図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2013年2月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

PPAR−γ活性化作用に起因する副作用が軽減され、PPAR−γ活性化作用を有する糖尿病治療薬の使用が制限されている糖尿病患者に対しても投薬することが可能な、糖尿病治療剤又は予防剤を提供すること。

解決手段

本発明は、下記の化学式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する糖尿病の治療剤又は予防剤を提供する。

概要

背景

糖尿病は、インスリンの量的不足又はインスリンの作用不足を伴う慢性高血糖状態主徴とし、種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群である。その患者数は世界的に増加傾向を示しており、特に、肥満高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症糖代謝異常、高血圧等の危険因子合併したメタボリックシンドローム型の2型糖尿病患者数が増加している(非特許文献1)。その背景には、インスリン抵抗性が強く関与していることが知られている(非特許文献2)。

チアゾリジンジオン誘導体であるピオグリタゾン(非特許文献3)やロシグリタゾン(非特許文献4)は、2型糖尿病治療薬として用いられている。その作用機序は、転写因子の一つであるペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマー(Peroxisome Proliferator Activated Receptor gamma;以下、PPAR−γ)を活性化することにより、障害を受けているインスリン受容体機能回復及びそれに伴うインスリン感受性の向上並びにインスリン抵抗性の改善を導き、2型糖尿病に対して治療効果を発揮するとされている(非特許文献5)。

また、近年になると、チアゾリジンジオン誘導体は、PPAR−γ活性化作用とは異なる作用機序で糖尿病に対して治療効果を発揮していることが報告され、サイクリン依存性キナーゼ5の阻害作用によって糖尿病に対する治療効果を発揮しているとも言われている(非特許文献6)。

概要

PPAR−γ活性化作用に起因する副作用が軽減され、PPAR−γ活性化作用を有する糖尿病治療薬の使用が制限されている糖尿病患者に対しても投薬することが可能な、糖尿病の治療剤又は予防剤を提供すること。本発明は、下記の化学式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する糖尿病の治療剤又は予防剤を提供する。なし

目的

本発明の目的は、PPAR−γ活性化作用に起因する副作用が軽減され、PPAR−γ活性化作用を有する糖尿病治療薬の使用が制限されている糖尿病患者に対しても投薬することが可能な、糖尿病の治療剤又は予防剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

下記の化学式(I)で示されるチアゾリジンジオン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、糖尿病治療剤又は予防剤

請求項2

前記糖尿病は、2型糖尿病である、請求項1記載の治療剤又は予防剤。

請求項3

血糖降下作用を有する、請求項1又は2記載の治療剤又は予防剤。

請求項4

インスリン感受性調節作用を有する、請求項1又は2記載の治療剤又は予防剤。

技術分野

0001

本発明は、糖尿病治療剤又は予防剤に関する。

背景技術

0002

糖尿病は、インスリンの量的不足又はインスリンの作用不足を伴う慢性高血糖状態主徴とし、種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群である。その患者数は世界的に増加傾向を示しており、特に、肥満高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症糖代謝異常、高血圧等の危険因子合併したメタボリックシンドローム型の2型糖尿病患者数が増加している(非特許文献1)。その背景には、インスリン抵抗性が強く関与していることが知られている(非特許文献2)。

0003

チアゾリジンジオン誘導体であるピオグリタゾン(非特許文献3)やロシグリタゾン(非特許文献4)は、2型糖尿病治療薬として用いられている。その作用機序は、転写因子の一つであるペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマー(Peroxisome Proliferator Activated Receptor gamma;以下、PPAR−γ)を活性化することにより、障害を受けているインスリン受容体機能回復及びそれに伴うインスリン感受性の向上並びにインスリン抵抗性の改善を導き、2型糖尿病に対して治療効果を発揮するとされている(非特許文献5)。

0004

また、近年になると、チアゾリジンジオン誘導体は、PPAR−γ活性化作用とは異なる作用機序で糖尿病に対して治療効果を発揮していることが報告され、サイクリン依存性キナーゼ5の阻害作用によって糖尿病に対する治療効果を発揮しているとも言われている(非特許文献6)。

先行技術

0005

Misraら、Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism、2008年、第93巻、p.S9−S30
Takashiら、Experimental Biology&Medicine、2003年、第228巻、p.1111−1117
Gilliesら、Drugs、2000年、第60巻、p.333−343
Balfourら、Drugs、1999年、第57巻、p.921−930
Lehmannら、The Journal of Biological Chemistry、1995年、第270巻、p.12953−12956
Choiら、Nature、2010年、第466巻、p.451−457

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、ピオグリタゾンやロシグリタゾン等のチアゾリジンジオン誘導体は、PPAR−γ活性化作用を有することは明らかであり、PPAR−γ活性化作用に起因する副作用体重増加浮腫等)を回避することができないため、心不全の患者、体重コントロールが必要な患者や既往者には使用上の制限があるのが現状である。このため、慢性疾患である糖尿病の治療においては、これら副作用を軽減した医薬品の開発が急務であり、医療現場から切望されている。

0007

そこで、本発明の目的は、PPAR−γ活性化作用に起因する副作用が軽減され、PPAR−γ活性化作用を有する糖尿病治療薬の使用が制限されている糖尿病患者に対しても投薬することが可能な、糖尿病の治療剤又は予防剤を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、PPAR−γの活性化作用を示さないチアゾリジンジオン誘導体の合成に成功し、このチアゾリジンジオン誘導体及びその薬理学的に許容される塩が、糖尿病に対して優れた治療効果を保持していることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0009

すなわち、本発明は、下記の化学式(I)で示されるチアゾリジンジオン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、糖尿病の治療剤又は予防剤を提供する。

0010

上記の糖尿病の治療剤又は予防剤は、2型糖尿病の治療剤又は予防剤であることが好ましい。

0011

また上記の糖尿病の治療剤又は予防剤は、血糖降下作用又はインスリン感受性調節作用を有することがさらに好ましく、血糖降下剤又はインスリン感受性調節剤としても利用できる。

発明の効果

0012

本発明の糖尿病の治療剤又は予防剤は、PPAR−γ活性化作用に起因する体重増加や浮腫等の副作用を有さず、血糖降下作用及びインスリン感受性調節作用を発揮し、糖尿病を治療又は予防することができる。さらに、本発明の糖尿病の治療剤又は予防剤は、PPAR−γ活性化作用を有する糖尿病治療薬の使用が制限されている糖尿病患者に対しても投薬することが可能であり、慢性的な投薬にも適している。

図面の簡単な説明

0013

実施例1の化合物のPPAR−γ活性化作用を示す図である。
実施例1の化合物の正常マウス(C57BL6/Jマウス)における糖取り込み増加作用を示す図である。

0014

本発明の糖尿病の治療剤又は予防剤は、下記の化学式(I)で示されるチアゾリジンジオン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴としている。

0015

上記のチアゾリジンジオン誘導体は、特に指定しない限り、不斉炭素の存在による異性体(R体、S体、α体、β体、エナンチオマー)、旋光性を有する光学異性体(D体、L体、d体、l体、(+)体、(−)体)、これら任意の割合の混合物、又はラセミ混合物を全て含有する。

0017

上記のチアゾリジンジオン誘導体及びその薬理学的に許容される塩は、水和物若しくは溶媒和物又は結晶多形を形成してもよい。

0018

上記のチアゾリジンジオン誘導体は、例えば、以下に記載する製造方法に従って製造することができる。その際、原料化合物は市販の試薬又はその塩を用いてもよい。なお、上記のチアゾリジンジオン誘導体は、公知の方法、例えば、溶媒抽出再結晶及び/又はクロマトグラフィーによって単離精製でき、公知の方法又はそれに準じる方法によって目的とする塩に変換でき、上記のチアゾリジンジオン誘導体が塩の状態で得られた場合には、公知の方法又はそれに準ずる方法によって、上記のチアゾリジンジオン誘導体又はその目的とする他の塩に変換することができる。

0019

上記のチアゾリジンジオン誘導体は、以下の工程1、工程2及び工程3を経て製造できる。以下に各工程について説明する。

0020

(工程1)
4−(2−(5−エチルピリジン−2−イルエトキシベンズアルデヒドは、公知の方法又はこれらに準じた方法に従って製造することができる。例えば、市販されている5−エチル−2−ピリジンエタノールに4−ヒドロキシベンズアルデヒドを作用させる光延反応(Journal of Medicinal Chemistry、1996年、39巻、p.5053−5063)又はこれに準ずる方法に従って製造することができる。

0021

(工程2)
メチル2−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシアセテートは、公知の方法又はこれらに準じた方法に従って製造することができる。例えば、4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)ベンズアルデヒドにトリメチルシリルシアニドを作用させ、酸性条件メタノールを作用させる方法(Bioorganic&Medicinal Chemistry、2005年、第13巻、p.3627−3639)又はこれに準ずる方法に従って製造することができる。

0022

(工程3)
5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)フェニル)チアゾリジン−2,4−ジオンは、公知の方法又はこれらに準じた方法に従って製造することができる。例えば、メチル2−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシアセテートに塩化チオニルを作用させ、続いて酢酸ナトリウム存在下、チオウレアを作用させ環化させた後に、酸性条件下加水分解反応を行う方法(Bioorganic&Medicinal Chemistry、2005年、第13巻、p.3627−3639)又はこれに準ずる方法に従って製造することができる。

0023

上記の糖尿病の治療剤又は予防剤は、糖取り込み増加作用を有することから、血糖降下作用及びインスリン感受性調節(向上)作用を示し、これらの作用により慢性の高血糖状態及びインスリン抵抗性を改善することができるため、糖尿病を治療又は予防することができる。

0024

「糖尿病」とは、インスリンの量的不足又は作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群であり、世界保健機構、日本糖尿病学会、米国糖尿病協会又は欧州糖尿病協会等の診断基準に該当する病態を意味する。糖尿病は、インスリン依存型糖尿病1型糖尿病)とインスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)に大別されるが、上記の糖尿病の治療剤又は予防剤は、2型糖尿病の治療又は予防に好ましく用いることができる。

0025

「血糖降下作用」とは慢性的高血糖状態において血糖値を低下させることを意味し、血糖値とは随時血糖値及び/又は空腹時血糖値を意味する。

0026

「インスリン感受性」とはインスリンの作用の程度、即ち血糖低下作用及び糖新生抑制作用の程度を意味し、「インスリン感受性調節作用」とはインスリン感受性を向上させる作用を意味する。

0027

上記の糖尿病の治療剤又は予防剤の、血糖降下作用及びインスリン感受性調節作用は、例えば、糖取り込み増加作用を測定することで評価できる。糖取り込み増加作用は、例えば、正常動物及び病態モデル動物を用いた高インスリン正常血糖クランプ法におけるGlucose infusion rate(GIR)を指標として評価できる。

0028

「インスリン抵抗性」とは組織におけるインスリンの感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態を意味する。インスリン抵抗性は、例えば、空腹時血糖インスリン濃度、Brgmanのミニマムモデル、steady state plasma glucose(SSPG)法、HOMA−IR(Homeostasis model assessment of insulin resistance)、高インスリン正常血糖クランプ法を用いて評価できる。

0029

上記の糖尿病の治療剤又は予防剤の、糖尿病に対する効果を直接的に評価する方法としては、病態モデル動物を用いた評価法が挙げられる。病態モデル動物としては、高脂肪食誘導肥満・糖尿病マウス(Diet induced obesity:DIOマウス)、肥満・2型糖尿病マウス(db/dbマウス、ob/obマウス、KK/Taマウス、KK−Ayマウス)、肥満・2型糖尿病ラット(Zucker fattyラット、Zucker diabetic fattyラット)等が挙げられる。病態モデル動物における糖尿病に対する有効性は、血中グリコヘモグロビン値(HbAlc)、空腹時血糖値、血中c−ペプチド値、血中グリコアルブミン値、1,5−AG(1,5−アンヒドログリトール)、血中空腹時インスリン値糖負荷試験(oral glucose tolerance test:OGTT)における耐糖能障害改善作用、HOMA−IR、高インスリン正常血糖クランプ法における全身利用率、インスリン負荷試験(Inslin tolerance test:ITT)におけるインスリン感受性を指標として評価できる。

0030

また、上記の糖尿病の治療剤又は予防剤は、PPAR−γ活性化作用を示さないため、PPAR−γ活性化作用に起因する体重増加や浮腫等の副作用を伴わず、糖尿病の治療又は予防に極めて有用である。PPAR−γ活性化作用は、例えば、PPAR−γ ligand binding domainに対するリガンド応答性時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)を指標として評価できる。

0031

上記の糖尿病の治療剤又は予防剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスターウサギネコイヌウシヒツジサル又はヒト)、特にヒトに対して投与した場合に、糖尿病に対する治療効果又は予防効果を発揮できる。

0032

上記の糖尿病の治療剤又は予防剤の投与形態としては、上記のチアゾリジンジオン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を、無添加の状態で又は医薬として許容される担体を配合して、経口的又は非経口的に投与できる。

0033

上記の糖尿病の治療剤又は予防剤を経口投与する場合の剤形としては、例えば、錠剤糖衣錠及びフィルムコーティング錠を含む)、丸剤顆粒剤散剤カプセル剤ソフトカプセル剤及びマイクロカプセル剤を含む)、シロップ剤乳剤又は懸濁剤が挙げられ、非経口投与する場合の剤形としては、例えば、注射剤注入剤点滴剤又は坐剤が挙げられる。また、上記のチアゾリジンジオン誘導体又はその薬理学的に許容される塩は、適当な基剤(例えば、酪酸重合体グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物又はポリグリセロール脂肪酸エステル)と組み合わせて、徐放性製剤とすることも可能であり、糖尿病の治療に有効である。

0034

上記の糖尿病の治療剤又は予防剤の剤形は、製剤分野で一般的に用いられている方法に従って調製できる。この場合、必要に応じて、製剤分野において一般的に用いられる賦形剤結合剤滑沢剤崩壊剤甘味剤界面活性剤懸濁化剤乳化剤等を含有させて調製できる。

0035

錠剤の調製は、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤又は滑沢剤を含有させて行うことができ、丸剤及び顆粒剤の調製は、例えば、賦形剤、結合剤又は崩壊剤を含有させて行うことができる。また、散剤及びカプセル剤の調製は、例えば、賦形剤を、シロップ剤の調製は、例えば、甘味剤を、乳剤及び懸濁剤の調製は、例えば、界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤を含有させて行うことができる。

0036

賦形剤としては、例えば、乳糖ブドウ糖デンプンショ糖微結晶セルロースカンゾウ末、マンニトール炭酸水素ナトリウムリン酸カルシウム又は硫酸カルシウムが挙げられる。結合剤としては、例えば、デンプンのり液、アラビアゴム液、ゼラチン液トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液又はグリセリンが挙げられる。崩壊剤としては、例えば、デンプン又は炭酸カルシウムが挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウムステアリン酸ステアリン酸カルシウム又は精製タルクが挙げられる。甘味剤としては、例えば、ブドウ糖、果糖転化糖ソルビトールキシリトール、グリセリン又は単シロップが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムポリソルベート80ソルビタンモノ脂肪酸エステル又はステアリン酸ポリオキシル40が挙げられる。懸濁化剤としては、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムメチルセルロース又はベントナイトが挙げられる。乳化剤としては、例えば、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン又はポリソルベート80が挙げられる。

0037

さらに、上記の糖尿病の治療剤又は予防剤を、上記の剤形に調製する場合は、製剤分野において一般的に用いられる、着色剤保存剤芳香剤矯味剤、安定剤、粘稠剤等を添加することができる。

0038

以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0039

以下の記載において、NMRデータ中の溶媒名は、測定に使用した溶媒を示している。また、400MHNMRスペクトルは、JNM−AL400型核磁気共鳴装置日本電子製)を用いて測定した。ケミカルシフトは、テトラメチルシランを基準としてδ(単位:ppm)で表し、シグナルはそれぞれs(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、quint(五重線)、sept(七重線)、m(多重線)、br(幅広)、dd(二重二重線)、dt(二重三重線)、ddd(二重二重二重線)、dq(二重四重線)、td(三重二重線)又はtt(三重三重線)で表した。IRスペクトルは、FT/IR−410(日本分光製)を用い、ESI−MSスペクトルは、Micromass ZQ2K(Waters製)又は1200LC/MSD(AgilentTechnology製)を用いて測定した。溶媒は全て市販のものを用い、フラッシュクロマトグラフィーはYFLC W−prep2XY(山善製)を用いた。

0040

(実施例1) 5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)フェニル)チアゾリジン−2,4−ジオンの合成:
(第1工程) 4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)ベンズアルデヒドの合成:



5−エチル−2−ピリジンエタノール(700mg、4.63mmol)、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(594mg、4.86mmol)及びトリフェニルホスフィン(1.33g、5.09mmol)をTHF(23mL)に溶解させ、氷冷下にてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.99mL、5.09mmol)をゆっくり滴下し、室温にて16時間撹拌した。反応終了後減圧下にて溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーシリカゲルヘキサン酢酸エチル=20:1〜3:7)にて精製して、4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)ベンズアルデヒド(549mg、2.15mmol、46%)を無色油状物として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 9.87(s, 1H), 8.40(d, 1H, J=4.0 Hz), 7.81(dd, 2H, J=4.0, 8.0 Hz), 7.46(dd, 1H, J=4.0, 8.0 Hz), 7.18(d, 1H, J=8.0 Hz), 7.00(dd, 2H, J=4.0, 8.0 Hz), 4.45(t, 2H, J=8.0 Hz), 3.26(t, 2H, J=8.0 Hz), 2.64(q, 2H, J=8.0 Hz), 1.25(t, 3H, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 256 (M+H+).

0041

(第2工程)メチル2−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシアセテートの合成:



4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)ベンズアルデヒド(512mg、2.00mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、トリメチルシシルシアニド(0.35mL、2.61mmol)及びトリエチルアミン(0.028mL、0.201mmol)を氷冷下にて加え、室温にて24時間撹拌した。反応終了後、減圧下溶媒を留去し、残渣にジエチルエーテル(2mL)及び10%塩化水素メタノール溶液(10mL)を加え、室温にて24時間撹拌した。反応終了後、減圧下溶媒を留去し、残渣をクロロホルムにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(25mL)に注ぎ、pHを8にした。水層をクロロホルムにて2回抽出した。合わせた有機層飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。ろ過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=9:1〜0:1)にて精製して、メチル2−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシアセテート(438mg、1.39mmol、69%)を無色油状物として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 8.39(d, 1H, J=4.0 Hz), 7.45(dd, 1H, J=4.0, 8.0 Hz), 7.30(d, 2H, J=8.0 Hz), 7.18(d, 1H, J=8.0 Hz), 6.89(d, 2H, J=8.0 Hz), 5.11(d, 1H, J=4.0 Hz), 4.34(t, 2H, J=8.0 Hz), 3.75(s, 3H), 3.37(d, 1H, J=4.0 Hz), 3.22(t, 2H, J=4.0 Hz), 2.63(q, 2H, J=8.0 Hz), 1.24(t, 3H, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 316(M+H+).

0042

(第3工程) 5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)フェニル)チアゾリジン−2,4−ジオンの合成:



メチル2−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシアセテート(438mg、1.39mmol)をジクロロメタン(7.0mL)に溶解させ、ピリジン(0.28mL、3.47mmol)を加え、−78℃にて塩化チオニル(0.21mL、2.92mmol)を滴下し、室温にて24時間撹拌した。反応終了後、減圧下溶媒を留去し、残渣にトルエンを加え、共沸濃縮乾固した。残渣をエタノール(7.0mL)に溶解させ、チオウレア(116mg、1.53mmol)及び酢酸ナトリウム(228mg、2.78mmol)を加え、6時間加熱還流した。反応終了後、ろ過し、不溶物をジエチルエーテルにて3回洗浄した。ろ液減圧下濃縮乾固した。得られた残渣をエタノール(4.6mL)と2 mol/L塩酸(4.8mL)を加え、10時間加熱還流した。反応終了後、減圧下溶媒を留去し、残渣をクロロホルムにて希釈し、水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを5〜6に調節した。クロロホルムにて水層を4回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。ろ過後、減圧下濃縮乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=9:1〜0:1)にて精製して、5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)エトキシ)フェニル)チアゾリジン−2,4−ジオン(以下、実施例1の化合物)(92.5mg、0.323mmol、19%)を黄色固体として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 8.40(d, 1H, J=4.0 Hz), 7.46(d, 1H, J=8.0 Hz), 7.30(d, 2H, J=8.0 Hz), 7.18(d, 1H, J=8.0 Hz), 6.91(d, 2H, J=8.0 Hz), 5.33(s, 1H), 4.34(t, 2H, J=8.0 Hz), 3.24(t, 2H, J=8.0 Hz), 2.64(q, 3H, J=8.0 Hz), 1.25(t, 3H, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 343(M+H+).

0043

(実施例2) PPAR−γ活性化作用:
実施例1の化合物のPPAR−γ活性化作用は、ヒトPPAR−γ ligand binding domain(以下、PPAR−γLBD)に対するリガンド応答性の時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)を指標として測定した。測定にはLanthaScreen TR−FRET Peroxisome Proliferator Activated Receptor (PPAR) gamma Coactivator Assay Kit(Invitrogen)を用いた。なお、比較対照として、ピオグリタゾン塩酸塩(Bionet Research)を用いた。

0044

被験化合物(実施例1の化合物及びピオグリタゾン塩酸塩)は、ジメチルスルホキシド(以下、DMSO)に溶解し、上記キットに添付のアッセイバッファーを用いて200μMを最大濃度として公比3で段階希釈した(1nM〜200μM、DMSO最終濃度2%)。384ウェルブラックプレートコーニング)に、希釈した被験化合物を10μL/ウェル添加した後、氷冷したアッセイバッファーを用いて20nMに調製したPPAR−γLBDを5μL/ウェル添加した。さらに、常温のアッセイバッファーを用いて調製した0.5μMの蛍光ペプチド(Fluorescein−TRAP220/DRIP−2 peptide)及び20nMのテルビウム標識抗GST抗体を、上記の384ウェルブラックプレートにそれぞれ5μL/ウェル添加した。なお、被験化合物各濃度につき、N=4で実施した。

0045

上記の384ウェルブラックプレートを、遮光下、常温で2時間インキュベーションし、反応液蛍光波長励起波長340nm、蛍光波長490nm、520nm)をマルチベルカウンター(Envision、パーキンエルマー)にて測定した。被験化合物の各濃度の、520nmにおける測定値と490nmにおける測定値の比(被験化合物Ratio=Em520/Em490)を算出し、平均値(N=4)を求めた。また、被験化合物非添加時の、520nmにおける測定値と490nmにおける測定値の比(被験化合物非添加Ratio)も同様に算出した。得られた値から下記の式を用いて発光増加率を求めた。
発光増加率(%)=(被験化合物Ratio−被験化合物非添加Ratio)/(被験化合物非添加Ratio)×100

0046

その結果を、図1に示す。X軸に被験化合物の濃度(Log[μM])、Y軸に発光増加率(%)をプロットした。図中の黒四角はピオグリタゾン塩酸塩の結果を示し、黒三角は実施例1の化合物の結果を示す。なお、発光増加率(%)の値が高いほど、PPAR−γ活性化作用が高いことを示す。

0047

ピオグリタゾン塩酸塩は濃度依存的に発光増加を示したが、実施例1の化合物は濃度依存的な発光増加は認められなかった。この結果から、実施例1の化合物はPPAR−γ活性を示さないことが明らかとなった。したがって、実施例1の化合物又はその薬理学的に許容される塩は、PPAR−γ活性化作用を示さないことから、PPAR−γ活性化作用に起因する従来のチアゾリジンジオン誘導体に特有の体重増加や浮腫等の副作用を伴わないことが示唆された。

0048

(実施例3) in vivo糖取り込み作用:
8〜12週齢のC57BL/6Nマウス(日本チャールス・リバー、N=4)をペントバルビタール(70mg/kg)の腹腔内投与により麻酔し、右頚静脈カテーテル留置した。カテーテルは静脈挿入部がシリコン成分ファイコンチューブ、富士システムズ)とその他部分がポリエチレン成分(BD Bioscience)からなるものを用いた。カテーテル留置後は個別飼育ケージにて飼育し、回復させた。カテーテル留置の翌日に、4時間の絶食を行った後、マウスを下記の実験に用いた。

0049

被験化合物(実施例1の化合物及びピオグリタゾン塩酸塩(KEMPROTECLimited))は、DMSO(最終濃度10%)に溶解後、Tween80(最終濃度10%)及び生理食塩液を加えて1mg/mLに調製した。被験化合物を、留置したカテーテル部位から頚静脈内投与(10mL/kg)した。被験化合物投与直後、インスリン溶液を20μL/min(15mU/kg/min)で10分間持続注入し、その後4μL/min(3mU/kg/min)の速度に切り替え、実験終了時まで持続注入を維持した。なお、インスリン溶液は、ヒトインスリン注射液ヒュマリンR注、イーライリリー)を0.2%BSA含有生理食塩液により、目的の濃度となる様に調製したものを用いた。インスリン溶液持続注入開始15分後に、ブドウ糖溶液(大塚糖液50%、大塚製薬工場)の持続注入を開始した(注入開始時濃度:40mg/kg/min)。ブドウ糖溶液持続注入開始から、血糖値を5分毎に測定し、血糖値が120mg/dLを維持するようにブドウ糖溶液の注入量(mg/kg/min)(Glucose infusion rate;以下、GIR)を調節した。なお、血糖値は、尾静脈から約5μLの血液を採取し、簡易型血糖測定装置(メディセンスプレシジョンクシード、アボットジャパン株式会社)を用いて測定した。

0050

X軸に時間(分)、Y軸にGIR(mg/kg/min)をプロットし、インスリン溶液持続注入開始15分から60分の各個体のGIR推移曲線面積(GIR AUC15−60)を算出し、群毎の平均値±標準誤差(N=4)を求めた。

0051

その結果を図2に示す。図中の「溶媒」はマウスに溶媒を投与した群(溶媒投与群)を示し、「ピオグリタゾン」はマウスにピオグリタゾン塩酸塩10mg/kgを投与した群(ピオグリタゾン投与群)を示し、「実施例1の化合物」はマウスに実施例1の化合物 10mg/kgを投与した群(実施例1の化合物投与群)を示す。GIR AUC15−60は、溶媒投与群で1815.6±305.3、ピオグリタゾン投与群で2236.3±152.0、実施例1の化合物投与群で2200.0±293.5であり、ピオグリタゾン投与群及び実施例1の化合物投与群において糖取り込み増加作用が認められた。

実施例

0052

したがって、実施例1の化合物又はその薬理学的に許容される塩は、ピオグリタゾンと同程度のin vivo糖取り込み増加作用を有することが示され、糖尿病に対する治療又は予防効果を有することが明らかとなった。

0053

本発明の糖尿病の治療剤又は予防剤は、PPAR−γ活性化作用を示さず、ピオグリタゾンと同程度のin vivo糖取り込み増加作用を示すことから、副作用が軽減された優れた医薬として使用できる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ