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技術 加熱用油脂

出願人 昭和産業株式会社
発明者 野中寿子羽石和明
出願日 2011年4月28日 (9年8ヶ月経過) 出願番号 2011-102385
公開日 2012年11月29日 (8年0ヶ月経過) 公開番号 2012-231735
状態 特許登録済
技術分野 食用油脂
主要キーワード 掃除頻度 ベト付き 換気扇フィルター 清掃頻度 油ハネ 油脂分中 配合調整 調理用油
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年11月29日)のものです。
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課題

掃除がしづらい植物性油脂を使用しながらこれを改良し、従来のオイルミスト由来油汚れの掃除がしづらい植物性油脂と比較して、オイルミスト由来の油汚れの掃除がしやすい加熱用油脂を提供すること。

解決手段

構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上含有する植物性油脂に、トコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合する加熱用油脂であって、該加熱用油脂中に、総トコフェロール総トコトリエノールの合計量が1000〜3500ppm、γ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、及び総トコトリエノールが40ppm以上含まれるように調整することを特徴とする加熱用油脂。

概要

背景

食用植物性油脂には、大豆油菜種油等のリノレン酸リノール酸等の多価不飽和脂肪酸を多く含むものがあり、健康上それらを適量摂取することが望まれている。このため、これらリノレン酸やリノール酸等の多価不飽和脂肪酸を多く含む植物性油脂調理用油として使用するのが望ましく、また実際に加熱調理の場で多く利用されている油脂でもある。
しかしながら、多価不飽和脂肪酸を多く含むヨウ素価が比較的高い大豆油や菜種油、コーン油等の植物性油脂は、調理(特にフライ)時に発生する油ハネオイルミスト油煙)の、これら油脂成分短期間で、調理場周り、例えば、ガス電磁等の調理器、床、壁、天井換気扇等やその周りに油汚れとしてベト付いて調理場周りの掃除を面倒にさせる。特に、掃除がしづらい装置や場所、例えば換気扇や調理場の上方部分等も、油汚れを楽に掃除したいとの要望がある。そして、このような油汚れをより楽に掃除するために、油汚れ用洗浄剤(特許文献1)等を利用しているのが実状である。

概要

掃除がしづらい植物性油脂を使用しながらこれを改良し、従来のオイルミスト由来の油汚れの掃除がしづらい植物性油脂と比較して、オイルミスト由来の油汚れの掃除がしやすい加熱用油脂を提供すること。構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上含有する植物性油脂に、トコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合する加熱用油脂であって、該加熱用油脂中に、総トコフェロール総トコトリエノールの合計量が1000〜3500ppm、γ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、及び総トコトリエノールが40ppm以上含まれるように調整することを特徴とする加熱用油脂。 なし

目的

食用植物性油脂には、大豆油や菜種油等のリノレン酸やリノール酸等の多価不飽和脂肪酸を多く含むものがあり、健康上それらを適量摂取することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上含有する植物性油脂に、トコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合する加熱用油脂であって、該加熱用油脂中に、総トコフェロール総トコトリエノールの合計量が1000〜3500ppm、γ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、及び総トコトリエノールが40ppm以上含まれるように調整することを特徴とする加熱用油脂。

請求項2

前記総トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が1000〜2500ppmであることを特徴とする請求項1に記載の加熱用油脂。

請求項3

植物性油脂中、大豆油菜種油及びコーン油から選ばれる1種又は2種以上を60質量%以上含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱用油脂。

請求項4

構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上含有する植物性油脂に、トコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合する加熱用油脂の製造方法であって、該加熱用油脂中、総トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が1000〜3500ppm、γ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、及び総トコトリエノールが40ppm以上含まれるように調整することを特徴とする加熱用油脂の製造方法。

請求項5

請求項1〜3の何れか1項記載の加熱用油脂を用いることを特徴とするオイルミスト中の重合物の生成を抑制する方法。

技術分野

0001

本発明は、加熱用油脂、加熱用油脂の製造方法、オイルミスト中の重合物生成抑制方法に関する。

背景技術

0002

食用植物性油脂には、大豆油菜種油等のリノレン酸リノール酸等の多価不飽和脂肪酸を多く含むものがあり、健康上それらを適量摂取することが望まれている。このため、これらリノレン酸やリノール酸等の多価不飽和脂肪酸を多く含む植物性油脂調理用油として使用するのが望ましく、また実際に加熱調理の場で多く利用されている油脂でもある。
しかしながら、多価不飽和脂肪酸を多く含むヨウ素価が比較的高い大豆油や菜種油、コーン油等の植物性油脂は、調理(特にフライ)時に発生する油ハネやオイルミスト(油煙)の、これら油脂成分短期間で、調理場周り、例えば、ガス電磁等の調理器、床、壁、天井換気扇等やその周りに油汚れとしてベト付いて調理場周りの掃除を面倒にさせる。特に、掃除がしづらい装置や場所、例えば換気扇や調理場の上方部分等も、油汚れを楽に掃除したいとの要望がある。そして、このような油汚れをより楽に掃除するために、油汚れ用洗浄剤(特許文献1)等を利用しているのが実状である。

先行技術

0003

特開2010−168429号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、本発明者は、油汚れ用の洗浄剤に着目するのではなく、加熱調理に使用する油汚れの掃除がしづらい植物性油脂の組成に着目した。更に、調理場周りで掃除がしづらい場所ではオイルミスト(油煙)が原因となることが多いため、本発明は、掃除がしづらい植物性油脂を使用しながらこれを改良し、従来のオイルミスト由来の油汚れの掃除がしづらい植物性油脂と比較して、オイルミスト由来の油汚れの掃除がしやすい加熱用油脂を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0005

本発明者は、油汚れの掃除が難航するのは、油脂成分の重合によるベト付きが大きな要因と考えた。そこで、油汚れの重合物量と掃除しやすさの関係性調査の結果、油脂成分中の重合物量を30%以下に抑制することが、油汚れを掃除しやすくするためには重要であることを見出した。
また、前述の換気扇や調理場の上方部分等は、掃除がしづらいため清掃頻度が低く(例えば月に1回)なることが多い。このため、油汚れの掃除が難航する原因となる油脂成分の重合物の生成を抑制し、重合物量が30%以上となるまでの期間を大きく延長することが可能になれば、例えば月に1回の清掃でも、油汚れの拭き取りが楽になり、掃除がしやすくなると考えられる。

0006

更に、本発明者は、加熱調理時の調理場周辺の油脂成分を分析すると、加熱した油脂から発生した油ハネによる油滴(油脂)成分とオイルミスト(油煙)の油脂成分とは異なる組成であることを新たに見出した。具体的には、油ハネの油脂成分は、該加熱した油脂の油脂成分とほぼ同等の成分であったが、該加熱した油脂から発生したオイルミスト(油煙)の油脂成分は、油ハネの油脂成分とも異なり、トリグリセリド以外に揮発しやすいと考えられる脂肪酸等の油脂分解物主体とするものであることを新たに見出し、このことは意外であった。
すなわち、油ハネとオイルミストとではそれぞれ油脂成分が異なるので、それぞれに対応した油脂成分の重合物の生成抑制が必要となるが、特にオイルミスト中の油脂成分の重合物の生成抑制については全く未検討であった。

0007

そして、本発明者は、敢えて、油汚れの掃除がしづらい多価不飽和脂肪酸を含む植物性油脂(例えば、比較例1〜3参照)を使用しながら、オイルミストによる油汚れの掃除がしやすい加熱用油脂を提供しようと試みた。このとき、本発明者は、トコフェロールL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルリン脂質レシチン)等を含む製剤でこれらの添加量や組み合わせを検討したが、オイルミスト中の重合物の生成抑制が十分でなく、油汚れの掃除のしづらさは改善されなかった(例えば、比較例4〜15参照)。
ここで、油脂中に多価不飽和脂肪酸を多く含むほど、油脂成分の重合化が進みやすく、また油脂中に多価不飽和脂肪酸のなかでも特にα−リノレン酸等のような二重結合が3つ以上あるものは、リノール酸等の二重結合が2つあるものと比較して飛躍的に酸化重合加速するため、α−リノレン酸が少量でも存在すると重合物の生成抑制はかなり困難となりやすい。そのため、多価不飽和脂肪酸を40%以上含む植物性油脂やα−リノレン酸を6%以上含む植物性油脂は、油汚れの掃除が非常にしづらいものである。
ところが、本発明者は、意外にも、このような掃除が非常にしづらい植物性油脂であっても、該植物性油脂にトコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合し、これらを特定量含有させるように調整することによって、オイルミスト中の重合物の生成抑制を可能とできる、更に油汚れの掃除がしやすくなる加熱用油脂が得られることを見出し、これは驚くべき発見である(例えば、実施例1〜13参照)。しかも、前記特定の含有量になるように調整することによって、油ハネ中の重合物の生成抑制も可能であった。斯様にして、調理場周辺の油汚れの掃除が簡単な加熱用油脂を提供することが可能となった。

0008

すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)に係わるものである。
(1)構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上含有する植物性油脂に、トコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合する加熱用油脂であって、該加熱用油脂中に、総トコフェロール総トコトリエノールの合計量が1000〜3500ppm、γ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、及び総トコトリエノールが40ppm以上含まれるように調整することを特徴とする加熱用油脂。
(2) 前記総トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が1000〜2500ppmであることを特徴とする前記(1)に記載の加熱用油脂。
(3) 植物性油脂中、大豆油、菜種油及びコーン油から選ばれる1種又は2種以上を60質量%以上含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の加熱用油脂。

0009

(4)構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上含有する植物性油脂に、トコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合する加熱用油脂の製造方法であって、該加熱用油脂中、総トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が1000〜3500ppm、γ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、及び総トコトリエノールが40ppm以上含まれるように調整することを特徴とする加熱用油脂の製造方法。

0010

(5) 前記(1)〜(3)の何れか1つ記載の加熱用油脂を用いることを特徴とするオイルミストの重合物の生成を抑制する方法。

発明の効果

0011

本発明の加熱用油脂は、該加熱用油脂中のトコフェロール及びトコトリエノールを特定量含有させることで、オイルミスト中の重合物の生成を抑制できるものである。よって、本発明の加熱用油脂を用いれば、従来のオイルミスト由来の油汚れの掃除がしづらい植物性油脂と比較して、オイルミスト由来の油汚れの掃除がしやすくなる。

0012

本発明の加熱用油脂は、構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上する植物性油脂に、トコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合する加熱用油脂であって、該加熱用油脂中、総トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が1000〜3500ppm、γ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、及び総トコトリエノールが40ppm以上含まれるように調整して得られた加熱用油脂である。

0013

本発明で使用する植物性油脂は、構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上含有するものである。
本発明において「オイルミスト由来の油汚れの掃除がしづらい植物性油脂又は原料油脂」とは、「構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上含有する植物性油脂又は原料油脂」をいう。
前記植物性油脂は、多価不飽和脂肪酸を多く含むか、重合化の速いα−リノレン酸を多く含むため、調理場周辺の油汚れが掃除のしづらい油脂である(例えば比較例1〜3参照)。更に、前記植物性油脂に、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、リン脂質(レシチン)、トコフェロール等が含まれる種々の製剤を添加して調整しても、油汚れ、特にオイルミストに関係する油汚れの掃除がしやすい油脂に改善できていないのが実状である(比較例4〜15参照)。

0014

前記植物性油脂は、以下の原料油脂から選ばれる1種又は2種以上のものを適宜調整して使用することが可能である。
前記植物性油脂は、油汚れの掃除がしづらい原料油脂を主成分としている。
ここで、「主成分」とは、植物性油脂中、油汚れの掃除がしづらい原料油脂を少なくとも半分以上含有することをいうが、より55質量%以上、より60〜100質量%とすると油汚れの掃除がしづらい。しかし、後述するように、前記植物性油脂にトコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合し、加熱用油脂中のトコフェロール及びトコトリエノールを特定の含有量になるように調整することによって、オイルミスト中の重合物の生成を抑制することが可能となる。

0015

原料油脂としては、通常の食用油、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、紅花油、ヒマワリ油綿実油パーム油オリーブ油ゴマ油シソ油エゴマ油亜麻仁油ブドウ種子油マカデミアナッツ油ヘーゼルナッツ油カボチャ種子油クルミ油ツバキ油実油、ボラージ油、小麦粉胚芽油及び、これらの高オレイン油、それらの分別油、硬化油エステル交換油等の中から選ばれる1種又は2種以上のものが挙げられる。
例えば、前記油汚れの掃除がしづらい原料油脂としては、大豆油、菜種油、コーン油から選ばれる1種又は2種以上のものが挙げられる。これらはオイルミスト中の重合物の生成抑制が困難である油脂である(例えば、比較例1〜3参照)。しかし、後述するように、前記植物性油脂にトコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合し、加熱用油脂中のトコフェロール及びトコトリエノールを特定の含有量になるように調整することによって、オイルミスト中の重合物の生成を抑制することが可能となる(例えば、実施例1〜13参照)。

0016

また、主成分となる油汚れの掃除がしづらい原料油脂以外に、トリトコエノールを含有するパーム油を配合してもよいが、このときのパーム油の含有量は、植物性油脂中、10〜40質量%、より20〜40質量%までの範囲内とする。この範囲内のパーム油を含有する植物性油脂は、オイルミスト中の重合物の生成抑制を十二分に行うことができない(例えば、比較例7〜11参照)。しかし、パーム油を配合した植物性油脂に、更にトコフェロールを添加して、加熱用油脂中のトコフェロール及びトコトリエノールを特定の含有量になるように調整することによって、オイルミストの重合物の生成抑制を十二分に行うことが可能となる(例えば、実施例1〜11参照)。

0017

前記植物性油脂の脂肪酸組成は、パルミチン酸ステアリン酸ミリスチン酸等の飽和脂肪酸オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エイコセン酸、γ−リノレン酸等の不飽和脂肪酸等の1種又は2種以上のものが挙げられる。
前記不飽和脂肪酸には、エイコセン酸、オレイン酸等のモノ不飽和脂肪酸;リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸等の多価不飽和脂肪酸の1種又は2種以上のものが挙げられる。
前記多価不飽和脂肪酸とは、脂肪酸鎖中に二重結合が複数(2又は3以上)存在する脂肪酸である。

0018

前記植物性油脂は、前記多価不飽和脂肪酸の含有率を、植物性油脂の全構成脂肪酸中、40%以上、より40〜60%、更に40〜52%とする植物性油脂、また、前記α−リノレン酸の含有率を、植物性油脂の全構成脂肪酸中、6%以上、より6.1〜11%、更に6.4〜10%、より更に6.5〜9.6%とする植物性油脂等が挙げられる。このような植物性油脂は、油汚れの掃除がしづらい油脂である。しかし、これら植物性油脂であっても、後述するように前記植物性油脂にトコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合し、加熱用油脂中のトコフェロール及びトコトリエノールを特定の含有量になるように調整することによって、油ハネやオイルミスト中の重合物の生成を抑制することが可能である。

0019

尚、前記植物性油脂の配合調整は、室温(5〜40℃程度)にて行うのが望ましい。これによって、加熱(例えば50〜180℃等)による油脂中の重合物の生成を抑制することができる。
また、前記原料油脂は、植物の種子又は果実から搾油された粗油脂を出発原料として、順に、必要に応じて、脱ガム工程、脱酸工程、脱色工程を経て、脱臭工程により得ることができ、一般的な食用油脂の製造方法にて得ることが可能である。更に必要に応じて脱ろうを前記工程中に実施しても良い。また、前記原料油脂は、市販品のものを使用してもよい。

0020

そして、本発明の加熱用油脂は、前記植物性油脂に、トコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合して得られうる加熱用油脂である。更に、該加熱用油脂中、総トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が1000〜3500ppm、γ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、及び総トコトリエノールが40ppm以上含まれるようにトコフェロール及びトコトリエノールを調整するものである。これにより、油ハネ中の重合物やオイルミスト中の重合物の生成抑制が可能となる。
なお、トコフェロールやトコトリエノール以外の成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。例えばアスコルビン酸エリソルビン酸リンゴ酸等の有機酸を2ppm未満としてもよい。

0021

前記植物性油脂に配合するトコフェロール及びトコトリエノールは、α−、β−、γ−、δ−トコフェロール及びα−、β−、γ−、δ−トコトリエノールから選ばれる1種又は2種以上のものを適宜選択し、以下のような含有量になるように配合調整すればよい。
配合する際に、加温してもよいが、室温(5〜40℃程度)で配合するのが好ましく、50℃以下が、油脂成分の重合物の生成を抑制するために、望ましい。
また、市販品を使用して、以下のような含有量としてもよく、市販品としては、例えば「Eオイル805」(理研ビタミン株式会社製)、「Eオイル600」(理研ビタミン株式会社製)、「トコリット92」(エーザイフードケイカル株式会社製)等が挙げられる。

0022

ここで、トコフェロールには、α−、β−、γ−、δ−トコフェロールの4種類があり、またトコトリエノールには、α−、β−、γ−、δ−の4種類がある。
また、総トコフェロールとは、加熱用油脂中のα−、β−、γ−、δ−トコフェロールの合計したものをいう。
また、総トコトリエノールとは、加熱用油脂中のα−、β−、γ−、δ−トコトリエノールの合計したものをいう。

0023

前記総トコフェロール及び総トコトリエノール(以下、「総トコフェロール類」又は「総Toc類」ともいう)の合計量は、加熱用油脂中に、1000〜3500ppmであり、好ましくは1000〜2500ppm、より好ましくは1000〜2100ppmとするのが、コスト的に効率よく油ハネ及びオイルミスト中の重合物の生成抑制が可能である。また総トコフェロールの含有量を2900ppm以下とすることが、更に油着色の低減が良好となるので好適である。
また、前記γ−トコフェロール及びδ−トコフェロールと総トコトリエノール(「γ,δ−TocとT3」ともいう)の合計量は、加熱用油脂中に、800ppm以上、好ましくは800〜3000ppm、より好ましくは800〜1800ppmとするのが、コスト的に効率よく油ハネ及びオイルミスト中の重合物の生成抑制が可能である。更に、前記γ,δ−TocとT3の合計量が総Toc類の80質量%以上含有することが、油ハネ及びオイルミスト中の重合物の生成抑制を良好とするので、好適である。
また、前記総トコトリエノールの含有量は、加熱用油脂中に、40ppm以上であり、好ましくは40〜520ppm、より好ましくは40〜180ppmとするのが、コスト的に効率よく油ハネ及びオイルミスト中の重合物の生成抑制が可能である。

0024

ここで、前記加熱用油脂中の総トコフェロールを約2500ppmになるまで含有させたとしても、本発明の如く更にγ,δ−TocとT3の合計量800ppm以上かつ総トコトリエノールの含有量40ppm以上とならなければ、オイルミスト中の重合物の生成抑制が十分ではなく、オイルミスト由来の油汚れが掃除しやすくはならないことから、本発明の目的を達することができない(例えば、比較例4〜6)。
前記加熱用油脂中の、γ,δ−TocとT3の合計量を800ppm以上としても、総トコトリエノールの含有量が40ppm未満であれば、オイルミスト中の重合物の生成抑制が十分ではなく、オイルミスト由来の油汚れが掃除しやすくはならないことから、本発明の目的を達することができない(例えば、比較例1、4〜6、14〜15)。
また、前記加熱用油脂中の、総トコトリエノールを40ppm以上としても、γ,δ−TocとT3の合計量が800ppm未満であれば、本発明の目的を達成することができない(例えば、比較例7〜12)。

0025

これに対し、油汚れの掃除がしづらい植物性油脂から発生するオイルミスト中の重合物の生成を抑制するためには、上述の如く、前記植物性油脂にトコフェロール及び/又はトコトリエノールを配合し、加熱用油脂中のトコフェロール及びトリトコエノールを特定の含有量になるように調整することが重要であり、これによって、本発明の目的を達成することができたのである。具体的には、総トコフェロール類の合計量、前記γ−トコフェロール及びδ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量、並びに総トコトリエノールの含有量が、加熱用油脂中にそれぞれの特定の含有量になるように調整されることによって、オイルミスト中の重合物の生成を抑制できたのである。その結果、従来のオイルミスト由来の油汚れの掃除がしづらい植物性油脂と比較して、オイルミスト由来の油汚れの掃除がしやすくすることが可能となったのである(例えば、実施例1〜13参照)。

0026

以上のようにして得られた本発明の加熱用油脂は、(a)加熱用油脂の全構成脂肪酸中、多価不飽和脂肪酸を40%以上含有するか、若しくはα−リノレン酸を6%以上含有する油脂であって、かつ(b)加熱用油脂中、総トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が1000〜3500ppm、γ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、及び総トコトリエノールが40ppm以上含有するものである。
本発明の加熱用油脂は、油ハネやオイルミストの重合物の生成が進行しやすい前記油汚れの掃除がしづらい原料油脂を主成分として含有しながら、加熱用油脂中のトコフェロール及びトコトリエノールを特定含有量に調整することで、大豆油や菜種油等の一般的な液状油(例えば、比較例1〜3参照)や、これに油脂の重合物の生成抑制が可能な剤(例えば、比較例1〜15参照)を添加した加熱用油脂よりも、調理場周辺の油汚れ、特にオイルミストによる油汚れの掃除をしやすくさせることが可能となったものである。

0027

本発明の加熱用油脂は、フライ、焼き、炒め等の加熱調理時に使用することが可能である。特に、オイルミストや油ハネ等が発生しやすいフライに使用するのが好適である。そして、天ぷら素揚げ唐揚げパン粉衣付着のフライ、フリッタードーナッツ米菓スナック類等に使用するのが好適である。
このときの前記加熱用油脂の加熱温度調理温度)は、特に限定されないが、フライや炒めの温度が好適であり、好ましくは150〜230℃程度である。

0028

本発明の加熱用油脂は、劣化の早い植物性油脂から発生するオイルミストの油脂成分の劣化を抑制することができる。そして、油ハネ中の及びオイルミスト中の重合物の生成を抑制することも可能である。
よって、本発明の加熱用油脂は、大豆油や菜種油等の一般的な液状油に関して、油汚れの原因となるオイルミスト中の重合物、更に油ハネ中の重合物の生成が遅延し掃除しやすさを長期間維持することが可能となる。具体的にはオイルミスト成分中や油ハネ成分中の重合物の生成を抑制することで、油汚れによるベト付きが遅延することから、掃除が楽になる。特に、オイルミストによって換気扇や天井付近等の油汚れは掃除がしづらい箇所でもあるので、この箇所の掃除が簡単に行えることは有利である。
また、家庭調理場でも有利であるが、特に、大量の油脂を使用する業務用調理場や工場内では非常に有利である。

0029

以下に本発明の加熱用油脂及びその製造方法等について、より詳細な具体例を説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。

0030

<実施例1〜13及び比較例1〜15>
実施例1〜13及び比較例1〜15の各加熱用油脂中の成分及びその含有量(率)を表1〜3に示す。
実施例1〜13の加熱用油脂は、表4(原料油脂比)に示す植物性油脂に、表5(トコフェロール類添加量)に示すトコフェロール類添加量で配合し、室温(20〜30℃)にて植物性油脂及びトコフェロール類を混合し、表1の組成になるように調整して得たものである。また、比較例1〜15の加熱用油脂も、表2〜3のように、調製した植物性油脂にトコフェロール類を配合し、調整して得たものである。使用した植物性油脂及び添加剤は、以下の通りである(表6参照)。
大豆油:「大豆白絞油」(昭和産業株式会社製)、菜種油:「キャノーラ油」(昭和産業株式会社製)、コーン油:「コーンサラダ油」(昭和産業株式会社製)、液状パーム油:「昭和パーム油」(昭和産業株式会社製)、「Eオイル600」(理研ビタミン株式会社製)、「Eオイル805」(理研ビタミン株式会社製)、「トコリット92」(エーザイフード・ケミカル株式会社製)、V.C.P:「L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル」(DSMニュートリションジャパン株式会社)、レシチン:「昭和レシチン」(昭和産業株式会社製)。
なお、表1〜3に示す下記の項目は、基準油脂分析試験法に準拠し求めた。
・α、β、γ、δ−トコフェロール、α、β、γ、δ−トコトリエノール(2−4−10−2003):蛍光検出器高速液体クロマトグラフ法によるものである。
・脂肪酸組成(2.4.2.1−1996):FID恒温ガスクロマトグラフ法によるものである。
・ヨウ素価(3.3.3−1996):ウィイスシクロヘキサン法によるものである。

0031

(1)油ハネの「掃除しやすさ」の評価
評価方法
油ハネした油脂は、油ハネの発生源であるフライ油(加熱用油脂)とほぼ同一であるので、各加熱用油脂を0.5gずつシャーレ(直径4cm)に量りとり、55℃で保存し、重合物量の推移を調べた。なお、各加熱用油脂中の重合物量(即ち、油ハネした油脂中の重合物量に相当)は、基準油脂分析試験法(暫16−2005)に準拠し求めた。
・重合物(暫16−2005):ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法によるものである。
評価基準
油ハネの「掃除しやすさ」を、油ハネした油脂中の重合物量が30%以上になるまでに要した日数を基準に、下記4段階にて、評価した。各表中の評価項目は「油ハネ」として示した。
なお、油汚れ中の重合物量が30%以上となると掃除による拭き取りが困難になるとの知見を得た。このことから、重合物量が30%以上になるまでの日数が長いほど、掃除がしやすい(掃除頻度が少なくなるや拭きとりが楽になるなど)とした。
・油ハネの「掃除しやすさ」
◎ 掃除が非常に楽 :21日間以上
○ 掃除が楽 :14〜20日間
△ 掃除がやや難 :7〜13日間
× 掃除が難 :6日間以下

0032

(2)オイルミストの「掃除しやすさ」の評価
<評価方法>
フライヤー周りを断熱材で覆って、オイルミストが上方に向かい易いようにした。油面から100cm(±5cm)の上部に簡易の換気扇及び換気扇フィルターとして不織布を設置した。各加熱用油脂を用いて、180℃(±5℃)で下記条件にて60時間フライ調理を行い、フライ調理により発生したオイルミストを、不織布にて回収した。この60時間フライ調理後の不織布をガラス瓶に入れ、クロロホルムを用いて油分を抽出後、濃縮し、オイルミストの油脂分を得た。
このオイルミストの油脂分を、0.5gずつシャーレ(直径4cm)に量りとり、55℃で保存し、重合物量の推移を調べた。なお、オイルミストの油脂分中の重合物は、基準油脂分析試験法(暫16−2005)に準拠し求めた。
・フライ条件
油量 :6.5kg
揚げ種 :コロッケ
フライ頻度:コロッケ15個/1時間×10時間/日×6日間
回転率:1.85%/時間
足し油 :10時間毎に、コロッケが吸油して減少した分量を補給した。
・重合物(暫16−2005):ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法によるものである。
<評価基準>
オイルミストの「掃除しやすさ」を、上述のとおり油汚れ中の重合物量が30%以上となると、掃除による拭き取りが困難になるとの知見に基づき、オイルミストの油脂分中の重合物量が30%以上になるまでに要した日数を基準に、下記4段階にて、評価した。各表中の評価項目は「オイルミスト」として示した。
・オイルミストの「掃除しやすさ」
◎ 掃除が非常に楽 :21日間以上
○ 掃除が楽 :14〜20日間
△ 掃除がやや難 :7〜13日間
× 掃除が難 :6日間以下

0033

(3)フライ油の着色の評価
<評価方法及び評価基準>
添加剤を配合した実施例1〜13、比較例4〜6・12〜15に示す加熱用油脂について、60時間フライ調理後の該加熱用油脂の着色を、同一の植物性油脂の配合からなる添加剤を配合していない加熱用油脂を対照品として、同一条件にて加熱した場合と比較し、下記の3段階にて評価した。
○ 対照品と比較して、同等の色相である。
△ 対照品と比較して、やや着色がある。
× 対照品と比較して、顕著に着色が強い。

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実施例

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比較例1〜3に示すように、多価不飽和脂肪酸を多く含む植物性油脂では、油ハネ及びオイルミストの重合物の生成抑制効果は全くないか、ほとんどなかった。
比較例4〜6に示すように、油汚れの掃除がしづらい植物性油脂に、γ,δ−トコフェロール主体のトコフェロール製剤を配合しても、オイルミストの重合物の生成抑制効果は小さかった。
比較例7〜11に示すように、油汚れの掃除がしづらい植物性油脂に、トコトリエノールを含む液状パーム油を配合しても、オイルミストの重合物の生成抑制効果は小さかった。 比較例12に示すように、油汚れの掃除がしづらい植物性油脂に、トコトリエノールを含む液状パーム油と、γ,δ−トコフェロール主体のトコフェロール製剤を配合しても、油脂中のγ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm未満だと、オイルミストの重合物の生成抑制効果は小さかった。
比較例13〜15に示すように、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの添加、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル+レシチンの添加では、オイルミストの重合物の生成を抑制する効果がなかった。
実施例1〜13に示すように、油汚れの掃除がしづらい植物性油脂を主成分として使用しても、加熱用油脂中の総トコフェロール+総トコトリエノール合計量が1000〜3500ppm、かつγ,δ−トコフェロールと総トコトリエノールの合計量が800ppm以上、かつ総トコトリエノールを40ppm以上となるように含むことで、顕著なオイルミストの重合物の生成抑制効果がみられた。また、総トコフェロール+総トコトリエノール合計量が多くなると油着色が強くなる傾向がみられたので、実施例5からすると、油着色の点からは、総トコフェロール+総トコトリエノール合計量が2900ppm以下であることが望ましいと考えた。
さらに、加熱用油脂中の総トコフェロール+総トコトリエノール合計量が1000〜2000ppmで、かつγ,δ−トコフェロールと総トコトリエノール合計量が総トコフェロール類全体の80質量%以上となるように含有させることで、油着色が一般的な液状油とほぼ同等であり、油ハネ及びオイルミストの重合物の生成抑制効果にて顕著な効果を示した。

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