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技術 第6染色体短腕21.33領域の一塩基多型に基づく抗てんかん薬による薬疹リスクの検査方法

出願人 国立研究開発法人理化学研究所一般社団法人徳洲会学校法人日本大学独立行政法人国立病院機構
発明者 中村祐輔久保充明莚田泰誠大関健志
出願日 2011年3月14日 (9年8ヶ月経過) 出願番号 2011-055785
公開日 2012年10月4日 (8年1ヶ月経過) 公開番号 2012-187082
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード Zより I領域 LDブロック Mapデータ 統計学的手法 的中率 固定薬疹 外れ値
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年10月4日)のものです。
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図面 (1)

課題

抗てんかん薬による薬疹リスク検査する方法を提供する。

解決手段

第6染色体短腕21.33領域に存在する一塩基多型、例えばHLA−Aアレル遺伝子型分析し、該分析結果に基づいて抗てんかん薬による薬疹リスクを検査する。抗てんかん薬がカルバマゼピンであり、HLA−Aアレルの遺伝子型を分析することにより前記一塩基多型が分析され、HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を分析する方法。

概要

背景

薬疹は、薬物による皮膚障害(cutaneous adverse drug reactions;cADRs)の代表的なものであり、薬物によって引き起こされる皮膚や粘膜急性炎症反応として特徴付けられる。薬疹は、用量非依存性予測不可能であり、且つ、しばしば命に関わる。薬疹は症状の軽微なものから重篤なものまで多岐にわたるが、重篤なものとしては、3大重症薬疹として知られるスティーブンスジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome;SJS)、中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis;TEN)、および薬剤性過敏症症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome;DIHS)が挙げられる。

ほぼ全ての薬物は薬疹を誘発するリスクを有することが報告されているが、中でも、抗てんかん薬であるカルバマゼピン(carbamazepine;CBZ)はSJS、TEN、およびDIHSを含む種々の薬疹を誘発しうることが知られている。

これまでの研究により、T細胞性アレルギー反応が薬疹の発症関与していると考えられているが、詳細な発症機序は明らかとなっていない。また、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV−6)の再活性化発熱肝炎等のDIHSの諸症状に関与することが示唆されているが、その発症機序は明らかとなっていない。

CBZに関しては、台湾人被検者を用いた研究により、ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen;HLA)−B*1502アレルがCBZにより誘発されるSJSやTENと極めて強く関連していることが証明されている(非特許文献1)。しかしながら、HLA遺伝子座のアレル頻度人種によって顕著に異なり、例えば、HLA−B*1502アレルは東アジア人では8.6%の頻度で存在するが(非特許文献1)、日本人白人では0.1%の頻度でしか存在しない(http://www.allelefrequencies.net)。したがって、日本人や白人では、HLA−B*1502アレルはCBZにより誘発されるSJSやTENの予測に有用な遺伝的因子とは言えない。

また、日本人被検者において、HLA−A*3101アレルとCBZにより誘発される重症薬疹との関連に言及した文献がある(非特許文献2)。関連は有意であり(P=0.0004)、オッズ比は4.33であると報告されているが、著者らが自ら認めるように、解析に用いたサンプルサイズが小さいことから結果が正しいものであるかは保証の限りではない。実際、同グループの続報によれば、軽微な薬疹および重症薬疹のいずれにおいても、HLA−A*3101アレルを保有することによる相対リスクは1.33であり、HLA−A*3101アレルとCBZにより誘発される薬疹との関連は認められなかった(非特許文献3)。

また、台湾人被検者において、HLA−A*3101アレルがCBZにより誘発される播種紅斑丘疹(maculopapular eruption;MPE)と関連すると報告されている。しかしながら、HLA−A*3101アレルとSJSやTENとの関連は認められなかった(非特許文献4)。

また、白人被検者において、CBZにより誘発される過敏症症候群の1症例がHLA−A*3101アレルの保有者であったことが報告されている(非特許文献5)。しかしながら、HLA−A*3101アレルとCBZにより誘発される薬疹との関連を統計的に証明したものではない。

以上の通り、特に日本人や白人においては、CBZ等の抗てんかん薬による薬疹の発症リスクを予測するために利用可能な臨床検査は知られていない。

概要

抗てんかん薬による薬疹リスク検査する方法を提供する。第6染色体短腕21.33領域に存在する一塩基多型、例えばHLA−Aアレルの遺伝子型分析し、該分析結果に基づいて抗てんかん薬による薬疹リスクを検査する。抗てんかん薬がカルバマゼピンであり、HLA−Aアレルの遺伝子型を分析することにより前記一塩基多型が分析され、HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を分析する方法。なし

目的

本発明は、抗てんかん薬による薬疹リスクを正確に検査する方法、及び該方法に用いられる検査試薬を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

第6染色体短腕21.33領域に存在する一塩基多型分析し、該分析結果に基づいて抗てんかん薬による薬疹リスク検査することを特徴とする、抗てんかん薬による薬疹リスクの判定方法

請求項2

前記抗てんかん薬がカルバマゼピンである、請求項1に記載の方法。

請求項3

HLA−Aアレル遺伝子型を分析することにより前記一塩基多型が分析される、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

HLA−Aアレルの遺伝子型が、HLA−A*3101であることを分析する、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記一塩基多型が、配列番号1〜12から選択される塩基配列塩基番号61番目塩基に相当する塩基、若しくは該塩基と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型、またはHLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

以下の(1)または(2)の配列を有する抗てんかん薬による薬疹リスクを検査するためのプローブ。(1)配列番号1〜12から選択される塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列。(2)HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列。

請求項7

以下の(1)または(2)の領域を増幅することのできる抗てんかん薬による薬疹リスクを検査するためのプライマー。(1)配列番号1〜12から選択される塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む領域。(2)HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型を含む領域。

技術分野

0001

本発明は抗てんかん薬による薬疹リスクを判定するための検査方法及び該検査方法に用いられる試薬に関する。

背景技術

0002

薬疹は、薬物による皮膚障害(cutaneous adverse drug reactions;cADRs)の代表的なものであり、薬物によって引き起こされる皮膚や粘膜急性炎症反応として特徴付けられる。薬疹は、用量非依存性予測不可能であり、且つ、しばしば命に関わる。薬疹は症状の軽微なものから重篤なものまで多岐にわたるが、重篤なものとしては、3大重症薬疹として知られるスティーブンスジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome;SJS)、中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis;TEN)、および薬剤性過敏症症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome;DIHS)が挙げられる。

0003

ほぼ全ての薬物は薬疹を誘発するリスクを有することが報告されているが、中でも、抗てんかん薬であるカルバマゼピン(carbamazepine;CBZ)はSJS、TEN、およびDIHSを含む種々の薬疹を誘発しうることが知られている。

0004

これまでの研究により、T細胞性アレルギー反応が薬疹の発症関与していると考えられているが、詳細な発症機序は明らかとなっていない。また、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV−6)の再活性化発熱肝炎等のDIHSの諸症状に関与することが示唆されているが、その発症機序は明らかとなっていない。

0005

CBZに関しては、台湾人被検者を用いた研究により、ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen;HLA)−B*1502アレルがCBZにより誘発されるSJSやTENと極めて強く関連していることが証明されている(非特許文献1)。しかしながら、HLA遺伝子座のアレル頻度人種によって顕著に異なり、例えば、HLA−B*1502アレルは東アジア人では8.6%の頻度で存在するが(非特許文献1)、日本人白人では0.1%の頻度でしか存在しない(http://www.allelefrequencies.net)。したがって、日本人や白人では、HLA−B*1502アレルはCBZにより誘発されるSJSやTENの予測に有用な遺伝的因子とは言えない。

0006

また、日本人被検者において、HLA−A*3101アレルとCBZにより誘発される重症薬疹との関連に言及した文献がある(非特許文献2)。関連は有意であり(P=0.0004)、オッズ比は4.33であると報告されているが、著者らが自ら認めるように、解析に用いたサンプルサイズが小さいことから結果が正しいものであるかは保証の限りではない。実際、同グループの続報によれば、軽微な薬疹および重症薬疹のいずれにおいても、HLA−A*3101アレルを保有することによる相対リスクは1.33であり、HLA−A*3101アレルとCBZにより誘発される薬疹との関連は認められなかった(非特許文献3)。

0007

また、台湾人被検者において、HLA−A*3101アレルがCBZにより誘発される播種紅斑丘疹(maculopapular eruption;MPE)と関連すると報告されている。しかしながら、HLA−A*3101アレルとSJSやTENとの関連は認められなかった(非特許文献4)。

0008

また、白人被検者において、CBZにより誘発される過敏症症候群の1症例がHLA−A*3101アレルの保有者であったことが報告されている(非特許文献5)。しかしながら、HLA−A*3101アレルとCBZにより誘発される薬疹との関連を統計的に証明したものではない。

0009

以上の通り、特に日本人や白人においては、CBZ等の抗てんかん薬による薬疹の発症リスクを予測するために利用可能な臨床検査は知られていない。

先行技術

0010

Chung WH. et al. Nature. 2004 Apr 1;428(6982):486.
Kashiwagi et al., J Dermatol. 2008 Oct;35(10):683-5.
Ikeda, et al., Epilepsia. 2010 Feb;51(2):297-300.
Hung, et al., Pharmacogenet Genomics. 2006 Apr;16(4):297-306.
Calligaris, et al., Int Arch Allergy Immunol. 2009;149(2):173-7.

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、抗てんかん薬による薬疹リスクを正確に検査する方法、及び該方法に用いられる検査試薬を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは上記課題の解決のために鋭意検討した結果、第6染色体短腕21.33領域に存在する一塩基多型(SNP)がカルバマゼピン(CBZ)による薬疹リスクと関連することを同定した。本発明者らは、さらに、第6染色体短腕21.33領域に存在するHLA−Aアレルの遺伝子型がCBZによる薬疹リスクと関連することを同定した。そして、これらの多型を調べることによりCBZ等の抗てんかん薬による薬疹リスクの予測を正確に実施できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0013

すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
第6染色体短腕21.33領域に存在する一塩基多型を分析し、該分析結果に基づいて抗てんかん薬による薬疹リスクを検査することを特徴とする、抗てんかん薬による薬疹リスクの判定方法
[2]
前記抗てんかん薬がカルバマゼピンである、[1]に記載の方法。
[3]
HLA−Aアレルの遺伝子型を分析することにより前記一塩基多型が分析される、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
HLA−Aアレルの遺伝子型が、HLA−A*3101であることを分析する、[3]に記載の方法。
[5]
前記一塩基多型が、配列番号1〜12から選択される塩基配列塩基番号61番目塩基に相当する塩基、若しくは該塩基と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型、またはHLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型である、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
以下の(1)または(2)の配列を有する抗てんかん薬による薬疹リスクを検査するためのプローブ
(1)配列番号1〜12から選択される塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列
(2)HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列。
[7]
以下の(1)または(2)の領域を増幅することのできる抗てんかん薬による薬疹リスクを検査するためのプライマー
(1)配列番号1〜12から選択される塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む領域。
(2)HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型を含む領域。

発明の効果

0014

本発明によれば、抗てんかん薬による薬疹リスクを正確かつ簡便に予測することができる。したがって、本発明は、抗てんかん薬の投与可否を決定するのに有効であり、抗てんかん薬による薬物治療に貢献するものである。

図面の簡単な説明

0015

ヒト第6染色体短腕21.33領域の連鎖不平衡(LD)マップを示す図。

0016

<1>本発明の方法
本発明の方法は、ヒトの第6染色体短腕21.33領域(6p21.33領域)に含まれるSNPを分析し、該分析結果に基づいて抗てんかん薬による薬疹リスクを検査することを特徴とする、抗てんかん薬による薬疹リスクの判定方法である。なお、本発明において、「薬疹リスク」とは、抗てんかん薬の投与により薬疹が発生するかどうかを示すリスク、及び抗てんかん薬の投与により薬疹の程度が悪化するかどうかを示すリスクを含む。よって、本発明において、「検査」とは、抗てんかん薬の投与により薬疹が発生するかどうかを予測するための検査、及び抗てんかん薬の投与により薬疹の程度が悪化するかどうかを予測するための検査を含む。本発明の方法においては、SNPの分析結果を、抗てんかん薬の投与により薬疹が発生するかどうかを示すリスク、および/または、抗てんかん薬の投与により薬疹の程度が悪化するかどうかを示すリスクと関連付ける。

0017

薬疹としては、特に制限されず、スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome;SJS)、中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis;TEN)、薬剤性過敏症症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome;DIHS)、多型性紅斑(erythema multiforeme;EM)、播種状紅斑丘疹(maculopapular eruption;MPE)、紅斑(erythema)、紅皮症(erythroderma)、および固定薬疹(fixed drug eruption)等が挙げられる。

0018

抗てんかん薬としては、特に制限されないが、イミノスチルベン系の薬剤であるのが好ましく、カルバマゼピン(CBZ)であるのがより好ましい。

0019

6p21.33領域に存在する具体的なSNPとしては、ヒトrs1633021、rs2571375、rs1116221、rs2844796、rs1736971、rs1611133、rs2074475、rs7760172、rs2517673、rs2524005、rs12665039、およびrs1362088、並びにHLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型を挙げることができる。ここで、rs番号はNational Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベース(http//www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/)の登録番号を示す。rs1633021はGenBankAccession No.NT_007592.14の20605120番目の塩基におけるアデニン(A)/グアニン(G)の多型を意味し、この塩基がGである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs1633021がGG>GA>AAの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0020

rs2571375はGenBankAccession No.NT_007592.14の20803521番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がCである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs2571375がCC>CT>TTの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0021

rs1116221はGenBankAccession No.NT_007592.14の20929581番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がTである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs1116221がTT>TC>CCの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0022

rs2844796はGenBankAccession No.NT_007592.14の20930762番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がTである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs2844796がTT>TC>CCの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0023

rs1736971はGenBankAccession No.NT_007592.14の20634573番目の塩基におけるアデニン(A)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がAである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs1736971がAA>AC>CCの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0024

rs1611133はGenBankAccession No.NT_007592.14の20667633番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がTである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs1611133がTT>TC>CCの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0025

rs2074475はGenBankAccession No.NT_007592.14の20996141番目の塩基におけるアデニン(A)/グアニン(G)の多型を意味し、この塩基がGである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs2074475がGG>GA>AAの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0026

rs7760172はGenBankAccession No.NT_007592.14の20688325番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がCである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs7760172がCC>CT>TTの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0027

rs2517673はGenBankAccession No.NT_007592.14の20795493番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がTである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs2517673がTT>TC>CCの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0028

rs2524005はGenBankAccession No.NT_007592.14の20757928番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がTである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs2524005がTT>TC>CCの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0029

rs12665039はGenBankAccession No.NT_007592.14の20783030番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がCである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs12665039がCC>C
T>TTの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0030

rs1362088はGenBankAccession No.NT_007592.14の21068087番目の塩基におけるアデニン(A)/グアニン(G)の多型を意味し、この塩基がGである場合は抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、rs1362088がGG>GA>AAの順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0031

なお、rs1633021、rs2571375、rs1116221、rs2844796、rs1736971、rs1611133、rs2074475、rs7760172、rs2517673、rs2524005、rs12665039、およびrs1362088について、SNP塩基及びその前後60bpの領域を含む合計121bpの長さの配列を、それぞれ配列番号1〜12に示した。61番目の塩基が多型を有する。

0032

本発明においては、上記塩基に相当する塩基を解析する。「上記塩基に相当する塩基」とは、上記領域における該当塩基を意味する。すなわち、「上記塩基に相当する塩基を解析する」ことには、仮に人種の違いなどによって上記配列がSNP以外の位置で若干変化したとしても、上記領域における該当塩基を解析することが含まれる。

0033

また、本発明において解析する塩基は上記のものに限定されず、上記の塩基と連鎖不平衡にある塩基の多型を分析してもよい。ここで「上記の塩基と連鎖不平衡にある塩基」とは、上記の塩基とr2>0.5、好ましくはr2>0.8、さらに好ましくはr2>0.9の関係を満たす塩基をいう。いずれも、リスクアレルホモ接合体> リスクアレルと非リスクアレルへテロ接合体 > 非リスクアレルのホモ接合体の順で抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0034

上記の塩基と連鎖不平衡にある塩基は、例えば、HapMapデータベース(http://www.hapmap.org/index.html.ja)等を用いて同定することができる。また、複数人(通常は20−40人程度)から採取したDNAをシークエンサーにて配列解析し、連鎖不平衡にあるSNPを探索することにより同定することもできる。

0035

上記SNPの塩基の種類を調べ、得られた結果を上記のような基準に基づいて抗てんかん薬による薬疹リスクと関連付けることにより、抗てんかん薬による薬疹リスクを検査することができる。上記SNPは単独で解析されてもよいし、上記SNPの少なくとも1つを含む複数のSNPsをまとめて解析(ハプロタイプ解析)してもよい。例えば、上記SNPの複数をまとめて解析してもよいし、上記SNPの少なくとも1つと、抗てんかん薬による薬疹リスクと関連する他のSNPの少なくとも1つとを組み合わせて解析してもよい。抗てんかん薬による薬疹リスクと関連する複数のSNPsをまとめて解析すれば、抗てんかん薬による薬疹リスクの検査の精度が向上する。なお、いずれのSNPも、二本鎖DNAのどちらの鎖を解析してもよい。

0036

また、ヒトの第6染色体短腕21.33領域にはHLA−A遺伝子が含まれる。HLA−Aアレルの遺伝子型はHLA−A遺伝子座に存在するSNPsの組み合わせで決定されるため、HLA−Aアレルの遺伝子型を分析することによりヒトの第6染色体短腕21.33領域に含まれるSNPs、具体的にはHLA−A遺伝子座に存在するSNPsを分析することができる。すなわち、本発明の方法の一態様は、HLA−Aアレルの遺伝子型を分析し、該分析結果に基づいて抗てんかん薬による薬疹リスクを検査することを特徴とする、抗てんかん薬による薬疹リスクの判定方法である。

0037

HLA−A遺伝子は、HLAクラス分子重鎖をコードする遺伝子である。HLA−A遺伝子座として、具体的には、GenBankAccession No.NC_000006.11の29910309〜29913661の領域が挙げられる。被験者がHLA−A*3101を有する場合に抗てんかん薬による薬疹リスクが高い。

0038

HLA−Aアレルの遺伝子型を調べ、得られた結果を上記のような基準に基づいて抗てんかん薬による薬疹リスクと関連付けることにより、抗てんかん薬による薬疹リスクを検査することができる。なお、HLA−A遺伝子は、二本鎖DNAのどちらの鎖を解析してもよい。また、抗てんかん薬による薬疹リスクと関連するSNPの少なくとも1つと、HLA−Aアレルの遺伝子型とをまとめて解析してもよい。

0039

SNPの解析またはHLA−Aアレルの解析(以下、総称して多型の解析ともいう)に用いる試料としては、染色体DNAを含む試料であれば特に制限されないが、例えば、血液、尿等の体液サンプル口腔粘膜などの細胞毛髪等の体毛などが挙げられる。多型の解析にはこれらの試料を直接使用することもできるが、これらの試料から染色体DNAを常法により単離し、これを用いて解析することが好ましい。

0040

多型の解析は、通常の遺伝子多型解析方法によって行うことができる。例えば、シークエンス解析、PCRハイブリダイゼーションインベーダー法などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、HLA−Aアレルを解析する場合には、HLA−A*3101とそれ以外のHLA−Aアレルとを区別できる限り、HLA−A遺伝子配列の全体を解析してもよく、HLA−A遺伝子配列の一部のみを解析してもよい。

0041

シークエンス解析は通常の方法により行うことができる。具体的には、多型を示す塩基の5’側 数十塩基の位置に設定したプライマーを使用してシークエンス反応を行い、その解析結果から、該当する位置がどの種類の塩基であるかを決定することができる。なお、「多型を示す塩基」とは、例えば、上記SNPs塩基や、HLA−Aアレルの遺伝子型を決定するために用いることのできるHLA−A遺伝子座中の多型塩基を意味する。HLA−Aアレルの遺伝子型を決定するために用いることのできる多型塩基としては、具体的には、HLA−A*3101とそれ以外のHLA−Aアレルとを区別するために用いることのできる多型塩基が挙げられる。そのような多型塩基としては、より具体的には、HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型が挙げられる。HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型とは、HLA−A*3101とr2>0.5、好ましくはr2>0.8、さらに好ましくはr2>0.9の関係を満たす塩基をいう。また、「多型を示す塩基」が存在する部位を「多型部位」ともいう。なお、シークエンス反応の前に、あらかじめ多型部位を含むDNA断片をPCRなどによって増幅しておくことが好ましい。

0042

また、多型の解析は、PCRによる増幅の有無を調べることによって行うことができる。例えば、多型を示す塩基を含む領域に対応する配列を有し、かつ、3’末端が各多型に対応するプライマーをそれぞれ用意する。それぞれのプライマーを使用してPCRを行い、増幅産物の有無によってSNPやHLA−Aアレルがどのタイプの多型であるかを決定することができる。また、LAMP法(特許第3313358号明細書)、NASBA法(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification;特許2843586号明細書)、ICAN法(特開2002−233379号公報)などによって増幅の有無を調べることもできる。その他、単鎖増幅法を用いてもよい。

0043

また、多型部位を含むDNA断片を増幅し、増幅産物の電気泳動における移動度の違いによってどのタイプの多型であるかを決定することもできる。このような方法としては、例えば、PCR−SSCP(single-strand conformation polymorphism)法(Genomics.
1992 Jan 1; 12(1): 139-146.)が挙げられる。具体的には、まず、目的の多型部位を含むDNAを増幅し、増幅したDNAを一本鎖DNA解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離し、分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度の違いによってSNPやHLA−Aアレルがどのタイプの多型であるかを決定することができる。

0044

さらに、多型を示す塩基が制限酵素認識配列に含まれる場合は、制限酵素による切断の有無によって解析することもできる(RFLP法)。この場合、まず、DNA試料を制限酵素により切断する。次いで、DNA断片を分離し、検出されたDNA断片の大きさによってSNPやHLA−Aアレルがどのタイプの多型であるかを決定することができる。

0045

また、ハイブリダイゼーションの有無を調べることによって多型の種類を解析することも可能である。すなわち、各塩基に対応するプローブを用意し、いずれのプローブにハイブリダイズするかを調べることによってSNPやHLA−Aアレルがどのタイプの多型であるかを調べることもできる。

0046

このようにしてSNPやHLA−Aアレルがどのタイプの多型であるかを決定することで、抗てんかん薬による薬疹リスクを検査するためのデータを得ることができる。

0047

<2>本発明の検査用試薬
本発明はまた、抗てんかん薬による薬疹リスクを検査するためのプライマーやプローブなどの検査試薬を提供する。このようなプローブとしては、上記多型部位を含み、ハイブリダイズの有無によって多型部位の塩基の種類を判定できるプローブが挙げられる。具体的には、配列番号1〜12のいずれかにおいて塩基配列の61番目の塩基を含む配列、又はその相補配列を有する10塩基以上の長さのプローブや、HLA−A遺伝子座中の多型塩基を含む配列を有する10塩基以上の長さのプローブが挙げられる。プローブの長さは好ましくは、15〜35塩基であり、より好ましくは20〜35塩基である。なお、HLA−A遺伝子座中の多型塩基は、HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型が好ましい。

0048

また、プライマーとしては、上記多型部位を増幅するためのPCRに用いることのできるプライマー、又は上記多型部位を配列解析(シークエンシング)するために用いることのできるプライマーが挙げられる。具体的には、配列番号1〜12のいずれかにおいて塩基配列の61番目の塩基を含む領域を増幅したりシークエンシングしたりすることのできるプライマーや、HLA−A遺伝子座中の多型塩基を含む領域を増幅したりシークエンシングしたりすることのできるプライマーが挙げられる。このようなプライマーの長さは10〜50塩基が好ましく、15〜35塩基がより好ましく、20〜35塩基がさらに好ましい。なお、HLA−A遺伝子座中の多型塩基は、HLA−A*3101と連鎖不平衡の関係にある一塩基多型が好ましい。

0049

上記多型部位をシークエンシングするためのプライマーとしては、上記塩基の5’側領域、好ましくは30〜100塩基上流の配列を有するプライマーや、上記塩基の3’側領域、好ましくは30〜100塩基下流の領域に相補的な配列を有するプライマーが例示される。PCRによる増幅の有無で多型を判定するために用いるプライマーとしては、上記塩基を含む配列を有し、上記塩基を3’側に含むプライマーや、上記塩基を含む配列の相補配列を有し、上記塩基の相補塩基を3’側に含むプライマーなどが例示される。

0050

なお、本発明の検査用試薬はこれらのプライマーやプローブに加えて、PCR用のポリメラーゼバッファー、ハイブリダイゼーション用試薬などを含むものであってもよい。

0051

以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されない。

0052

(1)カルバマゼピン(CBZ)による薬疹リスクと関連するSNPsの同定
CBZによる薬疹リスクを決定する遺伝子多型を同定するために、日本人被検者を用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、得られた結果をもとにHLA−Aアレルの遺伝子型解析および追試(replication study)を行った。GWASとは、疾患等の表現型に関わる遺伝子多型を探索する遺伝統計学的手法である。例えば、ヒトゲノム全体を網羅するような数十万〜100万箇所のSNPsを用いて、ある疾患の患者ケース)とその疾患にかかっていない被検者(コントロール)との間で、多型の頻度に差があるかどうかを統計的に検定することで、疾患と関連する遺伝子多型を見出すことができる。

0053

<被検者>
GWASおよびHLA−Aアレルの遺伝子型解析では、CBZにより薬疹が誘発される被検者(薬疹被検者(Case))62名を用いた。62名中、CBZによりDIHS以外の薬疹が誘発された被検者33名を、東京大医科学研究所のBioBank Japan (BBJ) (Nakamura, Y. The BioBank Japan Project. Clin Adv Hematol Oncol 5, 696-7 (2007)) に登録された患者から選択した。33名の内訳は、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)または中毒性表皮壊死症(TEN)が4名、多型性紅斑(EM)が16名、播種状紅斑丘疹(MPE)が4名、紅斑が2名、紅皮症が1名、固定薬疹が1名、および未分類の薬疹が5名であった。なお、SJSは体表面の10%未満の皮膚の剥離により定義され、TENは10%を超える皮膚の剥離により定義される(いずれもブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群を除く)。また、62名中、CBZによりDIHSが誘発された被検者29名を、横市立大学附属病院昭和大学病院、杏林大医学部附属病院、および愛媛大学医学部附属病院から得た。

0054

また、GWASおよびHLA−Aアレルの遺伝子型解析では、対照被検者として以下の2グループを用いた。

0055

第1の対照被検者としては、日本人の一般集団(General population)として、御堂筋ロータリークラブおよびその関連ロータリークラブで募集した898名のボランティアを用いた。当該898名のボランティアは、てんかん脳神経障害、癌、およびCBZによる治療のいずれの病歴も有さない。

0056

第2の対照被検者としては、CBZ耐性対照(CBZ-tolerant control)として、CBZを投与しても薬疹が誘発されなかった376名の被検者をBBJより得た。

0057

追試では、CBZにより薬疹の誘発された被検者(薬疹被検者)16名と、CBZにより薬疹が誘発されなかった被検者(CBZ耐性被検者)44名を、横浜市立大学附属病院、昭和大学病院、杏林大学医学部附属病院、および愛媛大学医学部附属病院から得て用いた。

0058

本研究は東京大学医科学研究所のヒトゲノム倫理審査委員会および理化学研究所横浜研究所研究倫理委員会によって承認され、全ての被検者からインフォームドコンセントを得た。

0059

統計解析
各SNPまたは各HLAアレルとCBZにより誘発される薬疹(CBZ誘発性薬疹)との関連は、フィッシャーの正確確率検定(Fisher's exact test)により評価した。GWASにおいては、関連解析は、allele frequency model、dominant-inheritance model、およびrecessive-inheritance modelを用いて行った。各SNPsとCBZ誘発性薬疹との関連は、これら3モデルにおいて算出された最も低いP値に基づき評価した。

0060

<GWAS>
薬疹被検者55名、および一般集団被検者898名の遺伝子型は、HumanHap550v3 GenotypingBeadChip(Illumina社)を用いて解析した。関連解析には、上記被検者の内、主成分分析PCA)により外れ値であると判断された薬疹被検者1名および一般集団被検者16名を除外し、さらにクオリティコントロールにより薬疹被検者1名を除外し、残る薬疹被検者53名および一般集団被検者882名のデータを採用した。遺伝子型を解析した554496個のSNPs中、常染色体に存在し、且つクオリティコントロールを通過した444823個のSNPsについて関連解析を行った。

0061

GWASの結果、多重検定におけるボンフェローニ補正後のP<1.12×10-7(=0.05/444823)を満たしてCBZ誘発性薬疹と有意に関連する12個のSNPsが同定された(表1)。これらSNPsの内、rs1633021が最も低いP値を示し、CBZ誘発性薬疹と最も強く関連することが明らかとなった(P=1.18×10-13)。なお、この結果の検証のため、rs1633021についてmultiplex-PCRinvader assay(Third Wave Technologies)(Ohnishi, Y. et al. J Hum Genet 46, 471-7 (2001))を行い、GWASの結果と100%一致することを確認した。

0062

薬疹被検者53名および一般集団被検者882名による関連解析の結果
AFマイナーアレル頻度
Chr:染色体

0063

これら12個のSNPsは、いずれも第6染色体短腕21.33領域(6p21.33領域)上の約463kbの領域に位置していた。そこで、一般集団被検者882名を用いて、当該領域の連鎖不平衡(linkage disequilibrium;LD)マップを作成した(図1)。その結果、12個のSNPsの内、11個のSNPsが29.84〜30.27Mbの単一のLDブロック上に位置することが明らかとなった。また、残る1つのSNP(rs1362088)も、当該LDブロックの近傍に位置していた。当該領域は、HLA−A遺伝子座を含むMHCI領域に相当する。

0064

<HLA−Aアレルの遺伝子型解析>
HLA−A遺伝子座近傍に位置するSNPsにCBZ誘発性薬疹との関連が認められたことから、次に、HLA−Aアレルの遺伝子型解析を行った。薬疹被検者としては、主成分分析(PCA)により外れ値であると判断された薬疹被検者1名を除いた上記54名に7名を追加した61名を用いた。対照被検者としては、376名のCBZ耐性被検者を用いた。

0065

結果を表2に示す。表2中、「*」は多重検定におけるボンフェローニ補正後のP<2.63×10-3(=0.05/19)を満たしてCBZ誘発性薬疹と有意に関連することを示す。

0066

0067

HLA−A*3101アレルの頻度は、CBZ耐性被検者と比較して薬疹被検者において有意に高く(P=3.64×10-15)、CBZ薬疹被検者では60.7%であったが、CBZ耐性被検者ではわずか12.5%であった。これは、HLA−A*3101アレルが、日本人におけるCBZ誘発性薬疹の予測因子として60.7%の感度と87.5%の特異性を有することを示す。ここで、CBZ誘発性薬疹の発症率が2.9%とすると、陽性的中率は12.7%、陰性的中率は98.7%と算出される。すなわち、HLA−A*3101陽性と判定された患者をCBZ治療から除外することで、CBZ誘発性薬疹の頻度を2.9%から1.1%に低減することができる。

0068

てんかんや三叉神経痛に対するCBZの代替薬としては、例えばフェニトインバルプロ酸等の薬疹発症率の低い薬剤が利用できる。これら代替薬は、治療効果ではCBZに劣るが、しばしば命にかかわる薬疹の発症を防げるという点では、患者にとってCBZよりも好ましい選択となりうる。よって、HLA−A*3101のタイピングによりCBZによる薬疹リスクを予測することは、てんかんや三叉神経痛等の疾病に対する個々の治療方針を決定する上で極めて有用である。

0069

また、HLA−A*0206アレルの頻度も、CBZ耐性被検者と比較して薬疹被検者において有意に高かった(P=2.46×10-4)。

0070

<追試>
HLA−A*3101アレルおよびHLA−A*0206アレルと、CBZ誘発性薬疹との有意な関連を検証するため、独立した集団を用いて追試(replication study)を行った。被検者としては、薬疹被検者16名およびCBZ耐性被検者44名を用いた。

0071

結果を表3に示す。表3中、「*」は多重検定におけるボンフェローニ補正後のP<2.50×10-2(=0.05/2)を満たしてCBZ誘発性薬疹と有意に関連することを示す。

0072

CI信頼区間(Confidence Interval)

0073

HLA−A*3101アレルは、P=1.53×10-2(1次試験と追試を組み合わせた解析ではP=1.09×10-16)を示し、CBZ誘発性薬疹との関連が再現された。一方、HLA−A*0206アレルとCBZ誘発性薬疹との関連は再現されなかった。

0074

<HLA−A*3101アレルと各種薬疹との関連解析>
さらに、これまでの試験に用いた被検者を合わせて、HLA−A*3101アレルと各種薬疹との関連を解析した。その結果、HLA−A*3101アレルは、DIHS(P=2.06×10-9)、SJS/TEN(P=2.35×10-4)、およびその他の薬疹(P=4.74×10-8)とそれぞれ有意に関連した(表4)。

0075

「*」は多重検定におけるボンフェローニ補正後の有意性閾値を満たしてCBZ誘発性薬疹と有意に関連することを示す。
cADRs:薬物による皮膚障害(cutaneous adverse drug reactions)
SIS/TEN:スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome)/中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis)
DIHS:薬剤性過敏症症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome)
CI:信頼区間(Confidence Interval)

0076

HLA−A遺伝子はHLAクラスIの重鎖をコードし、HLAクラスI分子は抗原ペプチド提示することで免疫系の中心的役割を担う。したがって、CBZ誘発性薬疹と関連するSNPsは、HLA−Aの抗原に対する結合親和性差異を反映しており、薬疹発症の際の免疫応答に影響していると考えられる。

実施例

0077

なお、本実施例のGWASではHLA−B遺伝子座とCBZ誘発性薬疹との関連は見出されなかったが、HLA−B*1502アレルは台湾人でCBZにより誘発されるSJS/TENと強く関連することが知られている。そこで、薬疹被検者61名およびCBZ耐性被検者376名を用いてHLA−Bアレルの遺伝子型を解析したが、HLA−B*1502アレルは薬疹被検者のいずれにも見出されず、また、いずれのHLA−BアレルもCBZ誘発性薬疹との関連は認められなかった。

0078

以上の通り、CBZ誘発性薬疹と関連する12個のSNPsが見出され、また、HLA−A*3101アレルがCBZ誘発性薬疹と関連することが明らかとなった。よって、HLA−A*3101アレルおよびこれらSNPsは、CBZ等の抗てんかん薬による薬疹リスクの検査に有用である。したがって、本発明は、抗てんかん薬の投与の可否を決定するのに有効であり、抗てんかん薬による薬物治療に貢献するものである。

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