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技術 電動機の予防保全装置

出願人 東芝三菱電機産業システム株式会社
発明者 李忠
出願日 2011年5月17日 (9年1ヶ月経過) 出願番号 2011-110359
公開日 2012年12月10日 (7年6ヶ月経過) 公開番号 2012-240068
状態 特許登録済
技術分野 圧延のマーキング、インディケータなど 制御系の試験・監視
主要キーワード 大型電動機 ユニバーサルカップリング ジャッキング 可変速電動機 負荷要素 予防保全装置 圧延プラント 各計測データ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年12月10日)のものです。
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図面 (16)

課題

回転速度の変動や圧延負荷の変化による誤診断を避けることができ、ひいては、圧延プラント全体の運転に影響するような突発的な故障を未然に防止することのできる電動機の予防保全装置を提供することを目的とする。

解決手段

本発明の電動機の予防保全装置は、電動機の軸の状態を表す特定物理量ラジアル方向軸変位スラスト方向軸変位)の計測データと、電動機の回転速度の計測データと、電動機駆動装置から入力されるドライブ出力電流のデータとを評価用データとして収集する。そして、収集した評価用データを評価モデルと照合し、評価用データと評価モデルとの一致度に基づいて電動機に係わる異常を監視する。評価モデルとしては、電動機が正常な場合における圧延時の回転速度及びドライブ出力電流と電動機の軸の状態を表す物理量との関係を2次以上の高次関数によって近似した式を用いることができる。

概要

背景

製鉄所圧延プラントを構成する機器の一つに電動機がある。圧延プラントは負荷の変動が多いため、圧延プラント用の電動機としては可変速電動機が使用されている。この電動機では頻繁な加減速制御が行われ、その際に加わる機械的な衝撃や電気的な過負荷によって突発的な故障がもたらされることがある。特に、圧延材の噛み込みタイミングには電動機に繋げられている機械側からの衝撃が大きく、電動機の軸受台が異常な力を受けて急に故障することがある。電動機の故障は圧延プラント全体に影響し、重大な故障であれば圧延プラントの操業を停止させてしまうこともある。特に遠隔地の圧延プラントにおいて突発的な故障が発生した場合には、補修修理に時間がかかり、多くのリソースが割かれることになる。このため、圧延プラントの運転においては、電動機に異常が生じていないかどうか監視することにより、電動機の故障を未然に防止することが必要とされている。つまり、電動機の予防保全が必要とされている。

従来の電動機の予防保全の方法としては、例えば特開平10−285546号公報に開示されている方法が知られている。この公報に開示された従来の方法によれば、電動機の使用開始時における回転速度(所定時間あたり回転数)と振動値との関係を近似した正常時関数式と、電動機を継続使用したときの回転速度と振動値との関係を近似した使用時関数式とがそれぞれ最小二乗法によって求められる。そして、使用時関数式を正常時関数式によって割り算することが行われ、その割り算の結果が予め設けた閾値を超えたら電動機に異常が発生したと判定することが行われていた。

概要

回転速度の変動や圧延負荷の変化による誤診断を避けることができ、ひいては、圧延プラント全体の運転に影響するような突発的な故障を未然に防止することのできる電動機の予防保全装置を提供することを目的とする。本発明の電動機の予防保全装置は、電動機の軸の状態を表す特定物理量ラジアル方向軸変位スラスト方向軸変位)の計測データと、電動機の回転速度の計測データと、電動機駆動装置から入力されるドライブ出力電流のデータとを評価用データとして収集する。そして、収集した評価用データを評価モデルと照合し、評価用データと評価モデルとの一致度に基づいて電動機に係わる異常を監視する。評価モデルとしては、電動機が正常な場合における圧延時の回転速度及びドライブ出力電流と電動機の軸の状態を表す物理量との関係を2次以上の高次関数によって近似した式を用いることができる。

目的

本発明は、上述のような課題に鑑みなされたもので、回転速度の変動や圧延負荷の変化による誤診断を避けることができ、ひいては、圧延プラント全体の運転に影響するような突発的な故障を未然に防止することのできる電動機の予防保全装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

電動機駆動装置から入力されるドライブ出力電流によって回転を制御される圧延プラント電動機の予防保全装置であって、前記電動機の軸の状態を表す特定物理量計測データと、前記電動機の回転速度の計測データと、前記ドライブ出力電流のデータとを収集するデータ収集手段と、正常圧延時における前記回転速度、前記ドライブ出力電流及び前記特定物理量間の関係をモデル化した評価モデルを記憶する評価モデル記憶手段と、前記データ収集手段により収集されたデータを前記評価モデルに照合し、その一致度に基づいて前記電動機に係わる異常を監視する異常監視手段と、を備えることを特徴とする電動機の予防保全装置。

請求項2

前記データ収集手段は、前記特定物理量の計測データとして、軸変位センサにより得られる前記電動機のラジアル方向の軸変位の計測データを収集することを特徴とする請求項1に記載の電動機の予防保全装置。

請求項3

前記データ収集手段は、前記特定物理量の計測データとして、軸変位センサにより得られる前記電動機のスラスト方向の軸変位の計測データを収集することを特徴とする請求項1に記載の電動機の予防保全装置。

請求項4

前記データ収集手段は、前記特定物理量の計測データとして、軸荷重センサにより得られる前記電動機のスラスト方向の軸荷重の計測データを収集することを特徴とする請求項1に記載の電動機の予防保全装置。

請求項5

前記データ収集手段は、圧延材の噛み込みタイミングにおけるデータを収集することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動機の予防保全装置。

請求項6

前記異常監視手段は、前記一致度が所定の判定値よりも低下したことを前記電動機に係わる異常として検知することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電動機の予防保全装置。

請求項7

前記異常監視手段は、前記一致度が所定の判定値よりも低下した回数を一定期間ごとに計数し、前記回数の経時的変化を記録することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電動機の予防保全装置。

技術分野

0001

本発明は、電動機の予防保全装置に係わり、特に、製鉄所圧延プラントに用いられる大型電動機予兆診断に用いて好適な予防保全装置に関する。

背景技術

0002

製鉄所の圧延プラントを構成する機器の一つに電動機がある。圧延プラントは負荷の変動が多いため、圧延プラント用の電動機としては可変速電動機が使用されている。この電動機では頻繁な加減速制御が行われ、その際に加わる機械的な衝撃や電気的な過負荷によって突発的な故障がもたらされることがある。特に、圧延材の噛み込みタイミングには電動機に繋げられている機械側からの衝撃が大きく、電動機の軸受台が異常な力を受けて急に故障することがある。電動機の故障は圧延プラント全体に影響し、重大な故障であれば圧延プラントの操業を停止させてしまうこともある。特に遠隔地の圧延プラントにおいて突発的な故障が発生した場合には、補修修理に時間がかかり、多くのリソースが割かれることになる。このため、圧延プラントの運転においては、電動機に異常が生じていないかどうか監視することにより、電動機の故障を未然に防止することが必要とされている。つまり、電動機の予防保全が必要とされている。

0003

従来の電動機の予防保全の方法としては、例えば特開平10−285546号公報に開示されている方法が知られている。この公報に開示された従来の方法によれば、電動機の使用開始時における回転速度(所定時間あたり回転数)と振動値との関係を近似した正常時関数式と、電動機を継続使用したときの回転速度と振動値との関係を近似した使用時関数式とがそれぞれ最小二乗法によって求められる。そして、使用時関数式を正常時関数式によって割り算することが行われ、その割り算の結果が予め設けた閾値を超えたら電動機に異常が発生したと判定することが行われていた。

先行技術

0004

特開平10−285546号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、圧延プラントの電動機では、同じ回転速度で回転している場合であっても圧延負荷が変わると振動値が変わることがある。この圧延負荷は圧延材の材質、幅、長さ、温度等の要素によって変化する。前述の従来の方法では、これらの負荷要素については考慮されておらず、正常か異常かを判定するための閾値は回転速度のみによって決定される。このため、前述の従来の方法では、回転速度と圧延負荷との関係によっては、正常であるにも係らず異常だと判断するような誤診断や、異常であるにも係らず正常であると判断するような誤診断が行われてしまうおそれがあった。

0006

本発明は、上述のような課題に鑑みなされたもので、回転速度の変動や圧延負荷の変化による誤診断を避けることができ、ひいては、圧延プラント全体の運転に影響するような突発的な故障を未然に防止することのできる電動機の予防保全装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の電動機の予防保全装置は、電動機の軸の状態を表す特定物理量計測データとともに電動機の回転速度の計測データを収集し、さらに、圧延負荷を表現する情報として電動機駆動装置から入力されるドライブ出力電流のデータを収集する。実際の圧延中では圧延負荷に応じて電動機駆動装置から必要な電流を流していることから、ドライブ出力電流は圧延負荷を代表する情報として用いることができる。なお、圧延負荷は圧延材の材質、幅、長さ、温度等の要素によって変化するが、これらの負荷要素の一つ一つについて電動機の軸の状態及び回転速度との関係を把握することは難しい。その点、ドライブ出力電流であれば、それのみで圧延負荷を代表することができるので、電動機の軸の状態との関係や回転速度との関係を把握しやすい。

0008

本発明の電動機の予防保全装置は、上述のデータを電動機の運転時に評価用データとして収集する。そして、収集した評価用データを評価モデルと照合し、評価用データと評価モデルとの一致度を判定する。評価モデルは、電動機が正常な場合における圧延時の回転速度及びドライブ出力電流と前記の特定物理量との関係をモデル化したものであって、例えば、2次以上の高次関数によって近似した式を用いることができる。本発明の電動機の予防保全装置は、評価用データと評価モデルとの一致度に基づいて電動機に係わる異常を監視する。

0009

電動機の軸の状態を表す特定物理量としては、軸変位センサにより計測することができる電動機のラジアル方向の軸変位やスラスト方向の軸変位、或いは、軸荷重センサによって計測することのできる電動機のスラスト方向の軸荷重を用いることが好ましい。また、電動機の運転時に収集する評価用データとしては、圧延材の噛み込みタイミングにおけるデータを収集することが好ましい。

0010

電動機に係わる異常を監視する具体的な方法としては、評価用データと評価モデルとの一致度が所定の判定値よりも低下していることを電動機に係わる異常として検知することが好ましい。また、一定期間ごとに一致度が所定の判定値よりも低下した回数(異常回数)を計数し、異常回数の経時的変化を記録することも好ましい異常監視の方法の一つである。

発明の効果

0011

本発明によれば、正常圧延時における回転速度及びドライブ出力電流と特定物理量との関係をモデル化した評価モデルを基準として、電動機の運転時に収集された回転速度及びドライブ出力電流と特定物理量との関係が電動機の正常時の関係かどうかが判定される。このように回転速度に加えて圧延負荷を代表するドライブ出力電流が異常診断のための情報として用いられることで、回転速度の変動や圧延負荷の変化による誤診断を避けることができる。したがって、本発明によれば、電動機に係わる異常、具体的には、電動機そのものの故障の他、電動機が駆動する機械側の異常や軸受台の故障または経年劣化等に関して、電動機を長時間停めることなく信頼性の高い判定を行うことができる。これにより、電動機やそれに係わる機械その他の故障の兆候事前に知り、その症状に応じたメンテナンスを適切に実施することが可能となり、圧延プラント全体の運転に影響するような突発的な故障を未然に防止することが達成される。

図面の簡単な説明

0012

本発明の実施の形態1−4の電動機の予防保全装置が適用されるシステムの構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態1の予防保全装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態1による評価モデルを示すグラフである。
本発明の実施の形態1による評価モデルを示すグラフである。
本発明の実施の形態1による評価モデルを示すグラフである。
本発明の実施の形態1による評価モデルを示すグラフである。
本発明の実施の形態1による評価モデルの作成の方法を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態1による異常判定の方法を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態1による異常判定の方法を示すグラフである。
本発明の実施の形態1による異常判定の方法を示すグラフである。
本発明の実施の形態2の予防保全装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態2による評価モデルを示すグラフである。
本発明の実施の形態2による評価モデルを示すグラフである。
本発明の実施の形態2による異常判定の方法を示すグラフである。
本発明の実施の形態4による異常判定の方法を示すグラフである。

実施例

0013

実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について図1乃至図10の各図に基づいて説明する。

0014

図1は本実施の形態の電動機の予防保全装置が適用されるシステムの構成を示すブロック図である。このシステムでは、電動機1と電動機駆動装置2とは離れた場所に配置され、それぞれリモートIO盤3,4を介してネットワーク7に接続されている。電動機駆動装置2が出力する操作信号は、リモートIO盤3を介してネットワーク7へ出力され、同ネットワーク7からリモートIO盤4を介して電動機1に入力される。電動機1は、電動機駆動装置2から送信された操作信号によってその回転を制御される。電動機1には、そのラジアル方向の軸変位及びスラスト方向の軸変位を計測するための軸変位センサ5と、回転速度(所定時間当たりの回転数)を計測するための回転速度センサ6が設けられている。

0015

本実施の形態の電動機予防保全装置8はネットワーク7に接続されている。電動機駆動装置2から出力される操作信号には電動機1の操作量であるドライブ出力電流が含まれる。電動機予防保全装置8は電動機1のドライブ出力電流のデータをリモートIO盤3からネットワーク7を介して収集し、保存する。また、電動機予防保全装置8は、軸変位センサ5と回転速度センサ6の各計測データをリモートIO盤4からネットワーク7を介して収集し、保存する。電動機予防保全装置8によるドライブ出力電流データの取り込みタイミングと、各計測データの取り込みタイミングとは同期されている。

0016

図2は、本実施の形態の電動機予防保全装置8の構成を示すブロック図である。上述のように、電動機予防保全装置8は、回転速度、ラジアル方向軸変位及びスラスト方向軸変位の各計測データとドライブ出力電流のデータとを収集する。ラジアル方向軸変位とスラスト方向軸変位は、何れも電動機1の軸の状態を表す物理量である。ドライブ出力電流は、圧延時に電動機1に作用する負荷(圧延負荷)を代表する情報として取り込まれている。電動機予防保全装置8は、収集したこれらのデータを評価モデルと照合し、その照合結果に基づいて警報を出力する。評価モデルとしては、評価モデルAと評価モデルBの二種類が用意されている。以下、各評価モデルA,Bの内容とその作成方法について説明する。

0017

評価モデルAは、電動機1が正常な場合における圧延時の回転速度及びドライブ出力電流とラジアル方向の軸変位との関係をモデル化したものであって、後述するように近似関数式で表される。図3は、評価モデルAにおいて、ドライブ出力電流を一定とした場合の回転速度とラジアル方向軸変位との関係の一例を示すグラフである。図4は、評価モデルAにおいて、回転速度を一定とした場合のドライブ出力電流とラジアル方向軸変位との関係の一例を示すグラフである。これらの図から分かるように、圧延時のラジアル方向軸変位は回転速度によってもドライブ出力電流によっても変化する。

0018

評価モデルBは、電動機1が正常な場合における圧延時の回転速度及びドライブ出力電流とスラスト方向の軸変位との関係をモデル化したものであって、後述するように近似関数式で表される。図5は、評価モデルBにおいて、ドライブ出力電流を一定とした場合の回転速度とスラスト方向軸変位との関係の一例を示すグラフである。図6は、評価モデルBにおいて、回転速度を一定とした場合のドライブ出力電流とスラスト方向軸変位との関係の一例を示すグラフである。これらの図から分かるように、圧延時のスラスト方向軸変位は回転速度によってもドライブ出力電流によっても変化する。

0019

図7は、本実施の形態による各評価モデルの作成の方法を示すフローチャートである。このフローチャートはSTP1とSTP2の2つのステップを含んでいる。最初のステップであるSTP1では、正常圧延中の一定期間においてドライブ出力電流、回転数、ラジアル方向軸変位及びスラスト方向軸変位の各データが収集される。収集するデータ数は多いほどよい。そして、STP2において、収集したデータに基づいて評価モデルA,Bが作成される。各評価モデルA,Bは、以下に示すように2次以上の高次関数で近似した式で表される。

0020

次の近似関数式は評価モデルAを表している。この式において、z1はスラスト方向軸変位、xはドライブ出力電流、yは回転速度である。そして、a0,a1,…an,b0,b1,…bnは収集したデータを用いて最小二乗法によって決定した係数である。

0021

0022

次の近似関数式は評価モデルBを表している。この式において、z2はラジアル方向軸変位、xはドライブ出力電流、yは回転速度である。そして、c0,c1,…cn,d0,d1,…dnは収集したデータを用いて最小二乗法によって決定した係数である。

0023

0024

電動機予防保全装置8は、以上のようにして作成された評価モデルA,Bを用いて次に説明する異常判定を実施する。図8は本実施の形態において電動機予防保全装置8により行われる異常判定の方法を示すフローチャートである。このフローチャートはSTP11からSTP16までの6つのステップを含んでいる。STP11では、現在のドライブ出力電流、回転速度、ラジアル方向軸変位及びスラスト方向軸変位の各データが電動機予防保全装置8によって収集される。STP12では、現在のドライブ出力電流と回転速度に基づき評価モデルAを用いてラジアル方向軸変位の閾値が設定される。また、STP13では、現在のドライブ出力電流と回転速度に基づき評価モデルBを用いてスラスト方向軸変位の閾値が設定される。

0025

図9には、評価モデルAの近似関数式によって描かれる曲面の一部が描かれている。収集されたデータにより特定される座標が評価モデルAの曲面から離れるほど、現在の電動機1の状態と評価モデルAとの一致度は低いということになる。STP12で設定された閾値は、収集されたデータにより特定される現在の電動機1の状態と評価モデルAとの一致度が許容範囲内かどうか判定するための判定値として用いられる。図9において、閾値は評価モデルAの曲面から一定の距離に設けられた曲面(図中に示す閾値曲面)上に位置している。STP14では、現在のラジアル方向軸変位が評価モデルAで設定した閾値を超過しているかどうか、すなわち、現在の電動機1の状態と評価モデルAとの一致度が判定値よりも低下しているかどうかが判定される。現在のラジアル方向軸変位が閾値を超過している場合、つまり、図9中に黒点で示すように、収集されたデータにより特定される座標が閾値曲面の外側に位置する場合には、電動機1に係わる何らかの異常として検知される。その場合には、STP16において警報が発せられる。

0026

STP14の判定の結果、現在のラジアル方向軸変位が閾値を超えていない場合、つまり、図9中に白点で示すように、収集されたデータにより特定される座標が閾値曲面の内側に位置する場合には、STP15の判定が行われる。STP15では、現在のスラスト方向軸変位が評価モデルBで設定した閾値を超過しているかどうか、つまり、現在の電動機1の状態と評価モデルBとの一致度が判定値よりも低下しているかどうかが判定される。図10には、評価モデルBの近似関数式によって描かれる曲面の一部が描かれている。図10において、STP13で設定された閾値は評価モデルBの曲面から一定の距離に設けられた曲面(図中に示す閾値曲面)上に位置している。閾値は、収集されたデータにより特定される現在の電動機1の状態と評価モデルBとの一致度が許容範囲内かどうか判定するための判定値として用いられる。現在のスラスト方向軸変位が閾値を超過している場合、つまり、図10中に黒点で示すように、収集されたデータにより特定される座標が閾値曲面の外側に位置する場合には、電動機1に係わる何らかの異常として検知される。その場合には、STP16において警報が発せられる。

0027

一方、現在のスラスト方向軸変位が閾値を超えていない場合、つまり、図10中に白点で示すように、収集されたデータにより特定される座標が閾値曲面の内側に位置する場合には、電動機1及び電動機1の回転状態に係わる機器は正常であると判断される。したがって、この場合には、警報が発せられることはなく、再びSTP11に戻ってデータの収集から始められる。

0028

以上述べたように、本実施の形態では、電動機1の回転速度、圧延負荷を代表するドライブ出力電流、電動機1の軸の状態を表すラジアル方向軸変位及びスラスト方向軸変位の3種類のデータに基づいて異常の監視が行われる。これによれば、回転速度の変動や圧延負荷の変化による誤診断を避けることができるので、従来の方法に比較してより早期的に且つ正確に電動機1の故障の兆候を知ることができる。

0029

また、本実施の形態によれば、電動機1そのものの故障は言うまでもなく、電動機1に繋がる機械側の異常を検出することもできる。例えば、ユニバーサルカップリングを用いて電動機1と機械が繋げられている場合において、ユニバーサルカップリングと電動機1の軸の接合部分のなじみに不具合が生じたときや機械側の軸受潤滑不足しているときには、電動機1の軸に過大な力が加わり突発的な故障が発生する場合がある。しかし、本実施の形態によれば、スラスト方向軸変位の計測データを評価モデルBに照合することにより、機械側の異常を検出して適切な点検やメンテナンスを実施することができる。その結果、電動機1の突発的な故障を未然に防ぐことができる。

0030

また、本実施の形態の電動機1のような大型電動機では、その軸受にすべり軸受が用いられている。この軸受は、軸受給油装置から供給される潤滑油で潤滑されている。そして、電動機1の起動時に潤滑油の油圧で電動機1の軸を持ち上げて、電動機1を回転させるような構造となっている。ところが、配管詰まりポンプの経年の劣化によって油圧不足という事象が起き、電動機1の軸が目標フロート量まで持ち上がらないことがある。その場合、ラジアル軸受軸受メタルと電動機1の軸の間で摩擦が生じ、メタル焼損してしまうこともある。しかし、本実施の形態によれば、ラジアル方向軸変位の計測データを評価モデルAに照合することにより、ジャッキングポンプのフロート量を監視することができ、軸受給油装置の不良による事故を未然に防ぐことができる。

0031

実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2について図11図14の各図に基づいて説明する。

0032

本実施の形態の電動機の予防保全装置は、実施の形態1と同様に図1に示す構成のシステムに適用される。ただし、本実施の形態では、電動機1の軸のスラスト方向への変位エンドプレートによって規制されているため、電動機1の軸の状態を表す物理量としてはスラスト方向軸変位の代わりにスラスト方向軸荷重が用いられる。このため、本実施の形態の電動機1には、スラスト方向軸変位を計測する軸変位センサの代わりにスラスト方向軸荷重を計測するための荷重センサが設けられている。ラジアル方向に関しては、実施の形態1と同じく、ラジアル方向軸変位を計測する軸変位センサが設けられている。

0033

図11は、本実施の形態の電動機予防保全装置8の構成を示すブロック図である。本実施の形態の電動機予防保全装置8は、回転速度、ラジアル方向軸変位及びスラスト方向軸荷重の各計測データとドライブ出力電流のデータとを収集する。電動機予防保全装置8は、収集したこれらのデータを評価モデルと照合し、その照合結果に基づいて警報を出力する。本実施の形態では、評価モデルとして、前述の評価モデルAと次に述べる評価モデルCの二種類が用意されている。

0034

評価モデルCは、電動機1が正常な場合における圧延時の回転速度及びドライブ出力電流とスラスト方向の軸荷重の関係をモデル化したものであって、評価モデルA,Bと同様に2次以上の高次関数の式で表される。図12は、評価モデルCにおいて、ドライブ出力電流を一定とした場合の回転速度とスラスト方向軸荷重との関係の一例を示すグラフである。図13は、評価モデルCにおいて、回転速度を一定とした場合のドライブ出力電流とスラスト方向軸荷重との関係の一例を示すグラフである。これらの図から分かるように、圧延時のスラスト方向軸荷重は回転速度によってもドライブ出力電流によっても変化する。評価モデルCの作成方法は評価モデルA,Bの作成方法と同様であって、電動機1が正常な場合における圧延時の実績データに基づいて評価モデルCの近似関数式が作成される。

0035

本実施の形態の電動機予防保全装置8は、評価モデルA,Cを用いて異常判定を実施する。本実施の形態では、現在のドライブ出力電流と回転速度に基づき評価モデルCを用いてスラスト方向軸荷重の閾値が設定される。図14には、評価モデルCの近似関数式によって描かれる曲面の一部が描かれている。図14において、閾値は評価モデルCの曲面から一定の距離に設けられた曲面(図中に示す閾値曲面)上に位置している。閾値は、収集されたデータにより特定される現在の電動機1の状態と評価モデルCとの一致度が許容範囲内かどうか判定するための判定値として用いられる。現在のスラスト方向軸荷重が閾値を超過している場合、つまり、図14に黒点で示すように、収集されたデータにより特定される座標が閾値曲面の外側に位置する場合には、電動機1に係わる何らかの異常として検知される。その場合には、電動機予防保全装置8より警報が発せられる。一方、現在のスラスト方向軸荷重が閾値を超えていない場合、つまり、図14中に白点で示すように、収集されたデータにより特定される座標が閾値曲面の内側に位置する場合には、電動機1及び電動機1の回転状態に係わる機器は正常であると判断される。

0036

実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3について説明する。

0037

本実施の形態の電動機の予防保全装置は、実施の形態1,2と同様に図1に示す構成のシステムに適用される。本実施の形態の特徴は、異常判定のためのデータを常時収集するのではなく、ある特定のタイミングに限定して収集することにある。圧延プラントでは定期点検を除き、24時間操業している場合が多い。そのため、異常を監視するためには操業中のデータを24時間持続的に収集する必要がある。しかし、5年、10年単位でデータを収集するとなると、そのデータ量はかなり膨大なものとなって分析に時間とコストがかかってしまう。一方、電動機の故障は、圧延材の噛み込みタイミングにおいて電動機に加わる機械的な衝撃や電気的な過負荷が原因となっている確率が高い。

0038

そこで、本実施の形態では、圧延材の噛み込みタイミングでのみデータの収集を行い、電動機の異常を監視する。これによれば、データを有効的に利用することが可能となり、分析に要するコスト及び時間を削減することができる。

0039

実施の形態4.
以下、本発明の実施の形態4について図15に基づいて説明する。

0040

本実施の形態の電動機予防保全装置は、実施の形態1,2,3と同様に図1に示す構成のシステムに適用される。本実施の形態では、電動機予防保全装置は一定の監視周期データ収集を行い、その都度、収集したデータを評価モデルと照合する。具体的には、電動機の状態を表す特定物理量であるラジアル方向軸変位、スラスト方向軸変位或いはスラスト方向軸荷重の計測データと、評価モデルから得られる閾値とを比較する。そして、特定物理量の計測データが閾値を超えた回数、つまり、一致度が判定値よりも低下した回数(異常回数)を一定期間ごとに計数し、異常回数の経時的変化を記録する。

0041

図15には、異常回数の経時的変化の例がいくつか示されている。ケース1のように異常回数が一方方向で増加しているのであれば、機械側の故障または電動機の軸受給油装置の不具合、或いは電動機そのものが劣化していると判断することができる。ケース2のように異常回数は多いもののほとんど一定に保たれているのであれば、電動機及びそれに係わる機器の状態は安定していると判断することができる。ケース3のように異常回数の絶対数はあまり多くないもののその増加速度が急激である場合には、何らかの突発的な故障が発生したと判断することができる。

0042

本実施の形態によれば、記録した異常回数の経時的変化のデータは、人間の目で見やすいように電動機予防保全装置のディスプレイ上に表示される。これによれば、異常回数の増減を長期的に監視することができるので、電動機の経年の劣化を予見できる効果がある。また、計算機の場合には異常回数がある設定の閾値を超えないと警報が出力されないが、本実施の形態のようにデータを可視化する場合には、閾値に達しない範囲の異常の傾向を目視で監視することが可能となり、電動機に係わる異常に対して早急に予防措置を取ることができる。

0043

その他.
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、電動機の軸の状態を表す特定物理量としては、ラジアル方向軸変位、スラスト方向軸変位、スラスト方向軸荷重のうちの何れか1つのみを用いることでもよい。或いは、電動機の軸の振動を計測し、その計測値を電動機の軸の状態を表す特定物理量として用いてもよい。

0044

1…電動機
2…電動機駆動装置
3、4…リモートIO盤
5…軸変位センサ
6…回転速度センサ
7…ネットワーク
8…電動機予防保全装置

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