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課題・解決手段

個別の細胞を分離するのに便利な方法は、それらの内容物のそれぞれの解析を可能とする。目的の細胞をそれぞれ得るための捕捉支持体は、それぞれの細胞に適した大きさにした少なくとも1ウェルを含む第1表面を備え、支持体は、多様な透過性を有する材料が用いられ、溶媒及び任意の低分子量種は支持体の第2表面から支持体を通ってウェルに移動可能だが、実質的にバイオポリマー不透過性である。捕捉された単一細胞の内容物を取り出し、個別の細胞の内容物について、その後、適切な分析成分、例えば固定された核酸プローブ、固定された抗体等を含むチャンバー内で分析する。これにより、単一細胞のゲノムトランスクリプトームプロテオーム等の分析が可能である。

概要

背景

細胞組織生化学的特性解析方法は多く存在する。電気泳動クロマトグラフィー質量分析マイクロアレイ等の方法が、細胞または組織の分子組成物分析するために用いられる。これらの分析の結果は、例えば、病状を示すことができる。多くの場合、分析は、細胞を溶解して、細胞の内容物を取り出した後に内容物、単一細胞を分離することは困難であり、通常の検出方法は単一細胞の内容物を測定するのに十分な感度がないため、通常は多くの細胞を用いることが必要とされる。

しかし、全て同じ状態にある細胞群を含む生物系などめったにみられない:実験過程において人工的に同期した細胞培養物においては、均一に近づけることもできる、自然な状態において、同じ種の細胞でさえ、例えば細胞周期等の異なる段階にあるなど、異なる状態にある。したがって、通常の分析では、従って、分析される細胞の平均値を示すものである。

あらゆる系の状態をより完全に解析するためには、個別の細胞を分析することが有利である。例えば、ヒトにおける多くの疾患状態白血球細胞に変化を誘発し、ホジキンリンパ腫においては、個別のリンパ球遺伝子発現パターンが全体としての集団の代表でないことを示された(非特許文献1)。従って、細胞混合物の分析は、混合物内の異種物を隠し、病状の理解に重要になりえる情報を提供することができない。細胞間の微細であるが重要な多様性は、該方法の欠点のため見逃される。

生物学および医学において、個別の細胞分析が、全体の集団または一部分を分析するよりも実用的なことを示す、多くの実例が存在する。生物の成長および分化を伴う分子変化を解析することが、発生生物学における大きな課題である。

非特許文献2では、単一細胞を研究する際、高感度化学分析技術の使用を説明するため「ケミカルサイトメトリー(chemical cytometry)」という用語がつくりだされ、非特許文献3は、単一細胞分析の基本的な特徴が概説している。非特許文献4は、単一細胞分析のためのマイクロテクノロジーおよびナノテクノロジーを概説している。特許文献1は、単一細胞を分析するためのマイクロ流体装置が記載されている。単一細胞分離装置は、特許文献2,非特許文献5および特許文献3に開示されている。

概要

個別の細胞を分離するのに便利な方法は、それらの内容物のそれぞれの解析を可能とする。目的の細胞をそれぞれ得るための捕捉支持体は、それぞれの細胞に適した大きさにした少なくとも1ウェルを含む第1表面を備え、支持体は、多様な透過性を有する材料が用いられ、溶媒及び任意の低分子量種は支持体の第2表面から支持体を通ってウェルに移動可能だが、実質的にバイオポリマー不透過性である。捕捉された単一細胞の内容物を取り出し、個別の細胞の内容物について、その後、適切な分析成分、例えば固定された核酸プローブ、固定された抗体等を含むチャンバー内で分析する。これにより、単一細胞のゲノムトランスクリプトームプロテオーム等の分析が可能である。

目的

従って、細胞混合物の分析は、混合物内の異種物を隠し、病状の理解に重要になりえる情報を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
5件
牽制数
5件

この技術が所属する分野

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請求項1

対象の細胞を個別に捕捉する捕捉支持体であって、個別の細胞に適合する大きさのウェルを少なくとも1つ有する第1表面を備え、前記支持体には、多様な透過性を有する材料が使用され、低分子量種は、支持体の第2表面から支持体を通ってウェルに移動することが可能だが、実質的にバイオポリマーに対しては不透過性である、捕捉支持体。

請求項2

対象の細胞を個別に捕捉する捕捉支持体であって、直径200μm未満および深さ200μm未満のウェルを少なくとも1つ有する第1表面を備え、前記支持体には、多様な透過性を有する材料が使用され、低分子量種は、支持体の第2表面から支持体を通ってウェル移動することが可能だが、実質的にバイオポリマーに対しては不透過性である、捕捉支持体。

請求項3

少なくとも1つのウェルは、陥凹に包囲された、請求項1または2に記載の捕捉支持体。

請求項4

前記陥凹は、0.1−5μMの深さである、請求項3に記載の捕捉支持体。

請求項5

前記低分子量種は、MW1000Da未満の分子量を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の捕捉支持体。

請求項6

少なくとも1ウェルの表面の少なくとも一部は、細胞または粒子を捕捉する試薬包埋された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の捕捉支持体。

請求項7

少なくとも1ウェルの表面の少なくとも一部は、バイオポリマーの分析を可能とする1つ以上の分析用試薬で包埋された、請求項1〜6のいずれか1項に記載の捕捉支持体。

請求項8

前記捕捉支持体には、透過性ポリマーが用いられている、請求項1〜7のいずれか1項に捕捉支持体。

請求項9

前記透過性ポリマーは、ポリアクリルアミドゲルである、請求項8に記載の捕捉支持体。

請求項10

少なくとも1ウェルは、開口チャネルに交わっているか、接続されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の捕捉支持体。

請求項11

捕捉支持体は、捕捉支持体を組み込んだ容器を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の捕捉支持体。

請求項12

(i)請求項1〜11のいずれか1項に記載の捕捉支持体、および(ii)ウェルの内容物を受けるための蓋を含む、個別の細胞の内容物を分析するための装置。

請求項13

前記蓋の少なくとも一部が、分析用試薬で包埋された、請求項12に記載の装置。

請求項14

前記蓋は、分析用試薬が導入された陥凹を含む、請求項13に記載の装置。

請求項15

請求項1〜11のいずれか1項に記載の捕捉支持体のウェル内の細胞を捕らえる工程;捕らえた細胞が放出しないような1つ以上のチャンバーを形成するために蓋でウェルを密封する工程;細胞の内容物を1つ以上のチャンバーに存在するように取り出す工程;および取り出した内容物と、1つ以上の分析用試料とを、1つ以上のチャンバー内で作用させ、内容物の分析を行う工程、を備える、対象の細胞を分析する方法。

請求項16

請求項1〜11のいずれか1項に記載の捕捉支持体を製造するための鋳型であって、前記鋳型内で固化する材料を受けることができる、鋳型。

請求項17

捕捉支持体を製造する方法であって、a)請求項16に記載の鋳型に、固化可能な材料を導入する工程;b)材料を固化可能な条件下で鋳型をインキュベートする工程;c)鋳型と固化体とを分離する工程を備える方法。

技術分野

0001

本発明は、細胞分析、特に個別の細胞分析に関する分野である。

背景技術

0002

細胞と組織生化学的特性解析方法は多く存在する。電気泳動クロマトグラフィー質量分析マイクロアレイ等の方法が、細胞または組織の分子組成物を分析するために用いられる。これらの分析の結果は、例えば、病状を示すことができる。多くの場合、分析は、細胞を溶解して、細胞の内容物を取り出した後に内容物、単一細胞を分離することは困難であり、通常の検出方法は単一細胞の内容物を測定するのに十分な感度がないため、通常は多くの細胞を用いることが必要とされる。

0003

しかし、全て同じ状態にある細胞群を含む生物系などめったにみられない:実験過程において人工的に同期した細胞培養物においては、均一に近づけることもできる、自然な状態において、同じ種の細胞でさえ、例えば細胞周期等の異なる段階にあるなど、異なる状態にある。したがって、通常の分析では、従って、分析される細胞の平均値を示すものである。

0004

あらゆる系の状態をより完全に解析するためには、個別の細胞を分析することが有利である。例えば、ヒトにおける多くの疾患状態白血球細胞に変化を誘発し、ホジキンリンパ腫においては、個別のリンパ球遺伝子発現パターンが全体としての集団の代表でないことを示された(非特許文献1)。従って、細胞混合物の分析は、混合物内の異種物を隠し、病状の理解に重要になりえる情報を提供することができない。細胞間の微細であるが重要な多様性は、該方法の欠点のため見逃される。

0005

生物学および医学において、個別の細胞分析が、全体の集団または一部分を分析するよりも実用的なことを示す、多くの実例が存在する。生物の成長および分化を伴う分子変化を解析することが、発生生物学における大きな課題である。

0006

非特許文献2では、単一細胞を研究する際、高感度化学分析技術の使用を説明するため「ケミカルサイトメトリー(chemical cytometry)」という用語がつくりだされ、非特許文献3は、単一細胞分析の基本的な特徴が概説している。非特許文献4は、単一細胞分析のためのマイクロテクノロジーおよびナノテクノロジーを概説している。特許文献1は、単一細胞を分析するためのマイクロ流体装置が記載されている。単一細胞分離装置は、特許文献2,非特許文献5および特許文献3に開示されている。

0007

米国特許第6,524,456号明細書
米国特許第6,538,810号明細書
国際公開第2006/117541号
国際公開第2008/056160号
米国特許第6,420,105号明細書
国際公開第2006080000号

先行技術

0008

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発明が解決しようとする課題

0009

個別の細胞、特にそれらのゲノムトランスクリプトームおよびプロテオームを分析するための、さらに改良された装置および工程を提供することが、本発明の課題である。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、一般的に、それら内容物それぞれの分析を可能とする装置において、それぞれの細胞を分離するための便利な方法を提供する。単一細胞を捕捉して、それらの内容物を取り出し、個別の細胞の内容物を適切な分析成分、例えば固定された核酸プローブ、固定された抗体等を含むチャンバー内で分析した。これにより、単一細胞のゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム等の分析が可能となった。尚、同じ装置内に複数のチャンバーを配置することによって、複数の細胞を同時に処理し、並行して分析することができ、集団中のそれぞれの細胞を迅速且つ容易に比較することができる。

0011

本発明は、個別の細胞に対応する大きさのウェルを少なくとも1つ含む第1表面を備え、特異的な透過性を有する透過性物質、すなわち、溶媒およびあらゆる低分子量種支持体の第2表面から支持体を通ってウェルに移動できるが、実質的にバイオポリマーは透過できない透過性物質を支持体に用いた、解析対象の細胞をそれぞれ捕らえるための捕捉支持体を提供する。

0012

使用の際、細胞を捕捉支持体に投入し、ウェル中に捕捉する。細胞は、そのままウェルに入れ、支持体を蓋に取り付け、ウェルを密封してチャンバーを形成するまで、そのままの状態にしておく。一旦、チャンバー内に入れておくと、細胞は外に飛び出ない。その後、細胞をチャンバー内で溶解し、取り出された細胞性バイオポリマーをチャンバー内に保持する。

0013

このように、本発明は、捕捉支持体と、ウェルの内容物を受けるための蓋とを含む、それぞれの細胞の内容物を分析するための装置を提供する。

0014

好ましい実施形態において、複数のウェルを密封する蓋を取り付けた後、複数の細胞の内容物を別途並行して分析することができるように、捕捉支持体は、複数のウェルを有するものとする。異なる細胞に並行して同一の分析をそれぞれ実行することは、特に有利であり、同じ名称の細胞において、差異を容易に検出することができる。他の実施形態において、個別の細胞の内容物と、それぞれ異なるセットの分析成分を作用させ、個別の細胞間で実施する分析内容を異なるものとする。

0015

単一細胞を捕捉することが、好適な装置の使用であるが、他の分析も可能である。例えば、細胞スフェロイド胚盤胞等、1ウェルに単一を超える数の細胞を捕らえることが要求されてもよい。好ましくは、10未満の細胞、例えば9,8,7,6,5,4,3または2細胞を、1ウェル中で捕捉する。

0016

他の非細胞性粒子の分析も可能である。この場合、本発明は、少なくとも1つの直径200μm未満および深さ200μm未満、例えば直径および深さ150μm未満、100μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満または10μm未満のウェルを含む第1表面を備えた、粒子をそれぞれ捕らえるための捕捉支持体を提供する。前記支持体としては、溶媒およびあらゆる低分子量種は支持体の第2表面から支持体を通ってウェルに移動可能であるが、実質的にバイオポリマーは浸透できない、特異的な浸透性を有する透過性物質を用いた。得られた粒子は、通常、細胞、細胞小器官(例えばミトコンドリア葉緑体等)、リポソームウイルスまたは機能性ビーズである。従って、下記の捕捉支持体に細胞を捕捉して分析するための数々の特徴および方法は、捕捉支持体に粒子を捕捉して分析するためにも適切である。ある実施形態において、捕捉支持体は、1ウェル中に複数の粒子を捕らえることができる。前記の複数の粒子は、例えば細胞群のような、同じ種の多くの粒子を含むことができる。或いは、異なる種の粒子、例えば1ウェル中に細胞および機能性ビーズを捕捉してもよい。この場合、ビーズは、下流分析の対象とすることができる。

0017

捕捉支持体は、既知の位置、即ち捕捉支持体の第1表面上のウェルの位置に粒子を配置することができる。捕捉支持体は、あらゆる下流分析を実施できる既知の空間的配置を提供する。

0018

本発明は、前記に規定するような捕捉支持体の表面上のウェル内の粒子を捕捉する工程;補足した細胞が飛び出ないように、ウェルを密封できる蓋でウェルを密封して、1つ以上のチャンバーを形成する工程;細胞の内容物をチャンバー内から出ないように取り出す工程;および取り出した内容物を1つ以上の分析用試料と前記チャンバー内で作用させ、内容物の分析を可能とする工程を含む、1つ以上の粒子(例えば細胞)を分析するための工程を提供する。

0019

本発明の範囲内において、他の分析をするために他の装置を使用してもよい。例えば、他の粒子(例えば細胞型)は、異なる寸法の装置を要する場合もある。同じ細胞型の他の分析は、他の分析成分、例えばトランスクリプトーム分析に対してはプロテオーム分析、また、細胞シグナリング分析に対しては細胞周期分析を使用することができる。さらに、下記に詳細に記載するように、1チャンバー内で様々な細胞成分を分析する装置と比較して、1チャンバー内で単一細胞成分のみを分析する装置は、異なる寸法および/またはデザイン、並びに、異なる分析成分の配置を有する。

0020

さらに、装置は、事前の実験データに基づいて設計することができ、事前の実験に従って、別の方法で使用してもよい。例えば、装置が最初の実験で実用的なデータを認めない場合、捕捉支持体材料の種類、実施温度、分析成分の種類、寸法等は、次の実験において変更することができる。本明細書に記載するような別の実験は、このように望ましい分析に従って、別の特徴を使用することができる。或いは、設計上の特徴を最適化するために、数学的または解析的なシミュレーションを行ってもよい。例えば、ランダムウォーク・シミュレーションは、分子核酸状態を評価できることが周知であり、これを用いて、装置の性能に関する様々な特徴を評価できる。

0021

本発明の捕捉支持体は、様々な方法に用いることができる。ある方法では、支持体に用いられている物質は、鋳型流し込むことによって成型することができる。鋳型の形は、望ましい捕捉支持体の反転型またはネガ型である。鋳型の設計は、前記捕捉支持体の製造を可能とする。よって、本発明は、捕捉支持体を製造するための鋳型を提供し、該鋳型は、鋳型内に固化する物質を受けることができる。

0022

本発明は、捕捉支持体を製造するための方法において、
a)捕捉支持体の鋳型に固化可能な物質を添加する工程;
b)物質の固化が可能な条件下で鋳型をインキュベートする工程;
c)鋳型と固化物質とを分離する工程
を含む前記方法も提供する。

0023

<捕捉支持体>
捕捉支持体は、溶媒および低分子量種は支持体を通って移動できるが、目的のバイオポリマーは浸透できない物質が用いられ、支持体の表面上に1つ以上のウェルを含む。

0024

通常、細胞の捕捉支持体は、標準設備に合うような寸法である。例えば、捕捉支持体は、顕微鏡スライドまたは96ウェルマイクロタイタープレートと同じ位の寸法とすることができる。捕捉支持体は機能性を有していてもよく、そのウェルは、下流工程に用いる試薬を含んでいてもよい。

0025

<ウェル>
捕捉支持体は、1つ以上のウェルを含む。ウェルは、単一細胞のみを捕捉するように配置されていることが好ましい。これは、通常は、ウェルが常に目的の単一細胞のみを収容することができるような寸法とすることによって達成される。支持体の表面上のウェルは、捕捉支持体の表面上のピット、穴、または窪みである。ウェルは、使用の際、捕捉支持体において、外界との接触がなされる窪みである。前記接触は、粒子がそれを得ることができるウェルに導入することを可能とする。ウェルは密封してもよく、(例えば蓋を追加して)密封した場合、粒子がそのままではチャンバーから出ないようにするためのチャンバーが形成される。一般的に、ウェルとしたい部位から部材が除かれるように設計された型を用いて製造される。或いは、ウェルは、表面物質切削、例えばレーザー切削によってできる。更なる方法としては、ウェットケミカルエッチング等方性および異方性)、エレクトロケミカルエッチングウェットフォトエッチングドライケミカルエッチング、スパッタエッチングイオンミリング反応性イオンエッチングおよび深掘り反応性イオン・エッチング(DRIE)、x−線深掘りエッチリソグラフィーおよびエレクトロフォーミング別称LIGA)、気相エッチング(XeF2を用いる)、集束イオンビーム加工レーザー加工超音波ドリル放電加工機械掘削、加工、破砕ホーニングラッピング、切断;熱エンボス加工射出成形マイクロ熱成形、および鋳造(概説については非特許文献6を参考)が挙げられる。

0026

さらに、ウェル表面の少なくとも一部は、細胞等の粒子を捕捉するのに役立つ試薬、例えば特異的な細胞表面マーカーへの抗体で包埋してもよい。それぞれのウェル内の捕捉試薬は、同じとしてもよい。或いは、捕捉支持体の別のウェルには、別の捕捉試薬を導入してもよいこの場合、複数のウェル中で、別のウェルは、それらが別の粒子種を捕捉するように適応させてもよい。前記の適応は、例えば血液またはリンパ液のように、複数の細胞種を自然状態で含有する細胞懸濁液中で、異なる細胞を捕捉するのに有用である。この適応は、異なる細胞種を捕捉するためのウェルの寸法の差異を補完するために使用してもよい。この場合、より浅いウェルの使用が、より好適に使用できるであろう。

0027

通常、ウェルは、表面に平行な平らな底面と垂直な側面を有し、実質的には円筒形である。捕捉支持体の表面には、他の形状のウェルを使用してもよい。円筒形のウェルは、円形横断面を有する。N角の他の形の横断面を有するウェルでありN角形(Nは1,2,3,4,5,6等)の他の横断面を本発明の範囲に含められる。ウェルは、ウェルの底面から捕捉支持体の表面までにその直径を段階的に大きくしてもよい。ウェルの底面は、表面に平行でない配置としてもよい。ウェルの底面は、曲面でもよい。ウェルは、円錐の広い底面が捕捉支持体の表面に開口している円錐形としてもよい。

0028

捕捉支持体は、通常、複数のウェルを含む。例えば、捕捉支持体に含まれるウェルの数は、10超、50超、100超、500超、1,000超、5,000超、10,000超、50,000超、100,000超、500,000超、または1,000,000超とすることができる。

0029

複数のウェルを含む捕捉支持体において、ウェルが実質的に互いに同じ寸法を有することが好ましい。一定範囲の異なる細胞種を、単一の捕捉支持体で捕捉する場合は、多様な寸法のウェルを用いてもよい。

0030

複数のウェルが、規則的な繰り返し配列として配置されていることが好ましい。ウェルは、行または列として配列してもよく、この場合、行は列に垂直とする(例えば図4を参考)。或いは、ウェルはより隙間なく、例えば、六角形の配列で密集させてもよい。

0031

ウェルの寸法の設計は、それぞれのウェルが、1画分を確保できるようにする。ウェルは、分析する粒子に適合する大きさにする必要がある。捕捉支持体の適切な寸法について、さらに以下に記載する。

0032

蓋が捕捉支持体に取り付けられた場合、粒子は、ウェルおよび蓋から形成される円筒形チャンバー内に密封され、そこで分析される。ウェルを含む捕捉支持体の断面図は図3に、かかるウェル内に得られた細胞像を図4に示す。中心間距離は、所望の配列が要する密集度に応じて変更させてもよい。いずれにせよ、F>Cである。

0033

ウェルは、捕捉支持体の表面で陥凹に包囲されており、蓋で密封したとき、形成されたチャンバーは、ウェルおよび陥凹の双方を含む。図5は、このタイプのウェルを示し、図6は、かかるウェル内に得られた細胞像を示す。図5は、円形の陥凹を示しているが、他の形の陥凹として、例えば前記に詳細に説明するようなN角のウェルを用いてもよい。図5が、ウェルと同心円の陥凹を示しているが、かならずしもこの配置である必要はない。密封したときのウェルのフットプリント(footprint)は、ウェルの断面積と同じであるが、陥凹の付加はフットプリントが陥凹も含んでいることを意味する。

0034

陥凹に包囲されているウェルを蓋で密封すると、形成されたチャンバー内に含まれる蓋の面積は、陥凹の断面積と同じとなる。従って、蓋と陥凹のあるウェルから形成されたチャンバーにおいて、陥凹のないウェルから形成されたチャンバーと比較して、より広い面積がチャンバー内に含まれる。この形状のウェルによる横断面を図5に示す。当該図における寸法BおよびCが、ウェルの大きさを決定する。寸法Aは、蓋上のフットプリントを決定する。寸法Dは、陥凹の深さを決定する。前記のように、ウェルの中心間距離は、所望の配列応じて変更することができる。ここで、中心間距離は、フットプリントの直径を越えている必要がある(図5のA)。

0035

前述のように、捕捉支持体に含まれるウェルの中心間距離は、ウェルの寸法および所望の配列密集度に応じて異なる。例えば、中心間距離は、500μm未満、300μm未満、250μm未満、200μm未満、150μm未満、100μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満または20μm未満とすることができるが、常にウェルの直径を超える。

0036

図5に示すように、捕捉支持体における陥凹の底面は、捕捉支持体の表面に平行である必要はない。例えば、陥凹は、捕捉支持体とウェルの壁を接続する単一の表面を有するを形成するように斜めとしてもよい。同様に、陥凹の側面が曲線を描くようにし、例えば凹面または凸面としてもよい。他の変形例も明白である。

0037

1つの実施形態において、捕捉支持体上のウェルの表面の少なくとも一部は、1つ以上の分析用試薬被覆されており、該分析用試薬は、チャンバー内に入れられた後、バイオポリマーの分析を可能とするものである。分析用試薬は、ウェルの底面、ウェルの側面またはウェルを包囲する陥凹の表面に導入することができる。陥凹の表面は、複数の分析成分を含むことができる。ウェルの表面上に導入することができる潜在的な分析成分を以下に記載する。オリゴヌクレオチドを機能性ポリアクリルアミド支持体に結合させる方法は、非特許文献7に詳述されている。

0038

ウェルは、処理用試薬、例えば、凍結乾燥された酵素、加熱によって活性化された酵素、リポソーム含有試薬を含んでいてもよい。リポソームは、例えばレーザーもしくはデタージェント溶液の添加によって、実験の多様な段階で、必要に応じて溶解可能である。あらゆるリポソームの溶解時間は、実施される実験に適するように調整することができる。例えば、リポソームは、チャンバー内に存在する細胞を溶解する試薬を投入してから、溶解させてもよい。或いは、リポソームは、細胞溶解と同時に溶解させてもよい。さらに、リポソームは、細胞溶解後に溶解させてもよく、これにより、例えばDNaseもしくはプロテアーゼ等の、粒子から放出された成分の処理に適切な試薬、または他の下流の工程に使用するための試薬を取り出してもよい。

0039

<材料>
捕捉支持体の製造に適切な材料は周知である。捕捉支持体を製造するために使用される材料は、分析時に粒子(例えば細胞)に不浸透性透過性でなければならない。材料は、粒子から取り出されるか、細胞溶解によって取り出されるバイオポリマーに実質的に不浸透性でなければならない。これらのバイオポリマーとしては、RNA(mRNArRNAおよびmiRNA)、DNA、ポリペプチドおよび/または多糖類が挙げられる。細胞成分は、長時間に亘って、例えば1日以上に亘って、捕捉支持体材料を通って徐々に透過することができるが、細胞および分析成分が作用しているとき、この透過は制限される。材料は、試薬が支持体を経て移動することができるように、溶液中の捕捉支持体の表面に適用される低分子量試薬のあらゆる溶液と親和性を有するべきである。多様な透過率は、バイオポリマーが、細胞溶解に応じて材料を通過して移動することができず、ウェル間コンタミネーション(即ちウェル間の漏れ)が生じ得ないことを確実にする。

0040

透過性の制限は、捕捉支持体物質の適切な設計によって変更することができる。従って、捕捉支持体は、用いられた詳細な実験工程を調整することができる。例えば、アクリルアミドゲルの捕捉支持体において、捕捉支持体中のアクリルアミド量(%)を変更することができる。アクリルアミド濃度を高くすると、支持体の透過性のカットオフ値が低くなり、一方、アクリルアミドの濃度を低くすれば、より高い分子量の分子の支持体の透過移動を可能とする。このように、物質を選択することができ、例えば小分子RNA(例えばmiRNA)は、いずれかの支持体を透過移動させるか、または、残存させることができる。

0041

支持体は、MW1000Da未満の低分子量種の移動を可能とするが、捕捉された粒子およびmRNAが透過できないものとなろう。前記のように、物質は、異なる分子種を保持するように調製してもよい。従って、いくつかの実施形態において、透過性の上限を、1000Daより高くしてもよく、例えば2000Da,3000Da,4000Da,5000Da,6000Da,7000Da,8000Da,9000Da,10000Daまたは10000Da超としてもよい。支持体の透過性を高めることで、バイオポリマーがいくらかは支持体を通って移動可能となる。例えば、〜3500Daを超える透過性上限を有する支持体において、30merペプチドが、支持体を通って移動可能である。透過性の上限が、〜6000Daを超える場合、20merのmiRNAが、支持体を通って移動可能である。〜12500Daを超える上限を有する捕捉支持体において、小タンパク質、例えばシトクロムcは、支持体を通って移動可能である。透過性の上限は、目的のバイオポリマーに応じて選択することができる。

0042

溶解試薬が、捕捉支持体のウェルから形成されるチャンバー内で捕捉した細胞を溶解するために溶解試薬を使用する場合、材料を溶解試薬に対して透過性のものとし、溶解試薬が支持体を通ってウェルに供給される表面から移動できるようにするべきである。同様に、低分子量の分析用試薬または処理用試薬等の他の試薬、例えば分析用染料蛍光または発色基質は、捕捉支持体の表面に投入してもよく、材料は、同様にこれらの試薬に透過性とするべきである。尚、材料は、分析結果に影響を与えるものであってはならない。材料は、望ましくない機構で粒子、バイオポリマーまたは試薬と作用するものであってはならなく、例えば成分は、材料に非特異的に結合してはならない。また、製造された加工物としての支持体に残存する未処理化合物は、あらゆる溶解工程および分析に影響を与えないように、材料から浸出しないようにすべきである。好ましくは、捕捉支持体としては、透過性ポリマー、例えばポリアクリルアミドゲルが用いられる。或いは、変性アクリルアミド、例えばメチルアクリルアミドモノマーからできている他のポリマーを使用することができる。アクリルアミド骨格への修飾は、物質の特徴、例えば疎水性親水性もしくは電荷を変えることができるか、または、その結果としての試薬の固定を、最終生成物における機能部位の数を上昇することによって、促進することができる。かかる修飾は、細胞、細胞成分または試薬が、分析に影響を与えるような捕捉支持体への付着を防止するために、装置の利用に応じて行われることが好ましい。他の材料も、それらが溶解および分析の間に使用されるあらゆる試薬対して、透過性であれば、使用可能である。具体的な材料としては、アガロースおよびポリアクリルアミドゲル、ポリビニル酢酸ポリスチレン、ポリビニル(カルバゾール)、ポリメチルメタクリレート)、ポリイソプチレンポリアクリレートポリイソプレンポリブタジエン共重合体もしくはこれらの組み合わせ、または透過性シリコンゲルを含有する親水性および液体透過性ポリマーが挙げられる。

0043

材料としては、ポリ塩化ビニルテフロン登録商標)または他のフッ素重合体ポリスルホンナイロンポリカーボネートポリフッ化ビニリデンポリアミドポリエステルアセチルセルロースおよびニトロセルロースから形成される繊維も使用可能であるが、非繊維材料の使用がより好ましい。

0044

<寸法>
捕捉支持体は、1つ以上の蓋を受ける必要がある。装置を大きくするは、利点および欠点の両方を有する。例えばアクリルアミドのようなポリマーから製造される場合、薄い捕捉支持体は、もろく裂けるおそれがある。ウェルが配置されている第1表面および支持体を通って移動する液体が適用される第2表面の間の距離を大きくすることで、支持体を大きくすることができる。距離の増大は、支持体を通って移動する液体の移動時間延長に相当する。理想的には、捕捉支持体は、深さ500−1000μmである。液体が移動する深さ、およびそれに応じる時間は、しばしば、実験的に重要な結果をもたらす。例えば、使用時において、細胞が、代謝的活性を保持している場合、溶解前のウェル中の細胞のより長い保持時間により、関連する細胞成分の分解に使用する、例えばRNaseまたはプロテアーゼのような細胞酵素のウィンドウをより大きくする。従って、捕捉支持体の厚さは、溶解試薬を用いる実施形態において、捕捉してから溶解までの間にかかる時間を決定する。この場合、薄い支持体は、あらゆる溶解試薬が、支持体を通って移動するためにかかる時間が短いため、好ましい。捕捉支持体をより薄くすることで、その支持体を通過する試薬の移動をより速くするができ、一方、薄い捕捉支持体は強度が低く、使用時に壊れやすいため、バランスが保たれなければならない。

0045

しかしながら、いくつかの実施形態において、捕捉支持体の厚さの影響は、さほど関係しないともいえる。以下に詳細に記載するように、捕捉支持体によって得られた粒子は、試薬(例えばメタノール)の適用によって失活するか、固定されるため、細胞は、もはや代謝活性を有さない。例えば細胞RNase、DNase、プロテアーゼのような細胞酵素の不活性化によって、目的の細胞性バイオポリマーは、捕捉してから溶解されるまでの時間に、もはやあまり影響を受けない。このように試薬は、支持体を通って移動する時間がより長い場合、支持体は、耐久性があり、より強い捕捉支持体を使用することができる。

0046

捕捉支持体内のウェルの寸法は、粒子を捕らえるのに適した設計とする必要がある。例えば、それぞれの哺乳類細胞(直径10−15μm)を捕らえるための捕捉支持体としては、図3に示すように、深さは、通常は細胞の直径(B=15−30μm)の1.5〜2倍とし、ウェル直径は、通常は細胞の直径(C=12−20μm)の1.2〜1.333倍とする。

0047

複数の粒子を捕らえることが望ましい場合、異なる複数の粒子径、例えば捕らえられた粒子径の2,3,4,5倍以上の深さおよび直径とする。

0048

ウェルを包囲する陥凹の深さは、理想的には、分析される細胞種の直径より小さく、好ましくは、分析される粒子径の半分未満とする。好ましくは、陥凹は、深さ約0.1−5μmであり、例えば、好ましくは、深さ約1−4μmまたは深さ2−3μmとする。陥凹の深さを上記のようにする主な理由は、それが細胞が重なって入らない程度に十分浅くし、陥凹内のあらゆる細胞は、洗浄で容易に取り除けるようにするためである。陥凹の直径は、ウェルのものより特に長くして、例えばウェルの直径を、数十μmオーダーとした場合、数百μmオーダーとすることができる。好ましくは、直径は、約50−500μmとする。

0049

任意の陥凹の直径の上限は、溶解後、細胞成分がチャンバーを通って拡散するためにかかる時間応じて設定される。陥凹の相対的寸法(直径:深さの比率)は、捕捉支持体の使用時、即ち逆さにしているとき、陥凹そのものが崩れないようにする。この比率は、捕捉支持体の製造に使用する材料の強度によって異なるが、通常、直径:深さの比率が10000:1未満、例えば5000:1未満、1000:1未満、500:1未満または100:1未満である。陥凹の直径を小さくすれば、分析成分がそれを透過してより早く拡散することができ、一方、陥凹の直径を大きくすれば、より多くの分析成分を、チャンバー内に取り入れることできる。

0050

ウェルの中心間距離(図3におけるFの長さ)についても、慎重に検討する必要がある。捕捉支持体および蓋から形成される個別のチャンバーのバイオポリマー中身は、連通していない。中心間距離を長くすることによって、連通の遮断を確実にすることができる。この距離の上限は、使用における可能な限り最大の細胞数が、捕捉支持体に得られるような望ましいウェル密度の高い配列を提供することによって決定される。中心間距離は、ウェルの直径に密接に関連している。直径≧中心間距離が成り立つ場合、ウェルは連通してしまう。従って、中心間距離が、ウェルの直径と比較してより長く、例えばウェルの直径より2×、5×、10×または10×以上であることが好ましい。陥凹を含むそれらのウェルにおける中心間距離は、陥凹の直径と比較して、より長くする必要がある。

0051

本発明の装置の構成要素の寸法および配置は、その装置が実施する分析の内容によって異なる。

0052

複数の個別の粒子、例えば細胞からの単一の細胞成分の分析(即ち1つのmRNA転写産物または1つのタンパク質)に関して、好ましい装置は、捕捉支持体上の第1表面に、直径および深さが分析の際の細胞種の直径の2倍未満の複数のウェルを有し、かつ、ウェルフットプリントより著しく大きい蓋上に分析成分(例えば捕捉プローブ)のパッチを有する。これらの相対的な配置を図7に示す。これにより、同じ細胞成分について、複数の細胞を用いて容易に調査することができる。例えば、直径20μm、中心間距離30μm、長方形の配列に配置された10,000超のウェルを3mm直径の分析成分パッチ上に配置することができる。他のウェルの配置、例えば円の配置には最適な六角形配列を用いることで、より高い密度とすることもできる。

0053

個別の粒子、例えば細胞からの複数の細胞成分、例えば数々の異なるmRNAの転写産物、またはmRNAおよびタンパク質の双方、の分析において、相対的に異なるチャンバーの配列を用いることができる。この場合、分析成分のパッチは、捕捉支持体ウェルのフットプリントより著しく小さい。本発明の特に好ましいこの実施形態は、溶解物中の細胞成分が、分析中、より広範囲に拡散することを可能とする陥凹に包囲されたウェルである。これは、同様に多くの数の分析成分が、チャンバー内に入れられた蓋の面積に導入することができるため、より多く数の単一細胞から分析される細胞成分を可能とする。例えば、10,000超の特徴ある直径5μm、中心間距離7.5μm、長方形の配列に配置された捕捉プローブは、直径500μmの円形陥凹に包囲されたウェルに覆われている。この実施形態に用いられる相対的な寸法は、従って、単一細胞からの溶解物を様々な溶解試薬に適用することができることを意味する。この配置は、図8に概略的に示す。図8は、分析要素長方形格子を示しているが、より高いウェル密度とするために、他のパターンを用いてもよい。この実施形態において、ウェルのフットプリント内の全ての分析成分は、他のウェルと同じである。或いは、分析成分に差異が存在し得る。

0054

<チャンバー>
捕捉支持体および蓋を取り付けることによって形成されるチャンバーは、様々な形を有することができる。チャンバーの形は、主に捕捉支持体内のウェルの成形の形による。チャンバーは、ウェルおよび蓋の表面から形成される。チャンバーに組み込まれた蓋の表面積は、ウェルの開口末端を包囲した場合、陥凹を含むウェルの開口末端の大きさ(断面積)によって決定することができる。

0055

捕捉支持体および蓋から形成されるチャンバーは、粒子、例えば細胞、細胞小胞官、ウイルスまたはビーズを、そこから飛び出ないようにする必要がある。さらに、チャンバーは、実質的に、チャンバー内に放出される成分に対して透過性である。

0056

チャネル
複数のバイオポリマーの分析に関する他の実施形態において、捕捉支持体および蓋を取り付けることによって形成されるチャンバーは、チャネル(配管)としてもよい(図9および10)。この実施形態において、捕捉支持体の第1表面は、少なくとも1の蓋に組み込んだときに密封される開口チャネルに交わっているか、接続されているウェルを含む。捕捉する際、粒子がチャネル内で捕捉されないよう、チャネルは、その幅および/または深さが分析される粒子の直径未満であるように設計するべきである。この実施形態において、ウェルは、チャネルと交わっているか、接続されており、捕捉支持体および蓋を取り付けて一旦チャンバーが形成されると、個別の粒子は、ウェル内に捕捉される。ウェルは、チャネルの一部を含んでいてもよく、チャネルに沿った任意の位置、例えばチャネルのいずれかの末端、好ましくはチャネル両末端の間の任意の位置に設置することができる。或いは、ウェルはチャネルの側面に設置してもよい。好ましくは、ウェルは、チャネル末端の間に設置される。蓋で形成されるチャネルの側面は、所望の分析に適した分析成分を含むことができる。バイオポリマー、例えば細胞溶解後に放出されるものは、チャネルに沿って移動させることができる。

0057

チャネルを含む装置において、分析チャネルの寸法は、装置の性能に重要な影響を及ぼし得る。寸法は、粒子の侵入の防止のみならず、粒子から放出される分子が、チャネル内の分析成分と接触するまで拡散すべき距離の短縮においても重要である。

0058

複数のチャネルは、互いに実質的に同一とすることで(例えば寸法、物質、分析成分等)、使用の際、異なるチャネル内の細胞が、互いに実質的に同じ処理および分析において別々の対象とされて、結果を直接的に比較することが可能である。チャネルは、互いに並行している。しかしながら、他の配置において、チャネルは、中心点から放射状に広がっている。中心点から異なる方向に伸長している並行のチャネル配列も可能である。しかしながら、物質の導電学的な移動を容易に達成するため、チャネルが同じ方向に渡っている配列が好ましい。

0059

電気浸透を、チャネル沿いに物質を移動させる使用する場合、チャネルの一部は、使用の際、適度に電荷された表面を有する。電荷の極性および大きさは、ある特定の分析に望ましい移動方向および速度に応じて選択することができる。極性は、あらゆる表面に取り付けられた物質(例えば固定された核酸)、あらゆる表面への修飾および目的のバイオポリマー上にチャネルを作るために使用する物質に内在する。当業者は、必要に応じて、これらの条件を選択することができ、適切な条件は、経験的に決定することができる。

0060

複数の粒子を分析するための複数のチャネルを有する装置において、使用の際、粒子が実質的に同じ処理および分析の対象とされ、直接的な結果の比較を可能とするような互いに実質的に同一のチャネル(例えば寸法、物質、固定された試薬等に関して)を有することが好ましい。全ての分析チャネルが、実質的に同一であることが好ましい。

0061

本発明のいくつかの実施形態において、個別のチャンバーは、2以上のウェルから延長したチャネルを有していてもよい。さらに、チャネルは2以上のサブチャネル分岐させてもよい。細胞内容物は、それぞれのチャネルまたはサブチャネル内に移動させてもよい。個々のチャネルまたはサブチャネルは、他のものと実質的に同じ物質を受けるように配置することができるか、または、異なる細胞内容物は、異なる分岐、例えば1つ下の分岐のmRNAおよびもう1つ下のDNA、または1つ下の正電荷タンパク質およびもう1つ下の負電荷のタンパク質に導くことができる。

0062

また、好ましいのは、バイオポリマーおよび捕捉試薬間の相互作用の可能性を恒常化するためのさらなる経路を提供する蛇行チャネルである。ここでは、チャネルを経た単一の経路に、バイオポリマーが、所定の捕捉試薬に亘って複数の道を提供することができる。蛇行チャネルの利点は、特許文献4に記載されている。

0063

他のチャネルの配列範囲は、特許文献3および4に開示されている。さらなる変形物が開示されている。

0064

<支持体を透過する液体の移動>
液体、例えば溶媒は、様々な方法によって支持体を通って移動することができる。移動は受動的、例えば拡散、浸透、毛細管作用または重力の効果によるものがあり得る。容器から支持体を通して水をくみとるために、ウィッキングを使用してもよい。或いは、例えばポンプまたは動電学的方法のような、能動的な移動としてもよい。

0065

溶媒は、溶液中における例えば溶解物、処理用試薬および/または分析用試薬中に低分子量の試薬を含む。支持体を経た溶媒の移動は、これら試薬を液流として移動すべきである。試薬が電荷を有する場合、それらは、電界の適用によって、支持体を透過して移動することができる。かかる電界は、捕捉支持体付近に配置された電極からであってもよく、例えば図13に示す金メッキされたスライドは、試薬、粒子(例えば細胞)または細胞成分の移動を誘発するための電極に使用することができる。

0066

<蓋>
蓋は、本発明の装置において数々の機能を果たすことができる。それは、単純に捕捉支持体上の1つ以上のウェルを密封することができ、また、それは下流の工程でバイオポリマーを受けることができるか、バイオポリマーの分析を供給することができる。通常、蓋の少なくとも一部は、分析用試薬で包埋することができる。

0067

蓋の主な機能は、チャンバーを形成するため、ウェルを効果的に密封することである。その際、蓋は、ウェルの内容物を受けることができると同時に、空間的配置およびウェルの分離およびウェルの内容物の保持を行うことができる。蓋の単純な形状としては、スライドガラスまたはプラスチック膜とすることができる。或いは、蓋は、機能的とすることができる。好ましくは、蓋は、マイクロアレイスライドである。マイクロアレイスライドは、当業者に周知の様々な形状とすることができる。

0068

蓋の材料の選択は、数々の設計上の問題に影響され、適切な材料は、特定の装置の必要に応じて当業者が容易に選択することができる。例えば、材料は、微細加工に適したもので、細胞操作分析に使用する試薬に対して安定であり、細胞および分子を観測し、測定するための使用方法において互換性を有するべきである。通常は、溶解および分析の際、使用される試薬に対して透過性のある材料が、蓋に使用される。ある適用例においては、物質の表面に共有結合によって試薬を結合する必要がある。また、ある適用例においては、硬質物質が望ましく;他の適用例においては、柔軟物質を要する。蛍光を検出に使用する場合、材料は、用いられる蛍光色素励起および発光波長により、低い内因蛍光を発するべきである。蛍光が、組み立てられた装置内のその場での(in situ)検出に使用される場合、材料は、用いられる蛍光色素の励起および発光波長を透過すべきである。化学発光が使用される場合も、同様の基準が適用される。電気浸透が、材料を装置内で移動させる場合、材料は使用の際、電荷されているか、電荷を有しているべきである。例えば、当業者は、それらを適切なシラン試薬誘導化することによって、シリコンガラスおよびPDMSの表面上に正電荷または負電荷を与えることを選択することができる。照射エバネセント波を(全内部反射によって)伝播することができる材料は、一定の検出技術への使用には好適である。

0069

蓋として適切な材料、およびその製造法は、周知である。微細加工方法に長年使用されてきた、シリコンやガラス等の硬質物質を使用することができる。従って、本発明の装置の蓋は、シリコン酸化物、ポリマー、陶器、金属等およびそれらの混合物といった多様な材料から製造可能であるが、これらに限定されるものではない。使用可能な物質としては、:ガラス;ポリエチレン;PDMS;ポリプロピレン;およびシリコンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。PDMSは、特に有用な材料であり、装置は、成型、射出成形またはUV設計および硬化によって製造することができる。

0070

或いは、蓋は薄い柔軟層、例えばLDPEもしくはPVdC等を用いられたプラスチック膜またはニトロセルロース膜としてもよい。

0071

ある実施形態において、蓋は金メッキされたスライドとしてもよい。ここで、チオール修飾された成分を、蓋の表面に結合させてもよく、一方、金メッキは、分析部が電極として機能することを可能とする。

0072

他の実施形態において、蓋は、インジウムスズ酸化物(ITO)被覆スライドとしてもよい。

0073

いくつかの実施形態において、蓋は分析用試薬が導入される陥凹に組み込むこともできる。使用の際、蓋は、ウェルに捕捉された粒子の溶解によって取り出された内容物が蓋の陥凹に受けられるように、ウェルを密封するために使用される。これは、チャンバー内に複数の分析成分を導入することを可能とする蓋および捕捉支持体の他の配置を提供する。多様な形状の蓋および捕捉支持体成分から形成される、これらの実施形態のチャンバーは、陥凹に包囲されるウェルから形成されるチャンバーに関して、上で詳述するような特徴および利点を有する。

0074

蓋および捕捉支持体の配置に必要とされる精度は、蓋上の捕捉支持体および陥凹のウェルの大きさ、および敷き詰められた密度の双方に依存する。ウェルが陥凹上に被ることを確保できるような高精度の配置を行わない限り、蓋上の陥凹の端から端までの距離は、捕捉支持体上のウェルの直径より大きくすることが好ましい。低い密度のウェルおよび陥凹を配列する場合は、高い密度の配列より不整合の生じる可能性が低いため、それらの配列に高い精度は必要とされない。同様に、ウェルの倍の直径、例えば5×、10×、15×、20×、25×の直径を有する陥凹を含むこれらの実施形態は、低い陥凹の直径:ウェルの直径より低い比率を有するそれら実施形態より、それらの配列に高い精度を要しない。

0075

<チャンバー内の分析成分>
装置内のチャンバーは、バイオポリマーの分離のためのものであり、バイオポリマーと作用して分析結果が得られるような分析成分を含むことができる。ある装置における分析成分は、一般的に、目的の分析データを得るための目的の粒子の知識に基づいて選択される。

0076

チャンバー内に配置することができる通常の分析成分としては、固定結合試薬が挙げられるが、これに限定されるものではない。化学血球計算(非特許文献2)に使用される試薬も挙げられる。好ましい分析成分は、固定された結合試薬、例えばハイブリダイゼーションのための核酸、抗原に結合する抗体、抗体に結合する抗原、糖類および/または糖タンパク質等を得るためのレクチン等である。好ましい結合試薬は、選択される標的に特異的であり、例えば目的の標的に特異的にハイブリッド形成する核酸配列、目的の標的抗原に特異的に結合する抗体である。特異性は、それぞれの実験において、必要に応じて異なっていてもよく、例えばある実験においては、固定配列に関して核酸ミスマッチを有する標的を捉えることが望ましいが、他の実験では、絶対的な厳格性を要する場合もある。

0077

異なる固定された結合試薬は、データ分析を促進するため、別々のパッチに配置することが好ましい。

0078

チャンバーは、補足した粒子から取り出した特定の核酸にハイブリッド形成する1つ以上の異なる固定された核酸を有していてもよい。核酸の配列は、目的の標的に応じて選択される。好ましくは、分析成分が、特定のmRNA転写産物を保持する。固定した核酸は、好ましくはDNAであり、好ましくは一本鎖であり、好ましくはオリゴヌクレオチド(例えば200ヌクレオチドより短く、<150nt、<100nt、<50ntまたはそれより短い)。分析前、例えば過剰量の粒子を捕捉支持体から洗浄するために使用されるバッファーにDNaseを含むことによって、DNAよりもむしろmRNAの保持は、容易に達成することができる。

0079

他のチャンバーは、タンパク質を捕捉する異なる固定試薬のセットを含む。これらは、通常、免疫試薬、例えば抗体であるが、他の特異的な結合試薬、例えばタンパク質リガンドを捕らえるための受容体、およびその逆も使用することができる。固体表面に試薬を固定することによって、タンパク質を特異的に捕捉する技術が、例えばELISA表面プラズモン共鳴タンパク質アレイ抗体アレイ等の技術分野において周知である。血液を分析するための抗体アレイ(例えばサイトカインおよび細胞内シグナリングタンパク質を特異的に捕捉して分析すること)は、既に可能であり(非特許文献8)(例えばPanomics社からのTranSignal(商標)サイトカイン抗体アレイ(非特許文献9))、固定された捕捉抗体に基づく電気化学酵素免疫測定法は、感度10pg/mLと報告された(非特許文献10)。免疫測定法形式で結合を検出するには、通常、2次抗体が必要である(「サンドイッチ法」分析)。

0080

1チャンバーは、核酸およびタンパク質の双方を分析するための試薬を含んでいてもよい。

0081

好ましい配置において、装置の分析成分は、蓋上に導入される。他の配置において、装置の分析成分は、捕捉支持体上に導入される。さらなる配置において、装置の分析成分は、蓋および捕捉支持体の双方の上に導入される。後者において、同様の細胞成分を分析するための分析成分が、装置の同じ部分に導入されることが好ましい。例えば、タンパク質およびmRNAの双方を分析する装置において、mRNAを分析するための分析用試薬は、蓋上にあり、タンパク質を分析するための分析用試薬は、捕捉支持体上にある。他の配置、例えばDNAまたは多糖類の分析のための配置も実施可能である。

0082

分析用試薬は、目的の粒子と同時に捕捉される、分析ビーズと組み合されてもよい。分析ビーズは、装置を分解した後、取り除くことができ、下流分析の対象とすることができる。

0083

表面上に分析試薬を固定する方法は、当業者において周知である。ハイブリッド形成において、核酸を表面に結合する方法、例えばマトリックス表面上またはゲル表面上等へのリンカーによる結合が、マイクロアレイ分野において既知である。最も有名な方法は、ガラス表面上で核酸プローブをその場で(in situ)合成するためのアフィメトリックスで使用されるフォトリソグラフマスク法であるが、電気化学的in situ合成法も、インクジェット堆積法として既知である。非特許文献11もまた、従来の方法の優れた評価および本発明において適切な実験設計を提供する。タンパク質(特に抗体)を表面に結合するための方法も、同様に既知である。これらの方法は、単一細胞分析に適切な範囲で適用される。

0084

固定される核酸は、予め合成して、表面に結合することができるか、または、前駆体を投入してこれを核酸鎖として伸長させることにより、表面上にin situ合成することができる。これらの方法のいずれかを本発明に応じて使用することができる。

0085

好ましくは、装置が少なくとも10Nの異なる分析用試薬を含むことであり、Nは0,1,2,3,4,5,6,7,8以上から選択される。少なくとも106の異なるオリゴヌクレオチドの1表面上への固定が、マイクロアレイ分野において周知である。10Nの異なる試薬は、通常、10Nの異なるパッチに配置される。

0086

好ましくは、試薬が固定されたそれぞれのパッチは、10Xm2未満の面積を有し;Xは−5,−6,−7,−8,−9,−10,−11,−12等から選択される。10μm×10μm(即ち10−10m2)オーダーの大きさのパッチを有するマイクロアレイは、従来技術を用いて容易に調製することができる。狭い面積を有するパッチは、検出感度を改善する。物質が固定した分析用試薬に結合する場合、それらは狭い面積に制限され、ノイズに対するシグナルの比率が上昇する。

0087

パッチの中心間距離は、好ましくは10Ym未満とし、Yは−2,−3,−4,−5等から選択される。隣接したパッチは、接していたり、重なっていたりしてもよいが、隣接したパッチが、ギャップによって分離されていることが好ましい。重なり合ったパッチは、好ましくない。

0088

複数の粒子を分析するための複数のチャンバーを含む装置において、個々のチャンバー内の固定試薬の選択、シリーズおよび量が、使用の際、実質的に同一であることが好ましく、個々の粒子は、実質的に同じ処理および分析の対象とされ、その結果、直接的に比較することを可能とする。本発明のこの態様のさらなる詳細を、以下に示す。

0089

本発明の装置内のチャンバーは、核酸の配列決定を可能とするためにも適している。1の態様において、装置は、ナノポアを含むウェル捕捉装置を覆うように配置される膜を有する。前記ナノポアは、非特許文献12に開示するような、ナノポアDNA配列によって分子配列の決定を可能とするための機能を含むことができる。膜および支持体を通って電界を適用することによって、核酸は孔を通るように向けることができ、その際、この技術によって配列決定が可能である。

0090

上記のように、本発明の重要な態様は、同様の個々の分析を異なる細胞に並行して実行することであり、本発明は、複数のチャンバーを含み、それぞれが個別の細胞内容物を受け、個々のチャンバーは、チャンバーに沿って連続した分析成分を含み、1チャンバー内の分析成分の配列は、他のチャンバーのものと同じである、複数の細胞を分析するための装置を提供する。

0091

従って、細胞は、どのチャンバーからそれが導入されるかに関わらず、分析成分の共通のセット(例えばA,B,C,D,E,F,G,...)を経る。複数のチャンバー内の分析成分の当該共通の配置は、分析されるそれぞれの細胞に同じ分析用試薬が使用されることを意味し、1つの細胞に関する結果を、他の細胞の結果と、容易且つ直接に比較することができる。

0092

少なくとも10(例えば10,50,100,250,500,1000以上)の分析チャンバー、または全ての分析チャンバーは、分析成分の共通のセットを含むことができる。

0093

しばしば、分析成分の共通のセットは、それぞれのチャンバー内に同じ組成物および空間的配置を有する(例えば固定試薬の全てのパッチは、それぞれ互いに実質的に同じ大きさ、間隔、試薬濃度等を有する)。従って、複数のチャンバーからの結果は、互いに容易に比較することができる。例えば、チャネルを含む装置において、全てのチャネルが平行な直線状であり、全てのチャネルに第1の分析成分が配列される場合(例えば図10)、これらのチャネルに垂直な直線は、前記のようなそれぞれのチャネルの同一の分析成分と交差する。そぼため、チャネルに垂直であり、かつチャネルの上に存在する直線状の検出器は、それぞれの細胞について、順番に同一の分析試験結果をスキャンすることがでる。その後、それはチャネルの方向に沿って次の分析成分へ向かって移動することができ、次の単一の分析試験等の結果を得るため、直線状のスキャンを繰り返すことができる。

0094

それぞれのチャネルが共通の分析成分のセットを有するが、これは、それぞれのチャンバーの全ての内容物が同じであるべきことを意味するものではない。例えば、2つのチャンバーは、異なるmRNAを検出するための異なる成分を有するが、タンパク質を検出するための同じ成分を有する構成であるか、または実際には、あるmRNA、例えば内部標準として使用される共通のコピーを検出するための共通の成分セットであるが、さらなる異なるRNAを検出するための分析成分のセットを有する構成であってもよい。

0095

固定結合試薬の共通のセットが好ましい。

0096

装置が、異なる種類の物質を受けるように設計された、細胞溶解サイトから分岐するチャネルを含む場合(例えば、タンパク質用の1つの分岐と、mRNA用の1つの分岐であり、これらは固有の電荷に基づいて低pH下で容易に分離することができる)、分岐した領域における共通のシリーズは、一般的に1つの分岐のみに適用することができ、例えば全てのタンパク質用チャネルは、共通のシリーズを有するが、同じ共通するシリーズは、それらの共通したシリーズを有するmRNAチャネルでは検出されない。分岐した配置におけて、チャネルに平行な直線状のスキャンの利点は、この場合においても明らかである。

0097

<装置>
本発明による装置は、捕捉支持体および蓋から形成される。蓋は、ウェルを密封して形成されるチャンバーとして、ウェルを含む捕捉支持体の表面に接している。

0098

1つの態様において、装置は、任意に介在する膜の層をさらに含む。ここで、膜は、蓋を適用する前に、ウェル上に配置される。膜は、選択的透過性を有し、蓋上の任意の分析成分と相互作用を生じる、あるバイオポリマーのみを許容するのに適している。膜は、装置を分解した後、下流で分析されるあらゆるバイオポリマーのみを捕捉する役割を果たす。膜は、例えば凍結乾燥された酵素、またはリポソーム含有試薬のような処理用試薬で被覆されていてもよく、この場合、膜がウェルに適用されたときにこれら処理用試薬が活性化する。適切な試薬を以下に詳細に記載する。膜は、分析用試薬として機能することもでき、この場合、下流工程において、標準的な方法によって分析される。いくつかの場合、例えばワットマンヌクレオポア膜のように、膜は透過性の小さい孔を有する。

0099

上記に詳細に記載したものに加えて、装置の他の特徴としては:
−容器。容器は、装置で試薬溶液を保持するために使用される。容器は、捕捉支持体から分離していてもよく、組み込まれていてもよい。容器が組み込まれている場合、それは便利に成型によって調製することができる。捕捉支持体内の容器を図2に示す。
−1つ以上の電極。電極は、装置と交差する電位、特に分析チャネル沿いの電位を生み出し、例えば界面動電現象、電気泳動、エレクトロポーレーション等を可能として、細胞の移動に使用される。或いは、装置は外部電極と接続するための接触部分を有していてもよい。
−レーザー等の光源。これは、様々な目的、例えば細胞溶解において使用することができ、この場合、チャネル中のメニスカスの進行を観測して、蛍光色素等を励起させるために使用することができる。
カメラ等の画像を得る要素。これは、静止および/または動画撮影することができる。それは、通常、デジタルカメラである。代わりの形状において、カメラは、ステージ上の1点の撮影をするものか、ラインカメラである。カメラは、細胞捕捉部位占有率を確認する手段を提供し、また、多重の細胞によるウェル占有(例えば、混合集団小細胞による)を確認して、実験設計によっては、下流の分析からこのウェルを除外する手段を提供する。
質量分析計等の検出器
が挙げられる。

0100

<細胞内容物の放出>
細胞を捕捉する場合、その内容物は、例えば細胞溶解物によって取り出すことができる。内容物は、様々な方法で放出することができる。例えば、装置に溶解溶液を適用してもよく、細胞は、チャンバー内でその場で(in situ)溶解される。いくつかの実施形態において、該溶解溶液は、洗浄剤水溶液、例えばSDSを含むことができる。この場合、洗浄剤は、水溶液中でミセルを形成するより薄い濃度とすべきであり、その理由としては、ミセルが捕捉支持体を通って移動することができないからである。或いは、チャンバーは、捕捉された細胞を物理的に破砕してもよく、例えば非特許文献13に記載される「ナノスケール突起(nanoscale barb)」を使用することができる。溶解を確実にするため、細胞膜が「ナノスケールの突起」に押し当てられるように装置を撹拌してもよいが、この場合の撹拌は、装置の成分が分離しないようになされなければならない。さらなる選択肢として、細胞内容物を、エレクトロポーレーションによって取り除くこともでき、使用されるエレクトロポーレーションの電界の大きさによって、膜を単純に開口して細胞含有物の取り出しを可能とするか、膜を破砕して、細胞溶解へと誘導することができる(非特許文献14)。溶解を生じるのに十分に強い電界を用いることが好ましい。AC、DC電界がいずれも使用できる。或いは、電界は、ウェルが導入される部位の支持体の局所領域のpHを変えるために適用することができる(非特許文献15)。レーザー光と同様に、非特許文献16のように単一細胞を溶解するため、超音波振動も装置に適用することができる。浸透圧衝撃によるマイクロ流体装置における単一細胞の溶解は、非特許文献17に報告される。また、ウェルが密封されるとき、既にウェル内に存在する合成リポソーム中に配置することができる。これは、多岐に渡る方法、例えば密封前、リポソームをウェルに固定することによって、または、ウェルに適用するバッファー中にリポソームを含むことによって達成することができる。リポソームは、必要に応じて、その内容物を取り出すために溶解可能とするべきである。そのための一機構は、非特許文献18に報告するように、UV光で照射することよって、リポソームに溶解が生じるよう、リポソームに、染料を組み込むことである。同様の方法を全細胞に用いることができ、その場合、細胞を光活性化された溶解試薬中に浸漬し、これにより、試薬が細胞に吸収され、または吸着し、UV光を照射で活性化された試薬により、細胞壁の溶解が生じる。電気化学的溶解法も適用可能である。

0101

或いは、細胞内容物は熱溶解によって取り出すことができる。溶解に要する加熱温度は、分析対象の細胞種により異なる温度であるが、オーブン中で装置をインキュベーションするか、または、ホットプレート上に装置を配置することによってもたらすことができる。溶解に必要な一定の熱を提供するさらなる方法としては、図11に示すように、分析成分が、蓋の反対側の面を、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)のような導電層とともに配列して被覆する方法である。ITO層は、低い導電性を有し、層を介した直流電流は、著しいエネルギー損失を起こし、結果として熱を生じる。前記特徴は、溶解およびハイブリッド工程に制御可能に熱を提供するために利用できる。前記導電層は、必要であれば、細胞に熱ショックを与えるための分析のプロトコルの一部として、または、分析前の実験手段の一部として用いることができる。熱による溶解方法が利用される場合、上限温度は、捕捉支持体の製造に用いられる物質に適した温度とし、該支持体の構造全体が失われ、異なるチャンバーの細胞溶解物が混合することがないようにすべきである。細胞溶解法として熱を使用するさらなる利点は、それが溶解およびハイブリッド工程の分離を可能とすることである。ハイブリッド形成が生じるより高い温度で溶解して、その後、維持することによって、チャンバーを経て拡散する細胞成分を増加させることができる。拡散に十分な時間が時間が経過した後、細胞成分のハイブリッド形成および本発明による装置の分析成分が、適切な温度になるまで温度を下げることができる。

0102

さらなる方法において、数々の哺乳類細胞に関して、細胞質低張性である溶液を使用して、水が浸透によって細胞に流入して、細胞を膨張させることによって、溶解を誘発することができる。前記膨張により、付加的な試薬の必要なく、最終的に細胞膜の破裂および溶解物の放出を生じる。

0103

使用可能な通常の溶解溶液は、界面活性剤、例えば核酸を分析する際のSDS等のイオン性洗浄剤、またはタンパク質を分析する際のトリトン−X100等の非イオン性洗浄剤;タンパク質を消化する化合物;核酸を消化する化合物;酵素を不活性化して、細胞成分を溶解するカオトロピック剤、例えばイソチオシアン酸グアニジウム等のグアニジン塩等の成分を含む。前記試薬は、一般的に、バルクの細胞溶解において存在する技術に使用される。試薬の選択は、目的の分析の性質に依存する。溶解試薬は、捕捉支持体を通って移動可能とすべきである。

0104

溶解用溶液は、上段の捕捉支持体中の容器成型物に適用することができる(図2(f)を参考)。或いは、前もって溶解溶液中に浸漬された捕捉支持体として同じか、異なる物質から製造されたスラブは、捕捉支持体上に配置された。溶解溶液中に浸す代わりに、溶解試薬は、例えば重合の際、スラブに取り入れることができる。それらが溶解してすぐに溶解試薬は、その後、スラブから捕捉支持体を通って得られた細胞に拡散することを可能とする。

0105

同様の方法が、細胞小器官の溶解に用いられた。

0106

<細胞成分の処理>
処理用試薬は、最初の溶解溶液と同じ部位に適用される。溶解試薬とともに、この装置に導入される処理用試薬は、捕捉支持体に浸透して移動することが可能な物理的性質を有するべきである。

0107

支持体表面に適用される代わりに、処理用試薬は、反転した捕捉支持体に最初に適用する細胞懸濁液に存在してもよく、過剰量の細胞を洗い流すために使用する溶液に存在してもよく、また、または、洗浄後に適用されてもよい。PBSまたは他の適切なバッファーに、DNaseまたはプロナーゼ等の試薬成分を加えてもよく、捕捉支持体および蓋を組み合わせることによってチャンバーが形成される際、細胞溶解後すぐに働きかけることができるように処理用試薬がチャンバー内にも存在させる。同じ方法が、非特異的/バックグラウンドシグナルを減少させるため、ブロッキング剤、例えばBSAをチャンバーに導入する。

0108

他の実施形態において、以下に詳細に記載するように、処理用試薬は、その内容物を取り出すため、レーザー光によって溶解するリポソームとする。さらに、異なる光周波数感受的な染料を多様な異なるリポソームに取り込むことによって、実験の異なる時点で、リポソームのセットを溶解することが可能である。1セットのリポソームは、溶解試薬を含むことができ、処理用試薬、他の分析用試薬等を含んでいてもよく、これらの内容物は、時間を調整して放出するように構成されている。

0109

<分析結果>
結果を分析するために使用する検出方法は、分子標的の性質およびそれを使用することができるあらゆる標識によって異なる。それらは、以下により詳細に説明するように、所定の分析部位でのシグナル強度にも依存する。定量的検出法が好ましい。

0110

検出は、装置内でin situに行ってもよく、また、分解された装置内で行ってもよい。例えば、蓋に固定した捕捉試薬を有する捕捉支持体および蓋を含む装置において、捕捉支持体は、バイオポリマーを捕捉した後、除去することができ、蓋は例えばマイクロアレイ分析用として既知の試薬、技術、装置およびソフトウェアを使用して、別途分析することができる。

0111

好ましい分析のため(RNAおよびタンパク質)、標的バイオポリマーが固定された結合試薬と相互作用した後、さらなる生化学工程が、検出可能な標識を導入するために必要とされる構成としてもよい。蛍光標識が、本発明の使用に好ましい。

0112

チャンバー内の蛍光は、エバネッセント波を利用して励起することができる。励起するための他の光源、例えばレーザー、ランプLED等を使用してもよい。

0113

タンパク質は、いくつかの既知の抗体を使った方法の1つで、検出することができる。例えば、固定された抗体によって捕捉されたタンパク質は、異なる1次抗体のエピトープに特異的な2次標識抗体を適用して「サンドイッチ法」複合体を形成して検出することができる。

0114

検出したあらゆる蛍光は、2つの生物学的分子、例えば2つの核酸、抗体および抗原等の特異的な結合から生じることが好ましい。

0115

mRNAのin situ検出は、多くの方法を使用して達成することができる。例えば、蛍光色素−クエンチャーの組み合わせを使用してもよい。この方法において、固定された核酸は、通常のPCR法にTaqManプローブおよびScorpionプローブを用いた同じメカニズムにおいて、固定された核酸の自然状態に近い、蛍光色素およびクエンチャーを組み合わせる。細胞のmRNAの結合によって、上記の組み合わせは、空間的に分断され、結合相互作用の検出を可能とする。このような方法の使用に関する記載が、非特許文献19に認められている。或いは、励起および発光周波数を変える蛍光色素を、その化学環境に応じて、細胞mRNAに結合しているか、結合されていない固定された核酸を検出するために使用することができる。

0116

単一細胞分析器における高感度の蛍光色素の定量的分析法が、特許文献3に開示されている。

0117

高感度の検出方法が提供されているが、標的はそれが捕捉された場合のみ検出可能である。本発明の1つの課題は、可能な限り多くの標的分子(即ち分析成分のための分析物がチャネルに提供される)、好ましくは少なくとも50%(例えば>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、>99%または100%さえもの)の細胞内mRNA標的、通常、実質的に全ての特定の標的転写産物を提供することである。これは、特に転写産物数の少ないものに有力である。この課題は、装置およびその使用、例えば捕捉パッチの大きさ、パッチ内の核酸密度、分析チャンバーまたはチャネルの寸法等の様々な特徴を含意する。

0118

核酸の分析は、核酸の等温増幅を可能とする核酸増幅法(TMA:Transcription Mediated Amplification)によっても達成することができる(非特許文献20を参考)。

0119

<装置を透過する細胞内容物の移動>
装置内、例えばチャネル沿いに、バイオポリマーを、例えばポンプ、吸引、界面動電現象等によって移動させるための様々な技術が使用されている。好ましい技術は、移動方向に影響を及ぼす極性で、界面動電現象的にバイオポリマーを移動させ(例えば電気浸透または電気泳動によって)、チャネルを介して適用する電位を必要とする。微細加工された装置における界面動電現象の移動については、非特許文献21に概説されている。電気泳動が、本発明の範囲内で使用される場合、通常、それらの可動性に基づいて互いに分子を分離するよりはむしろ、装置を透過させて物質を移動させる。

0120

物質の電気泳動および界面動電現象的な移動の使用のさらなる詳細は、特許文献3に提供されている。

0121

<分析する細胞>
本発明は、真核細胞および原核細胞を含む様々な細胞の分析に適している。本発明は、特に複数の細胞を分析するのに適しているが、同じ種類のものでは同期していなく、即ち細胞周期の異なる段階のものである。本発明は、集団におけるそれぞれの細胞が生体異物等の刺激物またはケモカインに、どのように反応するかの分析にも適用可能である。

0122

本発明は、バクテリア等の原核細胞:大腸菌(E.coli);枯草菌(B.subtilis);髄膜炎菌(N. meningitidis);淋菌(N. gonorrhoeae);肺炎レンサ球菌(S. pneumoniae);ミュータンス菌(S.mutans);ストレプトコッカス・アガラチアエ(S.agalactiae);化膿レンサ球菌(S. pyogenes);黄色ブドウ球菌(S. aureus);緑膿菌(P. aeruginosa);ヘリコバクターピロリ(H. pylori);モラクセラカタラーリス(M.catarrhalis);インフルエンザ菌(H. influenzae);百日咳菌(B. pertussis);ジフテリア菌(C.diphtheriae);破傷風菌(C.tetani)等を分析するために使用することができるが、これらに限定されるものではない。

0123

真核生物の中でも、本発明は、動物細胞植物細胞真菌細胞(特に酵母)等を分析するために使用することができる。目的の好ましい動物細胞は、哺乳類細胞である。好ましい哺乳類としては、モルモットネコイヌマウスラット並びにアカゲザルタマリンおよびヒトを含む霊長類が挙げられる。

0124

目的の特定の細胞種、特にヒト細胞は、血液細胞、例えばリンパ球、ナチュラルキラー細胞白血球、好中菌、単球血小板等;腫瘍細胞、例えば癌腫リンパ腫白血病細胞卵子および精子を含む配偶子心臓細胞腎細胞膵臓細胞肝細胞;脳細胞;皮膚細胞成体幹細胞および胚性幹細胞を含む幹細胞等を含むが、これらに限定されるものではない。細胞株も分析することができる。

0125

上記のように、ウェルは、試験の際の細胞種の直径の2倍未満の深さおよび直径とする必要がある。比較のため、いくつかの例示的な細胞小器官およびウイルスサイズと典型的な細胞の寸法を以下の表に示す:

0126

0127

現実的な観点から、浮遊懸濁液中、例えば動物由来単細胞生物または循環細胞から、細胞を分離して捕捉することはより容易である。しかし、しばしば目的の細胞は、この様に自然に分離されない。しかし、このような場合、細胞懸濁液を調製する方法は、FACSに適用する技術として周知である。

0128

本発明は、これら細胞内容物を分析するために使用される。これは、例えば上記のような細胞の全内容物を分析するために本発明が実施されることを意味するものではなく、不要な物質を分析される前に取り除くことができる。また、細胞の内容物が細胞から取り除かれる必要はなく、例えば特定の画分は取り除かれ、部分的な抽出のみをする必要がある。しかしながら、一般的に、本発明は、細胞の全内容物を取り出すために細胞の溶解を伴い、分析は、少なくとも細胞からのmRNAコピーおよび/またはタンパク質について実施される。

0129

それらを本発明の装置に導入する前、細胞集団を処理することが有利な場合がある。例えば、細胞は、例えば大きさ、細胞マーカー等に基づいて、分画することができる。分画は、特許文献3に記載された、当業者に既知の数々の方法によって達成することができる。

0130

ある適用に関して、装置に導入する前、大きさによって細胞を前もって分画することが有利である。バッファーの流れが、捕捉支持体に適用される前、細胞懸濁液をシステムいに通過させることで、細胞を前もって大きさによって分画することができる。より大きな細胞の塊から単一細胞を抽出する方法は、特許文献5に開示されている。

0131

細胞を本発明の捕捉支持体上に導入するための数々の方法が存在する。多くの場合、細胞は、バッファー溶液中、例えばそれらが完全性、および特徴的な大きさならびに形状を維持することができるように懸濁される。懸濁液は、捕捉された細胞の細胞懸濁液を捕捉支持体上に拡散させるラインに供給する容器へ投入する。或いは、細胞は手動、例えばピペットで導入することができる。

0132

細胞は、他の細胞分離装置、例えばMACSまたはFACS装置の様なセルソータ、または、赤血球細胞および白血球細胞等を分離するために使用されるような細胞分画カラムから支持体上に導入することができる。

0133

細胞観察
装置内の細胞等の粒子を観測することが望ましい場合、通常、顕微鏡が使用される。バッファーおよび通常のマイクロ流体構造の関係でわずかな光学コントラストしか有しない場合は、コントラストを増強したもの、例えば位相差顕微鏡微分干渉顕微鏡蛍光顕微鏡等を使用することが望ましい。しかし、多くの場合、従来の光学顕微鏡が使用される。

0134

実験の必要に応じて、顕微鏡は手動(焦点を合わせる、位置を決定する、視野の選択等)で操作することができるもの、または、完全に自動化されたものを使用できる。画像は、診断目的、およびエラー検知(誤って2つの粒子(細胞)を捕捉した、コンタミしている、等)、並びに、記録をとるために取得する。画像分析は、異なる得られた細胞種間を区別するために使用することができる。

0135

<非細胞粒子
本発明は、細胞分析のみでなく、他の粒子を分析するためにも使用することができる。これらの粒子は、天然であっても人工であってもよい。従って、本発明は、真核細胞の単独の小器官、特に核(例えば転写制御因子)、ミトコンドリアおよび色素体(例えば葉緑体)を分析するために使用することができる。細胞小器官は、それらを本発明の装置に導入する前、細胞から調製することができる。細胞小器官は、その後、全細胞に関する上記の同様の方法で捕捉し、処理することができる。捕捉支持体のウェルは、これに合わせて、大きさを設定する。

0136

本発明は、ビーズの捕捉、または、合成リポソームもしくは小胞の合成に使用される。ビーズは、機能性を有していてもよく、前記のようにタンパク質または他の分子を得るために使用することができる。捕捉後、ビーズ表面上またはリポソーム内の捕捉された物質の分析を行う。全細胞の分析について上記に記載したように、物質の分析は実施可能であり、捕捉した分子の分析、処理前、処理中及び処理後には、同様の試薬が添加され、使用される。

0137

水中油滴または油中水エマルションは、本発明による分析に適している。このエマルションの液滴を、個別に捕捉して分析する。個々の液滴がDNA断片を含むように合成される場合、孔を有する配列決定用の膜と組み合わせることが可能であり、これにより、装置をラージスケールで並行して配列決定する操作に適用されることができる。

0138

いくつかの実施形態において、装置に捕らえられた粒子は、コロイド粒子であってもよい。

0139

いくつかの実施形態において、多種多様な粒子、例えば細胞および1つ以上の機能性ビーズを捕捉することが望まれる。

0140

<さらなる特徴>
本発明の装置は、非常に小規模であるため、埃などのコンタミネーションによって容易にブロックされる。従って、分析前に試料濾過することが好ましい。フィルターは、本発明の装置に組み込まれていてもよく、別々であってもよい。

0141

細胞を捕捉した後、その大きさおよび形状等の特徴は顕微鏡で観測される。より詳細な特徴付けのため、それらは、顕微鏡で観察する前に、例えば蛍光標識された抗体、または細胞表面上の染色マーカーである代わりの染料、例えばレクチンで、染色することができる。細胞染色は、捕捉前またはその後に実施できる。このような情報は、本発明の主な課題である分子特徴に関連して役立つ。

0142

<製造>
捕捉支持体は、鋳型を用いて成型することによって調製することができる。この工程は、図1に図式的に示される。この図において、材料は鋳型に注がれ、固化する。その後、鋳型は捕捉支持体を残して取り除かれる。鋳型は、捕捉支持体に所望の形状の逆または反転状態に作られる。

0143

捕捉支持体の鋳型および改鋳型を使用する利点は、同じ支持体を繰り返して使用する必要がなく、古くなった鋳型は処分することができ、新しいものを作ることができる点である。従って、実験を実行する間、完全に支持体をきれいにする必要性を軽減するのに加えて、支持体内の試薬の残留から生じる実験の間の相互汚染のあらゆる可能性が取り除かれる。

0144

好ましくは、鋳型に添加される物質は、モノマーであるか、部分的に重合されたモノマーであり、物質の完全な重合は、鋳型内で起こさせることができる。

0145

<鋳型>
捕捉支持体を流し込むための鋳型を製造する一方法において、フォトレジストは、基材上に望ましいウェルの深さに等しい厚さになるまでスピンコートされる(深さは分析する細胞種によって異なり、それは当業者にとって明白である)。その後、パターンは、フォトリソグラフィ法によって選択的にエッチングされる。フォトリソグラフィ工程の最後で製造されるパターンは逆であり、即ち、装置のウェルまたはチャネルの部分の望ましいパターンの反転状態である。前記パターンの逆に製造されたウェルおよび/またはチャネルの寸法は、それらが実施される分析に適した寸法となるように選択されるべきである。スピンコート層の厚さと同様に、このような設計は、当業者にとって困難なものではない。ウェルがパターン化された捕捉支持体の全厚は、装置が破壊されることなく十分に頑でなければならないが、また溶解バッファーが素早くその厚さを通って浸透することができるように十分に薄い必要もある。通常、溶解バッファーの浸透は、5〜10分以内に生じる。一旦、調製してから、その後、実験の最適化の工程として、任意に一部異なる範囲の材料を使用した、一連同形状の捕捉支持体を成型するため、鋳型を繰り返し使用する。

0146

鋳型を用いた他の製造方法としては、ウェットケミカルエッチング(等方性および異方性)、エレクトロケミカルエッチング、ウェットフォトエッチング、ドライケミカルエッチング、スパッタエッチング、イオンミリング、反応性イオン・エッチングおよび深掘り反応性イオン・エッチング(DRIE)、x−線深掘りエッチリソグラフィーおよびエレクトロフォーミング(別称LIGA)、気相エッチング(XeF2を用いる)、集束イオンビーム加工、レーザー加工、超音波ドリル、放電加工、機械掘削、加工、破砕、ホーニング、ラッピング、切断;熱エンボス加工、射出成形、マイクロ熱成形および成型が挙げられる。

0147

使用の際、鋳型は捕捉支持体に用いられた材料を受けて、その後、固体捕捉支持体を形成するため、材料を設置することが可能な条件下でインキュベートした。インキュベーションの条件は、使用する物質によって異なる。

0148

<捕捉支持体を使用したそれぞれの細胞分析法>
細胞懸濁液を捕捉支持体の表面上に適用して、細胞を捕捉支持体の第1表面上のウェル内に捕捉する。複数の個別細胞は、第1表面上に複数のウェルを含む捕捉支持体によって捕捉される。捕捉工程は、図2を参考として想定することができる。その後、細胞はウェルに定着する(工程b)。任意に、捕捉支持体は、ウェル内で細胞が移動するように撹拌してもよい。あらゆる撹拌は、xおよびy軸の横方向のみに行い、ウェル内に存在する細胞が飛び出ないようにしなくてはならない。撹拌の適したレベルは、分析する細胞種に基づいて経験的に決定することができる。さらに、撹拌は、細胞の溶解の要因となるべきではない。その後、捕捉されなかった細胞は、過剰量のバッファーを使用して洗浄することができ、バッファーは、任意に、細胞または細胞成分の処理用試薬をさらに含むことができる。また、洗浄工程が実施される際、ウェル内に常在する細胞が乱されないように配慮すべきである。ウェルが、特定の細胞を捕らえるのに有用な抗体等の試薬を含むように修飾された捕捉支持体において捕捉支持体において(さらなる詳細に関しては上記を参考)、抗体の細胞表面上への結合が、ウェルから細胞を除去するのに要する力が高くなるので、洗浄をより強くすることができ、実際には、誤った細胞表面マーカー表現型の細胞と、正しい大きさの細胞とを入れ替えることを要する。この時点で、ウェルの占領領域を、例えば顕微鏡、デジタルカメラおよび適切なイメージングソフトウェアを用いて観測することが好ましい。細胞溶液を適用する工程、任意の動作および洗浄は、必要に応じて、ウェルの望ましい部分が細胞で占領されるまで繰り返すことができる。

0149

任意に、捕捉支持体装置を用いて細胞を捕捉する際、または、そのすぐ後、例えばメタノールを使用することで、細胞の進行を止めるか、固定することができる。この工程を実施する際、任意の溶解試薬が、捕捉支持体を通って移動するのにかかる時間の重要性は低い。その理由は、結果として、細胞がもはや代謝的に活性でなく、目的のバイオポリマーを分解することができる、あらゆる酵素が阻害されるからである。

0150

細胞を捕捉した後、上記のように、ウェルを密封するためにウェル上に蓋を配置する(図2(c))。装置は、蓋とウェルがどのような向きになるように操作してもよいが、好ましくは、蓋が捕捉支持体の下になるように反転させることである(図2(d)のように)。

0151

さらに、任意に、捕捉した細胞は、溶解前に処理の対象とすることができる。例えば、細胞は1つ以上の刺激、例えば反応を誘発するケモカインまたは生体異物化合物さらすことができる。細胞は、溶解前にチャンバー内の培養培地中にインキュベートすることもできる。この工程は、前処理から細胞を回復することを可能とするため、あらゆる刺激にさらした後に続けることができるか、捕らえた後すぐに実施することができる。この培地は、細胞を捕捉する前から配置してもよく、細胞を捕捉した後に添加してもよい。

0152

装置内に捕捉した細胞は、直ちに溶解する。溶解は、捕捉支持体に第2表面の溶解溶液を適用して行う。その後、液体およびそれを含むあらゆる試薬が、支持体を通って、細胞と相互作用して、それらの溶解を生じるウェルに移動することができる条件下で、装置はインキュベートされる。溶解溶液は、捕捉支持体の第2表面上に適用される。通常、例えば支持体が立方形である場合、第2表面は、第1表面の反対側に面している(図2(e))。しかしながら、いくつかの実施形態において、第2表面は第1表面の一部である。例えば、蓋と捕捉支持体を組み合わせてウェルを密封した後、溶解溶液をウェルの周りの端に適用することが可能である。

0153

或いは、細胞は、熱もしくは力学的な方法によって、エレクトロポーレーションによって、または上記のあらゆる方法によって溶解することができる。

0154

溶解後、取り出された細胞内容物は、蓋に受けられる。装置は、蓋上の細胞成分および分析成分が相互作用することができる条件下にインキュベートされる。このインキュベーション後、蓋は取り除かれ、実施される実験に関して通常のマイクロアレイ方によって分析される(図2(g))。或いは、一部のまたは全ての分析は、その場で(in situ)実施することができる。

0155

捕捉支持体を使用する前記方法は、他の粒子を捕らえて分析するのに容易に適応することができる。

0156

<他の装置>
前記装置において、捕捉支持体は透過性であり、蓋は非透過性である。対象的に、本発明による装置は、非透過性の捕捉支持体および透過性の蓋からできていてもよい。非透過性の捕捉支持体は、ピコウェルプレートの形状を採用している(例えば特許文献6またはNunc Live Cell Arrayに詳細に記載されたものと同様)。通常は、透過性の蓋は、前記に詳細に記載された透過性の捕捉支持体用の物質が用いられている。

0157

使用の際、粒子は非透過性の捕捉支持体に捕捉され、非透過性の捕捉支持体上のウェルは、チャンバーを形成するように透過性の蓋を適用することによって密封される。試薬、例えば粒子が細胞の場合の溶解試薬は、その後、試薬が蓋を通ってチャンバーに達するまで移動することを可能とする蓋に適用される。

0158

より一般的に、本発明は、透過性成分および非透過性成分を有する装置を提供し、1部品はウェルを含み、1部品は分析用試薬を有する。いくつかの装置において、両方の部品が分析用試薬を有していてもよい。1成分のみに分析用試薬を有するこれら装置において、ウェルおよび分析装置は、通常、異なる部品上にある。

0159

総則
用語「含む(comprising)」は、「含有する(including)」並びに「構成される(consisting)」を包含していて、例えばXを「含む」組成物は、Xのみから構成されていてもよく、付加的なもの、例えばX+Yを含有してもよい。

0160

数値xに関する用語「約」は、任意であり、例えばx±10%を意味する。

0161

語句「実質的に」は、「完全に」を除外するものでなく、例えばYから「実質的に独立している」組成物は、完全にYから独立していてもよい。必要な場合、語句「実質的に」は、本発明の定義から除くことができる。

0162

要素に関して、「直径」および「円周」等の用語の使用は、必ずしも要素が円を描いていることを意図するわけではない(または3次元文脈、球状)。尚、非円形要素における用語「直径」は、断面の平面内の最も長い直線距離、例えば正方形頂点の間または楕円の長さを指す。

0163

用語「抗体」は、入手可能な多岐に渡る天然および人工的な抗体、および抗体由来のタンパク質、ならびにそれらの誘導体を含み、例えばポリクローナル抗体モノクローナル抗対、キメラ抗体ヒト化抗体ヒト抗体単一領域抗体、全抗体、F(ab’)およびF(ab)等の抗体断片、Fv断片(非共有ヘテロ二量体)、短鎖Fv分子等(scFv)の短鎖抗体、ミニボディオリゴディ二量体若しくは三量体抗体断片または構成物等を含むが、これらに制限されるものではない。用語「抗体」は、ある特定の由来のものを意図するものでなく、非従来的工程、例えばファージ提示法によって得られた抗体も含む。本発明の抗体としては、あらゆるアイソタイプ(例えばIgAIgGIgM、即ちα、γまたはμ重鎖)であってもよく、κまたはλ軽鎖を有してもよい。

図面の簡単な説明

0164

捕捉支持体用成型および捕捉支持体の成型の製造を示す概略図である。
本発明による装置の使用の際、細胞を捕捉して、溶解する工程を示す概略図である。
捕捉支持体上のウェルを示す図である。
捕捉支持体上のウェルに捕捉された細胞を示す図である。
陥凹に包囲された捕捉支持体上のウェルを示す図である。
陥凹に包囲された捕捉支持体上のウェルに捕捉された細胞を示す図である。
より広い分析成分の性能を覆うパターンのあるウェルを示す図である。
より狭い分析成分の性能を覆うパターンのあるウェルを示す図である。
単一細胞を得るための装置の断面図を示す図であり、チャンバーはチャネルを含む。
複数の個別細胞から捕捉された単一細胞に関する装置を上から見た見方を示す図であり、ウェルはチャネルと交差している。
スライドガラスを局所的に加熱して、外部装置、例えばペルチェステージまたはホットプレートの必要性を明らかにする装置への変更を示す図である。
異なる作動電圧でのITO被覆スライド上の時間に対する温度の測定値を示すグラフである。
ポリマー/ゲルマトリックスに捕捉された目的のバイオポリマーを強制的に「取り除く」方法を含む装置への変更を示す図である。
MELc88細胞における多様な直径のウェル%占領領域を示すグラフである。
多様な直径のウェルを有する捕捉支持体上に空、単一のMEL c88細胞単独で占められている、および、複数細胞で占められているウェルのパーセンテージを示すグラフである。
固定されたRNAの逆転写後の蓋材上のCy3蛍光を示す画像である。
固定されたRNAの逆転写後の蓋材上のCy3蛍光の外縁、連続番号を示す画像である。
占領されたウェル間の、および占領されたウェルを透過したシグナルの強度を示すグラフである(それぞれ18Aおよび18B)。
最初に小麦胚芽凝集素(WGA)染色されたMEL c88細胞に占領されたウェルからのWGA染色の蛍光(図19A)および逆転写後のCy3標識(図19B)を示す画像である。

実施例

0165

<鋳型及び捕捉支持体の製造>
鋳型の製造を含む本発明による捕捉支持体の製造工程の概略図は、図1に示す。工程a)の図において、通常はSU−8のフォトレジストを、基板層にスピンコートした。フォトレジストの深さは、捕捉支持体に望ましいウェルまたはチャネルの厚さと等しくした。基層に残存する物質の幅は、捕捉支持体上のあらゆるウェルまたはチャネルの幅とした(b)。その後、必要な場合は、フォトリソグラフィ技術を用いて、ウェルのパターンをフォトレジストに選択的にエッチングするために使用した。次いで、鋳型を親成型板に配置した。その後、材料を成型板に導入し、固化した。さらに、任意の特性を、親鋳型を使用してポリマーに付与した。図1において、溶解試薬用の容器として働く任意のチャネルを、微小構造パターンのウェルに対して反対側の支持体の捕捉支持体内に設けた。製造された捕捉支持体は、図1のd)に示される。

0166

<捕捉支持体を製造するためのポリマー>
通常、ポリアクリルアミドポリマーを、捕捉支持体を製造するために使用した。このようなアクリルアミドゲルには、以下の処方を適用した:

0167

0168

<細胞の捕捉と溶解>
図2は、本発明による装置の作動に関する概略図を示す。捕捉支持体を、基板(この図においては、犠牲スライドガラス)上に、ウェルが支持体の上面にくるように設置した。その後、細胞懸濁液を、支持体上にピペットで分注した。細胞がウェル間で分散したことにより、ある細胞はウェルに導入され、また、ある細胞は捕捉支持体の表面上に残存した。過剰量の細胞を、生理的に許容可能な洗浄バッファーで洗い流した。通常、この時点では、さらなる試薬、例えばプロナーゼを細胞に添加した。1つ以上の分析用試薬を有する蓋は、その後、反転させた捕捉支持体上に、分析成分が細胞を含むチャンバー内に直ちに移行する配置した(c)。工程d)は、捕捉支持体が、蓋の上に配置された、装置を反転させた状態を示す。犠牲スライドガラスを取り除き、支持体の第2表面上の露出した容器に細胞溶解溶液をピペットで分注した。その後、透過性捕捉支持体を透過した溶解バッファーの潅流を可能とするため、装置をインキュベートした。溶解バッファーが、細胞および溶解された細胞(f)を含むチャンバーに達した後、細胞成分および分析成分のハイブリッドが直ちに形成された。支持体と蓋とが依然組み合された状態で、任意に、ある部分または全ての分析を、その場で(in situ)で実施した。或いは、捕捉支持体を、図2のg)に示すように、次の工程の前に蓋の上から取り除いた。ウェル内に捕捉された細胞を、図3および5に示す。図4は、ウェル内に捕捉された細胞を示し、図6は、陥凹に包囲されたウェルに捕捉された細胞を示す。

0169

<ウェル寸法の最適化>
特定の細胞株による単一細胞の支持体上のウェル内での捕捉を最大限可能とするため、を、一連の実験を行った。使用した細胞株は、直径約15μmのMELc88とした(非特許文献22)。本工程は、細胞種または細胞株に関わらず同様である。

0170

多様なウェル直径、および中心間距離(ピッチ)を有する、5種の異なる支持について試験を行った。寸法は(直径および中心間距離):15μmおよび35μm、17μmおよび35μm、20μmおよび40μm、22μmおよび45μmならびに25μmおよび40μmとした。

0171

MELc88細胞は、濃度1×106mL−1とした。細胞20μL(約20,000細胞)を、支持体に適用した。支持体は、その後、50μLのPBSアリコートで、支持体表面から残存細胞が取り除かれるまで、洗浄した。

0172

その後、光学顕微鏡で画像を撮影した。ウェルの占領数は、自動計数ソフトウェアまたは手動で決定した。

0173

直径25μmのウェルが、最も高い捕獲率を示したが、大多数のウェルは、2つの細胞(またはそれ以上)の占領を有した。従って、さらなるMELc88細胞の使用においては、これを縮小したものを使用した。ウェル直径22μmの支持体は、いくらか2つ以上の細胞の占領があったものの、ウェル直径20μmより非常に優れた捕獲率を有する(図14)。ウェル直径22μmは、従って、MEL c88細胞を用いるために好ましい大きさである。

0174

図15に示すように、20μmより小さい直径の場合、複数のMELc88細胞の占領する割合は0であったが、単独細胞が占領する割合も比較的低下していた(10%まで)。ウェル直径を大きくすることによって、全体の獲得率は、単調に上昇する。ウェル直径が22μmの場合、単独細胞の占領率は、局所的に最大となり、〜50%であった。直径が25μmの場合、細胞を有するウェルのうち3分の1超が、複数の細胞によって占領されていた。

0175

<その場での(in situ)細胞溶解>
細胞溶解のため、4つのバッファーを使用した。第1の溶解バッファーは、10%(v/v)SDS−脱イオン水溶液である。第2の溶解バッファーは、2%(v/v)SDS−リン酸緩衝生理食塩水溶液である。第3の溶解バッファーは、2.5%(v/v)SDS−PBS溶液である。第4の溶解バッファーは、5%(v/v)SDS-PBS溶液である。

0176

ある実験において、MELc88細胞は、直径25μmおよびピッチ45μmを有する捕捉支持体を用いて捕捉した。細胞を捕捉した後、支持体を、無地の顕微鏡スライド上に伏せ、第3の溶解バッファー(2.5%SDS-PBS溶液)を添加した。装置は、反転した顕微鏡に取り付けられたデジタルカメラを用いて観測された。溶解バッファーを添加してから5分後に、第1の画像を撮影した。その後、4秒おきに画像を撮影した。全細胞溶解物は、溶解バッファーを添加してから約8−9分後に観測した。

0177

<捕捉後、その場で(in situ)溶解した細胞内容物の検出>
200μLの2.5×106mL−1のMELc88細胞アリコート(約500,000細胞)を、直径22μmおよび中心間距離50μmを有する8%ポリアクリルアミド支持体に適用した。過剰量の細胞を、200μLのPBSアリコートで洗浄除去した。約450,000ウェルのうち115,359を洗浄した後、ウェルは満たされていた。プロナーゼ30μLを細胞に適用した。ウェルは、オリゴ(dT)40に包埋された蓋で密封された。前記オリゴヌクレオチドは、ポリ(A)末端RNAとハイブリッド形成することができる。40℃で10分間インキュベートした後、細胞は、支持体に溶解バッファー(2%(v/v)SDS−PBS溶液)を添加して溶解させた。その後、溶解バッファー中、40℃で60分間、ハイブリッド形成を進行させた。次いで、装置を分解し、蓋材をその後の工程で使用した。スーパースクリプトIII(インビトロゲン)およびCy3標識されたdCTPを50℃で使用して、固定されたRNAから標識されたcDNAを合成した。組み込まれなかった標識を、10回、それぞれ10分連続で室温で洗浄して洗い流した。最初の洗浄は、アジレント遺伝子発現洗浄バッファー1で実施した。2−10回の洗浄は、アジレント遺伝子発現洗浄バッファー2で実施した。

0178

蓋材は、その後、2.5μmピクセルサイズを有するAxonの4400Aスキャナーを用いてスキャンした。スキャンの結果を、図16および17に示す。満たされていないウェルもあるが、これは、可視領域中の「空」の領域に相当する。低い、均一なバックグラウンドが、占領されたウェルの領域の間に観測されたが、前記バックグラウンドは、占領されたウェルからのシグナルより低かった。空のウェルからのバックグラウンドの比較および占領されたウェルからのシグナルを、図18に示す。

0179

<細胞表面のマーカー染色>
100μLの1×106mL−1のMELc88細胞(コムギ胚芽凝集素(WGA)100μgまたは200μgのいずれかで染色した)を、直径20μmおよび中心間距離40μmの8%ポリアクリルアミド支持体に適用した。過剰量の細胞は、PBS200μLのアリコートで繰り返し洗い流された。プロナーゼを、支持体上の細胞に適用した。オリゴ(dT)40で包埋された蓋で、ウェルを密封した。溶解前、捕捉された細胞を、蛍光顕微鏡を使用して観測した。捕捉された細胞は、赤色に発光していることが観測され、レクチンが細胞外発現していることを示した。かかる細胞表面マーカーの染色は、多様な細胞集団が捕捉支持体に添加された場合、異なる細胞種を検出するために使用することができる。

0180

溶解バッファー(2%(v/v)SDS−PBS溶液)を支持体の添加した後、40℃、10分間インキュベートして、細胞を溶解した。その後、溶解バッファー中で、40℃で60分間ハイブリッド形成を進行させた。次いで、装置およびその後の工程に使用される蓋材を分解した。スーパースクリプトIII(インビトロゲン)およびCy3標識されたdCTPを50℃で使用して、固定されたRNAから標識されたcDNAを合成した。組み込まれなかった標識を、10回、それぞれ10分連続で室温で洗浄して洗い流した。最初の洗浄は、アジレント遺伝子発現洗浄バッファー1で実施した。2−10回の洗浄は、アジレント遺伝子発現洗浄バッファー2で実施した。

0181

その後、Axonの4400Aスキャナー(Molecular Devices社)を使用して、蓋材をスキャンした。RT反応後、わずかなWGA染料の残量も観測されなかった。これは、蛍光染色での細胞染色が、その次の工程に使用されたその後の蛍光部分の検出と蛍光染色の介入による問題を生じることなく、RT前に実施することができることを示した。RT後に残存した残留WGAを図19Aに示す。このシグナルは、RT工程によってcDNAに組み込まれたCy3標識からの蛍光より明らかに低かった(図19B)。

0182

ここでは、本発明の例示のみを記載している解釈されるべきであり、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、変更可能である。

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