図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
従来から、自動車等に搭載されるジャンクションボックス等の電気接続箱において、電線とそれに圧接される端子とで構成された回路板が収容されたものが知られている。例えば、特開2005−51877号公報(特許文献1)や特開平6−295752号公報(特許文献2)に記載のものが、それである。これらの電気接続箱は、絶縁板上に電線が布線されると共に、端子が絶縁板に設けられた端子収容部に収容される。これにより、端子の圧接部が電線に圧接されて端子と電線の導体が接続された状態で、端子が絶縁板上に突設される。そして、アッパケースなどが絶縁板に被せられることにより、絶縁板上に突設された端子がアッパケースに形成されたコネクタフードやヒューズキャビティ等の部品装着部内に配設される。このように、絶縁板上に布線された電線とそれに圧接された端子を含む回路板によって電気接続箱の内部回路が構成されており、コネクタやヒューズ等の電気部品が部品装着部に装着されて、部品装着部内に配設された端子を介して内部の電線と接続されるようになっている。
ところで、絶縁板に布線される電線は、端子の圧接部に圧入されて接続されている。それ故、絶縁板に布線された電線の復元力や外力の影響等によって電線が引っ張られると、端子と電線との接続部分に引張力が及ぼされて接続信頼性が低下するおそれがあった。特に特許文献2に記載されているように、絶縁板が小型で電線が絶縁板から外部に延び出されているような場合には、電気接続箱の組み付け等に際して電線が大きく変位して、端子と電線との接続部分により大きな引張力が及ぼされ易かった。
なお、このような問題に対処するために、特許文献2には、絶縁板に電線の挟持部を設け、挟持部に電線を圧入して挟持することで、端子との接続部分への引張力の伝達を軽減することが提案されている。しかし、このような構造では、挟持部への圧入方向と正反対となる、絶縁板からの浮き上がり方向の変位には十分な保持力を発揮することが出来ず、端子との接続部分への引張力の伝達を阻止するには未だ不十分であった。
概要
端子と電線との接続部分への引張力の伝達を軽減して電気接続箱の内部回路を構成することの出来る、新規な構造の電気接続箱用の回路板を提供すること。電線14が布線されて端子16が取り付けられる絶縁板12上にカバー部材18を組み付ける一方、該絶縁板12と該カバー部材18のそれぞれに、前記端子16に接続された前記電線14を長さ方向の異なる位置で圧入固定する一組の圧入固定部30,42を設けた。
目的
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、端子と電線との接続部分への引張力の伝達を軽減して電気接続箱の内部回路を構成することの出来る、新規な構造の電気接続箱用の回路板を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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この技術が所属する分野
請求項1
絶縁板上に電線が布線されていると共に、前記絶縁板に設けられた端子取付部に前記電線が配設されて、前記端子取付部に端子が取り付けられることにより、該端子の圧接部が前記電線の導体に接続されて前記絶縁板上に突設されている電気接続箱用の回路板において、前記絶縁板上に、合成樹脂製のカバー部材が組み付けられている一方、前記絶縁板と前記カバー部材のそれぞれに、前記端子に接続された前記電線を長さ方向の異なる位置で圧入固定する一組の圧入固定部が設けられていることを特徴とする電気接続箱用の回路板。
請求項2
請求項3
前記絶縁板の前記圧入固定部と前記カバー部材の前記圧入固定部のそれぞれには隙間を隔てて対向する一対の挟持リブが形成されており、それら一対の挟持リブで前記電線が挟持されるようになっている請求項1又は2に記載の電気接続箱用の回路板。
請求項4
前記絶縁板の前記圧入固定部と前記カバー部材の前記圧入固定部はそれぞれ前記絶縁板と前記カバー部材の他方に向けて開口するスリット状の凹所とされており、前記絶縁板における前記凹所の底面と前記カバー部材における前記凹所の底面との間で前記電線が挟まれるようになっている請求項1〜3の何れか1項に記載の電気接続箱用の回路板。
請求項5
前記絶縁板と前記カバー部材が相互に固定されて、それら絶縁板とカバー部材の外部に前記電線が延び出されるようになっている請求項1〜4の何れか1項に記載の電気接続箱用の回路板。
技術分野
背景技術
0002
従来から、自動車等に搭載されるジャンクションボックス等の電気接続箱において、電線とそれに圧接される端子とで構成された回路板が収容されたものが知られている。例えば、特開2005−51877号公報(特許文献1)や特開平6−295752号公報(特許文献2)に記載のものが、それである。これらの電気接続箱は、絶縁板上に電線が布線されると共に、端子が絶縁板に設けられた端子収容部に収容される。これにより、端子の圧接部が電線に圧接されて端子と電線の導体が接続された状態で、端子が絶縁板上に突設される。そして、アッパケースなどが絶縁板に被せられることにより、絶縁板上に突設された端子がアッパケースに形成されたコネクタフードやヒューズキャビティ等の部品装着部内に配設される。このように、絶縁板上に布線された電線とそれに圧接された端子を含む回路板によって電気接続箱の内部回路が構成されており、コネクタやヒューズ等の電気部品が部品装着部に装着されて、部品装着部内に配設された端子を介して内部の電線と接続されるようになっている。
0003
ところで、絶縁板に布線される電線は、端子の圧接部に圧入されて接続されている。それ故、絶縁板に布線された電線の復元力や外力の影響等によって電線が引っ張られると、端子と電線との接続部分に引張力が及ぼされて接続信頼性が低下するおそれがあった。特に特許文献2に記載されているように、絶縁板が小型で電線が絶縁板から外部に延び出されているような場合には、電気接続箱の組み付け等に際して電線が大きく変位して、端子と電線との接続部分により大きな引張力が及ぼされ易かった。
0004
なお、このような問題に対処するために、特許文献2には、絶縁板に電線の挟持部を設け、挟持部に電線を圧入して挟持することで、端子との接続部分への引張力の伝達を軽減することが提案されている。しかし、このような構造では、挟持部への圧入方向と正反対となる、絶縁板からの浮き上がり方向の変位には十分な保持力を発揮することが出来ず、端子との接続部分への引張力の伝達を阻止するには未だ不十分であった。
先行技術
0005
特開2005−51877号公報
特開平6−295752号公報
発明が解決しようとする課題
0006
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、端子と電線との接続部分への引張力の伝達を軽減して電気接続箱の内部回路を構成することの出来る、新規な構造の電気接続箱用の回路板を提供することにある。
課題を解決するための手段
0007
本発明の第一の態様は、絶縁板上に電線が布線されていると共に、前記絶縁板に設けられた端子取付部に前記電線が配設されて、前記端子取付部に端子が取り付けられることにより、該端子の圧接部が前記電線の導体に接続されて前記絶縁板上に突設されている電気接続箱用の回路板において、前記絶縁板上に、合成樹脂製のカバー部材が組み付けられている一方、前記絶縁板と前記カバー部材のそれぞれに、前記端子に接続された前記電線を長さ方向の異なる位置で圧入固定する一組の圧入固定部が設けられていることを、特徴とする。
0008
本発明によれば、端子に接続された電線を、絶縁板の圧入固定部と、カバー部材の圧入固定部の両方で固定することが出来る。これにより、電線の動きをより効果的に抑えることが出来て、端子との接続部分への引張力の伝達を阻止することが出来る。その結果、端子と電線との接続信頼性を向上することが出来る。
0009
なお、カバー部材としては、アッパケースのみならず、コネクタ装着部やヒューズ装着部等がアッパケースと別体として形成された樹脂部材等でも良いし、また、コネクタやヒューズ等の電気部品の装着部を有する部品以外にも、単に圧入固定部のみを備えて絶縁板に組み付けられる枠状の樹脂部材等でも良い。
0010
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記カバー部材が電気部品装着部を含んで構成されており、該電気部品装着部内に前記端子が突設されるようになっているものである。
0011
本態様によれば、コネクタやヒューズ、リレー等の電気部品が装着される電気部品装着部の形成部材をカバー部材として用いて、部品点数を増加することなく、カバー部材の圧入固定部を形成することが出来る。そして、電気部品装着部の近傍に圧入固定部を形成できることから、電線を端子との接続部分の近接位置で固定することが出来て、端子と電線との接続安定性をより高度に確保することが出来る。
0012
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記絶縁板の前記圧入固定部と前記カバー部材の前記圧入固定部のそれぞれには隙間を隔てて対向する一対の挟持リブが形成されており、それら一対の挟持リブで前記電線が挟持されるようになっているものである。本態様によれば、絶縁板とカバー部材のそれぞれの圧入固定部において、挟持リブを電線に食い込ませて、電線をより強固に保持することが出来る。
0013
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記絶縁板の前記圧入固定部と前記カバー部材の前記圧入固定部はそれぞれ前記絶縁板と前記カバー部材の他方に向けて開口するスリット状の凹所とされており、前記絶縁板における前記凹所の底面と前記カバー部材における前記凹所の底面との間で前記電線が挟まれるようになっているものである。
0014
本態様によれば、絶縁板の圧入固定部とカバー部材の圧入固定部とのそれぞれにおいて電線を圧入固定すると共に、絶縁板の凹所の底面とカバー部材の凹所の底面で協働して、電線を絶縁板とカバー部材の両側から挟むことが出来る。これにより、電線の動きをより強固に阻止することが出来る。特に、電線の絶縁板からの浮き上がり方向の変位を、カバー部材側の凹所の底面で有効に阻止することが出来る。
0015
本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記絶縁板と前記カバー部材が相互に固定されて、それら絶縁板とカバー部材の外部に前記電線が延び出されるようになっているものである。
0016
本態様によれば、電線に部分的に組み付けられる比較的小型の絶縁板とカバー部材によって、小型の回路板を構成することが出来る。これにより、例えば本態様と前記第二の態様を組み合わせて用いることによって、小型の電気部品装着部を構成することも出来る。そして、本態様においては、電線において絶縁板とカバー部材の外部に延び出された部分が自由状態とされて大きく動いて、端子との接続部分に引張力が及ぼされ易くなるおそれがあるが、絶縁板の圧入固定部とカバー部材の圧入固定部のそれぞれで電線を固定することによって、端子との接続状態を安定的に維持することが出来る。
発明の効果
0017
本発明では、電線が布線されると共に端子が電線への圧接状態で取り付けられる絶縁板と、絶縁板に取り付けられるカバー部材とのそれぞれに、電線を長さ方向の異なる位置で圧入固定する圧入固定部を設けた。これにより、絶縁板とカバー部材の両方で電線を固定して、電線の変位に起因して端子との接続部分に引張力が伝達されることを阻止することが出来る。その結果、端子と電線との接続信頼性を向上することが出来る。
図面の簡単な説明
0018
本発明の一実施形態としての電気接続箱用の回路板の斜視図。
図1に示した電気接続箱用の回路板の分解斜視図。
図1に示した電気接続箱用の回路板の側面図。
図3におけるIV−IV断面図。
絶縁板の平面図。
図5に示した絶縁板の側面図。
図5に示した絶縁板の要部拡大図。
図5に示した絶縁板の図7とは異なる要部拡大図。
カバー部材の側面図。
図9に示したカバー部材の要部拡大図。
端子の斜視図。
図4の要部拡大図。
図3の要部拡大図。
実施例
0019
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
0020
先ず、図1〜図4に、本発明の一実施形態としての電気接続箱用の回路板(以下、回路板)10を示す。回路板10は、絶縁板12上に電線14が布線されて端子16と接続されると共に、絶縁板12にカバー部材18が組み付けられた構造とされている。
0021
図5および図6に、絶縁板12を示す。絶縁板12は、非導電性の合成樹脂から形成されている。絶縁板12は長手矩形の板形状を有している。絶縁板12には、長手方向に延びる一対の外周部分のそれぞれに沿って、複数の端子取付部20が一体形成されている。図7に示すように、端子取付部20には、所定距離を隔てて対向する一対の壁部22,22が形成されており、これら壁部22,22の対向面間の中央部分には、上方(図6中、上方)に開口するスリット形状の端子挿通孔24が形成されている。更に、壁部22,22のそれぞれの対向面において、端子挿通孔24を挟む両側には、固定リブ26,26が形成されている。これにより、端子取付部20には、端子挿通孔24の両側のそれぞれにおいて、対応する壁部22,22に形成された一組の固定リブ26,26が隙間を隔てて対向されている。
0022
また、絶縁板12の長手方向に延びる外周縁部には外周壁部28,28が形成されている。そして、各外周壁部28,28には、複数の圧入固定部30が形成されている。図8に示すように、圧入固定部30は、カバー部材18側となる上方(図8中、上方)に開口するスリット状の凹所とされており、その底面32は半円形状とされている。底面32の径寸法は圧入固定部30の幅寸法(図8中、左右方向寸法)と等しくされており、これら底面32の径寸法および圧入固定部30の幅寸法は電線14の外径寸法と略等しくされている。そして、圧入固定部30における対向面には、一対の挟持リブ34,34が隙間を隔てて対向して形成されている。挟持リブ34,34の対向距離(図8中、左右方向の離隔距離):d1は、電線14の外径寸法よりも小さくなるように設定されており、それぞれの挟持リブ34,34の電線14への食い込み量が、好適には片側で0.05mm〜0.25mm、より好ましくは、0.1mm〜0.2mmの範囲内に設定される。このような圧入固定部30が、各端子取付部20に対応して形成されており、絶縁板12の短辺方向(図7中、上下方向)で、圧入固定部30と端子取付部20が同一直線上に形成されている。
0023
一方、図9および図10に示すように、カバー部材18は、非導電性の合成樹脂から形成されている。カバー部材18には、図示しない電気部品としてのコネクタを挿し込んで収容する電気部品装着部としてのコネクタフード36が一体形成されている。図示は省略するが、コネクタフード36内には、従来公知のように、複数の端子挿通孔が貫設されている。
0024
さらに、カバー部材18において、長手方向に延びる一対の外周壁部40,40(図9においては、一方のみ図示)のそれぞれには、複数の圧入固定部42が形成されている。図10にも示すように、圧入固定部42は、絶縁板12側となる下方(図10中、下方)に開口するスリット状の凹所とされており、その底面44は半円形状とされている。圧入固定部42は、絶縁板12の圧入固定部30と略同様に、底面44の径寸法が圧入固定部42の幅寸法(図10中、左右方向寸法)と等しくされており、これら底面44の径寸法および圧入固定部42の幅寸法は電線14の外径寸法と略等しくされている。そして、圧入固定部42における対向面には、一対の挟持リブ46,46が隙間を隔てて対向して形成されている。挟持リブ46,46の対向距離(図10中、左右方向の離隔距離):d2は、電線14の外径寸法よりも小さくなるように設定されており、それぞれの挟持リブ46,46の電線14への食い込み量が、好適には片側で0.05mm〜0.25mm、より好ましくは、0.1mm〜0.2mmの範囲内に設定される。このような圧入固定部42が、絶縁板12の圧入固定部30に対応して、圧入固定部30と等しい数だけ形成されている。
0025
そして、図2に示したように、絶縁板12の各端子取付部20には、電線14が挿入されると共に、端子16が挿し込まれて固定される。電線14は従来公知の被覆電線であり、例えば銅線等の芯線が塩化ビニル樹脂等の絶縁性皮膜で覆われたものである。一方、端子16は、図11に示すように、金属板がプレス打ち抜き加工および屈曲加工されて形成されたものである。端子16は、一方の端部が一対の圧接刃48,48からなる圧接部49とされていると共に、他方の端部が正方形断面又は長方形断面をもって延びる接続部50とされている。また、本実施形態における端子16は、長さ方向の中間部分に屈曲部52を有するクランク形状とされている。
0026
そして、図12に示すように、各端子取付部20の壁部22,22間に電線14の端部がそれぞれ挿入されて、壁部22,22に形成された固定リブ26,26で挟持される。また、電線14の長さ方向の中間部分が、圧入固定部30の挟持リブ34,34間に圧入されて、挟持リブ34,34で挟持される。なお、図13に示すように、電線14は、圧入固定部30の底面32に接触する程度に圧入固定部30内に差し込まれる。更に、端子16が、圧接部49側から端子取付部20の端子差込孔24に差し込まれる。これにより、壁部22,22間に挿入された電線14の端部が圧接刃48,48間に圧入されて皮膜が破られると共に、電線14の導体としての芯線(図示省略)が圧接刃48,48間に圧入される。その結果、図2に示したように、端子16が、圧接部49において電線14を圧接して芯線と接続した状態で、接続部50を突出して絶縁板12に固定される。
0027
続いて、絶縁板12にカバー部材18が組み付けられる。図4に示したように、絶縁板12の長手方向の略中央部分には筒部54が一体形成されており、筒部54にカバー部材18に形成されたネジ筒部56が挿通されて該ネジ筒部56がネジ止めされることによって、カバー部材18と絶縁板12が相互に固定されるようになっている。これにより、絶縁板12に突設された各端子16の接続部50が、カバー部材18の端子挿通孔24に挿通されてコネクタフード36内に突設される。
0028
カバー部材18が組み付けられることにより、図12に示したように、絶縁板12の外周壁部28の外側に、カバー部材18の外周壁部40が位置されて、絶縁板12の各圧入固定部30の外側に、カバー部材18の圧入固定部42が重ね合わされる。そして、電線14がカバー部材18の圧入固定部42の挟持リブ46,46間に圧入されて、挟持リブ46,46で挟持される。図13に示したように、電線14は、圧入固定部42の底面44に接触する程度に圧入固定部42内に差し込まれる。これにより、電線14は、長さ方向の異なる位置で、絶縁板12の圧入固定部30と、カバー部材18の圧入固定部42のそれぞれに圧入固定されると共に、圧入固定部30および圧入固定部42を通じて、絶縁板12およびカバー部材18の外側に延び出される。
0029
また、絶縁板12における圧入固定部30の底面32と、カバー部材18における圧入固定部42の底面44によって、電線14が上下方向(図13中、上下方向)の両側から挟まれている。即ち、底面32と底面44によって、回路板10の側方投影において電線14の外径寸法と略等しい円形の通孔58が形成されており、該通孔58を通じて、電線14が回路板10の外部に延び出されている。なお、挟持リブ34,46を除いた通孔58の径寸法は電線14の外径寸法と略等しくされており、電線14は、上下方向で特別な接触圧を伴うことなく両底面32,44に挟まれている。
0030
このような構造とされた回路板10によれば、絶縁板12において端子16に圧接された電線14を、絶縁板12の圧入固定部30と、カバー部材18の圧入固定部42のそれぞれに圧入して、絶縁板12とカバー部材18の両方に固定することが出来る。これにより、電線14が動いた場合でも、端子16に接続された端部への引張力の伝達を阻止して、電線14と端子16との接続状態をより安定的に維持することが出来、接続信頼性を向上することが出来る。
0031
特に本実施形態においては、圧入固定部30と圧入固定部42のそれぞれに、挟持リブ34,46がそれぞれ形成されていることから、これら挟持リブ34,46を電線14に食い込ませて電線14をより強固に保持することが出来る。更に、圧入固定部30の底面32と圧入固定部42の底面44で電線14を上下から挟むことにより、電線14の上下方向の変位をより効果的に阻止することが出来る。このように、本実施形態によれば、電線14の左右方向の変位を圧入固定部30と圧入固定部42のそれぞれで阻止しつつ、上下方向の変位を圧入固定部30と圧入固定部42で協働して阻止することが可能とされており、端子16との接続部分への引張力の伝達がより効果的に阻止されるようになっている。
0032
また、本実施形態における絶縁板12とカバー部材18は、電線14の端部に部分的に取り付けられる比較的小型のものとされている。これにより、コネクタ装着部をコンパクトに構成することが出来る。そして、電線14において絶縁板12とカバー部材18の外部に延び出された部分が非拘束状態とされていることから大きく動く可能性があるが、本実施形態によれば、絶縁板12の圧入固定部30とカバー部材18の圧入固定部42で電線14の動きを阻止出来ることから、端子16との接続状態を安定的に維持することが出来る。
0033
更にまた、本実施形態によれば、カバー部材18にコネクタフード36が形成されている。これにより、コネクタフード36の形成部材を用いて、圧入固定部42を部品点数を増加することなく形成することが出来る。そして、圧入固定部42を端子16に近接して位置出来ることから、電線14を端子16との圧接部分に近い位置で固定して、端子16と電線14との接続安定性をより高度に確保することが出来る。
0034
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態における圧入固定部30,42の挟持リブ34,46は必ずしも必要ではなく、圧入固定部30,42の内周面で電線14を圧接するようにしても良い。更に、電線14を、圧入固定部30,42に対して、底面32,44に接触するまで挿し込むことなく、底面32,44に対して隙間をもって配設しても良い。
0035
また、カバー部材に形成される部品装着部としては、前記実施形態の如きコネクタが装着されるコネクタフードに限定されることは無く、例えばヒューズが装着されるヒューズ装着部や、リレーが装着されるリレー装着部などでも良い。更にまた、絶縁板は、前記実施形態の如き電線が部分的に布線される小型のものに限定されず、電気接続箱の略全体に広がり、電線の全体が布線される大型の板状のものでも良い。
0036
10:電気接続箱用の回路板、12:絶縁板、14:電線、16:端子、18:カバー部材、20:端子取付部、30:圧入固定部、32:底面、34:挟持リブ、36:コネクタフード(電気部品装着部)、42:圧入固定部、44:底面、46:挟持リブ、49:圧接部