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技術 垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金およびスパッタリングターゲット材

出願人 山陽特殊製鋼株式会社
発明者 澤田俊之松原慶明
出願日 2011年8月17日 (8年6ヶ月経過) 出願番号 2011-178187
公開日 2013年2月28日 (6年11ヶ月経過) 公開番号 2013-040377
状態 特許登録済
技術分野 物理蒸着 磁気記録担体 磁気記録媒体の製造
主要キーワード Cu元素 Sn添加 合金特性 銅ロール 雰囲気圧 ハローパターン 飽和磁歪 溶け落ち
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年2月28日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

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課題

低保磁力を有する垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金、およびこの合金薄膜を作製するためのスパッタリングターゲット材を提供する。

解決手段

Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Bを1種以上、W,Snの1種または2種を含み、残部CoおよびFeからなり、下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とする、垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。at.%で、(1)6≦Ti%+Zr%+Hf%+Nb%+Ta%+B%/2≦24(2)Zr%+Hf%≦14(3)3≦W%+Sn%≦19(4)0.20≦Fe%/(Fe%+Co%)≦0.90

概要

背景

近年、磁気記録技術の進歩は著しく、ドライブ大容量化のために、磁気記録媒体高記録密度化が進められており、従来普及していた面内磁気記録媒体よりさらに高記録密度が実現できる、垂直磁気記録方式が実用化されている。

垂直磁気記録方式とは、垂直磁気記録媒体磁性膜中の媒体面に対して磁化容易軸垂直方向配向するように形成したものであり、高記録密度に達した方法である。そして、垂直磁気記録方式においては、記録感度を高めた磁気記録膜層軟磁性膜層とを有する2層記録媒体が開発されている。この磁気記録膜層には、一般的にCoCrPt−SiO2系合金が用いられている。

一方、従来の軟磁性膜層には、強磁性非晶質性が必要であり、さらに垂直磁気記録媒体の用途や使用環境によっては、高飽和磁束密度高耐食性、高硬度など様々な特性が付加的に要求されてきた。例えば、特開2008−260970号公報(特許文献1)のように、耐食性の高い強磁性元素であるCoをベースとし、非晶質性を高めるためにZrをはじめとした非晶質促進元素が添加されたものが用いられている。また、特開2008−299905号公報(特許文献2)では、Feを添加することにより高い飽和磁束密度を得ており、Bを添加することにより高い硬度を得ている。

さらに、従来から要求されてきた上記特性のほか、低い保磁力を有する軟磁性膜用合金が要求されるようになってきた。近年のハードディスクドライブ読書き用ヘッドの改良や、軟磁性合金磁束密度を調整し軟磁性膜Ru膜との交換結合磁界を最適化することにより、従来より低い磁束での書き込みが可能となってきている。これに応じて、記録膜の下に配置されている軟磁性膜は、高い書込み磁束で飽和する高飽和磁束密度より、低い書込み磁束でも磁化反転できるように、低い保磁力とすることが効果的になってきた。
特開2008−260970号公報
特開2008−299905号公報

概要

低保磁力を有する垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金、およびこの合金の薄膜を作製するためのスパッタリングターゲット材を提供する。 Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Bを1種以上、W,Snの1種または2種を含み、残部CoおよびFeからなり、下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とする、垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。at.%で、(1)6≦Ti%+Zr%+Hf%+Nb%+Ta%+B%/2≦24(2)Zr%+Hf%≦14(3)3≦W%+Sn%≦19(4)0.20≦Fe%/(Fe%+Co%)≦0.90 なし

目的

本発明は、低い保磁力を有する垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Bを1種以上、W,Snの1種または2種を含み、残部CoおよびFeからなり、下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とする、垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。at.%で、(1)6≦Ti%+Zr%+Hf%+Nb%+Ta%+B%/2≦24(2)Zr%+Hf%≦14(3)3≦W%+Sn%≦19(4)0.20≦Fe%/(Fe%+Co%)≦0.90

請求項2

W,Snの1部もしくは全部を、V,Mnの1種または2種で置換し、かつ下記(5)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。(5)3≦W%+Sn%+V%+Mn%≦19

請求項3

Al,Cr,Mo,Si,P,C,Geの1種以上を含み。かつ下記(6)を満たすことを特徴とする、請求項1または2に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。(6)Al%+Cr%+Mo%+Si%+P%+C%+Ge%≦9

請求項4

Ni,Cuの1種または2種を5%以下含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の合金からなるスパッタリングターゲット材

技術分野

0001

本発明は、低保磁力を有する垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金、およびこの合金薄膜を作製するためのスパッタリングターゲット材に関するものである。

背景技術

0002

近年、磁気記録技術の進歩は著しく、ドライブ大容量化のために、磁気記録媒体高記録密度化が進められており、従来普及していた面内磁気記録媒体よりさらに高記録密度が実現できる、垂直磁気記録方式が実用化されている。

0003

垂直磁気記録方式とは、垂直磁気記録媒体の磁性膜中の媒体面に対して磁化容易軸垂直方向配向するように形成したものであり、高記録密度に達した方法である。そして、垂直磁気記録方式においては、記録感度を高めた磁気記録膜層軟磁性膜層とを有する2層記録媒体が開発されている。この磁気記録膜層には、一般的にCoCrPt−SiO2系合金が用いられている。

0004

一方、従来の軟磁性膜層には、強磁性非晶質性が必要であり、さらに垂直磁気記録媒体の用途や使用環境によっては、高飽和磁束密度高耐食性、高硬度など様々な特性が付加的に要求されてきた。例えば、特開2008−260970号公報(特許文献1)のように、耐食性の高い強磁性元素であるCoをベースとし、非晶質性を高めるためにZrをはじめとした非晶質促進元素が添加されたものが用いられている。また、特開2008−299905号公報(特許文献2)では、Feを添加することにより高い飽和磁束密度を得ており、Bを添加することにより高い硬度を得ている。

0005

さらに、従来から要求されてきた上記特性のほか、低い保磁力を有する軟磁性膜用合金が要求されるようになってきた。近年のハードディスクドライブ読書き用ヘッドの改良や、軟磁性合金磁束密度を調整し軟磁性膜Ru膜との交換結合磁界を最適化することにより、従来より低い磁束での書き込みが可能となってきている。これに応じて、記録膜の下に配置されている軟磁性膜は、高い書込み磁束で飽和する高飽和磁束密度より、低い書込み磁束でも磁化反転できるように、低い保磁力とすることが効果的になってきた。
特開2008−260970号公報
特開2008−299905号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上述した特許文献1における、耐食性の高い強磁性元素であるCoをベースとし、非晶質性を高めるためにZrをはじめとした非晶質促進元素が添加されたものが用いられているものや、特許文献2における、Feを添加することにより高い飽和磁束密度を得、Bを添加することにより高い硬度を得ている点では優れているが、さらに低い保磁力を有する軟磁性膜用合金特性要請が必要となって来た。

課題を解決するための手段

0007

上述したような要請に対応するために、発明者らは垂直磁気記録媒体の軟磁性膜用合金の保磁力に及ぼす合金元素の影響について詳細に検討した結果、W,Snを適正量添加することで低い保磁力を示す軟磁性合金が得られることを見出した。また、保磁力を低下させる補助的な添加元素として、VおよびMnが有効であることも見出した。さらに、従来から用いられてきた非晶質化促進元素であるZr,Hfの過添加は保磁力を増大することも明らかにした。

0008

さらに、本発明における最も重要な特徴は、後述する実施例でも明らかにするが、様々な添加元素について飽和磁束密度の低下量に対する保磁力の低減効果を詳細に評価したところ、W,Snが最も高い効果を有することを見出したことである。さらに、W,Snに次いで、V,Mnの保磁力低減効果が高いことも明らかにした。これらを基に、本発明は、低い保磁力を有する垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金を提供するものである。

0009

その発明の要旨とするところは、
(1)非晶質化を促進する元素として、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Bを1種以上、低保磁力化を促進する元素として、W,Snの1種または2種を含み、残部CoおよびFeからなり、下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とする、垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。
at.%で、
(1)6≦Ti%+Zr%+Hf%+Nb%+Ta%+B%/2≦24
(2)Zr%+Hf%≦14
(3)3≦W%+Sn%≦19
(4)0.20≦Fe%/(Fe%+Co%)≦0.90

0010

(2)W,Snの1部もしくは全部を、補助的な低保磁力化元素であるV,Mnの1種または2種で置換し、かつ下記(5)を満たすことを特徴とする、前記(1)に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。
(5)3≦W%+Sn%+V%+Mn%≦19

0011

(3)飽和磁束密度を調整する元素としてAl,Cr,Mo,Si,P,C,Geの1種以上を含み。かつ下記(6)を満たすことを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。
(6)Al%+Cr%+Mo%+Si%+P%+C%+Ge%≦9
(4)Ni,Cuの1種または2種を5%以下含むことを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の合金からなるスパッタリングターゲット材にある。

発明の効果

0012

以上述べたように、本発明により低保磁力を有する垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金、およびこの合金の薄膜を作製するためのスパッタリングターゲット材を提供できる極めて優れた効果を奏するものである。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明に係る成分組成の限定理由を述べる。
6≦Ti%+Zr%+Hf%+Nb%+Ta%+B%/2≦24
本発明合金において、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Bは、非晶質化を促進するための必須元素である。なお、Bはその他の元素と比較し、非晶質化促進効果および飽和磁束密度の低下効果が約1/2であることから、この式中ではB/2で扱っている。また、Ti%+Zr%+Hf%+Nb%+Ta%+B%/2が6未満では非晶質化促進効果が十分ではなく、24を超えると非晶質化促進効果が飽和するとともに飽和磁束密度が過度に低下することから、その範囲を6〜24とした。好ましくは8〜18、より好ましくは9〜14である。

0014

Zr%+Hf%≦14
ZrおよびHfは、非晶質化促進効果の高い元素であるが、同時に保磁力を増大させてしまう。Zr%+Hf%が14を超えると保磁力が増大してしまうことから、その上限を14とした。好ましくは12、より好ましくは8である。

0015

3≦W%+Sn%≦19
W,Snは、飽和磁束密度の低下割合に対し、保磁力の低減効果を高めるための必須元素であり、本発明における最も重要な添加元素である。しかし、W%+Sn%の添加量が3%未満では保磁力の低減効果が十分でなく、また、19%を超えると効果が飽和し、飽和磁束密度が過度に低下することから、その範囲を3〜19とした。好ましくは4〜17、より好ましくは6〜14である。なお、この高い保磁力低減効果についての詳細な原理は不明であるが、飽和磁歪定数の低下が影響していることが予測される。

0016

0.20≦Fe%/(Fe%+Co%)≦0.90
本発明合金において、CoおよびFeは、高い飽和磁束密度を持たせるための必須元素である。しかし、Fe%/(Fe%+Co%)が、0.20未満、もしくは0.90を超えると高い飽和磁束密度が得られない。したがって、その範囲を0.20〜0.90とした。好ましくは0.25〜0.70、より好ましくは0.30〜0.65である。

0017

3≦W%+Sn%+V%+Mn%≦19
本発明合金において、VおよびMnは、W,Snに次いで効果的に保磁力を低減する元素であり、W,Snの1部もしくは全部と置換することができる。しかし、W%+Sn%+V%+Mn%が3未満では保磁力の低減効果が十分でない。また、19を超える保磁力低減効果が飽和し、飽和磁束密度が過度に低下することから、その範囲を3〜19とした。好ましくは4〜17、より好ましくは6〜14である。

0018

Al%+Cr%+Mo%+Si%+P%+C%+Ge%≦9
本発明合金において、Al,Cr,Mo,Si,P,C,Geは、保磁力の低下には大きな影響を与えないが、飽和磁束密度の調整のため添加することができる。しかし、9を超えると飽和磁束密度が過度に低下することから、その上限を9とした。好ましくは4、より好ましくは0である。

0019

Ni,Cuの1種または2種を5%以下
本発明合金において、Ni,Cuは、飽和磁束密度の調整のため添加することができる。しかし、保磁力を増加させてしまうことから、その上限を5%とした。好ましくは3、より好ましくは0である。

0020

通常、垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層は、その成分と同じ成分のスパッタリングターゲット材をスパッタし、ガラス基板などの上に成膜し得られる。ここでスパッタにより成膜された薄膜は急冷されている。これに対し、本発明では実施例、比較例の供試材として、単ロール式の液体急冷装置にて作製した急冷薄帯を用いている。これは実際にスパッタにより急冷され成膜された薄膜の成分による諸特性への影響を、簡易的に液体急冷薄帯により評価したものである。

0021

急冷薄帯の作製条件として、所定の成分に量した原料30gを径10mm、長さ40mm程度の水冷銅鋳型にて減圧アルゴン中アーク溶解し、急冷薄帯の溶解母材とした。急冷薄帯の作製条件は、単ロール方式で、径15mmの石英管中に、この溶解母材にセットし、出湯ノズル径を1mmとし、雰囲気圧61kPa、噴霧差圧69kPa、銅ロール(径300mm)の回転数3000rpm、銅ロールと出湯ノズルギャップ0.3mmにて出湯した。出湯温度は各溶解母材の溶け落ち直後とした。このようにして作製した急冷薄帯を供試材とし、以下の項目を評価した。

0022

飽和磁束密度低下量に対する保磁力低減効果の評価として、振動試料型の保磁力メータにて、試料台両面テープ急冷リボンを貼り付け、初期印可磁場144kA/mにて保磁力を測定した。次に、VSM装置(振動試料型磁力計)にて、印可磁場1200kA/m、供試材の重量15mg程度で飽和磁束密度を測定した。これら測定結果より、様々な元素の添加前と添加後での保磁力の低下量と飽和磁束密度の低下量の比[(保磁力の低下量)/(飽和磁束密度の低下量)]により評価した。したがって、この値が大きいほど、少ない飽和磁束密度低下量で、大きな保磁力低減効果が得られることを示す。

0023

一方、急冷薄帯の非晶質性の評価として、通常、非晶質材料X線回折パターンを測定すると、回折ピークが見られず、非晶質特有ハローパターンとなる。また、完全な非晶質でない場合は、回折ピークは見られるものの、結晶材料と比較しピーク高さが低くなり、かつ、ハローパターンも見られる。そこで、以下の方法にて非晶質性を評価した。

0024

ガラス板に両面テープで供試材を貼り付け、X線回折装置にて回折パターンを得た。このとき、測定面は急冷薄帯の銅ロール接触面となるように供試材をガラス板に貼り付けた。X線源はCu−kα線で、スキャンスピードが毎分4°の条件で測定した。この回折パターンにハローパターンが確認できるものを○、全くハローパターンが見られないものを×、として非晶質性の評価とした。先ず初めに、基本組成を2種選定し、それぞれに一定量の添加元素を添加し、添加元素種類による保磁力低減効果について検討した。その結果を表1および2に示した。

0025

表1は、86(50Co50Fe)−8Zr−6Bを基本組成とした添加元素種類の影響(添加量一定での評価)を示した。なお、この表記は、43Co−43Fe−8Zr−6Bを示す。

0026

表2は、87(35Co65Fe)−3Ti−5Zr−3Nb−2Taを基本組成とした添加元素種類の影響(添加量一定での評価)を示した。なお、この表記は、30.45Co−56.55Fe−3Ti−5Zr−3Nb−2Taを示す。

0027

表1に示すように、WおよびSn添加が最も効果よく保磁力を低下させ、次いで、V,Mn添加が効果的である。また、Cr,Mo,Al,C,Si,P,Ge添加は大きく保磁力を変化させることができない。さらに、NiおよびCu添加は保磁力を大幅に増大させてしまうことが分かる。また、表2においても、表1と全く同一効果を示し、WおよびSn添加が最も効果よく保磁力を低下させ、次いで、V,Mn添加が効果的である。また、Cr,Mo,Al,C,Si,P,Ge添加は大きく保磁力を変化させることができない。さらに、NiおよびCu添加は保磁力を大幅に増大させてしまうことが分かる。

0028

以上の試験結果である、表1、2により、保磁力の低減効果が、(W,Sn)>(V,Mn)>(Cr,Mo,Al,C,Si,P,Ge)>(Ni,Cu)であることが分かり、W,Sn,V,Mnは保磁力を低下させ、Cr,Mo,Al,C,Si,P,Geは保磁力の変化が小さく、Ni,Crは保磁力を大幅に増大させてしまう。この結果から、本発明における添加の上限量の順位を、(W,Sn)=(V,Mn)>(Cr,Mo,Al,C,Si,P,Ge)>(Ni,Cu)と規定し、特に、保磁力を増加させる悪影響の大きいNi,Cuの添加量上限は厳しく制御する必要があることが分かった。

0029

次に、それぞれの元素における添加量の上限値を定量的に検討するため、様々な基本成分の供試材と、これに様々の元素を様々な量添加した供試材を作製し、保磁力、飽和磁束密度、非晶質性、飽和磁束密度の試験を行った。その結果を表3に示す。

0030

ここで、表3においては、添加元素は基本成分の(Co+Fe)と置換している。すなわち、表3のNo.1の基本成分は、72.8Co−18.2Fe−8Zr−1Taを表し、No.1の添加元素を入れた成分は、70.4Co−17.6Fe−8Zr−1Ta−3Wを表す。なお、CoとFeの比率は保磁力に影響することが予測され、本試験の目的は純粋に保磁力に及ぼす添加元素の影響を見極めることであることから、CoとFeの比率とその他の基本成分の量を一定にした組成での評価を実施している。そのため、このような表記としている。

0031

なお、表3において、保磁力低下量と飽和磁束密度低下量は、それぞれの基本成分の供試材の保磁力と飽和磁束密度からの、それぞれの添加元素を入れた供試材の保磁力と飽和磁束密度の低下量を示しており、また、非晶質性と飽和磁束密度の評価は添加元素を入れた供試材の特性を示している。さらに、[保磁力低下量(A/m)]/[飽和磁束密度低下量(T)]が15以上のものを◎、8以上15未満のものを○、−7以上8未満のものを△、−8未満のものを×とした。さらに、飽和磁束密度が0.3T以上のものを○、0.3T未満のものを×とした。

0032

表3に示すように、No.1〜27は本発明例であり、No.28〜40は比較例である。比較例No.28は、Fe含有量が低いために飽和磁束密度が劣る。また、比較例No.29は、Coを含有しないことから飽和磁束密度が劣る。比較例No.30は、低保磁力を促進する元素であるWの含有量が低いために保磁力低減効果が不十分である。比較例No.31は、保磁力低下を促進する元素であるSnの含有量が低いために保磁力低減効果が不十分である。

0033

比較例No.32は、低保磁力を促進する元素であるWの含有量が多いために飽和磁束密度が劣る。比較例No.33は、非晶質を促進する元素であるHfの単独元素の含有量が低いために非晶質性に劣り、保磁力は使用した測定器の評価可能範囲を超えて高い。なお一般に、非晶質相中に多量の結晶相が生成すると、保磁力が著しく増大することが知られている。比較例No.34は、非晶質を促進する元素であるZrとTa、B/2含有量の和が高いために飽和磁束密度が劣る。比較例No.35は、非晶質を促進するとともに保磁力を増大させてしまう元素であるZrとHf含有量の和が高いために保磁力低減効果が不十分である。

0034

比較例No.36は、低保磁力を促進する元素であるW,V,Mn含有量の和が高いために飽和磁束密度が劣る。比較例No.37は、低保磁力を促進する元素であるV,Mn含有量の和が高いために飽和磁束密度が劣る。比較例No.38は、飽和磁束密度の調整のための元素であるAl,Cr,Si含有量の和が高いために飽和磁束密度が劣る。比較例No.39は、Cu元素の含有量が高いために保磁力低減効果が劣る。比較例No.40は、Ni元素の含有量が高いために保磁力低減効果が劣る。

0035

以上のように、本発明による、特に低保磁力を促進する元素であるW,Sn,V,Mnを添加することで、飽和磁束密度、非晶質性を劣化させることなく、低保磁力を可能とした飽和磁束密度、非晶質性、低保磁力のバランスに優れた垂直磁気記録媒体における軟磁性薄膜層用合金、およびこの合金の薄膜を作製するためのスパッタリングターゲット材を提供するものである。


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人弁理士名 彊

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