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技術 靭性に優れた熱間工具鋼

出願人 日立金属株式会社
発明者 片岡公太中野洋佑
出願日 2012年2月28日 (8年10ヶ月経過) 出願番号 2012-041512
公開日 2012年10月11日 (8年2ヶ月経過) 公開番号 2012-193451
状態 特許登録済
技術分野
  • -
主要キーワード 補完効果 関係量 押出工具 熱間工具 冷間工具鋼 溶質原子 エネルギー使用量 元素種
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年10月11日)のものです。
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図面 (5)

課題

靭性を向上した熱間工具鋼を提供する。

解決手段

質量%で、C:0.3〜0.6%未満、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.0〜6.0%未満を含む熱間工具鋼であって、Zn:0.0025超〜0.025%、P:0.005%以上であり、かつZn/P:0.5超の熱間工具鋼である。好ましくはP:0.01%以上である。また必要に応じて、MoおよびWは単独または複合で(Mo+1/2W):3.5%以下、あるいはさらにV:1.5%以下を含んでもよい。

概要

背景

熱間工具は、高温被加工材硬質な被加工材と接触しながら使用されるため、熱疲労や衝撃に耐え得る強度と靭性を兼ね備えている必要がある。そのため、従来、熱間工具の分野で用いられる鋼種(以下、熱間工具鋼という。)には、例えばJIS鋼種であるSKD61系の合金工具鋼が用いられていた。そして、熱間工具鋼を構成する主要元素添加量を見直して、さらにAs、Bi、Sn、Zn、Sb等の多種の不純物規制管理したことで、熱間工具鋼の靭性を向上した手法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、多種の不純物元素をそれぞれ規定された範囲内に調整することは、製造コストの向上に繋がり得る。

これに対して、本発明者は、高価で特殊な元素の添加によらず、鉄鋼材料の分野では合金として積極的に添加されてこなかった元素について鋭意調査を行った結果、従来は不純物として扱われていたZnを所定の含有量の範囲に添加することによって靭性を大きく改善できることを見いだした(特許文献2参照)。すなわち、質量%で、C:0.3〜0.55%未満、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.00〜5.65%を含む熱間工具鋼であって、Zn:0.001〜0.015%の熱間工具鋼である。

概要

靭性を向上した熱間工具鋼を提供する。 質量%で、C:0.3〜0.6%未満、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.0〜6.0%未満を含む熱間工具鋼であって、Zn:0.0025超〜0.025%、P:0.005%以上であり、かつZn/P:0.5超の熱間工具鋼である。好ましくはP:0.01%以上である。また必要に応じて、MoおよびWは単独または複合で(Mo+1/2W):3.5%以下、あるいはさらにV:1.5%以下を含んでもよい。

目的

本発明の目的は、環境負荷の軽減が可能な靭性に優れた熱間工具鋼を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

質量%で、C:0.3〜0.6%未満、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.0〜6.0%未満を含む熱間工具鋼であって、Zn:0.0025超〜0.025%、P:0.005%以上であり、かつZn/P:0.5超であることを特徴とする靭性に優れた熱間工具鋼。

請求項2

質量%で、MoおよびWは単独または複合で(Mo+1/2W):3.5%以下を含むことを特徴とする請求項1に記載の靭性に優れた熱間工具鋼。

請求項3

質量%で、V:1.5%以下を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の靭性に優れた熱間工具鋼。

請求項4

質量%で、C:0.3〜0.6%未満、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Ni:1.5%以下(0%を含む)、Cr:3.0〜6.0%未満、MoおよびWは単独または複合で(Mo+1/2W):3.5%以下、V:1.5%以下、Nb:0.3%以下(0%を含む)、Co:5.0%以下(0%を含む)、Zn:0.0025超〜0.025%、P:0.005%以上であり、かつZn/P:0.5超であって、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の靭性に優れた熱間工具鋼。

請求項5

質量%で、P:0.01%以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の靭性に優れた熱間工具鋼。

技術分野

0001

本発明は、プレス金型鍛造金型ダイカスト金型押出工具といった多種の熱間工具に供して最適な、靭性を向上させた熱間工具鋼に関するものである。

背景技術

0002

熱間工具は、高温被加工材硬質な被加工材と接触しながら使用されるため、熱疲労や衝撃に耐え得る強度と靭性を兼ね備えている必要がある。そのため、従来、熱間工具の分野で用いられる鋼種(以下、熱間工具鋼という。)には、例えばJIS鋼種であるSKD61系の合金工具鋼が用いられていた。そして、熱間工具鋼を構成する主要元素添加量を見直して、さらにAs、Bi、Sn、Zn、Sb等の多種の不純物規制管理したことで、熱間工具鋼の靭性を向上した手法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、多種の不純物元素をそれぞれ規定された範囲内に調整することは、製造コストの向上に繋がり得る。

0003

これに対して、本発明者は、高価で特殊な元素の添加によらず、鉄鋼材料の分野では合金として積極的に添加されてこなかった元素について鋭意調査を行った結果、従来は不純物として扱われていたZnを所定の含有量の範囲に添加することによって靭性を大きく改善できることを見いだした(特許文献2参照)。すなわち、質量%で、C:0.3〜0.55%未満、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.00〜5.65%を含む熱間工具鋼であって、Zn:0.001〜0.015%の熱間工具鋼である。

先行技術

0004

特開2003−155540号公報
特開2007−224418号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献2で提案したZn添加の技術は、熱間工具鋼の靭性を向上する新たな手法として、有効である。そして、特許文献2の手法を利用することで、Znめっきされた鋼のスクラップリサイクル原料として利用でき、環境負荷の軽減にも好適である。本発明者は、この積極的なZn添加による靭性向上効果に着目して、他の不純物元素による靭性の劣化を補い得る可能性を検討した。これら不純物元素の許容量を適正に高めることができれば、今後排出量が増加すると予想されている不純物含有量の多い低級スクラップの使用率を増加させつつ、不純物除去にかかるエネルギー使用量を低減でき、熱間工具鋼の製造過程でおよぼす環境への負荷を更に低減できる。

0006

本発明の目的は、環境負荷の軽減が可能な靭性に優れた熱間工具鋼を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、熱間工具鋼に含まれる不純物元素の、靭性および環境に及ぼす影響を調べた。その結果、特にP(リン)は、熱間工具鋼の靭性を大きく下げる元素であり、かつ、除去にかかるエネルギーが大きく、そしてこれらの理由から低級スクラップの使用促進も停滞させる、環境への負荷が大きい元素である知見を得た。そこで、この環境負荷を下げるために、Pの許容量を上げても十分な靭性が維持できる手法を検討した。その結果、P含有量の増加による靭性の劣化は、該P含有量に対する適正量のZn添加によって補えることを突きとめた。そして、この靭性の補完効果が十分に利用できる具体的なPとZnの関係量を明確にできたことで、本発明に到達した。

0008

すなわち本発明は、質量%で、C:0.3〜0.6%未満、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.0〜6.0%未満を含む熱間工具鋼であって、Zn:0.0025超〜0.025%、P:0.005%以上であり、かつZn/P:0.5超であることを特徴とする靭性に優れた熱間工具鋼である。好ましくは、P:0.01%以上である。また必要に応じて、MoおよびWは単独または複合で(Mo+1/2W):3.5%以下、あるいはさらにV:1.5%以下を含んでもよい。

0009

具体的には、質量%で、C:0.3〜0.6%未満、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Ni:1.5%以下(0%を含む)、Cr:3.0〜6.0%未満、MoおよびWは単独または複合で(Mo+1/2W):3.5%以下、V:1.5%以下、Nb:0.3%以下(0%を含む)、Co:5.0%以下(0%を含む)、Zn:0.0025超〜0.025%、P:0.005%以上であり、かつZn/P:0.5超であって、残部Feおよび不可避的不純物からなる靭性に優れた熱間工具鋼である。好ましくは、P:0.01%以上である。

発明の効果

0010

本発明によれば、不純物として熱間工具鋼に含まれるPを極低値に管理しなくても、十分な靭性を維持できることから、低P化のためのエネルギー消費量を節約でき、環境への負荷を軽減できる。そして、熱間工具鋼の靭性を飛躍的に改善することができ、多種多様な用途・環境に適用が可能な熱間工具鋼の実用化にとって有効な技術となる。

図面の簡単な説明

0011

実施例1において、種々の硬さに調質した本発明鋼および比較鋼の室温での2mmUノッチシャルピー衝撃値を、試験片の硬さに対してプロットした図である。
実施例1において、45HRCの硬さに調質した本発明鋼および比較鋼の室温から400℃の間での2mmVノッチシャルピー衝撃値を、試験温度に対してプロットした図である。
実施例2において、種々の硬さに調質した本発明鋼および比較鋼の室温での2mmUノッチシャルピー衝撃値を、試験片の硬さに対してプロットした図である。
実施例2において、45HRCの硬さに調質した本発明鋼および比較鋼の室温から400℃の間での2mmVノッチシャルピー衝撃値を、試験温度に対してプロットした図である。

0012

本発明の特徴は、熱間工具鋼の靭性を向上するために、従来は不純物として扱われていたZnを積極的に添加するところにある。そして、靭性を大きく下げる元素であるPは、本発明の添加Zn量との関係を明確にしたことで、その含有を特定の範囲で許容するところにある。すなわち、熱間工具鋼に対しては、Znを合金元素として利用すれば、Pの含有量が多くなっても、その靭性向上の効果が発揮できることを見いだしたものである。そして、従来は極低減化が必要であったPの含有量を本発明では多く許容できることから、原材料選定においては、高級な低Pスクラップの使用量を削減でき、スクラップのリサイクルに好適である。さらに、精錬工程でのPの除去に必要なエネルギーおよび時間も低減できる。以下、本発明鋼の成分限定の理由について述べる(質量%については、単に%と表記する)。

0013

・C:0.3〜0.6%未満
Cは、一部が基地中に固溶して強度を付与し、一部は炭化物を形成することで耐摩耗性耐焼付き性を高める、熱間工具鋼に重要な必須元素である。また、固溶した侵入型原子であるCは、CrなどのCと親和性の大きい置換型原子と共添加した場合、I(侵入型原子)−S(置換型原子)効果;溶質原子引きずり抵抗として作用し、鋼を高強度化する作用も期待される。但し、過度の添加は靭性や熱間強度の低下を招く。よって、0.3〜0.6%未満とする。好ましくは0.55%未満である。

0014

・Si:1.5%以下
Siは、製鋼時の脱酸剤であるとともに、素材被削性を高める元素である。これらの効果を得るためには0.2%未満の添加でもよいが、0.2%以上の添加が好ましい。但し、多過ぎるとフェライトの生成をまねくので1.5%以下とする。

0015

・Mn:1.5%以下
Mnは、焼入性を高め、フェライトの生成を抑制し、適度の焼入れ焼戻し硬さを得る効果がある。また、非金属介在物のMnSとして存在することで、被削性の向上に大きな効果がある。これらの効果を得るためには0.1%未満の添加でもよいが、0.1%以上の添加が好ましい。但し、多過ぎると基地の粘さを上げて被削性を低下させるので1.5%以下とする。

0016

・Cr:3.0〜6.0%未満
Crは、焼入性を高め、また炭化物を形成して、基地の強化や耐摩耗性の向上に効果を有する元素である。そして、焼戻し軟化抵抗および高温強度の向上にも寄与する、本発明の熱間工具鋼に必須の元素である。但し、過度の添加は、焼入性や高温強度の低下を招く。よって、3.0〜6.0%未満とする。好ましくは5.65%以下である。

0017

・Zn:0.0025超〜0.025%
Znは、本発明にとって最も重要な添加元素であり、添加することによって靭性が顕著に向上する。そして、0.0025%を超えて添加することで、本効果を十分に得ることができる。好ましくは0.003%以上である。一方、多く添加してもその効果は頭打ちとなる。さらに、過度に添加することで粒界などに極端偏析が生じると、これは返って靱性を劣化させる要因となり得る。また、添加技術も煩雑になるので、上限は0.025%とした。好ましくは0.020%以下、さらに好ましくは0.015%以下である。

0018

・P:0.005%以上
Pは、焼戻しなどの熱処理時に旧オーステナイト粒界に偏析して粒界を脆化させる元素である。したがって、熱間工具鋼の靭性を向上するためには、通常できるだけ低く管理のされてきた不純物元素である。しかし、本発明では、上述のZn添加による靭性向上効果を最大限に利用することで、Pによる靭性の劣化分を補うことができる。そして、このために必要なZn添加の顕著な効果は、後述のP含有量に対するZn添加量の調整によって得ることができる。これによって、本発明の熱間工具鋼は0.005%以上のP含有量が許容できる。好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.02%以上であっても、十分な靭性が維持できる。

0019

・Zn/P:0.5超
本発明の熱間工具鋼では、0.005%以上のPを含有した場合でも、十分な靭性を維持できるだけのZn添加量を確保する必要がある。そのために、P含有量に対するZn添加量の調整が必要である。具体的には、Zn/Pの値を0.5超とすることで、十分な靭性を確保することができる。好ましくはZn/P:0.55超である。なお、0.55を超えるZn/P値は、0.01%以上のP、さらには0.02%以上のPを含有したときにも好ましい条件である。

0020

・好ましくは、MoおよびWは単独または複合で(Mo+1/2W):3.5%以下
MoおよびWは、焼戻しにより微細炭化物析出または凝集させて強度を付与し、軟化抵抗を向上させるために単独または複合で添加できる。この際の添加量は、WがMoの約2倍の原子量であることから、(Mo+1/2W)のMo当量一緒に規定できる(当然、いずれか一方のみの添加としても良いし、双方を共に添加することもできる)。そして、前記した効果を得るためには、(Mo+1/2W)の値で1.0%未満の添加でもよいが、1.0%以上の添加が好ましい。但し、多過ぎると被削性や靭性の低下を招くので、(Mo+1/2W)の値で3.5%以下が好ましい。

0021

・好ましくは、V:1.5%以下
Vは、炭化物を形成し、基地の強化や耐摩耗性を向上する効果を有する。また、焼戻し軟化抵抗を高めるとともに、結晶粒の粗大化を抑制し、靭性の向上に寄与する。これらの効果を得るためには0.5%未満の添加でもよいが、0.5%以上の添加が好ましい。但し、多過ぎると被削性や靭性の低下を招くので、1.5%以下とするのが好ましい。

0022

・好ましくは、Ni:1.5%以下
Niは、フェライトの生成を抑制する元素である。また、C、Cr、Mn、Mo、Wなどとともに本発明鋼に優れた焼入性を付与し、焼入時の冷却速度が緩やかな場合でもマルテンサイト主体組織を形成して、靭性の低下を防ぐための効果的元素である。さらに、基地の本質的な靭性も改善するので、本発明では必要に応じて添加する。但し、多過ぎると基地の粘さを上げて被削性が低下する。よって、添加する場合でも1.5%以下とすることが好ましい。なお、添加する場合は0.1%以上が好ましい。

0023

・好ましくは、Nb:0.3%以下
Nbは、炭化物を形成し、基地の強化や耐摩耗性を向上する効果を有する。また、焼戻し軟化抵抗を高めるとともに、結晶粒の粗大化を抑制し、靭性の向上に寄与するので、本発明では必要に応じて添加する。但し、多過ぎると被削性や靭性の低下を招く。よって、添加する場合でも0.3%以下とするのが好ましい。添加する場合は0.05%以上が好ましい。

0024

・好ましくは、Co:5.0%以下
Coは、本発明鋼を工具として使用中、その昇温時の表面に極めて緻密で密着性の良い保護酸化皮膜を形成する。この酸化皮膜は、相手材との間の金属接触を防ぎ、工具表面温度上昇を抑制するとともに、優れた耐摩耗性をもたらす。よって、本発明では必要に応じて添加する。但し、多過ぎると靭性を低下させるので、添加する場合でも5.0%以下とするのが好ましい。添加する場合は0.3%以上が好ましい。

0025

本発明のZn添加による靭性向上効果は、組織中に炭化物が多く分布すると、これに大きく阻害されて弱くなる。つまり、上記の靭性向上効果は、通常、組織中に多くの炭化物が分布する冷間工具鋼よりも、炭化物が少ない熱間工具鋼で十分に発揮される。したがって、本発明の対象は、熱間工具鋼に限定する。そして、このときの成分組成には、本発明のCおよびCr量で規定される熱間工具鋼の範疇において、例えばJIS−G−4404等に規定される成分組成の規格鋼種や、従来提案されてきた熱間工具鋼も適用できる。上記の熱間工具鋼に規定される以外の元素種も、必要に応じて添加が可能である。

0026

不可避的不純物として鋼中に残留する可能性のある主な元素は、S、Cu、Al、Ca、Mg、O(酸素)、N(窒素)等である。本発明のZn添加による作用効果を効果的に得るためには、これらの元素はできるだけ低い方が好ましい。しかし一方で、介在物形態制御や、その他の機械的特性、そして製造効率の向上といった付加的な作用効果を得るためには、多少の含有および/または添加をすることができる。この場合、S≦0.01%、Cu≦0.25%、Al≦0.025%、Ca≦0.01%、Mg≦0.01%、O≦0.01%、N≦0.03%の範囲であれば十分に許容でき、本発明の好ましい規制上限である。

0027

本発明に係る熱間工具鋼は、Zn添加による靭性向上効果を十分に発揮するための一形態として、例えば、鋳造後の鋼塊を加工して鋼材仕上げる間に均質化熱処理を施すことが好ましい。あるいはさらに、焼入れ焼戻し硬さは50HRC以下とすることが好ましい。より好ましくは48HRC以下である。

0028

真空誘導溶解炉によって、表1の成分組成を有した7〜10kgの鋼塊を溶製した。Znの添加源には、Znめっき鋼板を用いた。Zn含有量は蛍光X線分析で測定した。本発明鋼は、一般的に使用されている熱間工具鋼JIS−SKD61(P規格:0.030%以下)の成分組成に、本発明のZn/P比を満たすようZnを添加して、Pの含有量を多く許容したものである。比較鋼は、Znを添加せずに(比較鋼6を除く)、SKD61のPの含有量のみを増加したものである。なお、全ての鋼塊において、S、Cu、Al、Ca、Mg、O、Nは無添加であり(但し、Alは溶解工程における脱酸剤として添加した場合を含む。)、S≦0.01%、Cu≦0.25%、Al≦0.025%、Ca≦0.01%、Mg≦0.01%、O≦0.01%、N≦0.03%であった。

0029

0030

これらの鋼塊に1250℃で5時間の均質化熱処理を施した後、1150℃で熱間鍛造して20mm厚さ×60mm幅×約500〜800mm長さの鋼材を作製した。そして、860℃で焼なまし処理したのち、下記の評価に用いるシャルピー衝撃試験片のサイズに加工して、1030℃から油焼入れ処理し、種々の温度で焼戻し処理して、それぞれの調質硬さにおける靭性の評価試料とした。

0031

試験1]
本発明鋼1、3、5〜7および比較鋼1、3〜6について、それぞれの硬さにおける室温での2mmUノッチシャルピー衝撃試験の結果を図1に示す。シャルピー試験片は、ASTME399−90に準拠したT−L方向とした。それぞれ同水準のPを含んだ本発明鋼1、3および比較鋼1と、本発明鋼5および比較鋼3、そして本発明鋼6、7および比較鋼4の組合せにおいて、本発明のZn/P比を満たすようにZnを添加した本発明鋼1、3、5〜7は、Znを添加しなかった比較鋼1、3、4に比べて、シャルピー衝撃値が優れている。しかも、本発明鋼6は、0.02%を超える高濃度のPを含有しているにもかかわらず、Znを添加したことで、Pが0.01%未満の比較鋼1と同レベルの靭性を維持している。比較鋼6は、同水準のPを含む比較鋼5にZnを添加したものであるが、本発明のZn/Pを満たさず、靭性の向上が見られない。

0032

[試験2]
本発明鋼2、4〜7および比較鋼2〜6について、45HRCの硬さに調質したときの、室温から400℃の間での2mmVノッチシャルピー衝撃試験の結果を図2に示す。シャルピー試験片は、ASTME399−90に準拠したT−L方向とした。それぞれ同水準のPを含んだ本発明鋼2、4および比較鋼2と、本発明鋼5および比較鋼3、そして本発明鋼6、7および比較鋼4の組合せにおいて、本発明のZn/P比を満たすようにZnを添加した本発明鋼2、4〜7は、いずれの試験温度でも、同水準のPを含んだ比較鋼2〜4に比べて、シャルピー衝撃値が優れている。そして、0.02%を超える高濃度のPを含有しながらも、Znを添加したことで本発明のZn/Pを満足した本発明鋼6は、Pが0.01%未満の比較鋼2と同レベルの靭性を維持している。

0033

実施例1に記載した方法と同様の方法で、表2の成分組成を有する鋼塊を作製した。本発明鋼Aは、熱間工具鋼の成分組成に、本発明のZn/P比を満たすようZnを添加したものである。そして、比較鋼Bは、Znを添加しなかった以外は、本発明鋼Aに同等の成分組成としたものである。なお、両方の鋼塊において、S、Cu、Al、Ca、Mg、O、Nは無添加であり(但し、Alは溶解工程における脱酸剤として添加した。)、S≦0.01%、Cu≦0.25%、Al≦0.025%、Ca≦0.01%、Mg≦0.01%、O≦0.01%、N≦0.03%であった。

0034

0035

次に、これらの鋼塊に実施例1と同様の熱間鍛造および各種の熱処理を行って、それぞれの硬さに調質したシャルピー衝撃試験片を作製した。そして、実施例1で実施したシャルピー衝撃試験1、2を実施して、それぞれの試料の靭性を評価した。

0036

[試験1]
本発明鋼Aおよび比較鋼Bについて、それぞれの硬さにおける室温での2mmUノッチシャルピー衝撃試験の結果を図3に示す。シャルピー試験片は、ASTME399−90に準拠したL−S方向とした。これらの鋼は、Niが添加されていることで、もとより靭性の高いものである。そして、この上に、本発明のZn/P比を満たすようにZnを添加した本発明鋼Aは、Znを添加しなかった比較鋼Bに比べて、シャルピー衝撃値が優れている。

実施例

0037

[試験2]
本発明鋼Aおよび比較鋼Bについて、45HRCの硬さに調質したときの、室温から400℃の間での2mmVノッチシャルピー衝撃試験の結果を図4に示す。シャルピー試験片は、ASTME399−90に準拠したL−S方向とした。もとより靭性の高い両方の鋼において、さらに本発明のZn/P比を満たすようにZnを添加した本発明鋼Aは、いずれの試験温度でも、Znを添加しなかった比較鋼Bに比べて、シャルピー衝撃値が優れている。

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