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技術 医療用ナイフ

出願人 株式会社貝印刃物開発センター
発明者 森誠飴本秀敏長谷部和幸
出願日 2011年4月28日 (9年7ヶ月経過) 出願番号 2011-100960
公開日 2012年11月29日 (8年0ヶ月経過) 公開番号 2012-231842
状態 特許登録済
技術分野 眼耳の治療、感覚置換 手術用機器
主要キーワード スリットナイフ 線分部分 上向き力 回動モーメント 幅方向間隔 境界縁 第一刃 外向き力
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

解決手段

刃部6の裏部8の両刃面10は刃先縁11に対する対辺13の間隔が先端部側から基端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成され、刃部6の表部7の両刃面9は刃先縁11の先端部から基端部にわたる全体で刃先縁11に対する対辺12の間隔が同一になるように形成されている。

効果

結膜強角膜一面切開法の場合、手術者が刃部6を輪部の付近から結膜と強膜角膜とを経て前房へ略S字状の移動軌跡で押し進める際に、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きの回動モーメントが生じ易くなり、強膜から角膜に進入する向きの移動軌跡を経て前房内に穿孔する向きの移動軌跡へ刃部6を押し進め易い。自己閉鎖性に優れた略S字状の切開創を容易に形成し得る。刃部6は前房内に進入する際に下向きに平行移動することのない向きの移動軌跡で直線的に進入するので、切開創の内方切開線山形になりにくい。

概要

背景

従来の白内障手術においては、角膜切開法や強角膜切開法が周知になっている。この角膜切開法では、スリットナイフまたはクリアコーニアナイフなどの一本のナイフにより角膜切開創を形成して前房内に穿孔する。この強角膜切開法では、結膜切開した後にストレートナイフにより強膜を半層切開し、そこからクレセントナイフにより角膜まで切開創を延ばし、最後にスリットナイフにより前房内に穿孔する。現今、角膜切開法や強角膜切開法の利点を有する新しい切開法として、経結膜・強角膜一面切開法が知られている。この経結膜・強角膜一面切開法においては、例えば、図4(a)(b)に示すように、輪部31から外側へ約0.5mmの位置例えば眉毛側へ約0.5mmの位置でナイフを結膜32に刺入してそのまま強膜33内に切り込んで角膜34内に進入させた後に、ナイフにより前房35内に穿孔する。眉毛側でナイフを結膜32に刺入すれば、手術後に切開創が上瞼により覆われて保護されるため、感染症による眼内炎を起こしにくくなる。ナイフが角膜34の実質層に到達するまでは、ナイフを角膜34のカーブに沿って切り上げて上向き(外向き)に進める感覚で行う。ナイフにより前房35内に穿孔する際には、ナイフをやや下方(内方)に向けて虹彩36と平行あるいはやや上方(外方)に向けて進める感覚で行うと、切開創37の内方切開線37aが略一直線になり易い。次に、切開創37の創口37b(外方切開線)の両側端縁で結膜32を角膜34に向かうように切り上げ、灌流液を創口37b(外方切開線)のサイドに逃がして灌流液の結膜32下への侵入による結膜浮腫を防ぐ。従って、ナイフは、図4(a)で示す眼球の断面において、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aと、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bと、前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cとにより、順次進入向きを変更しながら略S字状の移動軌跡38に沿って移動する。これらの切開法の長所及び短所を図4(e)に示す。特に、強角膜切開法や経結膜・強角膜一面切開法では、切開創37の経路略クランク状や略S字状に形成されるため、切開創37が縫合されることなく自身で閉鎖し得る自己閉鎖性に優れている。

従来、このような経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う際に利用される医療用ナイフとしては、例えば、ベベルアップタイプのスリットナイフや、下記の特許文献1の図面中特に図1に示すように、先端部側刃部を有する刃板基端部側に対し柄を設けて、この柄に設けた把持部の延設方向と刃板の延設方向とを互いに交差させたものが使用されている。下記の特許文献1の図面中特に図2及び図5に示すように、この刃板の刃部は、刃板の厚み方向の上下両側のうち、柄の把持部の延設向き側である上側に形成した表部と、柄の把持部の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部とを有している。この刃部の表部及び裏部でこの厚み方向に交差する刃板の幅方向両側には、それぞれ、刃板の幅方向中央部側から幅方向両外縁部側へ互いに厚み方向間隔を狭めるように傾斜する刃面を形成するとともに、この表部の刃面と裏部の刃面とが互いに交差する外縁部で刃部の先端部から基端部側へ延びる刃先縁を形成している。

一般的に、下記の特許文献1にかかる医療用ナイフや同種の医療用ナイフを使用して、前述した経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行うと、図4(a)に示すようにナイフによりR矢印向きの移動軌跡38cで前房35内に穿孔する際にナイフの進入向きの力に対する反力が刃部に付与された場合、刃部の表部と刃部の裏部とにはその表部及び裏部の形状に応じて刃部を押し上げ上向き力押し下げる下向き力とが働く。その上向き力と下向き力とのバランスに応じて刃部が上向きまたは下向きに平行移動しながら前房35内に進入する。刃部が下向きに平行移動すると、幅方向両刃先縁が互いに交差する尖端部により、図4(c)に示すように内方切開線37cが凸状の山形になり易い。刃部が上向きに平行移動すると、図4(d)に示すように内方切開線37dが凹状の山形になり易い。いずれの場合にも、内方切開線37c,37dが互いにずれ易くなるため、前記自己閉鎖性を損なうおそれがある。

概要

刃部6の裏部8の両刃面10は刃先縁11に対する対辺13の間隔が先端部側から基端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成され、刃部6の表部7の両刃面9は刃先縁11の先端部から基端部にわたる全体で刃先縁11に対する対辺12の間隔が同一になるように形成されている。経結膜・強角膜一面切開法の場合、手術者が刃部6を輪部の付近から結膜と強膜と角膜とを経て前房へ略S字状の移動軌跡で押し進める際に、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きの回動モーメントが生じ易くなり、強膜から角膜に進入する向きの移動軌跡を経て前房内に穿孔する向きの移動軌跡へ刃部6を押し進め易い。自己閉鎖性に優れた略S字状の切開創を容易に形成し得る。刃部6は前房内に進入する際に下向きに平行移動することのない向きの移動軌跡で直線的に進入するので、切開創の内方切開線が山形になりにくい。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

先端部側刃部を有する刃板基端部側に対し柄を設けて、この柄に設けた把持部の延設方向と刃板の延設方向とを互いに交差させ、この刃板の刃部は、刃板の厚み方向の上下両側のうち、柄の把持部の延設向き側である上側に形成した表部と、柄の把持部の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部とを有し、この刃部の表部及び裏部でこの厚み方向に交差する刃板の幅方向両側には、それぞれ、刃板の幅方向中央部側から幅方向両外縁部側へ互いに厚み方向間隔を狭めるように傾斜する刃面を形成するとともに、この表部の刃面と裏部の刃面とが互いに交差する外縁部で刃部の先端部から基端部側へ延びる刃先縁を形成した医療用ナイフにおいて、前記刃部における表部の幅方向両刃面と裏部の幅方向両刃面とのうち、裏部の幅方向両刃面は、刃先縁に対する対辺の間隔が先端部側と基端部側とのうち一方の側から他方の側へ向かうに従い次第に広がるように形成され、表部の幅方向両刃面は、刃先縁の先端部から基端部にわたる刃先縁の全体のうち先端部側刃先縁に対する対辺の間隔と基端部側刃先縁に対する対辺の間隔とが同一になるように形成されていることを特徴とする医療用ナイフ。

請求項2

先端部側に刃部を有する刃板の基端部側に対し柄を設けて、この柄に設けた把持部の延設方向と刃板の延設方向とを互いに交差させ、この刃板の刃部は、刃板の厚み方向の上下両側のうち、柄の把持部の延設向き側である上側に形成した表部と、柄の把持部の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部とを有し、この刃部の表部及び裏部でこの厚み方向に交差する刃板の幅方向両側には、それぞれ、刃板の幅方向中央部側から幅方向両外縁部側へ互いに厚み方向間隔を狭めるように傾斜する刃面を形成するとともに、この表部の刃面と裏部の刃面とが互いに交差する外縁部で刃部の先端部から基端部側へ延びる刃先縁を形成した医療用ナイフにおいて、前記刃部における表部の幅方向両刃面と裏部の幅方向両刃面とのうち、裏部の幅方向両刃面は、刃先縁に対する対辺の間隔が先端部側と基端部側とのうち一方の側から他方の側へ向かうに従い次第に広がる広がり向きで形成され、表部の幅方向両刃面は、刃先縁に対する対辺の間隔が、裏部の幅方向両刃面の間隔の広がり向きとは逆の広がり向きで、先端部側と基端部側とのうち一方の側から他方の側へ向かうに従い次第に狭まるように形成されていることを特徴とする医療用ナイフ。

請求項3

先端部側に刃部を有する刃板の基端部側に対し柄を設けて、この柄に設けた把持部の延設方向と刃板の延設方向とを互いに交差させ、この刃板の刃部は、刃板の厚み方向の上下両側のうち、柄の把持部の延設向き側である上側に形成した表部と、柄の把持部の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部とを有し、この刃部の表部及び裏部でこの厚み方向に交差する刃板の幅方向両側には、それぞれ、刃板の幅方向中央部側から幅方向両外縁部側へ互いに厚み方向間隔を狭めるように傾斜する刃面を形成するとともに、この表部の刃面と裏部の刃面とが互いに交差する外縁部で刃部の先端部から基端部側へ延びる刃先縁を形成した医療用ナイフにおいて、前記刃部における表部の幅方向両刃面と裏部の幅方向両刃面とのうち、裏部の幅方向両刃面は、刃先縁の先端部から基端部にわたる刃先縁の全体のうち先端部側刃先縁に対する対辺の間隔と基端部側刃先縁に対する対辺の間隔とが同一になるように形成され、表部の幅方向両刃面は、刃先縁に対する対辺の間隔が基端部側から先端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成されていることを特徴とする医療用ナイフ。

請求項4

表部の幅方向両刃面は、刃先縁の先端部から基端部にわたる刃先縁の全体で刃先縁に対する対辺の間隔が同一になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用ナイフ。

請求項5

裏部の幅方向両刃面は、刃先縁の先端部から基端部にわたる刃先縁の全体で刃先縁に対する対辺の間隔が同一になるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の医療用ナイフ。

請求項6

前記刃部の表部と裏部とにおいて、それぞれ、幅方向両刃面の刃先縁が互いに交差する尖端部と幅方向両刃面の対辺が互いに交差する頂端部との間には幅方向両刃面間の境界縁を形成するとともに、その幅方向両刃面の対辺間に中間面を形成したことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項に記載の医療用ナイフ。

請求項7

前記刃板において、刃部の幅方向両刃先縁は尖端部から終端部まで延設され、その幅方向両刃先縁の終端部間で最大の幅方向間隔をなし、その幅方向両刃先縁の終端部間を互いに結ぶ線分上またはその線分よりも基端部側または先端部側で目印を付し、その目印と尖端部との間の距離とその幅方向両刃先縁の終端部間の幅方向間隔とを同一に設定したことを特徴とする請求項6に記載の医療用ナイフ。

請求項8

先端部側に刃部を有する刃板の基端部側に対し柄を設けて、この柄に設けた把持部の延設方向と刃板の延設方向とを互いに交差させ、この刃板の刃部は、刃板の厚み方向の上下両側のうち、柄の把持部の延設向き側である上側に形成した表部と、柄の把持部の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部とを有し、この刃部の表部及び裏部でこの厚み方向に交差する刃板の幅方向両側には、それぞれ、刃板の幅方向中央部側から幅方向両外縁部側へ互いに厚み方向間隔を狭めるように傾斜する刃面を形成するとともに、この表部の刃面と裏部の刃面とが互いに交差する外縁部で刃部の先端部から基端部側へ延びる刃先縁を形成した医療用ナイフにおいて、前記刃板にあって、刃部の幅方向両刃先縁は尖端部から終端部まで延設され、その幅方向両刃先縁の終端部間で最大の幅方向間隔をなし、その幅方向両刃先縁の終端部間を互いに結ぶ線分上またはその線分よりも基端部側または先端部側で目印を付し、その目印と尖端部との間の距離とその幅方向両刃先縁の終端部間の幅方向間隔とを同一に設定したことを特徴とする医療用ナイフ。

請求項9

先端部側に刃部を有する刃板の基端部側に対し柄を設けて、この柄に設けた把持部の延設方向と刃板の延設方向とを互いに交差させ、この刃板の刃部は、刃板の厚み方向の上下両側のうち、柄の把持部の延設向き側である上側に形成した表部と、柄の把持部の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部とを有し、この刃部の表部及び裏部でこの厚み方向に交差する刃板の幅方向両側には、それぞれ、刃板の幅方向中央部側から幅方向両外縁部側へ互いに厚み方向間隔を狭めるように傾斜する刃面を形成するとともに、この表部の刃面と裏部の刃面とが互いに交差する外縁部で刃部の先端部から基端部側へ延びる刃先縁を形成した医療用ナイフにおいて、前記柄に対し前記刃板は刃部の表部側に屈曲され、刃部の先端部側から基端部側にわたる刃板の長さは、刃板の厚みの10倍以上50倍以下に設定されていることを特徴とする医療用ナイフ。

請求項10

先端部側に刃部を有する刃板の基端部側に対し柄を設けて、この柄に設けた把持部の延設方向と刃板の延設方向とを互いに交差させ、この刃板の刃部は、刃板の厚み方向の上下両側のうち、柄の把持部の延設向き側である上側に形成した表部と、柄の把持部の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部とを有し、この刃部の表部及び裏部でこの厚み方向に交差する刃板の幅方向両側には、それぞれ、刃板の幅方向中央部側から幅方向両外縁部側へ互いに厚み方向間隔を狭めるように傾斜する刃面を形成するとともに、この表部の刃面と裏部の刃面とが互いに交差する外縁部で刃部の先端部から基端部側へ延びる刃先縁を形成した医療用ナイフにおいて、前記刃部にあって幅方向の両刃先縁間の開き角度は60度以上120度以下に設定されていることを特徴とする医療用ナイフ。

技術分野

0001

本発明は、白内障手術などにおいて眼球などの生体組織切開する各種手術用切断具として利用される医療用ナイフに関するものである。

背景技術

0002

従来の白内障手術においては、角膜切開法や強角膜切開法が周知になっている。この角膜切開法では、スリットナイフまたはクリアコーニアナイフなどの一本のナイフにより角膜切開創を形成して前房内に穿孔する。この強角膜切開法では、結膜を切開した後にストレートナイフにより強膜を半層切開し、そこからクレセントナイフにより角膜まで切開創を延ばし、最後にスリットナイフにより前房内に穿孔する。現今、角膜切開法や強角膜切開法の利点を有する新しい切開法として、経結膜・強角膜一面切開法が知られている。この経結膜・強角膜一面切開法においては、例えば、図4(a)(b)に示すように、輪部31から外側へ約0.5mmの位置例えば眉毛側へ約0.5mmの位置でナイフを結膜32に刺入してそのまま強膜33内に切り込んで角膜34内に進入させた後に、ナイフにより前房35内に穿孔する。眉毛側でナイフを結膜32に刺入すれば、手術後に切開創が上瞼により覆われて保護されるため、感染症による眼内炎を起こしにくくなる。ナイフが角膜34の実質層に到達するまでは、ナイフを角膜34のカーブに沿って切り上げて上向き(外向き)に進める感覚で行う。ナイフにより前房35内に穿孔する際には、ナイフをやや下方(内方)に向けて虹彩36と平行あるいはやや上方(外方)に向けて進める感覚で行うと、切開創37の内方切開線37aが略一直線になり易い。次に、切開創37の創口37b(外方切開線)の両側端縁で結膜32を角膜34に向かうように切り上げ、灌流液を創口37b(外方切開線)のサイドに逃がして灌流液の結膜32下への侵入による結膜浮腫を防ぐ。従って、ナイフは、図4(a)で示す眼球の断面において、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aと、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bと、前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cとにより、順次進入向きを変更しながら略S字状の移動軌跡38に沿って移動する。これらの切開法の長所及び短所を図4(e)に示す。特に、強角膜切開法や経結膜・強角膜一面切開法では、切開創37の経路略クランク状や略S字状に形成されるため、切開創37が縫合されることなく自身で閉鎖し得る自己閉鎖性に優れている。

0003

従来、このような経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う際に利用される医療用ナイフとしては、例えば、ベベルアップタイプのスリットナイフや、下記の特許文献1の図面中特に図1に示すように、先端部側刃部を有する刃板基端部側に対し柄を設けて、この柄に設けた把持部の延設方向と刃板の延設方向とを互いに交差させたものが使用されている。下記の特許文献1の図面中特に図2及び図5に示すように、この刃板の刃部は、刃板の厚み方向の上下両側のうち、柄の把持部の延設向き側である上側に形成した表部と、柄の把持部の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部とを有している。この刃部の表部及び裏部でこの厚み方向に交差する刃板の幅方向両側には、それぞれ、刃板の幅方向中央部側から幅方向両外縁部側へ互いに厚み方向間隔を狭めるように傾斜する刃面を形成するとともに、この表部の刃面と裏部の刃面とが互いに交差する外縁部で刃部の先端部から基端部側へ延びる刃先縁を形成している。

0004

一般的に、下記の特許文献1にかかる医療用ナイフや同種の医療用ナイフを使用して、前述した経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行うと、図4(a)に示すようにナイフによりR矢印向きの移動軌跡38cで前房35内に穿孔する際にナイフの進入向きの力に対する反力が刃部に付与された場合、刃部の表部と刃部の裏部とにはその表部及び裏部の形状に応じて刃部を押し上げ上向き力押し下げる下向き力とが働く。その上向き力と下向き力とのバランスに応じて刃部が上向きまたは下向きに平行移動しながら前房35内に進入する。刃部が下向きに平行移動すると、幅方向両刃先縁が互いに交差する尖端部により、図4(c)に示すように内方切開線37cが凸状の山形になり易い。刃部が上向きに平行移動すると、図4(d)に示すように内方切開線37dが凹状の山形になり易い。いずれの場合にも、内方切開線37c,37dが互いにずれ易くなるため、前記自己閉鎖性を損なうおそれがある。

先行技術

0005

特許第4226429号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記の特許文献1の図面中特に図2及び図5に示すように、表部の幅方向両刃面は、いずれも、刃先縁に対する対辺の間隔が先端部側から基端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成されている。特許文献1の図面中図2に示すように、裏部の幅方向両刃面は、刃先縁の先端部から基端部にわたる刃先縁の全体で刃先縁に対する対辺の間隔が同一になるように形成されている。特許文献1の図面中図5に示すように、裏部の幅方向両刃面も、表部の幅方向両刃面と同様に、刃先縁に対する対辺の間隔が先端部側から基端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成されている。

0007

特許文献1の図面中図2に示す医療用ナイフにおいては、刃部の表部で幅方向両刃面の面積が先端部側よりも基端部側で大きくなっているため、前述したように刃部を押し下げる下向き力が表部に付与される際に、表部の基端部側に付与される下向き力が表部の先端部側に付与される下向き力よりも大きくなり、それらの下向き力の差により刃部の基端部側を押し下げるとともに刃部の先端部側を押し上げる向きの回動モーメントが生じ易い。なお、刃部の裏部で幅方向両刃面の面積が先端部側から基端部側にわたり同一になっているため、刃部を押し上げる上向き力の差による回動モーメントは生じにくい。従って、図4(a)に示すように、前述した略S字状の移動軌跡38のうち、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bを経て前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cに移る際には、それらの移動軌跡38の変更に寄与しにくい。

0008

一方、特許文献1の図面中図5に示す医療用ナイフにおいては、刃部の表部で幅方向両刃面の面積が先端部側よりも基端部側で大きくなっているため、前述したように刃部を押し下げる下向き力が表部に付与される際に、表部の基端部側に付与される下向き力が表部の先端部側に付与される下向き力よりも大きくなり、それらの下向き力の差により刃部の基端部側を押し下げるとともに刃部の先端部側を押し上げる向きの回動モーメントが生じ易い。また、刃部の裏部で幅方向両刃面の面積が先端部側よりも基端部側で大きくなっているため、前述したように刃部を押し上げる上向き力が裏部に付与される際に、裏部の基端部側に付与される上向き力が裏部の先端部側に付与される上向き力よりも大きくなり、それらの上向き力の差により刃部の基端部側を押し上げるとともに刃部の先端部側を押し下げる向きの回動モーメントが生じ易い。従って、それらの回動モーメントが相殺して、刃部には回動モーメントが生じにくくなり、前述した略S字状の移動軌跡38において前述した各移動軌跡38a,38b,38c間の変更に寄与しにくい。

0009

この発明は、医療用ナイフの刃部の形態を改良して、例えば経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、自己閉鎖性に優れた略S字状の切開創を容易に形成することを目的としている。

課題を解決するための手段

0010

後記実施形態(図1〜4に示す第1実施形態、図5〜6に示す第2実施形態、図7〜8に示す第3実施形態、図9〜10に示す第4実施形態、図11〜12に示す第5実施形態)の図面の符号を援用して本発明を説明する。

0011

請求項1〜3の発明にかかる医療用ナイフは、下記の共通構成を有している。
先端部側に刃部6を有する刃板4の基端部側に対し柄1を設けている。この柄1に設けた把持部2の延設方向X1と刃板4の延設方向X4とを互いに交差させ、この刃板4の刃部6は、刃板4の厚み方向Zの上下両側のうち、柄1の把持部2の延設向き側である上側に形成した表部7と、柄1の把持部2の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部8とを有している。この刃部6の表部7及び裏部8でこの厚み方向Zに交差する刃板4の幅方向Yの両側には、それぞれ、刃板4の幅方向Yの中央部側から幅方向Yの両外縁部側へ互いに厚み方向Zの間隔を狭めるように傾斜する刃面9,10を形成するとともに、この表部7の刃面9と裏部8の刃面10とが互いに交差する外縁部で刃部6の先端部から基端部側へ延びる刃先縁11を形成している。

0012

さらに、請求項1の発明では、前記刃部6における表部7の幅方向Yの両刃面9と裏部8の幅方向Yの両刃面10とのうち、裏部8の幅方向Yの両刃面10は、刃先縁11に対する対辺13の間隔G10が先端部側と基端部側とのうち、一方の側から他方の側へ向かうに従い次第に広がるように形成されている。すなわち、裏部8の幅方向Yの両刃面10は、第1実施形態に示すように先端部側から基端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成され、または、第2実施形態に示すように基端部側から先端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成されている。表部7の幅方向Yの両刃面9は、刃先縁11の先端部から基端部にわたる刃先縁11の全体のうち先端部側の刃先縁11に対する対辺12の間隔G9と基端部側の刃先縁11に対する対辺12の間隔G9とが同一になるように形成されている。ここに同一とは近似同一も含む。

0013

さらに、請求項2の発明では、前記刃部6における表部7の幅方向Yの両刃面9と裏部8の幅方向Yの両刃面10とのうち、裏部8の幅方向Yの両刃面10は、刃先縁11に対する対辺13の間隔G10が先端部側と基端部側とのうち、一方の側から他方の側へ向かう広がり向きで次第に広がるように形成されている。表部7の幅方向Yの両刃面9は、刃先縁11に対する対辺12の間隔G9が、裏部8の幅方向Yの両刃面10の間隔G10の広がり向きとは逆の広がり向きで、先端部側と基端部側とのうち、一方の側から他方の側へ向かうに従い次第に狭まるように形成されている。すなわち、第3実施形態に示すように、裏部8の幅方向Yの両刃面10は先端部側から基端部側へ向かう広がり向きで次第に広がるように形成されているとともに、表部7の幅方向Yの両刃面9は基端部側から先端部側へ向かう広がり向きで次第に広がるように形成され、または、第4実施形態に示すように、裏部8の幅方向Yの両刃面10は基端部側から先端部側へ向かう広がり向きで次第に広がるように形成されているとともに、表部7の幅方向Yの両刃面9は先端部側から基端部側へ向かう広がり向きで次第に広がるように形成されている。

0014

さらに、第5実施形態に対応する請求項3の発明おいては、前記刃部6における表部7の幅方向Yの両刃面9と裏部8の幅方向Yの両刃面10とのうち、裏部8の幅方向Yの両刃面10は、刃先縁11の先端部から基端部にわたる刃先縁11の全体のうち先端部側の刃先縁11に対する対辺13の間隔G10と基端部側の刃先縁11に対する対辺13の間隔G10とが同一になるように形成されている。表部7の幅方向Yの両刃面9は、刃先縁11に対する対辺12の間隔G9が基端部側から先端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成されている。ここに同一とは近似同一も含む。

0015

請求項1の発明のうち第1実施形態に対応する発明と、請求項2の発明のうち第3実施形態に対応する発明と、第5実施形態に対応する請求項3の発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進める際に、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメントが生じ易くなり、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bを経て前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cへ刃部6を抵抗感の少ない自然な流れで押し進めることができ、自己閉鎖性に優れた略S字状の切開創37を容易に形成することができるとともに、切開創37の内方切開線37aが山形にならず一本の直線状に形成され易い。

0016

請求項1の発明のうち第2実施形態に対応する発明と、請求項2の発明のうち第4実施形態に対応する発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進める際に、刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントが生じ易くなり、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aを経て強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bへ刃部6を抵抗感の少ない自然な流れで押し進めることができ、自己閉鎖性に優れた略S字状の切開創37を容易に形成することができる。

0017

請求項1の発明を前提とする請求項4の発明(第1,2実施形態に対応)において、表部7の幅方向Yの両刃面9は、刃先縁11の先端部から基端部にわたる刃先縁11の全体で刃先縁11に対する対辺12の間隔G9が同一になるように形成されている。ここに同一とは近似同一も含む。請求項4の発明では、請求項1の発明のうち第1実施形態に対応する発明において、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメントが生じ易くなり、また、請求項1の発明のうち第2実施形態に対応する発明において、刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントが生じ易くなる。

0018

請求項3の発明を前提とする請求項5の発明(第5実施形態に対応)において、裏部8の幅方向Yの両刃面10は、刃先縁11の先端部から基端部にわたる刃先縁11の全体で刃先縁11に対する対辺13の間隔G10が同一になるように形成されている。ここに同一とは近似同一も含む。請求項5の発明では、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメントが生じ易くなる。

0019

請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項6の発明(第1〜5実施形態に対応)にかかる刃部6の表部7と裏部8とにおいて、それぞれ、幅方向Yの両刃面9,10の刃先縁11が互いに交差する尖端部14と幅方向Yの両刃面9,10の対辺12,13が互いに交差する頂端部15,16との間には幅方向Yの両刃面9,10間の境界縁17,18を形成するとともに、その幅方向Yの両刃面9,10の対辺12,13間に中間面19,20を形成している。請求項6の発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進め易くなる。

0020

請求項6の発明を前提とする請求項7の発明(第1〜5実施形態に対応)にかかる刃板4において、刃部6の幅方向Yの両刃先縁11は尖端部14から終端部21まで延設され、その幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間で最大の幅方向Yの間隔Wをなし、その幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間を互いに結ぶ線分上またはその線分よりも基端部側または先端部側で目印24を付し、その目印24と尖端部14との間の距離Mとその幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間の幅方向Yの間隔Wとを同一に設定している。ここに同一とは近似同一も含む。請求項7の発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進めて切開創37の外方切開線37bに目印24が到達した際に刃部6の尖端部14が前房35へ侵入し始め、さらに刃部6を押し進めると、内方切開線37aと外方切開線37bとの間で形成される切開創37の形状が正方形に近くなって、切開創37の自己閉鎖性を高めることができる。

0021

請求項8〜10の発明にかかる医療用ナイフは、下記の共通構成を有している。
先端部側に刃部6を有する刃板4の基端部側に対し柄1を設けている。この柄1に設けた把持部2の延設方向X1と刃板4の延設方向X4とを互いに交差させ、この刃板4の刃部6は、刃板4の厚み方向Zの上下両側のうち、柄1の把持部2の延設向き側である上側に形成した表部7と、柄1の把持部2の延設向きに対する反対向き側である下側に形成した裏部8とを有している。この刃部6の表部7及び裏部8でこの厚み方向Zに交差する刃板4の幅方向Yの両側には、それぞれ、刃板4の幅方向Yの中央部側から幅方向Yの両外縁部側へ互いに厚み方向Zの間隔を狭めるように傾斜する刃面9,10を形成するとともに、この表部7の刃面9と裏部8の刃面10とが互いに交差する外縁部で刃部6の先端部から基端部側へ延びる刃先縁11を形成している。

0022

さらに、請求項8の発明(第1〜5実施形態に対応)では、刃板4において、刃部6の幅方向Yの両刃先縁11は尖端部14から終端部21まで延設され、その幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間で最大の幅方向Yの間隔Wをなし、その幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間を互いに結ぶ線分上またはその線分よりも基端部側または先端部側で目印24を付し、その目印24と尖端部14との間の距離Mとその幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間の幅方向Yの間隔Wとを同一に設定している。ここに同一とは近似同一も含む。請求項8の発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進めて切開創37の外方切開線37bに目印24が到達した際に刃部6の尖端部14が前房35へ侵入し始め、さらに刃部6を押し進めると、内方切開線37aと外方切開線37bとの間で形成される切開創37の形状が正方形に近くなって、切開創37の自己閉鎖性を高めることができる。

0023

さらに、請求項9の発明(第1〜5実施形態に対応)では、前記柄1に対し前記刃板4は刃部6の表部7側に屈曲され、刃部6の先端部側から基端部側にわたる刃板4の長さLは、刃板4の厚みTの10倍以上50倍以下に設定されている。請求項9の発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進める際、刃板4の撓みを規制して操作性を向上させることができる。

0024

さらに、請求項10の発明(第1〜5実施形態に対応)では、前記刃部6において、幅方向Yの両刃先縁11間の開き角度θは、60度以上120度以下、好ましくは60度以上90度以下に設定されている。請求項10の発明では、幅方向Yの両刃先縁11間の開き角度θを鈍角化して、切開創37の内方切開線37aが山形にならず一本の直線状に形成され易い。

0025

次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項6または請求項7の発明を前提とする第11の発明(第1〜5実施形態に対応)においては、前記刃部6の表部7の中間面19と刃部6の裏部8の中間面20とは互いに平行に形成されている。第11の発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38に沿ってより少ない抵抗で押し進めることができる。

0026

請求項6または請求項7の発明、または第11の発明を前提とする第12の発明(第1〜5実施形態に対応)にかかる刃部6の表部7と裏部8とにおいて、それぞれ、幅方向Yの両刃面9,10間の境界縁17,18を通る厚み方向面に対し幅方向Yの両刃面9,10は対称形状に形成されている。第12の発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で幅方向Yのバランスを良くしながら押し進めることができる。

0027

第12の発明を前提とする第13の発明(第1〜5実施形態に対応)においては、前記刃部6の表部7の刃面9と刃部6の裏部8の刃面10とは互いに異なる形状になっている。第13の発明では、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメント、または、刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントを生じさせ易くなる。

0028

請求項6または請求項7の発明、または第11〜13の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第14の発明(第1〜5実施形態に対応)においては、幅方向Yの両刃先縁11を通る面に対し刃部6の表部7の刃面9がなす傾斜角度αと、幅方向Yの両刃先縁11を通る面に対し刃部6の裏部8の刃面10がなす傾斜角度βとのうち、一方を他方よりも大きく設定した。第14の発明では、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメント、または、刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントを生じさせ易くなる。

0029

第14の発明を前提とする第15の発明(第1〜5実施形態に対応)においては、前記刃部6の表部7の刃面9がなす傾斜角度αと、刃部6の裏部8の刃面10がなす傾斜角度βとのうち、一方は他方の半分以下に設定されている。第15の発明では、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメント、または、刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントをより一層生じさせ易くなる。

0030

請求項6または請求項7の発明、または第11〜15の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第16の発明(第1〜5実施形態に対応)において、前記柄1に対し前記刃板4は刃部6の表部7側に屈曲され、刃部6の先端部側から基端部側にわたる刃板4の長さLは、刃板4の厚みTの10倍以上50倍以下に設定されている。第16の発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進める際、刃板4の撓みを規制して操作性を向上させることができる。

0031

請求項6または請求項7の発明、または第11〜16の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第17の発明(第1〜5実施形態に対応)にかかる刃部6において、幅方向Yの両刃先縁11間の開き角度θは、60度以上120度以下、好ましくは60度以上90度以下に設定されている。第17の発明では、幅方向Yの両刃先縁11間の開き角度θを鈍角化して、切開創37の内方切開線37aが山形にならず一本の直線状に形成され易い。

0032

請求項1または請求項4の発明を前提とする第18の発明(第1〜2実施形態に対応)にかかる刃部6の表部7と裏部8とにおいて、それぞれ、幅方向Yの両刃面9,10の刃先縁11が互いに交差する尖端部14と幅方向Yの両刃面9,10の対辺12,13が互いに交差する頂端部15,16との間には幅方向Yの両刃面9,10間の境界縁17,18を形成するとともに、その幅方向Yの両刃面9,10の対辺12,13間に中間面19,20を形成し、刃部6の裏部8の幅方向Yの両刃面10で刃先縁11に対する対辺13の間隔G10は、刃部6の表部7の幅方向Yの両刃面9で刃先縁11に対する対辺12の間隔G9よりも大きく設定されている。第18の発明では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進め易くなるばかりでなく、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメントや、刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントの発生について、刃部6の裏部8における幅方向Yの両刃面10が刃部6の表部7における幅方向Yの両刃面9よりも影響を与え易くなる。

発明の効果

0033

本発明は、医療用ナイフの刃部6の形態を改良して、例えば経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、自己閉鎖性に優れた略S字状の切開創37を容易に形成することができる。

図面の簡単な説明

0034

(a)は第1実施形態にかかる医療用ナイフを示す正面図であり、(b)は(a)の部分拡大正面図であり、(c)は(a)の部分拡大平面図であり、(d)は(a)の部分拡大底面図である。
(a)は図1(b)の部分拡大図であり、(b)は刃部の表側を示す図1(c)の部分拡大図であり、(c)は刃部の裏側を示す図1(d)の部分拡大図である。
(a)は図2(b)のA1−A1線断面図であり、(b)は図2(b)のA2−A2線断面図であり、(c)は図2(b)のA3−A3線部分断面図である。
(a)は経結膜・強角膜一面切開法による医療用ナイフの使用方法を説明するために示す眼球の部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ同じく眼球の輪部の部分表面図であり、(e)は白内障手術における各切開法の長所及び短所を示す表である。
(a)は第2実施形態にかかる医療用ナイフにおいて刃部の部分拡大正面図であり、(b)は同じく刃部の表側を示す部分拡大平面図であり、(c)は同じく刃部の裏側を示す部分拡大底面図である。
(a)は図5(b)のB1−B1線断面図であり、(b)は図5(b)のB2−B2線断面図であり、(c)は図5(b)のB3−B3線部分断面図である。
(a)は第3実施形態にかかる医療用ナイフにおいて刃部の部分拡大正面図であり、(b)は同じく刃部の表側を示す部分拡大平面図であり、(c)は同じく刃部の裏側を示す部分拡大底面図である。
(a)は図7(b)のC1−C1線断面図であり、(b)は図7(b)のC2−C2線断面図であり、(c)は図7(b)のC3−C3線部分断面図である。
(a)は第4実施形態にかかる医療用ナイフにおいて刃部の部分拡大正面図であり、(b)は同じく刃部の表側を示す部分拡大平面図であり、(c)は同じく刃部の裏側を示す部分拡大底面図である。
(a)は図9(b)のD1−D1線断面図であり、(b)は図9(b)のD2−D2線断面図であり、(c)は図9(b)のD3−D3線部分断面図である。
(a)は第5実施形態にかかる医療用ナイフにおいて刃部の部分拡大正面図であり、(b)は同じく刃部の表側を示す部分拡大平面図であり、(c)は同じく刃部の裏側を示す部分拡大底面図である。
(a)は図11(b)のE1−E1線断面図であり、(b)は図11(b)のE2−E2線断面図であり、(c)は図11(b)のE3−E3線部分断面図である。

実施例

0035

まず、本発明の第1実施形態にかかる医療用ナイフについて図1〜4を参照して説明する。
図1(a)に示す医療用ナイフは、主に白内障手術などにおいて眼球などの生体組織を切開する各種手術用切断具として利用され、合成樹脂からなる把持部2とステンレス鋼などの金属からなる支持板3とを有する柄1と、ステンレス鋼などの金属からなる刃板4とを備えている。図1(b)に示すように、この支持板3は把持部2の先端部に挿着され、それらの延設方向X1は互いに一致している。この刃板4は、支持板3から一体に連続して延設され、刃板4の基端部に設けられた屈曲部5で支持板3に対し屈曲されている。この柄1における把持部2及び支持板3の延設方向X1と刃板4の延設方向X4とが45度で互いに交差している。図1(c)(d)に示すように、刃板4の先端部側には刃部6が設けられている。この刃板4の刃部6は、刃板4の厚み方向Zの上下両側のうち、柄1の把持部2及び支持板3の延設向き側(屈曲向き側)である上側に形成された表部7と、柄1の把持部2及び支持板3の延設向きに対する反対向き側である下側に形成された裏部8とを有している。

0036

図2(a)(b)(c)及び図3(a)(b)(c)に示すように、前記刃部6の表部7及び裏部8で厚み方向Zに交差する刃板4の幅方向Yの両側には、それぞれ、刃板4の幅方向Yの中央部側から幅方向Yの両外縁部側へ互いに厚み方向Zの間隔を狭めるように傾斜する平坦な刃面9,10が形成されている。この表部7の刃面9と裏部8の刃面10とが互いに交差する外縁部で刃部6の先端部から基端部側へ直線状に延びる刃先縁11が形成されている。この表部7の刃面9と裏部8の刃面10とにはこの刃先縁11に対する対辺12,13が刃部6の先端部側から基端部側へ直線状に延びている。この刃部6の表部7と裏部8とにおいて、それぞれ、幅方向Yの両刃面9,10の刃先縁11が互いにV字状に交差する尖端部14(刃板4及び刃部6の先端部に該当)と、幅方向Yの両刃面9,10の対辺12,13が互いにV字状に交差する頂端部15,16との間には、幅方向Yの両刃面9,10間の境界縁17,18が直線状に形成されているとともに、その幅方向Yの両刃面9,10の対辺12,13間には平坦な中間面19,20が形成されている。それぞれの中間面19,20は両対辺12,13の頂端部15,16と両対辺12,13の終端部22,23とを互いに結ぶ二等辺三角形状をなす。刃部6の基端部は、両対辺12の終端部22を互いに結ぶ線分部分と、両対辺13の終端部23を互いに結ぶ線分部分とのうち、尖端部14から遠い位置にある両終端部23間の線分部分に該当する。この刃部6の表部7の中間面19と刃部6の裏部8の中間面20とは互いに平行に形成されている。幅方向Yの両刃先縁11は、尖端部14から終端部21に向かうに従い裏部8側から表部7側へ次第に傾斜するように延設されている。この刃部6の表部7と裏部8とにおいて、それぞれ、幅方向Yの両刃面9,10間の境界縁17,18を通る厚み方向面に対し幅方向Yの両刃面9,10は対称形状に形成されている。

0037

前記刃部6における裏部8の幅方向Yの両刃面10は、刃先縁11に対する対辺13の間隔G10が刃部6の先端部側から基端部側へ向かう広がり向きで次第に広がるように形成されている。この間隔G10については、刃部6の先端部側で0.2mm以上1.5mm以下の範囲に設定し、刃部6の基端部側で0.3mm以上2.0mm以下の範囲に設定することが好ましく、例えば、刃部6の先端部側で0.44mmに設定し、刃部6の基端部側で0.63mmに設定している。前記刃部6における表部7の幅方向Yの両刃面9は、刃部6の先端部から基端部にわたる刃先縁11の全体で刃先縁11に対する対辺12の間隔G9が略同一になるように形成されている。この間隔G9については、刃部6の先端部側及び基端部側で共に0.2mm以上1.5mm以下の範囲に設定することが好ましく、例えば、刃部6の先端部側で0.42mmに設定し、刃部6の基端部側で0.38mmに設定している。従って、前記刃部6の表部7の刃面9と刃部6の裏部8の刃面10とは互いに異なる形状になる。

0038

図3(c)に示すように、幅方向Yの両刃先縁11を通る面に対し刃部6の表部7の刃面9がなす傾斜角度αは、この面に対し刃部6の裏部8の刃面10がなす傾斜角度βよりも大きく設定されているとともに、この傾斜角度βはこの傾斜角度αの半分以下に設定されている。この傾斜角度αについては10度以上60度以下の範囲好ましくは10度以上30度以下の範囲に設定し、この傾斜角度βについては3度以上30度以下の範囲好ましくは3度以上10度以下の範囲に設定し、例えば、この傾斜角度αを20度に設定し、この傾斜角度βを6度に設定している。

0039

図2(b)(c)に示すように、刃部6において幅方向Yの両刃先縁11間の開き角度θについては、60度以上120度以下の範囲、好ましくは60度以上90度以下の範囲に設定し、例えば67度に設定している。

0040

図1(b)に示すように刃部6の尖端部14から刃板4の屈曲部5にわたる刃板4の長さLについては、刃部6の表部7の中間面19と刃部6の裏部8の中間面20との間の刃板4の厚みTの10倍以上50倍以下の範囲に設定することが好ましい。この長さLについては2.5mm以上10mm以下の範囲で例えば6mmに設定し、この厚みTについては0.05mm以上1.0mm以下の範囲で例えば0.2mmに設定している。

0041

図2(b)に示すように、前記刃板4において、刃部6の幅方向Yの両刃先縁11はその両刃先縁11の終端部21間で最大の幅方向間隔Wをなし、その幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間を互いに結ぶ線分よりも刃部6の基端部側で直線状の目印24が付されている。その目印24と尖端部14との間の距離Mとその幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間の幅方向間隔Wとを略同一に設定している。この幅方向間隔W及び距離Mを1.0mm以上5.0mm以下の範囲に設定することが好ましく、例えば、2.4mmに設定している。なお、線分上またはその線分よりも刃部6の先端部側で直線状の目印24を付してもよい。

0042

次に、第1実施形態にかかる医療用ナイフを使用して、背景技術で述べた経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合について述べる。
刃部6は、図4(a)に示すように、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aと、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bと、前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cとにより、順次進入向きを変更しながら略S字状の移動軌跡38に沿って移動する。刃部6の裏部8で幅方向Yの両刃面10の面積が刃部6の先端部側よりも基端部側で大きくなっているため、刃部6を押し上げる上向き力(外向き力)が裏部8に付与される際に、裏部8の基端部側に付与される上向き力が裏部8の先端部側に付与される上向き力よりも大きくなり、図2(a)に示すようにそれらの上向き力の差により刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメントが生じ易い。なお、刃部6の表部7で幅方向Yの両刃面9の面積が刃部6の先端部側から基端部側にわたり略同一になっているため、刃部6を押し下げる下向き力(内向き力)の差による回動モーメントは生じにくい。従って、図4(a)に示すように、前述した略S字状の移動軌跡38のうち、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bを経て前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cに移る際には、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメントによりそれらの移動軌跡38b,38cの変更を行い易い。

0043

次に、本発明の第2実施形態にかかる医療用ナイフについて第1実施形態との相違点を中心に図5〜6を参照して説明する。
前記刃部6における裏部8の幅方向Yの両刃面10は、第1実施形態の刃部6における裏部8と異なり、刃先縁11に対する対辺13の間隔G10が第1実施形態の刃部6における裏部8とは逆の広がり向きで刃部6の基端部(両対辺12の終端部22を互いに結ぶ線分部分と、両対辺13の終端部23を互いに結ぶ線分部分とのうち、尖端部14から遠い位置にある両終端部22間の線分部分に該当)側から先端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成されている。この間隔G10については、刃部6の基端部側で0.2mm以上1.5mm以下の範囲に設定し、刃部6の先端部側で0.3mm以上2.0mm以下の範囲に設定することが好ましく、例えば、刃部6の先端部側で0.63mmに設定し、刃部6の基端部側で0.44mmに設定している。前記刃部6における表部7の幅方向Yの両刃面9は、刃部6の先端部から基端部にわたる刃先縁11の全体で刃先縁11に対する対辺12の間隔G9が第1実施形態の刃部6における表部7と同様に略同一になるように形成されている。この間隔G9については、刃部6の先端部側及び基端部側で共に0.2mm以上1.5mm以下の範囲に設定することが好ましく、例えば、刃部6の先端部側で0.42mmに設定し、刃部6の基端部側で0.38mmに設定している。従って、前記刃部6の表部7の刃面9と刃部6の裏部8の刃面10とは互いに異なる形状になる。

0044

図6(c)に示すように、幅方向Yの両刃先縁11を通る面に対し刃部6の表部7の刃面9がなす傾斜角度αは、この面に対し刃部6の裏部8の刃面10がなす傾斜角度βよりも大きく設定されているとともに、この傾斜角度βはこの傾斜角度αの半分以下に設定されている。この傾斜角度αについては10度以上60度以下の範囲好ましくは10度以上30度以下の範囲に設定し、この傾斜角度βについては3度以上30度以下の範囲好ましくは3度以上10度以下の範囲に設定し、例えば、この傾斜角度αを20度に設定し、この傾斜角度βを6度に設定している。

0045

図5(b)(c)に示すように、刃部6において幅方向Yの両刃先縁11間の開き角度θについては、60度以上120度以下の範囲、好ましくは60度以上90度以下の範囲に設定し、例えば63度に設定している。

0046

前記刃板4の長さLについては、刃部6の表部7の中間面19と刃部6の裏部8の中間面20との間の刃板4の厚みTの10倍以上50倍以下の範囲に設定することが好ましく、この長さLについては2.5mm以上10mm以下の範囲で例えば6mmに設定し、この厚みTについては0.05mm以上1.0mm以下の範囲で例えば0.2mmに設定している。

0047

図5(a)(b)に示すように、前記刃板4において、刃部6の幅方向Yの両刃先縁11は、尖端部14から終端部21に向かうに従い表部7側から裏部8側へ次第に傾斜するように延設され、その幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間で最大の幅方向間隔Wをなし、その幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間を互いに結ぶ線分よりも刃部6の基端部側で目印24が付されている。その目印24と尖端部14との間の距離Mとその幅方向Yの両刃先縁11の終端部21間の幅方向間隔Wとを略同一に設定している。この幅方向間隔W及び距離Mを1.0mm以上5.0mm以下の範囲に設定することが好ましく、例えば、2.4mmに設定している。なお、線分上またはその線分よりも刃部6の先端部側で直線状の目印24を付してもよい。

0048

次に、第2実施形態にかかる医療用ナイフを使用して、背景技術で述べた経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合について述べる。
刃部6は、図4(a)に示すように、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aと、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bと、前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cとにより、順次進入向きを変更しながら略S字状の移動軌跡38に沿って移動する。刃部6の裏部8で幅方向Yの両刃面10の面積が刃部6の基端部側よりも先端部側で大きくなっているため、刃部6を押し上げる上向き力が裏部8に付与される際に、裏部8の先端部側に付与される上向き力が裏部8の基端部側に付与される上向き力よりも大きくなり、図5(a)に示すようにそれらの上向き力の差により刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントが生じ易い。なお、刃部6の表部7で幅方向Yの両刃面9の面積が刃部6の先端部側から基端部側にわたり略同一になっているため、刃部6を押し下げる下向き力の差による回動モーメントは生じにくい。従って、図4(a)に示すように、前述した略S字状の移動軌跡38のうち、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aを経て強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bに移る際には、刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントによりそれらの移動軌跡38a,38bの変更を行い易い。

0049

次に、本発明の第3実施形態にかかる医療用ナイフについて第1実施形態との相違点を中心に図7〜8を参照して説明する。
前記刃部6における裏部8の幅方向Yの両刃面10は、刃先縁11に対する対辺13の間隔G10が第1実施形態の刃部6における裏部8と同様に刃部6の先端部側から基端部側へ向かう広がり向きで次第に広がるように形成されている。前記刃部6における表部7の幅方向Yの両刃面9は、第1実施形態の刃部6における表部7と異なり、刃先縁11に対する対辺12の間隔G9が、裏部8の幅方向Yの両刃面10の間隔G10の広がり向きとは逆の広がり向きで、第2実施形態の刃部6における裏部8と同様に刃部6の基端部(両対辺12の終端部22を互いに結ぶ線分部分と、両対辺13の終端部23を互いに結ぶ線分部分とのうち、尖端部14から遠い位置にある両終端部23間の線分部分に該当)側から先端部側へ向かうに従い次第に広がるように、すなわち、刃部6の先端部側から基端部側へ向かうに従い次第に狭まるように形成されている。従って、前記刃部6の表部7の刃面9と刃部6の裏部8の刃面10とは互いに異なる形状になる。なお、刃部6の幅方向Yの両刃先縁11は、第1実施形態と同様に、尖端部14から終端部21に向かうに従い裏部8側から表部7側へ次第に傾斜するように延設されている。

0050

次に、第3実施形態にかかる医療用ナイフを使用して、背景技術で述べた経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合について述べる。
刃部6は、図4(a)に示すように、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aと、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bと、前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cとにより、順次進入向きを変更しながら略S字状の移動軌跡38に沿って移動する。刃部6の裏部8で幅方向Yの両刃面10の面積が刃部6の先端部側よりも基端部側で大きくなっているため、刃部6を押し上げる上向き力が裏部8に付与される際に、裏部8の基端部側に付与される上向き力が裏部8の先端部側に付与される上向き力よりも大きくなり、図7(a)に示すようにそれらの上向き力の差により刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメントが生じ易い。また、刃部6の表部7で幅方向Yの両刃面9の面積が刃部6の基端部側よりも先端部側で大きくなっているため、刃部6を押し下げる下向き力が表部7に付与される際に、表部7の先端部側に付与される下向き力が表部7の基端部側に付与される下向き力よりも大きくなり、それらの下向き力の差により刃部6の先端部側を押し下げるとともに刃部6の基端部側を押し上げる向きDの回動モーメントが生じ易い。従って、図4(a)に示すように、前述した略S字状の移動軌跡38のうち、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bを経て前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cに移る際には、刃部6の基端部側を押し上げるとともに刃部6の先端部側を押し下げる向きDの回動モーメントが刃部6の裏部8と表部7とで同時に付与されてそれらの移動軌跡38b,38cの変更を行い易い。

0051

次に、本発明の第4実施形態にかかる医療用ナイフについて第1実施形態との相違点を中心に図9〜10を参照して説明する。
前記刃部6における裏部8の幅方向Yの両刃面10は、刃先縁11に対する対辺13の間隔G10が第2実施形態の刃部6における裏部8と同様に刃部6の基端部(両対辺12の終端部22を互いに結ぶ線分部分と、両対辺13の終端部23を互いに結ぶ線分部分とのうち、尖端部14から遠い位置にある両終端部22間の線分部分に該当)側から先端部側へ向かう広がり向きで次第に広がるように形成されている。前記刃部6における表部7の幅方向Yの両刃面9は、第2実施形態の刃部6における表部7と異なり、刃先縁11に対する対辺12の間隔G9が、裏部8の幅方向Yの両刃面10の間隔G10の広がり向きとは逆の広がり向きで、第1実施形態の刃部6における裏部8と同様に刃部6の先端部側から基端部側へ向かうに従い次第に広がるように、すなわち、刃部6の基端部側から先端部側へ向かうに従い次第に狭まるように形成されている。従って、前記刃部6の表部7の刃面9と刃部6の裏部8の刃面10とは互いに異なる形状になる。なお、刃部6の幅方向Yの両刃先縁11は、第2実施形態と同様に、尖端部14から終端部21に向かうに従い表部7側から裏部8側へ次第に傾斜するように延設されている。

0052

次に、第4実施形態にかかる医療用ナイフを使用して、背景技術で述べた経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合について述べる。
刃部6は、図4(a)に示すように、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aと、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bと、前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cとにより、順次進入向きを変更しながら略S字状の移動軌跡38に沿って移動する。刃部6の裏部8で幅方向Yの両刃面10の面積が刃部6の基端部側よりも先端部側で大きくなっているため、刃部6を押し上げる上向き力が裏部8に付与される際に、裏部8の先端部側に付与される上向き力が裏部8の基端部側に付与される上向き力よりも大きくなり、図9(a)に示すようにそれらの上向き力の差により刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントが生じ易い。また、刃部6の表部7で幅方向Yの両刃面9の面積が刃部6の先端部側よりも基端部側で大きくなっているため、刃部6を押し下げる下向き力が表部7に付与される際に、表部7の基端部側に付与される下向き力が表部7の先端部側に付与される下向き力よりも大きくなり、それらの下向き力の差により刃部6の基端部側を押し下げるとともに刃部6の先端部側を押し上げる向きUの回動モーメントが生じ易い。従って、図4(a)に示すように、前述した略S字状の移動軌跡38のうち、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aを経て強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bに移る際には、刃部6の先端部側を押し上げるとともに刃部6の基端部側を押し下げる向きUの回動モーメントが刃部6の裏部8と表部7とで同時に付与されてそれらの移動軌跡38a,38bの変更を行い易い。

0053

次に、本発明の第5実施形態にかかる医療用ナイフについて第1実施形態との相違点を中心に図11〜12を参照して説明する。
前記刃部6における裏部8の幅方向Yの両刃面10は、刃部6の先端部から基端部(両対辺12の終端部22を互いに結ぶ線分部分と、両対辺13の終端部23を互いに結ぶ線分部分とのうち、尖端部14から遠い位置にある両終端部23間の線分部分に該当)にわたる刃先縁11の全体で刃先縁11に対する対辺13の間隔G10が第1実施形態及び第2実施形態の刃部6における表部7と同様に略同一になるように形成されている。前記刃部6における表部7の幅方向Yの両刃面9は、刃先縁11に対する対辺12の間隔G9が第2実施形態の刃部6における裏部8及び第3実施形態の刃部6における表部7と同様に刃部6の基端部側から先端部側へ向かうに従い次第に広がるように形成されている。なお、刃部6の幅方向Yの両刃先縁11は、第1実施形態と同様に、尖端部14から終端部21に向かうに従い裏部8側から表部7側へ次第に傾斜するように延設されている。

0054

次に、第5実施形態にかかる医療用ナイフを使用して、背景技術で述べた経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合について述べる。
刃部6は、図4(a)に示すように、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aと、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bと、前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cとにより、順次進入向きを変更しながら略S字状の移動軌跡38に沿って移動する。刃部6の表部7で幅方向Yの両刃面9の面積が刃部6の基端部側よりも先端部側で大きくなっているため、刃部6を押し下げる下向き力が表部7に付与される際に、表部7の先端部側に付与される下向き力が表部7の基端部側に付与される下向き力よりも大きくなり、図11(a)に示すようにそれらの下向き力の差により刃部6の先端部側を押し下げるとともに刃部6の基端部側を押し上げる向きDの回動モーメントが生じ易い。なお、刃部6の裏部8で幅方向Yの両刃面10の面積が刃部6の先端部側から基端部側にわたり略同一になっているため、刃部6を押し上げる上向き力の差による回動モーメントは生じにくい。従って、図4(a)に示すように、前述した略S字状の移動軌跡38のうち、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bを経て前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cに移る際には、刃部6の先端部側を押し下げるとともに刃部6の基端部側を押し上げる向きDの回動モーメントによりそれらの移動軌跡38b,38cの変更を行い易い。

0055

本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 第1,3,5実施形態では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進める際に、強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bを経て前房35内に穿孔するR矢印向きの移動軌跡38cへ刃部6を抵抗感の少ない自然な流れで押し進めることができる。従って、自己閉鎖性に優れた略S字状の切開創37を容易に形成することができる。また、刃部6は前房35内に進入する際に上向きまたは下向きに平行移動することなくR矢印向きの移動軌跡38cで直線的に進入するので、切開創37の内方切開線37aが山形にならず一本の直線状に形成され易い。

0056

(2) 第2,4実施形態では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進める際に、結膜32に刺入するP矢印向きの移動軌跡38aを経て強膜33から角膜34に進入するQ矢印向きの移動軌跡38bへ刃部6を抵抗感の少ない自然な流れで押し進めることができる。従って、自己閉鎖性に優れた略S字状の切開創37を容易に形成することができる。

0057

(3) 第1〜5実施形態では、経結膜・強角膜一面切開法による白内障手術を行う場合、手術者が刃部6を輪部31の付近から結膜32と強膜33と角膜34とを経て前房35へ略S字状の移動軌跡38で押し進める際、刃部6の表部7の中間面19に付した目印24が切開創37の外方切開線37bに到達した際に刃部6の尖端部14が前房35へ侵入する。さらに、刃部6を押し進めると、内方切開線37aが略直線状となり、内方切開線37aと外方切開線37bとの間で形成される切開創37の全体形状が正方形に近くなって、切開創37の自己閉鎖性を高めることができる。

0058

前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 第1,2実施形態における刃部6の表部7や第5実施形態における刃部6の裏部8において、表部7の幅方向Yの両刃面9や、裏部8の幅方向Yの両刃面10については、刃部6の先端部から基端部にわたる刃先縁11の全体で刃先縁11に対する対辺12,13の間隔G9,G10が略同一になるように形成しているが、刃部6の先端部から基端部にわたる刃先縁11の全体のうち少なくとも先端部側刃先縁11に対する対辺12,13の間隔G9,G10と基端部側刃先縁11に対する対辺12,13の間隔G9,G10とが略同一になるように形成してもよく、その先端部側刃先縁11と基端部側刃先縁11との間の中間刃先縁11を内側(対辺12,13側)へ凹ませたり外側へ膨らませたりして、中間刃先縁11に対する対辺12,13の間隔G9,G10が先端部側刃先縁11及び基端部側刃先縁11に対する対辺12,13の間隔G9,G10と異なるように形成してもよい。その場合にも、刃部6を押し下げる下向き力の差や刃部6を押し上げる上向き力の差による回動モーメントは生じにくい。

0059

・ 第1〜5実施形態において、幅方向Yの両刃面9,10については、刃先縁11と対辺12,13との間で平坦に形成するばかりでなく、内側へ凹ませたり外側へ膨らませたりしてもよい。

0060

・ 第1〜5実施形態の表部7及び裏部8において、中間面19,20については、平坦に形成するばかりでなく、内側へ凹ませたり外側へ膨らませたりしてもよい。
・ 第1〜5実施形態において、幅方向Yの両刃面9,10の刃先縁11については、内側(対辺12,13側)へ凹ませたり外側へ膨らませたりしてもよい。また、幅方向Yの両刃面9,10の対辺12,13についても、外側(刃先縁11側)へ膨らませたり内側へ凹ませたりしてもよい。

0061

・ 第1〜5実施形態において、幅方向Yの両刃面9,10の刃先縁11が互いに交差する尖端部14に若干の丸みを持たせてもよい。
・ 第1,3実施形態における刃部6の裏部8や第4実施形態における刃部6の表部7において、尖端部14と頂端部15,16との間の境界縁17,18をなくして尖端部14と頂端部15,16とを互いに一致させるか、または、尖端部14に頂端部15,16を近付けて境界縁17,18を短くしてもよい。

0062

・ 第1〜5実施形態の刃板4において、刃先縁11を含む第一刃部6以外に、その第一刃部6を含む複数の刃部を刃板4の先端部側から基端部側へ連続して並設してもよい。例えば、刃板4が第一刃部6と第二刃部とを有している場合、第一刃部6における幅方向Yの両刃先縁11間の開き角度θと、第二刃部における幅方向の両刃先縁間の開き角度とのうち、一方を他方より大きくしたり、互いに略同一にしたりしてもよい。

0063

・ 第1〜5実施形態において、刃板4や柄1の支持板3については、ステンレス鋼以外の金属、例えば、チタンチタン合金により成形したり、金属以外の材質、例えば、セラミックス単結晶シリコンダイヤモンドにより成形したりしてもよい。

0064

・ 第1〜5実施形態において、目印24については、直線状以外に、互いに離間する二以上の点や線分の集合体や、幾何学模様であってもよい。
・ 第1〜5実施形態において、刃部6の表部7及び裏部8を含む外面全体には、シリコーン樹脂フッ素樹脂ダイヤモンドライクカーボンなどによる被覆層を設けてもよい。また、その刃部6の外面全体において、表面粗さを調整したり、光を反射しない被覆層や光を反射しにくい被覆層を設けたりして、手術時に照明による刃部6の外面全体の反射を抑制してもよい。

0065

・ 第1〜5実施形態にかかる医療用ナイフについては、白内障手術における経結膜・強角膜一面切開法以外の切開法(例えば角膜切開法や強角膜切開法など)や、白内障手術以外の眼球手術などにも利用することができる。

0066

1…柄、2…把持部、4…刃板、6…刃部、7…刃部の表部、8…刃部の裏部、9…表部の刃面、10…裏部の刃面、11…刃先縁、12,13…刃先縁に対する対辺、14…刃先縁の尖端部、15,16…頂端部、17,18…境界縁、19,20…中間面、21…刃先縁の終端部、24…目印、X1…把持部の延設方向、X4…刃板の延設方向、Z…刃板の厚み方向、Y…刃板の幅方向、G9,G10…刃先縁に対する対辺の間隔、W…両終端部間の幅方向間隔、M…目印と尖端部との間の距離。

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