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技術 Si系合金負極材料

出願人 山陽特殊製鋼株式会社
発明者 廣野友紀仮屋哲朗柳本勝
出願日 2011年6月29日 (9年5ヶ月経過) 出願番号 2011-143928
公開日 2012年11月29日 (8年0ヶ月経過) 公開番号 2012-234788
状態 特許登録済
技術分野 珪素及び珪素化合物 電池の電極及び活物質
主要キーワード Cu合金溶 二元系状態図 初期容量値 Si組成 ミリング条件 複合相 急冷効果 金属リッチ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年11月29日)のものです。
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図面 (3)

課題

解決手段

Si相とSiとCuとの金属間化合物であるSixCuy合金からなるSixCuy相複合相からなる粉体であり、かつ、SixCuy相の組成がx<yであり、SixCuy相からなる金属間化合物相の平均硬さが800HV以下であることを特徴とするSi系合金負極材料。

概要

背景

近年、携帯機器の普及に伴い、リチウムイオン電池を中心とした高性能次電池の開発が盛んに行われている。さらには自動車用家庭用定置蓄電デバイスとしてリチウムイオン2次電池やその反応機構を負極に適用したハイブリットキャパシタの開発も盛んになっている。それらの蓄電デバイスの負極材料としては、リチウムイオン吸蔵・放出することができる、天然黒鉛人造黒鉛コークスなどの炭素質材料が用いられている。

しかし、炭素質材料はリチウムイオンをC面間に挿入するため、負極に用いた際の理論容量は372mAh/gが限界であり、高容量化を目的とした炭素質材料に代わる新規材料の探索が盛んに行われている。

一方、炭素質材料に代わる材料として、Siが注目されている。その理由は、SiはLi22Si5 で表される化合物を形成して大量のリチウムを吸蔵することができるため、炭素質材料を使用した場合に比較して負極の容量を大幅に増大でき、結果としてリチウムイオン2次電池やハイブリットキャパシタの蓄電容量を増大することができる可能性を持っているためである。

しかし、Siを単独で負極材として使用した場合には、充電時にリチウムと合金化する際の膨張放電時にリチウムと脱合金化する際の収縮の繰返しによってSi相微粉化され、使用中に電極基板からSi相が脱落したりSi相間の電気伝導性が取れなくなる等の不具合が生じるために蓄電デバイスとしての寿命が極めて短いといった課題があった。

また、Siは炭素質材料や金属系材料に比べて電気伝導性が悪く、充放電に伴う電子の効率的な移動が制限されているため、負極材としては炭素質材料など導電性を補う材料と組合せて使用されるが、その場合でも特に初期の充放電や高効率での充放電特性も課題となっている。

このようなSi相を負極として利用する際の欠点を解決する方法として、Siなどの親リチウム相の少なくとも一部をSiと遷移金属に代表される金属との金属間化合物で包囲した材料やその製造方法が提案されている。その一つとして、例えば、特開2001−297757号公報(特許文献1)や特開平10−312804号公報(特許文献2)などが知られている。

また、別の解決方法として、Si相を含む活物質の相をリチウムと合金化しないCuなどの導電性材料被覆した電極やその製造方法が提案されている。例えば、特開2004−228059号公報(特許文献3)や特開2005−44672号公報(特許文献4)などが知られている。
特開2001−297757号公報
特開平10−312804号公報
特開2004−228059号公報
特開2005−44672号公報

概要

リチウムイオン2次電池やハイブリットキャパシタなど、充放電時にリチウムイオンの移動を伴う蓄電デバイスの導電性に優れるSi系合金負極材料を提供する。Si相とSiとCuとの金属間化合物であるSixCuy合金からなるSixCuy相複合相からなる粉体であり、かつ、SixCuy相の組成がx<yであり、SixCuy相からなる金属間化合物相の平均硬さが800HV以下であることを特徴とするSi系合金負極材料。

目的

さらに、応力緩和を目的とした金属間化合物の硬さの制御方法について詳細に検討された例はない。Siなどの新リチウム相の少なくとも一部を金属間化合物で包囲した材料は、Si相を包囲している金属間化合物相がSiの充放電時のリチウム挿入・脱離により生じる体積膨張収縮を金属間化合物相が緩和する働きを狙っており、金属間化合物相は軟らかく、かつ導電性に優れていなければならない。

効果

実績

技術文献被引用数
6件
牽制数
1件

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請求項1

Si相とSiとCuとの金属間化合物であるSixCuy合金からなるSixCuy相複合相からなる粉体であり、かつ、SixCuy相の組成がx<yであり、SixCuy相からなる金属間化合物相の平均硬さが800HV以下であることを特徴とするSi系合金負極材料

請求項2

請求項1で、SixCuy相が特にSiCu3 であることを特徴とするSi系合金負極材料。

請求項3

請求項1または2において、Si相とSiとCuとの金属間化合物であるSixCuy合金からなるSixCuy相の複合相からなる粉体に、C,Sn,Al,Sb,Zn,Bi,Cd,Pb,Ag,Ge,P,S,O,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ga,Y,Zr,Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,In,La,Ce,B,Nからなる群から選ばれた1種または2種以上の元素を合計で30at.%以下含むことを特徴とする導電性に優れるSi系合金負極材料。

技術分野

0001

本発明は、リチウムイオン2次電池ハイブリットキャパシタなど、充放電時にリチウムイオンの移動を伴う蓄電デバイス導電性に優れるSi系合金負極材料に関するものである。

背景技術

0002

近年、携帯機器の普及に伴い、リチウムイオン電池を中心とした高性能次電池の開発が盛んに行われている。さらには自動車用家庭用定置用蓄電デバイスとしてリチウムイオン2次電池やその反応機構を負極に適用したハイブリットキャパシタの開発も盛んになっている。それらの蓄電デバイスの負極材料としては、リチウムイオンを吸蔵・放出することができる、天然黒鉛人造黒鉛コークスなどの炭素質材料が用いられている。

0003

しかし、炭素質材料はリチウムイオンをC面間に挿入するため、負極に用いた際の理論容量は372mAh/gが限界であり、高容量化を目的とした炭素質材料に代わる新規材料の探索が盛んに行われている。

0004

一方、炭素質材料に代わる材料として、Siが注目されている。その理由は、SiはLi22Si5 で表される化合物を形成して大量のリチウムを吸蔵することができるため、炭素質材料を使用した場合に比較して負極の容量を大幅に増大でき、結果としてリチウムイオン2次電池やハイブリットキャパシタの蓄電容量を増大することができる可能性を持っているためである。

0005

しかし、Siを単独で負極材として使用した場合には、充電時にリチウムと合金化する際の膨張放電時にリチウムと脱合金化する際の収縮の繰返しによってSi相微粉化され、使用中に電極基板からSi相が脱落したりSi相間の電気伝導性が取れなくなる等の不具合が生じるために蓄電デバイスとしての寿命が極めて短いといった課題があった。

0006

また、Siは炭素質材料や金属系材料に比べて電気伝導性が悪く、充放電に伴う電子の効率的な移動が制限されているため、負極材としては炭素質材料など導電性を補う材料と組合せて使用されるが、その場合でも特に初期の充放電や高効率での充放電特性も課題となっている。

0007

このようなSi相を負極として利用する際の欠点を解決する方法として、Siなどの親リチウム相の少なくとも一部をSiと遷移金属に代表される金属との金属間化合物で包囲した材料やその製造方法が提案されている。その一つとして、例えば、特開2001−297757号公報(特許文献1)や特開平10−312804号公報(特許文献2)などが知られている。

0008

また、別の解決方法として、Si相を含む活物質の相をリチウムと合金化しないCuなどの導電性材料被覆した電極やその製造方法が提案されている。例えば、特開2004−228059号公報(特許文献3)や特開2005−44672号公報(特許文献4)などが知られている。
特開2001−297757号公報
特開平10−312804号公報
特開2004−228059号公報
特開2005−44672号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、上述した活物質の相をCuなどの導電性材料で被覆する方法では、Si相を含む活物質を電極に形成する工程の前または後にめっきなどの方法で被覆する必要があり、また、被覆膜厚の制御など工業的に手間がかかるという問題がある。

0010

また、Siなどの親リチウム相の少なくとも一部を金属間化合物で包囲した材料は溶融後の凝固プロセス中に親リチウム相と金属間化合物が形成されるため、工業的に好ましいプロセスといえるが、提案されている元素の組合せではSi相と平衡する殆どの金属間化合物は電気伝導性に劣るSiリッチな化合物になるためCuめっきに比べて、特に、初期の充放電特性や高効率での充放電特性に劣る欠点があった。また、これまでの提案ではそれらの課題を解決できるような電気伝導性に優れた金属間化合物の組成に関するものはない。

0011

さらに、応力緩和を目的とした金属間化合物の硬さの制御方法について詳細に検討された例はない。Siなどの新リチウム相の少なくとも一部を金属間化合物で包囲した材料は、Si相を包囲している金属間化合物相がSiの充放電時のリチウム挿入・脱離により生じる体積膨張収縮を金属間化合物相が緩和する働きを狙っており、金属間化合物相は軟らかく、かつ導電性に優れていなければならない。

0012

しかし、従来の提案されている元素の組合せではSiリッチな化合物となり、本来硬いSi組成が多いことから硬くなる。また、従来メカニカルミリング処理などの粉砕処理を行うため、外部からの強い圧力により結晶構造に歪みが入り硬くなる。また、これまでの提案ではそれらの課題を解決できるような電気伝導性に優れ、かつ柔らかな金属間化合物の組成に関するものはない。

課題を解決するための手段

0013

上述のような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、Si相を包囲する金属間化合物として、Si相との多くの金属間化合物のなかでもCu元素との金属間化合物で、特にSixCuy相の組成がx<yとしたものが電気伝導性に優れ、かつ、そのSixCuy相の平均硬さを800HV以下とすることで、充放電時の優れたサイクル寿命を示すことを見出し発明に至った。

0014

その発明の要旨は、
(1)Si相とSiとCuとの金属間化合物であるSixCuy合金からなるSixCuy相の複合相からなる粉体であり、かつ、SixCuy相の組成がx<yであり、SixCuy相からなる金属間化合物相の平均硬さが800HV以下であることを特徴とするSi系合金負極材料。
(2)前記(1)において、SixCuy相が特にSiCu3 であることを特徴とするSi系合金負極材料。

0015

(3)前記(1)または(2)において、Si相とSiとCuとの金属間化合物であるSixCuy合金からなるSixCuy相の複合相からなる粉体に、C,Sn,Al,Sb,Zn,Bi,Cd,Pb,Ag,Ge,P,S,O,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ga,Y,Zr,Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,In,La,Ce,B,Nからなる群から選ばれた1種または2種以上の元素を合計で30at.%以下含むことを特徴とする導電性に優れるSi系合金負極材料にある。

発明の効果

0016

以上述べたように、Si相を取り囲む周囲の金属間化合物相を、電気伝導性に優れるx<yであるSixCuy相とし、さらに、SixCuy相からなる金属間化合物相の平均硬さを800HV以下とすることによって、Siの大きな体積変化による応力を緩和し、かつ導電性を補い、良好なサイクル寿命を示す負極材料を確実に得ることができ、放電容量とサイクル寿命のいずれも良好で、2次負極材料の提供を可能とする優れた効果を奏するものである。

発明を実施するための最良の形態

0017

以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は、Si−Cu二元系の状態図を示す。この図に示すように、Si−Cu合金溶融物を冷却すると液相線温度(例えば、Si:64原子%−Cu:36原子%の場合は1200℃)に達した時に初晶としてSiが析出し始める。この初晶は液体急冷法アトマイズ法のように冷却速度が大きければ粒状晶として析出し、温度が固相線温度(802℃)に達するとSiとSiCu3 の共晶反応が起こり凝固が完了する。このように、Siリッチ側の状態図ではSi相とSiCu3 相との共晶反応であり、Si相をSiCu3 相が取り囲む組織になる。

0018

一方、Cu以外とSiとを合金化させる元素の組合せとして、例えばFe−Si、Ni−Si、Mn−Si、Co−Si、Cr−Si、Si−W、Mo−Si、Nb−Si、Si−Ti、Si−V等が考えられる。しかし、これらは、いずれもFeSi2 、NiSi2 、CoSi2 、CrSi2 、WSi2 、MoSi2 、MnS2 、NbSi2 、TiSi2 、VSi2 と金属元素よりもSiリッチな組成が残ることになる。

0019

上記のSiと遷移元素との組合せで唯一Cuが金属リッチな化合物(SiCu3 )としてSi相と平衡する。このCuリッチな化合物(SiCu3 )の抵抗値を調べると、SiCu3 :16.3×10-4Ω・m、同様に、FeSi2 :1000×10-4Ω・m、NiSi2 :50×10-4Ω・m、CoSi2 :18×10-4Ω・mとSiCu3 が他のシリサイド化合物に比べて抵抗値の低いことが分かる。

0020

SiCu3 の抵抗値が最も低かった要因は二つあり、一つ目はSiCu3 が他のシリサイド化合物に比べて金属リッチな組成であることである。二つ目として、原料遷移金属元素に注目すると、Cu:1.73×10-4Ω・m、Fe:10×10-4Ω・m、Ni:11.8×10-4Ω・m、Co:9.71×10-4Ω・m、と単体Cuは他の遷移金属元素と比較しても極めて抵抗値が低く、Siと最も抵抗値が低くなる遷移金属の組合せであったことである。

0021

上述のことからも分かるように、遷移金属シリサイド化合物の中で最も低い抵抗値をとるSiと遷移金属元素の組合せはSiとCuである。これは遷移金属シリサイド化合物の原料である単体Cuが他の単体遷移金属元素と比較しても極めて抵抗値が低く、かつSi相とSiとの遷移金属元素の組合せでは決して得られないSiとCu元素との金属リッチな化合物相(SixCuy(x<y))、例えば、SiCu3 相の形成が可能であることからである。このように最も抵抗値が低いことから、SiCu3 は上記したSiリッチな金属間化合物(FeSi2 、NiSi2 、CoSi3 、CrSi2 、WSi2 、MoSi2 、MnSi2 、NbSi2 、TiSi2 、VSi2 )よりも高い電気伝導性を示すことが分かる。

0022

上記のことより、Siとの遷移金属元素との組合せで唯一CuだけがSi相と金属リッチな化合物(SiCu3 )相を共晶反応により析出することが分かり、かつこのSiCu3 はSi−Cu二元系状態図からSiリッチな組成(例えば、Si:64原子%−Cu:36原子%)においてはSi相をSiCu3 相が取り囲む組織になっていることも分かっている。このことによりSiと他の遷移金属元素との組合せをはるかに上回る電気伝導性を持つSiCu3 相をSi相の回りに析出させることで、SiCu3 相がSiの乏しい電気伝導性を補う役割を果してくれる。

0023

さらに、SiCu3 相はリチウムと合金化しないことにより、SiCu3 相自身は充電(負極にリチウムが入る)−放電(負極からリチウムが出ていく)が繰り返されても体積膨張・収縮はせず、Siの大きな体積膨張・収縮の変化による応力を緩和する相とも成り得るが、Si膨張時の応力を十分に緩和するには、x<yを満足するSixCuy相、あるいは、SiCu3 の硬さを十分に低減する必要があり、特に800HV以下とすることが、充放電サイクル寿命の改善に極めて有効である。

0024

x<yを満足するSixCuy相、あるいはSiCu3 相からなる金属間化合物相の硬さは、(1)Si−Cu合金粉末製造時の冷却速度等の熱履歴、(2)メカニカルミリングなどの粉砕を適用する場合には、その時の圧力、回転数、時間、温度、粉末粒径等のミリング条件、あるいは、粉末結晶格子の歪み、(3)ミリング後に熱処理等を行う場合には、その熱履歴、さらには、(4)原料粉末に含まれる不純物量などが影響し、同じ成分の粉体試料であっても、異なる金属間化合物相の硬さが得られるが、充放電時のサイクル寿命を改善するには、いずれの場合においても、電極作製に使用する粉体の、x<yを満足するSixCuy相、あるいはSiCu3 相からなる金属間化合物相の平均硬さを800HV以下とすることが必要である。800HVを超える場合、サイクル寿命の十分な改善が得られない。また好ましくは700HV以下とすることが望ましい。

0025

また、Si相とSiとCuとの金属間化合物であるSixCuy合金からなるSixCuy相の複合相からなる粉体に、C,Sn,Al,Sb,Zn,Bi,Cd,Pb,Ag,Ge,P,S,O,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ga,Y,Zr,Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,In,La,Ce,B,Nからなる群から選ばれた1種または2種以上の元素を合計で30at.%以下含むことができる。

0026

それらの元素は、単体、合金、酸化物等として含まれるがその限りではない。例えば、Sn2 Fe,Sn2 Co,Sn2 Mn,Sn2 V,Sn2 Ti,Sn5 Cu6 ,Sn3 V2 ,Sn12Ag13,SnSb0.4 ,Sb3 Coといった合金やSiO,SnO,GeO,PbO,ZnO,BiO,CdO,AgO,SnO2 ,Sn2 P2 O7 ,SnPBO6 ,SnPO4 Clといった酸化物を含むことができる。

0027

これは、導電性の向上、緩衝相としての役割、硬さの制御、耐食性の改善などを狙う場合であり、また、不可避的に含まれる場合もある。また、本発明のSi−Cu系負極用合金粉末は、グラファイト、または、金属、または、合金等からなる他の活性質の内の1種または2種以上と混合して使用することも可能である。例えば、グラファイトを混合することで、導電性に優れ、かつ、グラファイトがSi−Cu系合金の周囲を取り囲み、体積膨張を緩和したり、グラファイト混合により、Si−Cu系合金粉末量が減り、Si−Cu系合金粉末が疎に分散することによる体積膨張緩和とグラファイトによる導電性の補助の効果が電極性能に期待できる。

0028

図2は、Si−Cu合金粉末の断面SEM画像を示す。この図に示すように、黒色の部分が埋め込み樹脂1、灰色の部分がSi相2、白色の部分がSiCu3 相3である。特に中央のSi−Cu粒子に注目すると、粒子内部のA部分では灰色のSi相2が白色のSiCu3 相に取り囲まれた状態になっている。しかし、粒子表面部分のB部分では灰色のSi相2が粒子表面に剥ぎ出しになっている様子がわかる。このように、Si相の少なくとも1部がSixCuy相で取り囲んでいることにある。

0029

以下、本発明について実施例により具体的に説明する。
表1または表2に示すように、No.1〜30は本発明例であり、No.31〜43は比較例を示す。なお、本発明例No.1〜3、12、18、23〜24の試料作製方法においては、Si−Cu系の所定組成の原料をジルコニアポット容器内ジルコニアボールとともにAr雰囲気中にて密閉し、メカニカルアロイング処理により粉末化し粉末を得た。その後、熱処理を行うことにより、メカニカルアロイングや粉砕工程での結晶格子の歪みを緩和し、試料製造を行った。

0030

本発明例No.4〜6、19〜20、25〜26の試料作製方法においては、Si−Cu系の所定組成の原料を底部に細孔を設けた石英管内に入れ、Ar雰囲気中で高周波溶解して溶湯を形成し、この溶湯を回転する銅ロール表面に出湯後、銅ロールにより急冷効果により急冷リボンを作製した。その後、作製リボンをジルコニアポット容器内にジルコニアボールとともにAr雰囲気中にて密閉し、メカニカルミリング粉砕処理により粉末化し粉末を得た。さらに、熱処理を行うことにより、液体急冷時の冷却速度による熱履歴、メカニカルアロイングや粉砕工程での結晶格子の歪みを緩和し、試料製造を行った。

0031

本発明例No.7〜9、13〜17、21〜22、27〜28の試料作製方法においては、Si−Cu系の所定組成の原料を底部に細孔を設けた石英坩堝内に入れ、Arガス雰囲気中で高周波誘導溶解炉により加熱溶融後、Arガス雰囲気中、ガス噴射させるとともに出湯させ、急冷凝固することで目的とするガスアトマイズ微粉末を得た。

0032

本発明例No.10〜11、29〜30の試料作製方法においては、Si−Cu系の所定組成の原料を底部に細孔を設けた石英坩堝内に入れ、Arガス雰囲気中で高周波誘導溶解炉により加熱溶融後、Arガス雰囲気中、回転ディスク上(40000〜60000r.p.m.)に出湯させ、急冷凝固することで目的とするディスクアトマイズ微粉末を得た。

0033

比較例No.31〜37の試料作製方法においては、Si−Cu系、および他の成分系について、メカニカルアロイング処理(No.31、35〜37)や液体急冷+粉砕(No.32)、ガスアトマイズ+粉砕(No.33)、ディスクアトマイズ+粉砕(No.34)を適用し、メカニカルアロイングや粉砕工程で生じた結晶格子の歪みの緩和を目的とする熱処理工程を行っていない。

0034

比較例No.38〜39の試料作製方法においては、本発明例にも用いた、ガスアトマイズを適用したが、Si相とSiとCuとの金属間化合物であるSixCuy合金からなるSixCuy相の複合相からなる粉体に、Sb(No.38)あるいはSn,Cr(No.39)の元素が合計で30at.%以上含んでいる。

0035

比較例No.40〜43の試料作製方法においては、本発明例にも用いた、メカニカルアロイング処理+熱処理(No.40)、液体急冷+粉砕+熱処理(No.41)、ガスアトマイズ(No.42)、ディスクアトマイズ(No.43)を適用したが、導電性に優れるSi−Cu系の本発明例とは、異なる導電性に劣る成分系のものである。

0036

本発明例No.1〜30に関しては、主な生成組成がSi相と金属間化合物相のSiCu3相からなり、金属間化合物の平均硬さも800HV以下である。得られた負極材料の性能を評価するため、表1に示す材料粉末を用いて負極を作製した。同様の上記負極の単極での電極性能を評価するために、対極リチウム金属を用いた、いわゆる二極式コイン型セルを用いた。

0037

まず、負極活物質(Si−Cuなど)・導電材アセチレンブラック)・結着材ポリフッ化ビニリデン)を電子天秤量し、分散液(N−メチルピロリドン)と共に混合スラリー状態とした後、集電体Cu箔)上に均一に塗布した。塗布後、真空乾燥機減圧乾燥溶媒蒸発させた後、コインセルにあった形状に打ち抜いた。対極のリチウムも同様に金属リチウム箔をコインセルにあった形状に打ち抜いた。

0038

リチウムイオン電池に使用する電解液エチレンカーボネートジメチルカーボネートの3:7混合溶媒を用い、支持電解質にはLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を用い、電解液に対して1モル溶解した)は露点管理された不活性雰囲気中で取り扱う必要があるため、セル組立ては全て不活性雰囲気のグローブボックス内で行った。セパレータはコインセルにあった形状に切り抜いた後、セパレータ内に電解液を十分浸透させるために、減圧下で数時間電解液中に保持した。その後、前工程で打ち抜いた負極・セパレータ・対極リチウムの順に組合せ、電池内部を電解液で十分満たした形で構築した。

0039

充電容量、放電容量の測定として、上記二極式セルを用い、温度25℃、充電は0.50mA/cm2 の電流密度で、金属リチウム極と同等の電位(0V)になるまで行い、同じ電流値(0.50mA/cm2 )で放電を1.5Vまで行い、この充電−放電を1サイクルとした。このときの1サイクル目の充電容量を初期容量値として評価した。また、サイクル寿命として、(各サイクルにおける放電容量/上記1サイクル目の放電容量)×100=放電容量維持率(%)とし、20サイクル後の放電容量維持率を求め、サイクル寿命を評価した。

0040

0041

上記サイクル寿命試験に関する結果についても表1または表2に示す。No.1〜30は本発明例であり、No.31〜43は比較例を示す。

0042

本発明例No.1〜30はSi相とSixCuy合金からなるSixCuy相の複合相であり、かつ、SixCuy相の組成がx<yである金属間化合物相の平均硬さが800HV以下であり、本発明の条件を満たす。また、x<yである金属間化合物相SixCuy相による導電性改善により20サイクル後の放電容量維持率は80%以上を示した。

0043

比較例No.31〜34は本発明例と同じSi−Cu系であっても上記で述べたように、合金粉末製造時の条件の違いにより、x<yを満足するSixCuy相、あるいはSiCu3相からなる金属間化合物相であってもその平均硬さは800HVを超えるため、本発明の条件を満たさない。また、x<yである金属間化合物相SixCuy相により導電性は改善されたが、金属間化合物相の平均硬さが800HVを超えるため、20サイクル後の放電容量維持率は80%を下回った。

0044

比較例No.35〜37は、Si相とSixCuy合金からなるSixCuy相の複合相でないため、本発明の条件を満たさない。また、x>yである金属間化合物相SixMy相(M=Ni、Fe、Cr)により導電性が劣り、かつ、金属間化合物相の平均硬さが800HVを超えるため、20サイクル後の放電容量維持率は80%を下回った。

0045

比較例No.38〜39は本発明例と同じSi−Cu系であってもNi(No.38)あるいはFe,Cr(No.39)の元素が合計で30at.%以上含んでいるため、x<yを満足するSixCuy相、あるいはSiCu3 相からなる金属間化合物相であってもその平均硬さは800HVを超えるため、本発明の条件を満たさない。また、x<yである金属間化合物相SixCuy相により導電性は改善されたが金属間化合物相の平均硬さが800HVを超えるため、20サイクル後の放電容量維持率は80%を下回った。

0046

比較例No.40〜43は、Si相とSixCuy合金からなるSixCuy相の複合相でないため、本発明の条件を満たさない。また、金属間化合物相の平均硬さが800HV以下であるが、x>yである金属間化合物相SixMy相(M=Mo、Nb、Ti、V)により導電性が劣るため、20サイクル後の放電容量維持率は80%を下回った。

0047

以上のように、組成がx<yであるSixCuy金属間化合物、またはSiCu3が優れた電気伝導性を有することと、それらの金属間化合物相の平均硬さを800HV以下に制御し、Siの体積膨張・収縮の応力を緩和する相となることによる、これら相乗効果でサイクル寿命が向上する極めて優れた効果を奏するものである。

図面の簡単な説明

0048

Si−Cu二元系の状態図を示す図である。
Si−Cu合金粉末の断面SEM画像を示す図である。

0049

1 埋め込み樹脂
2Si相
3 SiCu3 相



特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人弁理士名 彊

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