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課題
解決手段
概要
背景
ポリアセタール樹脂は、加工性、生産性に優れ、溶融射出成型や溶融押出成型等の成型方法により所望の形状の製品や部品を効率良く生産できるという利点を有している。このような利点を生かし、ポリアセタールは、電気・電子材料分野、自動車分野、その他各種工業材料分野、食品の包装分野、部品用材料として幅広く用いられている。これらの用途に対し、金属含有量の極めて少ない高純度ポリアセタールを効率よく生産する要求する声が高まってきている。さらに、ポリアセタールが用いられる分野においても部品の小型化・精密化が進んでおり、成形品の薄肉化が進んでおり、従来までは目立たなかったため問題にならなかったような微小サイズの金属異物が問題となりつつあり、より少ない金属異物を含むポリアセタールが望まれている。
例えば、従来のポリアセタールの工業的製造工程においては、配管腐食、配管浸食、金属同士の接触による磨耗などにより、プラント構造物由来のFe元素を主成分とする金属が混入するおそれがある。上記プラント等の構成する構造物由来の金属が混入する場合、その量や混入のタイミングは一定ではないため、高い品質を安定して確保するためにも、磁性体金属の含有量が1ppm未満という極めて金属混入の少ない高純度ポリアセタールを作製することが渇望されている。特に、薄肉成形品やフィルム・シートなどの用途においては、150μm以上の金属混入を含まないポリアセタールのニーズが存在する。
金属はポリアセタールの4倍以上比重が高いため、製品袋内で分級したとき、混入した金属が多く存在する部分がスポット的に発生する。
そのため、ポリアセタールを原料として用いた溶融加工工程における原料投入のタイミングによっては、黒色異物発生がスポット的に発生することも考えられる。また、ポリアセタール同士がこすれることで蓄積される静電気により、含有されている金属の除去が困難となっているという問題もある。
一般的に異物を除去する方法として、押出機などの溶融混練時、溶融樹脂の流れる経路上に金属製のメッシュを通し、異物を濾過する方法がある。メッシュの孔径を小さくすればするほど異物を除去可能であるが、樹脂が極めて流れにくくなり生産性効率が低下するほか、原料と共に同伴される金属が樹脂内に混練されてしまうため除去が極めて難しくなる、またアスペクト比の高い金属はメッシュを通過することがあることなどから、十分に金属が除去されたポリアセタールを得る生産性の高い方法が望まれている。
ポリアセタール中の金属異物を混入させない技術に関しては、ポリアセタール中の金属として、リチウム、ナトリウム、カリウム、鉄、動、クロム、ニッケルの含有量がそれぞれ5質量ppm以下にする方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
またポリマー中の異物を除去する方法として、ホットランナーを利用した射出成形時にホットランナーに金属異物が詰まることを抑制する目的で、射出成形に供するペレットを磁力選別機にて選別する(金属混入の少ないペレットのみを取り出す)技術(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
概要
黒点異物が効果的に抑制された、高純度のポリアセタールを提供する。ポリアセタールを重合により得る工程と、前記ポリアセタールの粉体を、磁力発生源を具備する磁力分離機に通過させ、ポリアセタール中の磁性体金属を除去し、当該磁性体金属の含有量が1ppm未満であるポリアセタールを得る工程と、を有するポリアセタールの製造方法。なし
目的
さらに、ポリアセタールが用いられる分野においても部品の小型化・精密化が進んでおり、成形品の薄肉化が進んでおり、従来までは目立たなかったため問題にならなかったような微小サイズの金属異物が問題となりつつあり、より少ない金属異物を含むポリアセタールが望まれている
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
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請求項1
ポリアセタールを重合により得る工程と、前記ポリアセタールの粉体を、磁力発生源を具備する磁力分離機に通過させ、ポリアセタール中の磁性体金属を除去し、当該磁性体金属の含有量が1ppm未満であるポリアセタールを得る工程と、を有するポリアセタールの製造方法。
請求項2
前記ポリアセタールの粉体の体積平均粒子径が3mm以下である請求項1に記載のポリアセタールの製造方法。
請求項3
前記ポリアセタールの粉体を、前記磁力発生源を具備する磁力分離機に通過させる際、前記ポリアセタールの粉体から磁性体金属を除去する領域における磁力が0.6テスラ以上である請求項1または2に記載のポリアセタールの製造方法。
請求項4
前記磁力分離機に用いられる磁力発生源が、電磁石である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
請求項5
前記ポリアセタールの粉体を、15mm以下の間隔で配置された前記磁力発生源の間を通過させる請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
請求項6
前記磁力分離機の磁力有効分離長が100mm以上である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
請求項7
磁力分離機を通過させた後のポリアセタール中の磁性体金属の含有量が0.1ppm未満である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
請求項8
磁力分離機を通過させた後のポリアセタール中に、最大幅が150μm以上の磁性体金属が0.1個/kg以下である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
請求項9
上記請求項1〜8いずれか一項に記載の方法によって得られる磁性体金属の含有量が1ppm未満であるポリアセタール。
技術分野
0001
本発明は、ポリアセタールの製造方法に関する。
背景技術
0002
ポリアセタール樹脂は、加工性、生産性に優れ、溶融射出成型や溶融押出成型等の成型方法により所望の形状の製品や部品を効率良く生産できるという利点を有している。このような利点を生かし、ポリアセタールは、電気・電子材料分野、自動車分野、その他各種工業材料分野、食品の包装分野、部品用材料として幅広く用いられている。これらの用途に対し、金属含有量の極めて少ない高純度ポリアセタールを効率よく生産する要求する声が高まってきている。さらに、ポリアセタールが用いられる分野においても部品の小型化・精密化が進んでおり、成形品の薄肉化が進んでおり、従来までは目立たなかったため問題にならなかったような微小サイズの金属異物が問題となりつつあり、より少ない金属異物を含むポリアセタールが望まれている。
0003
例えば、従来のポリアセタールの工業的製造工程においては、配管腐食、配管浸食、金属同士の接触による磨耗などにより、プラント構造物由来のFe元素を主成分とする金属が混入するおそれがある。上記プラント等の構成する構造物由来の金属が混入する場合、その量や混入のタイミングは一定ではないため、高い品質を安定して確保するためにも、磁性体金属の含有量が1ppm未満という極めて金属混入の少ない高純度ポリアセタールを作製することが渇望されている。特に、薄肉成形品やフィルム・シートなどの用途においては、150μm以上の金属混入を含まないポリアセタールのニーズが存在する。
0005
そのため、ポリアセタールを原料として用いた溶融加工工程における原料投入のタイミングによっては、黒色異物発生がスポット的に発生することも考えられる。また、ポリアセタール同士がこすれることで蓄積される静電気により、含有されている金属の除去が困難となっているという問題もある。
0006
一般的に異物を除去する方法として、押出機などの溶融混練時、溶融樹脂の流れる経路上に金属製のメッシュを通し、異物を濾過する方法がある。メッシュの孔径を小さくすればするほど異物を除去可能であるが、樹脂が極めて流れにくくなり生産性効率が低下するほか、原料と共に同伴される金属が樹脂内に混練されてしまうため除去が極めて難しくなる、またアスペクト比の高い金属はメッシュを通過することがあることなどから、十分に金属が除去されたポリアセタールを得る生産性の高い方法が望まれている。
0007
ポリアセタール中の金属異物を混入させない技術に関しては、ポリアセタール中の金属として、リチウム、ナトリウム、カリウム、鉄、動、クロム、ニッケルの含有量がそれぞれ5質量ppm以下にする方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
0008
またポリマー中の異物を除去する方法として、ホットランナーを利用した射出成形時にホットランナーに金属異物が詰まることを抑制する目的で、射出成形に供するペレットを磁力選別機にて選別する(金属混入の少ないペレットのみを取り出す)技術(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
先行技術
0009
特開平7−188514号公報
特開2004−99682号公報
発明が解決しようとする課題
0010
しかしながら、特許文献1に開示されている方法は、ポリアセタール中の金属を低減させるため、ガラス製容器の使用(金属製の機器を全く使わない方法)により金属を低減する方法に留まるものであり、工業的応用の観点から極めて少ない量での製造しか実現できておらず、効率的な生産方法としては不十分である。
0011
また、特許文献2の技術は、具体的には樹脂ペレットを磁力選別機に通す技術であり、ペレット内部に包含された金属を十分に除去することができず、また一度磁石により吸着されたペレットが自重及び後から通過するペレットの衝突により落下して除去しきれないなどの理由により、金属異物の除去が不十分である。
0013
そこで本発明においては、溶融加工時における黒色異物発生を効果的に抑制でき、高純度なポリアセタールを、高い収率で効率よく製造できる、ポリアセタールの製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0014
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリアセタール中の磁性体金属量を数値的に特定することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
0015
[1]ポリアセタールを重合により得る工程と、前記ポリアセタールの粉体を、磁力発生源を具備する磁力分離機に通過させ、ポリアセタール中の磁性体金属を除去し、当該磁性体金属の含有量が1ppm未満であるポリアセタールを得る工程と、を有するポリアセタールの製造方法。
[2] 前記ポリアセタールの粉体の体積平均粒子径が3mm以下である[1]に記載のポリアセタールの製造方法。
[3] 前記ポリアセタールの粉体を、前記磁力発生源を具備する磁力分離機に通過させる際、前記ポリアセタールの粉体から磁性体金属を除去する領域における磁力が0.6テスラ以上である[1]または[2]に記載のポリアセタールの製造方法。
[4] 前記磁力分離機に用いられる磁力発生源が、電磁石である[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
[5] 前記ポリアセタールの粉体を、15mm以下の間隔で配置された前記磁力発生源の間を通過させる[1]乃至[4]のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
[6] 前記磁力分離機の磁力有効分離長が100mm以上である[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
[7] 磁力分離機を通過させた後のポリアセタール中の磁性体金属の含有量が0.1ppm未満である[1]乃至[6]のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
[8] 磁力分離機を通過させた後のポリアセタール中に、最大幅が150μm以上の磁性体金属が0.1個/kg以下である[1]乃至[7]のいずれか一項に記載のポリアセタールの製造方法。
[9] 上記[1]〜[8]いずれか一項に記載の方法によって得られる磁性体金属の含有量が1ppm未満であるポリアセタール。
発明の効果
0016
本発明によれば、黒点異物が効果的に抑制でき、高純度のポリアセタールの製造方法を提供できる。
実施例
0017
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
0018
<ポリアセタール>
本発明のポリアセタールとは、ホルムアルデヒド、またはトリオキサンもしくはテトラオキサン等の環状オリゴマーの単独重合によって得られる実質的にオキシメチレン単位−(CH2O)−からなるポリオキシメチレンホモポリマー、及びホルムアルデヒドもしくはトリオキサンと環状エーテル又は環状ホルマールあるいはヒンダードフェノール系酸化防止剤が1〜500ppm添加された環状ホルマールとの共重合によって得られるオキシメチレン単位−(CH2O)−からなる連鎖中に下記一般式(1)で表わされるオキシアルキレン単位がランダムに挿入された構造を有するポリオキシメチレンコポリマーである。
0019
0021
又、本発明に用いられるポリオキシメチレンには分子鎖の分岐化された分岐ポリオキシメチレンコポリマー、及びオキシメチレンの繰り返し単位を50重量%以上含む異種成分ブロックとのポリオキシメチレンブロックコポリマーも含まれる。
0022
なお、ポリオキシメチレンコポリマー中の前記オキシアルキレン単位の挿入率は、オキシメチレン単位100モルに対し、0.01〜50モル、好ましくは0.03〜20モルの範囲である。該オキシアルキレン単位としては例えばオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシテトラメチレン単位、オキシブチレン単位、オキシフェニルエチレン単位等が挙げられる。これらのオキシアルキレン単位の中でもポリアセタール樹脂組成物の物性を向上させる点から、オキシエチレン単位−〔(CH2)2O〕−、及びオキシテトラメチレン単位−〔(CH2)4O〕−が特に好ましい。
0023
上記単独重合、あるいは共重合によって得られるポリオキシメチレンは分子末端の安定化処理を行なうことが望ましい。分子末端の安定化処理方法としては例えば末端のヒドロキシル基をエステル化、エーテル化、ウレタン化等とする方法、あるいは、分子末端の不安定部分を加水分解によって分子末端の安定化を図る方法等が用いられる。
0024
この様なポリオキシメチレンは、例えばホルムアルデヒドもしくはトリオキサンと環状エーテル、環状ホルマールとの共重合によって得られるポリオキシメチレンコポリマーを、重合直後に分子末端の安定化処理を行ない、さらにその後溶融状態で、1.水もしくはアルコールまたはそれらの混合物を注入・混練する工程、及び2.注入された上記水酸基含有化合物の蒸気および遊離のホルムアルデヒドを解放する脱揮工程、の少なくとも2段階の工程からなる異方向回転非かみ合型2軸スクリュー押出機に連続的に供給し、処理することにより、溶融したポリオキシメチレンコポリマーから揮発成分を除去すること等により得られる。なお、上記の水、もしくはアルコール、またはそれらの混合物を注入・混練する際、pH調製剤としてトリエチルアミン等の塩基性物質を添加することが好ましい。
0025
<ポリアセタールの製造方法:ポリオキシメチレンホモポリマー>
ホルムアルデヒド、またはトリオキサンもしくはテトラオキサン等の環状オリゴマーの単独重合によって得られる実質的にオキシメチレン単位−(CH2O)−からなるポリオキシメチレンは、重合体連鎖の両末端がエステル基または、エーテル基により封鎖されたポリオキシメチレンホモポリマーを表し、ホルムアルデヒド及び公知の分子量調節剤を原料とし、公知のオニウム塩系重合触媒を用いて、炭化水素等を溶媒として公知のスラリー法、例えば特公昭47−6420号公報や特公昭47−10059号公報に記載の重合方法で得ることが出来る。ここでホルムアルデヒドは水、メタノール等の不純物を含まないものが望ましい。
重合触媒としては、アニオン系重合触媒で有れば特に限定はされず、例えばオニウム塩系重合触媒があり、下記一般式(2)で表されるものである。
0026
0028
上記一般式(2)で表されるオニウム塩系重合触媒のなかでも、テトラエチルホスホニウムイオダイド、トリブチルエチルホスホニウムイオダイドの様な第4級ホスホニウム塩系化合物やテトラメチルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムアセテートの様な第4級アンモニウム塩系化合物が好ましく用いられる。さらに好ましくは、ジメチルジステアリルアンモニウムアセテートが用いられる。
0029
重合触媒の導入量は、モノマー1kgに対して、0.0001〜0.01molが好ましく、さらに好ましくは0.0005〜0.005mol、特に好ましくは0.001〜0.003molである。導入量が0.0003molより少ないと、重合速度が遅くなり、収率が低下し、経済的に好ましくない。導入量が0.01molより多いと、重合系が不均一となり易く、好ましくない。
分子量調節剤としては、アルコール、無水カルボン酸またはカルボン酸が用いられ、好ましくは、メタノール、エタノール、無水プロピオン酸、無水酢酸であり、特に好ましくは無水酢酸である。分子量調節剤の導入量は、モノマー1kgに対して、0.005〜0.008molの範囲である。
0030
炭化水素等の溶媒としては、ホルムアルデヒドと反応しない化合物であればいかなる炭化水素でも可能であるが、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼン等が好ましい。特に好ましくはヘキサンである。また、2種以上を混合して用いることも可能である。
0031
重合装置は、ホルムアルデヒド、分子量調節剤、オニウム塩系重合触媒を同時に供給できる装置であれば特に制限するものではなく、公知の装置が使用され、バッチ式、連続式等が可能である。好ましくは連続式重合装置である。
0032
このようにして得られたポリアセタールホモポリマーは末端基の多くが水酸基であるので、熱的に不安定な為、末端を安定化させる必要がある。
0033
その方法としては、公知の温度での末端基の化学処理条件で得る方法を挙げることができる。即ち、重合体1kgに対してその化学処理剤を0.1〜90kg仕込み、温度は140〜150℃で行い、時間は20〜100分で行う。装置は、連続式でもバッチ式でも可能であるが、好ましくは連続式装置である。また、化学処理剤は、エステル化剤やエーテル化剤等の化学処理剤を用いることができるが、本発明における末端基化学処理剤は、好ましくはエステル化剤を用いる方法である。
0034
化学処理剤としてエステル化剤を用いる方法には、米国特許第3459709号明細書記載の大量の酸無水物を用い、スラリー状態で行う方法と、米国特許第3172736号明細書に記載の酸無水物のガスを用いて気相で行う方法がある。
0035
末端基化学処理に用いるエステル化剤としては、スラリー状態で行う方法、ガスを用いて気相で行う方法のいずれにおいても、下記一般式(3)で表される有機酸無水物や、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸などが挙げられる。
0036
0037
(式中、R7、R8は、各々独立にアルキル基を示す。R7、R8は、同じであっても異なっていてもよい。)
0038
上記一般式(3)で表される有機酸無水物の中では、無水プロピオン酸、無水酢酸が好ましく、無水酢酸が特に好ましい。有機酸無水物は1種で用いても良いが2種以上を用いることも可能である。
0039
化学処理剤としてエーテル化剤を用いる方法としては、特公昭63−452号公報等があり、本発明の末端安定化に用いるエーテル化剤としては、オルトエステル、通常は脂肪族または芳香族酸と脂肪族、脂環式族または芳香族アルコールとのオルトエステル、例えばメチルまたはエチルオルトホルメート、メチルまたはエチルオルトアセテートおよびメチルまたはエチルオルトベンゾエート、およびオルトカーボネート、例えばエチルオルトカーボネート、から選択する。
0040
エーテル化反応においては、p−トルエンスルホン酸、酢酸及び臭酸のような中強度有機酸、ジメチル及びジエチルスルフェートのような中強度鉱酸等のルイス酸型の触媒を、エーテル化剤1kgに対して0.001〜0.02kg導入すると良い。
エーテル化反応の好ましい溶媒は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びベンゼン等の低沸点脂肪族、脂環式族及び芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素等のハロゲン化低級脂肪族等の有機溶媒である。
0042
<ポリアセタールの製造方法:ポリオキシメチレンコポリマー>
ホルムアルデヒドもしくはトリオキサンと環状エーテル又は環状ホルマールあるいはヒンダードフェノール系酸化防止剤が1〜500ppm添加された環状ホルマールとの共重合によって得られるオキシメチレン単位−(CH2O)−からなる連鎖中に下記一般式(1)で表わされるオキシアルキレン単位がランダムに挿入された構造を有するものがポリオキシメチレンコポリマーである。
0043
(式中のR1及びR2は、それぞれ水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、それらは同一であっても異なっていてもよく、nは2〜6の整数である)
0044
トリオキサンとは、ホルムアルデヒドの環状3量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルマリン水溶液を反応させることにより得られる。このトリオキサンには、水、メタノール、蟻酸、蟻酸メチルなどの連鎖移動させる不純物を含有しているので、蒸留等の方法でこれら不純物を除去精製することが好ましい。その場合、連鎖移動させる不純物の合計量をトリオキサン1molに対して、1×10-3mol以下とする事が好ましい。より好ましくは0.5×10-3mol以下である。この量以上では、重合反応速度を遅らせ、更には生成したポリマーの熱安定性を悪化させる。
0045
環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、トリオキサンと共重合可能な成分であり、具体的にはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクルロルヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、オキサタン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等を挙げることができる。これら環状エーテル及び/又は環状ホルマールの中でも、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。
0046
環状エーテル及び/又は環状ホルマールの添加量は、トリオキサン1molに対して1〜20mol%の範囲である。好ましくは1〜15mol%であり、より好ましくは1〜10mol%で、最も好ましくは1〜5mol%である。
0047
重合触媒としてルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、そのエステルまたは無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘテロポリ酸、イソポリ酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルを好適例として挙げることができる。これら重合触媒の使用量はトリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマールの合計量1モルに対し1×10-6モル〜1×10-3モルが好ましく、5×10-6モル〜1×10-4モルが更に好ましい。
0048
本発明で使用する上記触媒は、重合反応に悪影響のない不活性な溶媒で希釈してモノマーに添加することが反応を均一に行う上で好ましい。触媒希釈用の溶媒としては重合反応に関与しない有機性の溶媒であれば何でも使用できる。例えばベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサンのようなエーテル類が使用できる。これら溶媒は、上記で記載した如く水分を特定の範囲とする必要があり、ゼオライト等により水分を十分除去して使用する必要がある。
0049
ポリアセタール共重合体の重合方法としては、スラリー法、塊状法、メルト法のいずれも採用できる。また使用する重合反応機の形状(構造)も特に制限するものではないが、ジャケットに熱媒を通すことのできる2軸のパドル式やスクリュー式の攪拌混合型重合装置が好適に使用される。連続塊状重合反応を行なうのに用いられる重合装置としては、コニーダー、二軸スクリュー式連続押出混練機、二軸パドル型連続混合機等のセルフクリーニング型押出混合機その他、これまでに提案されているトリオキサン等の連続重合装置が使用可能である。重合反応機の温度は63〜135℃に保つことが好ましく、より好ましくは70〜120℃の範囲であり、最も好ましくは70〜100℃の範囲である。重合反応機内の滞留(反応)時間は0.1〜30分であることが好ましく、より好ましくは0.1〜25分であり、最も好ましくは0.1〜20分である。重合反応機の温度および滞留時間が上記の範囲であれば安定した重合反応が継続される傾向にある。
0050
カチオン活性触媒を用いた連続塊状重合反応によって得られた粗オキシメチレン重合体に含まれる重合触媒の失活は、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、ホウ酸化合物類、或いは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、有機酸塩等の触媒中和失活剤を含む水溶液及び/または有機溶剤中に投入し、スラリー状態で一般的には数分〜数時間攪拌することにより行う。この際、粗ポリアセタール共重合体が大きな塊状の場合は重合後一旦粉砕して処理することが好ましい。その後濾過乾燥することにより行われる。
0051
触媒中和失活剤として第4級アンモニウム化合物を単独で用いる、あるいは上記触媒失活剤と併用することも可能で、触媒の中和がより効果的に行われるため好ましい方法である。また、アンモニア、トリエチルアミン等の蒸気と粗オキシメチレン重合体を接触させて触媒を失活させる方法や、ヒンダードアミン類、トリフェニルホスフィン、水酸化カルシウム、ホウ酸化合物あるいは第4級アンモニウム化合物等の少なくとも1種と粗オキシメチレン重合体を混合機で接触させて触媒を失活させる方法が有用である。
0053
不安定末端部分の分解除去方法としては、例えば(1)塩基性物質の存在下にポリマーを溶融混練する工程、及び(2)分解で発生したホルムアルデヒドを開放除去する工程、という少なくとも2段階の工程からなる方法を挙げることができる。装置としては、上記2段階の工程を連続的に実施できるベント付き1軸スクリュー式押出機やベント付き2軸スクリュー押出機等が好ましく使用される。上記の塩基性物質としてはアンモニアやトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物・無機酸塩・有機酸塩、第4級アンモニウム化合物等が挙げられる。特に下記式(4)で示される第4級アンモニウム化合物を用いることが、ごく少量の添加量でごく短時間に殆ど不安定末端部分の残っていないオキシメチレン共重合体を得ることができる為最も好ましい。また、上記塩基性物質は水やメタノール共に用いても良いし、2種類以上の塩基性物質を併用することも可能である。
0054
0055
(式中、R9、R10、R11、R12は、各々独立して、炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、または環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基である。また、上記非置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。mは1〜3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
0056
第4級アンモニウム化合物は、上記式(4)で表わされるものであれば特に制限はないが、上記式(4)におけるR9、R10、R11及びR12が、各々独立して、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、この内、更に、R9、R10、R11及びR12の少なくとも1つが、ヒドロキシエチル基であるものが特に好ましい。具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、1,6−ヘキサメチレンビス(トリメチルアンモニウム)、デカメチレン−ビス−(トリメチルアンモニウム)、トリメチル−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリ−n−ブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、トリプロピルベンジルアンモニウム、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、トリエチルフェニルアンモニウム、トリメチル−2−オキシエチルアンモニウム、モノメチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、モノエチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、オクダデシルトリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、テトラキス(ヒドロキシエチル)アンモニウム等の、水酸化物;塩酸、臭酸、フッ酸などの水素酸塩;硫酸、硝酸、燐酸、炭酸、ホウ酸、塩素酸、よう素酸、珪酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クロロ硫酸、アミド硫酸、二硫酸、トリポリ燐酸などのオキソ酸塩;チオ硫酸などのチオ酸塩;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、安息香酸、シュウ酸などのカルボン酸塩等が挙げられる。中でも、水酸化物(OH—)、硫酸(HSO4—、SO42—)、炭酸(HCO3—、CO32—)、ホウ酸(B(OH)4—)、カルボン酸の塩が好ましい。カルボン酸の内、蟻酸、酢酸、プロピオン酸が特に好ましい。これら第4級アンモニウム化合物は、単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記第4級アンモニウム化合物に加えて、アンモニアやトリエチルアミン等のアミン類等を併用しても何ら差し支えない。
0057
第4級アンモニウム化合物の添加量は、ポリオキシメチレン共重合体に対して、下記数式(5)で表わされる第4級アンモニウム化合物由来の窒素の量に換算して、好ましくは0.05〜50重量ppmである。
0058
0060
第4級アンモニウム化合物の添加量が0.05重量ppm未満であると不安定末端部の分解除去速度が低下し、50重量ppmを超えると不安定末端部の分解除去後のポリオキシメチレン共重合体の色調が悪化する。第4級アンモニウム化合物の添加方法には特に制約はなく、重合触媒を失活する工程にて水溶液として加える方法、溶融前のオキシメチレン共重合体に吹きかける方法、溶融後に添加する方法などがあるが、いずれの添加方法を用いても、ポリマーを溶融処理する工程で存在して居れば良い。
0061
上記安定化方法を適用することにより、不安定な末端部が非常に少なく熱安定に優れた、しかも、エージング変色性及び滞留着色性の改良されたポリオキシメチレン共重合体を、短時間で且つ簡便に得ることができる
重合の形態は特に限定されないが、ポリオキシメチレンコポリマーの粉体を容易に得るために、スラリー重合、塊状重合であることが好ましい。
0062
上記の製造方法により得られるポリアセタールは、後述する磁力分離機に通過させる工程の前後において、粉体であることが好ましい。また、ペレット形状のモノは、粉砕機により粉体にした後に、磁力分離機に通過させることが好ましい。
0063
粉体の状態のポリアセタールを、後述するように所定の磁力発生源を具備する磁力分離機に通過させることにより、極めて高い効率で磁性体金属の含有量を制御することができる。
0064
この場合、ポリアセタール粉体の体積平均粒子径は3mm以下であることが好ましい。粒度分布にもよるが、粉体の大きさが3mmより大きくとなると、磁力分離機を閉塞させ、十分な処理量を稼ぐことが困難となり、効率的な処理方法を行うことが困難となる。より好ましくは体積平均粒子径2mm以下、さらに好ましくは体積平均粒子径1mm以下である。
0065
ポリアセタールの粒子が小さくなるほど後述するゆるめ見かけ比重が低くなる傾向にある反面、微小な磁性体金属の除去効率が向上する。一方において、粉体の取扱性を向上させる観点から粒径を大きくすると、微小な磁性体金属の除去効率が低下する。そのため、両者のバランスからポリアセタール粒子の体積平均粒子径は0.05mm〜2mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1mm〜1mmの範囲であり、さらに好ましくは0.15mm〜1mmの範囲である。
0066
体積平均粒子径の測定方法は、例えば、ポリアセタール粉体を、水やメタノール中に「分散」し、続いて島津製作所製レーザー回折粒度計SALD3100を用いて測定することができる。
(ゆるめ見かけ比重)
本実施形態のポリアセタールは、ゆるめ見かけ比重が0.4以上の粉体であることが好ましい。これにより、所定の容器に詰めて運搬する際の運搬効率、ポリアセタールを取り扱う際の計量性、粉体取扱性に優れたものとなる。ゆるめ見かけ比重は、0.45以上がより好ましく、0.50以上がさらに好ましく、0.55以上がさらにより好ましい。
0068
(磁性体金属)
上述したように、本実施形態のポリアセタールは、磁性体金属成分の含有量が1ppm未満である。
さらに、黒色異物発生をより効果的に抑制する観点から、0.5ppm未満であることが好ましく、0.1ppm未満であることがより好ましい。
ここでいう磁性体金属成分は、室温で固形物であるものをいう。
0069
磁性体金属は、単体・酸化物・合金を指し、2種類以上の元素からなっているものも含まれる。例えば、少なくとも1種類の元素が遷移金属元素から構成されるものが挙げられる。前記磁性体金属としては、Fe元素を含む磁性体金属が挙げられる。Fe元素を含む磁性体金属としては、Fe単体、Fe由来の酸化物、Feを成分に含む合金鉄、Feを含む鉱物が挙げられる。例えば、鉄、酸化鉄、鉄−クロム合金のクロム鋼、鉄−クロム−ニッケル合金のクロム−ニッケル鋼、18%のクロム−8%ニッケルのステンレス鋼、磁鉄鉱、磁硫鉄鉱、チタン鉄鉱、赤鉄鉱、鉄鉱、菱鉄鉱、硫砒鉄鉱、褐鉄鉱黄鉄鉱、鱗鉄鉱針鉄鉱、砂鉄等が挙げられる。
0071
0073
<ポリアセタール中の磁性体金属を除去し、磁性体金属含有量が1ppm未満のポリアセタールを得る工程>
本実施形態のポリアセタールにおいて、磁性体金属の含有量を1ppm未満に調整する方法としては、下記の、(1)ポリアセタールを強酸と接触処理する方法、(2)ポリアセタール中の磁性体金属を、磁力により分離処理する方法、等が挙げられる。
0074
(強酸との接触処理)
上記方法により得られたポリアセタールを強酸と接触させる方法である。強酸として、塩酸、硝酸、硫酸、王水などが挙げられる。具体的には、ポリアセタールに対し、濃塩酸と濃硝酸とを3:1〜1:3の混合比で混ぜた強酸を接触させる方法が挙げられる。
0075
少なくとも1分以上接触させたのち濾過し、十分水洗した後に乾燥させることで、磁性体金属の含有量が、1ppm未満のポリアセタールが得られる。酸の濃度にもよるが、長時間の接触によりポリアセタールが分解することがある。
0076
(磁力選別処理)
ポリアセタールと含有する磁性体金属とを、磁力(磁力発生源)を用いて分離する方法である。具体的には、ポリアセタールを所定の磁力分離機に通し、ポリアセタールと磁性体金属とを磁力で分離する。粉体状のポリアセタールを用いると、磁性体金属の含有量を大幅に低減することができ、好ましい。
0077
ポリアセタールを、所定の磁力発生源を具備する磁力分離機に通過させることにより、磁性体金属の含有量が1ppm未満であるポリアセタールが得られる。
0078
前記磁力発生源を具備する磁力分離機としては、磁力発生源が配置された所定の通路を有する構成のものが使用でき、例えば、ダイカ株式会社製マグネットセパレーター、株式会社ジェイエムアイ製マジックキャッチ、日本マグネティクス製電磁分離機等が挙げられる。
0079
ポリアセタールを、磁力発生源を具備する磁力分離機に通過させることにより、ポリアセタールに含まれる磁性体金属が磁力発生源に吸着され、磁性体金属の含有量を制御することができる。
0081
前記磁力発生源の磁力としては、ポリアセタールを通過させ磁性体金属を除去する領域における磁化部分の磁力が高いほど効率的に磁性体金属を除去することが可能であり、当該領域の磁力は、0.6テスラ以上が好ましく、より好ましくは0.8テスラ以上、さらに好ましくは0.9テスラ以上、さらにより好ましくは1.2テスラ以上、よりさらに好ましくは1.6テスラ以上である。
0082
ポリアセタールを、上記磁力発生源により発せられる磁化された領域を通過させることにより、磁性体金属を吸着させることができる。
0083
磁力分離機へのポリアセタールの供給方法としては、磁気分離機の構造によるが、例えば、所定の通路を有し、当該通路に磁力発生源が備えられている磁力分離機を用い、この通路に、ポリアセタールを上部から供給し、自由落下させる方法等が挙げられる。
0086
上記磁性体フィルターは、コイルによる磁界の発生から磁力を帯び、これが磁力発生源となる。
0087
ポリアセタールが通過する磁力発生源の間隔、すなわち磁性体フィルターの間隔は、磁性体フィルターを構成する格子、スリット、並目等の、各種透過間隙の間隔であるものとし、磁性体金属の除去効率の観点から15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、7mm以下がさらに好ましく、5mm以下がさらにより好ましい。
0088
また、磁力発生源の形状は、上記のような円筒状体内にスリット状の磁性体フィルターを設置した構成に限定されるものではなく、ポリアセタールが通過する領域にスリット状の磁性体フィルターを設けない管状構成のものであってもよい。この場合、円筒状体内が磁力発生源に相当し、当該円筒の管径が、上記磁力発生源の間隔に相当する。
0089
磁性体金属を効率的に除去する観点から、磁性体フィルターの数は10枚以上が好ましく、12枚以上がより好ましく、15枚以上がさらに好ましい。
磁性体フィルターは、格子状、スリット状、並目状のいずれでもよい。
0090
上記コイルに電流を流すことで磁界を発生させた後、円筒内にポリアセタールを導入し、磁性体フィルターに磁性体金属成分を吸着させ、除去できる。
0091
ポリアセタールを通過させる通路において、磁力が有効に機能し、ポリアセタール中に含有されている磁性体金属を除去可能な領域の長さ、すなわち磁力有効分離長は、延べ100mm以上であることが好ましい。磁力有効分離長が延べ100mm以上であることで効率的に磁性体金属を除去することができる。より好ましくは110mm以上、さらに好ましくは120mm以上である。
0092
本実施形態のポリアセタールは、微細な加工や薄肉成形を行う場合に、成型用金型の詰まり・成型不良・金型破壊抑制の観点や、フィルム・シート化した際の欠陥抑制の観点から、最大幅が150μm以上の磁性体金属の含有量が0.1個/kg以下であることが好ましい。
0093
磁性体金属の最大幅が150μm以上であることは、目開き150μmの篩(メッシュ)を通過したか否かを判断することにより確認できる。
0094
具体的には、ポリアセタールをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解させ、遠心分離機により磁性体金属を沈降させ、上澄みを捨て、再度ヘキサフルオロイソプロパノール中で磁性体金属を分散させ、遠心分離機によって磁性体金属を沈降させる。この操作を複数回繰り返し、容器の外側の底に磁石を近づけて磁性体金属を単離する。このようにして得られた磁性体金属を、乾燥処理後、上記目開き150μmの篩にかけて、通過しない磁性体金属の単位重量あたりの個数を算出する。
0095
より好ましくは100μm以上である磁性体金属含有量が0.1個/kg以下であり、さらに好ましくは、50μm以上である磁性体金属含有量が0.1個/kg以下である。
0096
最大幅が150μm以上の磁性体金属の含有量が0.1個/kg以下であるポリアセタールは、上述した(ポリアセタールを強酸と接触させる方法)、(ポリアセタールに対して磁力分離処理を行う方法)により得られる。
0097
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例における各種特性の測定方法を以下に示す。
0098
(1.ポリアセタール中の磁性体金属の抽出と含有量の秤量)
1Lガラス瓶を用い、ポリアセタールを各々過剰量のヘキサフルオロイソプロパノールに溶解させた後、1.4テスラの磁石をガラス瓶の底部に外部より接触させ、溶液中の磁性体金属成分を底部に集めた。磁性体金属が外部に流出せぬよう注意し、液体を除去した。ガラス瓶内に残った磁性体金属成分をヘキサフルオロイソプロパノールで5回洗浄し、100℃で1時間乾燥したものを磁性体金属として抽出、秤量した。
目開き150μmの篩(メッシュ)を通過しなかったものがあった場合、×
目開き150μmの篩(メッシュ)を通過しなかったものがない場合 、◎とした
0099
(2.ポリアセタールの黒色異物の確認)
ポリアセタールを用いて熱プレス処理(320℃×20分×10MPaの条件)を行い、15cm×15cm×1mm厚みにしたものを10枚作製した。10枚を5人で確認し、株式会社オーツカ化学製:OSL−1を用いて観察し、下記の基準により評価した。
黒色異物が観察されないもの:◎
黒色異物が平均2個以下のもの:○
黒色異物が平均2個を超えて観察されるもの:×
0100
(3.ポリアセタールの体積平均粒子径)
後述する実施例及び比較例において得られたポリアセタール粉体を、水中に「分散」した。続いて島津製作所製レーザー回折粒度計SALD3100を用いて体積平均粒子径を測定した。
0101
(4.ポリアセタールのゆるめ見かけ比重)
パウダーテスター(ホソカワミクロン社製:パウダーテスターTYPE PT−E)により、100cc容積の金属容器を用い測定した。
0102
(5.分離操作性の評価)
1時間あたり100kg以上の分離操作が可能であったものを分離操作性が高いとし◎で評価した。
1時間あたり100kg未満の分離操作しかできなかったものを分離操作性が低いとし×で評価した。
0103
〔ポリアセタール樹脂の製造例〕
〔製造例〕
0104
(POM−1)
十分に脱水乾燥されたパラホルムアルデヒドを150℃で熱分解させ、冷却トラップを数回通すことにより、純度99.9%のホルムアルデヒドガスを得た。重合槽底部にホルムアルデヒドガス導入のための鉄製スパージャー、ステンレス製撹拌タービン翼及びステンレス製バッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた20リットルのジャケット付きのステンレス製重合槽に1時間当り1800gのホルムアルデヒドガスを、1.0×10-4mol/Lのテトラブチルアンモニウムアセテ−トを含有するヘキサン9000g中に導入した。ホルムアルデヒドの供給と同時に、1.0×10-4のテトラブチルアンモニウムアセテ−トを含むヘキサンを1時間当り9000gの割合で7時間連続して供給した。ホルムアルデヒドガスも1時間当り1800gの割合で連続的に供給し、この間重合温度を60℃に維持した。重合の形態はスラリー重合である。重合体を含むヘキサンを供給量に見合って連続的に抜き出し、抜き出した液はポンプを通し固液分離機スクリューデカンターに連続的に送液し濾過により分離した。分離した湿潤状態の重合体は、ステンレス製撹拌タービン翼及びステンレス製バッフル、オーバーフローラインを備え、重合槽上部にベントガスラインに還流冷却器を備えた20リットルのジャケット付きの洗浄槽に連続的に送られると同時に、アセトン1時間当り9000gの割合で連続的に供給された。オーバーフローラインより重合体を含むアセトンを固液分離機スクリューデカンターに連続的に送液し濾過により分離した。得られた湿潤状態のポリアセタールは60℃にて真空乾燥し、白色重合体を得た。こうして得られた白色重合体のうち50質量部を無水酢酸500質量部、酢酸カリウム0.1質量部と混合して139℃にて3時間加熱し、冷却した。その後、アセトンで重合体を十分に洗浄し、同様に乾燥して、ポリオキシメチレンの線状重合体49質量部を回収した。体積平均粒子径は約300μmであった。ゆるめ見かけ比重は0.59であった。
0105
(POM−2)
熱媒を通すことができるジャッケット付きの2軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8)を80℃に調整し、トリオキサンを4kg/hr、コモノマーとして1,3−ジオキソランを138.2g/h(トリオキサン1molに対して、4.2mol%)、連鎖移動剤としてメチラールをトリオキサン1molに対して0.18×10−3molを連続的に添加した。さらに重合触媒として三フッ化硼素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1molに対して2.0×10-5molで連続的に添加し重合を行なった。重合の形態は塊状重合である。重合機より排出されたポリアセタールコポリマーの粉体をトリエチルアミン0.1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を行なった。失活されたポリアセタールコポリマーを遠心分離機でろ過した後、ポリアセタールコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物として水酸化コリン蟻酸塩(トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムフォルメート)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合した後140℃で一昼夜乾燥し、白色重合体を得た。体積平均粒子径は約900μmであった。ゆるめ見かけ比重は0.55であった。
0106
〔磁力分離機〕
後述する実施例及び比較例においては、日本マグネティックス社製の電磁分離機:製品名CG−180X型(有効分離長:380mm)に、磁力可変装置を付したものを使用した。
金属製スクリーンは、永久磁石ではなく、以下のいずれか一種類を使用することとし、複数枚使用して各々45度ずつ上部からみて時計回りに回転して取り付けた。
A:棒状スクリーン、目開き5mm×20枚
B:棒状スクリーン、目開き10mm×20枚
C:並目スクリーン、目開き3mm×25枚
0107
スクリーンに付着した磁性体金属を回収して秤量した。
電磁石の電源を切ってもスクリーンに付着していた磁性体金属は、スクリーンを外してハンマーで叩くことにより回収し、上記(1.ポリアセタール中の磁性体金属の抽出と含有量の秤量)に基づき含有量を測定した。
0108
(実施例1)
前記(POM−1)に対し、前記スクリーンAを備えた電磁分離機を用いて分離操作を行った。
0109
磁束密度は1.6テスラであり、約200kg/時の速度で通過させた。
スクリーンの詰まりの発生は無く、終始安定して処理できた。得られたポリアセタールの磁性体金属含有量は0.001ppmであった。
0110
その他の結果を下記表1に示す。この実施例により得られたポリアセタールをPOM−3とする。
0111
(実施例2)
(POM−2)を使用した以外は、前記実施例1と同様に実施した。
スクリーンの詰まりの発生は無く、終始安定して処理できた。得られたポリアセタールの磁性体金属含有量は0.002ppmであった。
その他の結果を下記表1に示す。この実施例により得られたポリアセタールをPOM−4とする。
0112
〔ポリアセタールに対する金属混入の影響の検証〕
配管腐食や磨耗等による、プラント等を構成する構造物由来のFe元素を主成分とする金属の微量の混入を傍証するために、磁性体金属を含有しない(POM−3)(POM−4)に、鉄粉として下記の鋼球を、後述する量、混合した。
0113
(鋼球)
以下に示す株式会社タナカ製の鋼球を用いた。
106μmの篩を通過し、45μmの篩を通過しなかったもの:鋼球P
150μmの篩を通過し、106μmの篩を通過しなかったもの:鋼球Q
250μmの篩を通過し、150μmの篩を通過しなかったもの:鋼球R
0114
(比較例1)
10kgの前記(POM−3)と、粒径が45〜106μmの鋼球P0.050gを混合し、前記磁力分離機による分離操作を行わず、そのまま黒色異物確認を行った。評価結果を表2に示す。尚、鋼球残渣量は、小数点以下3桁目を四捨五入して表記した。
0115
(比較例2)
10kgの前記(POM−4)と、粒径が106〜150μmの鋼球Q0.050gを混合し、前記磁力分離機による分離操作を行わず、そのまま黒色異物を確認した。評価結果を表2に示す。
0116
(比較例3)
10kgの前記(POM−3)と、粒径が150〜250μmの鋼球R0.050gを混合し、前記磁力分離機による分離操作を行わず、そのまま黒色異物を確認した。評価結果を表2に示す。
0117
(実施例3)
10kgの前記(POM−3)と、粒径が106〜150μmの鋼球Q0.050gを混合し、これに対して、上記スクリーンAを備えた電磁分離機を用いて分離操作を行った。磁束密度は1.6テスラであり、処理レート:約200kg/時の速度で通過させた。スクリーンの詰まりの発生は無く、終始安定して処理できた。評価結果を表2に示す
0118
(実施例4〜10)
下記表2に示す条件に従い、その他は実施例3と同様に実施した。評価結果を表2に示す。
0119
(比較例4)
前記(POM−3)10kgと、粒径が150〜250μmの鋼球R0.050gを混合し、ポリエチレン製の袋に投入した。その後、外径25mmのSUS316製チューブ内に、磁束密度1.25テスラ、直径23.5mmの棒磁石を入れた吸着棒Tをポリエチレン袋に入れ、1分間ハンドブレンドした。
その後、ポリエチレン袋から吸着棒Tを取出した後、ポリアセタールを用いて黒色異物を確認した。評価結果を表2に示す。
0120
(比較例5)
鋼球Pを用いた以外は比較例4と同様に実施した。評価結果を表2に示す。
0121
(比較例6)
10kgの前記(POM−4)と、粒径が106〜150μmの鋼球Q0.050gを混合し、これを200℃に設定されたL/D=30の30mmベント付2軸押出機のメインフィード口からフィードし、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬することによりポリアセタール樹脂ペレットを製造した。ペレットの大きさは3mm×3mmの大きさであった。
0122
得られたペレットを、上記スクリーンAを備えた電磁分離機を用いて分離操作を行った。磁束密度は1.6テスラであった。
0123
200kg/時の速度で通すとスクリーンの詰まりが発生したために、通過速度を抑制せざるを得なかった。得られたポリアセタールの磁性体金属含有量は2.90ppmであった。評価結果を表2に示す。
0124
表2に示すように、実施例4〜10においては、磁性体金属の含有量が1ppm未満であるため、黒色異物の発生もなく高品質であることが分かった。また、200kg/hでの分離操作が可能であり、効率よく磁性金属が回収されたポリアセタールが得られた。
0125
磁力分離機を用いた金属分離方法は、粒径が150〜250μmの鋼球Rを用いた実施例9及び10であっても、磁性体金属粒子を除去できており、効率的な方法であることが分かった。
0126
磁力分離機を用いずに棒磁石で金属除去を行った比較例4及び5においては、除去しきれない磁性体金属が多数存在し、実用上良好な結果が得られなかった。
0127
比較例6においては、ペレットにより分離操作を行ったため、スクリーン透過性が悪く、磁性体金属の分離が十分に行うことができなかった。
0128
0129