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技術 継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 市野健司持田哲男須加原光喜勝村龍郎
出願日 2011年8月25日 (8年3ヶ月経過) 出願番号 2011-183668
公開日 2013年3月4日 (6年9ヶ月経過) 公開番号 2013-043215
状態 特許登録済
技術分野 管の製造;マンドレル
主要キーワード 粉粒体化 ドブ漬け アルカリ金属硼酸塩 Cr鋼製 中空素材 ボーメ度 酸化鉄層 鋼ビレット
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

工具表面を簡便に保護し、寿命延長が可能な継目無鋼管穿孔圧延用工具使用方法を提供する。

解決手段

未使用の圧延用工具スケール付け熱処理を施したのち、あるいは穿孔圧延に供した圧延用工具に再スケール付け熱処理を施したのち、工具表面保護剤中に浸漬して、表面の少なくとも先端部に表面保護剤を塗布して、穿孔圧延に供する。なお、使用する表面保護剤は、質量%で4〜40%の低融点化合物粉を含み、残部がウスタイト粉またはマグネタイト粉、あるいはそれらを混合した酸化鉄粉からなる主剤と、さらに硬化剤とを、水等の溶剤に混合しスラリー状を呈する溶液とする。なお、含まれる低融点化合物粉は、Liと、さらにNa、Si、Ba、Al、Ca、Kのうちの1種以上とを含み、軟化温度が600〜1000℃であるものとする。

概要

背景

従来から、継目無鋼管の製造方法として、マンスマン式製管法が広く用いられている。この方法は、所定の温度に加熱された圧延素材丸鋼片あるいは丸鋳片)を、まず、穿孔圧延機による穿孔圧延工程を経て、中空素材としたのち、エロンゲータプラグミル、またはマンドレルミル等の延伸圧延機により肉厚を減少し、さらに必要に応じて再加熱したのち、絞り圧延機あるいはその他の成形機により、主として外径を減じて所望の寸法の継目無鋼管を得る方法である。

穿孔圧延機としては、2本の傾斜ロール穿孔用プラグおよび2個のガイドシュウを組み合わせた、いわゆるマンネスマンピアサ、3本の傾斜ロールと穿孔用プラグを組み合わせた、いわゆる3ロールピアサ、あるいは2本の孔型ロールと穿孔用プラグとを組み合わせた、いわゆるプレスロールピアサが知られている。このような穿孔圧延機による穿孔圧延工程では、穿孔用プラグは、高温の圧延素材や中空素材との絶え間ない接触により、高温、高負荷の環境下に長時間晒され、摩耗溶損等を生じやすい。このため、従来から、穿孔用プラグに高温でのスケール処理を施し、プラグ表面に数十〜数百μm厚の酸化スケール被膜を形成させて、プラグの損耗を防止していた。

しかし、最近では、熱間変形抵抗が高く、しかも表面に酸化スケールが形成されにくい、13Cr鋼や、ステンレス鋼等の高合金鋼製継目無鋼管の需要が増加している。このような高合金鋼の素材を穿孔圧延すると、プラグ表面に形成した酸化スケール被膜の損耗が激しくなり、とくにプラグ先端部の変形や焼付きを伴う損傷が早期に多発するため、プラグを早期に交換することが必要となる。このため、プラグコストの高騰を招き、さらに継目無鋼管の生産性の低下をも招くという問題があった。

このような問題に対し、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3には、プラグの組成や、スケール処理条件を適正化して、酸化スケール被膜の密着性耐摩耗性を向上させ、プラグを長寿命化する方法が提案されている。
しかし、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載された技術では、プラグの長寿命化へのある程度の効果は認められるが、合金元素の多量含有を必要とし、あるいはプラグのスケール処理が複雑となり、プラグの生産性が低下し大量生産ができず、プラグの製造コストが高騰するうえ、プラグ寿命が低下するという問題があった。さらに、最近では、高合金鋼製継目無鋼管の需要増加に伴い、一層のプラグの長寿命化が要求されている。

このような要求に対し、たとえば、特許文献4には、穿孔圧延プラグ用潤滑剤が提案されている。特許文献4に記載された潤滑剤は、質量%で、黒鉛マイカベントナイトバーミキュライト二硫化モリブデンおよび窒化硼素のうちから選ばれた1種または2種以上の粒子状物質:1〜10%、水分散型または水溶性高分子:1〜10%、酸化硼素硼酸アルカリ金属硼酸塩炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムのうちから選ばれた1種または2種以上の無機結合剤:0〜15%を含み、残部が水からなる。特許文献4に記載された技術では、この潤滑剤を、スケール付けされたプラグの少なくとも先端部の表面に塗布して、表面に所定厚さの潤滑剤塗膜を形成させたプラグを使用して、継目無鋼管の穿孔圧延を行うとしている。これにより、先端部の溶損が防止でき、プラグ寿命が向上するとしている。

また、特許文献5には、穿孔圧延用工具表面保護材が提案されている。特許文献5に記載された表面保護材は、質量%で、10〜80%の酸化鉄、1〜60%の鉄粉、5〜40%のベントナイトまたはモンモリナイトからなる主骨材と、結合材と、繊維質構造材と、或いはさらに改質材とを含み、主骨材と改質材の合計が、20〜90%である、工具表面を覆い、工具表面を保護するハット形状の表面保護材である。

また、特許文献6には、穿孔圧延時の噛み込み性を悪化させることなく、内面品質の良好な継目無鋼管の製造方法が提案されている。特許文献6に記載された技術では、スケール付け熱処理済みのプラグに、表面スケール中のFeOとの共晶温度が1200℃以下のスケール溶融物質を塗布して、穿孔圧延に供するとしている。

概要

工具表面を簡便に保護し、寿命延長が可能な継目無鋼管穿孔圧延用工具使用方法を提供する。未使用の圧延用工具にスケール付け熱処理を施したのち、あるいは穿孔圧延に供した圧延用工具に再スケール付け熱処理を施したのち、工具表面保護剤中に浸漬して、表面の少なくとも先端部に表面保護剤を塗布して、穿孔圧延に供する。なお、使用する表面保護剤は、質量%で4〜40%の低融点化合物粉を含み、残部がウスタイト粉またはマグネタイト粉、あるいはそれらを混合した酸化鉄粉からなる主剤と、さらに硬化剤とを、水等の溶剤に混合しスラリー状を呈する溶液とする。なお、含まれる低融点化合物粉は、Liと、さらにNa、Si、Ba、Al、Ca、Kのうちの1種以上とを含み、軟化温度が600〜1000℃であるものとする。

目的

本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、簡便に、プラグ等の穿孔圧延用工具の表面を保護でき、穿孔圧延用工具の寿命を更に長寿命化できる、継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

継目無鋼管穿孔圧延に用いる圧延用工具使用方法であって、未使用の前記圧延用工具にスケール付け熱処理を施したのち、該圧延用工具を、質量%で4〜40%の低融点化合物粉を含み、残部が酸化鉄粉からなる主剤と、硬化剤とを、水性溶剤またはアルコール性溶剤に混合し、スラリー状を呈する溶液とした表面保護剤中に浸漬して前記圧延用工具表面の少なくとも先端部に前記表面保護剤を塗布する塗布処理を施して、前記圧延用工具を穿孔圧延に供することを特徴とする継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。

請求項2

前記穿孔圧延に複数回、供されたのちの前記圧延用工具にさらにスケール付けを行う再スケール付け熱処理を施し、ついで、該再スケール付け熱処理を施された前記圧延用工具に、該圧延用工具を前記スラリー状を呈する溶液とした表面保護剤中に浸漬して前記圧延用工具表面の少なくとも先端部に前記表面保護剤を塗布する塗布処理を施して、前記圧延用工具をさらに穿孔圧延に供する工程を1回または複数回繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。

請求項3

前記穿孔圧延に供される間に、前記圧延用工具に、該圧延用工具を前記スラリー状を呈する溶液とした表面保護剤中に浸漬して前記圧延用工具表面の少なくとも先端部に前記表面保護剤を塗布する塗布処理を、前記穿孔圧延の1回ごとまたは複数回ごとに行うことを特徴とする請求項1または2に記載の継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。

請求項4

前記スケール付け熱処理と前記塗布処理との間に、前記スケール付け熱処理済の前記圧延用工具で少なくとも1回の穿孔圧延を行うことを特徴とする請求項1に記載の継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。

請求項5

前記酸化鉄粉が、ウスタイト粉またはマグネタイト粉、あるいはそれらの混合粉主体とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。

請求項6

前記低融点化合物粉が、Liと、Na、Si、Ba、Al、Ca、Kのうちから選ばれた1種以上とを含み、軟化温度が600〜1000℃であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。

請求項7

前記酸化鉄粉が、質量%で10%以下の鉄粉および/またはFe2O3粉を含むことを特徴とする請求項5に記載の継目無鋼管穿孔圧延用工程の使用方法。

技術分野

0001

本発明は、継目無鋼管の製造で使用するプラグ等の穿孔圧延用工具使用方法係り、とくに穿孔圧延用工具の耐久性向上に関する。

背景技術

0002

従来から、継目無鋼管の製造方法として、マンスマン式製管法が広く用いられている。この方法は、所定の温度に加熱された圧延素材丸鋼片あるいは丸鋳片)を、まず、穿孔圧延機による穿孔圧延工程を経て、中空素材としたのち、エロンゲータプラグミル、またはマンドレルミル等の延伸圧延機により肉厚を減少し、さらに必要に応じて再加熱したのち、絞り圧延機あるいはその他の成形機により、主として外径を減じて所望の寸法の継目無鋼管を得る方法である。

0003

穿孔圧延機としては、2本の傾斜ロール穿孔用プラグおよび2個のガイドシュウを組み合わせた、いわゆるマンネスマンピアサ、3本の傾斜ロールと穿孔用プラグを組み合わせた、いわゆる3ロールピアサ、あるいは2本の孔型ロールと穿孔用プラグとを組み合わせた、いわゆるプレスロールピアサが知られている。このような穿孔圧延機による穿孔圧延工程では、穿孔用プラグは、高温の圧延素材や中空素材との絶え間ない接触により、高温、高負荷の環境下に長時間晒され、摩耗溶損等を生じやすい。このため、従来から、穿孔用プラグに高温でのスケール処理を施し、プラグ表面に数十〜数百μm厚の酸化スケール被膜を形成させて、プラグの損耗を防止していた。

0004

しかし、最近では、熱間変形抵抗が高く、しかも表面に酸化スケールが形成されにくい、13Cr鋼や、ステンレス鋼等の高合金鋼製継目無鋼管の需要が増加している。このような高合金鋼の素材を穿孔圧延すると、プラグ表面に形成した酸化スケール被膜の損耗が激しくなり、とくにプラグ先端部の変形や焼付きを伴う損傷が早期に多発するため、プラグを早期に交換することが必要となる。このため、プラグコストの高騰を招き、さらに継目無鋼管の生産性の低下をも招くという問題があった。

0005

このような問題に対し、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3には、プラグの組成や、スケール処理条件を適正化して、酸化スケール被膜の密着性耐摩耗性を向上させ、プラグを長寿命化する方法が提案されている。
しかし、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載された技術では、プラグの長寿命化へのある程度の効果は認められるが、合金元素の多量含有を必要とし、あるいはプラグのスケール処理が複雑となり、プラグの生産性が低下し大量生産ができず、プラグの製造コストが高騰するうえ、プラグ寿命が低下するという問題があった。さらに、最近では、高合金鋼製継目無鋼管の需要増加に伴い、一層のプラグの長寿命化が要求されている。

0006

このような要求に対し、たとえば、特許文献4には、穿孔圧延プラグ用潤滑剤が提案されている。特許文献4に記載された潤滑剤は、質量%で、黒鉛マイカベントナイトバーミキュライト二硫化モリブデンおよび窒化硼素のうちから選ばれた1種または2種以上の粒子状物質:1〜10%、水分散型または水溶性高分子:1〜10%、酸化硼素硼酸アルカリ金属硼酸塩炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムのうちから選ばれた1種または2種以上の無機結合剤:0〜15%を含み、残部が水からなる。特許文献4に記載された技術では、この潤滑剤を、スケール付けされたプラグの少なくとも先端部の表面に塗布して、表面に所定厚さの潤滑剤塗膜を形成させたプラグを使用して、継目無鋼管の穿孔圧延を行うとしている。これにより、先端部の溶損が防止でき、プラグ寿命が向上するとしている。

0007

また、特許文献5には、穿孔圧延用工具表面保護材が提案されている。特許文献5に記載された表面保護材は、質量%で、10〜80%の酸化鉄、1〜60%の鉄粉、5〜40%のベントナイトまたはモンモリナイトからなる主骨材と、結合材と、繊維質構造材と、或いはさらに改質材とを含み、主骨材と改質材の合計が、20〜90%である、工具表面を覆い、工具表面を保護するハット形状の表面保護材である。

0008

また、特許文献6には、穿孔圧延時の噛み込み性を悪化させることなく、内面品質の良好な継目無鋼管の製造方法が提案されている。特許文献6に記載された技術では、スケール付け熱処理済みのプラグに、表面スケール中のFeOとの共晶温度が1200℃以下のスケール溶融物質を塗布して、穿孔圧延に供するとしている。

先行技術

0009

特開平08−193241号公報
特開平07−60314号公報
特開2000−190008号公報
特開2001−234189号公報
特開2002−224713号公報
特開2002−248507号公報

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、特許文献4に記載された技術によっても、複数本の穿孔圧延を連続して行うと、プラグに焼付きが生じ、所望の連続圧延ができないという問題があった。また、特許文献5に記載された技術では、保護材成型に多大の時間を要するうえ、穿孔圧延直前あるいは穿孔圧延中に、表面保護材が工具表面から脱落しやすいという問題があった。さらに、特許文献6に記載された技術では、早期にプラグに損傷が発生し、更なるプラグの長寿命化を達成できていないという問題がある。

0011

本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、簡便に、プラグ等の穿孔圧延用工具の表面を保護でき、穿孔圧延用工具の寿命を更に長寿命化できる、継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記した目的を達成するために、穿孔圧延用工具(プラグ)の寿命に影響する各種要因について鋭意研究した。表面に酸化スケール被膜を形成された穿孔圧延用工具(プラグ)では、工具の寿命は、酸化スケール被膜の損耗速度律速され、残存する酸化スケール被膜の有無に支配され、表面に形成された酸化スケール被膜が消滅した時点で焼付き、溶損が生じ、廃却される。

0013

このようなことから、穿孔圧延用工具の長寿命化には、工具表面に予め形成された酸化スケール被膜を、適宜、補充することがよいことに思い至った。そして、酸化スケール被膜の簡便な補充方法として、特定組成表面保護剤を塗布することが、有効であることに想到した。そして、そのような表面保護剤として、ウスタイトマグネタイト等の酸化鉄粉と、低融点化合物粉と、を溶剤に混合し、スラリー状にした溶液(穿孔圧延用工具表面保護剤)とすれば、簡便にしかも確実に、圧延用工具表面の酸化スケール被膜を補充することができることを見出した。

0014

そして、更なる検討によれば、上記した溶液を圧延用工具表面に塗布することにより、溶液中に含まれる低融点化合物の作用により、溶液中の酸化鉄粉が、工具表面の酸化スケール被膜と融合して酸化スケール被膜が補充され、さらに低融点化合物の潤滑作用により酸化スケール被膜が補強され、あるいはさらに酸化スケール被膜の損耗が抑制されて、工具の潤滑や断熱の低下が防止でき、穿孔圧延用工具の寿命延長が可能となることを知見した。

0015

そして、このような溶液は、圧延用工具を直接、浸漬(いわゆるドブ漬け)することができ、圧延用工具を単に浸漬するだけで、表面保護剤を工具表面に塗布することができ、特別な乾燥、成型等の工程を必要とすることなく、圧延用工具を保護することができ、簡便で穿孔圧延の生産性向上に大きく寄与することを知見した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)継目無鋼管の穿孔圧延に用いる圧延用工具の使用方法であって、未使用の前記圧延用工具にスケール付け熱処理を施したのち、該圧延用工具を、質量%で4〜40%の低融点化合物粉を含み、残部が酸化鉄粉からなる主剤と、硬化剤とを、水性溶剤またはアルコール性溶剤に混合し、スラリー状を呈する溶液とした表面保護剤中に浸漬して前記圧延用工具表面の少なくとも先端部に前記表面保護剤を塗布する塗布処理を施して、前記圧延用工具を穿孔圧延に供することを特徴とする継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。
(2)(1)において、前記穿孔圧延に複数回、供されたのちの前記圧延用工具にさらにスケール付けを行う再スケール付け熱処理を施し、ついで、該再スケール付け熱処理を施された前記圧延用工具に、該圧延用工具を前記スラリー状を呈する溶液とした表面保護剤中に浸漬して前記圧延用工具表面の少なくとも先端部に前記表面保護剤を塗布する塗布処理を施して、前記圧延用工具をさらに穿孔圧延に供する工程を1回または複数回繰り返すことを特徴とする継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。
(3)(1)または(2)において、前記穿孔圧延に供される間に、前記圧延用工具に、該圧延用工具を前記スラリー状を呈する溶液とした表面保護剤中に浸漬して前記圧延用工具表面の少なくとも先端部に前記表面保護剤を塗布する塗布処理を、前記穿孔圧延の1回ごとまたは複数回ごとに行うことを特徴とする継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。
(4)(1)において、前記スケール付け熱処理と前記塗布処理との間に、前記スケール付け熱処理済の前記圧延用工具を少なくとも1回の穿孔圧延に供することを特徴とする継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記酸化鉄粉が、ウスタイト粉またはマグネタイト粉、あるいはそれらの混合粉主体とすることを特徴とする継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。
(6)(1)ないし(5)のいずれかにおいて、前記低融点化合物粉が、Liと、Na、Si、Ba、Al、Ca、Kのうちから選ばれた1種以上を含み、軟化温度が600〜1000℃であることを特徴とする継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。
(7)(5)において、前記酸化鉄粉が、質量%で10%以下の鉄粉および/またはFe2O3粉を含むことを特徴とする継目無鋼管穿孔圧延用工具の使用方法。

発明の効果

0016

本発明によれば、穿孔圧延前に、スケール付け処理に加えてさらに、穿孔圧延用工具を特定な組成を有するスラリー状を呈する表面保護剤中に浸漬し、該圧延用工具表面に表面保護剤を塗布するという簡便な塗布処理だけで、穿孔圧延用工具の寿命が格段に向上し、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、ハケ塗り等の特別な塗布作業を行う必要がなく、また乾燥等の付加処理を行う必要がなく、高Cr鋼製継目無鋼管の生産性向上に大きく寄与し、製造コストを低減することができるという効果もある。また、本発明によれば、プラグ表面を滑らかにでき、管内面疵の発生を抑制できるという効果もある。

図面の簡単な説明

0017

圧延用工具(プラグ)の損傷状態を、模式的に示す説明図である。
本発明の圧延用工具の使用方法(a)の一例および従来例(b)を模式的に示す説明図である。
実施例で使用した(a)スケール付け熱処理、(b)再スケール付け熱処理、を示す説明図である。

0018

本発明は、継目無鋼管製造における穿孔圧延に用いる圧延用工具の使用方法である。
本発明では、未使用の穿孔圧延用工具に、まず、スケール付け熱処理を施す。なお、使用する穿孔圧延用工具としては、通常、質量%で、C:0.1〜0.5%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、Ni:0.5〜3.0%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜3.0%、を含み、その他、Co、Nb、V、W等を適宜含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から組成の鋳造品が使用されている。本発明で使用する穿孔圧延用工具は、上記した組成に限定されないことは言うまでもない。

0019

本発明で用いるスケール付け熱処理は、工具表面に酸化スケール被膜を形成させればよく、とくに限定されるものでないが、未使用の圧延用工具に、酸化雰囲気中で、900℃以上の温度に加熱保持したのち、500℃以下まで30℃/h以下の冷却速度で冷却し、その後、放冷する処理とすることが好ましい。上記した熱処理では、使用する炉を限定する必要はないが、電気炉、あるいはガス燃焼炉等を用いることが温度制御の観点から好ましい。

0020

上記した熱処理により、圧延用工具表面には、0.5〜2mm厚の酸化鉄層スケール層)が形成される。
圧延用工具表層にスケール層を形成することにより、スケール層の持つ断熱性潤滑性により、圧延用工具本体の損傷を多少でも抑制でき、工具寿命延長が可能となる。しかし、圧延用工具表面のスケール層が損耗すると、図1に示すように、圧延用工具の変形、焼付きあるいはエグレ疵などが発生し、圧延用工具は廃却されることになる。

0021

このため、本発明では、スケール付け熱処理後に、圧延用工具表面に表面保護剤を塗布して、圧延用工具表面のスケール層を補充、補強する。本発明では、表面保護剤の塗布は、圧延用工具をスラリー状を呈する表面保護剤中に浸漬(いわゆるドブ漬け)し、圧延用工具表面に表面保護剤を塗布する塗布処理とする。これにより、塗布処理後の圧延用工具を、とくに乾燥する必要もなくなり、塗布処理が簡便になり、生産性が向上する。なお、ドブ漬けを行うに際し、工具を回転させながら浸漬することが好ましい。工具を回転させることにより、保護剤の塗布が均一となる。また、浸漬に際しての工具と保護剤との角度はとくに限定されない。ドブ漬けを行うに際しては特別な粘性の調整は必要としない。ハケ塗りやスプレー塗りのような粘性調整が難しい塗布処理を行う必要はない。

0022

本発明で使用する表面保護剤では、特別な粘性調整を必要としない。粘度が高くなったと判断した場合には、溶剤を適量添加するだけでよい。溶剤の添加量は精度よく調整する必要はない。なお、表面保護剤は、粘性の低下、均一性を保持するために、撹拌機等で適時撹拌しておくことが好ましい。
なお、表面保護剤の塗布は、少なくとも先端部、すなわち穿孔圧延用工具の先端から工具長さの1/3以上の領域とすることが好ましい。というのは、穿孔圧延用工具の先端部がとくに、厳しい環境に晒されるためである。また、表面保護剤の塗布量は、工具と被圧延材とが接触する領域が覆われていればよく、その量はとくに限定されないが、工具表面を十分に覆うという観点から塗布厚さで0.5〜2mmとすることが好ましい。

0023

このような塗布処理が可能となる表面保護剤として、本発明では、溶剤に主剤と硬化剤とを混合した、スラリー状を呈する表面保護剤を使用する。本発明で使用する好ましい表面保護剤は、主剤が酸化鉄粉を主体とし、主剤全量に対する質量%で4〜40%の低融点化合物粉を含む。
主剤の主体である酸化鉄粉は、ウスタイト(FeO)粉またはマグネタイト(Fe3O4)粉、あるいはそれらの混合粉とすることが好ましい。なお、酸化鉄粉の平均粒径は、15μm以下とすることが、分散性の観点から好ましい。なお、酸化鉄粉全量に対する質量%で10%以下であれば、Fe粉、Fe2O3粉を含有してもよい。

0024

また、主剤に含まれる「低融点化合物粉」は、600〜1000℃の範囲の融点を有する低融点化合物を主体とする粉末とする。例えば、低融点化合物としては、Liと、さらにNa、Si、Ba、Al、Ca、Kのうちの1種以上を含む化合物が例示でき、具体的には、低融点化合物粉は、ガラス類鋳造用フラックス粉粒体化したもの、あるいは、Li化合物とNa、Si、Ba、Al、Ca、Kのうちの1種以上を含む炭酸塩や自然石等あるいは化合物を1回以上溶融プリメルト)し、混合あるいは融合させたのち、粉砕したものを用いてもよい。プリメルト品としては、例えば遠心鋳造用フラックスとして利用されているものが好適である。遠心鋳造用フラックスでは、例えば、SiO2、CaO、Na2O、Li2O、Al2O3、あるいはさらにMnO、MgOを含有する。なお、低融点化合物としてC,Bを含む物質を用いると、鋼管内面脆化を引き起こすため、注意が必要となる。なお、プリメルト品以外の化合物を用いると、軟化温度の不均一やガス発生量が多くなるという問題が生じる。
なお、主剤に含有する低融点化合物粉は、−180メッシュとすることが好ましい。粒径が180メッシュより大きくなると、工具の表面に予め形成されたスケールとの融合が不十分となる。このため、使用する低融点化合物粉の粒径を、−180メッシュに限定することが好ましい。

0025

主剤として、酸化鉄粉に低融点化合物を混合することにより、穿孔圧延用工具の表面に予め形成されたスケールとの融合が助長され、さらに表面保護剤の潤滑効果を増加させることができる。このような効果は、4%以上の低融点化合物の含有で顕著となる。一方、40%を超えて多量に含有しても、効果が飽和し、さらに、酸化スケール、酸化鉄が低融点し、表面保護作用が低下する。このようなことから、主剤中における低融点化合物の含有量は4〜40%の範囲に限定した。

0026

また、溶剤は、水等の水性溶剤またはアルコール等のアルコール性溶剤とする。主剤と硬化剤とをそれぞれ溶剤に混合し、スラリー状とする。なお、表面保護剤の比重が、60〜95ボーメ度(°B’e)となるように、主剤100質量部に対し、溶剤:20〜90質量部を、配合する。これにより、工具を表面保護剤に浸漬(ドブ漬け)しても、表面保護剤を、穿孔圧延用工具の表面に、容易に塗布することができるようになる。なお、表面保護剤の粘度調整は、溶剤の適当量添加で十分に行える。

0027

また、表面保護剤中には硬化剤を含有させるが、硬化剤は、スラリー状の保護剤中の主剤を工具表面に安定に固定させるために、含有させる。その含有量は、主剤100質量部に対する質量部で、2〜20質量部とすることが好ましい。2質量部未満では、表面保護剤の強度が低下する。一方、20質量部を超える多量の含有は、付着した表面保護剤に亀裂が発生しやすくなる。

0028

硬化剤としては、水溶性のものとしては、アクリル系樹脂酢酸ビニル樹脂エチレン酢酸系樹脂スチレン系樹脂粘土水ガラス等が、溶剤系のものとして、ポリエチレン系樹脂エステル系樹脂ウレタン系樹脂エポキシ系樹脂アルキド系樹脂ゴム等が、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂尿素系樹脂メラミン系樹脂等が例示される。また、炭素繊維ガラス繊維強化された強化型樹脂含油系樹脂等を用いても何ら問題ない。

0029

スラリーを安定的に塗布するために、表面保護剤には、溶剤と、上記した主剤、硬化剤、に加えて、さらに、界面活性剤消泡剤防腐剤増粘剤等を適宜、含有することが好ましい。
なお、上記した表面保護剤を用いれば、塗布処理された圧延用工具を、ぬれたままあるいは生乾きのままとしてもよく、塗布後の乾燥はとくに必要としないため、特別な乾燥をすることなく、穿孔圧延を施してもなんら問題はない。

0030

また、スケール付け熱処理を施したのち、表面保護剤の塗布処理の前に、少なくとも1回の穿孔圧延を行ってもよい。
上記したスケール付け熱処理を施され、さらに塗布処理により表面に表面保護剤を塗布された圧延用工具は、ついで、複数回の穿孔圧延に供される。本発明では、複数回の穿孔圧延を行ったのち、好ましくは圧延用工具の表面状態目視で判定して必要に応じ、穿孔圧延に供された圧延用工具にさらに再度、スケール付けを行う再スケール付け熱処理を施す。

0031

再スケール付け熱処理は、酸化スケール被膜を表面に形成できれば、その条件をとくに限定する必要はない。未使用の圧延用工具に初めてスケールを付与するスケール付け熱処理と同じとしてもよい。
再スケール付け熱処理を施された圧延用工具は、該圧延用工具を表面保護剤中に浸漬(ドブ漬け)して圧延用工具表面の少なくとも先端部に前記表面保護剤を塗布する塗布処理を施されたのち、さらに複数回の穿孔圧延に供される。なお、塗布処理は、上記したスケール付け熱処理後と同様に、上記した組成の表面保護剤中に圧延用工具を浸漬(ドブ漬け)して、圧延用工具表面に表面保護剤を塗布する処理とする。

0032

本発明では、このような再スケール付け熱処理と、表面保護剤の塗布処理と、複数回の穿孔圧延とからなる工程を複数回繰り返すことが好ましい。というのは、穿孔圧延に供された圧延用工具では表面のスケール層が損耗し、スケール層が薄くなるが、スケール層が消失する前に、再スケール付け熱処理と塗布処理とを施すことにより、表面に形成されるスケール層が補充、補強されて圧延用工具の損傷が抑制され、工具寿命を延長することができる。このため、再スケール付け熱処理と塗布処理とを繰り返すことにより、複数回の穿孔圧延を複数回、繰り返すことができることになる。なお、穿孔圧延に供された圧延用工具に再スケール付け熱処理を施す時期は、穿孔圧延に供された圧延用工具の表面状態を目視で判定して決定することが製品品質の確保の観点から、好ましい。

0033

また、本発明では、圧延用工具が複数回の穿孔圧延に供される間に、圧延用工具に、上記した塗布処理と同様の塗布処理を、穿孔圧延の1回ごとまたは複数回ごとに行うことが好ましい。これにより、工具表面にスケール付け熱処理および/または再スケール付け熱処理で形成されたスケール層の損耗が激しくなる前に、すなわち、穿孔圧延を1回または複数回行った後に、スケール層を更に補充、補強することができ、圧延用工具の損耗が抑制されて、工具寿命をさらに延長できる。

0034

このような処理を、複数回、繰り返したのち、圧延用工具は、変形、焼付き、えぐれ等が発生する寿命まで使い切る。
これにより、スケール付け処理のみを施して、変形、焼付き、えぐれ等が発生する寿命まで使い切る場合より、圧延用工具の長寿命化を簡便に、達成できる。この状況を図2に示す。

0035

表1に示す組成のプラグ(穿孔圧延用工具:未使用)に、まず、図3(a)に示すスケール付け熱処理を施し、厚さ:500〜1000μmのスケールをプラグ表面に形成した。そして、スケール付け熱処理を施されたプラグ(大きさ:140mmφ×350mm長さ)を、表2に示す組成のスラリー状を呈する表面保護剤中に、プラグの先端から約2/5〜1/2の領域を浸漬(ドブ漬け)して、プラグ表面に表面保護剤を塗布した。なお、主剤には、表3に示す「低融点化合物粉」を配合した。

0036

浸漬後、表面保護剤が濡れたままあるいは生乾きのまま、穿孔圧延の1〜3回ごとに塗布プラグを4〜6回(複数回)の穿孔圧延に供した。穿孔圧延は、13Cr系鋼ビレットの穿孔圧延とした。なお、ビレットの温度は1200〜1260℃であった。
穿孔圧延に際して、各穿孔圧延後に、プラグ表面状況を目視し、穿孔圧延の1〜3回ごとに、必要に応じて上記したと同様の塗布処理を施した。そして、4〜6回(複数回)の穿孔圧延を終了した後に、図3(b)に示す再スケール付け熱処理を施し、厚さ:500〜1000μmのスケールをプラグ表面に形成した。

0037

再スケール付け熱処理を施されたプラグは、スケール付け熱処理後と同様に、表2に示す組成のスラリー状を呈する表面保護剤中に、プラグの先端から約2/5〜5/6の領域を浸漬(ドブ漬け)して、プラグ表面に表面保護剤を塗布した。浸漬後、表面保護剤が濡れたままあるいは生乾きのままで、さらにプラグを4〜6回(複数回)の穿孔圧延に供するという要領圧延を繰返した。また、穿孔圧延に際しては同様に、各穿孔圧延後に、プラグ表面状況を目視し、穿孔圧延の1〜3回ごとに、必要に応じて上記したと同様の塗布処理を施した。そして、4〜6回の穿孔圧延を終了した後に、再スケール付け熱処理を施した。再スケール付け熱処理後に、同様にさらに穿孔圧延に供した。

0038

このような工程を、焼付き、溶損や変形、大きなえぐれが発生し、プラグ廃却となるまで繰り返し、それまでの合計穿孔本数(穿孔圧延回数)を求めた。なお、同一条件での繰り返し数を4(N=4)として、その平均を、その条件でのプラグ使用における、プラグ寿命とした。プラグ寿命が8本以下である場合を×、8本超え〜16本未満を△、16本以上を○、として評価した。

0039

なお、従来例として、スケール付け熱処理を施したのち、表面保護剤を塗布することなく、変形、焼付き等の欠陥が発生し、廃却されるまで(寿命まで)、穿孔圧延に供した。
得られた結果を表4に示す。

0040

0041

0042

0043

実施例

0044

表面保護剤中にドブ漬けして表面に表面保護剤を塗布して穿孔圧延に供されたプラグ(本発明例)は、いずれも、プラグ寿命は15本以上となっており、従来例の3.5本に比べて、約3倍以上の、長寿命化が達成できている。一方、本発明の好ましい範囲を外れた表面保護剤で塗布されたプラグは、従来より若干長いプラグ寿命を確保できているが、15本以上の所望の長寿命を達成できていない。

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