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技術 塩味増強剤

出願人 小川香料株式会社
発明者 山口剛田崎佳恵
出願日 2011年5月17日 (9年7ヶ月経過) 出願番号 2011-110068
公開日 2012年12月10日 (8年0ヶ月経過) 公開番号 2012-239398
状態 特許登録済
技術分野 調味料
主要キーワード 常圧水蒸気 塩辛味 合成添加物 天然添加物 減塩食品 西洋料理 シナモン抽出物 塩味増強剤
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年12月10日)のものです。
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課題

消費者減塩志向マッチし、より自然で飲食品嗜好性を損なうことなく塩味を増強する効果を付与することができる塩味増強剤を提供することを目的とする。

解決手段

コショウショウガクローブ及びシナモン各香辛料抽出物の混合物、又はコショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシの各香辛料抽出物の混合物を含有することを特徴とする塩味増強剤である。

概要

背景

食塩塩化ナトリウム)は、飲食物への塩味の付与により味を調え、あるいは保存性や物性の向上など、食品業界においては欠かすことのできない素材であるが、ナトリウムの過剰摂取は多くの病気高血圧症など)の原因となるので、人口構成の高齢化に伴い塩化ナトリウムの摂取量の減少が望まれている。
しかし、単に塩化ナトリウムの使用量を減らした減塩食品は、味のメリハリがなく、食品本来おいしさを著しく欠くものとなってしまうため、様々な対処法が検討されてきた。

たとえば、減塩食品をおいしく食べる古くからの方法として、辛みを有するスパイス刺激感を利用した減塩料理調理法提唱されている。(非特許文献1)
また、この他に、塩化ナトリウムの代替として、塩化カリウムを用いたり、タンパク加水分解物を用いる方法が提案されているが(特許文献1〜9)、いずれも素材特有呈味苦味又はエグ味など)や、香気などの不快味が指摘されており、必ずしも、すべての食品に利用できる汎用技術とはなりえていない。
特に、高齢者に好まれる、繊細な味付けを特徴とする和風料理には、従来の方法では、食事本来のおいしさ、楽しさが失われてしまうなど、デメリットが多かった。
そこで、飲食物本来の風味を尊重しつつ、塩味だけを増強させるために、スピラントールを含有する組成物により塩味を増強する方法(特許文献10)、さらに、塩味以外の旨味コク味などの呈味感を付与するためにスピラントールとシャロット抽出物を含有することを特徴とする呈味増強剤が提案され(特許文献11)、一定の効果を上げている。

しかしながら、調味料として使用される食塩自体が非常に安価であるため、食塩の代替物にしても、当然、安価で汎用性の高い素材、方法が望まれている。
そこで、食塩と同様に汎用性、安全性が高く、比較的安価な調味料である香辛料由来塩味増強剤が強く要望されてきた。
ここで、香辛料とは、食品に特別な風味を与えることを目的とし、比較的少量使用される種々の植物の風味または芳香性の葉、樹皮、根、根茎、花、、種子、果実、又は果皮をいい、食品に風味付けの目的で使用されるスパイス、及び食品に風味付けの目的で薬味として使用されるハーブに大別される。

概要

消費者の減塩志向マッチし、より自然で飲食品嗜好性を損なうことなく塩味を増強する効果を付与することができる塩味増強剤を提供することを目的とする。コショウショウガクローブ及びシナモン各香辛料抽出物の混合物、又はコショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシの各香辛料抽出物の混合物を含有することを特徴とする塩味増強剤である。 なし

目的

食塩(塩化ナトリウム)は、飲食物への塩味の付与により味を調え、あるいは保存性や物性の向上など、食品業界においては欠かすことのできない素材であるが、ナトリウムの過剰摂取は多くの病気(高血圧症など)の原因となるので、人口構成の高齢化に伴い塩化ナトリウムの摂取量の減少が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
5件
牽制数
1件

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請求項1

コショウショウガクローブ及びシナモン各香辛料抽出物の混合物を含有することを特徴とする塩味増強剤

請求項2

コショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシの各香辛料抽出物の混合物を含有することを特徴とする塩味増強剤。

請求項3

さらに、乳化剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の塩味増強剤。

請求項4

乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステルである請求項1又は2に記載の塩味増強剤。

請求項5

飲食品中の食塩100質量部に対して、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩味増強剤を0.02〜300質量部となるように飲食品に添加することを特徴とする飲食品の塩味を増強する方法。

技術分野

0001

本発明は、食塩を含有する飲食品使用可能な塩味増強剤に関し、詳しくは特定の香辛料からの抽出物の混合物を含有することにより飲食品の塩味増強効果を付与することができる塩味増強剤に関する。

背景技術

0002

食塩(塩化ナトリウム)は、飲食物への塩味の付与により味を調え、あるいは保存性や物性の向上など、食品業界においては欠かすことのできない素材であるが、ナトリウムの過剰摂取は多くの病気高血圧症など)の原因となるので、人口構成の高齢化に伴い塩化ナトリウムの摂取量の減少が望まれている。
しかし、単に塩化ナトリウムの使用量を減らした減塩食品は、味のメリハリがなく、食品本来おいしさを著しく欠くものとなってしまうため、様々な対処法が検討されてきた。

0003

たとえば、減塩食品をおいしく食べる古くからの方法として、辛みを有するスパイス刺激感を利用した減塩料理調理法提唱されている。(非特許文献1)
また、この他に、塩化ナトリウムの代替として、塩化カリウムを用いたり、タンパク加水分解物を用いる方法が提案されているが(特許文献1〜9)、いずれも素材特有呈味苦味又はエグ味など)や、香気などの不快味が指摘されており、必ずしも、すべての食品に利用できる汎用技術とはなりえていない。
特に、高齢者に好まれる、繊細な味付けを特徴とする和風料理には、従来の方法では、食事本来のおいしさ、楽しさが失われてしまうなど、デメリットが多かった。
そこで、飲食物本来の風味を尊重しつつ、塩味だけを増強させるために、スピラントールを含有する組成物により塩味を増強する方法(特許文献10)、さらに、塩味以外の旨味コク味などの呈味感を付与するためにスピラントールとシャロット抽出物を含有することを特徴とする呈味増強剤が提案され(特許文献11)、一定の効果を上げている。

0004

しかしながら、調味料として使用される食塩自体が非常に安価であるため、食塩の代替物にしても、当然、安価で汎用性の高い素材、方法が望まれている。
そこで、食塩と同様に汎用性、安全性が高く、比較的安価な調味料である香辛料由来の塩味増強剤が強く要望されてきた。
ここで、香辛料とは、食品に特別な風味を与えることを目的とし、比較的少量使用される種々の植物の風味または芳香性の葉、樹皮、根、根茎、花、、種子、果実、又は果皮をいい、食品に風味付けの目的で使用されるスパイス、及び食品に風味付けの目的で薬味として使用されるハーブに大別される。

0005

特開2009−148216号公報
特開2011−4668号公報
特開2011−10657号公報
特開2011−62167号公報
特開2011−62168号公報
特開2011−62169号公報
特開2011−62170号公報
特開2011−62171号公報
特開2011−62172号公報
特公昭48−35465号公報
特許第4508932号公報

先行技術

0006

武政三著「スパイスのサイエンス」(株)文園社 p214

発明が解決しようとする課題

0007

食品に添加される食塩含量を減少させるにもかかわらず、その食品が本来持っている塩味、旨味、コク味などの呈味感を維持することができ、かつ、実際に食品に添加する濃度では無味無臭であるがゆえに、様々な食品に利用できる汎用性の高さ、豊富な食経験に裏打ちされた高い安全性、日常的に手軽に入手できる安価な原材料という利点を併せ持った塩味増強剤を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

香辛料は本来、食品に香りを付けることを目的として古くから活用されている調味料であるため、独特の香り、呈味がある。従って、減塩目的とはいえ、食塩代替用に香辛料を使うことは、繊細な香り、味を楽しむ和風料理には不向きと考えられてきた。特に、香辛料の呈味作用は、そのほとんどが辛味の付与を期待して使用されていることからも、汎用性は少ないと考えられてきた。

0009

しかし、刺激成分を有する多種多様香辛料抽出物を、それぞれ低濃度で併用することで、香辛料単体の風味、呈味を最小限に抑えることができ、添加する食品素材本来の風味を損なうこともなく、調味料として使用することが出来ると考えられる。
一般に、香辛料の「辛味」は、一様ではなく、さまざまな感じ方がされている。たとえば、トウガラシコショウなどは口腔内ピリピリ刺激し熱さや痛みを伴う辛さ(ホットな辛さ)と表現され、ショウガ山椒は舌がしびれるような清涼感のある辛さ、ワサビ辛子にツーンとぬける辛さ(シャープな辛さ)などと表現される。

0010

そこで、本発明者らは、これらの辛味の感じ方の異なる香辛料を組み合わせることで、食塩の刺激を忠実再現することが可能となると考えた。さらに、複数の香辛料を併用することで、それぞれの香辛料による相乗的なマスキング効果が期待できる。
このような考えのもと、ほぼ無味無臭でありながら、塩味を増強する香辛料抽出物の最適な組み合わせを見出し、本発明を完成するに至った。

0011

すなわち、本発明は、
(1)コショウ、ショウガ、クローブ及びシナモン各香辛料抽出物の混合物を含有することを特徴とする塩味増強剤であり、
(2)コショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシの各香辛料抽出物の混合物を含有することを特徴とする塩味増強剤であり、
(3)さらに、乳化剤を含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の塩味増強剤、である。
また、本発明は上記塩味増強剤(1)〜(3)を、食塩含有飲食品に添加することを特徴とする飲食品の塩味を増強する方法である。

発明の効果

0012

本発明の塩味増強剤は、無味無臭となる極微量の添加で効果を発揮するので、飲食品本来の風味や嗜好性を損なうことなく、自然に、塩味を増強することができる。
本発明の塩味増強剤は、高血圧腎臓病心臓病などの患者や患者予備が必要とする低ナトリウム食品、すなわち減塩目的で食塩の添加量を減らしたいにもかかわらず、風味や嗜好性の低下の点で減塩率が制限されているような食塩含有飲食品に好適である。

0013

以下に、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
(A)塩味増強剤の構成成分
本発明の塩味増強剤は、コショウ、ショウガ、クローブ及びシナモンの各香辛料、さらに場合によりトウガラシ香辛料を原材料とし、これら各香辛料の抽出物の混合物を有効成分として含有する。

0014

(1)コショウ香辛料抽出物
香辛料のコショウ(Pepper:胡椒)は、コショウ科つる性草本であるPiper nigrum L.、Piper longum L.、Piper officinarum D.C.などの果実を利用したスパイスである。さわやかな芳香と強い辛みを持つスパイスであるが、この辛味成分ピペリンとその異性体であるシャビンであり、これらの含有量の多少によって辛味の強さが決まる。
白コショウ(ホワイトペパー)、黒コショウブラックペパー)および緑コショウ(グリーンペパー)があるが、これらは別の品種ではなく、同じ果実だが収穫後の処理の仕方違うだけである。本発明においては、いずれも抽出対象とすることができる。

0015

乾燥させたコショウ果実を磨り潰した粉末状のコショウ香辛料から適当な溶媒を使用して有効成分を抽出する。
抽出処理に使用する溶媒は、好ましくは水又は極性有機溶媒であり、有機溶媒含水物であっても良い。極性有機溶媒としては、アルコールアセトン酢酸エチル等が上げられる。中でも人体への安全性と取扱性の観点から水またはエタノールプロパノールブタノールのような炭素数2〜4 の脂肪族アルコールが望ましい。特に水又はエタノール又はこれらの混合物が望ましい。
抽出に用いる溶媒の量は任意に選択できるが、一般にはコショウ香辛料1重量部に対し溶媒量10〜50重量部を使用する。

0016

抽出処理方法としては、溶媒の種類、量等により種々の方法を採用することができる。例えば粉末状のコショウを溶媒中に入れ、浸漬法又は加熱還流法で抽出することができる。なお浸漬法による場合は加熱条件下、室温又は冷却条件下のいずれであってもよい。
次いで、溶媒に不溶固形物を除去して抽出液を得るが、固形物除去方法としては遠心分離濾過圧搾等の各種の固液分離手段を用いることができる。
得られた抽出液はそのままでも塩味増強剤の製造に使用できるが、例えば水、エタノール、グリセリントリエチルシトレートジプロピレングリコールプロピレングリコール等の液体希釈剤で適宜希釈して使用してもよい。またはデキストリンシュークロースペクチンキチン等を加えることもできる。これらをさらに濃縮してペースト状の抽出エキスとしても、また凍結乾燥又は加熱乾燥などの処理を行い粉末として使用してもよい。

0017

上記方法で得られた抽出物は、そのまま塩味増強剤に配合することができるが、さらに、脱色、脱臭等の精製処理をすることができる。精製処理には活性炭多孔性スチレンジビニルベンゼン共重合体からなる合成樹脂吸着剤などが使用できる。精製用の合成樹脂吸着剤としては例えば三菱化学株式会社製「ダイヤイオンHP−20(商品名)」やオルガノ株式会社製「アンバーライトXAD−2(商品名)」などが使用できる。
なお、本発明においては、上記製法準拠して得られたコショウ抽出物であれば、市販品を購入して使用することができる。

0018

(2)ショウガ香辛料抽出物
香辛料のショウガ(Ginger:生姜)は、ショウガ科多年性草本であるZingiber offic
inale Roscoeの地下茎(根茎)を利用した香辛料である。甘くすがすがしい芳香と、さわやかな辛味感を併せ持つが、この特有の辛味成分は不揮発性ジンゲロンショーガオールなどである。
ショウガから有機溶剤で抽出し、濃縮した樹脂状・粘稠状の物質ジンジャーレオレジン(oleo-resin)と呼ばれるが、これには、ジンゲロン、ジンゲロール、ショーガオール等の成分が含まれている。

0019

ショウガの根茎を細かく裁断したもの、あるいは乾燥粉末状のショウガ香辛料から適当な溶媒を使用して有効成分を抽出する。抽出処理に使用する溶媒は、好ましくは二酸化炭素超臨界流体である。
例えば、その圧力が7.4〜60.0MPa、好ましくは15〜40MPa、その温度が32〜100℃、好ましくは35〜70℃の領域における超臨界状態の二酸化炭素を用いる。また使用する超臨界流体の使用量はショウガ香辛料の1.0〜3.0倍容量、好ましくは1.7〜2.5倍容量であり、その抽出時間は、2.0〜6.0時間、好ましくは2.5〜4.0時間である。

0020

さらに本発明では抽出効率を上げるため、上記超臨界流体と共に助溶媒を使用することが好ましい。助溶媒としてはエタノール水溶液が食品に使用できる観点から好適である。そのエタノール濃度は10〜80(w/w)%、好ましくは20〜50(w/w)%である。使用量はショウガの0.1〜2.0倍、好ましくは0.3〜1.0倍量である。
超臨界流体抽出によって得られた抽出物中の助溶媒、例えばエタノール水溶液を、エバポレーター等を用いた濃縮操作によって除去する。

0021

得られたショウガ香辛料抽出物は、そのまま塩味増強剤に配合することができるが、場合によって前記コショウ香辛料抽出物と同様の精製処理を施した後、塩味増強剤の製造に使用する。
なお、本発明においては、上記製法に準拠して得られたショウガ抽出物であれば、市販品を購入して使用することができる。

0022

(3)クローブ香辛料抽出物
香辛料のクローブ(Clove:丁子(ちょうじ))は、フトモモ科常緑樹であるSyzygium aromaticum Merrill et PerryまたはEugenia caryophyllata THUMBERGの開花前の蕾の乾燥物を利用した香辛料である。
刺激的なすがすがしい芳香が特徴だが、甘いバニラ様の香味も感じられる。この香味の主成分は、オイゲノールによるもので香りをつけるだけではなく、肉の臭みを取る矯臭効果も高い。

0023

抽出処理は、好ましくは、乾燥粉末状のクローブ香辛料を常圧水蒸気蒸留又は減圧水蒸気蒸留により行う。蒸留条件は、空間速度(SV)が60〜100h-1であることが好ましい。
減圧水蒸気蒸留の減圧度は特に限定されるものではなく、通常はゲージ圧で−90〜−30kPaGの範囲で行われる。なお、本発明でいうゲージ圧とは、「大気圧基準」を意味する。
留出量は通常、原料のクローブ香辛料粉末に対して質量比で5〜100%であるが、より好ましくは5〜15%である。

0024

得られたショウガ香辛料抽出物は、そのまま塩味増強剤に配合することができるが、場合によって前記コショウ香辛料抽出物と同様の精製処理を施した後、塩味増強剤の製造に使用する。
なお、本発明においては、上記製法に準拠して得られたクローブ抽出物であれば、市販品を購入して使用することができる。

0025

(4)シナモン香辛料抽出物
香辛料のシナモン(Cinnamon:にっけい(肉桂)、にっき、けいひ(桂皮))は、クスノキ科の常緑樹であるCinnamomum zeylanicum Blume、Cinnamomum loureirii NEESの樹皮や葉を利用した香辛料である。シナモンは若干の辛味と甘味を伴った清涼感と独特の芳香に特徴がある。主な芳香性分はシナミックアルデヒドで、ほかにオイゲノール、ベンジンアルデヒド、カリオフィレンなども含んでいる。また、シナモンに変えてカッシア(Cassia:チャイニーズシナモン)を使うこともできる。

0026

抽出処理は、好ましくは、乾燥粉末状のシナモン香辛料を常圧水蒸気蒸留又は減圧水蒸気蒸留により行う。蒸留条件や留出物の精製条件は、前記クローブ香辛料抽出物と同様である。
なお、本発明においては、上記製法に準拠して得られたシナモン抽出物であれば、市販品を購入して使用することができる。

0027

(5)トウガラシ香辛料抽出物
香辛料のトウガラシ(Red Pepper:唐辛子)は、ナス科の多年性草本であるCapsicum annuum L.、Capsicum frutescens L.の果実を利用した香辛料である。唐辛子の実自体には香りはほとんどなく、いくぶん甘酸っぱさが感じられる程度である。辛味成分は、主にカプサイシンによるもので、この含有量の多少によって辛味感が異なる。
トウガラシ植物から抽出される脂肪樹脂は、capsicum oleoresin(カプシカムオレオレジン)と呼ばれる。

0028

本発明において、好ましくは乾燥粉末状のトウガラシ香辛料から適当な溶媒を使用して有効成分を抽出する。
抽出処理に使用する溶媒は、水又は極性有機溶媒が好ましく、有機溶媒は含水物であっても良い。極性有機溶媒としては、アルコール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル等が上げられる。中でも人体への安全性と取扱性の観点から水またはエタノール、プロパノール、ブタノールのような炭素数2〜4の脂肪族アルコールが望ましい。特に水又はエタノール又はこれらの混合物が望ましい。
抽出に用いる溶媒の量は任意に選択できるが、一般にはトウガラシ香辛料1重量部に対し溶媒量50〜100重量部を使用する。

0029

抽出処理方法としては、溶媒の種類、量等により種々の方法を採用することができる。例えば粉末状のトウガラシを溶媒中に入れ、浸漬法又は加熱還流法で抽出することができる。なお浸漬法による場合は加熱条件下、室温又は冷却条件下のいずれであってもよい。
得られたトウガラシ香辛料抽出物は、そのまま塩味増強剤に配合することができるが、場合によって前記コショウ香辛料抽出物と同様の精製処理を施した後、塩味増強剤の製造に使用する。
なお、本発明においては、上記製法に準拠して得られトウガラシ抽出物であれば、市販品を購入して使用することができる。

0030

(6)乳化剤
塩味増強剤に乳化剤を配合することによって、塩辛味の増強効果をより向上させることができる。乳化剤は、食品用の乳化剤を広く使用することができ、合成添加物としてはグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルプロピレングリコール脂肪酸エステルショ糖脂肪酸エステルが例示され、天然添加物既存添加物として、ダイズ卵黄から採られるレシチンキラヤから採られるサポニン牛乳を原料とするカゼインナトリウムなどが例示される。
中でも、塩辛味の増強効果の点から、グリセリン脂肪酸エステルが好ましく、特にデカグリセリンモノラウレートが好ましい。

0031

(B)塩味増強剤の製造
上記のコショウ、ショウガ、クローブ及びシナモンの各香辛料抽出物、又はコショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシの各香辛料抽出物、場合によりさらに乳化剤を加えて混合することによって本発明の塩味増強剤を製造することができる。
具体的には、液状又は粉末固体状の上記各成分を同時に又は逐次にミキサーに入れて均一状態が得られるまで撹拌する。

0032

この場合、各香辛料抽出物の配合量、すなわちコショウ、ショウガ、クローブ及びシナモン香辛料抽出物の質量比は、シナモンを1として、それぞれ10〜50:1〜25:1〜10:1が好ましく、特に30:10:5:1が好ましい。
トウガラシ香辛料抽出物を配合する場合の各香辛料抽出物の配合量、すなわちコショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシ香辛料抽出物の質量比は、シナモンを1として、それぞれ10〜50:1〜25:1〜10:1:1〜20が好ましく、特に30:10:5:1:10が好ましい。
さらに、乳化剤を配合する場合の量は、塩味増強剤100質量部として、0.05〜1質量部が好ましい。

0033

本発明の塩味増強剤は、具体的には、次のようにして製剤化される。
例えば、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の(混合)溶剤に適当な濃度で溶解させて(具体的には、水/エタノール、水/エタノール/グリセリン、水/グリセリン等の混合溶剤液剤とする。またはデキストリン、シュークロース、ペクチン、キチン等を加えることもでき、これらをさらに濃縮してペースト状とすることもできる。また、各溶液賦形剤(デキストリン等)を添加し噴霧乾燥によりパウダー状にすることも可能である。さらに上記液剤を乳化剤とともに油脂等に添加して分散させることにより、油溶性の液剤とすることもでき、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。

0034

(C)塩味増強剤を適用する飲食品及び用法
本発明の塩味増強剤は、食塩を含有する各種飲食品に特に制限なく使用することができる。例えば、果実類又はその加工品野菜又はその加工品、魚介類又はその加工品、練製品調理食品総菜類スナック類珍味類、加工食品栄養食品茶飲料及びコーヒー飲料などの嗜好飲料果汁飲料炭酸飲料清涼飲料機能性飲料アルコール飲料アイスクリームシャーベット等の冷菓類、ゼリープリン羊かん等のデザート類クッキー、ケーキ、チョコレートチューイングガム饅頭等の菓子類菓子パン食パン等のパン類ジャム類ラムネ、タブレット錠菓類などがあげられる。

0035

さらに、日本料理のだし、例えば、鰹節、魚介類、昆布シイタケ鶏肉野菜類などのだし汁麺つゆ味噌汁及び和風調味料、又は、西洋料理スープストック、例えば、牛肉、鶏肉、豚肉、魚介類、野菜類などのだし汁、コンソメスープ及び洋風調味料、又は、中華料理タン(湯)、例えば、牛肉、鶏肉、豚肉、魚介類、野菜類などからとったスープ及び中華調味料などがあげられる。

0036

本発明の塩味増強剤は、飲食品の製造過程で適宜添加することができる。
添加量については、添加対象の種類により異なるが、飲食品の塩味を増強するためには、飲食品中の食塩100質量部に対して、0.02〜300質量部、特に5〜15質量部となるように飲食品に添加することが好ましい。

0037

次に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。

0038

以下の実施例において、塩味増強剤の有効成分であるコショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシの各香辛料抽出物は、それぞれ以下の市販品を使用した。

0039

0040

[実施例1〜4]
表2記載の配合量でコショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシの各香辛料抽出物を量して混合し、これにエタノールを加えて100質量部として塩味増強剤を調製した。
次いで、各塩味増強剤0.1質量部と0.8%NaCl水溶液99.9質量部からなる評価用試料を調製し、これについて10名の専門パネラーにより、0.8%NaCl水溶液を対照品として、香辛料の香り、塩味増強効果並びに全体の呈味の特徴を評価した。結果を表2に示す。

0041

0042

[比較例1〜5]
表3記載の配合量でコショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシの各香辛料抽出物を秤量して混合し、これにエタノールを加えて100質量部として各塩味増強剤を調製した。
次いで、各塩味増強剤0.1質量部と0.8%NaCl水溶液99.9質量部からなる評価用試料を調製し、これについて10名の専門パネラーにより、0.8%NaCl水溶液を対照品として、香辛料の香り、塩味増強効果並びに全体の呈味の特徴を評価した。結果を表3に示す。

0043

0044

[実施例5〜6]
実施例1及び3で調製した塩味増強剤を、0.8%NaCl水溶液、市販のトマトソース(食塩0.5%)及び市販の麺つゆの各食品にそれぞれ0.1質量%となるように添加して評価用食品を調製した。なお、麺つゆは試食時に食塩濃度が1%となるように水で希釈した。
各評価用食品について、10名の専門パネラーにより、塩味増強効果並びに全体の呈味の特徴を評価した。結果を表4に示す。

0045

0046

[実施例7]
表5記載の配合量でコショウ、ショウガ、クローブ、シナモン及びトウガラシの各香辛料抽出物並びに乳化剤(デカグリセリンモノラウレート)を秤量して混合し、これにエタノールを加えて100質量部として塩味増強剤を調製した。

実施例

0047

0048

本発明の塩味増強剤を飲食品に使用すると、より自然で飲食品の嗜好性を損なうことなく塩味を増強する効果を付与することができる。

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