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技術 プロスタグランジンI2誘導体を含有するナノ粒子

出願人 株式会社LTTバイオファーマ
発明者 水島徹石原務劉紅星
出願日 2011年2月18日 (9年2ヶ月経過) 出願番号 2011-033290
公開日 2012年9月10日 (7年7ヶ月経過) 公開番号 2012-171883
状態 特許登録済
技術分野 医薬品製剤 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 金属イオン水溶液 筋性動脈 ポリエチレングリコールブロック共重合体 血管壁厚 多木化学社製 回収収率 ナノ粒子化 病態改善効果
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年9月10日)のものです。
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図面 (11)

課題

解決手段

ベラプロストナトリウムを、金属イオンにより疎水化し、これをポリL−乳酸又はポリ(L−乳酸/グリコール酸共重合体、及びポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体と作用させることにより得られるベラプロストナトリウム含有ナノ粒子であり、有効効成分の徐放性に優れ、副作用を軽減し、さらにまた血中滞留性にも優れており、特に薬効持続性において、極めて顕著なものである。

概要

背景

肺高血圧症は、心臓からに血液を送る血管(肺動脈)の末梢における肺最小動脈内腔狭窄によって血液の流れに障害を来し、肺動脈の血圧肺動脈圧)が高くなることによって生じる疾患である。
その治療にあたっては、肺血管拡張剤投与により、血液の流れを確保し、肺動脈圧を下げ、これにより拡張した心臓や太くなった肺血管への負担を軽減させることが行われており、各種プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン誘導体臨床的に使用されている。

最初に臨床応用が可能となった薬剤として、プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)、エポプロステノールがある。エポプロステノールは、本来、生体内に存在する肺血管拡張作用を持つ物質生合成したものであり、プロスタサイクリンは血管平滑筋プロスタサイクリン受容体を介してアデニルサイクラーゼ活性化し、cAMP濃度を増加させることによって、血管平滑筋の弛緩をもたらし、肺血管の拡張作用を発揮する。
また本薬剤は、抗血小板作用、平滑筋増殖抑制作用も併せ持つとされており、これまでの検討では、未治療原発性肺高血圧症の3年生存率が約40%であるのに対し、エポプロステノール治療群では約70%と、生命予後の著明な改善が証明されており、本薬剤の治療効果はほぼ確立しているといってよい。

このエポプロステノールは、血中半減期が2〜3分程度と極めて短く、また化学的定性目安となる化学的半減期も10分程度でしかない。したがって、安定した治療効果を得るためには、エポプロステノールを、持続的に静脈内投与を行うことが必要である。また、その投与にあたっても、用溶解液を用いて溶解し、中心静脈に挿入する特殊なカテーテルと、エポプロステノールとして1分間当り2ng/kgの投与速度を確保し得るインフュージョンポンプ薬剤注入用の小型精密ポンプ)の組み合わせにより、持続的静脈内投与を行わなければならず、患者にとって極めてQOLに負担のかかる薬剤である。

しかしながら、エポプロステノールの肺高血圧症に対する治療効果は極めて顕著なものであることから、最近、各種のプロスタサイクリン誘導体の開発が行われ、より安定性に優れたプロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体の開発検討が行われてきており、その一つとして、比較的半減期の長い、ベラプロストナトリウムが登場するに至った。
このベラプロストナトリウムは、日本で開発されたプロスタサイクリン誘導体であって、生体内半減期も1.1時間程度、また化学的半減期も10日程度と長く、経口投与が可能な点で、他のプロスタサイクリン誘導体と比較して、大きな長所を持っているものである。
ベラプロストナトリウムは、当初閉塞性動脈硬化症治療薬として認可されていたが、その後、原発性肺高血圧症と膠原病合併する肺高血圧症を対象とした臨床試験が行われ、ベラプロストナトリウムの3ヶ月間の投与・治療で、肺血管抵抗は有意に低下を来し、その結果、原発性肺高血圧症に対する治療薬として認可されるに至り、現在では、ベラプロストナトリウムが肺高血圧症に対する第一次選択薬として広く用いられている。

しかしながら、エポプロステノールの持続静注療薬の経験からみて、プロスタサイクリン系統の薬剤は、比較的濃度依存的に血管拡張作用が見られる傾向がある。したがって、十分な治療効果を得るためには、可能な限り高濃度の安定したベラプロストナトリウムの血中濃度を維持することが必要である。
従来の経口投与によるベラプロスト製剤の100μg投与後の最高血中濃度到達時間(Tmax)は1.42時間、最高血中濃度(Cmax)は440pg/mLと発表されており、このためベラプロストナトリウム服薬後は、比較的急速に本薬剤の血中濃度は増加し、血管拡張作用を発揮するものの、血中濃度半減期は、1.1時間でしかなく、急速にその薬効消失してしまう問題点があった。また本薬剤の血中濃度の増加は、血圧低下などの副作用を導くため、有効性が期待される静脈内投与は可能ではなかった。
そのため、長時間にわたる、十分なベラプロストナトリウムの持続的な血中濃度を維持できる製剤の開発が急務である。

ところで本発明者等は、これまで、乳酸グリコール酸共重合体(以後、「PLGA」と記す場合もある)、または乳酸重合体(以後、「PLA」と記す場合もある)のマイクロ粒子ないしナノ粒子に薬物を封入する研究を種々行ってきている。

例えば、本発明者等は、陰荷電基を持つ低分子薬物金属イオンにより疎水化し、これをポリ乳酸ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体、及びポリ乳酸又はポリ(乳酸/グリコール酸)共重合体と作用させることにより得られるナノ粒子に封入することにより、患部ターゲッティング及び徐放性に優れ、なおかつ肝臓集積を低減し、血中滞留性を高めた薬物含有ナノ粒子について特許出願している(特許文献1)。
さらに本発明者等は、この技術を更に改良し、陰荷電基を持つ低分子薬物を患部に効率的にターゲッティングし、薬物徐放性に優れ、かつ肝臓集積を低減することにより副作用を軽減させた、徐放性に優れた陰荷電基を持つ低分子薬物含有ナノ粒子を提供している(特許文献2)。

本発明者等は、かかる特許文献に記載の技術を、プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体に応用してナノ粒子化してやれば、かかるナノ粒子製剤は、薬物の徐放性に優れ、持続的な薬物の血中濃度の維持が図れるものと考え、プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体についてのナノ粒子化を検討した。

その結果、初期の肺高血圧症の治療薬であるエポプロステノールについては、ナノ粒子化することができなかったが、ベラプロストナトリウムについては、極めて効率よくナノ粒子化を行うことができ、得られたナノ粒子は、粒子中に封入されたベラプロストナトリウムの徐放性に優れ、血中滞留性があることから、持続的な薬理効果発現が得られることを確認し、本発明を完成させるに至った。

概要

肺高血圧症の治療薬であるプロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体のなかでも、ベラプロストナトリウムを含有するナノ粒子を提供すること。 ベラプロストナトリウムを、金属イオンにより疎水化し、これをポリL−乳酸又はポリ(L−乳酸/グリコール酸)共重合体、及びポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体と作用させることにより得られるベラプロストナトリウム含有ナノ粒子であり、有効効成分の徐放性に優れ、副作用を軽減し、さらにまた血中滞留性にも優れており、特に薬効の持続性において、極めて顕著なものである。

目的

本発明は、肺高血圧症の治療薬であるプロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体のなかでも、ベラプロストナトリウムを含有するナノ粒子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

次式(I)で示されるベラプロストナトリウムを、金属イオンにより疎水化し、これをポリL−乳酸又はポリ(L−乳酸/グリコール酸共重合体、及びポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体と作用させることにより得られるベラプロストナトリウム含有ナノ粒子

請求項2

さらに、塩基性低分子化合物を混合することを特徴とする請求項1に記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子。

請求項3

粒子の直径が20〜300nm、好ましくは50〜200nmである請求項1または2に記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子。

請求項4

金属イオンが、鉄イオン亜鉛イオン銅イオンマグネシウムイオンカルシウムイオンニッケルイオンベリリウムイオンマンガンイオン又はコバルトイオンの1種又は2種以上である請求項1又は2に記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子。

請求項5

ポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体の重量平均分子量が3,000〜30,000である請求項1又は2に記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子。

請求項6

請求項7

請求項1〜6に記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子を有効成分とする、静脈注射用製剤または局所注射用製剤の形態にある非経口投与用製剤。

技術分野

0001

本発明は、プロスタグランジンI誘導体含有ナノ粒子に関し、詳しくは、本発明は、プロスタグランジンI2誘導体であるベラプロストナトリウムを含有するナノ粒子に関する。

背景技術

0002

肺高血圧症は、心臓からに血液を送る血管(肺動脈)の末梢における肺最小動脈内腔狭窄によって血液の流れに障害を来し、肺動脈の血圧肺動脈圧)が高くなることによって生じる疾患である。
その治療にあたっては、肺血管拡張剤投与により、血液の流れを確保し、肺動脈圧を下げ、これにより拡張した心臓や太くなった肺血管への負担を軽減させることが行われており、各種プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体が臨床的に使用されている。

0003

最初に臨床応用が可能となった薬剤として、プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)、エポプロステノールがある。エポプロステノールは、本来、生体内に存在する肺血管拡張作用を持つ物質生合成したものであり、プロスタサイクリンは血管平滑筋プロスタサイクリン受容体を介してアデニルサイクラーゼ活性化し、cAMP濃度を増加させることによって、血管平滑筋の弛緩をもたらし、肺血管の拡張作用を発揮する。
また本薬剤は、抗血小板作用、平滑筋増殖抑制作用も併せ持つとされており、これまでの検討では、未治療原発性肺高血圧症の3年生存率が約40%であるのに対し、エポプロステノール治療群では約70%と、生命予後の著明な改善が証明されており、本薬剤の治療効果はほぼ確立しているといってよい。

0004

このエポプロステノールは、血中半減期が2〜3分程度と極めて短く、また化学的定性目安となる化学的半減期も10分程度でしかない。したがって、安定した治療効果を得るためには、エポプロステノールを、持続的に静脈内投与を行うことが必要である。また、その投与にあたっても、用溶解液を用いて溶解し、中心静脈に挿入する特殊なカテーテルと、エポプロステノールとして1分間当り2ng/kgの投与速度を確保し得るインフュージョンポンプ薬剤注入用の小型精密ポンプ)の組み合わせにより、持続的静脈内投与を行わなければならず、患者にとって極めてQOLに負担のかかる薬剤である。

0005

しかしながら、エポプロステノールの肺高血圧症に対する治療効果は極めて顕著なものであることから、最近、各種のプロスタサイクリン誘導体の開発が行われ、より安定性に優れたプロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体の開発検討が行われてきており、その一つとして、比較的半減期の長い、ベラプロストナトリウムが登場するに至った。
このベラプロストナトリウムは、日本で開発されたプロスタサイクリン誘導体であって、生体内半減期も1.1時間程度、また化学的半減期も10日程度と長く、経口投与が可能な点で、他のプロスタサイクリン誘導体と比較して、大きな長所を持っているものである。
ベラプロストナトリウムは、当初閉塞性動脈硬化症治療薬として認可されていたが、その後、原発性肺高血圧症と膠原病合併する肺高血圧症を対象とした臨床試験が行われ、ベラプロストナトリウムの3ヶ月間の投与・治療で、肺血管抵抗は有意に低下を来し、その結果、原発性肺高血圧症に対する治療薬として認可されるに至り、現在では、ベラプロストナトリウムが肺高血圧症に対する第一次選択薬として広く用いられている。

0006

しかしながら、エポプロステノールの持続静注療薬の経験からみて、プロスタサイクリン系統の薬剤は、比較的濃度依存的に血管拡張作用が見られる傾向がある。したがって、十分な治療効果を得るためには、可能な限り高濃度の安定したベラプロストナトリウムの血中濃度を維持することが必要である。
従来の経口投与によるベラプロスト製剤の100μg投与後の最高血中濃度到達時間(Tmax)は1.42時間、最高血中濃度(Cmax)は440pg/mLと発表されており、このためベラプロストナトリウム服薬後は、比較的急速に本薬剤の血中濃度は増加し、血管拡張作用を発揮するものの、血中濃度半減期は、1.1時間でしかなく、急速にその薬効消失してしまう問題点があった。また本薬剤の血中濃度の増加は、血圧低下などの副作用を導くため、有効性が期待される静脈内投与は可能ではなかった。
そのため、長時間にわたる、十分なベラプロストナトリウムの持続的な血中濃度を維持できる製剤の開発が急務である。

0007

ところで本発明者等は、これまで、乳酸グリコール酸共重合体(以後、「PLGA」と記す場合もある)、または乳酸重合体(以後、「PLA」と記す場合もある)のマイクロ粒子ないしナノ粒子に薬物を封入する研究を種々行ってきている。

0008

例えば、本発明者等は、陰荷電基を持つ低分子薬物金属イオンにより疎水化し、これをポリ乳酸ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体、及びポリ乳酸又はポリ(乳酸/グリコール酸)共重合体と作用させることにより得られるナノ粒子に封入することにより、患部ターゲッティング及び徐放性に優れ、なおかつ肝臓集積を低減し、血中滞留性を高めた薬物含有ナノ粒子について特許出願している(特許文献1)。
さらに本発明者等は、この技術を更に改良し、陰荷電基を持つ低分子薬物を患部に効率的にターゲッティングし、薬物徐放性に優れ、かつ肝臓集積を低減することにより副作用を軽減させた、徐放性に優れた陰荷電基を持つ低分子薬物含有ナノ粒子を提供している(特許文献2)。

0009

本発明者等は、かかる特許文献に記載の技術を、プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体に応用してナノ粒子化してやれば、かかるナノ粒子製剤は、薬物の徐放性に優れ、持続的な薬物の血中濃度の維持が図れるものと考え、プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体についてのナノ粒子化を検討した。

0010

その結果、初期の肺高血圧症の治療薬であるエポプロステノールについては、ナノ粒子化することができなかったが、ベラプロストナトリウムについては、極めて効率よくナノ粒子化を行うことができ、得られたナノ粒子は、粒子中に封入されたベラプロストナトリウムの徐放性に優れ、血中滞留性があることから、持続的な薬理効果発現が得られることを確認し、本発明を完成させるに至った。

先行技術

0011

国際公開WO2007/074604 A1号
国際公開WO2008/139840 A1号

発明が解決しようとする課題

0012

したがって、本発明は、肺高血圧症の治療薬であるプロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体のなかでも、ベラプロストナトリウムを含有するナノ粒子を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0013

かかる課題を解決する本発明は、具体的には以下の態様からなる。
(1)すなわち、その基本的態様は、次式(I):

0014

0015

で示されるベラプロストナトリウムを、金属イオンにより疎水化し、これをポリL−乳酸又はポリ(L−乳酸/グリコール酸)共重合体、及びポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体と作用させることにより得られるベラプロストナトリウム含有ナノ粒子である。

0016

より具体的には、本発明は、以下の構成からなる。
(2)さらに、塩基性低分子化合物を混合することを特徴とする上記(1)に記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子;
(3)粒子の直径が20〜300nm、好ましくは50〜200nmである上記(1)または(2)記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子;
(4)金属イオンが、鉄イオン亜鉛イオン銅イオンマグネシウムイオンカルシウムイオンニッケルイオンベリリウムイオンマンガンイオン又はコバルトイオンの1種又は2種以上である上記(1)または(2)に記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子ナノ粒子;
(5)ポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体の重量平均分子量が3,000〜30,000である上記(1)または(2)に記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子;
(6) 塩基性低分子化合物が、(ジメチルアミノピリジン、ピリジン、ピペリジンピリミジンピラジンピリダジンキノリンキヌクリジンイソキノリンビス(ジメチルアミノ)ナフタレンナフチルアミンモルホリンアマンタジンアニリンスペルミンスペルミジンヘキサメチレンジアミンプトレシンカダベリンフェネチルアミンヒスタミンジアザビシクロオクタンジイソプロピルエチルアミンモノエタノールアミンジエタノールアミントリエタノールアミンエチルアミンジエチルアミントリエチルアミンメチルアミンジメチルアミントリメチルアミントリエチレンジアミンジエチレントリアミンエチレンジアミントリメチレンジアミンから選択される1種又は2種以上のものである上記(2)記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子;
(6) 上記(1)〜(5)に記載のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子を有効成分とする、静脈注射用製剤または局所注射用製剤の形態にある非経口投与用製剤;
である。

発明の効果

0017

本発明が提供するベラプロストナトリウムを含有するナノ粒子(以下、ベラプロストナノ粒子という場合もある)は、有効成分であるベラプロストナトリウムを患部ターゲッティングし、有効効成分の徐放性に優れ、副作用を軽減し、さらにまた血中滞留性にも優れており、特に薬効の持続性において、極めて顕著なものである。
したがって、半減期の比較的短いベラプロストナトリウムについて、ナノ粒子化することにより、その薬効の持続性に優れると共に、血中滞留性が良好なものであり、患者のQOLに配慮した肺高血圧症の治療薬を提供できるものであり、その産業上の利用可能性は多大なものである。

図面の簡単な説明

0018

実施例2における、本発明のベラプロストナトリウムナノ粒子における平均粒子径分布を示した図である。
実施例3における、塩化第二鉄の存在下におけるベラプロストナトリウムの残存率を示した結果である。
実施例3における、塩化第二鉄の非存在下におけるベラプロストナトリウムの残存率を示した結果である。
実施例4における、ベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の、in vitroにおける安定性の結果を示す図である。
実施例5における、血中滞留性評価の結果を示す図である。
実施例6における、ベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の投与による持続的なcAMP上昇の結果を示す図である。

0019

実施例7における、MCT病態モデルを用いた、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の薬効評価生存率)の結果を示す図であり、ベラプロストナトリウムの経口投与並びにVehicleの結果を示した図である。
実施例7における、MCT病態モデルを用いた、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の薬効評価(生存率)の結果を示す図であり、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の投与の結果を示した図である。
実施例8のMCT病態モデルを用いた、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の薬効評価における右心室リモデリングの結果を示した図である。
実施例8のMCT病態モデルを用いた、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の薬効評価における肺血管肥厚の結果を示した図である。

0020

本発明が提供するベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、ベラプロストナトリウムを金属イオンにより疎水化することにより不溶性沈殿物コンプレックス)として調製でき、この不溶性コンプレックスをポリL−乳酸、又はポリ(L−乳酸/グリコール酸)共重合体、及びポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体と作用させることにより得られる。また、界面活性剤を配合してもよく、界面活性剤を配合することにより、生成したナノ粒子を安定化することができる。

0021

本発明が提供するベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、ナノ粒子を形成するために使用する生分解性高分子として、L異性体であるポリL−乳酸、またはポリ(L−乳酸/グリコール酸)共重合体を使用することも、またひとつの特徴である。
ポリ−L−乳酸はポリ−DL−乳酸に比し、有機溶媒への溶解性が異なり、また結晶性が高いことが知られている。本発明では、ポリ−L−乳酸を、ポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体と共に混合しナノ粒子を形成させることにより、ポリ−L−乳酸の水相での結晶化を抑止し、安定に分散可能なナノ粒子を調製することができる。
ポリ−L−乳酸は、アセトンに不溶性であるため、その溶解性を上げるために、アセトン/ジオキサンあるいはアセトン/テトラヒドロフラン混合液を使用して、ナノ粒子を調製した。

0022

上記のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、界面活性剤を配合していてもよく、界面活性剤を配合することにより、生成したナノ粒子を安定化し、粒子間の凝集を抑止することができる。

0023

上記により提供される本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、静脈注射用製剤、局所注射用製剤などの非経口投与用製剤とすることにより、投与することができる。
特に、静脈内投与が可能なものであり、これまでのベラプロストナトリウムが経口投与製剤でしかなく、その持続的な投与ができなかった点を改良するものとして、極めて特異的なものである。
また、本発明においては有効成分であるベラプロストナトリウムは、ナノ粒子化するにあたって金属イオン、特に鉄イオンの存在が必須であり、鉄イオンの存在によって、不溶性コンプレックスを調製することができ、その結果ナノ粒子化が可能となった。
かかる点で、本発明は極めて特異的なものである。

0024

本発明が提供するベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、以下のとおり作製することができる。
すなわち、ベラプロストナトリウムと金属イオン、好ましくは鉄イオンを、有機溶媒又は含水有機溶媒溶媒中で混合して疎水性薬物とし、この混合液中にポリL−乳酸又はポリ(L−乳酸/グリコール酸)共重合体、さらにポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体を加えて攪拌し、この溶液を水中に添加、拡散することにより調製することができる。

0025

また、ポリL−乳酸又はポリ(L−乳酸/グリコール酸)共重合体、さらにポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体を溶媒に溶解した溶液と、陰荷電基を持つ低分子薬物の水溶液、及び金属イオン水溶液を同時に加えて混合しても同様のナノ粒子を調製することができる。

0026

ポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体をナノ粒子の表面修飾剤として用いることで、ポリL−乳酸又はポリ(L−乳酸/グリコール酸)共重合体の水相における結晶化を抑制し、その結果、粒子の大きさが均一で安定なナノ粒子を得ることができる。

0027

使用される金属イオンとしては、亜鉛イオン、鉄イオン、銅イオン、ニッケルイオン、ベリリウムイオン、マンガンイオン、コバルトイオンのいずれかであり、それらの水溶性金属塩の1種又は2種以上が使用される。そのなかでも好ましくは亜鉛イオン、鉄イオンであり、塩化亜鉛塩化鉄などが好ましく使用できる。
特に、塩化鉄によって、ベラプロストナトリウムが初めて不溶性コンプレックス(沈殿物)が形成されることが判明した。

0028

上記の反応に使用される溶媒としては、アセトン、アセトニトリルエタノールメタノールプロパノールジメチルホルムアミドジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒、あるいはこれらの含水溶媒であり、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、テトラヒドロフランが好ましい。

0029

ポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体(DL−体をPDLLA−PEG、L−体をPLLA−PEGということもある)又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体(DL−体をPDLLGA−PEG、L−体をPLLGA−PEGということもある)は、ポリDL−乳酸(PDLLAということもある)若しくはポリL−乳酸(PLLAということもある)又はポリ(DL−乳酸/グリコール酸)共重合体(PDLLGAということもある)若しくはポリ(L−乳酸/グリコール酸)共重合体(PLLGAということもある)(これらの重合体ブロックAという)とポリエチレングリコール(PEGということもある)(ブロックBという)とを、エチレンジメチルアミノプロピルカルボジイミドなどの縮合剤のもとで反応させることにより、生成することができるが、市販されている同様のブロック共重合体を使用してもよい。

0030

ブロック共重合体の構成としてはA−Bタイプ、A−B−Aタイプ、B−A−Bタイプのいずれであっても本発明の目的を達成することができる。また、これらのブロック共重合体の重量平均分子量は3,000〜30,000であることが好ましい。

0031

また、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、ポリDL−又はL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体又はポリ(DL−又はL−乳酸/グリコール酸)−ポリエチレングリコールブロック共重合体に対するポリL−乳酸又はポリ(L−乳酸/グリコール酸)共重合体の混合比を高くすると、大きなナノ粒子が生成され、かつ薬物のナノ粒子への封入率が増加する傾向にある。

0032

本発明が提供するベラプロストナトリウム含有ナノ粒子おいて、さらに塩基性低分子化合物を混合することによりベラプロストナトリウムのナノ粒子への封入率が増加し、10%程度まで封入することができる。
このような塩基性低分子化合物としては(ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、ピペリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、キヌクリジン、イソキノリン、ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ナフチルアミン、モルホリン、アマンタジン、アニリン、スペルミン、スペルミジン、ヘキサメチレンジアミン、プトレシン、カダベリン、フェネチルアミン、ヒスタミン、ジアザビシクロオクタン、ジイソプロピルエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等を挙げることができ、好ましくは、2級又は3級アミン類であり、ジエタノールアミンが特に好ましい。

0033

かくして調製されたベラプロストナトリウム含有ナノ粒子に界面活性剤を配合してもよく、界面活性剤を配合することにより、生成したナノ粒子を安定化し、かつ粒子間の凝集を抑制することができる。したがって、ナノ粒子を含有する製剤の製剤化工程にとって好ましいものとなる。

0034

使用される界面活性剤としては、ホスファチジルコリンポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレン(80)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(20)コレステロールエステル、脂質−ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び脂肪酸−ポリエチレングリコール共重合体等をあげることができ、これらの界面活性剤から選択される1種又は2種以上を使用するのが好ましい。

0035

本発明が提供するベラプロストナトリウム含有ナノ粒子にあっては、その粒子の平均粒子径は20〜300nmの範囲内であり、好ましくは50〜200nmであり、より好ましくは120nm前後である。
この粒径は、PDLLA−PEG若しくはPLLA−PEG又はPDLLGA−PEG若しくはPLLGA−PEGを溶解する溶媒、好ましくはアセトン又はジオキサンの量を調節することにより調整することができ、アセトン又はジオキサンの量を多くすることにより小さな粒径のナノ粒子が得られる。また、ナノ粒子の粒径が大きくなるほど薬物の封入率が高くなる傾向にある。

0036

かくして調製した本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、ナノ粒子の溶液または懸濁液を、遠心分離限外濾過ゲル濾過フィルター濾過ファイバー透析などの操作により適宜精製した後、凍結乾燥して取得、保存される。

0037

その際、凍結乾燥した製剤を再懸濁して投与できるようにするため安定化剤及び/又は分散化剤を加えて凍結乾燥されることが好ましく、そのような安定化剤、分散化剤としてはショ糖トレハロースカルボキシメチルセルロースナトリウムなどが好ましく使用される。

0038

本発明が提供するベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、静脈注射用製剤、局所注射用製剤などの非経口投与用製剤の医薬品として使用され、なかでもこれまで経口投与されていたベラプロストナトリウムを静脈注射用製剤とすることが可能となり、当該ナノ粒子の特性、効果をより良く発揮することができる。

0039

これらの非経口投与用製剤の調製に使用される基剤、その他の添加剤成分としては、製剤学的許容され、使用されている各種基剤、成分を挙げることができる。具体的には、生理食塩水単糖類二糖類糖アルコール類多糖類などの糖類;ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースメチルセルロースなどの高分子添加剤イオン性又は非イオン性界面活性剤;などが剤型に応じて適宜選択され、使用することができる。

0040

以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0041

実施例1:ポリL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体(PLLA−PEG)の合成
メトキシ−PEG40g(Mw5200、日本油脂社製)、L−ラクチド40g(プラーク社製)、オクチル酸スズ(400mg)を二口丸底フラスコに入れ十分に混合した。油圧ポンプにて脱気後、オイルバスにて110℃で加熱し溶解した。溶解後155℃に昇温し、4時間反応させた。反応物固形物)を冷却後、250mL程度のジクロロメタンに溶解し、氷冷したイソプロパノール2.5Lに徐添加で再沈精製し、凍結乾燥することでポリL−乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体(PLLA−PEG)を合成した。合成物は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)あるいはプロトンMRにて評価した。

0042

GPCから、メトキシ−PEGに比べ分子量の増大が認められ、またプロトンNMRからポリ乳酸の存在が確認できたことから、PLLA−PEGが合成された。また、L−ラクチドの量を変えて上記と同様に操作し、分子量の異なるPLLA−PEGを得た。

0043

実施例2:ベラプロストナトリウムを封入したPLAとPDLLA−PEGからなるナノ粒子の製造法(溶媒拡散法による製造)
PLA(多木化学社製)の26mgを300μLのジオキサンに溶解した。実施例1で合成したPLLA−PEGの24mgをアセトン500μLに溶解し、前記のジオキサン溶液とともに混合した。
この混合液に、2.5mgのベラプロストナトリウムを溶解したジオキサン/メタノール混液700μLを添加し、つづいて9.5mgのジエタノールアミンを溶解した200μLのアセトン溶液を添加した。直ちに、2.4mgの無水塩化第二鉄のアセトン200μL溶液を加えて混和し、室温で10分間放置した。
50mLのサンプル瓶に25mLの水を入れ2cmのスターラーバーで攪拌しながら、そこに26G注射針をつけた3mLシリンジで上記の反応液を徐々に滴下した(スターラー回転数:1000rpm、注射針:26G、シリンジ:ニプロ3mL、滴下速度:48L/hr)。得られた懸濁液に500mMのEDTA水溶液(pH7)を2.5mL及び200mg/mLのTween80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート]水溶液を12μL添加した。限外濾過(YM−50、アミコン社製)にて濃縮後、50mMのEDTA水溶液(pH7)を添加し、再び濃縮を行った(これを2回繰返した)。得られた濃縮懸濁液を超音波照射30秒後、遠心(1000rpm、5分)にて凝集塊を除去し、動的光散乱測定装置粒径測定及び粒子内のベラプロストナトリウムの封入量HPLCにて定量した。

0044

下記表1に、上記の処方による各成分の配合量の一例を示した。なお、この処方に限定されないことはいうまでもない。

0045

0046

<ナノ粒子の平均粒子径、封入率、回収収率
得られたベラプロストナトリウム含有ナノ粒子における粒子径の分布、封入率、回収率を以下に示した。
図1に、ベラプロストナトリウム含有ナノ粒子における平均粒子径の分布を、下記表2に、ベラプロストナトリウム含有ナノ粒子におけるベラプロストナトリウムの封入率、回収率を示した。

0047

本発明が提供するベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、平均粒子径120nmを有し、封入率1%、回収率9%のナノ粒子を再現良く作成することが可能であった。

0048

実施例3:塩化第二鉄の存在下での不溶性コンプレックスの形成
本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子においては、ベラプロストナトリウムは塩化第二鉄の存在下で初めて不溶性のコンプレックスを形成し、その結果、効率よくナノ粒子として作成されることが判明した。
すなわち、ベラプロストナトリウムは、塩化第二鉄との相互作用によってナノ粒子中に封入されているものであった。
その点を確認するため、塩化第二鉄の存在/非存在下において、ジエタノールアミン(DEA)の添加の変化による溶液のpHの変動と、その上清中におけるベラプロストナトリウムの残存率を検討した。
具体的には、一定濃度の鉄イオン(455mM)とベラプロストナトリウム(32.5mM)の水溶液中に、ジエタノールアミンを添加することで溶液のpHを種々のpHになるように調整した。その溶液(懸濁液)を16,500gで10分遠心し、上清に溶解しているベラプロストナトリウムの量を、HPLCで定量した。また、その溶液のpHも測定した。
一方、一定濃度の鉄イオンの代わりに塩酸を用いて、ベラプロストナトリウム(32.5mM)の水溶液中にジエタノールアミンを添加することで、溶液のpHを種々のpHになるように調整した。その溶液(懸濁液)を16,500gで10分遠心し、上清に溶解しているベラプロストナトリウムの量を、HPLCで定量した。また、その溶液のpHも測定した。

0049

その結果を、図2及び図3に示した。
図2は、塩化第二鉄の存在下において、ジエタノールアミンの添加の変化による溶液のpHの変動と、その上清中におけるベラプロストナトリウムの残存率を示した結果であるが、不溶性コンプレックスが形成されている点が確認され、本発明のナノ粒子の調製には、塩化第二鉄の存在が重要なポイントであることが理解される。
一方、図3は塩化第二鉄の非存在下において、ジエタノールアミンの添加の変化による溶液のpHの変動と、その上清中におけるベラプロストナトリウムの残存率を示した結果であるが、不溶性コンプレックスは全く形成されていなかった。

0050

実施例4:ベラプロストナトリウム含有ナノ粒子のin vitroにおける安定性
ベラプロストナトリウムナノ粒子の懸濁液45μLに、ウシ胎児血清(FBS)を50μL、ペニシリンストレプトマイシン溶液を1μL、およびリン酸緩衝生理食塩水5μL加え、よく混合した後100μLをマイクロチューブ分注した。その後サンプル溶液を37℃インキュベーター内に静置し、各日サンプリングを行った。
なお、FBSを用いたのは、生体内の環境を模倣するためである。
サンプリングは、サンプル溶液に50mMリン酸緩衝液(pH7)を900μL加え、超遠心(30,000rpm、4℃、30分間)にかけた。超遠心後、上清を除去し、沈殿物に超純水1mLを加え、同様に超遠心を行った。上清除去後の沈殿物をベラプロストナトリウム定量用のサンプルとした。
ベラプロストナトリウムの定量は、封入率測定法の項で述べた操作方法で行った。

0051

その結果を図4に示した。
図中からの結果からも判明するように、約2週間にわたってナノ粒子中からベラプロストナトリウムが放出されていることが確認された。
ベラプロストナトリウムの生体内半減期1.1時間程度、また化学的半減期も10日と比較すれば、本発明のナノ粒子とすることにより、封入されたベラプロストナトリウムが長期間にわたって安定的に放出され点で、本発明は極めて特異的なものである。

0052

実施例5:血中滞留性評価
Wister系雄性ラット(5週齢:n=3)の尾静脈からベラプロストナトリウムナノ粒子、ベラプロストナトリウム(比較例)をそれぞれ静脈内投与した。投与後、各時間において投与部位とは異なる尾静脈をメス切開し、採血管ヘパリン処理済み)を用いて採血した。1,4−ジオキサン(150μL)入りのマイクロチューブに血液を50μL添加し、サンプル溶液とした。サンプル溶液を遠心分離(13,200rpm、4℃、10分間)した後、上清中に含まれるベラプロストナトリウムを、HPLCを用いて定量した。

0053

その結果を図5に示した。
図中に示した結果からも判明するように、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、静脈内投与後24時間後でも血中に存在していることが判明するが、ベラプロストナトリウムは、投与後3時間後には血中には殆ど存在していないものであった。
このことから、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子とすることにより、ベラプロストナトリウムの血中滞留性が著しく向上する点が理解される。

0054

実施例6:ベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の投与による持続的なcAMP上昇
プロスタサイクリンは血管平滑筋のプロスタサイクリン受容体を介してアデニルサイクラーゼを活性化し、cAMP濃度を増加させることによって、血管平滑筋の弛緩をもたらし、肺血管の拡張作用を発揮する。
そこで、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子を投与し、持続的なcAMPの上昇を検討した。
Wister系雄性ラット(5週齢:n=2)の尾静脈からベラプロストナトリウム含有ナノ粒子、ベラプロストナトリウム(比較例)をそれぞれ静脈内投与した。投与後、各時間において投与部位とは異なる尾静脈をメスで切開し、採血管を用いて採血した。遠心分離(2,000g、4℃、10分間)により血清(上清)を採取し、血清サンプルとした。これを適宜希釈し、cAMPELISAキットを用いて、血清中に含まれるcAMPを定量した。測定方法は、assay design社のプロトコールに従った。

0055

その結果を図6に示した。
図中に示した結果からも判明するように、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、24時間後でも血漿中のcAMP上昇が維持されている。
これに対して、ベラプロストナトリウムの静脈内投与ではcAMP上昇の持続が観察されず、ベラプロストナトリウムは、ナノ粒子化することによって持続的な薬理効果が得られることが理解される。

0056

実施例7:MCT病態モデルを用いた、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の薬効評価(生存率)
MCT(モノクロタニン)により、肺高血圧症誘発モデル動物を用いて、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の薬効を評価した。
MCTを、まず1M−塩酸水溶液に溶解させ、その後1M−水酸化ナトリウム水溶液滴定し、中性としたものを用いた。
5週齢Wister系雄性ラット(体重:128〜150g、n=8〜12)にペントバルビタール(50mg/kg;腹腔内投与)で麻酔をかけ、調整したMCT溶液を頸部皮下注射した。MCT投与後4週間の間、生存率の変化を検討した。

0057

その結果を、図7及び8に示した。
図7は、ベラプロストナトリウムの経口投与並びにVehicleの結果を示した図であり、図8は、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の投与の結果を示した図である。
両図の対比から明らかなように、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子を3日に1回静脈内投与することにより、生存率の顕著な改善が認められた。

0058

実施例8:MCT病態モデルを用いた、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の薬効評価(右心室利モデリング、肺血管肥厚)
MCT(モノクロタニン)により、肺高血圧症誘発モデル動物を用いて、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子の薬効を評価した。
実施例7において、MCT投与4週後(28日後)に生存しているラットをサンプリングし、右心室重量、肺血管肥厚を定量した。
すなわち、MCT投与から4週間後において生存しているラットに関して、体重を測定し、脱血屠殺後、心臓をおよび肺を摘出した。
摘出した心臓は、まず右心室を切り出し、左心室中隔部分を除いて左室自由壁のみとし、それぞれの重量を測定した。右心室肥大の定量は、体重に対する右心室重量の割合で算出した。また、摘出した肺を用いて肺血管肥厚の定量を行った。肺摘出後10%ホルマリンで浸漬固定した。パラフィン包埋し、約4μm厚の切片を作製し、ヘマトキシリンエオシン染色HE染色)した後、鏡検にて肺血管肥厚を評価した。Kayらの方法に従い、肺細動脈中膜の厚さを評価した。評価対象とした血管は直径20〜200μmの筋性動脈で、短軸断面で切断されているもののみを計測した。
標本につき10個の血管を計測し、血管壁厚血管径を%で算出して中膜肥厚(%wall thickness)とした。

実施例

0059

MCT投与から4週間後において生存している動物をサンプリングし、右心室重量、肺血管肥厚を定量した。
その結果を、図9及び10に示した。
図9は、右心室重量(対全体重)の結果を示した図であり、図10は、肺血管肥厚を示した図である。
本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子を3日に1回静脈内投与することにより、顕著な病態改善効果が認められた。

0060

以上記載したように、本発明のベラプロストナトリウム含有ナノ粒子は、薬物の徐放性に優れ、さらに血中滞留性に優れているので、半減期の短いベラプロストナトリウムについて有効な製剤として極めて特異的なものであって、肺高血圧症の治療薬として、患者のQOLに配慮したものであり、その産業上の利用可能性は多大なものである。

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