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技術 疾患の処置のためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド、組成物及び方法

出願人 アソシアシオン・アンスティテュ・ドゥ・ミオロジーユニベルシテ・ピエール・エ・マリー・キユリーウニヴェルズィテート・ベルンサントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク
発明者 シャンパーリ,ダニエルレイマン,クリスティアンファーリング,ドゥニガルシア,ルイフォイト,トーマス
出願日 2010年4月9日 (9年5ヶ月経過) 出願番号 2012-504034
公開日 2012年10月4日 (6年11ヶ月経過) 公開番号 2012-523225
状態 拒絶査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 糖類化合物 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 阻害状況 運動ユニット 許容偏差 換気法 整数範囲 オンマウス 物理的性 パーセント範囲
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

プレmRNAプロセッシング過程において生じるスプライシングイベント改変するための、トリシクロ−DNA(tc−DNA)AON及びtc−DNA AONを用いる方法を提供する。プレ−mRNAのプロセッシング過程におけるエクソンスキッピングを促進するために、あるいは、イントロンサイレンサー配列及び/又は末端ステムループ配列マスキングするために、並びに、プロセッシングされたmRNAのRNase介在破壊を標的化するために使用することができるトリシクロ−DNA(tc−DNA)AONが記載される。本明細書に記載のtc−DNA AONは、ジストロフィンタンパク質の機能を修復するための、ジストロフィン遺伝子内の突然変異エクソン23又はエクソン51をスキッピングすることによる、デュシェンヌ型筋ジストロフィー処置するための方法;非機能性SMN1タンパク質を少なくとも部分的に補完することができる、エクソン7によりコードされるアミノ酸配列を含む修飾された機能性SMN2タンパク質を生成するための、SMN2遺伝子内のイントロンサイレンシング配列及び/又は末端ステムループ配列をマスキングすることによる、脊髄性筋萎縮症を処置するための方法;並びに、3’−末端CUG反復配列を含む突然変異DM1のmRNAの破壊を標的化することによる、スタイナート筋緊張性ジストロフィーを処置するための方法で使用することができる。

概要

背景

デュシェンヌ型筋ジストロフィーDMD)は、民族に関係なく、児の3,500人に1人が冒される最も一般的な遺伝性ミオパチーである。頻度は低いが、児及び女性がマニフェスティングキャリアーデュシェンヌ様症状を呈する可能性もある。DMDによる最も重要な影響は、筋線維が非常にもろくなり、そして、通常の筋活動筋組織全般的な損傷を引き起こすことである。DMD、並びに、多くの筋ジストロフィーで観察される終点は、変性がゆっくり進行してほぼ完全に脂肪浸潤を伴う線維症に至ることである。脊椎変形及び呼吸困難により、1960年代平均余命は約15年であった。心臓合併症がない場合では、現在、管理方法(即ち、関節固定及び気管切開換気法)の改善により平均余命が30年に伸びた。

DMDの臨床症状は18か月〜3で現れ、歩行や登る能力遅延、床からの起立困難、異常に肥大したふくらはぎなどが見られる。約5〜6年で、筋収縮が足、及び股関節に起こる。疾患の進行は継続的な筋萎縮を特徴とし、約9〜12年で歩行不能となる。さらに、デュシェンヌ型の男児の中には精神遅滞を呈するものもあり、これにより、欠損タンパク質中枢神経系にも関与していることが示唆される。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、X染色体連鎖劣性欠損症である。DMD遺伝子座は、1986年、ジストロフィンと呼ばれるタンパク質をコードする遺伝子のポジショナルクローニングアプローチ法により、X染色体(Xp21.2−OMIMid:310200)上に確認された。ジストロフィン遺伝子突然変異が起こると、横紋筋でジストロフィンの産生ができなくなる。罹患男児の母の2/3が、ジストロフィン突然変異のキャリアーである可能性があり、一方で、患者の約1/3がデノボ突然変異を有する。DMDの男児の半数以上が、複数のエクソンが含まれる大きなゲノム欠失を示し;これらの数人は、大きな配列重複を有する。また、確認が困難な点突然変異又は極めて小さな欠失若しくは重複を有する場合もある。

しかし、突然変異の程度は、表現型重症度直接関係していない。中途終止コドン及びその後の翻訳の失敗をもたらすアウトオブフレーム欠失又はナンセンス突然変異は、重症の表現型を特徴とするジストロフィン欠損を生じる。インフレーム欠失は、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)として知られる軽症のミオパシーに関与している。

約2.5百万塩基対のDMD遺伝子座は、これまでに検出された最も長い遺伝子であるが、わずか約14,000塩基対が、79個のエクソンに広がるコード配列を含有する。完全長ジストロフィン(DP427)は、全ての筋肉発現される427kDaの細胞骨格タンパク質であるが、様々なタンパク質アイソトープ(DP260、DP140、DP116、DP71)が、それぞれ、イントロン29、43、55及び62に位置する4つの内部プロモーターにより、組織特異的に、異なる使用頻度網膜、中枢神経系、末梢神経系及び非筋肉組織)で生成される。

完全長ジストロフィンは、筋原線維細胞骨格を細胞外マトリックスに結合させることによる筋線維の膜完全性の維持に関与する筋細胞膜糖タンパク質複合体(SGC)に不可欠な成分である。配列解析から、ジストロフィンタンパク質にはいくつかのドメイン及び反復配列が必要であることが予測された。概略すると、N−末端アクチンハイブリダイズ部位(N−ABD);フレキシビリティを付与しうる4個のヒンジセグメント(H)を含有する中心状ドメイン(RD;24個のスペクトリン様反復配列を有する);及び、C−末端(CT)近傍のDPCの他のメンバーに結合するシステインリッチドメインCRD)が存在する。

構造/機能解析により、タンパク質機能に極めて重要なドメインが同定された。これは、エクソン17〜48(コード配列の46%)の欠失が含まれる軽度の疾患を有する患者において生じる内部欠失により実証された(England et al., Nature 343(6254):180-2 (1990))。これは、過去10年間、遺伝子導入実験幅広く使用された機能性「ミニジストロフィン」の概念をもたらした。現在、CRDが不可欠である一方で、N−ABD及びCTドメインが除去されると中程度の機能喪失が引き起こされることが認められている。RDの変化は、トランケートの程度及び性質に依存して多様な表現型をもたらす。例えば、RDが欠損したジストロフィン(ΔR1−R24)は機能的ではないが、一方で、24個の内8個の完全なスペクトリン様反復配列を保持するトランケートされたジストロフィン(ΔH2−R19)は、完全な活性を有するタンパク質を生じる。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーのための十分に特徴づけられた2種類の遺伝子動物モデルがある。mdxマウスは、ジストロフィン遺伝子のエクソン23に、完全長の野生型ジストロフィンタンパク質合成を妨げるナンセンス突然変異を有する。mdxマウスは、機構損傷を修復するための再生過程を維持することができる、変性を抑制する代償機構を示す。mdxマウスは、DMDの症状を示さず、その生存期間はほとんど正常である。

GRMD(ゴールデントリーバ筋ジストロフィー)イヌは、イントロン6に、リーディングフレーム破壊するスプライス部位突然変異を有することにより機能性ジストロフィンが欠如している。GRMDは、ヒトのDMDと同様に、進行性線維変性によって、顕著な筋内膜及び筋周囲線維化を伴う骨格筋萎縮に必然的に至る。GRMDは、DMD様の表現型をもつことから、依然としてDMDの潜在的治療法の評価のための最も有用なモデルとなっている。

DMDの発症に関連するジストロフィン遺伝子の突然変異が同定及び特徴づけられ、そして、有望な治療薬剤試験するための適切な動物モデル系が利用可能であるにも関わらず、この疾患を処置するための組成物及び方法が当技術分野において引き続き求められている。過去10年にわたる研究の中には、デュシェンヌ型の男児においてステロイド処置(プレドニゾン及びデフラザコート)の有効性を支持しているものもあるが、広範な統計学的評価はまだ十分に完了していない。また、ゲンタマイシン薬物を用いて中途終止コドン突然変異を薬理学的に誘導させたリードスルーは、5%以下のDMD患者に有効である可能性がある。mdxマウスモデルの前臨床試験の結果が論争中であるにも関わらず、臨床試験がアメリカ及びイタリアで実施されている。PTCTherapeuticsにより開発された新規な薬物(PTC124)がより有望であると思われる。また、喪失したジストロフィンの機能を補完することができる薬物、その成分であるジストロフィン様タンパク質ユートロフィンを使用してユートロフィン遺伝子アップレギュレーションする研究が進行中である。

他にも多くの調査手段がある;例としては、最近、ブロッキング抗体を使用することによりミオスタチン拮抗させて、mdxマウスの筋力を向上させることができたことが示された。このアプローチ法は、最初、正常筋芽細胞を罹患筋肉に複数回注射することに基づいていた(Partridge et al., Nature 337(6203):176-9 (1989))。その後の臨床試験(1991〜98年)は失敗に終わったが、細胞製造及び送達手順の改良によりカナダにおいて新たな第1相試験が可能になった(2002年)。また、最近の進展において、遺伝子修復の詳細がまだ不確かであるにも関わらず、骨髄又は血管のいずれかに由来する幹細胞が、全身経路を介して骨格筋を標的化することができる証拠が提供された。

DMDの遺伝子療法は、媒体として遺伝子ベクターを使用する、骨格線維へのジストロフィンミニ遺伝子のin situ送達に依存している。ネイキッド完全長cDNAを入れたプラスミドベクターを使用した最初の予備研究が、フランスで実施された(2000〜03年)。筋遺伝子療法で試験された様々なタイプのベクターの中で、アデノウィルス随伴ウィルス(AAV)誘導ベクターが最も有望であると思われる。AAVベクターは、多くの利点を有する:(i)これらは、筋線維を含む様々な種類の細胞に感染することができる;(ii)これらは、全てのウィルス遺伝子を欠損しており、さらに、その野生型ウィルスが今までにヒトのどんな病状とも関連していないことから安全であると思われる;(iii)宿主細胞ゲノムに組み込まれる野生型AAVとは反対に、複製欠損性AAVベクターは、通常、エピソームとして残存し、従って、挿入突然変異リスク又は癌遺伝子の活性化を制限する;そして、(iv)他のベクター系とは対照的に、AAVベクターは、重大な免疫応答を引き起こさないため、治療導入遺伝子が長期間発現される(ただし、これらの遺伝子産物拒絶されなかった場合)。AAVベクターは、また、高力価で産生することができ、少なくとも齧歯動物においては、強制動脈注射を行うことで、単回注射で多くの筋肉領域に遺伝子を導入することが可能となる。AAVベクターは、全てのウィルス遺伝子を欠損しているが、これらの送達積荷は、4.5kbまでに限られる。その理由から、AAVを選択すると、完全長ジストロフィン(14kb)の代わりに約4kbのμ−ジストロフィン変異体を開発する結果に至った。これらの変異体のいくつかは、形質転換又は遺伝子導入のいずれかによりmdxモデルで有利に試験された。

多くのDMD患者、並びに、mdxマウス及びGRMDイヌでは、珍しいジストロフィン陽性線維が報告された。復帰突然変異線維は時間に比例して増加するが、残念なことに、これらの復帰突然変異線維の数は有意な臨床的効果を付与するには少なすぎる。リーディングフレームがエクソンスキッピングにより修復されうることが研究により示唆されてはいるが、これらの復帰突然変異線維が生じる機構は、依然未知のままである。このような自然現象から、スプライシング干渉、従って、エクソンスキッピングを誘導するための2’−O−メチルアンチセンスオリゴリボヌクレオチド並びにモルフォリノの使用に基づく、遺伝子修復/改変のための戦略の設計に向けた調査が促された。実際に、このアプローチ法は、in vitroのmdx、GRMD及びDMD筋肉細胞、さらに、in vivoで使用することに成功した(2’−O−メチルの場合では、ニュージーランドで第1相臨床試験が成功;モルフォリノを用いた第1相臨床試験は、UKで進行中である)。しかし、このアプローチ法には、合成AOの定期的な投与が必要であり、そして、全身送達が十分に達成されなかったという欠点がある。

代わりのアプローチ法は、アンチセンスRNA分子としてベクターからin situで対象配列を合成することである。しかし、「治療」アンチセンスRNA分子のin vivo産生は、安定性及び細胞内局在性などの多くの問題がある。スプライシング反応に関与することが知られている核内低分子RNA(snRNA)を、キャリアーとして使用して、これらの制限を克服することができる。最近の報告では、ジストロフィン遺伝子のエクソン23又はエクソン51のいずれかのスプライス部位に対するアンチセンス配列を有するU7 snRNAが、mdx及びΔ48−50DMD細胞のそれぞれにおいて、in vitro並びにin vivoでジストロフィン合成を誘導することが示された。

欠失に隣接する(いずれかの側の)単一エクソンのスキッピング理論的に有効とされる、アウトオブフレーム欠失を有する全てのDMD患者でin silico研究が行われた。興味深いことに、エクソン51のスキッピングは、事例(即ち、Δ45−50、Δ47−50、Δ48−50、Δ49−50、Δ50及びΔ52)の22%において、ミニジストロフィンを修復することが予測される。結果として得られるトランケートされたタンパク質が、これらがいくつかのBMD患者で確認される欠失に相当することから、少なくとも部分的に機能的であることが期待される。さらに、わずかではあるが、Δ51−52及びΔ48−51のインフレーム欠失を有する健常男性が確認された。選択患者のエクソン51のスキッピングにより、機能的なより短いジストロフィンが産生され、これによって、表現型が改善されるだろう。

精神遅滞は、DMDと関連することが多い症状であり、神経細胞においてジストロフィンが欠乏することにより引き起こされる。従って、脳において半機能性ジストロフィンをレスキューすることで、認識障害を修復又は改善することができる。

脊髄性筋萎縮症SMA)は、一般的に、1990年、5番染色体q11.2−13.3上にマッピングされた生存運動ニューロン(SMN)遺伝子において共通する遺伝子欠損から生じる様々な障害を指す。ヒトの5番染色体は、SMN遺伝子の2コピー、SMN1及びSMN2の大きな重複を含有する。

SMAは、遺伝的な新生児死亡の最も一般的な要因である。SMNが関連するSMAの全ての形態は、約1/6,000の合計発生率を有する。遺伝子頻度はおよそ1:80であり、約40人に1人がキャリアーである。キャリアーの健康への影響は知られておらず、その可能性を検討するために知りうる唯一の方法は、血縁者が罹患することである。

SMAは、脊髄及び脳幹の運動ニューロンの喪失を特徴とする。一般的に、症状が早い段階で現れるほど、予想される寿命は短くなる。一度症状が現れると、運動ニューロン細胞が急速に壊死する。SMAの全ての形態が、共通して、脱神経により引き起こされる筋力低下、即ち、神経刺激の喪失に起因して収縮シグナルが失われることによる筋萎縮を有する。脊髄性筋萎縮症は、運動ニューロンのみが冒される。感覚脱失に起因する感覚障害及び運動神経喪失に起因する筋力低下の両方を一緒に引き起こす遺伝性障害が、シャルコー・マリー・トゥース又は遺伝性運動感覚ニューロパシー包括的に分類されることが知られている。

SMAの進行は、筋力低下の重症度に直接関連する。SMAの重症型の幼児は、呼吸を維持する筋肉の脆弱が原因の呼吸器疾患死亡することが多い。SMAの軽症型の子供は、生来かなり長く生きることができるが、特に、軽症型の中でもより重症者は広範な医療サポートが必要であろう。

重度小児SMA又はウェルドニッヒ・ホフマン病としても知られているI型SMAは最も重症であり、生後1年以内に現れる。この型は、一般的に、生後早く、そして突然発症する;I型SMAであると診断された新生児は、一般的に、1年以上生存することはできない。肺炎は、生存運動ニューロンの壊死に起因する最終的な死亡原因と考えられる;運動ニューロン死は、主要な身体の器官ステム、特に、呼吸器(例えば、呼吸及び肺内に溜まった分泌物の除去)の機能不全を引き起こす。II型SMA(又は中間SMA)では、子供は、起立及び歩行はできないが、一生の一定期間は座位を維持することができることが記載される。筋力低下の発生は、通常、6〜18か月の時期に認められる。筋力低下は、個体の一生にわたってゆっくりと徐々に拡大する。III型SMA患者は、少しは歩行することができる。

SMAは、典型的に、機能性SMN1遺伝子が少なくとも1コピーあるかどうかを決定する生存運動ニューロン(SMN)遺伝子試験で診断される。SMN1遺伝子は、完全にプロセッシングされたmRNAにおいてエクソン7及び8が存在するかどうかにより、よく類似するSMN2遺伝子と区別される。SMN2遺伝子は、また、低レベルであるがタンパク質製造の効率を低下させる突然変異を含有する。SMAは、両方の染色体からのSMN1遺伝子の喪失及び機能性SMN1タンパク質の喪失を補完するSMN2タンパク質の機能不全により引き起こされる。

SMA治療薬を開発するための現在の戦略には、SMN2レベルを増大させるか、残りのSMN2機能を増強させるか、あるいは、SMN1活性の喪失を補完する薬物の同定が挙げられる。ブチラートバルプロ酸ヒドロキシウレア及びリルゾール(Rilutek(登録商標)、Sanofi Aventis)などの薬物が、SMAを処置するための臨床研究段階にある。遺伝子置換戦略が動物で試験されているが、現在のSMAの処置は、慢性的運動ユニット喪失の二次的な影響を予防及び管理することからなる。現在のところ、SMAの進行を修正する公知の薬物はなく、そして、SMAの遺伝子置換は、ヒトに応用することができるまでにさらに何年もの調査期間が必要となる可能性が高い。

筋緊張性ジストロフィーDM)は、生後〜老齢期までのいずれの年齢においても現れる可能性のある慢性的でゆっくり進行する、非常に多様な遺伝性多臓器疾患である。筋緊張性ジストロフィーは、成人が発症する筋ジストロフィーの最も一般的な型であり、デュシェンヌ型筋ジストロフィー後のいずれかの骨格筋疾患で二番目に最も一般的な型である。DMは、筋肉の萎縮(筋ジストロフィー)、後虹色白内障(眼のレンズ混濁)、心伝導系障害、内分泌変化及びミオトニー(筋肉の弛緩困難)を特徴とする。

現在、DNA解析により同定可能な2つのよく知られたタイプの成人発症DMがある:筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)は、一般的に、新生児で重症化しうる先天性型及び子供が発症する型を有するシュタイネルト病と呼ばれる。筋緊張性ジストロフィー2型(DM2)は、PROMM又は近位型筋緊張性ミオパチーとしても知られている。筋緊張性ジストロフィーのさらなる型(例えば、DM3、DM4、DMX)も疑われるが、これらの存在は未だ確認されていない。DM1及びDM2は、両方とも緩徐変性状態を示すと考えられるが、DM2は、一般的にDM1よりも軽症であると考えられる。

症状の兆候は、型(DM1/DM2)、重症度、そして異常なDM2表現型によって大きく変化する。DM1患者は、ミオトニー、重症の遠位筋力低下及び重度の認知障害を呈することが多い。DM2患者は、一般的に、筋肉痛凝り、疲労又は下肢近位脱力の発症を呈する(Day et al. Neurology 60(4): 657-64 (2003))。筋力低下の特徴的なパターンは、DM1とDM2の場合で異なる。DM1では、顔及び顎筋眼瞼下垂眼瞼下垂症)、頸筋の筋力低下、手及び下肢で見られる。DM2では、筋力低下は、近位筋、即ち、身体の胴体、肩、股関節屈筋及び太股に近い筋肉でより顕著である。

DM1の症状には、睡眠過剰(日中の眠気)、筋萎縮、嚥下障害及び呼吸不全が含まれる。DM1患者は、DM2患者よりも多様な認知障害を経験しうる。何型を有するか、そして、重症度に依存して、DM1の認知障害は、発育遅延、学習障害、言語、会話挙動無気力症又は睡眠過剰に及びうる。DM2の認知症状には、実行機能(即ち、組織化、集中、単語発見など)及び睡眠過剰に関する障害が含まれる。

DM1では、疾患遺伝子は、DMPK(筋緊張性ジストロフィープロテインキナーゼ)と呼ばれ、骨格筋で発現するセリントレオニンプロテインキナーゼをコードする。その遺伝子は、19番染色体の長腕に位置する。DM1では、DMPK遺伝子は、シトシンチミングアニン(CTG)の三塩基反復配列を特徴とする。反復配列の数は、ヒトによって大きく変化するが、健常者の平均は5〜37である。DNAの反復配列が細胞分裂の間に修復又は複製される時、細胞機構がずれ、三塩基反復配列の余分なコピーが配列に追加されることがある。DMPK遺伝子に37を超える三塩基反復配列があると、その配列は不安定になりずれがよく起こるようになる。

DM1患者は50を超える、そして、2000ものCTG反復配列を有しうる。その結果、DM1を有する個体の反復配列のサイズが、配偶子形成又は初期胚発生過程で一般的により大きくなり、これにより、罹患した成人の子供が、典型的に、配偶子形成過程でのずれに起因してその親よりも大きな伸長を示す(この現象は表現促進と呼ばれる)。より大きな伸長を示す個体は障害の発症がより早く、より重度の表現型を呈する。

DM2は、同様に3番染色体q21上のZNF9遺伝子の欠損により引き起こされる。DM2の反復配列の伸長は、DM1の場合に比べ極めて大きく(75〜11,000を超える反復配列)、そして4つのヌクレオチドの反復配列が関係する。しかし、DM1とは異なり、DM2においては、反復DNAの伸長のサイズは、発症の年齢又は疾患の重症度に影響があるように思われない。表現促進は、DM2では重要でないように思われる。

現在のところ、筋緊張性ジストロフィーに特化した治療又は処置法はない。心臓障害、白内障及びその症状を伴う他の異常は処置することができるが、治癒することはできない。しかし、ミオトニー、疼痛及び過剰な眠気などの症状のいくつかを軽減することができる医学介入及び薬物治療がある。ハイスループットスクリーニング及びアンチセンス療法などの分野の研究は、将来に向けてより効果的な標的処置に希望を与えている。筋肉特異的クロライドチャネル1(ClC−1)の改変スプライシングは、DM1の筋緊張性の表現型に影響を与え、ClC−1のmRNAのスプライシングを改変するモルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用したマウスモデルにおいては可逆的である(Wheeler et al., J. Clin. Invest. 117(12):3952-7 (2007))。

デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症及びスタイナート筋緊張性ジストロフィーに対する治療モダリティの研究が進行中であるにもかかわらず、これらの疾患を処置するための有効な化合物及び治療方法が緊急に求められている。

本開示の概要
本開示は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症及びスタイナート筋緊張性ジストロフィーなどの疾患を処置するための、トリシクロ−DNA(tc−DNA)アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)及びtc−DNA AONを用いる方法を提供することによりこれらの及び他の関連する必要性を満たす。

本発明は、また、一般的に、対象にtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記対象の中枢神経系の細胞における異常遺伝子発現を修正する方法であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記異常発現を修正するのに十分な量で対象に末梢投与される、方法に関する。

本発明は、また、対象にtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記対象の中枢神経系における異常遺伝子発現により引き起こされる遺伝子疾患を処置するための方法であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記異常発現を修正するのに有効な量で対象に末梢投与される、方法に関する。

本発明は、また、tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒト遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記組成物が薬学的に許容しうる賦形剤をさらに含む、医薬組成物に関する。

本発明は、また、対象の中枢神経系における異常遺伝子発現により引き起こされる遺伝子疾患の処置に使用するためのtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記異常発現を修正するのに有効な量で対象に末梢投与される、tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。

本明細書で使用される、用語「末梢投与」は、処置を必要とする対象の中枢神経系に直接注射することを意図しない任意の投与経路を含むがこれらに限定されない。さらに具体的には、末梢投与は、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、腹腔内(i.p.)、動脈内、皮下又は経皮注射などの全身注射を含む。

本発明は、また、神経筋疾患又は筋骨格疾患の処置に使用するためのtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。用いられるtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書下記でさらに詳細に記載する。さらに具体的には、該tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書で示される特定のtc−DNAの一つであることができる。

神経筋疾患又は筋骨格疾患は、遺伝子の変化から生じうるものであって、前記変化は、
エクソンのインフレーム突然変異、遺伝子の翻訳リーディングフレームを破壊する突然変異、
前記遺伝子によりコードされるmRNAにおける異常エクソンのインクルージョンにより補完されうる有害突然変異であって、tc−DNAは、前記遺伝子によりコードされるプレ−mRNAに存在するISS又はTSLに相補的であり、そして、異常エクソンのインクルージョンを促進する、突然変異、又は、
前記遺伝子によりコードされるmRNAにおいて有害な3’CUG増幅を生じる突然変異である。

特定の実施態様においては、変化がエクソンのインフレーム突然変異である場合、前記tc−DNAは、前記エクソンのスキッピングを促進することができる。別の実施態様においては、変化が遺伝子の翻訳リーディングフレームを破壊する突然変異である場合、前記tc−DNAは、遺伝子のリーディングフレームを修復するためにエクソンのスキッピングを促進することができる。別の実施態様においては、変化が前記遺伝子によりコードされるmRNAにおいて有害な3’CUG増幅を生じる突然変異である場合、前記tc−DNA AONは、前記増幅を含有するmRNAを破壊することができる。

本明細書に示されるtc−DNA AONは、例えば、より慣習的な2’−O−メチル−ホスホロチオエート又はモルフォリノ化学を用いるDNA AONと比較して、相補的プレ−mRNAとの向上したハイブリダイゼーション特性を示す拘束されたDNA AONである。2’−O−メチル−ホスホロチオエート又はモルフォリノDNA AONは、典型的に、特異的なプレ−mRNA標的ハイブリダイゼーションを達成するために20〜24ヌクレオチドを必要とするが、本開示のtc−DNA AONは、10〜18ヌクレオチド長、より広範には、約6〜約22ヌクレオチド長、特に、8〜20ヌクレオチド長で特異的なプレ−mRNA標的ハイブリダイゼーションを可能にする。

以下により詳細に記載するように、エクソンスキッピングは、核内で、プレ−mRNAの成熟過程において達成される。それは、プレ−mRNA内のエクソン決定配列に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を使用することによる、標的エクソンのスプライシングに関与する鍵配列のマスキングを含む。本明細書においては、ジストロフィンプレ−mRNA内のイントロン−エクソン接合部におけるスプライス部位、あるいは、より一般的には、エクソン決定に使用される部位のマスキングによるエクソンスキッピングに適切に用いることができ、これにより、プレ−mRNAから成熟mRNAへのプロセッシング過程において有害なエクソンの除去が促進される、tc−DNA AONが提供される。このようなtc−DNA AONは、ナンセンス、終始、フレームシフト突然変異を含有するエクソン配列又は有害な潜在性エクソンを含有するイントロン配列を含む突然変異ジストロフィン遺伝子のオープンリーディングフレームを修復することによりデュシェンヌ型筋ジストロフィーの処置で使用することができるであろう。

例えば、ジストロフィン遺伝子のエクソン23又はエクソン51内のナンセンス突然変異又はフレームシフト突然変異は、カルボキシ末端がトランケートされた、非機能性ジストロフィンタンパク質を生成する。本明細書に開示のtc−DNA AONは、イントロン23又はイントロン51におけるジストロフィンプレ−mRNAのスプライスドナー部位を含むヌクレオチド、そして、エクソン23又はエクソン51に隣接する5’ヌクレオチドにハイブリダイズすることにより、突然変異エクソン23又はエクソン51の成熟mRNA転写産物へのインクルージョンを抑制することができる。その成熟mRNA転写産物の発現により、エクソン23又はエクソン51によりコードされるアミノ酸が欠失しているが、これらの欠失アミノ酸のN−末端及びC−末端側の両方にジストロフィンアミノ酸を含有する機能性ジストロフィンタンパク質が生成され、従って、半機能性「擬ジストロフィン」が構成される。

ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程においてエクソンをスキッピングするための、本明細書に開示のtc−DNA AONは、約6〜約22ヌクレオチド、特に、約8〜20トリシクロヌクレオチド、特に、10〜18トリシクロヌクレオチドを含有し、tc−DNA AONの8〜16ヌクレオチドは、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロンスプライスドナー部位に相補的であり、tc−DNA AONの2〜8ヌクレオチドは、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン領域に相補的であり、そして、イントロンスプライスドナー部位は、エクソン領域の5’側に隣接している。特定の態様の範囲内において、tc−DNA AONは、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドであり、イントロンスプライスドナー部位に相補的である6〜14ヌクレオチド及びエクソン領域に相補的である2〜5ヌクレオチドを含む。しかし、より長いtc−DNA AONを、ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程におけるエクソンスキッピングを達成するために適切に用いることができることが理解されるであろう。

本明細書において、ジストロフィンプレ−mRNA内の突然変異エクソン23のスキッピングのために設計されたtc−DNA AONが例示される。tc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−AACCCGGCTTACCT−3’(M23D(+02−13)、配列番号1)を含み、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロン23の3’末端でヌクレオチドに、そして、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン23に隣接する5’末端でヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする。また、ジストロフィンプレ−mRNA内の突然変異エクソン51のスキッピングのために設計されたtc−DNA AONが提供される。tc−DNA AONは、5’−AGAAATGCCATTTC−3’(H51(+68+82)、配列番号2)、5’−AAATGCCATCTTCCT−3’(H51(+70+84)、配列番号3)及び5’−TGCCATCTTCCTTGA−3’(H51(+73+87)、配列番号4)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含み、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロン51の3’末端でヌクレオチドに、そして、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン51の5’末端でヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。

下記の命名が本明細書で使用される:「M」は、マウスを指し、「H」は、ヒトを指し、「23」及び「51」は、特定のエクソンを指し、「D」は、ドナー部位を指し、「A」は、アクセプター部位を指し、「+」の後の数字は、エクソン配列のヌクレオチドの数を示し、そして、「−」の後の数字は、フランキングエクソンのヌクレオチドの数を示す。従って、例えば、M23D(+02−13)は、tc−DNA AONが、エクソン23の3’−末端ヌクレオチドを2個及びイントロン23の5’−末端ヌクレオチドを13個包含し、AONが、マウスジストロフィンのエクソン23のドナースプライス部位をマスキングすることができることを表し、H51(+68+82)は、tc−DNA AONが、ヒトジストロフィンのエクソン51のヌクレオチド数68〜ヌクレオチド数82にわたることを表す。

本開示の他の態様は、生存運動ニューロン2(SMN2)プレ−mRNA内のイントロンサイレンシング配列(ISS)又は末端ステムループ(TSL)をマスキングするために適切に用いることができるtc−DNA AONを提供する。このようなtc−DNA AONは、SMN2プレ−mRNAの成熟mRNAへのプロセッシング過程における異常エクソンのインクルージョンを促進する。結果として得られる修飾された機能性SMN2タンパク質は、インクルージョンされた異常エクソンによりコードされるアミノ酸配列を含有する。このような修飾された機能性SMN2タンパク質は、非機能性SMN1タンパク質を補完することができ、そして、in vivoで発現される場合、SMN1遺伝子の突然変異により引き起こされる脊髄性筋萎縮症を少なくとも部分的に改善することができる。

例えば、SMN2のエクソン7は、典型的に、対応するプレ−mRNAのプロセッシングにより成熟mRNA転写産物から除かれるが、エクソン7の付加は、突然変異SMN1タンパク質に対し機能性を補完することができる修飾された機能性SMN2タンパク質を生成する。tc−DNA AONは、SMN2プレ−mRNA内のSMN2のISS又はTSLを含むヌクレオチドにハイブリダイズすることにより、エクソン7の成熟mRNA転写産物へのインクルージョンを促進することができる。その成熟mRNA転写産物の発現により、エクソン7によりコードされるアミノ酸並びに含まれるアミノ酸のN−末端及びC−末端側の両方に他の全てのSMN2アミノ酸を含む修飾された機能性SMN2タンパク質が生成される。

従って、本開示は、SMN2プレ−mRNAのプロセッシング過程におけるエクソン7のインクルージョンを促進するためのtc−DNA AONであって、tc−DNA AONが、6〜22トリシクロヌクレオチド長、具体的には、8〜20トリシクロヌクレオチド長、さらに具体的には、10〜18トリシクロヌクレオチド長であり、そして、tc−DNA AONが、SMN2プレ−mRNAのイントロンサイレンサー配列(ISS)又は末端ステムループ(TSL)に相補的である、tc−DNA AONを提供する。このようなtc−DNA AONは、13〜17ヌクレオチド、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドであることができる。本明細書において、SMN2プレ−mRNAのISSに相補的であり、そして、エクソン7のプロセッシングされたSMN2のmRNAへのインクルージョンを促進するために用いることができる、15−ヌクレオチド配列5’−CUUUCAUAAUGCUGG−3’(SMN2i7(10;25)、配列番号5)を含むtc−DNA AONが例示される。また、本明細書において、SMN2プレ−mRNAのTSL2に相補的であり、そして、エクソン7のプロセッシングされたSMN2のmRNAへのインクルージョンを促進するために用いることができる、13−ヌクレオチド配列5’−UUAAUUUAAGGAA−3’(SMN2e7(39;51)、配列番号6)を含むtc−DNA AONが例示される。また、本明細書に示されるtc−DNA AONの組み合わせを用いることができることが理解されるであろう。

本開示のなおさらなる態様は、突然変異DM1のmRNAの破壊を促進するために適切に用いることができるtc−DNA AONを提供する。このようなtc−DNA AONは、9〜27トリシクロヌクレオチドを含み、tc−DNA AONは、有害な3’CUG増幅(n>50)を含む突然変異DM1のmRNAに相補的であり、そして、tc−DNA AONは、前記DM1のmRNAのRNase介在破壊を促進することができる。tc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−CAG−3’(配列番号7)の3〜9;4〜8;又は5、6若しくは7の連続反復配列を含むことができる。突然変異DM1の破壊を促進するための典型的なtc−DNA AONは、15−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG5)、配列番号8)を含む。突然変異DM1の破壊を促進するための別の典型的なtc−DNA AONは、21−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG7)、配列番号9)を含む。

他の態様においては、本開示は、ジストロフィンmRNAから突然変異エクソンを除去するための方法、SMN2のmRNA内における異常エクソンをインクルーディングするための方法及び細胞において病理数の3’CUG増幅を含むDM1のmRNAを破壊するための方法を提供する。これらの各方法は、細胞を、本明細書に開示されるようなtc−DNA AONと接触させる工程を含む。

特定の実施態様の範囲内において、ジストロフィンプレ−mRNAを発現する細胞を、6〜22トリシクロヌクレオチド長、具体的には、8〜20トリシクロヌクレオチド、さらに具体的には、10〜18トリシクロヌクレオチドを含有するtc−DNA AONと接触させる工程を含む、ジストロフィンmRNAから突然変異エクソンを除去するための方法であって、tc−DNA AONの8〜16ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロンスプライスドナー部位に相補的であり、tc−DNA AONの2〜8ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン領域に相補的であり、そして、エクソン領域が、イントロンスプライスドナー部位の3’側に隣接している、方法が提供される。典型的な方法は、細胞を、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドのtc−DNA AONと接触させる工程を含む。このような方法での使用に適切なtc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−AACCTCGGCTTACCT−3’(M23D(+02−13)、配列番号1);5’−AGAAATGCCATCTTC−3’(H51(+68+82)、配列番号2)、5’−AAATGCCATCTTCCT−3’(H51(+70+84)、配列番号3)及び5’−TGCCATCTTCCTTGA−3’(H51(+73+87)、配列番号4)を含む。

他の実施態様の範囲内において、SMN2プレ−mRNAを発現している細胞を、6〜22トリシクロヌクレオチド長、具体的には、8〜20トリシクロヌクレオチド、さらに具体的には、10〜18又は11〜18トリシクロヌクレオチドを含有するtc−DNA AONと接触させる工程を含む、SMN2のmRNA内における異常エクソンをインクルーディングするための方法であって、tc−DNA AONが、イントロン7内のISS−N1などのSMN2プレ−mRNAのイントロンサイレンサー配列(ISS)に相補的である、方法が提供される。典型的な方法は、細胞を、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドのtc−DNA AONと接触させる工程を含む。このような方法での使用に適切なtc−DNA AONは、15−ヌクレオチド配列5’−CUUUCAUAAUGCUGG−3’(SMN2i7(10;25)、配列番号5)を含む。関連する方法の範囲内において、tc−DNA AONは、エクソン7内のTSL−2などのSMN2プレ−mRNAの末端ステムループ(TSL)に相補的である。このような方法での使用に適切なtc−DNA AONは、13−ヌクレオチド配列5’−UUAAUUUAAGGAA−3’(SMN2e7(39;51)、配列番号6)を含む。

なおさらなる実施態様の範囲内において、細胞を、9〜27トリシクロヌクレオチドを含むtc−DNA AONと接触させる工程を含む、細胞において1以上の3’CUG増幅を含むDM1のmRNAを破壊するための方法であって、tc−DNA AONが、1以上の3’CUG増幅を含む突然変異DM1のmRNAに相補的であり、そして、tc−DNA AONが、DM1のmRNAのRNase介在破壊を促進することができる、方法が提供される。このような方法での使用に適切なtc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−CAG−3’(配列番号7)の3〜9;4〜8;又は5、6若しくは7の連続反復配列を含み、15−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG5)、配列番号8)を含むtc−DNA AONにより例示される。突然変異DM1の破壊を促進する別の典型的なtc−DNA AONは、21−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG7)、配列番号9)を含む。

他の態様においては、本開示は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を処置するための方法、脊髄性筋萎縮症(SMA)を処置するための方法及びスタイナート筋緊張性ジストロフィー(SD)を処置するための方法を提供する。これらの各方法は、患者に、ジストロフィンmRNAから突然変異エクソンを除去するために、SMN2のmRNA内における異常エクソンをインクルーディングするために、又は、1以上の3’CUG増幅を含むDM1のmRNAを破壊するために、本明細書に開示されるようなtc−DNA AONを投与する工程を用いる。

本開示のこれらの及び他の実施態様、特徴並びに利点は、本明細書以下に記載する詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。

概要

プレ−mRNAのプロセッシング過程において生じるスプライシングイベントを改変するための、トリシクロ−DNA(tc−DNA)AON及びtc−DNA AONを用いる方法を提供する。プレ−mRNAのプロセッシング過程におけるエクソンスキッピングを促進するために、あるいは、イントロンサイレンサー配列及び/又は末端ステムループ配列をマスキングするために、並びに、プロセッシングされたmRNAのRNase介在破壊を標的化するために使用することができるトリシクロ−DNA(tc−DNA)AONが記載される。本明細書に記載のtc−DNA AONは、ジストロフィンタンパク質の機能を修復するための、ジストロフィン遺伝子内の突然変異エクソン23又はエクソン51をスキッピングすることによる、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを処置するための方法;非機能性SMN1タンパク質を少なくとも部分的に補完することができる、エクソン7によりコードされるアミノ酸配列を含む修飾された機能性SMN2タンパク質を生成するための、SMN2遺伝子内のイントロンサイレンシング配列及び/又は末端ステムループ配列をマスキングすることによる、脊髄性筋萎縮症を処置するための方法;並びに、3’−末端のCUG反復配列を含む突然変異DM1のmRNAの破壊を標的化することによる、スタイナート筋緊張性ジストロフィーを処置するための方法で使用することができる。

目的

代わりのアプローチ法は、アンチセンスRNA分子としてベクターからin situで対象配列を合成することである

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

10〜18トリシクロヌクレオチドを含有する、ジストロフィンプレmRNAプロセッシング過程におけるエクソンスキッピングを促進するためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(tc−DNAAON)であって、前記tc−DNAAONの8〜16又は6〜14ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロンスプライスドナー部位相補的であり、前記tc−DNAAONの2〜8ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン領域に相補的であり、そして、前記イントロンスプライスドナー部位が、前記エクソン領域の5’側に隣接している、tc−DNAAON。

請求項2

前記tc−DNAAONが、(i)12〜16ヌクレオチド;(ii)13〜15ヌクレオチド;及び(iii)15ヌクレオチドからなる群より選択される長さを有する、請求項1に記載のtc−DNAAON。

請求項3

前記tc−DNAAONが、前記イントロンスプライスドナー部位に相補的である6〜14ヌクレオチドを含む、請求項1に記載のtc−DNAAON。

請求項4

前記tc−DNAAONが、前記エクソン領域に相補的である2〜5ヌクレオチドを含む、請求項1に記載のtc−DNAAON。

請求項5

前記ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程においてスキッピングされるエクソンが、エクソン23又はエクソン51である、請求項1に記載のtc−DNAAON。

請求項6

スキッピングされるエクソンがエクソン23である場合、ヌクレオチド配列5’−AACCCGGCTTACCT−3’(配列番号1)を含むか、あるいは、M23D(+02−13)(配列番号1)であり、そして、スキッピングされるエクソンがエクソン51である場合、5’−AGAAATGCCATTTC−3’(配列番号2)、5’−AAATGCCATCTTCCT−3’(配列番号3)及び5’−TGCCATCTTCCTTGA−3’(配列番号4)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むか、あるいは、H51(+68+82)(配列番号2)、H51(+70+84)(配列番号3)又はH51(+73+87)(配列番号4)である、請求項5に記載のtc−DNAAON。

請求項7

10〜18トリシクロヌクレオチドを含有する、SMN2プレ−mRNAのプロセッシング過程における異常エクソンのインクルージョンを促進するためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(tc−DNAAON)であって、前記tc−DNAAONが、SMN2プレ−mRNAのイントロンサイレンサー配列(ISS)に相補的である、tc−DNAAON。

請求項8

前記tc−DNAAONが、(i)12〜16ヌクレオチド;(ii)13〜15ヌクレオチド;及び(iii)15ヌクレオチドからなる群より選択される長さを有する、請求項7に記載のtc−DNAAON。

請求項9

前記SMN2プレ−mRNAにおける前記異常エクソンがエクソン7であり、そして、前記イントロンサイレンサー配列がISS−N1である、請求項7に記載のtc−DNAAON。

請求項10

前記tc−DNAAONが、ヌクレオチド配列5’−CUUUCAUAAUGCUGG−3’(配列番号5)を含むか、あるいは、SMN2i7(10;25)(配列番号5)である、請求項9に記載のtc−DNAAON。

請求項11

10〜18トリシクロヌクレオチドからなる、SMN2プレ−mRNAのプロセッシング過程における異常エクソンのインクルージョンを促進するためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(tc−DNAAON)であって、前記tc−DNAAONが、SMN2プレ−mRNAの末端ステムループ(TSL)に相補的である、tc−DNAAON。

請求項12

前記tc−DNAAONが、(i)12〜16ヌクレオチド;(ii)13〜15ヌクレオチド;及び(iii)13ヌクレオチドからなる群より選択される長さを有する、請求項11に記載のtc−DNAAON。

請求項13

前記SMN2プレ−mRNAにおける前記異常エクソンがエクソン7であり、そして、前記末端ステムループがTSL2である、請求項11に記載のtc−DNAAON。

請求項14

前記tc−DNAAONが、ヌクレオチド配列5’−UUAAUUUAAGGAA−3’(配列番号6)を含むか、あるいは、SMN2e7(39;51)(配列番号6)である、請求項13に記載のtc−DNAAON。

請求項15

ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程におけるエクソンのスキッピングを促進するための組成物であって、(a)10〜18トリシクロヌクレオチドを含有するトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(tc−DNAAON)であって、前記tc−DNAAONの8〜16ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロンスプライスドナー部位に相補的であり、前記tc−DNAAONの2〜8ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン領域に相補的であり、そして、前記エクソン領域が、前記イントロンスプライスドナー部位の3’側に隣接している、tc−DNAAON;及び(b)細胞デリバリー剤を含む組成物。

請求項16

SMN2プレ−mRNAのプロセッシング過程における異常エクソンのインクルージョンを促進するための組成物であって、(a)10〜18トリシクロヌクレオチドを含有するトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(tc−DNAAON)であって、前記tc−DNAAONが、SMN2プレ−mRNAのイントロンサイレンサー配列(ISS)に相補的である、tc−DNAAON;及び(b)細胞デリバリー剤を含む組成物。

請求項17

SMN2プレ−mRNAのプロセッシング過程における異常エクソンのインクルージョンを促進するための組成物であって、(a)10〜18トリシクロヌクレオチドを含有するトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(tc−DNAAON)であって、前記tc−DNAAONが、SMN2プレ−mRNAの末端ステムループ(TSL)に相補的である、tc−DNAAON;及び(b)細胞デリバリー剤を含む組成物。

請求項18

ジストロフィンプレ−mRNAを発現する細胞を、10〜18トリシクロヌクレオチドを含有するトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(tc−DNAAON)と接触させる工程を含む、ジストロフィンmRNAから突然変異エクソンを除去するための方法であって、前記tc−DNAAONの8〜16ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロンスプライスドナー部位に相補的であり、前記tc−DNAAONの2〜8ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン領域に相補的であり、そして、前記エクソン領域が、前記イントロンスプライスドナー部位の3’側に隣接している、方法。

請求項19

前記tc−DNAAONが、(i)12〜16ヌクレオチド;(ii)13〜15ヌクレオチド;及び(iii)15ヌクレオチドからなる群より選択される長さを有する、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程においてスキッピングされるエクソンがエクソン23である、請求項18に記載の方法。

請求項21

前記tc−DNAAONが、ヌクレオチド配列5’−AACCTCGGCTTACCT−3’(配列番号1)を含むか、あるいは、M23D(+02−13)(配列番号1)である、請求項20に記載の方法。

請求項22

前記ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程においてスキッピングされる前記エクソンがエクソン51である、請求項18に記載の方法。

請求項23

前記tc−DNAAONが、5’−AGAAATGCCATCTTC−3’(配列番号2)、5’−AAATGCCATCTTCCT−3’(配列番号3)及び5’−TGCCATCTTCCTTGA−3’(配列番号4)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むか、あるいは、H51(+68+82)(配列番号2)、H51(+70+84)(配列番号3)又はH51(+73+87)(配列番号4)である、請求項22に記載の方法。

請求項24

SMN2プレ−mRNAを発現している細胞を、11〜18ヌクレオチドを含有するtc−DNAAONと接触させる工程を含む、SMN2のmRNA内における異常エクソンをインクルーディングするための方法であって、前記tc−DNAAONが、SMN2プレ−mRNAのイントロンサイレンサー配列(ISS)に相補的である、方法。

請求項25

前記tc−DNAAONが、(i)12〜16ヌクレオチド;(ii)13〜15ヌクレオチド;及び(iii)15ヌクレオチドからなる群より選択される長さを有する、請求項24に記載の方法。

請求項26

前記SMN2プレ−mRNAにおける前記異常エクソンがエクソン7である、請求項24に記載の方法。

請求項27

前記イントロンサイレンサー配列がISS−N1である、請求項24に記載の方法。

請求項28

前記tc−DNAAONが、ヌクレオチド配列5’−CUUUCAUAAUGCUGG−3’(配列番号5)を含むか、あるいは、SMN2i7(10;25)(配列番号5)である、請求項27に記載の方法。

請求項29

SMN2プレ−mRNAを発現している細胞を、11〜18ヌクレオチドを含有するtc−DNAAONと接触させる工程を含む、SMN2のmRNA内における異常エクソンをインクルーディングするための方法であって、前記tc−DNAAONが、SMN2プレ−mRNAの末端ステムループ(TSL)に相補的である、方法。

請求項30

前記tc−DNAAONが、(i)12〜16ヌクレオチド;(ii)13〜15ヌクレオチド;及び(iii)13ヌクレオチドからなる群より選択される長さを有する、請求項29に記載の方法。

請求項31

前記SMN2プレ−mRNAにおける前記異常エクソンがエクソン7である、請求項29に記載の方法。

請求項32

前記末端ステムループがTSL2である、請求項29に記載の方法。

請求項33

前記tc−DNAAONが、ヌクレオチド配列5’−UUAAUUUAAGGAA−3’(配列番号6)を含むか、あるいは、SMN2e7(39;51)(配列番号6)である、請求項32に記載の方法。

請求項34

患者にトリシクロ−DNA(tc−DNA)アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を投与する工程を含む、前記患者におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィーDMD)を処置するための方法であって、前記tc−DNAAONが、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロン−エクソン接合部に相補的であるヌクレオチド配列を含み;前記イントロン−エクソン接合部が、エクソンの5’側にあるイントロンスプライスドナー部位を含み;前記エクソンが、野生型ヌクレオチド配列を有するエクソンと比較して、ナンセンス突然変異又はフレームシフト突然変異を含み;前記tc−DNAAONが、前記ジストロフィンプレ−mRNAの成熟mRNAへのプロセッシング過程における前記エクソンのスキッピングを促進する、方法。

請求項35

前記tc−DNAAONが、(i)11〜18ヌクレオチド又は(ii)15ヌクレオチドからなる群より選択される長さを有する、請求項34に記載の方法。

請求項36

前記トリシクロ−DNAオリゴヌクレオチドが、イントロン内のスプライスドナー部位に相補的である6〜10ヌクレオチドを含む、請求項34に記載の方法。

請求項37

前記トリシクロ−DNAオリゴヌクレオチドが、前記エクソン内の5’ヌクレオチドに相補的である6〜10ヌクレオチドを含む、請求項34に記載の方法。

請求項38

前記エクソンにおける前記突然変異が、ナンセンス突然変異又はフレームシフト突然変異である、請求項34に記載の方法。

請求項39

患者にトリシクロ−DNAオリゴヌクレオチドを投与する工程を含む、前記患者におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィーを処置するための方法であって、前記トリシクロ−DNAオリゴヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNA内のイントロン−エクソン接合部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、前記イントロン−エクソン接合部が、前記ジストロフィンプレ−mRNAのイントロン51内にスプライスドナー部位、そして、隣接するエクソン51内に5’ヌクレオチドを含み、前記ジストロフィンプレ−mRNAが、前記エクソン51において突然変異を含み、そして、前記トリシクロ−DNAオリゴヌクレオチドが、前記エクソン51のスキッピングに介在することができる、方法。

請求項40

前記イントロン−エクソン接合部が、配列番号1の配列を含む、請求項39に記載の方法。

請求項41

前記トリシクロ−DNAオリゴヌクレオチドが、12〜20ヌクレオチドを含む、請求項39に記載の方法。

請求項42

前記トリシクロ−DNAオリゴヌクレオチドが、15ヌクレオチドである、請求項41に記載の方法。

請求項43

前記エクソン51における前記突然変異が、ナンセンス突然変異又はフレームシフト突然変異である、請求項39に記載の方法。

請求項44

前記トリシクロ−DNAオリゴヌクレオチドが、配列番号2の配列を含む、請求項39に記載の方法。

請求項45

12〜21トリシクロヌクレオチドを含む、突然変異DM1のmRNAの破壊を促進するためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(tc−DNAAON)であって、前記tc−DNAAONが、1以上の3’CUG増幅を含む突然変異DM1のmRNAに相補的であり、そして、前記tc−DNAAONが、前記DM1のmRNAのRNaseH介在破壊を促進することができる、tc−DNAAON。

請求項46

前記tc−DNAAONが、ヌクレオチド配列5’−CAG−3’(配列番号7)の4〜7の連続反復配列を含む、請求項45に記載のtc−DNAAON。

請求項47

前記tc−DNAAONが、ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAG−3’(配列番号8)を含む、請求項46に記載のtc−DNAAON。

請求項48

前記tc−DNAAONが、DM1(CAG5)(配列番号8)である、請求項47に記載のtc−DNAAON。

請求項49

前記tc−DNAAONが、ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG−3’(配列番号9)を含むか、あるいは、DM1(CAG7)(配列番号9)である、請求項46に記載のtc−DNAAON。

請求項50

細胞を、12〜21トリシクロヌクレオチドを含むtc−DNAAONと接触させる工程を含む、前記細胞における1以上の3’CUG増幅を含むDM1のmRNAを破壊するための方法であって、前記tc−DNAAONが、1以上の3’CUG増幅を含む突然変異DM1のmRNAに相補的であり、そして、前記tc−DNAAONが、前記DM1のmRNAのRNaseH介在破壊を促進することができる、方法。

請求項51

患者に、12〜21トリシクロヌクレオチドを含むtc−DNAAONを投与する工程を含む、前記患者におけるスタイナート筋緊張性ジストロフィーを処置するための方法であって、前記tc−DNAAONが、1以上の3’CUG増幅を含む突然変異DM1のmRNAに相補的であり、そして、前記tc−DNAAONが、前記DM1のmRNAのRNaseH介在破壊を促進することができる、方法。

請求項52

対象に、tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記対象の中枢神経系の細胞における異常遺伝子発現修正するための方法であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記異常発現を修正するのに十分な量で対象に末梢投与される、方法。

請求項53

対象に、tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記対象の中枢神経系における異常遺伝子発現により引き起こされる遺伝子疾患を処置するための方法であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記異常発現を修正するのに有効な量で対象に末梢投与される、方法。

請求項54

tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒト遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記組成物が、薬学的に許容しうる賦形剤をさらに含む、医薬組成物。

請求項55

対象の中枢神経系における異常遺伝子発現により引き起こされる遺伝子疾患の処置に使用するための、tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記異常発現を修正するのに有効な量で対象に末梢投与される、医薬組成物。

請求項56

前記異常遺伝子発現が、神経筋障害又は筋骨格障害をもたらす、請求項52に記載の方法。

請求項57

前記疾患が神経筋障害又は筋骨格障害である、請求項53に記載の方法。

請求項58

神経筋疾患又は筋骨格疾患の処置に使用するためのtc−DNAAON。

請求項59

神経筋疾患又は筋骨格疾患が遺伝子の変化により生じる、請求項58に記載のtc−DNAAONであって、前記変化が、エクソンのインフレーム突然変異、遺伝子の翻訳リーディングフレームを破壊する突然変異であって、tc−DNAが、リーディングフレームを修復するためにエクソンのスキッピングを促進する、突然変異;前記遺伝子によりコードされるmRNAにおける異常エクソンのインクルージョンにより補完されうる有害突然変異であって、tc−DNAが、前記遺伝子によりコードされるプレ−mRNAに存在するISS又はTSLに相補的であり、そして、異常エクソンのインクルージョンを促進する、突然変異、又は、前記遺伝子によりコードされるmRNAにおいて有害な3’CUG増幅を生じる突然変異である、tc−DNAAON。

請求項60

前記変化が、エクソンのインフレーム突然変異であり、前記エクソンのスキッピングを促進する、請求項59に記載のtc−DNAAON。

請求項61

前記変化が、遺伝子の翻訳リーディングフレームを破壊する突然変異であり、遺伝子のリーディングフレームを修復するためにエクソンのスキッピングを促進する、請求項59に記載のtc−DNAAON。

請求項62

前記変化が、前記遺伝子によりコードされるmRNAにおける異常エクソンのインクルージョンにより補完されうる有害突然変異であり、そして、tc−DNAAONが、(i)前記遺伝子によりコードされるプレ−mRNAに存在するISS又はTSLに相補的であり、そして、(ii)異常エクソンのインクルージョンを促進する、請求項59に記載のtc−DNAAON。

請求項63

前記変化が、前記遺伝子によりコードされるmRNAにおいて有害な3’CUG増幅を生じる突然変異であり、そして、前記tc−DNAAONが、前記増幅を含有するmRNAを破壊する、請求項59に記載のtc−DNAAON。

請求項64

前記異常遺伝子発現が、エクソンのインフレーム突然変異、遺伝子の翻訳リーディングフレームを破壊する突然変異であって、tc−DNAが、リーディングフレームを修復するためにエクソンのスキッピングを促進する、突然変異;前記遺伝子によりコードされるmRNAにおける異常エクソンのインクルージョンにより補完されうる有害突然変異であって、tc−DNAが、前記遺伝子によりコードされるプレ−mRNAに存在するISS又はTSLに相補的であり、そして、異常エクソンのインクルージョンを促進する、突然変異、又は、前記遺伝子によりコードされるmRNAにおいて有害な3’CUG増幅の存在を生じる突然変異から引き起こされる、請求項52〜54のいずれか一項に記載の方法。

請求項65

前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、請求項1〜14及び45〜49のいずれか一項に記載されるとおりである、請求項52若しくは53に記載の方法又は請求項58に記載の使用。

技術分野

0001

本開示は、一般的に、プレmRNAプロセッシング過程において生じるスプライシングイベント改変するための、あるいは、例えば、3’又は5’CUG、CAG及び/又はCCUGなどの反復配列を含有する突然変異mRNAの発現ダウンレギュレーションするための、合成アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)、並びに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる方法に関する。さらに具体的には、プレ−mRNAのプロセッシング過程におけるエクソンスキッピングの促進に、プレ−mRNAにおけるイントロンサイレンサー配列及び/又はステムループ配列のマスキングに、並びに、mRNAのRNase介在破壊の標的化に有効なトリシクロ−DNA(tc−DNA)AONが本明細書で開示される。ジストロフィンタンパク質の機能を修復するための、ジストロフィン遺伝子内の突然変異エクソン23又はエクソン51などの突然変異エクソンをスキッピングすることによる、デュシェンヌ型筋ジストロフィー処置するための方法で使用することができるtc−DNA AONが本明細書で記載される。また、非機能性SMN1タンパク質を少なくとも部分的に補完することができるエクソン7によりコードされるアミノ酸配列を含む、修飾された機能性SMN2タンパク質を生成するための、SMN2遺伝子内のイントロンサイレンシング配列及び/又は末端ステムループ配列をマスキングすることによる、脊髄性筋萎縮症を処置するための方法で使用することができるtc−DNA AONが記載される。また、さらに、本明細書に記載のtc−DNA AONは、3’−末端CUG反復配列を含む突然変異DM1のmRNAの破壊を標的化することによる、スタイナート筋緊張性ジストロフィーを処置するための方法で使用することができる。従って、tc−DNA AON及び1つ以上の前述のアプローチ法を、ミオパチーに関連するタンパク質の機能を修復するために使用することができる。

背景技術

0002

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、民族に関係なく、児の3,500人に1人が冒される最も一般的な遺伝性ミオパチーである。頻度は低いが、児及び女性がマニフェスティングキャリアーデュシェンヌ様症状を呈する可能性もある。DMDによる最も重要な影響は、筋線維が非常にもろくなり、そして、通常の筋活動筋組織全般的な損傷を引き起こすことである。DMD、並びに、多くの筋ジストロフィーで観察される終点は、変性がゆっくり進行してほぼ完全に脂肪浸潤を伴う線維症に至ることである。脊椎変形及び呼吸困難により、1960年代平均余命は約15年であった。心臓合併症がない場合では、現在、管理方法(即ち、関節固定及び気管切開換気法)の改善により平均余命が30年に伸びた。

0003

DMDの臨床症状は18か月〜3で現れ、歩行や登る能力遅延、床からの起立困難、異常に肥大したふくらはぎなどが見られる。約5〜6年で、筋収縮が足、及び股関節に起こる。疾患の進行は継続的な筋萎縮を特徴とし、約9〜12年で歩行不能となる。さらに、デュシェンヌ型の男児の中には精神遅滞を呈するものもあり、これにより、欠損タンパク質が中枢神経系にも関与していることが示唆される。

0004

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、X染色体連鎖劣性欠損症である。DMD遺伝子座は、1986年、ジストロフィンと呼ばれるタンパク質をコードする遺伝子のポジショナルクローニングアプローチ法により、X染色体(Xp21.2−OMIMid:310200)上に確認された。ジストロフィン遺伝子で突然変異が起こると、横紋筋でジストロフィンの産生ができなくなる。罹患男児の母の2/3が、ジストロフィン突然変異のキャリアーである可能性があり、一方で、患者の約1/3がデノボ突然変異を有する。DMDの男児の半数以上が、複数のエクソンが含まれる大きなゲノム欠失を示し;これらの数人は、大きな配列重複を有する。また、確認が困難な点突然変異又は極めて小さな欠失若しくは重複を有する場合もある。

0005

しかし、突然変異の程度は、表現型重症度直接関係していない。中途終止コドン及びその後の翻訳の失敗をもたらすアウトオブフレーム欠失又はナンセンス突然変異は、重症の表現型を特徴とするジストロフィン欠損を生じる。インフレーム欠失は、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)として知られる軽症のミオパシーに関与している。

0006

約2.5百万塩基対のDMD遺伝子座は、これまでに検出された最も長い遺伝子であるが、わずか約14,000塩基対が、79個のエクソンに広がるコード配列を含有する。完全長ジストロフィン(DP427)は、全ての筋肉で発現される427kDaの細胞骨格タンパク質であるが、様々なタンパク質アイソトープ(DP260、DP140、DP116、DP71)が、それぞれ、イントロン29、43、55及び62に位置する4つの内部プロモーターにより、組織特異的に、異なる使用頻度網膜、中枢神経系、末梢神経系及び非筋肉組織)で生成される。

0007

完全長ジストロフィンは、筋原線維細胞骨格を細胞外マトリックスに結合させることによる筋線維の膜完全性の維持に関与する筋細胞膜糖タンパク質複合体(SGC)に不可欠な成分である。配列解析から、ジストロフィンタンパク質にはいくつかのドメイン及び反復配列が必要であることが予測された。概略すると、N−末端のアクチンハイブリダイズ部位(N−ABD);フレキシビリティを付与しうる4個のヒンジセグメント(H)を含有する中心状ドメイン(RD;24個のスペクトリン様反復配列を有する);及び、C−末端(CT)近傍のDPCの他のメンバーに結合するシステインリッチドメインCRD)が存在する。

0008

構造/機能解析により、タンパク質機能に極めて重要なドメインが同定された。これは、エクソン17〜48(コード配列の46%)の欠失が含まれる軽度の疾患を有する患者において生じる内部欠失により実証された(England et al., Nature 343(6254):180-2 (1990))。これは、過去10年間、遺伝子導入実験幅広く使用された機能性「ミニジストロフィン」の概念をもたらした。現在、CRDが不可欠である一方で、N−ABD及びCTドメインが除去されると中程度の機能喪失が引き起こされることが認められている。RDの変化は、トランケートの程度及び性質に依存して多様な表現型をもたらす。例えば、RDが欠損したジストロフィン(ΔR1−R24)は機能的ではないが、一方で、24個の内8個の完全なスペクトリン様反復配列を保持するトランケートされたジストロフィン(ΔH2−R19)は、完全な活性を有するタンパク質を生じる。

0009

デュシェンヌ型筋ジストロフィーのための十分に特徴づけられた2種類の遺伝子動物モデルがある。mdxマウスは、ジストロフィン遺伝子のエクソン23に、完全長の野生型ジストロフィンタンパク質合成を妨げるナンセンス突然変異を有する。mdxマウスは、機構損傷を修復するための再生過程を維持することができる、変性を抑制する代償機構を示す。mdxマウスは、DMDの症状を示さず、その生存期間はほとんど正常である。

0010

GRMD(ゴールデントリーバ筋ジストロフィー)イヌは、イントロン6に、リーディングフレームを破壊するスプライス部位突然変異を有することにより機能性ジストロフィンが欠如している。GRMDは、ヒトのDMDと同様に、進行性線維変性によって、顕著な筋内膜及び筋周囲線維化を伴う骨格筋萎縮に必然的に至る。GRMDは、DMD様の表現型をもつことから、依然としてDMDの潜在的治療法の評価のための最も有用なモデルとなっている。

0011

DMDの発症に関連するジストロフィン遺伝子の突然変異が同定及び特徴づけられ、そして、有望な治療薬剤試験するための適切な動物モデル系が利用可能であるにも関わらず、この疾患を処置するための組成物及び方法が当技術分野において引き続き求められている。過去10年にわたる研究の中には、デュシェンヌ型の男児においてステロイド処置(プレドニゾン及びデフラザコート)の有効性を支持しているものもあるが、広範な統計学的評価はまだ十分に完了していない。また、ゲンタマイシン薬物を用いて中途終止コドン突然変異を薬理学的に誘導させたリードスルーは、5%以下のDMD患者に有効である可能性がある。mdxマウスモデルの前臨床試験の結果が論争中であるにも関わらず、臨床試験がアメリカ及びイタリアで実施されている。PTCTherapeuticsにより開発された新規な薬物(PTC124)がより有望であると思われる。また、喪失したジストロフィンの機能を補完することができる薬物、その成分であるジストロフィン様タンパク質ユートロフィンを使用してユートロフィン遺伝子アップレギュレーションする研究が進行中である。

0012

他にも多くの調査手段がある;例としては、最近、ブロッキング抗体を使用することによりミオスタチン拮抗させて、mdxマウスの筋力を向上させることができたことが示された。このアプローチ法は、最初、正常筋芽細胞を罹患筋肉に複数回注射することに基づいていた(Partridge et al., Nature 337(6203):176-9 (1989))。その後の臨床試験(1991〜98年)は失敗に終わったが、細胞製造及び送達手順の改良によりカナダにおいて新たな第1相試験が可能になった(2002年)。また、最近の進展において、遺伝子修復の詳細がまだ不確かであるにも関わらず、骨髄又は血管のいずれかに由来する幹細胞が、全身経路を介して骨格筋を標的化することができる証拠が提供された。

0013

DMDの遺伝子療法は、媒体として遺伝子ベクターを使用する、骨格線維へのジストロフィンミニ遺伝子のin situ送達に依存している。ネイキッド完全長cDNAを入れたプラスミドベクターを使用した最初の予備研究が、フランスで実施された(2000〜03年)。筋遺伝子療法で試験された様々なタイプのベクターの中で、アデノウィルス随伴ウィルス(AAV)誘導ベクターが最も有望であると思われる。AAVベクターは、多くの利点を有する:(i)これらは、筋線維を含む様々な種類の細胞に感染することができる;(ii)これらは、全てのウィルス遺伝子を欠損しており、さらに、その野生型ウィルスが今までにヒトのどんな病状とも関連していないことから安全であると思われる;(iii)宿主細胞ゲノムに組み込まれる野生型AAVとは反対に、複製欠損性AAVベクターは、通常、エピソームとして残存し、従って、挿入突然変異リスク又は癌遺伝子の活性化を制限する;そして、(iv)他のベクター系とは対照的に、AAVベクターは、重大な免疫応答を引き起こさないため、治療導入遺伝子が長期間発現される(ただし、これらの遺伝子産物拒絶されなかった場合)。AAVベクターは、また、高力価で産生することができ、少なくとも齧歯動物においては、強制動脈注射を行うことで、単回注射で多くの筋肉領域に遺伝子を導入することが可能となる。AAVベクターは、全てのウィルス遺伝子を欠損しているが、これらの送達積荷は、4.5kbまでに限られる。その理由から、AAVを選択すると、完全長ジストロフィン(14kb)の代わりに約4kbのμ−ジストロフィン変異体を開発する結果に至った。これらの変異体のいくつかは、形質転換又は遺伝子導入のいずれかによりmdxモデルで有利に試験された。

0014

多くのDMD患者、並びに、mdxマウス及びGRMDイヌでは、珍しいジストロフィン陽性線維が報告された。復帰突然変異線維は時間に比例して増加するが、残念なことに、これらの復帰突然変異線維の数は有意な臨床的効果を付与するには少なすぎる。リーディングフレームがエクソンスキッピングにより修復されうることが研究により示唆されてはいるが、これらの復帰突然変異線維が生じる機構は、依然未知のままである。このような自然現象から、スプライシングに干渉、従って、エクソンスキッピングを誘導するための2’−O−メチルアンチセンスオリゴリボヌクレオチド並びにモルフォリノの使用に基づく、遺伝子修復/改変のための戦略の設計に向けた調査が促された。実際に、このアプローチ法は、in vitroのmdx、GRMD及びDMD筋肉細胞、さらに、in vivoで使用することに成功した(2’−O−メチルの場合では、ニュージーランドで第1相臨床試験が成功;モルフォリノを用いた第1相臨床試験は、UKで進行中である)。しかし、このアプローチ法には、合成AOの定期的な投与が必要であり、そして、全身送達が十分に達成されなかったという欠点がある。

0015

代わりのアプローチ法は、アンチセンスRNA分子としてベクターからin situで対象配列を合成することである。しかし、「治療」アンチセンスRNA分子のin vivo産生は、安定性及び細胞内局在性などの多くの問題がある。スプライシング反応に関与することが知られている核内低分子RNA(snRNA)を、キャリアーとして使用して、これらの制限を克服することができる。最近の報告では、ジストロフィン遺伝子のエクソン23又はエクソン51のいずれかのスプライス部位に対するアンチセンス配列を有するU7 snRNAが、mdx及びΔ48−50DMD細胞のそれぞれにおいて、in vitro並びにin vivoでジストロフィン合成を誘導することが示された。

0016

欠失に隣接する(いずれかの側の)単一エクソンのスキッピングが理論的に有効とされる、アウトオブフレーム欠失を有する全てのDMD患者でin silico研究が行われた。興味深いことに、エクソン51のスキッピングは、事例(即ち、Δ45−50、Δ47−50、Δ48−50、Δ49−50、Δ50及びΔ52)の22%において、ミニジストロフィンを修復することが予測される。結果として得られるトランケートされたタンパク質が、これらがいくつかのBMD患者で確認される欠失に相当することから、少なくとも部分的に機能的であることが期待される。さらに、わずかではあるが、Δ51−52及びΔ48−51のインフレーム欠失を有する健常男性が確認された。選択患者のエクソン51のスキッピングにより、機能的なより短いジストロフィンが産生され、これによって、表現型が改善されるだろう。

0017

精神遅滞は、DMDと関連することが多い症状であり、神経細胞においてジストロフィンが欠乏することにより引き起こされる。従って、脳において半機能性ジストロフィンをレスキューすることで、認識障害を修復又は改善することができる。

0018

脊髄性筋萎縮症(SMA)は、一般的に、1990年、5番染色体q11.2−13.3上にマッピングされた生存運動ニューロン(SMN)遺伝子において共通する遺伝子欠損から生じる様々な障害を指す。ヒトの5番染色体は、SMN遺伝子の2コピー、SMN1及びSMN2の大きな重複を含有する。

0019

SMAは、遺伝的な新生児死亡の最も一般的な要因である。SMNが関連するSMAの全ての形態は、約1/6,000の合計発生率を有する。遺伝子頻度はおよそ1:80であり、約40人に1人がキャリアーである。キャリアーの健康への影響は知られておらず、その可能性を検討するために知りうる唯一の方法は、血縁者が罹患することである。

0020

SMAは、脊髄及び脳幹の運動ニューロンの喪失を特徴とする。一般的に、症状が早い段階で現れるほど、予想される寿命は短くなる。一度症状が現れると、運動ニューロン細胞が急速に壊死する。SMAの全ての形態が、共通して、脱神経により引き起こされる筋力低下、即ち、神経刺激の喪失に起因して収縮シグナルが失われることによる筋萎縮を有する。脊髄性筋萎縮症は、運動ニューロンのみが冒される。感覚脱失に起因する感覚障害及び運動神経喪失に起因する筋力低下の両方を一緒に引き起こす遺伝性障害が、シャルコー・マリー・トゥース又は遺伝性運動感覚ニューロパシー包括的に分類されることが知られている。

0021

SMAの進行は、筋力低下の重症度に直接関連する。SMAの重症型の幼児は、呼吸を維持する筋肉の脆弱が原因の呼吸器疾患死亡することが多い。SMAの軽症型の子供は、生来かなり長く生きることができるが、特に、軽症型の中でもより重症者は広範な医療サポートが必要であろう。

0022

重度小児SMA又はウェルドニッヒ・ホフマン病としても知られているI型SMAは最も重症であり、生後1年以内に現れる。この型は、一般的に、生後早く、そして突然発症する;I型SMAであると診断された新生児は、一般的に、1年以上生存することはできない。肺炎は、生存運動ニューロンの壊死に起因する最終的な死亡原因と考えられる;運動ニューロン死は、主要な身体の器官ステム、特に、呼吸器(例えば、呼吸及び肺内に溜まった分泌物の除去)の機能不全を引き起こす。II型SMA(又は中間SMA)では、子供は、起立及び歩行はできないが、一生の一定期間は座位を維持することができることが記載される。筋力低下の発生は、通常、6〜18か月の時期に認められる。筋力低下は、個体の一生にわたってゆっくりと徐々に拡大する。III型SMA患者は、少しは歩行することができる。

0023

SMAは、典型的に、機能性SMN1遺伝子が少なくとも1コピーあるかどうかを決定する生存運動ニューロン(SMN)遺伝子試験で診断される。SMN1遺伝子は、完全にプロセッシングされたmRNAにおいてエクソン7及び8が存在するかどうかにより、よく類似するSMN2遺伝子と区別される。SMN2遺伝子は、また、低レベルであるがタンパク質製造の効率を低下させる突然変異を含有する。SMAは、両方の染色体からのSMN1遺伝子の喪失及び機能性SMN1タンパク質の喪失を補完するSMN2タンパク質の機能不全により引き起こされる。

0024

SMA治療薬を開発するための現在の戦略には、SMN2レベルを増大させるか、残りのSMN2機能を増強させるか、あるいは、SMN1活性の喪失を補完する薬物の同定が挙げられる。ブチラートバルプロ酸ヒドロキシウレア及びリルゾール(Rilutek(登録商標)、Sanofi Aventis)などの薬物が、SMAを処置するための臨床研究段階にある。遺伝子置換戦略が動物で試験されているが、現在のSMAの処置は、慢性的運動ユニット喪失の二次的な影響を予防及び管理することからなる。現在のところ、SMAの進行を修正する公知の薬物はなく、そして、SMAの遺伝子置換は、ヒトに応用することができるまでにさらに何年もの調査期間が必要となる可能性が高い。

0025

筋緊張性ジストロフィー(DM)は、生後〜老齢期までのいずれの年齢においても現れる可能性のある慢性的でゆっくり進行する、非常に多様な遺伝性多臓器疾患である。筋緊張性ジストロフィーは、成人が発症する筋ジストロフィーの最も一般的な型であり、デュシェンヌ型筋ジストロフィー後のいずれかの骨格筋疾患で二番目に最も一般的な型である。DMは、筋肉の萎縮(筋ジストロフィー)、後虹色白内障(眼のレンズ混濁)、心伝導系障害、内分泌変化及びミオトニー(筋肉の弛緩困難)を特徴とする。

0026

現在、DNA解析により同定可能な2つのよく知られたタイプの成人発症DMがある:筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)は、一般的に、新生児で重症化しうる先天性型及び子供が発症する型を有するシュタイネルト病と呼ばれる。筋緊張性ジストロフィー2型(DM2)は、PROMM又は近位型筋緊張性ミオパチーとしても知られている。筋緊張性ジストロフィーのさらなる型(例えば、DM3、DM4、DMX)も疑われるが、これらの存在は未だ確認されていない。DM1及びDM2は、両方とも緩徐変性状態を示すと考えられるが、DM2は、一般的にDM1よりも軽症であると考えられる。

0027

症状の兆候は、型(DM1/DM2)、重症度、そして異常なDM2表現型によって大きく変化する。DM1患者は、ミオトニー、重症の遠位筋力低下及び重度の認知障害を呈することが多い。DM2患者は、一般的に、筋肉痛凝り、疲労又は下肢近位脱力の発症を呈する(Day et al. Neurology 60(4): 657-64 (2003))。筋力低下の特徴的なパターンは、DM1とDM2の場合で異なる。DM1では、顔及び顎筋眼瞼下垂眼瞼下垂症)、頸筋の筋力低下、手及び下肢で見られる。DM2では、筋力低下は、近位筋、即ち、身体の胴体、肩、股関節屈筋及び太股に近い筋肉でより顕著である。

0028

DM1の症状には、睡眠過剰(日中の眠気)、筋萎縮、嚥下障害及び呼吸不全が含まれる。DM1患者は、DM2患者よりも多様な認知障害を経験しうる。何型を有するか、そして、重症度に依存して、DM1の認知障害は、発育遅延、学習障害、言語、会話挙動無気力症又は睡眠過剰に及びうる。DM2の認知症状には、実行機能(即ち、組織化、集中、単語発見など)及び睡眠過剰に関する障害が含まれる。

0029

DM1では、疾患遺伝子は、DMPK(筋緊張性ジストロフィープロテインキナーゼ)と呼ばれ、骨格筋で発現するセリントレオニンプロテインキナーゼをコードする。その遺伝子は、19番染色体の長腕に位置する。DM1では、DMPK遺伝子は、シトシンチミングアニン(CTG)の三塩基反復配列を特徴とする。反復配列の数は、ヒトによって大きく変化するが、健常者の平均は5〜37である。DNAの反復配列が細胞分裂の間に修復又は複製される時、細胞機構がずれ、三塩基反復配列の余分なコピーが配列に追加されることがある。DMPK遺伝子に37を超える三塩基反復配列があると、その配列は不安定になりずれがよく起こるようになる。

0030

DM1患者は50を超える、そして、2000ものCTG反復配列を有しうる。その結果、DM1を有する個体の反復配列のサイズが、配偶子形成又は初期胚発生過程で一般的により大きくなり、これにより、罹患した成人の子供が、典型的に、配偶子形成過程でのずれに起因してその親よりも大きな伸長を示す(この現象は表現促進と呼ばれる)。より大きな伸長を示す個体は障害の発症がより早く、より重度の表現型を呈する。

0031

DM2は、同様に3番染色体q21上のZNF9遺伝子の欠損により引き起こされる。DM2の反復配列の伸長は、DM1の場合に比べ極めて大きく(75〜11,000を超える反復配列)、そして4つのヌクレオチドの反復配列が関係する。しかし、DM1とは異なり、DM2においては、反復DNAの伸長のサイズは、発症の年齢又は疾患の重症度に影響があるように思われない。表現促進は、DM2では重要でないように思われる。

0032

現在のところ、筋緊張性ジストロフィーに特化した治療又は処置法はない。心臓障害、白内障及びその症状を伴う他の異常は処置することができるが、治癒することはできない。しかし、ミオトニー、疼痛及び過剰な眠気などの症状のいくつかを軽減することができる医学介入及び薬物治療がある。ハイスループットスクリーニング及びアンチセンス療法などの分野の研究は、将来に向けてより効果的な標的処置に希望を与えている。筋肉特異的クロライドチャネル1(ClC−1)の改変スプライシングは、DM1の筋緊張性の表現型に影響を与え、ClC−1のmRNAのスプライシングを改変するモルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用したマウスモデルにおいては可逆的である(Wheeler et al., J. Clin. Invest. 117(12):3952-7 (2007))。

0033

デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症及びスタイナート筋緊張性ジストロフィーに対する治療モダリティの研究が進行中であるにもかかわらず、これらの疾患を処置するための有効な化合物及び治療方法が緊急に求められている。

0034

本開示の概要
本開示は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症及びスタイナート筋緊張性ジストロフィーなどの疾患を処置するための、トリシクロ−DNA(tc−DNA)アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)及びtc−DNA AONを用いる方法を提供することによりこれらの及び他の関連する必要性を満たす。

0035

本発明は、また、一般的に、対象にtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記対象の中枢神経系の細胞における異常遺伝子発現を修正する方法であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記異常発現を修正するのに十分な量で対象に末梢投与される、方法に関する。

0036

本発明は、また、対象にtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記対象の中枢神経系における異常遺伝子発現により引き起こされる遺伝子疾患を処置するための方法であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記異常発現を修正するのに有効な量で対象に末梢投与される、方法に関する。

0037

本発明は、また、tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物であって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒト遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記組成物が薬学的に許容しうる賦形剤をさらに含む、医薬組成物に関する。

0038

本発明は、また、対象の中枢神経系における異常遺伝子発現により引き起こされる遺伝子疾患の処置に使用するためのtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記遺伝子によりコードされるRNAの一部に相補的であり、そして、前記tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記異常発現を修正するのに有効な量で対象に末梢投与される、tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。

0039

本明細書で使用される、用語「末梢投与」は、処置を必要とする対象の中枢神経系に直接注射することを意図しない任意の投与経路を含むがこれらに限定されない。さらに具体的には、末梢投与は、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、腹腔内(i.p.)、動脈内、皮下又は経皮注射などの全身注射を含む。

0040

本発明は、また、神経筋疾患又は筋骨格疾患の処置に使用するためのtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。用いられるtc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書下記でさらに詳細に記載する。さらに具体的には、該tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書で示される特定のtc−DNAの一つであることができる。

0041

神経筋疾患又は筋骨格疾患は、遺伝子の変化から生じうるものであって、前記変化は、
エクソンのインフレーム突然変異、遺伝子の翻訳リーディングフレームを破壊する突然変異、
前記遺伝子によりコードされるmRNAにおける異常エクソンのインクルージョンにより補完されうる有害突然変異であって、tc−DNAは、前記遺伝子によりコードされるプレ−mRNAに存在するISS又はTSLに相補的であり、そして、異常エクソンのインクルージョンを促進する、突然変異、又は、
前記遺伝子によりコードされるmRNAにおいて有害な3’CUG増幅を生じる突然変異である。

0042

特定の実施態様においては、変化がエクソンのインフレーム突然変異である場合、前記tc−DNAは、前記エクソンのスキッピングを促進することができる。別の実施態様においては、変化が遺伝子の翻訳リーディングフレームを破壊する突然変異である場合、前記tc−DNAは、遺伝子のリーディングフレームを修復するためにエクソンのスキッピングを促進することができる。別の実施態様においては、変化が前記遺伝子によりコードされるmRNAにおいて有害な3’CUG増幅を生じる突然変異である場合、前記tc−DNA AONは、前記増幅を含有するmRNAを破壊することができる。

0043

本明細書に示されるtc−DNA AONは、例えば、より慣習的な2’−O−メチル−ホスホロチオエート又はモルフォリノ化学を用いるDNA AONと比較して、相補的プレ−mRNAとの向上したハイブリダイゼーション特性を示す拘束されたDNA AONである。2’−O−メチル−ホスホロチオエート又はモルフォリノDNA AONは、典型的に、特異的なプレ−mRNA標的ハイブリダイゼーションを達成するために20〜24ヌクレオチドを必要とするが、本開示のtc−DNA AONは、10〜18ヌクレオチド長、より広範には、約6〜約22ヌクレオチド長、特に、8〜20ヌクレオチド長で特異的なプレ−mRNA標的ハイブリダイゼーションを可能にする。

0044

以下により詳細に記載するように、エクソンスキッピングは、核内で、プレ−mRNAの成熟過程において達成される。それは、プレ−mRNA内のエクソン決定配列に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を使用することによる、標的エクソンのスプライシングに関与する鍵配列のマスキングを含む。本明細書においては、ジストロフィンプレ−mRNA内のイントロン−エクソン接合部におけるスプライス部位、あるいは、より一般的には、エクソン決定に使用される部位のマスキングによるエクソンスキッピングに適切に用いることができ、これにより、プレ−mRNAから成熟mRNAへのプロセッシング過程において有害なエクソンの除去が促進される、tc−DNA AONが提供される。このようなtc−DNA AONは、ナンセンス、終始、フレームシフト突然変異を含有するエクソン配列又は有害な潜在性エクソンを含有するイントロン配列を含む突然変異ジストロフィン遺伝子のオープンリーディングフレームを修復することによりデュシェンヌ型筋ジストロフィーの処置で使用することができるであろう。

0045

例えば、ジストロフィン遺伝子のエクソン23又はエクソン51内のナンセンス突然変異又はフレームシフト突然変異は、カルボキシ末端がトランケートされた、非機能性ジストロフィンタンパク質を生成する。本明細書に開示のtc−DNA AONは、イントロン23又はイントロン51におけるジストロフィンプレ−mRNAのスプライスドナー部位を含むヌクレオチド、そして、エクソン23又はエクソン51に隣接する5’ヌクレオチドにハイブリダイズすることにより、突然変異エクソン23又はエクソン51の成熟mRNA転写産物へのインクルージョンを抑制することができる。その成熟mRNA転写産物の発現により、エクソン23又はエクソン51によりコードされるアミノ酸が欠失しているが、これらの欠失アミノ酸のN−末端及びC−末端側の両方にジストロフィンアミノ酸を含有する機能性ジストロフィンタンパク質が生成され、従って、半機能性「擬ジストロフィン」が構成される。

0046

ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程においてエクソンをスキッピングするための、本明細書に開示のtc−DNA AONは、約6〜約22ヌクレオチド、特に、約8〜20トリシクロヌクレオチド、特に、10〜18トリシクロヌクレオチドを含有し、tc−DNA AONの8〜16ヌクレオチドは、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロンスプライスドナー部位に相補的であり、tc−DNA AONの2〜8ヌクレオチドは、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン領域に相補的であり、そして、イントロンスプライスドナー部位は、エクソン領域の5’側に隣接している。特定の態様の範囲内において、tc−DNA AONは、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドであり、イントロンスプライスドナー部位に相補的である6〜14ヌクレオチド及びエクソン領域に相補的である2〜5ヌクレオチドを含む。しかし、より長いtc−DNA AONを、ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程におけるエクソンスキッピングを達成するために適切に用いることができることが理解されるであろう。

0047

本明細書において、ジストロフィンプレ−mRNA内の突然変異エクソン23のスキッピングのために設計されたtc−DNA AONが例示される。tc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−AACCCGGCTTACCT−3’(M23D(+02−13)、配列番号1)を含み、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロン23の3’末端でヌクレオチドに、そして、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン23に隣接する5’末端でヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする。また、ジストロフィンプレ−mRNA内の突然変異エクソン51のスキッピングのために設計されたtc−DNA AONが提供される。tc−DNA AONは、5’−AGAAATGCCATTTC−3’(H51(+68+82)、配列番号2)、5’−AAATGCCATCTTCCT−3’(H51(+70+84)、配列番号3)及び5’−TGCCATCTTCCTTGA−3’(H51(+73+87)、配列番号4)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含み、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロン51の3’末端でヌクレオチドに、そして、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン51の5’末端でヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。

0048

下記の命名が本明細書で使用される:「M」は、マウスを指し、「H」は、ヒトを指し、「23」及び「51」は、特定のエクソンを指し、「D」は、ドナー部位を指し、「A」は、アクセプター部位を指し、「+」の後の数字は、エクソン配列のヌクレオチドの数を示し、そして、「−」の後の数字は、フランキングエクソンのヌクレオチドの数を示す。従って、例えば、M23D(+02−13)は、tc−DNA AONが、エクソン23の3’−末端ヌクレオチドを2個及びイントロン23の5’−末端ヌクレオチドを13個包含し、AONが、マウスジストロフィンのエクソン23のドナースプライス部位をマスキングすることができることを表し、H51(+68+82)は、tc−DNA AONが、ヒトジストロフィンのエクソン51のヌクレオチド数68〜ヌクレオチド数82にわたることを表す。

0049

本開示の他の態様は、生存運動ニューロン2(SMN2)プレ−mRNA内のイントロンサイレンシング配列(ISS)又は末端ステムループ(TSL)をマスキングするために適切に用いることができるtc−DNA AONを提供する。このようなtc−DNA AONは、SMN2プレ−mRNAの成熟mRNAへのプロセッシング過程における異常エクソンのインクルージョンを促進する。結果として得られる修飾された機能性SMN2タンパク質は、インクルージョンされた異常エクソンによりコードされるアミノ酸配列を含有する。このような修飾された機能性SMN2タンパク質は、非機能性SMN1タンパク質を補完することができ、そして、in vivoで発現される場合、SMN1遺伝子の突然変異により引き起こされる脊髄性筋萎縮症を少なくとも部分的に改善することができる。

0050

例えば、SMN2のエクソン7は、典型的に、対応するプレ−mRNAのプロセッシングにより成熟mRNA転写産物から除かれるが、エクソン7の付加は、突然変異SMN1タンパク質に対し機能性を補完することができる修飾された機能性SMN2タンパク質を生成する。tc−DNA AONは、SMN2プレ−mRNA内のSMN2のISS又はTSLを含むヌクレオチドにハイブリダイズすることにより、エクソン7の成熟mRNA転写産物へのインクルージョンを促進することができる。その成熟mRNA転写産物の発現により、エクソン7によりコードされるアミノ酸並びに含まれるアミノ酸のN−末端及びC−末端側の両方に他の全てのSMN2アミノ酸を含む修飾された機能性SMN2タンパク質が生成される。

0051

従って、本開示は、SMN2プレ−mRNAのプロセッシング過程におけるエクソン7のインクルージョンを促進するためのtc−DNA AONであって、tc−DNA AONが、6〜22トリシクロヌクレオチド長、具体的には、8〜20トリシクロヌクレオチド長、さらに具体的には、10〜18トリシクロヌクレオチド長であり、そして、tc−DNA AONが、SMN2プレ−mRNAのイントロンサイレンサー配列(ISS)又は末端ステムループ(TSL)に相補的である、tc−DNA AONを提供する。このようなtc−DNA AONは、13〜17ヌクレオチド、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドであることができる。本明細書において、SMN2プレ−mRNAのISSに相補的であり、そして、エクソン7のプロセッシングされたSMN2のmRNAへのインクルージョンを促進するために用いることができる、15−ヌクレオチド配列5’−CUUUCAUAAUGCUGG−3’(SMN2i7(10;25)、配列番号5)を含むtc−DNA AONが例示される。また、本明細書において、SMN2プレ−mRNAのTSL2に相補的であり、そして、エクソン7のプロセッシングされたSMN2のmRNAへのインクルージョンを促進するために用いることができる、13−ヌクレオチド配列5’−UUAAUUUAAGGAA−3’(SMN2e7(39;51)、配列番号6)を含むtc−DNA AONが例示される。また、本明細書に示されるtc−DNA AONの組み合わせを用いることができることが理解されるであろう。

0052

本開示のなおさらなる態様は、突然変異DM1のmRNAの破壊を促進するために適切に用いることができるtc−DNA AONを提供する。このようなtc−DNA AONは、9〜27トリシクロヌクレオチドを含み、tc−DNA AONは、有害な3’CUG増幅(n>50)を含む突然変異DM1のmRNAに相補的であり、そして、tc−DNA AONは、前記DM1のmRNAのRNase介在破壊を促進することができる。tc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−CAG−3’(配列番号7)の3〜9;4〜8;又は5、6若しくは7の連続反復配列を含むことができる。突然変異DM1の破壊を促進するための典型的なtc−DNA AONは、15−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG5)、配列番号8)を含む。突然変異DM1の破壊を促進するための別の典型的なtc−DNA AONは、21−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG7)、配列番号9)を含む。

0053

他の態様においては、本開示は、ジストロフィンmRNAから突然変異エクソンを除去するための方法、SMN2のmRNA内における異常エクソンをインクルーディングするための方法及び細胞において病理数の3’CUG増幅を含むDM1のmRNAを破壊するための方法を提供する。これらの各方法は、細胞を、本明細書に開示されるようなtc−DNA AONと接触させる工程を含む。

0054

特定の実施態様の範囲内において、ジストロフィンプレ−mRNAを発現する細胞を、6〜22トリシクロヌクレオチド長、具体的には、8〜20トリシクロヌクレオチド、さらに具体的には、10〜18トリシクロヌクレオチドを含有するtc−DNA AONと接触させる工程を含む、ジストロフィンmRNAから突然変異エクソンを除去するための方法であって、tc−DNA AONの8〜16ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロンスプライスドナー部位に相補的であり、tc−DNA AONの2〜8ヌクレオチドが、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン領域に相補的であり、そして、エクソン領域が、イントロンスプライスドナー部位の3’側に隣接している、方法が提供される。典型的な方法は、細胞を、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドのtc−DNA AONと接触させる工程を含む。このような方法での使用に適切なtc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−AACCTCGGCTTACCT−3’(M23D(+02−13)、配列番号1);5’−AGAAATGCCATCTTC−3’(H51(+68+82)、配列番号2)、5’−AAATGCCATCTTCCT−3’(H51(+70+84)、配列番号3)及び5’−TGCCATCTTCCTTGA−3’(H51(+73+87)、配列番号4)を含む。

0055

他の実施態様の範囲内において、SMN2プレ−mRNAを発現している細胞を、6〜22トリシクロヌクレオチド長、具体的には、8〜20トリシクロヌクレオチド、さらに具体的には、10〜18又は11〜18トリシクロヌクレオチドを含有するtc−DNA AONと接触させる工程を含む、SMN2のmRNA内における異常エクソンをインクルーディングするための方法であって、tc−DNA AONが、イントロン7内のISS−N1などのSMN2プレ−mRNAのイントロンサイレンサー配列(ISS)に相補的である、方法が提供される。典型的な方法は、細胞を、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドのtc−DNA AONと接触させる工程を含む。このような方法での使用に適切なtc−DNA AONは、15−ヌクレオチド配列5’−CUUUCAUAAUGCUGG−3’(SMN2i7(10;25)、配列番号5)を含む。関連する方法の範囲内において、tc−DNA AONは、エクソン7内のTSL−2などのSMN2プレ−mRNAの末端ステムループ(TSL)に相補的である。このような方法での使用に適切なtc−DNA AONは、13−ヌクレオチド配列5’−UUAAUUUAAGGAA−3’(SMN2e7(39;51)、配列番号6)を含む。

0056

なおさらなる実施態様の範囲内において、細胞を、9〜27トリシクロヌクレオチドを含むtc−DNA AONと接触させる工程を含む、細胞において1以上の3’CUG増幅を含むDM1のmRNAを破壊するための方法であって、tc−DNA AONが、1以上の3’CUG増幅を含む突然変異DM1のmRNAに相補的であり、そして、tc−DNA AONが、DM1のmRNAのRNase介在破壊を促進することができる、方法が提供される。このような方法での使用に適切なtc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−CAG−3’(配列番号7)の3〜9;4〜8;又は5、6若しくは7の連続反復配列を含み、15−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG5)、配列番号8)を含むtc−DNA AONにより例示される。突然変異DM1の破壊を促進する別の典型的なtc−DNA AONは、21−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG7)、配列番号9)を含む。

0057

他の態様においては、本開示は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を処置するための方法、脊髄性筋萎縮症(SMA)を処置するための方法及びスタイナート筋緊張性ジストロフィー(SD)を処置するための方法を提供する。これらの各方法は、患者に、ジストロフィンmRNAから突然変異エクソンを除去するために、SMN2のmRNA内における異常エクソンをインクルーディングするために、又は、1以上の3’CUG増幅を含むDM1のmRNAを破壊するために、本明細書に開示されるようなtc−DNA AONを投与する工程を用いる。

0058

本開示のこれらの及び他の実施態様、特徴並びに利点は、本明細書以下に記載する詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。

図面の簡単な説明

0059

図1は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの作製で使用される様々な合成ヌクレオチドの表である。
図2は、トリシクロ−DNA(tc−DNA)の構造を表す。
図3は、mdxマウスが、ジストロフィン遺伝子のエクソン23に機能性ジストロフィンの合成を妨げるナンセンス突然変異を有することを示すダイアグラムである。エクソン23は、CからTの突然変異が終始コドン(TAA)を作製する反復配列R6及びR7を一部コードする。M23D(+02−13)で示される、エクソン23の下流のドナースプライス部位におけるエクソンスキッピングのための15ヌクレオチドのtc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−AACCTCGGCTTACCT−3’(配列番号1)を有し、配列5’−エクソン23…TCAGgtaagccgaggtttggcc…イントロン23−3’(配列番号2)(大文字はエクソンヌクレオチドを表し、小文字はイントロンヌクレオチドを表す)で定義される標的のジストロフィンプレ−mRNAのエクソン23/イントロン23接合部にハイブリダイズする。
図4は、オリゴフェクタミンの添加又は非添加で、1、2及び10μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)を用いてトランスフェクトしたmdxの筋管における、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン23のスキッピングを示すネステッドRTPCR反応アガロースゲルである。48時間後、培養物回収、処理してmRNAを抽出した。
図5は、オリゴフェクタミンの存在下で、0.5、1、2、5及び10μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)を用いてトランスフェクトしたmdxの筋管における、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン23のスキッピングを示すネステッドRT−PCR反応のアガロースゲルである。48時間後、培養物を回収、処理してmRNAを抽出した。
図6は、オリゴフェクタミンの存在下で、5μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)を用いてトランスフェクトしたmdxの筋管における、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン23のスキッピングを示すネステッドRT−PCR反応のアガロースゲルである。トランスフェクション後0日目〜15日目の培養物を回収、処理してmRNAを抽出した。
図7は、100、80、40、20、10及び5μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)を含有する50μlのPBSリン酸緩衝食塩水)を前脛骨筋に注射した8週齢のmdxマウスにおける、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン23のスキッピングを示すネステッドRT−PCR反応のアガロースゲルである。3週間後に動物を屠殺し、筋肉試料を処理してmRNA解析を行った。
図8は、10μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)を含有する50μlのPBS(リン酸緩衝食塩水)を前脛骨筋に注射した8週齢のmdxマウスにおける、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン23のスキッピングを示すRT−PCR反応のアガロースゲルである。4、10及び20週間後に動物を屠殺し、筋肉試料を処理してmRNA解析を行った。
図9は、10μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)を含有する50μlのPBS(リン酸緩衝食塩水)を注射した8週齢のmdxマウス由来の前脛骨筋組織の横断面における、ジストロフィンの免疫染色の顕微鏡写真である。4、10及び20週間後に動物を屠殺し、筋肉試料を処理して免疫染色を行った。
図10は、正常マウス及びtc−DNA AON M23D(+02−13)を海馬又は脳脊髄液内に注射したmdxマウスのCNSにおける、ジストロフィンの免疫染色である。A−B−Cは、正常、mdx及び20μgのtc−DNA M23D(+02−13)で処理した、単回髄腔内注射1か月後のmdxの海馬レベルを示す断面である。D−E−Fは、正常、mdx及び200μgのtc−DNA M23D(+02−13)で処理した、脳脊髄液内に送達した1か月後のmdxの小脳レベルを示す断面である。核は、DAPIで対比染色する。
図11は、プレ−mRNAの成熟mRNAへの一般的なプロセッシングのダイアグラム表示である。
図12は、様々なtc−DNA AONを含有する50μlのPBS(リン酸緩衝食塩水)を前脛骨筋に注射した8〜10週齢のhDMDマウスにおける、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン51のスキッピングを示すネステッドRT−PCR反応のアガロースゲルである。
図13は、SMN1及びSMN2遺伝子のイントロン−エクソン構造及び染色体上の位置のダイアグラム表示である。
図14は、mRNAスプライシングに影響するエクソン7を主に欠損するSMN2における点突然変異(C6T)のダイアグラム表示である。
図15は、イントロン6−エクソン7境界でのスプライスアクセプター(「SA」)7及びエクソン7−イントロン7境界でのスプライスドナー(SD)7の使用を改良することにより、SMN2において、増加したエクソン7のインクルージョンのダイアグラム表示である。
図16は、SMN1及びSMN2のエクソン7の構造のダイアグラム表示である。
図17は、SMN1及びSMN2のエクソン7の構造におけるtc−DNA AON SMN2e7(39;51)(配列番号6)の標的配列及び相加効果のダイアグラム表示である。配列5’−UUAAUUUAAGGAAUGUG−3’を有するtc−DNA AON SMN2e7(39;51)は、SMN2における末端ステムループ2の構造を破壊する可能性が高く、これにより、SMN1及びSMN2におけるエクソン7のインクルージョンが増加する。
図18は、SMN1及びSMN2のエクソン7のインクルージョンにおけるtc−DNA AON SMN2i7(10;25)(配列番号5)の標的配列及び相加効果のダイアグラム表示である。配列5’−CACUUUCAUAAUGCUGG−3’を有するtc−DNA AON SMN2i7(10;25)は、イントロンサイレンサー配列(「ISS」)−N1の認識を妨げる可能性が高く、エクソン7−イントロン7境界での5’スプライス部位の認識を可能にする。EXINCTは、拡張阻害状況(EXtended INhibitory ContexT)を指す。広範な突然変異解析に基づき、C6Uは、エクソン7決定に影響する拡張阻害状況を生成することが示された。
図19は、SMA患者由来線維芽細胞(G03813細胞株)のSMN2におけるエクソン7のインクルージョンを示す、RT−PCR反応のアガロースゲル(パネルB)及び正規化プロット(パネルA)である。48時間後、培養物を回収、処理してmRNAを抽出した。単純線は、疑似処理した(mock treated)コントロール細胞に相当し、破線は、tc−DNA AON SMN2i7(10;25)(tc−I7と呼ばれる)処理細胞に相当し、点線は、tc−DNA AON SMN2e7(39;51)(tc−TSLと呼ばれる)処理細胞に相当する。各線おいて、プロットを、SMN1+SMN2(完全長)+SMN2(Δ7)の総数に従って正規化した。
図19は、SMA患者由来の線維芽細胞(G03813細胞株)のSMN2におけるエクソン7のインクルージョンを示す、RT−PCR反応のアガロースゲル(パネルB)及び正規化プロット(パネルA)である。48時間後、培養物を回収、処理してmRNAを抽出した。単純線は、疑似処理した(mock treated)コントロール細胞に相当し、破線は、tc−DNA AON SMN2i7(10;25)(tc−I7と呼ばれる)処理細胞に相当し、点線は、tc−DNA AON SMN2e7(39;51)(tc−TSLと呼ばれる)処理細胞に相当する。各線おいて、プロットを、SMN1+SMN2(完全長)+SMN2(Δ7)の総数に従って正規化した。
パネルCは、指定のtc−DNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクトしたG03813細胞におけるSMNレベルを示すウエスタンブロットである。アクチンは、ローディングコントロールとして示される。注目すべきは、tc−DNA AON SMN2i7(10;25)(tc−ISS7と呼ばれる)及びtc−DNA AON SMN2e7(39;51)(tc−TSLと呼ばれる)のSMN2産生に及ぼす相加効果である。
パネルDは、tc−TSL処理細胞におけるSMNの核局在化黒色ドット)を示す顕微鏡写真である。核は、DAPIで対比染色する。
図20(パネルA)は、in vitroでDM1筋芽細胞にトランスフェクトされるtc−DNA AON DM1(CAG7)(tc−DNA(CAG)7と呼ばれる)の量の増加とともに、減少する変異体ヒトDMPKのmRNAレベルを示すノーザンブロットである。3日後、培養物を回収、処理してmRNAを抽出し、ノーザンブロット解析を行った。
パネルBは、変異体DMPKのmRNAの正常DMPKのmRNAに対する比を反映する定量プロットである。
図21(パネルA)は、700CUG反復配列を有するヒトDMPKのmRNAを発現するDM1マウスのTA筋肉に注射される、配列5’−CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG−3’(配列番号9)を有するtc−DNA AON DM1(CAG7)(tc−DNA(CAG)7と呼ばれる)の量の増加とともに、減少する変異体ヒトDMPKのmRNAレベルを示すノーザンブロットである。
パネルB及びDは、それぞれ、パネルA及びCからのノーザンブロットにおける、変異体ヒトDMPKのmRNAのマウスDMPKのmRNAに対する比を反映する定量プロットである。
パネルCは、30又は60μgのtc−DNA AON DM1(CAG7)がDM1マウス(n=4)のTA筋肉に注射された場合の、減少した変異体ヒトDMPKのmRNAレベルを示すノーザンブロットである。
パネルB及びDは、それぞれ、パネルA及びCからのノーザンブロットにおける、変異体ヒトDMPKのmRNAのマウスDMPKのmRNAに対する比を反映する定量プロットである。

0060

発明の詳細な説明
本開示は、トリシクロ−DNA(tc−DNA)アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を、ジストロフィン遺伝子内のプレ−mRNAスプライス部位をマスキングするために、SMN2遺伝子内のイントロンサイレンシング配列又は末端ステムループ配列をマスキングするために、又は、1以上の3’CUG増幅を含むDM1のmRNAを破壊するために適切に用いることができる予想外の発見に基づく。これらの発見は、一般的に、遺伝子疾患の処置において、さらに具体的には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症及びスタイナート筋緊張性ジストロフィーの処置において広範に適用される。

0061

トリシクロ−DNA(tc−DNA)は、相補的RNAに対して向上したハイブリダイズ能力を示す新しいクラスの拘束されたDNA類似体に属する(Ittig et al., Nucleic AcidsRes. 32:346-353 (2004); Ittig et al., Prague, Academy of Sciences of the Czech Republic. 7:21-26 (Coll. Symp. Series, Hocec, M., 2005); Ivanova et al., Oligonucleotide 17:54-65 (2007); Renneberg et al., Nucleic Acids Res. 30:2751-2757 (2002); Renneberg et al., Chembiochem. 5:1114-1118 (2004);及びRenneberg et al., JACS. 124:5993-6002 (2002))。本明細書に開示のプレ−mRNA/tc−DNA AONヘテロ二本鎖はRNaseHに耐性を示し、結果として、標的プレ−mRNAの破壊が抑制される。トリシクロ−DNA化学の利点は、その骨格構造的特性により、相補的ヌクレオチド配列との高親和性及び高特異的なハイブリダイゼーションを保持しながらAONの長さを短くすることができることである。予想外にも、tc−DNA AONは、in vivo環境で、筋肉内適用を用いて、マイクログラム用量で有利に使用することができる。これは、従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド技術に必要な用量の少なくとも10倍低い用量である。さらに、tc−DNAは、短いアンチセンス長で十分な活性を保持する。従って、例えば、13〜15ヌクレオチドのtc−DNA AONは、本開示で例示するように、ex vivo及びin vivo適用において極めて有効である。

0062

本明細書に記載のtc−DNA AONは、また、例えば、2’−O−メチル−ホスホロチオエート又はモルフォリノ化学などの既存のアンチセンスオリゴヌクレオチド化学と比較して、増加したin vivo安定性を示す。従って、例えば、本開示のtc−DNA AONの単回筋肉内注射は、in vivoにおいて、投与後20週間以上効果が維持される。

0063

さらに、そして、実に驚くべきことに、M23D(+02−13)で示されるtc−DNA AONで例示されるような、本開示のtc−DNA AONは、実質内若しくは脳室内投与を介して又はクモ膜下腔への投与のいずれかにより、中枢神経系(CNS)に送達され、海馬CA1のニューロン内又は脳又は小脳皮質のニューロン内の突然変異ジストロフィン遺伝子などの突然変異遺伝子を修復することができる。従って、本明細書に記載のtc−DNA AONは、上衣境界を効率的に横断することができることが示される。

0064

本開示は、下記の定義を参照することにより最もよく理解できるであろう:

0065

定義
本明細書で使用される、用語「トリシクロ−DNA(tc−DNA)」は、各ヌクレオチドが、シクロプロパン環の導入により修飾され、骨格の立体配置フレキシビリティが制限され、そして、ねじれ角γの骨格配置が最適化された、拘束されたDNA類似体のクラスを指す。ホモ塩基アデニン及びチミン含有tc−DNAは、相補的RNAと非常に安定なA−T塩基対合を形成する。

0066

本明細書で使用される、用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)」は、相補的ヌクレオチド配列を有するプレ−mRNA又はmRNAと相互作用及び/又はハイブリダイズし、それによって遺伝子発現を改変することができるオリゴヌクレオチドを指す。酵素依存性アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的mRNAを分解するRNaseH活性に依存性であり、一本鎖DNA、RNA及びホスホロチオエートアンチセンスの形態を含む。立体ブロッキングアンチセンスオリゴヌクレオチド(RNaseH非依存性アンチセンス)は、mRNAの標的配列と結合することにより、遺伝子発現又は他のmRNA依存性細胞プロセスに干渉する。立体ブロッキングアンチセンスには、2’−O−アルキルアンチセンスオリゴヌクレオチド、モルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチド及びトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書に記載するように、特定の適用の範囲内で、tc−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、1以上の3’CUG増幅を含むDM1のmRNAのRNase介在破壊などの酵素依存性適用に用いることができる。

0067

本明細書で使用される、「相補的」は、核酸分子が、別の核酸分子と相補的ヌクレオシド又はヌクレオチド間で、従来のワトソンクリック塩基対合又は他の非従来型対合(例えば、Hoogsteen又は逆Hoogsteen水素結合)のいずれかにより、水素結合を形成することができることを指す。本開示のtc−DNA AONに関して、tc−DNA AONのその相補的配列との結合自由エネルギーは、tc−DNA AONの適切な機能を進行させるのに十分であり、そして、特異的結合が求められる条件下、即ち、ex vivo又はin vivo治療的処置の場合では、生理学的条件下で、tc−DNA AONの非標的配列への非特異的結合を回避するために十分な相補性レベルがある。核酸分子の結合自由エネルギーの決定は、当技術分野で公知である(例えば、Turner et al., CSH Symp. Quant. Biol. LII:123-133 (1987); Frier et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 83:9373-77 (1986);及びTurner et al., J. Am. Chem. Soc. 109:3783-3785 (1987)参照)。従って、「相補的」(又は特異的にハイブリダイズ可能な)は、tc−DNA AONとプレ−mRNA又はmRNA標的間で、安定で特異的な結合が形成されるように、十分な相補性又は正確な塩基対合のレベルを示す用語である。

0068

核酸分子が、特異的にハイブリダイズ可能であるために標的核酸配列に100%相補的である必要はないことは当技術分野で理解されている。つまり、2つ以上の核酸分子が、完全に相補的でなくてもよい。相補性は、第二の核酸分子と水素結合を形成することができる核酸分子の隣接残基パーセンテージで示される。例えば、第一の核酸分子が10ヌクレオチドであり、第二の核酸分子が10ヌクレオチドである場合、第一及び第二の核酸分子間の5、6、7、8、9又は10ヌクレオチドの塩基対合は、それぞれ、50%、60%、70%、80%、90%及び100%の相補性を表す。「完璧(Perfectly)」又は「完全(fully)」に相補的な核酸分子は、第一の核酸分子の隣接残基の全てが、第二の核酸分子の同じ数の隣接残基と水素結合する核酸分子を意味し、ここで、核酸分子の両方が同じ数のヌクレオチドを有する(即ち、同じ長さを有する)か又は2つの分子が異なる長さを有する。

0069

本明細書で使用される、用語「前駆体mRNA」又は「プレ−mRNA」は、1以上の介在配列(イントロン)を含有する未熟一本鎖メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を指す。プレ−mRNAは、細胞核内で、RNAポリメラーゼにより鋳型DNAから転写され、それは、イントロン及びコード領域(エクソン)の交互配列からなる。プレ−mRNAが、イントロンのスプライシング除去及びエクソンの連結により完全にプロセッシングされると、それは、エクソンのみからなるRNAである「メッセンジャーRNA」又は「mRNA」と呼ばれる。真核生物のプレ−mRNAは、完全にmRNAにプロセッシングされる前に一時的にのみ存在する。プレ−mRNAが、mRNA配列に適切にプロセッシングされると、核外輸送され、最終的に細胞質内リボソームによりタンパク質へと翻訳される。

0070

本明細書で使用される、用語「スプライシング」及び「プロセッシング」は、イントロンが除去されエクソンが連結される、転写後のプレ−mRNAの修飾を指す(図11参照)。スプライシングは、スプライセオソームと呼ばれる5つの核内低分子リボヌクレオタンパク質(snRNP)からなる巨大なRNA−タンパク質複合体触媒される一連の反応で起こる。イントロン内で、3’スプライス部位、5’スプライス部位及びブランチ部位がスプライシングに必要である。snRNPのRNA成分がイントロンと相互作用し、触媒に関与することができる。

0071

プレ−mRNAスプライシングは、2つの連続した生化学反応である。両方の反応が、スプライセオソームによるRNAヌクレオチド間のエステル交換を含む。第一の反応では、スプライセオソーム会合の間に決定されるイントロン内の特異的なブランチポイントヌクレオチドの2’−OHが、イントロンの第一のヌクレオチド上の5’スプライス部位で求核攻撃を行いラリアット中間体が形成される。第二の反応では、解放された5’エクソンの3’−OHが、イントロンの最後のヌクレオチドの3’スプライス部位で求核攻撃を行い、それによって、エクソンが連結しイントロンラリアットが切り出される。プレ−mRNAスプライシングは、イントロンサイレンサー配列(ISS)及び末端ステムループ(TSL)配列により制御される。

0072

本明細書で使用される、用語「イントロンサイレンサー配列(ISS)」及び「末端ステムループ(TSL)」は、それぞれ、プレ−mRNA内でトランス作用タンパク質ファクターの結合により選択的スプライシングをコントロールし、それによって、スプライス部位の特異的使用をもたらす、イントロン及びエクソン内の配列エレメントを指す。典型的には、イントロンサイレンサー配列は8〜16ヌクレオチドであり、エクソン−イントロン接合部でスプライス部位より保存されていない。末端ステムループ配列は、典型的には、12〜24ヌクレオチドであり、相補性、従って、結合により、12〜24ヌクレオチド配列内で第二のループ構造を形成する。

0073

本明細書で使用される、用語「脊髄性筋萎縮症(SMA)」は、それぞれが、共通して脊髄及び脳幹の運動ニューロンの喪失に起因する遺伝的要因及び筋力低下の兆候を有する、様々な臨床型の5番染色体連鎖SMAを指す。脊髄性筋萎縮症は、生存運動ニューロン遺伝子SMN1内の突然変異により引き起される。SMN1遺伝子の少なくとも1つの正常な対立遺伝子が正常な機能に必要である。

0074

SMN(生存運動ニューロン)遺伝子を含有する5番染色体の領域は、大きな重複を有する。複数の遺伝子を含有する大きな配列が隣接セグメントに2回現れる。従って、その遺伝子の2コピー、SMN1及びSMN2が存在する。SMN2遺伝子は、低レベルであるがタンパク質製造の効率を低下させるさらなる突然変異を有する。SMAは、両方の染色体からSMN1遺伝子が喪失することにより引き起こされる。SMA(SMA1〜SMA3)の重症度は、残りのSMN2遺伝子がSMN1の喪失をどの程度補完することができるかに一部関係している。しばしば、SMN2のさらなるコピーが存在し、SMN2のコピー数の増加が重症度の低い疾患に関係している。

0075

「対象」は、移植細胞のドナー若しくはレシピエントである生物又は細胞自体を意味する。「対象」は、また、本開示の核酸分子を投与することができる生物を指す。一実施態様においては、対象は、哺乳類又は哺乳類細胞である。別の実施態様においては、対象は、ヒト又はヒト細胞である。

0076

本明細書で使用される、用語「治療有効量」は、投与される対象(例えば、ヒト)において、言及された疾患、障害若しくは状態を治療又は予防するのに十分なtc−DNA AONの量を意味する。本開示のtc−DNA AONは、個別に、あるいは、他の薬物と組み合わせて又は併用して、本明細書で論じられる疾患又は状態を処置するために使用することができる。例えば、特定の疾患、障害又は状態を処置するために、tc−DNA AONを、処置に適切な条件下で、個別に、あるいは、1以上の薬物と組み合わせて、患者に投与することができるか、あるいは、当業者によく知られた他の適切な細胞に投与することができる。

0077

本明細書で使用される、語句「薬学的に許容しうる」は、分子エンティティ及び組成物が、生理学的に許容され、そして、ヒトに投与される場合、例えば、異常亢進、目まいなどのアレルギー又は同様の有害な反応を典型的に起こさないことを指す。好ましくは、本明細書で使用される、用語「薬学的に許容しうる」は、動物、さらに具体的には、ヒトでの使用で、連邦管理機関又は州政府承認される、あるいは、米国薬局方又は他の一般的に認定された薬局方に記載されることを意味する。

0078

本明細書で使用される、用語「単離された」は、言及された物質がその自然環境、例えば、細胞から除去されることを意味する。従って、単離された生体物質は、細胞成分、即ち、天然物質が自然に生じる細胞の成分(例えば、細胞質又は膜成分)の一部又は全てを含有しないことであることができる。

0079

本明細書で使用される、用語「精製された」は、物質が、無関係な物質、即ち、不純物(物質が得られる天然物質など)の存在を低減又は除去する条件下で単離されることを指す。例えば、精製されたtc−DNA AONは、好ましくは、細胞又は培養成分、例えば、組織培養成分、不純物などを実質的に含有しない。本明細書で使用される、用語「実質的に含有しない」は、物質の分析試験に関連して適宜使用される。好ましくは、不純物を実質的に含有しない精製された物質は、少なくとも50%純粋、より好ましくは、少なくとも90%純粋、さらにより好ましくは、少なくとも99%純粋である。純度は、クロマトグラフィーゲル電気泳動イムノアッセイ組成分析バイオアッセイ及び当技術分野で公知の他の方法により評価することができる。

0080

本明細書において、任意の濃度範囲パーセント範囲比率範囲又は整数範囲は、特に明記しない限り、列挙される範囲内の任意の整数の値を含み、そして、必要に応じて、その分数(整数の1/10及び1/100など)を含むものと理解される。また、ポリマーサブユニット、サイズ又は厚さ(thickness)などの任意の物理的性質に関係する、本明細書で列挙される任意の数字範囲は、特に明記しない限り、列挙される範囲内の任意の整数を含むものと理解される。本明細書で使用される、「約」又は「から本質的になる」は、特に明記しない限り、指定の範囲、値又は構造の±20%を意味する。

0081

本明細書で使用される、用語「含む(include)」及び「含む(comprise)」は、同義的に使用される。本明細書で使用される、用語「a」及び「an」は、列挙される要素の「1以上」を指すことを理解されたい。選択肢(例えば、「又は」)の使用は、選択肢の1つ、両方又はその任意の組み合わせのいずれかを意味することを理解されたい。

0082

用語「約」又は「およそ」は、統計学的に有意な範囲の値内を意味する。このような範囲は、所定の値又は範囲の、好ましくは、その50%以内、より好ましくは、その20%以内、さらにより好ましくは、その10%以内、なおさらに好ましくは、その5%以内であることができる。用語「約」又は「およそ」に包含される許容偏差は、研究対象の特定の系に依存し、当業者は容易に理解することができる。

0083

デュシェンヌ型筋ジストロフィーを処置するためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド
上述するように、特定の実施態様の範囲内において、本開示は、筋肉変性が急速に進行することにより、最終的に、歩行障害麻痺、そして死に至ることを特徴とする筋ジストロフィーの重度のX連鎖劣性型である、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の処置に適切に用いることができるtc−DNA AONを提供する。DMDは、ヒトX染色体に位置するジストロフィン遺伝子内の、ナンセンス突然変異又はフレームシフト突然変異などの突然変異により引き起こされる。ジストロフィン遺伝子は、細胞膜に位置する筋線維鞘並びにジストログリカン複合体(DGC)に構造安定性をもたらす、筋肉組織内の重要な構造成分であるジストロフィンタンパク質をコードする。ナンセンス突然変異又はフレームシフト突然変異は、翻訳の未完終了をもたらし、従って、C−末端がトランケートされたジストロフィンタンパク質が生じる。

0084

1以上の停止突然変異又はフレームシフト突然変異により引き起こされるDMDは、翻訳リーディングフレームを修復するために1以上のエクソンを除去することにより、突然変異のmRNA配列下流が修復され、緩和することができる。これを達成するために、本開示の一部として、1以上のエクソンのスプライセオソーム認識をマスキングすることができるプレ−mRNA内の領域を標的化するtc−DNA AONが開発された。これらの領域をtc−DNA AONで標的化することにより、エクソンを選択的スプライシングで除去し成熟機能性ジストロフィンmRNAを生成することができる。

0085

従って、本明細書に記載のtc−DNA AONは、ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程における、ジストロフィン遺伝子の1以上の突然変異エクソンのスキッピングを促進し、これにより、得られるジストロフィンmRNAの適切なリーディングフレームを修復するのに効果的であり、これが翻訳されると、機能性ジストロフィンタンパク質を生成する。従って、本明細書に開示のtc−DNA AONは、DMD罹患患者に治療的に使用することができる。

0086

本明細書で使用される、用語「エクソンスキッピング」は、1以上の相補的アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)で、プレ−mRNA内のスプライスドナー及び/又はアクセプター部位を標的化することによるプレ−mRNAスプライシングの修飾を指す。1以上のスプライスドナー又はアクセプター部位へのスプライセオソームのアクセスブロックすることにより、AONはスプライシング反応を妨害することができ、それによって、完全にプロセッシングされたmRNAから1以上のエクソンの欠損を引き起こすことができる。エクソンスキッピングは、核内で、プレ−mRNAの成熟過程において達成される。それは、プレ−mRNA内のスプライスドナー配列に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を使用することによる、標的エクソンのスプライシングに関与する鍵配列のマスキングを含む。本明細書で提供されるtc−DNA AONは、ジストロフィンプレ−mRNA内のイントロン−エクソン接合部におけるスプライス部位のマスキングによるエクソンスキッピングに適切に用いることができ、これにより、プレ−mRNAの成熟mRNAへのプロセッシング過程において突然変異エクソンの除去が促進される。

0087

例えば、ジストロフィン遺伝子のエクソン23又はエクソン50内のナンセンス突然変異又はフレームシフト突然変異は、カルボキシ末端がトランケートされた非機能性ジストロフィンタンパク質を生成する。本明細書に開示のtc−DNA AONは、それぞれ、イントロン23又はイントロン51におけるジストロフィンプレ−mRNAのスプライスドナー部位を含むヌクレオチドに、そして、エクソン23又はエクソン51に隣接する5’ヌクレオチドにハイブリダイズすることにより、突然変異エクソン23又はエクソン51の成熟mRNA転写産物へのインクルージョンを抑制することができる。その成熟mRNA転写産物の発現により、エクソン23又はエクソン50及び51によりコードされるアミノ酸が欠損しているが、これら欠損アミノ酸のN−末端及びC−末端側の両方にジストロフィンアミノ酸を含む機能性ジストロフィンタンパク質が生成される。

0088

ジストロフィンプレ−mRNAのプロセッシング過程においてエクソンをスキッピングするための本明細書に開示のtc−DNA AONは、典型的には、6〜22連続トリシクロヌクレオチド、具体的には、8〜20トリシクロヌクレオチド、さらに具体的には、10〜18連続トリシクロヌクレオチドを含有し、tc−DNA AONの6〜16ヌクレオチド、特に、8〜16ヌクレオチドは、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロンスプライスドナー部位に相補的であり、tc−DNA AONの2〜8ヌクレオチドは、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン領域に相補的であり、そして、イントロンスプライスドナー部位は、エクソン領域の5’側に隣接している。目的とする適用の精度に依存して、tc−DNA AONは、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドであってもよく、イントロンスプライスドナー部位に相補的な6〜14ヌクレオチド及びエクソン領域に相補的な2〜5ヌクレオチドを含むことができる。

0089

本明細書において、ジストロフィンプレ−mRNA内の突然変異エクソン23をスキッピングするために設計されたtc−DNA AONが例示される。tc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−AACCTCGGCTTACCT−3’(M23D(+02−13)、配列番号1)を含み、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロン23の3’末端でヌクレオチドに、そして、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン23に隣接する5’末端でヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。また、ジストロフィンプレ−mRNA内の突然変異エクソン51をスキッピングするために設計されたtc−DNA AONも提供される。tc−DNA AONは、5’−AGAAATGCCATCTTC−3’(H51(+68+82)、配列番号2)、5’−AAATGCCATCTTCCT−3’(H51(+70+84)、配列番号3)及び5’−TGCCATCTTCCTTGA−3’(H51(+73+87)、配列番号4)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含み、ジストロフィンプレ−mRNAのイントロン51の3’末端でヌクレオチドに、そして、ジストロフィンプレ−mRNAのエクソン51の5’末端でヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。

0090

脊髄性筋萎縮症を処置するためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド
他の実施態様の範囲内において、本開示は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の処置に適切に用いることができるtc−DNA AONを提供する。SMAは、正常細胞においては、エクソン7及び8が完全にプロセッシングされたmRNA内に存在することを特徴とする、SMN1遺伝子の両方のコピーの突然変異により引き起こされる。正常にプロセッシングされたSMN2のmRNAがエクソン7又は8を含有しないため、SMN2タンパク質は、機能性SMN1タンパク質の喪失を補完することができない。SMN2プレ−mRNA内のイントロンサイレンシング配列(ISS)及び/又は末端ステムループ(TSL)をマスキングすることにより、本明細書に記載のtc−DNA AONは、機能性SMN1タンパク質の喪失を補完することができる修飾された機能性SMN2タンパク質へと翻訳される、プロセッシングされたSMN2プレ−mRNAへの異常エクソン7又はエクソン8のインクルージョンを促進することができ、そして、in vivoで発現される場合、修飾された機能性SMN2は、SMN1遺伝子の突然変異により引き起こされる脊髄性筋萎縮症を少なくとも部分的に改善させることができる。

0091

従って、本開示は、SMN2プレ−mRNAのプロセッシング過程における異常エクソンのインクルージョンを促進するためのtc−DNA AONであって、tc−DNA AONが、6〜22トリシクロヌクレオチド長、具体的には、8〜20トリシクロヌクレオチド長、さらに具体的には、10〜18トリシクロヌクレオチド長であり、そして、tc−DNA AONが、SMN2プレ−mRNAのイントロンサイレンサー配列(ISS)又は末端ステムループ(TSL)に相補的であるtc−DNA AONを提供する。このようなtc−DNA AONは、13〜17ヌクレオチド、12〜16ヌクレオチド又は13〜15ヌクレオチドであることができる。

0092

本明細書において、SMN2プレ−mRNAのISSに相補的であり、そして、異常エクソン7のプロセッシングされたSMN2のmRNAへのインクルージョンを促進するために用いることができる、15−ヌクレオチド配列5’−CUUUCAUAAUGCUGG−3’(SMN2i7(10;25)、配列番号5)を含むtc−DNA AONが例示される。また、本明細書において、SMN2プレ−mRNAのTSL2に相補的であり、そして、また、エクソン7のプロセッシングされたSMN2のmRNAへのインクルージョンを促進するために用いることができる、13−ヌクレオチド配列5’−UUAAUUUAAGGAA−3’(SMN2e7(39;51)、配列番号6)を含むtc−DNA AONが例示される。

0093

スタイナート筋緊張性ジストロフィーを処置するためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド
なおさらなる実施態様の範囲内において、本開示は、DM1をコードするmRNAの3’末端でのCUG増幅から引き起こされるスタイナート筋緊張性ジストロフィーの処置に適切に用いることができるtc−DNA AONを提供する。過剰のCUG増幅を含有する突然変異DM1のmRNAが、核内に隔離され蓄積して、核焦点を形成すると考えられている。これらの焦点は安定であり、スプライシング機構に関与するファクターに結合し、それによって、トランスクリプトームに大きく影響を与えると考えられている。本開示の一部として、U7 snRNA系を使用することにより、tc−DNA AONを用いてCUG配列を標的化し、突然変異DM1のmRNAの破壊を促進することができ、それによって、スプライシングファクターの放出及び核焦点の除去を導くことが示される。特定の機械論束縛されることはないが、実に驚くべきことに、さらに、本明細書に開示のtc−DNA AONは、過剰のCUG増幅を含有するmRNAの破壊を促進することができると考えられる。

0094

従って、過剰のCUG増幅を含有する突然変異DM1のmRNAの破壊を促進するために適切に用いることができるtc−DNA AONが記載される。このようなtc−DNA AONは、9〜27トリシクロヌクレオチドを含み、tc−DNA AONは、1以上の3’CUG増幅を含む突然変異DM1のmRNAに相補的であり、そして、tc−DNA AONは、DM1のmRNAの破壊を促進することができる。目的とする適用の精度に依存して、tc−DNA AONは、ヌクレオチド配列5’−CAG−3’(配列番号7)の3〜9;4〜8;又は5、6若しくは7の連続反復配列を含むことができる。突然変異DM1の破壊を促進するための典型的なtc−DNA AONは、15−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG5)、配列番号8)を含む。突然変異DM1の破壊を促進するための別の典型的なtc−DNA AONは、15−ヌクレオチド配列5’−CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG−3’(DM1(CAG7)、配列番号9)を含む。

0095

トリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの合成及び単離
tc−DNA AONは、例えば、Caruthers et al., Methodsin Enzymol. 211:3-19 (1992); Thompson et al.,国際公開公報第99/54459号; Wincott et al., Nucleic Acids Res. 23:2677-2684 (1995); Wincott et al., Methods Mol. Bio. 74:59 (1997); Brennan et al., Biotechnol Bioeng. 61:33-45 (1998);及びBrennan, 米国特許第6,001,311号に記載の当技術分野で公知のプロトコールを使用して合成することができる。

0096

tc−DNA及びtc−DNA AONを合成するための方法がこれまでに記載されており、当技術分野でよく知られている。例えば、Steffens and Leumann, J. Am. Chem. Soc. 121(14):3249-3255 (1999); Steffens and Leumann, J.Am.Chem.Soc. 119:11548-11549 (1997);及びWengel, 米国特許第7,034,133号を参照されたい。tc−DNAは、市販のDNAシンセサイザーを用いて、従来の固相シアノエチルホスホルアミダイト化学により製造するホスホルアミダイトから合成することができる。tc−DNAホスホルアミダイト構成単位は、Steffens and Leumann, C. Helv. Chim. Acta 80:2426-2439 (1997)に記載のように合成することができる。鎖伸長サイクルは、天然オリゴデオキシヌクレオチドの合成の場合と基本的に同じである。Pharmacia LKB社のユーザーマニュアル(56-1111-56) (Gene Assembler Special/4 Primers)を参照されたい。

0097

例えば、tc−DNA AONの合成は、パソコンに接続したPharmacia LKB社のGene Assembler Special instrument又はApplied Biosystems社のPCR-MATE EPDNAシンセサイザー(モデル391)を使用して、固相ホスホルアミダイト法により達成することができる。試薬液は、製造業者のプロトコールに従って調製することができる。Applied Biosystems社、PCR-MATE EP DNAシンセサイザー(モデル391(1989))のユーザーマニュアル及びPharmacia LKB社のユーザーマニュアル(56-1111-56) (Gene Assembler Special/4 Primers)を参照されたい。1H−テトラゾール(MeCNの0.45M溶液)は、Flukaから入手することができる。

0098

トリシクロ−DNA AONは、溶解度が低いことから、カップリング時間の延長(例えば、6分間)、11倍の過剰ホスホルアミダイト、そして、0.1Mの代わりに0.07Mのトリシクロアデノシン構成単位溶液の使用を採用することができる他は、標準的な合成サイクルに従って構築することができる。LCAA−CPG(Sigma)又はポリスチレン(Pharmacia)結合天然ヌクレオシドのいずれかを、開始単位として使用することができる。

0099

合成は、5’−脱トリチルオリゴマーで終了するトリチルオフモードで実施することができる。カップリング効率は、オンライントリチルアッセイモニタリングすることができ、典型的には、90〜99%である。合成した後、固体支持体を濃NH3溶液中で懸濁し、55℃で15時間又は室温で2時間放置してもよい。

0100

粗tc−DNA AONは、例えば、限外濾過、ゲル電気泳動又はクロマトグラフィーなどの当技術分野で公知の数多くの方法のいずれかにより精製することができる。イオン交換HPLCは、NucleogenDEAE60-7(125×4mm)カラムを用いて達成することができる。単離したオリゴヌクレオチドは、Sambrook等の「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」11.29 (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, NY, 1989)に記載のように、SP-PAK C-18カートリッジ(Waters)で脱塩することができる。精製したtc−DNA AONを、150mMNaCl、10mMトリス−HCl(pH7.0)に溶解させ、アルカリホスファターゼ(1mg/ml)及びホスホジエステラーゼ(2mg/ml)とともに37℃でインキュベートすることができる。5時間後、溶液をHPLC精製に付することができる。

0101

置換又は修飾(塩基、糖又はリン酸エステル)された化学合成核酸分子は、血清リボヌクレアーゼによる分解を防ぎ、その効力を増加させることができる。例えば、Eckstein et al.,国際公開公報第92/07065号; Perrault et al., Nature 344:565 (1990); Pieken et al., Science 253:314 (1991); Usman and Cedergren, Trendsin Biochem. Sci. 17:334 (1992); Usman et al., 国際公開公報第93/15187号;及びRossi et al., 国際公開公報第91/03162号; Sproat, 米国特許第5,334,711号; Gold et al., 米国特許第6,300,074号を参照されたい。上記の参考文献は全て、本明細書に記載のtc−DNA AONの塩基、リン酸エステル又は糖部分に用いることができる様々な化学修飾を記載している。

0102

in vivo投与のためのトリシクロ−DNAの製剤化
本明細書に記載のtc−DNA AONは、水性懸濁剤を製造するために適切な賦形剤との混合物であってもよい。このような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムメチルセルロースヒドロプロピル−メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムポリビニルピロリドントラガカントゴム及びアカシアゴムであり;分散剤又は湿潤剤天然リン脂質、例えば、レシチン、又はアルキレンオキサイド脂肪酸との縮合物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキサイド長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキサイドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールオレイン酸モノエステル、又はエチレンオキサイドと脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物、例えば、ポリエチレンソルビタンオレイン酸モノエステルであってもよい。水性懸濁剤は、また、1以上の防腐剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピルを含有してもよい。水を添加して水性懸濁剤を調製するために適切な分散性粉剤及び顆粒剤は、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1以上の防腐剤との混合物の活性成分で提供される。

0103

tc−DNA AON組成物は、無菌の注射可能な水性又は油性懸濁剤の形態であってもよい。懸濁剤は、上述した適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用し、当技術分野でよく知られているように製剤化することができる。無菌の注射製剤は、また、非毒性の非経口的(parentally)に許容しうる希釈剤又は溶媒に溶かした無菌の注射可能な液剤又は懸濁剤、例えば、1,3−ブタンジオール溶液であってもよい。使用することができる許容しうる溶剤及び溶媒には、水、Ringer溶液及び生理食塩液がある。さらに、無菌の固定油を、通常、溶媒又は懸濁媒体として使用することができる。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドなどの任意の無菌の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤の調製に使用される。

0104

本開示は、また、薬学的に許容しうる担体又は希釈剤に薬学的に有効な量の所望の化合物を含む、保存又は投与のために調製されるtc−DNA AON組成物を含む。治療用途のための許容しうる担体又は希釈剤は、医薬品分野でよく知られており、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., A.R. Gennaro edit., 1985)に記載されている。例えば、防腐剤及び安定剤が提供されうる。これらは、安息香酸ナトリウムソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸エステルを含む。さらに、抗酸化剤及び懸濁化剤を使用してもよい。

0105

本開示は、プレ−mRNA内のエクソンスキッピングを促進するための、あるいは、イントロンサイレンシング又は末端ステムループをマスキングするための、あるいは、細胞又は生物におけるmRNAの破壊を標的化するための、tc−DNA AON組成物並びに方法を提供する。関連する実施態様においては、本開示は、本明細書に上述されるような疾患又は疾患を発症するリスクを有するヒト細胞、組織又は個体などの対象を処置するための方法及びtc−DNA AON組成物を提供する。一実施態様においては、本方法は、プレ−mRNAのプロセッシングが修飾されるか、あるいは、mRNAの破壊を標的化するように、哺乳類などの細胞又は生物に、本開示のtc−DNA AON又はtc−DNA AONを含有する医薬組成物を投与することを含む。本開示の組成物及び方法を使用した処置を許容可能な哺乳類の対象は、例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症又はスタイナート筋緊張性ジストロフィーなどの、このような処置を許容可能な1以上の障害を有する対象を含む。

0106

本開示のtc−DNA AON組成物は、薬学的に許容しうる製剤として効果的に用いることができる。薬学的に許容しうる製剤は、患者の病状又は他の有害な状態、その発生又は重症化を予防、変化、あるいは、患者の病状又は有害な状態を処置(検出可能又は測定可能な程度に1以上の症状を緩和)する。薬学的に許容しうる製剤は、上記化合物の塩、例えば、塩酸臭化水素酸酢酸及びベンゼンスルホン酸の塩などの酸付加塩を含む。医薬組成物又は製剤は、細胞又は患者、例えば、ヒトへの全身投与などの投与に適切な形態の組成物又は製剤を指す。適切な形態は、その使用又は投与経路、例えば、経皮的又は注射に一部依存する。このような形態は、組成物又は製剤が標的細胞(即ち、tc−DNA AONを送達するのに望ましい細胞)に到達することを妨げてはならない。例えば、血流注入される医薬組成物は、可溶性である必要がある。他のファクターは、当技術分野で公知であり、毒性及び組成物又は製剤がその効果を発揮することを妨げる形態などの事項が含まれる。

0107

本開示の医薬組成物は、また、水中油型乳剤の形態であってもよい。油相は、植物油若しくは鉱油又はこれらの混合物であることができる。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えば、アカシアゴム又はトラガカントゴム、天然リン脂質、例えば、大豆、レシチン、脂肪酸及びヘキシトール、無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンオレイン酸モノエステル、並びに、前記部分エステルとエチレンオキサイドとの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸モノエステルであることができる。

0108

本開示のtc−DNA AONは、処置に適切な組成物の形態にするために、安定剤、緩衝剤などを添加して、又は添加しないで、任意の標準的な手段により患者に投与することができる。リポソーム送達機構を使用することが望まれる場合、標準プロトコールに従ってリポソームを生成することができる。従って、本開示のtc−DNA AONは、任意の形態、例えば、経皮的、あるいは、局所、全身又は髄腔内注射により投与することができる。

0109

本開示は、また、ポリエチレングリコール)脂質を含有する表面修飾リポソーム(PEG修飾された若しくは血中滞留性のリポソーム又はステルスリポソーム)を含むtc−DNA AON組成物の使用を特徴とする。これらの製剤は、標的組織内でtc−DNA AONの蓄積を増加させる方法を提供する。この種類の薬物担体は、単核食細胞系(MPS又はRES)によるオプソニン作用及び排出に耐性を示し、それによって、封入tc−DNA AONの長期間の血中滞留を可能にし、組織への曝露を増大させることができる(Lasic et al., Chem. Rev. 95:2601-2627 (1995) and Ishiwata et al., Chem. Pharm. Bull. 43:1005-1011 (1995))。血中滞留性リポソームは、特に、MPSの組織に蓄積することが知られている従来のカチオン性リポソームと比較して、tc−DNA AONの薬物動態及び薬力学を増大させる(Liu et al., J. Biol. Chem. 42:24864-24870 (1995); Choi et al.,国際公開公報第96/10391号; Ansell et al., 国際公開公報第96/10390号; Holland et al., 国際公開公報第96/10392号)。血中滞留性リポソームは、また、肝臓及び脾臓などの代謝的に活動的なMPS組織への蓄積を回避する能力に基づいて、カチオン性リポソームと比較し、ヌクレアーゼ分解からtc−DNA AONをより強く保護する可能性が高い。

0110

薬学的に有効な用量は、病状の発生の予防、抑制又は病状の処置(症状をある程度、好ましくは、症状の全てを緩和)するために必要な用量である。薬学的に有効な用量は、疾患の種類、使用する組成物、投与経路、処置される哺乳類の種類、検討する特定の哺乳類の身体的特性併用薬物及び医学分野技術者が認識する他の要因に依存する。例えば、本開示のtc−DNA AONの効力に依存して、0.1mg/kg〜100mg/kg体重/日の活性成分量が投与される。

0111

約0.1mg〜約140mg/kg体重/日のオーダーの用量レベルが、上記の状態の処置に有用である(約0.5mg〜約7g/患者/日)。単位剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分量は、処置されるホスト及び特定の投与形態に依存して変更される。用量単位形態は、一般的に、約1mg〜約500mgの活性成分を含有する。

0112

任意の特定の患者の特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康状態性別食事投与回数、投与経路及び排出速度、薬物併用並びに治療中の特定の疾患の重症度などの様々な要因に依存することが理解される。本開示の製剤及び方法によるtc−DNA AON組成物の投与を受けて、試験対象は、処置される疾患又は障害に関連する1以上の症状において、プラセボ処置又は他の適切なコントロール対象と比較し、約10%〜最大約99%の減少を示す。

0113

tc−DNA AONを、tc−DNA AON単独を含む製剤又は薬学的に許容しうる担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、乳化剤、緩衝剤、安定剤、防腐剤などの1以上の追加の成分をさらに含む製剤としての投与を含む、当業者に公知の様々な方法により細胞に投与することができる。特定の実施態様においては、tc−DNA AONは、リポソームに封入するか、イオン導入により投与するか、あるいは、ヒドロゲルシクロデキストリン生分解性ナノカプセル生体接着性ミクロスフェア又はタンパク性ベクターなどの他のビヒクルに組み込むことができる(例えば、国際公開公報第00/53722号参照)。

0114

本開示のtc−DNA AONの直接注入は、皮下、筋肉内又は皮内に関わらず、Conry et al., Clin. Cancer Res. 5:2330-2337 (1999)及び国際公開公報第99/31262号に記載されるように、標準的な針及びシリンジを用いる方法又は無針技術を用いて行うことができる。

0115

本開示のtc−DNA AONなどの核酸分子を送達すためのさらなる方法は、例えば、Boado et al., J. Pharm. Sci. 87:1308-1315 (1998); Tyler et al., FEBSLett. 421:280-284 (1999); Pardridge et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 92:5592-5596 (1995); Boado, Adv. Drug Delivery Rev. 15:73-107 (1995); Aldrian-Herrada et al., Nucleic AcidsRes. 26:4910-4916 (1998); Tyler et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 96:7053-7058 (1999); Akhtar et al., Trends Cell Bio. 2:139 (1992); 「Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics」, (ed. Akhtar, 1995); Maurer et al., Mol. Membr. Biol. 16:129-140 (1999); Hofland and Huang, Handb. Exp. Pharmacol 137:165-192 (1999);及びLee et al., ACS Symp. Ser. 752:184-192 (2000)に記載される。これらのプロトコールを利用して、本開示の範囲内で意図されるあらゆるtc−DNA AONの送達を補足又は補完することができる。

0116

実施例
上記の開示は、一般的に、下記実施例によりさらに例示される本開示を記載する。これらの特定の実施例は、単に、例示の目的で記載され、そして、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書において、特定の対象、用語及び値が用いられているが、このような対象、用語及び値は、同様に、典型例であり、本開示の範囲を限定するものでないことが理解されるであろう。

0117

実施例1
ジストロフィン筋線維症におけるジストロフィンをレスキューするためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィンコード遺伝子の突然変異から引き起こされるX染色体連鎖劣性欠損症である。トランケートされたジストロフィンタンパク質欠損をコードするジストロフィン遺伝子内のアウトオブフレーム欠失は、重度のDMD表現型をもたらす。トリシクロ−DNA(tc−DNA)アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を使用するエクソンスキッピング戦略が開発され、ジストロフィン遺伝子のアウトオブフレーム突然変異を効果的にレスキューすることが可能となり、これにより、翻訳リーディングフレームが修復され、従って、機能的に活性なジストロフィンタンパク質が産生された。例えば、エクソン23が、得られるプロセッシングされたmRNAからスプライス除去されるように、エクソン23/イントロン23接合部にハイブリダイズし、そして、プレ−mRNAプロセッシングに干渉するtc−DNA AONが記載される。また、エクソン51/イントロン51接合部にハイブリダイズするtc−DNA AONは、同様に、エクソン51がプロセッシングされたmRNAからスプライス除去されるように、プレ−mRNAプロセッシングに干渉する。従って、得られるジストロフィンタンパク質は、それぞれ、エクソン23又はエクソン51によりコードされるアミノ酸配列が欠損しているが、重度のDMD表現型が回復するように依然十分な機能性を保持している。

0118

実施例2
mdxマウスモデル
mdxマウスは、完全長ジストロフィンタンパク質を欠損するが、より短いジストロフィンアイソフォームの全てを保持するDMDのマウスモデルである(Bulfield et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:1189-1192 (1984))。mdxマウスは、ジストロフィン遺伝子のエクソン23に機能性ジストロフィンの合成を妨げるナンセンス突然変異を有する(図3参照)。エクソン23は、CからTの突然変異が終始コドン(TAA)を作製する反復配列R6及びR7を一部コードする。

0119

実施例3
in vitro研究
本実施例は、ヌクレオチド配列5’−AACCTCGGCTTACCT−3’を有する、M23D(+02−13)で示される15−ヌクレオチドのtc−DNA AONでトランスフェクトしたmdxの筋管において、ジストロフィンプレ−mRNAが、エクソン23を欠失するmRNAにプロセッシングされるように、エクソン23の下流のドナースプライス部位でエクソンスキッピングが起こることを示す。

0120

M23D(+02−13)で示されるtc−DNA AONは、エクソン23/イントロン23スプライス部位で、標的配列のイントロン22−ttttgag[GCTC…エクソン23…TCAG]gtaagccgaggtttggcc−イントロン23にハイブリダイズするように設計された。

0121

mdxの筋管を、オリゴフェクタミンを添加又は非添加で、tc−DNA AON M23D(+02−13)(1、2及び10μg)でトランスフェクトした。一つの未処理試料ネガティブコントロールとした。48時間後、培養物を回収し、RNeasy mini kit(Qiagen)を使用してmRNAを抽出した。次に、mRNAを下記のように逆転写した。8μlの抽出RNA(500ng〜1μg)を、1μLのdNTP及び1μLのランダムヘキサマーと混合し、混合物を65℃で5分間インキュベートした。次に、混合物を上で冷却した。25mMMgCl2(4μL)、0.1MDTT(2μL)、1μLのRNaseoutリボヌクレアーゼ阻害剤(40U/μL)、1×Tampon(2μLの10×ストック)及び50USuperScript逆転写酵素を混合物に添加し、反応物の最終容量を20μLにした。次に、反応物を25℃で10分間インキュベートし、その後、42℃で50分間インキュベートした。次に、反応物を70℃で15分間加熱して不活化した。次に、反応物を氷上に置きボルテックスした。次に、1μLのRNaseHを反応物に添加し、37℃で20分間インキュベートした。

0122

次に、エクソン23のスキッピングを、下記の条件を用いて、ネステッドPCRでアッセイした。25μLのPCR master mix(Taqポリメラーゼ50U/μL、400μMdNTP、3mMMgCl2)を、3μLのcDNA、22μLのH2O及び各1μLの下記の2つのプレイマー(100μMのストック濃度)と混合した。

0123

0124

次に、反応物を、下記の熱サイクルパラメーター条件下に付した。94℃で5分間、その後、94℃で30秒間、55℃で1分間、そして、72℃で2分間を30サイクル。最後に、反応物を72℃で5分間のインキュベートに付した。

0125

2μlのPCR産物テンプレートとして、1μLの下記プライマー(100μMのストック濃度)を使用する別のPCR反応液に添加した。反応物には、また、25μLのPCRmaster mix及び23μLのH2Oを添加した。

0126

0127

反応物を、下記の熱サイクルパラメーター条件下に付した。94℃で5分間、その後、94℃で30秒間、55℃で1分間、そして、72℃で2分間を25サイクル。最後に、反応物を72℃で5分間のインキュベートに付した。

0128

図4に示されるデータは、(1)15ヌクレオチドのtc−DNA AON M23D(+02−13)が、ex vivoで、mdxのジストロフィンmRNA内の突然変異エクソン23のスキッピングを達成することができ、そして、(2)オリゴフェクタミンが、ex vivoにおけるtc−DNA AONの取り込みを向上させることを示す。

0129

Mdxの筋管を、オリゴフェクタミンの存在下、tc−DNA AON M23D(+02−13)(0.5、1、2、5及び10μg)でトランスフェクトした。培養物を上述のように処理した。図5に示されるデータは、2μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)の存在下でスキッピングが顕著であることを示す。

0130

mdxの筋管を、オリゴフェクタミンの存在下、5μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)でトランスフェクトした。トランスフェクト後、異なる時点(0日目〜15日目)で培養物を上述のように処理した。図6に示されるデータは、(1)3日目でスキッピングが観察され(D3)、そして、(2)15日目でもまだスキッピングが検出可能であったが(D15)、7日目から減少したことを示す(D7)。

0131

実施例4
in vivo研究
本実施例は、ヌクレオチド配列5’−AACCTCGGCTTACCT−3’を有するM23D(+02−13)で示される15−ヌクレオチドのtc−DNA AONを注射したmdxマウスにおいて、ジストロフィンプレ−mRNAが、エクソン23を欠失するmRNAにプロセッシングされるように、エクソン23の下流のドナースプライス部位でエクソンスキッピングが起こることを示す。

0132

8週齢のmdxマウスの前脛骨筋に、100、80、40、20、10及び5μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)を含有する50μlのPBS(リン酸緩衝食塩水)を注射した。3週間後に動物を屠殺した。筋肉試料を処理して、上記実施例3と同じパラメーターを使用してmRNA解析を行った。結果を図7に示す。

0133

図7に示されるデータは、エクソンスキッピングが試験した全ての条件で起こったことを示す。また、有意なジストロフィンタンパク質レベルが横断面で検出された(示さず)。2μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)の注射は、5μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)を注射した場合と同じ結果であった(示さず)。

0134

8週齢のmdxマウスに、10μgのtc−DNA AON M23D(+02−13)を含有する50μlのPBSを筋肉内注射した。注射の4、10及び20週間後に動物を屠殺した。筋肉試料及び横断面で、ジストロフィンmRNAについて上述のようにアッセイした。結果を図8に示す。

0135

筋肉横断面で、下記のように免疫染色を用いて、ジストロフィンタンパク質発現についてアッセイした。一次モノクローナル抗体NCL−Dys2(1:100希釈)を、M.O.M.(マウスオンマウスキットを使用して試料に添加した。次に、試料をPBSで3回洗浄した。次に、試料を、Alexa Fluor 488(Molecular Probes)で標識したヤギ抗マウスIgG二次抗体と2時間インキュベートし、その後、PBSで洗浄し、0.01%TritonXで洗浄し、最後に、PBSで洗浄した。この実験の結果を図9に示す。

0136

図8及び9に示されるデータは、(1)エクソンスキッピングが、4及び10週目で現れたが、20週目では観察されなかった;(2)ジストロフィンは、4週目〜20週目で明瞭に検出可能である;そして、(3)tc−DNA AON M23D(+02−13)が、ex vivoよりin vivoで効果的であるように思われることを示す。

0137

実施例5
脳の免疫染色
8週齢のmdxマウスの海馬又は脳脊髄液(髄腔内注射)に、20μg(海馬)又は200μg(髄腔内)のtc−DNA AON M23D(+02−13)を含有する50μlのPBSを注射した。注射の1か月後に動物を屠殺した。脳断片(パネルA、B、C)及び小脳断片(パネルD、E、F)で、上記実施例4に記載するようにジストロフィンタンパク質についてアッセイした。結果を図10に示す。パネルA及びDは、マウスを処理しなかったネガティブコントロールに相当する。パネルB及びEは、mdxマウス由来の未処理断片に相当する。パネルCは、海馬処理したmdxマウス(C)に相当し、パネル(F)は、mdxマウスの髄腔内処理した小脳の結果を示す。核はDAPIで対比染色した。

0138

実施例6
送達(予測)
tc−DNA AON M23D(+01−13)は、腹腔内及び皮下注射により送達することができる(1g/kg以下から)。

0139

実施例7
DMDマウスにおけるジストロフィンをレスキューするためのトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド
本実施例は、配列5’−AGAAATGCCATCTTC−3’(「tc−DNA AON H51(+68+82)」;配列番号2)、5’−AAATGCCATCTTCCT−3’(「tc−DNA AON H51(+70+84)」;配列番号3)及び5’−TGCCATCTTCCTTGA−3’(「tc−DNA AON H51(+73+87)」;配列番号4)を有するジストロフィンのエクソン51/イントロン51接合部用に設計されたtc−DNA AONが、完全ヒトジストロフィン遺伝子を発現するマウス(「hDMDマウス」)由来の筋肉細胞において、エクソン51のスキッピングに効果的に関与したことを示す。

0140

8〜10週齢のhDMDマウスの前脛骨筋に、10μgのtc−DNA AON H51(+68+82)(tc−DNA ex51ESEaとも呼ばれる)、tc−DNA AON H51(+70+84)(tc−DNA ex51 ESEbとも呼ばれる)又はtc−DNA AON H51(+73+87)(tc−DNA ex51 ESEcとも呼ばれる)を含有する50μlのPBSを注射した。4週間後に動物を屠殺した。筋肉試料を処理して、上記実施例3と同じパラメーターを使用してmRNA解析を行った。結果を図12に示す。

0141

エクソン51のスキッピングを、下記の条件下でネステッドPCRによりアッセイした。500ngのトータルRNAを使用し、AccessRT-PCR System(Promega)を用いて、50μLの反応液で下記の外部プライマーを使用してRT−PCRを行った:

0142

0143

cDNA合成を、45℃で45分間実施し、直後に下記パラメーターを用いて20サイクルの第一のPCRを行った:94℃で40秒間、60℃で40秒間、そして、72℃で40秒間を20サイクル。

0144

2μlのPCR産物をテンプレートとして、下記のプライマー(100μMのストック濃度)を使用する別のPCR反応液に添加した。

0145

0146

反応物を、下記の熱サイクルパラメーター条件下に付した:94℃で5分間、その後、94℃で40秒間、60℃で40秒間、そして72℃で40秒間を30サイクル。最後に、反応物を72℃で5分間のインキュベートに付した。

0147

図12に示されるデータは、試験した各tc−DNA AON H51構築物(tc−DNA AON H51(+68+82)、tc−DNA AON H51(+70+84)及びtc−DNA AON H51(+73+87))が、エクソン51のスキッピングの増加をもたらしたことを示す。

0148

実施例8
SMNのエクソン7/イントロン7接合部及びイントロン7のISSを対象とするトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、SMN2におけるエクソン7のインクルージョンを促進する
本実施例は、SMNのエクソン7/イントロン7接合部及びイントロン7のISS(それぞれ、「tc−DNA AON SMN2e7(39;51)」及び「tc−DNA AON SMN2i7(10;25)」)用に設計されたtc−DNA AONが、SMA患者から単離された線維芽細胞(G03813細胞株)のSMN2において、エクソン7のインクルージョンに効果的に関与することを示す。

0149

0150

G03813細胞株は、SMN2の2コピーを有する3歳のI型SMA患者に由来する。GM03813細胞を、20%ウシ胎仔血清及び1%ペニシリンストレプトマイシン(100U/ml)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で培養した。tcDNAAON(tc−DNA AON SMN2i7(10;25)及びtc−DNA AON SMN2e7(39;51))を、オリゴフェクタミン(Invitrogen)を使用し、血清及び抗生物質不含の培地で48時間トランスフェクションした。トランスフェクションの48時後に、TRIzol試薬(Invitrogen)を使用してトータルRNAを抽出し、ファーストストランドcDNAを、SuperScript II(Invitrogen)及びランダムヘキサマーを使用して合成した。PCRを、Master Mix 2× PhusionGC(Finnzymes)を使用して、11μLのcDNA並びに各10μMのSMN-Ex6-FW及びSMN-Ex8-Reプライマーの総量50μLで実施した。次に、PCR産物を3%アガロースゲル電気泳動で分離した。

0151

0152

図19に示されるデータは、tc−DNA AONSMN2e7(39;51)及びtc−DNA AON SMN2i7(10;25)の両方が、SMN2のmRNAにおけるエクソン7のインクルージョンを促進することを示す。パネルAは、指定のtc−DNAオリゴヌクレオチドで処理したGM03813細胞由来のRNAのRT−PCR分析を示す。両方のtc−DNAオリゴヌクレオチドで処理した、エクソン7を含まないSMN2(「SMN2(Δ7)」)に相当するバンドレーン3及び4)は、未処理レーン(レーン2)のバンドと比較しバンド強度が低い。パネルBは、tc−DNA AONをトランスフェトした後、SMN1+完全長SMN2に相当する上のバンドが増加し、一方で、SMN2(Δ7)に相当する下のバンドが大きく減少したことを示すゲルの正規化定量プロットである。

0153

パネルCは、野生型線維芽細胞及び指定のtc−DNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクトしたGM03813細胞から得られたライセートのウエスタンブロットを示す。ライシスバッファー(10mmol/lHEPES(pH7.9)、100mmol/lKCl、1mmol/lEDTA、1mmol/l1,4−ジチオスレイトール、1×コンプリートプロテアーゼ阻害カクテル(Roche)、0.5%NP−40)で処理してタンパク質抽出物を得た。等量のタンパク質(ブラッドフォードタンパク質アッセイ(Pierce)で測定)を、2×ローディングバッファー(125mmol/lトリス(pH6.8)、2%ドデシル硫酸ナトリウム、10%グリセロール、0.01%ブロモフェノールブルー、10%β−メルカプトエタノール)と混合し、タンパク質濃度を、ブラッドフォードタンパク質アッセイ(Pierce)を用いて測定した。10μgの各タンパク質試料を、4〜12%ビス−トリスゲル(Invitrogen)のSDS−PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に転写した。10%ミルク/PBS−Tweenバッファーで膜をブロッキングし、SMN1、SMN2及びSMN2のトランケート型を認識するウサギポリクローナルSMN抗体(希釈1:500;h-195、Santa Cruz)でプローブし、次に、西ワサビペルオキシダーゼ結合−ヤギ抗ウサギ二次抗体(1:50,000)とインキュベートした。スーパーシグナルウエストピコ化学発光キット(ThermoScientific)でシグナルを検出した。タンパク質のイコールローディング(equal loading)を確認するために、膜を洗浄し、再度ブロッキングし、そして、マウスモノクローナル抗アクチン抗体でプローブした後、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合−ヒツジ抗マウス二次抗体(1:15,000)とインキュベートした。シグナルを上述のように検出した。レーン1:tc−DNA AON SMN2i7(10;25)でトランスフェクトしたGM03813細胞;レーン2:tc−DNA AON SMN2e7(39;51)でトランスフェクトしたGM03813細胞;レーン3:tc−DNA AON SMN2i7(10;25)及びtc−DNA AON SMN2e7(39;51)の両方でトランスフェクトしたGM03813細胞;レーン4:野生型線維芽細胞;レーン5:非トランスフェクトのGM03813細胞。

0154

パネルCのデータは、c−DNAオリゴヌクレオチドを用いてトランスフェクトすることによりSMN2のmRNAにおけるエクソン7のインクルージョンに起因してGM03813細胞のSMNレベルがレスキューされたことを示す。コントロールのGM03813細胞は、SMN2におけるエクソン7の散発性の自然インクルージョンに起因するいくつかのSMNタンパク質を表す。

0155

パネルDは、30μgのtc−TSLでトランスフェクトし、その後、SMN抗体で染色したGM03813細胞の顕微鏡写真を示す。スライド上のトランスフェクトしたGM03813細胞をアセトンメタノール容積/容積)で固定した。固定した細胞を、PBS+5%BSAで1時間ブロッキングし、その後、ウサギポリクローナルSMN抗体(PBS+1%BSA中1:100;h-195、Santa Cruz)と1時間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、Alexa 594結合−抗ウサギ二次抗体と1時間インキュベートした。次に、細胞をPBSで洗浄し、DAPI(1:50,000)と5分間インキュベートした。スライドに、Fluoromount-G(SouthernBiotech)を使用してカバースリップをのせ、4℃で一晩インキュベートした。顕微鏡写真は、tc−DNA TSLでトランスフェクトしたGM03813細胞の核(青)で、SMN(赤)レベルが増加したことを示す。

0156

実施例9
CUG反復配列を対象とするトリシクロ−DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、DM1筋芽細胞における突然変異DMPKのmRNAの発現を減少させる
本実施例は、配列5’−CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG’3’(「tc−DNA AON DM1(CAG7)」;配列番号9)を有する、突然変異DMPKのmRNAにおけるCUG反復配列用に設計されたtc−DNA AONが、Tissue Bank for Research「Myobank」の筋生検から単離したヒトDM1筋芽細胞において800CUG反復配列を有する突然変異DMPKのmRNAの発現を効果的に減少させることを示す。

0157

DM1筋芽細胞を、リポフェクタミン(Invitrogen)を使用して、増加量のtc−DNA AON DM1(CAG7)(0、3.5μg、10μg及び20μg)でトランスフェクトした。トランスフェクトの3日後、野生型及び突然変異のDMPKのmRNAの発現をノーザンブロットにより検出した。簡単に述べると、5〜10μgのトータルRNAを、0.66Mホルムアルデヒドを含有する1.3%アガロースMOPSゲルで分離し、10×SSCを用いて毛細管輸送により、Hybond−N+膜(Amersham Pharmacia Biotech)に転写した。ブロットを、ランダムプライムド32P−標識(DMPKcDNAのBgl II-Sac Iフラグメント)プローブを用いて、ハイブリダイゼーションバッファー(2%SDS、10%硫酸デキストラン、1×SSPE、100μg/mlサケ精子DNA、2%Denhart's)中、68℃で一晩ハイブリダイズした。シグナルを、ホスホイメージャー(Molecular Imager FX、Bio-Rad)で解析し、Quantity One(Bio-Rad)を使用して定量した。

0158

図20のパネルAは、トランスフェクトされたtc−DNA AONDM1(CAG7)の量の増加とともに突然変異DMPKのレベルが減少したことを示す。重要なことに、野生型DMPKのレベルは変化しなかった。18S RNAをローディングコントロールとして使用した。パネルBは、パネルAから得られたノーザンブロットの定量プロットである。定量は、突然変異DMPKの野生型DMPKに対するバンド強度比を測定することにより行った。

0159

実施例10
CUG反復配列を対象とするtc−DNAが、DM1マウスにおける突然変異DMPKのmRNAの発現を減少させる
本実施例は、tc−DNA AON DM1(CAG7)が、DM1マウスのTA筋肉で発現される700CUG反復配列を有する突然変異ヒトDMPKのmRNAのレベルを効果的に減少させることを示す。

0160

700CUG反復配列を有するヒトDMPKのmRNAを発現するDM1マウスのTA筋肉に、増加量のtc−DNA AON DM1(CAG7)を注射した。1週間後、TRIzol試薬(Invitrogen)を使用して、トータルRNAを抽出した。ヒトDMPK及びマウスDMPKのmRNAをノーザンブロットにより検出した。簡単に述べると、8〜10μgのトータルRNAを、0.66Mホルムアルデヒドを含有する1.3%アガロースMOPSゲルで分離し、10×SSCを用いて毛細管輸送により、Hybond−N+膜(Amersham Pharmacia Biotech)に転写した。ブロットを、ランダムプライムド32P−標識(DMPKcDNAのBgl II-Sac Iフラグメント)プローブを用いて、ハイブリダイゼーションバッファー(2%SDS、10%硫酸デキストラン、1×SSPE、100μg/mlサケ精子DNA、2%Denhart's)中、68℃で一晩ハイブリダイズした。シグナルを、ホスホイメージャー(Molecular Imager FX、Bio-Rad)で解析し、Quantity One(Bio-Rad)を使用して定量した。

0161

図21のパネルA及びCは、トランスフェクトされたtc−DNA AONDM1(CAG7)の量の増加とともに突然変異ヒトDMPKのレベルが減少したことを示す。パネルB及びDは、それぞれ、パネルA及びCから得られたノーザンブロットの定量プロットである。定量は、突然変異ヒトDMPKの野生型マウスDMPKに対するバンド強度比を測定することにより行った。

0162

本開示を、その様々な実施態様の各々で記載しているが、それに対する特定の変更を、前述の説明に記載するような、そして、下記の特許請求の範囲でさらに具体化されるような本開示の真の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者が実施及び達成することができることが予想される。本開示は、本明細書に記載の特定の実施態様により制限されるものではない。実際、本明細書に記載される変更に加え本開示の様々な変更は、前述の説明及び添付の図から当業者には明らかになるであろう。このような改変は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。さらに、全ての値が概算値であり、説明のために提供されることが理解される。

0163

本明細書で参照される米国特許、米国公開特許公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、非特許公報、図、表及びウェブサイトの全ては、参照することによりその全体が、本明細書に明示的に組み込まれる。

0164

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