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課題・解決手段

本出願は、免疫蛍光アッセイに好適なマイクロ流体デバイス及び対応する方法を請求する。該デバイスは、二つの平坦成分であって、その一方は、一平面に溝を含む成分を含む。この二つの平面が対合されると、該溝はチャンネルになる。溝無しの成分は、金属酸化物ナノ粒子によって官能化され;この層は、デバイスが組み合わされると、チャンネルの底部を構成する。官能化の目標は、本デバイスにおいて蛍光試験、特に、FISH試験を実行するために、このチャンネル底部に対する細胞接着の向上を可能とすることである。

概要

背景

Microfluidics(マイクロ流体分析法)は、最近の学際的科学であるが、マイクロリットルから下はフェムトリットルまでごく小容量の液体を取り扱う分析法である。そのもっとも初期の応用は、インクジェットプリントヘッドに関するものだったが、これが、"lab-on-a-chip"(「チップ実験」)技術、特に、ごく少量でサンプルが特徴付けられる生物工学分野の技術開発に好適であることが判明した。分子生物学酵素分析ゲノム分析プロテオミクス臨床病理学診断学環境分析など、これら全てが、マイクロ流体分析法の可能な応用分野である。このようなマイクロスケール次元では、流体は、巨視スケールに比べ、きわめて異なった振る舞いを呈する可能性があり、この特色は、マイクロ流体デバイス、又は、そのようなデバイスを利用する実験を設計する際考慮に入れておかなければならない。例えば、表面張力エネルギー分散流動抵抗及び拡散は、実験の結果を大きく左右する可能性がある。

これらの理由のために、これらのアッセイについては、正規または通例のプロトコールをマイクロ流体デバイスに直接使用することはできず、代わりに、実施の前に、特定の手順を設計しなければならない。

マイクロ流体分析法の使用につながる利点は、これらのデバイスによって可能とされる処理が比較的簡単であること、可能とされる流動コントロールが比較的高度であること、分析時間の短縮、濃度及び分子間相互作用両方における高度のコントロール、試薬及び廃棄物における比類無いコス節減であり、このため、その使用は、より環境に優しく、且つ、装置干渉緩和されるため、より少ないスペースでより多くのサンプルを処理する能力を与える。

上述の利点は、マイクロ流体デバイスの使用を含む実験を自動化することを可能とするが、もしもこれが実現されれば、それは、産業見地からもきわめて興味あることであろう。

特に、マイクロチップバイオテクノロジーは、新たに開発された統合作業フローおかげでマイクロ流体分析法からもっとも多くを得ている。

実験チップデバイスは、バイオアッセイがはるかに小さなスケールで再現される、マイクロ流体回路の形態を取る、数平方ミリメートルから数平方センチメートルのチップである。

実験チップデバイス、又は、前記デバイスにおいて使用されるマイクロ流体回路は広く文献に記載される。

特許文献1は、化学的及び生化学的プロセスを実行するための小型デバイス、特に、DNA増幅を実行するためのマイクロリアクターを開示する。この文献は、マイクロリアクターの壁への分析対象サンプルの望ましくない吸着の問題に対峙し、サンプル中に存在する化合物の吸着の抑制を示す材料によって製造される(又は、材料によって被覆される表面を持つ)マイクロリアクターの使用を提案する。

特許文献2は、チャンネルの中に試薬を固定させたフローセルデバイスを開示する。この試薬は、試験サンプルの中に含まれる可能性のある分析対象に対する電気的又は光学的に検出可能な反応を生ずる。

特許文献3は、反応区域を含むマイクロ流体デバイスを開示する。この反応区域は、サンプル中に存在する少なくとも一つの種、及び、該区域に固定される少なくとも一つの特定物質、すなわち、一つ以上の指定物質(標的種)と特異的又は非特異的に相互作用を誘発することが可能な物質との間の反応を仲介するように設計される。マイクロ流体回路の壁に対する特異的物質の安定な固定は、前記壁の上にあらかじめ形成される、中間的な、固定フィルム(一般に、有機化合物からなる)によって実現される。

実験チップデバイスは、各種分析技術において、例えば、電気泳動クロマトグラフィー、染色、蛍光細胞計測タンパク分析、ポリメラーゼ連鎖反応血液分析などにおいて既に利用されているが、さらなる一つの応用として、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)が挙げられる。FISHに関する総覧としては、例えば、非特許文献1を参照されたい。

より詳細に述べると、FISHは、診断学においてゲノム変化の検出に使用されるきわめて高感度のツールである。

FISHとは、他の通例の技術では検出できない、染色体再配列又は異常を特定するための、きわめて有望な診断ツールである。例えば、染色体の変化の分析は、将来の疾患、又は治療応答に関して予告的である可能性がある。

第1ステップとして、FISHは、例えば、顕微鏡ガラススライドなどの支持体の上に細胞を固定することを必要とする;その後、細胞原形質及び染色体タンパク質を除去するために、細胞は、タンパク消化を受けるが、これは、それによって、染色体DNAへの「アクセス」をより高めるためである。さらに染色体DNAは、例えば、ホルムアルデヒド含有液と共にインキュベートすることによって変性させる必要がある。エタノール系一連溶液によって細胞を脱水した後、DNAプローブが添加される。次に、変性が、約75℃で2-5分間行われ、インキュベーションがなされる。適切な、ポストハイブリダイゼーション溶液で処理することによって、交差ハイブリダイゼーションによる非特異的な妨害的結合を回避することが可能とされる。こうして染色体配列における異常部位が蛍光画像法によって明らかになる。

FISH以前、DNAの分析は、コスト効率がいいとはいえない方法を利用していたが、今日では、FISHにより、研究者たちは、多くの疾患及び癌の基礎について速やかに調査し、理解することが可能になっている。

例えば、FISHは、血液の腫瘍、例えば、白血病リンパ腫、及び骨髄腫などに関する骨髄試験、固体腫瘍、リンパ節、及び末梢血試験、移植前遺伝子診断出生前及び出生後の遺伝的異常スクリーニングにおいて既に応用されている。

一般的利点として、FISHは、腫瘍サンプル、例えば、バイオプシーサンプル、組織切片又はパラフィン包試料に直接適用することが可能であり、単一細胞ベルまでの解像度を実現し、適切な細胞サンプルでの希少事象の検出を可能としている。この技術によって提供される潜在的な利点にも拘わらず、これまで、それを実際に選択することはいくつかの欠点によって妨げられてきた。

先ず、FISHは、プロトコール及び画像分析の実行に必要な、試薬コストの点でも、ヒト-時間及び機械-時間の点でもきわめて高価である。この制限のために、FISHは、マススクリーニング法となることを阻止されている。

この制限を克服するための適切な対処法がもしあるとすれば、それは、マイクロ流体デバイスの特色を利用することによって小規模処理用プロトコールを開発することであろう。

しかしながら、FISHプロトコール及びデバイスの、予測が可能な、もう一つの制限は、マイクロ流体デバイスにおける細胞接着の効率が低いことである。これは、マイクロ流体チャンネルの断面がきわめて小さいために、デバイスの中に液体サンプルを移動させるためには、比較的高い圧力を印加しなければならず、これは、次に比較的高速の流れを生じるがためである。例えば、非特許文献2は、サイトスピニングによる標準接着プロトコールを記載するが、このプロトコールでは、マイクロ流体デバイスのチャンネルにおける標的分析対象保持率は僅かに20%にすぎない。この特徴は、希少な変化を追求する場合「疑似陰性」の率を高める可能性がある。

FISHアッセイを実行するのに好適な、細胞を効率的に固定することが可能なマイクロ流体デバイスがもしあるとすれば、それは、この技術の使用の普及に役立つであろう。

いくつかの従来技術文献が、マイクロ流体デバイスのチャンネルにおける分析対象の保持の改善を課題としている。

非特許文献3は、細胞接着を強化するために、ポリD-リシンによる官能基板の使用を開示する。ポリD-リシンコーティングを有する基板は、例えば、BD Biosciencesから市販されているが、現時点では細胞接着のための最先端技術と考えられ、この分野の研究で一般的に使用されている。

Alberta大学の名前で出願された特許文献4は、接着細胞パーセントが、最大で、全体の75%に達することを可能とする固定プロトコールを開示する。ヒトのオペレータ介入によって決められる、対象の細胞集団の一部を固定させるのに十分な、ある一定期間、温度を50から95℃の範囲に上昇させることによってマイクロ流体チャンネルにおける細胞の固定は実現される。その結果、接着細胞のパーセンテージは改善されたにもかかわらず、この文献の方法は、その固定ステップが、ヒトのオペレータによって調節されなければならないという制限や、このステップにおいて必要とされる比較的高い温度がいくつかの細胞を損傷する恐れがあるという制限を依然として抱える。その他、この特許出願は、マイクロ流体デバイスについて、それぞれ、「マイクロチップ」及び「循環マイクロチップ」と呼ばれる、二つの実施態様を記載する。「マイクロチップ」と名づけられた実施態様は、マイクロ流体分析要素担持する0.5mm厚の顕微鏡ガラススライド、及び、0.17mm厚の−高解像度画像のため最小動作距離創出するのに必要であると称される−カバースリップから構成される。これらのデバイス要素は、共に、きわめて壊れやすく、組み立ての際にきわめて慎重な取扱いを必要とし、本デバイス工業規模への安易なスケールアップを妨げる。「循環マイクロチップ」と呼ばれる実施態様は、2枚の1.1mm厚顕微鏡ガラススライド、及び0.254mm厚の、中間PDMS層から構成される。この実施態様は、「マイクロチップ」の脆弱性問題を克服はするものの、その厚みによって、画像獲得のための100×レンズの使用ができず、そのため、現在のFISH標準によって要求される高解像度画像の獲得が阻止される。

特許文献5は、マイクロ流体デバイスの製造において使用が可能で、オリゴヌクレオチドを固定するのに有用と称せられる支持体を開示する。この支持体は、HfO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2、及びそれらの混合物の中から選ばれる酸化物によって、その表面を官能化させ、それらの堆積後、その表面を親水性とするために処理される。しかしながら、この文献は細胞の固定については何も語らない。

特許文献6は、診断学で使用される広範なデバイスであって、活性面が、恐らくは「ゲルネットワーク」酸化物の上に重層される有機化合物によって官能化されているデバイスを開示する。この文献は、細胞の実際の保持率については全く情報を提示しない。

概要

本出願は、免疫蛍光アッセイに好適なマイクロ流体デバイス及び対応する方法を請求する。該デバイスは、二つの平坦成分であって、その一方は、一平面に溝を含む成分を含む。この二つの平面が対合されると、該溝はチャンネルになる。溝無しの成分は、金属酸化物ナノ粒子によって官能化され;この層は、デバイスが組み合わされると、チャンネルの底部を構成する。官能化の目標は、本デバイスにおいて蛍光試験、特に、FISH試験を実行するために、このチャンネル底部に対する細胞接着の向上を可能とすることである。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

スライドと少なくとも1本の溝が存在する部品とを含み、前記スライド及び部品は、それらが接合されるとマイクロチャンネルが形成されるように構成されるマイクロ流体デバイスにおいて、少なくとも、前記マイクロチャンネルに向いている前記スライド面区域が、ナノ構造金属酸化物によって官能化されていることを特徴とする、マイクロ流体デバイス。

請求項2

前記ナノ構造金属酸化物が、約2から約50 nmの範囲をカバーし、5から15 nm内に中心を持つサイズ分布を有するナノ粒子によって構成されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項3

前記酸化物が、Ti酸化物、Zn酸化物、又はZr酸化物の中から選ばれている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項4

前記ナノ構造金属酸化物が、フィルムの形状である、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項5

前記フィルムが、20 nmと200 nmの間に含まれる厚みを有する、請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項6

前記フィルムが、40 nmと60 nmの間に含まれる厚みを有し、表面粗さが、5 nmと15 nmの間に含まれている、請求項5に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項7

前記ナノ構造金属酸化物が、対応するバルク酸化物質量密度の約1/2から約1/10の質量密度を持つ多孔性構造を有する、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項8

前記酸化物が、質量密度が高密度TiO2の質量密度の約1/7であり、光学的バンドギャップが3.2と3.6 eVの間にあり、かつ、屈折率が1.6と1.8の間にあるTi酸化物である、請求項7に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項9

前記フィルムが、PMCS技術によって堆積されている、請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項10

前記酸化物が、プラズマ処理され親水性とされている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項11

前記溝が存在する前記部品が、軟材料のパッド、又は硬材料の薄板である、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項12

前記部品が、シリコンネオプレン、又はポリジメチルシロキサン(PDMS)から製造されているパッドである、請求項11に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項13

前記パッドが、前記スライドに可逆的に結合している、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項14

反応物質気体、及びサンプル注入のためのマイクロ流体アクセス開口が設けられている上部スライド(31)、開口が作製されているパッド(32)、ならびに、官能化スライド(33)を含むマイクロ流体デバイス(30)において、前記上部スライドとパッド32の組み合わせが溝画定し、前記パッドが、デバイスに対する液密シールを確保するギャスケットとして作動する、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス(30)。

請求項15

マイクロチャンネルへのアクセスのための溝と開口とが設けられたスライド(41)、官能化スライド(43)、及び、前記スライドの間のシール(42)を含むマイクロ流体デバイス(40)であって、前記シールは、該溝が設けられている該スライドの中に得られる適切な腔に合致し、前記シールは、該官能化スライドの官能化区域を覆うことがないよう開口部が設けられている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス(40)。

請求項16

前記マイクロチャンネルへのアクセスのための溝と開口とが設けられたスライド(51)、及び、該溝付きスライドの、前記溝が存在する面にポリマー層(52)が付着されている官能化スライド(53)を含むマイクロ流体デバイス(50)において、前記ポリマー層には、該官能化スライドの官能化区域を覆うことがないよう開口部が設けられている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス(50)。

請求項17

蛍光分析に基づくアッセイにおける、先行請求項のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスの使用。

請求項18

前記アッセイがFISHアッセイである、請求項17に記載の使用。

請求項19

前記FISHアッセイが、下記の工程:a)請求項1から16に記載のマイクロ流体デバイスのマイクロチャンネルの中に細胞サンプル負荷すること;b)該細胞放置してインキュベートすること;c)アルコール及び弱いカルボン酸溶液によって該細胞を固定すること;d)SSCを流すこと;e)ペプシン液を流すこと;f)ホルムアルデヒド液によって後処理固定すること;g)一連エタノール液を加えること;h)変性剤の溶液を加えること;i)ステップg)を1回繰り返すこと;j)標識プローブを加え、放置インキュベートすること;k)マイクロチャンネルを包含する部品を、スライドから除去すること;l)SSC及びNP40を含む溶液によって洗浄すること、を含むプロトコールにしたがって実行され、ここで、該細胞サンプルが、細胞懸濁液の形状である、請求項18に記載の使用。

請求項20

前記細胞懸濁液が、非接着細胞の懸濁液である、請求項19に記載の使用。

請求項21

前記非接着細胞が生細胞である、請求項19又は20に記載の使用。

請求項22

前記細胞が固定細胞である、請求項21に記載の使用。

技術分野

0001

本発明は、蛍光分析に基づくアッセイの分野に関し、特に、FISHアッセイに使用できるデバイスに関する。本発明のデバイスを用いて前記試験を効率的に実行するための方法も包含される。

背景技術

0002

Microfluidics(マイクロ流体分析法)は、最近の学際的科学であるが、マイクロリットルから下はフェムトリットルまでごく小容量の液体を取り扱う分析法である。そのもっとも初期の応用は、インクジェットプリントヘッドに関するものだったが、これが、"lab-on-a-chip"(「チップ実験」)技術、特に、ごく少量でサンプルが特徴付けられる生物工学分野の技術開発に好適であることが判明した。分子生物学酵素分析ゲノム分析プロテオミクス臨床病理学診断学環境分析など、これら全てが、マイクロ流体分析法の可能な応用分野である。このようなマイクロスケール次元では、流体は、巨視スケールに比べ、きわめて異なった振る舞いを呈する可能性があり、この特色は、マイクロ流体デバイス、又は、そのようなデバイスを利用する実験を設計する際考慮に入れておかなければならない。例えば、表面張力エネルギー分散流動抵抗及び拡散は、実験の結果を大きく左右する可能性がある。

0003

これらの理由のために、これらのアッセイについては、正規または通例のプロトコールをマイクロ流体デバイスに直接使用することはできず、代わりに、実施の前に、特定の手順を設計しなければならない。

0004

マイクロ流体分析法の使用につながる利点は、これらのデバイスによって可能とされる処理が比較的簡単であること、可能とされる流動コントロールが比較的高度であること、分析時間の短縮、濃度及び分子間相互作用両方における高度のコントロール、試薬及び廃棄物における比類無いコス節減であり、このため、その使用は、より環境に優しく、且つ、装置干渉緩和されるため、より少ないスペースでより多くのサンプルを処理する能力を与える。

0005

上述の利点は、マイクロ流体デバイスの使用を含む実験を自動化することを可能とするが、もしもこれが実現されれば、それは、産業見地からもきわめて興味あることであろう。

0006

特に、マイクロチップバイオテクノロジーは、新たに開発された統合作業フローおかげでマイクロ流体分析法からもっとも多くを得ている。

0007

実験チップデバイスは、バイオアッセイがはるかに小さなスケールで再現される、マイクロ流体回路の形態を取る、数平方ミリメートルから数平方センチメートルのチップである。

0008

実験チップデバイス、又は、前記デバイスにおいて使用されるマイクロ流体回路は広く文献に記載される。

0009

特許文献1は、化学的及び生化学的プロセスを実行するための小型デバイス、特に、DNA増幅を実行するためのマイクロリアクターを開示する。この文献は、マイクロリアクターの壁への分析対象サンプルの望ましくない吸着の問題に対峙し、サンプル中に存在する化合物の吸着の抑制を示す材料によって製造される(又は、材料によって被覆される表面を持つ)マイクロリアクターの使用を提案する。

0010

特許文献2は、チャンネルの中に試薬を固定させたフローセルデバイスを開示する。この試薬は、試験サンプルの中に含まれる可能性のある分析対象に対する電気的又は光学的に検出可能な反応を生ずる。

0011

特許文献3は、反応区域を含むマイクロ流体デバイスを開示する。この反応区域は、サンプル中に存在する少なくとも一つの種、及び、該区域に固定される少なくとも一つの特定物質、すなわち、一つ以上の指定物質(標的種)と特異的又は非特異的に相互作用を誘発することが可能な物質との間の反応を仲介するように設計される。マイクロ流体回路の壁に対する特異的物質の安定な固定は、前記壁の上にあらかじめ形成される、中間的な、固定フィルム(一般に、有機化合物からなる)によって実現される。

0012

実験チップデバイスは、各種分析技術において、例えば、電気泳動クロマトグラフィー、染色、蛍光細胞計測タンパク分析、ポリメラーゼ連鎖反応血液分析などにおいて既に利用されているが、さらなる一つの応用として、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)が挙げられる。FISHに関する総覧としては、例えば、非特許文献1を参照されたい。

0013

より詳細に述べると、FISHは、診断学においてゲノム変化の検出に使用されるきわめて高感度のツールである。

0014

FISHとは、他の通例の技術では検出できない、染色体再配列又は異常を特定するための、きわめて有望な診断ツールである。例えば、染色体の変化の分析は、将来の疾患、又は治療応答に関して予告的である可能性がある。

0015

第1ステップとして、FISHは、例えば、顕微鏡ガラススライドなどの支持体の上に細胞を固定することを必要とする;その後、細胞原形質及び染色体タンパク質を除去するために、細胞は、タンパク消化を受けるが、これは、それによって、染色体DNAへの「アクセス」をより高めるためである。さらに染色体DNAは、例えば、ホルムアルデヒド含有液と共にインキュベートすることによって変性させる必要がある。エタノール系一連溶液によって細胞を脱水した後、DNAプローブが添加される。次に、変性が、約75℃で2-5分間行われ、インキュベーションがなされる。適切な、ポストハイブリダイゼーション溶液で処理することによって、交差ハイブリダイゼーションによる非特異的な妨害的結合を回避することが可能とされる。こうして染色体配列における異常部位が蛍光画像法によって明らかになる。

0016

FISH以前、DNAの分析は、コスト効率がいいとはいえない方法を利用していたが、今日では、FISHにより、研究者たちは、多くの疾患及び癌の基礎について速やかに調査し、理解することが可能になっている。

0017

例えば、FISHは、血液の腫瘍、例えば、白血病リンパ腫、及び骨髄腫などに関する骨髄試験、固体腫瘍、リンパ節、及び末梢血試験、移植前遺伝子診断出生前及び出生後の遺伝的異常スクリーニングにおいて既に応用されている。

0018

一般的利点として、FISHは、腫瘍サンプル、例えば、バイオプシーサンプル、組織切片又はパラフィン包試料に直接適用することが可能であり、単一細胞ベルまでの解像度を実現し、適切な細胞サンプルでの希少事象の検出を可能としている。この技術によって提供される潜在的な利点にも拘わらず、これまで、それを実際に選択することはいくつかの欠点によって妨げられてきた。

0019

先ず、FISHは、プロトコール及び画像分析の実行に必要な、試薬コストの点でも、ヒト-時間及び機械-時間の点でもきわめて高価である。この制限のために、FISHは、マススクリーニング法となることを阻止されている。

0020

この制限を克服するための適切な対処法がもしあるとすれば、それは、マイクロ流体デバイスの特色を利用することによって小規模処理用プロトコールを開発することであろう。

0021

しかしながら、FISHプロトコール及びデバイスの、予測が可能な、もう一つの制限は、マイクロ流体デバイスにおける細胞接着の効率が低いことである。これは、マイクロ流体チャンネルの断面がきわめて小さいために、デバイスの中に液体サンプルを移動させるためには、比較的高い圧力を印加しなければならず、これは、次に比較的高速の流れを生じるがためである。例えば、非特許文献2は、サイトスピニングによる標準接着プロトコールを記載するが、このプロトコールでは、マイクロ流体デバイスのチャンネルにおける標的分析対象保持率は僅かに20%にすぎない。この特徴は、希少な変化を追求する場合「疑似陰性」の率を高める可能性がある。

0022

FISHアッセイを実行するのに好適な、細胞を効率的に固定することが可能なマイクロ流体デバイスがもしあるとすれば、それは、この技術の使用の普及に役立つであろう。

0023

いくつかの従来技術文献が、マイクロ流体デバイスのチャンネルにおける分析対象の保持の改善を課題としている。

0024

非特許文献3は、細胞接着を強化するために、ポリD-リシンによる官能基板の使用を開示する。ポリD-リシンコーティングを有する基板は、例えば、BD Biosciencesから市販されているが、現時点では細胞接着のための最先端技術と考えられ、この分野の研究で一般的に使用されている。

0025

Alberta大学の名前で出願された特許文献4は、接着細胞パーセントが、最大で、全体の75%に達することを可能とする固定プロトコールを開示する。ヒトのオペレータ介入によって決められる、対象の細胞集団の一部を固定させるのに十分な、ある一定期間、温度を50から95℃の範囲に上昇させることによってマイクロ流体チャンネルにおける細胞の固定は実現される。その結果、接着細胞のパーセンテージは改善されたにもかかわらず、この文献の方法は、その固定ステップが、ヒトのオペレータによって調節されなければならないという制限や、このステップにおいて必要とされる比較的高い温度がいくつかの細胞を損傷する恐れがあるという制限を依然として抱える。その他、この特許出願は、マイクロ流体デバイスについて、それぞれ、「マイクロチップ」及び「循環マイクロチップ」と呼ばれる、二つの実施態様を記載する。「マイクロチップ」と名づけられた実施態様は、マイクロ流体分析要素担持する0.5mm厚の顕微鏡ガラススライド、及び、0.17mm厚の−高解像度画像のため最小動作距離創出するのに必要であると称される−カバースリップから構成される。これらのデバイス要素は、共に、きわめて壊れやすく、組み立ての際にきわめて慎重な取扱いを必要とし、本デバイス工業規模への安易なスケールアップを妨げる。「循環マイクロチップ」と呼ばれる実施態様は、2枚の1.1mm厚顕微鏡ガラススライド、及び0.254mm厚の、中間PDMS層から構成される。この実施態様は、「マイクロチップ」の脆弱性問題を克服はするものの、その厚みによって、画像獲得のための100×レンズの使用ができず、そのため、現在のFISH標準によって要求される高解像度画像の獲得が阻止される。

0026

特許文献5は、マイクロ流体デバイスの製造において使用が可能で、オリゴヌクレオチドを固定するのに有用と称せられる支持体を開示する。この支持体は、HfO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2、及びそれらの混合物の中から選ばれる酸化物によって、その表面を官能化させ、それらの堆積後、その表面を親水性とするために処理される。しかしながら、この文献は細胞の固定については何も語らない。

0027

特許文献6は、診断学で使用される広範なデバイスであって、活性面が、恐らくは「ゲルネットワーク」酸化物の上に重層される有機化合物によって官能化されているデバイスを開示する。この文献は、細胞の実際の保持率については全く情報を提示しない。

0028

米国特許 6,613,560号
国際公開WO 95/22051
欧州特許 EP 1542010
国際公開 WO 2008/031228
欧州特許 EP 1215186
国際公開 WO 00/33084

先行技術

0029

"Cytogenetic and FISH techniques in Myeloid Malignancies(「骨髄性悪性腫瘍における細胞遺伝学及びFISH技術」)", L. J. Campbell, Methodsin Molecular Medicine, 2006, Vol. 125, pp. 13-26.
"FISH and chips: chromosomal analysis on microfluidic platforms(「FISH及びチップ:マイクロ流体プラットフォームにおける染色体分析」)", V. J. Sieben et al,IET Nanobiotechnologies, 2007, 1 (3) pp. 27-35,
"Enforced Adhesion of Hematopoietic Cells to Culture Dish Induces Endomitosis and Polyploidy(「培養皿に対する造血細胞の接着強化は、核内有糸分裂及び倍数体形成を誘発する」)", X. Huang et al., Cell Cycle, 4(6), pages 801-805.

発明が解決しようとする課題

0030

したがって、FISHデバイス及び方法に関しては、古典的なものであれ、マイクロ流体依存性であれ、従来技術の方法の欠点を克服するものがあれば、それは求められている。
特に、安価で、取扱い、スケールアップ、及び実行が簡単で、同時に、実施が速やかで効率的であるデバイス及びプロセスを設計することができるならば、それは望ましいと考えられる。

課題を解決するための手段

0031

本発明は、蛍光分析に基づく技術において適切に且つ有利に使用される可能性のある、改良型マイクロ流体デバイスに関する。驚くべき、予想外の結果をもたらす、前記デバイス使用のための、おあつらえのプロトコールも開示される。

0032

本発明の第1目的は、少なくとも、スライド、及び、溝が存在する部品を含むマイクロ流体デバイスにおいて、前記スライド及び部品は、それらが接合されるとマイクロチャンネルが形成されるように構成されており、前記マイクロチャンネルに面する、前記スライドの表面の少なくとも区域が、ナノ構造金属酸化物、好ましくは、酸化Ti、酸化Zn、又は酸化Zrの中から選ばれる金属酸化物によって官能化されていることを特徴とするデバイスである。

0033

本発明のもう一つの目的は、蛍光分析に基づくアッセイを実行するための本発明のデバイスの使用である。

0034

さらにもう一つの目的として、本発明は、本発明のマイクロ流体デバイスを用いて蛍光分析に基づくアッセイを実行する方法に関する。

図面の簡単な説明

0035

例示のマイクロ流体部品の平面図及び断面図を示す。
種々の組み立て段階における、本発明の組み立てデバイスを示す。
3Aは、本発明の第1実施態様におけるデバイスを構成する部品を示し、3Bは、図3Aの組み立てられたデバイスの断面図を示す。
4Aは、本発明の第2実施態様におけるデバイスを構成する部品を示し、4Bは、図4Aの組み立てられたデバイスの断面図を示す。
5Aは、本発明の第3実施態様におけるデバイスを構成する部品を示し、5Bは、図5Aの組み立てられたデバイスの断面図を示す。
本発明による官能化スライド、及び、本発明によらないスライドに対する、培養細胞(U937)接着試験の結果を図式的に示す。
完全なマイクロ流体移動(剪断ストレス延長試験)後の、本発明による官能化スライド、及び、本発明によらないスライドにおける、培養細胞(U937)の接着試験の結果を図式的に示す。
8A、8B、及び8Cは、本発明による、種々のナノ構造金属酸化物によって官能化されているスライド、及び、本発明によらない金属酸化物によって官能化されるスライドに対する、一次造血細胞の接着試験の結果を図式的に示す。
本発明の二つのデバイスにおける接着試験の結果を示す。
本発明のデバイスを用いてマイクロチャンネルにおいてFISH試験を行った後の培養細胞(U937)を示す。
本発明のデバイスを用いてマイクロチャンネルにおいてFISH試験を行った後の培養細胞(U937)を示す。

0036

その第1局面において、本発明は、マイクロ流体デバイスに関する。本発明のデバイスは、蛍光分析に基づくアッセイの分野に応用され、特に、FISHアッセイの実行に使用してもよい。

0037

公知のデバイスに比べると、本明細書に開示されるデバイスは、当業者に高く評価されると考えられるいくつかの利点を有する。

0038

本発明の改良型マイクロ流体デバイスは、少なくとも、スライド、及び、溝が存在する部品を結合することによって形成され、これらの(少なくとも)二つの要素の接合は、デバイスの中にマイクロチャンネルを画定する。他の構成を思い描くことも可能であるが、これらのデバイスのためのもっとも一般的な構造は、溝が、それの存在する部品の全長に亘って延びてはいない構造であり、マイクロチャンネルは、デバイスの上面から、部品(及び、完成デバイスを構成する他の可能な要素)の中に形成される貫通孔を通じてアクセスされる。詳細な説明の後述部分は、この一般的構造を参照しながら行われる。

0039

本発明においては、適切なものであれば、いかなるスライドでも、例えば、ガラス石英、又はある種のプラスチックなどの透明材料から製造されるスライドを使用してもよい。特に、ガラスは、その化学的不活性透明度低コスト、低い多孔性、その親水性、及びその長期安定性のために好ましい材料である。好都合という理由から、標準的顕微鏡スライドを使用することも可能であり、それは、好ましくは、ガラスの、例えば、ホウケイ酸ガラス石英ガラス、又は場合によっては、ソーダ石灰ガラスの薄い板の形状で、約25×76×1 mmの大きさのものである。

0040

本発明の中で使用されるスライドは、少なくとも指定区域を有する。これは、完成デバイスにおいて、細胞接着を高めるために、ナノ構造金属酸化物によって官能化されているマイクロチャンネルの壁を形成する。なお、下記では、ナノ構造金属酸化物をns-MOxと呼ぶ。Mは金属を表す。

0041

ns-MOxの中でも、好ましいものは、薄いナノ構造フィルムの形状を持つ、Zn酸化物(ns-ZnO)、Zr酸化物(ns-ZrO2)、及び、特に、Ti酸化物(ns-TiO2)である。

0042

これらの酸化物フィルムは、ナノ粒子によって構成され、そのサイズ分布は、透過型電子顕微鏡TEM)及び原子間力顕微鏡AFM)によって観察すると、5及び15 nm内を中心に約2から約50 nmの範囲をカバーする。

0043

ナノ粒子はランダム集積されて、水晶マイクロバランスQCM)及びAFMによって測定すると、対応するバルク酸化物質量密度の約1/2から約1/10の質量密度を持つ多孔性構造を生じる。ns-TiO2の場合、質量密度は、典型的には、高密度TiO2の質量密度の約1/7である。

0044

これらの材料は、TEM及びX線回折法(XRD)によって明らかにされるように、ナノ結晶粒子及び非晶質ナノ粒子の両方から構成されている。ns-TiO2の場合、アナタース及びルチル両相が共存していることが観察されている(ラマン分光光度計測)。

0045

このフィルムは、50 nmの厚みで布置されると可視域波長に対して透明である。

0046

特に、ns-TiO2の場合、光学的吸収は、約320 nmにおいて、すなわち、UV域において感知できる(UV-VIS分光光度計測)。吸収端特徴から、光学的バンドギャップ(Taucモデル)は、3.2から3.6 eVと推定される。ns-TiO2の屈折率は、1.6と1.8の間の値であり、これは、ナノスケール多孔性(Lorentz-Lorenzモデル)により、バルクのTiO2のもの(アナタースで2.5、ルチルで2.9)よりもはるかに低い。

0047

本発明のナノ構造フィルムは、20 nmと200 nmの間、好ましくは40 nmと60 nmの間に含まれる厚みを有し、表面の粗さは、2 nmと30 nmの間、好ましくは5 nmと15 nmの間にある。

0048

これらのns-MOxの薄層フィルムは、いくつかの技術、例えば、スパッタリングパルスレーザー蒸着法PLD)などによって支持体スライドの上に堆積させてもよい。ただし、好ましい技術は、Pulsed Microplasma Cluster Source(PMCS)の使用による。この技術は、ナノ構造薄層フィルムの堆積を可能とし、その作用は、真空システム境界を接するソースチェンバーの中にガス流注入することによって生成されるプラズマを通じて、ソース中に配置されるカソードから材料を剥離することによる。ソースと真空チェンバー間の圧力差によってナノ粒子の抽出が可能とされる。PMCS技術の総覧に関しては、例えば、EP 1031639又はJournal of Physics D, 32 (1999), L105-109を参照されたい。PMCSは、堆積材料において所望の多孔性特徴を確実に実現することを示したので好ましい技術である。

0049

PMCSによって生産されると、ns-MOxの表面特色は、弾道集積成長プロセス(ballistic aggregation growth process)と一致し、特に、厚みに依存する表面粗さを示す。40 - 60 nm以内の厚みでは、表面粗さは、5 nmから15 nmであり、典型的には8 nmから12 nmである(AFM)。

0050

好ましくは、ns-MOxフィルムは、マイクロチャンネル内濡れ性増し毛管作用を高め、そうすることによってマイクロチャンネルへの液体の自発的流入を促進するよう、堆積後、酸素プラズマによって処理(100Wで150秒間処理)される。

0051

スライドの官能化のために好ましい材料は、化学量論的であると否とを問わず、好ましくはPMCS技術によって取得されるns-TiO2である。二酸化チタンは、きわめて生物適合性、及び生物活性が高い材料である。事実、前記材料は、細胞増殖などの正常な細胞活性を妨げることはしないし、細胞培養物の調製に使用される試薬と相互作用することもない。さらに、ナノ構造二酸化チタンの示す蛍光背景信号(自己蛍光発光)はきわめて低く、これは、蛍光に基づく測定の場合、信号/雑音比を高める。

0052

ナノ構造二酸化チタンコーティングは、国際公開WO 2007/009994に本出願人らの名前で開示されている。この文献は、ウィルス又は細胞を固定するための基質を開示する。しかしながら、この文献は、マイクロ流体分析法における使用については言及せず、ns-MOxが、この特異的分野で使用される場合、他の、公知の接着促進材料に比べ、より優れた特性を有する可能性のある事実についても示唆していない。

0053

溝が存在する部品は、種々の軟らかい材料、一般に、シリコン、又はネオプレン、又はPDMS(ポリジメチルシロキサン)などのポリマーを用いて実現されるパッドであってもよい。若しくは、これは、硬い材料、一般には、ガラス、石英などの無機材料薄層板であってもよい。

0054

溝は、典型的には、ミリメートルの桁の長さ、及び、その側長が、数十又は数百マイクロメートルの桁の大きさを持つ断面を有する。孔、及び必要に応じて追加される腔もまた、1ミリメートル未満の大きさを有する。これらの特徴は、典型的には、エッチングによって産みだされ、それは、当該技術分野で公知の種々の技術、例えば、パウダーブラスト(powderblasting)、化学的エッチング(例えば、HFエッチング)、深反応性イオンエッチング、又はプラズマエッチングによって実行されてもよく、その際、エッチングマスクは使用されても、使用されなくともよい。ポリマーパッドの場合は、金型成形又は鋳型成形などの他の技術を溝形成のために使用してもよい。

0055

溝は、必要に応じて様々な断面形状を有していてもよく、例えば、正方形円形六角形であってもよいが、もっとも一般的断面は長方形である。溝はさらに、例えば、様々な数のマイクロチャンネルから構成されてもよい。

0056

本発明による、好ましい溝付き部品は、ポリマーパッドである。マイクロメートル溝を持つパッドの例を図1に表す。特に、この図において、図面a)は、パッドの平面図を、図面b)は、同じパッドの底面図、及び、図面c)は、溝に平行で、溝を含む平面にそって得られる断面における、パッドの側面図を示す。

0057

例示のパッドの大きさは、75.6×25.0×1.0 mmであり、例示の溝の大きさは、300μm×50μm×10 mmである。反応物質気体、及びサンプル注入のためのアクセス開口は0.7 mmの直径を有する。

0058

多くの先端技術で用いられる平板スライドの代わりにマイクロ流体デバイスを用いることによって、アッセイの実行に必要な反応物質の量は少なくなる。特に、必要とされる高価なFISHプローブの量ははるかに小さくなり、これは、環境的にもより安全であると考えられる。

0059

さらに、本発明によるマイクロ流体デバイスでは、接着のために可能とされる平面は、マイクロチャンネルの底面と同じサイズを有する。この平面は、標準的FISHアッセイにおける機能的対応部分よりもはるかに小さい。本発明の細胞接着用コーティングが実施されると、分析のために同量の細胞が利用可能となり、このため、最終画像の取得に必要な時間量は僅かとなって、マシン-時間配分によるコストを下げる。

0060

小規模FISHを実現するためには、種々の粘度及び密度を持つ、水依存性(又は、水適合性)試薬を順次使用しなければならない。反応はマイクロチャンネルの中で行われるので、マイクロチャンネルの毛管作用は、試薬の流動、及び、分析の適切な実行にとって必須の前提条件となる。この条件は、パッド又は板(その中にマイクロチャンネルが実現される)を親水材料によって製造すること、又は、基質スライドを親水性ns-MOxフィルムによって官能化することによって実現することが可能である。

0061

本発明の好ましい実施態様では、疎水性であり、したがって、液体の、マイクロチャンネル内部への自発的流入を阻止することが知られる、PDMS又はシリコン製のパッドが使用される。したがって、堆積されたフィルムも同様に疎水性である場合は必ず、これらを親水性とし、反応水溶液の、マイクロチャンネル内部への流入を促進するよう、このns-MOxコーティングを後処理する必要がある。

0062

ns-MOxを後処理すること、好ましくは、表面電荷を付加することによって(例えば、100Wで150秒間のプラズマ酸素処理)、接触角分析法によって測定すると、高い濡れ性を持つns-MOxが得られる(プラズマ処理コーティングの場合、10°を超えない接触角が、本発明人らによって一貫して得られた)。本発明人らは、この処理は、マイクロチャンネル条件の下で毛管作用を賦与することが可能であることを観察し、マイクロチャンネル内部への液体の流入が、ポンプ支援吸引を要することなく、自発的に行われることを実証し、デバイスの毛管作用を確認した。

0063

本発明のマイクロ流体デバイスの、第1の、もっとも単純な実施態様は、マイクロメートル溝を持つPDMS又はシリコンパッドと結合する、官能化顕微鏡ガラススライドを含む。この結合は、少なくとも部分的には、PDMS又はシリコンと、ガラスとの間の自発的接着を利用してもよい。一方、この接着は可逆的なので、アッセイの終了時、二つの部品の簡単な分離を可能とする。

0064

組み合わせは、マイクロチャンネルが、スライド表面の官能化区域と一致して位置づけられるように実行される。スライドとパッドの間の可逆的結合のおかげで、この後者は、ハイブリダイゼーション相の終了時に取り外すことが可能であり、そのため、蛍光画像は、サンプルについてそれ以上の操作を全く要することなく、ガラススライド上において直接取得することが可能である。

0065

予期に反して、前記第1結合ステップ及び前記その後の分離ステップは、FISHアッセイの実行前でも、実行後でも、スライドの官能化層に対する細胞の接着に対し全く影響を及ぼさないことが観察された。

0066

結合を解除されると、スライドは、顕微鏡「下」に、顕微鏡対物レンズをサンプルが固定されるスライド面に向き合わせて直接設置することが可能である。このため、動作距離を適切に設定することが可能となるので、100×対物レンズによる画像取得が可能となり、したがって、FISHの通常施行標準によって要求される画像解像度が実現される。

0067

同時に、例えば、1 mm厚の標準的顕微鏡ガラススライドの使用が可能となるので、容易に操作するのに十分な程頑なデバイスを得ることが可能となる。

0068

上に開示されるように、図2は、種々の組み立て段階における、本発明の組み立てデバイスの平面図を表す。図において、図面a)は、支持体を表し;図面b)は、官能化スライドを載せた支持体であり、スライドにおいて、比較的暗い影で表した中心区域が官能化区域であり;図面c)は、官能化スライドを装備した支持体、及び、該スライドの上に載せたマイクロ流体パッドであり;図面d)は、閉鎖栓にマイクロ流体分析用アクセスポートが設けられている、最終組み立て済みデバイスである。

0069

PDMS又はシリコンとガラスの間では、接着は自発的に行われるので、上記ポリマーの一つで造られるマイクロ流体パッドが使用される場合、記述アッセンブリは不要とすることも可能と考えられる。しかしながら、上記ポリマーを使用しない場合、特に、本発明の、可能なさらに別の実施態様においては、例えば、後述の実施態様で、「ガスケット1」、「ガスケット2」、及び「ガスケット3」と名づけられるものに関しては、部品の間に圧縮力を印加することが必要である。

0070

実施態様「ガスケット1」は、図3A及び3Bに表される。図3Aは、この第1実施態様によるマイクロ流体デバイスを構成する三つの要素、すなわち、反応物質及びサンプル注入のためのマイクロ流体アクセス開口が設けられる上部スライド31(適切なものであれば、いずれの有機又は無機材料であってもよく、例えばガラスで実現されてもよい);開口が設けられるパッド32;及び、部品33は官能化スライド、である。図3Bは、図3Aの要素31、32、及び33を接合することによって得られる、デバイス30の断面図を示し、前記断面図は、デバイスのマイクロチャンネル中の流体の流動方向に対して垂直な平面にそって得られたものである。図3Bの構築の場合、スライド31とパッド32の組み合わせは、溝を画定するが、スライド31は、パッド32に対し軽く押しつけられてもよい。そうすることによって、該スライドは、ガスケットとして作用し、デバイスに対し液密シールを確保する。特に、前記パッド32は、ポリマー材料、例えば、PDMS、シリコン、又はネオプレンなどで実現されていてもよい。

0071

デバイスの組み立ては、スライド33の官能化区域が、パッド32の開口に一致して置かれるように実行される。

0072

図4A及び4Bは、本発明のマイクロ流体デバイスの、「ガスケット2」と名づけられる(図4Bのデバイス40)、さらに別の特定実施態様を示す。図4A及び4Bの図面間の関係は、図3A及び3Bの場合と同様である。この場合、マイクロチャンネルは、図4Aのスライド41の中に実現されている。

0073

この実施態様では、官能化スライド43は、溝、及びマイクロチャンネルへのアクセス開口を設けたスライド41に結合している。スライド41及び43の間に液密シールを可能とするために、シール42がそれらの間に存在する。特に、前記シールは、ポリマー材料、例えば、PDMS、シリコン、又はネオプレンなどで実現されていてもよい。前記シール42には、図4Aのスライド43の官能化区域を覆うことがないよう、適切な開口部が設けられる。

0074

組み立ては、スライド41のマイクロチャンネルが、スライド43の官能化区域に一致して置かれるように実行される。

0075

図5A及び5Bは、本発明のデバイス(図5Bのデバイス50)の、「ガスケット3」と名づけられるさらに別の実施態様を示す。再び、図5A及び5Bの図面間の関係は、図3A及び3Bの場合と同様である。この実施態様では、デバイスは、図5Aに示す、第1スライド51及び官能化スライド53から形成される。スライド51には、溝と、反応物質、気体、及びサンプル注入用の開口部とが設けられている。スライド51と53との間の液密シールは、薄いポリマー層(52、図5Aには図示せず)、好ましくは数マイクロメートル厚の層であるが、これは、スライド51にしっかりと付着されるが、その付着部は、このスライドの溝が設けられている部分を覆わない。

0076

上記実施態様で使用されるスライドは全て、適切であればいずれのスライドであってもよく、例えば、顕微鏡ガラススライドのようなガラススライドであってもよい。

0077

上記実施態様の全てにおいて本発明のデバイスは、思いがけず、従来技術において開示された技術の主要問題を解決することが判明した。

0078

実際、官能化基板に対する細胞の接着は、初期細胞の90%以上であることが明らかになったが、これは、先端技術を参照すると驚くべきことである。思いがけず、同様の接着パーセントが、U937などの造血細胞−これらはリンパ球由来細胞であり、一般に非接着細胞と定義されている−の処理時にも得られた。その結果、少数細胞を含むサンプルでも使用でき、そのような場合でも、再現性と、十分な情報の取得が無理なく予測できるようになった。

0079

これは、特に、例えば、循環腫瘍細胞サンプルなどで、大規模サンプルを取り扱うことができない場合など、大きな関心事となる。

0080

再び、稀な細胞変化が仮に生じた場合の特定も、処理時サンプルからの細胞の喪失がきわめて少ないので、同様に可能となり、したがって、疑似陰性の危険性も低下すると考えられる。

0081

さらに、スライドに接着する細胞は、従来の慣行のようにスライド上に広げられ、押しつけられる代わりに、その三次元構成を維持するので、サンプルから様々の距離でデータを収集することによって三次元(3D)画像を取得することが可能である。この利点も、稀な細胞変化、又は少数細胞サンプルを取り扱う際に重大関心事となる。なぜなら、z-軸上の信号を識別することが可能となるので、幾何学的問題のために興味ある可能性のある情報が排除される可能性が無くなるからである。

0082

本発明の第2目的として、蛍光分析に基づくアッセイにおいて、特にFISHの実行のために、本発明のデバイスを使用する方法が提供される。

0083

本発明の目的のためには、特に、インビトロで培養され、組織又は液体からの抽出された、生物サンプル由来の細胞によって構成される細胞の懸濁液を使用してよい。

0084

それらに合わせてプロトコールを実施したところ、使用される、他の任意の従来法及び/又は材料に対し、予想外の、驚くべき作用がこれまでに取得されている。実際、本法は、1ml当たり10細胞前後という、ごく少量で、低密度のサンプルの分析も可能とする。

0085

より詳細には、本アッセイは、様々な種類の細胞、例えば、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞、造血細胞、上皮細胞羊膜細胞について実施することができ、一般に、任意の培養細胞、又は一次ほ乳類細胞、及び、非ほ乳類型細胞にも、生細胞であれ、適切な細胞固定剤によるものであれば、あらかじめ固定された細胞であれ、さらに、上述のように、接着細胞又は非接着細胞と一般に分類されたものであれ、それらに無関係に実施することが可能である。生細胞又は固定細胞、接着細胞又は非接着細胞の、官能化スライドに対する固定の程度はきわめて多様である。

0086

好ましい実施態様では、本発明の蛍光分析に基づくアッセイは、一般に非接着細胞と定義される、U937生細胞に実施される。

0087

生細胞懸濁液の使用を可能とすることによって、本発明の方法は、固定剤による細胞の前処理や、細胞の溶解を全く必要としないので、完全細胞の使用を可能とする。これは、時間、及び有毒試薬のコスト及び容量の点から、特に重要な関心事となる。さらに、このように細胞の生理的条件の分析を行うこともできる。

0088

本発明において開示される方法は、本発明のデバイスを用いて実行するのに特に好適である。

0089

本発明は下記の実施例によってさらに具体的に説明される。

0090

実施例1
本実施例は、本発明によるマイクロチャンネル装備マイクロ流体デバイスの調製及び組み立てに関する。
a)基板スライドの、ns-MOxによる官能化
超音波的洗浄した顕微鏡ガラススライド(例えば、Schott Nexterion D)を、PMCSを装備した真空システムの堆積チェンバーに納める。所望の材料がスライドの限定区域にのみ堆積されるように、PMCSによって発射されるクラスタービームに対するスライドの暴露は、ソースとスライドの間に配置される適切なステンシルマスクを介して実行される。均一厚の堆積層を取得するために、スライドは、クラスタービームの前を連続的に走査させ;成長する層の厚みを監視するために、石英結晶マイクロ天秤(QCM)もクラスタービームに暴露させる。堆積は、ソース-スライド距離を約1 mとした場合、室温、10-6 torrの典型的圧の下で、スライド当たり約1分続いた。

0091

スライドの官能化のために選ばれた材料はTiO2である。
得られたns-TiO2フィルムは、約50 nmの平均厚を有する。
堆積相の後、スライドは、100Wで150秒間酸素プラズマに暴露される。

0092

b)溝のスライドとの結合
図1に示すものと同種のPDMSパッドが準備される。この中には、長さ1 cm、幅300μm、及び高さ50μmのマイクロメートル級の溝が存在する。パッド及び官能化スライドは、適切な機械的中心照準器によって結合され、スライドの官能化区域に対する溝の位置取りが実現され、このようにして、本発明にしたがってマイクロチャンネルが形成される。
この二つの部品の間の接着は、僅かな圧を働かせることによって得られる。

0093

実施例2(比較)
実施例1で使用したものと等しいPDMSパッドを、非官能化顕微鏡ガラススライドと接合することによってマイクロ流体デバイスを作製する。この場合も、パッドとスライドとの間の接着は、この二つの部品に僅かな圧を印加することによって実現される。

0094

実施例3(比較)
実施例2の手順を繰り返す、ただし、この場合は、標準的スパッタリング堆積法によって得られる、一層の、高密度、非ナノ構造TiO2フィルムによって官能化させたスライドを用いる。得られたフィルムは、約50 nmの厚みを有する。この場合も、スライドとパッドの間の接着は、この二つの部品に加圧することによって実現される。

0095

実施例4(比較)
実施例2の手順を繰り返す、ただし、この場合は、ガラススライドを、15μg/mlのポリ-D-リシン液(SIGMA)と室温で30分インキュベートし、1×ダルベッコリン酸バッファー生理的食塩水DPBS)で洗浄し、空気乾燥して、実験に用いる、ポリ-D-リシンの層によって官能化させたスライドを用いる。この場合も、スライドとパッドの間の接着は、この二つの部品に加圧することによって実現される。

0096

実施例5
本実施例は、実施例1-4のマイクロ流体デバイスで実行した細胞接着試験の結果を示す。
マイクロ流体デバイスは、ホットプレート上で37℃で2分間あらかじめインキュベートする。

0097

試験標本の準備のため、U937培養細胞(指数関数増殖細胞1 ml)を、1.5 mlチューブに入れ、1×DPBSで3回洗浄し、カウントし、最終的に、10000細胞/μlの濃度で再懸濁する。

0098

1.5μlの細胞懸濁液を、各マイクロ流体デバイスのマイクロチャンネルの入りウェル負荷し、一方、このマイクロチャンネルの出口ウェルからシリンジポンプ(KDS120, KD Scientific)によって1.7μl/秒で吸引する。次に、細胞を数分間放置して、マイクロチャンネルの底部に接着させ、直ちに、メタノール酢酸3:1比の溶液を加えて固定する。接着後、1×DPBSを加えて固定剤を洗い流しながら、真空ポンプで吸引する。この手順によって、細胞は、僅かではあるが剪断ストレスに曝される。この手順の終了時、パッドを除去し、スライドをDAPI(4,6-ジアミノ-2-フェニルインドール、SIGMA)で染色し、封印して顕微鏡分析に備える。分析では、スライドに固定された細胞の数をカウントする。その結果を図6報告する。この図から、試験した条件では、比較例2-4のスライドの表面に接着されるU937細胞の数はほぼ同じで、約600固定細胞に等しい、すなわち、負荷細胞の約40%であるが、一方、本発明の官能化スライド(実施例1)に接着される細胞の数は約1400である、すなわち、比較スライドの場合よりも約130%高く、負荷細胞の約93%に等しいことがはっきりと見てとれる。

0099

実施例6
本実施例は、実施例5の場合よりもさらに厳しい剪断ストレス条件の下で実施例1-4のマイクロ流体デバイスデバイスについて行った第2接着試験の結果を示す。

0100

3:1メタノール/酢酸溶液による固定ステップまでは実施例5の手順を繰り返す。次に、サンプルに対し、下記で「長時間剪断ストレス」と呼ばれる手順を課す。この長時間剪断ストレスは、スライドに固定される細胞を、生物学的アッセイにおいて使用される一連の試薬に接触させることを含む。特に、下記の溶液を、ピペットで連続的に負荷し、指示の時間と温度でインキュベートし、真空ポンプで吸引する、すなわち:2×生理的食塩水-クエン酸ナトリウムバッファーSSC)を37℃で30分;酵素(0.005%、ペプシン、0.01N HCl、SIGMA)添加バッファーを37℃で15分;1×DPBSを室温(RT)で5分;ポスト固定剤(50 mM MgCl2、SIGMA)、0.95%ホルムアルデヒド(SIGMA)の、1×DPBS溶液をRTで5分;1×DPBSをRTで5分;その後順次、EtOH 70%、85%、及び100%(BDH)による3回の洗浄を、それぞれ、RTで1分;変性液(70%ホルムアミド、SIGMA、2×SSC溶液、SIGMA)を75℃で5分;その後順次、EtOH 70%、85%、及び100%による3回の洗浄を、それぞれ、RTで1分、である。

0101

純粋EtOHを完全に吸引した後、スライドを60℃に2分間置いて完全に乾燥させ、次いで、0.3μlのハイブリダイゼーション混合液(15 mlについて、7.5 mlの超純粋ホルムアミド、6.0 mlの硫酸デキストラン25%、1.5 mlの20×SSC)を負荷する。次に、マイクロチャンネルウェルを、一滴の鉱油(SIGMA)でシールして蒸発を防止し、37℃で10分インキュベートする。インキュベーション後、パッドを除去し、スライドを、洗浄液A(0.3% NP40、非イオン性非変性洗剤オクチルフェノキシポリエトキシエタノールの、0.4×SSC(SIGMA)溶液)73℃で2分間、及び、洗浄液B(0.1% NP40の、2×SSC溶液)RTで1分間を含むコプリンジャーに浸し、空気乾燥し、DAPI II(Abbott Molecular)で封印して顕微鏡分析に備える。細胞数カウントのために、各スライドをDAPIフィルターによって画像化し、Scan^R、すなわち、Hamamatsu ORCA-AGカメラ装備の、画像スクリーニング用顕微鏡自動化プラットフォーム(Olympus Europa、ドイツ)を用い、10×対物レンズを用い13枚の隣接画像を走査することによって画像を取得し;次いで、細胞は、適切な閾値を設定した後、ImageJソフトウェアの「粒子分析」機能を用い、15-75平方ピクセルの範囲外の対象物を排除することによってカウントする。データは移送し、Excelソフトウェアによって分析する。

0102

結果を、図7グラフ形式で報告する。図から見てとれるように、SiO2スライドでは、細胞数は、1マイクロチャンネル当たり〜100細胞と激減するが、一方、ns-TiO2及びポリ-D-リシン塗布スライドでは、細胞数は事実上変化しない。それにも拘わらず、最初の細胞固定の効率がまちまちであるために(実施例5を参照)、この剪断ストレス延長試験の終了時、全細胞数は、ns-TiO2とポリ-D-リシンの間で有意に異なっており(1400細胞数・対・600細胞数)、ns-TiO2被膜スライドの方が2倍以上も高かった。

0103

実施例7
本実施例は、実施例6と同じ条件下で、実施例1−4のマイクロ流体デバイスにおいて行った−ただし、この場合は、ヒトのドナーからの造血細胞を含む標本による−第3の細胞接着試験の結果を示す。

0104

マイクロ流体デバイスは、実施例5と同様、ホットプレート上で37℃で2分間あらかじめ条件を整える。

0105

試験標本の準備のため、正常なドナーの末梢血(PB)の分液(0.5-1 ml)を、赤血球分解バッファー(Red Blood Lysis(RBL)バッファー)(0.15M NH4Cl、9.93mM KHCO3、0.13mMEDTA、SIGMAから購入)によって処理して全体容量を10 mlとし、この懸濁液を4℃で5分維持し、次いで、1500 rpmで5分遠心する。上清は廃棄し、このようにして単離された造血細胞再び、10 mlのRBLバッファーに再懸濁し、次いで1800 rpmで5分遠心した。

0106

細胞は、1 mlの1×DPBSに再懸濁し、1.5 mlのチューブに移し、1×DPBSで2回洗浄し、最終的に、15000-25000細胞/μlの濃度で再懸濁する。このようにして得られた懸濁液1.5μlを、各マイクロ流体デバイスマイクロチャンネルの入り口ウェルに負荷する。

0107

20μlのカルノイの固定剤、メタノール(SIGMA)/酢酸(Carlo Erba)3:1を、入り口ウェルに加え、細胞を固定するため、放置して細胞に向けて拡散させる。2分後、細胞は固定される。次に、マイクロチャンネルに、実施例6で説明した剪断ストレス延長試験を課す。試験の結果を図8に示す。本発明のデバイスの上に保持される細胞の数は、比較デバイスの上に保持される細胞数の約1.8から2.5倍の範囲にある。

0108

実施例8
本実施例は、本発明のデバイスにおいて、ns-TiO2フィルムが後処理されるか、又は堆積後処理されないデバイスの性能比較に関する。

0109

実施例1のポイントa)の記載のように作製されたスライドの官能化面に対し、100Wで150秒間プラズマ酸素処理をする。
このように後処理したスライド、及び、非後処理スライドを、実施例1のように、PDMSパッドと組み合わせ、次に、今度は試験サンプルとして固定細胞(U937)を用いて実施例6の手順を実行した。試験の結果を図9に報告する。図から、本発明のデバイスは、両方とも、細胞の高度の保持率を示すが、後処理ns-TiO2フィルムの場合、細胞が、マイクロチャンネルの底面に相当する面全体により均等に分布することが示される。これは、データ解釈をやり易くする。

0110

実施例9
本実施例は、本発明のマイクロ流体デバイスを使用する完全FISHアッセイプロトコールの実現に関する。

0111

本発明のプロトコールによるFISHアッセイを実行するために、実施例1によって調製されるマイクロ流体デバイスが使用される。

0112

U937細胞(ATCC米国基準菌株保存機関)の分液を、600gで5分間遠心し、37℃で1×DPBSに10000細胞/μlの細胞濃度となるように懸濁する。

0113

この細胞懸濁液を、標準的実験用ピペットを用いて手動的にデバイス中にピペット注入し、4分間放置してインキュベートする。

0114

アルコールと弱いカルボン酸を含む固定剤を加え(メタノール/酢酸3:1)、2分間固定させ、次いで、真空ポンプによる吸引を実行する。

0115

あらかじめ37℃に加熱した、30μlの2×SSC溶液(20×SSC、3.0M NaCl、0.3Mクエン酸ナトリウムの濃縮ストックから調製)を、マイクロチャンネル中にピペット注入し、37℃に加熱したプレート上で15分インキュベーションさせる。

0116

インキュベーション後、ペプシン0.005%を含む溶液をピペット注入し、次いで、加熱プレート上でマイクロチャンネルにおいて15分インキュベートする。

0117

ペプシン液をポンプで排出し、1×DPBS(リン酸緩衝生理的食塩水、Lonza Group)をピペット注入し、5分間放置インキュベートし、次いで、ホルムアルデヒドを含む溶液(50 mlの溶液について、1.3 mlのホルムアルデヒド37%、0.23 gのMgCl2、48.7 ml のPBS)で5分間インキュベート、1×DPBSを流し、5分間放置インキュベートする。

0118

DPBSをマイクロチャンネルからポンプ排出し、放置乾燥させる。
70%、85%、次いで100%の、一連のエタノール溶液を順次ピペット注入し、それぞれ1分間インキュベートする。

0119

変性液(50 mlの溶液について、35 mlのホルムアルデヒド37%、5 ml の20×SSC、10 mlのH2O、pH7-8)で、あらかじめ73℃に加熱したものをピペット注入し、73℃に加熱したプレート上で5分間インキュベートさせる。

0120

次いで、デバイスをプレートから外し、放置冷却し、その後、変性液をポンプ排出し、連続エタノール液による処理を繰り返す。

0121

デバイスを、45℃に加熱したプレート上に置き、エタノールを、約1分間ポンプ排出することによって完全に取り除く。

0122

デバイスを加熱プレートから外し、Cy3によって標識した変性プローブを負荷する。次に、マイクロチャンネルウェルを一滴の鉱油(Sigma)でシールし、37℃に維持するプレート上で一晩インキュベートさせる。

0123

インキュベーション後、パッドをスライドから分離する:次に、ガラススライドを、コプリンジャーにおいて、あらかじめ73℃に加熱した、0.4×SSC及び0.3% NP4Oを含む溶液で2分間洗浄し;次いで、2×SSC及び0.1% NP4Oを含む溶液においてRTで1分間洗浄する。最後に、スライドを1分間放置して空気乾燥させる。

0124

次に、ガラスカバースライドに、DAPI(4,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、SIGMA)を含む溶液を塗布する。

0125

このようにしてスライドは、油浸100×対物レンズによる画像取得のために使用する準備が整う(図10及び図11参照)。

0126

図10は、FISHにおける、Cy3標識座位特異的プローブ(二つの光輝点/核)による、細胞核上の染色体Xの正確な検出を示し、これは、ゲノム検出のために少量の配列プローブを用いた場合でも試験の効果的な性能が確かめられることを示す。

実施例

0127

図11は、FISHにおける、Cy3標識セントロメア特異的プローブ(二つの光輝点/核)による、細胞核上の染色体Xの正確な検出を示し、これも、本試験の最適性能をさらに確証する。

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