図面 (/)
概要
背景
連動装置とは、鉄道において、転てつ器と信号機の動作を制御し、列車が進行している間転てつ器が転換しないように鎖錠し、列車が進行中の進路に支障を来す他の進路が構成されないように、転てつ器と信号機の動作に一定の連鎖関係を持たせる保安装置である。つまり、連動装置は、総括制御と鎖錠が基本的な機能である。総括制御とは、信号機のてこを取り扱ったとき転てつ器の転換も制御することである。また鎖錠とは、転てつ器が所定の方向に転換しなければ信号機に進行を現示できないことなどである。実際の駅構内においては、信号機や転てつ器が多数存在し、これらの相互関係は複雑に絡み合っている。
ここで、このような連動装置は、駅毎に動作が大きく異なるため、駅固有の制御論理を明確にするために“連動図表”が作成される。連動図表は、線路線形や信号設備の設置状態を作図した“配線略図”と、連動装置の制御条件を表に記述した“連動表”とからなる。そして、これら配線略図や連動表は、列車の動きや信号設備の状態を人間が見て分かりやすいようにコンパクトにまとめて線や記号により記述されている。連動装置として動作させるためには、制御を実現するための技術が必要であり、実現形態として、コンピュータによる連動動作を共通化したプログラムを作成し連動表をデータとして入力する方法と、シーケンス制御による方法がある。
シーケンス制御は、リレーという電磁石を、接点というスイッチによって駆動するという単純な原理によって直列回路や並列回路を基本とした論理を構築するものであるが、最近ではコンピュータを用いてブール値のAND,OR,NOTを基本とした論理シーケンスによって実現することが多くなっている。この制御方式は、論理が単純であるので、内部動作が明確に把握できるというメリットがあるが、駅毎に論理回路または論理式を作成する必要があり、多大な労力を要する。
なお、本願に関連する技術として特許文献1〜特許文献3が開示されている。
概要
リレー回路結線ネットワークデータの作成誤りを軽減でき、複雑な結線についても短時間で自動生成することができるリレー回路結線ネットワークデータ生成装置を提供する。連動表データを入力し、鉄道信号の全体のリレー回路を構成する可能性のある複数の異なるリレー種別のリレー回路のうち、何れのリレー回路が必要となるかを連動表データに基づいて決定する。また、決定したリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムと前記連動表データとを用いて、決定したリレー回路を構成する各リレー回路ブロック内のリレー構成要素を決定するとともに、当該決定したリレー構成要素を用いて前記リレー回路内の結線を示したリレー回路結線ネットワークデータを生成する。
目的
総括制御とは、信号機のてこを取り扱ったとき転てつ器の転換も制御することである
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
鉄道線路の線路線形および鉄道信号設備の設置状態を表す配線略図と、鉄道信号の連動装置の制御条件を記述した連動表とにより構成された連動図表データを入力する連動図表データ入力部と、前記鉄道信号の全体のリレー回路を構成する可能性のある複数の異なるリレー種別のリレー回路のうち、何れのリレー回路が必要となるかを前記連動図表データに基づいて決定するリレー回路決定部と、前記決定したリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムと前記連動図表データとを用いて、前記決定したリレー回路を構成する各リレー回路ブロック内のリレー構成要素を決定するとともに、当該決定したリレー構成要素を用いて前記リレー回路内の結線図を示したリレー回路結線ネットワークデータを生成するリレー回路結線ネットワークデータ生成部と、を備えることを特徴とするリレー回路結線ネットワークデータ生成装置。
請求項2
前記リレー回路結線ネットワークデータ生成部は、前記複数のリレー回路それぞれの結線図の結節点を関連付けた情報を保持したリレー回路結線ネットワークデータを生成することを特徴とする請求項1に記載のリレー回路結線ネットワークデータ生成装置。
請求項3
前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を示す補足条件を入力する補足条件入力部と、を備え、前記リレー回路結線ネットワークデータ生成部は、前記補足条件に基づいて、前記決定したリレー回路を構成する複数のリレー回路ブロックのうち前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリレー回路結線ネットワークデータ生成装置。
請求項4
リレー回路結線ネットワークデータ生成装置のリレー回路結線ネットワークデータ生成方法であって、鉄道線路の線路線形および鉄道信号設備の設置状態を表す配線略図と、鉄道信号の連動装置の制御条件を記述した連動表とにより構成された連動図表データを入力し、前記鉄道信号の全体のリレー回路を構成する可能性のある複数の異なるリレー種別のリレー回路のうち、何れのリレー回路が必要となるかを前記連動図表データに基づいて決定し、前記決定したリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムと前記連動図表データとを用いて、前記決定したリレー回路を構成する各リレー回路ブロック内のリレー構成要素を決定するとともに、当該決定したリレー構成要素を用いて前記リレー回路内の結線図を示したリレー回路結線ネットワークデータを生成することを特徴とするリレー回路結線ネットワークデータ生成方法。
請求項5
前記リレー回路結線ネットワークデータ生成部は、前記複数のリレー回路それぞれの結線図の結節点を関連付けた情報を保持したリレー回路結線ネットワークデータを生成することを特徴とする請求項4に記載のリレー回路結線ネットワークデータ生成方法。
請求項6
前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を示す補足条件を入力し、前記リレー回路結線ネットワークデータ生成部は、前記補足条件に基づいて、前記決定したリレー回路を構成する複数のリレー回路ブロックのうち前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を決定することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のリレー回路結線ネットワークデータ生成方法。
請求項7
リレー回路結線ネットワークデータ生成装置のコンピュータを、鉄道線路の線路線形および鉄道信号設備の設置状態を表す配線略図と、鉄道信号の連動装置の制御条件を記述した連動表とにより構成された連動図表データを入力する連動図表データ入力手段、前記鉄道信号の全体のリレー回路を構成する可能性のある複数の異なるリレー種別のリレー回路のうち、何れのリレー回路が必要となるかを前記連動図表データに基づいて決定するリレー回路決定手段、前記決定したリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムと前記連動図表データとを用いて、前記決定したリレー回路を構成する各リレー回路ブロック内のリレー構成要素を決定するとともに、当該決定したリレー構成要素を用いて前記リレー回路内の結線図を示したリレー回路結線ネットワークデータを生成するリレー回路結線ネットワークデータ生成手段、として機能させることを特徴とするプログラム。
請求項8
前記リレー回路結線ネットワークデータ生成手段は、前記複数のリレー回路それぞれの結線図の結節点を関連付けた情報を保持したリレー回路結線ネットワークデータを生成することを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
請求項9
前記コンピュータを、さらに、前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を示す補足条件を入力する補足条件入力手段として機能させ、前記リレー回路結線ネットワークデータ生成手段は、前記補足条件に基づいて、前記決定したリレー回路を構成する複数のリレー回路ブロックのうち前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を決定することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のプログラム。
技術分野
0001
本発明は、転てつ器や信号機の制御を行う連動装置が、当該制御に用いるリレー回路結線ネットワークデータを生成するリレー回路結線ネットワークデータ生成装置、リレー回路結線ネットワークデータ生成方法、ならびにそのプログラムに関する。
背景技術
0002
連動装置とは、鉄道において、転てつ器と信号機の動作を制御し、列車が進行している間転てつ器が転換しないように鎖錠し、列車が進行中の進路に支障を来す他の進路が構成されないように、転てつ器と信号機の動作に一定の連鎖関係を持たせる保安装置である。つまり、連動装置は、総括制御と鎖錠が基本的な機能である。総括制御とは、信号機のてこを取り扱ったとき転てつ器の転換も制御することである。また鎖錠とは、転てつ器が所定の方向に転換しなければ信号機に進行を現示できないことなどである。実際の駅構内においては、信号機や転てつ器が多数存在し、これらの相互関係は複雑に絡み合っている。
0003
ここで、このような連動装置は、駅毎に動作が大きく異なるため、駅固有の制御論理を明確にするために“連動図表”が作成される。連動図表は、線路線形や信号設備の設置状態を作図した“配線略図”と、連動装置の制御条件を表に記述した“連動表”とからなる。そして、これら配線略図や連動表は、列車の動きや信号設備の状態を人間が見て分かりやすいようにコンパクトにまとめて線や記号により記述されている。連動装置として動作させるためには、制御を実現するための技術が必要であり、実現形態として、コンピュータによる連動動作を共通化したプログラムを作成し連動表をデータとして入力する方法と、シーケンス制御による方法がある。
0004
シーケンス制御は、リレーという電磁石を、接点というスイッチによって駆動するという単純な原理によって直列回路や並列回路を基本とした論理を構築するものであるが、最近ではコンピュータを用いてブール値のAND,OR,NOTを基本とした論理シーケンスによって実現することが多くなっている。この制御方式は、論理が単純であるので、内部動作が明確に把握できるというメリットがあるが、駅毎に論理回路または論理式を作成する必要があり、多大な労力を要する。
なお、本願に関連する技術として特許文献1〜特許文献3が開示されている。
先行技術
0005
特開2003−63401号公報
特開2010−228608号公報
特開2010−228609号公報
発明が解決しようとする課題
0006
ここで、上述の特許文献1の技術は、連動図表の作成を、コンピュータにより支援する技術である。しかしながら、この技術によって作成した連動図表から、継電連動装置で利用できる、リレー回路結線ネットワークデータを自動生成する技術が求められている。
0007
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできるリレー回路結線ネットワークデータ生成装置、リレー回路結線ネットワークデータ生成方法、ならびにそのプログラムを提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
0008
上記目的を達成するために、本発明は、鉄道線路の線路線形および鉄道信号設備の設置状態を表す配線略図と、鉄道信号の連動装置の制御条件を記述した連動表とにより構成された連動図表データを入力する連動図表データ入力部と、前記鉄道信号の全体のリレー回路を構成する可能性のある複数の異なるリレー種別のリレー回路のうち、何れのリレー回路が必要となるかを前記連動図表データに基づいて決定するリレー回路決定部と、前記決定したリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムと前記連動図表データとを用いて、前記決定したリレー回路を構成する各リレー回路ブロック内のリレー構成要素を決定するとともに、当該決定したリレー構成要素を用いて前記リレー回路内の結線図を示したリレー回路結線ネットワークデータを生成するリレー回路結線ネットワークデータ生成部と、を備えることを特徴とするリレー回路結線ネットワークデータ生成装置である。
0009
また本発明は、上述のリレー回路結線ネットワークデータ生成装置において、前記リレー回路結線ネットワークデータ生成部は、前記複数のリレー回路それぞれの結線図の結節点を関連付けた情報を保持したリレー回路結線ネットワークデータを生成することを特徴とする。
0010
また本発明は、上述のリレー回路結線ネットワークデータ生成装置において、前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を示す補足条件を入力する補足条件入力部と、を備え、前記リレー回路結線ネットワークデータ生成部は、前記補足条件に基づいて、前記決定したリレー回路を構成する複数のリレー回路ブロックのうち前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を決定することを特徴とする。
構成要素の必要有無を決定することを特徴とする。
0011
また本発明は、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置のリレー回路結線ネットワークデータ生成方法であって、鉄道線路の線路線形および鉄道信号設備の設置状態を表す配線略図と、鉄道信号の連動装置の制御条件を記述した連動表とにより構成された連動図表データを入力し、前記鉄道信号の全体のリレー回路を構成する可能性のある複数の異なるリレー種別のリレー回路のうち、何れのリレー回路が必要となるかを前記連動図表データに基づいて決定し、前記決定したリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムと前記連動図表データとを用いて、前記決定したリレー回路を構成する各リレー回路ブロック内のリレー構成要素を決定するとともに、当該決定したリレー構成要素を用いて前記リレー回路内の結線図を示したリレー回路結線ネットワークデータを生成することを特徴とするリレー回路結線ネットワークデータ生成方法である。
0012
また本発明は、上述のリレー回路結線ネットワークデータ生成方法において、前記リレー回路結線ネットワークデータ生成部は、前記複数のリレー回路それぞれの結線図の結節点を関連付けた情報を保持したリレー回路結線ネットワークデータを生成することを特徴とする。
0013
また本発明は、上述のリレー回路結線ネットワークデータ生成方法において、前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を示す補足条件を入力し、前記リレー回路結線ネットワークデータ生成部は、前記補足条件に基づいて、前記決定したリレー回路を構成する複数のリレー回路ブロックのうち前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を決定することを特徴とする。
0014
また本発明は、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置のコンピュータを、鉄道線路の線路線形および鉄道信号設備の設置状態を表す配線略図と、鉄道信号の連動装置の制御条件を記述した連動表とにより構成された連動図表データを入力する連動図表データ入力手段、前記鉄道信号の全体のリレー回路を構成する可能性のある複数の異なるリレー種別のリレー回路のうち、何れのリレー回路が必要となるかを前記連動図表データに基づいて決定するリレー回路決定手段、前記決定したリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムと前記連動図表データとを用いて、前記決定したリレー回路を構成する各リレー回路ブロック内のリレー構成要素を決定するとともに、当該決定したリレー構成要素を用いて前記リレー回路内の結線図を示したリレー回路結線ネットワークデータを生成するリレー回路結線ネットワークデータ生成手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
0015
また本発明は、上述のプログラムにおいて、前記リレー回路結線ネットワークデータ生成手段は、前記複数のリレー回路それぞれの結線図の結節点を関連付けた情報を保持したリレー回路結線ネットワークデータを生成することを特徴とする。
0016
また本発明は、上述のコンピュータを、さらに、前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を示す補足条件を入力する補足条件入力手段として機能させ、前記リレー回路結線ネットワークデータ生成手段は、前記補足条件に基づいて、前記決定したリレー回路を構成する複数のリレー回路ブロックのうち前記リレー回路結線ネットワークデータの生成にさらに必要なリレー回路を決定することを特徴とする。
発明の効果
0017
本発明によれば、自動的にリレー回路結線ネットワークデータを作成できるため、リレー回路結線ネットワークデータの手作業での作成の誤りによりリスクを軽減することができる。また、複雑な結線図についても短時間で自動生成することができる。
図面の簡単な説明
0018
配線略図の例を示す図である。
連動表を示す図である。
回路ノードクラスのクラス図である。
リレー回路クラスのクラス図である。
一般化した接近鎖錠リレー回路の例を示す図である。
リレー回路結線ネットワークデータ生成装置の機能ブロック図である。
リレー回路結線ネットワークデータ生成装置の処理フローを示す図である。
連動図表データに基づいて生成されるリレー回路結線ネットワークデータの例を示す図である。
表示鎖錠回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
基本進路開通回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
TSSlRリレーの接近鎖錠回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
第2軌道回路以降在線回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
時素解錠完了回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
リレー回路結線ネットワークデータの最適化の例を示す図である。
実施例
0019
以下、本発明の一実施形態によるリレー回路結線ネットワークデータ生成装置を図面を参照して説明する。
図1は配線略図の例を示す図である。
図2は連動表を示す図である。
連動図表は、線路線形や信号設備の設置状態を作図した図1で示すような“配線略図”と、連動装置の制御条件を表に記述した図2で示すような“連動表”からなる。
本実施形態におけるリレー回路結線ネットワークデータ生成装置は、これら配線略図や連動表からなる連動図表データを入力し、当該連動図表データに基づいて、リレー回路結線ネットワークデータを生成するものである。
0020
まず、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置の処理概要について説明する。
<結線図の構造化>
リレー回路結線ネットワークデータを、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置のコンピュータによって自動生成するためには、その概念を構造化することが重要である。構造化の対象は、リレー回路結線ネットワークデータを構成する要素の構造化と、リレー回路結線ネットワークデータの元となる標準結線図の形態の構造化が必要である。
リレー回路結線ネットワークデータを構成する要素(リレー回路構成要素)は、てこ、着点ボタン、軌道回路、リレー等であり、これらの属性や機能、相関関係をコンピュータ上で再現するために、オブジェクト指向手法を用いる。この手法は、概念としての“もの(オブジェクト)”を中心に据えるものであり、“クラス”として、回路ノードクラス(図3)およびリレー回路クラス(図4)を定義する。
0021
<回路のクラス構造>
図3は回路ノードクラスのクラス図である。
(回路ノードクラス)
本実施形態においては、図3に示すように、リレー回路のオブジェクトを表現するために、“回路ノード”という抽象クラスを中心としたクラス図を定義する。クラス図の書式は、UML(Unified Modeling Language)に従っている。リレー回路のネットワークは、回路ノードの接続関係によって表すことができ、回路を図面に出力して表現できるように、接続の分岐点に結節点を設け、接続の方向(左右、上下)を設定できるようにした。図3の矢印(←,→)は関連の方向で、“0..1”は関連の数を表し、左側の数字は最小数、右側の数字は最大数である。なお、数字の部分が*となっているのは無限大を示す。回路を構成する要素であるてこ接点、着点ボタン接点、電源、ダイオード、結節点、リレー本体、リレー接点などは、全て回路ノードから継承する。△は継承を示す。下記に、継承するクラスの目的別の説明を行う。
0022
(1)連動図表内クラスと直接関連するクラス
連動図表内に表れるてこや着点ボタンは、リレー回路内で接点として直接用いられる。てこには、“てこ接点”クラス、着点ボタンには“ボタン接点”クラスを内包し、相互に関連する。◇は内方を示す。なお、てこ接点には、N,R,CN,CRなどの接点位置の情報を有する。
(2)リレーに関するクラス
“リレー本体”クラスには、名称、種別、時素、緩動ユニットの有無、通常動作位置のデータを有する。“リレー接点”クラスには、共通側方向と接点位置のデータを有する。リレー本体内にリレー接点を内包し、相互に関連する。
(3)回路の分岐点を表現するクラス
結線図の分岐点として、“結節点”クラスを設けるが、リレーネットワークの接続状態をコンピュータ上で表現しやすくするために、直接接続する結節点を集約して“集約結節点”クラスを定義し、結節点クラスを内包し、相互に関連する。また、分岐点に接続する回路ノードとして、4方向(左上、左下、右上、右下)別に関連する。
(4)回路の終点や方向を表現するクラス
電源に接続するクラスとして、“電源”クラス、ダイオードを表現するクラスとして“ダイオード”クラスを設ける。
0023
図4はリレー回路クラスのクラス図である。
(リレー回路クラス)
リレー回路の自動生成を処理するためのクラスとして図4のように“リレー回路”クラスという抽象クラスを定義し、回路の表現、回路の一般化、及び処理フローを作成する。このクラスには、回路内で用いられるリレー、集約結節点、電源、ダイオードを内包し、個別のリレー回路に継承する。
個別の回路クラスでは、連動図表のオブジェクトと関連することにより、連動図表の論理データを取得できるようにする。
0024
例えば、リレー回路のうち、接近鎖錠リレー回路は、信号てこと基本的に1対1に関連する。しかし、信号てこからリレー回路への関連は、内方に転てつ器や対向進路がない場合は必要としないので0又は1となり、逆に回路から信号てこへの関連は、同一方向同一着点の信号てこ間においては共有する場合があるので、複数の関連を可能とする。なお、共有数は、通常3信号てこまでとしている。回路によって動作するリレーとして、必須となる接近鎖錠リレー(ASR)と鎖錠補助リレー(MSlR)、及び必要に応じて設置される軌道補助リレー(TSSlR)を内包する。
0025
<標準結線図の一般化>
リレー回路結線ネットワークは、概念的には標準化されているが、実現形態は駅によって大きく異なる。このため、継電連動装置で規定されている標準結線図は、回路の形態が厳密に標準化されておらず、事例集的になっている。コンピュータによって自動生成を実現するには、論理的に厳密に規定する必要があるので、標準結線図の一般化を行う。
リレー回路結線ネットワークを、回路種別毎に、いくつかの意味のある大きな纏まりの回路ブロックに分割し、回路ブロック間の接続によって全体的なネットワーク回路を構築する。回路ブロックの内部には、必要に応じて更に回路ブロックによるネットワークを構築し、回路ブロックが単純化されるまで繰り返す。最も細分化された回路ブロックにおいて、連動図表の論理データと関連して回路ノードによる直列、及び並列回路を定義する。連動装置に必要なリレー回路は10程度に分けられるが、接近鎖錠リレー回路を例に説明する。
0026
図5は一般化した接近鎖錠リレー回路の例を示す図である。
標準結線図の一部である接近鎖錠リレー回路の回路ブロックは、図5で示すように一般化できる。接近鎖錠リレー回路は、TSS1R、ASR、MS1Rの各リレーを駆動する回路である。このように、接近鎖錠リレー回路の回路ブロックによるネットワーク回路を定義するとき、例えば、接近鎖錠リレー回路内の進路開通回路ブロックAを例にとると、更に、基本進路開通回路ブロックA1と、過走転てつ器開通回路ブロックA2と、先引き進路開通回路ブロックA3により、定義される。なお、接近鎖錠リレー回路における最終段階の回路ブロックでは、連動図表オブジェクトと関連づけて、具体的な接点を構築するように定義されている。
0027
またさらに、基本進路開通回路ブロックA1は、進路と関連づけられた進路てこリレー接点とその進路を開通するための転てつ器開通条件に関連づけられた転てつ表示リレーとの並列回路が、信号てこ内の進路数分、直列に接続された回路構成となる。
このような“接近鎖錠リレー回路”のほか、リレー回路を構成する“進路てこリレー回路”,“進路鎖錠リレー回路”,“信号制御リレー回路”,“転てつ制御リレー回路”などの一般化した標準結線図のデータに基づいて、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置はリレー回路結線ネットワークデータを生成することとなる。なお、リレー回路を構成する大きな纏まりの回路ブロックとしては、この他、“進路選別リレー回路”,“総括制御リレー回路”,“進路照査リレー回路”,“運転方向制御リレー回路”,などの回路ブロックが存在する。
0028
つまり、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置は、一般化した標準結線図に従って、連動図表データから回路クラスのインスタンス(実体)とその関連を構築していくことで、リレー回路結線ネットワークデータのネットワーク論理回路を自動生成する。また、連動図表のみではリレー回路結線ネットワークデータの生成を正しくできない条件がいくつか存在するので、これを補足条件として事前に入力することによりリレー回路結線ネットワークデータの自動生成精度を向上させる。
0029
<補足条件の設定>
補足条件として設定する条件は、連動図表のみからは決定できないが、標準的に決定することは可能であるので、システムによる仮自動生成を行った後、ユーザによる手動修正を行う形態を採る。つまり、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置によりリレー回路結線ネットワークデータの仮自動生成結果を、連動図表のオブジェクト内にデータとして保存し、後述するリレー回路結線ネットワークデータの自動生成時に、実際のオブジェクトを生成する。補足条件を設定する回路としては、接近鎖錠リレー回路と進路鎖錠リレー回路等がある。接近鎖錠リレー回路の仮自動生成について説明する。
0030
(リレー名称の設定)
仮自動生成では、連動図表に登録されている信号てこ毎に、てこ名称に“ASR”や“MS1R”を付加することでリレー名称を登録することを基本とする。なお、進路数が1つで同一方向同一着点の信号てこは、3てこまで同一のリレー名称とする。TSS1Rリレーは、内方進入保持が必要な場合に設置される。解錠時素が60秒以上の信号機に設置されることが多いが、その限りでない。このため、本リレー回路結線ネットワークデータ生成装置では、仮自動生成においては、全ての信号機に対して生成している。名称は、内方進入保持の第1軌道回路名称に“SSlR”を付加する。
0031
(内方進入保持の設定)
内方進入保持は、列車が信号機内方に進入したことを検知して、進路終点まで保持することにより、てこ復位による時素解錠を防止するものである。このため、進路毎に、信号機内方から着点までの全ての軌道回路を設定することを基本とする。但し、閉路鎖錠軌道回路は省く。
0033
(接近進路鎖錠の設定)
接近進路鎖錠は、接近鎖錠に進路鎖錠の機能を持たせて、進路鎖錠を省くものである。接近鎖錠に連続する第1進路区分鎖錠において、他のてこの進路区分鎖錠と共有していなければ、これを接近進路鎖錠として、仮自動生成する。
0034
(補足条件の修正)
上述の、リレー名称の設定、内方進入保持の設定、解錠軌道回路数の設定、接近進路鎖錠の設定の結果である仮自動生成が終了すると、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置は、その仮自動生成結果を示し、補足条件を設定するための連動動作補足条件設定画面をモニタに出力する。そして、必要な場合には、ユーザより当該画面において補足条件の登録を受ける。
0035
<リレー回路オブジェクトの自動生成>
次にリレー回路結線ネットワークデータ生成装置は、連動図表オブジェクトとの関連から、リレー回路結線ネットワークを構成する各リレー回路のオブジェクトを生成し、必要リレーを自動生成する。例えば、リレー回路結線ネットワークを構成する進路てこリレー回路であれば、当該進路てこリレー回路は、進路と1対1の関係にある。そしてリレー回路結線ネットワークデータ生成装置は、進路毎に、その進路てこリレー回路の回路オブジェクトを生成し、その内部の情報として進路てこリレーを自動生成する。接近鎖錠リレーについては、信号てこと関連づけられているが、補足条件設定によりリレー名称が設定されており、リレー名称が共通な信号てこについて、回路オブジェクトを共有する。このようにして、リレー回路結線ネットワークを構成する全てのリレー回路について、回路オブジェクトと、当該回路オブジェクトに含まれるリレー回路を自動生成する。
0036
図6はリレー回路結線ネットワークデータ生成装置の機能ブロック図である。
図7はリレー回路結線ネットワークデータ生成装置の処理フローを示す図である。
図6において符号1はリレー回路結線ネットワークデータ生成装置である。そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置1は、当該リレー回路結線ネットワークデータ生成装置1の各処理部を制御する制御部11のほか、当該制御部11の制御によって処理を行う連動図表データ入力部12、リレー回路決定部13、補足条件入力部14、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15の各処理部を備えている。またリレー回路結線ネットワークデータ生成装置1は、各処理に利用されるデータを記憶するデータベース16、生成されたリレー回路結線ネットワークデータのレイアウト処理を行ってモニタ等へ出力する結線図表示部17を備えている。連動図表データ入力部12、リレー回路決定部13、補足条件入力部14、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15、結線図表示部17の各処理部は、リレー回路結線ネットワークデータ生成アプリケーションのプログラムを制御部が実行することにより、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置1のコンピュータに構成されるものである。データベース16は、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置1のメモリ上やハードディスクドライブ上に構成される。
0037
ここで、連動図表データ入力部12は、鉄道線路の線路線形および鉄道信号設備の設置状態を表す配線略図と、鉄道信号の連動装置の制御条件を記述した連動表とにより構成された連動図表データを入力する処理部である。
また、リレー回路決定部13は、鉄道信号の全体のリレー回路を構成する複数の異なるリレー種別のリレー回路のうち、何れのリレー回路が必要となるかを連動図表データに基づいて決定する処理部である。
また、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、決定されたリレー回路ブロックについてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムと連動図表データとを用いて、決定されたリレー回路ブロックのリレー構成要素を決定するとともに、当該決定したリレー構成要素を用いてリレー回路ブロック内の結線図を生成する処理部である。
また、補足条件入力部14は、リレー構成要素の必要有無を判定する補足条件を入力する処理部である。
また、結線図表示部17は、生成されたリレー回路結線ネットワークデータを構成する各リレー構成要素の回路のレイアウトを特定して表示処理を行う処理部である。
0038
次に、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置の処理フローについて順を追って説明する。
まず、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置1の制御部11が処理の開始を指示する。すると連動図表データ入力部12がデータベースに記録されている連動図表データを読み込む(ステップS101)。そして、制御部11が、当該連動図表データのオブジェクトを生成する(ステップS102)。またリレー回路決定部13が、当該連動図表データに記録されているリレー回路構成要素の識別情報から、リレー回路結線ネットワークを構成する可能性のある複数のリレー回路のうち、何れのリレー回路が必要となるかを決定する(ステップS103)。ここで、リレー回路結線ネットワークデータの生成対象として、“接近鎖錠リレー回路”,“進路てこリレー回路”,“進路鎖錠リレー回路”,“信号制御リレー回路”,“転てつ制御リレー回路”のリレー回路が決定されたとする。すると、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、リレー回路結線ネットワークデータの生成処理を開始する。以下、必要とであると決定したリレー回路のうち、“接近鎖錠リレー回路”についてのリレー回路結線ネットワークデータの生成を例に、詳細を説明する。
0039
リレー回路が決定されると、次に、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15が、連動動作補足条件の仮自動生成を行う(ステップS104)。当該連動動作補足条件の仮自動生成においてリレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、連動図表データを解析し、てこや接点などのリレー構成要素に分解し、それらの一覧を生成する。また、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、連動図表データの分解により得た各リレー構成要素がどの他のリレー構成要素と接続されるのを示す関連情報を保持する。そして、補足条件入力部14が、当該仮自動生成結果(リレー構成要素の一覧や、リレー構成要素同士の関連情報など)を示し、補足条件を設定するための連動動作補足条件設定画面をモニタ等に表示する(ステップS105)。ユーザは、表示された連動動作補足条件設定画面において、リレー回路結線ネットワークデータを生成すると決定されたリレー回路についての補足条件を選択し、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置1に登録する。
0040
補足条件は、連動図表データに対応するリレー回路結線ネットワークデータを生成するためにユーザがさらに必要であると判断したリレー回路を指定する情報である。当該補足条件の選択は、例えば、ユーザが、モニタに表示された連動動作補足条件設定画面において、補足条件(さらに必要であると判断したリレー回路の名称等の識別情報)の一覧から選択し、登録ボタンを押下するなどの操作により行われる。そして、補足条件入力部14がユーザにより選択された補足条件を入力する(ステップS106)。そして、補足条件入力部14は、その補足条件の情報を含む仮自動生成結果をデータベース16に一時的に格納する。
0041
そして、次にリレー回路結線ネットワークデータ生成部15が、作成すべき複数のリレー回路の中から1つのリレー回路を選択する(ステップS107)。そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、選択したリレー回路ブロックの各リレー回路結線ネットワークデータを生成する(ステップS108)。その際、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、選択した1つのリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムをデータベース16から読み取る。そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、選択した1つのリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムと、連動図表データのオブジェクトデータに基づいて生成された仮自動生成結果内の当該選択した1つのリレー回路についての情報とを用いて、選択したリレー回路に含まれる各リレー回路ブロックのリレー構成要素を特定する。そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、特定したリレー構成要素の情報と、それらリレー構成要素の結節点同士の関係情報とを保持した、当該選択した1つのリレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。
0042
より具体的には、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15が“接近鎖錠リレー回路”のリレー回路結線ネットワークデータを生成する場合、当該リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、接近鎖錠リレー回路用のリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムを実行する。そしてデータベース16に記録されている仮自動生成結果から、“接近鎖錠リレー回路”の一般化された回路クラスを読み取る。当該“接近鎖錠リレー回路”の一般化された回路クラスは、図5で示すような“接近鎖錠リレー回路”を構成する各リレー回路ブロック(表示鎖錠回路ブロックや進路開通回路ブロックなど)を構成するリレー構成要素の情報や、それらリレー構成要素の接続関係および他のリレー回路ブロックとの接続関係などの情報を含む。図5で示すように、“接近鎖錠リレー回路”の一般化された回路クラスは、表示鎖錠回路ブロックや進路開通回路ブロックなどの複数の小さな回路ブロックについての回路ブロッククラスの組合せにより表される。そして、それら小さな回路ブロッククラスについて、リレー回路結線ネットワークデータを生成する。
0043
図8は連動図表データに基づいて生成されるリレー回路結線ネットワークデータの例を示す図である。
図9は表示鎖錠回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、まず、図5で示す“接近鎖錠リレー回路”の一般化された回路ブロッククラスより、“表示鎖錠回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、図9で示すように、接近鎖錠リレー回路用のリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムの処理に基づき、連動図表データのオブジェクトデータから生成された仮自動生成結果のデータ内に含まれる、“接近鎖錠リレー回路”の回路ブロッククラスを参照する。そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、接近鎖錠リレーが制御する進路について、信号機の信号制御リレーの落下接点を直列に接続したリレー回路結線ネットワークデータのデータを生成する。これにより図9(a)で示すような“表示鎖錠回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。より具体的には、図8で示すように、1RASRが制御する進路は1RAと1RBであり、それぞれの信号機を制御する信号制御リレーは1RAHRと1RBHRであるので、この落下接点を直列に接続すること示す情報や、各信号制御リレーの識別子の情報を含む、“表示鎖錠回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。
0044
図10は基本進路開通回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、“表示鎖錠回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータの生成が終了すると、次に、“表示鎖錠回路ブロック”の結節点に接続する“進路開通回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータの生成を行う。図5で示すように、“進路開通回路ブロック”は、“基本進路開通回路ブロック”と“過走転てつ器開通回路ブロック”と“先引き進路開通回路ブロック”とにより構成される回路ブロックである。従って、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、“進路開通回路ブロック”を構成する回路ブロックのうちの1つである“基本進路開通回路ブロック”のリレー回路結線ネットワークデータを生成する。当該“基本進路開通回路ブロック”の生成においてリレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、接近鎖錠リレー回路用のリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムの処理に基づき、連動図表データのオブジェクトデータから生成された仮自動生成結果のデータ内に含まれる、“基本進路開通回路ブロック”の回路ブロッククラスを参照する。そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、図10で示すように、“基本進路開通回路ブロック”の回路ブロッククラスから、接近鎖錠リレーが制御する進路について検出し、進路てこリレーの落下接点を直列に接続し、それぞれの進路てこリレーに対して基本進路を開通するための転てつ器の開通方向と反対の転てつ表示リレーの落下接点を並列に接続したリレー回路結線ネットワークデータのデータを生成する。
0045
これにより図10(b)で示すような“基本進路開通回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。より具体的には、図8で示すように、進路は1RAと1RBであり、進路てこリレーはそれぞれ1RAR、1RBRであるため、当該“基本進路開通回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータは、この落下接点を直列に接続すること示す情報を含む。また、1RARの開通転てつ器は21反位であるので、当該“基本進路開通回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータは、開通方向反対の転てつ表示リレー21KNPRの落下接点を並列に接続すること示す情報を含む。また、1RBRの開通転てつ器は21定位であるので、当該“基本進路開通回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータは、開通方向反対の転てつ表示リレー21KRPRの落下接点を並列に接続すること示す情報を含む。。
なお、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、“進路開通回路ブロック”を構成する“過走転てつ器開通回路ブロック”と“先引き進路開通回路ブロック”についても同様の処理によりリレー回路結線ネットワークデータのデータを生成する。
0046
図11はTSSlRリレーの接近鎖錠回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、“進路開通回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータの生成が終了すると、次に、“進路開通回路ブロック”の結節点に接続するTSSlRリレーの“接近鎖錠回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータの生成を行う。このときリレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、接近鎖錠リレー回路用のリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムの処理に基づき、連動図表データのオブジェクトデータから生成された仮自動生成結果のデータ内に含まれる、“接近鎖錠回路ブロック”の回路ブロッククラスを参照する。そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、連動図表データのオブジェクトデータから、“接近鎖錠リレー回路”に軌道補助リレー(TSSlR)が存在すると判定した場合には、図11で示すような接近鎖錠リレー(ASR)の落下接点をリレー回路結線ネットワークデータに接続すると判定する。より具体的には、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、図8で示すように、21TSSlR(軌道補助リレー)が存在しているので、1RASRの落下接点を接続すること示す情報を含む“TSSlRリレーの接近鎖錠回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。
0047
図12は第2軌道回路以降在線回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、“TSSlRリレーの接近鎖錠回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータの生成が終了すると、次に、“第2軌道回路以降在線回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータの生成を行う。このときリレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、接近鎖錠リレー回路用のリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムの処理に基づき、連動図表データのオブジェクトデータから生成された仮自動生成結果のデータ内に含まれる、“第2軌道回路以降在線回路ブロック”の回路ブロッククラスを参照する。そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、図5で示す“接近鎖錠リレー回路”に軌道補助リレー(TSSlR)が存在すると判定した場合には、内方進入保持軌道回路に登録されている進路内方第2軌道回路以降の軌道リレーの落下接点を並列に接続し、それぞれの軌道リレーに軌道回路に至るまでの転てつ器の開通方向と反対の転てつ表示リレーの落下接点を直列に接続すると判定する。これにより図12(c)で示すような“第2軌道回路以降在線回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。
より具体的には、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、図8で示すように、内方進入保持軌道回路の第2軌道回路以降は、1RATと1RBTであるため、軌道リレー1RATRと1RBTRの落下接点を並列に接続すること示す情報を含む“第2軌道回路以降在線回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。。また、1RATRの開通転てつ器は21反位であるので、“第2軌道回路以降在線回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータには、開通方向反対の転てつ表示リレー21KNPRの落下接点を直列に接続すること示す情報が含まれる。また、1RBTRの開通転てつ器は21定位であるので、“第2軌道回路以降在線回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータ開通方向反対の転てつ表示リレー21KRPRの落下接点を直列に接続すること示す情報が含まれる。
0048
このように、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、図5で示す接近鎖錠リレー回路”を構成する各回路ブロックについて、順に、接近鎖錠リレー回路用のリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムの処理に基づき、連動図表データのオブジェクトデータに含まれる、各回路ブロッククラスを参照し、その中からリレー構成要素を検出する。また、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、接近鎖錠リレー回路用のリレー回路結線ネットワークデータ生成プログラムの処理に基づき、検出したリレー構成要素に対応するリレー回路の情報をデータベース16から読み取り、それらの結節点の対応付けを行う。そして、連動図表データのオブジェクトデータに含まれる、各回路ブロッククラスから検出した全てのリレー構成要素に基づいて、必要なリレー回路の情報を読み取って、それらの結節点の対応付けを行って、リレー回路結線ネットワークデータを生成していく。
0049
なお、第1軌道回路在線回路ブロックについては、内方進入保持軌道回路に登録されている進路内方第1軌道回路の軌道リレーの落下接点を接続する。より具体的には、図8で示すように、1Rの進路内方軌道回路が21Tであり、軌道リレー1RTRの落下接点を接続している。また、TSSlR自己保持回路ブロックについては、TSSlRの動作接点を接続する。
0050
また、進路外方接近回路ブロックについては、接近鎖錠欄の軌道回路の軌道リレーの動作接点を直列に接続することを基本とする。接近鎖錠欄が複雑な場合や閉そく軌道回路の場合は、接近リレーを作成して、この動作接点を接続する。
また、内方進入検知回路ブロックについては、TSSlRリレーが存在する場合は、この動作接点を接続する。TSSlRリレーが存在しない場合は、進路内方進入検知軌道回路数分の軌道リレーを直列に挿入する。
0051
図13は時素解錠完了回路ブロックのリレー回路結線ネットワークデータの生成例を示す図である。
時素解錠完了回路ブロックについては、時素補助定位リレーの動作接点と鎖錠補助リレーの動作接点を直列に接続する。時素補助定位リレーは、連動表の接近鎖錠欄の時素に相当するリレーを割り当てる。より具体的には、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、図8で示すように、1Rの接近鎖錠の解錠時素は90秒であるので、90TENRの動作接点と、鎖錠補助リレー1RMSlRの動作接点を接続すること示す情報を含む“時素解錠完了回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。
また、ASR自己保持回路ブロックについては、接近鎖錠リレーの動作接点を接続すること示す情報を含む“ASR自己保持回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。
0052
また、時素遮断回路ブロックについては、接近鎖錠リレーの落下接点と、内方進入検知軌道回路数が2軌道の場合に、進路内方第1軌道回路の軌道リレーの動作接点を直列に接続する。より具体的には、図8で示すように、接近鎖錠リレー1RASRの落下接点と、進路内方第1軌道回路の軌道リレー21TPRの動作接点を接続すること示す情報を含む“時素遮断回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。
また、MSlR自己保持回路ブロックについては、接近補助リレーの動作接点を接続すること示す情報を含む“MSlR自己保持回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。
また、時素未動作回路ブロックについては、時素補助反位リレーの動作接点を接続すること示す情報を含む“時素未動作回路ブロック”についてのリレー回路結線ネットワークデータを生成する。時素補助反位リレーは、連動表の接近鎖錠欄の時素に相当するリレーを割り当てる。より具体的には、図8で示すように、1Rの接近鎖錠の解錠時素は90秒であるので、90TERRの動作接点を接続している。
0053
そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、リレー回路決定部13によって決定された全てのリレー回路について、リレー回路結線ネットワークデータの生成が終了したかを判定する(ステップS109)。そしてリレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、全てのリレー回路についてリレー回路結線ネットワークデータの生成が終了していない場合には、ステップS107の処理に移行する。そして、リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、リレー回路決定部13によって決定されたリレー回路のうち、次のリレー回路を選択し、当該リレー回路についてのリレー回路結線ネットワークデータの生成処理を開始する。そして、リレー回路結線ネットワークデータの生成対象となった、“接近鎖錠リレー回路”,“進路てこリレー回路”,“進路鎖錠リレー回路”,“信号制御リレー回路”,“転てつ制御リレー回路”の全てについてリレー回路結線ネットワークデータの生成が終了した場合には処理を終了する。これにより、“接近鎖錠リレー回路”,“進路てこリレー回路”,“進路鎖錠リレー回路”,“信号制御リレー回路”,“転てつ制御リレー回路”内の各回路ブロックについてのリレー回路結線ネットワークデータが結節点によって接続されたことを示すデータ(リレー回路結線ネットワークデータ)が生成されることとなる。当該リレー回路結線ネットワークデータは、データベース16に格納される。
0054
図14はリレー回路結線ネットワークデータの最適化の例を示す図である。
リレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、リレー回路結線ネットワークデータを簡略化するために、共通の回路を統合して最適化するようにしてもよい。リレー回路結線ネットワークデータ生成装置1では、転てつ器の開通方向を表す回路において、共通の転てつ器の開通接点を統合して最適化を行えるようにする。例えば、図14は基本進路開通の回路を示したものであり、左側は標準結線図に従った回路であり、進路てこリレーの直列接点全てが21KNPR接点の並列回路、22KRPRは1RBRと1RCRの並列回路となっている。従ってリレー回路結線ネットワークデータ生成部15は、当該図14で示す左側の標準結線図の一部を、右側のように統合することにより回路を簡略化する。
0055
リレー回路結線ネットワークデータ生成装置1は、生成されたリレー回路結線ネットワークデータを用いて、モニタ等にリレー回路結線ネットワークデータを表示するようにしてもよい。この場合、結線図表示部17が、データベース16からリレー回路結線ネットワークデータを読み込む。そして、結線図表示部17は、リレー回路結線ネットワークデータに含まれる各リレー構成要素について、結節点の対応付けを検出し、当該結節点の対応付けに基づいて、各リレー構成要素のCAD(computer aided design)データを接続してリレー回路結線ネットワークデータ画面を生成する。そして、結線図表示部17は生成したリレー回路結線ネットワークデータ画面をモニタ等に表示する。このとき、結線図表示部17は、各リレー構成要素が重ならないように、また人間が容易に視認できるように、当該リレー構成要素の自動レイアウトを行い、リレー回路結線ネットワークデータ画面を生成するようにしてもよい。
0056
以上、リレー回路結線ネットワークデータ生成装置の処理フローについて説明したが、上述の処理によれば、自動的にリレー回路結線ネットワークデータを作成できるため、リレー回路結線ネットワークデータの手作業での作成時の誤りによりリスクを軽減することができる。また、進路選別リレー回路のように複雑な結線図についても短時間で自動生成することができる。
0057
上述のリレー回路結線ネットワークデータ生成装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
0058
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
0059
1・・・リレー回路結線ネットワークデータ生成装置
11・・・制御部
12・・・連動図表データ入力部
13・・・リレー回路決定部
14・・・補足条件入力部
15・・・リレー回路結線ネットワークデータ生成部
16・・・データベース
17・・・結線図表示部