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技術 皮膚内部のコラーゲン状態の評価方法及び皮膚老化の評価方法

出願人 株式会社資生堂
発明者 山下豊信小倉有紀安井武史米津真人荒木勉
出願日 2011年5月9日 (8年5ヶ月経過) 出願番号 2011-104652
公開日 2012年12月6日 (6年10ヶ月経過) 公開番号 2012-235804
状態 特許登録済
技術分野 その他の診断装置 蛍光または発光による材料の調査,分析 生物学的材料の調査,分析 診断用測定記録装置
主要キーワード 生体構成物質 円形カバー 化粧品関連 評価対象領域 現場レベル 紫外線ダメージ 曲面近似 データプロット
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

真皮層等の皮膚内部におけるコラーゲン状態を非侵襲的且つ直接的に定量化する新たな方法を提供する。

解決手段

(a)皮膚内部に超短パルス光照射し、発生した第2高調波発生光(SHG光)を検出することにより、SHG光画像を取得し、(b)得られたSHG光画像に基づいて、皮膚内部のコラーゲンの粗密を定量化する。

概要

背景

皮膚は外側から順に表皮層真皮層皮下組織の3層からなり、中でも真皮層は、張り弾性・水分保有等の機能を果たすことで、皮膚の機械的・形態的特性を維持する役割を有する。その真皮層の性質を決定付けているのが、真皮層の約80%を構成するコラーゲン線維である。例えば老化によってコラーゲン線維の状態が変化すると、皮膚の形態的変化や異常が生じ、しわやたるみといった外観上の特徴が現れる。皮膚の老化現象は、加齢による老化である自然老化と、紫外線照射による光老化とに区別され、体の非露光部では自然老化のみが起こるが、顔面等の露光部では自然老化と光老化の両方が進行する。自然老化の原因としては、加齢に伴う細胞活性減退によるコラーゲンの産生低下が知られている。光老化の原因は明確ではないが、紫外線への露光によって、皮膚組織内でコラーゲン線維を分解する酵素(MMP)が活性化され、コラーゲン線維の量や質に異常を生じるためであると考えられている(非特許文献1)。よって、皮膚の老化を適切に評価するためには、真皮層等の皮膚内部におけるコラーゲンの状態を適切に定量化することが求められる。

従来、皮膚状態非侵襲的に定量化する手法としては、皮膚粘弾性角質水分量経皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss:TEWL)などを測定する方法が用いられてきた(非特許文献2、3)。しかし、何れの測定方法原理的に皮膚表面(最外層)から測定を行なうため、皮膚表面の状態が定量値に大きく影響してしまう。このため、真皮層等の皮膚内部の状態を反映した定量的なパラメーターを非侵襲的且つ直接的に得ることは困難であった。
一方、皮膚内部の状態を非侵襲的に直接評価するべく、超音波エコー等の臨床診断装置や共焦点レーザー生体顕微鏡、皮膚光コヒーレンス断層撮影装置OCT)など、生体の内部構造を画像として取得する手段も開発されている(非特許文献2、3)。しかし、何れもコラーゲンに関する情報のみを抽出して詳細に評価することは困難であった。

近年、真皮層等の皮膚内部におけるコラーゲンの状態を非侵襲的に測定する方法として、第2高調波発生光(SHG光)が着目されている。これは、超短パルス光(例えばフェムト秒オーダー)を生体組織照射すると、コラーゲン分子が特異的に有する非線形光学特性によって、照射したレーザー光の一部が波長変換され、照射レーザー半波長の光が発生することを応用した技術である(非特許文献4)。
皮膚科学的診断に有用な技術として、SHG光を用いた生体におけるコラーゲンの構造観察も提案されている(非特許文献5)。また、コラーゲンゲル等のインビトロでの三次元培養においても、SHG光を用いたコラーゲンの構造観察の検討がなされている(非特許文献6)。コラーゲンゲル培養により得られる培養組織試料入射光として超短パルス光を照射し、発生したSHG光を検出することにより、培養組織試料の成育程度を評価できること(特許文献1)や、SHG光発生効率入射レーザ偏光依存性を用いて、コラーゲンの配向解析できること(非特許文献7)も報告されている。

近年、本発明者等の一部は、生体SHG光の偏光特性を用いて真皮層等の皮膚内部のコラーゲンの配向を測定し、この配向と皮膚のしわの状態との間に相関があることを見出して、コラーゲンの配向に基づいて皮膚のしわの状態を評価する新たな方法を開発した(特許文献2)。

概要

真皮層等の皮膚内部におけるコラーゲン状態を非侵襲的且つ直接的に定量化する新たな方法を提供する。(a)皮膚内部に超短パルス光を照射し、発生した第2高調波発生光(SHG光)を検出することにより、SHG光画像を取得し、(b)得られたSHG光画像に基づいて、皮膚内部のコラーゲンの粗密を定量化する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

皮膚内部のコラーゲンの状態を評価する方法であって、(a)皮膚内部に超短パルス光照射し、発生した第2高調波発生光(SHG光)を検出することにより、SHG光画像を取得する工程、(b)得られたSHG光画像に基づいて、皮膚内部のコラーゲンの粗密定量化する工程を含む方法。

請求項2

工程(b)が、(b1)SHG光画像内の評価対象領域を選択する工程(b2)選択された評価対象領域内の輝度に基づいて、コラーゲンの粗密を定量的に示す指標を算出する工程を含む、請求項1記載の方法。

請求項3

工程(b2)が、(b2−1)選択された評価対象領域内の輝度を二次元フーリエ変換し、二次元空間周波数分布を求める工程、(b2−2)得られた輝度の二次元空間周波数分布をカーブフィッティングし、半値幅を求める工程を含み、得られた半値幅が、コラーゲンの粗密を定量的に示す指標となる、請求項2記載の方法。

請求項4

工程(a)において照射される超短パルス光が、フェムト秒モード同期レーザー光である、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。

請求項5

工程(a)において、皮膚の真皮層に超短パルス光を照射する、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。

請求項6

皮膚の老化を評価する方法であって、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法を用いて、皮膚内部のコラーゲンの粗密を評価する工程、皮膚内部のコラーゲンの粗密の評価結果に基づいて、皮膚の老化を評価する工程を含む方法。

技術分野

0001

本願発明は、皮膚内部のコラーゲン状態の評価方法及び皮膚老化の評価方法に関する。具体的には、真皮層等の皮膚内部におけるコラーゲンの粗密を、非侵襲的且つ定量的に評価する方法、及び、かかるコラーゲンの粗密の評価結果に基づいて、皮膚の老化を評価する方法に関する。

背景技術

0002

皮膚は外側から順に表皮層・真皮層・皮下組織の3層からなり、中でも真皮層は、張り弾性・水分保有等の機能を果たすことで、皮膚の機械的・形態的特性を維持する役割を有する。その真皮層の性質を決定付けているのが、真皮層の約80%を構成するコラーゲン線維である。例えば老化によってコラーゲン線維の状態が変化すると、皮膚の形態的変化や異常が生じ、しわやたるみといった外観上の特徴が現れる。皮膚の老化現象は、加齢による老化である自然老化と、紫外線照射による光老化とに区別され、体の非露光部では自然老化のみが起こるが、顔面等の露光部では自然老化と光老化の両方が進行する。自然老化の原因としては、加齢に伴う細胞活性減退によるコラーゲンの産生低下が知られている。光老化の原因は明確ではないが、紫外線への露光によって、皮膚組織内でコラーゲン線維を分解する酵素(MMP)が活性化され、コラーゲン線維の量や質に異常を生じるためであると考えられている(非特許文献1)。よって、皮膚の老化を適切に評価するためには、真皮層等の皮膚内部におけるコラーゲンの状態を適切に定量化することが求められる。

0003

従来、皮膚状態を非侵襲的に定量化する手法としては、皮膚粘弾性角質水分量経皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss:TEWL)などを測定する方法が用いられてきた(非特許文献2、3)。しかし、何れの測定方法原理的に皮膚表面(最外層)から測定を行なうため、皮膚表面の状態が定量値に大きく影響してしまう。このため、真皮層等の皮膚内部の状態を反映した定量的なパラメーターを非侵襲的且つ直接的に得ることは困難であった。
一方、皮膚内部の状態を非侵襲的に直接評価するべく、超音波エコー等の臨床診断装置や共焦点レーザー生体顕微鏡、皮膚光コヒーレンス断層撮影装置OCT)など、生体の内部構造を画像として取得する手段も開発されている(非特許文献2、3)。しかし、何れもコラーゲンに関する情報のみを抽出して詳細に評価することは困難であった。

0004

近年、真皮層等の皮膚内部におけるコラーゲンの状態を非侵襲的に測定する方法として、第2高調波発生光(SHG光)が着目されている。これは、超短パルス光(例えばフェムト秒オーダー)を生体組織照射すると、コラーゲン分子が特異的に有する非線形光学特性によって、照射したレーザー光の一部が波長変換され、照射レーザー半波長の光が発生することを応用した技術である(非特許文献4)。
皮膚科学的診断に有用な技術として、SHG光を用いた生体におけるコラーゲンの構造観察も提案されている(非特許文献5)。また、コラーゲンゲル等のインビトロでの三次元培養においても、SHG光を用いたコラーゲンの構造観察の検討がなされている(非特許文献6)。コラーゲンゲル培養により得られる培養組織試料入射光として超短パルス光を照射し、発生したSHG光を検出することにより、培養組織試料の成育程度を評価できること(特許文献1)や、SHG光発生効率入射レーザ偏光依存性を用いて、コラーゲンの配向解析できること(非特許文献7)も報告されている。

0005

近年、本発明者等の一部は、生体SHG光の偏光特性を用いて真皮層等の皮膚内部のコラーゲンの配向を測定し、この配向と皮膚のしわの状態との間に相関があることを見出して、コラーゲンの配向に基づいて皮膚のしわの状態を評価する新たな方法を開発した(特許文献2)。

0006

特開2007−49990号公報
特開2009−236610号公報

先行技術

0007

「皮膚の抗老化最前線」、(株)エヌ・ティーエス発行、2006年7月
「皮膚の測定・評価マニュアル集」、技術情報協会発行、2003年11月
現場レベルでの皮膚測定・評価 〜トラブル事例・対策〜」、サイエンステクノロジー株式会社発行、2007年2月
Roth S. et al., Biopolymers. 1981;20(6):1271-90
Lin S. J. et al., Eur. J. Dermatol., 2007;17(5):361-6
Zoumi A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2002; 99(17):11014-9
Yasui T. et al., J Biomed Opt. 2004 Mar-Apr;9(2):259-64

発明が解決しようとする課題

0008

しかし、皮膚の老化を適切に評価する観点からは、真皮層等の皮膚内部におけるコラーゲン状態を非侵襲的且つ直接的に定量化する新たな方法が、依然として求められていた。

課題を解決するための手段

0009

本発明者等は鋭意検討の結果、真皮層等の皮膚内部に超短パルス光を照射して得られたSHG光画像を用いて、皮膚内部におけるコラーゲンの粗密を定量的に評価する方法を開発した。更に、本方法を用いて得られたコラーゲンの粗密が、皮膚の老化と相関を有し、皮膚の老化の評価に利用できることを見出して、本発明を完成させた。

0010

すなわち、本発明の主旨は、以下に存する。
〔1〕 皮膚内部のコラーゲンの状態を評価する方法であって、
(a)皮膚内部に超短パルス光を照射し、発生した第2高調波発生光(SHG光)を検出することにより、SHG光画像を取得する工程、
(b)得られたSHG光画像に基づいて、皮膚内部のコラーゲンの粗密を定量化する工程
を含む方法。
〔2〕 工程(b)が、
(b1)SHG光画像内の評価対象領域を選択する工程
(b2)選択された評価対象領域内の輝度に基づいて、コラーゲンの粗密を定量的に示す指標を算出する工程
を含む、〔1〕に記載の方法。
〔3〕 工程(b2)が、
(b2−1)選択された評価対象領域内の輝度を二次元フーリエ変換し、二次元空間周波数分布を求める工程、
(b2−2)得られた輝度の二次元空間周波数分布をカーブフィッティングし、半値幅を求める工程
を含み、得られた半値幅が、コラーゲンの粗密を定量的に示す指標となる、〔2〕に記載の方法。
〔4〕 工程(a)において照射される超短パルス光が、フェムト秒モード同期レーザー光である、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載の方法。
〔5〕 工程(a)において、皮膚の真皮層に超短パルス光を照射する、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の方法。
〔6〕 皮膚の老化を評価する方法であって、
〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載の方法を用いて、皮膚内部のコラーゲンの粗密を評価する工程、
皮膚内部のコラーゲンの粗密の評価結果に基づいて、皮膚の老化を評価する工程
を含む方法。

発明の効果

0011

本発明によれば、真皮層等の皮膚内部におけるコラーゲンの状態の指標として、コラーゲンの粗密を非侵襲的且つ定量的に評価することが可能となる。得られたコラーゲンの粗密は皮膚の老化と相関を有し、皮膚の老化の評価に有効に利用できる。

図面の簡単な説明

0012

コラーゲン状態の評価方法を説明するためのフローチャートである。
生体SHG光の検出に基づく皮膚内部のコラーゲン状態の測定を説明するための模式図である。
(a)(b)はいずれも、コラーゲン粗密の定量化手順を説明するためのフローチャートである。
SHG光測定・解析装置の構成の一例を示す構成図である。
(a)は30男性被験者前腕屈側のSHG光画像の例、(b)は頬部のSHG光画像の例である。
(a)は20歳代女性被験者の頬部のSHG光画像の例、(b)は50歳代女性被験者の頬部のSHG光画像の例である。
(a)は顕著な日焼けを有しない20歳代男性被験者の頬部のSHG光画像の例、(b)は顕著な日焼けを有する20歳代男性被験者の頬部のSHG光画像の例、(c)は顕著な日焼けを有しない50歳代男性被験者の頬部のSHG光画像の例、(d)は顕著な日焼けを有する50歳代男性被験者の頬部のSHG光画像の例である。
(a1)は20歳代男性被験者の頬部について得られたSHG光画像、(a2)は(a1)の囲み線内領域の画像を二次元フーリエ変換して得られた空間周波数分布図、(a3)は(a2)の輝度を高さ方向の座標として表示した模式的な三次元図の例であり、(b1)は60歳代男性被験者の頬部について得られたSHG光画像、(b2)は(b1)の囲み線内領域の画像を二次元フーリエ変換して得られた空間周波数分布図、(b3)は(b2)の輝度を高さ方向の座標として表示した模式的な三次元図の例である。
20歳代〜50歳代の男性被験者の頬部の皮膚内部のSHG光画像から得られた空間周波数分布の半値幅を示すグラフである。

0013

[1.コラーゲン状態の評価方法]
本発明は、皮膚内部のコラーゲンの状態を評価する方法であって、図1のフローチャートに示すように、以下の工程を有する方法に関する(以降「本発明のコラーゲン状態の評価方法」或いは単に「本発明の方法」と表示する場合がある。)。
(a)皮膚内部に超短パルス光を照射し、発生した第2高調波発生光(SHG光)を検出することにより、SHG光画像を取得する工程(図1中「S1」。以降「SHG光画像取得工程」と表示する場合がある)。
(b)得られたSHG光画像に基づいて、皮膚内部のコラーゲンの粗密を定量化する工程(図1中「S2」。以降「コラーゲン粗密定量化工程」と表示する場合がある)。

0014

〔1−1.(a)SHG光画像取得工程〕
本工程では、皮膚内部に超短パルス光を照射し、発生したSHG光を検出することにより、SHG光画像を取得する。SHG光とは、ピークパワーの高い超短パルス光が非中心対象性物質に照射されることによって発生する二次の非線形光学応答であり、通常の反射散乱等の線形光学応答では、周波数(ω)が変化しないのに対して、SHG光は、周波数が入射光の2倍(2ω)に変換されることが知られている。

0015

図2は、生体SHG光の検出に基づく皮膚内部のコラーゲン状態の測定を説明するための模式図である。皮膚内部に存在するコラーゲン線維の分子は、3重らせん構造非中心対称性を有するため、特異的にSHG光を発生する生体構成物質として知られている。発生するSHG光の強度は、コラーゲンの濃度や配向等に依存する。このSHG光を検出することにより、皮膚内部におけるコラーゲンの密度分布、配向等の情報を取得することができる。皮膚内部のコラーゲンは主に真皮層に局在しているので、図2に示すように、皮膚内部に超短パルス光を照射し、発生する生体SHG光を検出することにより、特に真皮層におけるコラーゲンの密度、分布、配向等の情報を選択的に計測することが可能になる。

0016

即ち、かかるSHG光の検出に基づきコラーゲンの状態を評価すれば、皮膚内部のコラーゲン線維分子に固有の非線形光学特性を利用するため、組織染色等が不要であり、生体組織のありのままの状態におけるインビボ(in vivo)での測定が可能である。また、このようして得られるSHG光の強度は皮膚内部のコラーゲンの濃度に依存しているので、その強度情報からコラーゲンの濃度分布可視化することができる。SHG光の検出は非線形光学効果を利用した手法であるため、極めて高い空間分解能での三次元イメージングが可能である。

0017

上述のように、皮膚の老化に深く関連していると考えられる真皮層のコラーゲンの状態を、非接触で高感度に可視化することが可能な手段はこれまで存在しなかったことから、本発明で使用されるSHG光の検出に基づく手法は、皮膚計測においても革新的な手法であると言える。

0018

工程(a)における超短パルス光としては、例えば、フェムト秒モード同期レーザー光が挙げられる。フェムト秒モード同期レーザー光は、フェムト秒(10−15秒)オーダー超短パルスレーザー光であり、非常に高い瞬時ピークパワーを有する。このようなフェムト秒モード同期レーザー光の照射手段は特に制限されない。例としては、チタンサファイアレーザー、クロムフォルステライトレーザー、エルビウム添加ファイバーレーザー、イッテルビウム添加ファイバーレーザー、ネオジウムガラスレーザー等のレーザー光源等が挙げられる。超短パルス光の具体的なパルス長は、通常300fs(フェムト秒)以下、中でも100fs以下が好ましい。下限は特に制限されないが、通常は100fs程度である。パルス幅が短くなればなるほど、SHG光の発生効率は高くなる。

0019

また、工程(a)における超短パルス光としては、近赤外領域波長を有する超短パルス光を使用することが好ましい。近赤外領域は生体組織における吸収と散乱が少なく、良好な生体透過性を有する波長帯であるため、近赤外超短パルス光を用いれば、レーザー光を皮膚内部に対して表皮越しに入射させて生体SHG光を誘起し、その後方散乱SHG光を表皮越しに検出することができる。その他にも、近赤外超短パルス光を用いれば、バックグラウンド光拡散反射光蛍光)との分離が容易である、低侵襲的・深浸透性である、熱的ダメージが小さい等の利点が得られる。

0020

具体的には、超短パルス光の中心波長が、通常700nmから1550nm程度、中でも800nmから1300nm程度、更には1200nmから1300nm程度の範囲内にあることが好ましい。この観点から、超短パルス光の光源としては、クロム・フォルステライトレーザーが好ましい。クロム・フォルステライトレーザーを用いれば、例えば、中心波長1250nm近傍の超短パルス光を得ることが可能となる。

0021

また、後述の工程(b1)において毛穴皮溝、毛陰等の領域を正確に把握し、これら以外の領域を評価対象領域として適切に選択するためには、工程(a)において、できるだけ広範囲のSHG光画像を撮影することが好ましい。この点でも、クロム・フォルステライトレーザーを用いれば、例えば後述の実施例のように、短時間に600μm×600μm等の範囲の画像を取得することが可能である。更に、サンプルを走査して複数の画像を撮影し、これらの画像を並べることにより、広範囲のSHG光画像を取得することも可能である。例えば後述の実施例のように、600μm×600μmの画像(例えば図5(a)(b)中の四角点線で示す部分画像)を4×4枚並べれば、2.4mm×2.4mmの画像(例えば図5(a)(b)の全体画像)を取得することができる。

0022

評価対象となる皮膚は、人間由来のものでもよく、その他の動物由来のものでもよいが、人間由来のものであることが好ましい。また、生体から採取した皮膚組織を測定してもよいが、本発明の方法の利点である非侵襲性生かすためには、生体の皮膚を原位置で測定対象とすることが好ましい。

0023

皮膚におけるSHG光の測定対象位置も特に制限されず、表皮下の皮膚内部であればよいが、上述のように真皮層のコラーゲンの状態が特に皮膚の老化と深い関連性を有することから、真皮層を測定対象位置とすることが好ましい。真皮層の深さは生物身体部位によって大きく異なるが、人間の場合には通常、皮膚表面から0.1mm〜4mm程度の深さである。

0024

なお、上述のSHG光画像取得工程(a)は、通常のSHG顕微鏡ステムにより、好ましくはフェムト秒モード同期レーザー、特にクロム・フォルステライトレーザーを用いたSHG顕微鏡システムにより、実施することが可能である。詳細なSHG顕微鏡システムの例については後述する。

0025

〔1−2.(b)コラーゲン粗密定量化工程〕
本工程では、工程(a)で得られたSHG光画像に基づいて、皮膚内部のコラーゲンの粗密を定量化する。本発明者等の検討によれば、加齢や皮膚ダメージ(日焼け等)により皮膚の老化が進むほど、SHG光画像上に表出される皮膚内部のコラーゲンの密度は粗となる(後述の実施例及び図6〜8参照)。よって、SHG光画像に基づいてコラーゲンの密度を定量化することにより、皮膚の老化等の評価の指標とすることができる。SHG光画像からコラーゲンの粗密を定量化する手法としては、制限されるものではないが、目視観察による定量評価や、二次元フーリエ変換等の公知の手法を用いることができる。

0026

好ましい態様によれば、工程(b)は、図3(a)のフローチャートに示すように、以下の工程を有する。
(b1)SHG光画像内の評価対象領域を選択する工程(図3(a)中「S21」。以降「評価対象領域選択工程」と表示する場合がある。)。
(b2)選択された評価対象領域内の輝度に基づいて、コラーゲンの粗密を定量的に示す指標を算出する工程(図3(a)中「S22」。以降「コラーゲン粗密指標算出工程」と表示する場合がある。)。

0027

〔1−2−1.(b1)評価対象領域選択工程〕
本工程では、SHG光画像内の評価対象領域を選択する。皮膚に存在する毛穴、皮溝、毛陰等は、SHG光画像において暗部として表示されるため、皮膚内部のコラーゲンの粗密を正確に定量化するためには、これらの領域以外の領域における情報に基づいて、コラーゲンの粗密の定量化を行うことが好ましい。よって、本工程では、毛穴、皮溝、毛陰等以外の領域から、評価対象となる領域を選択する。評価対象領域の広さは制限されないが、例えば150μm×150μmの範囲とする。また、同一のSHG光画像の中から複数個所の評価対象領域を選択し、これらの箇所について次工程(b2)においてコラーゲン粗密指標を求め、これらを平均すれば、コラーゲンの粗密をより正確に反映したコラーゲン粗密指標を求めることができるので好ましい。

0028

〔1−2−2.(b2)コラーゲン粗密指標算出工程〕
本工程では、選択された評価対象領域内の輝度に基づいて、コラーゲンの粗密を定量的に示す指標(以降「コラーゲン粗密指標」と表示する場合がある。)を算出する。具体的な手段は、制限されるものではないが、二次元フーリエ変換等の公知の手法を用いることができる。

0029

好ましい態様によれば、工程(b2)は、図3(b)のフローチャートに示すように、以下の工程を有し、得られた半値幅がコラーゲン粗密指標となる。
(b2−1)評価対象領域内の輝度を二次元フーリエ変換することにより、二次元空間周波数分布を求める工程(図3(b)中「S221」。以降「二次元フーリエ変換工程」と表示する場合がある。)。
(b2−2)輝度の二次元空間周波数分布をカーブフィッティング(曲面近似)し、半値幅を求める工程(図3(b)中「S222」。以降「カーブフィッティング工程」と表示する場合がある。)。

0030

具体的に、工程(b2−1)(二次元フーリエ変換工程)では、SHG光画像において選択された評価対象領域内の輝度値を二次元フーリエ変換することにより、二次元空間周波数分布を求める。得られた二次元空間周波数分布における輝度値は、各空間周波数成分ヒストグラムを表すことになる。また、画像中心空間周波数ゼロとして設定することにより、中心に近いほど空間周波数が低く、中心から離れるに従って空間周波数が高い二次元空間周波数分布が得られる。

0031

ここで、本発明者等の知見によれば、実際の測定データの解析結果では、キメの細かい密なコラーゲン線維分布では空間周波数ゼロを中心とした輝度分布の半値幅が小さく、キメの粗い疎なコラーゲン線維分布では空間周波数ゼロを中心とした輝度分布の半値幅が大きくなっていることが確認できる(後述の実施例及び図8)。すなわち、コラーゲン線維の粗密の状態と輝度分布の半値幅との間に相関関係があると言える。

0032

そこで、工程(b2−2)(カーブフィッティング工程)では、u軸(x軸に沿った空間周波数成分)またはv軸(y軸に沿った空間周波数成分)に沿った輝度データプロットに対して、下記式(1)のガウス関数をカーブフィッティング(曲面近似)し、この輝度分布の半値幅を抽出する。



(上記式中、μは分布曲線中心値(この場合はゼロ)を示し、σは半値幅(標準偏差)を示す。)
こうして得られた半値幅は、コラーゲン線維分布が粗であるほど大きく、コラーゲン線維分布が密であるほど小さくなるため、コラーゲン線維分布の粗密を定量的に表す指標(コラーゲン粗密指標)となる。よって、この半値幅に基づいて、皮膚内部のコラーゲンの粗密を評価することが可能となる。

0033

なお、上述のコラーゲン粗密定量化工程(b)は、コンピュータにおいて適切な画像解析ソフトウェア(例えばWaveMetrics社製 IGOR Pro(登録商標)等)等を実施することにより、実現することが可能である。

0034

[2.コラーゲン状態の評価方法の実施のためのシステム]
本発明のコラーゲン状態の評価方法は、SHG顕微鏡装置とコンピュータとを組み合わせたSHG測定・解析システムにより、実施することができる。

0035

図4は、本発明のコラーゲン状態の評価方法を実施するためのSHG測定・解析システムの一例を示す構成概略図である。SHG測定・解析システム900は、SHG顕微鏡装置100とコンピュータ200を備える。

0036

SHG顕微鏡装置100は、光源1と、皮膚(サンプル)Sに対向する対物レンズ10と、光検出器(例えば光電子増倍管等)14を備える。光源1と対物レンズ10との間には、NDフィルター(neutral density filter)2、偏光子3、位相差板4(例えば1/4波長板、1/2波長板)、ミラー5、ダイクロイックミラー6、ガルバノミラー7、第1レンズ8、及び第2レンズ9がこの順序で配置される。対物レンズ10と光検出器14との間には、第2レンズ9、第1レンズ8、ガルバノミラー7、ダイクロイックミラー6、SHG光透過フィルター13がこの順序で配置される。対物レンズ10はピエゾステージ11に取り付けられ、皮膚(サンプル)Sに対して離接可能に構成される。また、サンプル走査ステージ12によって、対物レンズ10の移動軸に対して垂直な平面上における、対物レンズ10と皮膚(サンプル)Sとの相対位置も調整できるように構成される。なお、実線Xは入射レーザー光(超短パルス光)、点線Yは反射SHG光を示す。
コンピュータ200は、SHG顕微鏡装置100に接続され、その設定・制御を行うとともに、光検出器14において得られたSHG光画像のイメージング処理を行う。

0037

まず、光源1から超短パルス光Xが出射され、NDフィルター2で適度なレーザー光強度に調節された後、偏光子3並びに位相差板4を通過する。位相差板の種類に応じて得られる偏光は、ミラー5で反射され、ダイクロイックミラー6を透過した後、ガルバノミラー7で反射される。さらに、第1レンズ8と第2レンズ9を通過した後、対物レンズ10によりサンプル走査ステージ12上の皮膚(サンプル)Sに集光される。皮膚(サンプル)Sで発生したSHG光の後方散乱成分Yを対物レンズ10で集光し、入射レーザー光Xと同一の光路を逆に戻す。SHG光Yは、第2レンズ9と第1レンズ8を通過し、ガルバノミラー7で反射される。ダイクロイックミラー6はSHG光Yのみを反射し、SHG光透過フィルター13によってSHG光Yのみが抽出される。抽出されたSHG光Yは、光検出器14で光検出され、その検出結果はコンピュータ200に入力されて、得られたSHG光画像のイメージング処理が行なわれる。

0038

入射レーザー光は、偏光子3で直線偏光にされた後、位相差板4(例えば、1/4波長板、1/2波長板)で任意方向の直線偏光に変換することができる。また、ガルバノミラー7、第1レンズ8、及び第2レンズ9によって、皮膚(サンプル)S上のビームスポットを調整することにより、皮膚(サンプル)Sの二次元平面内高速走査することができる。更に、サンプル走査ステージ12によって、皮膚(サンプル)Sを二次元平面内でより広範囲に走査することもできる。かかる構成によれば、皮膚(サンプル)S上を走査して隣接する複数の画像を撮影し、これらの画像を結合することにより、広範囲のSHG光画像を取得することも可能である。更には、対物レンズ10を取り付けたピエゾステージ11によって、ビームスポットを被サンプル10の深さ方向に走査することも可能である。このようにして、SHG光強度二次元平面分布又は三次元空間分布分析することが可能となる。

0039

なお、SHG顕微鏡装置100がコンピュータ200と協調することにより、上述のSHG光画像取得工程(a)を実施する手段(即ち、皮膚内部に超短パルス光を照射し、発生したSHG光を検出することにより、SHG光画像を取得する手段)が実現されることになる。また、得られたSHG光画像を、コンピュータ200において、適切な画像解析ソフトウェア(例えばWaveMetrics社製 IGOR Pro(登録商標)等)等を用いて処理することにより、上述のコラーゲン粗密定量化工程(b)(即ち、SHG光画像に基づいて皮膚内部のコラーゲンの粗密を定量化する手段)が実現されることになる。

0040

図4に示すSHG測定・解析システム900は、あくまでも一例であり、適宜変更を加えることが可能である。例えば、ミラー5は必須の構成要素ではなく、適宜省くことができる。また、深さ(光軸)方向の分布測定が不要の場合には、ピエゾステージ9を適宜省くこともできる。

0041

[3.コラーゲン状態の評価方法の応用]
上述の本発明のコラーゲン状態の評価方法によれば、真皮層等の皮膚内部のコラーゲンの粗密を、非侵襲的且つ定量的に評価することが可能となる。

0042

本発明者等は、上述の本発明のコラーゲン状態の評価方法により得られたコラーゲンの粗密が、皮膚の老化と相関を有し、皮膚の老化の評価に有効に利用できることを見出した(後述の実施例及び図5〜9参照)。かかる知見を応用すれば、本発明のコラーゲン状態の評価方法を応用して、皮膚の老化を評価することも可能になる。

0043

すなわち、本発明は、皮膚の老化を評価する方法であって、上述の本発明のコラーゲン状態の評価方法を用いて、皮膚内部のコラーゲンの粗密を評価する工程と、得られたコラーゲンの粗密の評価結果に基づいて、皮膚の老化を評価する工程とを有する方法(以降「本発明の皮膚老化評価方法」と表示する場合がある。)にも関する。

0044

特に、本発明の好適な態様によれば、コラーゲンの粗密を定量的に示す指標(コラーゲン粗密指標:例えば半値幅)が得られる。かかる指標に基づいて、皮膚内部のコラーゲンが密であるほど皮膚の老化が遅い一方、皮膚内部のコラーゲンが粗であるほど皮膚の老化が進行していると評価することが可能である。

0045

本発明の皮膚老化評価方法は、皮膚老化抑制剤抗老化剤)の臨床的評価に用いることができる。即ち、本発明の皮膚老化評価方法を用いれば、各種の皮膚老化抑制剤(抗老化剤)がどの程度の効力を有するかを、非侵襲的且つ定量的に評価することが可能である。

0046

また、本発明の皮膚老化評価方法は、皮膚老化抑制剤(抗老化剤)となる物質のスクリーニングにも用いることができる。即ち、皮膚老化抑制剤(抗老化剤)の候補となる物質について、それらが実際に皮膚老化を抑制する効果を有するか否かを、本発明の皮膚老化評価方法を用いて評価すれば、生体皮膚を評価系として使用することが可能となり、皮膚老化抑制剤(抗老化剤)をより確実且つ効率的に選定することが可能となる。

0047

自然老化および光老化によるコラーゲン線維構造の変化を調べるため、ヒトの頬部等のインビボ(in vivo)での測定を行った。顔面部は、自然老化に加えて、紫外線曝露による光老化の影響も受け易いため、老化によるコラーゲン線維構造の変化を観察するという目的に適していると考えられる。ここでは年齢や紫外線履歴の異なる被験者の頬部等における真皮層中のコラーゲン線維構造を観察することで、コラーゲンの構造と加齢や紫外線履歴との関連性を調べた。また、得られた結果を利用して皮膚の老化の評価へと応用することが可能かどうか、定量評価を試みた。

0048

[1.実験条件
実験装置としては、図4に示す構成を有するSHG測定・解析システム900を用いた。光源1としてはフェムト秒モード同期クロム・フォルステライト(Cr:Forsterite)レーザー(中心波長1250nm、パルス幅100fs、繰返し周波数73MHz)を用いた。レーザー光は、油浸対物レンズ10(N.A.=0.9、W.D.=350μm)を通って皮膚(サンプル)S上に集光される。対物レンズ10から出射されるレーザーパワーは35mWに設定した。皮膚(サンプル)Sから発生した生体SHG光は、ハーモニックセパレーター(ガルバノミラー7:反射波長625nm)と赤外光カットフィルター(SHG光透過フィルター)によって基本波成分(中心波長1250nm)を除去した後に、電子冷却フォトンカウンティング型光電子増倍管(光検出器14)で高感度計測される。レーザースポット高速二次元走査(X軸、Y軸)には、ガルバノミラー7と2枚のリレーレンズ(第1レンズ8、第2レンズ9)を用いた。600μm×600μmのSHG光画像を取得するのに要する時間は2秒である。さらに、ガルバノミラー7で取得した600μm×600μmイメージを、サンプル走査ステージ12で4枚×4枚並べて取得することにより、大面積SHG光画像撮影(2.4mm×2.4mm)も可能である。なお、大面積SHG光画像撮影では、測定深さを200μmに固定した。

0049

実際の計測時には、対物レンズ10上に円形カバーガラスを置き、被験者が測定部位(頬部、前腕屈側)の皮膚(サンプル)Sをカバーガラス上に固定して、対物レンズ10とカバーガラスとの間をイマージョンオイルで満たした。それぞれの被験者に対して、深さ方向へのSHG光画像撮影と大面積SHG光画像撮影の2通りの方法で計測を行った。

0050

[2.SHG光画像の撮像及び目視観察による評価]
様々な被験者の皮膚について、大面積SHG光画像を撮影し、目視観察によるコラーゲン密度の評価を行った。

0051

まず、30歳代の男性被験者における前腕屈側及び頬部の大面積SHG光画像を撮影した。得られた前腕屈側及び頬部のSHG光画像をそれぞれ図5(a)、(b)に示す。なお、図5〜7の各SHG画像は、600μm×600μmの画像(例えば図5(a)、(b)中の四角囲み点線で示す部分)を4×4枚併置して得られた2.4mm×2.4mmの大面積SHG画像である。SHG光画像において、黒丸状の部分が毛穴、黒い線状の部分が皮溝・毛陰等、白い繊維状の部分がコラーゲンである。図5(a)、(b)より、前腕屈側よりも頬部の方が、大きな毛穴や皮溝・毛陰等が多数存在していることが分かる。

0052

次に、20歳代及び50歳代の女性被験者における頬部の大面積SHG光画像を撮影した。得られたSHG光画像をそれぞれ図6(a)、(b)に示す。加齢と共に、きめ細かい密なコラーゲン線維が減少し、太く粗い疎のコラーゲン線維が顕著になっている様子が確認できる。これは、加齢に伴う細胞活性の減退によってコラーゲンの産生が低下し、キメの細かい新生コラーゲン線維の総量が減少しているためと思われる。

0053

次に、紫外線暴露とコラーゲン密度との相関を調べるため、顕著な日焼けを有する20歳代及び50歳代の男性被験者、並びに、顕著な日焼けを有しない20歳代及び50歳代の男性被験者の各々について、頬部の大面積SHG光画像を撮影した。顕著な日焼けを有しない20歳代男性被験者のSHG光画像を図7(a)に、顕著な日焼けを有する20歳代男性被験者の頬部のSHG光画像を図7(b)に、顕著な日焼けを有しない50歳代男性被験者の頬部のSHG光画像を図7(c)に、顕著な日焼けを有する50歳代男性被験者の頬部のSHG光画像を図7(d)にそれぞれ示す。20歳代及び50歳代の何れの比較においても、顕著な日焼けを有しない被験者と比べて、顕著な日焼けを有する被験者の方が、太く粗い疎のコラーゲン線維が顕著になっており、コラーゲン密度が低かった。20歳代ではその差はそれほど明確ではないが、50代被験者ではより明確な相違が確認された。ここから、若い皮膚では紫外線ダメージに対するコラーゲン産生ターンオーバーが比較的順調なので日焼けによる相違が小さいが、加齢と共に細胞活性が低下してくると、紫外線ダメージに対するコラーゲンのターンオーバーが間に合わなくなり、キメの細かい密なコラーゲン線維が極度に減少した状態になることが解釈される。同様の傾向は、女性被験者においても見受けられた。

0054

[3.SHG光画像の撮像及びコラーゲン評価指標による評価]
次に、種々の年齢の男性被験者の皮膚について大面積SHG光画像を撮影し、目視観察によるコラーゲン密度の評価を行った。

0055

まず、20歳代〜60歳代の男性被験者について、頬部の大面積SHG光画像を撮影した(工程(a))。20歳代及び50歳代の男性被験者について得られたSHG光画像の例をそれぞれ図8(a−1)及び(b−1)に示す。20歳代の被験者よりも50歳代の被験者の方が、太く粗い疎のコラーゲン線維が顕著になっており、コラーゲン密度が低くなっていることが分かる。

0056

次に、得られた各SHG光画像について、コンピュータ上で画像解析ソフトウェア(WaveMetrics社製 IGOR Pro(登録商標)を用いて、以下の処理を行った。
まず、毛穴、皮溝、毛陰等に該当しない領域から、150μm×150μmの評価対象領域を5箇所選択した(工程(b1))。選択された各評価対象領域内の輝度を二次元フーリエ変換することにより、空間周波数分布を求めた(工程(b2−1))。図8(a−1)及び(b−1)の四角囲み黒線内の領域を評価対象領域として得られた二次元空間周波数分布を、それぞれ図8(a−2)及び(b−2)に示す。また、その輝度(空間周波数)を高さ方向の座標として表した模式的な三次元図を、それぞれ図8(a−3)及び(b−3)に示す。ここで、二次元フーリエ解析結果の二次元座標は、X軸方向とY軸方向の空間周波数(u軸、v軸)を示しており、その分布から空間周波数分布の情報を得ることが出来る。図8(a−2)、(b−2)及び(a−3)、(b−3)の各々から分かるように、画像中心を空間周波数ゼロとして設定することにより、中心に近いほど空間周波数が低く、中心から離れるに従って空間周波数が高い二次元空間周波数分布が得られている。また、図8(a−1)〜(a−3)と図8(b−1)〜(b−3)を対比すると、コラーゲン密度が密である20歳代の被験者よりも、コラーゲン密度が粗である50歳代の被験者の方が、二次元上における輝度の分散が大きくなっていることが分かる。

実施例

0057

次に、得られたu軸またはv軸に沿った輝度の空間周波数分布のデータプロットに対して、上記式(1)のガウス関数をカーブフィッティングし、この輝度分布の半値幅を抽出した(工程(b2−2))。
こうして得られた半値幅を、各被験者の5箇所の評価対象領域について平均した。得られた半値幅の平均値図9のグラフに示す。図9のグラフから、加齢と共に半値幅が増大していることから、今回利用した半値幅が、皮膚の老化によるコラーゲンの粗密の変化を反映した指標(コラーゲン粗密指標)として利用可能であることが分かる。また、日焼けの影響が顕著な50代被験者Jでは、特にこの値が大きくなっていることから、紫外線曝露によるダメージがコラーゲンの粗密に与える影響も、本指標に反映されていることが分かる。

0058

本発明によって最も直接的な効果を期待できるのは皮膚美容分野であり、特に皮膚老化診断が興味深い。皮膚老化診断は、近年のアンチエイジングや皮膚美容に対する意識の高まりと共に、今後大きな進展予想される分野である。特に、本発明の評価方法を化粧品関連分野(例えば、抗しわ化粧品)と有機的に融合することができれば、極めて大きな市場(例えば、加齢や日焼けに伴う皮膚のしわや弾力性低下の評価、化粧品・塗薬効用テストほか)が生成されると期待される。また、今後日本が直面する高齢化社会において老化問題は切実な問題であり、社会ニーズという観点からも皮膚老化診断の需要は大きい。

0059

1光源
2NDフィルター
3偏光子
4位相差板
5ミラー
6ダイクロイックミラー
7ガルバノミラー
8 第1レンズ
9 第2レンズ
10対物レンズ
11ピエゾステージ
12サンプル走査ステージ
13SHG光透過フィルター
14光検出器
100SHG顕微鏡装置
200コンピュータ
900SHG測定・解析システム
S 皮膚(サンプル)
S1表皮層
S2真皮層
X入射レーザー光
Y SHG光

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