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技術 燃料噴射状態推定装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 三上直己
出願日 2011年6月24日 (9年6ヶ月経過) 出願番号 2011-141132
公開日 2013年1月10日 (7年11ヶ月経過) 公開番号 2013-007341
状態 拒絶査定
技術分野 燃料噴射装置 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 降下開始点 ハッチ部分 下降波形 降下波形 温度センサ素子 上昇波形 ニードル形状 圧力降下量
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

噴射率波形算出精度向上を図った燃料噴射状態推定装置を提供する。

解決手段

コモンレール蓄圧容器)で蓄圧した燃料噴射する燃料噴射弁と、コモンレールの吐出口から燃料噴射弁の噴孔に至るまでの燃料通路内の燃料圧力を検出する燃圧センサと、を備えた燃料噴射システムに適用されることを前提とする。そして、燃圧センサの検出値に基づき、噴射に伴い生じた燃料圧力の変化を表した燃圧波形を検出する燃圧波形検出手段と、検出した燃圧波形に基づき、噴射率の変化を表した噴射率波形を算出する噴射率波形算出手段と、を備える。そして、前記噴射率波形算出手段は、前記噴射率波形のうち噴射開始に伴い噴射率が上昇していく部分である上昇波形部分(R1からRyの部分)を、その上昇速度が途中から遅くなる形状(屈曲点Rxを有する形状)に算出する。

概要

背景

特許文献1〜4等には、コモンレール蓄圧容器)の吐出口から燃料噴射弁噴孔に至るまでの燃料通路燃圧センサを配置して、燃料噴射に伴い生じた圧力変化燃圧波形)を検出する技術が開示されている。これによれば、検出した燃圧波形に基づき、時間経過に伴い変化する噴射率の値を表した噴射率波形を算出することができるので、例えば噴射率波形の面積(図2(b)中の網点部分)から噴射量を推定したり、噴射率の上昇開始時点から噴射開始時期を推定したりする等、噴射率波形に基づき噴射状態を推定できるようになる。

また、上記従来技術では、噴射率波形が以下に説明する台形になることを前提としている。すなわち、噴射率上昇開始点R1、噴射率上昇終了点R2(最大噴射率に達した点)、噴射率下降開始点R3、噴射率下降終了点R4の4点を直線で結ぶ台形にモデル化して、噴射率波形を算出している。

概要

噴射率波形の算出精度向上をった燃料噴射状態推定装置を提供する。コモンレール(蓄圧容器)で蓄圧した燃料を噴射する燃料噴射弁と、コモンレールの吐出口から燃料噴射弁の噴孔に至るまでの燃料通路内の燃料圧力を検出する燃圧センサと、を備えた燃料噴射システムに適用されることを前提とする。そして、燃圧センサの検出値に基づき、噴射に伴い生じた燃料圧力の変化を表した燃圧波形を検出する燃圧波形検出手段と、検出した燃圧波形に基づき、噴射率の変化を表した噴射率波形を算出する噴射率波形算出手段と、を備える。そして、前記噴射率波形算出手段は、前記噴射率波形のうち噴射開始に伴い噴射率が上昇していく部分である上昇波形部分(R1からRyの部分)を、その上昇速度が途中から遅くなる形状(屈曲点Rxを有する形状)に算出する。

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、噴射率波形の算出精度向上を図った燃料噴射状態推定装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

蓄圧容器蓄圧した燃料噴射する燃料噴射弁と、前記蓄圧容器の吐出口から前記燃料噴射弁の噴孔に至るまでの燃料通路に配置され、前記燃料通路内の燃料圧力を検出する燃圧センサと、を備えた燃料噴射システムに適用され、前記燃圧センサの検出値に基づき、噴射に伴い生じた燃料圧力の変化を表した燃圧波形を検出する燃圧波形検出手段と、検出した前記燃圧波形に基づき、噴射率の変化を表した噴射率波形を算出する噴射率波形算出手段と、を備え、前記噴射率波形算出手段は、前記噴射率波形のうち噴射開始に伴い噴射率が上昇していく部分である上昇波形部分を、その上昇速度が途中から遅くなる形状に算出することを特徴とする燃料噴射状態推定装置

請求項2

前記上昇波形部分のうち噴射率の上昇が遅くなり始める点を屈曲点とし、噴射率上昇開始から前記屈曲点が現れるまでの時間を屈曲開始時間とした場合において、前記燃料噴射システムは、試験により得られた前記屈曲開始時間が予め記憶された記憶手段を有しており、前記噴射率波形算出手段は、前記記憶手段に記憶されている前記屈曲開始時間に基づき、前記上昇波形部分を算出することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射状態推定装置。

請求項3

前記燃料噴射弁への燃料の供給圧力基準圧力とした場合において、前記記憶手段には、前記基準圧力に応じた前記屈曲開始時間が記憶されており、前記噴射率波形算出手段は、前記燃圧波形を検出した時の前記基準圧力に対応した前記屈曲開始時間を前記記憶手段から取得し、その取得した前記屈曲開始時間に基づき前記上昇波形部分を算出することを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射状態推定装置。

請求項4

前記上昇波形部分のうち噴射率の上昇が遅くなっている部分の傾きを、屈曲後傾きとした場合において、前記燃料噴射システムは、試験により得られた前記屈曲後傾きの値が予め記憶された記憶手段を有しており、前記噴射率波形算出手段は、前記記憶手段に記憶されている前記屈曲後傾きに基づき、前記上昇波形部分を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料噴射状態推定装置。

請求項5

前記燃料噴射弁への燃料の供給圧力を基準圧力とした場合において、前記記憶手段には、前記基準圧力に応じた前記屈曲後傾きが記憶されており、前記噴射率波形算出手段は、前記燃圧波形を検出した時の前記基準圧力に対応した前記屈曲後傾きを前記記憶手段から取得し、その取得した前記屈曲後傾きに基づき前記上昇波形部分を算出することを特徴とする請求項4に記載の燃料噴射状態推定装置。

請求項6

前記噴射率波形のうち噴射率の上昇が遅くなり始める点を屈曲点とした場合において、前記噴射率波形算出手段は、噴射率上昇開始点、前記屈曲点、噴射率上昇終了点、噴射率下降開始点、噴射率下降終了点の5点を直線で結ぶ5角形モデル化して、前記噴射率波形を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の燃料噴射状態推定装置。

技術分野

0001

本発明は、燃料噴射率の変化を表した噴射率波形を算出する燃料噴射状態推定装置に関する。

背景技術

0002

特許文献1〜4等には、コモンレール蓄圧容器)の吐出口から燃料噴射弁噴孔に至るまでの燃料通路燃圧センサを配置して、燃料噴射に伴い生じた圧力変化燃圧波形)を検出する技術が開示されている。これによれば、検出した燃圧波形に基づき、時間経過に伴い変化する噴射率の値を表した噴射率波形を算出することができるので、例えば噴射率波形の面積図2(b)中の網点部分)から噴射量を推定したり、噴射率の上昇開始時点から噴射開始時期を推定したりする等、噴射率波形に基づき噴射状態を推定できるようになる。

0003

また、上記従来技術では、噴射率波形が以下に説明する台形になることを前提としている。すなわち、噴射率上昇開始点R1、噴射率上昇終了点R2(最大噴射率に達した点)、噴射率下降開始点R3、噴射率下降終了点R4の4点を直線で結ぶ台形にモデル化して、噴射率波形を算出している。

先行技術

0004

特開2010−223182号公報
特開2010−223183号公報
特開2010−223184号公報
特開2010−223185号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、燃料噴射弁によっては、実際の噴射率の変化(噴射率波形)が先述した台形よりも、以下に説明する5角形に近いものもある。なお、図3は、5角形に近い噴射率波形の計測結果を示すグラフ(噴射率波形)であり、図中の符号(1)〜(7)は、噴射量を各々2mm3、25mm3、50mm3、75mm3、100mm3、125mm3、150mm3と変化させた場合の計測結果である。

0006

この計測結果によれば、符号BPに示す付近から噴射率上昇の速度が遅くなることが分かる。つまり、図4の模式図に示すように、噴射率上昇終了点に達するまでに、噴射率の上昇速度が途中(屈曲点Rx)から遅くなっており、計測した噴射率波形は、R1,R2,R3,R4の4点を直線で結ぶ台形よりも、R1,Rx,Ry,R3,R4の5点を直線で結ぶ5角形に近い形状であると言える。

0007

したがって、噴射率波形を台形にモデル化する従来技術では、噴射率波形を高精度で算出できているとは言えず、そのため、その噴射率波形に基づき噴射状態を推定するにあたり、その推定精度を十分に向上できない。特に、噴射率波形の面積から噴射量を推定する際に、噴射量を高精度で推定できない。

0008

なお、上述の如く上昇速度が途中(屈曲点Rx)から遅くなる一例を以下に述べる。一般的な燃料噴射弁は、噴孔を開閉するニードル弁と、ニードル弁を閉弁方向に付勢する圧力(背圧)を生じさせる背圧室と、背圧室の流出口を開閉する制御弁と、背圧室内高圧燃料が流出口から低圧側へ流出する時の流量を制限するオリフィスと、を備えて構成されている。そして、燃料噴射を開始させる場合には、制御弁を開弁させて背圧を低下させることにより、ニードル弁を開弁作動させる。

0009

ところが、制御弁を開弁させてから最大噴射率に達するまでの途中で、オリフィスの開口面積見かけ上小さくなるように変化する、といった特性を有する燃料噴射弁がある。この場合、背圧の低下速度が途中で遅くなるため、ニードル弁の開弁速度が途中から遅くなり、その結果、噴射率の上昇速度が途中から遅くなるのである。

0010

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、噴射率波形の算出精度向上を図った燃料噴射状態推定装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。

0012

請求項1記載の発明では、蓄圧容器で蓄圧した燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記蓄圧容器の吐出口から前記燃料噴射弁の噴孔に至るまでの燃料通路に配置され、前記燃料通路内の燃料圧力を検出する燃圧センサと、を備えた燃料噴射システムに適用されることを前提とする。

0013

そして、前記燃圧センサの検出値に基づき、噴射に伴い生じた燃料圧力の変化を表した燃圧波形を検出する燃圧波形検出手段と、検出した前記燃圧波形に基づき、噴射率(単位時間当たりの燃料噴射量)の変化を表した噴射率波形を算出する噴射率波形算出手段と、を備え、前記噴射率波形算出手段は、前記噴射率波形のうち噴射開始に伴い噴射率が上昇していく部分である上昇波形部分を、その上昇速度が途中から遅くなる形状に算出することを特徴とする。

0014

これによれば、燃圧波形に基づき噴射率波形を算出するにあたり、噴射率波形の上昇波形部分を、上昇速度が途中から遅くなる形状に算出するので、実際の噴射率波形の形状(先述した図3および図4に示す5角形の形状)に近い形状となるよう噴射率波形を算出できるようになる。よって、算出した噴射率波形に基づき、噴射量等の噴射状態を推定するにあたり、その推定精度を向上できる。

0015

請求項2記載の発明では、前記上昇波形部分のうち噴射率の上昇が遅くなり始める点を屈曲点とし、噴射率上昇開始から前記屈曲点が現れるまでの時間を屈曲開始時間とした場合において、前記燃料噴射システムは、試験により得られた前記屈曲開始時間が予め記憶された記憶手段を有しており、前記噴射率波形算出手段は、前記記憶手段に記憶されている前記屈曲開始時間に基づき、前記上昇波形部分を算出することを特徴とする。

0016

ここで、燃圧波形には各種ノイズ重畳しているためノイズを除去する処理が必要となるが、このようなノイズ除去を実施しなければ、燃圧波形のうち噴射開始に伴い降下していく部分である燃圧降下波形部分に、途中で降下速度が遅くなる点(燃圧屈曲点)が出現する可能性が有る。しかし、燃圧屈曲点とノイズを見分けることは極めて困難であり、一方、ノイズ除去を実施すると、ノイズとともに燃圧屈曲点も消滅する。したがって、内燃機関運転中に燃圧屈曲点を検出して噴射率波形の屈曲点を取得することは極めて困難である。

0017

この点を鑑みた上記発明によれば、屈曲開始時間を試験により予め取得しておき、その試験結果に基づき上昇波形部分を算出するので、上昇波形部分の算出を容易に実現できるようになる。

0018

請求項3記載の発明では、前記燃料噴射弁への燃料の供給圧力基準圧力とした場合において、前記記憶手段には、前記基準圧力に応じた前記屈曲開始時間が記憶されており、前記噴射率波形算出手段は、前記燃圧波形を検出した時の前記基準圧力に対応した前記屈曲開始時間を前記記憶手段から取得し、その取得した前記屈曲開始時間に基づき前記上昇波形部分を算出することを特徴とする。

0019

ここで、燃料噴射弁への燃料の供給圧力(基準圧力)が異なれば、屈曲開始時間も異なる値になる、との知見を本発明者は得た。この知見を鑑みた上記発明では、基準圧力に応じた屈曲開始時間を試験により予め取得しておき、取得した試験結果のうち基準圧力に応じた屈曲開始時間に基づいて上昇波形部分を算出するので、上昇波形部分の算出を高精度にできる。

0020

請求項4記載の発明では、前記上昇波形部分のうち噴射率の上昇が遅くなっている部分の傾きを、屈曲後傾きとした場合において、前記燃料噴射システムは、試験により得られた前記屈曲後傾きの値が予め記憶された記憶手段を有しており、前記噴射率波形算出手段は、前記記憶手段に記憶されている前記屈曲後傾きに基づき、前記上昇波形部分を算出することを特徴とする。

0021

ここで、燃圧波形から燃圧屈曲点を検出することが困難であることは先述した通りであり、同様にして、燃圧波形から屈曲後傾きを検出することも極めて困難である。この点を鑑みた上記発明によれば、屈曲後傾きを試験により予め取得しておき、その試験結果に基づき上昇波形部分を算出するので、上昇波形部分の算出を容易に実現できるようになる。

0022

請求項5記載の発明では、前記燃料噴射弁への燃料の供給圧力を基準圧力とした場合において、前記記憶手段には、前記基準圧力に応じた前記屈曲後傾きが記憶されており、前記噴射率波形算出手段は、前記燃圧波形を検出した時の前記基準圧力に対応した前記屈曲後傾きを前記記憶手段から取得し、その取得した前記屈曲後傾きに基づき前記上昇波形部分を算出することを特徴とする。

0023

ここで、燃料噴射弁への燃料の供給圧力(基準圧力)が異なれば、屈曲後傾きも異なる値になる、との知見を本発明者は得た。この知見を鑑みた上記発明では、基準圧力に応じた屈曲後傾きを試験により予め取得しておき、取得した試験結果のうち基準圧力に応じた屈曲後傾きに基づいて上昇波形部分を算出するので、上昇波形部分の算出を高精度にできる。

0024

請求項6記載の発明では、前記噴射率波形のうち噴射率の上昇が遅くなり始める点を屈曲点とした場合において、前記噴射率波形算出手段は、噴射率上昇開始点、前記屈曲点、噴射率上昇終了点、噴射率下降開始点、噴射率下降終了点の5点を直線で結ぶ5角形にモデル化して、前記噴射率波形を算出することを特徴とする。これによれば、各点を結ぶ線を曲線にした場合に比べて、噴射率波形の算出処理負荷を軽減できる。

図面の簡単な説明

0025

本発明の第1実施形態にかかる燃料噴射状態推定装置が適用される、燃料噴射システムの概略を示す図。
噴射指令信号に対応する噴射率および燃圧の変化を示す図。
本発明者が実施した試験結果を示すグラフ。
第1実施形態にかかる噴射率波形(5角形)を示す図。
第1実施形態において、燃料噴射弁に対する噴射指令信号の設定等の概要を示すブロック図。
噴射時燃圧波形Wa、非噴射時燃圧波形Wu、噴射波形Wbを示す図。
第1実施形態において、6角形の噴射率波形を算出する手順を示すフローチャート
本発明の第2実施形態にかかる噴射率波形(6角形)を示す図。

実施例

0026

以下、本発明にかかる燃料噴射状態推定装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に説明する燃料噴射状態推定装置は、車両用エンジン(内燃機関)に搭載されたものであり、当該エンジンには、複数の気筒#1〜#4について高圧燃料を噴射して圧縮自着火燃焼させるディーゼルエンジンを想定している。

0027

(第1実施形態)
図1は、上記エンジンの各気筒に搭載された燃料噴射弁10、各々の燃料噴射弁10に搭載された燃圧センサ22、及び車両に搭載された電子制御装置であるECU30等を示す模式図である。

0028

先ず、燃料噴射弁10を含むエンジンの燃料噴射システムについて説明する。燃料タンク40内の燃料は、燃料ポンプ41によりコモンレール42(蓄圧容器)に圧送されて蓄圧され、各気筒の燃料噴射弁10(#1〜#4)へ分配供給される。複数の燃料噴射弁10(#1〜#4)は、予め設定された順番で燃料の噴射を順次行う。

0029

なお、燃料ポンプ41にはプランジャポンプが用いられているため、プランジャ往復動に同期して燃料は圧送される。そして、当該燃料ポンプ41はエンジン出力駆動源としてクランク軸により駆動するので、1燃焼サイクル中に決められた回数だけ燃料ポンプ41から燃料を圧送することとなる。

0030

燃料噴射弁10は、以下に説明するボデー11、ニードル形状弁体12及びアクチュエータ13等を備えて構成されている。ボデー11は、内部に高圧通路11aを形成するとともに、燃料を噴射する噴孔11bを形成する。弁体12は、ボデー11内に収容されて噴孔11bを開閉する。

0031

ボデー11内には弁体12に背圧を付与する背圧室11cが形成されており、高圧通路11a及び低圧通路11dは背圧室11cと接続されている。高圧通路11a及び低圧通路11dと背圧室11cとの連通状態は制御弁14により切り替えられており、電磁コイルピエゾ素子等のアクチュエータ13へ通電して制御弁14を図1の下方へ押し下げ作動させると、背圧室11cは低圧通路11dと連通し、背圧室11c内の燃料圧力は低下する。その結果、弁体12へ付与される背圧力が低下して弁体12はリフトアップ(開弁作動)する。これにより、弁体12のシート面12aがボデー11のシート面から離座して、噴孔11bから燃料が噴射される。

0032

一方、アクチュエータ13への通電をオフして制御弁14を図1の上方へ作動させると、背圧室11cは高圧通路11aと連通して背圧室11c内の燃料圧力は上昇する。その結果、弁体12へ付与される背圧力が上昇して弁体12はリフトダウン閉弁作動)する。これにより、弁体12のシート面12aがボデー11のシート面に着座して、噴孔11bからの燃料噴射が停止される。

0033

したがって、ECU30がアクチュエータ13への通電を制御することで、弁体12の開閉作動が制御される。これにより、コモンレール42から高圧通路11aへ供給された高圧燃料は、弁体12の開閉作動に応じて噴孔11bから噴射される。なお、背圧室11cの流出口にはオリフィス11eが設けられている。これにより、背圧室11c内の高圧燃料が低圧通路11dへ流出する時の流量が、所定流量未満となるように制限される。ちなみに、制御弁14を開弁させてから最大噴射率に達するまでの途中で、オリフィス11eの開口面積が見かけ上小さくなるように変化する、といった特性を燃料噴射弁10は有している。

0034

燃圧センサ22は、各々の燃料噴射弁10に搭載されており、以下に説明するステム21(起歪体)、燃圧センサ22、燃温センサ23及びモールドIC24等を備えて構成されている。ステム21はボデー11に取り付けられており、ステム21に形成されたダイヤフラム部21aが、高圧通路11aを流通する高圧燃料の圧力を受けて弾性変形する。圧力センサ素子により構成される燃圧センサ22はダイヤフラム部21aに取り付けられており、ダイヤフラム部21aで生じた弾性変形量に応じて圧力検出信号をECU30へ出力する。

0035

また、ダイヤフラム部21aには、温度センサ素子により構成される燃温センサ23が取り付けられている。この燃温センサ23により検出された温度は、高圧通路11a内の燃料の温度とみなすことができる。つまり、センサ装置20は燃温センサの機能を備えていると言える。

0036

モールドIC24は、不揮発性メモリ24a(記憶手段)や、燃圧センサ22および燃温センサ23から出力された検出信号増幅する増幅回路、検出信号を送信する送信回路等の電子部品樹脂モールドして形成されており、ステム21とともに燃料噴射弁10に搭載されている。モールドIC24はECU30と電気接続されており、増幅された検出信号はECU30に送信される。

0037

ECU30は、アクセルペダル操作量エンジン負荷エンジン回転速度NE等に基づき目標噴射状態(例えば噴射段数、噴射開始時期、噴射終了時期、噴射量等)を算出する。例えば、エンジン負荷及びエンジン回転速度に対応する最適噴射状態を噴射状態マップにして記憶させておく。そして、現状のエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づき、噴射状態マップを参照して目標噴射状態を算出する。そして、算出した目標噴射状態に対応する噴射指令信号t1、t2、Tq(図2(a)参照)を、後に詳述する噴射率パラメータtd,te,Rα,Rβ,Rmaxや屈曲開始時間tx、屈曲後傾きΔtbに基づき設定し、燃料噴射弁10へ出力することで燃料噴射弁10の作動を制御する。

0038

次に、燃料噴射弁10から燃料を噴射させる場合における、噴射制御の手法について、図2図7を用いて以下に説明する。

0039

例えば#2気筒の燃料噴射弁10(#2)で燃料噴射した時には、その燃料噴射弁10(#2)に搭載されている燃圧センサ22の検出値に基づき、噴射に伴い生じた燃料圧力の変化を燃圧波形(図2(c)中の実線参照)として検出する。そして、検出した燃圧波形に基づき単位時間当たりの燃料噴射量の変化を表した噴射率波形(図2(b)および図4参照)を演算して噴射状態を検出する。そして、検出した噴射率波形(噴射状態)を特定する噴射率パラメータRα,Rβ,Rmaxを学習するとともに、噴射指令信号(パルスオン時期t1、パルスオフ時期t2及びパルスオン期間Tq)と噴射状態との相関関係を特定する噴射率パラメータtd,teを学習する。

0040

具体的には、燃圧波形のうち、噴射開始に伴い燃圧降下を開始する変曲点P1から降下が終了する変曲点P2までの降下波形を、最小二乗法等により直線に近似した降下近似直線Lαを算出する。そして、降下近似直線Lαのうち基準値Bαとなる時期(LαとBαの交点時期LBα)を算出する。この交点時期LBαと噴射開始時期R1とは相関が高いことに着目し、交点時期LBαに基づき噴射開始時期R1を算出する。例えば、交点時期LBαよりも所定の遅れ時間Cαだけ前の時期を噴射開始時期R1として算出すればよい。要するに、燃圧波形に含まれる降下波形に基づき噴射開始時期R1を算出する。

0041

また、燃圧波形のうち、噴射終了に伴い燃圧上昇を開始する変曲点P3から降下が終了する変曲点P5までの上昇波形を、最小二乗法等により直線に近似した上昇近似直線Lβを算出する。そして、上昇近似直線Lβのうち基準値Bβとなる時期(LβとBβの交点時期LBβ)を算出する。この交点時期LBβと噴射終了時期R4とは相関が高いことに着目し、交点時期LBβに基づき噴射終了時期R4を算出する。例えば、交点時期LBβよりも所定の遅れ時間Cβだけ前の時期を噴射終了時期R4として算出すればよい。要するに、燃圧波形に含まれる上昇波形に基づき噴射終了時期R4を算出する。

0042

次に、降下近似直線Lαの傾きと噴射率増加の傾きとは相関が高いことに着目し、図2(b)に示す噴射率波形のうち噴射増加を示す直線Rαの傾きを、降下近似直線Lαの傾きに基づき算出する。例えば、Lαの傾きに所定の係数掛けてRαの傾きを算出すればよい。同様にして、上昇近似直線Lβの傾きと噴射率減少の傾きとは相関が高いので、噴射率波形のうち噴射減少を示す直線Rβの傾きを、上昇近似直線Lβの傾きに基づき算出する。

0043

次に、噴射率波形の直線Rα,Rβに基づき、噴射終了を指令したことに伴い弁体12がリフトダウンを開始する時期(閉弁作動開始時期R23)を算出する。具体的には、両直線Rα,Rβの交点を算出し、その交点時期を閉弁作動開始時期R23として算出する。また、噴射開始時期R1の噴射開始指令時期t1に対する遅れ時間(噴射開始遅れ時間td)を算出する。また、閉弁作動開始時期R23の噴射終了指令時期t2に対する遅れ時間(閉弁開始遅れ時間te)を算出する。

0044

また、降下近似直線Lα及び上昇近似直線Lβの交点に対応した圧力を交点圧力Pαβとして算出し、後に詳述する基準圧力Pbaseと交点圧力Pαβとの圧力差ΔPγを算出し、この圧力差ΔPγと最大噴射率Rmaxとは相関が高いことに着目し、圧力差ΔPγに基づき最大噴射率Rmaxを算出する。具体的には、圧力差ΔPγに相関係数Cγを掛けることで最大噴射率Rmaxを算出する。但し、圧力差ΔPγが所定値ΔPγth未満である小噴射の場合には、上述の如くRmax=ΔPγ×Cγとする一方で、ΔPγ≧ΔPγthである大噴射の場合には、予め設定しておいた値(設定値Rγ)を最大噴射率Rmaxとして算出する。

0045

なお、上記「小噴射」とは、噴射率がRγに達する前に弁体12がリフトダウンを開始する態様の噴射を想定しており、シート面12aで燃料が絞られて噴射量が制限されている時の噴射率が最大噴射率Rmaxとなる。一方、上記「大噴射」とは、噴射率がRγに達した後に弁体12がリフトダウンを開始する態様の噴射を想定しており、噴孔11bで燃料が絞られて噴射量が制限されている時の噴射率が最大噴射率Rmaxとなる。要するに、噴射指令期間Tqが十分に長く、最大噴射率に達した以降も開弁状態を継続させる場合においては、噴射率波形は、図2(b)中の実線に示す台形を、図4中の点線の如く補正して得られた5角形となる。一方、最大噴射率に達する前に閉弁作動を開始させるような小噴射の場合には、噴射率波形は図2(b)中の点線に示す三角形となる。

0046

大噴射時の最大噴射率Rmaxである上記設定値Rγは、燃料噴射弁10の経年変化に伴い変化していく。例えば、噴孔11bにデポジット等の異物堆積して噴射量が減少するといった経年劣化が進行すると、図2(c)に示す圧力降下量ΔPは小さくなっていく。また、シート面12aが磨耗して噴射量が増大するといった経年劣化が進行すると、圧力降下量ΔPは大きくなっていく。なお、圧力降下量ΔPとは、噴射率上昇に伴い生じた検出圧力の降下量のことであり、例えば、基準圧力Pbaseから変曲点P2までの圧力降下量、又は、変曲点P1から変曲点P2までの圧力降下量のことである。

0047

そこで本実施形態では、大噴射時の最大噴射率Rmax(設定値Rγ)と圧力降下量ΔPとは相関が高いことに着目し、圧力降下量ΔPの検出結果から設定値Rγを算出して学習する。つまり、大噴射時における最大噴射率Rmaxの学習値は、圧力降下量ΔPに基づく設定値Rγの学習値に相当する。

0048

以上により、燃圧波形から噴射率パラメータtd,te,Rα,Rβ,Rmaxを算出できる。また、図2(b)の実線および図4の実線に示す台形形状の噴射率波形を算出できる。但し、このように算出した台形形状を以下に説明する5角形に補正している。

0049

図3は、実際の噴射率の変化(噴射率波形)を試験装置で計測した結果を示すグラフ(噴射率波形)であり、図中の符号(1)〜(7)は、噴射量を各々2mm3、25mm3、50mm3、75mm3、100mm3、125mm3、150mm3と変化させた場合の計測結果である。

0050

この計測結果によれば、符号BPに示す付近から噴射率上昇の速度が遅くなることが分かる。つまり、図4の模式図に示すように、噴射率上昇終了点R2に達するまでに、噴射率の上昇速度が途中(屈曲点Rx)から遅くなっており、計測した噴射率波形は、R1,R2,R3,R4の4点を直線で結ぶ台形よりも、R1,Rx,Ry,R3,R4の5点を直線で結ぶ5角形に近い形状であると言える。

0051

この点を鑑み、上述した噴射率パラメータtd,te,Rα,Rβ,Rmaxを用いて算出した台形形状を、後に詳述する手法により5角形に補正する。この5角形の噴射率波形は、噴射指令信号(図2(a)参照)に対応した噴射率波形である。そして、このように算出した5角形の噴射率波形の面積(図4中の網点ハッチ参照)は噴射量に相当するので、当該面積を算出することで噴射量を算出する。

0052

図5は、これら噴射率パラメータの学習、及び燃料噴射弁10へ出力する噴射指令信号の設定等の概要を示すブロック図であり、ECU30により機能する各手段31,32,33について以下に説明する。噴射率パラメータ算出手段31は、燃圧センサ22により検出された燃圧波形に基づき噴射率パラメータtd,te,Rα,Rβ,Rmaxを算出する。

0053

学習手段32は、算出した噴射率パラメータをECU30のメモリに記憶更新して学習する。また、算出した噴射率パラメータから生成される台形形状の噴射率波形を5角形に補正し、補正後の噴射率波形の面積を算出して得られた噴射量も、ECU30のメモリに記憶更新して学習する。

0054

なお、噴射率パラメータおよび噴射量は、その時の供給燃圧(コモンレール42内の圧力)に応じて異なる値となるため、供給燃圧又は後述する基準圧力Pbase(図2(c)参照)と関連付けて学習させることが望ましい。図5の例では、燃圧に対応する噴射率パラメータの値を噴射率パラメータマップMに記憶させている。

0055

設定手段33は、現状の燃圧に対応する噴射率パラメータおよび噴射量の学習値を、噴射率パラメータマップMから取得する。そして、取得した噴射率パラメータおよび噴射量に基づき、目標噴射状態に対応する噴射指令信号t1、t2、Tqを設定する。そして、このように設定した噴射指令信号にしたがって燃料噴射弁10を作動させた時の燃圧波形を燃圧センサ22で検出し、検出した燃圧波形に基づき噴射率パラメータ算出手段31は噴射率パラメータtd,te,Rα,Rβ,Rmaxおよび噴射量を算出する。

0056

要するに、噴射指令信号に対する実際の噴射状態(つまり噴射率パラメータtd,te,Rα,Rβ,Rmaxおよび噴射量)を検出して学習し、その学習値に基づき、目標噴射状態に対応する噴射指令信号を設定する。そのため、実際の噴射状態に基づき噴射指令信号がフィードバック制御されることとなり、先述した経年劣化が進行しても、実噴射状態が目標噴射状態に一致するよう燃料噴射状態を高精度で制御できる。特に、実噴射量目標噴射量となるように噴射指令期間Tqをフィードバック制御することで、実噴射量が目標噴射量となるように補償している。

0057

ところで、噴射気筒に設けられた燃圧センサ22(噴射気筒センサ)により検出された燃圧波形である噴射時燃圧波形Wa(図6(a)参照)は、噴射による影響のみを表しているわけではなく、以下に例示する噴射以外の影響で生じた波形成分をも含んでいる。すなわち、燃料タンク40の燃料をコモンレール42へ圧送する燃料ポンプ41がプランジャポンプの如く間欠的に燃料を圧送するものである場合には、燃料噴射中にポンプ圧送が行われると、そのポンプ圧送期間中における噴射時燃圧波形Waは全体的に圧力が高くなった波形となる。つまり、噴射時燃圧波形Wa(図6(a)参照)には、噴射による燃圧変化を表した燃圧波形である噴射波形Wb(図6(c)参照)と、ポンプ圧送による燃圧上昇を表した燃圧波形(図6(b)中の実線Wu’参照)とが含まれていると言える。

0058

また、このようなポンプ圧送が燃料噴射中に行われなかった場合であっても、燃料を噴射した直後は、その噴射分だけ噴射システム内全体の燃圧が低下する。そのため、噴射時燃圧波形Waは全体的に圧力が低くなった波形となる。つまり、噴射時燃圧波形Waには、噴射による燃圧変化を表した噴射波形Wbの成分と、噴射システム内全体の燃圧低下を表した燃圧波形(図6(b)中の点線Wu参照)の成分とが含まれていると言える。

0059

そこで本実施形態では、噴射していない気筒に設けられた燃圧センサ22(非噴射気筒センサ)により検出される非噴射時燃圧波形Wu’(Wu)はコモンレール内の燃圧(噴射システム内全体の燃圧)の変化を表していることに着目し、噴射気筒センサにより検出された噴射時燃圧波形Waから、非噴射気筒センサによる非噴射時燃圧波形Wu’(Wu)を差し引いて噴射波形Wbを演算する処理(裏消し処理)を実施している。なお、図2(c)に示す燃圧波形は噴射波形Wbである。

0060

また、多段噴射を実施する場合には、前段噴射にかかる燃圧波形の脈動Wc(図2(c)参照)が燃圧波形Waに重畳する。特に、前段噴射とのインターバルが短い場合には、燃圧波形Waは脈動Wcの影響を大きく受ける。そこで、非噴射時燃圧波形Wu’(Wu)に加えて脈動Wcを燃圧波形Waから差し引く処理(うねり消し処理)を実施して、噴射波形Wbを算出することが望ましい。

0061

次に、台形の噴射率波形を5角形に補正する手順について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図7に示す処理は、ECU30が有するマイクロコンピュータにより、所定周期で繰り返し実行される。

0062

先ず、図7に示すステップS10において、燃料噴射弁10から燃料が噴射されたか否かを判定し、噴射実施と肯定判定されれば、次のステップS11(燃圧波形検出手段)に進み、先述した裏消し処理およびうねり消し処理が施された燃圧波形を取得する。続くステップS12では、ステップS11で取得した燃圧波形に基づき、先述した噴射率パラメータtd,te,Rα,Rβ,Rmaxを算出する。続くステップS13では、これらの噴射率パラメータに基づき、台形形状の噴射率波形を算出する。

0063

ここで、以下の説明では、噴射率波形のうち噴射開始に伴い噴射率が上昇していく部分を上昇波形部分と呼び、上昇波形部分のうち噴射率の上昇が遅くなり始める点を屈曲点Rxと呼ぶ。そして、噴射率上昇開始から屈曲点Rxが現れるまでの時間を屈曲開始時間txと呼ぶ。また、上昇波形部分のうち屈曲点Rxが現れるまでの部分の傾きを屈曲前傾きΔtaと呼び、屈曲点Rxが現れた後の部分の傾きを屈曲後傾きΔtbと呼ぶ。

0064

そして、燃料噴射弁10を内燃機関に搭載する前に、図3に示す試験結果から得られた屈曲開始時間txおよび屈曲後傾きΔtbを、燃料噴射弁10に備えられたメモリ24a(記憶手段)に予め記憶させておく。なお、噴射時の基準圧力Pbaseが異なれば、これらの屈曲開始時間txおよび屈曲後傾きΔtbも異なる値となる。そこで本実施形態では、基準圧力Pbaseに応じた屈曲開始時間txおよび屈曲後傾きΔtbを試験により予め取得しておき、図7に示すマップM1,M2に示す如く基準圧力Pbaseと関連付けて屈曲開始時間txおよび屈曲後傾きΔtbをメモリ24aに記憶させている。

0065

図7の説明に戻り、続くステップS14では、ステップS11で取得した燃圧波形から基準圧力Pbaseを算出し、その基準圧力Pbaseに応じた屈曲開始時間txをマップM1から取得する。続くステップS15では、噴射率上昇開始時点R1から、ステップS14で算出した屈曲開始時間txが経過した時点が、最大噴射率Rmaxとなる時点以降であるか否かを判定する。

0066

つまり、先述した小噴射の場合には噴射率波形が3角形になるので、この場合には屈曲点Rxが現れない。したがって、屈曲開始時間txが経過した時点が最大噴射率Rmaxとなる時点以降であれば、屈曲点Rxが現れる前に噴射率の降下が開始する小噴射(3角形の噴射率波形)であると言える。よって、屈曲開始時間txが経過した時点が、最大噴射率Rmaxとなる時点以降であると判定されれば(S15:YES)、台形を5角形に補正する以降の処理S16,S17を実施しない。

0067

一方、屈曲開始時間txが経過した時点が、最大噴射率Rmaxとなる時点以降でないと判定されれば(S15:NO)、続くステップS16において、基準圧力Pbaseに応じた屈曲後傾きΔtbをマップM2から取得する。続くステップS17(噴射率波形算出手段)では、ステップS14,S16で算出した屈曲開始時間txおよび屈曲後傾きΔtbを用いて、ステップS13で算出した台形の噴射率波形を5角形に補正する。つまり、図4中の実線に示す台形を点線に示す5角形に補正する。

0068

続くステップS18では、補正後の5角形の噴射率波形の面積(図4の網点ハッチ部分の面積)、または小噴射時における3角形の噴射率波形の面積を、噴射量として算出する。そして、算出した噴射量を基準圧力Pbaseと関連付けて、学習手段32により学習する。なお、図5に示す設定手段33では、ステップS18で学習した噴射量に基づいて、噴射指令期間Tqを設定する。

0069

以上により、本実施形態によれば、台形に算出した噴射率波形の上昇波形部分(図4中のR1〜Ryの部分)を、屈曲点Rxを有した形状に補正して5角形の噴射率波形を算出する。そのため、実際の噴射率波形の形状に近づけることができるので、噴射量を高精度で算出(推定)できる。

0070

また、屈曲点Rxを有した形状への補正に必要な屈曲開始時間txおよび屈曲後傾きΔtbを、基準圧力Pbaseと関連付けてメモリ24a記憶させておくので、5角形の噴射率波形を高精度に算出できる。

0071

(第2実施形態)
上記第1実施形態では、噴射率の上昇速度が途中(屈曲点Rx)から遅くなることを鑑みて5角形の噴射率波形を算出している。これに対し本実施形態では、燃料噴射弁10の制御弁14を開弁作動させて弁体12をリフトダウンさせることに伴い噴射率が下降する時の、その下降速度についても途中(図8中の屈曲点Rv参照)で変化する場合があることに着目している。

0072

以下の説明では、噴射率波形のうち閉弁作動開始に伴い噴射率が下降していく部分を下降波形部分(図8中のR3〜Rwの部分)と呼び、下降波形部分のうち噴射率の下降が速くなり始める点を屈曲点Rvと呼ぶ。そして、噴射率下降開始から屈曲点Rvが現れるまでの時間を屈曲開始時間tvと呼ぶ。また、下降波形部分のうち屈曲点Rvが現れるまでの部分の傾きを屈曲前傾きΔtcと呼び、屈曲点Rvが現れた後の部分の傾きを屈曲後傾きΔtdと呼ぶ。

0073

そして、上述した着目点を鑑みた本実施形態では、下降波形部分を、その下降速度が途中までは遅くなる形状に算出する。つまり、降下開始点R3から屈曲点Rvまでの下降速度(屈曲前傾きΔtc)が、屈曲点Rvから噴射終了点Rwまでの下降速度Δtd(屈曲後傾きΔtd)よりも遅くなるように、噴射率波形を補正する。

0074

この下降波形部分の補正は、上昇波形部分の補正と同様にして、屈曲開始時間tvおよび屈曲前傾きΔtcを、基準圧力Pbaseと関連付けて試験しておき、その試験結果をメモリ24aに予め記憶させておけばよい。これによれば、圧力波形を取得した時の基準圧力Pbaseに応じた屈曲開始時間tvおよび屈曲前傾きΔtcを、メモリ24aから取得して、屈曲点Rvを有する形状に下降波形部分を補正すればよい。すなわち、図8中の実線に示す台形を点線に示す6角形の形状に補正する。そして、この6角形の噴射率波形の面積(図8中の網点を付した部分の面積)を噴射量として算出する。

0075

以上により、本実施形態によれば、台形に算出した噴射率波形の下降波形部分(図4中のR3〜Rwの部分)を、屈曲点Rvを有した形状に補正する。そのため、実際の噴射率波形の形状に近づけることができるので、噴射量を高精度で算出(推定)できる。

0076

また、屈曲点Rvを有した形状への補正に必要な屈曲開始時間tvおよび屈曲前傾きΔtcを、基準圧力Pbaseと関連付けてメモリ24a記憶させておくので、6角形の噴射率波形を高精度に算出できる。

0077

(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。

0078

・噴射時の燃料温度が異なれば、屈曲開始時間tx、屈曲後傾きΔtb、屈曲開始時間tvおよび屈曲前傾きΔtcも異なる値となるので、燃料温度に応じた屈曲開始時間tx、屈曲後傾きΔtb、屈曲開始時間tvおよび屈曲前傾きΔtcを予め試験により取得しておき、燃料温度と関連付けてメモリ24aに記憶させるようにしてもよい。そして、燃圧波形を検出した時の燃料温度に対応した屈曲開始時間tx、屈曲後傾きΔtb、屈曲開始時間tvおよび屈曲前傾きΔtcをメモリ24aから取得して、5角形または6角形への補正に用いればよい。なお、燃料温度は燃温センサ23の検出値を用いて取得すればよい。

0079

・上記実施形態では、屈曲点Rx,Rv等の各点を直線で結んだ5角形または6角形に噴射率波形を算出しているが、本発明は直線で結んだ形状に限られるものではなく、例えば、屈曲点Rxから最大噴射率到達点Ryまでを、図3の計測結果に基づき予め記憶させておいた曲線の波形を合わせ込んで、屈曲点Rxからの上昇速度が遅くなる噴射率波形を算出するようにしてもよい。

0080

・上記第2実施形態では、2つの屈曲点Rx,Rv(図8参照)を有する6角形にモデル化して噴射率波形を算出しているが、上昇速度が途中で遅くなる屈曲点Rxを廃止して、R1,R2,R3,Rv,Rwの5点を結ぶ5角形にモデル化して噴射率波形を算出してもよい。

0081

図1に示す上記第1実施形態では、燃圧センサ22を燃料噴射弁10に搭載しているが、本発明にかかる燃圧センサは、コモンレール42の吐出口42aから噴孔11bに至るまでの燃料供給経路内の燃圧を検出するよう配置された燃圧センサであればよい。よって、例えばコモンレール42と燃料噴射弁10とを接続する高圧配管42bに燃圧センサを搭載してもよい。つまり、コモンレール42及び燃料噴射弁10を接続する高圧配管42bと、ボデー11内の高圧通路11aとが「燃料通路」に相当する。

0082

10…燃料噴射弁、22…燃圧センサ、24a…メモリ(記憶手段)、S11…燃圧波形検出手段、S17…噴射率波形算出手段、Pbase…基準圧力、tx…屈曲開始時間、Δtb…屈曲後傾き。

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