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技術 耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板およびその製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 小島克己田中匠須藤幹人多田雅毅飛山洋一
出願日 2012年3月14日 (8年9ヶ月経過) 出願番号 2012-057439
公開日 2012年10月25日 (8年2ヶ月経過) 公開番号 2012-207305
状態 特許登録済
技術分野 薄鋼板の熱処理 内容物取出用特殊手段をもつ容器・包装体 金属圧延一般 二以上の構成要素からなる剛性容器
主要キーワード 巻き取り過程 シーリングコンパウンド ボトム材 原子量比 粗粒組織 下降伏点 A1変態 保管状況
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板およびその製造方法を提供する。

解決手段

質量%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、P:0.001〜0.100%、S:0.001〜0.020%、N:0.007〜0.025%、Al:0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}%を含有し、Mnf=Mn−1.71×S(ただし、式中Mn量S量は鋼中のMn含有量(質量%)、S含有量(質量%))とした時、Mnf:0.10%以上0.30%未満であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。板厚が0.35(mm)以下であり、鋼板下降伏強度(N/mm2)と前記板厚(mm)との積が160(N/ mm)以下であり、10%の引張予歪後、25℃において10日間の室温時効を行った際の上降伏強度(N/mm2)と前記板厚(mm)の二乗との積が52.0(N)以上である。

概要

背景

エアゾール缶には様々な構造があり、例えば、底部の素材鋼板とし、ボトム缶胴に巻き締めることによって装着したものがある。ボトムを装着したエアゾール缶の構造を図1に示す。図1に示すエアゾール缶に装着されるボトム1は、素材を円形ブランク打ち抜き、プレス加工により所定の形状に加工し、辺縁部に設けたフランジ部を介して缶胴2に巻き締められる。缶胴2には、内容物を噴射させる機能を備えたマウンティングキャップ3、およびスプレーノズル4が合わせて装着される。

エアゾール缶内部は、内容物を噴射させるための噴射剤封入されるため、高圧の状態となっている。そのため、ボトムは、内部の圧力に耐える十分に高い耐圧強度を備える必要がある。

エアゾール缶と類似して、耐圧強度が必要な容器に用いる鋼板に関する技術として、以下のものが開示されている。

特許文献1には、耐圧強度とネックイン性に優れたDI缶表面処理原板及び製造方法が開示されている。重量%で、C:0.0100〜0.0900%、Mn:0.05〜1.00%、P:≦0.030 %、S:≦0.025 %、sol.Al:0.010〜0.100%、N:0.0005〜0.0120%、残部が鉄および不可避的不純物からなり、 原板の結晶粒度番号(以下、G.Snoと称す)が 9.5以上、Hv(10%BH)が 145以上、Hv(70%BH)が 195以下であること、及び上記成分の鋼を、CT: 660〜750 ℃、冷間圧延率:84〜91%、焼鈍温度再結晶温度〜700 ℃の箱焼鈍で、G.Sno が 9.5以上、軸比が 1.4以下の焼鈍板造り伸び率で2%以上30%以下の調質圧延で、Hv(10%BH)が145 以上、Hv(70%BH)が 195以下に調整することが開示されている。

特許文献2には、耐圧強度とネック加工性の優れたDI缶用鋼板及びその製造方法が開示されている。重量%で、C:0.01〜0.08%、Mn:0.5%以下、Sol Al:0.20%以下、N:0.01%以下、必要に応じて、0.1%以下のS、Cr、Cu、Niの少なくとも1種及び/又は0.1%以下のTi、Nbの少なくとも1種を含有し、固溶C量が5〜25ppm であり、L方向のYPが30〜44Kgf/mm2であり、L方向とC方向のYPの差が2Kgf/mm2 以下のDI缶用鋼板であり、上記成分の熱延板冷延再結晶後60℃/秒以上で冷却し、300〜450℃に30〜180秒保定し、その後湿式圧延率:3〜12%の調質圧延する製造方法が開示されている。

特許文献3には、加工性に有利な粗粒組織硬質粒界強度の高い細粒組織とを、ハイブリッド化した、フランジ加工時に割れが少なくかつ缶強度が高いDI缶用鋼板及びその製造方法が開示されている。特許文献3のDI缶用鋼板は、重量%で、C:0.01〜0.08%、Al:0.03〜0.12%、N:0.001〜0.008%を含有し、かつ、製品板断面方向のJIS結晶粒度番号が、表層及び裏層から5〜25%深さの板厚部分は#11.5以上の細粒組織で占められ、内層残部は#11.0未満の粗粒組織からなる2層組織で構成される。そして、製造方法は、連続鋳造鋼片を素材とし、表層部が中心部よりも温度差が20℃以上高く、かつ、表面温度が1000〜1200℃となるように加熱して熱間圧延する。

特許文献4には、極薄容器用鋼板で製造された容器の耐変形性成形性を両立した鋼板およびその製造方法が開示されている。質量%でC:0.0800%以下、N:0.0600%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.10%以下、S:0.05%以下、Al:2.0%以下を含有し、残部Feを主体としてなる鋼を、冷延し、再結晶焼鈍またはその後の熱処理雰囲気、温度、時間等を調整して行うとともに熱処理前に適当な表面処理を行うことで、鋼中N量の変化、特に表層部と中心層部、さらには鋼板表面から見た部位についてN量および硬度を適当な異なる範囲に制御する技術が開示されている。

特許文献5には、極薄容器用鋼板で製造された容器の耐変形性と缶成形性を両立した鋼板およびその製造方法が開示されている。質量%でC:0.02〜0.08重量%、Si:0.02重量%以下、Mn:0.05〜0.30重量%、P:0.025重量%以下、S:0.025重量%以下、N:0.003〜0.02重量%、Al:0.02〜0.15重量%、残部はFeおよび不可避的不純物からなる連鋳スラブを常法で熱間圧延を行い、570〜670℃で巻取り、且つ(Ntotal-NasAlN)量が0.003〜0.010重量%以下とする2ピース缶用鋼板に関する技術が開示されている。

概要

耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板およびその製造方法を提供する。質量%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、P:0.001〜0.100%、S:0.001〜0.020%、N:0.007〜0.025%、Al:0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}%を含有し、Mnf=Mn−1.71×S(ただし、式中Mn量S量は鋼中のMn含有量(質量%)、S含有量(質量%))とした時、Mnf:0.10%以上0.30%未満であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。板厚が0.35(mm)以下であり、鋼板の下降伏強度(N/mm2)と前記板厚(mm)との積が160(N/ mm)以下であり、10%の引張予歪後、25℃において10日間の室温時効を行った際の上降伏強度(N/mm2)と前記板厚(mm)の二乗との積が52.0(N)以上である。なし

目的

以上のように、耐圧強度の向上に関しては主にDI缶のボトム部に着目した技術が提案されているが、DI缶とは加工および熱処理条件が異なるエアゾール缶のボトム材に関して、耐圧強度の向上を目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

質量%で、C: 0.02〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、P:0.001〜0.100%、S:0.001〜0.020%、N:0.007〜0.025%、Al:0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}%を含有し、Mnf=Mn−1.71×S(ただし、式中Mn量S量は鋼中のMn含有量(質量%)、S含有量(質量%))とした時、Mnf:0.10%以上0.30%未満であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、板厚が0.35mm以下であり、鋼板下降伏強度(N/mm2)と前記板厚(mm)との積が160(N/ mm)以下、鋼板に10%の引張予歪を施した後、25℃において10日間の室温時効を行った際の上降伏強度(N/mm2)と、前記板厚(mm)の二乗との積が52.0(N)以上であることを特徴とする耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板

請求項2

さらに、質量%で、前記Alは、0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}かつ{3.0×N(%)}%であり、Nf={N− N as AlN}/N(ただし、式中N量は鋼中のN含有量(質量%)、N as AlNはAlNとして存在するN量(質量%))とした時、Nf:0.65以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板。

請求項3

質量%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、P:0.001〜0.100%、S:0.001〜0.020%、N:0.007〜0.025%、Al:0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}%を含有し、Mnf=Mn−1.71×S(ただし、式中Mn量、S量は鋼中のMn含有量(質量%)、S含有量(質量%))とした時、Mnf:0.10%以上0.30%未満であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼を溶製し、連続鋳造によってスラブとし、1150℃以上の温度にスラブを再加熱した後、巻取り温度を620℃未満として熱間圧延を行い、酸洗冷間圧延した後、再結晶焼鈍し、伸張率3%未満で調質圧延を行うことを特徴とする耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板の製造方法。

請求項4

前記成分組成において、前記Alは、0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}かつ{3.0×N(%)}%であり、Nf={N− N as AlN}/N(ただし、式中N量は鋼中のN含有量(質量%)、N as AlNはAlNとして存在するN量(質量%))とした時、Nf:0.65以上であることを特徴とする請求項3に記載の耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、エアゾール缶ボトム用鋼板およびその製造方法に関するもので、特に耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板およびその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

エアゾール缶には様々な構造があり、例えば、底部の素材鋼板とし、ボトム缶胴に巻き締めることによって装着したものがある。ボトムを装着したエアゾール缶の構造を図1に示す。図1に示すエアゾール缶に装着されるボトム1は、素材を円形ブランク打ち抜き、プレス加工により所定の形状に加工し、辺縁部に設けたフランジ部を介して缶胴2に巻き締められる。缶胴2には、内容物を噴射させる機能を備えたマウンティングキャップ3、およびスプレーノズル4が合わせて装着される。

0003

エアゾール缶内部は、内容物を噴射させるための噴射剤封入されるため、高圧の状態となっている。そのため、ボトムは、内部の圧力に耐える十分に高い耐圧強度を備える必要がある。

0004

エアゾール缶と類似して、耐圧強度が必要な容器に用いる鋼板に関する技術として、以下のものが開示されている。

0005

特許文献1には、耐圧強度とネックイン性に優れたDI缶表面処理原板及び製造方法が開示されている。重量%で、C:0.0100〜0.0900%、Mn:0.05〜1.00%、P:≦0.030 %、S:≦0.025 %、sol.Al:0.010〜0.100%、N:0.0005〜0.0120%、残部が鉄および不可避的不純物からなり、 原板の結晶粒度番号(以下、G.Snoと称す)が 9.5以上、Hv(10%BH)が 145以上、Hv(70%BH)が 195以下であること、及び上記成分の鋼を、CT: 660〜750 ℃、冷間圧延率:84〜91%、焼鈍温度再結晶温度〜700 ℃の箱焼鈍で、G.Sno が 9.5以上、軸比が 1.4以下の焼鈍板造り伸び率で2%以上30%以下の調質圧延で、Hv(10%BH)が145 以上、Hv(70%BH)が 195以下に調整することが開示されている。

0006

特許文献2には、耐圧強度とネック加工性の優れたDI缶用鋼板及びその製造方法が開示されている。重量%で、C:0.01〜0.08%、Mn:0.5%以下、Sol Al:0.20%以下、N:0.01%以下、必要に応じて、0.1%以下のS、Cr、Cu、Niの少なくとも1種及び/又は0.1%以下のTi、Nbの少なくとも1種を含有し、固溶C量が5〜25ppm であり、L方向のYPが30〜44Kgf/mm2であり、L方向とC方向のYPの差が2Kgf/mm2 以下のDI缶用鋼板であり、上記成分の熱延板冷延再結晶後60℃/秒以上で冷却し、300〜450℃に30〜180秒保定し、その後湿式圧延率:3〜12%の調質圧延する製造方法が開示されている。

0007

特許文献3には、加工性に有利な粗粒組織硬質粒界強度の高い細粒組織とを、ハイブリッド化した、フランジ加工時に割れが少なくかつ缶強度が高いDI缶用鋼板及びその製造方法が開示されている。特許文献3のDI缶用鋼板は、重量%で、C:0.01〜0.08%、Al:0.03〜0.12%、N:0.001〜0.008%を含有し、かつ、製品板断面方向のJIS結晶粒度番号が、表層及び裏層から5〜25%深さの板厚部分は#11.5以上の細粒組織で占められ、内層残部は#11.0未満の粗粒組織からなる2層組織で構成される。そして、製造方法は、連続鋳造鋼片を素材とし、表層部が中心部よりも温度差が20℃以上高く、かつ、表面温度が1000〜1200℃となるように加熱して熱間圧延する。

0008

特許文献4には、極薄容器用鋼板で製造された容器の耐変形性成形性を両立した鋼板およびその製造方法が開示されている。質量%でC:0.0800%以下、N:0.0600%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.10%以下、S:0.05%以下、Al:2.0%以下を含有し、残部Feを主体としてなる鋼を、冷延し、再結晶焼鈍またはその後の熱処理雰囲気、温度、時間等を調整して行うとともに熱処理前に適当な表面処理を行うことで、鋼中N量の変化、特に表層部と中心層部、さらには鋼板表面から見た部位についてN量および硬度を適当な異なる範囲に制御する技術が開示されている。

0009

特許文献5には、極薄容器用鋼板で製造された容器の耐変形性と缶成形性を両立した鋼板およびその製造方法が開示されている。質量%でC:0.02〜0.08重量%、Si:0.02重量%以下、Mn:0.05〜0.30重量%、P:0.025重量%以下、S:0.025重量%以下、N:0.003〜0.02重量%、Al:0.02〜0.15重量%、残部はFeおよび不可避的不純物からなる連鋳スラブを常法で熱間圧延を行い、570〜670℃で巻取り、且つ(Ntotal-NasAlN)量が0.003〜0.010重量%以下とする2ピース缶用鋼板に関する技術が開示されている。

先行技術

0010

特開平7−278744号公報
特開平8−311609号公報
特開平10−17993号公報
特開2004−323906号公報
特開平4−350146号公報

発明が解決しようとする課題

0011

特許文献1は、伸び率10%の追加圧予歪および210℃×5min の熱処理によるBH熱処理を行った後のHv値であるHv(10%BH)を規定することで耐圧強度を確保する技術である。確かに、DI缶の場合は10%の追加圧延に相当するボトム加工の後に、塗装焼付けのために210℃で5min程度の加熱が行われるため、前記の方法で特性を評価することには妥当性がある。しかし、図1に示したエアゾール缶のボトムは塗装および焼付け後にボトムの加工が行われるため、前記の評価方法では特性を評価し得ない。また、特許文献1の技術は箱焼鈍で製造するものであるが、この焼鈍方法材質均質性生産性に課題がある。

0012

特許文献2は、固溶C量を規定して焼付け硬化性を制御するとともに、湿式で3〜12%の調質圧延とすることで所定の機械特性を得る技術である。しかし、エアゾール缶のボトムは前記のように焼付け硬化による強度上昇が見込めないこと、および、湿式で3〜12%の調質圧延を行うことは、焼鈍ラインと同一の調質圧延設備では湿式と乾式との操業切り替えによる生産性の劣化を招き、また焼鈍ラインと別の調質圧延設備では工程の増加によるコスト上昇を招くため、好ましくない。

0013

特許文献3は、製品板断面方向における表層および裏層と内層とでJIS結晶粒度番号が異なる粗粒組織からなる2層組織で構成される鋼板であるが、変動要素が大きい連続鋳造片の表層部と中心部の温度を厳格に管理する必要があり、工業的な生産性に課題がある。

0014

特許文献4は、容器の耐変形性と缶成形性を両立させた鋼板に関するもので、鋼板の表層部と中心層部でN量および硬度を制御するものである。しかし、窒化雰囲気での再結晶焼鈍が必要であり、工業的な生産性に課題がある。
特許文献5は、鋼中にNを多く添加した連鋳製Alキルド鋼を用い、固溶Nを多く残存させることで鋼の強化を図るものである。そのため、熱間圧延後の中温巻取りによって固溶Nが少なくなることを補正する目的で鋼中N量を多くしている。しかし、この技術では鋼中N量に対して固溶Nとして残存するN量が低く、必要な固溶N量に対して過剰なN量を添加する必要があり、合理的ではない。

0015

以上のように、耐圧強度の向上に関しては主にDI缶のボトム部に着目した技術が提案されているが、DI缶とは加工および熱処理条件が異なるエアゾール缶のボトム材に関して、耐圧強度の向上を目的とした技術は見受けられない。

0016

耐圧強度を高めるためには、鋼板の強度を高めることが有効である。また、耐圧強度は、ボトムの形状に影響を受け、缶の内部側に張り出した構造である必要がある。したがって、鋼板はこうした形状に加工するための加工性を備える必要がある。

0017

本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

本発明者らは、鋼板の機械特性および板厚がエアゾール缶ボトムの耐圧強度と加工性に及ぼす影響について検討した。その結果、機械特性と板厚とを特定の条件でバランスさせることによって、要求される耐圧強度と加工性を両立させることができることを知見した。すなわち、板厚と機械的特性、特に降伏強度室温時効硬化挙動を適切に制御することで、良好な加工性と高い耐圧強度を兼ね備えた鋼板が得られることを見いだした。

0019

また、経済性を考慮し板厚を限定した場合、上記の特定の条件に見合う機械特性を得るためには、通常より高いN含有量の鋼を用い、Al、Mn、S、さらにはNを特定の含有量の関係とし、また、製造条件として、スラブ加熱温度、熱間圧延の巻取り温度などを規定する必要があることも見いだした。

0020

本発明はかかる知見に基づくものであって、その要旨とするところは以下の通りである。
[1]質量%で、C: 0.02〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、P:0.001〜0.100%、S:0.001〜0.020%、N:0.007〜0.025%、Al:0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}%を含有し、Mnf=Mn−1.71×S(ただし、式中Mn量S量は鋼中のMn含有量(質量%)、S含有量(質量%))とした時、Mnf:0.10%以上0.30%未満であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、板厚が0.35mm以下であり、鋼板の下降伏強度(N/mm2)と前記板厚(mm)との積が160(N/ mm)以下、鋼板に10%の引張予歪を施した後、25℃において10日間の室温時効を行った際の上降伏強度(N/mm2)と、前記板厚(mm)の二乗との積が52.0(N)以上であることを特徴とする耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板。
[2]さらに、質量%で、前記Alは、0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}かつ{3.0×N(%)}%であり、Nf={N− N as AlN}/N(ただし、式中N量は鋼中のN含有量(質量%)、N as AlNはAlNとして存在するN量(質量%))とした時、Nf:0.65以上であることを特徴とする前記[1]に記載の耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板。
[3]質量%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、P:0.001〜0.100%、S:0.001〜0.020%、N:0.007〜0.025%、Al:0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}%を含有し、Mnf=Mn−1.71×S(ただし、式中Mn量、S量は鋼中のMn含有量(質量%)、S含有量(質量%))とした時、Mnf:0.10%以上0.30%未満であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼を溶製し、連続鋳造によってスラブとし、1150℃以上の温度にスラブを再加熱した後、巻取り温度を620℃未満として熱間圧延を行い、酸洗冷間圧延した後、再結晶焼鈍し、伸張率3%未満で調質圧延を行うことを特徴とする耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板の製造方法。
[4]前記成分組成において、前記Alは、0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}かつ{3.0×N(%)}%であり、Nf={N− N as AlN}/N(ただし、式中N量は鋼中のN含有量(質量%)、N as AlNはAlNとして存在するN量(質量%))とした時、Nf:0.65以上であることを特徴とする前記[3]に記載の耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板の製造方法。
なお、本発明において、成分組成の割合を示す%は全て質量%である。

発明の効果

0021

本発明によれば、高い耐圧強度と良好な加工性とを兼ね備えたエアゾール缶ボトム用鋼板を得ることができる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の鋼板を適用するボトムを装着したエアゾール缶の構造を示す図である。

0023

以下に本発明を詳細に説明する。
まず、成分組成について説明する。成分はすべて質量%である。

0024

C:0.02〜0.10%
本発明の鋼板は、連続鋳造、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、再結晶焼鈍、調質圧延の各工程を経て製造される鋼板である。かつ、後述する機械特性を備える必要がある。このような特性を満たす鋼板では、固溶強化元素としてのCの添加量が重要であり、C含有量の下限は0.02%とする。0.02%未満では、本発明で規定する機械特性が得られない。一方、C添加量が0.10%を超えると、過剰に硬質となるばかりか、後述するパーライト組織が形成されやすくなる。また、連続鋳造スラブ凝固過程において割れが生じやすくなる。よって、上限は0.10%とする。好ましくは0.03%以上0.07%以下である。

0025

Si:0.01〜0.5%
Siは固溶強化により鋼を高強度化させる元素である。この効果を発現させるためには、0.01%以上添加する必要がある。一方、多量に添加すると耐食性が著しく損なわれる。そのため、0.01%以上0.5%以下とする。

0026

P:0.001〜0.100%
Pは固溶強化能が大きい元素であるが、多量に添加すると耐食性が著しく損なわれる。よって、上限は0.100%とする。一方、Pを0.001%未満とするには脱リンコストが過大となる。よって、下限は0.001%とする。

0027

S:0.001〜0.020%
Sは高炉原料由来不純物であり、鋼中のMnと結合してMnSを生成する。高温において粒界にMnSが析出し、脆化の原因となるため、上限は0.020%とする。一方、Sを0.001%未満とするには脱硫コストが過大となる。よって、下限は0.001%とする。

0028

N:0.007〜0.025%
Nは固溶強化および後述する歪時効硬化に寄与する元素である。これらの効果を発現させるためには、0.007%以上添加する必要がある。一方、多量に添加すると、歪時効硬化への効果が飽和し有効に作用しないばかりか、熱間延性の劣化を招く。よって、上限は0.025とする。

0029

Al:0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}%、好適には0.01〜{-4.2×N(%)+0.11}かつ{3.0×N(%)}%
Alは、脱酸剤として作用し、鋼の清浄度を高めるために必要な元素である。また、本発明においては、機械特性を確保するために固溶Nを利用する。一方、Alは鋼中のNと結合してAlNを形成する。以上より、AlNの過剰な析出を抑制する必要があり、Al量の上限を規定する必要がある。AlNの析出量は、Al量、N量、また、スラブ凝固からスラブ再加熱の過程での熱履歴、および、熱間圧延の巻き取り過程での熱履歴で決まる。後述の製造条件との組み合わせにより、AlNの析出を抑制する条件を検討した結果、Al量の上限はN量との関係において{-4.2×N(%)+0.11}%と限定する。さらに、上限は{-4.2×N(%)+0.11}%以下に加えて、{3.0×N(%)}%以下とすることが好ましい。{-4.2×N(%)+0.11}%とすることで、スラブ段階で生じたAlNの溶解を促進して固溶Nを確保することができる。また、{3.0×N(%)}%以下とすることで、熱延段階でのAlNの析出を回避して固溶Nを確保することができる。このように上限を{-4.2×N(%)+0.11}かつ{3.0×N(%)}%とし、後述する製造条件を組み合わせることで、本発明の好適条件として規定するNf、つまり添加Nに対する固溶Nの割合を高めることができる。その結果、ボトム加工とその後の室温時効による歪時効硬化に対して有効に作用する固溶Nを確保することができる。
一方で、Al量が0.01%未満となるような鋼では、脱酸不足となって鋼の清浄度が劣化するため、下限は0.01%とする。尚、本発明におけるAlは酸可溶Alである。

0030

Mnf=Mn−1.71×S(ただし、式中Mn量、S量は鋼中のMn含有量(質量%)、S含有量(質量%))とした時、Mnf:0.10%以上0.30%未満
Mnは固溶強化、結晶粒細粒化により鋼の強度を増加させる。しかし、MnはSと結合してMnSを形成するので、固溶強化に寄与するMn量は、添加Mn量からMnSを形成しうるMn量を差し引いた量と見なされる。MnとSの原子量比を考慮すると、固溶強化に寄与するMn量はMnf=Mn−1.71×Sと表すことができる。Mnfが0.30以上では、結晶粒径を小さくする効果が顕著に生じ、過剰に硬化する。よって、Mnfは0.30%未満とする。一方、Mnfが0.10未満になると軟化して必要な強度が得られなくなる。よって、Mnfは0.10以上とする。

0031

Nf={N− N as AlN}/N(ただし、式中N量は鋼中のN含有量(質量%)、N as AlNはAlNとして存在するN量(質量%))とした時、Nf:0.65以上(好適条件)
本発明は固溶Nによる歪時効硬化の発現を利用するものであるため、上記の鋼中Nのうち固溶状態となるN量を多く確保する必要がある。鋼中Nに対する固溶Nの割合を示す指標であるNfを0.65以上とする固溶量を確保することで、より一層耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板が得られる。尚、N as AlN は、10%-Brメタノール抽出法により測定することができる。

0032

残部はFeおよび不可避的不純物とする。

0033

なお、本発明の鋼板はパーライト組織を含まない組織であることが望ましい。パーライト組織とはフェライト相セメンタイト相が層状に析出した組織であり、粗大なパーライト組織が存在すると、変形時に応力集中によるクラック発生起点となる恐れがある。エアゾール缶ボトムが缶胴に巻き締めによって装着される際、このようなクラックの発生起点が存在すると巻き締め部の割れに至る可能性がある。

0034

次に、本発明の板厚と機械特性の関係について、説明する。
鋼板の板厚と機械特性の関係を特定の関係でバランスさせることは耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板を得る点から重要である。特に、耐圧強度を確保する上で、鋼板の室温歪時効硬化挙動の限定が必要である。

0035

エアゾール缶ボトムは缶内部の圧力に耐える構造とするため、缶内部に張り出した形状に加工される。この加工によって、鋼板には歪が導入される。歪の導入は鋼板の強度を向上させるため、エアゾール缶ボトムの耐圧強度の向上に寄与する。しかし、歪のみで耐圧強度を必要なレベルにまで向上させるためには、加工度を非常に高くする必要がある。一方、高い加工度を得るためには鋼板が軟質であることが必要であるが、これは耐圧強度の低下につながる。こうした矛盾を克服するために本発明者らが着目したのが歪時効硬化である。つまり、加工度による歪の導入の後に、時効により鋼板を硬化させることである。

0036

鋼板の歪時効硬化は、一般には意図的な熱処理によって発現させる。例えば、加工後に塗装焼付けを行う。そのため、鋼板の歪時効硬化挙動を評価するには、所定の加工を施したのち、塗装焼付けを想定した170〜220℃程度の温度において数分から数十分の処理という、意図的な熱処理を施す手段が採られていた。

0037

一方、エアゾール缶ボトムの製造において加工後に行われる熱処理は、シーリングコンパウンドを乾燥させるため数十度で数分の処理であり、非常に軽微なものである。かつ、エアゾール缶ボトムは、加工後直ちにではなく、室温で保管された後に実際の使用に供される。つまり、エアゾール缶ボトムでは、室温時効が主たる時効過程となる。

0038

よって、エアゾール缶ボトムに用いられる鋼板の歪時効硬化挙動を評価するには、比較的高温長時間の熱処理を行う従来の手段は過剰な熱履歴を与えることになるために適切ではない。以上の検討の結果から、本発明では、実際のエアゾール缶ボトムの加工、および実際の使用に供されるまでの時効過程、およびその際の耐圧強度の実績を参考に、歪時効硬化挙動の指標として室温歪時効に着眼した。具体的には、鋼板に10%の引張予歪を施した後、25℃において10日間の室温時効を行った後の降伏強度を歪時効硬化挙動の指標とする。

0039

ここで、鋼板に10%の引張予歪を施すのは、ボトム加工の歪を再現するためである。この条件を決定するにあたり、本発明者は各種のエアゾール缶ボトムを実際に加工して、その加工度を調査した。まず、ボトムの素材となる円形板に、その中心を通る複数の線を円周方向に15°のピッチマークし、さらに、複数の同心円を半径方向に5 mmのピッチでマークし、これを実際のボトムに加工した。加工の後、マークに基づいて加工によるボトム半径方向の歪、および周方向の歪をボトムの各位置において算出した。また、両者の歪から体積一定の条件において板厚方向の歪を算出した。その結果、各種のボトムにおいて、最も高い加工度は相当歪で概ね0.1程度であるという知見を得た。相当歪0.1は、一軸の引張による加工では10%の伸びに相当する。この結果より、ボトム加工の歪を再現する加工として、10%の引張予歪を採用する。尚、本発明の引張は、JIS Z 2201「金属材料引張り試験片」に規定された5号試験片を用い、JIS Z 2241 「金属材料引張り試験方法」に準じて行うことができる。10%の伸びは、ゲージ長50mmを基準とした際の伸びを採用する。また、引張試験の引張方向は、鋼板の圧延方向とする。一般に、鋼板の降伏強度は圧延方向で最も低く、ボトムの耐圧強度を考慮する場合は最も降伏強度が低い方向を考慮することが耐圧強度の下限値を与えるためである。

0040

本発明において、時効温度を25℃、および時効時間を10日間としたのは、実際のボトムの使用状況に基づくものである。つまり、ボトムは加工の後に一定期間保管され、その後に使用に供される。この保管状況および使用に供される状況を調査した結果、温度は平均25℃であり、期間は平均10日であることが判明した。よって、上記の条件を時効温度、時効時間として定めることとする。

0041

また、その評価における降伏強度は上降伏強度とする。これは、本発明者の実験結果において、ボトムの耐圧強度が下降伏点よりも上降伏点とより高い相関係数で再現されるという知見に基づくものである。

0042

前記の室温歪時効後の上降伏強度が高いほど、耐圧強度は高くなるが、耐圧強度は上降伏強度以外にも板厚に影響される。本発明者の実験の結果、板厚はその二乗によって耐圧強度に影響することがわかった。よって、本発明では室温歪時効後の上降伏強度と板厚の二乗の積を限定する。具体的には、エアゾール缶ボトムで実用上最も直径の大きい呼び径211径(大まかには2と16分の11インチ)における耐圧強度が1.65MPa以上となる条件として、室温歪時効後の上降伏強度と板厚の二乗の積を52.0N以上と限定する。尚、同じ素材を用いた場合でもボトムの直径が小さいほど耐圧強度は高くなるため、上記の評価指標は直径が211径よりも小さい径のボトムに用いる鋼板に適用した場合にも耐圧強度が不足することはない。

0043

以上の議論によれば、エアゾール缶ボトムに用いる鋼板は、厚ければ厚いほど、また強度が高ければ高いほど望ましいことになる。しかし、過剰な板厚、強度はボトムの加工性を劣化させる原因となる。具体的には、ボトムが正規の形状に加工されないことや、ボトムの加工工程において、加工工具損耗、あるいは損傷の頻発などを招く。これらは、過剰な板厚および強度によって鋼板の変形抵抗が高まり、加工工具に高い負荷がかかることを原因とする。したがって、これを避けるためには加工性の点から板厚、強度を適切に限定する必要がある。

0044

ボトムの加工における変形抵抗は、鋼板の板厚、強度、およびボトムのサイズに依存する。鋼板の強度としては、ボトム加工前の鋼板の下降伏強度が影響する。これは、ボトムが上降伏点の出現する歪以上の高い加工度で加工されるためであると考えられる。また、変形抵抗を考慮するため、下降伏強度に加えて板厚およびボトムの径を考慮する必要がある。つまり、変形抵抗には下降伏強度、板厚、およびボトムの径の積が変形抵抗に関係した指標となる。本発明では、エアゾール缶ボトムで実用上最も直径の大きいサイズである呼び径211径における実際の加工の際にも、前記の不具合許容できる範囲に抑制できる条件として、ボトムの径を予め考慮した指標として、ボトム加工前の鋼板の板厚、下降伏強度の積を160N/mm以下と限定する。
尚、同じ素材を用いた場合でもボトムの直径が小さいほど変形抵抗は低くなるため、上記の評価指標は直径が211径よりも小さい径のボトムに用いる鋼板に適用した場合にも変形抵抗が過剰になることはない。

0045

一方、エアゾール缶ボトムは前記の耐圧強度、加工性に加え、さらに経済性も考慮して設計される必要がある。つまり、過剰な板厚はボトムの素材である鋼板のコストを増加させる。この観点から、本発明では鋼板の板厚は0.35mm以下に限定する。

0046

次に、本発明の耐圧強度が高く加工度に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板の製造方法について、説明する。
本発明の鋼板は、連続鋳造、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、再結晶焼鈍、調質圧延、必要に応じて表面処理の各工程を経て製造される。詳細を以下に説明する。

0047

上述した成分組成を有する鋼を溶製し、連続鋳造によってスラブとする。
連続鋳造では、垂直曲げ型または湾曲型の連続鋳造機によりスラブを作製する際に、スラブに曲げあるいは曲げ戻し変形が加えられる領域におけるスラブコーナー部表面温度を800℃以下または900℃以上とすることが好ましい。これにより、スラブ横断面における長辺および短辺の角部での割れを回避することができる。

0048

連続鋳造後のスラブに対し、スラブ加熱温度を1150℃以上とする再加熱を行う。
1150℃以上の温度でスラブを再加熱することにより、スラブ冷却の過程で析出したAlNを溶解させることができる。

0049

次いで、スラブを熱間圧延する。この際、熱間圧延における仕上げ温度はAr3点以上の温度とすることが望ましい。巻取り温度は620℃未満とする。
仕上げ圧延後巻取温度が620℃以上では、AlNが析出し、本発明におけるNの効果が得られない。尚、過剰な硬質化を避けるためには、巻取り温度は540℃以上であることが望ましい。

0050

熱間圧延後、冷却した熱延鋼帯に対し、スケール除去のため酸洗を施す。
酸洗は硫酸法、塩酸法などの常法にしたがって行うことができる。

0051

次いで、冷間圧延を行う。
冷間圧延は80%以上の圧延率で行うことが好ましい。これは、熱間圧延後に生成するパーライト組織を破砕するためであり、冷間圧延率が80%未満であるとパーライト組織が残存する可能性がある。圧延率の上限は、過大な圧延率による圧延機の負荷の増大とそれに伴う圧延不良の発生を避けるため、95%が好ましい。

0052

冷間圧延の後に再結晶焼鈍を施す。
再結晶焼鈍は連続焼鈍が好ましい。箱焼鈍では固溶NがAlNとして析出し、本発明で必要な室温歪時効硬化が得られなくなる場合がある。また、焼鈍温度はA1変態点未満とすることが好ましい。焼鈍温度をA1変態点以上とすると、焼鈍中にオーステナイト相が生成し、ボトムの加工時に割れの起点となる可能性のあるパーライト組織が形成される場合があるためである。

0053

焼鈍後に、伸張率3%未満で調質圧延を行う。
鋼板表面に所定の機械特性、表面粗さを付与するために調質圧延を行う。この際の伸張率が3%以上となると、加工硬化によって鋼板が過剰に硬質化するため、伸張率は3%未満とする。

0054

上記により製造された鋼板は表面処理鋼板用の原板として使用される。本発明の効果に表面処理の種類は影響しないため、表面処理の種類は問わない。代表的な缶用表面処理の例としては、錫めっきぶりき)、クロムめっきティンフリースチール)などの金属、金属酸化物金属水酸化物無機塩等の被覆処理、さらにそれらの処理の上層有機樹脂皮膜被覆、例えばラミネート処理などがある。これらの表面処理において、鋼板に対して加熱処理が施される場合があり、鋼板はそれによる時効を受ける。また、鋼板がボトムに加工される前の期間において保管される際にも、保管温度および期間に応じた時効を受ける。さらに、鋼板に対して塗装を行う場合にも時効を受ける。しかし、これらの原板状態での時効は本発明の効果には影響を及ぼさないことは確認されている。

0055

以上により、本発明の耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板が製造される。

0056

以下、実施例について説明する。
表1に示す成分組成からなる鋼を溶製し、表2に示す条件で熱間圧延、冷間圧延、再結晶焼鈍、調質圧延を行った。
その後、表2の記号a1、a2、d1、d2、f1、f2、i1、j1、j2、k1、k2、l1、l2、l3については、表面処理としてクロムめっきを施したティンフリースチールとし、さらにPETフィルムラミネートしてラミネート鋼板とした。表2における上記以外のものは、表面処理として錫めっきを施したぶりきとし、さらに塗装および焼付け処理を施した。
以上により得られた鋼板に対し、JIS Z 2201「金属材料引張り試験片」に規定された5号試験片を用い、JIS Z 2241 「金属材料引張り試験方法」に準じた引張試験により、下降伏強度(YP)を測定した。また、鋼板に10%の引張り予歪を施した後、25℃において10日の室温時効を行った後の上降伏強度(YP*)を測定した。そして、下降伏強度(YP)および上降伏強度(YP*)の測定結果をもとに、下降伏強度(N/mm2)と板厚(mm)との積(t・YP)、および、10%の引張予歪後に25℃において10日間の室温時効を行った際の上降伏強度(N/mm2)と板厚(mm)の二乗との積(t2・YP*)を求めた。
得られた結果を表3に示す。
なお、表1に、成分組成に対して本発明の規定(好適条件も含む)である{-4.2×N(%)+0.11}、{3.0×N(%)}、Mnf=Mn−1.71×Sのそれぞれを算出した結果を、表3にNf={N− N as AlN}/Nの算出した結果を併せて示す。

0057

0058

0059

実施例

0060

表3より、本発明例では、(t・YP)と(t2・YP*)のいずれも本発明範囲内であり、耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板が得られている。

0061

1ボトム
2缶胴
3マウンティングキャップ
4 スプレーノズル

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