図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2013年3月14日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題

アトピー性皮膚炎およびその関連の臨床症状を含む、イヌにおけるアトピー性障害に対する新規のより実用的な治療を提供する。

解決手段

本発明は、イヌTSLPタンパク質およびこのタンパク質をコードする核酸を開示する。また、イヌTSLPタンパク質の特異的なエピトープを含むタンパク質のペプチド断片を開示する。イヌTSLPタンパク質および関連のペプチド断片は、免疫学的アッセイおよび抗TSLP抗体を誘発するワクチンに対する抗原として使用し得る。さらに、本発明は、イヌTSLP遺伝子、イヌTSLPタンパク質および関連のペプチド断片を作製および使用する方法を開示する。

概要

背景

発明の背景
アトピー性疾患などのレアギン介在障害を患う動物(例えば、ヒト)は、IgE抗体に関わる即時型アレルギー反応を発症する遺伝的傾向を有する。複数の遺伝因子が、そのような動物で見られる、結果として生じる表現型発現関与する。アトピー性疾患において観察される即時型過敏症は、チリダニ類(Dermatophagoides pteronyssinus)、花粉カビおよび鱗屑などの特定のアレルゲンへの曝露から生じる。当然のことながら、アトピー性疾患を有する個体は、喘息アトピー性皮膚炎、および内因性IgE放出に関連した他の障害をより患う可能性がある。

アレルギー性皮膚炎、喘息などのアトピー性疾患は、飼いイヌなどのイヌ種にも発生する。そのようなイヌは、一般的に1〜3の間にアトピー徴候を示し始める。本疾患の遺伝的性質により、ゴールデントリーバー、大部分のテリアアイリッシュセッター、ラサアプソ、ダルシアン、ブルドッグおよびオールイングリッシュシープドッグなどのいくつかの品種が、よりアトピー性の傾向が大きい。しかし、雑種などの他のイヌ種も、この状態を患うことが知られている。少なくとも1つの特定のタイプのアトピー(アトピー性皮膚炎)の発生率は、ヒトおよびイヌで同様に著しく増加している。

通常、アトピーのイヌは、足、口部、腋窩または鼠径部をこすり、なめ、噛み、噛みつきまたはひっかくため、脱毛、皮膚の赤色化および肥厚が生じる。一部の症例では、いくつかの皮膚の状態が組み合わさり、単一のアレルギーだけでは、そのようなかゆみが生じないと思われるかゆみを動物に引き起こしている。更に悪化させる、これらの問題は、空中に浮遊するアレルゲン(花粉など)、食物中のアレルゲン、寄生虫ノミなど)由来のアレルゲンによる可能性がある。また、皮膚の細菌および/または酵母感染症も、掻痒感を増大し得る。

アトピーの不快な症状を軽減する1つの簡単な方法は、刺激するアレルゲンを避けることである。残念なことに、一般的に、そのような回避は実際的でない。これまで、開業獣医師は、経口抗ヒスタミン剤、経口または局所コルチコステロイド抗炎症剤、他の免疫系抑制剤(例えば、シクロスポリンまたはタクロリムス)、脂肪酸補助剤投与、およびアレルゲン特異的免疫療法(同定された抗原の注射を必要とする)を実施することによってイヌのアトピー性皮膚炎を治療してきた。しかし、すべての場合で、このような治療は効果がない。さらに、そのような治療は、コストがかかり、および/または重大な副作用を生じる。したがって、より安全、より有効かつより経済的な、イヌのアトピー性皮膚炎の症状を治療または抑制するためのアプローチが以前から必要とされている。

哺乳動物免疫応答は、“免疫ネットワーク”と呼ばれる一連の複雑な細胞間相互作用に基づいている。多くの免疫反応は、サイトカインと呼ばれる可溶性タンパク質リンパ球マクロファージ顆粒球および他の細胞とのネットワーク様の相互作用を中心に展開され、ここで、サイトカインはこれらの細胞間相互作用を仲介/制御/調節する際に重要な役割を果たす。したがって、サイトカインおよび免疫細胞は、様々な炎症性障害につながる特定の生理機構または経路を仲介する役割を果たす。

アレルギー性炎症は、IL−4、IL−5およびIL−13などの無調節なTH2誘導サイトカインを、T細胞に産生させるように導く複雑な免疫カスケードの結果である。次に、これらのサイトカインは、気管支過敏性IgE産生好酸球増加および粘液産生を誘発する(例えば、非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3を参照)。

胸腺間質リンホポエチンタンパク質(TSLP)は、最初はマウスで、(i)表面IgMB細胞のin vitro発現ならびに(ii)BおよびT細胞増殖補助する因子として同定されたIL−7様サイトカインである(非特許文献4、また非特許文献5を参照)。現在、TSLPは、IL−7RαサブユニットおよびTSLP−Rと呼ばれる固有受容体サブユニットを含む細胞受容体を結合することが知られている。この相互作用は、骨髄系細胞(例えば、単球)などの造血細胞または樹状細胞における、STAT活性化または胸腺と活性化調節ケモカイン(TARC)の発現を通したシグナル伝達を誘発する(例えば、参考として本明細書で援用される、共同所有される特許文献1を参照)。

またTSLPは、マウスで、アトピー性皮膚炎および喘息などのアレルギー疾患病因において重要な役割を果たす場合がある。例えば、TSLP遺伝子の発現が特に皮膚において誘発されたトランスジェニックマウスは、炎症性真皮細胞浸潤を含有する湿疹性病変、皮膚ホーミング受容体を発現するTh2 CD4+T細胞の劇的な増加およびIgEの血漿濃度の上昇などのアトピー性皮膚炎の免疫学的および臨床的特徴を示す。さらに、特異的TSLP導入遺伝子を発現するマウスの肺は、白血球広範囲に及ぶ浸潤、杯細胞過形成上皮下線維症、Tヘルパー2型サイトカインの増加、IgE濃度の増加などの喘息の免疫学的および臨床的特徴を示す。

Simsら、は、発現クローニングを使用してネズミTSLPのcDNA配列を得たが、ネズミTSLPに基づいたハイブリダイゼーションプローブヒト相同体クローンをつくることができなかった(非特許文献6)。その後、ヒト相同体を、詳細なES分析によって同定した。ヒトTSLPヌクレオチド配列は、対応するマウス配列とわずか43%の相同性しか持たないことが発見された。

概要

アトピー性皮膚炎およびその関連の臨床症状を含む、イヌにおけるアトピー性障害に対する新規のより実用的な治療を提供する。本発明は、イヌTSLPタンパク質およびこのタンパク質をコードする核酸を開示する。また、イヌTSLPタンパク質の特異的なエピトープを含むタンパク質のペプチド断片を開示する。イヌTSLPタンパク質および関連のペプチド断片は、免疫学的アッセイおよび抗TSLP抗体を誘発するワクチンに対する抗原として使用し得る。さらに、本発明は、イヌTSLP遺伝子、イヌTSLPタンパク質および関連のペプチド断片を作製および使用する方法を開示する。なし

目的

米国特許第6,890,734号明細書




BusseおよびLemanske,Jr.、N.Engl.J.Med.(2001)344:350−62
Holgate、Br.Med.J.(2000)320:231−234
Renauld、J.Clin.Pathol.(2001)54:577−589
Friendら、Exp Hematology(1994)22:321−328
Levinら、J.Immunol(1999)162:677−683
Simsら、J exp Med,(2000)192:671−680






したがって、アトピー性皮膚炎およびその関連の臨床症状を含む、イヌにおけるアトピー性障害に対する新規のより実用的な治療を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

明細書に記載の発明。

技術分野

0001

関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2006年12月14日に出願された、米国仮出願第60/875,135号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)の優先権を主張する本出願である。

0002

発明の分野
本発明は、イヌ胸腺間質リンホポエチン(lymphopoietin)タンパク質(イヌ“TSLP”)、イヌTSLPをコードする核酸分子ベクターおよび宿主細胞、ならびにイヌTSLPを作製および使用する方法に関する。

背景技術

0003

発明の背景
アトピー性疾患などのレアギン介在障害を患う動物(例えば、ヒト)は、IgE抗体に関わる即時型アレルギー反応を発症する遺伝的傾向を有する。複数の遺伝因子が、そのような動物で見られる、結果として生じる表現型発現関与する。アトピー性疾患において観察される即時型過敏症は、チリダニ類(Dermatophagoides pteronyssinus)、花粉カビおよび鱗屑などの特定のアレルゲンへの曝露から生じる。当然のことながら、アトピー性疾患を有する個体は、喘息アトピー性皮膚炎、および内因性IgE放出に関連した他の障害をより患う可能性がある。

0004

アレルギー性皮膚炎、喘息などのアトピー性疾患は、飼いイヌなどのイヌ種にも発生する。そのようなイヌは、一般的に1〜3の間にアトピー徴候を示し始める。本疾患の遺伝的性質により、ゴールデントリーバー、大部分のテリアアイリッシュセッター、ラサアプソ、ダルシアン、ブルドッグおよびオールイングリッシュシープドッグなどのいくつかの品種が、よりアトピー性の傾向が大きい。しかし、雑種などの他のイヌ種も、この状態を患うことが知られている。少なくとも1つの特定のタイプのアトピー(アトピー性皮膚炎)の発生率は、ヒトおよびイヌで同様に著しく増加している。

0005

通常、アトピーのイヌは、足、口部、腋窩または鼠径部をこすり、なめ、噛み、噛みつきまたはひっかくため、脱毛、皮膚の赤色化および肥厚が生じる。一部の症例では、いくつかの皮膚の状態が組み合わさり、単一のアレルギーだけでは、そのようなかゆみが生じないと思われるかゆみを動物に引き起こしている。更に悪化させる、これらの問題は、空中に浮遊するアレルゲン(花粉など)、食物中のアレルゲン、寄生虫ノミなど)由来のアレルゲンによる可能性がある。また、皮膚の細菌および/または酵母感染症も、掻痒感を増大し得る。

0006

アトピーの不快な症状を軽減する1つの簡単な方法は、刺激するアレルゲンを避けることである。残念なことに、一般的に、そのような回避は実際的でない。これまで、開業獣医師は、経口抗ヒスタミン剤、経口または局所コルチコステロイド抗炎症剤、他の免疫系抑制剤(例えば、シクロスポリンまたはタクロリムス)、脂肪酸補助剤投与、およびアレルゲン特異的免疫療法(同定された抗原の注射を必要とする)を実施することによってイヌのアトピー性皮膚炎を治療してきた。しかし、すべての場合で、このような治療は効果がない。さらに、そのような治療は、コストがかかり、および/または重大な副作用を生じる。したがって、より安全、より有効かつより経済的な、イヌのアトピー性皮膚炎の症状を治療または抑制するためのアプローチが以前から必要とされている。

0007

哺乳動物免疫応答は、“免疫ネットワーク”と呼ばれる一連の複雑な細胞間相互作用に基づいている。多くの免疫反応は、サイトカインと呼ばれる可溶性タンパク質リンパ球マクロファージ顆粒球および他の細胞とのネットワーク様の相互作用を中心に展開され、ここで、サイトカインはこれらの細胞間相互作用を仲介/制御/調節する際に重要な役割を果たす。したがって、サイトカインおよび免疫細胞は、様々な炎症性障害につながる特定の生理機構または経路を仲介する役割を果たす。

0008

アレルギー性炎症は、IL−4、IL−5およびIL−13などの無調節なTH2誘導サイトカインを、T細胞に産生させるように導く複雑な免疫カスケードの結果である。次に、これらのサイトカインは、気管支過敏性IgE産生好酸球増加および粘液産生を誘発する(例えば、非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3を参照)。

0009

胸腺間質リンホポエチンタンパク質(TSLP)は、最初はマウスで、(i)表面IgMB細胞のin vitro発現ならびに(ii)BおよびT細胞増殖補助する因子として同定されたIL−7様サイトカインである(非特許文献4、また非特許文献5を参照)。現在、TSLPは、IL−7RαサブユニットおよびTSLP−Rと呼ばれる固有受容体サブユニットを含む細胞受容体を結合することが知られている。この相互作用は、骨髄系細胞(例えば、単球)などの造血細胞または樹状細胞における、STAT活性化または胸腺と活性化調節ケモカイン(TARC)の発現を通したシグナル伝達を誘発する(例えば、参考として本明細書で援用される、共同所有される特許文献1を参照)。

0010

またTSLPは、マウスで、アトピー性皮膚炎および喘息などのアレルギー疾患病因において重要な役割を果たす場合がある。例えば、TSLP遺伝子の発現が特に皮膚において誘発されたトランスジェニックマウスは、炎症性真皮細胞浸潤を含有する湿疹性病変、皮膚ホーミング受容体を発現するTh2 CD4+T細胞の劇的な増加およびIgEの血漿濃度の上昇などのアトピー性皮膚炎の免疫学的および臨床的特徴を示す。さらに、特異的TSLP導入遺伝子を発現するマウスの肺は、白血球広範囲に及ぶ浸潤、杯細胞過形成上皮下線維症、Tヘルパー2型サイトカインの増加、IgE濃度の増加などの喘息の免疫学的および臨床的特徴を示す。

0011

Simsら、は、発現クローニングを使用してネズミTSLPのcDNA配列を得たが、ネズミTSLPに基づいたハイブリダイゼーションプローブヒト相同体クローンをつくることができなかった(非特許文献6)。その後、ヒト相同体を、詳細なES分析によって同定した。ヒトTSLPヌクレオチド配列は、対応するマウス配列とわずか43%の相同性しか持たないことが発見された。

0012

米国特許第6,890,734号明細書

先行技術

0013

BusseおよびLemanske,Jr.、N.Engl.J.Med.(2001)344:350−62
Holgate、Br.Med.J.(2000)320:231−234
Renauld、J.Clin.Pathol.(2001)54:577−589
Friendら、Exp Hematology(1994)22:321−328
Levinら、J.Immunol(1999)162:677−683
Simsら、J exp Med,(2000)192:671−680

発明が解決しようとする課題

0014

したがって、アトピー性皮膚炎およびその関連の臨床症状を含む、イヌにおけるアトピー性障害に対する新規のより実用的な治療を提供する必要性が残る。さらに、そのような治療の開発につながる可能性のあるイヌにおけるアトピー性障害に導く免疫カスケードに関係する因子を単離する必要がある。

0015

本明細書の任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が例示出願に対する“先行技術”として使用できることの承認解釈すべきではない。

課題を解決するための手段

0016

本発明は、アトピー性皮膚炎およびその関連の臨床症状を含む、イヌにおけるアトピー性障害に対する新規のより実用的な治療を提供する。したがって、本発明は、アトピー性障害に導く免疫カスケードに関わる新規な単離および/または組換え胸腺間質リンホポエチンタンパク質(TSLP)タンパク質を提供する。さらに本発明は、そのようなTSLPタンパク質抗原性断片を提供する。本発明の特定の態様において、TSLPタンパク質は、イヌTSLPタンパク質である。

0017

したがって、本発明は、28アミノ酸残基シグナル配列を除く配列番号2のアミノ酸配列に80%以上同一性を有するアミノ酸配列を含むTSLPタンパク質であって、このタンパク質をワクチンとしてイヌの対象に投与すると、配列番号2のアミノ酸配列を含むイヌTSLPタンパク質を結合する抗体が、ワクチン接種したイヌの対象から得られた、結果として生じたイヌの血清で検出できる、TSLPタンパク質を提供する。関連の実施形態において、TSLPタンパク質は、28アミノ酸残基のシグナル配列を除く配列番号2のアミノ酸配列に80%以上同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号2のアミノ酸を含むイヌTSLPに対して惹起された抗体と交差反応性である。

0018

さらに本発明は、エピトープ特異的イヌTSLPモノクローナル抗体に結合する、配列番号2のアミノ酸配列(28アミノ酸残基のシグナル配列を除く)に80%以上同一性を有するアミノ酸配列を含むTSLPタンパク質を提供する。

0019

より特定の実施形態において、そのTSLPタンパク質は、28アミノ酸残基のシグナル配列を除く配列番号2のアミノ酸配列に90%以上同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態において、そのTSLPタンパク質は、28アミノ酸残基のシグナル配列を除く配列番号2のアミノ酸配列に95%以上同一性を有するアミノ酸配列を含む。

0020

本発明の特定の実施形態において、TSLPタンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を含むイヌTSLPタンパク質である。別の実施形態において、TSLPタンパク質は、配列番号2のアミノ酸残基29〜155を含む成熟イヌTSLPタンパク質である。

0021

また、本発明のTSLPタンパク質の抗原性断片を提供する。そのような抗原性断片は、配列番号8〜101のアミノ酸配列によって個々に定められた1つ以上のエピトープを含む抗原性断片を含む。特定の実施形態において、本発明の抗原性断片は、配列番号30、31、32および/または34のアミノ酸配列を含む1つ以上のエピトープを含む。別の実施形態において、抗原性断片は、配列番号30、31、32および/または34のアミノ酸配列の重複部分内に含有されるアミノ酸配列を有し得る(すなわち、

0022

(配列番号:118))。特定の実施形態において、イヌTSLPタンパク質の抗原性断片は、抗ヒトTSLPモノクローナル抗体を結合することができる。

0023

のアミノ酸配列(配列番号118)の抗原性断片は、大きさにおいて、約5〜約21のアミノ酸残基の範囲に及ぶ可能性がある。

0024

また、本発明の任意のTSLPタンパク質、1つ以上のその抗原性断片、またはそのような1つ以上の完全長タンパク質と1つ以上のそのような断片の組合せの有効量を含み得るワクチンが提供される。一実施形態において、TSLPタンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を含むイヌTSLPタンパク質である。特定の実施形態において、ワクチンは、配列番号2のアミノ酸残基71〜92の5〜22の連続するアミノ酸を含む、イヌTSLPタンパク質の1つ以上の抗原性断片を含有する(本明細書では配列番号118と定義)。そのような抗原性断片の例は、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33または配列番号34のアミノ酸配列を含む本明細書で開示されるエピトープを含む。本発明のすべてのワクチンは、薬学的の許容されるアジュバントを更に含み得る。

0025

本発明のワクチンは、抗イヌTSLP抗体を誘発する方法において使用することができる。そのような方法の1つは、有効量のワクチンで哺乳動物を免疫化することを含む。この方法は、場合によって、イヌにおいてTSLPの活性を下方制御する方法および/または有効量のワクチンでイヌを免疫化することを含む、アトピーのイヌのアレルギー症状を治療もしくは防止する方法を含む。改善されるアレルギー症状は、アレルギー性皮膚炎、喘息などを含み得る。

0026

本発明のワクチンは、筋肉内注射皮下注射静脈内注射皮内注射経口投与鼻腔内投与乱切法およびその組合せなどの経路によって投与することができる。

0027

さらに、本発明は、本発明のTSLPタンパク質またはその抗原性断片をコードする核酸分子を提供する。そのような一実施形態において、核酸分子は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする。このタイプの特定の実施形態において、核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。約18の連続するヌクレオチド、約24の連続するヌクレオチド、約36の連続するヌクレオチド、約45の連続するヌクレオチド、約66以上の連続するヌクレオチドの配列番号1のヌクレオチド配列の断片も、本発明の一部である。厳格ハイブリッド形成条件で配列番号1とハイブリッド形成する完全長TSLPタンパク質をコードする核酸を含む、約18のヌクレオチド、約24のヌクレオチド、約36のヌクレオチド、約45のヌクレオチド、約66以上のヌクレオチドも本発明によって提供される。さらに、本発明のすべての核酸分子およびその断片は、異種のヌクレオチド配列を含み得る。

0028

また本発明は、前述の核酸分子および/またはその断片を含む発現ベクターを提供する。さらに、本発明は、そのような発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。宿主細胞は、場合によって原核または真核宿主細胞である。一実施形態において、原核宿主細胞は、大腸菌である。このタイプの特定の実施形態において、宿主細胞は、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドIPTG)−誘導lacUV5プロモーターの制御下で、T7RNAポリメラーゼ遺伝子を含有する大腸菌のBL21(DE3)/pLysSである。

0029

さらに本発明は、イヌTSLPをコードする上記の核酸分子(例えば、配列番号1)の1つおよび/またはその断片を含む、組換えウイルスベクターおよび/またはDNAベクターを提供する。そのようなベクターを、例えば、アトピー性皮膚炎を有するイヌへの投与に適したワクチンに使用することができる。

0030

また本発明は、本発明のTSLPタンパク質を生成する方法を提供する。そのような方法の1つは、本発明の宿主細胞を適切な培地で培養することを含む。さらに、この方法は、培養した宿主細胞または培地からTSLPタンパク質を単離および/または精製するステップを含む。また、得られた単離および/または精製TSLPタンパク質は、本発明の一部である。

0031

また、本発明のワクチンによってハイブリドーマ系において誘発された抗TSLP抗体は、本発明の一部である。このタイプの一実施形態において、哺乳動物のハイブリドーマ系を使用する。特定の実施形態において、抗体を、単離および/または精製する。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルのいずれかであり得る。本発明によれば、非イヌ種において誘発されたモノクローナル抗体を、場合によって、イヌの対象に注射すると、最小限に抗原性であるように、イヌ化するように操作することができる。ある好ましい実施形態において、本発明による任意の抗体の結合ドメインは、場合によって、例えば、開裂によっておよび/または組換えFv、FabおよびF(ab’)2結合タンパク質として、元の抗体より小さい結合断片に変換される。また、自然発生重鎖抗体(例えば、NANOBODIES(登録商標))の固有な構造的および機能的特性を含有する抗体誘導性治療用タンパク質も本発明に含まれる。さらに、TSLPに対する高親和性および低免疫原性を有する抗体代用物(例えば、TSLP受容体の結合部から調製されたアビマー)も、本発明に含まれる。本発明の抗イヌTSLP抗体/アビマーを、有効量の抗イヌTSLP抗体を投与することにより、アトピーのイヌのアレルギー症状を治療する方法において容易に使用することができる。

0032

また本発明は、本発明の有効量のTSLPタンパク質、1つ以上のその抗原性断片、または完全長タンパク質と1つ以上のそのような断片の組合せと組合せて有効量の非TSLP免疫原を含むワクチンを提供する。このタイプの特定の実施形態において、TSLPタンパク質は、イヌTSLPタンパク質である。より特定の実施形態において、イヌTSLPタンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を含む。

0033

さらに本発明は、本発明のイヌTSLPタンパク質、その断片ならびに/またはイヌTSLPおよびその断片により誘発された抗体を使用する診断法を提供する。一実施形態において、本発明は、イヌから表皮試料を得ることと、この表皮試料におけるイヌTSLPタンパク質の存在を判定することとを含む、イヌのアトピー性皮膚炎を診断する方法を提供する。

0034

本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
胸腺間質リンホポエチンタンパク質(TSLP)またはその抗原性断片であって、該TSLPタンパク質が28アミノ酸残基のシグナル配列を除く配列番号2のアミノ酸配列に80%以上同一性を有するアミノ酸配列を含み、該TSLPタンパク質が配列番号2のアミノ酸を含むイヌTSLPに対して惹起された抗体と交差反応性である、胸腺間質リンホポエチンタンパク質またはその抗原性断片。
(項目2)
前記TSLPがエピトープ特異的イヌTSLP抗体と結合する、項目1に記載のTSLP。
(項目3)
イヌTSLPである、項目1に記載のTSLP。
(項目4)
配列番号2のアミノ酸残基29〜155を含む、項目3に記載のイヌTSLPタンパク質。
(項目5)
前記断片が配列番号8〜101またはその2つ以上の組合せから成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目4に記載のイヌTSLPタンパク質の抗原性断片。
(項目6)
配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34またはその2つ以上の組合せから成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目5に記載の抗原性断片。
(項目7)
前記抗原性断片が



(配列番号118)の5〜22の連続したアミノ酸のアミノ酸配列を含み、該抗原性断片がエピトープ特異的イヌTSLP抗体に結合する、項目4に記載のTSLPタンパク質の抗原性断片。
(項目8)
薬学的に許容されるアジュバント、ならびに有効量の、項目1に記載のTSLPタンパク質、該TSLPタンパク質の抗原性断片およびその組合せから成る群から選択される免疫原を含むワクチン。
(項目9)
前記TSLPタンパク質の抗原性断片が配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34またはその組合せから成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目8に記載のワクチン。
(項目10)
項目1に記載のTSLPタンパク質をコードする核酸分子。
(項目11)
項目4に記載のTSLPタンパク質をコードする、またはその抗原性断片をコードする核酸分子。
(項目12)
配列番号1のヌクレオチド配列を含む、項目11に記載の核酸分子。
(項目13)
項目11に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
(項目14)
項目13に記載の発現ベクターを含むワクチン。
(項目15)
適切な培地で宿主細胞を培養することを含む、TSLPタンパク質を生成する方法であって、該宿主細胞が項目13に記載の発現ベクターを含み、該TSLPタンパク質が発現される、方法。
(項目16)
培養した前記宿主細胞または前記培地から前記TSLPタンパク質を単離することを更に含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
項目8に記載のワクチンの有効量で哺乳動物を免疫化することを含む、該哺乳動物において抗TSLP抗体を誘発する方法。
(項目18)
項目8に記載のワクチンの有効量でイヌを免疫化することを含む、該イヌにおけるTSLP活性を下方制御する方法。
(項目19)
項目8に記載のワクチンの有効量でイヌを免疫化することを含む、アトピーのイヌにおけるアレルギー症状を治療または予防する方法。
(項目20)
前記アレルギー症状がアレルギー性皮膚炎または喘息を含む、項目19に記載の方法。(項目21)
項目8に記載のワクチンによって哺乳動物において、または哺乳動物のハイブリドーマ系において誘発される抗イヌTSLP抗体。
(項目22)
項目21に記載の抗イヌTSLP抗体の有効量を投与することを含む、アトピーのイヌにおけるアレルギー症状を治療する方法。
(項目23)
非TSLP免疫原の有効量を更に含む、項目8に記載のワクチン。
(項目24)
非TSLP免疫原の有効量を更に含む、項目9に記載のワクチン。
(項目25)
イヌから表皮試料を得ることと、該表皮試料において項目4に記載のイヌTSLPタンパク質の存在を測定することとを含む、該イヌにおけるアトピー性皮膚炎を診断する方法。
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の図および詳細な説明を参考とすることによって、より良く理解されるであろう。

図面の簡単な説明

0035

イヌTSLPタンパク質を発現する真核生物無細胞タンパク質合成系由来のタンパク質のSDS−PAGE分析を図示する。レーン1:タンパク質標準、レーン2:総タンパク質、レーン3:可溶性タンパク質、レーン4:不溶性タンパク質。TSLPタンパク質バンドを矢印によって示す。
図2Aは、イヌTSLPタンパク質を発現する真核生物無細胞タンパク質合成系由来のタンパク質のウエスタンブロット分析を図示する。タンパク質を、Invitrogen社の抗His(C Term)/APAbと反応させた。レーン1:タンパク質標準、レーン2:総タンパク質、レーン3:可溶性タンパク質、レーン4:不溶性タンパク質。イヌTSLPタンパク質は、(矢印によって示されるように)総タンパク質および不溶性タンパク質において検出された。図2Bは、イヌTSLPタンパク質を発現する真核生物無細胞タンパク質合成系由来のタンパク質のウエスタンブロット分析を図示する。タンパク質を、ヒトTSLPに特異的なラットモノクローナル抗体で反応させた。レーン1:タンパク質標準、レーン2:総タンパク質、レーン3:可溶性タンパク質、レーン4:不溶性タンパク質。イヌTSLPタンパク質は、(矢印によって示されるように)総タンパク質および不溶性タンパク質において検出された。
図3Aは、大腸菌宿主細胞由来のTSLPの発現および精製を図示する。また、イヌTSLPと融合パートナーのGSTタンパク質および6つのヒスチジン残基タグとの融合を表す、可溶性大腸菌画分に存在する@61kdのバンドを示す。“M”は、タンパク質標準を示す(図3A〜3Dすべてで同じ)。レーン1およびレーン2は、それぞれIPTG誘導のない場合およびIPTG誘導のある場合のプラスミド1265−93Bを含有する大腸菌B121(DE3)pLysSの可溶性画分である。矢印は、GST−TSLP−His融合タンパク質バンドを示す(図3A〜3Dすべてで同じ)。図3Bは、GST−TSLP−Hisタグ付き融合タンパク質がGlutathione Sepharose 4B樹脂によって精製される可能性のあることを示す。レーン1〜3は、Glutathion Sepharose 4B樹脂の異なる溶出画分を表す。図3Cは、レーンBの融合タンパクがさらにNi−NTA樹脂を使用して精製される可能性のあることを示す。本図は、Ni−NTA樹脂によるGlutathione Sepharose 4Bの精製後のGST−TSLP−His融合タンパク質の再精製を図示する。レーン1は、フロースルーであり、レーン2は、Ni−NTA樹脂の溶出(elecution)である。図3Dは、GST−TSLP−His融合タンパク質のウエスタンブロットを図示し、融合タンパク質が抗GST抗体(GE Health Care Cat No.27457701)によって認識されることが認められる。
アトピー性皮膚炎と診断されたイヌ#10197から得た病変皮膚組織パラフィン包ブロックからの切片FITC染色を図示する。切片を、ウサギ抗ヒトTSLPポリクローナル抗体で反応させ、反応をストレプトアビジン−FITC(フルオレセインイソチオシアネート)で可視化した。蛍光強度明るい領域)は、組織内に存在するTSLPへのウサギ抗ヒトTSLPポリクローナル抗体の結合を示す。
図5Aは、アトピー性皮膚炎と診断されたイヌから得た病変皮膚組織のパラフィン包埋ブロックからの切片の免疫ペルオキシダーゼ染色を図示する。この切片において、ラット抗ヒトTSLPモノクローナル抗体による皮膚試料表皮領域拡散した染色が認められる[暗い領域]。図5Bは、対照の切片を図示する。切片は、対照のリン酸緩衝液のみで処理した、アトピー性皮膚炎と診断されたイヌから得た病変皮膚組織のパラフィン包埋ブロックに由来した。
ラット抗ヒトTSLPモノクローナル抗体によるイヌTSLPタンパク質のエピトープマッピングを図示する。特に興味があるピークは、エピトープ番号22〜26(配列番号29〜33)のものである。またエピトープ22〜26では、N末端誘導体化により調査し(55以上のピーク)、結合エピトープがN末端残基を必要としないことを確認した。
イヌ(配列番号32)とエピトープ25のヒトアナログ(配列番号3)のTSLPペプチド配列の比較を図示する。
図8Aは、イヌTSLP遺伝子のDNA配列を図示する(配列番号1)。図8Bは、図8Aによって図示したDNA配列によって発現される、予測のTSLPポリペプチドを図示する(配列番号2)。星印は、最初のシグナル配列(残基1〜28)のN末端を示し、下線を引いた残基71〜92(配列番号118)は、表2の重複するエピトープ22〜26が測定されたドメインを表す。

0036

アトピー性皮膚炎(“AD”)は、Th2介在アレルギー性炎症性疾患である。本疾患は、それ自体、ヒトおよびイヌの患者で多くの同様な臨床徴候を呈する。イヌにおけるADの免疫病因は、皮膚病変に関わる細胞型およびサイトカインに関してヒトのADと類似していると考えられる。

0037

Th2リンパ球上に選択的に発現するCCケモカイン受容体4(CCR4)へのTARCリガンド(CCL22)の結合は、アレルギー性病変へのこれらの細胞の選択的移動を誘発する。TARCおよびその受容体CCR4がイヌのAD皮膚の病変において上方制御されることが報告されている。TSLPは、ヒトのTARCの強力な誘導物質であるので、TSLPがイヌのADの病変に存在する可能性があると仮定された。したがって、ヒトTSLPに対して惹起された抗体を、ADイヌ患畜の病変皮膚に対して試験した。これらの皮膚試料の免疫組織化学検査により、図4で示すように、病変の抗ヒトTSLP抗体と反応性である抗原の存在を確認した。しかし、本明細書に開示されるような哺乳動物種ではTSLPの核酸およびアミノ酸配列の相違が大きいため、ネズミおよびヒトTSLPをコードする遺伝子に対するイヌの相同分子種を同定する作業は、特に困難であると判明した。

0038

本発明のTSLPおよび/またはその1つ以上の抗原性断片で飼いイヌを免疫化することは、免疫化されたイヌにおいて、内因性TSLPの活性レベルを減少させ、したがって、1つ以上のアトピー性症状(例えば、喘息および/またはアトピー性皮膚炎において生じる症状)を緩和、排除および/または予防するはずである。さらに、イヌTSLPタンパク質を、飼いイヌまたは他の哺乳動物種の研究および/または診断試薬として用いるための抗イヌTSLP抗体を誘発するための免疫原として使用することができる。あるいは、特別の場合において、イヌTSLPタンパク質および/またはイヌTSLPをコードする核酸は、免疫障害のあるイヌの免疫系の構成要素を、例えば、STAT活性化またはTARC発現(例えば、造血細胞における)を通して、上方制御するために役立つ可能性がある。

0039

本発明を完全に理解するために、以下の定義を提供する。

0040

記述における便宜上の単数形用語の使用は、決してそのような制限を付けることを意図するものではない。したがって、例えば“ポリペプチド”を含む組成物への参照は、1つ以上のそのようなポリペプチドへの参照を含む。本明細書で使用する“約(approximately)”という用語は、“約(about)”という用語と交換可能に使用され、値が、示された値の20パーセント以内であることを示す(すなわち、“約(approximately)”50のアミノ酸残基を含有するペプチドは、40〜60の間のアミノ酸残基を含有し得る)。

0041

結合組成物”という用語は、例えば、抗体−抗原相互作用において、特異的にイヌTSLPに結合する分子を意味する。この特異性は、例えば、特定の実施形態または関連の実施形態の群(例えば、イヌTSLPおよび/またはイヌの抗体)に特異的など、多少、包括的である。

0042

本明細書で使用する“イヌ”という用語は、特に明記しない限り、すべての飼いイヌ、Canis lupus familiarisまたはCanis familiarisを含む。

0043

本明細書で使用する“ポリペプチド”という用語は、“タンパク質”および“ペプチド”という用語と交換可能に用いられ、ペプチド結合によって接続される1つ以上のアミノ酸を含むポリマーを意味する。本明細書で使用する“ポリペプチド”という用語は、重要な断片またはセグメントを含み、少なくとも約8つのアミノ酸、一般的に少なくとも12のアミノ酸、典型的に少なくとも約16のアミノ酸、好ましくは少なくとも約20のアミノ酸、および特に好ましい実施形態において、少なくとも約30以上のアミノ酸(例えば、35、40、45、50など)のアミノ酸残基のストレッチ包含する。そのような断片は、例えば、すべての実際的な組合せで、残基1、2、3などで始まり、例えば155、154、153などで終わる、実質的にすべての位置で始まり、および/または終わる末端を有することができる。

0044

場合によって、ポリペプチドは、遺伝子またはmRNAによってコードされるあるアミノ酸残基を欠いている場合がある。例えば、遺伝子またはmRNA分子は、切断されるポリペプチドのN末端上にアミノ酸残基の配列(すなわち、シグナル配列)をコードする可能性があり、したがって、最終的なタンパク質の一部でない可能性がある。

0045

本明細書で使用するアミノ酸配列は、2つのアミノ酸配列が同一および/または以下の定義のように中性置換(neutral substitution)もしくは保存的置換だけによって異なる場合、2番目のアミノ酸配列に100%“相同”である。したがって、2つのアミノ酸配列の約80%が同一および/または中性もしくは保存的置換のみによって異なる場合、アミノ酸配列は2番目のアミノ酸配列と約80%“相同”である。

0046

機能的に同等のアミノ酸残基を、しばしば、保存的アミノ酸置換において生じる配列内の残基と置換させることができる。そのような変更は、本明細書で使用する“保存的置換”という用語を定義する。例えば、配列内の1つ以上のアミノ酸残基を、機能的同等物として作用する同様の極性の別のアミノ酸によって置換することができ、結果としてサイレントな変更をもたらす。配列内のアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、非極性疎水性)アミノ酸はアラニンロイシンイソロイシンバリンプロリンフェニルアラニントリプトファンおよびメチオニンを含む。芳香環構造を含有するアミノ酸は、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンである。極性中性アミノ酸は、グリシンセリントレオニンシステイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンを含む。正に荷電した(塩基性)アミノ酸は、アルギニンリジンおよびヒスチジンを含む。負に荷電した(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。そのような変更は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した見かけの分子量、または等電点に影響しないであろう。

0047

特に好ましい保存的置換は、陽電荷を維持することができるようにArgに対するLysおよびその逆、陰電荷を維持することができるようにAspに対するGluおよびその逆、遊離−−OHを維持することができるようにThrに対するSer、ならびに遊離NH2を維持することができるようにAsnに対するGlnの置換である。またアミノ酸を、以下の類似の群(1)プロリン、アラニン、グリシン、セリンおよびスレオニン、(2)グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸およびアスパラギン酸、(3)ヒスチジン、リジンおよびアルギニン、(4)システイン、(5)バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、ならびに(6)フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンに配置することができる。

0048

関連の実施形態において、2つの相同性の高いDNA配列を、それら自身の相同性またはそれらがコードするアミノ酸の相同性によって同定することができる。そのような配列の比較は、配列のデータバンク入手可能な標準ソフトウェアを使用して実施することができる。特定の実施形態において、2つの相同性の高いDNA配列は、約80%の同一性、より好ましくは約90%の同一性、さらにより好ましくは約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードしている。より具体的には、2つの相同性の高いアミノ酸配列は、約80%の同一性、さらにより好ましくは約90%の同一性、さらにより好ましくは約95%の同一性を有する。

0049

本明細書で使用するタンパク質およびDNA配列の同一性率(パーセント)は、Accelrys(米国マサチューセッツ州バーリントン)より市販されているMacVector v9、ならびに配置デフォルトパラメータおよび同一性に対するデフォルトパラメータを用いたClustal Wアルゴリズムを使用して測定することができる。例えば、Thompson,et al,.1994.Nucleic AcidsRes 22:4673−4680を参照。Clustal Wは、Dos、MacintoshおよびUnix(登録商標)プラットフォームのために、例えば、EMBLI、European Bioinformatics Instituteから無料ダウンロードできる。さしあたりのダウンロードリンクは、http://www.ebi.ac.uk/clustalw/.で見つけられる。これらおよび他の入手可能なプログラムも、同一または類似のデフォルトパラメータを使用して配列類似性を測定するために使用することができる。

0050

ポリヌクレオチド”または“核酸分子”は、RNA、cDNAゲノムDNA、および合成DNA配列さえ含むが、これに限定されるものでない、ヌクレオチドを含む分子である。また、本用語は、DNAおよびRNAの公知技術の任意の塩基アナログを含む核酸分子を包含することも企図される。

0051

本発明は、本発明のTSLPタンパク質をコードするヌクレオチド配列とハイブリッド形成する核酸を提供する。核酸分子の一本鎖形態を、適切な温度および溶液イオン強度条件下で、他の核酸分子にアニールできる場合、核酸分子は、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAなどの別の核酸分子と“ハイブリッド形成可能”である(Sambrook and Russell,Molecular Cloning,A laboratory Manual,3rd edition,Cold Spring Harbor
Laboratory Press,Cold Spring Harbor L.I.(2000)を参照)。

0052

高いストリンジェンシーのハイブリッド形成条件は、最も高いTm(例えば、50%のホルムアミド、5×または6×SSC)に対応する。ハイブリッド形成は、2つの核酸が相補配列を含有することが必要である。しかし、ハイブリッド形成のストリンジェンシーに応じて、塩基間のミスマッチも可能である。核酸をハイブリッド形成するための適切なストリンジェンシーは、当該技術分野で周知の変数である核酸の長さおよび相補の程度に基づく。2つのヌクレオチド配列の類似性または相同性の程度が大きいほど、これらの配列を有する核酸のハイブリッドに関するTm値は大きい。核酸ハイブリッド形成の相対的安定性(より高いTmに対応する)は、以下の順序で減少する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100を超えるヌクレオチドのハイブリッドについては、Tmを算出するための式は、導き出された強度(strength)である(Sambrook and Russell,Molecular Cloning,A laboratory Manual,3rd edition,Cold Spring
Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor L.I.(2000)を参照)。より短い核酸(すなわち、オリゴヌクレオチド)でのハイブリッド形成については、ミスマッチの位置がより重要になり、オリゴヌクレオチドの長さはその特異性を決定する。

0053

好ましくは、ハイブリッド形成可能な核酸の最小の長さは、少なくとも約12ヌクレオチドであり、より好ましくは少なくとも約18ヌクレオチドであり、さらにより好ましくは、長さは少なくとも約24ヌクレオチドであり、最も好ましくは少なくとも約36ヌクレオチドである。特定の実施態様において、“標準的なハイブリッド形成条件”という用語は、55℃のTmを意味し、前述のような条件を利用する。別の特定の実施形態において、ストリンジェントな条件は、それぞれ、ハイブリッド形成および洗浄条件に対してTmが65℃であることを意味する。

0054

DNA“コード配列”または特定のタンパク質またはペプチドを“コードする配列”は、適切な調節エレメントの制御下に置かれた場合にin vitroまたはin vivoでポリペプチドに転写および翻訳されるDNA配列である。

0055

コード配列の境界は、5’末端の開始コドンおよび3’末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード配列は、原核生物の配列、真核生物のmRNA由来のcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)DNA由来のゲノムDNA配列、および合成DNA配列さえも含み得るが、これらに限定されるものではない。転写終結配列は、通常、コード配列に対して3’方向に位置する。

0056

作動可能に結合した”は、そのように記述されるコンポーネントがこれらの通常の機能を実行するように配列されるエレメントの配置を意味する。したがって、コード配列に作動可能に結合した調節エレメントは、コード配列の発現を生じさせることができる。調節エレメントは、その発現を指示するように機能する限り、コード配列に隣接する必要はない。したがって、例えば、介入するまだ翻訳されていない転写配列は、プロモーターとコード配列の間に存在する可能性があり、プロモーターは依然としてコード配列に“作動可能に結合した”と考えることができる。

0057

本明細書で使用する“異種のヌクレオチド配列”は、自然において自然に形成しない核酸を形成させるために、組換え法によって本発明のヌクレオチド配列に加えられるヌクレオチド配列である。そのような核酸は、融合(例えば、キメラ)タンパク質をコードすることができる。したがって、異種のヌクレオチド配列は、調節的および/または構造的特性を含有するペプチドおよび/またはタンパク質をコードすることができる。別のそのような実施形態において、異種のヌクレオチド配列は、組換え核酸が発現されたあと、本発明のヌクレオチド配列によってコードされたタンパク質またはペプチドを検出する手段として機能するタンパク質またはペプチドをコードすることができる。さらに別の実施形態において、異種のヌクレオチド配列は、本発明のヌクレオチド配列を検出する手段として機能することができる。異種のヌクレオチド配列は、制限部位調節部位、プロモーターなどを含む非コード配列を含むことができる。

0058

本明細書で使用する“融合タンパク質”および“融合ペプチド”という用語は、交換可能に使用され、“キメラタンパク質および/またはキメラペプチド”および融合“インテイン(intein)タンパク質/ペプチド”を包含する。融合タンパクは、ペプチド結合によって少なくとも一部の別のタンパク質(例えば、非イヌTSLPタンパク質)に結合した本発明の少なくとも一部のイヌTSLPタンパク質を含み、および/またはイヌTSLPポリペプチド(例えば、ペプチド結合で結合された配列番号2のアミノ酸残基71〜75および101〜105から成る10アミノ酸残基の融合ペプチド)において隣接/連続した順番天然に存在しないイヌTSLPタンパク質(例えば、エピトープ)の2つ以上の非連続部分の組合せを含む。好ましい実施形態において、イヌTSLPタンパク質の部分は、作動可能である(例えば、その抗原性を保持する)。融合タンパクは、マーカータンパク質、または本発明のイヌTSLPタンパク質の単離および/もしくは精製(例えば、FLAGタグ、下記の実施例を参照)および/もしくは抗原性を助けるタンパク質を含むことができる。非イヌTSLP配列は、イヌTSLP配列に対してアミノ末端またはカルボキシ末端であり得る。

0059

本発明の融合タンパクをコードする組換えDNA分子は、例えば、イヌのTSLPコード配列にインフレームで結合した少なくとも非イヌTSLPタンパク質の一部をコードする配列を含むことができ、さらにイヌTSLP配列と非イヌTSLP配列との好ましくは接合部および接合部近くの特定のプロテアーゼ(例えば、トロンビンまたは第Xa因子)に対する切断部位をコードすることができる。特定の実施態様において、融合タンパクは、原核細胞内で発現される。そのような融合タンパクは、本タンパク質に特異的なアフィニティーカラムおよび/またはイヌTSLPに融合したタグの使用を通して、本発明のイヌTSLPを単離するために使用することができる(下記の実施例を参照)。例えば、精製されたイヌTSLPを、次にタンパク質分解酵素および前述したような切断部位を使用することによって融合タンパク質から放すことができる。

0060

“ベクター”または“複製ベクター”は、別のDNAセグメントが付着したセグメントの複製を生じさせるように付着または取り込ませることが可能なレプリコン(例えばプラスミド、ウイルスファージまたはコスミド)である。また本用語は、当該の取り込ませたまたは付着させたDNAセグメントを含むレプリコンを含む。

0061

本発明で使用できるベクターは、微生物プラスミド、ウイルス、ウイルス、バクテリオファージ、組込み可能なDNA断片および宿主のゲノムへの核酸の組込みを促進することができる他の媒体を含む。プラスミドは最も一般的に使用されるベクターであるが、同等の機能を果たし、当該技術分野で公知であるか、公知になる他のすべてのベクターは、本明細書の使用に適している。(例えば、Pouwelsら、Cloning Vectors: A Laboratory Manual,1985 and Supplements,Elsevier,N.Y.,and Rodriguezら、 (eds.),Vectors: A Survey of Molecular Cloning
Vectors and Their Uses,1988,Buttersworth,Boston,MA.を参照)。

0062

本発明のイヌTSLPタンパク質をコードするDNAのベクターへの挿入は、DNAおよびベクターの両方の末端が互換性を有する制限部位を含む際容易に達成される。これができない場合は、DNAおよび/もしくはベクターの末端を、制限エンドヌクレアーゼ切断によって生成された一本鎖DNA突出部を消化して平滑末端に戻すことによって改変するか、または適切なDNAポリメラーゼ一本鎖の末端を充填することによって、同じ結果を達成する必要があり得る。あるいは、所望の部位を、例えば、末端上へヌクレオチド配列(リンカー)を連結させることによって作製することができる。そのようなリンカーは、所望の制限部位を規定する特異的なオリゴヌクレオチド配列を含み得る。制限部位も、ポリメラーゼ連鎖反応PCR)を用いることにより生成することができる。例えば、Saikiら、Science 239:487(1988)を参照。また、切断されたベクターおよびDNA断片を、必要に応じて、ホモポリマー末端化により改変し得る。

0063

本発明で使用される組換え発現ベクターは、典型的に、本発明のイヌTSLPタンパク質および/またはその抗原性断片をコードする核酸を含む自己複製DNAまたはRNA構築物であり、通常、互換性を有する宿主細胞における核酸の発現を調節し得る適切な遺伝子調節エレメントに作動可能に連結される。遺伝子調節エレメントは、原核生物プロモーター系または真核生物プロモーター発現制御系を含むことができ、典型的に、転写プロモーター、転写の開始を制御する選択的オペレーターmRNA発現のレベルを上昇させる転写エンハンサー、適切なリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳を終結させる配列を含む。また、発現ベクターは、宿主細胞から独立してベクターの複製を可能にする複製開始点を含み得る。

0064

本発明のイヌTSLPタンパク質をコードする核酸の発現を、原核細胞または真核細胞のいずれかにおける従来法によって実施することができる。

0065

“宿主細胞”は、外因性の核酸分子を一過性または恒久的に含有するか、または包含および発現することができる細胞である。細胞は、そのような外因性DNAが細胞膜の内側に導入されると、外因性DNAによって“形質転換される”。外来性DNAは、細胞のゲノムを形成する染色体DNAに組み込まれても(共有結合によって)、組み込まれなくても良い。原核生物および酵母において、例えば、外来性DNAは、エピソームエレメント(例えば、プラスミド)に保持され得る。真核細胞に関して、安定して形質転換される細胞は、外来性DNAが染色体に組み込まれ、染色体複製を通して娘細胞により遺伝される細胞である。この安定性は、外来性DNAを含有する娘細胞集団から成る細胞系またはクローンを確立する真核細胞の能力によって示される。

0066

原核生物は、グラム陰性および陽性菌(例えば、大腸菌および枯草菌(B.subtilis))の両方を含む。真核生物は、非哺乳動物起源(例えば、昆虫細胞およびトリ)および哺乳動物起源(例えば、ヒト、霊長類および齧歯類)の両方の動物細胞由来の確立された組織培養細胞系を含む。

0067

原核宿主ベクター系は、多くの異なる種に対する多種多様なベクターを含む。DNA増幅のためのベクターは、pBR322もしくは多くのその誘導体、またはpET42b(+)発現ベクター(Novagen)を含む。

0068

典型的に使用される原核発現調節配列は、プロモーターを含んで使用され、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系(Changら、Nature,198:1056(1977))、例えば、pUC−シリーズ、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら、Nucleic AcidsRes.8:4057(1980))、例えば、(pBR322−trp)、ラムダPLプロモーター系(Shimatakeら、Nature,292:128(1981))、ラムダ−pPもしくはpRプロモーター(pOTS)、アラビノース誘導プロモーター(In Vitrogen)、tacプロモーター(De Boerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
292:128(1983))、Ippプロモーター(pINシリーズ)、またはptac(pDR540)などのハイブリッドプロモーターから誘導されたプロモーターを含む。また、そのような調節配列を含有する数多くの他の発現ベクターは、当該技術分野で公知であり、市販されている。(また、Brosiusら、“Expression Vectors Employing Lambda−,trp−,lac−,and Ipp−derived Promoters”,in Rodriguez and Denhardt(eds.)Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,1988,Buttersworth,Boston,pp.205−236.を参照)。

0069

また、他の原核生物において使用できる大腸菌のために適切なベクターと遺伝的に同等なベクターも、本発明のTSLPタンパク質を発現させるために使用することができる。

0070

酵母は、高等真核組織培養細胞と同様に、本発明のイヌTSLPタンパク質、ならびに/または抗イヌTSLP抗体および/もしくはそれらの抗体の断片の組換え体生産のための宿主として企図される。任意の高等な真核組織培養細胞系(昆虫バキュロウイルス発現系を含む)が使用できるが、哺乳動物細胞が好ましい。このような細胞の形質転換または形質移入および増殖は慣用手法となっている。有用な細胞株の例は、HeLa細胞、Chineseハムスター卵巣(CHO)細胞株、ラット胎仔腎臓(BRK)細胞株、昆虫細胞株(例えば、SF9)、トリ細胞株(例えば、DF−11)、Madin−darbyウシ腎臓(MDBK)細胞、Madin−Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞系、Vero細胞HEK−293細胞系およびサル(COS)細胞株を含む。

0071

このような細胞株のための発現ベクターは、通常、例えば、複製開始点、プロモーター、翻訳開始部位、RNAスプライス部位(ゲノムDNAが使用される場合)、ポリアデニル化部位、および転写終止部位を含む。これらのベクターはまた、通常、選択遺伝子または増幅遺伝子を含有する。適切な発現ベクターは、例えば、アデノウイルスSV40パルボウイルスワクシニアウイルス、またはサイトメガロウイルスなどの供給源から誘導されたプロモーターを有するプラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスであり得る。適切な発現ベクターの代表例は、pCR(登録商標)3.1、pCDNA1、pCD(Okayamaら、Mol.Cell Biol.5:1136(1985))、pMC1neo Poly−A(Thomasら、Cell 51:503(1987))、pUC19、pREP8、pSVSPORT、およびその誘導体、ならびにバキュロウイルスベクター(例えば、pAC373またはpAC610)を含む。

0072

一旦発現されると、本発明のイヌTSLPは、硫安塩析、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィーなどを含む当該技術分野の標準的方法に従って精製することができる(一般的に、R.Scopes,PROTEIN PURIICATION,Springer− −Verlag,N.Y.(1982)を参照)。医薬用途には、少なくとも約90〜95%の均一性の実質的に純粋な組成物が好ましく、98〜99%またはそれ以上の均一性が最も好ましい。精製は、部分的であっても、所望される均質性までであってもよい。イヌTSLPが治療的に使用される場合、本タンパク質は、実質的にエンドトキシンを含んではならない。結合抗−TSLP抗体カラム、または結合TSLP−受容体カラム上の発現したTSLPの選択的精製は、高度に精製されたイヌTSLPタンパク質を得るための利用可能な方法である。

0073

精製の方法は、当該技術分野で周知である。例えば、核酸は、沈殿クロマトグラフィー超遠心分離法および他の手段によって精製することができる。タンパク質およびポリペプチドは、ペプチドと同様に、分取ディスクゲル電気泳動等電点電気泳動HPLC逆相HPLC、ゲル濾過イオン交換および分配クロマトグラフィー、沈殿および塩析クロマトグラフィー、抽出ならびに向流分配を含むが、これに限定されるものではない様々な方法により精製することができる。いくつかの目的のために、ポリヒスチジン配列または抗体に特異的に結合する配列(例えば、FLAG(登録商標)およびGST)などがあるが、これらに限定されるものでない精製を促進する更なる配列タグをタンパク質が含有する、組換え系でポリペプチドを生成することが好ましい。次に、ポリペプチドは、宿主細胞の粗溶菌液から、適切な固相マトリックスのクロマトグラフィーによって精製することができる。あるいは、ポリペプチドに対して惹起された抗体またはその結合断片を、精製試薬として使用することができる。

0074

溶媒および電解液は、生物活性の保存に使用されるタイプの中で、通常、生物学的に互換性を有する緩衝液であり、通常、生理的水性溶媒に近い。通常、溶媒は、中性のpHを有し、典型的に、約5〜10の間であり、好ましくは約7.5のpHである。場合によって、1種または複数の界面活性剤を加え、典型的には、軽い非変性の界面活性剤である、例えば、CHS(コレステリルヘミスクシナート)もしくはCHAPS(3−[3コールアミドプロピルジメチルアンモニ−オ]−1−プロパンスルホン酸塩を加えるか、または本タンパク質の構造的もしくは生理的特性の顕著な破壊を避けるために十分低い濃度の界面活性剤を加える。他の例において、強力な界面活性剤を、著しい変性を生じさせるために使用することができる。

0075

あるいは、大腸菌または他の細菌由来の機能的な異種タンパク質を、強力な変性剤を使用した可溶化、および続くリフォールディングによって封入体から単離することができる。公知技術の変性剤は、単に一例として、尿素チオシアン酸カリウム、グアナジンHCl(“GuHCl”)、ヨウ素酸カリウムおよび/またはヨウ化ナトリウムならびにこれらの組合せを含む。好ましくは、GuHClは、アルカリ条件下で(例えば、約pH8)、還元剤(例えば、濃度約6M〜約8M)として使用する。場合によって、別の還元剤のジチオスレイトール“DTT”を、単独で、または、GuHClと併せて使用する。DTTが使用される際に、濃度は、単に一例として、約50mM〜約0.5mM DTTの範囲である。可溶化ステップの間、当該技術分野で周知のように、還元剤が、ジスルフィド結合を分離または変性させるために存在しなければならない。1つの例示的な還元緩衝液は、0.1MトリスpH8.0、6Mグアニジン、2mMEDTAおよび0.3MDTEジチオエリトリトール)である。

0076

再生は、典型的に、酸化剤の存在下で、変性または還元されたタンパク質をリフォールディング緩衝液希釈する(例えば、100倍)することによって達成される。好収率の正しいリフォールディングを可能にするという条件で、任意の適切な公知技術の酸化剤を使用することができる。例えば、酸化およびリフォールディングは、Saxena,ら、1970,Biochemistry 9:5015−5021(参考として本明細書で援用される)に記載のように、および特に上記のBuchner,ら、に記載のように、還元および酸化された形態で、低分子量チオール試薬によってもたらすことができる。再生は、典型的に、変性または還元されたタンパク質をリフォールディング緩衝液に希釈(例えば、100倍)することによって達成される。1つの例示的なリフォールディング緩衝液は、トリスHCl 100mM、pH10.0、25mMEDTA、NaCl 0.1M、GSSG551mg/L、0.5Mアルギニンである。GSSGは、グルタチオン酸化型である。

0077

一般的に、ポリペプチドの大きさおよび構造は、実質的に安定状態であるべきで、通常、変性状態であるべきではない。本ポリペプチドは、四次構造で他のポリペプチドと会合するか(例えば、溶解性を与えるために)、または脂質もしくは界面活性剤と会合し得る。

0078

実質的に純粋は(例えば、タンパク質の文脈で)、典型的に、タンパク質が元の供給源微生物由来の他の夾雑タンパク質、核酸、または他の生物物質を含まないことを意味する。純度標準法によって、典型的に、重量によって評価することができ、通常、少なくとも約40%純粋、一般的に少なくとも約50%純粋、しばしば少なくとも約60%純粋、典型的に少なくとも約80%純粋、好ましくは約90%純粋、および最も好ましい実施形態において少なくとも約95%純粋である。しばしば、担体または賦形剤が加えられる。純度は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動イムノアッセイ組成分析バイオアッセイおよび当該技術分野で公知の他の方法によって評価することができる。機能的態様から、本発明に従って単離されるイヌTSLPタンパク質は、イヌTSLPタンパク質に特異的である免疫応答を誘発できるように、前駆体イヌTSLPタンパク質および/または成熟イヌTSLPタンパク質を含む他の物質から十分に分離されたイヌTSLPタンパク質である。

0079

ポリペプチドまたは断片の溶解性は、環境およびポリペプチドに左右される。温度、電解質環境、ポリペプチドの大きさおよび分子特性、ならびに溶媒の性質などの多くのパラメータは、ポリペプチド溶解性に影響を及ぼす。典型的に、ポリペプチドが使用される温度は、約4℃〜約65℃の範囲である。通常、温度は約18℃より高い。診断目的では、温度は、およそ室温か、それより暖かい温度であるが、アッセイの成分の変性温度未満である。治療的目的では、温度は、通常、体温であり、典型的に、約36℃〜約40℃(例えば、イヌでは約39℃)であるが、ある状況下では、温度はin situまたはin
vitroで上昇または下降し得る。

0080

本明細書で使用する、特定のタンパク質に関する“抗原性断片”という用語は、抗原性である(すなわち、免疫グロブリン(抗体)またはT細胞抗原受容体などの免疫系の抗原認識分子と特異的に相互作用することができる)そのタンパク質の断片(例えば、完全長タンパク質からわずか単一アミノ酸が失われている大きな断片など)である。例えば、本発明のイヌTSLPの抗原性断片は、抗原性であるイヌTSLPの断片である。そのような断片は、免疫化のために担体分子に断片を結合した後に、これらをTSLPタンパク質に対する抗体を生成するために使用できる限り、それ自身で免疫原である(すなわち、担体なしに免疫反応を誘発することができる)必要はない。しかし、好ましくは、本発明の抗原性断片は、抗体および/またはT細胞受容体認識に対して免疫優性である。

0081

特定の実施形態において、イヌTSLPの抗原性断片は、5〜150のアミノ酸残基を含有する。1つの特定の実施形態において、イヌTSLPの抗原性断片は、120を超えるアミノ酸残基を含有する。別の実施形態において、イヌTSLPの抗原性断片は、10〜120のアミノ酸残基を含有する。さらに別の実施形態において、イヌTSLPの抗原性断片は、20〜100のアミノ酸残基を含有する。さらに別の実施形態において、イヌTSLPの抗原性断片は、25〜75のアミノ酸残基を含有する。

0082

イヌTSLPの抗原性断片は、組換え供給源から、天然の供給源から単離されたタンパク質から、または、化学合成によって得ることができる。さらに、抗原性断片は、イヌTSLPまたはその断片のタンパク分解後、組換え発現によって得ることができ、または例えば、ペプチド合成によって、新たに生成することができる。

0083

ワクチン
本発明は、さらに、本発明のTSLPタンパク質、1つ以上のその抗原性断片、または全長タンパク質と1つ以上のそのような断片の組合せの有効量を含むワクチンを提供する。例えば、下記の表2に列挙したようなイヌTSLPタンパク質および/またはその断片を、タンパク質またはペプチド適合性ワクチン組成物中に取り込ませることができる。そのようなワクチン組成物は、当該技術分野において周知であり、例えば、生理的適合性の緩衝液および生理食塩水など、ならびにCARBOPOL(登録商標)またはEmulsigen(登録商標)などの薬学的に許容されるアジュバントを含み得るが、必ずしも含む必要はない。

0084

ワクチン組成物は、それを必要とするイヌの対象において(例えば、イヌの対象におけるTSLP活性の下方制御に反応する疾患または障害の臨床徴候を治療するために)、内因性抗TSLP抗体を誘発するために使用することができる。代わりに、またはそれと共に、本発明のワクチンは、イヌTSLPをスクリーニングおよび/または同定するために抗血清を誘発するために(例えば、TSLPを過剰発現させるイヌを特定するための検査キットの補助として)使用することもできる。

0085

下記の表2に開示されたTSLPのペプチドなどのTSLPのペプチドおよびその変異体を、個々にまたは様々な組合せのいずれかで免疫原として使用することができる。そのようなペプチドは、場合によって、化学的または組換えDNA法のいずれかによって、互いにおよび/または担体として知られる大きなタンパク質に結合することができる。担体は、免疫応答の標的として宿主動物によるペプチド認識を高め、TSLPペプチドの免疫原性を増加させるために作用する。いくつかの担体が当該技術分野で公知であり、破傷風トキソイドまたは破傷風毒素由来の無毒性C断片、ジフテリアトキソイド、PhoPタンパク質キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ベータガラクトシダーゼ、BHV−1ウイルス由来のgDタンパク質、狂犬病ウイルス由来のGタンパク質、イヌのジステンパーウイルス由来のFタンパク質および公知の“ユニバーサル”T細胞エピトープ重合によって生成された合成担体などの合成担体を含む。

0086

免疫原として有用なTSLPペプチドは、天然TSLPタンパク質の表面へのアクセス可能性(accessibility)、親水性原子移動性および抗原性などの属性を評価する公知のアルゴリズムを使用して、表2に記載のTSLPペプチドおよびその変異体から選択することができる。また、表2に列挙されたペプチドおよびその変異体由来のエピトープを、天然のTSLPタンパク質、および特にTSLPの生物活性を中和することが可能なこれらの抗体と反応するポリクローナルまたはモノクローナル抗体とのこれらの反応性を基にして選択することができる。そのような抗原は、標準のペプチド合成技術を使用して本明細書に開示された配列から調製された合成ペプチドを含み得、および/または代わりに、組換えもしくは天然TSLPタンパク質から得た断片であり得る。

0087

本発明の薬学的に許容されるアジュバントは、天然の供給源、組換え供給源、および/または化学的に合成した供給源などを含む、任意の多くの供給源から入手し得る。アジュバントとして使用される化学物質の例は、アルミニウム化合物代謝性および非代謝性油、ブロックポリマーISCOM(免疫刺激錯体)、ビタミンおよびミネラルビタミンEビタミンAセレンおよびビタミンB12を含むが、これに限定されるものではない)、ならびにQuit A(サポニン類)、フロインド完全アジュバント、商標CARBOPOL(登録商標)(例えば、CARBOPOL(登録商標)941)の下で販売されるようなポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコール架橋したアクリル酸のポリマー、ならびに水エマルジョン中に均一分散したミクロンサイズの油滴(例えば、商標Emulsigen(登録商標)の下で販売されるような)を含むが、これに限定されるものではない。時には、特に免疫刺激剤として呼ばれているアジュバントの更なる例は、細菌および菌類細胞壁成分(例えば、リポ多糖リポタンパク質糖タンパク質ムラミルペプチド、β−1,3/1,6−グルカン)、植物から誘導された様々な複合糖質(例えば、グリカン、アセマンナン(acemannan))、動物から誘導された様々なタンパク質
およびペプチド(例えば、ホルモン類、サイトカイン、共刺激因子)、ならびにウイルスおよび他の供給源から誘導された新規な核酸(例えば、二重鎖RNA、CpG)を含む。さらに、上述した物質の多くの組合せは、アジュバント作用をもたらし、したがって、本発明のアジュバントを形成し得る。

0088

本発明のワクチンは、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、皮内注射、経口投与、鼻腔内投与およびその組合せを含む、任意の経路で投与することができる。

0089

抗体
また本発明は、本発明のイヌTSLPタンパク質と特異的に結合するポリクローナルおよびモノクローナル(mAb)抗体を含む。本明細書で使用する、“抗体”という用語は、免疫グロブリンおよび/またはその断片を意味する。自然発生の免疫グロブリンは、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドから成る。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常域遺伝子、ならびに無数免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。また、本発明による1つ以上の抗体は、抗体断片、すなわち、抗原結合フラグメント(例えば、Fv、FabおよびF(ab’)2)、改変一本鎖結合タンパク質(例えば、Hustonら、Proc. Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85,5879−5883(1988)およびBirdら、Science,242,423−426(1988)、参考として本明細書で援用される)、および二機能性ハイブリッド抗体(例えば、Lanzavecchiaら、Eur.J.Immunol.17,105(1987))を含有する。一般的に、Hoodら、Immunology,Benjamin,N.Y.,2nd ed.(1984)、Harlow and Lane,Antibodies.A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)およびHunkapiller and Hood,Nature,323,15−16(1986)(これらすべてを参考として本明細書で援用される)を参照。

0090

例えば、標準法を使用して本発明のイヌTSLPタンパク質によって免疫化された動物から生成された血清を、直接使用することができるが、さもなければ、プラズマフェレシスまたは固定化Protein AもしくはProtein GなどのIgG特異的吸着剤による吸着クロマトグラフィーなどの標準法を使用して、IgG画分をこの血清から分離することができる。あるいは、モノクローナル抗体を調製することができ、場合によって、抗原結合断片または組換え結合タンパク質を、そのようなmAbsから誘導することができる。そのようなMAbまたはその断片を、場合によって、それぞれ公知技術の方法またはその簡単な変更法によって、ヒト化またはイヌ化することができる。

0091

本明細書で使用する“エピトープ特異的な”イヌTSLP抗体は、イヌTSLPの断片に対して産生される抗体であって、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33および配列番号34の5つのアミノ酸配列の1つ以上を含むエピトープを含み、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質、および/または28アミノ酸残基のシグナル配列を除く配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質をさらに結合する、イヌTSLPの断片に対して産生される抗体である。特定の実施形態において、エピトープ特異的なイヌTSLP抗体は、モノクローナル抗体である。

0092

選択的に本発明のイヌTSLPタンパク質を結合するmAbsを産生するハイブリドーマは、周知の技法によって生成される。通常、本プロセスは、所望の抗体を産生するBリンパ球不死化細胞系の融合を伴う。あるいは、不死化抗体産生細胞系を生成するための非融合法を使用することができる(例えば、ウイルス誘発形質転換(Casaliら、Science 234:476(1986))。不死化細胞系は、通常、形質転換された哺乳動物細胞であり、特に齧歯類、ウシおよびヒト起源骨髄腫細胞である。ラットまたはマウス骨髄腫細胞系が、利便性および入手可能性のために最も多く使用されている。

0093

抗原を注射した哺乳動物から抗体産生リンパ球を得るための技法は周知である。一般的に、ヒト起源の細胞が使用される場合、末梢血リンパ球(PBL)が使用されるが、さもなければ非ヒト哺乳動物の供給源からは、脾臓またはリンパ節細胞が使用される。宿主動物に精製抗原ヒト細胞をin vitroで感作する)の反復用量を注射し、動物に所望の抗体産生細胞を産生させたあと、これらを不死化細胞系との融合のために回収する。また、融合のための技法は、当該技術分野で周知であり、一般的に、細胞をポリエチレングリコールなどの融合化剤(fusing agent)と混合することを包含する。

0094

ハイブリドーマは、HAT(ヒポキサンチンアミノプテリンチミジン)選択などの標準的手法によって選択される。所望の抗体を分泌するこれらは、ウエスタンブロット、ELISA酵素結合抗体免疫吸着アッセイ)、RIAラジオイムノアッセイ)などの標準のイムノアッセイを使用して選択される。抗体は、標準的タンパク質精製法を使用して媒体から回収される(Tijssen,Practice and Theory of Enzyme Immunoassays(Elsevir,Amsterdam,1985))。

0095

多くの利用可能な文献で、上記の技法を適用することにおけるガイダンスを提供している(Kohlerら、Hybridoma Techniques(Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1980);Tijssen,Practice and Theory of Enzyme Immunoassays(Elsevier,Amsterdam,1985);Campbell,Monoclonal Antibody Technology(Elsevier,Amsterdam,1984);Hurrell,Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications(CRCPress,Boca Raton,FL,1982))。モノクローナル抗体も、周知のファージライブラリー系を使用して生成することができる(例えば、Huse,ら、Science 246:1275(1989)、Ward,ら、Nature,341:544(1989)を参照)。

0096

ポリクローナルであるかモノクローナルであるにせよ、このように生成された抗体は、例えば、免疫アフィニティークロマトグラフィーによってイヌTSLPタンパク質を精製するための周知の方法によって固体支持体に結合した固定化型で、使用することができる。

0097

イヌTSLPタンパク質に対する抗体も、イヌTSLPタンパク質を検出または定量化するイムノアッセイの基礎として、標識されないかまたは標準法によって標識されて使用することができる。使用される特定の標識は、イムノアッセイのタイプによって決まる。使用することができる標識の例は、放射標識(例えば、32P、125I、3Hおよび14C)、蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシルならびにウンベリフェロン)、化学発光物質(例えば、ルシフェリンおよび2,3−ジヒドロフタルアジンジオン)および酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼアルカリホスファターゼリゾチームおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)含むが、これに限定されるものではない。

0098

抗体は、公知の方法によるそのような標識でタグをつけることができる。例えば、カップリング剤(例えば、アルデヒドカルボジイミド、ジマレイミドイミダートスクシンイミドビスジアゾ化ベンチジンなど)は、蛍光化学発光または酵素標識で抗体にタグをつけるために使用することができる。関係する一般的な方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、Immunoassay:A Practical Guide,1987,Chan (Ed.),Academic Press,Inc.,米国フロリダ州オーランドに記載されている。そのようなイムノアッセイは、例えば、受容体の精製中に得られる画分に対して行うことができる。

0099

また、本発明の抗体は、発現クローニング系においてイヌTSLPタンパク質を発現している特定のcDNAクローンを同定するために使用することができる。受容体のリガンド結合部位に特異的な中和抗体も、イヌTSLPタンパク質の機能を遮断または下方制御するためのアンタゴニスト阻害剤)として使用することができる。そのような中和抗体を、慣用実験によって容易に同定することができる。

0100

イヌTSLPタンパク質活性の拮抗作用は、完全な抗体分子または周知の抗原結合断片(例えば、Fab、Fc、F(ab)2およびFv断片)を使用して達成することができる。そのような断片の定義は、上記または例えば、Klein,Immunology(John Wiley,New York,1982)、Parham,Chapter
14,in Weir,ed.Immunochemistry,4th Ed.(Blackwell Scientific Publishers,Oxford,1986)で見い出すことができる。また、抗体断片の使用および生成も記載されている(例えば、Fab断片(Tijssen,Practice and Theory of Enzyme Immunoassays(Elsevier,Amsterdam,1985))、Fv断片(Hochmanら、Biochemistry 12:1130(1973);Sharonら、Biochemistry 15:1591(1976);Ehrlichら、米国特許第4,355,023号)および抗体半分子(antibody half molecule)(Auditore−Hargreaves、米国特許第4,470,925号))。公知の抗体の重および軽鎖可変領域配列に基づき組換えFv断片を作製するための方法は、さらに、例えばMooreら、(米国特許第4,642,334号)およびPlueckthun[Bio/Technology 9:545(1991)]によって記載されている。あるいは、これらを標準法によって化学的に合成することができる。

0101

また本発明は、抗イディオタイプ抗体(ポリクローナルおよびモノクローナル)を含み、これらは抗原として上記の抗体を使用して生成される。これらの抗体は、リガンドの構造を模倣し得るので有用である。

0102

非イヌの哺乳動物または非イヌのハイブリドーマ系から生成される抗体は、場合によって、イヌに注射する際、実質的にこれらを非抗原性にするよう操作することができる(すなわち、これらをイヌ化することができる)。ヒトへの治療的投与のために免疫原性をより低くするために動物由来のモノクローナル抗体を変更するプロセス(ヒト化)は、積極的に追及されており、多くの出版物に記載されている(例えば、Antibody Engineering:A practical Guide.Carl A.K. Borrebaeck ed.W.H.Freeman and Company,1992、Reichman,L.ら、“Reshapinghuman antibodies for therapy”,Nature 332:323−327(1988))。あるいは、非イヌの哺乳動物由来のモノクローナル抗体(例えば、マウスモノクローナル抗体)を、イヌの抗体またはその配列とキメラ化して、標準のネズミのモノクローナル抗体より免疫原性の低いレシピエント宿主に見られる抗体を獲得する。例えば、米国特許第5,593,861号“Dog−Mouse Heterohybridoma and Gene Fragment Coding for Constant Region of Canine Immunoglobulins(参考として本明細書で援用される)を参照。

0103

さらにWasserman and Capra,(Biochem.16:3160(1977))は、イヌのIgMおよびイヌのIgA重鎖可変領域のアミノ酸配列を決定した。これらの研究者は、イヌのIgA由来のκ軽鎖のアミノ酸配列を決定した(Wasserman and Capra,Immunochem.15:303(1978))。McCumber and Capra,(Mol.Immunol.:16:565(1979)は、イヌのμ鎖の完全なアミノ酸配列を開示している。Tangら、(Vet Immunology Immunopathology 80:259 (2001))は、1つのイヌのIgG−Aγ鎖cDNAおよび4つのイヌのIgG−Aγ鎖タンパク質配列を開示している。上記のTangら、は、さらに、ヒト、マウス、ブタおよびウシIgGの保存領域からデザインされた縮重オリゴヌクレオチドプライマーによるイヌの脾臓cDNAライブラリーPCR増幅について述べている。さらに、Krahら、(2004年9月16日に発行された米国公開第20040181039号、参考として本明細書で援用される)は、非イヌ抗体をイヌ化するための1つのプロセスに関して詳細に述べている。

0104

イヌTSLP遺伝子の単離
A.最初の試み
イヌTSLPを同定するための最初の試みは、BLAT(公共ゲノムデータベースUniversity of California,Santa Cruz)から組み立てられたラット、チンパンジーおよびアカゲザルTSLPcDNA配列によるクローン化ヒトおよびマウスTSLP cDNA配列の配列アラインメントに基づいていた。チンパンジーTSLPは、アミノ酸レベルでヒトTSLPと100%同一であるが、アカゲザルTSLPでは、成熟タンパク質においてヒトTSLPと90%以上(12/151の残基が異なる)の相同性を有する。しかし、ヒトおよびヒト以外の霊長類のTSLPタンパク質およびcDNA配列は、ネズミTSLP配列と非常に異なる。ヒトおよびマウスTSLP cDNA配列は、相同性がわずかに43%であるので、これらの種間における低いストリンジェンシーの異種間ハイブリッド形成によるクローン化はできない。さらに、ラットTSLP配列は、マウスTSLPと比較して、成熟タンパク質のアミノ酸残基配列に39/121の変化を示し、このことは、近縁種のネズミ種間でさえ、TSLP配列が著しく異なっていることを示している。

0105

あいにく、本明細書で開示したように、イヌTSLP配列も、すべての全く異なるネズミおよび同様な霊長類の配列と異なることが判明した。したがって、低いストリンジェンシーの異種間ハイブリッド形成によりイヌTSLPを得ることは成功しないことが判明した。実際に、ヒト、マウス、ラットおよびサルの配列情報を使用してネスト化PCR法でイヌTSLP相同分子種をクローン化する試みにおいてデザインされたプライマーは、イヌTSLPに対応した単一バンドさえ同定することに失敗した。

0106

B.イヌTSLP遺伝子の単離の成功
次に、利用可能な、ヒトTSLP配列を用いて組み立てられたイヌゲノムデータベース(全体のゲノムショットガン配列決定に由来する。University of California,Santa Cruzによって一般的に公開されている)により、イヌTSLPのエキソン1および4の部分的な同定に至った。簡単に述べると、重要な配列相同性のいくつかのヒットが、この最初の検索で同定された(下記の“ヒット”1〜6を参照)。これらの配列は、集められ、イヌTSLP遺伝子の部分的な電子配列を拡張および組み立てるための検索配列(query)として使用した。

0107

0108

0109

この電子的に組み立てた配列のヒト、サル、ラットおよびマウスTSLPとの比較では、TSLPのイヌの相同分子種の一部としての、この配列の同定につながる、保存されたイントロン/エキソン境界および実質的な配列同一性が証明された。続いて、PCRプライマーを、この発見に基づいてデザインし、この遺伝子の欠損したセグメントを増幅するために使用した。2つの部分的に重複するクローンが、二重ネスト化PCRによって、イヌの活性化末梢血単核細胞(PBMC)cDNAライブラリーから得られた。完全なイヌTSLP cDNAを、ネスト化PCRによって明らかにする試み、または5’もしくは3’末端へ配列を拡張しようとする更なる試みは、成功しなかった。しかし、このライブラリーからの人力による自然のDNA配列の組み立てと合わせて、イヌの全体のゲノムショットガン配列データ(Id.University of California Santa Cruz)に対して、これらのクローンから拡張した配列の情報を使用して、データベース検索を反復して行うことで、完全長イヌTSLP cDNAの電子的組み立てにつながった。次に、このcDNA配列の物理的クローンを、in vitroでDNAシンセサイザーを使用して合成した。

0110

結論として、現行および最高水準の技法である分子クローニング法を用いて、ヒト、マウス、ラットまたはサルの配列から、直接、イヌのTSLP配列を誘導することはできなかった。分子PCRクローン法と合わせて、ゲノムデータベース上のイントロン/エキソン境界アサインメントおよび配列同一性を用いて、組み立てられたヒト、マウス、ラットおよびNHP TSLP遺伝子を使用した複雑なデータベースの反復的検索だけが、イヌTSLPをコードする遺伝子の同定につながった。

0111

イヌのTSLPは、一旦得られると、成熟ヒトTSLPタンパク質のアミノ酸配列と比較して58/132の変化(61%の同一性)を示し、成熟マウスTSLPタンパク質のアミノ酸配列と比較して83/129の変化(33%の同一性)を示した(下記参照)。

0112

Canis fiamiliarisとヒトのTSLP成熟タンパク質の配列比較

0113

Canis fiamiliarisとマウスのTSLP成熟タンパク質の配列比較

0114

したがって、前述の困難を克服することによって、本発明は、ここで、イヌTSLPをコードするDNA配列およびコードされたイヌTSLPタンパク質を提供する。イヌTSLPタンパク質およびあるその断片は、タンパク質上の様々なエピトープ(直鎖および立体配置的エピトープの両方)に対する抗体を産生するための有用な抗原(例えば、免疫原)である。また、イヌTSLPをコードするDNAは、“裸の”DNAとしてまたはワクチン接種された動物の細胞内でTSLPを発現するために適したプラスミドもしくは動物のウイルスベクターの形態にかかわらず、免疫化のためおよび/または研究試薬としてのTSLPタンパク質を産生するためのベクターおよび宿主細胞を提供することにおいて、ならびに抗TSLP抗体を産生するためのDNAベースのワクチンを提供することにおいて有用である。

0115

このように得られたイヌTSLP遺伝子配列を、図8A(配列番号1)で図示し、予測される発現TSLPタンパク質を、図8B(配列番号2)に図示する。残基1〜28は、シグナル配列を表し、残基29〜155は、成熟タンパク質を表す。

0116

相同TSLPタンパク質を同定するためのアッセイ
また本発明は、28アミノ酸残基のシグナル配列を除き、配列番号2のアミノ酸配列に80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むTSLPタンパク質であって、これらをワクチンとしてイヌに投与すると、配列番号2のアミノ酸配列を含有するイヌTSLPタンパク質を結合する抗体を産生する、TSLPタンパク質を提供する。また、そのようなTSLPタンパク質の抗原性断片も提供する。

0117

実際に、推定のTSLPタンパク質が本発明のTSLPであることを実証する1つの方法は、そのようなタンパク質が配列番号2のアミノ酸配列を含むイヌTSLPと結合する抗体を産生することができるかどうか試験することである。そのような方法の1つは、推定上のTSLP−GST抗原を5〜500μgの範囲の様々な用量でイヌに(例えば、注射して)ワクチン接種することである。そのような抗原を、水酸化アルミニウム系アジュバント(例えば、Rehydrogel)に調合することができる。次に、イヌに、0日目、21日目および42日目の3回、筋肉内注射する。血清サンプルを、0日目、21日目、42日目および63日目にワクチン接種したイヌおよび対照(ワクチン接種を受けていない)イヌから収集する。

0118

抗原でワクチン接種をされたイヌの抗体の誘導は、ELISAアッセイにより以下のように評価することができる。配列番号2のアミノ酸配列を含むイヌTSLPタンパク質を、コーティング緩衝液(炭酸水素ナトリウムpH9.0)に5μg/mlまで希釈し、96ウェルプレート(Pierce)に100μl/ウェル分配する。プレートを、4℃で終夜インキュベートする。次に、プレートを、0.05%Tween−20(PBST)を含有するリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄する。次に、ブロッキング緩衝液(PBSTに2%のスキムミルク)200μlを各ウェルに加え、プレートを室温で60分間インキュベートする。次にプレートをPRSTで3回洗浄する。次に、1:100で希釈した試験イヌ抗血清100μl/ウェルを、最上列の適切なウェルに加える。次に、血清試料を、適切なプレート位置に10倍に希釈する。プレートを室温で60分間インキュベートしたあと、プレートをPBSTで3回洗浄する。

0119

次に、ヤギ抗イヌIgG(Bethyl Laboratories)と結合し、1:20,000に希釈したホースディシュペルオキシダーゼ100μl/ウェルを、各ウェルに加える。次に、プレートを室温で60分間インキュベートする。次に、プレートをPBSTで3回洗浄したあと、TMB基質(3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン、Sigma Chemical Co.、米国ミズーリ州セントルイス)をすべてのウェルに加える。呈色反応を、室温で10〜20分間生じさせたあと、0.18M硫酸50μl/ウェルを加えることによって停止させる。

0120

すべてのウェルの光学濃度(O.D.)を、ELISAプレートリーダー(Thermo Max;Molecular Devices、米国カリフォルニアサニベール)を使用して450nmの波長で測定する。推定上のTSLP抗原を注射したイヌから得た血清試料は、検出可能であると考慮されるので、アッセイが免疫化前にイヌから得られた血清試料によって生じるバックグラウンドより3倍以上のO.D.値を示す際、抗原は本発明のTSLPタンパク質と同定される。同様に、TSLP抗原に関する相対的抗体価は、抗原による免疫化の前にイヌから得られた血清試料によって生じるバックグラウンドより3倍以上のO.D.値を示す最も高い血清希釈に基づいて測定される。

0121

イヌTSLPタンパク質の特異的なエピトープに対する抗体
抗体は、自然発生の形態、および組換えの形態における、種、多型または対立遺伝子変異体、およびその断片を含むイヌTSLPタンパク質の様々なエピトープに対して産生し得る。さらに、抗体は、自然のまたは変性された異変体を含む、活性化形態または不活性化形態のいずれかにおける、イヌTSLPに対して産生し得る。抗イディオタイプ抗体も、企図される。

0122

抗原の所定の断片に対する抗体(結合断片および単鎖の異変体を含む)は、当該技術分野で標準のアジュバントおよび/または免疫原タンパク質への結合と共に、イヌTSLPおよび/またはその断片による動物の免疫化によって産生し得る。こうして免疫化される動物は、イヌTSLPの活性を下方制御するために免疫化されるイヌであり得る。

0123

適切な宿主(例えば、Balb/cなどのマウスの近交系)を、典型的に標準のアジュバントおよび標準のマウスの免疫化プロトコールを使用して(上記のHarlow and Lane,Id.を参照)、選択されたタンパク質により免疫化する。アジュバントを、ワクチン投与の前、と併せて、または後に標的の動物に投与することができる。

0124

あるいは、本明細書に開示の配列から誘導され、担体タンパク質に結合した合成ペプチドを免疫原として使用することができる。ポリクローナル血清を収集し、イムノアッセイ(例えば、固体支持体に固定される免疫原による固相イムノアッセイ)において免疫原タンパク質に対して力価検定(titrate)する。1×104以上の力価のポリクローナル抗血清を選択し、例えば、上記のHarlow and Lane,Id.(570〜573ページ)に記載のような競合結合イムノアッセイを使用して、他のIL−7ファミリーメンバー(例えば、ネズミIL−7)に対するこれらの交差反応性に関して試験する。好ましくは少なくとも1つの他のIL−7ファミリーメンバーを、例えば、霊長類IL−7と併せて、この測定に使用する。IL−7ファミリーメンバーを、組換えタンパク質として生成し、本明細書に記載のような標準の分子生物学およびタンパク質化学の技法を使用して単離する。

0125

競合結合形式のイムノアッセイを、交差反応性の測定に使用することができる。例えば、配列番号2のタンパク質を、固体支持体に固定できる。アッセイに加えられるタンパク質は、固定化抗原への抗血清の結合と競合する。固定化タンパク質への抗血清の結合と競合する上記のタンパク質の能力を、配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質と比較する。上記のタンパク質のパーセント交差反応性を、標準の算出法を使用して算出する。上記で列挙された各タンパク質と10%未満の交差反応性を有する抗血清を選択およびプールする。次に交差反応性抗体を、上記で列挙したタンパク質による免疫吸着法によってプールした抗血清から取り出す。

0126

次に、免疫吸着およびプールした抗血清を、上記のような競合結合イムノアッセイにおいて使用し、2番目のタンパク質と免疫原タンパク質(例えば、配列番号2のIL−7様タンパク質)を比較する。この比較を行うために、2種のタンパク質を、広範囲の濃度でそれぞれ測定し、固定タンパク質への抗血清の結合を50%阻害するために必要な各タンパク質の量を決定する。必要とされる2番目のタンパク質の量が、選択されたタンパク質または必要とされるタンパク質のタンパク質量の2倍未満である場合、その時、2番目のタンパク質は、免疫原に対して惹起された抗体に特異的に結合すると言われる。

0127

また、本発明の抗体は、診断的適用に有用であり得る。捕捉抗体または非中和抗体として、これらを、受容体への結合を阻害することなしに、抗原に結合する能力についてスクリーニングすることができる。中和抗体として、これらは競合結合アッセイで有用であり得る。また、これらは、イヌTSLPタンパク質またはその受容体を検出するかまたは定量化する際に有用である。(例えば、Chan(ed.1987)Immunology:A Practical Guide,Academic Press,Orlando,Fla.;Price and Newman(eds.1991)Principles and Practice of Immunoassay,Stockton
Press,N.Y.およびNgo(ed.1988)Nonisotopic Immunoassay,Plenum Press,N.Y.を参照)。交差吸収、除去または他の手段は、明確な選択のための(例えば、固有または共有種特異性)の調整を提供する。これらは、抗原の様々な群を同定する試験の基礎であり得る。

0128

さらに、本発明の抗原結合断片を含む抗体は、抗原に結合し、機能的結合(例えば、生物反応を誘発し得る受容体への結合)を阻害する強力なアンタゴニストであり得る。さらに、これらの抗体は、薬物または他の治療的薬剤に、直接またはリンカーによって間接的に結合することができ、薬物ターゲティングを行うことができる。

0129

本明細書に開示の配列から誘導され、担体タンパク質に結合した合成ペプチドを免疫原として使用することができる。どんな場合でも、抗原性断片は、他の物質、特に、ポリペプチドに(免疫原として使用される融合または共有結合したポリペプチドとして)結合し得る。抗原およびその断片は、キーホールリンペットヘモシアニン、ウシ血清アルブミン、破傷風トキソイドなどの様々な免疫原に融合または共有結合し得る。ポリクローナル抗血清の調製法の説明について、Microbiology,Hoeber Medical Division,Harper and Row,1969、Landsteiner(1962)Specificity of Serological Reactions,Dover Publications,New York;Williamsら、(1967)Methods in Immunology and Immunochemistry,vol.1,Academic Press,New York;およびHarlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual.,CSH Press,NY,を参照。

0130

場合によっては、マウス、齧歯類、霊長類、ヒトなどの様々な哺乳動物宿主からモノクローナル抗体を調製することが望ましい。そのようなモノクローナル抗体の調製法についての説明は、例えば、Stitesら、(eds.)Basic and Clinical Immunology(4th ed.),Lange Medical Publications,Los Altos,Calif.,および本書で引用される参考文献;Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,CSH Press;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(2d ed.),Academic Press,New York;および特にKohler and Milstein(1975)in Nature 256:495−497(ここではモノクローナル抗体を生成するある方法について記載している)に見い出すことができる。

0131

他の適切な技法は、抗原性ポリペプチドへのリンパ球のin vitroでの曝露、または、代わりにファージまたは同様のベクターにおける抗体のライブラリーの選択を伴う。(Huseら、(1989)“Generation of a Large Combinatorial Library of the Immunoglobulin
Repertoire in Phage Lambda,“Science 246:1275−1281およびWardら、(1989)Nature 341:544−546を参照)。キメラ、イヌ化および/または、ヒト化抗体を含む、本発明のポリペプチドおよび抗体は、改変の有無にかかわらず使用することができる。

0132

しばしば、本発明のポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを示す物質を結合することによって標識される。そのような結合は、共有結合または非共有結合のいずれかで達成することができる。多種多様な標識および結合法は、公知であり、科学および特許文献において広範囲に報告される。適切な標識は、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光部分、化学発光部分、磁性粒子などを含む。そのような標識の使用を教示している特許は、米国特許第3,817,837号、第3,850,752号、第3,939,350号、第3,996,345号、第4,277,437号、第4,275,149号および第4,366,241号を含む。また、組換えまたはキメラ免疫グロブリンを生成することができる、Cabilly,米国特許第4,816,567号;Moore,ら、米国特許第4,642,334号;およびQueenら、(1989)Proc.Nat’l Acad. Sci.USA 86:10029−10033を参照、またはトランスジェニックマウスにおいて作製することができるMendezら、(1997)Nature Genetics 15:146−156を参照。これらの参考文献は、参考として本明細書で援用される。

0133

また本発明の抗体を、タンパク質を単離する際に、アフィニティークロマトグラフィーに使用することができる。抗体が固体支持体に結合している場合に、カラムを調製することができる(例えば、Wilchekら、(1984)Meth.Enzymol.104:3−55)を参照)。あるいは、固体支持体に結合した抗体を、対応する抗体を精製するために使用することができる。

0134

また、各イヌTSLPに対して産生される抗体は、抗イディオタイプ抗体を産生するために有用である。これらは、それぞれの抗原の発現に関連した様々な免疫学的状態を検出または診断する際に有用である。

0135

RNA阻害
イヌTSLPを産生する細胞内でのイヌTSLPをコードするRNAとの干渉は、TSLPの生物活性を阻害し、その結果として、アトピー性皮膚炎などの多くのTSLP関連の障害を治療する更なる手法である。このために、化学的に合成されるか、または適切な送達ベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)内でクローン化される二重鎖RNA分子を、TSLPをコードする内因性mRNA濃度を減少させる目的で、能動的にTSLP mRNAを産生する細胞内に導入することができる。これらRNA分子の挿入後(所望の細胞へのプラスミドまたはウイルスベクターの挿入後の、外部から送達された分子またはRNAの転写の場合)、これらは、短いヌクレオチド断片(siRNAと呼ばれる)へのリボヌクレアーゼIII型タンパク質の開裂活性を通して処理される。次に、これらsiRNA断片は、RNAヘリカーゼの活性化によるsiRNA二重鎖の巻き戻しの結果として活性化されるRISC(RNA−Induced Silencing Complex)と呼ばれるヌクレアーゼ含有多タンパク質複合体に組み込まれる。ここで、一本鎖siRNA鎖が、RISC複合体をその標的のmRNAへ導いたあと、RISCのエンドヌクレアーゼの活性によって切断され、続いて分解される。

0136

より具体的には、TSLP遺伝子またはその断片を含有するプラスミドを、多くの市販の真核生物プラスミドのいずれか1つにおいてクローン化し、ここではTSLP遺伝子またはその断片の転写が、適切なプロモーター(例えば、CMVまたはSV40プロモーター)によって引き起こされる。次に、精製したプラスミドDNA(1〜100ug)を、皮膚病変、またはアトピー性皮膚炎の特性を示す皮膚病変の周囲に注射する。次に、プラスミドDNAの注射を、TSLPmRNAの顕著な減少を引き起こすために必要な頻度で繰り返すことができる。この減少を、患部から皮膚生検を得ることと、定量的PCRなどの方法によってTSLP mRNAの濃度を測定することとによって評価することができる。

0137

本発明の以下の調製例は、本発明の更なる理解を提供するために役立つものであるが、いかなる方法であれ、本発明の実効的範囲を制限することを意味するものではない。

0138

(実施例1)
イヌTSLPDNAおよびタンパク質配列
イヌTSLPを発現するイヌ遺伝子を、電子データベースでのデータマイニングおよび上記で詳述したような分子生物学方法を使用した反復的なプロセスによって同定した。

0139

結果
イヌのTSLP遺伝子配列を、図8A(配列番号1)に図示し、TSLPタンパク質を発現する予測タンパク質を、図8B(配列番号2)に図示する。星印によって示される図8Bの残基1〜28(配列番号2)は、シグナル配列を表し、残基29〜155は、成熟タンパク質を表す。

0140

(実施例2)
イヌTSLPのクローニングおよび発現
イヌTSLPをコードするDNAを、本明細書に記載のように同定し、ドナーベクターの当該技術分野標準法pDONR221(Invitrogen Gateway System)にクローン化した。遺伝子の組み立ておよびドナーベクターへのクローニングを、DNA2.0と呼ばれる受託臨床試験実施機関で実施し、この結果、同定したゲノムイヌTSLP遺伝子を含有するpDONR221.G03276と呼ばれるプラスミドを構築した。成熟した(すなわち、シグナル配列なしで)イヌTSLPタンパク質をコードするDNAを、それぞれNco IおよびEcoR V部位を含有する2種のプライマーを使用してpDONR221.G03276からPCRで増幅した。

0141

Nco IおよびEcoR Vの消化後、PCR生成物を、ベクターpIVEX 1.3 WG(Roche Applied Sciences,Cat#3728803)のNco IおよびSma I部位に挿入した。これにより、C末端で6つのHis残基(“His6タグ”)と融合した成熟イヌTSLPをコードする遺伝子を含有するプラスミドを生じた。挿入物の正しい配列を含有するプラスミドを、プラスミド1265−93.Dと名づけた。プラスミド1265−93.Dを使用して、製造者推奨に従って(Roche Applied Sciences,カタログ#3064859)、RTS Proteomaster InstrumentでTSLPを発現させた。図1に示すように、@16kDaのバンドがレーン2および4で明らかだった(矢印)。ウエスタンブロット試験(図2Aおよび2B)では、このバンドが、抗Hisタグ抗体図2A)およびヒトTSLPに特異的なラットモノクローナル抗体(図2B)と特異的に反応することを示している。

0142

(実施例3)
宿主細胞からのイヌTSLPの生成
大腸菌で組換えTSLPタンパク質を発現させるために、cTSLPをコードするヌクレオチド配列(すなわち、シグナル配列をコードするTSLPを欠いているヌクレオチド)を、それぞれNco IおよびHind III部位を含有するフォワードプライマーおよびリバースプライマーと共に、テンプレートとしてプラスミド1265−66Cを使用して、PCRによって増幅した。

0143

Nco IおよびHind III消化後、PCR生成物をpET42b(+)発現ベクター(Novagen)のNco I/Hind III部位に挿入した。このプロセスにより、N末端でGSTタグおよびC末端で6×Hisタグと融合した成熟cTSLPをコードするプラスミドを生成した。挿入物の正しい配列を含有するプラスミドを、1265−93Bと名づけた。GST−TSLP−His融合タンパクの発現は、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)−誘導性lacUV5プロモーターの制御下で、T7RNAポリメラーゼ遺伝子を含有する大腸菌のBL21(DE3)/pLysSにおいて実施した。プラスミド1265−93Bを担持する大腸菌細胞を、30℃でO.D.600=0.6まで培養したあと、タンパク質の発現を、0.5mM IPTGを加え、さらに30℃で2時間インキュベートすることによって誘発した。SDS−PAGEでは、可溶性大腸菌画分内に存在する正しい大きさ(約61kDa)のタンパク質バンド(矢印)を示している(図3A)。ウエスタンブロットは、発現したタンパク質が抗GST抗体と反応することを示している(図3D)。GST−TSLP−Hisタンパク質を、Glutathione Sepharose 4B樹脂によって精製することができる(図3B)。Ni−NTA樹脂による更なる精製後、大部分のGST—TSLPタンパク質が、カラムのフロースルー中に含有された(図3C)。

0144

(実施例4)
イヌTSLPの免疫蛍光検出
イヌの皮膚および扁桃組織におけるイヌTSLPタンパク質の発現を、ヒトTSLPタンパク質に対して産生されるウサギポリクローナル抗体を使用して、免疫組織化学検査(「IHC」)によって測定した。免疫組織化学検査は、生理食塩水を注射した正常なイヌの皮膚、および様々な皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、皮膚エリテマトーデス多形性紅斑および接合部型表皮水疱症など)と診断されたイヌの皮膚から得られたパラフィン包埋組織に対して実施した。さらに、TSLPタンパク質の発現を、2匹のイヌから得られた凍結扁桃組織において測定した。IHCによりTSLP発現を測定する手順は以下の通りである。

0145

I.切片の調製
1.皮膚試料を埋め込まれたパラフィンブロックを、5〜7ミクロンの厚さに切断し、接着を促進するためにポリ−L−リジンで処理したスライドにのせた。

0146

2.切片を、キシレン脱パラフィンし、連続的にエタノール溶液再水和した。

0147

3.抗原回復(antigen retrieval)を、クエン酸塩緩衝液(0.5ml/リットルの濃度でTween−20を含有する10mMクエン酸ナトリウムを、約99〜100℃に達するまで研究室マイクロ波を使用して、25分間)において実施した。これは、パラフィン包埋プロセスの間マスクされる、組織切片の抗原性を回復するプロセスである。

0148

II.免疫染色
1.切片を、抗体の非特異的結合を減少させるために、リン酸緩衝液(PBS)に希釈した10%通常のロバ血清中で1時間インキュベートした。

0149

2.過剰な血清を、静かに除去し、切片をPBSに希釈した(1:100)ウサギの抗体で覆い、湿潤チャンバーにおいて室温で1時間または4℃で終夜インキュベートした。

0150

3.次に、切片を、PBS中で穏やかに振盪させながら、5分間、2回すすいだ。

0151

4.過剰なPBSを、静かに除去し、切片を、湿潤チャンバーにおいて室温でPBSに1:5000で希釈したビオチン化ロバ抗ウサギIgG抗体で30分間覆った。

0152

5.次に、切片を、PBS中で穏やかに振盪させながら、5分間、2回すすいだ。

0153

6.過剰なPBSを除去し、切片を、5マイクログラム/mlの濃度で、ストレプトアビジン−フルオレセインイソチオシアネート(Streptavidin−FITC)結合体/PBS中で、室温で30分間インキュベートした。

0154

7.次に、切片を、PBS中で穏やかに振盪させながら、5分間、2回すすいだ。

0155

8.次に、切片を、ヘモトキシリンで2〜3分間、対比染色した。

0156

9.次に、切片を蛍光顕微鏡で検査した。

0157

10.適切な画像を撮影した。

0158

11.実験対照は、一次抗TSLP抗体の除去または一次抗TSLP抗体と通常のウサギ抗体との交換を含んだ。

0159

下記の表1では、IHC試験の結果を要約する。

0160

TSLPの発現が、ADと診断されたイヌ由来の皮膚組織の80%で検出されたが、生理食塩水を注射した正常皮膚組織ではわずか20%で検出された。またTSLPは、多形性紅斑のイヌおよび遺伝的皮膚疾患(接合部型表皮水疱症)のイヌ由来の組織のそれぞれ66%および100%で検出された。皮膚エリテマトーデスのイヌ由来の皮膚組織においてTSLPタンパク質の発現は認められなかった。パラフィン包埋皮膚組織において、TSLPの発現は、汗腺において検出された。冷凍されたイヌの扁桃組織のTSLPの発現は、重層扁平上皮および付随する唾液腺において検出された。イヌ皮膚試料の陽性IHC染色の例を図4に示す。ここでは、アトピー性皮膚炎と診断されたイヌ由来のパラフィン包埋皮膚組織試料を示す。

0161

(実施例6)
イヌTSLPの免疫ペルオキシダーゼ検出
また、アトピー性皮膚炎と診断されたイヌの皮膚から調製されたパラフィン包埋組織ブロックにおけるイヌTSLPタンパク質の発現を、検出法として免疫組織化学検査を使用した免疫ペルオキシダーゼ染色によって測定した。この方法においては、ヒトTSLPタンパク質に対して惹起されたエピトープ特異的ラットモノクローナル抗体を、一次抗体として使用した。免疫ペルオキシダーゼ染色によってTSLP発現を測定するための手順は、以下の通りであった。

0162

特殊試薬
通常の新生子ウシ血清:#N−4762 Sigma
パラフィン包埋皮膚組織
一次抗体:ラット抗ヒトTSLPmAbラットIgG2a
二次抗体ラビット抗ラットIgG(ビオチン化):BA−4000 Vector Lab、米国カリフォルニア州バーリンゲーム
検出試薬:ストレプトアビジン−HRP:#43−8323 Zymed Labs、米国カリフォルニア州サンフランシスコ
AEC基質キット:Biogenex #HK129−5K、米国カリフォルニア州サンラモン

1.切片試料4〜6um。
2.空気乾燥10分、室温。
3.アセトン中で10分固定。
4.PBS(0.01リン酸緩衝生理食塩水)中で3分すすぐ
5.0.1%アジ化ナトリウムを含む0.3%過酸化水素中での7〜10分間のインキュベーションによってクエンチする。
6.PBS中で5分すすぐ。
7.湿室において切片を1%通常の新生子ウシ血清で20分ブロックする。
8.スライドを排水し、室温で、1:100の希釈で一次抗体を2時間加える。
9.5分すすぐ。
10.湿室において室温で二次抗体(ラビット抗ラットIgG@1:400)を30分加える。
11.5分すすぐ。
12.排水し、室温で検出試薬(ストレプトアビジン−HRP@1:400)を30分間加える。
13.2×5分すすぐ。
14.AECを2.5分加える。所望の染色強度およびバックグラウンドに従って調整する。
15.ヘマトキシリンで対比染色し、マウントする。

0163

ADのイヌ由来のイヌ皮膚組織のセットを、エピトープ特異的イヌTSLP抗体を使用したIHCによって試験した。図5に示した結果は、この抗体がヒトTSLPと抗原エピトープを共有する分子と反応することを示している。イヌのAD皮膚試料の染色は、表皮が肥厚している慢性炎症の部位で強かった。このパターンは、ヒトのAD皮膚病変でのTSLP発現位置について知られることと一致しており、さらにイヌの皮膚AD病変で認められる分子がイヌTSLPであることを示唆するものである。PBS、または異なるタンパク質(リンパ球タンパク質)に特異的な異なるラットモノクローナル抗体のいずれかで観察された染色は見られなかった。

0164

(実施例7)
イヌTSLPのエピトープマッピング
TSLP活性を中和することができるワクチンへの包含に有用であるイヌTSLP上のエピトープを同定するために、イヌTSLPタンパク質配列に基づいた重複ペプチドのセットを合成し、中和する抗ヒトTSLPモノクローナル抗体と反応するこれらの能力について試験した。この目的のために、それぞれが15アミノ酸長で、2アミノ酸ずつずれた重複ペプチドを、MIMOTOPES(米国ミネソタ州ミネアポリス)においてピン上に合成した。これらペプチドの配列を表2に列挙する。ペプチド1〜57を、構成NH2−PEPTIDE−PINで、アミド化された末端で合成した。ペプチド58〜94(親ペプチド1〜37の複製)を、構成ACETYL−PEPTIDE−PINで、アセチル化された末端で作製した。

0165

表2に列挙されるペプチドを担持するピンを、製造業者(Mimotopes、米国ミネソタ州ミネアポリス)の推奨の手順に従って、ELISAアッセイ形式で試験した。図6に示すように、アミノ酸配列

0166

(配列番号32)のペプチド#25(エピトープ25)は、PAB100モノクローナル抗体に対して最も反応性が高かった。このペプチド配列と、対応する推定上のヒトTSLPペプチド配列との比較を図7に示す。

0167

本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が制限されるものではない。実際に、本明細書に記載の実施形態に加えて、本発明の様々な変更が前述の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような変更が、添付の請求項の範囲内に入ることが意図される。

0168

さらに、核酸またはポリペプチドに対して示されたすべての塩基の大きさまたはアミノ酸の大きさ、およびすべての分子量または分子質量値は近似値であり、説明のために提供されるものであることが理解される。

実施例

0169

様々な出版物が本明細書に引用されているが、全体として、この開示を参考することにより本明細書に援用する。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ