに供給される射出成形機の設定支援装置において、前記スクリュの前進速度の減速開始以降における前記キャビティ内の樹脂の質量増加量および/または流動先端伸長量を樹脂の状態方程式に基づいて検出する検出部を備える射出成形機の設定支援装置。

技術分野

0001

本発明は、射出成形機、および射出成形機の設定支援装置に関する。

背景技術

0002

射出成形機を用いた成形方法は、計量工程、充填工程、保圧工程などを含む。計量工程では、加熱シリンダ内スクリュの前方に所定量の溶融樹脂が供給され、溶融樹脂の圧力を受けてスクリュが後退する。充填工程では、スクリュが前進することにより、溶融樹脂が加熱シリンダから射出され金型装置内のキャビティに供給される。このときのスクリュ前方の溶融樹脂に加わる圧力が充填圧力として検出される。充填工程の終わりで、スクリュの制御は、速度制御から圧力制御切り換えられる。この切り換えは、V(速度)/P(圧力)切り換えと呼ばれており、キャビティ内で成形される成形品品質を左右する。V/P切り換えの後、保圧工程では、充填圧力を一定に保ちながら、キャビティ内の樹脂を冷却する。保圧工程における充填圧力の目標値は、キャビティ内での樹脂のヒケの発生を抑制できる値に設定される。

0003

近年、充填工程の途中でスクリュの前進速度減速し、スクリュを停止してスクリュ位置を維持する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。充填工程開始後、スクリュが前進して設定位置に到達したとき、その設定位置にスクリュを設定時間(例えば、0.5秒)だけ停止する。あるいは、充填工程開始後、充填圧力が設定圧に達したとき、そのとき到達している位置でスクリュを設定時間だけ停止してもよい。このように、保圧工程の前に、スクリュ位置を設定時間だけ維持することにより、成形品のバリやヒケ、反りなどを低減できることが実証されている。

先行技術

0004

特開2004−216787号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、成形品の品質は、例えばスクリュの前進速度の減速を開始するタイミング、保圧工程を開始するタイミング、保圧工程における充填圧力の目標値など様々な成形条件に依存する。従来、これらの成形条件の設定は、熟練者の経験やに頼ることが多かった。

0006

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、成形条件の設定を支援できる射出成形機および射出成形機の設定支援装置の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を解決するため、本発明の一の実施形態による射出成形機は、
溶融樹脂を収容する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内を進退自在なスクリュとを備え、該スクリュが前進することにより、前記溶融樹脂が前記加熱シリンダから射出され金型装置内のキャビティに供給される射出成形機において、
前記スクリュの前進速度の減速開始以降における前記キャビティ内の樹脂の質量増加量および/または流動先端伸長量を樹脂の状態方程式に基づいて検出する検出部を備える。

0008

また、本発明の他の実施形態による射出成形機の設定支援装置は、
溶融樹脂を収容する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内を進退自在なスクリュとを備え、該スクリュが前進することにより、前記溶融樹脂が前記加熱シリンダから射出され金型装置内のキャビティに供給される射出成形機の設定支援装置において、
前記スクリュの前進速度の減速開始以降における前記キャビティ内の樹脂の質量増加量および/または流動先端伸長量を樹脂の状態方程式に基づいて検出する検出部を備える。

発明の効果

0009

本発明によれば、成形条件の設定を支援できる射出成形機および射出成形機の設定支援装置が提供される。

図面の簡単な説明

0010

本発明の一実施形態による射出成形機の模式図
充填工程におけるスクリュ前進速度時間変化を示す図
充填工程および保圧工程における充填圧力の時間変化を示す図
樹脂の状態方程式(PvT特性)を示す模式図
成形品の質量Mと、質量増加量ΔWと、初期質量Nと、充填ピーク圧力P1との関係を示す図
成形品の伸長量Lと、流動先端伸長量ΔLと、初期伸長量Kと、充填ピーク圧力P1との関係を示す図

実施例

0011

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一のまたは対応する構成については同一のまたは対応する符号を付して説明を省略する。

0012

図1は、本発明の一実施形態による射出成形機の模式図である。図1に示すように、射出成形機10は、フレームFrと、フレームFr上に配置される射出装置20とを備える。

0013

射出装置20は、加熱シリンダ21を備える。加熱シリンダ21の外周にはヒータ21aが設けられおり、加熱シリンダ21の温度を設定温度に保つことができる。

0014

加熱シリンダ21にはホッパ22が設けられる。加熱シリンダ21内にはスクリュ23が進退自在かつ回転自在に設けられる。スクリュ23の後端可動支持部24によって回転自在に支持される。

0015

可動支持部24にはサーボモータ等の計量モータ25が取り付けられる。計量モータ25の回転は出力軸31に取り付けられたタイミングベルト26を介してスクリュ23に伝達される。

0016

計量モータ25の出力軸31の後端には回転検出器32が接続されている。回転検出器32は、計量モータ25の回転数又は回転量を検出することで、スクリュ23の回転量を検出する。

0017

射出装置20は、スクリュ23と平行なボールねじ軸27を有する。ボールねじ軸27はボールねじナット36と螺合し、回転運動直線運動へ変換する運動方向変換機構を構成する。

0018

射出モータ29を駆動し、タイミングベルト28を介してボールねじ軸27を回転させると、ボールねじナット36に固定された可動支持部24及びサポート30が進退する。その結果、スクリュ23が進退する。

0019

射出モータ29の出力軸33の後端に接続された位置検出器34は、射出モータ29の回転数又は回転量を検出することで、スクリュ23の位置を検出する。

0020

また、可動支持部24とサポート30との間には、スクリュ23に加えられた溶融樹脂の圧力(反力)を検出するための圧力検出器(例えば、ロードセル)35が備えられている。

0021

射出装置20は、射出装置20を駆動してノズルタッチ圧印加する駆動機構として移動装置40を備えている。移動装置40は、移動駆動部41とガイド部42とから構成されている。ガイド部42は、射出装置20を構成する可動支持部24、サポート30及び前部フランジ43と係合している。前部フランジ部43で加熱シリンダ21が支持されている。

0022

射出装置20は、ガイド部42に沿って、フレームFr上で水平に移動することができる。上述の移動装置40を駆動することにより、所定のタイミングで射出装置20を前進させて加熱シリンダ21のノズル部を金型装置50に当接させ、ノズルタッチを行う。

0023

計量モータ25、回転検出器32、射出モータ29、位置検出器34、および圧力検出器35は、制御装置60に接続されている。回転検出器32、位置検出器34、及び圧力検出器35から出力される検出信号は、制御装置60に送られる。制御装置60は、検出信号に基づいて計量モータ25及び射出モータ29の動作を制御する。

0024

なお、スクリュ駆動源として、射出モータ29の代わりに、例えば空気圧シリンダ油圧シリンダなどの流体圧シリンダを用いてもよく、スクリュ駆動源は特に限定されない。

0025

なお、制御装置60は単独で設けられてもよいし、射出成形機全体の制御を司る制御部の一部として設けられてもよい。

0026

次に、上記構成の射出成形機の動作(成形方法)について説明する。この成形方法は、計量工程、充填工程、保圧工程を有する。

0027

計量工程では、計量モータ25によって加熱シリンダ21内に配置されているスクリュ23を回転させる。ホッパ22から加熱シリンダ21内のスクリュ23の後部に樹脂が供給される。スクリュ23の回転により、供給されてきた樹脂を溶融させながら加熱シリンダ21の前端部に一定量送り込む。この間、加熱シリンダ21の前端部に溜まってゆく溶融樹脂の圧力(背圧)を受けながらスクリュ23は後退する。

0028

次いで、充填工程では、スクリュ23が前進することにより、スクリュ23の前方に蓄えられた溶融樹脂が加熱シリンダ21のノズル部から射出される。この時のスクリュ23の前方の溶融樹脂に加わる圧力が充填圧力として圧力検出器35に検出される。加熱シリンダ21のノズル部から射出された樹脂は、金型装置50内に供給され、スプル53、ランナ54などを介してキャビティ55に供給される。キャビティ55は、金型装置50を構成する可動金型51と固定金型52とを型閉じ、型締めして形成される。

0029

図2は、充填工程におけるスクリュ前進速度の時間変化を示す図である。図3は、充填工程および保圧工程における充填圧力の時間変化を示す図である。図2および図3において、横軸は充填工程開始時からの経過時間tである。

0030

充填工程は、第1期と、第2期とからなる。第1期では、例えばスクリュ23の前進速度が0から加速され、所定速度で維持される。充填圧力は、図3に示すように徐々に増加してピーク値P1(以下、「充填ピーク圧力P1」という)になる。

0031

第1期の開始後、スクリュ23が前進して設定位置に到達したとき(t=t1)、第2期が開始される。第1期の開始後、充填圧力が設定圧に達したときに、第2期が開始されてもよい。第2期の開始時、キャビティ55内に樹脂は完全には充填されていない。

0032

第2期では、図2に示すようにスクリュ23の前進速度が急速に減速されて0になり、スクリュ位置が設定時間だけ維持される。その結果、図3に示すように、樹脂の充填圧力がP1からP3に徐々に低下する。よって、詳しくは後述するが、温度が設定温度に保たれている加熱シリンダ21内において、充填圧力の低下に伴い、樹脂の比容積が増加する。その結果、加熱シリンダ21内の溶融樹脂の体積が増加するが、スクリュ23は停止しているため、増加分の樹脂が加熱シリンダ21から溢れる。溢れた分の樹脂がキャビティ55内に流れ込む。

0033

なお、本実施形態の第2期では、スクリュ位置が設定時間だけ維持され、スクリュ23が設定時間だけ停止するが、設定時間の間に、スクリュ23が微速前進してもよい。

0034

設定時間が経過すると(t=t2)、保圧工程が開始される。このとき、スクリュ23の制御が速度制御(位置制御)から圧力制御に切り換えられ、充填圧力が目標値P4に近づき始める。目標値P4はキャビティ55内での樹脂のヒケの発生を抑制できる値である限り、図3に示すように第2期終了時の充填圧力P3よりも低くても、高くても、同じでもよい。充填圧力が目標値P4になるように、圧力検出器35の検出結果に基づいて射出モータ29がフィードバック制御される。このようにして充填圧力が目標値P4に保たれながら、キャビティ55内の樹脂が冷却される。

0035

キャビティ55内の樹脂を冷却固化して得られる成形品は、金型装置50の型開後、金型装置50から突き出される。

0036

成形品の品質は、例えば、第2期開始時間(t=t1)、保圧工程開始時間(t=t2)、保圧工程における充填圧力の目標値など様々な成形条件に依存する。これらの成形条件の設定を支援する設定支援装置として、制御装置60が用いられる。

0037

制御装置60は、CPU、メモリなどを含むコンピュータとして構成される。制御装置60は、後述の検出部61および導出部62に対応するコンピュータプログラムをメモリなどの記録媒体に格納している。制御装置60は、これらのコンピュータプログラムをCPUに実行させることにより、検出部61および導出部62が有する機能を実現する。

0038

検出部61は、第2期の開始以降(スクリュ23の前進速度の減速開始以降)におけるキャビティ55内の樹脂の質量増加量ΔWおよび/または流動先端伸長量ΔLを樹脂の状態方程式に基づいて検出する。

0039

ここで、「流動先端伸長量ΔL」とは、質量増加量ΔWに相当する伸長量を意味し、質量増加量ΔWが増えるほど、流動先端伸長量ΔLが増える。例えば第2期でキャビティ55内に樹脂が完全に充填されると、樹脂の流動先端位置が停止するが、保圧工程で樹脂が冷却して体積収縮し体積収縮分の樹脂がキャビティ55内に補充される場合、流動先端伸長量ΔLは保圧工程開始後に増えることになる。流動先端の伸長方向は、例えばキャビティ55の寸法形状、キャビティ55の樹脂注入口の位置や向きなどで決まる。

0040

樹脂の状態方程式は、一般的な方法で測定され、記録媒体に予め記録されたものを読み出して用いる。

0041

図4は樹脂の状態方程式(PvT特性)を示す模式図である。図4において、横軸は温度T(℃)、縦軸は比容積v(m3/kg)である。図4は、圧力Pが大気圧P0(P0=0.1MPa)のときの比容積vの温度変化曲線v(P0、T)と、圧力Pが充填ピーク圧力P1(例えば、P1=50MPa)のときの比容積vの温度変化曲線v(P1、T)とを示す。

0042

図4に示すように、樹脂の比容積vは、樹脂の圧力Pと、樹脂の温度Tに依存する。圧力Pが低くなるほど、比容積vが大きくなる。また、温度Tが低下するほど、比容積vが小さくなる。

0043

ところで、加熱シリンダ21から射出された樹脂は、金型装置50内のスプル53、ランナ54などを介してキャビティ55に供給される。流動方向上流側(即ち、加熱シリンダ21側)ほど、圧力損失の影響で樹脂に加わる圧力が高くなる。

0044

樹脂の圧力は、第2期の開始以降、徐々に低下するので、樹脂の温度が一定の場合、樹脂の比容積が大きくなる。樹脂の体積が増加すると、スクリュ位置が変わらないため、加熱シリンダ21内から樹脂が溢れる。溢れた分の樹脂がキャビティ55内に流れ込む。

0045

この流れ込み量は、温度が設定温度に保たれている加熱シリンダ21内の樹脂に加わる圧力(充填圧力)の低下量で主に定まる。加熱シリンダ21は、スプル53やランナ54に比べて容積が大きく、またスプル53やランナ54に比べて圧力低下が大きいからである。加熱シリンダ21内において、充填圧力の低下によって樹脂の比容積が増加するが、スクリュ23が停止しているので、増加分の樹脂が加熱シリンダ21から溢れる。溢れた分の樹脂がキャビティ55内に追加される。

0046

そこで、検出部61は、第2期の開始以降における加熱シリンダ21内の樹脂の圧力低下による比容積の増加量に基づいて、キャビティ55内の樹脂の質量増加量ΔWおよび流動先端伸長量ΔLを検出する。質量増加量ΔWや流動先端伸長量ΔLは、保圧工程開始時間t2が後述の所定時間t3(t3>t1)以下か否かで場合分けして算出される。

0047

所定時間t3は、キャビティ55の樹脂の一部が固化し、キャビティ55内への樹脂の注入が実質的に終了する時間である。所定時間t3は、樹脂の種類、加熱シリンダ21内の溶融樹脂の温度、可動金型51や固定金型52の温度などで定まり、例えば下記の式(1)で算出される。
t3=s2/(π2×α)×ln{4/π×(θr−θm)/(θe−θm)}・・・(1)
式(1)中、t3はキャビティ55内の樹脂の平均温度が温度θrから温度θeまで冷却されるまでの冷却時間(秒)、sは成形品の厚さ(mm)、αはキャビティ表面温度における樹脂の熱拡散率(mm2/秒)、θrは溶融樹脂の温度(℃)、θeは樹脂の固化温度(℃)、θmはキャビティ表面温度(℃)をそれぞれ表す。

0048

保圧工程開始時間t2が所定時間t3を超える場合(t2>t3)、保圧工程開始以降にキャビティ55内へ樹脂が追加されない。この場合、質量増加量ΔW1(kg)は、第2期における樹脂の比容積の増加量で主に決まるので、下記の式(2)で算出される。
ΔW1={1/v(P1、T1)−1/v(P2、T1)}×SV・・・(2)
式(2)中、v(P、T)は圧力P(MPa)、温度T(℃)のときの樹脂の比容積(m3/kg)を表し、状態方程式に圧力Pおよび温度Tを代入して算出される。P1は充填ピーク圧力(MPa)、P2は経過時間tが所定時間t3に達した時の充填圧力(MPa)をそれぞれ表し、圧力検出器36から取得される。T1は加熱シリンダ21内の樹脂の温度(℃)を表す。加熱シリンダ21の温度はヒータ21aで設定温度に保たれているので、その設定温度をT1として用いる。
式(2)中、SVは第2期開始時の加熱シリンダ21内の樹脂2(図1において黒色で示す部分)の容積(m3)を表す。SVは位置検出器34によって検出されるスクリュ位置と、記録媒体に予め記録されたシリンダ21(ノズル部を含む)の内側空間の寸法形状とに基づいて算出される。第2期開始後、射出モータ29の回転が急停止され、スクリュ23の前進が急停止され、スクリュ23は停止しているので、SVは略一定である。なお、第2期開始後にスクリュ23が微速前進する場合、スクリュ位置の時間変化を考慮してSVを算出してよい。

0049

また、保圧工程開始時間t2が所定時間t3を超える場合(t2>t3)、流動先端伸長量ΔL1(m)は下記の式(3)で算出される。
ΔL1=ΔW1×v(P0、T2)/CS・・・(3)
式(3)中のv(P、T)は式(2)中のv(P、T)と同じ意味である。P0はキャビティ55内の樹脂に加わる圧力(MPa)を表す。キャビティ55は大気開放されているので、P0=0.1MPa(大気圧)とする。また、T2はキャビティ55内における樹脂の温度(℃)であって、可動金型51や固定金型52の温度と等しい。可動金型51や固定金型52の温度は温調器で設定温度に保たれているので、その設定温度をT2(T2<T1)として用いる。T2は樹脂の固化温度よりも低い温度である。CSは樹脂の流動先端位置でのキャビティ55の断面積(一定)を表す。キャビティ55の断面は樹脂の伸長方向と直交する断面である。CSは記録媒体に予め記録されている値、または入力装置(例えば、キーボード)で入力された値を用いる。金型装置50内に複数のキャビティ55が存在する場合、CSは複数のキャビティ55の断面積の合計値である。なお、樹脂の流動先端位置の移動に応じてCSが変化する場合、CSは平均値であってよい。

0050

一方、保圧工程開始時間t2が所定時間t3以下の場合(t2≦t3)、保圧工程開始以降にキャビティ55に樹脂が追加されうる。この場合、質量増加量ΔW2は、第2期における樹脂の比容積の増加量の他、保圧工程開始以降にスクリュ23が前進したときの前進量に基づいて、下記の式(4)で算出される。
ΔW2={1/v(P1、T1)−1/v(P3、T1)}×SV+SL×SS/v(P4、T1)・・・(4)
式(4)中のv(P、T)、P1、T1、SVは式(2)中のv(P、T)、P1、T1、SVと同じ意味、同じ値である。P3は保圧工程開始時(充填工程完了時)の充填圧力(MPa)、P4は保圧工程における充填圧力の目標値(MPa)、SLは保圧工程開始以降にスクリュ23が前進したときの移動量(m)、SSは加熱シリンダ21の断面積(m2)をそれぞれ表す。加熱シリンダ21の断面はスクリュ23の前進方向と直交する断面である。

0051

SLは、スクリュ23が前進したときの移動量であるので、例えばスクリュ23が一旦後退し、その後前進する場合、前進開始時からの移動量となる。スクリュ23が一旦後退する場合としては、例えばP3がP4よりも高い場合が挙げられる。この場合、充填圧力の低下によって、スクリュ23が一旦後退することがある。スクリュ23が後退する場合、キャビティ55の樹脂注入口は狭いので、樹脂注入口からの樹脂の流出はほとんどなく、ΔWはほとんど変化しない。

0052

保圧工程においてスクリュ23は基本的に前進し、キャビティ55内で樹脂が冷却されて体積収縮した分の樹脂を補充し、ヒケの発生を制限する。なお、保圧工程においてスクリュ23が後退し続ける場合、あるいはスクリュ23が動かない場合、SL=0である。

0053

また、保圧工程開始時間t2が所定時間t3以下の場合(t2≦t3)、流動先端伸長量ΔL2(m)は下記の式(5)で算出される。
ΔL2=ΔW2×v(P0、T2)/CS・・・(5)
式(5)中のv(P、T)、P0、T2、CSは式(4)中のv(P、T)、P0、T2、CSと同じ意味、同じ値である。

0054

このように、本実施形態によれば、第2期開始以降の質量増加量ΔWや流動先端伸長量ΔLを検出するので、検出結果と、成形品の質量や伸長量(伸長量=質量×樹脂の比容積/断面積)とに基づいて、第1期完了時のキャビティ55内の樹脂の質量や伸長量などを求めることができる。よって、後述の導出部62やユーザによる成形条件の設定を支援することができる。

0055

また、本実施形態によれば、第2期の開始以降における加熱シリンダ21内の樹脂の圧力低下による比容積の増加量に基づいて質量増加量ΔWや流動先端伸長量ΔLを検出するので、第2期がΔWやΔLに与える影響を容易に精度良く算出できる。

0056

さらに、本実施形態によれば、保圧工程開始時間t2が所定時間t3以下の場合(t2≦t3)、保圧工程開始時以降のスクリュ23の前進量を加味するので、保圧工程がΔWやΔLに与える影響を容易に精度良く算出できる。

0057

導出部62は、成形品に関する検出部61の検出結果と、その成形品の質量および伸長量(伸長量=質量×樹脂の比容積/断面積)とに基づいて、質量および伸長量が目標値と同じ成形品が得られる成形条件を導出する。目標値は、キャビティ55内に樹脂が完全に充填される時の値である。成形品の質量の目標値は、キャビティ55の容積と樹脂の密度との積で決まる。

0058

導出部62は、例えば質量および伸長量が目標値よりも小さい成形品に関する検出部61の検出結果と、その成形品の質量および伸長量とに基づいて、上記成形条件を導出する。導出部62は、複数の成形品に関するデータ(質量、伸長量、検出部の検出結果)に基づいて最適な成形条件を導出する。

0059

なお、導出部62は、質量および伸長量が目標値の成形品に関するデータに基づいて最適な成形条件を導出してもよい。

0060

導出部62は、成形条件の導出に用いられる成形品の質量および伸長量に関する情報を例えば入力装置から取得する。入力装置で入力される情報は、質量計マイクロメータなどで予め測定される。

0061

例えば、導出部62は、検出部61が式(2)または式(4)を用いて検出した質量増加量ΔWと、成形品の質量Mとに基づいて、第1期完了時のキャビティ55内の樹脂の質量N(以下、「初期質量N」という)(N=M−ΔW)を求める。その結果、導出部62は、例えば図5に示すようなデータを得る。

0062

図5は、成形品の質量Mと、質量増加量ΔWと、初期質量Nと、充填ピーク圧力P1との関係を示す。この成形品は、質量Mが目標値M0よりも小さく、キャビティ55内を完全に充填しないものである。図5において、Ma、Mb、Mcは、充填ピーク圧力P1をP1a、P1b、P1c(P1a>P1b、P1c)に設定したときの成形品の質量Mを示す。また、ΔWa、ΔWb、ΔWcは、充填ピーク圧力P1をP1a、P1b、P1cに設定したときの質量増加量ΔWを表す。また、Na、Nb、Ncは、充填ピーク圧力P1をP1a、P1b、P1cに設定したときの初期質量Nを示す。

0063

成形条件としては、充填ピーク圧力P1が低くなるほど、金型装置50の負荷が少なくなるので、また、成形品のバリが少なくなるので好ましい。また、充填ピーク圧力P1が低くなるほど、初期質量Nが軽くなる。

0064

導出部62は、NとΔWとの合計値(N+ΔW)が目標値M0になり、且つNができるだけ小さくなる(即ち、充填ピーク圧力P1ができるだけ低くなる)成形条件を求める。成形条件としては、例えば充填ピーク圧力P1、保圧工程開始時間t2、保圧工程における充填圧力の目標値P4などが挙げられる。

0065

また、導出部62は、検出部61が式(3)または式(5)を用いて検出した流動先端伸長量ΔLと、成形品の伸長量Lとに基づいて、第1期完了時のキャビティ55内の樹脂の伸長量K(以下、「初期伸長量K」という)(K=L−ΔL)を求める。初期伸長量Kは初期質量Nに相当する寸法である。導出部62は、例えば図6に示すようなデータを得る。

0066

図6は、成形品の伸長量Lと、流動先端伸長量ΔLと、初期伸長量Kと、充填ピーク圧力P1との関係を示す。この成形品は、伸長量Lが目標値L0よりも小さく、キャビティ55内を完全に充填しないものである。図6において、La、Lb、Lcは、充填ピーク圧力P1をP1a、P1b、P1c(P1a>P1b、P1c)に設定したときの成形品の伸長量Lを示す。また、ΔLa、ΔLb、ΔLcは、充填ピーク圧力P1をP1a、P1b、P1cに設定したときの流動先端伸長量ΔLを表す。また、Ka、Kb、Kcは、充填ピーク圧力P1をP1a、P1b、P1cに設定したときの初期伸長量Kを示す。

0067

成形条件としては、充填ピーク圧力P1が低くなるほど、金型装置の負荷が少なくなるので、また、成形品のバリが少なくなるので好ましい。一方で、充填ピーク圧力P1が低くなるほど、初期伸長量Kが短くなる。

0068

そこで、導出部62は、KとΔLとの合計値が目標値L0になり、且つKができるだけ小さくなる(即ち、充填ピーク圧力P1ができるだけ低くなる)成形条件を求める。成形条件としては、例えば充填ピーク圧力P1、保圧工程開始時間t2、保圧工程における充填圧力の目標値P4などが挙げられる。

0069

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上記の実施形態に種々の変形や置換を加えることができる。

0070

例えば、上記実施形態では、成形条件の設定を支援する設定支援装置として、制御装置60が用いられ、設定支援装置は射出成形機に組み込まれているが、本発明はこれに限定されない。設定支援装置は、射出成形機に組み込まれておらず、射出成形機(詳細には、制御装置60)と情報を送受信可能なものであってよい。この場合、設定支援装置は、射出成形機から送信される充填圧力などのデータに基づいてΔWやΔLを検出したり、最適な成形条件を導出し、検出結果や導出結果を制御装置60に送信する。制御装置60は、設定支援装置から送信される検出結果や導出結果に基づいて射出モータ29などを制御する。

0071

また、上記実施形態の検出部61は、質量増加量ΔWおよび流動先端伸長量ΔLの両方を検出するが、いずれか一方のみを検出してもよい。同様に、上記実施形態の導出部62は、成形条件の導出のため、成形品の質量および伸長量の両方を用いるが、いずれか一方のみを用いてもよい。

0072

10射出成形機
21加熱シリンダ
23スクリュ
50金型装置
55キャビティ
60制御装置(設定支援装置)
61 検出部
62導出部

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